オブジェクト判定装置
【課題】背景差分処理で人物を検出・追跡を行う場合に、人物が一定時間以上静止して背景として溶け込んでも追跡を続けることができ、また部屋からの退出など人物が実際に居なくなっても正常に機能するオブジェクト判定装置を提供する。
【解決手段】オブジェクト領域抽出部5が、連続して入力された画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出し、静止判定部6が、オブジェクト領域抽出部5により抽出されたオブジェクト領域の静止判定を行い、前景割合変化検出部7が、静止判定部6により静止と判定されたオブジェクト領域内における、連続して入力された画像の前景割合変化を検出し、判定部8が、前景割合変化検出部7により検出された前景割合変化に基づきオブジェクトの有無の判定を行う。
【解決手段】オブジェクト領域抽出部5が、連続して入力された画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出し、静止判定部6が、オブジェクト領域抽出部5により抽出されたオブジェクト領域の静止判定を行い、前景割合変化検出部7が、静止判定部6により静止と判定されたオブジェクト領域内における、連続して入力された画像の前景割合変化を検出し、判定部8が、前景割合変化検出部7により検出された前景割合変化に基づきオブジェクトの有無の判定を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的に背景画像を更新し、背景差分処理で人物を検出・追跡を行うシステムに用いて好適なオブジェクト判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動的に変化する背景でも背景差分処理ができるように、時系列の入力画像を蓄積して背景画像を更新し、人物の検出や追跡を行う方式や、追跡が一旦途切れた場合に、途切れた位置の周辺を探すことにより引き続き追跡を継続し、追跡精度を向上せる方式が案出されている。背景を生成する処理としては、例えば非特許文献1で開示されており、追跡する処理としては、例えば特許文献1で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0070201号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】C.Stauffer, W.E.L.Grimson, "Adaptive background mixture models for real-time tracking", CVPR, 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の背景差分処理で人物を検出・追跡を行うシステムにおいては、動的に背景画像を更新し、背景差分処理で人物を検出・追跡を行う場合、一定時間以上人物が静止すると人物が背景として溶け込んで検出されなくなり、追跡を再開することができないという課題がある。
【0006】
また、追跡が一旦途切れた際に、実際に人物がその周辺にいる場合はその後も正しく追跡することが可能であるが、部屋からの退出など人物が実際に居なくなった場合には正しく機能しないという課題もある。
【0007】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、背景差分処理で人物を検出・追跡を行う場合に、精度良く追跡を続けることができるオブジェクト判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のオブジェクト判定装置は、連続して入力された画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出手段と、前記オブジェクト領域抽出手段により抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定手段と、前記静止判定手段により静止と判定されたオブジェクト領域内における前記連続して入力された画像の前景割合変化を検出する前景割合変化検出手段と、前記前景割合変化検出手段により検出された前景割合変化に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行う判定手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、連続して入力された画像からオブジェクトを含むオブジェクト領域を抽出してその領域の静止判定を行い、静止していればオブジェクト領域内における連続入力画像の前景割合変化を検出し、検出した前景割合変化に基づきオブジェクトの有無判定を行うので、オブジェクトが人物の場合で人物全体としては一定時間以上静止して背景として溶け込んでも、人物は微動することからオブジェクト領域内の連続入力画像の前景割合変化を検出することで人物の有無や状態の変化を判定でき、精度良く追跡を続けることができる。また、部屋からの退出や物陰やカメラからの死角に移動するなど人物が実際に居なくなった場合に追跡を終了することで、不正な動作を防止できる。
【0010】
上記構成において、前記前景割合変化は、静止と判定された前記オブジェクト領域内における前記連続して入力された画像の前景として抽出された領域の変化として検出されることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、静止と判定したオブジェクト領域内における連続入力画像から前景として抽出された領域の変化として検出するので、オブジェクトが微動していればその有無を判定することができる。
【0012】
本発明のオブジェクト判定装置は、連続して入力された実空間の画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出手段と、前記オブジェクト領域抽出手段により抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定手段と、前記実空間内における前記静止判定手段により静止と判定されたオブジェクト領域の位置と回数により前記実空間のレイアウトを推定するレイアウト推定手段と、を有し、前記レイアウト推定手段による推定結果に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行うことを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、実空間内で静止と判定したオブジェクト領域の位置と回数により実空間のレイアウトを推定し、この推定結果に基づきオブジェクトの有無の判定を行うので、人物とそれ以外のもの(例えば、タンスや机などの家具や階段など)を区別することができ、人物が座るなどして動かなくなっても追跡することができる。すなわち、精度良く追跡を続けることができる。
【0014】
本発明のオブジェクト判定装置は、連続して入力された実空間の画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出手段と、前記オブジェクト領域抽出手段により抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定手段と、前記静止判定手段により静止と判定されなかったオブジェクト領域の動きの方向と大きさを保持するオブジェクト追跡結果保持手段と、前記オブジェクト追跡結果保持手段に保持された前記オブジェクト領域の動きの方向と大きさに応じて前記実空間のレイアウトを推定するレイアウト推定手段と、を有し、前記レイアウト推定手段による推定結果に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行うことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、静止と判定しないオブジェクト領域の動きの方向と大きさを保持し、保持したオブジェクト領域の動きの方向と大きさに応じて実空間のレイアウトを推定し、この推定結果に基づきオブジェクトの有無の判定を行うので、人物とそれ以外のもの(例えば、タンスや机などの家具や階段など)を区別することができ、人物が座るなどして動かなくなっても追跡を継続して行うことができる。すなわち、精度良く追跡を続けることができる。
【0016】
本発明のオブジェクト判定方法は、連続して入力された画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出ステップと、前記オブジェクト領域抽出ステップにより抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定ステップと、前記静止判定ステップにより静止と判定されたオブジェクト領域内における前記連続して入力された画像の前景割合変化を検出する前景割合変化検出ステップと、前記前景割合変化検出ステップにより検出された前景割合変化に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行う判定ステップと、を有することを特徴とする。
【0017】
上記方法によれば、連続して入力された画像からオブジェクトを含むオブジェクト領域を抽出してその領域の静止判定を行い、静止していればオブジェクト領域内における連続入力画像の前景割合変化を検出し、検出した前景割合変化に基づきオブジェクトの有無判定を行うので、オブジェクトが人物の場合で人物全体としては一定時間以上静止して背景として溶け込んでも、人物は微動することからオブジェクト領域内の連続入力画像の前景割合変化を検出することで人物の有無や状態の変化を判定でき、精度良く追跡を続けることができる。また、部屋からの退出や物陰やカメラからの死角に移動するなど人物が実際に居なくなった場合に追跡を終了することで、不正な動作を防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、背景差分処理で人物を検出・追跡を行う場合に、精度良く追跡を続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係るオブジェクト判定装置の概略構成を示すブロック図
【図2】背景画像の生成方法と背景差分の生成方法を模式的に示した図
【図3】画素数の変化の一例を示す図
【図4】人物を含むオブジェクト領域の前景割合が減少して横へずれた場合の一例を示す図
【図5】矩形の領域であるオブジェクト領域の動きの求め方を説明するための図
【図6】人物の動きによる入力画像と前景画像と前景割合の違いを示す図
【図7】人物の動きによる入力画像と前景画像と前景割合の違いを示す図
【図8】人物の動きによる入力画像と前景画像と前景割合の違いを示す図
【図9】前景画像が背景に溶け込む例を示す図
【図10】図7の場合の時間経過に伴う入力画像、背景画像及び背景差分結果の推移を示す図
【図11】図8の場合の時間経過に伴う入力画像、背景画像及び背景差分結果の推移を示す図
【図12】人物が部屋内の机のそばに座った場合の前景割合の変化を示す図
【図13】人物が部屋から出ていった場合の前景割合の変化を示す図
【図14】前景画像のオブジェクトを示す領域の減少率の一例を示す図
【図15】実施の形態1のオブジェクト判定装置に判定基準No.1を用いた場合の同装置の動作を説明するためのフローチャート
