オートステレオスコピーを可能にするフィルム
ステレオスコピック3D液晶ディスプレイモジュールは、液晶ディスプレイパネル及び液晶ディスプレイパネルに光を供給するように配置された指向性バックライトを含む。両面プリズムフィルムが、液晶ディスプレイパネルと指向性バックライトとの間に設けられている。プリズムフィルムは、液晶ディスプレイパネルに隣接する一連の円筒形レンズを有する第1表面と、指向性バックライトに隣接する一連の非連続プリズムを有し、第1表面に対して反対側を向く第2表面とを含む。非連続プリズムのそれぞれは、平坦な透過性部分又は不透明部分によって隣接するプリズムから分離されている。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
3D/ステレオは、急速に発展している技術である。この技術は、様々な方法で実施される。ステレオスコピックソリューションは、シャッター眼鏡、偏光眼鏡、及びユーザーによる追加装置の着用を必要とするその他のものを含む。追加装置を必要としないオートステレオスコピックソリューションへの関心は高まっているが、空間多重方式は貧弱な鑑賞体験をもたらす場合があり、高品質のオートステレオスコピックディスプレイを提供する目的で幾つかの技術が開発されてきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
幾つかのオートステレオスコピックソリューションは、両面に連続機構を備える両面フィルムを使用する。しかし、この特定の種類のフィルムは、幾つかの欠点を有する場合がある。薄いランド部(レンズ機構と基材との間、若しくはプリズム機構と基材との間のいずれか、又はその両方)が光学部品によって厚みに組み込まれるが、鋭い角部及びランド部の厚みが層間剥離を発生させる場合がある。更に、両面フィルム上の機構の大きさ及び構造の差異が、フィルムのゆがみを悪化させる場合がある。光学的視点からは、連続機構を備える両面フィルムは、望ましい視野範囲よりも水平方向に広い視野範囲も有する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明のステレオスコピック3D液晶ディスプレイモジュールは、液晶ディスプレイパネル及び液晶ディスプレイパネルに光を供給するように配置された指向性バックライトを含む。両面プリズムフィルムは、液晶ディスプレイパネルと指向性バックライトとの間に設けられる。プリズムフィルムは、液晶ディスプレイパネルに隣接する複数の円筒形レンズを有する第1表面と、指向性バックライトに隣接する複数の非連続プリズムを有し、第1表面に対して反対側を向く第2表面とを含む。
【0004】
本発明のステレオスコピック3D液晶ディスプレイ装置は、液晶ディスプレイパネル及び液晶ディスプレイパネルに光を供給するように配置された指向性バックライトを含む。指向性バックライトは、第1側面、第1側面に対して反対側を向く第2側面、第1側面と第2側面との間に延びる第1表面、及び第1表面に対して反対側を向く第2表面、を有する光ガイドを含む。光ガイドの第1表面は実質的に光を方向転換し、第2表面は実質的に光を液晶ディスプレイパネルへと透過する。指向性バックライトは、光ガイドの第1側面に沿って設けられる第1光源及び光ガイドの第2側面に沿って配置される第2光源も含む。同期駆動素子は第1光源及び第2光源に電気的に接続されており、この同期駆動素子は、第1光源又は第2光源のそれぞれを交互にオン又はオフに切り替えて第1側面と第2側面とを同期させる。この装置は、液晶ディスプレイパネルと指向性バックライトとの間に設けられている両面プリズムフィルムも含む。プリズムフィルムは、液晶ディスプレイパネルに隣接する複数の円筒形レンズを有する第1表面と、指向性バックライトに隣接する複数の非連続プリズムを有し、第1表面に対して反対側を向く第2表面とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明はより完全に理解され得る。
【図1】例示のディスプレイ装置の概略的側面図。
【図2A】動作中である例示的なディスプレイ装置の概略的側面図。
【図2B】動作中である例示的なディスプレイ装置の概略的側面図。
【図3A】3Dフィルムを製造するためのプロセスで使用されるツールの図。
【図3B】ツールに黒色の材料をコーティングしていることを示す図。
【図3C】黒色の材料を硬化させていることを示す図。
【図3D】ツールに光学樹脂をコーティングして非連続プリズムを形成することを示す図。
【図4】光学樹脂を硬化させていることを示す図。
【図5】光学フィルムにプリズムを形成するためにツールから取り外された硬化樹脂の図。
【図6】非連続プリズムの間に不透明部分を有する3Dフィルムを形成するために光学フィルムに付加されたレンズの図。
【図7】非連続プリズムの間に透過性部分を有する3Dフィルムの図。
【0006】
図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図中で用いられる類似の数字は、類似の構成要素を示す。しかし、所与の図中の構成要素を意味する数字の使用は、同一数字でラベルした別の図中の構成要素を制約するものではないことは理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次の記述において、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照し、幾つかの特定の実施形態を例として示す。本発明の範囲又は趣旨を逸脱せずに、その他の実施形態が考えられ、実施され得ることを理解すべきである。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定する意味で理解すべきではない。
【0008】
本明細書で使用するすべての科学用語及び専門用語は、特に指示がない限り、当該技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書にて提供される定義は、本明細書でしばしば使用される幾つかの用語の理解を促進しようとするものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0009】
他に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴の大きさ、量、物理特性を表わす数字はすべて、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0010】
端点による数値範囲の詳述には、その範囲内に組み入れられる全ての数が包含され(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が包含される)並びにその範囲内のあらゆる範囲が包含される。
【0011】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「ある(a及びan)」及び「その(the)」は、その内容が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、用語「又は」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、一般的に「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0012】
用語「オートステレオスコピックディスプレイ用」は、ユーザー又は視聴者の側で特別なヘッドギア又はメガネを使用することなく見ることができる三次元画像を表示することを指す。これらの方法は、画像が平坦な装置によって生成されたとしても、視聴者に奥行き感覚を作り出す。ステレオスコピック3Dという用語は、オートステレオスコピック装置の分野を包含するが、平坦な装置からのステレオスコピック3Dを見るために専用のヘッドギア、典型的にはシャッター眼鏡が必要となるステレオスコピック3Dディスプレイの場合をも含む。
【0013】
本開示は、バックライト付き液晶ディスプレイ装置に関し、特に非連続プリズムを備える3Dフィルムを有する液晶ディスプレイ装置を使用してステレオ3D画像を表示することに関する。本発明の実施形態は、シャッター眼鏡ステレオスコピック3Dディスプレイモードで又はオートステレオスコピックディスプレイモードで平面ディスプレイから3D可視化機能を提供することが可能な単一のディスプレイに組み込まれてよい。本発明を限定するものではないが、本発明の種々の態様は以下に提供する実施例の考察を通して正しく認識されるであろう。
【0014】
3Dディスプレイ
液晶ディスプレイは、サンプルホールドディスプレイ装置であり、任意の特定の点での画像は、その点又はピクセルが次の画像リフレッシュ時間、通常は1/60秒又はそれより速い時間内で更新されるまで安定している。そのようなサンプルホールド式のシステムにおいて、ディスプレイの順次的なリフレッシュ期間中に、異なる画像、具体的には、3Dディスプレイ用の交互に入れ替わる左用画像と右用画像を表示するには、例えば、左目用光源が右目用のデータのディスプレイ中にはオンとならず、逆もまた同様となるように、バックライト光源の綿密なシーケンスが要求される。
