説明

オレフィンの重合

【課題】少なくとも2種の重合触媒を用い、その少なくとも1つが鉄もしくはコバルト触媒から選ばれる、ポリオレフィンの合成のための方法において種々の且つ有用な性質を有するポリマーを製造すること。
【解決手段】その少なくとも1種が選ばれたリガンドと錯体を形成しているコバルトもしくは鉄を含有する2種もしくはそれより多い遷移金属含有活性重合触媒系を用い、1種もしくはそれより多い重合可能なオレフィンの直接の、好ましくは同時の重合により、種々のポリオレフィンの混合物を製造することができる。ポリオレフィン生成物は分子量、分子量分布、結晶度又は他の因子において異なるポリマーを有し得、それは成形用樹脂として、及びフィルムのために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
少なくとも2種の重合触媒を用い、その少なくとも1つが鉄もしくはコバルト触媒から選ばれる、ポリオレフィンの合成のための方法において種々の且つ有用な性質を有するポリマーを製造することができる。
【背景技術】
【0002】
最も多くの場合にポリオレフィンは遷移金属含有触媒系を用いる重合法により製造される。用いられるプロセス条件及び選ばれる触媒系に依存して、ポリマーは、同じモノマーから製造されるものでさえ、種々の性質を持つことができる。変わり得る性質のいくつかは分子量及び分子量分布、結晶度、融点、分枝(branching)ならびにガラス転移温度である。分子量及び分子量分布を除き、分枝は上記の他のすべての性質に影響し得る。
【0003】
鉄又はコバルトを含有するある種の遷移金属含有重合触媒がエチレン及びプロピレンの重合に特に有用であることは既知であり、例えば、1997年12月16日に出願された米国特許出願08/991372(特許文献1)及び1998年1月12日に出願された米国特許出願09/006031(特許文献2)(国際特許出願98/27124及び98/30612の「対応出願(equivalents)」)を参照されたい。例えば分子量、分子量分布、結晶度及び/又は分枝において異なる別のポリマーのブレンドが「単一の」ポリマーと比較して有利な性質を有し得ることも既知である。例えば、広い、又は二つのモードのある(bimodal)分子量分布を有するポリマーは、多くの場合、より狭い分子量分布のポリマーより容易に溶融加工(成形)され得ることが知られている。また、多くの場合、結晶性ポリマーのような熱可塑性樹脂をエラストマー性ポリマーとブレンドすることにより強化することができる。
【0004】
従って、もともとポリマーブレンドを与えるポリマーの製造法は、特にもし後の別の(そして高価な)ポリマー混合段階を避けることができたら、有用である。しかしながら、そのような重合の場合、2種の触媒が互いに妨害するか、あるいは単一のポリマーを与えるようなやり方で相互作用することに気が付くはずである。
【0005】
(ほとんどの場合に)分枝鎖状ポリエチレンを形成するエチレンの「同時」オリゴマー化及び重合の種々の報告が文献に現れており、例えば、国際特許出願90/15085、米国特許第5,753,785、5,856,610、5,686,542、5,137,994及び5,071,927号(特許文献3〜7)、C.Denger,et al,.Makromol.Chem.Rapid Commun.,vol.12,p.697−701(1991)ならびにE.A.Benham,et al.,Polymer Engineering and Science,vol.28,p.1469−1472(1988)(非特許文献1、2)を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】1997年12月16日に出願された米国特許出願08/991372号(国際特許出願98/27124の対応出願)
【特許文献2】1998年1月12日に出願された米国特許出願09/006031号(国際特許出願98/30612の対応出願)
【特許文献3】米国特許第5,753,785号明細書
【特許文献4】米国特許第5,856,610号明細書
【特許文献5】米国特許第5,686,542号明細書
【特許文献6】米国特許第5,137,994号明細書
【特許文献7】米国特許第5,071,927号明細書
【特許文献8】米国特許出願09/005965(国際特許出願99/02472の「相当出願」)
【特許文献9】国際特許出願96/23010号
【特許文献10】ヨーロッパ特許出願第416,815号明細書
【特許文献11】米国特許第5,198,401号明細書
【特許文献12】国際特許出願97/02298号
【特許文献13】米国特許第5,324,800号明細書
【特許文献14】ヨーロッパ特許出願129,368号明細書
【特許文献15】米国特許第5,145,819号明細書
【特許文献16】ヨーロッパ特許出願485,823号明細書
【特許文献17】ヨーロッパ特許出願420,436号明細書
【特許文献18】ヨーロッパ特許出願671,404号明細書
【特許文献19】ヨーロッパ特許出願643,066号明細書
【特許文献20】国際特許出願96/13529号
【特許文献21】米国特許出願08/096668号
【特許文献22】国際特許出願98/27124号
【特許文献23】米国特許第5,096,867号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】C.Denger,et al,.Makromol.Chem.Rapid Commun.,vol.12,p.697−701(1991)
【非特許文献2】E.A.Benham,et al.,Polymer Engineering and Science,vol.28,p.1469−1472(1988)
【非特許文献3】W.Beck.,et al.,Chem.Rev.,vol.88,p.1405−1421(1988)
【非特許文献4】S.H.Strauss,Chem.Rev.,vol.93,p.927−942(1993)
【非特許文献5】B.L.Small,et.al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.120,p.7143−7144(1998)
【非特許文献6】Angew.Chem.,Int.,Ed.Engl.,vol.34,p.1143−1170(1995)
【非特許文献7】J.Boor Jr.,Ziegler−Natta Catalysts and Polymerizations,Academic Press,New York,1979
【非特許文献8】Ewen,et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.110,p.6255−6256(1988)
【非特許文献9】J.Chem.Soc.,Dalton Trans.1994,657
【非特許文献10】Journal of Organometallic Chemistry 1993,459,117−123
【非特許文献11】Macromolecules,1995,28,5399−5404
【非特許文献12】Journal of Organometallic Chemistry 1994,472,113−118
【非特許文献13】Ferdinand R.W.P.Wild,et al.,Journal of Organometallic Chemistry 1985,288,63−67
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの参照文献には本明細書の方法のいずれか又は本明細書で特許請求する分枝鎖状ホモポリエチレンのいずれかを特に記載しているものはない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、重合条件下に:(a)式:
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又は不活性官能基であり;
4及びR5はそれぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、不活性官能基又は置換ヒドロカルビルであり;
6及びR7はアリール又は置換アリールである]
のリガンドのFeもしくはCo錯体であるオレフィンのための第1の活性重合触媒;
(b)1種もしくはそれより多い遷移金属を含有するオレフィンのための第2の活性重合触媒;
(c)該第1の活性重合触媒により重合することができる少なくとも1種の第1のオレフィン;ならびに
(d)該第2の活性重合触媒により重合することができる少なくとも1種の第2のオレフィンを接触させることを含んでなる、オレフィンの重合法に関する。
【0012】
本発明また、重合条件下に:(a)式:
【0013】
【化2】

