説明

オーディオ参照クロックを生成可能な受信装置

【課題】PLL回路に入力されるリファレンス周波数を高くすることができる受信装置を提供する。
【解決手段】受信装置1は、ピクセルクロックを1/CTSで分周して、第1の信号として出力する第1の分周器11と、商CTSquoの値に対応する周期をN−CTSremに対応する回数分第1の信号の周期内に含み、かつ、CTSquo+1に対応する周期をCTSremに対応する回数分第1の信号の周期内に含む第2の信号を、ピクセルクロックの周期を制御することによって出力する周期制御部21と、周期制御部21から出力される第2の信号によって得られるリファレンス信号に基づいて、所望の周波数にロックされた信号を出力するPLL回路31とを備える。周期制御部21は、CTSremの和を随時計算し、当該和がしきい値N−1をオーバーフローするときに応じて、第2の信号の周期を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックを送信装置から受信装置に送信するシステムにおける受信装置に関し、より特定的には、オーディオデータの再生に必要なオーディオ参照クロックを生成することができる受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイ・インターフェースの標準規格として、DVI(Digital Visual Interface)やHDMI(High Definition Multimedia Interface)、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)と呼ばれる規格が利用されている。これらの規格において、送信装置は、デジタル信号のままビデオデータ及びピクセルクロックを受信装置に送信する。受信装置は、送られてきたピクセルクロックを利用して、ビデオデータを再生する。
【0003】
図19は、上記のような規格を利用して送信側電子機器900から受信側電子機器903にデータが送信されるときの一般的なシステム概念を示すブロック図である。図19において、送信側電子機器900は、データ源901と、送信装置902とを含む。データ源901が出力したビデオデータ及びオーディオデータは、送信装置902に入力され、シリアルのデジタル信号Tx0、Tx1、及びTx2に変換される。送信装置902は、シリアルのデジタル信号Tx0、Tx1、及びTx2を受信装置904に送信すると共に、データ源901から出力されたピクセルクロックTxcも受信装置904に送信する。デジタル信号Tx0、Tx1、及びTx2並びにピクセルクロックTxCは、専用のケーブル906を介して、受信装置904に転送される。受信装置904は、デジタル信号Tx0、Tx1、及びTx2及びピクセルクロックTxCを利用して、データ源901が出力したビデオデータ及びオーディオデータを再生して、出力部905に送る。出力部905は、受信装置904からのデジタルデータに基づいて、画像及び音声を出力する。
【0004】
図20は、HDMI規格で用いられるシステムの内、オーディオデータを再生するために必要なオーディオ参照クロックを生成するための構成を示すブロック図である(特許文献1の図15及び段落0268〜0272参照)。図20において、送信装置902は、レジスタ907と、分周器908と、サイクルタイムカウンタ909と、送信部910とを含む。送信装置902には、ピクセルクロック、128×Fsの周波数を有するオーディオ参照クロック、及び自然数Nが入力される。Fsは、44.1kHzや48.0kHz等のサンプリング周波数である。レジスタ907は、自然数Nを一時記憶する。分周器908は、レジスタ907に一時記憶されている自然数Nに基づいて、オーディオ参照クロックを分周比1/Nで分周して、中間クロックを生成し、当該中間クロックをサイクルタイムカウンタ909に入力する。サイクルタイムカウンタ909は、当該中間クロックの各サイクル期間中におけるピクセルクロックの数を計数し、計数結果をCTS(Cycle Time Stamp:サイクルタイムスタンプ)として出力する。送信部910は、物理層で、ピクセルクロックを受信装置904に送信すると共に、適宜、CTS及びNをパケットに格納して受信装置904に送信する。
【0005】
このような送信装置902におけるアーキテクチャを用いることによって、ピクセルクロックとオーディオ参照クロックとの間には、有理数の関係が成立する。ピクセルクロックの周波数(fTMDS_clock)をオーディオ参照クロックの周波数(128×Fs)で割ったときの分母がNとなり、分子がCTSとなる。
すなわち、
128×Fs=(fTMDS_clock×N)/CTS
の関係が成立する。
また、サイクルタイムカウンタ909は、中間クロックの各サイクル期間中に、ピクセルクロックの数を計数した値をCTSとしているので、fTMDS_clockは、CTSで割り切れることとなる。
【0006】
受信装置904は、受信部911と、分周器912と、逓倍器913とを含む。受信装置911は、ピクセルクロック、CTS、及びNを再生する。分周器912は、ピクセルクロックを分周比1/CTSで分周して、中間クロックを再生し、逓倍器913に入力する。図21は、受信装置904における逓倍器913の詳細な機能的構成を示すブロック図である。逓倍器913は、位相比較器914と、ローパスフィルタ915と、電圧制御発振器916と、分周器917とを含む。電圧制御発振器916の発振周波数は、分周器912から出力される中間クロックの周波数のN倍となるように設定されている。1/Nの分周比を有する分周器917は、電圧制御発振器916の出力を分周して、帰還させる。このように形成されたPLL(phase−locked loop)回路によって、中間クロックの周波数がN倍される。これによって、逓倍器913は、周波数が128×Fsのオーディオ参照クロックを出力することができる。このように、HDMI規格では、ピクセルクロックに基づいて、オーディオ参照クロックを生成することが可能となるアーキテクチャを採用している。
【0007】
なお、特許文献2に記載の拡散型分数分周器は、入力周波数と出力周波数との比で定義される分周数がMとM+1との2つの状態を持つ分周器において、分数数がM+1となるタイムポイントを乱数若しくは乱数に近い数列に基づいて制御する。これにより、特許文献2に記載の拡散型分数分周器は、分数分周器の出力信号に含まれるスプリアスを低減することができる。
【0008】
また、特許文献3に記載の周波数シンセサイザは、ΔΣ変調回路の出力信号に周期性がないことを利用した帰還回路を含むフラクショナル−N方式の周波数シンセサイザである。その他、ΔΣ変調回路を用いて分周比を調整する従来技術として、特許文献4や特許文献5に記載の技術がある。
【0009】
また、特許文献6、特許文献7、及び非特許文献1には、HDMI規格におけるオーディオ参照クロックの再生に関する一般的事項が記載されている。
【特許文献1】特表2005−514836号公報
【特許文献2】特開平10−233680号公報
【特許文献3】特開2005−33581号公報
【特許文献4】米国特許第6044124号明細書
【特許文献5】米国特許第7049852号明細書
【特許文献6】特開2007−13853号公報
【特許文献7】特開2007−150855号公報
【非特許文献1】”High-Definition Multimedia Interface Specification Version 1.3a”98頁〜111頁、2006年11月10日、Hitachi, Ltd.、Matsushita Electric Industrial Co., Ltd.、PhilipsConsumer Electronics, International B.V.、Silicon Image,Inc.、Sony Corporation、ThomsonInc.、Toshiba Corporation
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
たとえば、ピクセルクロックの周波数を74.25MHzとし、サンプリング周波数を48.0kHzとし、オーディオ参照クロックの周波数を128×48.0kHzとし、Nを6144とし、CTSを74250とした場合を考える。この場合、分周器912から出力される中間クロックの周波数は、1kHzとなる。このように、従来のHDMI規格上のアーキテクチャを用いると、中間クロック、すなわち、PLL回路のリファレンス信号が低周波となってしまう。そのため、リファレンス信号のノイズを除去するために、PLL回路内のローパスフィルタのカットオフ周波数を低くする必要がある。ローパスフィルタのカットオフ周波数が低い場合、フィルタの乗数が大きくなり、ローパスフィルタをオンチップ化するのが困難になる。
【0011】
また、製造段階において、オーディオの試験は、1kHz付近で行うことが多い。リファレンス周波数が1kHz付近であると、試験中、リファレンス信号のノイズがオーディオ出力されてしまう可能性があり、試験が正確に行われない可能性があり、好ましくない。さらに、1kHz付近だけではなく、ノイズがオーディオ帯域(たとえば、20Hz〜20kHz)内に存在することは好ましくない。したがって、リファレンス周波数を高くして、ノイズをオーディオ帯域外にし、オーディオ帯域より高いカットオフ周波数を用いて、ノイズをカットする必要がある。
【0012】
また、リファレンス周波数が1kHz付近であり、リファレンス信号のノイズが適切に除去できないと、オーディオ参照クロックのジッタが大きくなり、オーディオデータが正確に再生できない可能性がある。
【0013】
それゆえ、本発明の目的は、ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックを送信装置から受信装置に送信するHDMIなどのシステムにおいて、オーディオデータの再生に必要なオーディオ参照クロックを生成する際、PLL回路に入力されるリファレンス周波数を高くすることができる受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、第1の自然数、及び第2の自然数が、送信装置から受信装置に送信されるシステムにおいて用いられる受信装置であって、ピクセルクロック又はピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力する第1の分周器と、第1の自然数の一以上の整数倍の値を第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、商の値に対応する周期を第3の自然数から余りを減算した第1の値に対応する回数分第1の信号の周期内に含み、かつ、商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を余りに対応する回数分第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、ピクセルクロックの周期を制御することによって出力する周期制御部とを備え、周期制御部は、余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、第2の信号の周期を制御する。
【0015】
好ましくは、周期制御部は、第1の値に対応する回数分、商の値をカウント数として出力し、余りに対応する回数分、第2の値をカウント数として出力するカウント数出力部と、カウント数出力部が出力したカウント数をカウントして、前記ピクセルクロックの周期を制御するプログラマブルカウンタとを含むとよい。
【0016】
好ましくは、カウント数出力部は、ラッチに余りの値を順次加算し、加算後の値が、しきい値以上の場合、商の値をカウント数として出力し、加算後の値が、しきい値未満の場合、第2の値をカウント数として出力するとよい。
【0017】
一実施形態として、カウント数出力部は、商を計算する第1の演算回路と、第2の値を計算する第2の演算回路と、余りを計算する第3の演算回路と、第1の分周器から出力される第1の信号のリップルキャリー間で、第3の自然数を繰り返しカウントするカウンタと、余りラッチと、商ラッチと、商ラッチの値に応じて、第1又は第2の演算回路による出力を選択して、カウント数として出力するマルチプレクサとを含む。余りラッチは、カウンタによって最初に第3の自然数がカウントされたとき、第3の自然数を2で割ったときの値の小数点以下を切り捨てた値を保持し、カウンタによって最初に第3の自然数がカウントされたとき以外の場合、余りラッチに保持されている値に第3の演算回路で演算された余りを加算した値に対して、しきい値を引いた値を除算したときの余りを保持する。商ラッチは、余りラッチに保持されている値に第3の演算回路で演算された余りを加算した値に対して、しきい値を除算したときの商を保持し、マルチプレクサは、商ラッチに保持されている値が1のとき、第2の演算回路の出力を選択し、商ラッチに保持されている値が1以外のとき、第1の演算回路の出力を選択する。
