説明

オレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な非水性液体コーティング組成物

50〜100wt%のオレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能なバインダー固形分と、0〜30wt%の少なくとも1種類の架橋剤Cと、0〜50wt%の少なくとも1種類の成分Dとからなる樹脂固形分を有する、オレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な非水性液体コーティング組成物であって、重量パーセントが100wt%まで加算され、バインダー固形分が、40〜95wt%のオレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な少なくとも1種類の成分Aと、5〜60wt%のオレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な少なくとも1種類のバインダーBとからなり、少なくとも1種類の成分Aおよび少なくとも1種類のバインダーBの重量パーセントが100wt%まで加算され、少なくとも1種類の成分Aが液体であり、かつ/または溶存態で存在しており、少なくとも1種類のバインダーBが60〜160℃の融点を有する樹脂の粒子として存在している非水性液体コーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な新規な非水性液体コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な非水性液体コーティング組成物自体は公知である。本明細書で述べるものとしては、例えば、欧州特許第0 540 884号明細書、国際公開第01/24946号パンフレット、米国特許第5,425,970号明細書および同第6,261,645号明細書より知られたような自動車クリアコートとして用いることが知られているUV硬化性クリアコーティング組成物が例示される。
【0003】
オレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能なそれ自体公知の非水性液体コーティング組成物は、オレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能なこれまでの従来の成分とは別に、オレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な特定種のバインダーをさらに含有すると改善されるということが分かっている。このようにして、例えば、同一またはやや高い適用粘度でコーティング組成物の固形分を高くし、高温でのダレ性及び前に適用したコーティング層に対する好ましい耐溶剤を改善することができる。耐溶剤性は、当該の固形分のレベルを考慮して検討される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、50〜100wt%のオレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能なバインダー固形分と、0〜30wt%の1種類以上の架橋剤Cと、0〜50wt%の1種類以上の成分Dとからなる樹脂固形分を有する、オレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な非水性液体コーティング組成物に関する。重量パーセントは100wt%まで加算され、バインダー固形分が、40〜95wt%のオレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な1種類以上の成分Aと、5〜60wt%のオレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な1種類以上のバインダーBとからなり、少なくとも1種類の成分Aおよび少なくとも1種類のバインダーBの重量パーセントが100wt%まで加算され、少なくとも1種類の成分Aが液体であり、かつ/または溶存態で存在しており、少なくとも1種類のバインダーBが60〜160℃の融点を有する樹脂の粒子として存在している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明によるコーティング組成物は液体であり、例えば、40〜100wt%、好ましくは45〜85wt%の固形分を有している。コーティング組成物の適用粘度は、例えば、20〜40秒間の範囲(DIN EN ISO 2431、DIN 4カップ、20℃に従ってフロー時間で判断)である。本発明によるコーティング組成物の固形分は、それぞれの場合において、いずれも同じ値に調整された適用粘度でバインダーBは含有しない対応する比較のコーティング組成物よりも高い。本発明によるコーティング組成物から適用され硬化されたコーティングの光学特性(外観)は、バインダーBは含有しない対応する比較のコーティング組成物から適用されたコーティングの場合によりも良いことが多い。
【0006】
本発明によるコーティング組成物の固形分は樹脂固形分と、顔料、フィラー(増量剤)および不揮発性添加剤の任意の成分とからなる。
【0007】
本発明によるコーティング組成物の樹脂含量は、50〜100、好ましくは70〜100wt%の成分AおよびBからなるバインダー固形分、0〜30wt%の1種類以上の架橋剤Cと、0〜50wt%の1種類以上の成分Dとからなり、重量パーセントは100wt%まで加算される。
【0008】
バインダー固形分が、40〜95wt%、好ましくは50〜95wt%のオレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な1種類以上の成分Aと、5〜60wt%、好ましくは5〜50wt%のオレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な少なくとも1種類以上のバインダーBとからなる。
【0009】
成分Aは、従来のバインダーA1および/または反応性希釈剤A2であり、いずれの場合も遊離基重合可能なオレフィン二重結合を有していて、液体および/または有機溶剤(混合物)に可溶である。すなわち、コーティング組成物が有機溶剤を含有する場合には、成分Aが溶存態でコーティング組成物中に存在している。
【0010】
例えば、当業者に公知の従来のバインダーと考えられる遊離基重合可能なオレフィン二重結合を有する好適なバインダーA1は遊離基重合により架橋することができる。これらのバインダーは、1分子当たり1個以上、好ましくは平均で2〜20個、特に好ましくは3〜10個の遊離基重合可能なオレフィン二重結合を含有するポリマーおよびオリゴマー等のプレポリマーである。重合可能な二重結合は、例えば、(メタ)アクリロイル、ビニル、アリル、マレエートおよび/またはフマレート基の形態で存在する。遊離基重合可能な二重結合は、(メタ)アクリロイル基の形態で存在するのが特に好ましい。かかるプレポリマーは、特に、(メタ)アクリロイル−官能基(メタ)アクリルコポリマー、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートおよびエポキシ樹脂(メタ)アクリレートが例示される。これらの化合物の数平均モル質量Mnは、例えば、500〜10,000g/モル、好ましくは500〜5000g/モルである。バインダーA1は、個別に、または組み合わせて用いてよい。
【0011】
遊離基重合可能なオレフィン二重結合とは別に、バインダーA1はまたさらに官能基、特に架橋可能な官能基も含有していてよい。バインダーA1の得られる下位群の部類は、明細書および請求項においてはバインダーA1’としてある。バインダーA1’は、さらに架橋可能な官能基を含有しないバインダーA1と組み合わせてコーティング組成物中に存在していてもよい。さらに架橋可能な官能基は、特に、縮合または付加反応により架橋可能な官能基である。特にこれに関して言及されるものとしては、水酸基が例示される。コーティング組成物がバインダーA1’を含有する場合には、バインダーA1’の架橋可能な基を補う官能基を有する少なくとも1種類の架橋剤Cも含有する。例えば、水酸基を含むバインダーA1’を含有するコーティング組成物は、架橋剤Cとして、OH−官能基バインダーに基づくコーティング系について当業者に知られた従来の架橋剤、例えば、エステル交換架橋剤、遊離またはブロック化ポリイソシアネート架橋剤、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂架橋剤および/またはトリスアルコキシカルボニルアミノトリアジン架橋剤を含有していてよい。