【0014】
[式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又は不活性官能基であり;
4及びR5はそれぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、不活性官能基又は置換ヒドロカルビルであり;
6及びR7はアリール又は置換アリールである]
のリガンドのFeもしくはCo錯体であるオレフィンのための第1の活性重合触媒;
(b)1種もしくはそれより多い遷移金属を含有するオレフィンのための第2の活性重合触媒;
(c)該第1の活性重合触媒により重合することができる少なくとも1種の第1のオレフィン;ならびに
(d)該第2の活性重合触媒により重合することができる少なくとも1種の第2のオレフィンを接触させることを含んでなり、
但し:
該第1のオレフィン及び該第2のオレフィンの1つもしくは両方がエチレンであり;
該第1の重合触媒及び該第2の重合触媒の1つがR60がn−アルキルである式R60CH=CH2のオリゴマーを該エチレンから生成せしめ;そして
分枝鎖状ポリオレフィンが本重合法の生成物であるオレフィンの重合法に関する。
【0015】
本発明はまた、(a)式:
【0016】
【化3】

【0017】
[式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又は不活性官能基であり;
4及びR5はそれぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、不活性官能基又は置換ヒドロカルビルであり;
6及びR7はアリール又は置換アリールである]
のリガンドのFeもしくはCo錯体である該オレフィンのための第1の活性重合触媒;
(b)1種もしくはそれより多い遷移金属を含有する該オレフィンのための第2の活性重合触媒;
(c)触媒担体;ならびに
(d)場合により(a)及び(b)の1つ又は両方のための1種もしくはそれより多くの重合触媒活性化剤を含んでなる重合触媒成分に関する。
【0018】
1000個のメチレン基当たり少なくとも2個のエチル分枝、少なくとも2個のヘキシルもしくはそれより長い分枝及び少なくとも1個のブチル分枝を含有し、但し、1000個のメチレン基当たり5個未満のメチル分枝を有するポリオレフィンも本明細書において記載する。
【0019】
本発明はまた、約20〜約150個の、nが1〜100の整数である式−(CH2CH2nHの分枝を含有し、但し、1000個のメチレン基当たり約20個未満のメチル分枝を有するポリオレフィンを包含する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に記載する重合法及び触媒組成物に、ある種の基が存在することができる。ヒドロカルビルにより、炭素及び水素のみを含有する1価の基を意味する。本明細書において置換ヒドロカルビルにより、重合触媒系の作用を妨げない1つもしくはそれより多い(型の)置換基を含有するヒドロカルビル基を意味する。いくつかの重合における適した置換基には、ハロ、エステル、ケト(オキソ)、アミノ、イミノ、カルボキシル、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィン、ホスフィナイト、チオエーテル、アミド、ニトリル及びエーテルのいくつか又は全部が含まれ得る。好ましい置換基は、ハロ、エステル、アミノ、イミノ、カルボキシル、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィン、ホスフィナイト、チオエーテルおよびアミドである。どの重合においてどの置換基が有用であるかは、いくつかの場合には1997年12月16日に出願された米国特許出願08/991372(特許文献1)及び1998年1月12日に出願された米国特許出願09/006031(特許文献2)(及び対応するそれらの国際特許出願)を参照することにより決定することができ、その両方は、引用することによりそれらの記載事項が本明細書の内容となる。アリール部分により、その自由原子価が芳香環の炭素原子にある1価の基を意味する。アリール部分は1つもしくはそれより多い芳香環を含有することができ、不活性基により置換されていることができる。フェニルによりC65−基を意味し、フェニル部分もしくは置換フェニルは1つもしくはそれより多い水素原子が置換基(ヒドロカルビルを含むことができる)により置き換えられている基である。置換フェニルのための好ましい置換基には、置換ヒドロカルビルの場合に上記で挙げたもの、ならびにヒドロカルビルが含まれる。他にことわらなければ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル及び炭素原子を含有する他のすべての基、例えばアルキルは好ましくは1〜20個の炭素原子を含有する。
【0021】
重合触媒活性化剤により、遷移金属化合物と反応して活性重合触媒を形成する化合物を意味する。好ましい重合触媒活性化剤はアルキルアルミニウム化合物、すなわちアルミニウム原子に結合した1つもしくはそれより多いアルキル基を有する化合物である。
【0022】
重合触媒成分により、それのみで、又は1種もしくはそれより多い他の化合物との反応(場合により重合させられるべきオレフィンの存在下における)の後に、オレフィンの重合を触媒する組成物を意味する。
【0023】
本明細書においては非配位イオンが挙げられ、有用である。そのようなアニオンは熟練者に周知であり、例えば、W.Beck.,et al.,Chem.Rev.,vol.88,p.1405−1421(1988)(非特許文献3)及びS.H.Strauss,Chem.Rev.,vol.93,p.927−942(1993)(非特許文献4)を参照されたく、その両方は引用することによりそれらの記載事項が本明細書の内容となる。そのような非配位アニオンの相対的配位能はこれらの参照文献に、Beckではp.1411に、そしてStraussではp.932,表IIIに記載されている。有用な非配位アニオンにはSbF6-、BAF、PF6-又はBF4-が含まれ、ここでBAFはテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートである。
【0024】
中性ルイス酸又は、その対イオンが弱く配位するアニオンであるカチオン性ルイス酸もしくはブロンステッド酸も触媒系の一部として存在する。「中性ルイス酸」により、(II)からXを引抜いて弱く配位するアニオンを形成することができるルイス酸である化合物を意味する。
【0025】
【化4】

