説明

カメラ、および電子機器

【課題】バッテリの消費電力を低減させること。
【解決手段】制御装置104は、省電力モードに移行する際には、直近10枚の撮影時にユーザが使用した機能に基づいて、撮影時に使用可能な機能を制限して、バッテリの消費電力を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
次のようなデジタルカメラが知られている。このデジタルカメラは、バッテリの残量が少なくなると使用できる機能を制限して消費電力を抑える(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−236280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のデジタルカメラでは、バッテリの残量が少なくなると使用できる機能を一義的に制限してしまうため、ユーザが使用する可能性が高い機能も制限されてしまう可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるカメラは、バッテリの電力を供給する電力供給手段と、過去の撮影時にユーザが使用した機能に関する情報を取得する情報取得手段と、情報取得手段によって取得された情報に基づいて、撮影時に使用可能な機能を制限して、バッテリの消費電力を低減させる機能制限手段とを備えることを特徴とする。
本発明では、機能制限手段によって使用が制限された機能をモニタに一覧表示する第1の制限機能通知手段をさらに備えるようにしてもよい。
ユーザが機能制限手段によって制限された機能を使用するための操作を行ったときに、その機能は使用が制限されていることを通知する第2の制限機能通知手段をさらに備えるようにしてもよい。
機能制限手段によって使用可能な機能が制限されているときに、ユーザからの指示に基づいて制限を解除する制限解除手段をさらに備えるようにしてもよい。
機能制限手段は、制限解除手段によって制限が解除された後にユーザが撮影を行なった場合には、再度、機能を制限するようにしてもよい。
機能制限手段は、過去に撮影された所定枚数の画像に基づく第1の機能制限、および過去の所定時間内に撮影された画像に基づく第2の機能制限の少なくとも一方を行なうようにしてもよい。
機能制限手段によって使用可能な機能が制限される際に、制限される前の機能の設定情報を保存する設定情報保存手段と、機能制限手段によって使用可能な機能が制限された後に、機能を解除するための所定の条件を満たした場合には、制限を解除するとともに、設定情報保存手段によって保存された設定情報に基づいて、制限される前の機能の設定状況に復帰させる機能復帰手段とをさらに備えるようにしてもよい。
本発明による電子機器は、バッテリの電力を供給する電力供給手段と、ユーザによる過去の機能の使用状況に関する情報を取得する情報取得手段と、情報取得手段によって取得された情報に基づいて、使用可能な機能を制限して、バッテリの消費電力を低減させる機能制限手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、バッテリの消費電力を抑えるとともに、ユーザが使用する可能性が高い機能が制限されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】カメラ100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】省電力化処理の流れを示すフローチャート図である。
【図3】機能制限処理の流れを示すフローチャート図である。
【図4】制限された機能のアイコンの表示例を示す図である。
【図5】使用者への制限された機能の通知例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施の形態におけるカメラの一実施の形態の構成を示すブロック図である。カメラ100は、操作部材101と、レンズ102と、撮像素子103と、制御装置104と、メモリカードスロット105と、モニタ106と、電源回路107とを備えている。操作部材101は、使用者によって操作される種々の入力部材、例えば電源ボタン、レリーズボタン、ズームボタン、十字キー、決定ボタン、再生ボタン、削除ボタンなどを含んでいる。
【0009】
レンズ102は、複数の光学レンズから構成されるが、図1では代表して1枚のレンズで表している。レンズ102を構成するレンズには、ズーム倍率を変更するためのズームレンズや、焦点調節を行うための焦点調節用レンズ(AFレンズ)等が含まれる。撮像素子103は、例えばCCDやCMOSなどのイメージセンサーであり、レンズ102により結像した被写体像を撮像する。そして、撮像によって得られた画像信号を制御装置104へ出力する。
【0010】
