説明

カチオン性シロキサンプレポリマーの改良合成法

本願は、カチオン性シロキサンプレポリマーの改良合成法、並びに、単官能性のシロキサニルメタクリレート・モノマーとの相溶性が改良された特定のカチオン性シロキサンプレポリマー、およびカチオン性シロキサンプレポリマーを含む医療機器を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、カチオン性シロキサンプレポリマーの改良合成法、並びに、単官能基のシロキサニルメタクリレート・モノマーとの相溶性が改良された特定のカチオン性シロキサンプレポリマー、およびカチオン性シロキサンプレポリマーを含む医療機器を対象とする。
【背景技術】
【0002】
参照することによりその内容が本明細書に援用される、2006年1月27日出願の特許文献1は、水抽出可能な医療機器を形成することのできる特定のカチオン性シロキサンプレポリマー、およびそのモノマーの調製方法について開示している。先行する合成法に従って調製されたモノマーの例として、下記式(I):
【化1】

【0003】
が提供され、
ここで、nは1〜約300の整数である。
【0004】
メタクリレートでキャッピングされたカチオン性シロキサン(臭化物の対イオン)の合成に用いられた特許文献1が教示する方法は、下記の通りである:
【化2】

【0005】
この反応スキームは、大過剰の重合防止剤3,5−ジ−t−4ブチルヒドロキシトルエン(BHT)と、大過剰の反応剤2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)の使用を必要とする。使用可能な別の防止剤は、4−メトキシフェノール(MEHQ)である。たとえ大過剰のDMAEMAが存在していても、この反応は、生成物変換が100%に近づく前に、非常に遅い速度でしか起こらない(60℃で100時間)。加えて、DMAEMAの沸点は182℃である。最終生成物のカチオン性の性質に起因して、未反応のDMAEMAを除去する唯一の方法は、高真空と加熱(揮散)の組合せである。材料の洗浄は、結果として、生成物の乳化および分画を生じさせる。また、生成物がメタクリレート官能性を有していることから、DMAEMAの揮散は厄介であり、しばしば反応生成物の未成熟重合を生じさせる。これは、特に、反応をスケールアップするような事例で生じる。したがって、カチオン性シロキサンプレポリマーの改良合成法は望ましいであろう。
【0006】
さらには、特許文献1の特許請求の範囲に記載されるようなモノマーは、一部の状況には完全に適切な医療機器を提供するが、単官能性のシロキサンメタクリレートを多量に含むモノマー混合物から調製された医療機器が非常に望ましいことが判明した。我々は、下記構造式(II):
【化3】

【0007】
を有するカチオン性シロキサンプレポリマーのヨウ化物塩が、式(III):
【化4】

【0008】
(ここでnは39に等しい)
に示すようなカチオン性シロキサンプレポリマーの臭化物塩よりも多量の単官能性のシロキサニルメタクリレートをモノマー混合物に取り込むことができることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0142584号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
反応生成物が、従来の方法に従って調製されたカチオン性シロキサンプレポリマーよりも容易に単離される、カチオン性シロキサンプレポリマーの調製方法が提供される。本方法は、1つの実施の形態では、ジオキサンなどの極性溶媒中でビス−ブロモブチルポリジメチルシロキサンを2−(メチルアミノ)エタノールと反応させて、第1の反応生成物を提供する工程を有してなる。次いで、クロロホルムなどの極性溶媒中、トリエチルアミンの存在下で、第1の反応生成物をメタクリロイルクロライドまたはジメタクリル酸無水物と反応させて、第2の反応生成物を提供する。次に、テトラヒドロフラン中で第2の反応生成物をヨードメタンと反応させて、カチオン性官能化されたシロキサンプレポリマーとしての第3の反応生成物を提供する。
【0011】
他のカチオン性シロキサンプレポリマーと比較して改善された性質を有するレンズ材料を提供する、改良されたカチオン性シロキサンプレポリマーも提供される。その改良されたカチオン性シロキサンプレポリマーは、下記式(IV):
【化5】

【0012】
を有するモノマーであり、ここで、nは0〜200である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
官能化されたカチオン性シロキサンプレポリマーの改良された調製方法が提供される。1つの実施の形態では、本方法は、ビス−ブロモブチルポリジメチルシロキサンなどのビス−ハロゲン化シロキサンを2−(メチルアミノ)エタノールなどのアルキル官能化されたヒドロキシ2級アミンと反応させて、第1の反応生成物を提供する工程を有してなる。他のアルキル官能化ヒドロキシ2級アミンには、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノール、2−(ブチルアミノ)エタノールが含まれよう。
【0014】
本反応は、極性溶媒中で行なわれる。極性溶媒は、反応物質を溶解させることが可能であって、反応速度を増大させることを理由として選択される。極性溶媒の例には、酢酸エチル、ジオキサン、DMF、クロロホルムなどが含まれよう。
【0015】
次に、第1の反応生成物をメタクリル化剤と反応させて、ポリシロキサン上にビニル重合可能な末端基を有する、第2の反応生成物を提供する。メタクリル化剤の例には、メタクリロイルクロライド, ジメタクリル酸無水物、2−メチルプロペン酸2−イソシアナトエチル、イタコン酸、およびイタコン酸無水物が含まれよう。
【0016】
反応のこの段階の間に、ポリシロキサンの劣化を生じうるHClが生成されることから、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、または4−ジメチルアミノピリジンなどの酸スカベンジャーを使用して、合成の間に形成されるHClの量を低減させる。本明細書では、「酸スカベンジャー」という表現は、合成の間に形成される酸と反応して、反応生成物の劣化を妨げる物質のことをいう。
【0017】
第2の反応生成物のポリシロキサンにおけるアミン基を4級化するため、ヨードメタンなどのハロゲン化アルキルを4級化剤として用いて、最終的な第3の反応生成物を提供する。最終生成物は、反応混合物から溶媒および残留するハロゲン化アルキルを除去することによって単離される。
【0018】
本方法の概略を下記の反応スキームに示す:
【化6】

【0019】
この新しい合成経路では合成は3段階に分けられ、4級官能性が反応の最終工程で形成される従来の手法とは劇的に異なる。この合成経路の変化は、未反応の出発物質の容易な除去を可能にし、未成熟重合の発生を顕著に低減させる。カチオン性シロキサンプレポリマーの合成における、より低い濃度での重合防止剤の使用もまた実現可能である。
【0020】
所定の合成スキームに続いて、既知の分子量を有する既知量のビス−ブロモブチルポリジメチルシロキサンを、ジオキサン中で2−(メチルアミノ)エタノールと共に75℃で72時間還流し、単離後に反応生成物(1)を得た。(1)の構造式をNMR分析で確認した。次に、生成物(1)を、トリエチルアミンの存在下、周囲温度で、溶媒としてクロロホルムを用いてメタクリロイルクロライドと反応させ、単離後に反応生成物(2)を得た。(2)の構造式もまた、NMR分析で確認した。合成の最終工程は、溶媒としてTHFを使用した、ヨードメタンを用いた(2)の4級化であり、45℃で15時間の後、反応生成物(3)を得た。最終生成物(3)の構造を、NMR、SEC、および質量分析法によって確認した。
【0021】
本方法は、医療機器の形成にとって望ましい性質を有する下記プレポリマーの合成に特に有用であり:
【化7】