【0018】
好ましくは、カウント数出力部は、ラッチに余りの値を加算し、加算後の値が、しきい値以上の場合、第2の値をカウント数として出力し、加算後の値が、しきい値未満の場合、商の値をカウント数として出力するとよい。
【0019】
一実施形態として、カウント数出力部は、商を計算する第1の演算回路と、第2の値を計算する第2の演算回路と、余りを計算する第3の演算回路と、第1の分周器から出力される第1の信号のリップルキャリー間で、第3の自然数を繰り返しカウントするカウンタと、余りラッチと、商ラッチと、商ラッチの値に応じて、第1又は第2の演算回路による出力を選択して、カウント数として出力するマルチプレクサとを含む。余りラッチは、カウンタによって最初に第3の自然数がカウントされたとき、第3の自然数を2で割ったときの値の小数点以下を切り捨てた値を保持し、カウンタによって最初に第3の自然数がカウントされたとき以外の場合、余りラッチに保持されている値に第3の演算回路で演算された余りを加算した値に対して、しきい値を引いた値を除算したときの余りを保持する。商ラッチは、余りラッチに保持されている値に第3の演算回路で演算された余りを加算した値に対して、しきい値を除算したときの商を保持し、マルチプレクサは、商ラッチに保持されている値が1のとき、第1の演算回路の出力を選択し、商ラッチに保持されている値が1以外のとき、第2の演算回路の出力を選択する。
【0020】
好ましくは、受信装置は、周期制御部から出力される第2の信号によって得られるリファレンス信号に基づいて、所望の周波数にロックされた信号を出力するPLL回路をさらに備え、PLL回路は、サンプリング周波数を整数倍した所望周波数の整数倍の周波数を発振する電圧制御発振器を含み、PLL回路の後段に、PLL回路から出力される第3の信号を分周して、所望周波数の信号を出力する第2の分周器をさらに備えるとよい。
【0021】
好ましくは、電圧制御発振器は、複数の所望周波数の公倍数を有する周波数を発振し、第2の分周器は、所望周波数に応じて、分周比を切り替えるとよい。
【0022】
好ましくは、電圧制御発振器は、相異なる第1及び第2の周波数の公倍数を有する周波数を発振することができ、分周比は、第1の周波数の倍数及び第2の周波数の倍数に対応して、予め決められているとよい。
【0023】
好ましくは、第3の自然数は、第2の自然数と同一であり、第1の分周器は、送信クロックを第1の自然数の逆数で分周するとよい。
【0024】
好ましくは、周期制御部から出力される第2の信号を分周して、リファレンス信号として出力する第3の分周器をさらに備えるとよい。
【0025】
好ましくは、PLL回路は、電圧制御発振器から出力される信号を分周する第4の分周器と、第4の分周器から出力される信号を、第3の分周器の分周比と同一の分周比によって分周してフィードバックさせる第5の分周器とを含むとよい。
【0026】
好ましくは、第1の分周器は、ピクセルクロックを第1の自然数の逆数で分周し、周期制御は、ピクセルクロックを、第2の自然数を割り切ることができる値で割った値で、第1の自然数を割った値の逆数で分周し、ピクセルクロックが分周されたタイミングに同期して、第2の信号を出力するとよい。
【0027】
好ましくは、第3の自然数は、第2の自然数を割り切ることができる値であり、第1の分周器は、送信クロックを第1の自然数の逆数で分周し、周期制御部から出力される第2の信号が、PLL回路に入力されるリファレンス信号となり、PLL回路は、電圧制御発振器から出力される信号を分周する第4の分周器と、第4の分周器から出力される信号を、第2の自然数を第3の自然数で除算したときの商の逆数によって分周してフィードバックさせる第7の分周器とを含むとよい。
【0028】
好ましくは、第3の自然数は、第2の自然数と同一であり、周期制御部から出力される第2の信号が、PLL回路に入力されるリファレンス信号となり、PLL回路は、電圧制御発振器から出力される信号を分周してフィードバックさせる第4の分周回路を含むとよい。
【0029】
好ましくは、第3の自然数は、第2の自然数と同一であり、周期制御部から出力される第2の信号が、PLL回路に入力されるリファレンス信号となり、第1の分周器は、第1の自然数をa(aは2以上の整数)倍した数の逆数でピクセルクロックを分周し、PLL回路は、電圧制御発振器から出力される信号を分周する第4の分周器と、第4の分周器から出力される信号を、1/aで分周してフィードバックさせる第8の分周器とを含むとよい。
【0030】
好ましくは、第3の自然数は、第2の自然数と同一であり、周期制御部から出力される第2の信号が、PLL回路に入力されるリファレンス信号となり、第1の分周器は、第1の自然数をa(aは2以上の整数倍)した数の逆数でピクセルクロックを分周し、PLL回路は、電圧制御発振器から出力される信号を、1/b(bは、aの倍数)で分周してフィードバックさせる第9の分周器とを含むとよい。
【0031】
好ましくは、第3の自然数は、第2の自然数と同一であり、PLL回路は、電圧制御発振器から出力される信号をフィードバックさせて、発振周波数をロックするとよい。
【0032】
好ましくは、第3の自然数は、第2の自然数と同一であり、PLL回路は、電圧制御発振器から出力される信号を、1/dで分周してフィードバックさせる第10の分周器とを含むとよい。
【0033】
また、本発明の他の局面は、ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、第1の自然数、及び第2の自然数が、送信側電子機器から受信側電子機器に送信されるシステムにおいて用いられる受信側電子機器であって、ピクセルクロック又はピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力する第1の分周器と、第1の自然数の一以上の整数倍の値を第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、商の値に対応する周期を第3の自然数から余りを減算した第1の値に対応する回数分第1の信号の周期内に含み、かつ、商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を余りに対応する回数分第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、ピクセルクロックの周期を制御することによって出力する周期制御部とを備え、周期制御部は、余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、第2の信号の周期を制御する。
【0034】
また、本発明の他の局面は、ビデオデータ及びオーディオデータを送受信するためのシステムであって、ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、第1の自然数、及び第2の自然数を送信する送信装置と、送信装置から送信されるピクセルクロック、サンプリング周波数、第1の自然数、及び第2の自然数を受信する受信装置とを備え、受信装置は、ピクセルクロック又はピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力する第1の分周器と、第1の自然数の一以上の整数倍の値を第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、商の値に対応する周期を第3の自然数から余りを減算した第1の値に対応する回数分第1の信号の周期内に含み、かつ、商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を余りに対応する回数分第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、ピクセルクロックの周期を制御することによって出力する周期制御部とを備え、周期制御部は、余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、第2の信号の周期を制御する。
【0035】
また、本発明の他の局面は、ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、第1の自然数、及び第2の自然数が、送信装置から受信装置に送信されるシステムにおいて用いられる受信装置に含まれる得る半導体回路であって、ピクセルクロック又はピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力する第1の分周器と、第1の自然数の一以上の整数倍の値を第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、商の値に対応する周期を第3の自然数から余りを減算した第1の値に対応する回数分第1の信号の周期内に含み、かつ、商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を余りに対応する回数分第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、ピクセルクロックの周期を制御することによって出力する周期制御部とを備え、周期制御部は、余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、第2の信号の周期を制御する。
【0036】
また、本発明の他の局面は、ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、第1の自然数、及び第2の自然数が、送信装置から受信装置に送信されるシステムにおいて用いられる受信装置に含まれる得る半導体回路で用いられるマクロであって、ピクセルクロック又はピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力する第1の分周部と、第1の自然数の一以上の整数倍の値を第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、商の値に対応する周期を第3の自然数から余りを減算した第1の値に対応する回数分第1の信号の周期内に含み、かつ、商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を余りに対応する回数分第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、ピクセルクロックの周期を制御することによって出力する周期制御部とを備え、周期制御部は、余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、第2の信号の周期を制御する。
【0037】
また、本発明の他の局面は、ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、第1の自然数、及び第2の自然数が、送信装置から受信装置に送信されるシステムにおいて受信装置側で用いられる所望のオーディオ参照クロックを生成するための方法であって、ピクセルクロック又はピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力し、第1の自然数の一以上の整数倍の値を第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、商の値に対応する周期を第3の自然数から余りを減算した第1の値に対応する回数分第1の信号の周期内に含み、かつ、商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を余りに対応する回数分第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、ピクセルクロックの周期を制御することによって出力し、第2の信号を出力する際、余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、第2の信号の周期を制御する。
【0038】