【0026】
(II)において、MはCo又はFeであり、各Xは独立しており、且つアニオンであり、それぞれのXはX上の合計の負の電荷がMの酸化状態に等しいようなものである。中性ルイス酸は最初は帯電していない(すなわちイオン性でない)。適した中性ルイス酸にはSbF5、Ar3B(ここでArはアリールである)及びBF3が含まれる。カチオン性ルイス酸により、正の電荷を有するカチオン、例えばAg+、H+及びNa+を意味する。
【0027】
(II)がすでに金属に結合しているアルキルもしくはハイドライド基を含有していない(すなわちXがアルキルもしくはハイドライドでない)場合、中性ルイス酸又はカチオン性ルイス酸もしくはブロンステッド酸が金属をアルキル化するか、あるいは金属にハイドライドを付加する、すなわちアルキル基又はハイドライドを金属原子に結合させることもでき、あるいはアルキルもしくはハイドライド基を付加するために別の化合物が加えられる。
【0028】
金属をアルキル化することができる好ましい中性ルイス酸はアルキルアルミニウム化合物、例えばR93Al、R92AlCl、R9AlCl2及び「R9AlO」
(アルキルアルミノキサン類)から選ばれ、ここでR9は1〜25個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含有するアルキルである。適したアルキルアルミニウム化合物にはメチルアルミノキサン(一般式[MeAlO]nを有するオリゴマーである)、(C252AlCl、C25AlCl2及び[(CH32CHCH23Alが含まれる。金属Mにハイドライド基を結合させるためにNaBH4のような金属ハイドライドを用いることができる。
【0029】
(I)及び(II)に関し、好ましい式及び化合物は1997年12月16日に出願された米国特許出願08/991372(特許文献1)及び1998年1月12日に出願された米国特許出願09/006031(特許文献2)において見いだすことができ、これらの出願における好ましい群(groupings)及び化合物は本明細書においても好ましい。しかしながら、これらの出願における化合物の番号及び基(すなわちRx)の番号は本明細書における番号とは変わり得るが、それらは容易に変換可能である。これらの出願は(I)及び(II)の合成も記載している。
【0030】
(I)及び(II)からの活性重合触媒の調製の多くの異なる方法があり、その多くは1997年12月16日に出願された米国特許出願08/991372(特許文献1)及び1998年1月12日に出願された米国特許出願09/006031(特許文献2)に記載されており、そのように記載されている方法を本明細書で適用することができる。それ自身が活性重合触媒であることができる「純粋な」化合物を用いることができるか、あるいは多様な方法により活性重合触媒をその場で調製することができる。
【0031】
例えば、約−100℃〜約+200℃の温度で、X-を引抜いてWX-を形成することができる中性ルイス酸であり、但し生成するアニオンは弱く配位するアニオンである第1化合物W;あるいはその対イオンが弱く配位するアニオンであるカチオン性ルイス酸もしくはブロンステッド酸である第1化合物Wを接触させることにより、オレフィンを重合させることができる。
【0032】
どの第1活性重合触媒がどのオレフィンを、そしていかなる条件下で重合させるかも、1997年12月16日に出願された米国特許出願08/991372(特許文献1)及び1998年1月12日に出願された米国特許出願09/006031(特許文献2)において見いだすことができる。第1活性重合触媒の場合に本明細書において有用なモノマーにはエチレン及びプロピレンが含まれる。この触媒の場合に好ましいモノマーはエチレンである。
【0033】
本明細書に記載する1つの好ましい方法の場合、第1及び第2オレフィンは同じであり、そのような方法における好ましいオレフィンはすぐ上に記載したと同じである。第1及び/又は第2オレフィンは単一のオレフィンあるいはコポリマーを形成するオレフィンの混合物であることもできる。この場合も、特に第1及び第2重合触媒による重合が同時にポリマーを形成する方法においては、それらが同じであるのが好ましい。
【0034】
本明細書におけるいくつかの方法の場合、第1の活性重合触媒が該第2の活性重合触媒により重合し得ないモノマーを重合させることができ、及び/又はその逆もできる。その場合、2種の化学的に異なるポリマーを製造することができる。別の筋書きの場合、2種のモノマーが存在し、1つの重合触媒がコポリマーを製造し、他の重合触媒がホモポリマーを製造するか、あるいは種々のモノマーからのモル分率又は繰り返し単位が異なる2種のコポリマーが製造され得る。他の類似の組合わせは熟練者に明らかであろう。
【0035】
本明細書に記載する方法の他の変形の場合、重合触媒の1つはオレフィン、好ましくはエチレンのオリゴマーを作り、そのオリゴマーは式R60CH=CH2を有し、ここでR60は好ましくは偶数の炭素原子を有するn−アルキルである。該方法における他の重合触媒はこのオレフィンを、それのみで、あるいは好ましくは少なくとも1種の他のオレフィン、好ましくはエチレンと(共)重合させ、分枝鎖状ポリオレフィンを形成する。第1の活性重合−型の触媒によるオリゴマー(α−オレフィンと呼ばれることがある)の製造は、1998年1月12日に出願された米国特許出願09/005965(国際特許出願99/02472の「相当出願」)(特許文献8)及びB.L.Small,et.al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.120,p.7143−7144(1998)(非特許文献5)において見いだすことができ、そのすべては引用することによりそれらの記載事項が本明細書の内容となる。