説明

カメラレンズアッセンブリ

【課題】コンパクトな構造を有すると同時に高度な結像品質を保証するカメラレンズアッセンブリを提供する。
【解決手段】物体側から、第1の正メニスカスレンズ110、第2の負メニスカスレンズ116、第3の正レンズ122、第4の両凸レンズ128、第5の負レンズ132の順序で配置され、第1の正メニスカスレンズ110の凹面112は物体側とは反対側で、第2の負メニスカスレンズ116の物体側の面114は凹面で、かつ第2の負レンズ116の物体側の面114の曲率半径はレンズの結像側の面118よりも小さく、第3の正レンズ122の結像側の面124は凸面で、第3の正レンズの物体側の面120の曲率半径はレンズの結像側の面124よりも大きく、第5の負レンズ132の物体側の面130の曲率半径はレンズの結像側の面134よりも小さく、さらに第4の両凸レンズ128と第5の負レンズ132とは接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
空気力学上の理由から、自動車のサイドミラーを、このサイドミラーの視野をカバーするカメラによって代替することが行われている。そのためには、コンパクトかつ堅牢なカメラが必要である。ただし、これらのカメラは、小型化の要求だけでなく、自動車分野で求められる、震動、温度変動、引掻き強度等に関する極端な要求を満たす必要がある。
【背景技術】
【0002】
コンパクトなカメラレンズアッセンブリについては数多くの提案がなされている(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6)。ただし、これらのうちいくつかは、コンパクトな構造と同時にそれぞれ所望の結像品質の要求を満たすために、極端な非球面レンズあるいは自由曲面レンズを使用している。それゆえこれらは一般的に要求される条件、特に製造コストに関する条件を満たしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,826,151号明細書
【特許文献2】米国特許第7,710,665号明細書
【特許文献3】米国特許第7,054,076号明細書
【特許文献4】米国特許第7,050,245号明細書
【特許文献5】米国特許第6,023,375号明細書
【特許文献6】米国特許第5,636,067号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、自動車分野で使用するための、非常にコンパクトな構造を有すると同時に高度な結像品質を保証するカメラレンズアッセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明による、物体を結像させるためのカメラレンズアッセンブリは、物体側から開始して下記の順序で、つまり、
a)第1の正メニスカスレンズ、
b)第2の負メニスカスレンズ、
c)第3の正レンズ、
d)第4の両凸レンズ、
e)第5の負レンズ、
の順序でレンズが配置され、前記以外のレンズは備えられていない。その際、前記第1の正メニスカスレンズの凹面は物体側とは反対側に位置している。また、前記第2の負メニスカスレンズの物体側の面は凹面であり、かつ前記第2の負レンズの前記物体側の面の曲率半径の値は該レンズの結像側の面の曲率半径の値よりも小さい。加えて、前記第3の正レンズの結像側の面は凸面であり、かつ前記第3の正レンズの物体側の面の曲率半径の値は該レンズの結像側の面の曲率半径の値よりも大きく、前記第5の負レンズの物体側の面の曲率半径の値は該レンズの結像側の面の曲率半径の値よりも小さい。さらには、前記第4の両凸レンズと前記第5の負レンズとはそれぞれ互いに接合されている。
【0006】
前記第2のレンズと第3のレンズは、本発明によるカメラレンズアッセンブリの多くの実施形態においてメニスカスレンズであるが、一部の実施形態において、両凹レンズないし両凸レンズが使用されている。
【0007】
第5の負レンズは両側が凸面のメニスカスレンズとして形成されてもよいし、両凹レンズとして形成されてもよい。
【0008】
前記カメラレンズアッセンブリの最も大きな光学的作用を有する光学面は前記第2のレンズの物体側の凹面であり、これは最も強い曲率を有し、したがって、その強い屈折効果によって前記カメラレンズアッセンブリの性能全体に最も大きな影響を及ぼす。