また、本発明の他の局面は、クロック信号、第1の自然数、及び第2の自然数が与えられる分周器であって、ピクセルクロック又はピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力する第1の分周器と、第1の自然数の一以上の整数倍の値を第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、商の値に対応する周期を第3の自然数から余りを減算した第1の値に対応する回数分第1の信号の周期内に含み、かつ、商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を余りに対応する回数分第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、ピクセルクロックの周期を制御することによって出力する周期制御部とを備え、周期制御部は、余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、第2の信号の周期を制御する。
【0039】
また、本発明の他の局面は、ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、第1の自然数、及び第2の自然数が、送信装置から受信装置に送信されるシステムにおいて用いられるコンピュータ装置上で実行されるプログラムであって、コンピュータ装置に、ピクセルクロック又はピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周させ、第1の自然数の一以上の整数倍の値を第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、商の値に対応する周期を第3の自然数から余りを減算した第1の値に対応する回数分分周後の周期内に含ませ、かつ、商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を余りに対応する回数分分周後の周期内に含ませるように、ピクセルクロックの周期を制御させ、ピクセルクロックの周期を制御させる際、余りの和を随時計算させ、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、ピクセルクロックの周期を制御させる。
【0040】
本発明は、プログラムカウンタや演算回路、フリップフロップなどを組み合わせてゲートレベルで設計することによって実現されてもよいし、VHDL等のハードウエア記述言語でRTL記述することによって実現されてもよいし、ステートマシンを使ったシーケンサによって実現されてもよいし、各種プログラミング言語を用いてプログラミングされたプログラムをメモリに格納しておき、マイコンやDSP、CPUなどのコンピュータ装置が当該プログラムを読み込んで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、ピクセルクロックを、第1の自然数又は第1の自然数の倍数を第2の自然数又は第3の自然数で割った値の逆数によって分周することができる。たとえば、第1の自然数をCTSとし、第2の自然数をNとした場合、ピクセルクロックの周波数は、N/CTS倍に分周される。また、第3の自然数をNdivとした場合、ピクセルクロックの周波数は、Ndiv/CTS倍に分周される。その他、第1の自然数をCTS×aとした場合、ピクセルクロックの周波数は、たとえば、N/(CTS×a)倍となる。したがって、従来のように、ピクセルクロックの周波数を1/CTS倍することによって、低周波のリファレンス信号を生成する場合に比べて、高いリファレンス周波数を得ることができる。したがって、従来の課題であった、オンチップ化の困難さ、試験の正確性向上、及びオーディオ参照クロックのジッタの問題が解消されることとなる。さらに、本発明では、余りの和を随時計算して、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、ピクセルクロックの周期を制御している。したがって、ピクセルクロックが分周されて生じるノイズを高周波にすることができるので、容易に当該高周波を除去することができ、より正確にオーディオ参照クロックを生成することができる。また、上記のような周期を制御する構造は、既存のプログラマブルカウンタや演算回路などを組み合わせることで実現することができ、本発明の受信装置、電子機器、システム、半導体回路、マクロ、及び分周器を低コストに提供することが可能となる。また、コンピュータ装置を動作させるプログラムとして提供することもできる。
【0042】
また、本発明では、電圧制御発振器の発振周波数が所望周波数の整数倍に設定されているので、分周比を適宜調整可能な第2の分周器を用いることによって、簡単に、所望のオーディオ参照クロックを生成することができる。加えて、電圧制御発振器の発振周波数を所望周波数の公倍数にすることによって、PLL回路のロックレンジを狭くすることができる。したがって、PLL回路の構成を簡易にすることができる。
【0043】
また、第3の分周器を用いることによって、リファレンス周波数を少し下げることができる。そのため、PLL回路の設計が容易となる。リファレンス周波数が高い程、位相雑音の比が大きくなるので、第3の分周器を設けることによって、位相雑音の比を小さくすることが可能となる。さらに、PLL回路に入力されるリファレンス信号の周波数が所望周波数の最大公約数となるように、第3の分周器の分周比の分母を決定すれば、リファレンス周波数のバラツキを抑えることができる。なお、所望周波数が変動する場合、第3の分周器の分周比に関する情報は、所望周波数に関する情報と関連づけてメモリに格納されていて、第3の分周器は、適切な分周比を用いて第2の信号を分周するようにするとよい。
【0044】
また、ピクセルクロックの周波数が所望周波数の2倍未満であったとしても、所望のオーディオ参照クロックを生成することが可能となる。
【0045】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本実施形態では、図19に示したように、ビデオデータ及びオーディオデータが、送信装置からピクセルクロックと共に送信されてくる。また、図20に示したように、CTS及びNが送信装置から送信されてくる。さらに、送信装置で用いたサンプリング周波数Fsも、送信装置から受信装置に送信される。
【0047】
本実施形態において、ピクセルクロックの周波数をfTMDS_clockと表記する。送信装置で用いられたオーディオ参照クロックの周波数をMCLK0と表記する。受信装置で要求されている所望のオーディオ参照クロックの周波数をMCLK(所望周波数という)と表記する。受信装置は、MCLKに関する情報を記憶している。MCLK0とMCLKとが同一の場合もあれば、異なる場合もある。オーディオ参照クロックの周波数MCLK0及びMCLKは、サンプリング周波数Fsの整数倍を有している。すなわち、MCLK0=Z×Fs、及び、MCLK=Z×Fs(Zは、整数)となる。なお、典型的には、Zは、128の倍数である。すなわち、Z=128,256,384,512,…である。その他、Z=4の場合もある。また、典型的には、サンプリング周波数Fsは、44.1kHzの整数倍の系列か、又は、48.0kHzの整数倍の系列である。たとえば、Fs=44.1kHz,88.2kHz,176.4kHz、又はFs=48.0kHz,96.0kHz,192.0kHz,768.0kHzとなる。その他、Fs=32.0kHzの場合もある。
【0048】
fTMDS_clockをMCLK0で除算した場合、有理関係が成立する。すなわち、fTMDS_clock/MCLK0は、分数表記が可能である。当該分数表記としては、複数のパターンが存在する。当該分数表記のある一つを選び、当該分数表記の分子をCTSとし、分母をNとする。本実施形態において、CTSを第1の自然数という。また、Nを第2の自然数という。fTMDS_clock及び/又はMCLK0は、固定されている場合もあれば、動的に変動する場合もある。そのため、送信側では、オーディオ参照クロックを1/Nで分周して得られた中間クロックについて、当該中間クロックの各サイクル間でピクセルクロックを随時計数し、当該計数値をCTSとして算出して、受信側に送信する。したがって、CTSは、静的であれば、動的に変化する場合もある。CTSの算出方法から理解できるように、fTMDS_clockは、CTSで割り切れることとなる。なお、このようなCTS及びNの送信方法は、一実施形態に過ぎず本発明を限定するものではない。すなわち、本発明の受信装置においては、CTS及びNが何らかの方法で送信側から送られてくればよい。本実施形態におけるシステムでは、MCLK0=(fTMDS_clock×N)/CTSの関係が成立すればよい。受信装置は、ピクセルクロック、CTS、N、及びFs並びに記憶しているMCLKに関する情報を利用して、オーディオ参照クロックを生成する。上記の前提の下、本発明の実施形態について、具体的に説明する。
【0049】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における受信装置1の機能的構成を示すブロック図である。図1において、受信装置1は、第1の分周器11と、第2の分周器12と、第3の分周器13と、周期制御部21と、PLL回路31と、メモリ51とを備える。PLL回路31は、第4の分周器14と、第5の分周器15と、位相比較器41と、チャージポンプ42と、ローパスフィルタ43と、電圧制御発振器44とを含む。受信装置1には、送信側から、第1の自然数CTS、ピクセルクロック、第2の自然数N、及びサンプリング周波数Fsが入力される。受信装置1は、第1の自然数CTS、ピクセルクロック、第2の自然数N、及びサンプリング周波数Fsに基づいて、周波数がMCLKのオーディオ参照クロックを生成する。
【0050】
まず、受信装置1の動作の概略を説明する。第1の分周器11は、ピクセルクロックを分周比1/CTSで分周して、fTMDS_clock/CTSの周波数を有する第1の信号を出力する。
【0051】
周期制御部21は、入力された第1の信号及びピクセルクロックに基づいて、第2の信号を出力する。周期制御部21は、ピクセルクロックの周期を制御することによって、第2の信号を出力する。第2の信号は、第1の自然数CTSを第2の自然数Nで除算したときの商CTSquoと余りCTSremについて、商CTSquoの値に対応する周期を第2の自然数Nから余りCTSremを減算した第1の値N−CTSremに対応する回数分第1の信号の周期内に含み、かつ、商CTSquoの値に1を加えた第2の値CTSquo+1に対応する周期を余りCTSremに対応する回数分第1の信号の周期内に含む。周期制御部21は、商CTSquoの値に対応する周期と第2の値CTSquo+1に対応する周期とが、第1の信号の周期内で拡散するように、第2の信号を出力する。具体的には、周期制御部21は、余りCTSremの和を随時計算して、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、第2の値CTSquo+1に対応する周期を有する信号を出力し、当該和がしきい値をオーバーフローしていない時は、商CTSquoの値に対応する周期を有する信号を出力する。第1の分周器11及び周期制御部21の機能によって、分周比が1/(CTS/N)の分数分周器10が、あたかも得られたかのようになる。したがって、周期制御部21から出力される第2の信号の周波数は、従来の中間クロックの周波数に比べて、高くなる。
【0052】
第3の分周器13は、第2の信号を1/cで分周して、PLL回路31に入力するリファレンス信号を生成する。cは、MCLK0を割り切ることができる値である。cは、リファレンス周波数が従来のように低くなり過ぎず、かつPLL回路31の設計が容易になる程度の値である。好ましくは、PLL回路13に入力されるリファレンス信号の周波数が所望周波数MCLKの最大公約数となるように、cが決められているとよい。第3の分周器13によって、リファレンス周波数が下げられる。
【0053】
位相比較器41は、リファレンス信号と第5の分周器15からの分周クロックとの位相を比較して、チャージポンプ42に入力する。チャージポンプ42は、位相比較器41から出力されるパルス信号を電流に変換する。ローパスフィルタ43は、チャージポンプ42からの電流を電圧に変換する。
【0054】
電圧制御発振器44は、ローパスフィルタ43からの電圧を制御電圧として、当該制御電圧に応じた発振周波数を有する発振信号を出力する。電圧制御発振器44の発振周波数VCOCLKは、所望周波数MCLKの整数倍であり、好ましくは、受信装置側で要求される可能性のある複数のオーディオ参照クロックの周波数MCLKの公倍数である。サンプリング周波数Fsは、44.1kHzの系列と、48.0kHzの系列に分かれ、Zは128の倍数であるので、電圧制御発振器44の発振周波数VCOCLKは、たとえば、589.824MHz及び541.9008MHzとなる。すなわち、電圧制御発振器44は、第1の周波数である44.1kHzの倍数と第2の周波数である48.0kHzの倍数との公倍数を有する周波数を発振することができる。このように、電圧制御発振器44の発振周波数として、たとえば、589.824MHz及び541.9008MHzを用いるだけで、想定し得るMCLKを生成することができる。したがって、PLL回路31のロックレンジを狭くすることができ、迅速に、所望周波数MCLKを有するオーディオ参照クロックを生成することができる。