これらの参照文献はエチレンからの式R60CH=CH2の化合物の製造のために、限られた種類の(II)のような化合物の使用を記載し、従ってこのオレフィンを製造する触媒として評した。この方法の好ましい変形においては、これらの第1−型重合の1つを用いてα−オレフィンを形成し、第2の活性重合触媒はエチレンと式R60CH=CH2のオレフィンを共重合させることができる触媒、例えばチーグラー−ナッタ−型又はメタロセン−型触媒である。他の型のそのような触媒にはアミドイミデートの遷移金属錯体及びある種の(I)の鉄もしくはコバルト錯体が含まれる。ポリマーにおけるオレフィンR60CH=CH2の導入の故の分枝の量は、α−オレフィン形成重合触媒対より高級のポリマーを形成するオレフィン重合触媒の比率により制御され得る。α−オレフィン形成重合触媒の割合が高い程、分枝の量が多い。製造されるホモポリエチレンは、ほとんど分枝のないポリマーから多くの分枝を含有するポリマーまで、すなわち高度に結晶性のホモポリエチレンから非晶質のポリエチレンまでの範囲であることができる。1つの好ましい形態の場合、特に結晶性ポリエチレンが製造されている場合、該方法は気相で行われる。気相重合における多くの場合、両触媒が、重合が起こる同じ粒子に存在すると(例えば本来、担持型触媒)、α−オレフィンが特に有効に用いられる(得られるポリマー中に重合する)と思われる。非晶質もしくはわずかに結晶性であるのみのホモポリエチレンが製造されている場合、液体スラリ又は溶液中で該方法を行うことができる。
【0036】
すぐ前の節で記載した方法の変形において、新規なホモポリエチレンが製造される。この場合、「ホモポリエチレン」により、エチレンが1段階、1反応器における、あるいは同時反応による重合法に加えられる唯一の重合可能なオレフィンである重合で製造されるポリマーを意味する。しかしながら、製造されるポリマーはエチレンのみの直接の重合により作られるのではなく、エチレンとその場で製造されるα−オレフィンの共重合により作られることがわかる。製造されるポリマーは通常(末端基を除いて)式−(CH2CH2nHの分枝のみを含有し、ここでnは1000個のメチレン原子当たり1もしくはそれより多く、好ましくは1〜100、より好ましくは1〜30個のこれらの分枝である。通常ポリマー中には、ある範囲の「n」を有する分枝が存在するであろう。(合計メチル基により測定される)ポリマー中のこれらの分枝の量は、ポリマー中の1000個のメチレン基当たり好ましくは約2〜約200個、特に好ましくは約5〜約175個、より好ましくは約10〜約150個、そして特に好ましくは約20〜約150個の分枝の範囲である(測定及び計算の方法に関しては、国際特許出願96/23010(特許文献9)を参照されたい)。これらの分枝に関する他の好ましい範囲は1000個のメチレン炭素原子当たり約50〜約200個のメチル基である。これらの分枝鎖状ポリマーにおいて、1000個のメチレン基当たりそれぞれ少なくとも2個のエチル及びn−ヘキシルもしくはもっと長い分枝ならびに少なくとも1個のn−ブチルの分枝、より好ましくは1000個のメチレン基当たりそれぞれ少なくとも4個のエチル及びn−ヘキシルもしくはもっと長い分枝ならびに少なくとも2個のn−ブチルの分枝、そして特に好ましくは1000個のメチレン基当たりそれぞれ少なくとも10個のエチル及びn−ヘキシルもしくはもっと長い分枝ならびに少なくとも5個のn−ブチルの分枝があるのも好ましい(それのみで、あるいは上記の他の好ましい特徴と組み合わされて)。このホモポリエチレン中にブチル分枝より多くのエチル分枝があるのも好ましい。他の好ましいポリマーの場合(それのみで、又は上記の好ましい特徴のいずれかと組み合わされて)、1000個のメチレン基当たり20個未満のメチル分枝、より好ましくは2個未満のメチル分枝、そして特に好ましくは2個未満のメチル分枝(すべて末端基に関する修正の後)がある。
【0037】
「ホモポリエチレン」の製造のための重合の場合、単一の高分子量ポリマーのみ、すなわち少なくとも50、より好ましくは少なくとも200、そして特に好ましくは少なくとも400の平均重合度を有するポリマーが製造される。分枝鎖状ホモポリエチレンの合成は、一部には、α−オレフィンを与える触媒が多くの場合に重合速度と同等の速度でそれを行う理由で成功すると思われ、両速度は低コストのために比較的速い。
【0038】
同様に、そのような重合のための条件、特に第1の活性重合型の触媒のための条件もこれらの特許出願のすべてにおいて見いだされるであろう。簡単に記載すると、重合を行う温度は約−100℃〜約+200℃、好ましくは約−20℃〜約+80℃である。気体状オレフィンの場合に用いられる重合圧は重要ではなく、大気圧〜約275MPaかもしくはそれより高い圧力が適した範囲である。液体モノマーの場合、モノマーをニート(neat)で、あるいはモノマーのための他の液体(溶媒)で希釈して用いることができる。Wが存在する場合、W:(I)の比率は好ましくは約1もしくはそれ以上、より好ましくは、Wのみが存在する場合に(他のルイス酸触媒なし)、約10もしくはそれ以上である。これらの重合はバッチ式、セミ−バッチ式又は連続的プロセスであることができ、液体媒体中で、あるいは気相で(モノマーが必要な揮発性を有すると仮定して)行うことができる。これらの詳細も1997年12月16日に出願された米国特許出願08/991372(特許文献1)及び1998年1月12日に出願された米国特許出願09/006031(特許文献2)及び1998年1月12日に出願された米国特許出願09/005965(特許文献8)において見いだされるであろう。
【0039】
これらの重合法において、R6のための好ましい基は
【0040】
【化5】