【0015】
図1は、例示的なディスプレイ装置10の概略的側面図である。ディスプレイ装置は、液晶ディスプレイパネル20と、液晶ディスプレイパネル20に光を供給するように配置された指向性バックライト30とを含む。指向性バックライト30は、多数の実施形態において少なくとも90ヘルツの速度で、右目用画像の固体光源32と左目用画像の固体光源34との間で変調されることが可能な、右目用画像の固体光源32又は複数の第1光源32と、左目用画像の固体光源34又は複数の第2光源34とを有する。両面プリズムフィルム40が、液晶ディスプレイパネル20と指向性バックライト30との間に設けられている。
【0016】
液晶ディスプレイパネル20及び/又は指向性バックライト30は、任意の有用な形状又は外形を有することができる。多くの実施形態において、液晶ディスプレイパネル20及び指向性バックライト30は、正方形又は長方形の形状を有する。しかしながら、幾つかの実施形態においては、液晶ディスプレイパネル20及び/又は指向性バックライト30は、4つを超える辺を有するか、又は曲線形状である。本開示は、シャッター眼鏡又は複数の光ガイド及びそれに関連した液晶ディスプレイパネルを必要とするものを含めた任意のオートステレオスコピックディスプレイ用3Dバックライトに関するが、本開示は、オートステレオスコピックディスプレイに特に有用である。
【0017】
同期駆動素子50は、指向性バックライト30、複数の第1光源32及び第2光源34、並びに液晶ディスプレイパネル20と電気的に接続される。同期駆動素子50は、多数の実施形態において1秒当たり90フレーム以上の速度で、画像フレームが液晶ディスプレイパネル20に供給されるように、右目用画像の固体光源32及び左目用画像の固体光源34の作動及び停止(すなわち、変調)を同期させて、ちらつきのない静止画像シーケンス、ビデオストリーム、又はレンダリングされたコンピュータグラフィックスを生成する。画像(例えば、ビデオ又はコンピュータでレンダリングされたグラフィックス)ソース60は、同期駆動素子50に接続され、画像フレーム(例えば、右眼用画像及び左眼用画像)を液晶ディスプレイパネル20に供給する。
【0018】
液晶ディスプレイパネル20は、任意の有用な透過性の液晶ディスプレイパネルであることができる。多数の実施形態において、液晶ディスプレイパネル20は、16ミリ秒未満、又は10ミリ秒未満、又は5ミリ秒未満のフレーム応答時間を有する。10ミリ秒未満、又は5ミリ秒未満、又は3ミリ秒未満のフレーム応答時間を有する市販の透過性液晶ディスプレイパネルは、例えば、Toshiba Matsushita Display(TMD)の光学補償ベンド(OCB)モードパネルLTA090A220F(Toshiba Matsushita Display Technology Co.,Ltd.、日本)が挙げられる。
【0019】
指向性バックライト30は、多数の実施形態において少なくとも90ヘルツ、又は100ヘルツ、又は110ヘルツ、又は120ヘルツ、又は120ヘルツ超の速度で、右目用画像の固体光源32と左目用画像の固体光源34との間で変調されることができる任意の有用な指向性バックライトであることができる。
【0020】
図示した指向性バックライト30は、複数の第1光源32又は右目用画像の固体光源32に隣接した第1側部31又は第1光入射面31と、複数の第2光源34又は左目用画像の固体光源34に隣接した、反対側を向いている第2側部33又は第2光入射面33とを含む。第1表面36は、第1側部31と第2側部33との間に延びており、第2表面35は、第1表面36に対して反対側を向き、第1側部31と第2側部33との間に延びている。第1表面36は、光を実質的に方向転換し(例えば、反射、抽出など)、第2表面35は、光を実質的に透過する。多数の実施形態において、高反射表面は、第1表面36に接するか又は隣接しており、第2表面35を介して光を方向転換させるのに役立つ。
【0021】
多数の実施形態において、第1表面36は、例えば図示したような線状プリズム又はレンズ機構などの、複数の抽出要素を含む。多数の実施形態において、線状プリズム又はレンズ機構は、第1側部31及び第2側部33に平行な方向、又は両面プリズムフィルム40の線状プリズム及びレンズ機構に平行な方向に延びることができる。
【0022】
固体光源は、例えば少なくとも90ヘルツの速度で変調されることができる、任意の有用な固定光源であってもよい。多くの実施形態において、半導体光源は例えば、日亜(Nichia)NSSW020B(日亜化学工業株式会社(Nichia Chemical Industries, Ltd.)、日本)などの、複数の発光ダイオードである。他の実施形態において、固体光源は、複数のレーザーダイオード又は有機発光ダイオード(すなわち、OLED)である。固体光源は、赤、青、及び/若しくは緑などの多数の可視光線の任意の波長、又は波長の範囲若しくは組み合わせを放射し、例えば白色光を生成することができる。指向性バックライトは、光源を両端部に有する光学的に透明な材料でできた単一層、又は各層に望ましい方向に光を優先的に抽出する、層毎に光源を有する光学的に透明な材料でできた2つ(若しくはそれ以上)の層であることができる。
【0023】
両面プリズムフィルム40は、第1の面上にレンズ構造及び反対側を向いている面上にプリズム構造を有する任意の有用なプリズムであり得る。両面プリズムフィルム40は、視聴者が、表示された画像の奥行きを知覚するように、指向性バックライトから液晶ディスプレイパネル20へと適切な角度で光を透過する。有用な両面プリズムフィルムは、米国特許第7,224,529号及び同第7,210,836号に記載されており、これら両方は完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
画像ソース60は、例えば、ビデオソース又はコンピュータでレンダリングされたグラフィックソースなどの画像フレーム(例えば、右眼用画像及び左眼用画像)を供給することができる任意の有用な画像ソースであり得る。多くの実施形態において、ビデオソースは50〜60ヘルツ又はそれ以上の画像フレームを供給することができる。多くの実施形態において、コンピュータでレンダリングされたグラフィックソースは100〜120ヘルツ又はそれ以上の画像フレームを供給することができる。
【0025】
コンピュータでレンダリングされたグラフィックソースは、ゲームコンテンツ、医用画像(medical imaging)コンテンツ、コンピュータ支援設計コンテンツなどを供給することができる。コンピュータでレンダリングされたグラフィックソースは、例えば、エヌビディアFX5200(Nvidia FX5200)グラフィックスカード、エヌビディアジーフォース9750 GTX(Nvidia GeForce 9750 GTX)グラフィックスカード、又はノートパソコンなどの携帯型ソリューションにはエヌビディアジーフォースGO 7900 GS(Nvidia GeForce GO 7900 GS)グラフィックスカードなどの、グラフィックス処理ユニットを含むことができる。コンピュータでレンダリングされたグラフィックソースはまた、例えば、オープンGL(OpenGL)、ディレクトX(DirectX)、又はエヌビディアが所有権を有する3Dステレオドライバーなどの、適切なステレオドライバーソフトウェアを組み込むこともできる。
【0026】
ビデオソースはビデオコンテンツを供給することができる。ビデオソースは、例えば、エヌビディアクアドロFX1400(Nvidia Quadro FX1400)グラフィックスカードなどのグラフィックス処理ユニットを含むことができる。ビデオソースはまた、例えば、オープンGL(OpenGL)、ディレクトX(DirectX)、又はエヌビディアの所有物である3Dステレオドライバーなどの、適切なステレオドライバーソフトウェアを組み込むこともできる。
【0027】
同期駆動要素50は、右目用画像の固体光源32及び左目用画像の固体光源34の作動及び停止(すなわち、変調)を、例えば1秒当たり90フレーム以上の速度で、液晶ディスプレイパネル20に供給される画像フレームと同期させて、ちらつきのないビデオ又はレンダリングされたコンピュータグラフィックスを生成する任意の有用な駆動要素を含むことができる。同期駆動素子50は、例えば、カスタムの固体光源駆動電子装置と連結したウェスターVP−7(Westar VP-7)ビデオアダプタ(ウェスター・ディスプレイ・テクノロジーズ社(Westar Display Technologies, Inc.)、ミズーリ州セントチャールズ(St. Charles, Missouri))などの、ビデオインターフェースを含むことができる。
【0028】
