説明

カテプシンSの阻害剤

本発明は、カテプシンSの選択的阻害のための化合物、組成物および方法を提供する。好ましい局面において、カテプシンSが、少なくとも1種の他のカテプシンイソ酵素の存在下で選択的に阻害される。本発明はまたカテプシンSを選択的に阻害することによる、対象の疾患状態を処置する方法も提供する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2003年10月21日出願の米国仮特許出願60/513,735の優先権を主張しており、その教示は、引用により、その全体として、かつすべての目的に関して、本出願に包含される。
【0002】
背景技術
システインプロテアーゼは、酵素の活性部位におけるシステイン残基の求核スルフヒドリル基によるペプチド結合の加水分解を触媒する、タンパク質の酵素クラスを代表する。哺乳動物における数種の正常および疾患過程が、システインプロテアーゼ活性と関連し、それは下記を含むがこれに限定されない:骨粗鬆症、骨関節症(Inui, T., O. Ishibashi, J Biol Chem 1997, 272(13), 8109-12; Saftig, P., E. Hunziker, et al., Adv Exp Med Biol 2000+ADs 2000, 477, 293-303; Saftig, P., E. Hunziker, et al., Proc Natl Acad Sci U S A 1998, 95(23), 13453-8)、歯周病、ページェット病、アテローム性動脈硬化症(Jormsjo, S., D. M. Wuttge, et al., Am J Pathol 2002 161(3), 939-45)、多発性硬化症(Beck, H., G. Schwarz, et al., Eur J Immunol 2001, 31(12), 3726-36)、リウマチ性関節炎(Nakagawa, T. Y., W. H. Brissette, et al., Immunity 1999, 10(2), 207-17; Hou, W. S., Z. Li, et al., Am J Pathol 2001, 159(6), 2167-77)、若年性糖尿病、狼瘡、喘息(Cimerman, N., P. M. Brguljan, et al., Pflugers Arch 2001, 442(6 Suppl 1), R204-6)、組織拒絶反応、アルツハイマー病(Lemere, C. A., J. S. Munger, et al., Am J Pathol 1995, 146(4), 848-60)、パーキンソン病(Liu, Y., L. Fallon, et al., Cell 2002, 111(2), 209-18)、神経変性、ショック(Jaeschke, H., M. A. Fisher, et al., J Immunol 1998, 160(7), 3480-6)、癌(Fernandez, P. L., X. Farre, et al., Int J Cancer 2001, 95(1), 51-5)、マラリア(Malhotra, P., P. V. Dasaradhi, et al., Mol Microbiol 2002, 45(5), 1245-54)、アメリカトリパノソーマ症(Eakin, A. E., A. A. Mills, et al., J Biol Chem 1992, 267(11), 7411-20)、リーシュマニア症、住血吸虫症(shistosomiasis)、および嗜眠性脳炎(Caffrey, C. R., S. Scory, et al., Curr Drug Targets 2000, 1(2), 155-62; Lalmanach, G., A. Boulange, et al., Biol Chem 2002, 383(5), 739-49)。
【0003】
カテプシンは、酵素分類EC3.4.22に属するシステインプロテアーゼのサブクラスである(Barrett, A. J., N. D. Rawlings, et al., Handbook of proteolytic enzymes. London, Academic Press)。カテプシンは、リソソーム、エンドソーム、および細胞外タンパク質分解において重要な役割を担い、故に、多くの疾患過程に関与している。例えば、カテプシンB[EC3.4.22.1]は、腫瘍転移において役割を担うと仮説が立てられている(Berquin, I. M. and B. F. Sloane Adv Exp Med Biol 1996, 389, 281-94)。
【0004】
カテプシンS[EC3.4.22.27]は、マクロファージおよび樹状細胞のような専門的抗原提示細胞において多く発現される。カテプシンSは、適切なMHCクラスII抗原提示に必須であることが示されている(Shi, G. P., J. A. Villadangos, et al., Immunity 1999, 10(2) 197-206)。そのMHCクラスII抗原提示における非余剰的な役割の結果、カテプシンSは、炎症、関節炎およびアテローム性動脈硬化症と関連する。カテプシンK[EC3.4.22.38]の、破骨細胞における選択的発現は、カテプシンKがI型コラーゲンを分解する能力と組み合わさっており、それが正常および病的骨リモデリングにおいて役割を担うことを示唆する(Bromme, D., K. Okamoto, et al., J Biol Chem 1996, 271(4), 2126-32)。哺乳動物におけるいくつかの病的障害を処置するための、特異的にシステインプロテアーゼを阻害する化合物および方法が、本分野で必要とされている。本発明は、それらのおよび他の要求を満たす。
【0005】
発明の概要
本発明は、カテプシンSを特異的に阻害するための化合物、組成物および方法を提供する。本発明の化合物は、他のカテプシンイソ酵素の存在下で、カテプシンSに選択的である。好ましい態様において、本発明の化合物は、カテプシンK、L、Bまたはこれらの組み合わせの存在下でカテプシンS特異的である。本発明はまた、他のカテプシンイソ酵素の存在下で、カテプシンSを選択的に阻害することにより、対象の疾患状態を処置する方法も提供する。好ましい局面において、カテプシンSは、カテプシンK、L、Bまたはそれらの組み合わせの存在下で選択的に阻害される。他の好ましい態様において、本発明の化合物はカスパーゼ、例えばカスパーゼ−1、−3−8またはそれらの組み合わせを阻害しない。
【0006】
第一の局面において、本発明は、式I:
【化1】

〔式中、
Yは、
【化2】

から成る群から選択されるメンバーであり;
Aは、−CH−、および−CHCH−から成る群から選択されるメンバーであり;
は、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキル置換C−Cシクロアルキルおよびベンジルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
Xは、−O−CR−C(=O)−Q、−CRH−O−C(=O)−W、−CH−CHR−C(=O)−W、−CRH−CH−C(=O)−W、−CRH−NH−C(=O)−W、−O−CR−B−R、−CRH−NH−C(=O)−O−Z、−CHR−NH−C(=O)−R、および−CHR−NH−S(=O)−Rから成る群から選択されるメンバーであり;
Qは、0−2個のRで置換されているピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニルおよびインドリニルから成る群から選択されるヘテロ環であり、ここで、Qは−C(=O)に環窒素原子を介して結合しており;
各Rは、OH、−S(=O)CH、アセチル、=O、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCFおよびNR1011から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
Wはモルホリニルであり、ここで、Wは−C(=O)−に環窒素原子を介して結合しており;
Zは、各々0−2個のRで置換されているテトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、チオテトラヒドロピラニル、チオテトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニルおよびインドリニルから成る群から選択されるヘテロ環であり、ここで、Zは−O−C(=O)−に環炭素原子を介して結合しており;
各Rは、OH、−S(=O)CH、アセチル、=O、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCFおよびNR1011から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
Bは、−CH−、−OCH−、−NR11CH−、−CHCH−および結合から成る群から選択されるメンバーであり;
各Rは、H、0−2個のR1aで置換されているC−Cアルキル、ここで、該C−Cアルキルは、所望によりから成る群から選択されるヘテロ原子で置換されていてよく−O−、−S−、−S(=O)−、および−S(=O)−;各々0−2個のR1bで置換されているC−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル;0−3個のR1cで置換されているフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1aは、0−3個のR1cで置換されているC−C10アリール、ペルフルオロフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員単環式もしくは8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル、およびC−Cペルフルオロアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1cは、H、OH、F、Cl、Br、CN、NO、COOR12、C(=O)NR1211、S(=O)NR1211、アセチル、−SCH、−S(=O)CH、−S(=O)CH、−NR1011、C−Cアルコキシ、C−Cペルフルオロアルキル、C−CペルフルオロアルコキシおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各Rは、HおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各Rは、1個のR3aで置換されているC−Cアルキルであり;
各R3aは、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各Rは、1個のR4aで置換されているC−Cアルキルであり;
各R4aは、tert−ブチル、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
は、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員単環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1個のR6aおよび0−2個のR1cで置換されている);およびN、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R6aは、0−3個のR1cで置換されているフェニル;N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
は、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1個のR6aおよび0−2個のR1cで置換されている);0−3個のR1cで置換されているフェニル、OCHPh、O−tert−Bu、およびC−Cシクロアルキルから成る群から選択されるメンバーであり;
は、0−3個のR1cで置換されているフェニル、およびN、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から選択されるメンバーであり;
各R10は、H、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)−C(=O)−および(C−C4アルキル)−S(=O)−から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R11は、HおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;そして
各R12は、HおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを提供する。
【0007】
第2の局面において、本発明は、上記の式Iの化合物、および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0008】
第3の局面において、本発明は、処置を必要とする哺乳動物におけるカテプシンSを選択的に阻害する方法であって、哺乳動物に治療的有効量の上記の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを投与することを含む、方法を提供する。
【0009】
これらおよび他の局面、目的および態様は、添付の図面および下記の詳細な記載を読むことにより、より明白となろう。
【0010】
図面の簡単な説明
図1はMHC II抗原提示を記載する。
【0011】
発明の詳細な記載
I. 定義
特記されない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、一般的に、本発明が属する分野の当業者に共通して理解されているのと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用されている命名法ならびに有機化学および分析化学における研究室法は既知のものであり、当分野で一般的に用いられているものである。
【0012】
本明細書で使用する場合、下記の略語および用語は、その用語を使用する文脈において明白に修飾されない限り、下記で定義した意味を有する:
【表1】

【0013】
有機ラジカルまたは化合物と関連して、上記および下記で使用する“低級”なる用語は、7個まで(7個を含む)、および好ましくは4個まで(4個を含む)および(非分枝鎖として)1個または2個の炭素原子を含む、分枝または非分枝でよい、化合物またはラジカルを各々意味する。
【0014】
有機ラジカルまたは化合物と関連して、上記および下記で使用する“ペルフルオロ”なる用語は、フッ素で置換された少なくとも2個の利用可能な水素を有する化合物またはラジカルを各々意味する。例えば、例えば、ペルフルオロフェニルは、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニルを、ペルフルオロメタンは1,1,1−トリフルオロメチルを、およびペルフルオロメトキシは1,1,1−トリフルオロメトキシを意味する。
【0015】
アルキル基は、分枝または非分枝であり、1個から7個の炭素原子、好ましくは1−4個の炭素原子を有する。アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピルまたはイソブチルを意味する。
【0016】
アルケニルは、2個から7個の炭素原子、好ましくは2−4個の炭素原子の直鎖または分枝鎖アルケニル、例えばビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニルまたはブタジエニルを意味する。
【0017】
アルキニルは、2個から7個の炭素原子、好ましくは2−4個の炭素原子の直鎖または分枝鎖アルキニル、例えばアセチレニル、プロピニル、イソプロピニル、ブチニルまたはイソブチニルを意味する。
【0018】
アルキル、アルケニルまたはアルキニルは、アルコキシ、アリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、所望により置換されているアミノ、または所望により置換されているアミノ−オキシまたはトリフルオロメチルから選択される3個までの置換基で置換されていてよい。
【0019】
アルキレンは、1個から7個の炭素原子の直鎖または分枝鎖アルキレン、すなわち1個から7個の炭素原子の2価炭化水素ラジカルを意味する;例えば、直鎖アルキレンは、式−(CH)(ここで、nは1、2、3、4、5、6または7である)の2価ラジカルである。好ましくは、アルキレンは、1個から4個の炭素原子の直鎖アルキレン、例えばメチレン、エチレン、プロピレンもしくはブチレン鎖、またはC−C−アルキル(好ましくはメチル)でモノ置換されている、または同一は異なる原子をC−C−アルキル(好ましくはメチル)でジ置換されているメチレン、エチレン、プロピレンまたはブチレン鎖を意味し、炭素原子の総数は7個まで(7個を含む)である。
【0020】
アルコキシ(またはアルキルオキシ)基は、好ましくは1−7個の炭素原子、より好ましくは1−6個の炭素原子を含み、例えばエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、好ましくはメトキシを意味する。アルコキシは、シクロアルキルオキシおよびシクロアルキル−アルキルオキシを含む。
【0021】
ハロゲン(ハロ)は、好ましくはクロロまたはフルオロを意味し、またブロモまたはヨードでもよい。
【0022】
アリールは、単環式、二環式または三環式アリール、例えば、フェニルまたは、アルキル、アルコキシ、アリール、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アミノ−アルキル、トリフルオロメチル、アルキレンジオキシおよびオキシ−C−C−アルキレンから選択される、1個、2個または3個のラジカルで、モノ−、ジ−もしくはトリ−置換されているフェニル(これらすべては、所望により、例えば前記で定義の通りさらに置換されていてよい)、または1−または2−ナフチル;または1−または2−フェナントレニルを意味する。アルキレンジオキシは、フェニルの2個の隣接炭素原子に結合した2価置換基、例えばメチレンジオキシまたはエチレンジオキシである。オキシ−C−C−アルキレンはまた、フェニルの2個の隣接炭素原子に結合した2価置換基であり、例えばオキシエチレンまたはオキシプロピレンである。オキシ−C−C−アルキレン−フェニルの例は、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イルである。
【0023】
アリールとして好ましいのは、ナフチル、フェニルまたは、アルコキシ、フェニル、ハロゲン、アルキルもしくはトリフルオロメチルでモノ−もしくはジ−置換されているフェニル、とりわけフェニルまたは、アルコキシ、ハロゲンもしくはトリフルオロメチルでモノ−もしくはジ−置換されているフェニル、および特にフェニルである。
【0024】
Rとしての置換フェニル基の例は、例えば4−クロロフェン−1−イル、3,4−ジクロロフェン−1−イル、4−メトキシフェン−1−イル、4−メチルフェン−1−イル、4−アミノメチルフェン−1−イル、4−メトキシエチルアミノメチルフェン−1−イル、4−ヒドロキシエチルアミノメチルフェン−1−イル、4−ヒドロキシエチル−(メチル)−アミノメチルフェン−1−イル、3−アミノメチルフェン−1−イル、4−N−アセチルアミノメチルフェン−1−イル、4−アミノフェン−1−イル、3−アミノフェン−1−イル、2−アミノフェン−1−イル、4−フェニル−フェン−1−イル、4−(イミダゾル−1−イル)−フェン−イル、4−(イミダゾル−1−イルメチル)−フェン−1−イル、4−(モルホリン−1−イル)−フェン−1−イル、4−(モルホリン−1−イルメチル)−フェン−1−イル、4−(2−メトキシエチルアミノメチル)−フェン−1−イルおよび4−(ピロリジン−1−イルメチル)−フェン−1−イル、4−(チオフェニル)−フェン−1−イル、4−(3−チオフェニル)−フェン−1−イル、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−フェン−1−イルならびに所望によりヘテロ環式環を置換されていてよい4−(ピペリジニル)−フェニルおよび4−(ピリジニル)−フェニルである。
【0025】
ベンジルは、フェニル−CH−基を示す。置換ベンジルは、フェニル環が1個またはそれ以上の環系置換基で置換されているベンジル基を意味する。代表的ベンジル基は4−ブロモベンジル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジルなどを含む。
【0026】
ヘテロアリールは、単環式または二環式ヘテロアリール、例えばピリジル、ピリジルN−オキシド、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、または例えばアルキル、ニトロまたはハロゲンで置換されている、とりわけモノ−またはジ−置換されている任意の他のものを含む。ピリジルは、2−、3−または4−ピリジル、有利には2−または3−ピリジルを意味する。チエニルは2−または3−チエニルを意味する。キノリニルは、好ましくは2−、3−または4−キノリニルを意味する。イソキノリニルは好ましくは1−、3−または4−イソキノリニルを意味する。ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニルは、各々好ましくは3−ベンゾピラニルまたは3−ベンゾチオピラニルを意味する。チアゾリルは好ましくは2−または4−チアゾリル、および最も好ましくは、4−チアゾリルを意味する。トリアゾリルは好ましくは1−、2−または5−(1,2,4−トリアゾリル)である。テトラゾリルは好ましくは5−テトラゾリルである。
【0027】
好ましくは、ヘテロアリールは、ピリジル、ピリジルN−オキシド、インドリル、キノリニル、ピロリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、フラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、オキサゾリル、インダゾリル、または置換、とりわけモノ−またはジ−置換されているこれらのものである。
【0028】
ビアリールは、好ましくは、例えば、ビフェニル、すなわち2、3または4−ビフェニル、好ましくは、4−ビフェニル(各々、所望により、例えば、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチルまたはシアノで置換されていてよい)、またはヘテロ環式−炭素環式ビアリール、好ましくは、例えば、チエニルフェニル、ピロリルフェニルおよびピラゾリルフェニルであり得る。
【0029】
シクロアルキルは、所望によりアルキルで置換されていてよい、3個から10個の環炭素を含む飽和環状炭化水素であり、有利には所望によりアルキルで置換されていてよい、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルである。基“C−Cアルキル置換C−Cシクロアルキル”は、シクロアルキル基がアルキル基で置換されていることを意味し、例えばシクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルなどである。ある例において、“C−Cアルキル”部分は、C−Cシクロアルキルにならびに該分子の他の部分に結合している(例えば、二価)。
【0030】
ビシクロアルキルは、7−15個の炭素原子飽和二環式環基である。ビシクロアルキル環の例は、所望によりアルキルで置換されていてよい[3.3.0]ビシクロオクタニル、[2.2.2]ビシクロオクタニル、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカン(デカリン)、スピロ[3.4]オクタニル、スピロ[2.5]オクタニルなどを含む。
【0031】
アミノは所望により、例えば、アルキルで置換されていてよい。
【0032】
炭素環式は、5から7環員を有する飽和または部分的不飽和の環状炭化水素を意味し、ここで、1から2個の環員は、所望により下記の基の1個で置換されていてよい:−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−および−NR−(式中、Rは本発明のラジカルである)。
【0033】
ヘテロシクリルは、O、NまたはSから選択される1個またはそれ以上、好ましくは1個または2個のヘテロ原子を含み、かつ3個から10個、好ましくは5個から8個の環原子の飽和環状炭化水素を意味する;例えば、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピロリル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリノ;これらのすべては、例えば、アリールについて上記で定義の通りに置換されていてよい。
【0034】
本発明の酸性化合物の薬学的に許容される塩は、塩基と形成される塩、すなわちアルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのようなカチオン性塩、ならびに、アンモニウム塩、例えば、アンモニウム、トリメチル−アンモニウム、ジエチルアンモニウム、およびトリス−(ヒドロキシメチル)−メチル−アンモニウム塩である。
【0035】
同様に、例えば、鉱酸、有機カルボン酸および有機スルホン酸、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸の、酸付加塩もまた、塩基性基、例えばピリジルが構造の一部を形成するとき、可能である。
【0036】
“処置”、“処置し”および“処置する”なる用語は、疾患および/またはその附随症状を軽減するまたは無くす方法を意味する。
【0037】
“阻害”、“阻害する”および“阻害剤”なる用語は、特異的作用または機能を阻止する化合物、または阻止する方法を意味する。
【0038】
“阻害定数”、Kは、酵素−阻害剤複合体の解離定数、阻害剤の酵素に対する結合親和性の逆数である。古典的阻害について、Kの値は酵素濃度より大きく、かつKは、複数の阻害剤濃度での競合的基質に対する反応の速度のモニタリングにより測定できる。次いで、阻害速度を、非直線的回帰により、下記式に適合させる:
【数1】