【0009】
前記第1のレンズの前方物体側には、風雨がもたらす悪影響、例えば石礫等の衝突や間接的な衝撃から前記カメラレンズアッセンブリを保護するために、MRCコーティング(MRC−“Multi resistant coating”)の施された保護ガラスが配置されてもよい。
【0010】
本発明によるカメラレンズアッセンブリでは、レンズの数が少なく、それゆえ、非常にコンパクトな設計であるにもかかわらず、高い口径比と共に高い照度が可能であることが特徴の1つである。1.2までの口径比が本発明のカメラレンズアッセンブリで実現可能であり、これは本発明の好適な実施形態の1つである。
【0011】
前記口径比に関して、そのような好適実施形態のカメラレンズアッセンブリは卓越した結像特性を有している。像面の曲がりはほぼあらゆる波長につき、サジタル方向ならびに接線方向のいずれについても像面端縁で0.2mm以下である。縦の色収差は、可視スペクトル全体の幅にわたって、像中心にて0.03mmである。
【0012】
カメラレンズアッセンブリの開口比が1.4に低下される場合、像面の曲がりはすべての色につき、サジタル方向ならびに接線方向のいずれについても像面端縁で0.12mm以下に減少させることが可能である。
【0013】
非常にコンパクトな設計ならびに堅牢性によって、本発明のカメラレンズアッセンブリは、たとえば自動車のサイドミラーの代替装備として使用するのに非常に好適である。
【0014】
本発明によるカメラレンズアッセンブリにおいて、前記第3の正レンズの前記物体側の面は非球面として形成されているのが好適である。これによって、特に、カメラレンズアッセンブリの球面収差の補正がもたらされる。
【0015】
同じく、前記第5の負レンズの前記結像側の面も非球面として形成されているのが有利である。これによって、像面湾曲の低下がもたらされる。
【0016】
全体的な収差をできるだけ小さくするために、レンズ面の曲率をできるだけ均一に保つことが望ましい。したがって、本発明の好適実施形態におけるカメラレンズアッセンブリのすべてのレンズは高屈折率ガラスからなっている。そのため、好ましくは、カメラレンズアッセンブリのすべてのレンズの屈折率の算術平均は1.8以上の値を有している。この場合、前記屈折率はそれぞれ波長587.56nmに対する屈折率である。
【0017】
好ましくは、前記第2の負レンズと前記第3の正レンズの間に、絞りが配置される。この好適な実施形態でのカメラレンズアッセンブリにおいて採用された、前記第2の負レンズと前記第3の正レンズの間の絞りの位置は、像面のほぼ均一な照明にとって特に好都合である。
【0018】
さらに好適な実施形態として、前記絞りは複数枚のブレードを有する虹彩絞りとすることが好都合である。その際、これらのブレードは通例のように、光不透過性材料から形成されるとよい。また、前記ブレードのうちの少なくとも1枚は前記光不透過性材料に設けられた切り欠きを有し、閉ブレードとして機能する。前記切り欠きは減光フィルタによって被覆されるとよい。さらに、前記閉ブレード用のガイドが形成されて、該閉ブレードは前記のその他のブレードによる絞りの実施後になお残存する絞り開口を完全に覆うことができるようにガイドされるとよい。また、絞りの実施後になお残存する絞り開口が前記閉ブレードによって覆われる際に前記減光フィルタが当該残存絞り開口内に進入し、つまり、当該残存絞り開口を覆うように、前記切り欠きの形態および位置を選択することも好都合である。
【0019】
好ましくは、前記ブレードを製造するための光不透過性材料としては、一般に、黒潤滑塗料でコートされた鋼薄板が使用される。
【0020】
前記閉ブレードは、前記絞り構造を採用した場合、最上部または最下部のブレードとして配置されるとよい。なぜなら、そうしない場合、接着載設された減光フィルタがその他のブレードと空間的にぶつかり合ってしまうことが考えられるからである。
【0021】
前記絞りの構造は、該絞りの最も外側の2枚のブレードが減光フィルタによって覆われた切り欠きを有する閉ブレードとして形成されることも好都合である。