制御装置104は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路により構成され、カメラ100を制御する。なお、制御装置104を構成するメモリには、SDRAMやフラッシュメモリが含まれる。SDRAMは、揮発性のメモリであって、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリとして使用されたり、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、フラッシュメモリは、不揮発性のメモリであって、制御装置104が実行するプログラムのデータや、プログラム実行時に読み込まれる種々のパラメータなどが記録されている。
【0011】
本実施の形態では、制御装置104は、撮像素子103から入力された画像信号に基づいて所定の画像形式、例えばJPEG形式の画像データ(以下、「本画像データ」と呼ぶ)を生成する。また、制御装置104は、生成した画像データに基づいて、表示用画像データ、例えばサムネイル画像データを生成する。制御装置104は、生成した本画像データとサムネイル画像データとを含み、さらにヘッダ情報を付加した画像ファイルを生成してメモリカードスロット105へ出力する。なお、ヘッダ情報は、例えばExif情報であり、画像の撮影日時に関する情報や、撮影時に使用された機能に関する情報等が記録される。
【0012】
メモリカードスロット105は、記憶媒体としてのメモリカードを挿入するためのスロットであり、制御装置104から出力された画像ファイルをメモリカードに書き込んで記録する。また、メモリカードスロット105は、制御装置104からの指示に基づいて、メモリカード内に記憶されている画像ファイルを読み込む。
【0013】
モニタ106は、カメラ100の背面に搭載された液晶モニタ(背面モニタ)であり、当該モニタ106には、メモリカードに記憶されている画像やカメラ100を設定するための設定メニューなどが表示される。また、制御装置104は、使用者によってカメラ100のモードが撮影モードに設定されると、撮像素子103から時系列で取得した画像の表示用画像データをモニタ106に出力する。これによってモニタ106にはスルー画が表示される。電源回路107は、不図示のバッテリ(電池)から供給される電力を、カメラ100の各部に供給する。
【0014】
本実施の形態におけるカメラ100は、バッテリの消費電力を低減させるための省電力モードを備えている。制御装置104は、使用者によって省電力モードがオンに設定された場合には、バッテリの残量を定期的にチェックする。そして、制御装置104は、バッテリの残量が所定の閾値未満、例えば全容量の10%未満になったときに省電力モードに移行して撮影時に使用可能な機能を制限することによって、バッテリの消費電力を低減させる。
【0015】
このように省電力モードに移行して撮影時に使用可能な機能を制限するに当たって、あらかじめ決められた機能の使用を一義的に制限してしまうと、使用者が撮影時に使用する可能性が高い機能も制限されてしまう可能性があり問題がある。そこで、本実施の形態では、制御装置104は、使用者が直近に撮影した複数枚、例えば10枚の画像の画像ファイルからヘッダ情報(例えばExif情報)を読み出し、使用者が撮影時に使用した機能を特定する。そして、制御装置104は、省電力モードへの移行時に、制限対象の機能のうち、使用者が直近10枚の撮影時に使用した機能については制限を行なわず、それ以外の機能について使用を制限する。これによって、省電力モードへ移行した場合でも、使用者による過去の機能の使用状況に基づいて、使用者が使用する可能性が高い機能はそのまま使用できるようにすることができる。
【0016】
例えば、本実施の形態では、省電力モード移行時には、光学ズーム、顔認識、被写体の動き検知、手ブレ補正、撮影シーンの自動判定、連写、フラッシュ発光、AF(オートフォーカス)補助光の発光、撮影画像に対する画像処理、撮影画像のモニタ106への表示の各機能が制限の対象となる。そして、制御装置104は、省電力モード移行時には、これらの制限対象機能のうち、使用者が直近10枚の撮影時に使用した機能以外の機能を使用できないようにして、省電力化を図る。また、制御装置104は、画像サイズを直近10枚の撮影時に設定された画像サイズのうち最小の画像サイズに設定し、スルー画表示のフレームレートを低フレームレート、例えば10fpsに低下させることによって省電力を図る。さらに、制御装置104は、操作音を消し、撮影後の確認画像の表示をオフにし、モニタ106の画面の明るさを低下させる(例えば明るさを最小にする)ことによっても省電力を図る。
【0017】
図2は、本実施の形態における省電力化処理の流れを示すフローチャートである。図2に示す処理は、使用者によって省電力モードがオンに設定されると起動するプログラムとして、制御装置104によって実行される。なお、図2に示す処理を実行するためのプログラムデータは、制御装置104が備えるフラッシュメモリに格納されている。
【0018】