図2A及び図2Bは、動作中の例示のディスプレイ装置10の概略的側面図である。図2Aにおいて、左目用画像の固体光源34(すなわち、複数の第2光源34)は点灯されており、右目用画像の固体光源32(すなわち、複数の第1光源32)は点灯されていない。この状態で、左目用画像の固体光源34から発せられた光は、指向性バックライト30を透過し、両面プリズムフィルムシート40及び液晶パネル20を透過して、視聴者又は観察者の左目1aに向けられた左目用画像を供給する。図2Bでは、右眼用画像固体光源32が点灯しており、左眼用画像固体光源34は点灯していない。この状態で、右目用固体光源32から発せられた光は、指向性バックライト30を透過し、両面プリズムシート40及び液晶パネル20を透過して、視聴者又は観察者の右目1bに向けられた右目用画像を供給する。右目用固体光源32は光ガイドの右側に配置され、左目用画像の固体光源34は光ガイドの左側に配置されるが、いくつかの実施形態では、右目用固体光源32が光ガイドの左側に配置され、左目用画像の固体光源34が光ガイドの右側に配置されることは理解されよう。
【0029】
光源32、34は、バックライトの光ガイドに空気結合又は屈折率整合されることができる。例えば、パッケージ化された光源装置(例えば、LED)は、光ガイド内に屈折率整合材を使用せずにエッジ結合されることができる。あるいは、効率を増加させるために、パッケージ済又はベアダイLEDを、屈折率整合して、及び/又は光ガイドのエッジ内に封入することができる。この特徴は、効率的に入射光を運ぶために、付加的な光学的特徴(たとえば、注入ウェッジ形状)を光ガイドの端部上に含んでもよい。あるいは、LEDは、LEDの光を光ガイドの全反射(TIR)モードに効率的に集めて平行化するために、適切な特性を有する光ガイドのエッジ又は側部31、33に埋め込まれることができる。
【0030】
液晶ディスプレイパネル20は、可変のリフレッシュ速度又は画像更新速度を有するが、この例の用途では、60ヘルツのリフレッシュ速度が想定される。これは、新しい画像が視聴者に示されるのが、1/60秒ごと、つまり16.67ミリ秒(msec)ごとであるということを意味する。3Dシステムでは、これは、時間t=0(ゼロ)においてフレーム1の右画像が示されることを意味する。時間t=16.67ミリ秒において、フレーム1の左画像が示される。時間t=2×16.67ミリ秒において、フレーム2の右画像が示される。時間t=3×16.67ミリ秒において、フレーム2の左画像が示され、このようにこのプロセスが繰り返される。有効なフレームレートは、通常のイメージングシステムの値の半分である。なぜならば、個々の画像において、その画像の左目と右目の図を示すからである。
【0031】
この例では、時間t=0において複数の第1光源を点灯して右(又は左)画像を照明することで、それぞれ右(又は左)画像に光を供給する。時間t=16.67ミリ秒において、第2の画像(左又は右)を所定の位置に置き始める。この画像は、LCDパネルの上部からLCDの下部へ「時間t=0の画像」に取って代わり、この例では完了までに16.67ミリ秒かかる。走査を行わないソリューションでは、この移行の際に第1の複数の光源をすべてオフに切り替えた後に、第2の複数の光源をすべてオンに切り替えるため、通常はディスプレイの明るさが低い。これは、連続的な左と右の画像を、3Dクロストーク及び貧弱な3D鑑賞体験の原因となる不適当な光源を用いて照らすべきではない場合、画像データは画像全体に渡って安定あるいは適度に安定でなければならないからである。
【0032】
毎秒少なくとも45の左眼用画像及び少なくとも45の右眼用画像を視聴者に供給することにより(右眼用画像と左眼用画像を交互に、また、画像は前回の画像ペアの繰り返しである可能性がある)、ちらつきのない3D画像を視聴者に提供する。したがって、コンピュータでレンダリングされた画像又は静止画像カメラ若しくはビデオ画像カメラから取得された画像による、異なる右視点画像及び左視点画像の対が表示されると、光源32及び34の切り替えと同期して表示される場合、視聴者は2つの異なる画像を視覚的に融合することができ、フラットパネルディスプレイから奥行きの知覚が生み出される。この視覚的にちらつきのない動作の限界は、上記のように、液晶ディスプレイパネルに表示されている新しい画像が安定化するまでバックライトがオンとなるべきでなく、さもなければクロストーク及び画質の悪いステレオスコピック画像が知覚されることである。
【0033】
本明細書に記載の指向性バックライト30及びそれに付属する光源32、34は、非常に薄くてもよく(厚さ又は直径)、例えば、5ミリメートル未満、又は0.25〜5ミリメートル、又は0.5〜4ミリメートル、又は0.5〜2ミリメートルであってもよい。
【0034】
3Dフィルム
本発明の実施形態は、連続プリズムを有する、特定の種類の両面フィルムの、上記で認識された欠点を低減するのに役立つ。プリズムの頂点は、良好なオートステレオスコピック光学効果を定めるための重要な要素であるため、本発明の実施形態は、プリズムの底部間の平坦部、つまり空隙をもたらし、プリズムを非連続的にする。この機構は、ランド部の厚みを増加させ、また、フィルム基材付近の機構の鋭度を低減するように調整でき、具体的には、プリズムとランド部との移行部を鋭角的ではなく、湾曲させ、フィルムの機械的安定性を向上し、亀裂及び層間剥離を防止し、フィルムのゆがみを低減する。追加の実施形態は、黒色の又は不透明な(光吸収)機構を非連続プリズム間の構造に配置することを含み、これにより、軸外光線を低減できる。
【0035】
図3A〜3B及び図4は、非連続プリズムを備える両面3Dプリズムフィルムの製造プロセスを示している。図3Aは、3Dフィルムを製造するためのプロセスで使用されるツールの一部の図である。このツールは、一連の非連続切頭プリズム41を含む。説明のために1つのプリズムだけが示されているが、このツールは、3Dフィルムを製造するために必要な、又は所望の数の非連続プリズム機構を有する。プリズム41の切頭部は、くぼみ42又は平坦部を形成してよく、あるいは、プリズムを切断するために用いられるプロセスは、プリズム間の元のツールの表面(典型的には平坦)を残してもよい。ツールは、例えば国際公開第00/48037号(完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる)に記載の汎用的なダイヤモンド旋削法を使用して作製できる。
【0036】
図3Bは、ツール41に不透明材料(二次材料の一種)をコーティングしていることを示す図である。不透明材料43は、キスコーティングプロセスで各プリズム41の切頭部42に塗布される。3Dフィルムで使用される不透明材料の例としては、望ましくは顔料としてカーボンブラック及び結合剤として光硬化性アクリレートを含有する黒色顔料入り硬化性結合剤、黒色又は所望の波長の任意の吸収性の色を含むインク、顔料入り樹脂、及びカーボンブラック添加のUV硬化性アクリレートが挙げられる。不透明材料では、界面反射を最小化するために、結合剤の屈折率が付着する層の屈折率に一致することが望ましい場合もある。他の実施形態において、他の所望の光学効果を達成するために、結合剤の屈折率が付着する層の屈折率とは異なることが望ましい場合もある。
【0037】
次に、コーティングされた不透明材料43は、図3Cに図示したように硬化される。図3Dは、ツールに光学樹脂をコーティングすることを示す図である。不透明材料43が硬化された後で、光学樹脂材料44がツールにコーティングされ、プリズム41を被覆する。光学樹脂は、図4に図示したように、コーティング後に硬化され、次にツール41から取り外される。
【0038】
図5は、不透明材料によって分離される非連続プリズム44を有する光学フィルムの片側を形成するために、ツールから取り外された硬化光学樹脂の図である。完全な両面プリズムフィルムを形成するためには、図6に示すように、光学フィルム対して反対側を向く表面に円筒形レンズ45が付加される。レンズは、光学フィルムに対して反対側を向く側面にコーティングされる円筒形の溝を有する別のツールを使用して付加されてから硬化され、他のツールから取り外されることができる。3Dフィルムのレンズ及びプリズムは、例えば連続鋳造及び硬化(3C)などの微細複製プロセスを使用して製造できる。3Cプロセスの実施例は、米国特許第4,374,077号、同第4,576,850号、同第5,175,030号、同第5,271,968号、同第5,558,740号及び同第5,995,690号に記載されており、これらの全ては完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。レンズは、米国特許第7,165,959号及び同第7,224,529号(これら両方は完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる)に記載の反対側を向いた表面に微細複製された位置合わせパターンを有する光学フィルムの製造方法を使用して、3Dフィルムのプリズムに位置を合わせることができる。微細複製構造が作製される液体は、典型的には、紫外線によって硬化するアクリレートなどの光重合性の硬化材料である。他のコーティング材料、例えば重合性材料も使用でき、材料の選択は、微細複製構造の所望の特性に応じて異なってよい。このプロセスで使用される硬化方法の例としては、反応硬化、熱硬化、又は放射線硬化が挙げられる。上記のように、プリズム間の二次材料は不透明であることができるが、有用な光学効果は、他の有用な特性、例えば異なる屈折率、複屈折、機械的弾性などを有する材料をプリズム間に追加することによって得ることができる。