前記虹彩絞りのブレードの物理的効果は、たとえば、1.2〜13.5の絞り値をつくり出す。さらに加えて設けられている前記減光フィルタは、たとえば前記閉ブレードに(瞬間接着剤によって)接着されるフィルム材料からなっていてよい。たとえば2〜6の光学密度を有する前記減光フィルタの付加的な進入運動によって、360以上の本カメラレンズアッセンブリの総絞り値の達成が可能である。前記絞りは一般に対称的に形成されており、モータ駆動され、カメラによって制御される。
【0022】
本カメラレンズアッセンブリの構造寸法は以下の条件つまり
高さ 34.0mm以下、
幅 34.0mm以下、
長さ 41.0mm以下
を満たすことができ、それゆえに、このカメラレンズアッセンブリは非常に狭小な空間に取り付けることができる。
【0023】
その他の詳細ならびに特徴は、従属請求項の記載ならびにそれと関連した好ましい実施例の下記説明から判明するとおりである。その際、それぞれの特徴は単独でもあるいは複数の互いに組み合わされた特徴として実現されていてよい。本願明細書記載の課題を達成する形態は上述した実施形態に限定されるものではない。それゆえ、たとえば範囲の記載は常に(必ずしも挙示されていない)すべての中間値ならびに思量可能なあらゆる部分範囲をも含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】1.2/10mmカメラレンズアッセンブリのレンズ配置の概略図である。
【図2】図1に示した10mmカメラレンズアッセンブリの相対照度を示す図である。
【図3】1.4/14mmカメラレンズアッセンブリのレンズ配置の概略図である。
【図4】図3に示した14mmカメラレンズアッセンブリの相対照度を示す図である。
【図5】NDフィルタを有する絞りの(概略的)分解図である。
【図6】絞りブレードの概略図である。
【図7】NDフィルタを有する絞りブレード(閉ブレード)の概略図である。
【図8】(物体側から見た)絞りの(概略的)平面図である
【図9】絞りの断面図(概略的な縦断面図)である。
【図10】フランジおよび支持リングを除く絞りの、物体側からカムディスク面を眺めた際の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明によるカメラレンズアッセンブリの一連の実施形態が図面によって概略的に示すことができる。ここでは、2つのカメラレンズアッセンブリのレンズ群が図1と図3に概略的に示されている。図1は、1.2/10mmカメラレンズアッセンブリのレンズ配置を示している。図1に示した10mmカメラレンズアッセンブリの相対照度が図2に示されている。図3は、1.4/14mmカメラレンズアッセンブリのレンズ配置を示している。図3に示した14mmカメラレンズアッセンブリの相対照度が図4に示されている。
【0026】
図1および図3に概略的に示されている2つの実施形態において、本発明によるカメラレンズアッセンブリ100,300は、物体側101Aから眺めた順序にて、いわゆるMRCコーティング(MRC−“Multi resistant coating”)を有するそれぞれ1個の保護ガラス104を有し、その後方(図面において下から上への方向)には以下に述べる5個のレンズ、すなわち、
a)第1の正メニスカスレンズ110,310、
b)第2の負メニスカスレンズ116,316、
c)第3の正メニスカスレンズ122,322、
d)第4の両凸レンズ128,328、
e)第5の負レンズ132,332、
がこの順番で配置されている。なお、基本的には、図1で示された第1実施形態のカメラレンズアッセンブリ100の各構成要素には100番台の図番が付与されており、図3で示された第1実施形態のカメラレンズアッセンブリ300の各構成要素には300番台の図番が付与されている。
ここでは、第1の正メニスカスレンズ110,310の凹面112,312は物体側とは反対側に位置している。第2の負メニスカスレンズ116,316の物体側の面114,314は凹面である。さらに、第2の負メニスカスレンズ116,316の物体側の面114,314の曲率半径の値は該レンズの結像側の面118,318の曲率半径の値よりも小さい。第3の正メニスカスレンズ122,322の結像側の面124,324は凸面であり、第3の正メニスカスレンズ122,322の物体側の面120,320の曲率半径の値は該レンズの結像側の面124,324の曲率半径の値よりも大きい。第5の負レンズ132,332の物体側の面130,330の曲率半径の値は該レンズの結像側の面134,334の曲率半径の値よりも小さい。