【0022】
ここでnは0〜200である。
【0023】
好ましいモノマーは下記のものであり、ここでnは39に等しい。
【化8】

【0024】
驚くべきことに、カチオン性のポリシロキサンプレポリマーのヨウ化物塩の使用は、臭化物塩の形態と比較して、他のプレポリマーとの相溶性が改良されたモノマー混合物をもたらす結果となることが見出された。相溶性の改良は、2つの配合物間の目視比較によって立証された。
【0025】
3%を超える単官能性のポリシロキサン材料は、カチオン性シロキサンプレポリマーの臭化物塩で作られた配合物中に曇りを生じたのに対し、カチオン性シロキサンプレポリマーのヨウ化物塩で作られた配合物には、曇りを生じることなしに4.5%に至る単官能性のポリシロキサン材料が加えられた。 この相溶性の改善は、結果として物理的特性が改善された重合化生成物を与える、単官能性のコモノマーの濃度を増大させることの可能なモノマー混合物を与えることにつながる。
【0026】
さらなる態様では、本発明は、式(IV)のプレポリマーを含む、機器形成モノマー混合物で作られた物品を含む。好ましい実施の形態によれば、物品は、前述の式(II)のカチオン性シロキサンプレポリマーおよび少なくとも第2のモノマーを含む混合物の重合生成物である。好ましい物品は、光学的に透明であり、コンタクトレンズとして有用である。
【0027】
これらの材料で作られた有用な物品は、疎水性の、おそらくはシリコン含有モノマーであることが必要とされうる。好ましい組成物は、親水性モノマーおよび疎水性モノマーの両方を有する。本発明は、硬いか柔らかいかのいずれかである、広範なポリマー材料に適用可能である。特に好ましいポリマー材料は、コンタクトレンズ、有水晶または無水晶の眼内レンズ、および角膜移植物を含むレンズであるが、生体適合材料を含めたすべてのポリマー材料が本発明の範囲内にあることが意図されている。特に好ましいのは、シリコン含有ハイドロゲルである。
【0028】
本発明は、心臓弁およびフィルムなどの医療機器、外科用機器、管代替物、子宮内器具、膜、横隔膜、外科的移植物、血管、人工尿管、人工乳房組織、例えば腎臓透析および人工心肺用の膜など、身体の外側で体液と接触する状態となることが意図される膜、カテーテル、マウス・ガード、義歯裏装材、眼科用機器、および特にコンタクトレンズも提供する。
【0029】
シリコン含有ハイドロゲルは、少なくとも1種類のシリコン含有モノマーおよび少なくとも1種類の親水性モノマーを含む混合物を重合化することにより調製される。シリコン含有モノマーは、架橋剤としての機能を果たす(架橋剤は、複数の重合可能な官能性を有するモノマーとして定義される)か、あるいは、別に架橋剤が用いられてもよい。
【0030】
シリコン含有コンタクトレンズ材料の初期の例は、米国特許第4,153,641号明細書に 開示されている(Deichertら、Bausch & Lomb Incorporated所属)。レンズは、2価の炭化水素基を介して重合化された活性化不飽和基とα,ω−末端結合した、ポリ(オルガノシロキサン)モノマーでできている。1,3−ビス(メタクリルオキシアルキル)−ポリシロキサンなど、さまざまな疎水性のシリコン含有プレポリマーを、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)などの既知の親水性モノマーと共重合させている。
【0031】
米国特許第5,358,995号明細書(Laiら)は、嵩高いポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリレート・モノマーおよび少なくとも1つの親水性モノマーと重合した、アクリル酸エステルでキャップされたポリシロキサンプレポリマーからなるシリコン含有ハイドロゲルについて記載している。Laiらは、Bausch & Lomb Incorporatedに所属しおり、その開示全体は参照することにより本明細書に援用される。M2x とも称される、アクリル酸エステルでキャップされたポリシロキサンプレポリマーは、2つのアクリル酸エステル末端基、および「x」個の ジメチルシロキサン単位の繰り返しで構成されている。好ましい嵩高いポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリレート・モノマーは、アクリル基またはビニル基のいずれかを含有している親水性モノマーを有した、TRIS型(メタクリルオキシプロピル・トリス(トリメチルシロキシ)シラン) である。
【0032】
本発明と共に使用されうるシリコン含有モノマー混合物の他の例としては、次のものが挙げられる:米国特許第5,070,215号および同第5,610,252号の各明細書(Bamburyら)に開示される炭酸ビニルおよびカルバミン酸ビニル・モノマー混合物、米国特許第5,321,108号;同第5,387,662号;および同第5,539,016号の各明細書(Kunzlerら)に開示されるフルオロシリコンモノマー混合物、米国特許第5,374,662号;同第5,420,324号および同第5,496,871号の各明細書(Laiら)に開示されるフマレートモノマー混合物、および米国特許第5,451,651号;同第5,648,515号;同第5,639,908号および同第5,594,085号の各明細書(Laiら)に開示されるウレタンモノマー混合物。これら特許文献のすべては、本願と同一の出願人であるBausch & Lomb Incorporatedに譲渡されており、それらの開示のすべては参照することにより本明細書に援用される。
非シリコン性の疎水性材料の例としては、アクリル酸アルキルおよびメタクリレートが挙げられる。
【0033】
カチオン性シロキサンプレポリマーは、さまざまな親水性モノマーと共重合化され、シリコンハイドロゲルレンズを生成しうる。適切な親水性モノマーとしては、メタクリル酸およびアクリル酸などの不飽和カルボン酸;メタクリル酸2-ヒドロキシエチルおよびアクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸で置換されたアルコール;N−ビニルピロリドン(NVP)および1−ビニルアゾナム−2−オン(1-vinylazonam-2-one)などのビニルラクタム;およびメタクリルアミドおよびN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)などのアクリルアミドが挙げられる。
【0034】
さらなる例としては、米国特許第5,070,215号明細書に開示される、親水性の炭酸ビニルまたはカルバミン酸ビニル・モノマー、および米国特許第4,910,277号明細書に開示される、親水性のオキサゾロンモノマーが挙げられる。他の適切な親水性モノマーは、当業者にとって明白であろう。
【0035】
疎水性の架橋剤としては、ジメタクリル酸エチレングリコール(EGDMA)およびメタクリル酸アリル(AMA)などのメタクリレートが挙げられよう。従来のシリコンハイドロゲル・モノマー混合物とは対照的に、本発明の4級化されたシロキサンプレポリマーを含むモノマー混合物は、比較的水溶性である。この特性は、従来のシリコンハイドロゲル・モノマー混合物と比較して、レンズの曇りにつながる相分離の危険性が低く、重合化材料を水で抽出可能にするという利点を提供する。しかしながら、必要に応じて、従来の有機抽出法もまた使用して差し支えない。加えて、抽出されたレンズは、望ましいコンタクトレンズをもたらすのに重要であることが知られている特性である、酸素透過性(Dk)および低モジュラスの良好な組合せを実証する。さらには、本発明の4級化されたシロキサンプレポリマーを用いて提供されるレンズは、表面処理なしでも可湿性であり、乾燥離型剤をもたらし、モノマー混合物中に溶媒を必要とせず(グリセロールなどの溶媒を用いても構わないが)、抽出された重合化材料は細胞毒性がなく、表面の手触りが滑らかである。本発明の4級化されたシロキサンプレポリマーを含む重合化されたモノマー混合物が所望の引裂強度を示さない場合には、TBE(4−t−ブチル−2−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート)などの強化剤をモノマー混合物に加えてもよい。他の強化剤は当業者に周知であり、必要に応じて使用して差し支えない。
【0036】
本明細書に開示されるカチオン性シロキサンプレポリマーの利点は、それらが比較的水溶性であり、また、それらのコモノマーにも可溶性であり、有機希釈剤に最初のモノマー混合物を含めてもよいことである。本明細書では、「有機希釈剤」という用語は、最初のモノマー混合物中の成分の非相溶性を最小限に抑え、かつ、最初の混合物中の成分とは実質的に反応しない、有機化合物を網羅している。加えて、有機希釈剤は、モノマー混合物の重合によって生じた重合化された生成物の相分離を最小限に抑える働きをする。また、有機希釈剤は、一般に、比較的難燃性であろう。
【0037】
意図する有機希釈剤としては、t−ブタノール(TBA);エチレングリコールおよびプロピレングリコールなどのジオール;および、グリセロールなどのポリオールが挙げられる。有機希釈剤は、抽出工程の間に硬化させた物品からの除去を容易にするため、抽出溶媒に十分に可溶性であることが好ましい。
【0038】
他の好ましい有機希釈剤は、当業者にとって明白であろう。
【0039】
有機希釈剤は、所望の効果を提供するのに有効な量で含まれる。一般に、希釈剤は、モノマー混合物中に5〜60重量%の量で含まれ、10〜50重量%が特に好ましい。
【0040】