【0055】
第4の分周器14は、電圧制御発振器からの出力を分周するプリスケーラである。第4の分周器14の分周比は、1/Npreである。ここで、Npreは、発振周波数VCOCLKを割り切ることができる値である。発振周波数VCOCLKをNpreで割った値は、MCLK0と等しくなる。なお、上記周波数は例示であって、電圧制御発振器44は、相異なる第1及び第2の周波数の公倍数を有する周波数を発振することができればよい。その上で、第4の分周器14の分周比は、第1の周波数の倍数及び第2の周波数の倍数に対応して、予め決められていればよい。
【0056】
メモリ51は、Fs及びMCLKに関する情報(たとえば、Z)に対応させて、Npreの値を定義したテーブルを格納している。第4の分周器14は、送信装置から送られてくるFs及びMCLKに関する情報(たとえば、Z)に基づいて、メモリ51に格納されている当該テーブルを参照して、所望のMCLKに対応したNpreを読み出して、分周する。MCLKに関する情報は、受信装置1内に記憶されている。MCLKに関する情報が第4の分周器14に伝達される経路は、図1上省略している(以下同様)。
【0057】
第5の分周器14は、第3の分周器と同一の分周比1/cを有し、第4の分周器14から出力される信号を分周して、分周クロックを位相比較器41に入力する。
【0058】
PLL回路31は、ロックされた信号(第3の信号という)を第2の分周器12に入力する。第2の分周器12は、分周比1/Npostdivを有し、PLL回路31からの出力信号を分周する。Npostdivは、電圧制御発振器の発振周波数VCOCLKをMCLKで割った値である。これにより、第2の分周器12は、想定し得るMCLKを有するオーディオ参照クロックを生成することができる。第2の分周器12の分周比は、44.1kHzの倍数及び48.0kHzの倍数に対応して、予め決められている。メモリ51は、Fs及びMCLKに関する情報に対応させて、Npostdivの値を定義したテーブルを格納している。第2の分周器12は、送信装置から送信されてくるFs及びMCLKに関する情報(たとえば、Z)に基づいて、メモリ51に格納されている当該テーブルを参照して、所望のMCLKに対応したNpstdivを読み出して、Mpostdivの値を切り替えて、分周する。これにより、第2の分周器12から、所望の周波数MCLKを有するオーディオ参照クロックが出力されることとなる。
【0059】
図2は、第1の分周器11及び周期制御部21の詳細な回路構成を示した受信装置1のブロック図である。図2において、図1と同様の部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。図3は、第1の分周器11及び周期制御部21における動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、図3において、ラッチなどによって生じる遅延は無視して記載している。以下、図2及び図3を参照しながら、第1の分周器11及び周期制御部21の動作について説明する。
【0060】
図2において、第1の分周器11は、フリップフロップ11aと、アップカウンタ11bとを含む。周期制御部21は、カウント数出力部21aと、プログラマブルカウンタ21bと、フリップフロップ74aとを含む。カウント数出力部21aは、第1の演算回路61と、第2の演算回路62と、第3の演算回路63と、アップカウンタ64と、余りラッチ65と、商ラッチ66と、マルチプレクサ67,68,69と、除算回路70と、剰余演算回路71と、比較回路72と、比較回路73と、加算回路74とを含む。
【0061】
フリップフロップ11aは、ピクセルクロックが立ち上がる瞬間におけるCTSをラッチする。フリップフロップ11aから出力されるCTSは、アップカウンタ11b、第1の演算回路61、第2の演算回路62、及び第3の演算回路63に入力される。アップカウンタ11bは、プログラマブルカウンタであり、CTSの値に応じてカウント数を調整する。アップカウンタ11bは、ピクセルクロックをCTSだけカウントしたら、リップルキャリーを出力する。図3では、アップカウンタ11bのカウントコードとして、“0”〜“CTS−1”が示されている。また、CTSのカウントによって、アップカンタ11bから、リップルキャリーが出力されていることが示されている。アップカウンタ11bから出力されるCTSがカウントされたリップルキャリーが第1の信号となる。第1の信号は、アップカウンタ11bのロード端子、フリップフロップ11a、フリップフロップ74a、第1の演算回路61、第2の演算回路62、第3の演算回路63、及びアップカウンタ64に入力される。
【0062】
フリップフロップ11aは、第1の信号のリップルキャリーが立ち上がった瞬間に、ラッチしていたCTSを出力し、次のNをラッチする。なお、図3に示すタイミングチャートでは、既に、第1の信号のリップルキャリーが立ち上がっており、フリップフロップ11aはCTSを出力していたこととしている。CTSが動的に変化していない場合は、常に同一のCTSがフリップフロップ11aから出力されることとなる。逆に、CTSが動的に変化している場合は、最新のCTSがフリップフロップ11aから出力されることとなる。アップカウンタ11bは、第1の信号のリップルキャリーが立ち上がった瞬間に、カウントコードをリセットして、カウントを開始する。したがって、アップカウンタ11bは、最新のCTSに関する第1の信号を出力することとなる。
【0063】
フリップフロップ74aは、ピクセルクロックが立ち上がる瞬間におけるNをラッチする。フリップフロップ74aは、第1の信号のリップルキャリーが立ち上がった瞬間に、ラッチしているNを出力し、次のNをラッチする。なお、図3に示すタイミングチャートでは、既に、第1の信号のリップルキャリーが立ち上がっており、フリップフロップ74aはNを出力していたこととしている。Nが動的に変化していない場合は、常に同一のNがフリップフロップ74aから出力されることとなる。逆に、Nが動的に変化している場合は、最新のNがフリップフロップ74aから出力されることとなる。フリップフロップ74aから出力されるNは、第1の演算回路61、第2の演算回路62、第3の演算回路63、アップカウンタ64、除算回路70、剰余演算回路71、及び比較回路72に入力される。
【0064】
第1の演算回路61は、ピクセルクロックに同期して、CTSをNで割ったときの商CTSquoを計算してラッチする。第2の演算回路62は、ピクセルクロックに同期して、CTSをNで割ったときの商CTSquoに1を加えたCTSquo+1を計算してラッチする。第3の演算回路63は、CTSをNで割ったときの余りCTSremを計算してラッチする。第3の演算回路63の演算結果は、加算器74に入力される。図3において、CTS及び/又はNが動的に変化しなければ、CTSquo[0]、CTSquo+1[0]、及びCTSrem[0]は、それぞれ、CTSquo[1]、CTSquo+1[1]、及びCTSrem[1]と同一となる。一方、CTS及び/又はNが動的に変化する場合、CTSquo[0]、CTSquo+1[0]、及びCTSrem[0]は、それぞれ、CTSquo[1]、CTSquo+1[1]、及びCTSrem[1]と異なる可能性がある。第1〜第3の演算回路61〜63のイネーブル端子には、アップカウンタ11bからの出力が入力されている。したがって、第1〜第3の演算回路61〜63は、アップカウンタ11bの出力にリップルキャリーが発生すると、ラッチしていた演算結果を出力し、次のCTS及びNを用いて演算して演算結果をラッチする。なお、図3に示すタイミングチャートでは、既に、第1の信号のリップルキャリーが立ち上がっており、第1〜第3の演算回路61〜63は、演算結果を出力していたこととしている。
【0065】
アップカウンタ64は、プログラマブルカウンタであり、Nの値に応じてカウント数を調整する。アップカウンタ64は、ピクセルクロックをNだけカウントする。アップカンタ64は、Nのカウントが終了する毎にカウントコードを1ずつ増加させて、当該カウントコードをラッチする。アップカウンタ64には、プログラマブルカウンタ21bからの出力信号がイネーブル端子に入力されている。アップカウンタ64は、イネーブル端子にリップルキャリーが入力される毎に、ラッチしているカウントコードを出力し、比較回路73に入力する。すなわち、図3に示すように、アップカウンタ64の出力は、プログラマブルカウンタ21bから出力されるリップルキャリーに同期している。アップカンタ64は、LOAD端子にアップカウンタ11bからのリップルキャリーが入力されると、カウントコードをリセットして、カウントコード“0”を出力し、Nのカウントを再開する。なお、図3に示すタイミングチャートでは、既に、第1の信号のリップルキャリーが立ち上がっており、アップカウンタ11bは、カウントを開始しているものとしている。図3に示すように、アップカウンタ11bからのリップルキャリーが入力された段階で、アップカウンタ64のカウントコードは、“N−1”になる。なお、第1の実施形態のアーキテクチャを用いる場合、CTS>2Nでなければならない。もし、CTS≦2Nであれば、アップカウンタ64のイネーブル端子にリップルキャリーが入力されて、次のNがカウントされるまでの間に、LOAD端子に第1の信号のリップルキャリーが入力されてしまい、アップカウンタ64の後段に接続された回路の計算が完了しないからである。
【0066】
比較回路73は、アップカウンタ64から出力されるカウントコードの2進表示した全てのビットが0であれば、0を一時記憶する。一方、比較回路73は、アップカウンタ64から出力されるカウントコードの2進表示した全てのビットが0でなければ、1を一時記憶する。
【0067】
除算回路70は、Nの2進ビットを右に1ビットシフトすることによって、Nを2で割ったときの値を計算すると共に、N/2の小数点以下を切り捨てた値を一時記憶する。加算回路74は、第3の演算回路63から出力される余りCTSremと、余りラッチ65に一時記憶されている値とを加算して、剰余演算回路71及び比較回路73に入力する。剰余演算回路71は、加算回路74から入力される値をN−1で割ったときの余りを計算し、一時記憶する。比較回路72は、加算回路74から入力される値とN−1との値を比較して、加算回路74から入力される値がN−1よりも大きければ1を一時記憶し、加算回路74から入力される値がN−1以下であれば0を一時記憶する。
【0068】
マルチプレクサ68は、比較回路73に一時記憶されている値が0の場合、除算回路70に一時記憶されている値を出力して、余りラッチ65に入力する。一方、マルチプレクサ68は、比較回路73に一時記憶されている値が1の場合、剰余演算回路71に一時記憶されている値を出力して、余りラッチ65に入力する。したがって、図3に示すように、余りラッチの値は、アップカウンタ64の出力カウントコードが0の場合、int(N/2)となり、アップカウンタ64の出力カウントコードが0以外の場合、mod((余りラッチ+CTSrem),N−1)となる。ここで、int(x)は、xの小数点を切り捨てた値を示す。mod(x,y)は、xをyで割ったときの余りを示す。N−1は、余りラッチ65に格納される値を決定するためのしきい値となる。mod((余りラッチ+CTSrem),N−1)の計算によって、余りラッチ65に格納されている値に、余りCTSremを加えた値がしきい値N−1をオーバーフローすると、オーバーフローしただけの値が余りラッチ65に格納されることとなる。
【0069】
マルチプレクサ69は、比較回路73に一時記憶されている値が0の場合、0を出力し、商ラッチ66に入力する。一方、マルチプレクサ69は、比較回路73に一時記憶されている値が1の場合、比較回路72に一時記憶されている値を出力して、商ラッチ66に入力する。したがって、図3に示すように、商ラッチの値は、quotient((余りラッチ+CTSrem),N−1)となる。ここで、quotient(x,y)は、xをyで割ったときの商を示す。したがって、余りラッチ65の値と余りCTSremとの和が、しきい値N−1をオーバーフローすると、商ラッチ66の値が1となり、それ以外は0となる。