【0039】
二次材料は、上記のように、微細複製機構を形成するツールに塗布される必要もない。例えば、材料を蒸発性キャリアに充填し、キャリア及び材料を両面フィルムの所望の側面にコーティングし、キャリアを蒸発させることができる。この方法は充填材料の残留物を残し、図5及び図6に示す二次材料の堆積物を形成できる。
【0040】
図6は、非連続プリズムの間に不透明部分を有する両面プリズムフィルムを形成するために光学フィルムに付加されたレンズの図である。図6に示すように、この3Dフィルムは、基材部分46、基材46の一側面にある一連のレンズ45、及び基材46の反対側を向いた側面にある不透明部分43によって分離される一連の非連続プリズム44を含む。レンズ側のランド部55及びレンチキュラー側のランド部56は、機械的及び光学的要件に応じてそれぞれ調整できる。
【0041】
レンズ及びプリズムのピッチは、特定の実施環境に基づいて調整できる。レンズに関する「ピッチ」という用語は、距離51及び52で図示したように、隣接するレンズの中心間の距離を指す。プリズムに関する「ピッチ」という用語は、距離53及び54で図示したように、隣接するプリズムの中心間の距離を指す。
【0042】
代替実施形態は、非連続フィルムの間に透過性部分を有する3Dフィルムを含む。図7に示すように、この代替実施形態の両面プリズムフィルムは、基材部分46、基材46の一側面にある一連のレンズ45、及び基材46の反対側を向いた側面にある透過性部分47によって分離される一連の非連続プリズム44含む。このフィルムは、不透明材料を使用せずに、硬化光学樹脂部分によってプリズムが分離されるように図3B及び図3Cに示す工程を省略できることを除き、図6に示すフィルムと同様の方法で製造できる。更に、プリズムを形成するためのツールは、非連続プリズム44の間に実質的に平坦な透過性部分を形成するために、くぼみ42ではなく実質的に平坦な頂部を含むことができる。図7に示すフィルムでは、レンズ側のランド部55及びレンチキュラー側のランド部56は、機械的及び光学的要件に応じてそれぞれ調整できる。図6及び図7では、レンズが連続的に示されているが、別の方法としては、レンズを非連続的にできる。
【0043】
図6及び図7の3Dフィルムにおいて、レンズ及びプリズムは、一定のピッチ又は異なるピッチのいずれかを有することができる。「一定のピッチ」という用語は、レンズのピッチがプリズムのピッチと同一になるように、例えば、距離51及び52が実質的に距離53及び54と等しく、場合によっては製造プロセスに基づいて許容可能な限度内であるように設計されることを意味する。「異なるピッチ」という用語は、レンズのピッチがプリズムのピッチと異なるように、例えば、距離51及び52が距離53及び54とは等しくないように設計されることを意味する。また、ピッチに基づいて、プリズムの中心をレンズの中心に揃えるように、あるいはプリズムの中心をレンズの中心からずらすように、レンズとプリズムとの位置合わせを設計することが可能である。いずれの種類の位置合わせも、上記の特許における微細複製された位置合わせパターンを有するフィルムの製造プロセスによって達成できる。
【0044】
レンズ及びプリズムのピッチの好ましい寸法は、通常、例えば3Dフィルムを組み込むLCDパネルにおけるモアレパターンの除去又は低減をもたらすピッチを選択することによって決定される。ピッチは、製造可能性に基づいて決定されることもできる。3Dフィルムの例示のピッチ寸法としては、26マイクロメートル、29マイクロメートル、29.5マイクロメートル、70.5マイクロメートル及び52マイクロメートルが挙げられる。LCDパネルは様々な画素ピッチで製造されるため、様々な画素ピッチに適合するように3Dフィルムのピッチを変更することが望ましい場合がある。3Dフィルムの有用なピッチ範囲の例は、10マイクロメートル〜80マイクロメートルである。
【背景技術】
【0001】
3D/ステレオは、急速に発展している技術である。この技術は、様々な方法で実施される。ステレオスコピックソリューションは、シャッター眼鏡、偏光眼鏡、及びユーザーによる追加装置の着用を必要とするその他のものを含む。追加装置を必要としないオートステレオスコピックソリューションへの関心は高まっているが、空間多重方式は貧弱な鑑賞体験をもたらす場合があり、高品質のオートステレオスコピックディスプレイを提供する目的で幾つかの技術が開発されてきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
幾つかのオートステレオスコピックソリューションは、両面に連続機構を備える両面フィルムを使用する。しかし、この特定の種類のフィルムは、幾つかの欠点を有する場合がある。薄いランド部(レンズ機構と基材との間、若しくはプリズム機構と基材との間のいずれか、又はその両方)が光学部品によって厚みに組み込まれるが、鋭い角部及びランド部の厚みが層間剥離を発生させる場合がある。更に、両面フィルム上の機構の大きさ及び構造の差異が、フィルムのゆがみを悪化させる場合がある。光学的視点からは、連続機構を備える両面フィルムは、望ましい視野範囲よりも水平方向に広い視野範囲も有する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明のステレオスコピック3D液晶ディスプレイモジュールは、液晶ディスプレイパネル及び液晶ディスプレイパネルに光を供給するように配置された指向性バックライトを含む。両面プリズムフィルムは、液晶ディスプレイパネルと指向性バックライトとの間に設けられる。プリズムフィルムは、液晶ディスプレイパネルに隣接する複数の円筒形レンズを有する第1表面と、指向性バックライトに隣接する複数の非連続プリズムを有し、第1表面に対して反対側を向く第2表面とを含む。
【0004】
本発明のステレオスコピック3D液晶ディスプレイ装置は、液晶ディスプレイパネル及び液晶ディスプレイパネルに光を供給するように配置された指向性バックライトを含む。指向性バックライトは、第1側面、第1側面に対して反対側を向く第2側面、第1側面と第2側面との間に延びる第1表面、及び第1表面に対して反対側を向く第2表面、を有する光ガイドを含む。光ガイドの第1表面は実質的に光を方向転換し、第2表面は実質的に光を液晶ディスプレイパネルへと透過する。指向性バックライトは、光ガイドの第1側面に沿って設けられる第1光源及び光ガイドの第2側面に沿って配置される第2光源も含む。同期駆動素子は第1光源及び第2光源に電気的に接続されており、この同期駆動素子は、第1光源又は第2光源のそれぞれを交互にオン又はオフに切り替えて第1側面と第2側面とを同期させる。この装置は、液晶ディスプレイパネルと指向性バックライトとの間に設けられている両面プリズムフィルムも含む。プリズムフィルムは、液晶ディスプレイパネルに隣接する複数の円筒形レンズを有する第1表面と、指向性バックライトに隣接する複数の非連続プリズムを有し、第1表面に対して反対側を向く第2表面とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明はより完全に理解され得る。
【図1】例示のディスプレイ装置の概略的側面図。
【図2A】動作中である例示的なディスプレイ装置の概略的側面図。
【図2B】動作中である例示的なディスプレイ装置の概略的側面図。
【図3A】3Dフィルムを製造するためのプロセスで使用されるツールの図。
【図3B】ツールに黒色の材料をコーティングしていることを示す図。
【図3C】黒色の材料を硬化させていることを示す図。
【図3D】ツールに光学樹脂をコーティングして非連続プリズムを形成することを示す図。
【図4】光学樹脂を硬化させていることを示す図。
【図5】光学フィルムにプリズムを形成するためにツールから取り外された硬化樹脂の図。
【図6】非連続プリズムの間に不透明部分を有する3Dフィルムを形成するために光学フィルムに付加されたレンズの図。
【図7】非連続プリズムの間に透過性部分を有する3Dフィルムの図。
【0006】
図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図中で用いられる類似の数字は、類似の構成要素を示す。しかし、所与の図中の構成要素を意味する数字の使用は、同一数字でラベルした別の図中の構成要素を制約するものではないことは理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次の記述において、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照し、幾つかの特定の実施形態を例として示す。本発明の範囲又は趣旨を逸脱せずに、その他の実施形態が考えられ、実施され得ることを理解すべきである。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定する意味で理解すべきではない。