【0041】
であり;
7のための好ましい基は
【0042】
【化6】

【0043】
であり、式中:R8及びR13はそれぞれ独立してヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又は不活性官能基であり;
9、R10、R11、R14、R15及びR16はそれぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又は不活性官能基であり;
12及びR17はそれぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又は不活性官能基であり;
但し、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17の互いに隣接するいずれか2つは一緒になって環を形成することができる。
【0044】
本明細書に記載する重合において、2種の化学的に異なる活性重合触媒が用いられる。第1の活性重合触媒は上記に詳細に記載されている。第2の活性重合触媒も第1の活性重合触媒の制限を満たし得るが、化学的に異なっていなければならない。例えば、それは存在する異なる遷移金属を有していることができ、及び/又は第1及び第2の活性重合触媒の間で構造が異なるリガンドを用いていることができる。1つの好ましい方法の場合、リガンドの型及び金属は同じであるが、リガンドがその置換基において異なる。
【0045】
単一の重合触媒が、本来の活性重合触媒の金属に配位している本来のリガンドにとって代わることができる他のリガンド、好ましくは同じ型のリガンドと一緒に加えられ、その場で2種の重合触媒を与える系は、2種の活性重合触媒の定義内に含まれる。
【0046】
しかしながら、第2の活性重合触媒として他の型の触媒を用いることもできる。例えばいわゆるチーグラー−ナッタ及び/又はメタロセン−型触媒を用いることもできる。これらの型の触媒はポリオレフィンの分野で周知であり、例えば、メタロセン−型触媒についての情報に関してAngew.Chem.,Int.,Ed.Engl.,vol.34,p.1143−1170(1995)(非特許文献6)、ヨーロッパ特許出願第416,815号(特許文献10)及び米国特許第5,198,401号(特許文献11)ならびにチーグラー−ナッタ−型触媒についての情報に関してJ.Boor Jr.,Ziegler−Natta Catalysts and Polymerizations,Academic Press,New York,1979(非特許文献7)を参照されたく、そのすべては引用することによりそれらの記載事項が本明細書の内容となる。適した後期金属遷移触媒(late metal transition catalysts)は国際特許出願96/23010(特許文献9)及び97/02298(特許文献12)において見いだされ、その両方は引用することにより記載事項が本明細書の内容となる。これらの型の触媒と第1の活性重合触媒のための有用な重合条件の多くは一致しており、従って第1及び第2の活性重合触媒を用いる重合のための条件は容易に得られ得る。第1の活性重合触媒を用いる重合にWが必要なことがあるのと同じくらい多くの場合に、「共−触媒」又は「活性化剤」がメタロセンもしくはチーグラー−ナッタ−型重合に必要である。多くの場合、アルキルアルミニウム化合物のような同じ化合物を、両方の型の重合触媒の場合に、これらの目的のために用いることができる。
【0047】
第2の重合触媒として適した触媒には、米国特許第5,324,800号(特許文献13)及びヨーロッパ特許出願129,368(特許文献14)に記載されているようなメタロセン−型触媒も含まれ;例えば、米国特許第5,145,819号(特許文献15)及びヨーロッパ特許出願485,823(特許文献16)に記載されているような架橋ビス−インデニルメタロセンが特に有利である。他の種類の適した触媒には、周知のヨーロッパ特許出願416,815(特許文献10)、420,436、671,404及び643,066(特許文献17〜19)ならびに国際特許出願91/04257に記載されているような周知の拘束された幾何形状を有する触媒が含まれる。WO 96/13529(特許文献20)に記載されている種類の遷移金属錯体も用いることができる。1998年9月1日に出願された米国特許出願08/096668(特許文献21)に記載されているようなビス(カルボキシイミドアミダートネート)(bis(carboximidamidatonates))の遷移金属錯体も有用である。
【0048】
本明細書におけるすべての触媒は、コーティングにより、あるいはまた、シリカもしくはアルミナのような固体担体にそれを結合させることにより、「不均質化(heterogenized)」されることができる(例えば、重合触媒成分の形成のために)。アルキルアルミニウム化合物のような化合物との反応により活性触媒種が生成する場合、上にアルキルアルミニウム化合物が最初にコーティングされたか、あるいはまた、それが結合している担体を遷移金属化合物(又はその前駆体)と接触させ、活性重合触媒が固体担体に「結合している」触媒系を形成する。これらの担持型触媒を有機液体中の重合において用いることができる。重合させられているオレフィンを気体として重合に加え、液体支持相が存在しないいわゆる気相重合においてそれを用いることもできる。遷移金属化合物をポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)担体のような担体上に、場合により1種もしくはそれより多いアルキルアルミニウム化合物のような他の必要な触媒成分と一緒にコーティングすることもできる。
【0049】
用いられる第1の活性重合触媒対第2の活性重合触媒のモル比は、各触媒から望まれるポリマーの比率及びプロセス条件下における各触媒の重合の相対的速度に依存するであろう。例えば、80%の結晶性ポリエチレン及び20%のゴム状ポリエチレンを含有する「強化」熱可塑性ポリエチレンを製造することが望まれ、2種の触媒の重合の速度が同じであったら、結晶性ポリエチレンを与える触媒対ゴム状ポリエチレンを与える触媒の4:1のモル比が用いられるであろう。所望の生成物が2種より多い型のポリマーを含有するべき場合、2種より多い活性重合触媒を用いることもできる。
【0050】
第1の活性重合触媒及び第2の活性重合触媒により製造されるポリマーを、直列の2つの重合容器の使用による場合のように、順に作ることができ、すなわち触媒の1つ(第1もしくは第2のいずれか)を用いる重合に他の触媒を用いる重合が続くことができる。しかしながら第1及び第2の活性重合触媒を用いる重合を同じ容器で、すなわち同時に行うのが好ましい。これは、ほとんどの場合に第1及び第2の活性重合触媒が互いに適合性であり、それらが他の触媒の存在下でそれらの独特のポリマーを製造する故に可能である。
【0051】
この方法により製造されるポリマーは、分子量及び/又は分子量分布及び/又は融点及び/又は結晶度及び/又はガラス転移温度あるいは他の因子において異なることができる。コポリマーの場合、存在するモノマーを異なる重合触媒が異なる相対的速度で重合させれば、ポリマーはコモノマーの比率において異なることができる。製造されるポリマーは成形品及び押出用樹脂として、ならびに包装の場合のようなフィルムにおいて有用である。それは向上した溶融加工性、靭性及び向上した低温特性のような利点を有し得る。
【0052】
実施例において、すべての圧力はゲージ圧である。
【0053】
実施例において、遷移金属触媒は購入したか、あるいは販売者が挙げられていない場合、製造した。ニッケル含有触媒の合成は国際特許出願96/23010(特許文献9)において見いだすことができ、コバルト及び鉄含有触媒の合成は1997年12月16日に出願された米国特許出願08/991372(特許文献1)及び1998年1月12日に出願された米国特許出願09/006031(特許文献2)において見いだされるであろう。
【0054】
実施例において、PMAO−IPはある形態のメチルアルミノキサンであり、それはトルエン中の溶液として存在しており(stay)、商業的に入手可能である。W440はAkzo Chemicals,Inc.,1 Livingston Ave.,Dobbs Ferry,NY 10522,U.S.A.から入手可能な未知の構造のチーグラー−ナッタ−型触媒である。
【実施例1】
【0055】
実施例1〜9及び比較実施例A〜E
エチレン重合一般法
触媒を反応容器中に量り込み、約20mLの蒸留されたトルエン中に溶解した。反応物を密封し、ドライボックスからフードに移した。反応物を窒素、次いでエチレンでパージした。次いでPMAO−IP(メチルアルミノキサン溶液)を容器に迅速に加え、反応物を35kPaのエチレン下に置いた。室温において、発熱からの熱を消散させるのを助けるために水浴中で反応を行った。次いでエチレンを止め、約15mLのメタノール/HCl溶液(90/10容積%)を用いて反応をクエンチングした。ポリマーが存在したら、反応物を濾過し、ポリマーをメタノール、次いでアセトンで濯ぎ、フード内で終夜乾燥した。得られるポリマーを集め、秤量した。
【0056】
下記で各重合に関し、用いる触媒を挙げる。
【0057】
実施例1
触媒1:4mg(0.006ミリモル)
【0058】
【化7】