【0070】
余りラッチ65は、ピクセルクロックに同期して動作し、プログラマブルカウンタ21bからのリップルキャリーがイネーブル端子に入力される毎に、一時記憶されている値を出力して、加算回路74に入力する。商ラッチ66は、ピクセルクロックに同期して動作し、プログラマブルカウンタ21bからのリップルキャリーがイネーブル端子に入力される毎に、一時記憶されている値を出力して、マルチプレクサ67に入力する。
【0071】
マルチプレクサ67は、商ラッチ66から入力される値が0であれば、第1の演算回路61によって演算された商CTSquoをカウント数として出力し、商ラッチ66から入力される値が1であれば、第2の演算回路62によって演算された商CTSquo+1をカウント数として出力し、プログラマブルカウンタ21bに入力する。
【0072】
プログラマブルカウンタ21bは、入力されるカウンタ数に基づいて、ピクセルクロックをカウントする。カウント数がCTSquoであれば、プログラマブルカウンタ21bは、CTSquo分カウントしたら、CTSquoに対応する値の周期を有する信号である第1のリップルキャリー(図3上Rc1と表記する)を発生させる。カウント数がCTSquo+1であれば、プログラマブルカウンタ21bは、CTSquo+1分カウントしたら、CTSquo+1に対応する値の周期を有する信号である第2のリップルキャリー(図3上Rc2と表記する)を発生させる。プログラマブルカウンタ21bから出力されるリップルキャリーは、第2の信号として、第3の分周器13に入力される。CTS=CTSquo×N+CTSrem=CTSquo×(N−CTSrem)+(CTSquo+1)×CTSremとなるので、プログラマブルカウンタ21bから出力されるリップルキャリーは、N個となる。図3から分かるように、アップカウンタ11bの出力である第1の信号の周期内に、CTSquoの値に対応する周期がN−CTSrem回含まれ、かつ、CTSquo+1の値に対応する周期がCTSrem回含まれることが分かる。
【0073】
図4は、余りラッチ65と商ラッチ66とに格納されている値の変化を模式的に示した図である。図4では、理解を容易にするために、N=12とし、CTSrem=4としている。アップカウンタ64の出力カウントコードが0のとき、余りラッチ65には、int(N/2)の値である6が入力される。その後、余りラッチ65に余りCTSremがアップカウンタ64の出力カウントコードが増加する毎に加算される。たとえば、カウントコードが2のとき、加算後の値が13となるので、しきい値11をオーバーフローした3が、余りラッチ65の値となる。このとき、商ラッチ11の値は1となる。よって、プログラマブルカウンタ21bのカウント数は、CTSquoからCTSquo+1に遷移する。図4に示すように、プログラマブルカウンタ21bのコード値について、CTSquoとCTSquo+1とは分散されていることが分かる。これは、余りCTSremの和を随時計算して、当該和がしきい値(ここでは、N−1=11)をオーバーフローするのに応じて、プログラマブルカウンタ21bのカウント数を切り替えるようにしているからである。CTSquoとCTSquo+1とが分散されることによって、CTSquoとCTSquo+1との切り替えによって発生する成分を高周波とすることができ、当該成分をローパスフィルタ43で容易に除去することが可能となる。
【0074】
CTSquoとCTSquo+1とが分散される現象についてもう少し詳しく説明する。CTSをNで除算すると、CTS=CTSquo×N+CSTremの関係式が成立する。図5は、CTSをNで除算したときの関係式を模式的に示した図である。CTSのサイクル内で、CTSquoに対応する周期を有するリップルキャリーをN個出力し、CTSremに対応する周期を有するリップルキャリーをN+1番目に出力すると、リップルキャリーがN+1個出力されることとなる。これでは、分周比1/(CTS/N)で分周したとは言えない。
【0075】
関係式CTS=CTSquo×N+CSTremは、CTS=CTSquo×(N−CTSrem)+(CTSquo+1)×CTSremという関係式に変換することができる。図6は、当該関係式を模式的に示した図である。CTSquoに対応する周期を有するリップルキャリーを第1の値N−CTSrem個出力し、第2の値CTSquo+1に対応する周期を有するリップルキャリーを余りCTSrem個出力すれば、リップルキャリーがN個出力されたこととなる。したがって、一応、分周比CTS/Nで分周したと言える。しかし、第2の値CTSquo+1に対応する周期を有するリップルキャリーがある期間に固まっていると、リファレンス信号に低周波が乗ることとなり、当該低周波を除去するのが困難となる。したがって、第2の値CTSquo+1に対応する周期を有するリップルキャリーは、分散されなければならない。そこで、本発明では、余りCTSremの和を随時計算して、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、第2のリップルキャリーを出力するようにすれば、第2の値CTSquo+1に対応する周期を有するリップルキャリーは、分散されて出力されることなる。
【0076】
したがって、カウント数出力部21aは、第1の値N−CTSremに対応する回数分商CTSquoの値をカウント数として出力し、余りCTSremに対応する回数分第2の値CTSquo+1をカウント数として出力する。さらに、カウント数出力部21aは、余りラッチ65に余りCTSremの値を随時加算し、加算後の値が、しきい値N−1以上の場合、商CTSquoの値をカウント数として出力し、加算後の値が、しきい値N−1未満の場合、第2の値CTSquo+1をカウント数として出力する。
【0077】
図7は、N=13とし、余りを0〜12に遷移させたときの余りラッチ65の値を計算した表である。図8は、N=13とし、余りを0〜12に遷移させたときの商ラッチ66の値を計算した表である。図8において、ある一つの余りの値に着目して、横に並ぶ商ラッチの値の遷移を見ると、1と0とが分散して表れていることが分かる。たとえば、余り5に着目すれば、余りラッチ66の値が、0、0、1、0、1、0、1、0、0、1、0、1、0の順に分散して遷移していることが分かる。なお、余りの値が大きければ、0の出現率は少なくなる(たとえば、余りが12や11の場合を参照)。しかし、0の出現率は少なくなるが、出現した0は、分散されていることが分かる。逆に、余りの値が大きければ、1の出現率は小さくなる(たとえば、あまりが1や2の場合を参照)。しかし、1の出現率は少なくなるが、出現した1は分散されていることが分かる。このように、余りの和を随時計算して、当該和がしきい値をオーバールローする毎に商ラッチ66の値を変化させ、商ラッチ66の値に応じて、リップルキャリーの周期を選択すれば、CTSquoとCTSquo+1との切り替えによって発生する成分を高周波とすることができる。
【0078】
このように、第1の実施形態によれば、ピクセルクロックを分周比1/CTSではなく、分周比1/(CTS/N)で分周するので、周期制御部21から出力される信号の周波数を従来に比べて高くすることができる。第1の実施形態では、周期制御部21から出力された第2の信号は、第3の分周器13によって、分周比1/cで分周されているが、cは、MCLK0を割り切ることができる値であり、リファレンス周波数が従来のように低くなり過ぎず、かつPLL回路31の設計が容易になる程度の値である。後述の図16に示すように、たとえば、c=16である。したがって、第3の分周器13から出力されるリファレンス信号の周波数も、従来に比べて高くすることができる。これにより、従来の課題であった、オンチップ化の困難さ、試験の正確性向上、及びオーディオ参照クロックのジッタの問題が解消されることとなる。
【0079】
さらに、第1の実施形態では、余りの和を随時計算して、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、周期が異なるリップルキャリーを発生させて、分周比1/(CTS/N)での分周を実現している。したがって、ピクセルクロックが分周されて生じるノイズを高周波にすることができるので、容易に当該高周波を除去することができ、より正確にオーディオ参照クロックを生成することができる。
【0080】
また、第1の実施形態では、電圧制御発振器44の発振周波数VCOCLKが所望周波数MCLKの公倍数に設定されているので、分周比を適宜調整可能な第2の分周器12を用いることによって、簡単に、所望のオーディオ参照クロックを生成することができる。加えて、電圧制御発振器44の発振周波数VCOCLKを所望周波数MCLKの公倍数にすることによって、PLL回路31のロックレンジを狭くすることができる。したがって、PLL回路31の構成を簡易にすることができる。
【0081】
第3の分周器13によって、リファレンス周波数が下げられている。リファレンス周波数が高い程、位相雑音の比が大きくなるので、第3の分周器13を設けることによって、位相雑音の比を小さくすることが可能となる。さらに、PLL回路13に入力されるリファレンス信号の周波数が所望周波数MCLKの最大公約数となるように、cを決定すれば、リファレンス周波数のバラツキを抑えることができる。なお、所望周波数MCLKが変動する場合、cに関する情報は、MCLKに関する情報と関連づけてメモリ51に格納されていて、第3の分周器13は、適切なcを用いて第2の信号を分周するようにしてもよい。
【0082】
なお、プリスケーラである第4の分周器14は、第5の分周器15による動作周波数の制限によって設けられているのであって、本発明においては、必須の構成ではない。
【0083】
なお、第1の実施形態では、カウント数出力部21aは、商ラッチ66が1の場合にカウント数として第2の値CTSquo+1を出力し、商ラッチ66が0の場合にカウント数として商CTSquoを出力することとした。しかし、これは、逆であってもよい。すなわち、カウント数出力部21aは、商ラッチ66が0の場合にカウント数として第2の値CTSquo+1を出力し、商ラッチ66が1の場合にカウント数として商CTSquoを出力することとしてもよい。この場合、マルチプレクサ67の動作が逆になる以外は、上記第1の実施形態と同様である。この変形により、周期制御部21は、余りの和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、第2の信号の周期を制御すると言える。当該逆の変形は、以下に説明する第2〜第8の実施形態全てにおいても適用可能である。
【0084】
(第2の実施形態)
第1の実施形態の構成を用いる場合、CTS>2×Nでなければならないので、ピクセルクロックの周波数fTMDS_clockは、所望周波数MCLKの2倍よりも大きくなければならない。すなわち、fTMDS_clock>2×MCLKでなければならない。したがって、fTMDS_clock=27.0MHzで、MCLK=24.576MHzの場合、第1の実施形態の構成を用いた場合、適切に、所望のオーディオ参照クロックを生成することができない可能性がある。
【0085】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る受信装置2の機能的構成を示すブロック図である。図9において、第1の実施形態と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0086】
図9に示すように、受信装置2は、分数分周器10aと、第3の分周器13aとを備える。分数分周器10aは、周期制御部21cを含む。分数分周器10aは、分周比1/(CTS/(N/Y))で分周する。第3の分周器13aは、周期制御部21cから出力される信号を分周比Y/cで分周する。これら以外は、第1の実施形態と同様である。Yは、N及びcを割り切ることができる自然数である。
【0087】
周期制御部21cの動作説明に、図2を援用する。第1〜3の演算回路61〜63及びアップカウンタ64には、N/Yの値が入力される。N/Yが第3の自然数となる。第1の演算回路61は、CTS/(N/Y)の商CTSquoを出力する。第2の演算回路62は、CTS/(N/Y)の商CTSquoに1を加えたCTSquo+1を出力する。第3の演算回路63は、CTS/(N/Y)の余りCTSremを出力する。アップカウンタ64は、ピクセルクロックを分周比1/(N/Y)で分周する。プログラムカウンタ21bは、第1の信号の周期内で、(N/Y)個のリップルキャリーを出力し、第3の分周器13aに入力する。すなわち、周期制御部21cは、ピクセルクロックを、第2の自然数Nを割り切ることができる値Yで割った第3の自然数N/Yで、第1の自然数CTSを割ったCTS/(N/Y)の逆数で分周し、ピクセルクロックが分周されたタイミングに同期して、第2の信号を出力する。図9において、MCLK0=fTMDS_clock/(CTS/(N/Y))×(Y/c)/(1/c)であるので、通分して、MCLK0=fTMDS_clock×N/CTSとなり、定義通りとなる。ここで、N/Yを第3の自然数Nyとすると、CTS≦2×Nであったとしても、CTS>2×NyとなるYを選択することができる。