【図16】実施の形態1のオブジェクト判定装置に判定基準No.2を用いた場合の同装置の動作を説明するためのフローチャート
【図17】実施の形態1のオブジェクト判定装置に判定基準No.3を用いた場合の同装置の動作を説明するためのフローチャート
【図18】(a)リビング、(b)廊下及び(c)障害物それぞれにおける前景画像のオブジェクトを示す領域の減少率を示す図
【図19】本発明の実施の形態2に係るオブジェクト判定装置の概略構成を示すブロック図
【図20】実際のレイアウトの一例を示す図
【図21】実施の形態2のオブジェクト判定装置のレイアウト推定部による障害物検知動作を説明するための図
【図22】図20の実際のレイアウトにおけるオブジェクト領域の位置と回数をマッピングした頻度マップを示す図
【図23】図22の頻度マップから推定できる障害物を示す図
【図24】カメラからの撮影画像を示す図
【図25】図20のレイアウトにおいてオブジェクトである人物が背景画像に溶け込む可能性を示す図
【図26】本発明の実施の形態3に係るオブジェクト判定装置の概略構成を示すブロック図
【図27】図20の実際のレイアウトにおけるオブジェクト領域の動きの方向と大きさをマッピングした速度&方向マップを示す図
【図28】実際の撮影画像による速度&方向マップを示す図
【図29】所定の考えを基に推定したレイアウトの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るオブジェクト判定装置の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施の形態に係るオブジェクト判定装置1は、画像入力部2と、背景画像生成部3と、背景差分処理部4と、オブジェクト領域抽出部(オブジェクト領域抽出手段)5と、静止判定部(静止判定手段)6と、前景割合変化検出部(前景割合変化検出手段)7と、判定部(判定手段)8と、判定基準設定部9と、追跡部10とを備えて構成される。
【0022】
画像入力部2は、図示せぬカメラから出力される画像を入力し出力する。背景画像生成部3は、画像入力部2が入力した画像から背景画像を生成し出力する。背景差分処理部4は、画像入力部2が入力した画像と背景画像生成部3が生成した背景画像との差分を求めて背景差分を出力する。ここで、図2は“背景画像の生成方法”と“背景差分の生成方法”を模式的に示した図である。背景画像Imbは、画像入力部2が連続して入力した複数の画像Imの同じ位置の画素同士を比較して、一定以上の画素が同じとき(これを支配的な画素と呼ぶ)、動きのない部分として抽出することで生成される。また、背景差分Imdは、入力画像Imと背景画像Imbとの差分をとることで得られる。なお、“背景差分”を以後“前景情報”と呼ぶ。
【0023】
図1に戻り、オブジェクト領域抽出部5は、前景情報を元にして画像入力部2が連続して入力した複数の画像Imからオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出する。オブジェクトとは、例えば図2に示すように追跡対象となるもので、主に“人物100”である。また、オブジェクト領域は、例えば図2に示すように“人物100”を含む矩形の領域110でありオブジェクトと共に移動する。静止判定部6は、オブジェクト領域抽出部5により抽出されたオブジェクト領域の静止判定を行う。すなわち、オブジェクト領域の移動量が過去のフレームにおいて一定割合以内(一定ピクセル以内)の場合、オブジェクト領域が静止したと判定する。例えば、過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセル以内の場合、枠静止状態と判定する。また、過去5フレームの移動量が矩形の10%以内の場合、枠静止状態と判定する。この場合、矩形のオブジェクト領域の大きさが20×20ピクセルの場合、10%以内は縦・横各2ピクセルとなる。
【0024】
前景割合変化検出部7は、静止判定部6により静止と判定されたオブジェクト領域内における、連続して入力された画像の前景割合変化を検出する。前景割合変化は、静止と判定されたオブジェクト領域内における、連続して入力された画像の変化として検出される。オブジェクト領域内における前景割合は、一旦オブジェクト領域が止まったときに、オブジェクト領域内の背景差分の量(背景差分として検出された画素の数)を求めることで得られる。図3は、時刻t3〜時刻t6における画素数の変化の一例を示す図である。同図に示す例では、画素数は8→4→2→1と減少していっている。
【0025】
なお、減少した前景割合が横へずれた場合は静止判定を基準に処理を行うとよい。図4は、人物100を含むオブジェクト領域の前景割合が減少して横へずれた場合の一例を示す図である。少しずつの移動であれば静止判定基準により静止と判定できるので、継続的に処理できる。すなわち、少しずつ横にずれても正しく追跡することができる。例えば、過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセル以内の場合、静止状態と判定し、静止判定基準が動作している場合、横に2ピクセルずつずれたとしても静止判定処理を行う。
【0026】
また、図5は、矩形の領域であるオブジェクト領域の動きの求め方を説明するための図である。同図において、時刻t1にて背景差分で検出された画素の集まりをまとめて枠で囲む。次いで、時刻t2で時刻t1の枠と比較して枠の動きを求める。時刻t2では、時刻t1の枠を時刻t2の画像内で動かしながら画素同士を比較し、相関度が最も大きな位置を求め、枠の移動位置とする。
【0027】
オブジェクト領域の動きの他の求め方としては、時刻t1にて背景差分で検出された画素の集まりをまとめて枠で囲む。次いで、時刻t2にて背景差分で検出された画素の集まりをまとめて枠で囲む。次いで、時刻t1の枠と一番近い枠を対応させる。そして、対応した重心の差を求める。
【0028】
図6〜図8は、人物の動きによる入力画像と前景画像と前景割合の違いを示す図である。図6の(a)は、人物100が部屋200に入ってきたときの状態を示している。部屋200にはドア201が設けられており、また部屋200内には3つのタンス202と机203が置かれている。図6の(b)に示すように、前景情報(背景以外の情報)として人物100が現われている。また、人物100が立っている状態では図6の(c)に示すように、前景割合は時間の経過とともに略一定の値をとる。この場合、前景割合が一定の値をとることから、人物100の追跡は十分に可能である。
【0029】
図7の(a)は、人物100が机203のそばに座っている状態を示している。人物100が座るとほぼ動かなくなるので、図7の(b)に示すように、人物100は徐々に背景に溶け込まれていき、前景情報が抽出し難くなる。したがって、図7の(c)に示すように、前景割合は緩やかに減少していく。但し、人物100は微動するので、前景情報が図7の(c)に示すように減少した場合、人物100が居ると判断すれば、人物100の追跡は可能である。なお、図9は、前景画像が背景に溶け込む例を示す図である。この例は、1フレームに1ラインずつ背景更新を行うものである。この図に示すように更新された部分から溶け込んでいく。
【0030】
図8の(a)は、人物100が部屋200を出る状態を示している。人物100が部屋200を出ると、図8の(b)に示すように前景情報は残らない。したがって、図8の(c)に示すように、前景割合は一気に減少してゼロになる。この場合、前景割合がゼロの時点で人物100が居なくなったので、人物100の追跡はできない。
【0031】
図10は、図7の場合の時間経過に伴う入力画像、背景画像及び背景差分結果の推移を示す図である。図10において、時刻:t0は、部屋200に入ってきた人物100が机203のそばに座ったときの入力画像、背景画像及び背景差分結果である。時刻:t1、t2の各々は時刻t0後の入力画像、背景画像及び背景差分結果である。静止直後は、背景画像に人物100が溶け込んでいないため、正確な前景情報の抽出が可能になる。その後、時刻t1に示すように、机203のそばに座った人物100が時間とともに背景画像に溶け込まれていき、正確な前景情報の抽出が難しくなる。その後、時刻t2に示すように、人物100の大部分が背景に溶け込まれてしまい、正確な前景情報の抽出ができなくなる。しかしながら、人物100は若干動くためその分が前景として抽出される。
【0032】
図11は、図8の場合の時間経過に伴う入力画像、背景画像及び背景差分結果の推移を示す図である。図11において、時刻:t0は、人物100が部屋200から出るときの入力画像、背景画像及び背景差分結果である。時刻:t1、t2の各々は時刻t0後の入力画像、背景画像及び背景差分結果である。人物100が部屋200から出るときは、人物100とドア201が変化するため、背景差分結果として抽出される。その後、時刻t1に示すように、部屋200から出る際の時間が長くないため、人物100が支配的な画素にならず新たな背景とならないため、背景画像は変化しない。したがって、人物100が部屋200から出た後の前景情報は何も抽出されない。その後、時刻t2に示すように、人物100が部屋200から居なくなるので、前景情報は残らない。
【0033】
図1に戻り、判定部8は、前景割合変化検出部7により検出された前景割合変化に基づきオブジェクトの有無の判定を行う。オブジェクトの有無の判定とは、前景割合が一定以下になった場合に、オブジェクトがその場に静止しているために背景に溶け込んでしまい実際には画像内に存在はするが前景割合が一定以下になった(静止状態)のか、退出や物陰に入ってしまい画像内に存在しなくなったために前景割合が一定以下になった(不可視状態)のかを判定するものである。判定基準設定部9は、判定部8で用いられる基準時間tj、閾値THjなどを設定する。オブジェクトが静止したのか、それとも存在しなくなったのかの区別は、オブジェクト領域内における前景割合を評価基準にして判定する。判定基準として、例えば以下の3つの例が挙げられる。
【0034】
判定基準No.1:前景が出現してから基準時間内に前景割合が閾値を下回った場合は不可視状態と判定する。
判定基準No.2:前景割合の減少率が所定の傾きよりも大きい場合(急激な変化の場合)に不可視状態と判定する。
判定基準No.3:前景割合が第一の閾値より小さくなってから第二の閾値より小さくなるまでの時間が一定時間より大きい場合に静止状態と判定する。
【0035】
判定基準No.1を用いる場合は判定基準設定部9で基準時間tjと閾値THjを設定する。また、判定基準No.2を用いる場合は判定基準設定部9で時刻tkと傾きTHkを設定する。また、判定基準No.3を用いる場合は判定基準設定部9で一定時間tlと2つの閾値TH1,TH2を設定する。例えば、人物が部屋内の机のそばに座った場合、前景割合は図12のグラフに示すように緩やかに減少していく。この場合、第一の閾値TH1を下回った時刻をt1、第二の閾値TH2を下回った時刻をt2とすると、t2−t1が一定時間(tl)以上であれば静止状態と判断できる。また、人物が部屋から出ていった場合は、前景割合は図13のグラフに示すように一気に減少する。この場合、前景割合の減少率が所定の傾きkよりも大きければ、静止と判断できる。
【0036】