【0008】
本明細書で使用するすべての科学用語及び専門用語は、特に指示がない限り、当該技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書にて提供される定義は、本明細書でしばしば使用される幾つかの用語の理解を促進しようとするものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0009】
他に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴の大きさ、量、物理特性を表わす数字はすべて、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0010】
端点による数値範囲の詳述には、その範囲内に組み入れられる全ての数が包含され(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が包含される)並びにその範囲内のあらゆる範囲が包含される。
【0011】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「ある(a及びan)」及び「その(the)」は、その内容が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、用語「又は」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、一般的に「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0012】
用語「オートステレオスコピックディスプレイ用」は、ユーザー又は視聴者の側で特別なヘッドギア又はメガネを使用することなく見ることができる三次元画像を表示することを指す。これらの方法は、画像が平坦な装置によって生成されたとしても、視聴者に奥行き感覚を作り出す。ステレオスコピック3Dという用語は、オートステレオスコピック装置の分野を包含するが、平坦な装置からのステレオスコピック3Dを見るために専用のヘッドギア、典型的にはシャッター眼鏡が必要となるステレオスコピック3Dディスプレイの場合をも含む。
【0013】
本開示は、バックライト付き液晶ディスプレイ装置に関し、特に非連続プリズムを備える3Dフィルムを有する液晶ディスプレイ装置を使用してステレオ3D画像を表示することに関する。本発明の実施形態は、シャッター眼鏡ステレオスコピック3Dディスプレイモードで又はオートステレオスコピックディスプレイモードで平面ディスプレイから3D可視化機能を提供することが可能な単一のディスプレイに組み込まれてよい。本発明を限定するものではないが、本発明の種々の態様は以下に提供する実施例の考察を通して正しく認識されるであろう。
【0014】
3Dディスプレイ
液晶ディスプレイは、サンプルホールドディスプレイ装置であり、任意の特定の点での画像は、その点又はピクセルが次の画像リフレッシュ時間、通常は1/60秒又はそれより速い時間内で更新されるまで安定している。そのようなサンプルホールド式のシステムにおいて、ディスプレイの順次的なリフレッシュ期間中に、異なる画像、具体的には、3Dディスプレイ用の交互に入れ替わる左用画像と右用画像を表示するには、例えば、左目用光源が右目用のデータのディスプレイ中にはオンとならず、逆もまた同様となるように、バックライト光源の綿密なシーケンスが要求される。
【0015】
図1は、例示的なディスプレイ装置10の概略的側面図である。ディスプレイ装置は、液晶ディスプレイパネル20と、液晶ディスプレイパネル20に光を供給するように配置された指向性バックライト30とを含む。指向性バックライト30は、多数の実施形態において少なくとも90ヘルツの速度で、右目用画像の固体光源32と左目用画像の固体光源34との間で変調されることが可能な、右目用画像の固体光源32又は複数の第1光源32と、左目用画像の固体光源34又は複数の第2光源34とを有する。両面プリズムフィルム40が、液晶ディスプレイパネル20と指向性バックライト30との間に設けられている。
【0016】
液晶ディスプレイパネル20及び/又は指向性バックライト30は、任意の有用な形状又は外形を有することができる。多くの実施形態において、液晶ディスプレイパネル20及び指向性バックライト30は、正方形又は長方形の形状を有する。しかしながら、幾つかの実施形態においては、液晶ディスプレイパネル20及び/又は指向性バックライト30は、4つを超える辺を有するか、又は曲線形状である。本開示は、シャッター眼鏡又は複数の光ガイド及びそれに関連した液晶ディスプレイパネルを必要とするものを含めた任意のオートステレオスコピックディスプレイ用3Dバックライトに関するが、本開示は、オートステレオスコピックディスプレイに特に有用である。
【0017】
同期駆動素子50は、指向性バックライト30、複数の第1光源32及び第2光源34、並びに液晶ディスプレイパネル20と電気的に接続される。同期駆動素子50は、多数の実施形態において1秒当たり90フレーム以上の速度で、画像フレームが液晶ディスプレイパネル20に供給されるように、右目用画像の固体光源32及び左目用画像の固体光源34の作動及び停止(すなわち、変調)を同期させて、ちらつきのない静止画像シーケンス、ビデオストリーム、又はレンダリングされたコンピュータグラフィックスを生成する。画像(例えば、ビデオ又はコンピュータでレンダリングされたグラフィックス)ソース60は、同期駆動素子50に接続され、画像フレーム(例えば、右眼用画像及び左眼用画像)を液晶ディスプレイパネル20に供給する。
【0018】
液晶ディスプレイパネル20は、任意の有用な透過性の液晶ディスプレイパネルであることができる。多数の実施形態において、液晶ディスプレイパネル20は、16ミリ秒未満、又は10ミリ秒未満、又は5ミリ秒未満のフレーム応答時間を有する。10ミリ秒未満、又は5ミリ秒未満、又は3ミリ秒未満のフレーム応答時間を有する市販の透過性液晶ディスプレイパネルは、例えば、Toshiba Matsushita Display(TMD)の光学補償ベンド(OCB)モードパネルLTA090A220F(Toshiba Matsushita Display Technology Co.,Ltd.、日本)が挙げられる。
【0019】
指向性バックライト30は、多数の実施形態において少なくとも90ヘルツ、又は100ヘルツ、又は110ヘルツ、又は120ヘルツ、又は120ヘルツ超の速度で、右目用画像の固体光源32と左目用画像の固体光源34との間で変調されることができる任意の有用な指向性バックライトであることができる。
【0020】
図示した指向性バックライト30は、複数の第1光源32又は右目用画像の固体光源32に隣接した第1側部31又は第1光入射面31と、複数の第2光源34又は左目用画像の固体光源34に隣接した、反対側を向いている第2側部33又は第2光入射面33とを含む。第1表面36は、第1側部31と第2側部33との間に延びており、第2表面35は、第1表面36に対して反対側を向き、第1側部31と第2側部33との間に延びている。第1表面36は、光を実質的に方向転換し(例えば、反射、抽出など)、第2表面35は、光を実質的に透過する。多数の実施形態において、高反射表面は、第1表面36に接するか又は隣接しており、第2表面35を介して光を方向転換させるのに役立つ。
【0021】
多数の実施形態において、第1表面36は、例えば図示したような線状プリズム又はレンズ機構などの、複数の抽出要素を含む。多数の実施形態において、線状プリズム又はレンズ機構は、第1側部31及び第2側部33に平行な方向、又は両面プリズムフィルム40の線状プリズム及びレンズ機構に平行な方向に延びることができる。
【0022】
固体光源は、例えば少なくとも90ヘルツの速度で変調されることができる、任意の有用な固定光源であってもよい。多くの実施形態において、半導体光源は例えば、日亜(Nichia)NSSW020B(日亜化学工業株式会社(Nichia Chemical Industries, Ltd.)、日本)などの、複数の発光ダイオードである。他の実施形態において、固体光源は、複数のレーザーダイオード又は有機発光ダイオード(すなわち、OLED)である。固体光源は、赤、青、及び/若しくは緑などの多数の可視光線の任意の波長、又は波長の範囲若しくは組み合わせを放射し、例えば白色光を生成することができる。指向性バックライトは、光源を両端部に有する光学的に透明な材料でできた単一層、又は各層に望ましい方向に光を優先的に抽出する、層毎に光源を有する光学的に透明な材料でできた2つ(若しくはそれ以上)の層であることができる。
【0023】