本発明の方法によれば、少なくとも1種類の親水性モノマー、少なくとも1種類のカチオン性シロキサンプレポリマー、および随意的に有機希釈剤を含む、モノマー混合物は、静的キャスティングまたはスピンキャスティングなどの従来法によって成形および硬化させる。
【0041】
レンズの形成には、阻害剤を使用し、参照することにより本明細書に援用される米国特許第3,808,179号明細書に記載されるような条件下で、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)および過酸化触媒などのフリーラジカル重合によって行うことができる。当技術分野で周知のようにモノマー混合物の重合の光イニシェーションもまた、本明細書に開示される物品の形成方法に使用されうる。着色剤などをモノマーの重合前に加えてもよい。
【0042】
その後、十分な量の未反応のモノマーおよび存在する場合には有機希釈剤を、硬化させた物品から除去し、物品の生体適合性を向上させる。レンズを挿入する際に重合化していないモノマーが眼内に放出されると、炎症および他の不具合を生じさせうる。イソプロピルアルコールなどの可燃性の溶媒で抽出しなければならない他のモノマー混合物とは異なり、本明細書に開示される新規の4級化されたシロキサンプレポリマーの特性に起因して、水を含む難燃性の溶媒が抽出工程に用いられる。
【0043】
カチオン性シロキサンプレポリマーを含む重合化されたモノマー混合物から形成された生体適合材料がひとたび形成されると、それらは次に、包装および最終的な利用を目的として抽出される。抽出は、重合化された材料を、さまざまな期間で、水、t−ブタノールなどのさまざまな溶媒に晒すことによって達成される。例えば、抽出方法の1つは、重合化された材料を水中に約3分間浸し、水を除去し、次いで重合化された材料を別の等量の水に約3分間浸し、その等量の水を除去して、水または緩衝溶液中の重合化された材料をオートクレーブにかける。
【0044】
未反応のモノマーおよび有機希釈剤の抽出に続いて、形成された物品、例えばRGPレンズは、随意的に、当技術分野で知られたさまざまな方法によって機械加工される。機械加工の工程としては、レンズ表面の旋削、レンズの辺縁の旋削、レンズの辺縁のバフ研磨、またはレンズの辺縁または表面の研磨が挙げられる。表面が粘着性または弾性の場合には、レンズ表面の機械加工が特に困難であることから、本方法は、レンズ表面を旋削するような方法にとって特に有利である。
【0045】
一般に、このような機械加工は、物品を成形型部品から外す前に行われる。機械作業後、レンズを成形型部品から出して水和させる。あるいは、物品を成形型部品から出した後に機械にかけ、その後水和させることもできる。
【実施例】
【0046】
Gelest, Inc.社(米国ペンシルバニア州モリスヴィル)から入手した、アミノプロピル末端化ポリ(ジメチルシロキサン)900〜1000および3000g/mol、およびSilar Laboratories社(米国ニューヨーク州スコティア所在)から入手したメタクリルオキシプロピル・トリス(トリメチルシロキシ)シラン(これらは、両方とも、さらに精製することなく使用した)を除き、すべての溶媒および試薬は、Sigma−Aldrich社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー所在)から入手し、そのままの状態で使用した。モノマーである2−(ヒドロキシエチル) メタクリレートおよび1−ビニル−2−ピロリドン は、標準的な技法を用いて精製した。
【0047】
分析的測定
NMR:
400MHzのVarian社製スペクトロメータを使用し、当技術分野で標準的な技法を用いて、1H−核磁気共鳴(NMR)解析を行った。サンプルは、他に指摘しない限り、クロロホルム−d(99.8原子%D)に溶かした。化学シフトは、7.25ppmにクロロホルムの残渣ピークを割り当てることにより決定される。ピーク面積およびプロトン比は、ベースライン独立ピーク(baseline separated peaks)の積分によって決定される。存在し、かつ、はっきりと識別可能な場合に、分裂パターン(s=1重線、d=2重線、t=3重線、q=4重線、m=多重線、br=広幅線)および結合定数(J/Hz) について記載する。
【0048】
SEC:
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析は、テトラヒドロフラン(THF)(5〜20mg/mL)に溶解したサンプル100μLを、Polymer Lab社のPL Gel Mixed Bed E(×2)カラムに35℃で注入し、Waters社の515HPLCポンプおよびHPLC用THF移動相、流量mL/分を使用することによって行い、35℃でWaters社の410示差屈折計により決定した。Mn、Mwの値および多分散性(PD)は、Polymer Lab社のポリスチレンナロースタンダード(Polystyrene narrow standards)との比較によって決定される。
【0049】
ESI−TOF MS:
エレクトロスプレイ(ESI)飛行時間型(TOF)質量(MS)分析は、Applied Biosystems Mariner社の機器で行われた。その機器を陽イオンモードで操作した。機器は、リジン、アンギオテンシノゲン、ブラジキニン(フラグメント1〜5)およびdes-Proブラジキニンを含む標準溶液を用いて質量較正する。この混合物は、147〜921m/zから7点較正(seven-point calibration)を提供する。印加電圧パラメータは同じ標準溶液から得られたシグナルから最適化される。
【0050】
ポリマーサンプルの原液は、テトラヒドロフラン(THF)中、1mg/mLで調製される。これらの原液から、イソプロパノール(IPA)中、2重量%の飽和NaClを加えたIPA中30μM溶液として、ESI−TOF MS分析用のサンプルを調製する。サンプルは、ESI−TOF MS機器に35μL/分の速度で、直接、注入される。
【0051】
機械的性質および酸素透過性:
モジュラスおよび伸長試験は、Instron社の機器(4502モデル)を用いて、ASTM D−1708aに従って行われ、ここで、ハイドロゲル・フィルムサンプルは、ホウ酸緩衝生理食塩水に浸される。適切な大きさのフィルムサンプルは、ゲージ長22mm、幅4.75mmであり、ここで、サンプルはさらに、Instron社の機器のクランプでサンプルをしっかり挟むのに適した犬用の骨の形をした端、および200+50μmの厚さを有している。
【0052】
酸素透過性(Dkとも称される)は、次の手順によって決定される。他の方法および/または機器は、もたらされる酸素透過性の値が記載された方法と等価である限り使用して差し支えない。シリコンハイドロゲルの酸素透過性は、その端に円形の金の中心陰極を備え、陰極から隔離された銀の陽極を備えたプローブを有するO2パーメオメーター201Tモデルの機器(Createch社(米国、カリフォルニア州アルバニー所在)製)を使用したポーラログラフ法(ANSI Z80.20−1998)によって測定される。測定は、150〜600μmの中心の厚さの異なる、あらかじめ検査された、ピンホールのない、平らなシリコンハイドロゲル・フィルムサンプル上でのみ行われる。フィルムサンプルの中心の厚さの測定は、Rehder社のET−1電子測厚器を用いて測定して差し支えない。 一般に、フィルムサンプルは、円形のディスクの形状を有している。測定は、35℃±0.2℃に合わせた、循環リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を備えた浴槽中に浸されたフィルムサンプルおよびプローブを用いて行われる。PBS浴中にプローブおよびフィルムサンプルを浸す前に、フィルムサンプルを設置し、平衡化したPBSであらかじめ湿らせた電極を中心に据え、電極とフィルムサンプルの間に気泡または過剰のPBSが存在しないことを確実にし、次いで、そのフィルムサンプルを、マウンティングキャップを備えたプローブに、プローブの陰極部分がフィルムサンプルのみと接触するように、固定する。シリコンハイドロゲル・フィルムでは、プローブ陰極とフィルムサンプルの間に、テフロン(登録商標)ポリマー膜、すなわち、円形ディスクの形状を有する膜を用いることが、しばしば有用である。そのような場合には、「テフロン」膜は、あらかじめ湿らせた陰極に最初に設置し、次に、フィルムサンプルを「テフロン」膜上に置き、気泡または過剰のPBSが「テフロン」膜またはフィルムサンプルの下に存在しないことを確保する。測定結果が回収されたら、相関係数値(R2)0.97以上を有するデータのみがDk値の算出に入れられるべきである。厚さごとに少なくとも2つのDk測定値、およびそれに見合うR2値がもたらされる。既知の回帰分析を使用して、酸素透過性(Dk)を、少なくとも3種類の異なる厚さを有するフィルムサンプルから算出する。PBS以外の溶液で水和されたフィルムサンプルは、最初に純水に浸し、少なくとも24時間平衡化させ、次いでPHBに浸し、少なくとも12時間平衡化させる。機器は、定期的に清掃し、定期的にRGP標準を使用して較正される。上限および下限値は、その開示の全体が本明細書に援用される、William J. BenjaminらのThe Oxygen Permeability of Reference Materials, Optom Vis Sci 7 (12s): 95 (1997)によって確立された、±8.8%のリポジトリ値を計算することによって確立される:
【表1】