なお、以上では矩形のオブジェクト領域を設定し、その領域における前景割合を扱うようにしたが、矩形のオブジェクト領域を設定しなくても、オブジェクトの前景情報の形状に応じた減少率を扱うようにすることも可能である。図14は、前景画像のオブジェクトを示す領域の減少率の一例を示す図である。前景画像のオブジェクトを示す領域300が緩やかに減少している。
【0037】
図1に戻り、追跡部10は、オブジェクト領域抽出部5で抽出されたオブジェクト領域と判定部8の判定結果に従い、オブジェクトの追跡を行う。
【0038】
次に、本実施の形態のオブジェクト判定装置1の動作を説明する。この動作説明においてはオブジェクトを人物とする。また、人物が静止状態か不可視状態かを判定するための判定基準として、前述した判定基準No.1、判定基準No.2又は判定基準No.3を用いる。
【0039】
(判定基準No.1を用いた動作)
図15は、判定基準No.1を用いた場合のオブジェクト判定装置1の動作を説明するためのフローチャートである。同図において、ステップS1の処理は、背景画像生成部3及び背景差分処理部4により行われ、ステップS2〜ステップS9の各処理は、オブジェクト領域抽出部5、静止判定処理部6、前景割合変化検出部7、判定部8、判定基準設定部9及び追跡部10により行われる。
【0040】
まず入力画像からオブジェクトの検出を行う(ステップS1)。オブジェクトを検出すると、検出したオブジェクトを含むオブジェクト領域の静止判定を行う(ステップS2)。例えば、前述したように過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセル以内かどうか判定し、3ピクセル以内であれば静止したと判定し、それ以外であれば移動と判定する。静止と判定するまでステップS1とステップS2の処理を繰り返す。
【0041】
オブジェクト領域が静止したと判定すると、時刻t=0を設定し(ステップS3)、オブジェクト領域の計算を行う(ステップS4)。すなわち、オブジェクトを見つけるために検出したオブジェクト領域を計算する。なお、一旦見失ったオブジェクトを再度見つける場合も同様にオブジェクト領域を計算する。オブジェクト領域を計算した後、当該オブジェクト領域における前景割合を計算する(ステップS5)。前景割合を計算した後、時刻tjを経過したかどうか判定し(ステップS6)、時刻tjを経過していなければステップS1に戻り、時刻tjを経過するまで上記ステップS1〜ステップS6の処理を繰り返す。なお、繰り返しの際にはステップS3では時刻t=0の設定は行わずに、現在の時刻をt=t+1とする。一方、時刻tjを経過すると、ステップS5で求めた前景割合が所定の閾値THjを超えるか否かを判定する(ステップS7)。求めた前景割合が所定の閾値THjを超える場合はオブジェクトが静止状態にあるとして追跡を行う(ステップS8)。これに対し、求めた前景割合が所定の閾値THj未満であれば、オブジェクトは不可視状態にあるとして追跡を行う(ステップS9)。ステップS8又はステップS9のいずれか一方の処理を終えると、本処理を終える。このように、時刻tjに前景割合が閾値THjを下回った場合に不可視状態として追跡する。
【0042】
(判定基準No.2を用いた動作)
図16は、判定基準No.2を用いた場合のオブジェクト判定装置1の動作を説明するためのフローチャートである。同図において、ステップS20の処理は、背景画像生成部3及び背景差分処理部4によって行われ、ステップS21〜ステップS29の各処理は、オブジェクト領域抽出部5、静止判定処理部6、前景割合変化検出部7、判定部8、判定基準設定部9及び追跡部10によって行われる。
【0043】
まず入力画像からオブジェクトの検出を行う(ステップS20)。オブジェクトを検出すると、検出したオブジェクトを含むオブジェクト領域の静止判定を行う(ステップS21)。例えば、過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセル以内かどうか判定し、3ピクセル以内であればオブジェクト領域が静止したと判定する。過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセルを超える場合はそれぞれが3ピクセル以内になるまでステップS20とステップS21の処理を繰り返す。
【0044】
オブジェクト領域が静止したと判定すると、時刻t=0を設定し(ステップS22)、オブジェクト領域の計算を行う(ステップS23)。すなわち、オブジェクトを見つけるために検出したオブジェクト領域を計算する。なお、一旦見失ったオブジェクトを再度見つける場合も同様にオブジェクト領域を計算する。オブジェクト領域を計算した後、当該オブジェクト領域における前景割合を計算する(ステップS24)。前景割合を計算した後、時刻tkを経過したかどうかを判定し(ステップS25)、時刻tkを経過していなければステップS20に戻り、時刻tkを経過するまで上記ステップS20〜ステップS25を繰り返す。一方、時刻tkを経過すると、計算した前景割合の変化率を求める。すなわち、前景割合の時間的変化の傾きkを計算する(ステップS26)。傾きkは、時刻t0〜tkでの前景割合の傾きつまり、(F(t0)−F(tk))/(tk−t0)として求めることができる(F(t)は時刻tでの前景割合)。次いで、計算して求めた傾きkと人物100が居るかいなかを判別するための閾値THkと比較し(ステップS27)、傾きkが閾値THkを超える場合は静止状態として追跡し(ステップS28)、傾きkが閾値THk未満の場合は不可視状態として追跡する(ステップS29)。ステップS28又はステップS29のいずれか一方の処理を終えると、本処理を終える。このように、前景割合の減少率が傾きkより大きい場合にオブジェクトが静止状態として判定し、静止状態として追跡する。
【0045】
(判定基準No.3を用いた動作)
図17は、判定基準No.3を用いた場合のオブジェクト判定装置1の動作を説明するためのフローチャートである。同図において、ステップS30の処理は、背景画像生成部3及び背景差分処理部4によって行われ、ステップS31〜ステップS41の各処理は、オブジェクト領域抽出部5、静止判定部6、前景割合変化検出部7、判定部8、判定基準設定部9及び追跡部10によって行われる。
【0046】
まず入力画像からオブジェクトの検出を行う(ステップS30)。オブジェクトを検出すると、検出したオブジェクトを含むオブジェクト領域の静止判定を行う(ステップS31)。例えば、過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセル以内かどうか判定し、3ピクセル以内であればオブジェクト領域が静止したと判定する。過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセルを超える場合はそれぞれが3ピクセル以内になるまでステップS30とステップS31の処理を繰り返す。
【0047】
オブジェクト領域が静止したと判定すると、時刻t=0を設定し(ステップS32)、オブジェクト領域の計算を行う(ステップS33)。すなわち、オブジェクトを見つけるために検出したオブジェクト領域を計算する。なお、一旦見失ったオブジェクトを再度見つける場合も同様にオブジェクト領域を計算する。オブジェクト領域を計算した後、当該オブジェクト領域における前景割合を計算する(ステップS34)。前景割合を計算した後、その時点での前景割合が閾値TH1を下回っているかを判定し(ステップS35)、下回っているようであれば初めて下回った時刻をt1として記憶し(ステップS36)、下回っていない場合はステップS37に移動する。続いて、前景割合が閾値TH2を下回っているかどうかを判定し(ステップS37)、下回っていないようであればステップS30に戻り、前景割合が閾値TH2を下回るまで上記ステップS30〜ステップS37の処理を繰り返す。なお、繰り返しの際にはステップS32では時刻t=0の設定は行わずに、現在の時刻をt=t+1とする。一方、閾値TH2を下回った場合にはその時点での時刻をt2として記憶する(ステップS38)。続いて、ステップS36とステップS38で求めたt2−t1が所定時間tlを越えるか否かを判定する(ステップS39)。t2−t1が所定時間tlを超える場合は、オブジェクトは静止状態にあるとして追跡を行う(ステップS40)。これに対し、t2−t1が所定時間tl未満であれば、オブジェクトは不可視状態にあるとして追跡を行う(ステップS41)。ステップS40又はステップS41のいずれか一方の処理を終えると、本処理を終える。このように、前景割合が第一の閾値TH1を下回ってから、第二の閾値TH2を下回るまでの時間であるt2−t1が一定時間tl以上であれば、前景割合が時間をかけてゆるやかに減少していると考えることができるため、オブジェクトは静止状態であると判定し、静止状態として追跡する。
【0048】
このように本実施の形態のオブジェクト判定装置1によれば、連続して入力された画像からオブジェクトを含むオブジェクト領域を抽出してその領域の静止判定を行い、静止していれば当該領域内における連続入力画像の前景割合変化を検出し、検出した前景割合変化に基づきオブジェクトの有無判定を行うので、オブジェクトが人物の場合で一定時間以上静止して背景として溶け込んでも、人物は微動することから連続入力画像の前景割合変化を検出することで人物の有無を判定でき、精度良く追跡を続けることができる。また、部屋からの退出など人物が実際に居なくなった場合、追跡を終了できるので、不正な動作を防止できる。すなわち、前景が存在しなくなったときは、その時点で追跡を止めればよいので、正常に機能しなくなるようなことがない。
【0049】
なお、オブジェクト領域内における前景画像のオブジェクトを示す領域(固まり)が所定の率に低下するまでの時間を調べることで、オブジェクトの種別を判定することが可能である。例えば、図18は、(a)リビング、(b)廊下及び(c)障害物それぞれにおける固まりの減少率を示す図である。オブジェクト領域が止まってから前景割合が例えば50%になるまでの時間を調べる。時刻t1<時刻t2<時刻t3として、時刻t1以内であれば“リビング”、時刻t2以内であれば“廊下”、時刻t3以内であれば“障害物”と判別する。
【0050】
また、前述した図12及び図13で示した前景割合の時間的変化を示す図を用いて大まかなレイアウト推定を行うことが可能である。例えば、静止判定とみなされたポイントが多い場合は“リビング”と推定できる。また、静止判定とみなされたポイントが少ない場合は“廊下や通路”と推定できる。また、静止判定とみなされたポイントが無い場合は“障害物”と推定できる。
【0051】
更に、上記レイアウト推定結果を使用して閾値THjを変化させることも可能である。このことを図12及び図13で示した前景割合の時間的変化を示す図を用いて説明する。時刻t1時に閾値THjより前景割合が低下した場合は移動と判定するが、その可能性が大の場合は、閾値THjを標準値よりX%(例えば30%)下げる。また、その可能性が中の場合は、閾値THjを標準値と同じにする。また、その可能性が小の場合は、閾値THjを標準値よりY%(例えば30%)上げる。
【0052】