両面プリズムフィルム40は、第1の面上にレンズ構造及び反対側を向いている面上にプリズム構造を有する任意の有用なプリズムであり得る。両面プリズムフィルム40は、視聴者が、表示された画像の奥行きを知覚するように、指向性バックライトから液晶ディスプレイパネル20へと適切な角度で光を透過する。有用な両面プリズムフィルムは、米国特許第7,224,529号及び同第7,210,836号に記載されており、これら両方は完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
画像ソース60は、例えば、ビデオソース又はコンピュータでレンダリングされたグラフィックソースなどの画像フレーム(例えば、右眼用画像及び左眼用画像)を供給することができる任意の有用な画像ソースであり得る。多くの実施形態において、ビデオソースは50〜60ヘルツ又はそれ以上の画像フレームを供給することができる。多くの実施形態において、コンピュータでレンダリングされたグラフィックソースは100〜120ヘルツ又はそれ以上の画像フレームを供給することができる。
【0025】
コンピュータでレンダリングされたグラフィックソースは、ゲームコンテンツ、医用画像(medical imaging)コンテンツ、コンピュータ支援設計コンテンツなどを供給することができる。コンピュータでレンダリングされたグラフィックソースは、例えば、エヌビディアFX5200(Nvidia FX5200)グラフィックスカード、エヌビディアジーフォース9750 GTX(Nvidia GeForce 9750 GTX)グラフィックスカード、又はノートパソコンなどの携帯型ソリューションにはエヌビディアジーフォースGO 7900 GS(Nvidia GeForce GO 7900 GS)グラフィックスカードなどの、グラフィックス処理ユニットを含むことができる。コンピュータでレンダリングされたグラフィックソースはまた、例えば、オープンGL(OpenGL)、ディレクトX(DirectX)、又はエヌビディアが所有権を有する3Dステレオドライバーなどの、適切なステレオドライバーソフトウェアを組み込むこともできる。
【0026】
ビデオソースはビデオコンテンツを供給することができる。ビデオソースは、例えば、エヌビディアクアドロFX1400(Nvidia Quadro FX1400)グラフィックスカードなどのグラフィックス処理ユニットを含むことができる。ビデオソースはまた、例えば、オープンGL(OpenGL)、ディレクトX(DirectX)、又はエヌビディアの所有物である3Dステレオドライバーなどの、適切なステレオドライバーソフトウェアを組み込むこともできる。
【0027】
同期駆動要素50は、右目用画像の固体光源32及び左目用画像の固体光源34の作動及び停止(すなわち、変調)を、例えば1秒当たり90フレーム以上の速度で、液晶ディスプレイパネル20に供給される画像フレームと同期させて、ちらつきのないビデオ又はレンダリングされたコンピュータグラフィックスを生成する任意の有用な駆動要素を含むことができる。同期駆動素子50は、例えば、カスタムの固体光源駆動電子装置と連結したウェスターVP−7(Westar VP-7)ビデオアダプタ(ウェスター・ディスプレイ・テクノロジーズ社(Westar Display Technologies, Inc.)、ミズーリ州セントチャールズ(St. Charles, Missouri))などの、ビデオインターフェースを含むことができる。
【0028】
図2A及び図2Bは、動作中の例示のディスプレイ装置10の概略的側面図である。図2Aにおいて、左目用画像の固体光源34(すなわち、複数の第2光源34)は点灯されており、右目用画像の固体光源32(すなわち、複数の第1光源32)は点灯されていない。この状態で、左目用画像の固体光源34から発せられた光は、指向性バックライト30を透過し、両面プリズムフィルムシート40及び液晶パネル20を透過して、視聴者又は観察者の左目1aに向けられた左目用画像を供給する。図2Bでは、右眼用画像固体光源32が点灯しており、左眼用画像固体光源34は点灯していない。この状態で、右目用固体光源32から発せられた光は、指向性バックライト30を透過し、両面プリズムシート40及び液晶パネル20を透過して、視聴者又は観察者の右目1bに向けられた右目用画像を供給する。右目用固体光源32は光ガイドの右側に配置され、左目用画像の固体光源34は光ガイドの左側に配置されるが、いくつかの実施形態では、右目用固体光源32が光ガイドの左側に配置され、左目用画像の固体光源34が光ガイドの右側に配置されることは理解されよう。
【0029】
光源32、34は、バックライトの光ガイドに空気結合又は屈折率整合されることができる。例えば、パッケージ化された光源装置(例えば、LED)は、光ガイド内に屈折率整合材を使用せずにエッジ結合されることができる。あるいは、効率を増加させるために、パッケージ済又はベアダイLEDを、屈折率整合して、及び/又は光ガイドのエッジ内に封入することができる。この特徴は、効率的に入射光を運ぶために、付加的な光学的特徴(たとえば、注入ウェッジ形状)を光ガイドの端部上に含んでもよい。あるいは、LEDは、LEDの光を光ガイドの全反射(TIR)モードに効率的に集めて平行化するために、適切な特性を有する光ガイドのエッジ又は側部31、33に埋め込まれることができる。
【0030】
液晶ディスプレイパネル20は、可変のリフレッシュ速度又は画像更新速度を有するが、この例の用途では、60ヘルツのリフレッシュ速度が想定される。これは、新しい画像が視聴者に示されるのが、1/60秒ごと、つまり16.67ミリ秒(msec)ごとであるということを意味する。3Dシステムでは、これは、時間t=0(ゼロ)においてフレーム1の右画像が示されることを意味する。時間t=16.67ミリ秒において、フレーム1の左画像が示される。時間t=2×16.67ミリ秒において、フレーム2の右画像が示される。時間t=3×16.67ミリ秒において、フレーム2の左画像が示され、このようにこのプロセスが繰り返される。有効なフレームレートは、通常のイメージングシステムの値の半分である。なぜならば、個々の画像において、その画像の左目と右目の図を示すからである。
【0031】
この例では、時間t=0において複数の第1光源を点灯して右(又は左)画像を照明することで、それぞれ右(又は左)画像に光を供給する。時間t=16.67ミリ秒において、第2の画像(左又は右)を所定の位置に置き始める。この画像は、LCDパネルの上部からLCDの下部へ「時間t=0の画像」に取って代わり、この例では完了までに16.67ミリ秒かかる。走査を行わないソリューションでは、この移行の際に第1の複数の光源をすべてオフに切り替えた後に、第2の複数の光源をすべてオンに切り替えるため、通常はディスプレイの明るさが低い。これは、連続的な左と右の画像を、3Dクロストーク及び貧弱な3D鑑賞体験の原因となる不適当な光源を用いて照らすべきではない場合、画像データは画像全体に渡って安定あるいは適度に安定でなければならないからである。
【0032】
毎秒少なくとも45の左眼用画像及び少なくとも45の右眼用画像を視聴者に供給することにより(右眼用画像と左眼用画像を交互に、また、画像は前回の画像ペアの繰り返しである可能性がある)、ちらつきのない3D画像を視聴者に提供する。したがって、コンピュータでレンダリングされた画像又は静止画像カメラ若しくはビデオ画像カメラから取得された画像による、異なる右視点画像及び左視点画像の対が表示されると、光源32及び34の切り替えと同期して表示される場合、視聴者は2つの異なる画像を視覚的に融合することができ、フラットパネルディスプレイから奥行きの知覚が生み出される。この視覚的にちらつきのない動作の限界は、上記のように、液晶ディスプレイパネルに表示されている新しい画像が安定化するまでバックライトがオンとなるべきでなく、さもなければクロストーク及び画質の悪いステレオスコピック画像が知覚されることである。
【0033】
本明細書に記載の指向性バックライト30及びそれに付属する光源32、34は、非常に薄くてもよく(厚さ又は直径)、例えば、5ミリメートル未満、又は0.25〜5ミリメートル、又は0.5〜4ミリメートル、又は0.5〜2ミリメートルであってもよい。
【0034】
3Dフィルム
本発明の実施形態は、連続プリズムを有する、特定の種類の両面フィルムの、上記で認識された欠点を低減するのに役立つ。プリズムの頂点は、良好なオートステレオスコピック光学効果を定めるための重要な要素であるため、本発明の実施形態は、プリズムの底部間の平坦部、つまり空隙をもたらし、プリズムを非連続的にする。この機構は、ランド部の厚みを増加させ、また、フィルム基材付近の機構の鋭度を低減するように調整でき、具体的には、プリズムとランド部との移行部を鋭角的ではなく、湾曲させ、フィルムの機械的安定性を向上し、亀裂及び層間剥離を防止し、フィルムのゆがみを低減する。追加の実施形態は、黒色の又は不透明な(光吸収)機構を非連続プリズム間の構造に配置することを含み、これにより、軸外光線を低減できる。
【0035】