【0053】
略語
MI−MCR−C12
【化9】

【0054】
NVP 1−ビニル−2−ピロリドン
TRIS メタクリルオキシプロピル・トリス(トリメチルシロキシ)シラン
HEMA メタクリル酸 2−ヒドロキシエチル
v−64 2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)
PG 1,3−プロパンジオール
EGDMA ジメタクリル酸エチレングリコール
SA 2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(2-[3-2H-Benzotriazol-2-yl-4-hydroxyphenyl]ethyl methacrylate)
IMVT 1,4−ビス[4−(2−メタクリルオキシエチル)フェニルアミノ]アントラキノン(1,4-bis[4-(2-methacryloxyethyl) phenylamino]anthraquinone)
【0055】
下記の実施例から得られるカチオン性のエンドキャップされたポリ(ジメチルシロキサン) プレポリマーを含む液体モノマーの溶液を、眼科の材料にとって一般的な他の添加剤(希釈剤、抑制剤など)と共に、さまざまな厚さで、シラン化されたガラスプレートの間にクランプで固定し、窒素雰囲気下、100℃で2時間加熱することにより、フリーラジカルを生成させる添加剤の熱分解を用いて、重合化される。各配合物は、透明で、粘着性付与剤を含まず、不溶性のフィルムを与える。
【0056】
フィルムをガラスプレートから除去し、最小限4時間、脱イオンH2Oで水和/抽出し、新しい脱イオンH2Oに移し、121℃で30分間、オートクレーブにかける。次に、冷却したフィルムを、眼科材料に重要な選択的性質について分析する。機械的試験は、上述のように、ASTM D−1708aにしたがって、ホウ酸緩衝生理食塩水中で行なわれる。Dk(またはbarrer)単位で報告される酸素透過性は、上述のように3つの異なる厚さを有する許容されるフィルムを使用し、35℃で、リン酸緩衝生理食塩水中で測定される。
【0057】
他に明記しない限り、またはその使用法によって明らかにされない限り、実施例に用いられるすべての数は、用語「約」によって修飾され、また、重量%であるとされるものとする。
【0058】
実施例1.
1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサンRD−1862 “IodoM239 Plus”の合成
本実施例では、中間体である1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサンの生成のための合成手法について詳述する。
【0059】
I. 1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサンの調製
反応スキーム
【化10】

【0060】
材料
1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサン(60℃および0.6mbarで2時間、真空ストリップしたもの)
Aliquot(登録商標)336(Henkel Corporationの登録商標)、入手したままの状態
トルエン(99.5%)、入手したままの状態
臭化水素酸(48%)、入手したままの状態
飽和NaCl
0.5M 重炭酸ナトリウム溶液
硫酸マグネシウム(無水物)、入手したままの状態
シリカゲル60(E.Merck7734−4)、入手したままの状態
ヘプタン(99%)、入手したままの状態
ジクロロメタン(99.5%)、入手したままの状態
【0061】
装置
5Lの三つ口丸底モートンフラスコ(morton flask)
「テフロン」ブレードの付いたメカニカル・スターラー
コンデンサ
温度計
6Lの分液漏斗
真空ろ過装置
家庭用の(低)真空セットアップ
真空ポンプ(粗引き)
クロマトグラフィーカラム(8.9cm×76.2cm(3.5インチ×30インチ))
ロータリー・エバポレータ
【0062】
許容範囲
温度:±2℃
時間:±1時間
体積:±10mL
重量:±0.2g
【0063】
調製
1. 5Lの3つ口丸底モートンフラスコ(morton flask)は、「テフロン」ブレードの付いた機械攪拌系およびコンデンサを備えていた。
2. 1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサン(837.2g、3.0mol) を、トルエン中48.6g(0.12mol)の「Aliquat」336(1000mL)および2.0Lの48%HBr(aq)と共にフラスコに加えた。
3. 反応混合物を強攪拌しながら、16時間、100℃に加熱した。
4. 冷却後、有機層を6Lの分液漏斗に分離した。
5. 1×2Lの飽和NaCl、0.5Mの重炭酸ナトリウム溶液(3×500mL)で洗浄した。
6. 硫酸マグネシウム上で乾燥させ、生成物を真空ろ過した。
7. 生成物を60℃に加熱し、粗引ポンプ(1.3mbar)で溶媒を除去。粗収量は約1250gであると予想される。
8. シリカゲルカラム(2kgのシリカゲル、カラム直径8.9cm(3.5インチ)、長さ76.2cm(30インチ))は、ヘプタンを用いてスラリー充填することによって調製した。
9. シリコーンの黄色の液体を、ヘプタンを用いてシリカゲル・クロマトグラフィーカラム上にセットした(200g)。
10. 1.5Lの100% ヘプタン、1Lの100%ヘプタン、1Lの80%ヘプタン−20%ジクロロメタン、次いで、終了まで1Lの60%ヘプタン−40%ジクロロメタンを用いて溶出。
11. 最初の1Lを画分「0」として回収の後、回収を開始。有機画分1(65.6g)、 2、3(343g)、4、5、6(33g)、7(31g)、8(19.4g)を再度合わせ、減圧下、ロータリー・エバポレータによるフラッシュ蒸発によって溶媒を除去し、無色の液体として1093.4gの1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサンを得た。
【0064】
実施例2.
カチオン性重合可能な官能基で末端化したポリ(ジメチルシロキサン)の合成(RD−1862 “IodoM239 Plus”)
【化11】

