カメラ付き携帯用情報端末装置
カメラ付き携帯電話の本体には、撮影用開口を塞ぐため透光板が取り付けられている。撮影光学系の結像面には、固体撮像素子4が配置されている。撮影光の光路規制用開口を有している地板と、開口を有しているカバー板との間には、シャッタ羽根を収容するための羽根室が形成され、羽根室の外面にはシャッタ羽根駆動用のアクチュエータが取り付けられている。地板とカバー板は、前記開口が、透光板と撮影光学系との間に位置するように、本体内に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタ羽根や絞り羽根などの羽根部材をアクチュエータで往復動させるようにしたカメラを備えた携帯用情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラに採用されているレンズシャッタ装置,絞り装置,フィルタ装置は、各々1枚又は複数枚の羽根部材を有していて、それらをアクチュエータによって往復動させるように構成されている。それらの装置は、それぞれを独立したユニットとして構成することもあるが、それらのうちの二者、又は三者を一つのユニットとして構成することもある。レンズシャッタ装置の場合には、2枚の羽根を用いることが多いが、レンズ口径の小さなカメラの場合には、1枚のみを用いることもある。また、レンズ口径の小さなカメラに採用される絞り装置の場合には、小さい円形の開口を有した1枚の羽根を、必要に応じて撮影光路に進退させるのが普通である。
【0003】
更に、フィルタ装置の場合には、1枚の羽根が、上記の絞り装置の羽根と類似の形状(但し、その開口は、地板に形成された撮影光路規制用の開口と略同じ大きさの場合もある)を有していて、その開口の近傍位置にその開口を覆うようにNDフィルタ板を取り付けた構造が多いが、上記の形状の羽根を2枚用意すると共に、それらの間に、それらの開口を覆うように、NDフィルタ板の羽根を重合させ、3枚の羽根を同時に同方向へ同角度だけ往復回転させるようにした構造も提案されている。
【0004】
ところで、最近の携帯電話やPDAなどの携帯用情報端末装置の傾向は、カメラを装備することにある。ところが、上記のようなシャッタ装置,絞り装置,フィルタ装置がいくら小型化されたとはいっても、アクチュエータを小型化するには自ずと限度があり、装置内での配置構成も容易ではない。また、携帯用情報端末装置自体も、上記のような装置を組み込んだことを理由に、大型にすることは許されない。そのため、それらの装置を組み込めば、画質のよい画像が得られることは分っているが、実際問題としては、組み込まれていないのが現状である(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2001−309003号公報
【特許文献2】特開2003−219229号公報
【発明の開示】
【0005】
特許文献2に記載されているように、従来のカメラ付き携帯用情報端末装置は、本体に撮影用開口が形成されていて、その開口に近接して、本体内部に撮影光学系が配置されている。そして、撮影光学系の光軸方向の寸法を出来るだけ小さくして、本体を極力薄くすることや、内部のスペース効率をよくして、全体を小型にすることが要求されている。他方、上記のようなシャッタ装置,絞り装置,フィルタ装置では、羽根部材が、通常は羽根室内において地板に取り付けられており、アクチュエータは、地板の外面に取り付けられている。そして、通常のカメラでは、羽根部材と地板とは、撮影光学系を構成している複数枚のレンズ間に配置されるのが一般的である。そのため、それらの装置をそのようにして携帯用情報端末装置に組み付けた場合は、アクチュエータが比較的嵩張ることから、撮影光学系の光軸方向の寸法を大きくする結果となったり、本体内のスペース効率を損なう要因になるという問題点がある。
【0006】
このような問題点を解消し、それらの装置を採用し易いようにするためには、羽根部材と地板とを、撮影光学系を構成している複数枚のレンズ間に配置するのではなく、本体の撮影用開口と撮影光学系との間に配置することが考えられる。それによってアクチュエータの配置位置が撮影用開口側に寄せられるので、その分だけ上記の撮影光学系の光軸方向の寸法が大きくならず、本体の薄型化が可能になったり、他の部材を配置するために便利な比較的大きなスペースを確保することができる。ところが、そのような構成にした場合には、従来のように撮影光学系の前面だけが外部に露出しているだけではなく、羽根部材も外部に露出する結果となるため、従来のように、撮影光学系のみならず羽根部材にも埃が付着したり、羽根部材を指で押す可能性があるほか、埃が羽根部材の作動領域の隙間から本体内部に進入する結果となる。
【0007】
そして、埃が羽根部材に付着した場合には、羽根部材の作動に影響を与えるし、撮影光学系に付着した場合には、画質に直接影響を与える。また、羽根部材を誤って指で振れたり押したりした場合は、羽根部材を変形させたり、羽根部材に指紋を付けたりして、羽根部材の作動に影響を与えることになる。また、撮影光学系の構成部品に指紋を付けた場合には、画質に直接影響を与えることになる。更に、埃が羽根部材の作動領域の隙間から本体内部に進入した場合には、やがて、アクチュエータの作動に影響を与えたり、固体撮像素子の結像面に付着したりするほか、カメラ以外の構成部材の機能にも影響を与える結果となる。
【0008】