また、時刻t2時に前景割合が閾値THjより大きい場合は静止と判定するが、その可能性が大の場合は、閾値THjを標準値よりX%(例えば30%)下げる。また、その可能性が中の場合は、閾値THjを標準値と同じにする。また、その可能性が小の場合は、閾値THを標準値よりY%(例えば30%)上げる。
【0053】
(実施の形態2)
図19は、本発明の実施の形態2に係るオブジェクト判定装置の概略構成を示すブロック図である。なお、同図において前述した実施の形態1のオブジェクト判定装置1と共通する部分には同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。
【0054】
図19において、本実施の形態に係るオブジェクト判定装置20は、画像入力部2と、背景画像生成部3と、背景差分処理部4と、オブジェクト領域抽出部5と、静止判定部6と、レイアウト推定部(レイアウト推定手段)21と、判定部8と、判定基準設定部9と、追跡部10とを備えて構成される。
【0055】
オブジェクト領域抽出部5は、連続して入力された実空間の画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出する。静止判定部6は、オブジェクト領域抽出部5により抽出されたオブジェクト領域の静止判定を行う。レイアウト推定部21は、実空間内における静止判定部6により静止と判定されたオブジェクト領域の位置と回数により実空間のレイアウトを推定する。
【0056】
ここで、図20は実際のレイアウトの一例を示す図である。同図に示すレイアウトでは、左上角部分に階段301があり、階段301の近くに小型の家具302が配置されている。また、中央から僅かに右側にテーブル303が配置されており、右上角部分には大型家具304が配置されている。レイアウト推定部21は、図21に示すように、オブジェクト領域110内のオブジェクトである人物100の足元100aの位置情報で障害物300を検知する。障害物300の周りに人物100が動作した跡310が点在している。レイアウト推定部21は長期間に亘って人物100の足元100aの位置情報を収集し、オブジェクト領域110の位置と回数により実空間のレイアウトを推定する。図22は、図20の実際のレイアウトにおけるオブジェクト領域110の位置と回数をマッピングした頻度マップ320である。数値が0(ゼロ)の領域は障害物300であると推定できる。図23は、図22の頻度マップ320から推定できる障害物300を示す図である。このようにしてレイアウト推定部21は実空間のレイアウトを推定する。
【0057】
なお、カメラからの撮影画像は、実際は図24に示すように立体的になり、このままでは平面的なレイアウトにならない。このため、レイアウト推定部21は座標変換を行って平面的なレイアウトにしている。
【0058】
図19に戻り、判定部8は、レイアウト推定部21による推定結果に基づきオブジェクトである人物100の有無の判定を行う。また、判定部8は、レイアウト推定結果を使用して閾値THを変化させる。図25は、図20のレイアウトにおいてオブジェクトである人物が背景画像に溶け込む可能性を示す図である。
(1)人物が背景画像に溶け込む可能性大の領域330で静止判定となった場合、無条件で静止状態に推移する。
(2)人物が背景画像に溶け込む可能性中の領域331で静止判定となった場合、通常の判定条件を行う。
(3)人物が背景画像に溶け込む可能性低の領域332で静止判定となった場合、無条件で移動状態に推移する。
【0059】
図19に戻り、追跡部10は、オブジェクト領域抽出部5で抽出されたオブジェクト領域と判定部8の判定結果に従い、人物100の追跡を行う。
【0060】
このように本実施の形態のオブジェクト判定装置20によれば、実空間内で静止と判定したオブジェクト領域の位置と回数により実空間のレイアウトを推定し、この推定結果に基づきオブジェクトの有無の判定を行うので、人物とそれ以外のもの(例えば、タンスや机などの家具や階段など)を区別することができ、人物が座るなどして動かなくなっても追跡することができる。特にレイアウト推定するので、更に精度良く追跡を続けることができる。
【0061】
(実施の形態3)
図26は、本発明の実施の形態3に係るオブジェクト判定装置の概略構成を示すブロック図である。なお、同図において前述した実施の形態1のオブジェクト判定装置1と共通する部分には同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。
【0062】
図26において、本実施の形態に係るオブジェクト判定装置30は、画像入力部2と、背景画像生成部3と、背景差分処理部4と、オブジェクト領域抽出部5と、静止判定部6と、オブジェクト追跡結果保持部(オブジェクト追跡結果保持手段)31と、レイアウト推定部32と、判定部8と、判定基準設定部9と、追跡部10とを備えて構成される。
【0063】
オブジェクト領域抽出部5は、連続して入力された実空間の画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出する。静止判定部6は、オブジェクト領域抽出部5により抽出されたオブジェクト領域の静止判定を行う。オブジェクト追跡結果保持部31は、静止判定部6により静止と判定されなかったオブジェクト領域の動きの方向と大きさを保持する。オブジェクト領域の動きの方向と大きさは前述した図21に示した人物100の足元100aの位置情報で障害物300を検知することで得ることができる。オブジェクト追跡結果保持部31は、長期間に亘って人物100の足元100aの位置情報を収集し、オブジェクト領域の動きの方向と大きさを保持する。図27は、図20の実際のレイアウトにおけるオブジェクト領域110の動きの方向と大きさをマッピングした速度&方向マップ400を示す図である。なお、前述したように、カメラからの撮影画像は、実際は図24に示すように立体的になり、得られる速度&方向マップは図28に示すようになる。このため、オブジェクト追跡結果保持部31は座標変換を行って平面的な速度&方向マップ400を得ている。
【0064】
図26に戻り、レイアウト推定部32は、オブジェクト追跡結果保持部31に保持されたオブジェクト領域の動きの方向と大きさに応じて実空間のレイアウトを推定する。レイアウトの推定に関して以下の考えを適応する。
【0065】
(1)通路:
速度が速い。
方向性がある。
(2)こたつやテーブル:
こたつの周りには滞留頻度が多い。
こたつの周りには方向がばらばら。
こたつの周りには速度が速い。
(3)家具や壁:頻度が無い。
【0066】
図29は、上記考えを適応して推定したレイアウトを示す図である。障害物300と、通路410と、居間411とからなるレイアウトが推定されている。
【0067】
図26に戻り、判定部8は、レイアウト推定部32による推定結果に基づきオブジェクトの有無の判定を行う。追跡部10は、オブジェクト領域抽出部5で抽出されたオブジェクト領域と判定部8の判定結果に従い、オブジェクトの追跡を行う。また、追跡部10は、追跡結果を逐次オブジェクト追跡結果保持部31へ出力する。
【0068】
このように本実施の形態のオブジェクト判定装置30によれば、静止と判定しないオブジェクト領域の動きの方向と大きさを保持し、保持したオブジェクト領域の動きの方向と大きさに応じて実空間のレイアウトを推定し、この推定結果に基づきオブジェクトの有無の判定を行うので、人物とそれ以外のもの(例えば、タンスや机などの家具や階段など)を区別することができ、人物が座るなどして動かなくなっても追跡を継続して行うことができる。特にレイアウト推定するので、更に精度良く追跡を続けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、背景差分処理で人物を検出・追跡を行う場合に、人物が一定時間以上静止して背景として溶け込んでも追跡を続けることができ、また部屋からの退出など人物が実際に居なくなっても正常に機能するといった効果を有し、監視カメラシステムなどへの適用が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1、20、30 オブジェクト判定装置
2 画像入力部
3 背景画像生成部
4 背景差分処理部
5 オブジェクト領域抽出部
6 静止判定部
7 前景割合変化検出部
8 判定部
9 判定基準設定部
10 追跡部
21、32 レイアウト推定部
31 オブジェクト追跡結果保持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的に背景画像を更新し、背景差分処理で人物を検出・追跡を行うシステムに用いて好適なオブジェクト判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動的に変化する背景でも背景差分処理ができるように、時系列の入力画像を蓄積して背景画像を更新し、人物の検出や追跡を行う方式や、追跡が一旦途切れた場合に、途切れた位置の周辺を探すことにより引き続き追跡を継続し、追跡精度を向上せる方式が案出されている。背景を生成する処理としては、例えば非特許文献1で開示されており、追跡する処理としては、例えば特許文献1で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0070201号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】C.Stauffer, W.E.L.Grimson, "Adaptive background mixture models for real-time tracking", CVPR, 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の背景差分処理で人物を検出・追跡を行うシステムにおいては、動的に背景画像を更新し、背景差分処理で人物を検出・追跡を行う場合、一定時間以上人物が静止すると人物が背景として溶け込んで検出されなくなり、追跡を再開することができないという課題がある。
【0006】
また、追跡が一旦途切れた際に、実際に人物がその周辺にいる場合はその後も正しく追跡することが可能であるが、部屋からの退出など人物が実際に居なくなった場合には正しく機能しないという課題もある。
【0007】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、背景差分処理で人物を検出・追跡を行う場合に、精度良く追跡を続けることができるオブジェクト判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のオブジェクト判定装置は、連続して入力された画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出手段と、前記オブジェクト領域抽出手段により抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定手段と、前記静止判定手段により静止と判定されたオブジェクト領域内における前記連続して入力された画像の前景割合変化を検出する前景割合変化検出手段と、前記前景割合変化検出手段により検出された前景割合変化に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行う判定手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、連続して入力された画像からオブジェクトを含むオブジェクト領域を抽出してその領域の静止判定を行い、静止していればオブジェクト領域内における連続入力画像の前景割合変化を検出し、検出した前景割合変化に基づきオブジェクトの有無判定を行うので、オブジェクトが人物の場合で人物全体としては一定時間以上静止して背景として溶け込んでも、人物は微動することからオブジェクト領域内の連続入力画像の前景割合変化を検出することで人物の有無や状態の変化を判定でき、精度良く追跡を続けることができる。また、部屋からの退出や物陰やカメラからの死角に移動するなど人物が実際に居なくなった場合に追跡を終了することで、不正な動作を防止できる。