【0065】
この実施例は、最終生成物である、カチオン性メタクリレート末端化されたポリ(ジメチルシロキサン)、“IodoM239 Plus”の生成のための合成手法について詳述する。
【0066】
材料
ドライアライト(drierite)(8メッシュ)、入手したままの状態
1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサン(96.5%)、入手したままの状態
オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)(98%)、入手したままの状態
トリフルオロメタンスルホン酸(98%)、入手したままの状態
重炭酸ナトリウム(99.7%)、入手したままの状態
セライト503、入手したままの状態
アセトン(99%)、入手したままの状態
ドライアイス、入手したままの状態
1,4−ジオキサン(無水物、99.8%)、入手したままの状態
2−(メチルアミノ)エタノール(98%)、入手したままの状態
クロロホルム(無水物、99%)、入手したままの状態
ブライン溶液
脱イオン水
硫酸マグネシウム(無水物)、入手したままの状態
トリエチルアミン(99.5%)、入手したままの状態
2,6−ジ−t−ブチル−メチルフェノール(BHT)(99%)、入手したままの状態
メタクリロイルクロライド(≧97%)、入手したままの状態
炭酸ナトリウム(99%)、入手したままの状態
アンバーリスト(Amberlyst)A26水酸化物の形態の樹脂、入手したままの状態
テトラヒドロフラン(無水物、99.9%)、入手したままの状態
ヨードメタン(99%)、入手したままの状態
【0067】
装置
フラスコ: 1000mL 丸底(×3), 3つ口の 1000mL 丸底, 500mL 圧力フラスコ(丸底)
「テフロン」ブレードの付いた メカニカル・スターラー
乾燥管
加圧フィルター(ステンレス鋼)
窒素ガス
PTFEフィルター(5μm)
マグネチック攪拌プレート
マグネチック攪拌棒
温度計
真空ポンプ(粗引)
真空トラップ
1Lのマントルヒーター
熱電対を備えた温度調節器
コンデンサ(水冷)
ラバーセプタム
ロータリー・エバポレータ
分液漏斗(1000mL)
真空ろ過装置
ガラスミクロ繊維(Glass microfiber)ろ過紙、(サンプルを0.7μmに保持)
家庭用の(低い)真空セットアップ
ヒートガン
添加漏斗(Addition funnel)(100mL)
油浴
アルミ箔
冷凍冷蔵庫
ドライ・ボックス(<5%の相対湿度)
屋内空気(乾燥、油分なし)
漏斗
スパチュラ
【0068】
許容範囲
温度:±2℃
時間:別記しない限り、±1時間
体積:±1mL
重量:±1g
【0069】
調製
工程1:開環重合
1.オーバーヘッド・メカニカル・スターラーおよび乾燥管(ドリエライトを使用)を備えた1000mLの丸底フラスコ に、1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサン(61.3g)およびオクタメチルシクロテトラシロキサン(438.7g)を加えた。
2. トリフルオロメタンスルホン酸 (1.25g、0.25w/w%)を加え、室温で24時間攪拌した。
3. 反応に重炭酸ナトリウム(7g)を加え、混合物を緩やかな速度で、24時間、室温で攪拌した。
4. 次に、混合物を、1000mLの丸底フラスコに、5μmのPTFEフィルターおよびセライトパッドを備えた加圧フィルター系を通じて、窒素のやや陽圧を用いてろ過した。
5. 混合物を磁気攪拌し、80℃で少なくとも4時間、<1.3mbarで真空ポンプおよびアセトン/ドライアイス・トラップを用いて、あるいは、残留するオクタメチルシクロテトラシロキサンの回収が実質的に完了するまで(液体の回収がなくなるまで)引き、無色透明の粘性の液体として生成物を得た(426g、収率85%)。
【0070】
生成物:
1,3−ビス(4−ブロモブチル)ポリ(ジメチルシロキサン)、無色透明の液体
n=1500〜3000、およびPD=1.5〜2.5、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)
【0071】
工程2:2−(メチルアミノ)エタノールとの反応
1. 次に、上記工程1.5から得られた無色の液体生成物(200g)を、3つ口の1000mL丸底フラスコ中の1,4−ジオキサン(500mL、シリコーンに対して2.5mL/gのジオキサン)に溶解させた。フラスコは、機械攪拌系、1Lのマントルヒーター、水冷コンデンサ、および反応温度をモニタするための熱電対を備えていた。
2. 2−(メチルアミノ)エタノール(30mL,6モル当量)を反応容器に加えた。
3. フラスコをラバーセプタムで封止し、窒素パージ下に置いた。
4. 次に、反応を、強攪拌下、100℃で72時間加熱した。
5. 3つ口の1000mLフラスコの内容物を1つ口の1000mL丸底フラスコに移し、ロータリー・エバポレータでジオキサンを除去した。
6. シリコーン生成物をクロロホルムに溶解させ、1000mLの分液漏斗に移した。
7. 生成物を500mLのブライン溶液(×2)、500mLの5%重炭酸ナトリウム溶液(×3)で洗浄した後、500mLのブライン溶液でもう一度洗浄した。
8. シリコーン生成物を工程2.7から回収し、硫酸マグネシウム(生成物中の水分をすべて吸収するのに十分な量)で乾燥させた。
9. ロータリー・エバポレータ/真空ポンプを用いて、生成物を真空ろ過し、溶媒を除去して中間生成物を得た。
10. 生成物をNMR分光法で確認した。
【0072】
工程3:メタクリロイルクロリドを用いたメタクリル化
1. 工程2.9から得たシリコーン生成物を無水クロロホルムに溶解させ(3.0mL/gのシリコーン)、マグネチック攪拌棒を備えた1000mLの丸底フラスコに移した(ヒートガンを用いて乾燥させた。
2. トリエチルアミン(6モル当量) を、250ppmのBHTと共に反応に加えた。
3. 添加漏斗(Addition funnel)(ヒートガンで乾燥させた) をフラスコに付加し、クロロホルムと共にメタクリロイルクロライド(4モル当量)を漏斗に加え(酸塩化物のおよそ2倍の体積)、酸塩化物を希釈した。つぎに、この系をラバーセプタムでキャップし、N2でパージした。
4. 反応を攪拌し、酸塩化物を滴下して加えた。反応を周囲温度で15時間攪拌下に置いた。
5. 反応を1000mLの分液漏斗に移し、500mLのブライン溶液(×2)、500mLの5%炭酸ナトリウム溶液(×2)、および再度、500mLのブライン溶液で洗浄した。
6. 過剰のアンバーリストA26樹脂をクロロホルムで洗い流し、次に、工程3.5から得た生成物を、1時間、かき混ぜながら入れた。系を乾燥させるために硫酸マグネシウムを加えた。
7. 固形物を生成物から真空ろ過して除き、生成物をロータリー・エバポレータで濃縮した。
8. NMR分光法で生成物を確認した。
【0073】
工程4:4級化
1. 工程3.7の生成物をTHF(2.0mL/g シリコーン)に溶解させ、攪拌棒を備えた500mLの丸底の圧力フラスコに移した。
2. ヨードメタン(8モル当量)を反応に加えた。
3. 反応容器を封止し、45℃の油浴で15時間、遮光しつつ(アルミホイルで包む)攪拌した。
4. 反応系をロータリー・エバポレータ上にセットしてすべての溶媒および過剰のヨードメタンを除去し、黄色のロウ状の固形生成物を得た。
5. 生成物を封止し、約−20℃で固めた。
6. 生成物をスパチュラで刻み、残留するヨードメタン/溶媒を真空ポンプで除去した(生成物を周囲温度に保持)。
7. 運搬、サンプリングなどのため、生成物を、乾燥空気雰囲気を用いてドライ・ボックスに移し、水分汚染を避けるため、乾燥剤を用いて−20℃で保管。
8. 生成物をNMR分光法、質量分析法、ゲル透過クロマトグラフィー、およびガス・クロマトグラフィーによって確認した。
【0074】
生成物:
カチオン性メタクリレートで末端化した ポリ(ジメチルシロキサン)(RD−1862、“IodoM239 Plus”)、やや黄色い、ロウ状の固体生成物
【0075】
実施例3. RD−1862 “Iodo M239 Plus”の合成
目的
この資料は、中間体である1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサンおよび最終生成物であるカチオン性メタクリレートで末端化したポリ(ジメチルシロキサン)、 “Iodo M239 Plus”の生成のための合成手順を詳述する。
【0076】
I. 1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサンの調製
反応スキーム
【化12】