従来は、撮影光学系の前面に埃や指紋が付着したときには、その表面を拭けばよかった。ところが、羽根部材と地板とを、本体の撮影用開口と撮影光学系との間に配置した場合には、撮影光学系は、元々口径が小さい上に、羽根部材と地板とを配置した分だけ本体の奥へ配置されることになるため、拭き取り作業が容易でなく、完全に清掃することが極めて困難になる。また、特許文献1には、保護カバーを本体に取り付けて、撮影時以外は撮影光学系の前面を保護カバーで覆うようにした構成が記載されているが、そのような保護カバーを採用したとしても、保護カバーを撮影光学系の前面で進退させる操作が面倒であって、撮影後、撮影用開口を覆うことを忘れることもあるし、承知の上で長時間覆わない場合もある。また、撮影の都度、そのような操作を行なったとしても、撮影の際には、本体内部への微細な埃の侵入を防ぐことができない。
【0009】
本発明の目的は、シャッタ装置,絞り装置,フィルタ装置に設けられている羽根部材と、その羽根部材が取り付けられている地板とを、本体の撮影用開口と撮影光学系との間に配置して、本体の薄型化と本体部内のスペースを有効に利用することを可能にすると共に、本体内部に撮影用開口から埃が侵入しないようなカメラ付き携帯用情報端末装置を提供することにある。
【0010】
この目的を達成するために、本発明のカメラ付き携帯用情報端末装置は、撮影用開口を形成した本体と、前記撮影用開口を塞ぐことができるように前記本体に取り付けられた透光板と、前記本体内において前記透光板に面して配置された撮影光学系と、前記撮影光学系の結像面に配置された固体撮像素子と、撮影光の光路規制用開口を有していて該光路規制用開口を前記透光板と前記撮影光学系との間に配置した地板と、前記地板に往復動可能に取り付けられていて前記光路規制用開口に進退可能な少なくとも1枚の羽根部材と、前記地板の前記撮影光学系側の面に取り付けられていて前記羽根部材を駆動するアクチュエータとを備えている。
【0011】
また、上記のカメラ付き携帯用情報端末装置において、さらに、前記地板に往復動可能に取り付けられていて前記光路規制用開口に進退可能な少なくとも1枚の第2羽根部材と、前記地板に取り付けられていて該第2羽根部材を駆動する第2アクチュエータとを備え、前記羽根部材と該第2羽根部材との一方が、シャッタ羽根であり、他方の羽根部材が減光用の羽根部材であるようにしてもよい。その場合、前記減光用の羽根部材が、前記光路規制用開口より小さくて前記光路規制用開口に進退させる開口を有した絞り羽根であって、前記地板に回転可能に取り付けられているようにしてもよいし、また、前記減光用の羽根部材が、前記光路規制用開口に進退させる開口を有した2枚の羽根部材と、該2枚の羽根部材の開口を覆うように該2枚の羽根部材の間に重合された1枚のフィルタ板で製作された羽根部材とで構成されていて、それらの3枚の羽根部材は、前記地板の同一位置に回転可能に取り付けられてもよい。
【0012】
前記羽根部材は、前記光路規制用開口より小さくて前記光路規制用開口に進退する開口を有した絞り羽根であって、前記地板に回転可能に取り付けられていてもよい。
【0013】
また、前記羽根部材は、前記光路規制用開口に進退する開口を有していて該開口を覆うため一方の面にフィルタ板を取り付けたフィルタ羽根であり、該フィルタ羽根は、前記地板と光路用開口を有するカバー板との間に配置され、前記地板と該カバー板のいずれか一方には、前記フィルタ羽根が回転するとき該フィルタ板に接触しないように逃げ部が形成されている。
【0014】
また、前記羽根部材は、前記光路規制用開口に進退する開口を有した2枚の羽根と、該2枚の羽根の開口を覆うように該2枚の羽根の間に重合された1枚のフィルタ板で製作された羽根とで構成されていて、それらの3枚の羽根は、前記地板の同一位置に回転可能に取り付けられている。
【0015】
また、前記羽根部材は、フィルタ板で製作された1枚のフィルタ羽根であり、該フィルタ羽根は、前記地板と、光路用開口を有するカバー板との間に配置されており、前記地板と該カバー板の何れにも、前記フィルタ羽根が回転するとき該フィルタ板に接触しないように逃げ部が形成されている。
【0016】
前記カメラ付き携帯用情報端末装置は、携帯電話、PDA等のモバイル情報端末機及びパーソナルコンピュータの何れにも搭載され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例1の要部断面図である。
【図2】図2は実施例1に用いられたシャッタ装置のユニットを図1の右方から見た平面図である。
【図3】図3は実施例1のシャッタ装置を内蔵した携帯電話の一例の正面図である。
【図4】図4は実施例1のシャッタ装置を内蔵した携帯電話の他の例の正面図である。
【図5】図5は実施例1のシャッタ装置を内蔵したPDAの斜視図である。
【図6】図6は実施例1のシャッタ装置を内蔵したパソコンの斜視図である。
【図7】図7は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例2の要部断面図である。
【図8】図8は実施例2に用いられたシャッタ装置とフィルタ装置のユニットを図7の右方から見た平面図である。
【図9】図9は地板を取り除いて図8の状態における羽根室内を示した平面図である。
【図10】図10は図9に示されたフィルタ羽根の構成部材を示した説明図である。