【0010】
上記構成において、前記前景割合変化は、静止と判定された前記オブジェクト領域内における前記連続して入力された画像の前景として抽出された領域の変化として検出されることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、静止と判定したオブジェクト領域内における連続入力画像から前景として抽出された領域の変化として検出するので、オブジェクトが微動していればその有無を判定することができる。
【0012】
本発明のオブジェクト判定装置は、連続して入力された実空間の画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出手段と、前記オブジェクト領域抽出手段により抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定手段と、前記実空間内における前記静止判定手段により静止と判定されたオブジェクト領域の位置と回数により前記実空間のレイアウトを推定するレイアウト推定手段と、を有し、前記レイアウト推定手段による推定結果に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行うことを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、実空間内で静止と判定したオブジェクト領域の位置と回数により実空間のレイアウトを推定し、この推定結果に基づきオブジェクトの有無の判定を行うので、人物とそれ以外のもの(例えば、タンスや机などの家具や階段など)を区別することができ、人物が座るなどして動かなくなっても追跡することができる。すなわち、精度良く追跡を続けることができる。
【0014】
本発明のオブジェクト判定装置は、連続して入力された実空間の画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出手段と、前記オブジェクト領域抽出手段により抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定手段と、前記静止判定手段により静止と判定されなかったオブジェクト領域の動きの方向と大きさを保持するオブジェクト追跡結果保持手段と、前記オブジェクト追跡結果保持手段に保持された前記オブジェクト領域の動きの方向と大きさに応じて前記実空間のレイアウトを推定するレイアウト推定手段と、を有し、前記レイアウト推定手段による推定結果に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行うことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、静止と判定しないオブジェクト領域の動きの方向と大きさを保持し、保持したオブジェクト領域の動きの方向と大きさに応じて実空間のレイアウトを推定し、この推定結果に基づきオブジェクトの有無の判定を行うので、人物とそれ以外のもの(例えば、タンスや机などの家具や階段など)を区別することができ、人物が座るなどして動かなくなっても追跡を継続して行うことができる。すなわち、精度良く追跡を続けることができる。
【0016】
本発明のオブジェクト判定方法は、連続して入力された画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出ステップと、前記オブジェクト領域抽出ステップにより抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定ステップと、前記静止判定ステップにより静止と判定されたオブジェクト領域内における前記連続して入力された画像の前景割合変化を検出する前景割合変化検出ステップと、前記前景割合変化検出ステップにより検出された前景割合変化に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行う判定ステップと、を有することを特徴とする。
【0017】
上記方法によれば、連続して入力された画像からオブジェクトを含むオブジェクト領域を抽出してその領域の静止判定を行い、静止していればオブジェクト領域内における連続入力画像の前景割合変化を検出し、検出した前景割合変化に基づきオブジェクトの有無判定を行うので、オブジェクトが人物の場合で人物全体としては一定時間以上静止して背景として溶け込んでも、人物は微動することからオブジェクト領域内の連続入力画像の前景割合変化を検出することで人物の有無や状態の変化を判定でき、精度良く追跡を続けることができる。また、部屋からの退出や物陰やカメラからの死角に移動するなど人物が実際に居なくなった場合に追跡を終了することで、不正な動作を防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、背景差分処理で人物を検出・追跡を行う場合に、精度良く追跡を続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係るオブジェクト判定装置の概略構成を示すブロック図
【図2】背景画像の生成方法と背景差分の生成方法を模式的に示した図
【図3】画素数の変化の一例を示す図
【図4】人物を含むオブジェクト領域の前景割合が減少して横へずれた場合の一例を示す図
【図5】矩形の領域であるオブジェクト領域の動きの求め方を説明するための図
【図6】人物の動きによる入力画像と前景画像と前景割合の違いを示す図
【図7】人物の動きによる入力画像と前景画像と前景割合の違いを示す図
【図8】人物の動きによる入力画像と前景画像と前景割合の違いを示す図
【図9】前景画像が背景に溶け込む例を示す図
【図10】図7の場合の時間経過に伴う入力画像、背景画像及び背景差分結果の推移を示す図
【図11】図8の場合の時間経過に伴う入力画像、背景画像及び背景差分結果の推移を示す図
【図12】人物が部屋内の机のそばに座った場合の前景割合の変化を示す図
【図13】人物が部屋から出ていった場合の前景割合の変化を示す図
【図14】前景画像のオブジェクトを示す領域の減少率の一例を示す図
【図15】実施の形態1のオブジェクト判定装置に判定基準No.1を用いた場合の同装置の動作を説明するためのフローチャート
【図16】実施の形態1のオブジェクト判定装置に判定基準No.2を用いた場合の同装置の動作を説明するためのフローチャート
【図17】実施の形態1のオブジェクト判定装置に判定基準No.3を用いた場合の同装置の動作を説明するためのフローチャート
【図18】(a)リビング、(b)廊下及び(c)障害物それぞれにおける前景画像のオブジェクトを示す領域の減少率を示す図
【図19】本発明の実施の形態2に係るオブジェクト判定装置の概略構成を示すブロック図
【図20】実際のレイアウトの一例を示す図
【図21】実施の形態2のオブジェクト判定装置のレイアウト推定部による障害物検知動作を説明するための図
【図22】図20の実際のレイアウトにおけるオブジェクト領域の位置と回数をマッピングした頻度マップを示す図
【図23】図22の頻度マップから推定できる障害物を示す図
【図24】カメラからの撮影画像を示す図
【図25】図20のレイアウトにおいてオブジェクトである人物が背景画像に溶け込む可能性を示す図
【図26】本発明の実施の形態3に係るオブジェクト判定装置の概略構成を示すブロック図
【図27】図20の実際のレイアウトにおけるオブジェクト領域の動きの方向と大きさをマッピングした速度&方向マップを示す図
【図28】実際の撮影画像による速度&方向マップを示す図
【図29】所定の考えを基に推定したレイアウトの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るオブジェクト判定装置の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施の形態に係るオブジェクト判定装置1は、画像入力部2と、背景画像生成部3と、背景差分処理部4と、オブジェクト領域抽出部(オブジェクト領域抽出手段)5と、静止判定部(静止判定手段)6と、前景割合変化検出部(前景割合変化検出手段)7と、判定部(判定手段)8と、判定基準設定部9と、追跡部10とを備えて構成される。
【0022】
画像入力部2は、図示せぬカメラから出力される画像を入力し出力する。背景画像生成部3は、画像入力部2が入力した画像から背景画像を生成し出力する。背景差分処理部4は、画像入力部2が入力した画像と背景画像生成部3が生成した背景画像との差分を求めて背景差分を出力する。ここで、図2は“背景画像の生成方法”と“背景差分の生成方法”を模式的に示した図である。背景画像Imbは、画像入力部2が連続して入力した複数の画像Imの同じ位置の画素同士を比較して、一定以上の画素が同じとき(これを支配的な画素と呼ぶ)、動きのない部分として抽出することで生成される。また、背景差分Imdは、入力画像Imと背景画像Imbとの差分をとることで得られる。なお、“背景差分”を以後“前景情報”と呼ぶ。
【0023】
図1に戻り、オブジェクト領域抽出部5は、前景情報を元にして画像入力部2が連続して入力した複数の画像Imからオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出する。オブジェクトとは、例えば図2に示すように追跡対象となるもので、主に“人物100”である。また、オブジェクト領域は、例えば図2に示すように“人物100”を含む矩形の領域110でありオブジェクトと共に移動する。静止判定部6は、オブジェクト領域抽出部5により抽出されたオブジェクト領域の静止判定を行う。すなわち、オブジェクト領域の移動量が過去のフレームにおいて一定割合以内(一定ピクセル以内)の場合、オブジェクト領域が静止したと判定する。例えば、過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセル以内の場合、枠静止状態と判定する。また、過去5フレームの移動量が矩形の10%以内の場合、枠静止状態と判定する。この場合、矩形のオブジェクト領域の大きさが20×20ピクセルの場合、10%以内は縦・横各2ピクセルとなる。
【0024】
前景割合変化検出部7は、静止判定部6により静止と判定されたオブジェクト領域内における、連続して入力された画像の前景割合変化を検出する。前景割合変化は、静止と判定されたオブジェクト領域内における、連続して入力された画像の変化として検出される。オブジェクト領域内における前景割合は、一旦オブジェクト領域が止まったときに、オブジェクト領域内の背景差分の量(背景差分として検出された画素の数)を求めることで得られる。図3は、時刻t3〜時刻t6における画素数の変化の一例を示す図である。同図に示す例では、画素数は8→4→2→1と減少していっている。