【0027】
撮像には、通例、CCDセンサが使用される。したがって、前記5個のレンズ群の後方には一連のCCDセンサ・カバーガラス138,338が続いている。これは一般に0.75mmのガラス経路としてシミュレートすることができる。
【0028】
前記第4の両凸レンズ128,328と前記第5の負レンズ132,332とはそれぞれ互いに接合されて、貼り合わせレンズとして形成されている。図1に示した実施形態のカメラレンズアッセンブリ100の第5の負レンズ132と、図3に示した実施例のカメラレンズアッセンブリ300の第5の負レンズ332とはレンズ形状が相違している。また、カメラレンズアッセンブリ100の第5の負レンズ132は物体側が凹面130をなす負メニスカスレンズであるが、他方、カメラレンズアッセンブリ300の第5の負レンズ332は両凹レンズである。双方のカメラレンズアッセンブリ100,300のそれぞれの第5の負レンズ132,332の結像側の面134,334は非球面状に形成されている。同じく、双方のカメラレンズアッセンブリ100,300において、物体側の面120,320も非球面状に形成されている。
【0029】
図1と図3のレンズ配置で示されている2つのカメラレンズアッセンブリのレンズ群の技術データは、以下の表1、表2、表3、表4に列挙されている。つまり、表1は図1に示した10mmカメラレンズアッセンブリのレンズ群の半径、厚さないし空隙、屈折率およびアッベ数のリストである。表2は、図1に示した10mmカメラレンズアッセンブリの非球面データのリストである。表3は、図3に示した14mmカメラレンズアッセンブリのレンズ群の半径、厚さないし空隙、屈折率およびアッベ数のリストである。表4は、図3に示した14mmカメラレンズアッセンブリの非球面データのリストである。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
なお、ここで上述した表2および表4で使用された係数の理解のために以下を述べておくこととする。非球面レンズの面は一般に以下の式によって表すことができる:
【数1】

上記式において、
− zは軸に対して垂直な面を基準にしたライズ(mm)、したがって、光軸に対して垂直をなす面からの逸脱方向つまり光軸の方向へのライズを表している;
− Cはいわゆる頂点曲率を表している。これは凸形または凹形レンズ面の曲率を表すために使用され、半径の逆数から計算される;
− yは光軸からの距離(mm)を表している。yは動径座標である;
− Kはいわゆる円錐係数を表している;
− B,B,B,B10,B12は非球面を表す関数の多項式展開の係数たるいわゆる非球面係数を表している。]
【0035】
図2および図4には、図1,3に示した双方のカメラレンズアッセンブリ100,300の固有な特性量の例として、相対照度の曲線グラフ200,400が図示されている。図2は、図1に示した10mmカメラレンズアッセンブリの中心と比較した、像の相対照度の推移曲線202を示している。x軸は、Fナンバーが1.2の場合の、像の中心からの距離を表している。
同様に、図4は、図3に示した14mmカメラレンズアッセンブリの中心と比較した、像の相対照度の推移曲線402を示している。x軸は、Fナンバーが1.4の場合の、像の中心からの距離を表している。
双方の推移曲線は、中心から像端縁へ向かっての明度降下はわずかであることを明らかにしており、このことは双方のカメラレンズアッセンブリのこれらの固有特性量に関する優れた結像品質を強調している。
【0036】
図5に示した分解図は絞り142の好ましい実施形態を示している。絞り142は、物体側101Aから眺めて、先ず、4個の制御カム506を有するカムディスク504ならびに制御カム508を有している。制御カム506,508は、カムディスク504に設けられた特殊な形の溝(スリット)である。
【0037】