【0088】
よって、第2の実施形態に係る受信装置2を用いれば、fTMDS_clock>2×MCLKであったとしても、fTMDS_clockとMCLK0との条件緩和に役立ち、所望のオーディオ参照クロックを生成することが可能となる。
【0089】
なお、第2の実施形態の変形は、以下で説明する第3〜第8の実施形態全てに適用することができる。
【0090】
(第3の実施形態)
図10は、本発明の第3の実施形態に係る受信装置3の機能的構成を示すブロック図である。図10において、第1の実施形態と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0091】
図10に示すように、受信装置3は、分数分周器10bと、PLL回路31aと、メモリ51aとを備える。分数分周器10bは、周期制御部21dを含む。PLL回路31aは、第7の分周器17を含む。メモリ51aは、Nを割り切ることができる第3の自然数Ndivを、MCLKに対応させて記憶している。周期制御部21d及び第7の分周器17は、所望のMCLKに対応するNdivをメモリ51aから読み出す。Ndivは、Nを割り切ることができる値であるので、第7の分周器17は、分数分周器である必要はなく、通常のプログラマブルカウンタでよい。
【0092】
周期制御部21dは、Ndivを用いて、演算を行う。第1の実施形態との相違点を図2を用いて説明する。まず、フリップフロップ74aの後段に、NをNdivで割ったときの商N/Ndivを演算して一時記憶する回路が配置される。第1〜第3の演算回路61〜63、アップカウンタ64、除算回路70、剰余演算回路71、及び比較回路72には、N/Ndivが入力される。第1〜第3の演算回路61〜63、アップカウンタ64、除算回路70、剰余演算回路71、及び比較回路72は、それぞれ、Nに変わって、N/Ndivを用いた演算を行う。したがって、周期制御部21dは、第1の自然数CTSを第2の自然数Nを割り切る第3の自然数Ndivで除算したときの商CTSquoと余りCTSremについて、商CTSquoの値に対応する周期を第3の自然数Ndivから余りCTSremを減算した第1の値Ndiv−CTSremに対応する回数分第1の信号の周期内に含み、かつ、商CTSquoの値に1を加えた第2の値CTSquo+1に対応する周期を余りCTSremに対応する回数分第1の信号の周期内に含む第2の信号を出力することとなる。
【0093】
このように、第2の自然数Nとは異なる第3の自然数Ndivを用いてもよい。周期制御部21dから出力されるリファレンス信号の周波数は、従来に比べて高くなっているので、第3の実施形態において、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0094】
なお、特許請求の範囲上の第3の自然数は、第2の自然数と同一である場合も含む用語として使用している。
【0095】
(第4の実施形態)
図11は、本発明の第4の実施形態に係る受信装置4の機能的構成を示すブロック図である。図11において、第1の実施形態と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0096】
図11に示すように、第4の実施形態では、第1の実施形態と異なり、第3の分周器13と、第5の分周器15とが省略されている。周期制御部21から出力される第2の信号は、直接、リファレンス信号となって、PLL回路31bに入力される。リファレンス周波数は、MCLK0となる。第4の分周器14で用いられる分周比は、MCLK0を得ることができるように設定されている。これにより、PLL回路31bは、周波数がVCOCLKの信号を出力することができる。第1の実施形態と同様に、第2の分周器12を用いて、所望周波数MCLKを有するオーディオ参照クロックが生成される。
【0097】
このように、第4の実施形態においても、周期制御部21から出力されるリファレンス信号の周波数は、従来に比べて高くなっているので、第4の実施形態において、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0098】
(第5の実施形態)
図12は、本発明の第5の実施形態に係る受信装置5の機能的構成を示すブロック図である。図12において、第1の実施形態と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0099】
図12に示すように、第5の実施形態では、第4の実施形態と異なり、第1の分周器11cは、分周比1/(CTS×a)でピクセルクロックを分周している。aは、MCLK0を割り切ることができる整数である。分数分周器10cは、ピクセルクロックを分周比1/((CTS×a)/N)で分周しているととらえることができる。第8の分周器18は、第4の分周器14から出力される信号(周波数がMCLK0)を分周比1/aで分周している。これにより、PLL回路31cは、周波数がVCOCLKの信号を出力することができる。第1の実施形態と同様に、第2の分周器12を用いて、所望周波数MCLKを有するオーディオ参照クロックが生成される。
【0100】
このように、第5の実施形態においても、周期制御部21から出力されるリファレンス信号の周波数は、従来に比べて高くなっているので、第5の実施形態において、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0101】
(第6の実施形態)
図13は、本発明の第6の実施形態に係る受信装置6の機能的構成を示すブロック図である。図13において、第1及び第5の実施形態と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。以下、第1及び第5の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0102】
PLL回路31dは、第9の分周器19を含む。第5の実施形態と異なり、PLL回路31dは、第4の分周器14を含まない。第9の分周器19は、電圧制御発振器44から出力される信号を分周比1/bで分周している。bは、VCOCKLを割り切ることができる値で、aの倍数である。これにより、PLL回路31dは、周波数がVCOCLKの信号を出力することができる。第1の実施形態と同様に、第2の分周器12を用いて、所望周波数MCLKを有するオーディオ参照クロックが生成される。
【0103】
このように、第6の実施形態においても、周期制御部21から出力されるリファレンス信号の周波数は、従来に比べて高くなっているので、第6の実施形態において、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0104】
(第7の実施形態)
図14は、本発明の第7の実施形態に係る受信装置7の機能的構成を示すブロック図である。図14において、第1の実施形態と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0105】
第1の実施形態と異なり、PLL回路31eは、第4の分周器14及び第5の分周器15を含まない。電圧制御発振器44からの出力は、そのまま位相比較器に入力される。このようにしても、PLL回路31eは、周波数をVCOCLKにロックすることができる。
【0106】
(第8の実施形態)
図15は、本発明の第8の実施形態に係る受信装置8の機能的構成を示すブロック図である。図15において、第1の実施形態と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0107】
第10の分周器110は、電圧制御発振器44から出力される信号を、分周比1/dで分周して、フィードバックさせる。dは、VCOCLKを割り切ることができる値である。このようにしても、PLL回路31fは、周波数をVCOCLKにロックすることができる。第1の実施形態と同様に、第2の分周器12を用いて、所望周波数MCLKを有するオーディオ参照クロックが生成される。
【0108】
このように、第8の実施形態においても、第3の分周器13から出力されるリファレンス信号の周波数は、従来に比べて高くなっているので、第8の実施形態において、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0109】
なお、上記実施形態における受信装置は、受信側電子機器の中に組み込まれていても良い。また、上記実施形態における受信装置は、ビデオデータ及びオーディオデータを送受信するためのシステムの中に組み込まれていても良い。また、上記実施形態における受信装置は、あらゆる周知の手段を用いて半導体回路として提供されても良い。また、上記実施形態における受信装置は、半導体設計の際に使用されるマクロとして提供されてもよい。また、上記実施形態における受信装置で用いられるオーディオ参照クロックの生成方法は、上記システムの中で、ハードウエア的手段及び/又はソフトウエア的手段によって、実行され得る。また、上記実施形態で用いられた周期制御部を含む装置自体は、余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、第1又は第2のリップルキャリーのいずれか一方を出力することができる分周器としても提供可能である。
【0110】
なお、本発明は、プログラムカウンタや演算回路、フリップフロップなどを組み合わせてゲートレベルで設計することによって実現されてもよいし、VHDL等のハードウエア記述言語でRTL記述することによって実現されてもよいし、ステートマシンを使ったシーケンサによって実現されてもよいし、各種プログラミング言語を用いてプログラミングされたプログラムをメモリに格納しておき、マイコンやDSP、CPUなどのコンピュータ装置が当該プログラムを読み込んで実現されてもよい。
【0111】
なお、上記全ての実施形態において、受信装置内にPLL回路を設けることとしたが、周期制御部から出力される信号の周波数がMCLK0を有している場合もあり、ジッタ特性を問わないのであれば、周期制御部から出力される信号を使用することができるので、本発明において、PLL回路は、必須の構成ではない。また、周波数制御部から出力される信号の周波数がMCLK0でなかったとしても、周期制御部から出力される信号を使用することができる場合もあるので、やはり、この場合においても、PLL回路は、必須の構成ではない。
【0112】
なお、上記全ての実施形態において、第1の分周器に入力される信号はピクセルクロックであるとした。しかし、MCLK0=(fTMDS_clock×N)/CTSの関係が成立しているので、ピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号が第1の分周器に入力されたとしても、上記全ての実施形態の受信装置は、上記で説明した動作に準じて動作し、所望の周波数を有するオーディオ参照クロックを出力することができる。たとえば、図3を参照した場合、ピクセルクロックの周波数が整数倍になったとしても、アップカウンタ11bの出力は、CTSをカウントできる。したがって、ピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号が第1の分周器に入力されたとしても、受信装置は、適切に動作することが分かる。
【0113】
(数値例)
図16は、第1〜第8の実施形態における受信装置1〜8で用いられた数値の一例を示す表である。図17及び図18は、サンプリング周波数Fs及び整数Z(すなわち、MCLK)に対して、如何なるNpostdivが用いられるかを示した表である。図17は、48.0kHz系列のNpostdivを示す。図18は、44.1kHz系列のNpostdivを示す。図16〜図18に示すように、各実施形態において、適切な分周比を用いれば、VCOCLKを589.824MHz又は541.9008MHzにすることによって、想定し得るMCLKを生成することができる受信装置が提供されることが分かる。