【0025】
なお、減少した前景割合が横へずれた場合は静止判定を基準に処理を行うとよい。図4は、人物100を含むオブジェクト領域の前景割合が減少して横へずれた場合の一例を示す図である。少しずつの移動であれば静止判定基準により静止と判定できるので、継続的に処理できる。すなわち、少しずつ横にずれても正しく追跡することができる。例えば、過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセル以内の場合、静止状態と判定し、静止判定基準が動作している場合、横に2ピクセルずつずれたとしても静止判定処理を行う。
【0026】
また、図5は、矩形の領域であるオブジェクト領域の動きの求め方を説明するための図である。同図において、時刻t1にて背景差分で検出された画素の集まりをまとめて枠で囲む。次いで、時刻t2で時刻t1の枠と比較して枠の動きを求める。時刻t2では、時刻t1の枠を時刻t2の画像内で動かしながら画素同士を比較し、相関度が最も大きな位置を求め、枠の移動位置とする。
【0027】
オブジェクト領域の動きの他の求め方としては、時刻t1にて背景差分で検出された画素の集まりをまとめて枠で囲む。次いで、時刻t2にて背景差分で検出された画素の集まりをまとめて枠で囲む。次いで、時刻t1の枠と一番近い枠を対応させる。そして、対応した重心の差を求める。
【0028】
図6〜図8は、人物の動きによる入力画像と前景画像と前景割合の違いを示す図である。図6の(a)は、人物100が部屋200に入ってきたときの状態を示している。部屋200にはドア201が設けられており、また部屋200内には3つのタンス202と机203が置かれている。図6の(b)に示すように、前景情報(背景以外の情報)として人物100が現われている。また、人物100が立っている状態では図6の(c)に示すように、前景割合は時間の経過とともに略一定の値をとる。この場合、前景割合が一定の値をとることから、人物100の追跡は十分に可能である。
【0029】
図7の(a)は、人物100が机203のそばに座っている状態を示している。人物100が座るとほぼ動かなくなるので、図7の(b)に示すように、人物100は徐々に背景に溶け込まれていき、前景情報が抽出し難くなる。したがって、図7の(c)に示すように、前景割合は緩やかに減少していく。但し、人物100は微動するので、前景情報が図7の(c)に示すように減少した場合、人物100が居ると判断すれば、人物100の追跡は可能である。なお、図9は、前景画像が背景に溶け込む例を示す図である。この例は、1フレームに1ラインずつ背景更新を行うものである。この図に示すように更新された部分から溶け込んでいく。
【0030】
図8の(a)は、人物100が部屋200を出る状態を示している。人物100が部屋200を出ると、図8の(b)に示すように前景情報は残らない。したがって、図8の(c)に示すように、前景割合は一気に減少してゼロになる。この場合、前景割合がゼロの時点で人物100が居なくなったので、人物100の追跡はできない。
【0031】
図10は、図7の場合の時間経過に伴う入力画像、背景画像及び背景差分結果の推移を示す図である。図10において、時刻:t0は、部屋200に入ってきた人物100が机203のそばに座ったときの入力画像、背景画像及び背景差分結果である。時刻:t1、t2の各々は時刻t0後の入力画像、背景画像及び背景差分結果である。静止直後は、背景画像に人物100が溶け込んでいないため、正確な前景情報の抽出が可能になる。その後、時刻t1に示すように、机203のそばに座った人物100が時間とともに背景画像に溶け込まれていき、正確な前景情報の抽出が難しくなる。その後、時刻t2に示すように、人物100の大部分が背景に溶け込まれてしまい、正確な前景情報の抽出ができなくなる。しかしながら、人物100は若干動くためその分が前景として抽出される。
【0032】
図11は、図8の場合の時間経過に伴う入力画像、背景画像及び背景差分結果の推移を示す図である。図11において、時刻:t0は、人物100が部屋200から出るときの入力画像、背景画像及び背景差分結果である。時刻:t1、t2の各々は時刻t0後の入力画像、背景画像及び背景差分結果である。人物100が部屋200から出るときは、人物100とドア201が変化するため、背景差分結果として抽出される。その後、時刻t1に示すように、部屋200から出る際の時間が長くないため、人物100が支配的な画素にならず新たな背景とならないため、背景画像は変化しない。したがって、人物100が部屋200から出た後の前景情報は何も抽出されない。その後、時刻t2に示すように、人物100が部屋200から居なくなるので、前景情報は残らない。
【0033】
図1に戻り、判定部8は、前景割合変化検出部7により検出された前景割合変化に基づきオブジェクトの有無の判定を行う。オブジェクトの有無の判定とは、前景割合が一定以下になった場合に、オブジェクトがその場に静止しているために背景に溶け込んでしまい実際には画像内に存在はするが前景割合が一定以下になった(静止状態)のか、退出や物陰に入ってしまい画像内に存在しなくなったために前景割合が一定以下になった(不可視状態)のかを判定するものである。判定基準設定部9は、判定部8で用いられる基準時間tj、閾値THjなどを設定する。オブジェクトが静止したのか、それとも存在しなくなったのかの区別は、オブジェクト領域内における前景割合を評価基準にして判定する。判定基準として、例えば以下の3つの例が挙げられる。
【0034】
判定基準No.1:前景が出現してから基準時間内に前景割合が閾値を下回った場合は不可視状態と判定する。
判定基準No.2:前景割合の減少率が所定の傾きよりも大きい場合(急激な変化の場合)に不可視状態と判定する。
判定基準No.3:前景割合が第一の閾値より小さくなってから第二の閾値より小さくなるまでの時間が一定時間より大きい場合に静止状態と判定する。
【0035】
判定基準No.1を用いる場合は判定基準設定部9で基準時間tjと閾値THjを設定する。また、判定基準No.2を用いる場合は判定基準設定部9で時刻tkと傾きTHkを設定する。また、判定基準No.3を用いる場合は判定基準設定部9で一定時間tlと2つの閾値TH1,TH2を設定する。例えば、人物が部屋内の机のそばに座った場合、前景割合は図12のグラフに示すように緩やかに減少していく。この場合、第一の閾値TH1を下回った時刻をt1、第二の閾値TH2を下回った時刻をt2とすると、t2−t1が一定時間(tl)以上であれば静止状態と判断できる。また、人物が部屋から出ていった場合は、前景割合は図13のグラフに示すように一気に減少する。この場合、前景割合の減少率が所定の傾きkよりも大きければ、静止と判断できる。
【0036】
なお、以上では矩形のオブジェクト領域を設定し、その領域における前景割合を扱うようにしたが、矩形のオブジェクト領域を設定しなくても、オブジェクトの前景情報の形状に応じた減少率を扱うようにすることも可能である。図14は、前景画像のオブジェクトを示す領域の減少率の一例を示す図である。前景画像のオブジェクトを示す領域300が緩やかに減少している。
【0037】
図1に戻り、追跡部10は、オブジェクト領域抽出部5で抽出されたオブジェクト領域と判定部8の判定結果に従い、オブジェクトの追跡を行う。
【0038】
次に、本実施の形態のオブジェクト判定装置1の動作を説明する。この動作説明においてはオブジェクトを人物とする。また、人物が静止状態か不可視状態かを判定するための判定基準として、前述した判定基準No.1、判定基準No.2又は判定基準No.3を用いる。
【0039】
(判定基準No.1を用いた動作)
図15は、判定基準No.1を用いた場合のオブジェクト判定装置1の動作を説明するためのフローチャートである。同図において、ステップS1の処理は、背景画像生成部3及び背景差分処理部4により行われ、ステップS2〜ステップS9の各処理は、オブジェクト領域抽出部5、静止判定処理部6、前景割合変化検出部7、判定部8、判定基準設定部9及び追跡部10により行われる。
【0040】
まず入力画像からオブジェクトの検出を行う(ステップS1)。オブジェクトを検出すると、検出したオブジェクトを含むオブジェクト領域の静止判定を行う(ステップS2)。例えば、前述したように過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセル以内かどうか判定し、3ピクセル以内であれば静止したと判定し、それ以外であれば移動と判定する。静止と判定するまでステップS1とステップS2の処理を繰り返す。
【0041】
オブジェクト領域が静止したと判定すると、時刻t=0を設定し(ステップS3)、オブジェクト領域の計算を行う(ステップS4)。すなわち、オブジェクトを見つけるために検出したオブジェクト領域を計算する。なお、一旦見失ったオブジェクトを再度見つける場合も同様にオブジェクト領域を計算する。オブジェクト領域を計算した後、当該オブジェクト領域における前景割合を計算する(ステップS5)。前景割合を計算した後、時刻tjを経過したかどうか判定し(ステップS6)、時刻tjを経過していなければステップS1に戻り、時刻tjを経過するまで上記ステップS1〜ステップS6の処理を繰り返す。なお、繰り返しの際にはステップS3では時刻t=0の設定は行わずに、現在の時刻をt=t+1とする。一方、時刻tjを経過すると、ステップS5で求めた前景割合が所定の閾値THjを超えるか否かを判定する(ステップS7)。求めた前景割合が所定の閾値THjを超える場合はオブジェクトが静止状態にあるとして追跡を行う(ステップS8)。これに対し、求めた前景割合が所定の閾値THj未満であれば、オブジェクトは不可視状態にあるとして追跡を行う(ステップS9)。ステップS8又はステップS9のいずれか一方の処理を終えると、本処理を終える。このように、時刻tjに前景割合が閾値THjを下回った場合に不可視状態として追跡する。
【0042】
(判定基準No.2を用いた動作)
図16は、判定基準No.2を用いた場合のオブジェクト判定装置1の動作を説明するためのフローチャートである。同図において、ステップS20の処理は、背景画像生成部3及び背景差分処理部4によって行われ、ステップS21〜ステップS29の各処理は、オブジェクト領域抽出部5、静止判定処理部6、前景割合変化検出部7、判定部8、判定基準設定部9及び追跡部10によって行われる。
【0043】
まず入力画像からオブジェクトの検出を行う(ステップS20)。オブジェクトを検出すると、検出したオブジェクトを含むオブジェクト領域の静止判定を行う(ステップS21)。例えば、過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセル以内かどうか判定し、3ピクセル以内であればオブジェクト領域が静止したと判定する。過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセルを超える場合はそれぞれが3ピクセル以内になるまでステップS20とステップS21の処理を繰り返す。
【0044】