(式中、vは、阻害剤の非存在下での基質処理の初期速度であり、vは、濃度[I]の阻害剤での基質処理の初期速度であり、Kは定常状態ミハエリス定数(Fersht, A. Structure and Mechanism in Protein Science. New York, W. H. Freeman and Company, 1999)であり、そして[S]は競合的基質の濃度である)。
【0039】
上記の古典的阻害について、遊離阻害剤濃度が総阻害剤濃度と等しいことを仮定する。酵素濃度[E]とほぼ等しいKを有する阻害剤について、遊離阻害剤濃度が総阻害剤濃度と等しいとの仮定は、もはや価値はなく、別の式を、見かけの阻害定数、Kappを測定するために、記載の方法を使用して適合させなければならない(Kuzmic, P., K. C. Elrod, et al., Anal Biochem 2000, 286(1), 45-50):
【数2】

阻害定数、Kは、見かけの阻害定数、Kappから、下記の関係を使用して、競合的阻害剤について決定できる:
【数3】

【0040】
“治療的有効量”は、処置すべき状態または障害の症状の1個またはそれ以上の発症を防止するのにまたはある程度軽減するのに充分な、投与している化合物の量である。
【0041】
本明細書で使用する“組成物”は、特異的な量で特異的成分を含む製品、ならびに、特異的量の特異的成分の組み合わせに、直接的または間接的に、由来する何らかの製品を包含することを意図する。“薬学的に許容される”は、担体、希釈剤または賦形剤が、製剤中の他の成分と適合しなければならず、その受け手に危険ではないことを意味する。
【0042】
“対象”は、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含むが、これらに限定されない哺乳動物を意味する。ある態様において、対象はヒトである。
【0043】
“プロドラッグ”は、生物学的特性を増進するための適当な官能基を付加することにより修飾し得る本発明の化合物を意味する。このような修飾は当分野で既知であり、一定の生物学的区画(例えば中枢神経系)への浸透を増加する、経口バイオアベイラビリティーを増加する、注射による投与を可能にするための溶解度を増加する、代謝を変えるならびに排泄の速度および/または経路を変えるものを含む。加えて、本化合物は、所望の化合物が、プロドラッグに対する代謝または他の生化学的過程の作用の結果として患者体内で創成されるような、プロドラッグ形にも変え得る。
【0044】
=Hである本発明の化合物は、溶液中で、開環1aまたは環状ヘミアセタールまたはアセタール形1a'のいずれかとして存在し得る。本明細書でのいずれかの異性体形の提示は、他方を含むことを意味する。
【化3】

同様に、ある種の本発明の化合物が互変体形または水和物形で存在し得ることが当業者には明白であり、化合物のすべてのこのような形は本発明の範囲内である。
【0045】
本明細書に記載の構造はまた同位体濃縮原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことも意味する。例えば、水素が重水素により置換されている以外、本構造を有する化合物は、本発明に明らかに含まれる。
【0046】
II. 全般
カテプシンSは、哺乳動物において、いくつかの正常および疾患過程と関与するシステインプロテアーゼである。特に、カテプシンSは、MHCクラスII抗原提示におけるその役割の結果、炎症、関節炎、およびアテローム性動脈硬化症と直接関与する。好ましい局面において、本発明は、カテプシンSの活性を阻害する化合物を提供する。本発明はまたカテプシンSの活性を阻害することにより、哺乳動物におけるいくつかの疾患状態を処置する方法も提供する。より好ましい局面において、本発明の化合物は、少なくとも1種のカテプシンイソ酵素の存在下で、カテプシンSを選択的に阻害する。
【0047】
III. 化合物
A. 化合物の製造
下記のスキームにおいて、本発明の化合物を製造するための数種の方法は例である。当業者は、これらの方法が代表例であり、いかなる方法でも本発明の化合物を製造するための全ての方法を包含するものではないことを認識しよう。スキームに記載のラジカルは、式Iに記載の通りである。
【0048】
スキーム1に記載のアスパラギン酸誘導体は、当分野で既知の方法により製造でき、例えば、D. S. Karanewsky et al., US2002/0042376およびその中の引用文献を参照のこと。
【化4】

【0049】
アミドカップリング反応は、M. Bodanszky and A. Bodanszky, “The Practice of Peptide Synthesis”, Springer-Verlay 2nd ed. 1994に記載のような標準条件下で行った。
【0050】
本発明の化合物は、スキーム2に示す経路を通って製造できる。文献(D. S. Karanewsky et al., WO00/01666)に記載された、保護された4−オキソ酪酸2−Aを、酸または酸クロライドと、標準的カップリング法を使用して結合させ、2−Bを得た。実施例の章に記載のような基Xのさらなる合成操作の後、最初にt−Bu基をTFAのDCM溶液およびアニソールを使用して除去して、ヘミアセタールを産生し、次いで酢酸とジオキサンまたはメタノールの混合物中のホルムアルデヒドで変換して、2−Dを得た。
スキーム2
【化5】

a)X−COOHまたはX−COCl、標準的アミドカップリング;基Xのさらなる操作;
b)TFA、アニソール、DCM;
c)ホルムアルデヒド、AcOH、ジオキサンまたはメタノール。
【0051】
他の態様において、本発明の化合物はスキーム3に示す通りに合成できる。この経路は、Cbz−アスパルチノールt−ブチルエステル3−Aから出発し、これをアミンに脱保護した。得られたアミンをX−COOHまたはX−COClと結合させ、3−Bを得た。アルコール3−Bを次いで酸化し、得られたアルデヒドをセミカルバゾン3−Cに変換させた。最後の工程で、ヘミアセタールを前記の通り産生した。アルコールの対応するアルデヒドへの酸化の好ましい方法は、Dess-Martinペルヨージナン(D. B. Dess et al. J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 7277およびJ. Org. Chem. 1983, 48, 4155)、Swern酸化ならびにその改変法(D. Swern et al. J. Org. Chem. 1978, 43, 2480; T. T. Tidwell Org. React. 1990, 39, 297; M. Hudlicky Oxidations in Organic Chemistry; ACS: Washington, 1990)、PCC(E.J. Corey et al. Tetrahedron Lett. 1975, 2647; G. Piancatelli Synthesis 1982, 245)、PDC(E.J. Corey et al. Tetrahedron Lett. 1979, 399)およびTPAP触媒酸化(S.V. Ley et al. Synthesis 1994, 639)を含むが、これらに限定されない。
【化6】

a)i)H、Pd/C、EtOH;ii)X−COOHまたはX−COCl、標準的アミドカップリング条件;iii)基Xのさらなる操作;
b)i)Dess-Martinペルヨージナン、DCM;ii)セミカルバジドヒドロクロライド、EtOH/HO(2:1)、NaOAc
c)i)TFA、アニソール、DCM;ii)ホルムアルデヒド、AcOH、ジオキサンまたはメタノール
【0052】
が水素以外である本発明の化合物への経路をスキーム4に示す。
【化7】

a)X−COOHまたはX−COCl、標準的アミドカップリング;さらなる操作;
b)TFA、溶媒。
【0053】
既知のアセタール4−A(D. S. Karanewsky et al., US2002/0042376)を、酸と標準的条件を使用して結合させ、4−Bを得た。基Xのさらなる操作の後、ガンマ−カルボキシルアセタールを環化して、環状アセタール4−Cを産生した。
【0054】
本発明の化合物への別の態様をスキーム5に示す。
【化8】

a)i)Dess-Martinペルヨージナン、DCM;ii)[(OR)CH、ROH、TsOH];iii)TFA、DCM、クロマトグラフィー
b)H、Pd/C、溶媒;
c)i)X−COOHまたはX−COCl、標準的アミドカップリング条件;
ii)基Xのさらなる操作。
【0055】
Cbz−アスパルチノールt−ブチルエステルを、5−Cに文献法(D. S. Karanewsky et al., US2002/0042376)を使用して変換した。アミン5−CをX−COOHまたはX−COClで、標準的アミドカップリング条件を使用して処理して、最終結合体を得た。
【0056】
式IにおいてX=Q−C(=O)−CRH−O−である本発明の化合物の合成の説明をスキーム6に記載する。
【化9】

【0057】
モノ置換スクシネート誘導体の合成法は当分野で既知であり、(a)D.A. Evans et al., J. Org. Chem. 1999, 64, 6411;(b)D. W. C. MacMillan et al., J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 2912;(c)S. Azam et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 1996, 621;(d)A. Abell et al., Org. Lett. 2002, 4, 3663;(e)R. J. Cherney et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2003, 13, 1297;(f)G. Shapiro et al., Tetrahedron Lett. 1992, 33, 2447;(g)N. J. S. Harmat et al., Tetrahedron Lett. 2000, 41, 1261を含む多くの参考文献に記載されている。代表的方法をスキーム7に概説し、ここで、オキサゾリジノンキラル助剤の酸クロライドでのアシル化により構造式7−Aを得る。対応するエノラートのt−ブチルブロモアセテートでのアルキル化、続くキラル助剤のLiOH/H介在開裂により、エナンチオマー純粋なモノ置換コハク酸モノエステル7−Cを得る。
【化10】

【0058】
式IにおいてX=W−C(=O)−O−CRH−である本発明の化合物の合成の説明をスキーム8に記載する。
【化11】

【0059】
一つの態様において、X=RCH−CRH−O−である本発明の化合物は、スキーム9に示す通りに製造できる。
【化12】

a)MeReO、H、3−シアノピリジン、CHCl
b)ヘテロ環RH、KCO、DMF、160℃、マイクロ波、6分;
c)4−ニトロフェニルクロロホルメート、ピリジン、加熱または4−ニトロフェニルクロロホルメート、DMAP、DMF、加熱;
d)1−A、DMF、DIEA。
【0060】
オレフィンを対応するエポキシド9−Aに酸化した。オレフィンのエポキシドへの酸化の好ましい方法は、メチルトリオキソレニウム法(K. B. Sharpless et al. Chem. Commun. 1997, 1565; K. B. Sharpless et al. J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 6189)、ジメチルジオキシラン(Adam, W. et al Acc. Chem. Res. 1989, 22, 205)、過酸(Camps, F. et al. J. Org. Chem. 1982, 47, 5402)を含むが、これらに限定されない。エナンチオマー富化されたエポキシドを、Sharpless, K. B. et al. Chem. Rev. 1994, 94, 2483; Sharpless, K. B. et al. In Catalytic Asymmetric Synthesis Ojima, I. (Ed.); Wiley-VCH, 2002; 2nd Ed. Pp.357-398に記載のような非対称ジヒドロキシル化を介して得ることができる。エポキシド9−Aを、次いで9−Bに開環した。RがNH含有ヘテロアリールであるとき、該反応は、粉末炭酸カリウムのDMF溶液およびマイクロ波照射を使用して行った。Rが脂肪族アミンであるとき、該反応は非希釈(neat)アミン中、マイクロ波照射を使用して行った。環状スルフェートおよび環状スルファイトのようなエポキシド(expoxide)様シントンをこの変換に使用できる(B. B. Lohray Synthesis 1992, 1035)。9−Bのヒドロキシルを次いで混合カーボネート9−Cとして官能化した。これは4−ニトロフェニルカーボネートのピリジン溶液またはDMF溶液と、塩基としてのDMAPで行った。これらの条件に耐性でないとき、この変換をホスゲンのCHCl溶液で行った。当業者には認識される通り、他の脱離基(LG)も用いることができる:LGがClである化合物9−Cの製造法は既知であり、代わりに使用し得る。最後に、混合カーボネート9Cを、アミン1−AとDMF中、DIEAを塩基として使用して反応させ、所望のカルバメート9−Dを得た。
【0061】
本明細書に記載の化合物への別経路をスキーム10に示す。
【化13】

a)ArSOCl、ピリジン、CHCl
b)ヘテロ環RH、KCO、DMF、160℃、マイクロ波、6分またはアミン、非希釈、160℃、マイクロ波、6分;
c)4−ニトロフェニルクロロホルメート、ピリジン、加熱またはニトロフェニルクロロホルメート、DMAP、DMF、加熱またはホスゲン、CHCl、RT;
d)1−A、DMF、DIEA
【0062】
ジオール(適当な乳酸の末端オレフィンのジヒドロキシル化または還元のいずれかにより入手可能)から出発して、1級ヒドロキシル基を選択的にスルホニル化して10−Aを産生する。末端炭素を次いでヘテロアリールアニオンまたはアミンのいずれかを使用して官能化して、10−Bを得る。2級アルコールを、次いでカルバメート形成のためにニトロフェニルクロロホルメートまたはホスゲンのいずれかを使用して活性化して、10−Cを得る。上記の通り、他の反応性アシル化剤、例えばクロロホルメート(LG=Clの10−C)も、既知の方法に従い使用し得る。この中間体を次いでアミン1−Aと反応させ、所望の10−Dを得る。光学的に純粋なジオールの製造および誘導体化に関して、Sharpless, K. B. et al. Catalytic dihydroxylation Chem. Rev. 1994, 94, 2483; Sharpless, K. B. et al. In Catalytic Asymmetric Synthesis Ojima, I. (Ed.); Wiley-VCH, 2002; 2nd Ed. Pp.357-398を参照のこと。
【0063】
加えて、化合物6−E、8−B、9−Dおよび10−Dをスキーム2に記載の通りに脱保護して、対応する式Iの環状ヘミアセタールを産生することができる。
【0064】
B. 好ましい化合物
テプシンS活性を阻害する化合物は、PCT公報WO04/084843およびWO04/084842に見ることができる。前記出願の各々の内容を引用により本明細書に包含する。
【0065】
一つの局面において、本発明は、式I:
【化14】