【0077】
材料
1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサン、60℃および0.6mbarで2時間、真空ストリップしたもの
「Aliquot」336(Henkel Corporationの登録商標)、Aldrich社から入手したままの状態
トルエン(99.5%)、Aldrich社から入手したままの状態
臭化水素酸(水性HBr)(48%)、Aldrich社から入手したままの状態
飽和食塩水
0.5M 重炭酸ナトリウム溶液
硫酸マグネシウム(無水物)、Fisher Scientific社から入手したままの状態
シリカゲル60(E.Merck7734−4)、入手したままの状態
ヘプタン(99%)、Aldrich社から入手したままの状態
ジクロロメタン(99.5%)、Aldrich社から入手したままの状態
【0078】
装置
5Lの3つ口丸底モートンフラスコ(morton flask)
「テフロン」ブレードの付いた メカニカル・スターラー
「テフロン」スターラー・ベアリング
「テフロン」スリーブ
コンデンサ
温度計または熱電対
6Lの分液漏斗
真空ろ過装置
家庭用の(低)真空セットアップ
真空ポンプ(粗引き)
クロマトグラフィーカラム(8.9cm×76.2cm(3.5インチ×30インチ))
ロータリー・エバポレータ
【0079】
許容範囲
温度:±2℃
時間:±1時間
体積:±10mL
重量:±0.2g
【0080】
調製
1. 5Lの3つ口丸底モートンフラスコ(morton flask)は、「テフロン」ブレードの付いた機械攪拌系、およびコンデンサを備えていた。
2. 1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサン(837.2g、3.0mol) を、トルエン中48.6g(0.12mol)の「Aliquat」336(1000mL)および2.0Lの48%HBr(aq)と共にフラスコに加えた。
3. 反応混合物を強攪拌しながら、16時間、100℃に加熱した。
4. 冷却後、有機層を6Lの分液漏斗に分離した。
5. 1×2Lの飽和NaCl、0.5Mの重炭酸ナトリウム溶液(3×500mL)で洗浄した。
6. 硫酸マグネシウム上で乾燥させ、生成物を真空ろ過した。
7. 生成物を60℃に加熱し、粗引ポンプ(1.3mbar)で溶媒を除去。粗収量は約1250gであると予想される。
8. シリカゲルカラム(2kgのシリカゲル、カラム直径8.9cm(3.5インチ)、長さ76.2cm(30インチ))は、ヘプタンを用いてスラリー充填することによって調製した。
9. シリコーンの黄色の液体を、ヘプタンを用いてシリカゲル・クロマトグラフィーカラム上にセットした(200g)。
10. 1.5Lの100% ヘプタン, 1Lの100%ヘプタン、1Lの80%ヘプタン−20%ジクロロメタン、次いで、終了まで1Lの60%ヘプタン−40%ジクロロメタンを用いて溶出した。
11. 最初の1Lを画分「0」として回収した後、回収を開始。有機画分1(65.6g)、 2、3(343g)、4、5、6(33g)、7(31g)、8(19.4g)を再度合わせ、減圧下、ロータリー・エバポレータによるフラッシュ蒸発によって溶媒を除去し、無色の液体として1093.4gの1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサンを得た。
【0081】
II. カチオン性の重合可能な官能基で末端化されたポリ(ジメチルシロキサン)の合成
概要:
【化13】