カムディスク504の後方には、結像側101Bの方向に向かって、カメラレンズアッセンブリ100の光軸に沿ってさらに4枚の絞りブレード510ならびに閉ブレード512が続いている。後者は絞り台の直前に配置され、他方、その他のブレードは互いに交差しないようにしてその前方に配置されている。閉ブレード512は切り欠き516を有し、該切り欠きは切り欠き516を覆ってブレード512上に接着されたNDフィルムからなる減光フィルタ(NDフィルタ)で被覆されている。
【0038】
閉ブレード512の後ろには、背面が同時にレンズ支持台として使用される絞り台514が続いている。すべての絞りブレード510,512には、それぞれ2本の絞りピン(絞り台514の方向にいわゆる支えピン518、反対にカムディスク504の方向にガイドピン520)が取り付けられている。
【0039】
絞りブレード510,512によって種々相異した絞り開口を実現するために、絞り台514には、カムディスク504のための駆動ピニオン524を有するステップモータ522が配置されている。カムディスク504に設けられている制御カム506,508は、ブレード510,512に取り付けられているガイドピン520のガイドとして機能する。
【0040】
4個の制御カム506は同一の形に形成されているが、他方、制御カム508の形はその他の制御カムとは異なった形を有しており、特に、閉ブレード512のガイドピン520をガイドするために使用される。閉ブレード512が4枚のブレード510による絞りの実施後になお残っている絞り開口をNDフィルタで完全に覆うことができるようにするため、閉ブレード512用の制御カム508はその後端域に、絞りの中心を覆うよう閉ブレードを旋回させる屈曲部509を有している。
【0041】
図6には4枚の絞りブレード510のうちの1枚が表されており、図7には閉ブレード512が表されている。すべてのブレードの支えピン518はそれぞれ、ブレード510,512の固定された旋回中心点である。ブレード510,512の反対側の面に配されたガイドピン520は、制御カムの溝(ガイド)506,508内に突き入り、こうして、絞りブレード510,512をガイドしてカメラレンズアッセンブリ100の光軸の方向への旋回を実現するように配置されている。図7に示した閉ブレード512は、その他のブレード510とは異なり、さらに、減光フィルタによって覆われた切り欠き516を有している。
【0042】
平面図である図8および断面図である図9に示した絞り142では、図5の分解図に挙げた各要素が組み付けられて直ちに機能し得る状態で示されている。ここでは、絞りには(物体側方向101Aから見て)、すでに図5に示した各要素に加えて、さらにフランジ702と支持リング704とがそれらの前に配置されている。支持リング704はカムディスク504のガイド式回転運動を可能とし、他方、固定ねじ706によって絞りに載設固定されたフランジ702は絞り台514のカウンタピースとして絞りの構成要素を一体化している。
【0043】
図10は、フランジ702と支持リング704を除いた絞り142を、物体側からカムディスク504の面を見た平面図として示された図である。同図から、カムディスク504のリングギア802を明瞭に認めることができる。
【0044】
カムディスク504はステップモータ522の駆動ピニオン524によって駆動され、その際、駆動ピニオン524の歯はカムディスク504のリングギア802の歯と噛合する。これにより、ブレード510,512のガイドピン520はカムディスク504の制御カム506,508内を運動させられる。この運動によって、それぞれの固定旋回軸518(支えピン)を中心としたブレード510,512の旋回が生じる。その際、ブレード510,512の相対位置は変化し、これによって、絞り開口806の拡大ないし縮小が実現する。
【0045】
カムディスク504の制御カム508の形は制御カム506の形とは相違している。制御カム508は、特に、NDフィルタを有した閉ブレード512のガイドピン520をガイドするために使用される。制御カム508のこうした特殊な形は、ブレード510の位置変化後に残存している絞り開口806が閉ブレード512によって完全に覆われるように選択されている。開口縁が5枚のすべてのブレード510,512の光不透過領域によって形成される総じて五角形状の残存絞り開口が生ずるが、閉ブレードに設けられたNDフィルタで覆われた切り欠き516により、この残存絞り開口は閉ブレード512の当該NDフィルタによって覆われることになる。