〔Yは、
【化15】

から成る群から選択されるメンバーであり;
Aは、−CH−、および−CHCH−から成る群から選択されるメンバーであり;
は、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキル置換C−Cシクロアルキル、およびベンジルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
Xは、−O−CR−C(=O)−Q、−CRH−O−C(=O)−W、−CH−CHR−C(=O)−W、−CRH−CH−C(=O)−W、−CRH−NH−C(=O)−W、−O−CR−B−R、−CRH−NH−C(=O)−O−Z、−CHR−NH−C(=O)−R、および−CHR−NH−S(=O)−Rから成る群から選択されるメンバーであり;
Qは、0−2個のRで置換されているピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニルおよびインドリニルから成る群から選択されるヘテロ環であり、ここで、Qは−C(=O)に環窒素原子を介して結合しており;
各Rは、OH、−S(=O)CH、アセチル、=O、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCFおよびNR1011から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
【0066】
Wはモルホリニルであり、ここで、Wは−C(=O)−に環窒素原子を介して結合しており;
Zは、各々0−2個のRで置換されているテトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、チオテトラヒドロピラニル、チオテトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニルおよびインドリニルから成る群から選択されるヘテロ環であり、ここで、Zは−O−C(=O)−に環炭素原子を介して結合しており;
各Rは、OH、−S(=O)CH、アセチル、=O、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCFおよびNR1011から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
Bは、−CH−、−OCH−、−NR11CH−、−CHCH−および結合から成る群から選択されるメンバーであり;
【0067】
各Rは、H、0−2個のR1aで置換されているC−Cアルキル(ここで、該C−Cアルキルは、所望により−O−、−S−、−S(=O)−、および−S(=O)−から成る群から選択されるヘテロ原子で置換されていてよい);各々0−2個のR1bで置換されているC−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル;0−3個のR1cで置換されているフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1aは、0−3個のR1cで置換されているC−C10アリール、ペルフルオロフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員単環式もしくは8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル、およびC−Cペルフルオロアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1cは、H、OH、F、Cl、Br、CN、NO、COOR12、C(=O)NR1211、S(=O)NR1211、アセチル、−SCH、−S(=O)CH、−S(=O)CH、−NR1011、C−Cアルコキシ、C−Cペルフルオロアルキル、C−CペルフルオロアルコキシおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
【0068】
各Rは、HおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各Rは、1個のR3aで置換されているC−Cアルキルであり;
各R3aは、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各Rは、1個のR4aで置換されているC−Cアルキルであり;
各R4aは、tert−ブチル、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
は、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員単環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1個のR6aおよび0−2個のR1cで置換されている);およびN、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R6aは、0−3個のR1cで置換されているフェニル;N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
【0069】
は、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1個のR6aおよび0−2個のR1cで置換されている);0−3個のR1cで置換されているフェニル、OCHPh、O−tert−Bu、およびC−Cシクロアルキルから成る群から選択されるメンバーであり;
は、0−3個のR1cで置換されているフェニル、およびN、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から選択されるメンバーであり;
各R10は、H、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)−C(=O)−および(C−C4アルキル)−S(=O)−から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R11は、HおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;そして
各R12は、HおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを提供する。
【0070】
好ましい局面において、本発明は、式Ia:
【化16】

〔式中、
Aは−CH−であり;
は、1個のR4aで置換されているC−Cアルキルであり;
4aは、tert−ブチル、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択され;そして
Wはモルホリニルであり、ここで、Wは−C(=O)−に環窒素原子を介して結合している。〕
の化合物を提供する。
【0071】
他の好ましい局面において、本発明は、式Ib:
【化17】

〔式中、
Aは−CH−であり;
は、1個のR3aで置換されているC−Cアルキルであり;
3aは、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択され;そして
Wはモルホリニルであり、ここで、Wは−C(=O)−に環窒素原子を介して結合している。〕
の化合物を提供する。
【0072】
さらに別の局面において、本発明は、式Ic:
【化18】

〔式中、
Aは−CH−であり;
は、1個のR3aで置換されているC−Cアルキルであり;
3aは、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択され;そして
Wはモルホリニルであり、ここで、Wは−C(=O)−に環窒素原子を介して結合している。〕
の化合物を提供する。
【0073】
なおさらに別の局面において、本発明は、式Id:
【化19】

〔式中、
Aは−CH−であり;
は、H、0−2個のR1aで置換されているC−Cアルキル(ここで、該C−Cアルキルは、所望により−O−、−S−、−S(=O)−および−S(=O)−から成る群から選択されるヘテロ原子で置換されていてよい);各々0−2個のR1bで置換されているC−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル;0−3個のR1cで置換されているフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されているから成る群から独立して選択されるメンバーであり);
各R1aは、0−3個のR1cで置換されているC−C10アリール、ペルフルオロフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員単環式もしくは8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル、およびC−Cペルフルオロアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1cは、H、OH、F、Cl、Br、CN、NO、COOR12、C(=O)NR1211、S(=O)NR1211、アセチル、−SCH、−S(=O)CH、−S(=O)CH、−NR1011、C−Cアルコキシ、C−Cペルフルオロアルキル、C−CペルフルオロアルコキシおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各Rは、HおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
Qは、0−2個のRで置換されているピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニルおよびインドリニルから成る群から選択されるヘテロ環であり、ここで、Qは−C(=O)に環窒素原子を介して結合しており;そして
各Rは、OH、−S(=O)CH、アセチル、=O、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCFおよびNR1011から成る群から独立して選択されるメンバーである。〕
の化合物を提供する。
【0074】
とりわけ好ましい態様において、式Idの化合物は:
が、1個のR4aで置換されているC−Cアルキルであり;
4aが、tert−ブチル、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bが、、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択されるメンバーでありH;
がHであり;そして
Qがモルホリニル、ピロリジニル、ピペリジル、およびピペラジニルから成る群から選択され、ここで、Qは−C(=O)−に環窒素を介して結合しているものである。
【0075】
他の好ましい局面において、本発明は、式Ie:
【化20】

〔式中、
Aは−CH−であり;
は、1個のR4aで置換されているC−Cアルキルであり;
4aは、tert−ブチル、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択され;
は、0−3個のR1cで置換されているフェニル、およびN、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から選択されるメンバーであり;そして
各R1cは、H、OH、F、Cl、Br、CN、NO、COOR12、C(=O)NR1211、S(=O)NR1211、アセチル、−SCH、−S(=O)CH、−S(=O)CH、−NR1011、C−Cアルコキシ、C−Cペルフルオロアルキル、C−CペルフルオロアルコキシおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーである。〕
の化合物を提供する。
【0076】
さらに別の好ましい局面において、本発明は、式If:
【化21】

〔式中、
Aは−CH−であり;
は、1個のR4aで置換されているC−Cアルキルであり;
4aは、tert−ブチル、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択され;
は、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1個のR6aおよび0−2個のR1cで置換されている);0−3個のR1cで置換されているフェニル、OCHPh、O−tert−Bu、およびC−Cシクロアルキルから成る群から選択されるメンバーであり;
各R1cは、H、OH、F、Cl、Br、CN、NO、COOR12、C(=O)NR1211、S(=O)NR1211、アセチル、−SCH、−S(=O)CH、−S(=O)CH、−NR1011、C−Cアルコキシ、C−Cペルフルオロアルキル、C−CペルフルオロアルコキシおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;そして
各R6aは、0−3個のR1cで置換されているフェニル;N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーである。〕
の化合物を提供する。
【0077】
さらにまた別の好ましい局面において、本発明は、式Ig:
【化22】

〔式中、
Aは−CH−であり;
各Rは、H、0−2個のR1aで置換されているC−Cアルキル(ここで、該C−Cアルキルは、所望により−O−、−S−、−S(=O)−および−S(=O)−から成る群から選択されるヘテロ原子で置換されていてよい);各々0−2個のR1bで置換されているC−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル;0−3個のR1cで置換されているフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1aは、0−3個のR1cで置換されているC−C10アリール、ペルフルオロフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員単環式もしくは8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル、およびC−Cペルフルオロアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1cは、H、OH、F、Cl、Br、CN、NO、COOR12、C(=O)NR1211、S(=O)NR1211、アセチル、−SCH、−S(=O)CH、−S(=O)CH、−NR1011、C−Cアルコキシ、C−Cペルフルオロアルキル、C−CペルフルオロアルコキシおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各Rは、HおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
Bは、−CH−、−OCH−、−NR11CH−、−CHCH−および結合から成る群から選択されるメンバーであり;
は、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員単環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1個のR6aおよび0−2個のR1cで置換されている);およびN、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーであり;そして
各R6aは、0−3個のR1cで置換されているフェニル;N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーである。〕
の化合物を提供する。
【0078】
とりわけ好ましい態様において、式Igの化合物は:
が、1個のR4aで置換されているC−Cアルキルであり;
4aが、tert−ブチル、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bが、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
がHであり;
がN、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)であり;そして
Bが−CH−であるものである。
【0079】
さらに別のとりわけ好ましい局面において、該化合物は、式Ih:
【化23】