【0012】
バインダーA1に本明細書および特許請求の範囲で言及するとき、遊離基重合可能なオレフィン二重結合は別にして、さらなる官能基を含有しない、特に架橋可能な官能基を含有しないバインダーA1に明らかに限定されている以外は、下位群A1’のバインダーも当然のことながら含まれる。
【0013】
反応性希釈剤A2はモル質量が500g/モル未満の遊離基重合可能な低分子量化合物である。反応性希釈剤A2は、モノ−、ジ−またはポリ不飽和であってよい。モノ不飽和反応性希釈剤A2としては、(メタ)アクリル酸およびその(シクロ)アルキルエステル、マレイン酸およびそのセミエステル、酢酸ビニル、ビニルエーテル、置換ビニルウレア、スチレン、ビニルトルエンが例示される。ジ不飽和反応性希釈剤A2としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレートが例示される。ポリ不飽和反応性希釈剤A2としては、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが例示される。反応性希釈剤A2は、個別に、または組み合わせて用いてよい。
【0014】
下位群A1’の代表的な形態にあるバインダーA1と同様に、反応性希釈剤A2はまた、遊離基重合可能なオレフィン二重結合とは別に、さらに熱架橋可能な官能基を含有していてもよい。反応性希釈剤A2の得られる下位基の部類は、明細書および請求項においては反応性希釈剤A2’としてある。反応性希釈剤A2’は、さらに架橋可能な官能基を含有しない反応性希釈剤A2と組み合わせてコーティング組成物中に存在していてもよい。さらに架橋可能な官能基は、特に、縮合または付加反応により架橋可能な官能基である。特にこれに関して言及されるものとしては、水酸基が例示される。コーティング組成物が反応性希釈剤A2’を含有する場合には、反応性希釈剤A2’の架橋可能な基を補う官能基を有する少なくとも1種類の架橋剤Cも含有する。例えば、水酸基を含む反応性希釈剤A2’を含有するコーティング組成物は、架橋剤Cとして、OH−官能基バインダーに基づくコーティング系について当業者に知られた従来の架橋剤、例えば、バインダーA1’の説明に関して既に言及した架橋剤を含有していてよい。水酸基を有する反応性希釈剤A2’としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ−およびジ(メタ)アクリレートおよびトリメチロールプロパンモノ−およびジ(メタ)アクリレート等の化合物が例示される。
【0015】
反応性希釈剤A2を本明細書および特許請求の範囲で言及するとき、遊離基重合可能なオレフィン二重結合は別にして、さらなる官能基を含有しない、特に架橋可能な官能基を含有しない反応性希釈剤A2に明らかに限定されている以外は、下位群A2’の反応性希釈剤も当然のことながら含まれる。
【0016】
バインダーBは、遊離基重合可能なオレフィン二重結合を含む樹脂であり、この樹脂は、本発明によるコーティング組成物中に粒子として存在し、60〜160℃、特に80〜160℃の融点を示す。融点は、通常、シャープな融点ではなく、融点の上端は、例えば、30〜90℃と幅のある範囲である。バインダーBは、コーティング組成物に不溶または実質的に不溶であり、粒子としてその中に存在している。バインダーBは、仮に、コーティング中通常の有機溶剤に非常に僅かに溶けるとしても、溶解度は、例えば、20℃で酢酸ブチル1リットル当たり10以下、特に、5g以下である。
【0017】
特に、バインダーBは、(メタ)アクリロイル基を有する対応のポリウレタン樹脂であり、融点は60〜160℃、好ましくは80〜160℃である。
【0018】
(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂は、有機溶剤を存在させて製造され、融点の範囲の上端に融点を有する樹脂が製造できる。ただし、このやり方で得られたポリウレタン樹脂を単離またはそこから溶剤を除去する必要がある。しかしながら、(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂の製造は溶剤および後の精製操作なしに実施されるのが好ましい。融点範囲の上端に融点を有する生成物は、ようやく製造できるだけである。有機溶剤なしで製造されるポリウレタン樹脂の融点は約60〜140℃、特に80〜140℃である。
【0019】
第1の好ましい実施形態において、(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂は、1,6−ヘキサンジイソシアネートをジオール成分およびヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはヒドロキシ−C2〜C4−アルキルアクリレートとモル比x:(x−1):2で反応させることにより調製することのできるポリウレタンジ(メタ)アクリレートであり、式中、xは2〜5、好ましくは2〜4の所望の値を意味し、ジオール成分が、モル質量が62〜600の単一の(シクロ)脂肪族ジオールまたはかかる(シクロ)脂肪族ジオールの2〜4種類の組み合わせ、好ましくは2または3種類の組み合わせであり、ジオールの組み合わせの場合には、それぞれのジオールがジオール成分のジオールの少なくとも10モル%を構成している。
【0020】
ポリウレタンジ(メタ)アクリレートの製造は、有機溶剤を存在させて実施でき、このようにして調製されたポリウレタンジ(メタ)アクリレートを単離する。ポリウレタンジ(メタ)アクリレートの製造は、溶剤および後の精製操作なしで実施される。
【0021】
1,6−ヘキサンジイソシアネート、ジオール成分およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、xモルの1,6−ヘキサンジイソシアネート:(x−1)モルのジオール:2モルのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのモル比で互いに化学量論的に反応する。ここでxは2〜5、好ましくは2〜4の所望の値を意味する。
【0022】
モル質量62〜600の単一の(シクロ)脂肪族ジオールまたはかかる(シクロ)脂肪族ジオールの2〜4種類、好ましくは2〜3種類の組み合わせをジオール成分として用いる。
【0023】
ジオールの組み合わせの場合には、ジオール成分は、その構成ジオールとして導入され、またはジオール成分を構成するジオールは個別に合成へ取り込まれる。一部のジオールを混合物として、残りの部分を純粋なジオールとして取り込むことも可能である。各ジオールは、ジオール成分のジオールの少なくとも10モル%を構成する。
【0024】
単一のジオールとして、またはジオール成分の構成要素として可能な(シクロ)脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、異性体プロパン−およびブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、異性体シクロヘキサンジオール、異性体シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、トリシクロデカンジメタノールおよびダイマー脂肪アルコールが例示される。
【0025】
好ましいジオール成分は組み合わせであり、それぞれの場合で合計で100モル%となる、20〜80モル%の水素化ビスフェノールAと80〜20モル%の1,10−デカンジオール、20〜80モル%の水素化ビスフェノールAと80〜20モル%の1,6−へキサンジオール、60〜90モル%のネオペンチルグリコールと40〜10モル%の1,6−へキサンジオール、10〜90モル%のシクロヘキサンジメタノールと90〜10モル%の1,5−ペンタンジオール、ならびにそれぞれの場合で、10〜50モル%の1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオール、それぞれの場合で、10〜50モル%の1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオールおよびシクロヘキサンジメタノールの3成分の組み合わせである。
【0026】
1種類のみのヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートを用いるのが好ましい。ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、異性体ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのうち1つ、異性体ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのうち1つが例示され、いずれの場合もアクリレート化合物が好ましい。