【0114】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明によれば、オーディオ参照クロックを生成することができる受信装置が提供され、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第1の実施形態における受信装置1の機能的構成を示すブロック図
【図2】第1の分周器11及び周期制御部21の詳細な回路構成を示した受信装置1のブロック図
【図3】第1の分周器11及び周期制御部21における動作の一例を示すタイミングチャート
【図4】余りラッチ65と商ラッチ66とに格納されている値の変化を模式的に示した図
【図5】CTSをNで除算したときの関係式を模式的に示した図
【図6】関係式を模式的に示した図
【図7】N=13とし、余りを0〜12に遷移させたときの余りラッチ65の値を計算した表
【図8】N=13とし、余りを0〜12に遷移させたときの商ラッチ66の値を計算した表
【図9】本発明の第2の実施形態に係る受信装置2の機能的構成を示すブロック図
【図10】本発明の第3の実施形態に係る受信装置3の機能的構成を示すブロック図
【図11】本発明の第4の実施形態に係る受信装置4の機能的構成を示すブロック図
【図12】本発明の第5の実施形態に係る受信装置5の機能的構成を示すブロック図
【図13】本発明の第6の実施形態に係る受信装置6の機能的構成を示すブロック図
【図14】本発明の第7の実施形態に係る受信装置7の機能的構成を示すブロック図
【図15】本発明の第8の実施形態に係る受信装置8の機能的構成を示すブロック図
【図16】第1〜第8の実施形態における受信装置1〜8で用いられた数値の一例を示す表
【図17】サンプリング周波数Fs及び整数Zに対して、如何なるNpostdivが用いられるかを示した表
【図18】サンプリング周波数Fs及び整数Zに対して、如何なるNpostdivが用いられるかを示した表
【図19】送信側電子機器900から受信側電子機器903にデータが送信されるときの一般的なシステム概念を示すブロック図
【図20】HDMI規格で用いられるシステムの内、オーディオデータを再生するために必要なオーディオ参照クロックを生成するための構成を示すブロック図
【図21】受信装置904における逓倍器913の詳細な機能的構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0117】
1,2,3,4,5,6,7,8 受信装置
11,11c 第1の分周器
11a フリップフロップ
11b アップカウンタ
12 第2の分周器
13 第3の分周器
13a 第3の分周器
14 第4の分周器
15 第5の分周器
17 第7の分周器
18 第8の分周器
19 第9の分周器
110 第10の分周器
10a,10b,10c 分数分周器
21,21c,21d 周期制御部
21a カウント数出力部
21b プログラマブルカウンタ
31,31a,31c,31e,31d,31f PLL回路
41 位相比較器
42 チャージポンプ
43 ローパスフィルタ
44 電圧制御発振器
51,51a メモリ
61 第1の演算回路
62 第2の演算回路
63 第3の演算回路
64 アップカウンタ
65 余りラッチ
66 商ラッチ
67,68,69 マルチプレクサ
70 除算回路
71 剰余演算回路
72,73比較回路
74 加算回路
74a フリップフロップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、前記ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、前記第1の自然数、及び前記第2の自然数が、送信装置から受信装置に送信されるシステムにおいて用いられる受信装置であって、
前記ピクセルクロック又は前記ピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を前記第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力する第1の分周器と、
前記第1の自然数の一以上の整数倍の値を前記第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、前記商の値に対応する周期を前記第3の自然数から前記余りを減算した第1の値に対応する回数分前記第1の信号の周期内に含み、かつ、前記商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を前記余りに対応する回数分前記第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、前記ピクセルクロックの周期を制御することによって出力する周期制御部とを備え、
前記周期制御部は、前記余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、前記第2の信号の周期を制御することを特徴とする、受信装置。
【請求項2】
前記周期制御部は、
前記第1の値に対応する回数分、前記商の値をカウント数として出力し、前記余りに対応する回数分、前記第2の値をカウント数として出力するカウント数出力部と、
前記カウント数出力部が出力した前記カウント数をカウントして、前記ピクセルクロックの周期を制御するプログラマブルカウンタとを含む、請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記カウント数出力部は、
ラッチに前記余りの値を順次加算し、
加算後の値が、前記しきい値以上の場合、前記商の値をカウント数として出力し、
加算後の値が、前記しきい値未満の場合、前記第2の値をカウント数として出力することを特徴とする、請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記カウント数出力部は、
前記商を計算する第1の演算回路と、
前記第2の値を計算する第2の演算回路と、
前記余りを計算する第3の演算回路と、
前記第1の分周器から出力される前記第1の信号のリップルキャリー間で、前記第3の自然数を繰り返しカウントするカウンタと、
余りラッチと、
商ラッチと、
前記商ラッチの値に応じて、前記第1又は第2の演算回路による出力を選択して、前記カウント数として出力するマルチプレクサとを含み、
前記余りラッチは、
前記カウンタによって最初に前記第3の自然数がカウントされたとき、前記第3の自然数を2で割ったときの値の小数点以下を切り捨てた値を保持し、
前記カウンタによって最初に前記第3の自然数がカウントされたとき以外の場合、前記余りラッチに保持されている値に前記第3の演算回路で演算された前記余りを加算した値に対して、前記しきい値を引いた値を除算したときの余りを保持し、
前記商ラッチは、
前記余りラッチに保持されている値に前記第3の演算回路で演算された前記余りを加算した値に対して、前記しきい値を除算したときの商を保持し、
前記マルチプレクサは、前記商ラッチに保持されている値が1のとき、前記第2の演算回路の出力を選択し、前記商ラッチに保持されている値が1以外のとき、前記第1の演算回路の出力を選択することを特徴とする、請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記カウント数出力部は、
ラッチに前記余りの値を加算し、
加算後の値が、前記しきい値以上の場合、前記第2の値をカウント数として出力し、
加算後の値が、前記しきい値未満の場合、前記商の値をカウント数として出力することを特徴とする、請求項2に記載の受信装置。
【請求項6】
前記カウント数出力部は、
前記商を計算する第1の演算回路と、
前記第2の値を計算する第2の演算回路と、
前記余りを計算する第3の演算回路と、
前記第1の分周器から出力される前記第1の信号のリップルキャリー間で、前記第3の自然数を繰り返しカウントするカウンタと、
余りラッチと、
商ラッチと、
前記商ラッチの値に応じて、前記第1又は第2の演算回路による出力を選択して、前記カウント数として出力するマルチプレクサとを含み、
前記余りラッチは、
前記カウンタによって最初に前記第3の自然数がカウントされたとき、前記第3の自然数を2で割ったときの値の小数点以下を切り捨てた値を保持し、
前記カウンタによって最初に前記第3の自然数がカウントされたとき以外の場合、前記余りラッチに保持されている値に前記第3の演算回路で演算された前記余りを加算した値に対して、前記しきい値を引いた値を除算したときの余りを保持し、
前記商ラッチは、
前記余りラッチに保持されている値に前記第3の演算回路で演算された前記余りを加算した値に対して、前記しきい値を除算したときの商を保持し、
前記マルチプレクサは、前記商ラッチに保持されている値が1のとき、前記第1の演算回路の出力を選択し、前記商ラッチに保持されている値が1以外のとき、前記第2の演算回路の出力を選択することを特徴とする、請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記周期制御部から出力される前記第2の信号によって得られるリファレンス信号に基づいて、所望の周波数にロックされた信号を出力するPLL回路をさらに備え、
前記PLL回路は、前記サンプリング周波数を整数倍した所望周波数の整数倍の周波数を発振する電圧制御発振器を含み、
前記PLL回路の後段に、前記PLL回路から出力される第3の信号を分周して、前記所望周波数の信号を出力する第2の分周器をさらに備える、請求項1〜6のいずれかに記載の受信装置。
【請求項8】
前記電圧制御発振器は、複数の前記所望周波数の公倍数を有する周波数を発振し、
前記第2の分周器は、前記所望周波数に応じて、分周比を切り替えることを特徴とする、請求項7に記載の受信装置。
【請求項9】
前記電圧制御発振器は、相異なる第1及び第2の周波数の公倍数を有する周波数を発振することができ、
前記分周比は、前記第1の周波数の倍数及び前記第2の周波数の倍数に対応して、予め決められていることを特徴とする、請求項8に記載の受信装置。
【請求項10】
前記第3の自然数は、前記第2の自然数と同一であり、
前記第1の分周器は、前記送信クロックを前記第1の自然数の逆数で分周することを特徴とする、請求項7に記載の受信装置。
【請求項11】
前記周期制御部から出力される前記第2の信号を分周して、前記リファレンス信号として出力する第3の分周器をさらに備える、請求項10に記載の受信装置。
【請求項12】
前記PLL回路は、
前記電圧制御発振器から出力される信号を分周する第4の分周器と、
前記第4の分周器から出力される信号を、前記第3の分周器の分周比と同一の分周比によって分周してフィードバックさせる第5の分周器とを含む、請求項11に記載の受信装置。
【請求項13】
前記第1の分周器は、前記ピクセルクロックを前記第1の自然数の逆数で分周し、
前記周期制御部は、前記ピクセルクロックを、前記第2の自然数を割り切ることができる値で割った値で、前記第1の自然数を割った値の逆数で分周し、前記ピクセルクロックが分周されたタイミングに同期して、前記第2の信号を出力することを特徴とする、請求項7に記載の受信装置。
【請求項14】
前記第3の自然数は、前記第2の自然数を割り切ることができる値であり、
前記第1の分周器は、前記送信クロックを前記第1の自然数の逆数で分周し、
前記周期制御部から出力される前記第2の信号が、前記PLL回路に入力されるリファレンス信号となり、
前記PLL回路は、
前記電圧制御発振器から出力される信号を分周する第4の分周器と、
前記第4の分周器から出力される信号を、前記第2の自然数を前記第3の自然数で除算したときの商の逆数によって分周してフィードバックさせる第7の分周器とを含む、請求項7に記載の受信装置。
【請求項15】
前記第3の自然数は、前記第2の自然数と同一であり、
前記周期制御部から出力される前記第2の信号が、前記PLL回路に入力されるリファレンス信号となり、
前記PLL回路は、前記電圧制御発振器から出力される信号を分周してフィードバックさせる第4の分周回路を含む、請求項7に記載の受信装置。
【請求項16】
前記第3の自然数は、前記第2の自然数と同一であり、
前記周期制御部から出力される前記第2の信号が、前記PLL回路に入力されるリファレンス信号となり、
前記第1の分周器は、前記第1の自然数をa(aは2以上の整数)倍した数の逆数で前記ピクセルクロックを分周し、
前記PLL回路は、
前記電圧制御発振器から出力される信号を分周する第4の分周器と、
前記第4の分周器から出力される信号を、1/aで分周してフィードバックさせる第8の分周器とを含む、請求項7に記載の受信装置。
【請求項17】
前記第3の自然数は、前記第2の自然数と同一であり、
前記周期制御部から出力される前記第2の信号が、前記PLL回路に入力されるリファレンス信号となり、