〔式中、
Aは−CH−である。〕
を有する。
【0080】
好ましい式Iの化合物を下記に明示する:
1. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
2. (3S)−{3−シクロペンチル−(2S)−[(モルホリン−4−カルボニル)−アミノ]−プロピオニルアミノ}−4−オキソ−酪酸;
3. (3S)−{3−シクロヘキシル−(2S)−(モルホリン−4−カルボニルオキシ)−プロピオニルアミノ}−4−オキソ−酪酸;
4. (3S)−[(2R)−シクロペンチルメチル−4−モルホリン−4−イル−4−オキソ−ブチリルアミノ]−4−オキソ−酪酸;
5. (3S)−[(1S)−シクロペンチルメチル−2−(5,6−ジクロロ−ベンゾイミダゾル−1−イル)−エトキシカルボニルアミノ]−4−オキソ−酪酸;
6. (3S)−{(2R)−シクロヘキシルメチル−4−モルホリン−4−イル−4−オキソ−ブチリルアミノ}−4−オキソ−酪酸;
7. (3S)−[3−シクロヘキシル−(2S)−(3−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−4−オキソ−酪酸;
8. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−(3−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−4−オキソ−酪酸;
9. (3S)−[3,3−ジメチル−(1S)−(モルホリン−4−カルボニル)−ブトキシカルボニルアミノ]−4−オキソ−酪酸;
10. (3S)−[2−シクロヘキシル−(1S)−(モルホリン−4−カルボニル)−エトキシカルボニルアミノ]−4−オキソ−酪酸;
11. (3S)−[(2S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−シクロ(cyco)ヘキシル−プロピオニルアミノ]−2−ベンジルオキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
12. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
13. (3S)−[(2S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4,4−ジメチル−ペンタノイルアミノ]−(2R)−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
14. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−(2R)−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
15. (3S)−(3−シクロヘキシル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
16. (3S)−[3−シクロヘキシル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−メトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
17. (3S)−[3−シクロヘキシル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
18. (3S)−((2S)−(3−シアノフェニル−カルボニルアミノ)−3−シクロペンチル−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
19. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−(シクロプロピルカルボニルアミノ)−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
20. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシカルボニルアミノ)−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
21. (3S)−(3−シクロプロピル−(2S)−(シクロプロピルカルボニルアミノ)−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
22. (3S)−((2S)−(シクロプロピルカルボニルアミノ)−4,4−ジメチル−ペンタノイルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
23. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
24. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−(3−トリフルオロメチルフェニル−カルボニルアミノ)−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
25. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−イソプロポキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
26. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−シクロペントキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;そして
27. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−シクロペンチルメトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン。
【0081】
本発明の化合物は、遊離形で、または塩形成基が存在するとき、その塩として、またはエステル形成基が存在するとき、そのエステルとして得られる。
【0082】
酸性基を有する本発明の化合物は、薬学的に許容される塩基、例えば、水性アルカリ金属水酸化物との塩に、有利にはエーテル性またはアルコール性溶媒、例えば低級アルカノールの存在下、変換できる。得られた塩を、遊離化合物に、例えば、酸との処理により変換できる。これら、または他の塩はまた得られた化合物の精製にも使用できる。アンモニウム塩は、適当なアミン、例えば、ジエチルアミンなどとの反応により得られる。
【0083】
ある態様において、塩基性基を有する本発明の化合物を、酸付加塩、とりわけ薬学的に許容される塩に変換できる。これらは、例えば、無機酸、例えば鉱酸、例えば、硫酸、リン酸またはハロゲン化水素酸と、または有機カルボン酸、例えば非置換またはハロゲンで置換されている、例えば(C−C)アルカンカルボン酸、例えば、酢酸、例えば、飽和または不飽和ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸またはフマル酸、例えば、ヒドロキシカルボン酸、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸またはクエン酸、例えば、アミノ酸、例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸と、または有機スルホン酸、例えば、非置換または置換(例えばハロゲンで)されている、(C−C)−アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸)またはアリールスルホン酸と、形成される。好ましいのは、塩酸、メタンスルホン酸およびマレイン酸と形成される塩である。
【0084】
遊離化合物と、その塩またはエステルの形の化合物の密接な関係の観点から、化合物を本明細書で言及するとき、対応する塩またはエステルも、それらがその状況で可能であるかまたは適切である限り、意図される。
【0085】
その塩を含む化合物は、また、その水和物の形で得ることができ、またはその結晶化に使用した他の溶媒を含む。
【0086】
遊離ヒドロキシル基を含む本発明の化合物は、また、薬学的に許容される、生理学的に開裂されるエステルの形でも存在でき、そして、それ自体、本発明の範囲内に包含される。このような、薬学的に許容されるエステルは、好ましくは、生理学的条件下で加溶媒分解または開裂により、遊離ヒドロキシル基を含む対応する本発明の化合物に変換できる、プロドラッグエステル誘導体である。適当な薬学的に許容されるプロドラッグエステルは、カルボン酸、炭酸モノエステルまたはカルバミン酸由来のもの、好ましくは所望により置換されている低級アルカン酸またはアリールカルボン酸由来のエステルである。
【0087】
当業者には明白なように、ある本発明の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有する;ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー、幾何異性体および個々の異性体を、全て本発明の範囲内に包含することが意図される。
【0088】
本発明は、カテプシンSを選択的に阻害する化合物を提供する。ある好ましい態様において、本発明は、カテプシンイソ酵素、例えばカテプシンA、B、C、D、E、F、G、H、K、L、M、O、P、Q、R、V、WおよびXの存在下で、カテプシンSを選択的に阻害する。より好ましい局面において、本発明は、カテプシンK、L、Bまたはそれらの組み合わせの存在下で、カテプシンSを選択的に阻害する化合物を提供する。ある好ましい態様において、本発明の化合物はカスパーゼ、例えばカスパーゼ−1、−3または−8を阻害しない。
【0089】
カテプシンS依存性状態の処置に有用な本発明の化合物は、好ましくは10μM未満のカテプシンS阻害定数を有する。より好ましくは、カテプシンS依存性状態の処置に有用な本発明の化合物は、1.0μM未満のカテプシンS阻害定数を有する。最も好ましくは、カテプシンS依存性状態の処置に有用な本発明の化合物は、0.1μM未満のカテプシンS阻害定数を有する。
【0090】
好ましい局面において、カテプシンイソ酵素の存在下でカテプシンSを選択的に阻害する本発明の化合物は、そのカテプシンS阻害定数よりも少なくとも10倍高いカテプシンイソ酵素阻害定数を有する。より好ましい局面において、カテプシンイソ酵素の存在下でカテプシンSを選択的に阻害する本発明の化合物は、そのカテプシンS阻害定数よりも少なくとも100倍高いカテプシンイソ酵素阻害定数を有する。最も好ましい局面において、カテプシンイソ酵素の存在下でカテプシンSを選択的に阻害する本発明の化合物は、そのカテプシンS阻害定数よりも少なくとも1000倍高いカテプシンイソ酵素阻害定数を有する。
【0091】
ある態様において、少なくとも1種のカスパーゼに対する式Iの化合物の阻害定数は、少なくとも1種のカテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも10倍高い。好ましくは、少なくとも1種のカスパーゼに対する式Iの化合物の阻害定数は、少なくとも1種のカテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも100倍高い。より好ましくは、少なくとも1種のカスパーゼに対する式Iの化合物の阻害定数は、少なくとも1種のカテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも1000倍高い。さらにより好ましくは、少なくとも1種のカスパーゼに対する式Iの化合物の阻害定数は、少なくとも1種のカテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも10,000倍高い。
【0092】
IV. 組成物
本発明の医薬組成物は、ヒトを含む哺乳動物に、カテプシンS活性を阻害するために、およびカテプシンS依存性障害、特に慢性神経障害性疼痛(WO03/020287参照)、アルツハイマー病、ならびに若年性糖尿病、多発性硬化症、尋常性天疱瘡、グレーブス病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、リウマチ性関節炎および橋本甲状腺炎を含むが、これらに限定されないある種の自己免疫性障害;喘息を含むが、これに限定されないアレルギー性障害;および臓器移植または組織移植片の拒絶反応を含むが、これらに限定されない同種免疫応答の処置のために、経腸、例えば経口または経直腸、経皮、局所および非経腸投与される。
【0093】
より具体的に、本医薬組成物は、有効なカテプシンS阻害量の本発明の化合物を含む。
【0094】
薬理学的に活性な本発明の化合物は、有効量のそれを、その経腸または非経腸投与に適した賦形剤または担体と組み合わせて、または混合して含む、医薬組成物の製造に有用である。
【0095】
好ましいのは、活性成分をa)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤に関してはまたc)結合剤、例えば、マグネシウムアルミニウムシリケート、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびまたはポリビニルピロリドン、また;望むならばd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または発泡混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤と共に含む、錠剤およびゼラチンカプセルである。注射用組成物は、好ましくは水性等張溶液または懸濁液であり、そして坐薬は好ましくは脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造される。該組成物は滅菌してよくおよび/またはアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用塩および/または緩衝剤を含んでよい。加えて、それらは他の治療的に価値のある物質も含み得る。該組成物は、各々慣用の混合、造粒またはコーティング法により製造し、約0.1から75%、好ましくは約1から50%の活性成分を含む。
【0096】
錠剤は、当分野で既知の方法に従い、フィルムコーティングまたは腸溶性コーティングされていてよい。
【0097】
経皮投与に適当な製剤は、有効量の本発明の化合物と担体を含む。好ましい担体は、宿主の皮膚の通過を助けるための吸収可能な薬理学的に許容される溶媒を含む。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、本化合物を所望により担体と共に含む貯蔵部、所望により該化合物を宿主の皮膚に制御されかつ予定された速度で長期にわたり送達させるための速度制御バリア、および皮膚にデバイスを固定させるための手段を含む、バンデージの形である。マトリックス経皮製剤も使用できる。
【0098】
例えば、皮膚および眼への局所投与に適当な製剤は、好ましくは当分野で既知の水溶液、軟膏、クリームまたはゲルである。これらは可溶化剤、安定化剤、張性増強剤、緩衝剤および防腐剤を含み得る。
【0099】
該医薬製剤は、有効なカテプシンS阻害量の上記の本発明の化合物を単独で、または他の治療剤と組み合わせて含む。
【0100】
他の活性成分と組み合わせて、本発明の化合物は、他の活性成分と同時に、前にまたは後に、別々に、または同じもしくは異なる投与経路で、または同じ医薬製剤で一緒に投与してよい。
【0101】
投与する活性化合物の量は、温血動物(哺乳動物)の種、体重、年齢および個々の状態に、および、投与形に依存する。約50から70kgの哺乳動物への経口投与の単位用量は、約5から500mgの活性成分を含み得る。
【0102】
好ましい局面において、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物を提供する。
【0103】
本発明の一つの局面において、本発明の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む本発明の組成物は、他のカテプシンイソ酵素の存在下で、カテプシンSを選択的に阻害する。より好ましい局面において、本発明は、カテプシンK、L、Bまたはそれらの組み合わせの存在下でカテプシンSを選択的に阻害する、組成物を提供する。ある好ましい態様において、本発明の組成物中の化合物は、カスパーゼ、例えばカスパーゼ−1、−3または−8を阻害しない。
【0104】
本発明の他の局面において、カテプシンS依存性状態の処置に有用な本発明の組成物は、好ましくは10μM未満のカテプシンS阻害定数を有する。より好ましくは、カテプシンS依存性状態の処置に有用な本発明の組成物は、1.0μM未満のカテプシンS阻害定数を有する。最も好ましくは、カテプシンS依存性状態の処置に有用な本発明の組成物は、0.1μM未満のカテプシンS阻害定数を有する。
【0105】
好ましい局面において、カテプシンイソ酵素の存在下でカテプシンSを選択的に阻害する化合物を利用する本発明の組成物は、そのカテプシンS阻害定数よりも少なくとも10倍高いカテプシンイソ酵素阻害定数を有する。より好ましい局面において、カテプシンイソ酵素の存在下でカテプシンSを選択的に阻害する本発明の化合物は、そのカテプシンS阻害定数よりも少なくとも100倍高いカテプシンイソ酵素阻害定数を有する。最も好ましい局面において、カテプシンイソ酵素の存在下でカテプシンSを選択的に阻害する本発明の化合物は、そのカテプシンS阻害定数よりも少なくとも1000倍高いカテプシンイソ酵素阻害定数を有する。
【0106】
V. 方法
カテプシンS阻害剤としてのその活性の観点から、本発明の化合物は、カテプシンSの上昇したレベルが関与する疾患および医学的状態の処置および予防のための薬剤として、哺乳動物に特に有用である。例えば、本発明の化合物は、アルツハイマー病、ならびに若年性糖尿病、多発性硬化症、尋常性天疱瘡、グレーブス病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、リウマチ性関節炎および橋本甲状腺炎を含むが、これらに限定されないある種の自己免疫性障害;喘息を含むが、これに限定されないアレルギー性障害;および臓器移植または組織移植片の拒絶反応を含むが、これらに限定されない同種免疫応答の処置に有用である。
【0107】
有利な効果は、一般に本分野で既知の、および下記に説明した通りの、インビトロおよびインビボ薬理学的試験により評価する。
【0108】
上記の特性は、インビトロおよびインビボ試験で、有利には哺乳動物、例えば、ラット、マウス、イヌ、ウサギ、サルまたは単離臓器および組織、ならびに、天然または、例えば、組み換え技術で製造したいずれかの哺乳動物酵素調製物を使用して証明できる。本発明の化合物は、インビトロに溶液、例えば、好ましくは水溶液または懸濁液の形で、およびインビボに経腸または非経腸、好ましくは経口で、例えば、懸濁液または水溶液で、または固体カプセル製剤として適用できる。インビトロの用量は約10−5モル濃度から10−9モル濃度の範囲である。インビボの投与量は、投与経路に依存し、約0.1から100mg/kgの範囲内である。
【0109】
リウマチ性関節炎の処置のための本発明の化合物の抗関節炎効果は、先に記載されたようなアジュバント関節炎のラットモデルを使用して、またはそれに準じて測定できる(R. E. Esser, et al., J. Rheumatology 1993, 20, 1176)。骨関節症の処置のための本発明の化合物の効果は、先に記載されたようなウサギ部分的側半月切除のモデルを使用して、またはそれに準じて、測定できる(Colombo et al., Arth. Rheum. 1993, 26, 875-886)。このモデルでの本発明の効果は、先に記載されたように、組織学的採点法を使用して定量できる(O'Byrne et al., Inflamm. Res. 1995, 44, S 177-S118)。
【0110】
本発明はまた、本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物の、カテプシンSを阻害するための、および本明細書に記載のカテプシンS依存性状態、例えば、炎症、リウマチ性関節炎および骨関節症のようなカテプシンS依存性状態を処置するための、哺乳動物における使用法に関する。
【0111】
好ましい局面において、本発明は、処置を必要とする哺乳動物に、相応じた有効量の本発明の化合物を投与することを含む、哺乳動物におけるリウマチ性関節炎、骨関節症、および炎症(および上記で定義の他の疾患)を処置する方法を提供する。
【0112】
好ましい局面において、本発明の方法は、式Iの化合物を提供する。
【0113】
カテプシンS依存性状態の処置に有用な本発明の方法は、好ましくは10μM未満のカテプシンS阻害定数を有する化合物を使用する。より好ましくは、カテプシンS依存性状態の処置に有用な本発明の方法は、1.0μM未満のカテプシンS阻害定数を有する化合物を使用する。最も好ましくは、カテプシンS依存性状態の処置に有用な本発明の方法は、0.1μM未満のカテプシンS阻害定数を有する化合物を使用する。
【0114】
さらに、本発明は、処置を必要とする哺乳動物に、有効なカテプシンS阻害量の本発明の化合物を投与することを含む、カテプシンSを選択的に阻害する方法を提供する。好ましい局面において、本発明の方法は、カテプシンイソ酵素、例えばカテプシンA、B、C、D、E、F、G、H、K、L、M、O、P、Q、R、V、WおよびXの存在下でカテプシンSを選択的に阻害する化合物を使用する。より好ましい局面において、本発明の方法は、カテプシンK、L、Bまたはそれらの組み合わせの存在下でカテプシンSを選択的に阻害する化合物を使用する。ある好ましい態様において、本発明の方法における化合物は、カスパーゼ、例えばカスパーゼ−1、−3または−8を阻害しない。
【0115】
好ましい局面において、カテプシンイソ酵素の存在下でカテプシンSを選択的に阻害する化合物を利用する本発明の方法は、そのカテプシンS阻害定数よりも少なくとも10倍高いカテプシンイソ酵素阻害定数を有する。より好ましい局面において、カテプシンイソ酵素の存在下でカテプシンSを選択的に阻害する本発明の化合物は、そのカテプシンS阻害定数よりも少なくとも100倍高いカテプシンイソ酵素阻害定数を有する。最も好ましい局面において、カテプシンイソ酵素の存在下でカテプシンSを選択的に阻害する本発明の化合物は、そのカテプシンS阻害定数よりも少なくとも1000倍高いカテプシンイソ酵素阻害定数を有する。
【0116】
ある局面において、少なくとも1種のカスパーゼに対する式Iの化合物の阻害定数は、少なくとも1種のカテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも10倍高い。好ましくは、少なくとも1種のカスパーゼに対する式Iの化合物の阻害定数は、少なくとも1種のカテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも100倍高い。より好ましくは、少なくとも1種のカスパーゼに対する式Iの化合物の阻害定数は、少なくとも1種のカテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも1000倍高い。さらにより好ましくは、少なくとも1種のカスパーゼに対する式Iの化合物の阻害定数は、少なくとも1種のカテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも10,000倍高い。
【0117】
VI. 実施例
A. 一般法
無水として記載した全溶媒は、製造者からその方法で購入し、受け取ったまま使用した。購入した他の全ての試薬は、受け取ったまま使用した。特記されない限り、全ての反応は窒素の陽圧下で行った。シリカゲルクロマトグラフィーは、予充填カートリッジならびに自動フラクション収集と共に直線溶媒勾配を作るための装置を使用して行った。H NMRスペクトルデータは下記の通り報告した:δスケールの化学シフト(内部標準として、残存プロトン(protio)溶媒)、多重度(s=singlet、d=doublet、t=triplet、q=quartet、m=multiplet)、統合および結合定数、ヘルツで。13CスペクトルはAPT実験として記録し、内部標準としての残存溶媒と共にppmで報告した。
【0118】
製造1. (3S)−アミノ−4−オキソ酪酸t−ブチルエステルセミカルバゾン、p−トルエンスルホン酸。
【0119】
表題化合物は、WO00/01666(D. S. Karanewsky et al.)に記載の方法に従って製造した。
【0120】
製造2. (S)−2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルプロピオン酸。
【0121】
撹拌しているL−シクロヘキシルアラニン(4.00g、23.4mmol)の0.5M HSO(120mL)中の懸濁液に、0℃でNaNO(40mL HO中12.1g)の水溶液をゆっくり添加した。添加は約1時間後に完了し、その時点で溶液を室温に温めた。16時間後、反応混合物をエーテルで抽出し(3×100mL)、合わせた有機抽出物を1M NaHSO(1×200mL)および塩水(1×100mL)で洗浄し、次いで無水NaSOで乾燥させた。溶媒を真空で除去し、粗生成物をEtO/ペンタン(10mL/100mL)から再結晶し、2.1g(52%収率)の(S)−2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルプロピオン酸を、細い白色針状物として得た。
【0122】
製造3. 2−シクロヘキシル−(1S)−(モルホリン−4−カルボニル)−エチル4−ニトロフェニルカーボネート。
【0123】
撹拌している(S)−2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルプロピオン酸(300mg、1.74mmol)、モルホリン(0.15mL、1.74mmol)、およびDIEA(0.91mL、5.23mmol)のCHCl(3mL)溶液にHATU(728mmol、1.92mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。EtOAc(100mL)を添加し、溶液を飽和NaHCO(2×100mL)、塩水(1×100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空で濃縮して、対応するアミドを無色油状物として得て、それを精製せずに使用した。
【0124】
得られたアミド(1.74mmol)をピリジン(5mL)に溶解し、4−ニトロフェニルクロロホルメート(405mg、2.21mmol)を添加した。反応混合物を70℃で4時間撹拌し、その時点で出発物質はLCMSで消失していた。反応物を次いで室温に冷却し、EtOAC(100mL)を添加し、有機層を1M NaHSOで洗浄し、NaSOで乾燥させた。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)で精製し、550mg(78%収率、2工程で)のニトロフェニルカーボネートを、白色粉末として得た。
【0125】
製造4. 1−(S)−シクロペンチルメチル−2−(5,6−ジクロロ−ベンゾイミダゾル−1−イル)−エチル4−ニトロフェニルカーボネート。
【0126】
工程A. (S)−2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホン酸3−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−プロピルエステルの製造。フラスコにt−BuOH(250mL)、水(250mL)、(DHQ)PYR(440mg、0.50mmol)、KFe(CN)(49.5g、0.15mol)、KCO(21g、0.15mol)およびKOsO・2HO(70mg、0.19mmol)を入れ、ほとんどの塩が溶解するまで撹拌した。フラスコを次いで4℃に冷却し、アリルシクロペンタン(5g、45mmol)を添加した。反応物を一晩、4℃で撹拌し、NaSO(50g)の添加によりクエンチした。室温で1.5時間撹拌後、揮発物を真空で除去した。得られた物質を酢酸エチルおよび水に分配した。水性層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、合わせた有機物をMgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。得られた油状物を80%酢酸エチルのヘキサン溶液を使用したシリカクロマトグラフィーに付し、4.81g(ジオールの74%)を得た。サンプル(1.21g、8.4mmol)のこの物質をジクロロメタン(20mL)に溶解し、ピリジン(1.44g、18mmol)で処置した。反応物を次いで氷浴温度に冷却し、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロライド(2.83g、9.3mmol)で処置した。反応物をゆっくり室温にし、3日間撹拌した。1M 水性HClを添加し、反応物をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機物をMgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーを使用して精製し、1.75g(51%)の白色粉末を得た。本物質をゆっくり温ヘキサンに溶解し、−4℃で一晩冷却することにより結晶化させた。質量回収は75%であった:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 0.92-1.08(m, 2H), 1.15(dd, 1H, J1=5.5, J2=6.8), 1.17-1.22(m, 18H), 1.27-1.36(m, 2H), 1.40-1.57(m, 5H), 1.64-1.76(m, 2H), 1.78-1.90(m, 1H), 2.80-2.90(m, 1H), 3.82-3.89(m, 2H), 3.97-4.10(m, 3H), 7.13(s, 2H); HPLC-MS C23H38O4S(M+H+)の計算値411.3, 実測値411.4。
【0127】
工程B. (S)−1−シクロペンチル−3−(5,6−ジクロロ−ベンズイミダゾル−1−イル)−プロパン−2−オールの製造。2個の大きな(2−5mL)マイクロ波リアクター・チューブに(S)−2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホン酸3−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−プロピルエステル(1.88g、4.6mmol)、5,6−ジクロロベンゾイミダゾール(859mg、4.6mmol)、KCO(1.27g、9.2mmol)およびDMF(4mL)を入れた。チューブを次いで160℃で6分加熱した。反応物を酢酸エチルおよび水に分配した。水性層を合計2回酢酸エチルで抽出し、合わせた有機物をMgSOで乾燥させた。溶媒を除去し、得られた油状物を0−100%酢酸エチルのヘキサン溶液の直線勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィーに付し、566mg(40%)の表題化合物を固体として得た: HPLC-MS C15H18Cl2N2O(M+H+)の計算値313.1, 実測値313.2。
【0128】
工程C. 1−(S)−シクロペンチルメチル−2−(5,6−ジクロロ−ベンズイミダゾル−1−イル)−エチル4−ニトロ−フェニルカーボネートを、18%収率で、製造3に準じた方法で製造した。1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 1.03-1.21(m, 2H), 1.47-1.66(m, 5H), 1.76-1.95(m, 4H), 4.26(dd, 1H, J1=7.8, J2=15.2), 4.34(dd, 1H, J1=3.7, J2=15.2), 5.04-5.12(m, 1H), 7.06-7.11(m, 2H), 7.52(s, 1H), 7.85(s, 1H), 7.89(s, 1H), 8.14-8.19(m, 2H); HPLC-MS C22H21Cl2N3(M+H+)の計算値478.1, 実測値478.2。
【0129】
製造5. Cbz−O−tBu−アスパルチナルジエチルアセタールはUS2002/0042376(D. S. Karanewsky et al)に記載されている。
【0130】
製造6. (3S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−(2R)−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフランをUS2002/0042376に記載されている(D. S. Karanewsky et al)。
【0131】
【化24】

実施例1. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸。
【0132】
【化25】

工程A. (3S)−[(2S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−シクロペンチル−プロピオニルアミノ]−4−オキソ−酪酸t−ブチルエステルセミカルバゾンの合成。
【0133】
フラスコに(3S)−アミノ−4−オキソ酪酸t−ブチルエステルセミカルバゾン、p−トルエンスルホン酸(170mg、0.42mmol)およびCbz−シクロペンチルアラニンジシクロヘキシルアミン塩(170mg、0.42mmol)、HATU(177mg、0.47mmol)およびDCM(4mL)を入れた。撹拌を開始し、反応物をジイソプロピルエチルアミン(109mg、846mmol)で処理した。3時間撹拌後、フラスコの中身を分液漏斗に移し、飽和水性重炭酸ナトリウムで処理した。水性相をDCMで合計3回抽出し、廃棄した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。得られた油状物を、0−7%MeOHのDMC溶液を使用してシリカゲルで精製し、187mg(88%)の(3S)−[(2S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−シクロペンチル−プロピオニルアミノ]−4−オキソ−酪酸t−ブチルエステルセミカルバゾンを泡状物として得た:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 0.98-1.08(m, 2H), 1.34(s, 9H), 1.37-1.46(m, 2H), 1.45-1.63(m, 3H), 1.64-1.80(m, 4H), 4.99(dd, 1H, J1=6.5, J2=15.7), 2.59-2.68(m, 1H), 4.09-4.17(m, 1H), 4.77-4.85(m, 1H), 4.97-5.07(m, 2H), 5.45(d, 1H, J=7.6), 7.04-7.10(m, 1H), 7.21-7.30(m, 5H), 7.43(d, 1H, J=7.7), 9.22-9.26(m, 1H); HPLC-MS C25H37N5O6(M+H+)の計算値504.3, 実測値504.4。
【0134】
【化26】