ステップS10において、制御装置104は、直近10枚の撮影画像ファイルからExif情報を読み出して、ステップS20へ進む。ステップS20では、制御装置104は、バッテリの残量が所定の閾値、例えば全容量の10%より少なくなったか否かを判断する。ステップS20で否定判断した場合には、ステップS30へ進む。
【0019】
ステップS30では、制御装置104は、使用者によって省電力モードの設定がオフにされたか否かを判断する。ステップS30で否定判断した場合には、ステップS20へ戻る。これに対して、ステップS30で肯定判断した場合には、処理を終了する。
【0020】
一方、ステップS20で肯定判断した場合には、ステップS40へ進む。ステップS40では、制御装置104は、現在のカメラ100の設定内容を示す設定情報をバッファメモリに保存して、カメラ100のモードを省電力モードへ移行させる。具体的には、制御装置104は、省電力モード移行時に機能制限を行なう設定項目について、現在の設定値をバッファメモリに記録する。これによって、後述する省電力モードからの復帰時に機能制限を解除するに当たって、カメラ100の設定を省電力モード移行前の機能の設定状況に復帰させることが可能となる。
【0021】
その後、ステップS50へ進み、制御装置104は、図3で後述する機能制限処理を実行して、省電力モードへの移行に伴う機能制限を行い、カメラ100の省電力化を図る。その後、ステップS60へ進む。ステップS60では、制御装置104は、省電力モードの解除条件が成立したか否か、すなわちカメラ100のモードを省電力モードから通常のモードへ復帰するための条件を満たしたか否かを判断する。本実施の形態では、例えば、制御装置104は、使用者によって省電力モードから通常のモードへ復帰するように指示された場合、またはバッテリが充電されたことによって、バッテリの残量が所定の閾値(例えば10%)以上になったときに、省電力モードの解除条件が成立したと判断する。
【0022】
ステップS60で肯定判断した場合には、ステップS70へ進み、制御装置104は、省電力モードへの移行に伴って制限した機能の使用制限を解除する。このとき、制御装置104は、ステップS40でバッファメモリに保存しておいた省電力モード移行前の設定値を読み出して、カメラ100の設定を省電力モード移行前の状態に戻す。その後、ステップS80へ進み、制御装置104は、省電力モードを終了して、カメラ100のモードを通常のモードに戻し、処理を終了する。
【0023】
次に、ステップS50で実行される機能制限処理について、図3を用いて説明する。ステップS110において、制御装置104は、図2のステップS10でバッファメモリに記録した直近10枚の撮影画像のExif情報(以下、「直近10枚のExif情報」と呼ぶ)をバッファメモリから読み出して、ステップS120へ進む。
【0024】
ステップS120では、直近10枚のExif情報に基づいて、直近10枚の撮影画像の中に撮影時に光学ズームが使用された画像が含まれているか否かを判断する。ステップS120で否定判断した場合には、ステップS130へ進む。ステップS130では、制御装置104は、光学ズームをオフに設定して、省電力モード中の光学ズームの使用を制限し、ステップS140へ進む。これに対して、ステップS120で肯定判断した場合には、ステップS140へ進む。
【0025】
ステップS140では、制御装置104は、直近10枚のExif情報に基づいて、直近10枚の撮影画像の中に撮影時に顔認識が行われた画像が含まれているか否かを判断する。ステップS140で否定判断した場合には、ステップS150へ進む。ステップS150では、制御装置104は、顔認識機能をオフに設定して、省電力モード中の顔認識機能の使用を制限し、ステップS160へ進む。これに対して、ステップS140で肯定判断した場合には、ステップS160へ進む。
【0026】
ステップS160では、制御装置104は、直近10枚のExif情報に基づいて、直近10枚の撮影画像の中に撮影時に被写体の動き検知が行われた画像が含まれているか否かを判断する。ステップS160で否定判断した場合には、ステップS170へ進む。ステップS170では、制御装置104は、動き検知機能をオフに設定して、省電力モード中の動き検知機能の使用を制限し、ステップS180へ進む。これに対して、ステップS160で肯定判断した場合には、ステップS180へ進む。
【0027】
ステップS180では、制御装置104は、直近10枚のExif情報に基づいて、直近10枚の撮影画像の中に撮影時に手ブレ補正が行われた画像が含まれているか否かを判断する。ステップS180で否定判断した場合には、ステップS190へ進む。ステップS190では、制御装置104は、手ブレ補正機能をオフに設定して、省電力モード中の手ブレ補正機能の使用を制限し、ステップS200へ進む。これに対して、ステップS180で肯定判断した場合には、ステップS200へ進む。
【0028】