図3A〜3B及び図4は、非連続プリズムを備える両面3Dプリズムフィルムの製造プロセスを示している。図3Aは、3Dフィルムを製造するためのプロセスで使用されるツールの一部の図である。このツールは、一連の非連続切頭プリズム41を含む。説明のために1つのプリズムだけが示されているが、このツールは、3Dフィルムを製造するために必要な、又は所望の数の非連続プリズム機構を有する。プリズム41の切頭部は、くぼみ42又は平坦部を形成してよく、あるいは、プリズムを切断するために用いられるプロセスは、プリズム間の元のツールの表面(典型的には平坦)を残してもよい。ツールは、例えば国際公開第00/48037号(完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる)に記載の汎用的なダイヤモンド旋削法を使用して作製できる。
【0036】
図3Bは、ツール41に不透明材料(二次材料の一種)をコーティングしていることを示す図である。不透明材料43は、キスコーティングプロセスで各プリズム41の切頭部42に塗布される。3Dフィルムで使用される不透明材料の例としては、望ましくは顔料としてカーボンブラック及び結合剤として光硬化性アクリレートを含有する黒色顔料入り硬化性結合剤、黒色又は所望の波長の任意の吸収性の色を含むインク、顔料入り樹脂、及びカーボンブラック添加のUV硬化性アクリレートが挙げられる。不透明材料では、界面反射を最小化するために、結合剤の屈折率が付着する層の屈折率に一致することが望ましい場合もある。他の実施形態において、他の所望の光学効果を達成するために、結合剤の屈折率が付着する層の屈折率とは異なることが望ましい場合もある。
【0037】
次に、コーティングされた不透明材料43は、図3Cに図示したように硬化される。図3Dは、ツールに光学樹脂をコーティングすることを示す図である。不透明材料43が硬化された後で、光学樹脂材料44がツールにコーティングされ、プリズム41を被覆する。光学樹脂は、図4に図示したように、コーティング後に硬化され、次にツール41から取り外される。
【0038】
図5は、不透明材料によって分離される非連続プリズム44を有する光学フィルムの片側を形成するために、ツールから取り外された硬化光学樹脂の図である。完全な両面プリズムフィルムを形成するためには、図6に示すように、光学フィルム対して反対側を向く表面に円筒形レンズ45が付加される。レンズは、光学フィルムに対して反対側を向く側面にコーティングされる円筒形の溝を有する別のツールを使用して付加されてから硬化され、他のツールから取り外されることができる。3Dフィルムのレンズ及びプリズムは、例えば連続鋳造及び硬化(3C)などの微細複製プロセスを使用して製造できる。3Cプロセスの実施例は、米国特許第4,374,077号、同第4,576,850号、同第5,175,030号、同第5,271,968号、同第5,558,740号及び同第5,995,690号に記載されており、これらの全ては完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。レンズは、米国特許第7,165,959号及び同第7,224,529号(これら両方は完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる)に記載の反対側を向いた表面に微細複製された位置合わせパターンを有する光学フィルムの製造方法を使用して、3Dフィルムのプリズムに位置を合わせることができる。微細複製構造が作製される液体は、典型的には、紫外線によって硬化するアクリレートなどの光重合性の硬化材料である。他のコーティング材料、例えば重合性材料も使用でき、材料の選択は、微細複製構造の所望の特性に応じて異なってよい。このプロセスで使用される硬化方法の例としては、反応硬化、熱硬化、又は放射線硬化が挙げられる。上記のように、プリズム間の二次材料は不透明であることができるが、有用な光学効果は、他の有用な特性、例えば異なる屈折率、複屈折、機械的弾性などを有する材料をプリズム間に追加することによって得ることができる。
【0039】
二次材料は、上記のように、微細複製機構を形成するツールに塗布される必要もない。例えば、材料を蒸発性キャリアに充填し、キャリア及び材料を両面フィルムの所望の側面にコーティングし、キャリアを蒸発させることができる。この方法は充填材料の残留物を残し、図5及び図6に示す二次材料の堆積物を形成できる。
【0040】
図6は、非連続プリズムの間に不透明部分を有する両面プリズムフィルムを形成するために光学フィルムに付加されたレンズの図である。図6に示すように、この3Dフィルムは、基材部分46、基材46の一側面にある一連のレンズ45、及び基材46の反対側を向いた側面にある不透明部分43によって分離される一連の非連続プリズム44を含む。レンズ側のランド部55及びレンチキュラー側のランド部56は、機械的及び光学的要件に応じてそれぞれ調整できる。
【0041】
レンズ及びプリズムのピッチは、特定の実施環境に基づいて調整できる。レンズに関する「ピッチ」という用語は、距離51及び52で図示したように、隣接するレンズの中心間の距離を指す。プリズムに関する「ピッチ」という用語は、距離53及び54で図示したように、隣接するプリズムの中心間の距離を指す。
【0042】
代替実施形態は、非連続フィルムの間に透過性部分を有する3Dフィルムを含む。図7に示すように、この代替実施形態の両面プリズムフィルムは、基材部分46、基材46の一側面にある一連のレンズ45、及び基材46の反対側を向いた側面にある透過性部分47によって分離される一連の非連続プリズム44含む。このフィルムは、不透明材料を使用せずに、硬化光学樹脂部分によってプリズムが分離されるように図3B及び図3Cに示す工程を省略できることを除き、図6に示すフィルムと同様の方法で製造できる。更に、プリズムを形成するためのツールは、非連続プリズム44の間に実質的に平坦な透過性部分を形成するために、くぼみ42ではなく実質的に平坦な頂部を含むことができる。図7に示すフィルムでは、レンズ側のランド部55及びレンチキュラー側のランド部56は、機械的及び光学的要件に応じてそれぞれ調整できる。図6及び図7では、レンズが連続的に示されているが、別の方法としては、レンズを非連続的にできる。
【0043】
図6及び図7の3Dフィルムにおいて、レンズ及びプリズムは、一定のピッチ又は異なるピッチのいずれかを有することができる。「一定のピッチ」という用語は、レンズのピッチがプリズムのピッチと同一になるように、例えば、距離51及び52が実質的に距離53及び54と等しく、場合によっては製造プロセスに基づいて許容可能な限度内であるように設計されることを意味する。「異なるピッチ」という用語は、レンズのピッチがプリズムのピッチと異なるように、例えば、距離51及び52が距離53及び54とは等しくないように設計されることを意味する。また、ピッチに基づいて、プリズムの中心をレンズの中心に揃えるように、あるいはプリズムの中心をレンズの中心からずらすように、レンズとプリズムとの位置合わせを設計することが可能である。いずれの種類の位置合わせも、上記の特許における微細複製された位置合わせパターンを有するフィルムの製造プロセスによって達成できる。
【0044】
レンズ及びプリズムのピッチの好ましい寸法は、通常、例えば3Dフィルムを組み込むLCDパネルにおけるモアレパターンの除去又は低減をもたらすピッチを選択することによって決定される。ピッチは、製造可能性に基づいて決定されることもできる。3Dフィルムの例示のピッチ寸法としては、26マイクロメートル、29マイクロメートル、29.5マイクロメートル、70.5マイクロメートル及び52マイクロメートルが挙げられる。LCDパネルは様々な画素ピッチで製造されるため、様々な画素ピッチに適合するように3Dフィルムのピッチを変更することが望ましい場合がある。3Dフィルムの有用なピッチ範囲の例は、10マイクロメートル〜80マイクロメートルである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ディスプレイパネルと、
前記液晶ディスプレイパネルに光を供給するように配置された指向性バックライトと、
前記液晶ディスプレイパネルと前記指向性バックライトとの間に設けられた両面プリズムフィルムとを含み、前記プリズムフィルムが、前記液晶ディスプレイパネルに隣接する複数の円筒形レンズを有する第1表面と、前記指向性バックライトに隣接する複数の非連続プリズムを有し、前記第1表面に対して反対側を向く第2表面とを含む、ステレオスコピック3D液晶ディスプレイモジュール。
【請求項2】
前記非連続プリズムが各プリズム間に平坦な透過性部分を含む、請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項3】
前記非連続プリズムが各プリズム間に不透明部分を含む、請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項4】
前記非連続プリズム及び前記円筒形レンズが一定のピッチを有する、請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項5】