工程B. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸t−ブチルエステルセミカルバゾンの合成。
【0135】
フラスコに(3S)−[(2S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−シクロペンチル−プロピオニルアミノ]−4−オキソ−酪酸t−ブチルエステルセミカルバゾン(168mg、0.33mmol)、10%Pd/C(27mg)およびEtOH(3mL)を入れた。反応中の雰囲気を、次いで、水素ガスを針で溶液を通して5分バブリングすることにより水素に置き換えた。反応物をバルーン圧水素下に1.5時間静置し、次いで雰囲気を上記と同様の方法で窒素に戻した。反応物をセライトで濾過し、溶媒を除去した。本物質を1時間高真空ポンプ上に維持した後、得られた物質を5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボン酸(83mg、0.40mmol)、HATU(165mg、0.43mmol)、DCM(5mL)およびジイソプロピルエチルアミン(129mg、1.0mmol)でこの順番で処理した。反応物を2時間撹拌し、分液漏斗に注ぎ、飽和水性NaHCO溶液で処理した。水性相をDCMで3回抽出した。合わせた有機物をMgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。得られた油状物を、0から10%MeOHのDMC溶液の直線勾配を使用してシリカゲルで精製し、ほぼ定量的収率で所望の生成物を得た:HPLC-MS C28H36FN5O6(M+H+)の計算値558.3, 実測値558.4。
【0136】
工程C. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸t−ブチルエステルセミカルバゾンの一部(250mg、0.45mmol)をDCM(2mL)に溶解し、アニソール(0.5mL)およびトリフルオロ酢酸(2mL)で処置した。反応物を2時間撹拌し、HPLC−MS分析で完了していた。溶媒を除去し、残存TFAを、トルエンとの共沸により除去した。得られた油状物をジオキサン(3mL)、酢酸(1mL)および37%水性ホルムアルデヒド(1mL)で処理した。1時間の撹拌後、反応はHPLC−MS分析で完了していた。溶媒を除去し、残渣を沸騰酢酸エチルでトリチュレートし、濾過した。この工程をもう1回繰り返し、得られた物質を1mLの1:1 DMSO/MeOHに溶解し、逆相HPLCで精製して、117mg(58%)の表題化合物を、凍結乾燥後固体として得た:1H NMR(CD3OD, 400 MHz)δ 1.14-1.38(m, 2H), 1.48-1.70(m, 4H), 1.79-1.97(m, 5H), 2.46-2.56(m, 1H), 2.62-2.72(m, 1H), 4.25-4.34(m, 1H), 4.56-4.63(m, 2H), 3.65(d, 1H, J=3.6), 7.07-7.13(m, 1H), 7.23-7.26(m, 1H), 7.42-7.48(m, 1H), 7.67-7.72(m, 2H); HPLC-MS C23H25FN2O6(M+H+)の計算値445.2, 実測値445.3。
【0137】
【化27】

実施例2. (3S)−{3−シクロペンチル−(2S)−[(モルホリン−4−カルボニル)−アミノ]−プロピオニルアミノ}−4−オキソ−酪酸。
【0138】
【化28】

工程A. (3S)−{3−シクロペンチル−(2S)−[(モルホリン−4−カルボニル)−アミノ]−プロピオニルアミノ}−4−オキソ−酪酸tert−ブチルエステルセミカルバゾンの合成を4−モルホリンカルボニルクロライド(1当量)を親電子物質として使用した以外、実施例1、工程AおよびBに準じた方法で行い、所望の物質を78%収率で得た:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 1.04-1.18(m, 2H), 1.42(s, 9H), 1.44-1.62(m, 5H), 1.73-1.88(m, 4H), 2.60(dd, 1H, J1=7.0, J2=15.7), 2.75(dd, 1H, J1=4.7, J2=15.7), 3.30-3.43(m, 4H), 3.62-3.72(m, 4H), 4.27-4.36(m, 1H), 4.79-4.87(m, 1H), 5.28-5.33(m, 1H), 7.24(d, 1H, J=2.6), 7.70(d, 1H, J=7.6), 9.27(s, 1H); HPLC-MS C22H38N6O6(M+H+)の計算値483.3, 実測値483.4。
【0139】
工程B. (3S)−{3−シクロペンチル−(2S)−[(モルホリン−4−カルボニル)−アミノ]−プロピオニルアミノ}−4−オキソ−酪酸を、実施例1、工程Cに準じた方法で行い、表題化合物を41%収率で得た:1H NMR(CD3OD, 400 MHz)δ 1.10-1.21(m, 2H), 1.48-1.93(m, 9H), 2.46-2.54(m, 1H), 2.59-2.70(m, 1H), 3.37-3.43(m, 4H), 3.63-3.68(m, 4H), 4.21-4.31(m, 2H), 4.57-4.59(m, 1H); HPLC-MS C17H27N3O6(M+H+)の計算値370.2, 実測値370.4。
【0140】
実施例3. (3S)−{3−シクロヘキシル−(2S)−(モルホリン−4−カルボニルオキシ)−プロピオニルアミノ}−4−オキソ−酪酸。
【化29】

【0141】
工程A. (3S)−(3−シクロヘキシル−(2S)−ヒドロキシ−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸t−ブチルエステルセミカルバゾンの製造。
【0142】
(S)−2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルプロピオン酸(0.20g、1.2mmol)のDMF(2mL)溶液をHOBt(0.17g、1.3mmol)およびEDC(0.25g、1.3mmol)で処理し、30分撹拌した。反応物を次いで(3S)−アミノ−4−オキソ酪酸t−ブチルエステルセミカルバゾン、p−トルエンスルホン酸(515mg、1.3mmol)で処理し、16時間撹拌した。反応物を次いで酢酸エチルで希釈し、水で2回抽出した。有機物をMgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。得られた油状物を、0−10%MeOHのDMC溶液を使用してシリカゲルで精製し、53mg(12%)の表題化合物を得た:1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ 0.76-0.96(m, 2H), 1.01-1.25(m, 3 H), 1.36(s, 9H), 1.33-1.68(m, 7H), 1.69-1.78(m, 1H), 2.54(dd, 1H, J1=6.6, J2=15.7), 2.62(dd, 1H, J1=5.4, J2=15.7), 4.07-4.14(m, 1H), 4.66-4.78(m, 1H), 4.83-4.91(m, 1H), 5.60-6.10(m, 2H), 7.06(d, 1H, J=2.7), 7.69(d, 1H, J=8.9), 9.83(s, 1H); HPLC-MS C18H32N4O5(M+H+)の計算値385.2, 実測値385.4。
【0143】
工程B. 工程Aで得られた物質(48mg、0.13mmol)のDMF(1mL)溶液を、カリウムtert−ブトキシド(17mg、0.15mmol)で処理し、5分撹拌した。得られた黄色溶液を氷/水浴で冷却し、4−モルホリンカルボニルクロライド(21mg、0.14mmol)で処理した。3時間後、反応物を飽和水性NaHCO溶液の添加によりクエンチした。反応物をまた酢酸エチルで処理し、分液漏斗に移した。水性層を廃棄し、有機物を水で2回抽出した、MgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。残渣を0−10%MeOHのDMC溶液を使用してシリカゲルで精製し、35mg(56%)の(3S)−{3−シクロヘキシル−(2S)−(モルホリン−4−カルボニルオキシ)−プロピオニルアミノ}−4−オキソ−酪酸t−ブチルエステルセミカルバゾンを得た:H NMR(400 MHz, CDCl3)δ 0.74-0.93(m, 2H), 0.99-1.14(m, 3 H), 1.22-1.32(m, 1H), 1.31(s, 9H), 1.48-1.69(m , 7H), 2.44(dd, 1H, J1=6.3, J2=15.8), 2.62(dd, 1H, J1=4.4, J2=15.8), 3.29-3.41(m, 3H), 3.43-3.62(m, 5H), 4.78-4.85(m, 1H), 5.02(dd, 1H, J1=4.6, J2=8.8), 7.00(d, 1H, J=2.7), 7.51(d, 1H, J=8.8), 9.36(s, 1H); HPLC-MS C23H39N5O7(M+H+)の計算値498.3, 実測値498.4。
【0144】
工程C. 表題化合物を、実施例1工程Cに準じた方法で、92%収率で得た:1H NMR(CD3OD, 400 MHz)δ 0.87-1.06(m, 2H), 1.12-1.36(m, 5H), 1.38-1.50(m, 1H), 1.57-1.83(m, 10H), 2.49-2.57(m, 1H), 2.59-2.68(m, 1H), 3.34-3.54(m, 4H), 3.57-3.74(m, 7H), 4.22-4.30(m, 1H), 4.58(dd, 1H, J1=4.1, J2=8.2), 4.94-5.03(m, 1H); HPLC-MS C18H28N2O7(M+H+)の計算値385.2, 実測値385.5。
【0145】
【化30】

実施例4. (3S)−[(2R)−シクロペンチルメチル−4−モルホリン−4−イル−4−オキソ−ブチリルアミノ]−4−オキソ−酪酸。
【化31】

この実施例に使用した文献法はa)Evans, D. A.; Britton, T. C.; Dorow, R. L.; Dellaria, J. F. Tetrahedron 1988, 44(17), 5525;b)Evans, D. A.; Wu, L. D.; Wiener, J. J. M.; Johnson, J. S.; Ripin, D. H. B.; Tedrow, J. S. J. Org. Chem. 1999, 64, 6411に記載されている。
【0146】
工程A. アシルオキサゾリジノン4−Iを文献法に従い、66%収率で製造した:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 1.01-1.15(m, 2H), 1.41-1.80(m, 9H), 2.69(dd, 1H, J1=9.6, J2=13.3), 2.77-2.98(m, 2H), 3.23(dd, 1H, J1=3.3, J2=13.3), 4.06-4.16(m, 2H), 4.56-4.63(m, 1H), 7.13-7.29(m, 5H); HPLC-MS C18H23NO3(M+H+)の計算値302.2, 実測値302.4。
【0147】
工程B. コハク酸t−ブチルエステル4−IIを文献法に従い、63%収率で製造した:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 0.96-1.08(m, 1H), 1.09-1.12(m, 1H), 1.36(s, 9H), 1.37-1.79(m, 9H), 2.45(dd, 1H, J1=4.5, J2=16.7), 2.63-2.75(m, 2H), 3.28(dd, 1H, J1=3.2, J2=13.5), 4.04-4.10(m, 2H), 4.09-4.18(m, 1H), 4.54-4.62(m, 1H), 7.17-7.30(m, 5H); HPLC-MS C24H33NO5(M+Na+)の計算値438.2, 実測値438.4。
【0148】
工程C. 4−II(400mg、0.96mmol)の溶液を、TFA:DCM:HO(50:45:5v/v、2mL)の開裂カクテルで処理し、一晩撹拌した。溶媒を次いで除去し、反応物をトルエンと共蒸発させた。残渣をHATU(383mg、1.0mmol)、DCM(3mL)および過剰のモルホリンで処理した。2時間撹拌後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和水性重炭酸ナトリウム溶液で1回および水で2回抽出した。有機物をMgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。残渣を0から100%酢酸エチルのヘキサン溶液の直線勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、398mg(97%)の4−IIIを得た:HPLC-MS C24H32N2O5(M+H+)の計算値429.2, 実測値429.4。
【0149】
工程D. 4−III(396mg、0.93mmol)のTHF(14mL)溶液を氷/水浴で冷却し、31%水性過酸化水素(408μL、3.4mmol)溶液、続いてLiOH(45mg、1.9mmol)の水(4.6mL)溶液で処理した。2時間後、HPLC−MS分析は加水分解が完了したことを示し、反応混合物を飽和水性NaSO溶液(3mL)および飽和水性NaHCO溶液(3mL)で処理し、一晩撹拌した。ほとんどの溶媒をロータリーエバポレーションにより除去し、残渣を水で希釈した。反応物をジクロロメタンで2回抽出し、有機抽出物を廃棄した。水性相を濃HClで酸性化し、ジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機物をMgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。得られた油状4−IVをさらに精製せずに使用した:HPLC-MS C14H23NO4(M+H+)の計算値270.2, 実測値270.4。
【0150】
【化32】

工程E. (3S)−[(2R)−シクロペンチルメチル−4−モルホリン−4−イル−4−オキソ−ブチリルアミノ]−4−ヒドロキシ−酪酸tert−ブチルエステル。
【0151】
Cbz−アスパルチノールt−ブチルエステル(0.345g、1.1mmol)のメタノール(3mL)溶液を、10%Pd/C(15mg)で一晩水素化した。触媒を、セライトを通した濾過により除去し、溶媒を除去した。得られた油状物を上記4−IVと合わせ、ジクロロメタン(5mL)に溶解し、HATU(0.42g、1.1mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(240mg、1.9mmol)で処理した。30分の撹拌後、反応物をNaHCOの飽和水溶液で処理し、水性相をジクロロメタンで3回抽出した。有機物をMgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。得られた油状物を、シリカゲルで溶媒として酢酸エチルを使用して精製し、425mg(>100%、生成物中に捕捉された溶媒があった)の所望の生成物を得た:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 0.94-1.07(m, 2H), 1.24-1.58(m, 5H), 1.37(s, 9H), 1.61-1.78(m, 3H), 2.25-2.35(m, 1H), 2.45(dd, 1H, J1=6.0, J2=16.1), 2.58(dd, 1H, J1=6.9, J2=16.1), 2.59-2.70(m, 2H), 3.13(dd, 1H, J1=7.4, J2=14.9), 3.32-3.73(m, 10H), 3.96-4.04(m, 1H), 6.65(d, 1H, J=7.7); HPLC-MS C22H38N2O6(M+H+)の計算値427.3, 実測値427.5。
【0152】
【化33】

工程F. 工程Eの生成物(409mg、0.96mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液を、Dess-Martinペルヨージナン(488mg、1.15mmol)で処理し、2時間撹拌した。反応物を次いで1M Na(10mL)および飽和水性NaHCO(10mL)で処理した。水性相を3回ジクロロメタンで抽出し、MgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。油状物をEtOHおよび水の混合物(2:1)(3.5mL)に溶解し、氷/水浴で冷却した。反応物を次いで酢酸ナトリウム三水和物(143mg、1.1mmol)およびセミカルバジドヒドロクロライド(118mg、1.1mmol)でこの順番で処理し、一晩撹拌し、反応物をゆっくり室温にした。反応物を次いで酢酸エチルで希釈し、水で3回抽出した。有機物をMgSOで乾燥させ、溶媒を除去し、得られた油状物をさらに精製もしくは徹底的な乾燥をせずに使用した:HPLC-MS C23H39N5O6(M+H+)の計算値482.3, 実測値482.6。
【0153】
工程G. 工程Fの生成物をジクロロメタン(2mL)に溶解し、無水アニソール(0.5mL)およびTFA(2mL)で処理した。反応物を2時間撹拌し、溶媒を除去した。残渣をトルエンと2回共蒸発させた。得られた油状物をジオキサン(3mL)、酢酸(1mL)および37%水性ホルムアルデヒド(1mL)でこの順番で処理し、2時間撹拌した。反応物を酢酸エチルで希釈し、水で2回抽出し、MgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。残渣をマス−トリガード(mass-triggered)分取HPLC系で精製し、33mg(4工程で9%)の表題化合物を凍結乾燥固体として得た。この物質のマスシグナルは非常に弱く、低い収率によるものである可能性があった:1H NMR(CD3OD, 400 MHz)δ 1.03-1.17(m, 2H), 1.32-1.40(m, 1H), 1.48-1.96(m, 8 H), 2.32-2.53(m, 2H), 2.60-2.83(m, 3H), 3.28-3.32(m, 1H), 3.47-3.69(m, 8H), 4.20-4.30(m, 1H), 4.57-4.60(m, 1H); HPLC-MS C18H28N2O6(M+H+)の計算値369.4, 実測値369.5。
【0154】
【化34】

実施例5. (3S)−[(1S)−シクロペンチルメチル−2−(5,6−ジクロロ−ベンゾイミダゾル−1−イル)−エトキシカルボニルアミノ]−4−オキソ−酪酸。
【0155】
【化35】

工程A. 1−(S)−シクロペンチルメチル−2−(5,6−ジクロロ−ベンゾイミダゾル−1−イル)−エチル4−ニトロフェニルカーボネート(169mg、0.35mmol)および(3S)−アミノ−4−オキソ酪酸t−ブチルエステルセミカルバゾン、p−トルエンスルホン酸(142mg、0.35mmol)のDMF(3mL)溶液をジイソプロピルエチルアミン(112mg、0.86mmol)で処理し、18時間撹拌した。反応物を1M 水性NaOHで希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機物を1M NaOHで水性抽出物が黄色でなくなるまで抽出した。有機物を次いでMgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。残存油状物を、0から10%MeOHのジクロロメタン溶液の勾配を使用してシリカゲルで精製し、91mg(45%)の生成物を、白色結晶固体として得た:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 1.00-1.12(m, 2H), 1.35(s, 9H), 1.48-1.84(m, 11H), 2.50(dd, 1H, J1=6.5, J2=15.6), 2.59(dd, 1H, J1=5.5, J2=15.7), 4.16(dd, 1H, J1=6.6, J2=15.0), 4.29(dd, 1H, J1=3.7, J2=15.0), 4.50-4.60(m, 1H), 5.03-5.11(m, 1H), 6.60(d, 1H, J=8.9), 7.14(d, 1H, J=1.4), 7.46(s, 1H), 7.74(s, 1H), 7.85(s, 1H), 9.91(s, 1H); HPLC-MS C25H34Cl2N6O5(M+H+)の計算値569.2, 実測値569.3。
【0156】
工程B. 前の工程で得たt−ブチルエステルセミカルバゾンを、表題化合物に、実施例1、工程Cに準じた方法で、24%収率で変換した:HPLC-MS C20H23Cl2N3O5(M+)の計算値455.1, 実測値455.5。
【0157】
【化36】