【0027】
1,6−ヘキサンジイソシアネート、ジオール成分およびヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートは溶剤なしで反応させるのが好ましい。反応物質は、ここでは全て同時に、または2つ以上の合成段で反応させる。合成を多段で実施するときは、反応物質は、異なる順番で、同様に、連続または交互に添加してよい。例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネートは、まずヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートと、次に、ジオール成分の1種類以上のジオールと、あるいはまずジオール成分の1種類以上のジオールと次にヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートと反応させてよい。しかしながら、ジオール成分は、例えば、2つ以上の部分へ、例えば、個別のジオールへ分割してもよく、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネートを、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートとさらに反応させる前にジオール成分の一部とまず反応させて、最後に、残りの部分のジオール成分と反応させる。個別の反応物質は、それぞれの場合において、全体で、または2つ以上の部分で添加してよい。反応は発熱で、反応混合物の融点より高いが、(メタ)アクリレート二重結合の遊離基重合となる温度よりは低い温度で進行する。反応温度は例えば、60〜最大で120℃である。添加する反応物質の添加速度または量は、従って、発熱度に基づいて決まり、液体(溶融)反応混合物は、加熱または冷却により所望の温度範囲内に維持される。
【0028】
溶剤なしで反応を実施して、反応混合物を冷却すると、計算したモル質量が630以上、例えば、2000までの固体ポリウレタンジ(メタ)アクリレートが得られる。ポリウレタンジ(メタ)アクリレートは、モル質量分布を示す混合物の形態、任意でまた、1,6−ヘキサンジイソシアネート1分子とヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレート2分子の副生成物として形成される付加物との混合物と考えられる。しかしながら、ポリウレタンジ(メタ)アクリレートは、加工の必要がなく、バインダーBとして直接用いられる。その融点は、特に、80〜120℃の範囲内である。
【0029】
第2の好ましい実施形態において、(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂は、ジイソシアネート成分、ジオール成分およびヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはヒドロキシ−C2〜C4−アルキルアクリレートとモル比x:(x−1):2で反応させることにより調製することのできるポリウレタンジ(メタ)アクリレートである。ここでxは2〜5、好ましくは2〜4の所望の値である。50〜80モル%のジイソシアネート成分は、1,6−へキサンジイソシアネートおよび20〜50モル%の1種類または2種類のジイソシアネートにより形成され、それぞれ少なくとも10モル%のジイソシアネート成分を形成し、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルへキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートおよびテトラメチレンキシリレンジイソシアネートからなる群より選択される。各ジイソシアネートのモル%は100モル%まで加算される。ジオール成分は、4種類以下の異なるジオールを含み、20〜100モル%のジオール成分は、少なくとも1種類の直鎖脂肪族アルファ、オメガ−C2〜C12−ジオール、直鎖脂肪族アルファ、オメガ−C2〜C12−ジオールとは異なる0〜80モル%の少なくとも1種類の(シクロ)脂肪族ジオールにより形成される。ジオール成分の各ジオールが、ジオール成分中少なくとも10モル%を形成し、各ジオールのモル%が100モル%まで加算される。ポリウレタンジ(メタ)アクリレートの製造は、溶剤および後の精製操作なしで行われるのが好ましい。
【0030】
ジイソシアネート成分、ジオール成分およびヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートは、xモルのジイソシアネート:x−1モルのジオール:2モルのヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートのモル比で互いに化学量論的に反応する。ここでxは2〜5、好ましくは2〜4の値を表す。
【0031】
50〜80モル%のジイソシアネート成分は、1,6−へキサンジイソシアネートおよびトルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルへキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートおよびテトラメチレンキシリレンジイソシアネートからなる群より選択される20〜50モル%の1種類または2種類のジイソシアネートにより形成される。2種類のジイソシアネートを選択した場合には、各ジイソシアネートが、ジイソシアネート成分のジイソシアネートの少なくとも10モル%を形成する。合計で20〜50モル%のジイソシアネート成分を形成するジイソシアネートまたは2種類のジイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルへキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートおよびテトラメチレンキシリレンジイソシアネートから選択される。
【0032】
1〜4種類、好ましくは1〜3種類のジオールからなるジオール成分の20〜100モル%、好ましくは80〜100モル%は、少なくとも1種類の直鎖脂肪族アルファ、オメガ−C2〜C12−ジオールであり、0〜80モル%、好ましくは0〜20モル%は直鎖脂肪族アルファ、オメガ−C2〜C12−ジオール、また12を超える炭素原子を有するアルファ、オメガ−ジオールとは異なる少なくとも1種類の(シクロ)脂肪族ジオールにより形成される。ジオール成分の各ジオールは、ジオール成分内で少なくとも10モル%形成する。
【0033】
最も好ましくは、ジオール成分は、直鎖脂肪族アルファ、オメガ−C2〜C12−ジオールとは異なり、1〜4種類、好ましくは1〜3種類、特に1種類のみの直鎖脂肪族アルファ、オメガ−C2〜C12−ジオールからなる。
【0034】
ジオール成分に用いられる直鎖脂肪族アルファ、オメガ−C2〜C12−ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールが例示される。
【0035】
直鎖脂肪族アルファ、オメガ−C2〜C12−ジオールとは異なり、ジオール成分に用いられる(シクロ)脂肪族ジオールとしては、前段で挙げたプロパンジオールおよびブタンジオールの異性体とは異なるプロパンジオールおよびブタンジオールの異性体、ならびに、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、異性体シクロヘキサンジオール、異性体シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAおよびトリシクロデカンジメタノールが例示される。
【0036】
ジオール成分が2種類以上のジオールからなる場合には、ジオールは合成プロセスにおいて混合物として用いたり、ジオール成分を形成するジオールはそれぞれの場合において、合成中個別に用いてもよい。ジオールの一部を混合物として、残りの部分を純粋なジオールとして用いることも可能である。
【0037】
1種類のみのヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートを用いるのが好ましい。ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、異性体ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのうち1つ、異性体ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのうち1つが例示され、いずれの場合もアクリレート化合物が好ましい。