前記非連続プリズム及び前記円筒形レンズが異なるピッチを有する、請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項6】
前記プリズムの中心が前記円筒形レンズの中心に揃っている、請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項7】
前記プリズムの中心が前記円筒形レンズの中心からずれている、請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項8】
液晶ディスプレイパネルと、
前記液晶ディスプレイパネルに光を供給するように配置された指向性バックライトであって、前記指向性バックライトが、
第1側面、前記第1側面に対して反対側を向く第2側面、前記第1側面と前記第2側面との間に延びる第1表面、及び前記第1表面に対して反対側を向く第2表面を有する光ガイドであって、前記第1表面が実質的に光を方向転換し、前記第2表面が実質的に光を前記液晶ディスプレイパネルへと透過する、光ガイドと、
前記光ガイドの前記第1側面に沿って設けられる第1光源と、
前記光ガイドの前記第2側面に沿って設けられる第2光源とを含む、指向性バックライトと、
前記第1光源及び前記第2光源に電気的に接続されている同期駆動素子であって、前記第1光源又は前記第2光源のそれぞれを交互にオン又はオフに切り替えて前記第1側面と前記第2側面とを同期させる同期駆動素子と、
前記液晶ディスプレイパネルと前記指向性バックライトとの間に設けられた両面プリズムフィルムとを含み、前記プリズムフィルムが、前記液晶ディスプレイパネルに隣接する複数の円筒形レンズを有する第1表面と、前記指向性バックライトに隣接する複数の非連続プリズムを有し、前記第1表面に対して反対側を向く第2表面とを含む、ステレオスコピック3D液晶ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1光源及び前記第2光源のそれぞれが1つ以上の発光ダイオードを含む、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第1表面に隣接して配置された反射フィルム及び前記反射フィルムに取り付けられたヒートシンクを更に含む、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
前記非連続プリズムが各プリズム間に平坦な透過性部分を含む、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
前記非連続プリズムが各プリズム間に不透明部分を含む、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記非連続プリズム及び前記円筒形レンズが一定のピッチを有する、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記非連続プリズム及び前記円筒形レンズが異なるピッチを有する、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項15】
前記プリズムの中心が前記円筒形レンズの中心に揃っている、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項16】
前記プリズムの中心が前記円筒形レンズの中心からずれている、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項1】
液晶ディスプレイパネルと、
前記液晶ディスプレイパネルに光を供給するように配置された指向性バックライトと、
前記液晶ディスプレイパネルと前記指向性バックライトとの間に設けられた両面プリズムフィルムとを含み、前記プリズムフィルムが、前記液晶ディスプレイパネルに隣接する複数の円筒形レンズを有する第1表面と、前記指向性バックライトに隣接する複数の非連続プリズムを有し、前記第1表面に対して反対側を向く第2表面とを含む、ステレオスコピック3D液晶ディスプレイモジュール。
【請求項2】
前記非連続プリズムが各プリズム間に平坦な透過性部分を含む、請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項3】
前記非連続プリズムが各プリズム間に不透明部分を含む、請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項4】
前記非連続プリズム及び前記円筒形レンズが一定のピッチを有する、請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項5】
前記非連続プリズム及び前記円筒形レンズが異なるピッチを有する、請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項6】
前記プリズムの中心が前記円筒形レンズの中心に揃っている、請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項7】
前記プリズムの中心が前記円筒形レンズの中心からずれている、請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項8】
液晶ディスプレイパネルと、
前記液晶ディスプレイパネルに光を供給するように配置された指向性バックライトであって、前記指向性バックライトが、
第1側面、前記第1側面に対して反対側を向く第2側面、前記第1側面と前記第2側面との間に延びる第1表面、及び前記第1表面に対して反対側を向く第2表面を有する光ガイドであって、前記第1表面が実質的に光を方向転換し、前記第2表面が実質的に光を前記液晶ディスプレイパネルへと透過する、光ガイドと、
前記光ガイドの前記第1側面に沿って設けられる第1光源と、
前記光ガイドの前記第2側面に沿って設けられる第2光源とを含む、指向性バックライトと、
前記第1光源及び前記第2光源に電気的に接続されている同期駆動素子であって、前記第1光源又は前記第2光源のそれぞれを交互にオン又はオフに切り替えて前記第1側面と前記第2側面とを同期させる同期駆動素子と、
前記液晶ディスプレイパネルと前記指向性バックライトとの間に設けられた両面プリズムフィルムとを含み、前記プリズムフィルムが、前記液晶ディスプレイパネルに隣接する複数の円筒形レンズを有する第1表面と、前記指向性バックライトに隣接する複数の非連続プリズムを有し、前記第1表面に対して反対側を向く第2表面とを含む、ステレオスコピック3D液晶ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1光源及び前記第2光源のそれぞれが1つ以上の発光ダイオードを含む、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第1表面に隣接して配置された反射フィルム及び前記反射フィルムに取り付けられたヒートシンクを更に含む、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
前記非連続プリズムが各プリズム間に平坦な透過性部分を含む、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
前記非連続プリズムが各プリズム間に不透明部分を含む、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記非連続プリズム及び前記円筒形レンズが一定のピッチを有する、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記非連続プリズム及び前記円筒形レンズが異なるピッチを有する、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項15】
前記プリズムの中心が前記円筒形レンズの中心に揃っている、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項16】
前記プリズムの中心が前記円筒形レンズの中心からずれている、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2011−524999(P2011−524999A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514654(P2011−514654)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/044066
【国際公開番号】WO2009/154911
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/044066
【国際公開番号】WO2009/154911
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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