ステップS200では、制御装置104は、直近10枚のExif情報に基づいて、直近10枚の撮影画像の中に撮影時に自動シーン判定が行われた画像が含まれているか否かを判断する。ステップS200で否定判断した場合には、ステップS210へ進む。ステップS210では、制御装置104は、自動シーン判定機能をオフに設定して、省電力モード中の自動シーン判定機能の使用を制限し、ステップS220へ進む。これに対して、ステップS200で肯定判断した場合には、ステップS220へ進む。ステップS220では、制御装置104は、画像サイズを直近10枚の撮影時に設定された画像サイズのうち最小の画像サイズに設定して、ステップS230へ進む。
【0029】
ステップS230では、制御装置104は、直近10枚のExif情報に基づいて、直近10枚の撮影画像の中に連写撮影が行われた画像が含まれているか否かを判断する。ステップS230で否定判断した場合には、ステップS240へ進む。ステップS240では、制御装置104は、連写機能をオフに設定して、省電力モード中の連写機能の使用を制限し、ステップS250へ進む。これに対して、ステップS230で肯定判断した場合には、ステップS250へ進む。ステップS250では、制御装置104は、スルー画表示のフレームレートを低フレームレート、例えば10fpsに低下させて、ステップS260へ進む。
【0030】
ステップS260では、制御装置104は、直近10枚のExif情報に基づいて、直近10枚の撮影画像の中に撮影時にフラッシュ発光が行われた画像が含まれているか否かを判断する。ステップS260で否定判断した場合には、ステップS270へ進む。ステップS270では、制御装置104は、フラッシュをオフに設定して、省電力モード中のフラッシュの発光を制限し、ステップS280へ進む。これに対して、ステップS260で肯定判断した場合には、ステップS280へ進む。
【0031】
ステップS280では、制御装置104は、直近10枚のExif情報に基づいて、直近10枚の撮影画像の中に撮影時にAF補助光の発光が行われた画像が含まれているか否かを判断する。ステップS280で否定判断した場合には、ステップS290へ進む。ステップS290では、制御装置104は、AF補助光をオフに設定して、省電力モード中のAF補助光の発光を制限し、ステップS300へ進む。これに対して、ステップS280で肯定判断した場合には、ステップS300へ進む。
【0032】
ステップS300では、制御装置104は、操作音をオフに設定して、ステップS310へ進む。ステップS310では、制御装置104は、撮影後の確認画像の表示をオフに設定して、ステップS320へ進む。ステップS320では、制御装置104は、モニタ106の画面の明るさを最小に設定して、ステップS330へ進む。
【0033】
ステップS330では、制御装置104は、直近10枚のExif情報に基づいて、直近10枚の撮影画像の中に撮影画像に対する画像処理、例えば明るさ補正処理等が施された画像が含まれているか否かを判断する。ステップS330で否定判断した場合には、ステップS340へ進む。ステップS340では、制御装置104は、撮影画像に対する画像処理機能をオフに設定して、省電力モード中の画像処理機能の使用を制限し、ステップS350へ進む。これに対して、ステップS330で肯定判断した場合には、ステップS350へ進む。
【0034】
ステップS350では、制御装置104は、上述した処理によってどの機能の使用が制限されたかを使用者に通知するために、オフした機能の内容を示すアイコンをモニタ106に表示した後、処理を終了する。以下、表示されるアイコンの一例を図4に示す。なお、以下に示すアイコンは、例えば、モニタ106に表示されている画面上の左側に縦に並べて配置される。これにより、スルー画等の視認性を低下させることなく、使用が制限されている機能を使用者に通知することができる。
【0035】
制御装置104は、光学ズームの使用を制限した場合には、図4(a)のような光学ズームを示すアイコンをモニタ106上に表示することによって、使用者に対して光学ズームの使用が制限されたことを通知する。制御装置104は、被写体の動き検知機能の使用を制限した場合には、図4(b)のような動き検知を示すアイコンをモニタ106上に表示することによって、使用者に対して動き検知機能の使用が制限されたことを通知する。
【0036】
制御装置104は、手ブレ補正機能の使用を制限した場合には、図4(c)のような手ブレ補正を示すアイコンをモニタ106上に表示することによって、使用者に対して手ブレ補正機能の使用が制限されたことを通知する。制御装置104は、自動シーン判定機能の使用を制限した場合には、図4(d)のような自動シーン判定を示すアイコンをモニタ106上に表示することによって、使用者に対して自動シーン判定機能の使用が制限されたことを通知する。
【0037】
制御装置104は、連写機能の使用を制限した場合には、図4(e)のような連写を示すアイコンをモニタ106上に表示することによって、使用者に対して連写機能の使用が制限されたことを通知する。制御装置104は、フラッシュの発光を制限した場合には、図4(f)のようなフラッシュ発光を示すアイコンをモニタ106上に表示することによって、使用者に対してフラッシュの発光が制限されたことを通知する。