【0082】
材料
ドライアライト(8メッシュ)、Fisher Scientific社製
1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサン(96.5%)、上記手順に従って調製
オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、(98%)、入手したままの状態
トリフルオロメタンスルホン酸 (98%)、Aldrich社から入手したままの状態
重炭酸ナトリウム(99.7%)、Fisher Scientific社から入手したままの状態
セライト503、Fisher Scientific社から入手したままの状態
アセトン(99%)、Aldrich社から入手したままの状態
ドライアイス
1,4−ジオキサン(無水物、99.8%)、Aldrich社から入手したままの状態
2−(メチルアミノ)エタノール (98%)、Aldrich社から入手したままの状態
クロロホルム(無水物、99%)、Aldrich社から入手したままの状態
飽和食塩水(ブライン)
脱イオン水
硫酸マグネシウム(無水物)、Fisher Scientific社から入手したままの状態
トリエチルアミン(99.5%)、Aldrich社から入手したままの状態
2,6−ジ−t−ブチル−メチルフェノール(BHT)(99%)、Aldrich社から入手したままの状態
ジメタクリル酸無水物(≧94%)、Aldrich社から入手したままの状態
ジメチルアミノピリジン(97%)、Aldrich社から入手したままの状態
炭酸ナトリウム(99%)、Fisher Scientific社から入手したままの状態
アンバーリストA26水酸化物の形態の樹脂、Aldrich社から入手したままの状態
テトラヒドロフラン(無水物、99.9%)、Aldrich社から入手したままの状態
ヨードメタン(99%)、Aldrich社から入手したままの状態
【0083】
装置
フラスコ: 1000mLの丸底(1つ口)、1000mLの丸底(2つ口)、2000mLの丸底(1つ口)、2000mLの丸底(3つ口)
「テフロン」ブレードの付いた メカニカル・スターラー
「テフロン」スターラー・ベアリング
「テフロン」スリーブ
「テフロン」ストッパー
乾燥管
加圧フィルター(ステンレス鋼)
窒素ガス
PTFEフィルター(5μm)
マグネチック攪拌プレート
マグネチック攪拌棒s
温度計
真空ポンプ(粗引き)
真空トラップ
2Lのマントルヒーター
熱電対を備えた温度調節器
コンデンサ(水冷)
ラバーセプタム
ロータリー・エバポレータ
分液漏斗(4000mL)
真空ろ過装置
ガラスミクロ繊維(Glass microfiber)ろ過紙、(サンプルを0.7μmに保持)
家庭用の(低)真空セットアップ
ヒートガン
添加漏斗(Addition funnel)、(250mL)
水浴
冷凍冷蔵庫
ドライ・ボックス (<5%の相対湿度)
屋内空気(乾燥、油分なし)
漏斗
スパチュラ
【0084】
許容範囲
温度:±2℃
時間:別記しない限り、±1時間
体積:±1mL
重量:±1g
【0085】
調製
工程1:開環重合
1.オーバーヘッド・メカニカル・スターラーおよび乾燥管(ドリエライトを使用)を備えた2つ口の1000mLの丸底フラスコ に、1,3−ビス(4−ブロモブチル)テトラメチルジシロキサン(61.3g)およびオクタメチルシクロテトラシロキサン(438.7g)を加えた。
2. トリフルオロメタンスルホン酸 (1.25g、0.25w/w%)を加え、室温で24時間攪拌した。
3. 反応に重炭酸ナトリウム(7g)を加え、混合物を緩やかな速度で、さらに24時間、室温で攪拌した。
4. 次に、混合物を、1000mLの丸底フラスコに、5μmのPTFEフィルターおよびセライトパッドを備えた加圧フィルター系を通じて、窒素のやや陽圧を用いてろ過した。
5. 混合物を、マグネチック攪拌棒を用いて磁気攪拌し、80℃で少なくとも4時間、<1.3mbarで真空ポンプおよびアセトン/ドライアイス・トラップを用いて、あるいは、残留するオクタメチルシクロテトラシロキサンの回収が実質的に完了するまで(液体の回収がなくなるまで)ストリップし、無色透明の粘性の液体として生成物を得た(426g、収率85%)。
【0086】
工程2:2−(メチルアミノ)エタノールとの反応
1. 次に、上記工程1.5から得られた無色の液体生成物(504g)を、3つ口の2000mLの丸底フラスコ中の1,4−ジオキサン(504mL、シリコーンに対して1mL/gのジオキサン)に溶解させた。フラスコは、機械攪拌系、1Lのマントルヒーター、水冷コンデンサ、および反応温度をモニタするための熱電対を備えていた。フラスコの接合部すべてに「テフロン」アダプターを用いてシリコーンの滑剤化(lubricant)を防いだ。
2. 2−(メチルアミノ)エタノール(76mL、6モル当量)を反応容器に加えた。
3. 反応を窒素雰囲気生成装置(nitrogen blanket)下に置いた。
4. 次に、反応を、100℃で8時間加熱し、十分に攪拌した。
5. フラスコの内容物を1つ口の2000mL丸底フラスコに移し、ロータリー・エバポレータでジオキサンを除去した。
6. シリコーン生成物をクロロホルム(500mL)に再溶解させ、4000mLの分液漏斗に移した(洗浄前に、未反応のアミンを分液漏斗から抜液することができる)。
7. 生成物を2000mLの50/50ブライン溶液/10%重炭酸ナトリウム溶液(×2)で洗浄した後、2000mLの50/50ブライン溶液/水で洗浄した。
8. シリコーン生成物を工程2.7から回収し、十分量の硫酸マグネシウムで乾燥させた。
9. ロータリー・エバポレータ/真空ポンプを用いて、生成物を真空ろ過し、溶媒を除去した。
【0087】
10. 次に濃縮生成物を、1000mLの丸底フラスコに、5μmのPTFEフィルターを備えた加圧フィルター系を通じて、窒素のやや陽圧を用いてろ過し、無色の中間性生物を得た(477.6g、収率95%)。
11. 生成物をNMR分光法で確認した。
【0088】
工程3:ジメタクリル酸無水物を用いたメタクリル化
1. 工程2.9から得たシリコーン生成物(450.8g)を無水クロロホルムに溶解させ(450mL、1mL/gのシリコーン)、オーバーヘッド・メカニカル・スターラーを備えた2つ口の2000mLの丸底フラスコに移した(ヒートガンを用いて乾燥させた)。
2. トリエチルアミン(58.9g、3モル当量)を、ジメチルアミノピリジン(0.017g、0.001モル当量)および、工程2.3の生成物(112.7mg)に対して500ppmのBHT抑制剤と共に反応に加えた。
3. 添加漏斗(Addition funnel)(ヒートガンで乾燥させた) をフラスコに付加し、ジメタクリル酸無水物 (67mL、3モル当量)をクロロホルムと共に漏斗に加え(約100mL)、無水物を希釈した。この系を封止し、窒素雰囲気生成装置下に置いた。
4. 反応を攪拌し、ジメタクリル酸無水物を滴下して加えた。すべての無水物を加えた後、反応を周囲温度で15時間攪拌下に置いた。
5. 水(約700mL)を反応に加え、無水物がすべてメタクリル酸に転換されるまで(約15時間)攪拌した。
6. 反応を4000mLの分液漏斗に移し、700mLのブライン溶液を加えて分離を助け、有機層を単離した。
7. 単離した生成物層を2000mLの50/50ブライン溶液/10%NaHCO3(×2)、次いで2000mLの50/50ブライン溶液/水で洗浄した。
8. 生成物を1つ口の2000mLのRBFに移し、200gのアンバーリストA26水酸化物樹脂を用いて、48時間、生成物からメタクリル酸塩がなくなるまで(NMRでモニタした)、機械的に攪拌した(樹脂はクロロホルムを用いて洗浄した)。注記:「Amberlite」IRA−410 CL樹脂は、アンバーリストA26水酸物樹脂で置換可能である。
9. 樹脂を、生成物から真空ろ過によって分離した。
10. 生成物を十分量の硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。
11. 生成物を真空ろ過し、ロータリー・エバポレータで濃縮した。
12. 次に濃縮生成物を、1000mLの丸底フラスコに、5μmのPTFEフィルターを備えた加圧フィルター系を通じて、窒素のやや陽圧を用いてろ過し、やや黄色の中間生成物を得た(401g、収率89%)。
13. 生成物をNMR分光法で確認し、BHT濃度をガス・クロマトグラフィーでモニタした。BHT抑制剤のターゲット濃度は500ppmである。適量のBHTをメタクリル化中間生成物に添加し、500±100ppmの総BHT濃度を得た。
【0089】
工程4:4級化
1. 工程3.10の生成物(250.8g)をTHF(250mL、1.0mL/g シリコーン)に溶解させ、マグネチック攪拌棒を備えた1つ口の1000mL丸底フラスコに移した。
2. ヨードメタン(2.2モル当量)を反応に加えた。
3. 反応容器を「テフロン」ストッパーで封止し、45℃の水浴で7時間、攪拌した。
4. 反応系をロータリー・エバポレータ上にセットして溶媒および過剰のヨードメタンを除去し、黄色のロウ状の固形生成物を得た。
5. 生成物を封止し、約−20℃で少なくとも2時間、固めた。
6. 生成物を、乾燥空気雰囲気を用いてドライ・ボックスに移し(<5%の相対湿度)、 一貫性を持って非常に細かくなるまでスパチュラで刻んだ/こすり取った。
7. 残留ヨードメタン/溶媒を真空ポンプで除去した(1.0×10-2mbar、生成物を周囲温度で保持)。
8. 運搬、サンプリングなどのため、生成物をドライ・ボックスに戻し、水分汚染を避けるため、乾燥剤を用いて−20℃で保管した(収量255.01g)。
9. 生成物をNMR分光法、質量分析法、およびゲル透過クロマトグラフィーによって確認した。BHTの濃度をガス・クロマトグラフィーによってモニタし、残留するヨードメタン濃度を液体クロマトグラフィーによってモニタした。
【0090】
実施例4.実施例2のモノマーを使用したフィルムの調製
【表2】