実施例6. (3S)−{(2R)−シクロヘキシルメチル−4−モルホリン−4−イル−4−オキソ−ブチリルアミノ}−4−オキソ−酪酸。
【0158】
【化37】

工程A. (3S)−{(2R)−シクロヘキシルメチル−4−モルホリン−4−イル−4−オキソ−ブチリルアミノ}−4−オキソ−酪酸t−ブチルエステルセミカルバゾンの合成を、(2R)−シクロヘキシルメチル−4−モルホリン−4−イル−4−オキソ−酪酸をカルボン酸として使用する以外、実施例1、工程1に準じた方法で行い、9.1%収率で表題物質を得た:HPLC-MS C24H41N5O6(M+H+)の計算値496.3, 実測値496.4。
【0159】
工程B. この変換を、ホルムアルデヒド溶液の除去後、物質を冷エーテルから粉砕させた以外、実施例1、工程Cに準じて行った。固体を次いで酢酸エチルに溶解し、水で2回抽出した。有機物をMgSOで乾燥させ、溶媒を除去して、表題化合物を56%収率で得た:HPLC-MS C19H30N2O6(M+H+)の計算値383.2, 実測値383.4。
【0160】
【化38】

実施例7. (3S)−[3−シクロヘキシル−(2S)−(3−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−4−オキソ−酪酸。
【0161】
【化39】

工程A. (3S)−[3−シクロヘキシル−(2S)−(3−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−4−オキソ−酪酸t−ブチルエステルセミカルバゾンを、48%収率で、3−シクロヘキシル−2−(S)−(3−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロピオン酸をカルボン酸として使用した以外、実施例1に準じた方法で製造した:HPLC-MS C25H36F3N5O7S(M+H+)の計算値608.2, 実測値608.4。
【0162】
工程B. この変換を、実施例1、工程Cに準じて行い、表題物質を16%収率で得た:HPLC-MS C20H25F3N2O7S(M+H+)の計算値495.1, 実測値495.3。
【0163】
【化40】

実施例8. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−(3−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−4−オキソ−酪酸。
【0164】
【化41】

工程A. (3S)−[(2S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−シクロペンチル−プロピオニルアミノ]−4−ヒドロキシ−酪酸tert−ブチルエステルを、cbz−シクロペンチルアラニンジシクロヘキシルアミン塩を酸として使用した以外、実施例4、工程Eに準じた方法で製造し、所望の生成物を79%収率で得た:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 1.05-1.20(m, 2H), 1.44(s, 9H), 1.41-1.70(m, 5H), 1.71-1.88(m, 4H), 2.47-2.58(m, 2H), 2.81-2.88(m, 1H), 3.62-3.73(m, 2H), 4.06-4.23(m, 2H), 5.11(s, 2H), 5.23(d, 1H, J=7.0), 6.81(d, 1H, J=7.8), 7.29-7.38(m, 5H); HPLC-MS C24H36N2O6(M+H+)の計算値449.3, 実測値449.5。
【0165】
【化42】

工程B. (3S)−[(2S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−シクロペンチル−プロピオニルアミノ]−4−ヒドロキシ−酪酸tert−ブチルエステル(205mg、0.46mmol)のサンプルを10%DegussaタイプPd/C(27mg)およびエタノール(5mL)で処理した。物質を次いで水素化し、実施例1、工程Bの通りに後処理して、中間体アミンを得、それをさらに精製せずに使用した:HPLC-MS C16H30N2O4(M+H+)の計算値315.2, 実測値315.5。
【0166】
この物質を次いでジクロロメタン(5mL)に溶解し、氷/水浴で冷却した。混合物を3−トリフルオロメトキシベンゼンスルホニルクロライド(125mg、0.48mmol)およびジイソプロピルエチルアミンで処理し、撹拌し、室温に一晩温めた。反応物を次いでジクロロメタンで希釈し、水で1回抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。得られた油状物を、0−80%酢酸エチルのヘキサン溶液の直線勾配を使用してシリカゲルで精製し、214mg(87%)の(3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−(3−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−4−ヒドロキシ−酪酸tert−ブチルエステルを得た:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 0.81-1.03(m, 2H), 1.16-1.24(m, 1H), 1.25-1.54(m, 4H), 1.44(s, 9H), 1.55-1.70(m, 4H), 1.71-1.88(m, 4H), 2.47(d, 2H, J=6.4), 3.13(dd, 1H, J1=6.2, J2=6.3), 3.57-3.67(m, 3H), 4.15-4.23(m, 1H), 6.11(d, 1H, J=7.0), 7.14(d, 1H, J=8.4), 7.44(d, 1H, J=8.3), 7.57(dd, 1H, J1=8.0, J2=8.1), 7.74(s, 1H), 7.84(d, 1H, J=7.9); HPLC-MS C23H33F3N2O7S(M+H+)の計算値539.2, 実測値(M-C4H10O+H+)465.4; (M-C4H8+H+)483.4。
【0167】
【化43】

工程C:(3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−(3−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−4−オキソ−酪酸tert−ブチルエステルセミカルバゾンを、この物質を0−10%メタノールのジクロロメタン溶液を使用したシリカゲルで精製した以外、実施例4、工程Fに準じた方法で、86%収率で製造した:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 0.80-1.07(m, 3H), 1.18-29(m, 1H), 1.32-1.40(m, 3H), 1.44(s, 9H), 1.55-1.67(m, 4H), 2.66-2.80(m, 2H), 3.62-3.70(m, 1H), 4.85-4.92(m, 1H), 5.27(m, 1H), 6.44(m, 1H), 7.12(d, 1H, J=1.6), 7.37-7.45(m, 2H), 7.58(dd, 1H, J1=8.0, J2=8.1), 7.72-7.76(m, 1H), 7.78(d, 1H, J=8.0), 7.86(d, 1H, J=8.0), 9.03(s, 1H); HPLC-MS C24H34F3N5O7S(M+H+)の計算値594.2, 実測値594.5。
【0168】
工程D:(3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−(3−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−4−オキソ−酪酸を、実施例4、工程Gに準じた方法で、41%収率で製造した:1H NMR(CD3OD, 400 MHz)δ 0.90-1.00(m, 2H), 1.30-1.60(m, 7H), 1.62-1.76(m, 2H), 2.26-2.75(m, 1H), 2.47-2.59(m, 1H), 3.64-3.73(m, 1H), 4.08-4.16(m, 1H), 4.51(d, 0.5H, J=3.9), 4.54(d, 0.5H, J=4.2), 7.51-7.56(m, 1H), 7.66(dd, 1H, J1=J2=8.0), 7.74-7.76(m, 1H), 7.81-7.85(m, 1H); HPLC-MS C19H23F3N2O7S(M+H+)の計算値481.1, 実測値481.4。
【0169】
【化44】

実施例9. (3S)−[3,3−ジメチル−(1S)−(モルホリン−4−カルボニル)−ブトキシカルボニルアミノ]−4−オキソ−酪酸。
【0170】
【化45】

工程A. (3S)−[3,3−ジメチル−(1S)−(モルホリン−4−カルボニル)−ブトキシカルボニルアミノ]−4−ヒドロキシ−酪酸tert−ブチルエステルを、(S)−3,3−ジメチル−1−(モルホリン−4−カルボニル)−ブチル4−ニトロフェニルカーボネートを使用した以外、実施例5、工程Aに準じて製造し、それをさらに精製せずに使用した:HPLC-MS C20H36N2O7(M+H+)の計算値417.3, 実測値417.5。
【0171】
【化46】

工程B. (3S)−[3,3−ジメチル−(1S)−(モルホリン−4−カルボニル)−ブトキシカルボニルアミノ]−4−オキソ−酪酸tert−ブチルエステルセミカルバゾンを、この物質を0−10%メタノールのジクロロメタン溶液を使用してシリカゲルで精製した以外、実施例4、工程Fの方法に準じて、2工程で68%収率で製造した(データは主要な幾何学異性体に関する):1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 0.95(s, 9H), 1.40(s, 9H), 1.40-1.47(m, 1H), 1.79(dd, 1H, J1=9.9, J2=14.9), 4.57-4.64(m, 1H), 5.32-5.37(m, 1H), 6.55(d, 1H, J=8.8), 7.16(d, 1H, J=2.7), 9.71(s, 1H); HPLC-MS C21H37N5O7(M+H+)の計算値472.3, 実測値472.2。
【0172】
工程C. 表題化合物を、実施例4、工程Gに準じた方法で、41%収率で得た:HPLC-MS C16H26N2O7(M+H+)の計算値359.2, 実測値359.4。
【0173】
【化47】

実施例10. (3S)−[2−シクロヘキシル−(1S)−(モルホリン−4−カルボニル)−エトキシカルボニルアミノ]−4−オキソ−酪酸。
【0174】
【化48】

工程A. (3S)−[2−シクロヘキシル−(1S)−(モルホリン−4−カルボニル)−エトキシカルボニルアミノ]−4−ヒドロキシ−酪酸tert−ブチルエステルを、2−シクロヘキシル−(1S)−(モルホリン−4−カルボニル)−エチル4−ニトロフェニルカーボネートを使用した以外、実施例5、工程Aに準じた方法で製造し、61%の所望の生成物を得て、それを0−100%酢酸エチルのヘキサン溶液を使用してシリカゲルクロマトグラフィーで精製した:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 0.81-1.03(m, 2H), 1.08-1.32(m, 4H), 1.45(s, 9H), 1.62-1.86(m, 7H), 2.49-2.62(m, 2H), 3.38-3.78(m, 9H), 3.93-4.02(m, 1H), 5.29(d, 1H, J=8.3), 5.63(d, 1H, J=6.7); HPLC-MS C22H38N2O7(M+H+)の計算値443.3, 実測値443.5。
【0175】
【化49】

工程B. (3S)−[2−シクロヘキシル−(1S)−(モルホリン−4−カルボニル)−エトキシカルボニルアミノ]−4−オキソ−酪酸tert−ブチルエステルセミカルバゾンを、その物質を0−10%メタノールのジクロロメタン溶液を使用してシリカゲルで精製した以外、実施例4、工程Fに準じた方法で、2工程で89%収率で得た(データは主要な幾何学異性体に関する):1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 0.78-0.99(m, 2H), 1.05-1.27(m, 3H), 1.39(s, 9H), 1.36-1.47(m, 2H), 1.58-1.82(m, 6H), 2.58(dd, 1H, J1=7.1, J2=16.0), 2.72(dd, 1H, J1=4.7, J2=15.9), 3.39-3.77(m, 9H), 4.55-4.63(m, 1H), 5.26-5.62(m, 1H), 6.53(d, 1H, J=8.7), 7.18(d, 1H, J=2.7), 9.76(s, 1H); HPLC-MS C22H39N5O7(M+H+)の計算値498.3, 実測値498.5。
【0176】
工程C. 表題化合物を、実施例4、工程Gに準じた方法で41%収率で製造した:HPLC-MS C18H28N2O7(M+H+)の計算値385.2, 実測値385.4。
【0177】
【化50】

実施例11. (3S)−[(2S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−シクロ(cyco)ヘキシル−プロピオニルアミノ]−2−ベンジルオキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン。
【0178】
【化51】

工程A. (3S)−[(2S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−シクロヘキシル−プロピオニルアミノ]−4,4−ジエトキシ−酪酸tert−ブチルエステルの製造。
【0179】
Cbz−O−tBu−アスパルチナルジエチルアセタール(320mg、0.84mmol)および10%Pd/C(30mg)の混合物を酢酸エチル(10mL)で処理した。反応中の雰囲気を、次いで、水素ガスを針で溶液を通して5分バブリングすることにより水素に置き換えた。反応物をバルーン圧の水素下に3時間静置し、次いで雰囲気を上記と同様の方法で窒素に戻した。反応物をセライトを通して濾過し、溶媒を除去した。物質をジクロロメタンと3回共蒸発させ、cbz−シクロヘキシルアラニンジシクロヘキシルアミン塩(448mg、92mmol)およびHATU(458mg、1.2mmol)と合わせた。混合物をジクロロメタン(5mL)およびジイソプロピルエチルアミン(220mg、1.7mmol)で処理し、3時間撹拌した。反応物を分液漏斗に入れ、飽和水性NaHCOで処理し、水性相をジクロロメタンで3回抽出し、廃棄した。有機物をMgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。残渣を0から60%酢酸エチルのヘキサン溶液の直線勾配を使用してシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、372mg(83%)の所望の物質を得た:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 0.76-0.94(m, 2H), 1.00-1.20(m, 9H), 1.23-1.35(m, 1H), 1.36(s, 9H), 1.35-1.43(m, 1H), 1.54-1.65(m, 5H), 1.66-1.74(m, 1H), 2.45-2.50(m, 2H), 3.37-3.51(m, 2H), 3.57-3.66(m, 2H), 4.07-4.17(m, 1H), 4.28-4.38(m, 1H), 4.40-4.43(m, 1H), 5.03(dd, 2H, J1=12.3, J2=20.4), 5.10(d, 1H, J=8.1), 6.39(d, 1H, J=8.8), 7.21-7.31(m, 5H); HPLC-MS C29H46N2O7(M+H+)の計算値557.3, 実測値557.5。
【0180】
工程B. 工程Aの生成物のサンプル(47mg、88μmol)をベンジルアルコール(0.5mL)およびTFA(0.5mL)で処理し、30分撹拌した。反応物を飽和水性NaHCOの溶液に注ぎ入れることによりクエンチし、水性層をジクロロメタンで3回抽出した。有機物をMgSOで乾燥させ、溶媒を除去した。残渣を0から60%酢酸エチルのヘキサン溶液の直線勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、28mg(64%)の表題化合物を得た:HPLC-MS C28H34N2O6(M+H+)の計算値495.2, 実測値495.5。
【0181】
【化52】

実施例12. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン。
【0182】
【化53】

工程A. (3S)−[(2S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−シクロペンチル−プロピオニルアミノ]−4,4−ジエトキシ−酪酸tert−ブチルエステルを、Cbz−シクロペンチルアラニンジシクロヘキシルアミン塩を酸として使用した以外、実施例11、工程Aに準じた方法で47%収率で製造した:HPLC-MS C28H44N2O7(M+Na+)の計算値543.3, 実測値543.5。
【0183】
【化54】

工程B. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオニルアミノ]−4,4−ジエトキシ−酪酸tert−ブチルエステルのサンプルを、実施例1、工程Bに準じた方法で、46%収率で製造した:HPLC-MS C31H43FN2O7(M+H+)の計算値575.3, 実測値575.4。
【0184】
工程C. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオニルアミノ]−4,4−ジエトキシ−酪酸tert−ブチルエステル(50mg、91μmol)のサンプルを、4M HClのジオキサン溶液で処理し、1時間撹拌した。溶媒を次いで除去し、残渣をマス−トリガード(mass-triggered)分取HPLCを使用して精製し、15mg(34%)の所望の物質をアノマー混合物として得た:HPLC-MS C25H29FN2O6(M+H+)の計算値473.2, 実測値473.3。
【0185】
【化55】

実施例13. (3S)−[(2S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4,4−ジメチル−ペンタノイルアミノ]−(2R)−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン。
【0186】
表題化合物を、t−Boc−シクロペンチルアラニンおよび既知の(3S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−(2R)−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフランを使用した以外、実施例11、工程Aに準じた方法で、23%収率で製造した:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 0.96(s, 9H), 1.25(t, 3H, J=7.1), 1.36(dd, 1H, J1=8.6, J2=14.6), 1.44(s, 9H), 1.92(dd, 1H, J1=3.8, J2=14.5), 2.41(dd, 1H, J1=10.3, J2=17.3), 2.84(dd, 1H, J1=8.6, J2=17.3), 3.64(dq, 1H, J1=7.1, J2=9.6), 3.91(dq, 1H, J1=7.1, J2=9.6), 4.08-4.96(m, 1H), 4.66-4.78(m, 2H), 5.44(d, 1H, J=5.3), 6.81(d, 1H, J=7.4); HPLC-MS C18H32N2O6(M+H+)の計算値373.2, 実測値373.4。
【0187】
【化56】

実施例14. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−(2R)−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン
【0188】
【化57】