【0038】
ジイソシアネート成分のジイソシアネート、ジオール成分の1種類または複数種類のジオールおよびヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートは、互いに、物質中、すなわち、溶剤を存在させずに反応させるのが好ましい。反応物質は、ここでは全て同時に、または2つ以上の合成段で反応させる。合成を多段で実施するときは、反応物質は、異なる順番で、同様に、連続または交互に添加してよい。例えば、ジイソシアネート成分のジイソシアネートは、まずヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートと、次に、ジオール成分の1種類または複数種類のジオールと、あるいはまずジオール成分の1種類または複数種類のジオールと次にヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートと反応させてよい。しかしながら、ジオール成分はまた、2つ以上の部分へ、例えば、個別のジオールへ分割して、例えば、ジイソシアネートを、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートとさらに反応させる前にジオール成分の一部とまず反応させて、最後に、残りの部分のジオール成分と反応させるようにしてもよい。しかしながら、同様に、ジイソシアネート成分はまた、2つ以上の部分へ、例えば、個別のジイソシアネートへ分割して、例えば、ヒドロキシル成分をまずジイソシアネート成分の一部と、最後に、残りの部分のジイソシアネート成分と反応させるようにしてもよい。個別の反応物質は、それぞれの場合において、全体で、または2つ以上の部分で添加してよい。反応は発熱で、反応混合物の融点より高いが、(メタ)アクリレート二重結合の遊離基重合となる温度よりは低い温度で進行する。反応温度は例えば、60〜最大で120℃である。添加する反応物質の添加速度または量は、従って、発熱度に基づいて決まり、液体(溶融)反応混合物は、加熱または冷却により所望の温度範囲内に維持される。
【0039】
溶剤なしで反応を実施して、反応混合物を冷却すると、計算したモル質量が628以上、例えば、2000までの固体ポリウレタンジ(メタ)アクリレートが得られる。ポリウレタンジ(メタ)アクリレートは、モル質量分布を示す混合物の形態と考えられる。しかしながら、ポリウレタンジ(メタ)アクリレートは、加工の必要がなく、バインダーBとして直接用いられる。その融点は、特に、80〜120℃の範囲内である。
【0040】
第3の好ましい実施形態において、(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂は、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートのトリマー、1,6−ヘキサンジイソシアネート、ジオール成分およびヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはヒドロキシ−C2〜C4アルキルアクリレートをモル比1:x:x:3で反応させることにより調製することのできるポリウレタン(メタ)アクリレートである。式中、xは1〜6、好ましくは1〜3の所望の値を意味する。ジオール成分は単一の直鎖脂肪族アルファ、オメガC2〜C12ジオールまたは2〜4種類、好ましくは2〜3種類の(シクロ)脂肪族ジオールの組み合わせであり、ジオールの組み合わせの場合には、それぞれのジオールがジオールの組み合わせの少なくとも10モル%のジオールを形成し、ジオールの組み合わせが、少なくとも80モル%の少なくとも1種類の直鎖脂肪族アルファ、オメガC2〜C12ジオールからなる。ポリウレタン(メタ)アクリレートの製造は、溶剤および後の精製操作なしで行われるのが好ましい。
【0041】
(シクロ)脂肪族ジイソシアネートのトリマー、1,6−ヘキサンジイソシアネート、ジオール成分およびヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートは、1モルの(シクロ)脂肪族ジイソシアネートのトリマー:xモルの1,6−ヘキサンジイソシアネート:xモルのジオール:3モルのヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートのモル比で互いに化学量論的に反応する。ここでxは1〜6、好ましくは1〜3の値を表す。
【0042】
(シクロ)脂肪族ジイソシアネートのトリマーは、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量化により調製されるイソシアヌレートタイプのポリイソシアネートである。例えば、1,4−シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、特に、イソホロンジイソシアネート、さらに、1,6−ヘキサンジイソシアネートから誘導される適切な三量化生成物が好適である。工業的に得られるイソシアヌレートポリイソシアネートは、通常、純粋なトリマー、すなわち、3つのジイソシアネート分子から形成され、3つのNCO官能基を含むイソシアヌレートに加えて、比較的高モル質量のイソシアネート官能基副生成物を含有する。最大可能な純度の生成物を用いるのが好ましい。いずれの場合においても、工業的な品質で得られる(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体は、1モルの(シクロ)脂肪族ジイソシアネートのトリマー:xモルの1,6−へキサンジイソシアネート:xモルのジオール:3モルのヒドロキシ−C2〜C4アルキル(メタ)アクリレートのモル比での該イソシアネート官能基副生成物の含量に係らず、純粋なトリマーと見なされる。
【0043】
単一の鎖状脂肪族アルファ、オメガC2〜C12ジオールまたは2〜4種類、好ましくは2〜3種類の(シクロ)脂肪族ジオールの組み合わせをジオール成分として用いる。ジオールの組み合わせは、2〜4種類、特に、2〜3種類の鎖状脂肪族アルファ、オメガC2〜C12ジオールからなるのが好ましい。
【0044】
ジオールの組み合わせで用いることのできる単一の鎖状脂肪族アルファ、オメガ−C2〜C12ジオールまたは鎖状脂肪族アルファ、オメガC2〜C12ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールが例示される。
【0045】
ジオールの組み合わせの少なくとも80モル%を形成する少なくとも1種類の直鎖脂肪族アルファ、オメガC2〜C12ジオールに加えて、ジオールの組み合わせで用いることのできる(シクロ)脂肪族ジオールとしては、前段で挙げたプロパンとブタンジオールの異性体とは異なるプロパンとブタンジオールのさらなる異性体、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、異性体シクロヘキサンジオール、異性体シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAおよびトリシクロデカンジメタノールが例示される。
【0046】
ジオールの組み合わせの場合には、組み合わせを形成するジオールの混合物を、合成プロセスに用いることができ、ジオールの組み合わせを形成するジオールはそれぞれ合成で個別に用いられる。ジオールの一部を混合物として、残りの部分を純粋なジオールとして用いることも可能である。
【0047】
ジオールの組み合わせの場合には、好ましいジオールの組み合わせは、それぞれの場合において合計100モル%となる、10〜90モル%の1,3−プロパンジオールと90〜10モル%の1,5−ペンタンジオール、10〜90モル%の1,3−プロパンジオールと90〜10モル%の1,6−へキサンジオールおよび10〜90モル%の1,5−ペンタンジオールと90〜10モル%の1,6−へキサンジオールの組み合わせである。
【0048】
1種類のみのヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートを用いるのが好ましい。ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、異性体ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのうち1つ、異性体ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのうち1つが例示され、いずれの場合もアクリレート化合物が好ましい。