【0038】
制御装置104は、操作音をオフに設定した場合には、図4(g)のような操作音を示すアイコンをモニタ106上に表示することによって、使用者に対して操作音がオフに設定されたことを通知する。制御装置104は、撮影画像に対する画像処理機能の使用を制限した場合には、図4(h)や図4(i)のような画像処理の内容を示すアイコンをモニタ106上に表示することによって、使用者に対して撮影画像に対する画像処理機能の使用が制限されたことを通知する。なお、図4(h)は、人物の肌をなめらかに補正するための画像処理を示すアイコンであり、図4(i)は、撮影画像内の暗い部分を明るく補正するための画像処理を示すアイコンである。
【0039】
本実施の形態におけるパソコン100では、省電力モードに移行した後に使用が制限されている機能を使用者が使用しようとした場合には、制御装置104は、その機能は使用が制限されていることを使用者に通知する。例えば、制御装置104は、光学ズームの使用制限時に使用者が操作部材101に含まれるズームボタンを操作したとき、フラッシュの発光制限時に使用者が操作部材101に含まれるレリーズボタンを半押しし、そのときの被写体輝度がフラッシュ発光条件となる閾値以下のとき、またはAF補助光の発光制限時に使用者が操作部材101に含まれるレリーズボタンを半押しし、そのときの被写体輝度がAF補助光発光条件となる閾値以下のときに通知を行なうものとする。
【0040】
具体的には、制御装置104は、図5(a)に示すようなメッセージ画面をモニタ106に表示することによって、使用者に光学ズームの使用が制限されていることを通知する。また、図5(b)に示すようなメッセージ画面をモニタ106に表示することによって、使用者にフラッシュの発光が制限されていることを通知する。また、図5(c)に示すようなメッセージ画面をモニタ106に表示することによって、使用者にAF補助光の発光が制限されていることを通知する。
【0041】
なお、本実施の形態では、機能制限時に使用者は一時的に制限の解除を行なうことができるものとする。例えば、図5に示すように、制御装置104は、機能の使用が制限されていることを通知するためのメッセージとともに、機能の使用制限を解除するか否かを問い合わせるメッセージを表示しておき、使用者によって「はい」5aが選択された場合には、一時的にその機能の使用制限を解除する。一方、使用者によって「いいえ」5bが選択された場合には、制御装置104は、そのまま機能制限を継続する。
【0042】
すなわち、図5(a)に示す画面で使用者によって「はい」5aが選択された場合には、制御装置104は、光学ズームの使用制限を一時的に解除して、使用者が撮影時に光学ズームを使用できるようにする。また、図5(b)に示す画面で使用者によって「はい」5aが選択された場合には、制御装置104は、フラッシュの発光制限を一時的に解除して、撮影時にフラッシュを発光できるようにする。また、図5(c)に示す画面で使用者によって「はい」5aが選択された場合には、制御装置104は、AF補助光の発光制限を一時的に解除して、撮影時にAF補助光を発光できるようにする。
【0043】
なお、本実施の形態におけるカメラ100では、使用者の利便性を考慮して、光学ズーム、顔検出、動き検知、連写、フラッシュの発光、AF補助光の発光、および撮影画像に対する画像処理の各機能について、使用制限の一時解除が可能となっている。すなわち、これらの機能は、省電力化の観点からは使用を制限することが好ましいが、高画質な画像を撮影するために必要となる場合もあるので、これらの機能の一時解除を認めることで、使用者の利便性を向上させることができる。
【0044】
制御装置104は、使用者からの指示に基づいて機能制限を一時的に解除した場合には、その後、使用者が撮影を終えた後に再びその機能の使用を制限する。これによって、一時的に使用制限を解除して利便性を向上させるとともに、撮影後には再び機能の使用を制限して省電力化を図ることができる。
【0045】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)制御装置104は、省電力モードに移行する際には、直近10枚の撮影時にユーザが使用した機能に基づいて、撮影時に使用可能な機能を制限して、バッテリの消費電力を低減させるようにした。これによって、バッテリの消費電力を抑えるとともに、撮影時に使用者が使用する可能性がある機能が使用できなくなることを防ぐことができる。
【0046】
(2)制御装置104は、省電力モードへの移行に伴って使用が制限された機能を示すアイコンをモニタ106に一覧表示するようにした。これによって、使用者は、使用が制限された機能を把握することができる。
【0047】
(3)制御装置104は、省電力モード中に、使用が制限されている機能を使用するための操作を使用者が行った場合には、図5に示すような画面を表示して、その機能は使用が制限されている旨を通知するようにした。これによって、使用者は、使用しようとしている機能が制限されていることを把握することができる。