工程A. (3S)−[(2S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−シクロ(cyco)ペンチル−プロピオニルアミノ]−(2R)−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフランを、cbz−シクロペンチルアラニンジシクロヘキシルアミン塩および既知の(3S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−(2R)−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフランを使用した以外、実施例11、工程Aに準じた方法で、28%収率で製造した:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 1.07-1.18(m, 2H), 1.24(t, 3H, J=7.0), 1.47-1.57(m, 2H), 1.57-1.68(m, 3H), 1.73-1.88(m, 4H), 2.39(dd, 1H, J1=10.1, J2=17.1), 2.83(dd, 1H, J1=8.7, J2=17.8), 3.58-3.68(m, 1H), 3.86-3.96(m, 1H), 4.09-4.18(m, 1H), 4.67-4.77(m, 1H), 5.08-5.17(m, 3H), 5.43(d, 1H, J=4.5), 6.56(d, 1H, J=7.9), 7.30-7.40(m, 5H); HPLC-MS C22H30N2O6(M+H+)の計算値419.2, 実測値419.5。
【0189】
工程B. 表題化合物を、(3S)−[(2S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−シクロ(cyco)ペンチル−プロピオニルアミノ]−(2R)−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフランを使用した以外、実施例1、工程Bに準じた方法で、71%収率で製造した:1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 1.13-1.27(m, 2H), 1.25(t, 3H, J=8.7), 1.48-1.70(m, 4H), 1.78-2.03(m, 5H), 2.48(dd, 1H, J1=10.4, J2=17.4), 2.85(dd, 1H, J1=8.6, J2=17.4), 3.65(dq, 1H, J1=7.1, J2=9.6), 3.92(dq, 1H, J1=7.1, J2=9.6), 4.56-4.64(m, 1H), 4.70-4.79(m, 1H), 5.47(d, 1H, J=5.3), 6.74(d, 1H, J=8.0), 6.77(d, 1H, J=3.6), 6.80(d, 1H, J=8.2), 7.02-7.08(m, 1H), 7.21(d, 1H, J=3.6), 7.7.36-7.43(m, 2H), 7.47-7.52(m, 1H); HPLC-MS C25H29FN2O6(M+H+)の計算値473.2, 実測値473.5.
【0190】
実施例15. (3S)−(3−シクロヘキシル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸。
【化58】

工程A. 0.168gの3−フルオロフェニルボロン酸(1.2mmol、1.2当量)、0.191gの5−ブロモ−フラン−2−カルボン酸(1.0mmol、1当量)、0.375mLの飽和炭酸ナトリウム、および0.018mgのジクロロ(1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)塩化メチレン付加物(0.025mmol、2mol%)をマイクロ波チューブに入れ、最初に乾燥剤、続いて2mLの水および次いで塩基を入れ、チューブの蓋をし、バイアルを適当な不活性ガス、例えば窒素またはアルゴンでパージした。チューブを5分超音波処理して、すべての大きな塊を破壊し、反応物をマイクロ波で120秒、200℃の固定された時間加熱した。スラリーをクエン酸で酸性化し、生成物を酢酸エチルに抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固し、0.198gの生成物を明ピンク色物質として得た。この生成物は98%純度であり、そのままでさならる合成に適していた。LC/MS実測値: 207(M+H+)。
【0191】
工程B. 表題化合物を、S−シクロヘキシルアラニンをS−シクロペンチルアラニンの代わりに使用した以外、実施例1と同じ経路で合成した。生成物を酪トール結合についてジアステレオマーの混合物として単離した。LC-MS C24H27FN2O6 M+H+の計算値: 459.18, 実測値459.1。
【0192】
実施例16. (3S)−[3−シクロヘキシル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−メトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン。
【化59】

表題化合物を実施例15の生成物から、直接、その450mgを8mLの乾燥メタノールに溶解し、痕跡量のTFAを添加し、反応物を15分撹拌することにより合成した。生成物を次いで逆相HPLCにより精製し、120mg(0.254mmol)の生成物を得た。HPLC-MS C25H29FN2O6(M+H+)の計算値473.2, 実測値473.2。
【0193】
実施例17. (3S)−[3−シクロヘキシル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン。
【化60】

表題化合物を、実施例15から、80mgのそれを5mLの乾燥エタノールに溶解することにより合成した。トリエチルオルトホルメート(1mL)ならびに痕跡量のギ酸を添加した。反応物を一晩撹拌し、粗生成物を逆相分取HPLCで精製した。収量25mg。1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 7.49( d, J=7.9 Hz, 1H), 7.43-7.37(m, 2H), 7.29(d, J=3.5 Hz, 1H), 7.05(td, J=8.3, 2.5 Hz, 1H), 6.77(d, J=3.5 Hz, 1H), 6.74(t, J=7.9 Hz, 2H), 5.47(d, J=5.3 Hz, 1H), 4.79-4.65(m, 2H), 3.96-3.88(m,1H), 3.7-3.62(m, 1H), 2.88-2.82(m, 1H), 2.5-2.43(m, 1H), 1.87-1.64(m, 7H), 1.45-1.33(m, 1H), 1.31-1.11(m, 6H), 1.08-0.89(m, 2H). HPLC-MS C26H31FN2O6(M+H+)の計算値487.2, 実測値487.2。
【0194】
実施例18. (3S)−((2S)−(3−シアノフェニル−カルボニルアミノ)−3−シクロペンチル−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸。
【化61】

1H NMR(CD3OD, 400 MHz)δ 8.21(m, 1H), 8.14(m, 1H), 7.88(m, 1H), 7.66(dd, J=7.9, 7.8 Hz, 1H), 4.58(m, 1H), 4.30(m, 1H), 2.68(ddd, J=16.1, 10.4, 5.1 Hz, 1H), 2.52(ddd, J=16.1, 8.2, 2.8 Hz, 1H), 1.82-1.96(m, 6H), 1.65(m, 2H), 1.56(m, 2H), 1.23(m, 1H), 0.91(m, 1H); HPLC-MS C20H24N3O5(M+H+)の計算値386.4, 実測値386.5。
実施例19. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−(シクロプロピルカルボニルアミノ)−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸。
【化62】

HPLC-MS C16H24N2O5(M+H+)の計算値325.2, 実測値325.4。
【0195】
実施例20. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシカルボニルアミノ)−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸。
【化63】

HPLC-MS C18H28N2O7(M+H+)の計算値385.2, 実測値385.4。
【0196】
実施例21. (3S)−(3−シクロプロピル−(2S)−(シクロプロピルカルボニルアミノ)−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸。
【化64】

1H NMR(CD3OD, 600 MHz)δ 4.57(dd, J=7.8, 3.9 Hz, 1H), 4.39(dd, J=7.8, 6.2 Hz), 4.27(m, 1H), 2.50(m, 1H), 1.58-1.68(m, 1H), 0.84(m, 3H), 0.77(m, 4H), 0.47(m, 3H), 0.09-0.17(m, 2H); HPLC-MS C14H21N2O5(M+H+)の計算値297.3, 実測値297.4。
【0197】
実施例22. (3S)−((2S)−(シクロプロピルカルボニルアミノ)−4,4−ジメチル−ペンタノイルアミノ)−4−オキソ−酪酸。
【化65】

1H NMR(CD3OD, 600 MHz)δ 4.56(dd, J=8.6, 4.0 Hz, 1H), 4.43(m, 1H), 4.22(m, 1H), 2.48(m, 1H), 1.79(m, 1H), 1.62(m, 2H), 1.53(m, 1H), 0.95(s, 9H), 0.86(m, 4H), 0.76(m, 3H); HPLC-MS C15H25N2O5(M+H+)の計算値313.4, 実測値313.6。
【0198】
実施例23. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸。
【化66】

1H NMR(CD3OD, 600 MHz)δ 8.25(m, 1H), 8.14(m, 1H), 7.66(m, 2H), 7.29(m, 1H), 7.11(d, J=3.6 Hz, 1H), 5.36(m, 1H), 4.60(m, 1H), 4.30(m, 1H), 2.67(m, 1H), 2.50(m, 1H), 1.90(m, 5H), 1.63(m, 2H), 1.58(m, 2H), 1.25(2H); HPLC-MS C24H26F3N2O6(M+H+)の計算値495.5, 実測値495.2。
【0199】
実施例24. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−(3−トリフルオロメチルフェニル−カルボニルアミノ)−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸。
【化67】

1H NMR(CD3OD, 600 MHz)δ 8.19(m, 1H), 8.12(m, 1H), 7.86(m, 1H), 7.69(m, 1H), 5.48(m, 1H), 4.60(m, 1H), 4.30(m, 1H), 2.66(m, 1H), 2.53(m, 1H), 1.90(m, 5H), 1.67(m, 2H), 1.58(m, 2H), 1.26(m, 2H); HPLC-MS C20H24F3N2O5(M+H+)の計算値429.4, 実測値429.2。
【0200】
実施例25. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−イソプロポキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン。
【化68】

1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 7.82(m,1H), 7.48(m, 1H), 7.37(m, 2H), 7.23(d, J=3.6 Hz, 1H), 7.11(m, 1H), 7.03(ddd, J=10.8, 2.3, 2.3 Hz, 1H), 6.76(d, J=3.6 Hz, 1H), 4.71(m, 1H), 4.31(m, 1H), 3.97(m, 1H), 2.97(dd, J=18.0, 7.7 Hz, 1H), 2.45(dd, J=18.0, 1.8 Hz, 1H), 1.89(m, 6H), 1.60(m, 2H), 1.52(m, 2H), 1.21(dd, J=6.1, 4.8 Hz, 6H), 1.17(m, 2H); HPLC-MS C26H32FN2O6(M+H+)の計算値487.5, 実測値487.3。
【0201】
実施例26. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−シクロペントキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン。C28H34FN2O6の計算した[M+H] 513.6. 実測値: 513.3。
【0202】
実施例27. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−シクロペンチルメトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン。
【化69】

1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ 7.50(m, 1H), 7.41(m, 2H), 7.22(d, J=3.6 Hz, 1H), 7.06(m, 1H), 6.78(d, J=3.6 Hz, 1H), 6.73(dd, J=21.0, 8.3 Hz, 1H), 5.46(d, J=5.3 Hz, 1H), 4.76(m, 1H), 4.61(m, 1H), 3.76(dd, J=9.2, 7.1 Hz, 1H), 3.44(dd, J=9.1, 7.5 Hz, 1H), 2.87(dd, J=17.4, 8.6 Hz, 1H), 2.47(dd, J=17.4, 10.3 Hz, 1H), 2.15(m, 1H), 1.94(m, 1H), 1.83(m, 4H), 1.63-1.74(m, 6H), 1.47-1.58(m, 5H), 1.19(m, 4H); HPLC-MS C29H36FN2O6(M+H+)の計算値527.6, 実測値527.3。
【0203】
B. カテプシン阻害活性のアッセイ
カテプシンS
カテプシンSの最適な基質である、アセチル−ヒスチジン−プロリン−バリン−リシン−アミノカルバモイルクマリンを、蛍光性ペプチド基質のコンビナトリアルライブラリーのスクリーニングから同定した(Harris, J. L., B. J. Backes, et al., Proc Natl Acad Sci USA 2000, 97(14), 7754-9)。動力学的測定は、30μlの総反応量で、384ウェルマイクロタイタープレートで行う。最終濃度0.3−3nM(活性部位)のカテプシンSを、12種の異なる濃度の化合物と、100mM NaAc(pH5.5)、1mM EDTA、100mM NaCl、0.01%Brij−35含有緩衝液中、20分、室温でインキュベートする。阻害剤非存在下のコントロール反応を24回繰り返して行う。反応を基質、アセチル−ヒスチジン−プロリン−バリン−リシン−アミノカルバモイルクマリンの50μMの最終濃度での添加により開始させる。基質加水分解の速度を、基質の酵素によるアニリン結合の開裂に由来する、380nmの励起波長および450nmの放出波長の増加のモニタリングにより測定する。化合物の見かけの阻害定数を、酵素進行曲線(Kuzmic, P., K. C. Elrod, et al., Anal Biochem 2000, 286(1), 45-50)から測定し、次いで競合阻害剤の阻害定数の計算に使用する。
【0204】
カテプシンK
カテプシンKの最適基質である、アセチル−リシン−ヒスチジン−プロリン−リシン−アミノカルバモイルクマリンを、蛍光性ペプチド基質のコンビナトリアルライブラリーのスクリーニングから同定した(Harris, J. L., B. J. Backes, et al., Proc Natl Acad Sci USA2000, 97(14), 7754-9)。動力学的測定は、30μlの総反応量で、384ウェルマイクロタイタープレートで行う。最終濃度3.5nM(活性部位)のカテプシンKを、12種の異なる濃度の化合物と、100mM NaAc(pH5.5)、1mM EDTA、100mM NaCl、0.01%Brij−35含有緩衝液中、20分、室温でインキュベートする。阻害剤非存在下のコントロール反応を24回繰り返して行う。反応を基質、アセチル−リシン−ヒスチジン−プロリン−リシン−アミノカルバモイルクマリンの40μMの最終濃度での添加により開始させる。基質加水分解の速度を、基質の酵素によるアニリン結合の開裂に由来する、380nmの励起波長および450nmの放出波長の増加のモニタリングにより測定する。化合物の見かけの阻害定数を、酵素進行曲線(Kuzmic, P., K. C. Elrod, et al., Anal Biochem 2000, 286(1), 45-50)から測定し、次いで競合阻害剤の阻害定数の計算に使用する。
【0205】
カテプシンL
カテプシンLの最適基質である、アセチル−ヒスチジン−リシン−フェニルアラニン−リシン−アミノカルバモイルクマリンを、蛍光性ペプチド基質のコンビナトリアルライブラリーのスクリーニングから同定した(Harris, J. L., B. J. Backes, et al., Proc Natl Acad Sci USA 2000, 97(14), 7754-9)。動力学的測定は、30μlの総反応量で、384ウェルマイクロタイタープレートで行う。最終濃度0.1nM(活性部位)のカテプシンLを、12種の異なる濃度の化合物と、100mM NaAc(pH5.5)、1mM EDTA、100mM NaCl、0.01%Brij−35含有緩衝液中、20分、室温でインキュベートする。阻害剤非存在下のコントロール反応を24回繰り返して行う。反応を基質、アセチル−ヒスチジン−リシン−フェニルアラニン−リシン−アミノカルバモイルクマリンの20μMの最終濃度での添加により開始させる。基質加水分解の速度を、基質の酵素によるアニリン結合の開裂に由来する、380nmの励起波長および450nmの放出波長の増加のモニタリングにより測定する。化合物の見かけの阻害定数を、酵素進行曲線(Kuzmic, P., K. C. Elrod, et al., Anal Biochem 2000, 286(1), 45-50)から測定し、次いで競合阻害剤の阻害定数の計算に使用する。
【0206】
カテプシンB
カテプシンBの最適基質である、アセチル−ヒスチジン−プロリン−バリン−リシン−アミノカルバモイルクマリンを、蛍光性ペプチド基質のコンビナトリアルライブラリーのスクリーニングから同定した(Harris, J. L., B. J. Backes, et al., Proc Natl Acad Sci USA 2000, 97(14), 7754-9)。動力学的測定は、30μlの総反応量で、384ウェルマイクロタイタープレートで行う。最終濃度1.5nM(活性部位)のカテプシンBを、12種の異なる濃度の化合物と、100mM NaAc(pH5.5)、1mM EDTA、100mM NaCl、0.01%Brij−35含有緩衝液中、20分、室温でインキュベートする。阻害剤非存在下のコントロール反応を24回繰り返して行う。反応を基質、アセチル−ヒスチジン−プロリン−バリン−リシン−アミノカルバモイルクマリンの10μMの最終濃度での添加により開始させる。基質加水分解の速度を、基質の酵素によるアニリン結合の開裂に由来する、380nmの励起波長および450nmの放出波長の増加のモニタリングにより測定する。化合物の見かけの阻害定数を、酵素進行曲線(Kuzmic, P., K. C. Elrod, et al., Anal Biochem 2000, 286(1), 45-50)から測定し、次いで競合阻害剤の阻害定数の計算に使用する。
【0207】
本発明の化合物の好ましいカテプシンS阻害定数は10μM未満である。本発明の化合物のより好ましい阻害定数は1.0μM未満である。本発明の化合物の最も好ましい阻害定数は0.1μM未満である。
【0208】
カテプシンイソ酵素の存在下でのカテプシンS選択性を、本発明の化合物のカテプシンイソ酵素阻害定数に対する同じ化合物のカテプシンS阻害定数の比率から決定した。カテプシンSに選択的な好ましい本発明の化合物は、10より大きい比率を有する。カテプシンSに選択的なより好ましい本発明の化合物は、100より大きい比率を有する。カテプシンSに選択的な最も好ましい本発明の化合物は、1000より大きい比率を有する。
【表2】