【0049】
(シクロ)脂肪族ジイソシアネートのトリマー、1,6−ヘキサンジイソシアネート、ジオール成分およびヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートは溶剤なしで反応させるのが好ましい。反応物質は、ここでは全て同時に、または2つ以上の合成段で反応させる。ヒドロキシ−C2〜C4アルキル(メタ)アクリレートまたはジオール成分および(シクロ)脂肪族ジイソシアネートのトリマーのみを互いに反応させる合成手順は避けるのが好ましい。
【0050】
合成を多段で実施するときは、反応物質は、最も異なる順番で、同じく、連続または交互に添加してよい。例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネートは、まず、水酸官能基成分の混合物と、次に、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートのトリマーと、またはイソシアネート官能基成分の混合物と、水酸官能基成分、またはイソシアネート官能成分の混合物をまずヒドロキシ−C2〜C4のアルキル(メタ)アクリレート、次に、ジオール成分と混合する。ジオールの組み合わせの場合には、ジオール成分は例えば、2つ以上の部分へ分割して、例えば、個別の(シクロ)脂肪族ジオールへ分割してもよい。個別の反応物質は、それぞれの場合において、全体で、または2つ以上の部分で添加してよい。反応は発熱で、反応混合物の融点より高いが、(メタ)アクリレート二重結合の遊離基重合となる温度よりは低い温度で進行する。反応温度は例えば、60〜最大で130℃である。添加する反応物質の添加速度または量は、従って、発熱度に基づいて決まり、液体(溶融)反応混合物は、加熱または冷却により所望の温度範囲内に維持される。
【0051】
溶剤なしで実施した反応が完了して、反応混合物を冷却したら、数平均モル質量が1,500〜4000の範囲(ゲル浸透クロマトグラフィー、固相としてジビニルベンゼンで架橋したポリスチレンゲル、液相としてテトラヒドロフラン、ポリスチレン基準で判断)の固体ポリウレタン(メタ)アクリレートが得られる。ポリウレタン(メタ)アクリレートは、加工の必要がなく、バインダーBとして直接用いられる。その融点は、特に、80〜130℃の範囲内である。
【0052】
少なくとも1種類のバインダーBがコーティング組成物中微粒子形態で存在している。レーザー回折により求められるB粒子の平均粒度は、例えば、1〜100μmである。B粒子は、固体B樹脂の研削(ミリング)により形成され、例えば、従来の粉末コート製造技術がその目的に用いられる。B粒子は、それ自体、液体コーティング組成物またはその液体構成要素へ研削粉末として攪拌されるか混合されて、例えば、ビーズミルにより、得られる懸濁液中のB粒子のさらなる湿潤研削または分配を行うことができる。
【0053】
B粒子を形成するさらなる方法としては、溶融媒体中でのバインダーBの熱溶融、冷却中および/または冷却後の続く粒子形成、特に、少なくとも1種類のバインダーBを成分A、特にバインダーA1の一部または全体に融点またはそれ以上まで、例えば、60〜160℃の温度まで加熱して溶融することが包含され、B粒子が後の冷却中および/または後の冷却後に形成される。少なくとも1種類のバインダーBの溶融媒体として用いる成分Aは、ここでは、それ自体、液体または溶存態、または有機溶剤中溶液として存在する。冷却中、完全に混合または攪拌するのが好ましい。本発明によるコーティング組成物が有機溶剤を含有している場合には、少なくとも1種類のバインダーBの溶融も、有機溶剤中で加熱により実施してもよい。後の冷却中および/または後の冷却後に進行するB粒子の形成は、溶剤自体中で、または得られる冷却していない溶液を成分Aと混合した後に進行する。熱溶融方法ならびに冷却中および/または冷却後の後の粒子形成を用いることにより、特に、平均粒度の範囲の下端が1〜50μm、特に、1〜30μmの平均粒度を有するB粒子を製造することができる。
【0054】
既述のとおり、コーティング組成物は1種類以上の架橋剤Cを含有していてよい。成分AおよびBのオレフィン二重結合の遊離基重合による硬化とは別に、少なくとも1種類の架橋剤Cを含む少なくとも1つのさらなる化学硬化機構、すなわち、オレフィン二重結合の遊離基重合とは異なる少なくとも1つの架橋機構、例えば、付加および/または縮合反応により硬化される二重硬化コーティング組成物がある。コーティング組成物が架橋剤Cを含有しない場合には、一重硬化コーティング組成物である。
【0055】
コーティング組成物は、樹脂固形分に寄与する1種類以上のさらなる成分Dを含有していてもよい。「成分D」という言い回しには、遊離基重合可能なオレフィン二重結合のない樹脂、および官能基はあるが同じく遊離基重合可能なオレフィン二重結合はない低分子量化合物が含まれる。オレフィン二重結合の遊離基重合により硬化できない、または二重硬化タイプのコーティング組成物の場合には、その他の化学的手段により硬化できない物理的乾燥樹脂が例示される。二重硬化タイプのコーティング組成物の場合には、成分Dは、例えば、成分AおよびB以外の樹脂、または実験式により定義される低分子量の化合物であってもよく、いずれの場合も少なくとも1種類の架橋剤Cと反応性のある官能基を有している。官能基としては、架橋剤Cの官能基と反応する水酸基が例示される。すなわち、水酸基の場合には、成分Dは例えば、ポリエステルポリオール等のポリマーポリオール、または水酸官能基(メタ)アクリルコポリマーおよび/または、例えば、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール等のポリオールである。ポリオールタイプの成分Dと組み合わせられる架橋剤Cとしては、エステル交換架橋剤、フリーまたはブロック化ポリイソシアネート架橋剤、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂架橋剤、および/またはトリスアルコキシカルボニルアミノトリアジン架橋剤が例示される。
【0056】
本発明によるコーティング組成物の場合には、成分AおよびBのオレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な一重硬化コーティング組成物と、さらなる化学硬化機構によりさらに硬化され、1種類以上の架橋剤Cと、タイプA1’および/またはA2’および/またはDの好適な化合物の形態の架橋剤Cの架橋相手方を含有する二重硬化コーティング組成物との間に違いがなければならない。タイプDの物理乾燥バインダーは、本発明による一重硬化および二重硬化タイプのコーティング組成物の両方に存在していてよい。成分AおよびBのオレフィン二重結合の遊離基重合により排他的に硬化可能で、成分CもDも含有しないコーティング組成物の場合には、バインダー固形分および樹脂固形分は同一である。
【0057】
本発明によるコーティング組成物は、熱硬化性コーティング組成物(熱エネルギーの供給、例えば、加熱により硬化可能)であってよい。しかしながら、コーティング組成物はUV照射により硬化可能で、任意で、さらに熱硬化性であるのが好ましい。熱硬化可能なコーティング組成物は、少なくとも1種類の熱開裂遊離基開始剤を含有するが、UV照射により硬化可能なコーティング組成物は少なくとも1種類の光開始剤を含有する。UV照射により硬化可能で、オレフィン二重結合の遊離基重合とは異なる少なくとも1つの熱架橋機構により、すなわち、縮合および/または付加反応によりさらに熱硬化可能なコーティング組成物はまた、少なくとも1種類の光開始剤も含有する。
【0058】
熱開裂遊離基開始剤としては、アゾ化合物、過酸化物化合物およびC−C−開裂開始剤が例示される。
【0059】
UV照射により、任意でさらに熱エネルギーの供給により硬化可能な本発明による好ましいコーティング組成物は、1種類以上の光開始剤を、例えば、樹脂固形分に対して0.1〜5wt%、好ましくは、0.5〜3wt%の合計比率で含有する。光開始剤としては、ベンゾインおよびその誘導体、アセトフェノンおよびその誘導体、例えば、2,2−ジアセトキシアセトフェノン、ベンゾフェノンおよびその誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、アントラキノン、1−ベンゾイルシクロヘキサノール、有機リン酸化合物、例えば、アシルホスフィンオキシドが例示される。光開始剤は、個別に、または組み合わせて用いてよい。
【0060】
B粒子は、少なくとも1種類の光開始剤またはその一部を含有していると都合がよい。既に上述した通り、例えば、光開始剤は溶融バインダーBへの添加および取り込みおよび機械的粉砕、特に研削によりB粒子に導入される。