【0046】
上述した実施形態の数多くの変形例が可能である。したがって、たとえば、上述したタイプのカメラレンズアッセンブリの、種々多様な焦点距離を有する数多くのカメラレンズアッセンブリを実現することが可能である。また、既述した焦点距離ないしFナンバー以外の、あらゆる当該寸法たとえば半径および空隙の採用も基本的に可能である。従って、上述した2つの実施形態のみならず、同一タイプの、ただし焦点距離の種々相違するあらゆるカメラレンズアッセンブリの実現が可能であり、これらの全ての可能性も本発明の枠内に入るものである。このことから本発明によるカメラレンズアッセンブリは種々の異なった応用分野に適用可能である。
【0047】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構造に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0048】
100 カメラレンズアッセンブリ
101A カメラレンズアッセンブリの物体側
101B カメラレンズアッセンブリの結像側
102 保護ガラス104の第1の面
104 保護ガラス
106 保護ガラス104の第2の面
108 レンズ110の第1の面
110 カメラレンズアッセンブリの第1のレンズ
112 レンズ110の第2の面
114 レンズ116の第1の面
116 カメラレンズアッセンブリの第2のレンズ
118 レンズ116の第2の面
120 レンズ122の第1の面
122 カメラレンズアッセンブリの第3のレンズ
124 レンズ122の第2の面
126 レンズ128の第1の面
128 カメラレンズアッセンブリの第4のレンズ
130 レンズ128の第2の面/レンズ132の第1の面
132 カメラレンズアッセンブリの第5のレンズ
134 レンズ132の第2の面
136 透明板138の第1の面
138 透明板
140 透明板138の第2の面
142 絞り
200 相対照度の推移図
202 10mmカメラレンズアッセンブリの相対照度の推移曲線
300 カメラレンズアッセンブリ
308 レンズ310の第1の面
310 カメラレンズアッセンブリの第1のレンズ
312 レンズ310の第2の面
314 レンズ316の第1の面
316 カメラレンズアッセンブリの第2のレンズ
318 レンズ316の第2の面
320 レンズ322の第1の面
322 カメラレンズアッセンブリの第3のレンズ
324 レンズ322の第2の面
326 レンズ328の第1の面
328 カメラレンズアッセンブリの第4のレンズ
330 レンズ328の第2の面/レンズ332の第1の面
332 カメラレンズアッセンブリの第5のレンズ
334 レンズ332の第2の面
336 透明板338の第1の面
338 透明板
340 透明板338の第2の面
400 相対照度の推移図
402 14mmカメラレンズアッセンブリの相対照度の推移曲線
504 カムディスク
506 単純な絞りブレード用の制御カム
508 閉ブレード用の制御カム
509 制御カム508の後端域
510 単純な絞りブレード
512 閉ブレード
514 レンズフレーム/絞り台
516 減光フィルタ(NDフィルタ)付きの切り欠き
518 支えピン
520 ガイドピン
522 ステップモータ
524 カムディスク用の駆動ピニオン
702 フランジ
704 支持リング
706 固定ねじ
802 カムディスク504のリングギア
804 固定ねじ用の孔
806 絞り開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を結像させるためのカメラレンズアッセンブリ(100,300)であって、物体側(101A)から開始して下記の順序で、つまり
a)第1の正メニスカスレンズ(110,310)、
b)第2の負メニスカスレンズ(116,316)、
c)第3の正レンズ(122,322)、
d)第4の両凸レンズ(128,328)、
e)第5の負レンズ(132,332)、