【0091】
9.3重量部の実施例2から得た生成物、23.3部のTRIS、41.9部のNVP、18.6部のHEMA、 5部のPG、0.5部のv−64、1.5部のSA、および95ppmのIMVTを含む、可溶性の液体モノマー混合物40μL等量を、不活性窒素雰囲気下でコンタクトレンズの型の前後のポリ(プロピレン)間を封止し、オーブンへ移し、不活性窒素雰囲気下、100℃で2時間加熱した。冷却した成形対(mold pairs)を分離し、乾燥レンズを成形型からはずし、最低限3分間、脱イオンH2Oで2回水和/抽出し、緩衝生理食塩溶液を含むオートクレーブ用バイアルに移して封止し、121℃で30分間、オートクレーブにかけ、光学的に透明な、青色に着色した眼科用レンズを得た。
【0092】
実施例5.実施例3のモノマーを使用したフィルムの調製
【表3】

【0093】
実施例6.式(III)のモノマーを使用したフィルムの調製
【表4】

【0094】
9.3重量部の式IIIのモノマー、23.3部のTRIS、41.9部のNVP、18.6部のHEMA、 5部のPG、0.5部のv−64、1.5部のSA、および95ppmのIMVTを含む、可溶性の液体モノマー混合物40μL等量を、不活性窒素雰囲気下でコンタクトレンズの型の前後のポリ(プロピレン)間を封止し、オーブンへ移し、不活性窒素雰囲気下、100℃で2時間加熱した。冷却した成形対を分離し、乾燥レンズを成形型からはずし、最低限3分間、脱イオンH2Oで2回水和/抽出し、緩衝生理食塩溶液を含むオートクレーブ用バイアルに移して封止し、121℃で30分間、オートクレーブにかけ、光学的に透明な、青色に着色した眼科用レンズを得た。
【0095】
実施例7.実施例4および6のフィルムの性質
【表5】

【0096】
標準偏差をカッコ内に示した。
【0097】
実施例8.実施例2のモノマーを使用したフィルムの調製
【表6】

【0098】
6.3重量部の実施例2から得た生成物、3.00部のモノメタクリル化されたポリジメチルシロキサンプレポリマー、23.3部のTRIS、41.9部のNVP、18.6部のHEMA、5部のPG、0.5部のv−64、1.5部のSA、および95ppmのIMVTを含む、可溶性の液体モノマー混合物40μL等量を、不活性窒素雰囲気下でコンタクトレンズの型の前後のポリ(プロピレン)間を封止し、オーブンへ移し、不活性窒素雰囲気下、100℃で2時間加熱した。冷却した成形対を分離し、乾燥レンズを成形型からはずし、最低限3分間、脱イオンH2Oで2回水和/抽出し、緩衝生理食塩溶液を含むオートクレーブ用バイアルに移して封止し、121℃で30分間、オートクレーブにかけ、光学的に透明な、青色に着色した眼科用レンズを得た。
【0099】
実施例9.実施例7のフィルムの性質
【表7】

【0100】
標準偏差をカッコ内に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性シロキサンプレポリマーの調製方法であって、該方法が、
ビス−ハロゲン化ポリシロキサンおよびアルキル官能化されたヒドロキシ2級アミンを提供し、
極性溶媒中で、前記ビス−ハロゲン化ポリシロキサンを前記アルキル官能化されたヒドロキシ2級アミンと反応させて第1の反応生成物を提供し、
メタクリル化剤および酸スカベンジャーを提供し、
前記酸スカベンジャーの存在下、極性溶媒中で、前記第1の反応生成物を前記メタクリル化剤と反応させて第2の反応生成物を提供し、
4級化剤を提供し、
極性溶媒中で、前記第2の反応生成物を前記4級化剤と反応させて、カチオン性シロキサンプレポリマーを得る、
各工程を有してなる方法。
【請求項2】
前記ビス−ハロゲン化ポリシロキサンが、ビス−ブロモブチルポリジメチルシロキサン、ビス−ブロモプロピルポリジメチルシロキサン、ビス−クロロプロピルポリジメチルシロキサン、およびビス−3−クロロブチルポリジメチルシロキサンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記アルキル官能化されたヒドロキシ2級アミンが、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノールおよび2−(ブチルアミノ)エタノールからなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記メタクリル化剤が、メタクリロイルクロライド、ジメタクリル酸無水物、2−メチルプロペン酸2−イソシアナトエチル、イタコン酸、およびイタコン酸無水物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記4級化剤が、ヨードメタン、ヨードエタン、1−ブロモブタン、塩化メチルからなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記カチオン性シロキサンプレポリマーを単離する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
下記式:
【化1】

を有するモノマー。
【請求項8】
少なくとも1種類の請求項7記載のモノマーと、少なくとも1種類の第2のモノマーとを含む、重合化された生体適合材料の調製に有用なモノマー混合物。
【請求項9】
第2のモノマーに加えて、疎水性モノマーおよび親水性モノマーをさらに含むことを特徴とする請求項8記載のモノマー混合物。
【請求項10】
前記第2のモノマーが、不飽和カルボン酸;メタクリル酸、アクリル酸;アクリル酸で置換されたアルコール;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル;ビニルラクタム;N−ビニルピロリドン(NVP)、N−ビニルカプロラクトン;アクリルアミド;メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド;メタクリレート; ジメタクリル酸エチレングリコール、メチルメタクリレート、メタクリル酸アリル;親水性の炭酸ビニル、疎水性のカルバミン酸ビニルモノマー;親水性のオキサゾロンモノマー、メタクリルオキシプロピル・トリス(トリメチルシロキシ)シラン、ジメタクリル酸エチレングリコール(EGDMA)、メタクリル酸アリル(AMA)およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項8記載のモノマー混合物。
【請求項11】
重合化されたコモノマーとして、請求項7記載のモノマーを含む機器。
【請求項12】
前記機器がコンタクトレンズであることを特徴とする請求項11記載の機器。
【請求項13】
前記コンタクトレンズが、ガス透過性のハードコンタクトレンズであることを特徴とする請求項12記載の機器。
【請求項14】
前記レンズがソフトコンタクトレンズであることを特徴とする請求項12記載の機器。
【請求項15】
前記レンズがハイドロゲル・コンタクトレンズであることを特徴とする請求項12記載の機器。
【請求項16】
前記機器が眼内レンズであることを特徴とする請求項11記載の機器。
【請求項17】
前記レンズが有水晶体眼内レンズであることを特徴とする請求項16記載の機器。
【請求項18】
前記レンズが無水晶体眼内レンズであることを特徴とする請求項16記載の機器。
【請求項19】
前記機器が角膜インプラントであることを特徴とする請求項16記載の機器。
【請求項20】
前記機器が、心臓弁、眼内レンズ、フィルム、外科用機器、管代替物、子宮内器具、膜、横隔膜、外科的移植物、血管、人工尿管、人工乳房組織、腎臓透析機械用の膜、人工心肺用の膜、カテーテル、マウス・ガード、義歯裏装材、眼科用機器、およびコンタクトレンズからなる群より選択されることを特徴とする請求項11記載の機器。
【請求項21】
機器の調製方法であって、
請求項7記載のモノマーおよび少なくとも第2のモノマーを含むモノマー混合物を提供し、
前記モノマー混合物を重合条件に供して重合化された機器を提供し、
前記重合化された機器を抽出し、
前記重合化された機器を包装および殺菌する、
各工程を有してなる方法。
【請求項22】
前記抽出工程が、難燃性溶媒を用いて行われることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記抽出溶媒が水であることを特徴とする請求項21記載の方法。

【公表番号】特表2010−516873(P2010−516873A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547434(P2009−547434)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/051984
【国際公開番号】WO2008/092048
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(391008847)ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド (137)
【氏名又は名称原語表記】BAUSCH & LOMB INCORPORATED
【Fターム(参考)】