【0061】
通常、本発明によるコーティング組成物は、有機溶剤を含有し、固形分が、例えば、40〜95wt%、有機溶剤含量が、例えば、5〜60wt%、固形分と有機溶剤含量のwt%の合計はここでは、例えば、90〜100wt%である(合計100wt%までとなるのに0〜10wt%の対応の範囲内の差は通常、揮発性添加剤によるものである)。有機溶剤は、特に従来のコーティング溶剤、例えば、グリコールエーテル、例えば、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル;グリコールエーテルエステル、例えば、エチルグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、メトキシプロピルアセテート;エステル、例えば、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、アミルアセテート;ケトン、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン;アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール;芳香族炭化水素、例えば、キシレン、ソルベッソ(Solvesso)(登録商標)100(融点が155℃〜185℃の芳香族炭化水素の混合物)、ソルベッソ(Solvesso)(登録商標)150(融点が182℃〜202℃の芳香族炭化水素の混合物)および脂肪族炭化水素である。
【0062】
既述した開始剤および任意の溶剤とは別に、コーティング組成物は、さらに従来のコーティング添加剤、例えば、阻害剤、レベリング剤、湿潤剤、抗クレーター剤、酸化防止剤および光安定剤を含有していてもよい。添加剤は、当業者に知られた従来の量で用いる。
【0063】
コーティング組成物はまた、透明な顔料、色供与および/または特殊効果供与顔料および/またはフィラーも、例えば、顔料プラスフィラー:樹脂固形分の重量比が0:1〜2:1の範囲で、含有していてもよい。好適な色供与顔料は、有機または無機性の従来のコーティング顔料である。無機または有機色供与顔料としては、二酸化チタン、酸化鉄顔料、カーボンブラック、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料およびピロロピロール顔料が例示される。特殊効果顔料としては、例えば、アルミニウム、銅またはその他金属の金属顔料、干渉顔料、例えば、金属酸化物コート金属顔料、例えば、酸化鉄コートアルミニウム、コートマイカ、例えば、二酸化チタンコートマイカ、グラファイト効果付与顔料、フレーク形態の酸化鉄、液晶顔料、コート酸化アルミニウム顔料、コート二酸化ケイ素顔料が例示される。フィラーとしては、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよびタルクが例示される。
【0064】
コーティング組成物は、クリアコートまたは透明シーリングコートとして用いてよい顔料フリーのコーティング組成物であるのが好ましい。
【0065】
コーティング組成物は、単層コーティングの製造、または多層コーティング、特に自動車本体か、自動車本体部品のいずれかにある自動車多層コーティング内の1層以上のコーティング層の製造に用いてよい。かかるコーティング層の製造は、自動車OEMコーティングまたは自動車塗り換えのときになされる。コーティング組成物は、多層コーティングの外側クリアトップコート層または透明シーリング層の製造に、特に、顔料フリーの形態で用いられる。それらは、例えば、前に適用した色供与および/または特殊効果供与の予め乾燥させたベースコート層上のクリアトップコート層の製造に用いてもよい。この場合は、微粒子バインダーBを含有しない匹敵する適用粘度で対応の高固形分の対応のクリアコートに比べて、ベースコート層に対する耐溶剤性が低いと有利である。かかる従来技術の高固形分は、タイプA2の反応性希釈剤の高比率により従来から得られている。かかる反応性希釈剤は、望ましくない耐溶剤性を示す。すなわち、既に適用された色供与および/または特殊効果供与した予め乾燥させたベースコート層を部分的に溶融することができる。
【0066】
コーティング組成物は、従来の適用方法により、特に、金属または熱安定性プラスチックスの所望の未コートまたは予備コート基材にスプレーすることにより、適用される。本発明によるコーティング組成物は、比較的高い樹脂固形分で低い適用粘度を示す。スプレー適用の場合に、工業コーティング設備において液体コーティングの適用に用いられる従来のスプレー適用ユニットを用いることができるため、これは有利である。
【0067】
適用後、コーティング層は、まず、全て短く、例えば、5〜15分間、例えば、60〜200℃の温度まで加熱する。任意で存在する揮発性成分、特に、有機溶剤は、かかる加熱中に蒸発し、B粒子が溶融して、樹脂マトリックスの一体部分となる。
【0068】
コーティング組成物が熱硬化性コーティング組成物の場合には、硬化は、該加熱中および/または中に含有される遊離基開始剤の遊離基への分離による熱エネルギーのさらなる供給およびオレフィン二重結合の遊離基重合で、そして二重硬化タイプのコーティング組成物の場合には、付加化学架橋機構により進行する。熱エネルギーのさらなる供給は、例えば、220℃までの高温へのさらなる加熱により進行する。
【0069】
UV照射により硬化可能な好ましいコーティング組成物の場合には、コーティング層が加熱されたら、硬化の目的でUV放射線により照射する。そうすると、光開始剤が、遊離基へと分離して、成分AおよびBのオレフィン二重結合が遊離基重合を行う。
【0070】
UV照射は、例えば、1つ以上のUV放射線エミッタまたは基材を備えたベルトユニットで進行し、かつ/またはUV放射線エミッタは照射中互いに動かす。例えば、基材は、1つ以上のUV放射線エミッタを備えた照射トンネルを通して動かしてもよく、かつ/または1つ以上のUV放射線エミッタを備えたロボットがUV放射線エミッタを基材上に誘導してもよい。
【0071】
UV照射は、1つ以上の時間的および任意で空間的に分離した工程で進行してもよい。UV照射は、連続的または不連続的(サイクルで)に行われる。
【0072】
好ましい照射源は、180〜420nm、特に200〜400nmの範囲の波長を放出するUV放射線源を含む。かかる連続操作UV放射線源としては、任意でドープされた高、中および低圧水銀蒸気エミッタおよびガス放電管、例えば、低圧キセノンランプが例示される。ただし、不連続UV放射線源を用いてもよい。それらは、いわゆる高エネルギーフラッシュデバイス(概して、UVフラッシュランプ)であるのが好ましい。UVフラッシュランプは、キセノン等の不活性ガスの充填された複数のフラッシュ管、例えば、水晶管を含有していてもよい。UVフラッシュランプは、例えば、フラッシュ放電当たり、少なくとも10メガルクス、好ましくは10〜80メガルクスの照度を有している。フラッシュ放電当たりのエネルギーは例えば、1〜10kジュールである。
【0073】
UVフラッシュランプをUV放射線源として用いるときのUV放射線の照射時間は、選択したフラッシュ放電の数に応じて、例えば、1ミリ秒〜400秒、好ましくは4〜160秒である。フラッシュは、例えば、約4秒毎に起動してよい。硬化は、例えば、1〜40の連続フラッシュ放電によりなされてよい。
【0074】
連続UV放射線源を用いる場合は、照射時間は、例えば、数秒〜約5分、好ましくは5分未満の範囲であってよい。
【0075】
UV放射線源と照射される表面との間の距離は、例えば、5〜60cmである。
【0076】
コーティング層が、UV照射により、かつさらに熱エネルギーの供給により硬化可能な二重硬化タイプのコーティング組成物から適用された場合には、熱エネルギーは、例えば、対流および/または赤外放射により従来のやり方で供給されて、オレフィン二重結合の遊離基重合とは異なる少なくとも1つのさらなる熱架橋機構、すなわち、縮合および/または付加反応によりコーティング層を硬化する。このさらなる熱硬化は、UV照射の前、最中および/または後に実施してよい。
【実施例】
【0077】
実施例1a〜1l(ポリウレタンジアクリレートの調製):
以下の一般合成方法に従って、1,6−ヘキサンジイソシアネートを、ジオールおよびヒドロキシアルキルアクリレートと反応させることにより、ポリウレタンジアクリレートを製造した。
【0078】