【0059】
触媒2:ジルコノセンジクロリド、Strem Chemicalsから、カタログ#93−4002、2mg(0.006ミリモル)
【0060】
【化8】

【0061】
共−触媒:PMAO−IP;2.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの1.0mL
持続時間:4時間
ポリマー:5.322gの収量
【0062】
実施例2
触媒1:4mg(0.006ミリモル)
【0063】
【化9】

【0064】
触媒2:4mg(0.006ミリモル)
【0065】
【化10】

【0066】
共−触媒:PMAO−IP;2.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの1.0mL
持続時間:4時間
ポリマー:2.282gの収量
【0067】
実施例3
触媒1:3.5mg(0.006ミリモル)
【0068】
【化11】

【0069】
触媒2:ジルコノセンジクロリド、Strem Chemicalsから、カタログ#93−4002、2mg(0.006ミリモル)
【0070】
【化12】

【0071】
共−触媒:PMAO−IP;2.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの1.0mL
持続時間:4時間
ポリマー:3.651gの収量
【0072】
実施例4
触媒1:3.5mg(0.006ミリモル)
【0073】
【化13】

【0074】
触媒2:4mg(0.006ミリモル)
【0075】
【化14】

【0076】
共−触媒:PMAO−IP;2.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの1.0mL
持続時間:4時間
ポリマー:2.890gの収量
【0077】
実施例5
触媒1:3.5mg(0.006ミリモル)
【0078】
【化15】

【0079】
触媒2:4mg(0.006ミリモル)
【0080】
【化16】

【0081】
共−触媒:PMAO−IP;2.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの1.0mL
持続時間:4時間
ポリマー:3.926gの収量
【0082】
実施例6
触媒1:4mg(0.006ミリモル)
【0083】
【化17】

【0084】
触媒2:W440、Akzo Nobelから、2.3重量%のTi、12mg(重量%に基づいて0.006ミリモルのTi)
共−触媒:PMAO−IP;2.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの1.0mL
持続時間:4時間
ポリマー:2.643gの収量
【0085】
実施例7
触媒1:3.5mg(0.006ミリモル)
【0086】
【化18】

【0087】
触媒2:W440、Akzo Nobelから、2.3重量%のTi、12mg(重量%に基づいて0.006ミリモルのTi)
共−触媒:PMAO−IP;2.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの1.0mL
持続時間:4時間
ポリマー:2.943gの収量
【0088】
実施例8
触媒1:4mg(0.006ミリモル)
【0089】
【化19】

【0090】
触媒2:4mg(0.006ミリモル)
【0091】
【化20】

【0092】
触媒3:ジルコノセンジクロリド、Strem Chemicalsから、カタログ#93−4002、2mg(0.006ミリモル)
【0093】
【化21】

【0094】
共−触媒:PMAO−IP;3.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの1.5mL
持続時間:4時間
ポリマー:6.178gの収量
【0095】
実施例9
触媒1:3.5mg(0.006ミリモル)
【0096】
【化22】

【0097】
触媒2:4mg(0.006ミリモル)
【0098】
【化23】

【0099】
触媒3:ジルコノセンジクロリド、Strem Chemicalsから、カタログ#93−4002、2mg(0.006ミリモル)
【0100】
【化24】

【0101】
共−触媒:PMAO−IP;3.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの1.5mL
持続時間:4時間
ポリマー:4.408gの収量
【0102】
比較実施例A
触媒:ジルコノセンジクロリド、Strem Chemicalsから、カタログ#93−4002、2mg(0.006ミリモル)
【0103】
【化25】

【0104】
共−触媒:PMAO−IP;1.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの0.5mL
持続時間:4時間
ポリマー:2.936gの収量
【0105】
比較実施例B
触媒:4mg(0.006ミリモル)
【0106】
【化26】

【0107】
共−触媒:PMAO−IP;1.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの0.5mL
持続時間:4時間
ポリマー:1.053gの収量
【0108】
比較実施例C
触媒:4mg(0.006ミリモル)
【0109】
【化27】

【0110】
共−触媒:PMAO−IP;1.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの0.5mL
持続時間:4時間
ポリマー:2.614gの収量
【0111】
比較実施例D
触媒:3.5mg(0.006ミリモル)
【0112】
【化28】

【0113】
共−触媒:PMAO−IP;1.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの0.5mL
持続時間:4時間
ポリマー:2.231gの収量
【0114】
比較実施例E
触媒:W440、Akzo Nobelから、2.3重量%のTi、12mg(重量%に基づいて0.006ミリモルのTi)
【0115】
共−触媒:PMAO−IP;1.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの0.5mL
持続時間:4時間
ポリマー:0.326gの収量
【0116】
実施例10〜12
プロピレン重合一般法
触媒を反応容器中に量り込み、約20mLの蒸留されたトルエン中に溶解した。反応物を密封し、ドライボックスからフードに移した。反応物を窒素、次いでプロピレンでパージした。次いでMAOを容器に迅速に加え、反応物を35kPaのプロピレン下に置いた。0℃において、氷浴中で反応を行った。次いでプロピレンを止め、約15mLのメタノール/HCl溶液(90/10容積%)を用いて反応をクエンチングした。ポリマーが存在したら、反応物を濾過し、ポリマーをメタノール、次いでアセトンで濯ぎ、フード内で終夜乾燥した。得られるポリマーを集め、秤量した。
【0117】
実施例10
触媒1:3mg(0.006ミリモル)
【0118】
【化29】

【0119】
触媒2:ジルコノセンジクロリド、Strem Chemicalsから、カタログ#93−4002、2mg(0.006ミリモル)
【0120】
【化30】

【0121】
共−触媒:PMAO−IP;2.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの1.0mL
持続時間:5時間
ポリマー:0.471gの収量
【0122】
実施例11
触媒1:3mg(0.006ミリモル)
【0123】
【化31】

【0124】
触媒2:4mg(0.006ミリモル)
【0125】
【化32】

【0126】
共−触媒:PMAO−IP;2.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの1.0mL
持続時間:5時間
ポリマー:1.191gの収量
【0127】
実施例12
触媒1:3mg(0.006ミリモル)
【0128】
【化33】

【0129】
触媒2:W440、Akzo Nobelから、2.3重量%のTi、12mg(重量%に基づいて0.006ミリモルのTi)
【0130】
共−触媒:PMAO−IP;2.0ミリモルのAl;トルエン中の2.0Mの1.0mL
持続時間:5時間
ポリマー:0.238gの収量
【0131】
実施例13〜77及び比較実施例F〜N
これらの実施例では、化合物A〜V及び2を遷移金属化合物として用いた。
【0132】
【化34】