前記第1の分周器は、前記第1の自然数をa(aは2以上の整数倍)した数の逆数で前記ピクセルクロックを分周し、
前記PLL回路は、
前記電圧制御発振器から出力される信号を、1/b(bは、aの倍数)で分周してフィードバックさせる第9の分周器とを含む、請求項7に記載の受信装置。
【請求項18】
前記第3の自然数は、前記第2の自然数と同一であり、
前記PLL回路は、前記電圧制御発振器から出力される信号をフィードバックさせて、発振周波数をロックすることを特徴とする、請求項7に記載の受信装置。
【請求項19】
前記第3の自然数は、前記第2の自然数と同一であり、
前記PLL回路は、前記電圧制御発振器から出力される信号を、1/dで分周してフィードバックさせる第10の分周器とを含むことを特徴とする、請求項7に記載の受信装置。
【請求項20】
ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、前記ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、前記第1の自然数、及び前記第2の自然数が、送信側電子機器から受信側電子機器に送信されるシステムにおいて用いられる受信側電子機器であって、
前記ピクセルクロック又は前記ピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を前記第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力する第1の分周器と、
前記第1の自然数の一以上の整数倍の値を前記第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、前記商の値に対応する周期を前記第3の自然数から前記余りを減算した第1の値に対応する回数分前記第1の信号の周期内に含み、かつ、前記商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を前記余りに対応する回数分前記第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、前記ピクセルクロックの周期を制御することによって出力する周期制御部とを備え、
前記周期制御部は、前記余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、前記第2の信号の周期を制御することを特徴とする、受信側電子機器。
【請求項21】
ビデオデータ及びオーディオデータを送受信するためのシステムであって、
前記ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、前記ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、前記第1の自然数、及び前記第2の自然数を送信する送信装置と、
前記送信装置から送信される前記ピクセルクロック、前記サンプリング周波数、前記第1の自然数、及び前記第2の自然数を受信する受信装置とを備え、
前記受信装置は、
前記ピクセルクロック又は前記ピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を前記第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力する第1の分周器と、
前記第1の自然数の一以上の整数倍の値を前記第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、前記商の値に対応する周期を前記第3の自然数から前記余りを減算した第1の値に対応する回数分前記第1の信号の周期内に含み、かつ、前記商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を前記余りに対応する回数分前記第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、前記ピクセルクロックの周期を制御することによって出力する周期制御部とを備え、
前記周期制御部は、前記余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、前記第2の信号の周期を制御することを特徴とする、システム。
【請求項22】
ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、前記ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、前記第1の自然数、及び前記第2の自然数が、送信装置から受信装置に送信されるシステムにおいて用いられる前記受信装置に含まれる得る半導体回路であって、
前記ピクセルクロック又は前記ピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を前記第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力する第1の分周器と、
前記第1の自然数の一以上の整数倍の値を前記第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、前記商の値に対応する周期を前記第3の自然数から前記余りを減算した第1の値に対応する回数分前記第1の信号の周期内に含み、かつ、前記商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を前記余りに対応する回数分前記第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、前記ピクセルクロックの周期を制御することによって出力する周期制御部とを備え、
前記周期制御部は、前記余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、前記第2の信号の周期を制御することを特徴とする、半導体回路。
【請求項23】
ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、前記ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、前記第1の自然数、及び前記第2の自然数が、送信装置から受信装置に送信されるシステムにおいて用いられる前記受信装置に含まれる得る半導体回路で用いられるマクロであって、
前記ピクセルクロック又は前記ピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を前記第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力する第1の分周部と、
前記第1の自然数の一以上の整数倍の値を前記第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、前記商の値に対応する周期を前記第3の自然数から前記余りを減算した第1の値に対応する回数分前記第1の信号の周期内に含み、かつ、前記商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を前記余りに対応する回数分前記第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、前記ピクセルクロックの周期を制御することによって出力する周期制御部とを備え、
前記周期制御部は、前記余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、前記第2の信号の周期を制御することを特徴とする、マクロ。
【請求項24】
ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、前記ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、前記第1の自然数、及び前記第2の自然数が、送信装置から受信装置に送信されるシステムにおいて前記受信装置側で用いられる所望のオーディオ参照クロックを生成するための方法であって、
前記ピクセルクロック又は前記ピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を前記第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力し、
前記第1の自然数の一以上の整数倍の値を前記第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、前記商の値に対応する周期を前記第3の自然数から前記余りを減算した第1の値に対応する回数分前記第1の信号の周期内に含み、かつ、前記商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を前記余りに対応する回数分前記第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、前記ピクセルクロックの周期を制御することによって出力し、
前記第2の信号を出力する際、前記余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、前記第2の信号の周期を制御することを特徴とする、方法。
【請求項25】
クロック信号、第1の自然数、及び第2の自然数が与えられる分周器であって、
前記ピクセルクロック又は前記ピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を前記第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周して、第1の信号として出力する第1の分周器と、
前記第1の自然数の一以上の整数倍の値を前記第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、前記商の値に対応する周期を前記第3の自然数から前記余りを減算した第1の値に対応する回数分前記第1の信号の周期内に含み、かつ、前記商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を前記余りに対応する回数分前記第1の信号の周期内に含むようにした第2の信号を、前記ピクセルクロックの周期を制御することによって出力する周期制御部とを備え、
前記周期制御部は、前記余りの和を随時計算し、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、前記第2の信号の周期を制御することを特徴とする、分周器。
【請求項26】
ビデオデータの再生に必要なピクセルクロックの周波数をオーディオ参照クロックの周波数で除算したときの有理関係における分子の値を第1の自然数とし、分母の値を第2の自然数とした場合、前記ピクセルクロックに付随させて、サンプリング周波数、前記第1の自然数、及び前記第2の自然数が、送信装置から受信装置に送信されるシステムにおいて用いられるコンピュータ装置上で実行されるプログラムであって、
前記コンピュータ装置に、
前記ピクセルクロック又は前記ピクセルクロックの整数倍の周波数を有する信号を前記第1の自然数の1以上の整数倍の逆数で分周させ、
前記第1の自然数の一以上の整数倍の値を前記第2の自然数と同一又は異なる第3の自然数で除算したときの商と余りについて、前記商の値に対応する周期を前記第3の自然数から前記余りを減算した第1の値に対応する回数分前記分周後の周期内に含ませ、かつ、前記商の値に1を加えた第2の値に対応する周期を前記余りに対応する回数分前記分周後の周期内に含ませるように、前記ピクセルクロックの周期を制御させ、
前記ピクセルクロックの周期を制御させる際、前記余りの和を随時計算させ、当該和がしきい値をオーバーフローするときに応じて、前記ピクセルクロックの周期を制御させることを特徴とする、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−267651(P2009−267651A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113188(P2008−113188)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【特許番号】特許第4315462号(P4315462)
【特許公報発行日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(506231249)シリコンライブラリ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】