オブジェクト領域が静止したと判定すると、時刻t=0を設定し(ステップS22)、オブジェクト領域の計算を行う(ステップS23)。すなわち、オブジェクトを見つけるために検出したオブジェクト領域を計算する。なお、一旦見失ったオブジェクトを再度見つける場合も同様にオブジェクト領域を計算する。オブジェクト領域を計算した後、当該オブジェクト領域における前景割合を計算する(ステップS24)。前景割合を計算した後、時刻tkを経過したかどうかを判定し(ステップS25)、時刻tkを経過していなければステップS20に戻り、時刻tkを経過するまで上記ステップS20〜ステップS25を繰り返す。一方、時刻tkを経過すると、計算した前景割合の変化率を求める。すなわち、前景割合の時間的変化の傾きkを計算する(ステップS26)。傾きkは、時刻t0〜tkでの前景割合の傾きつまり、(F(t0)−F(tk))/(tk−t0)として求めることができる(F(t)は時刻tでの前景割合)。次いで、計算して求めた傾きkと人物100が居るかいなかを判別するための閾値THkと比較し(ステップS27)、傾きkが閾値THkを超える場合は静止状態として追跡し(ステップS28)、傾きkが閾値THk未満の場合は不可視状態として追跡する(ステップS29)。ステップS28又はステップS29のいずれか一方の処理を終えると、本処理を終える。このように、前景割合の減少率が傾きkより大きい場合にオブジェクトが静止状態として判定し、静止状態として追跡する。
【0045】
(判定基準No.3を用いた動作)
図17は、判定基準No.3を用いた場合のオブジェクト判定装置1の動作を説明するためのフローチャートである。同図において、ステップS30の処理は、背景画像生成部3及び背景差分処理部4によって行われ、ステップS31〜ステップS41の各処理は、オブジェクト領域抽出部5、静止判定部6、前景割合変化検出部7、判定部8、判定基準設定部9及び追跡部10によって行われる。
【0046】
まず入力画像からオブジェクトの検出を行う(ステップS30)。オブジェクトを検出すると、検出したオブジェクトを含むオブジェクト領域の静止判定を行う(ステップS31)。例えば、過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセル以内かどうか判定し、3ピクセル以内であればオブジェクト領域が静止したと判定する。過去5フレームの移動量がそれぞれ3ピクセルを超える場合はそれぞれが3ピクセル以内になるまでステップS30とステップS31の処理を繰り返す。
【0047】
オブジェクト領域が静止したと判定すると、時刻t=0を設定し(ステップS32)、オブジェクト領域の計算を行う(ステップS33)。すなわち、オブジェクトを見つけるために検出したオブジェクト領域を計算する。なお、一旦見失ったオブジェクトを再度見つける場合も同様にオブジェクト領域を計算する。オブジェクト領域を計算した後、当該オブジェクト領域における前景割合を計算する(ステップS34)。前景割合を計算した後、その時点での前景割合が閾値TH1を下回っているかを判定し(ステップS35)、下回っているようであれば初めて下回った時刻をt1として記憶し(ステップS36)、下回っていない場合はステップS37に移動する。続いて、前景割合が閾値TH2を下回っているかどうかを判定し(ステップS37)、下回っていないようであればステップS30に戻り、前景割合が閾値TH2を下回るまで上記ステップS30〜ステップS37の処理を繰り返す。なお、繰り返しの際にはステップS32では時刻t=0の設定は行わずに、現在の時刻をt=t+1とする。一方、閾値TH2を下回った場合にはその時点での時刻をt2として記憶する(ステップS38)。続いて、ステップS36とステップS38で求めたt2−t1が所定時間tlを越えるか否かを判定する(ステップS39)。t2−t1が所定時間tlを超える場合は、オブジェクトは静止状態にあるとして追跡を行う(ステップS40)。これに対し、t2−t1が所定時間tl未満であれば、オブジェクトは不可視状態にあるとして追跡を行う(ステップS41)。ステップS40又はステップS41のいずれか一方の処理を終えると、本処理を終える。このように、前景割合が第一の閾値TH1を下回ってから、第二の閾値TH2を下回るまでの時間であるt2−t1が一定時間tl以上であれば、前景割合が時間をかけてゆるやかに減少していると考えることができるため、オブジェクトは静止状態であると判定し、静止状態として追跡する。
【0048】
このように本実施の形態のオブジェクト判定装置1によれば、連続して入力された画像からオブジェクトを含むオブジェクト領域を抽出してその領域の静止判定を行い、静止していれば当該領域内における連続入力画像の前景割合変化を検出し、検出した前景割合変化に基づきオブジェクトの有無判定を行うので、オブジェクトが人物の場合で一定時間以上静止して背景として溶け込んでも、人物は微動することから連続入力画像の前景割合変化を検出することで人物の有無を判定でき、精度良く追跡を続けることができる。また、部屋からの退出など人物が実際に居なくなった場合、追跡を終了できるので、不正な動作を防止できる。すなわち、前景が存在しなくなったときは、その時点で追跡を止めればよいので、正常に機能しなくなるようなことがない。
【0049】
なお、オブジェクト領域内における前景画像のオブジェクトを示す領域(固まり)が所定の率に低下するまでの時間を調べることで、オブジェクトの種別を判定することが可能である。例えば、図18は、(a)リビング、(b)廊下及び(c)障害物それぞれにおける固まりの減少率を示す図である。オブジェクト領域が止まってから前景割合が例えば50%になるまでの時間を調べる。時刻t1<時刻t2<時刻t3として、時刻t1以内であれば“リビング”、時刻t2以内であれば“廊下”、時刻t3以内であれば“障害物”と判別する。
【0050】
また、前述した図12及び図13で示した前景割合の時間的変化を示す図を用いて大まかなレイアウト推定を行うことが可能である。例えば、静止判定とみなされたポイントが多い場合は“リビング”と推定できる。また、静止判定とみなされたポイントが少ない場合は“廊下や通路”と推定できる。また、静止判定とみなされたポイントが無い場合は“障害物”と推定できる。
【0051】
更に、上記レイアウト推定結果を使用して閾値THjを変化させることも可能である。このことを図12及び図13で示した前景割合の時間的変化を示す図を用いて説明する。時刻t1時に閾値THjより前景割合が低下した場合は移動と判定するが、その可能性が大の場合は、閾値THjを標準値よりX%(例えば30%)下げる。また、その可能性が中の場合は、閾値THjを標準値と同じにする。また、その可能性が小の場合は、閾値THjを標準値よりY%(例えば30%)上げる。
【0052】
また、時刻t2時に前景割合が閾値THjより大きい場合は静止と判定するが、その可能性が大の場合は、閾値THjを標準値よりX%(例えば30%)下げる。また、その可能性が中の場合は、閾値THjを標準値と同じにする。また、その可能性が小の場合は、閾値THを標準値よりY%(例えば30%)上げる。
【0053】
(実施の形態2)
図19は、本発明の実施の形態2に係るオブジェクト判定装置の概略構成を示すブロック図である。なお、同図において前述した実施の形態1のオブジェクト判定装置1と共通する部分には同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。
【0054】
図19において、本実施の形態に係るオブジェクト判定装置20は、画像入力部2と、背景画像生成部3と、背景差分処理部4と、オブジェクト領域抽出部5と、静止判定部6と、レイアウト推定部(レイアウト推定手段)21と、判定部8と、判定基準設定部9と、追跡部10とを備えて構成される。
【0055】
オブジェクト領域抽出部5は、連続して入力された実空間の画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出する。静止判定部6は、オブジェクト領域抽出部5により抽出されたオブジェクト領域の静止判定を行う。レイアウト推定部21は、実空間内における静止判定部6により静止と判定されたオブジェクト領域の位置と回数により実空間のレイアウトを推定する。
【0056】
ここで、図20は実際のレイアウトの一例を示す図である。同図に示すレイアウトでは、左上角部分に階段301があり、階段301の近くに小型の家具302が配置されている。また、中央から僅かに右側にテーブル303が配置されており、右上角部分には大型家具304が配置されている。レイアウト推定部21は、図21に示すように、オブジェクト領域110内のオブジェクトである人物100の足元100aの位置情報で障害物300を検知する。障害物300の周りに人物100が動作した跡310が点在している。レイアウト推定部21は長期間に亘って人物100の足元100aの位置情報を収集し、オブジェクト領域110の位置と回数により実空間のレイアウトを推定する。図22は、図20の実際のレイアウトにおけるオブジェクト領域110の位置と回数をマッピングした頻度マップ320である。数値が0(ゼロ)の領域は障害物300であると推定できる。図23は、図22の頻度マップ320から推定できる障害物300を示す図である。このようにしてレイアウト推定部21は実空間のレイアウトを推定する。
【0057】
なお、カメラからの撮影画像は、実際は図24に示すように立体的になり、このままでは平面的なレイアウトにならない。このため、レイアウト推定部21は座標変換を行って平面的なレイアウトにしている。
【0058】
図19に戻り、判定部8は、レイアウト推定部21による推定結果に基づきオブジェクトである人物100の有無の判定を行う。また、判定部8は、レイアウト推定結果を使用して閾値THを変化させる。図25は、図20のレイアウトにおいてオブジェクトである人物が背景画像に溶け込む可能性を示す図である。
(1)人物が背景画像に溶け込む可能性大の領域330で静止判定となった場合、無条件で静止状態に推移する。
(2)人物が背景画像に溶け込む可能性中の領域331で静止判定となった場合、通常の判定条件を行う。
(3)人物が背景画像に溶け込む可能性低の領域332で静止判定となった場合、無条件で移動状態に推移する。
【0059】
図19に戻り、追跡部10は、オブジェクト領域抽出部5で抽出されたオブジェクト領域と判定部8の判定結果に従い、人物100の追跡を行う。
【0060】
このように本実施の形態のオブジェクト判定装置20によれば、実空間内で静止と判定したオブジェクト領域の位置と回数により実空間のレイアウトを推定し、この推定結果に基づきオブジェクトの有無の判定を行うので、人物とそれ以外のもの(例えば、タンスや机などの家具や階段など)を区別することができ、人物が座るなどして動かなくなっても追跡することができる。特にレイアウト推定するので、更に精度良く追跡を続けることができる。
【0061】
(実施の形態3)
図26は、本発明の実施の形態3に係るオブジェクト判定装置の概略構成を示すブロック図である。なお、同図において前述した実施の形態1のオブジェクト判定装置1と共通する部分には同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。
【0062】