【0133】
化合物Aの製造に関してはB.L.Small,et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.120,p.7143−7144(1998)(非特許文献5)を参照されたい;化合物Bの製造に関してはEwen,et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.110,p.6255−6256(1988)(非特許文献8)を参照されたい;化合物Cの製造に関してはヨーロッパ特許出願416,815(特許文献10)を参照されたい;化合物Dの製造に関しては国際特許出願98/27124(特許文献22)を参照されたい;化合物Eの製造に関しては国際特許出願96/23010(特許文献9)を参照されたい;化合物G、H、I及びRはBoulder Scientific companyから購入した;化合物K、P及び2はStrem Chemicals Inc.から購入した;化合物QはAldroch Chemical Co.から入手した;化合物S、T、U及びVは1998年9月1日に出願された米国特許出願08/096668(特許文献21)に記載されている方法により製造した;化合物FはZrCl4及びアミドリチウム塩をエーテル中で終夜反応させ(J.Chem.Soc.,Dalton Trans.1994,657(非特許文献9)を参照されたい)、エーテルを除去し、ペンタン抽出してFを69%の収率で得ることにより製造した;化合物JはJournal of Organometallic Chemistry 1993,459,117−123(非特許文献10)の方法を修正することにより製造した;化合物L及びMはMacromolecules,1995,28,5399−5404(非特許文献11)及びJournal of Organometallic Chemistry 1994,472,113−118(非特許文献12)における製造に従うことにより製造した;化合物Nは米国特許第5,096,867号(特許文献23)に記載されている方法により製造した;そして化合物Oは文献の方法(Ferdinand R.W.P.Wild,et al.,Journal of Organometallic Chemistry 1985,288,63−67(非特許文献13))に従うことにより製造した。
【0134】
実施例13〜17及び比較実施例F〜G
600mLのParrR反応器を真空下で加熱し、次いで窒素下で冷ました。
ドライボックス中でHokeRシリンダーに5mLのトルエン及び表1に示す通りのある量のPMAO−IP(13.5重量%のトルエン溶液)を加えた。20mLのバイアルにエチレン(共)重合触媒及び2mLのトルエンを加えた。次いで溶液を300mLのRBフラスコにピペットで移し、続いて150mLの2,2,4−トリメチルペンタンを加えた。触媒Aを用いる場合はそのトルエン懸濁液をフラスコにシリンジで移した。フラスコにゴム隔壁(rubber septa)でキャップをした。HokeRシリンダー及びフラスコの両方をドライボックスから取り出した。窒素保護下に、遷移金属化合物溶液を反応器にカニューレで入れた。反応器を窒素で加圧し、次いで窒素を解放した。反応器を70℃に加熱し、次いで690kPaのエチレンまで2回加圧し、各回に排気し、最後に撹拌しながら970kPaまで加圧した。わずかにそれより高い圧力でMAO溶液をHokeRシリンダーから加えた。次いで反応器のエチレン圧を所望の圧力に調整した(表1)。反応混合物を、ある時間撹拌した(表1)。加熱源を除去した。エチレンを約210kPaまで排気した。反応器に1.4MPaの窒素を逆充填し(back filled)、次いで210kPaまで排気した。これを1回繰り返した。次いで反応混合物をRT(室温)に冷却した。次いで反応混合物を400mLのメタノール中にゆっくり注ぎ、続いて6mLの濃HClを加えた。RTで25分間撹拌したらポリマーを濾過し、メタノールで6回洗浄し、真空中で乾燥した。
【0135】
実施例18〜76(実施例22及び23を除く)ならびに比較実施例H〜N
シリカ担持型触媒の調製のための一般的方法:ドライボックス中で遷移金属化合物の1つ(しかしAではない)及び化合物A(ビフェニル中の0.1重量%)及びシリカ担持MAO(Alにおいて18重量%、Albermarle)を20mLのバイアル中で15mLのトルエンと混合した。バイアルを室温で45分間震盪した。固体を濾過し、5mLのトルエンで3回洗浄し、真空中で1時間乾燥した。次いでそれをドライボックスにおいてフリーザー中で保存し、同じ日に使用した。
【0136】
Harper Block反応器を用いる担持型触媒による気相エチレン重合のための一般的方法:ドライボックス中で、担持型触媒(それぞれ5.0mg又は2.0mg、15.0mgを用いた実施例20を除く)をGCバイアル中で秤量した。それらをHarper Block反応器中に入れた。反応器をドライボックスから取り出し、それに1.21MPaのエチレンを装填した。次いでそれを90℃の油浴中に1.12MPaのエチレン下で1時間置いた。反応器の温度は23分後に85℃に達し、35分後に87℃に達した。反応の残りの間、温度は87℃のままであった。(表7〜9における実施例に関する時間、温度及び圧力は注記の通りである。)エチレンを排気した。ポリマーを秤量し、次いで精製なしで1H NMR分析(TCE−d2、120℃)に供した。これらの重合の詳細を表2〜9に示す。
【0137】
表10に、選ばれた試料の生成物ポリマーの分枝分布[1,000個のメチレン(CH2)基当たりの分枝における]を示す。それは13C NMR(TCB、120℃)により決定された。分枝分布の測定法は国際特許出願96/23010(特許文献9)において見いだされる。
【0138】
すべての表において、ポリマーにおける分枝レベル、Me/1000CH2基、ポリマー中の1000個のメチレン基当たりのメチル基は、それが示されている場合は、国際特許出願96/23010に記載されている方法により測定されている。表においてPEはポリエチレンであり、TONは、重合したエチレンのモル数/重合触媒のモル数(存在する遷移金属化合物の合計)/時であり、Mnは数平均分子量であり、PDIはMw/Mnであり、ここでMwは重量平均分子量であり、Pはエチレン圧である。ポリマー中の残留α−オレフィンの量は1H NMRにより、α−オレフィンのビニル性プロトンのシグナルの測定によって見積もった。
【0139】
【表1】