【0048】
(4)制御装置104は、省電力モード中に、使用者からの指示に基づいて機能の使用制限を一時的に解除するようにした。これによって、使用者の利便性を向上させることができる。
【0049】
(5)制御装置104は、省電力モード中に機能の使用制限を一時的に解除した後に使用者が撮影を行なった場合には、再度、その機能の使用を制限するようにした。これによって、使用者の利便性を向上させつつ、省電力化を図ることができる。
【0050】
(6)制御装置104は、省電力モードへ移行する際に、予め機能を制限する前の機能の設定情報をバッファメモリに保存しておき、省電力モードから通常のモードへ復帰する際には、機能の使用制限を解除するとともに、保存しておいた情報に基づいて、カメラ100の機能の設定を省電力モード移行前の設定状況に復帰させるようにした。これによって、使用者は、省電力モードからの復帰後は、以前の設定状態でカメラ100を使用することができるため、使用者の利便性が向上する。
【0051】
―変形例―
なお、上述した実施の形態のカメラは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、制御装置104は、省電力モードに移行した後に使用が制限されている機能を使用者が使用しようとした場合には、図5に示したように、その機能は使用が制限されていることを使用者に通知するとともに、機能制限を一時的に解除するか否かを使用者に確認するようにした。そして、使用者によって画面上で「はい」5aが選択された場合に一時的にその機能の使用制限を解除するようにした。しかしながら、制御装置104は、電力モードに移行した後に使用が制限されている機能を使用者が使用しようとした場合には、使用が制限されている旨のメッセージのみを表示するようにして、その後、使用者が一定時間以上操作ボタン101の操作を継続した場合に、その機能の使用制限を解除してもよい。例えば、光学ズームの使用が制限されているときに使用者がズームボタンを操作した場合には、制御装置104は、「省電力モードのため、ズームボタンは使用できません。」のようなメッセージを画面に表示する。そして、使用者がそのままズームボタンを長押しした場合には、光学ズームの使用を一時的に解除するようにしてもよい。
【0052】
(2)上述した実施の形態では、制御装置104は、省電力モードへの移行に伴って機能制限を行なった場合には、図4に示したように、オフした機能の内容を示すアイコンを表示することによって、どの機能の使用が制限されたかを使用者に通知するようにした。しかしながら、図4に示した各アイコンを赤い斜線を付すことによって、その機能の使用が禁止されていることを示すようにしてもよい。
【0053】
(3)上述した実施の形態では、省電力モード移行時には、光学ズーム、顔認識、被写体の動き検知、手ブレ補正、撮影シーンの自動判定、連写、フラッシュ発光、AF補助光の発光、撮影画像に対する画像処理、撮影画像のモニタ106への表示の各機能を制限の対象としたが、これに限定されず、少なくとも上記各機能の1つを対象とすればよい。また、上記各機能以外の撮影時に使用される機能を制限の対象としてもよい。
【0054】
(4)上述した実施の形態では、制御装置104は、図3のステップS230及びS240において、直近10枚の撮影画像の中に連写撮影が行われた画像が含まれている場合に連写機能を制限しないようにした。しかしながら、直近10枚の撮影画像の中に実際に連写撮影が行なわれた画像が含まれていなくても、カメラ100を連写モードに設定した状態で撮影された画像が含まれている場合には、連写機能を制限しないようにしてもよい。
【0055】
(5)上述した実施の形態では、制御装置104は、省電力モードへの移行に伴ってフラッシュの発光を制限した場合には、省電力モードが終了するか、あるいは図5に示した画面上で制限が一時的に解除されるまで、フラッシュの発光を行なわない例について説明した。しかしながら、例えば、カメラ100がシーンモードを搭載しており、設定されているシーンモードが撮影時にフラッシュの発光を要するモードである場合には、フラッシュの発光制限を解除するようにしてもよい。一例としては、シーンモードとして、夜景をバックに人物を撮影したいときに設定される夜景ポートレートモードが設定されたときには、フラッシュの発光制限を解除して撮影時にフラッシュを発光させるようにしてもよい。
【0056】
(6)上述した実施の形態では、制御装置104は、使用者が直近に撮影した複数枚、例えば10枚の画像に基づいて使用者が撮影時に使用した機能を特定するようにした。そして、省電力モードへの移行時には、これに基づいて使用者が撮影時に使用する可能性が高い機能は制限せず、使用者が撮影時に使用する可能性が低い機能を制限する例について説明した。しかしながら、制御装置104は、過去の所定時間以内、例えば1時間以内に撮影された画像に基づいて、使用者が撮影時に使用した機能を特定して、機能制限を行うようにしてもよい。これによって、使用者が過去1時間の間に使用した機能は、再び使用される可能性が高いことを加味して、使用者が撮影時に使用する可能性が低い機能を的確に制限することが可能となる。