式Iの化合物のカテプシンS阻害定数:+、<10μM;++、<1.0μM;+++、<0.1μM。
他のカテプシンを超えているカテプシンSに対する式Iの化合物の選択性:+、>10;++、>100;+++、>1000。
【0209】
C. カスパーゼ阻害活性のアッセイ
カスパーゼ(システイニルアスパルテート特異的プロテアーゼ)は、システインプロテアーゼのファミリーであり、少なくとも12種のヒトでのメンバーと強い系統発生論的保存があり、それはサイトカイン成熟およびアポトーシスの両方で重要な役割を演ずることが判明している(R. V. Talanian et al. J. Med. Chem. 2000, 43, 3351; S. Ashwell Expert Opin. Ther. Patents 2001, 11, 1593)。
【0210】
カスパーゼ1の阻害アッセイ:
カスパーゼ1の広く使用されている基質である、アセチル−トリプトファン−グルタメート−ヒスチジン−アスパラギン酸(spartic acid)−アミノカルバモイルクマリンを使用した。動力学的測定を384ウェルマイクロタイタープレート中、30μlの反応容量で行う。カスパーゼ1を0.2−1nM(活性部位)の最終濃度で20mM Hepes(pH7.4)、1mM EDTA、100mM NaCl、0.1%CHAPS、10%スクロース、10mM DTT含有緩衝液中の12種の異なる濃度の化合物と20分、室温で、インキュベートする。阻害剤非存在下の対照反応を12回繰り返して行う。反応を最終濃度4μMまでの基質の添加により開始する。基質加水分解の速度を、基質の酵素によるアニリン結合の開裂に由来する、380nmの励起波長および450nmの放出波長の増加のモニタリングにより測定する。化合物の見かけの阻害定数を、酵素進行曲線(Kuzmic, Elrod et al. 2000)から測定し、次いで競合阻害剤の阻害定数の計算に使用する(Km=8μM)。
【0211】
カスパーゼ3の阻害アッセイ:
カスパーゼ3の広く使用されている基質である、アセチル−アスパルテート−グルタメート−バリン−アスパラギン酸−アミノカルバモイルクマリンを使用した。動力学的測定を384ウェルマイクロタイタープレート中、30μlの反応容量で行う。カスパーゼ3を0.2−1nM(活性部位)の最終濃度で20mM Hepes(pH7.4)、1mM EDTA、100mM NaCl、0.1%CHAPS、10%スクロース、10mM DTT含有緩衝液中の12種の異なる濃度の化合物と20分、室温で、インキュベートする。阻害剤非存在下の対照反応を12回繰り返して行う。反応を最終濃度2μMまでの基質の添加により開始する。基質加水分解の速度を、基質の酵素によるアニリン結合の開裂に由来する、380nmの励起波長および450nmの放出波長の増加のモニタリングにより測定する。化合物の見かけの阻害定数を、酵素進行曲線(Kuzmic, Elrod et al. 2000)から測定し、次いで競合阻害剤の阻害定数の計算に使用する(Km=9.7μM)。
【0212】
カスパーゼ8の阻害アッセイ:
カスパーゼ8の広く使用されている基質である、アセチル−アスパルテート−グルタメート−バリン−アスパラギン酸−アミノカルバモイルクマリンを使用した。動力学的測定を384ウェルマイクロタイタープレート中、30μlの反応容量で行う。カスパーゼ8を0.2−1nM(活性部位)の最終濃度で20mM Hepes(pH7.4)、1mM EDTA、100mM NaCl、0.1%CHAPS、10%スクロース、10mM DTT含有緩衝液中の12種の異なる濃度の化合物と20分、室温で、インキュベートする。阻害剤非存在下の対照反応を12回繰り返して行う。反応を最終濃度2μMまでの基質の添加により開始する。基質加水分解の速度を、基質の酵素によるアニリン結合の開裂に由来する、380nmの励起波長および450nmの放出波長の増加のモニタリングにより測定する。化合物の見かけの阻害定数を、酵素進行曲線(Kuzmic, Elrod et al. 2000)から測定し、次いで競合阻害剤の阻害定数の計算に使用する(Km=25.7μM)。
【表3】

式Iの化合物のカスパーゼ−1、−3および−8阻害定数:0、>1μM;00、>10μM;000、>100μM。
【0213】
前記で本発明は、理解を明白にするために説明および例示の方法で幾分詳細に記載しているが、一定の変化および修飾を添付の特許請求の範囲の範囲内で行い得ることは明白であろう。加えて、本明細書で記載した各文献はその全体を、個々に各引用文献が引用により包含されたのと同程度に本明細書に包含する。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】図1はMHC II抗原提示を記載する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、
Yは、
【化2】

から成る群から選択されるメンバーであり;
Aは、−CH−、および−CHCH−から成る群から選択されるメンバーであり;
は、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキル置換C−Cシクロアルキル、およびベンジルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
Xは、−O−CR−C(=O)−Q、−CRH−O−C(=O)−W、−CH−CHR−C(=O)−W、−CRH−CH−C(=O)−W、−CRH−NH−C(=O)−W、−O−CR−B−R、−CRH−NH−C(=O)−O−Z、−CHR−NH−C(=O)−Rおよび−CHR−NH−S(=O)−Rから成る群から選択されるメンバーであり;
Qは、0−2個のRで置換されているピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニルおよびインドリニルから成る群から選択されるヘテロ環であり、ここで、Qは−C(=O)に環窒素原子を介して結合しており;
各Rは、OH、−S(=O)CH、アセチル、=O、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCFおよびNR1011から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
Wはモルホリニルであり、ここで、Wは−C(=O)−に環窒素原子を介して結合しており;
Zは、各々0−2個のRで置換されているテトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、チオテトラヒドロピラニル、チオテトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニルおよびインドリニルから成る群から選択されるヘテロ環であり、ここで、Zは−O−C(=O)−に環炭素原子を介して結合しており;
各Rは、OH、−S(=O)CH、アセチル、=O、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCFおよびNR1011から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
Bは、−CH−、−OCH−、−NR11CH−、−CHCH−および結合から成る群から選択されるメンバーであり;
各Rは、H、0−2個のR1aで置換されているC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり、ここで、該C−Cアルキルは、所望により−O−、−S−、−S(=O)−、および−S(=O)−から成る群から選択されるヘテロ原子で置換されていてよく;各々0−2個のR1bで置換されているC−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル;0−3個のR1cで置換されているフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリールであり(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている);
各R1aは、0−3個のR1cで置換されているC−C10アリール、ペルフルオロフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員単環式もしくは8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル、およびC−Cペルフルオロアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1cは、H、OH、F、Cl、Br、CN、NO、COOR12、C(=O)NR1211、S(=O)NR1211、アセチル、−SCH、−S(=O)CH、−S(=O)CH、−NR1011、C−Cアルコキシ、C−Cペルフルオロアルキル、C−CペルフルオロアルコキシおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各Rは、HおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各Rは、1個のR3aで置換されているC−Cアルキルであり;
各R3aは、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各Rは、1個のR4aで置換されているC−Cアルキルであり;
各R4aは、tert−ブチル、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
は、から成る群から独立して選択されるメンバーでありN、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員単環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1個のR6aおよび0−2個のR1cで置換されている);およびN、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている);
各R6aは、0−3個のR1cで置換されているフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
は、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1個のR6aおよび0−2個のR1cで置換されている)、0−3個のR1cで置換されているフェニル、OCHPh、O−tert−Bu、およびC−Cシクロアルキルから成る群から選択されるメンバーであり;
は、0−3個のR1cで置換されているフェニル、およびN、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から選択されるメンバーであり;
各R10は、H、C−Cアルキル、(C−Cアルキル)−C(=O)−および(C−C4アルキル)−S(=O)−から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R11は、HおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;そして
各R12は、HおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
式Ia:
【化3】

〔式中、
Aは−CH−であり;
は、1個のR4aで置換されているC−Cアルキルであり;
4aは、tert−ブチル、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択され;そして
Wはモルホリニルであり、ここで、Wは−C(=O)−に環窒素原子を介して結合している。〕
を有する化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式Ib:
【化4】

〔式中、
Aは−CH−であり;
は、1個のR3aで置換されているC−Cアルキルであり;
3aは、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択され;そして
Wはモルホリニルであり、ここで、Wは−C(=O)−に環窒素原子を介して結合している。〕
を有する化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
式Ic:
【化5】

〔式中、
Aは−CH−であり;
は、1個のR3aで置換されているC−Cアルキルであり;
3aは、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択され;そして
Wはモルホリニルであり、ここで、Wは−C(=O)−に環窒素原子を介して結合している。〕
を有する化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
式Id:
【化6】

〔式中、
Aは−CH−であり;
は、H、0−2個のR1aで置換されているC−Cアルキル(ここで、該C−Cアルキルは、所望により−O−、−S−、−S(=O)−および−S(=O)−から成る群から選択されるヘテロ原子で置換されていてよい);各々0−2個のR1bで置換されているC−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル;0−3個のR1cで置換されているフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1aは、0−3個のR1cで置換されているC−C10アリール、ペルフルオロフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員単環式もしくは8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル、およびC−Cペルフルオロアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1cは、H、OH、F、Cl、Br、CN、NO、COOR12、C(=O)NR1211、S(=O)NR1211、アセチル、−SCH、−S(=O)CH、−S(=O)CH、−NR1011、C−Cアルコキシ、C−Cペルフルオロアルキル、C−CペルフルオロアルコキシおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各Rは、HおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
Qは、0−2個のRで置換されているピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニルおよびインドリニルから成る群から選択されるヘテロ環であり、ここで、Qは−C(=O)に環窒素原子を介して結合しており;そして
各Rは、OH、−S(=O)CH、アセチル、=O、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCFおよびNR1011から成る群から独立して選択されるメンバーである。〕
を有する化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
が、1個のR4aで置換されているC−Cアルキルであり;
4aが、tert−ブチル、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bが、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
がHであり;そして
Qが、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジルから成る群から選択されるメンバーであり、およびピペラジニル、ここで、Qは−C(=O)−に環窒素を介して結合しているものである、
請求項5記載の化合物。
【請求項7】
式Ie:
【化7】

〔式中、
Aは−CH−であり;
は、1個のR4aで置換されているC−Cアルキルであり;
4aは、tert−ブチル、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択され;
は、0−3個のR1cで置換されているフェニル、およびN、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から選択されるメンバーであり;そして
各R1cは、H、OH、F、Cl、Br、CN、NO、COOR12、C(=O)NR1211、S(=O)NR1211、アセチル、−SCH、−S(=O)CH、−S(=O)CH、−NR1011、C−Cアルコキシ、C−Cペルフルオロアルキル、C−CペルフルオロアルコキシおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーである。〕
を有する化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
式If:
【化8】

〔式中、
Aは−CH−であり;
は、1個のR4aで置換されているC−Cアルキルであり;
4aは、tert−ブチル、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択され;
は、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1個のR6aおよび0−2個のR1cで置換されている);0−3個のR1cで置換されているフェニル、OCHPh、O−tert−Bu、およびC−Cシクロアルキルから成る群から選択されるメンバーであり;
各R1cは、H、OH、F、Cl、Br、CN、NO、COOR12、C(=O)NR1211、S(=O)NR1211、アセチル、−SCH、−S(=O)CH、−S(=O)CH、−NR1011、C−Cアルコキシ、C−Cペルフルオロアルキル、C−CペルフルオロアルコキシおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;そして
各R6aは、0−3個のR1cで置換されているフェニル;N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーである。〕
を有する化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
式Ig
【化9】

〔式中、
Aは−CH−であり;
各Rは、H、0−2個のR1aで置換されているC−Cアルキル(ここで、該C−Cアルキルは、所望により−O−、−S−、−S(=O)−および−S(=O)−から成る群から選択されるヘテロ原子で置換されていてよい);各々0−2個のR1bで置換されているC−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル;0−3個のR1cで置換されているフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1aは、0−3個のR1cで置換されているC−C10アリール、ペルフルオロフェニル、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員単環式もしくは8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキル、およびC−Cペルフルオロアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1bは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各R1cは、H、OH、F、Cl、Br、CN、NO、COOR12、C(=O)NR1211、S(=O)NR1211、アセチル、−SCH、−S(=O)CH、−S(=O)CH、−NR1011、C−Cアルコキシ、C−Cペルフルオロアルキル、C−CペルフルオロアルコキシおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
各Rは、HおよびC−Cアルキルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
Bは、−CH−、−OCH−、−NR11CH−、−CHCH−および結合から成る群から選択されるメンバーであり;
は、N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員単環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは、1個のR6aおよび0−2個のR1cで置換されている);およびN、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーであり;そして
各R6aは、0−3個のR1cで置換されているフェニル;N、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む5−から6−員ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)から成る群から独立して選択されるメンバーである。〕
を有する化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
が、1個のR4aで置換されているC−Cアルキルであり;
4aが、tert−ブチル、0−2個のR1bで置換されているC−Cシクロアルキル、および0−2個のR1bで置換されているC−C11ビシクロアルキルから成る群から選択され;
各R1bが、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CF、OCF、−S(=O)CH、およびアセチルから成る群から独立して選択されるメンバーであり;
がHであり;
がN、OおよびSから成る群から各々独立して選択されるメンバーである1個から4個のヘテロ原子を含む8−から10−員二環式ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは0−3個のR1cで置換されている)であり;そして
Bが−CH−であるものである、
請求項9記載の化合物。
【請求項11】
式Ih:
【化10】

〔式中、
Aは−CH−である。〕
を有する化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
1. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
2. (3S)−{3−シクロペンチル−(2S)−[(モルホリン−4−カルボニル)−アミノ]−プロピオニルアミノ}−4−オキソ−酪酸;
3. (3S)−{3−シクロヘキシル−(2S)−(モルホリン−4−カルボニルオキシ)−プロピオニルアミノ}−4−オキソ−酪酸;
4. (3S)−[(2R)−シクロペンチルメチル−4−モルホリン−4−イル−4−オキソ−ブチリルアミノ]−4−オキソ−酪酸;
5. (3S)−[(1S)−シクロペンチルメチル−2−(5,6−ジクロロ−ベンゾイミダゾル−1−イル)−エトキシカルボニルアミノ]−4−オキソ−酪酸;
6. (3S)−{(2R)−シクロヘキシルメチル−4−モルホリン−4−イル−4−オキソ−ブチリルアミノ}−4−オキソ−酪酸;
7. (3S)−[3−シクロヘキシル−(2S)−(3−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−4−オキソ−酪酸;
8. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−(3−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロピオニルアミノ]−4−オキソ−酪酸;
9. (3S)−[3,3−ジメチル−(1S)−(モルホリン−4−カルボニル)−ブトキシカルボニルアミノ]−4−オキソ−酪酸;
10. (3S)−[2−シクロヘキシル−(1S)−(モルホリン−4−カルボニル)−エトキシカルボニルアミノ]−4−オキソ−酪酸;
11. (3S)−[(2S)−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−シクロ(cyco)ヘキシル−プロピオニルアミノ]−2−ベンジルオキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
12. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
13. (3S)−[(2S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4,4−ジメチル−ペンタノイルアミノ]−(2R)−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
14. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−(2R)−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
15. (3S)−(3−シクロヘキシル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
16. (3S)−[3−シクロヘキシル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−メトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
17. (3S)−[3−シクロヘキシル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
18. (3S)−((2S)−(3−シアノフェニル−カルボニルアミノ)−3−シクロペンチル−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
19. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−(シクロプロピルカルボニルアミノ)−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
20. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシカルボニルアミノ)−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
21. (3S)−(3−シクロプロピル−(2S)−(シクロプロピルカルボニルアミノ)−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
22. (3S)−((2S)−(シクロプロピルカルボニルアミノ)−4,4−ジメチル−ペンタノイルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
23. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
24. (3S)−(3−シクロペンチル−(2S)−(3−トリフルオロメチルフェニル−カルボニルアミノ)−プロピオニルアミノ)−4−オキソ−酪酸;
25. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−イソプロポキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;
26. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−シクロペントキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン;そして
27. (3S)−[3−シクロペンチル−(2S)−{[5−(3−フルオロ−フェニル)−フラン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオニルアミノ]−2−シクロペンチルメトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン
から成る群から選択されるメンバーである、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
カスパーゼを阻害しないものである、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
化合物の少なくとも1種のカスパーゼに対する阻害定数が、カテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも10倍大きい、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
化合物の少なくとも1種のカスパーゼに対する阻害定数が、カテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも100倍大きい、請求項13記載の化合物。
【請求項16】
化合物の少なくとも1種のカスパーゼに対する阻害定数が、カテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも1000倍大きい、請求項13記載の化合物。
【請求項17】
化合物の少なくとも1種のカスパーゼに対する阻害定数が、カテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも10,000倍大きい、請求項13記載の化合物。
【請求項18】
請求項1記載の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項19】
処置を必要とする哺乳動物におけるカテプシンS活性を選択的に阻害する方法であって、該哺乳動物に治療的有効量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項20】
式Iの化合物のカテプシンS阻害定数が10μM未満である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
式Iの化合物のカテプシンS阻害定数が1.0μM未満である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
式Iの化合物のカテプシンS阻害定数が0.1μM未満である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
カテプシンSが阻害されるが、カスパーゼが存在されない、請求項19記載の方法。
【請求項24】
化合物の少なくとも1種のカスパーゼに対する阻害定数が、カテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも10倍大きい、請求項23記載の方法。
【請求項25】
化合物の少なくとも1種のカスパーゼに対する阻害定数が、カテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも100倍大きい、請求項24記載の方法。
【請求項26】
化合物の少なくとも1種のカスパーゼに対する阻害定数が、カテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも1000倍大きい、請求項24記載の方法。
【請求項27】
化合物の少なくとも1種のカスパーゼに対する阻害定数が、カテプシンSに対する阻害定数よりも少なくとも10,000倍大きい、請求項24記載の方法。


【図1】
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【公表番号】特表2007−527411(P2007−527411A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536832(P2006−536832)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/035062
【国際公開番号】WO2005/039496
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】