1,6−へキサンジアクリレート(HDI)をまず、攪拌器、温度計およびカラムを備えた2リットルの四首フラスコに入れ、0.1wt%のメチルヒドロキノンおよび0.01wt%ジブチル錫ジラウレートを、それぞれの場合において、HDIの始めに入れた量に相対的に添加した。反応混合物を60℃まで加熱した。温度が80℃を超えないようにしてヒドロキシアルキルアクリレートを配分した。理論NCO含量に達するまで反応混合物を80℃で攪拌した。理論NCO含量に達したら、ジオールA、B、Cを順々に添加した。いずれの場合も75〜120℃の温度を維持するようにした。いずれの場合も、理論NCO含量に達するまで次のジオールは添加しなかった。フリーのイソシアネートが検出されなくなるまで反応混合物を120℃で攪拌した。ホットメルトを取り出し冷やした。
【0079】
得られたポリウレタンジアクリレートの溶融挙動は、DSC(示差走査熱量測定、加熱速度10K/分)により調べた。
【0080】
実施例1a〜1lを表1に示す。表には、反応物質を反応させたモル比およびDSCにより測定された溶融プロセスの最終温度を℃で示してある。
【0081】
表1

HDI:1,6−ヘキサンジイソシアネート
HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレート
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
DEC:1,10−デカンジオール
HBPA:水素化ビスフェノールA
HEX:1,6−ヘキサンジオール
MPD:2−メチル−1,3−プロパンジオール
NPG:ネオペンチルグリコール
PNET:1,5−ペンタンジオール
PROP:1,3−プロパンジオール
【0082】
実施例2a〜2c(ポリウレタンジアクリレートの調製):
以下の一般合成方法に従って、1,6−ヘキサンジイソシアネート、追加のジイソシアネート、ジオール成分およびヒドロキシ−C2〜C4−アルキルアクリレートを反応させることにより、ポリウレタンジアクリレートを製造した。
【0083】
1,6−へキサンジアクリレート(HDI)および追加のジイソシアネートをまず、攪拌器、温度計およびカラムを備えた2リットルの四首フラスコに入れ、0.1wt%のメチルヒドロキノンおよび0.01wt%ジブチル錫ジラウレートを、それぞれの場合において、ジイソシアネートの始めに入れた量に相対的に添加した。反応混合物を60℃まで加熱した。温度が80℃を超えないようにしてヒドロキシアルキルアクリレートを配分した。理論NCO含量に達するまで反応混合物を80℃で攪拌した。理論NCO含量に達したら、ジオールを順々に添加した。いずれの場合も75〜120℃の温度を維持するようにした。いずれの場合も、理論NCO含量に達するまで次のジオールは添加しなかった。フリーのイソシアネートが検出されなくなるまで反応混合物を120℃で攪拌した。ホットメルトを取り出し冷やした。
【0084】
得られたポリウレタンジアクリレートの溶融挙動は、DSC(加熱速度10K/分)により調べた。
【0085】
実施例2a〜2bを表2に示す。表には、反応物質を反応させたモル比およびDSCを用いて測定された溶融プロセスの最終温度を℃で示してある。
【0086】
表2

IPDI:イソホロンジイソシアネート
DCMDI:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
その他の略語については表1を参照。
【0087】
実施例3a〜3k(ポリウレタンアクリレートの調製):
以下の一般合成方法に従って、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートのトリマー、HDI、ジオール成分およびヒドロキシアルキルアクリレートを反応させることによりポリウレタンアクリレートを製造した。
【0088】
ジイソシアネートのトリマーおよびHDIの混合物をまず、攪拌器、温度計およびカラムを備えた2リットルの四首フラスコに入れ、0.1重量%のメチルヒドロキノンおよび0.01重量%のジブチル錫ジラウレートを、それぞれの場合において、イソシアネートの始めに入れた量に相対的に添加した。反応混合物を60℃まで加熱した。ヒドロキシアルキルアクリレートおよびジオールの混合物を110℃を超えないようにして添加した。温度を最大130℃まで慎重に上げ、フリーのイソシアネートが検出されなくなるまで混合物を攪拌した。ホットメルトを取り出し冷やした。
【0089】
得られたポリウレタンアクリレートの溶融挙動は、DSC(加熱速度10K/分)により調べた。
【0090】
実施例3a〜3kを表3に示す。表には、反応物質を反応させたモル比およびDSCを用いて測定された溶融プロセスの最終温度を℃で示してある。
【0091】
表3

t−HDI:三量体ヘキサンジイソシアネート、バイエル(Bayer)製デズモジュール(Desmodur)(登録商標)N3600
その他の略語については表1を参照。
【0092】
例4(比較プロセスのコーティング組成物の製造):
0.125モルのNPGを酢酸ブチルに65℃でまず溶融することにより、酢酸ブチル中ウレタンアクリレート(計算したモル質量1122、計算した官能基3.14)の40wt%の溶液を製造した。1モルのt−HDIを65℃で添加し、バッチを70℃まで加熱した。発熱反応が終了したら、一定のNCO値に達するまで反応を80℃で継続した。4−メトキシフェノール(阻害剤)およびジブチル錫ジラウレート(触媒)をバッチ全体に対して、それぞれの場合について0.05wt%の量で添加した。温度が80℃を超えないようにして2.75モルのHBAを60℃で配分した。<0.1のNCO値に達したら、固形分を酢酸ブチルにより固形分40wt%まで減少した。
【0093】
97重量部のこの溶液を、それぞれの場合において、0.1重量部の遊離基重合可能なシリコーンレベリング添加剤、1重量部の光安定剤(HALS、ヒンダードアミン光安定剤)、0.5重量部のベンゾトリアゾール系UV吸収剤、アルファ−ヒドロキシケトンの群からの1重量部の光開始剤およびアシルホスフィンオキシドの群からの0.4重量部の光開始剤と混合した。
【0094】
実施例5a〜5y(本発明によるコーティング組成物の製造):
実施例1a〜1l、2a〜2cおよび3a〜3kによる固体バインダーを、それぞれの場合において、粉末コーティング製造の従来のグラインディングおよびシービングにより粉砕および研削および篩にかけて、このやり方で、平均粒度50μm(レーザー回折により判断)のバインダー粉末へと変換した。
【0095】
バインダー粉末を実施例4のコーティング組成物と混合した。いずれの場合においても100重量部のコーティング組成物:10重量部のバインダー粉末の比率であった。第2の一連の試験においては、100重量部のコーティング組成物:30重量部のバインダー粉末の比率であった。得られたコーティング組成物のフロー時間を、20℃でDIN4カップによりDIN EN ISO2431に従って求めた。
【0096】
実施例4によるコーティング組成物および既述のとおりに製造した本発明によるコーティング組成物は、それぞれ、20〜70μmの乾燥フィルム厚さ範囲でウェッジとして鋼試験シート上にスプレーし、それぞれ、対象物温度140℃で10分間吊るして、溶剤を除去し、粉末部分を溶融結合させた。ホットメタルシートをUV放射線に露光して、ウェッジ形傾斜でコーティング層を硬化させた(中圧水銀蒸気エミッタ、出力100W/cm、対象物距離14cm、ベルト速度1.5m/分)。
【0097】
それぞれの場合において、硬化した光沢のあるコーティング層が得られた。
【0098】
比較例4および本発明による実施例5a〜5yを表4に示す。表に、10または30重量部のバインダー粉末をそれぞれ比較例4からのコーティング組成物100重量部に対して添加した、実施例5a〜5yを参照した、フロー時間および測定されたμmでのダレ限界を示す。それぞれの場合において、始めに記した値は、10重量部のバインダー粉末の添加に関し、それぞれの場合において記した2番目の値は、バインダー粉末30重量部の添加に関する。
【0099】
表4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
50〜100wt%のオレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能なバインダー固形分と、0〜30wt%の少なくとも1種類の架橋剤Cと、0〜50wt%の少なくとも1種類の成分Dとからなる樹脂固形分を有する、オレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な非水性液体コーティング組成物であって、前記重量パーセントが100wt%まで加算され、前記バインダー固形分が、40〜95wt%のオレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な少なくとも1種類の成分Aと、5〜60wt%のオレフィン二重結合の遊離基重合により硬化可能な少なくとも1種類のバインダーBとからなり、前記少なくとも1種類の成分Aおよび前記少なくとも1種類のバインダーBの重量パーセントが100wt%まで加算され、前記少なくとも1種類の成分Aが液体であり、かつ/または溶存態で存在しており、前記少なくとも1種類のバインダーBが60〜160℃の融点を有する樹脂の粒子として存在している組成物。