図26において、本実施の形態に係るオブジェクト判定装置30は、画像入力部2と、背景画像生成部3と、背景差分処理部4と、オブジェクト領域抽出部5と、静止判定部6と、オブジェクト追跡結果保持部(オブジェクト追跡結果保持手段)31と、レイアウト推定部32と、判定部8と、判定基準設定部9と、追跡部10とを備えて構成される。
【0063】
オブジェクト領域抽出部5は、連続して入力された実空間の画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出する。静止判定部6は、オブジェクト領域抽出部5により抽出されたオブジェクト領域の静止判定を行う。オブジェクト追跡結果保持部31は、静止判定部6により静止と判定されなかったオブジェクト領域の動きの方向と大きさを保持する。オブジェクト領域の動きの方向と大きさは前述した図21に示した人物100の足元100aの位置情報で障害物300を検知することで得ることができる。オブジェクト追跡結果保持部31は、長期間に亘って人物100の足元100aの位置情報を収集し、オブジェクト領域の動きの方向と大きさを保持する。図27は、図20の実際のレイアウトにおけるオブジェクト領域110の動きの方向と大きさをマッピングした速度&方向マップ400を示す図である。なお、前述したように、カメラからの撮影画像は、実際は図24に示すように立体的になり、得られる速度&方向マップは図28に示すようになる。このため、オブジェクト追跡結果保持部31は座標変換を行って平面的な速度&方向マップ400を得ている。
【0064】
図26に戻り、レイアウト推定部32は、オブジェクト追跡結果保持部31に保持されたオブジェクト領域の動きの方向と大きさに応じて実空間のレイアウトを推定する。レイアウトの推定に関して以下の考えを適応する。
【0065】
(1)通路:
速度が速い。
方向性がある。
(2)こたつやテーブル:
こたつの周りには滞留頻度が多い。
こたつの周りには方向がばらばら。
こたつの周りには速度が速い。
(3)家具や壁:頻度が無い。
【0066】
図29は、上記考えを適応して推定したレイアウトを示す図である。障害物300と、通路410と、居間411とからなるレイアウトが推定されている。
【0067】
図26に戻り、判定部8は、レイアウト推定部32による推定結果に基づきオブジェクトの有無の判定を行う。追跡部10は、オブジェクト領域抽出部5で抽出されたオブジェクト領域と判定部8の判定結果に従い、オブジェクトの追跡を行う。また、追跡部10は、追跡結果を逐次オブジェクト追跡結果保持部31へ出力する。
【0068】
このように本実施の形態のオブジェクト判定装置30によれば、静止と判定しないオブジェクト領域の動きの方向と大きさを保持し、保持したオブジェクト領域の動きの方向と大きさに応じて実空間のレイアウトを推定し、この推定結果に基づきオブジェクトの有無の判定を行うので、人物とそれ以外のもの(例えば、タンスや机などの家具や階段など)を区別することができ、人物が座るなどして動かなくなっても追跡を継続して行うことができる。特にレイアウト推定するので、更に精度良く追跡を続けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、背景差分処理で人物を検出・追跡を行う場合に、人物が一定時間以上静止して背景として溶け込んでも追跡を続けることができ、また部屋からの退出など人物が実際に居なくなっても正常に機能するといった効果を有し、監視カメラシステムなどへの適用が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1、20、30 オブジェクト判定装置
2 画像入力部
3 背景画像生成部
4 背景差分処理部
5 オブジェクト領域抽出部
6 静止判定部
7 前景割合変化検出部
8 判定部
9 判定基準設定部
10 追跡部
21、32 レイアウト推定部
31 オブジェクト追跡結果保持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して入力された画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出手段と、
前記オブジェクト領域抽出手段により抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定手段と、
前記静止判定手段により静止と判定されたオブジェクト領域内における前記連続して入力された画像の前景割合変化を検出する前景割合変化検出手段と、
前記前景割合変化検出手段により検出された前景割合変化に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行う判定手段と、
を有することを特徴とするオブジェクト判定装置。
【請求項2】
前記前景割合変化は、静止と判定された前記オブジェクト領域内における前記連続して入力された画像の前景として抽出された領域の変化として検出されることを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト判定装置。
【請求項3】
連続して入力された実空間の画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出手段と、
前記オブジェクト領域抽出手段により抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定手段と、
前記実空間内における前記静止判定手段により静止と判定されたオブジェクト領域の位置と回数により前記実空間のレイアウトを推定するレイアウト推定手段と、
を有し、前記レイアウト推定手段による推定結果に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行うことを特徴とするオブジェクト判定装置。
【請求項4】
連続して入力された実空間の画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出手段と、
前記オブジェクト領域抽出手段により抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定手段と、
前記静止判定手段により静止と判定されなかったオブジェクト領域の動きの方向と大きさを保持するオブジェクト追跡結果保持手段と、
前記オブジェクト追跡結果保持手段に保持された前記オブジェクト領域の動きの方向と大きさに応じて前記実空間のレイアウトを推定するレイアウト推定手段と、
を有し、前記レイアウト推定手段による推定結果に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行うことを特徴とするオブジェクト判定装置。
【請求項5】
連続して入力された画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出ステップと、
前記オブジェクト領域抽出ステップにより抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定ステップと、
前記静止判定ステップにより静止と判定されたオブジェクト領域内における前記連続して入力された画像の前景割合変化を検出する前景割合変化検出ステップと、
前記前景割合変化検出ステップにより検出された前景割合変化に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行う判定ステップと、
を有することを特徴とするオブジェクト判定方法。
【請求項1】
連続して入力された画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出手段と、
前記オブジェクト領域抽出手段により抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定手段と、
前記静止判定手段により静止と判定されたオブジェクト領域内における前記連続して入力された画像の前景割合変化を検出する前景割合変化検出手段と、
前記前景割合変化検出手段により検出された前景割合変化に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行う判定手段と、
を有することを特徴とするオブジェクト判定装置。
【請求項2】
前記前景割合変化は、静止と判定された前記オブジェクト領域内における前記連続して入力された画像の前景として抽出された領域の変化として検出されることを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト判定装置。
【請求項3】
連続して入力された実空間の画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出手段と、
前記オブジェクト領域抽出手段により抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定手段と、
前記実空間内における前記静止判定手段により静止と判定されたオブジェクト領域の位置と回数により前記実空間のレイアウトを推定するレイアウト推定手段と、
を有し、前記レイアウト推定手段による推定結果に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行うことを特徴とするオブジェクト判定装置。
【請求項4】
連続して入力された実空間の画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出手段と、
前記オブジェクト領域抽出手段により抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定手段と、
前記静止判定手段により静止と判定されなかったオブジェクト領域の動きの方向と大きさを保持するオブジェクト追跡結果保持手段と、
前記オブジェクト追跡結果保持手段に保持された前記オブジェクト領域の動きの方向と大きさに応じて前記実空間のレイアウトを推定するレイアウト推定手段と、
を有し、前記レイアウト推定手段による推定結果に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行うことを特徴とするオブジェクト判定装置。
【請求項5】
連続して入力された画像からオブジェクトを含む領域であるオブジェクト領域を抽出するオブジェクト領域抽出ステップと、
前記オブジェクト領域抽出ステップにより抽出された前記オブジェクト領域の静止判定を行う静止判定ステップと、
前記静止判定ステップにより静止と判定されたオブジェクト領域内における前記連続して入力された画像の前景割合変化を検出する前景割合変化検出ステップと、
前記前景割合変化検出ステップにより検出された前景割合変化に基づき前記オブジェクトの有無の判定を行う判定ステップと、
を有することを特徴とするオブジェクト判定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2011−209856(P2011−209856A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75084(P2010−75084)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]