【0057】
なお、この方法は、上述した全ての制限対象機能について行なってもよいが、特に撮影時間帯に影響を受け易い機能について行なうと効果的である。例えば、フラッシュやAF補助光は周囲が暗い場合に発光されることから、過去1時間以内にフラッシュやAF補助光を発光した場合には、現在もこれらの発光を要する可能性が高い。よって、制御装置104は、このような撮影する時間帯に影響を受け易い機能については過去の所定時間内に撮影された画像に基づいて使用者が撮影時に使用した機能を特定し、それ以外の機能については使用者が直近に撮影した複数枚の画像に基づいて使用者が撮影時に使用した機能を特定するようにしてもよい。これによって、各機能ごとに、使用者が撮影時に使用する可能性が高いか否かを精度高く判定することが可能となる。
【0058】
(7)上述した実施の形態では、本発明をカメラに適用する例について説明した。しかしながら、バッテリにより駆動し、省電力モードを備える他の電子機器、例えば携帯情報端末等にも本発明は適用可能である。
【0059】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
100 カメラ、101 操作部材、102 レンズ、103 撮像素子、104 制御装置、105 メモリカードスロット、106 モニタ、107 電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの電力を供給する電力供給手段と、
過去の撮影時にユーザが使用した機能に関する情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得された情報に基づいて、撮影時に使用可能な機能を制限して、前記バッテリの消費電力を低減させる機能制限手段とを備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記機能制限手段によって使用が制限された機能をモニタに一覧表示する第1の制限機能通知手段をさらに備えることを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカメラにおいて、
ユーザが前記機能制限手段によって制限された機能を使用するための操作を行ったときに、その機能は使用が制限されていることを通知する第2の制限機能通知手段をさらに備えることを特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のカメラにおいて、
前記機能制限手段によって使用可能な機能が制限されているときに、ユーザからの指示に基づいて制限を解除する制限解除手段をさらに備えることを特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項4に記載のカメラにおいて、
前記機能制限手段は、前記制限解除手段によって制限が解除された後にユーザが撮影を行なった場合には、再度、機能を制限することを特徴とするカメラ。
【請求項6】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記機能制限手段は、過去に撮影された所定枚数の画像に基づく第1の機能制限、および過去の所定時間内に撮影された画像に基づく第2の機能制限の少なくとも一方を行なうことを特徴とするカメラ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のカメラにおいて、
前記機能制限手段によって使用可能な機能が制限される際に、制限される前の機能の設定情報を保存する設定情報保存手段と、
前記機能制限手段によって使用可能な機能が制限された後に、機能を解除するための所定の条件を満たした場合には、制限を解除するとともに、前記設定情報保存手段によって保存された前記設定情報に基づいて、制限される前の機能の設定状況に復帰させる機能復帰手段とをさらに備えることを特徴とするカメラ。
【請求項8】
バッテリの電力を供給する電力供給手段と、
ユーザによる過去の機能の使用状況に関する情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得された情報に基づいて、使用可能な機能を制限して、前記バッテリの消費電力を低減させる機能制限手段とを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−151462(P2011−151462A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8993(P2010−8993)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】