【請求項2】
前記固形分が40〜100wt%であり、前記樹脂固形分と、顔料、フィラー及び不揮発性添加剤の任意の成分とからなる請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記固形分が40〜95wt%であり、前記有機溶剤含量が5〜60wt%であり、前記固形分と前記有機溶剤含量のwt%の合計が90〜100wt%である請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種類の成分Aが、バインダーA1と、反応性希釈剤A2と、これらの組み合わせとからなる群より選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種類のバインダーBの前記融点が30〜90℃の広い融点範囲の上端である請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種類のバインダーBの前記溶解度が20℃で酢酸ブチル1リットル当たり10g未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
レーザー回折により求められるB粒子の平均粒度が1〜100μmである請求項1〜6のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記B粒子が、固体B樹脂の研削により、または溶出媒体中のバインダーBの熱溶出、および冷却中および/または冷却後の後の粒子形成により形成される請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種類のバインダーBが、(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂である請求項1〜8のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
前記(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂が、1,6−ヘキサンジイソシアネートをジオール成分およびヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートとモル比x:(x−1):2で反応させることにより調製することのできるポリウレタンジ(メタ)アクリレートであり、式中、xは2〜5の所望の値を意味し、前記ジオール成分が、モル質量が62〜600の単一の(シクロ)脂肪族ジオールまたはかかる(シクロ)脂肪族ジオールの2〜4種類の組み合わせであり、前記ジオールの組み合わせの場合には、それぞれのジオールが前記ジオール成分の前記ジオールの少なくとも10モル%を構成している請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂が、ジイソシアネート成分、ジオール成分およびヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートをモル比x:(x−1):2で反応させることにより調製することのできるポリウレタンジ(メタ)アクリレートであり、式中、xは2〜5の所望の値を意味し、50〜80モル%の前記ジイソシアネート成分が、1,6−へキサンジイソシアネートおよび20〜50モル%の1種類または2種類のジイソシアネートにより形成され、それぞれ少なくとも10モル%の前記ジイソシアネート成分を形成し、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルへキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートおよびテトラメチレンキシリレンジイソシアネートからなる群より選択され、各ジイソシアネートのモル%は100モル%まで加算され、前記ジオール成分が、5種類以上の異なるジオールを含み、20〜100モル%の前記ジオール成分が、少なくとも1種類の直鎖脂肪族アルファ、オメガ−C2〜C12−ジオール、直鎖脂肪族アルファ、オメガ−C2〜C12−ジオールとは異なる0〜80モル%の少なくとも1種類の(シクロ)脂肪族ジオールにより形成され、前記ジオール成分の各ジオールが、前記ジオール成分中少なくとも10モル%を形成し、前記各ジオールのモル%が100モル%まで加算される請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂が、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートのトリマー、1,6−ヘキサンジイソシアネート、ジオール成分およびヒドロキシ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートをモル比1:x:x:3で反応させることにより調製することのできるポリウレタン(メタ)アクリレートであり、式中、xは1〜6の所望の値を意味し、前記ジオール成分が単一の直鎖脂肪族アルファ、オメガC2〜C12ジオールまたは2〜4種類の(シクロ)脂肪族ジオールの組み合わせであり、前記ジオールの組み合わせの場合には、それぞれのジオールが前記ジオールの組み合わせの少なくとも10モル%のジオールを形成し、前記ジオールの組み合わせが、少なくとも80モル%の少なくとも1種類の直鎖脂肪族アルファ、オメガC2〜C12ジオールからなる請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
前記コーティング組成物が、少なくとも1種類の熱開裂遊離基開始剤を含有する熱硬化性コーティング組成物、少なくとも1種類の光開始剤を含有するUV照射により硬化可能なコーティング組成物およびUV照射により硬化可能、かつさらにオレフィン二重結合の遊離基重合とは異なる少なくとも1つの架橋機構により熱硬化可能で、少なくとも1種類の光開始剤を含有するコーティング組成物からなる群より選択される請求項1〜12のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
1)請求項1〜13のいずれか1項に記載のコーティング組成物からのコーティング層を適用する工程と、
2)このようにして形成された前記コーティング層を加熱して、任意で存在する揮発性成分を揮発して、粒子Bを溶融する工程と、
3)3a)熱硬化性コーティング組成物の場合には熱エネルギーの供給により、または3b)UV照射により硬化可能なコーティング組成物の場合にはUV照射により、または3c)UV照射により硬化可能、かつさらにオレフィン二重結合の遊離基重合とは異なる少なくとも1つの架橋機構により熱硬化可能なコーティング組成物の場合にはUV照射および熱エネルギーの供給により、前記コーティング層を硬化する工程と
を連続した工程として含むコーティング層の製造方法。
【請求項15】
前記コーティング層が、単層コーティングおよび多層コーティング内のコーティング層からなる群より選択される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記多層コーティング内の前記コーティング層が、自動車車体および本体部品からなる群より選択される基材上の自動車多層コーティングである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コーティング層が、外側クリアトップコート層および透明シーリング層からなる群より選択される請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2008−531757(P2008−531757A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554261(P2007−554261)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/003946
【国際公開番号】WO2006/084182
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】