の順序で配置され、前記以外のレンズは備えられておらず、
a1)前記第1の正メニスカスレンズ(110,310)の凹面(112,312)は物体側(101A)とは反対側に位置しており、
b1)前記第2の負メニスカスレンズ(116,316)の物体側の面(114,314)は凹面であり、かつ前記第2の負レンズ(116,316)の前記物体側の面(114,314)の曲率半径の値は該レンズの結像側の面(118,318)の曲率半径の値よりも小さく、
c1)前記第3の正レンズ(122,322)の結像側の面(134,334)は凸面であり、かつ前記第3の正レンズ(122,322)の物体側の面(120,320)の曲率半径の値は該レンズの結像側の面(124,324)の曲率半径の値よりも大きく、
e1)前記第5の負レンズ(132,332)の物体側の面(130,330)の曲率半径の値は該レンズの結像側の面(134,334)の曲率半径の値よりも小さく、さらに
f)前記第4の両凸レンズ(128,328)と前記第5の負レンズ(132,332)とはそれぞれ互いに接合されている、カメラレンズアッセンブリ。
【請求項2】
前記第3の正レンズ(122,322)の前記物体側の面(120,320)は非球面として形成されている請求項1に記載のカメラレンズアッセンブリ。
【請求項3】
前記第5の負レンズ(132,332)の前記結像側の面(134,334)は非球面として形成されている請求項1または2に記載のカメラレンズアッセンブリ。
【請求項4】
前記カメラレンズアッセンブリを構成するすべての前記レンズ(110,116,122,128,132,310,316,322,328,332)の屈折率の算術平均は1.8以上の値であり、ここで、前記屈折率はそれぞれ波長587.56nmに対する屈折率である請求項1から3のいずれか一項に記載のカメラレンズアッセンブリ。
【請求項5】
絞り(142)が前記第2の負メニスカスレンズ(116,316)と前記第3の正レンズ(122,322)の間に配置されている請求項1から4のいずれか一項に記載のカメラレンズアッセンブリ。
【請求項6】
a)前記絞り(142)は複数枚のブレード(510,512)を有する虹彩絞りであり、
b)前記ブレード(510,512)は光不透過性材料から形成され、
c)前記ブレードの少なくとも1枚(512)は前記光不透過性材料に設けられた切り欠き(516)を有するとともに、閉ブレードとして機能し、
d)前記切り欠き(516)は減光フィルタによって被覆され、
e)前記閉ブレード(512)用のガイド(508)が形成され、前記閉ブレード(512)は前記その他のブレード(510)によって絞り込んでもなお残存する絞り開口(806)を完全に覆うことができるようにガイドされ、
f)絞り込み後にも残存する絞り開口(806)が前記閉ブレード(512)によって覆われる際に前記減光フィルタが当該残存絞り開口(806)内に進入して当該残存絞り開口を覆うように、前記切り欠き(516)の形態および位置が選択されていることを特徴とする請求項5に記載のカメラレンズアッセンブリ。
【請求項7】
前記絞り(142)の最も外側の2枚のブレードは、減光フィルタによって覆われた切り欠き(516)を有する閉ブレード(512)として形成されていることを特徴とする請求項6に記載のカメラレンズアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−3589(P2013−3589A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−137097(P2012−137097)
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【出願人】(512160047)ヨス・シュナイダー・オプティッシェ・ヴェルケ・ゲー・エム・ベー・ハー (1)
【氏名又は名称原語表記】JOS. SCHNEIDER OPTISCHE WERKE GMBH
【住所又は居所原語表記】RINGSTRASSE 132, 55543 BAD KREUZNACH, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
【Fターム(参考)】