【0140】
【表2】

【0141】
【表3】

【0142】
【表4】

【0143】
【表5】

【0144】
【表6】

【0145】
【表7】

【0146】
【表8】

【0147】
【表9】

【0148】
【表10】

【0149】
実施例22
ドライボックス中において、1.7mgの化合物E及び1.0mgの化合物Aをシュレンクフラスコ中で40mLのトルエンと混合した。これをドライボックスから取り出し、0℃において15分間エチレンでパージした。MAOトルエン溶液(0.64mL、13.5重量%)を注入した。混合物を0kPaのエチレン下に、0℃で12分間撹拌した。メタノール(100mL)を注入し、続いて1mLの濃HClを注入した。RTで25分間撹拌したら、白色の固体を濾過し、20mLのメタノールで6回洗浄し、真空中で乾燥した。白色の固体(2.9g)が得られた。TCE−d6中で120℃における1HNMR:44Me/1000CH2。ポリマーは有意な量のα−オレフィンを含有した。
【0150】
実施例23
ドライボックス中において、30.5mgの化合物Aを100mLのPyrexRガラスビン中で30.5gのビフェニルと混合した。これを100℃の浴中で25分間撹拌し、その間に化合物Aはビフェニル中に溶解して深緑色の溶液を形成した。溶液を冷まして固体とした。ビフェニル中の0.1重量%の化合物Aの均一な混合物が得られた。
【0151】
実施例77
600mLのParrR反応器を真空下で加熱し、次いで窒素下で冷ました。
ドライボックス中で300mLのRBフラスコに150mLの2,2,4−トリメチルペンタンを加えた。フラスコにゴム隔壁でキャップをした。フラスコをドライボックスから取り出した。窒素保護下に、2,2,4−トリメチルペンタン溶媒を反応器にカニューレで入れた。反応器を窒素で加圧し、次いで窒素を解放した。これをもう1回繰り返した。反応器を70℃に加熱した。次いでドライボックス中で160mgの担持型触媒(シリカ担持型触媒の調製の一般的方法に従うことにより調製され、それは0.0011ミリモルの化合物B、0.000057ミリモルの化合物A及び1.1ミリモルのMAOを含有した)を4mLのシクロヘキサンと混合し、長い針を用いて5mLの気密シリンジに移した。これをドライボックスから取り出し、窒素保護下で(正の窒素圧)反応器中に注入した。反応器を1.2MPaの窒素で加圧し、次いで14kPaまで解放した。これをもう1回繰り返した。撹拌下に、反応器をエチレンで1.2MPaまで加圧した。反応混合物を70℃〜97℃において60分間撹拌した。加熱源を除去した。エチレンを約210kPaまで排気した。反応器を1.4MPaの窒素で逆充填し(back filled)、140kPaまで解放した。これを2回繰り返した。溶液を300mLのメタノール中に注いだ。ポリマーを濾過し、50mLのメタノールで6回洗浄し、真空中で乾燥した。白色のポリマー(19.7g)が得られた。120℃におけるTCE−d2中での1H NMR:34Me/1000CH2
Mw=98,991;Mn=35,416(PDI=2.8)。密度:0.902g/cm3。メルトインデックス:1.03(190℃)。13CNMR(120℃、TCE−d2):合計Meは29.4であった(Me=0;Et=10.8;Pr=0.0;Bu=6.0;ヘキサン及びそれ以上=11.7)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合条件下に:(a)式:
【化1】

[式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又は不活性官能基であり;
4及びR5はそれぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、不活性官能基又は置換ヒドロカルビルであり;
6及びR7はアリール又は置換アリールである]
のリガンドのFeもしくはCo錯体であるオレフィンのための第1の活性重合触媒;
(b)1種もしくはそれより多い遷移金属を含有するオレフィンのための第2の活性重合触媒;
(c)該第1の活性重合触媒により重合することができる少なくとも1種の第1のオレフィン;ならびに
(d)該第2の活性重合触媒により重合することができる少なくとも1種の第2のオレフィンを接触させることを含み、
但し:該第1のオレフィン及び該第2のオレフィンの1つもしくは両方がエチレンであり;
該第1の重合触媒及び該第2の重合触媒の1つが、式CH2=CH−(CH2CH2nH(但し、nは1から100)のオリゴマーを該エチレンから生成せしめ;そして、分枝鎖状ポリオレフィンが本重合法の生成物であるオレフィンの重合法。
【請求項2】
該第1のオレフィン及び該第2のオレフィンがエチレンであり、他の重合可能なオレフィンを加えない請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該錯体がFe錯体であり、該第1のオレフィンがエチレンである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
該第1の重合触媒がFe錯体であり、前記オリゴマーを生成せしめる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
気相で行なわれる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(a)式:
【化2】

[式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又は不活性官能基であり;
4及びR5はそれぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、不活性官能基又は置換ヒドロカルビルであり;
6及びR7はアリール又は置換アリールである]
のリガンドのFeもしくはCo錯体であるオレフィンのための第1の活性重合触媒;
(b)1種もしくはそれより多い遷移金属を含有するオレフィンのための第2の活性重合触媒;
(c)触媒担体;ならびに
(d)場合により(a)及び(b)の1つ又は両方のための1種もしくはそれより多くの重合触媒活性化剤を含み、
但し:該第1の重合触媒及び該第2の重合触媒の1つが、式CH2=CH−(CH2CH2nH(但し、nは1から100)のオリゴマーを該エチレンから生成せしめる重合触媒成分。
【請求項7】
前記第2の活性重合触媒がチーグラー−ナッタもしくはメタロセン型重合触媒である請求項6に記載の重合触媒成分。
【請求項8】
前記担体がアルミナ、シリカ又はポリオレフィンである請求項6に記載の重合触媒成分。
【請求項9】
(d)が存在し、アルキルアルミニウム化合物である請求項6に記載の重合触媒成分。
【請求項10】
1000個のメチレン基当たり少なくとも2個のエチル分枝、少なくとも2個のn−ヘキシルかもしくはそれより長い偶数の炭素原子を有するn−アルキル基の分枝及び少なくとも1個のn−ブチル分枝を含有し、但し、1000個のメチレン基当たり5個未満のメチル分枝を有する、ホモポリエチレンであるポリオレフィン。
【請求項11】
1000個のメチレン基当たり20〜150個の、nが1〜100の整数である式−(CH2CH2nHの分枝を含有し、但し、1000個のメチレン基当たり20個未満のメチル分枝を有する、ホモポリエチレンであるポリオレフィン。
【請求項12】
1000個のメチレン基当たり5個未満のメチル基を有する請求項11に記載のポリオレフィン。

【公開番号】特開2011−32482(P2011−32482A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−229908(P2010−229908)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【分割の表示】特願2000−541216(P2000−541216)の分割
【原出願日】平成11年3月29日(1999.3.29)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】