【図11】図11は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例3に用いられたシャッタ装置を図2と同じようにして見た平面図である。
【図12】図12は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例4に採用されている絞り装置の分解斜視図である。
【図13】図13は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例5に採用されているフィルタ装置の分解斜視図である。
【図14】図14は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例6に採用されているフィルタ装置の分解斜視図である。
【図15】図15は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例7に採用されているフィルタ装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を図示した六つの実施例によって説明する。図1〜図6は実施例1を、図7〜図10は実施例2を、図11,図12,図13,図14及び図15はそれぞれ実施例3,4,5,6及び7を説明するために用いられる。
【実施例1】
【0019】
本実施例は、シャッタ装置だけを備えたカメラ付き携帯用情報端末装置の一例である。図1はカメラ付き携帯電話に実施された場合の要部を示す断面図、図2はシャッタ装置のユニットだけを図1の右方から見た平面図、図3は携帯電話の全体を示した正面図である。
【0020】
携帯電話MPの本体1には、撮影用開口1aが形成されている。この撮影用開口1aは、図3に示されているように、通常の場合には円形をしているが、後述の説明からも分かるように、必ずしも円形である必要がない。図1に示すように、本体1の内部側には、透光板2が、その撮影用開口1aを塞ぐため、接着剤などによって取り付けられている。また、本体1の内部には、透光板2に面して撮影光学系3が配置されている。撮影光学系3は、本実施例の場合、レンズ枠3aに取り付けられた3枚のレンズ3b,3c,3dで構成されている。固体撮像素子4は、レンズ3dの後方において撮影光学系3の結像面に配置されており、基板5を介してレンズ枠3aに取り付けられている。このように組み付けられた撮影光学系3と固体撮像素子4とは、図示していない適宜な手段を介して、本体1に取り付けられている。
【0021】
次に、図1及び図2を参照して、本実施例に用いられるシャッタ装置ユニットの構成を説明する。地板6には、ねじ7,8によってカバー板9が取り付けられ、地板6とカバー板9との間には羽根室が構成されている。地板6は、合成樹脂製であって、撮影光の光路を規制する円形の開口6aを有しており、カバー板9も、開口6aより直径の大きな開口9aを有している。地板6とカバー板9とは、それらの開口6a,9aを、透光板2と撮影光学系3の間に配置している。また、図2に示すように、地板6は、羽根室側の面に軸6b,6cを有し、羽根室外の面には位置決めピン6d,6eを有している。羽根室内には、長孔10a,11aを有するシャッタ羽根10,11が配置されていて、軸6b,6cに、夫々、回転可能に取り付けられている。
【0022】
地板6の羽根室外の面には、シャッタ羽根10,11を駆動するアクチュエータが、ねじ12,13によって取り付けられている。このアクチュエータは、ムービングマグネット型モータなどと称されている電流制御式のモータMであって、固定子コイルに対する通電方向に対応して、永久磁石製の回転子が、所定の角度範囲内でだけ往復回転し得るモータである。このモータの構成は、例えば、特開2000−60088号により周知であるが、ここで、その構成を簡単に説明する。
【0023】
モータMの固定子は、第1固定子枠14と、第2固定子枠15と、コイル16と、ヨーク17とで構成されていて、第2固定子枠15に設けられた孔を位置決めピン6d,6eに嵌合させ、ねじ12,13によって地板6に取り付けられている。第1固定子枠14はコップ状をしていて、その開放端を第2固定子枠15で塞ぎ、その両者にコイル16を巻回した後、第1固定子枠14に、円筒形をしたヨーク17を嵌合させている。第1固定子枠14には、鉄ピンと称される5本の磁性体棒18が埋設されている。
【0024】
モータMの回転子は、明示していないが、第1固定子枠14に収容されていて、第1固定子枠14と第2固定子枠15によって軸受けされている。コイル16は、それらの軸受部を囲むようにして巻回されている。また、回転子は、永久磁石製であり、その永久磁石と一体化されていて径方向に張出した合成樹脂製の腕部19の先端には、回転軸と平行になるように出力ピン20が設けられている。出力ピン20は、第2固定子枠15と地板6に形成された図示しない円弧状の長孔を貫通し、羽根室内でシャッタ羽根10,11の長孔10a,11aに嵌合している。
【0025】
このように、本実施例の構成によれば、両者の間に羽根室を構成している地板6とカバー板9とが、本体1内で、透光板2と撮影光学系3との間に配置されているため、図1においてモータを左方へ寄せ、モータの右方に大きな空間を確保することが可能である。従って、シャッタ装置は、本体内のスペース効率をよくした状態で配置されていることになる。もし、地板6とカバー板9とを、撮影光学系3の3枚のレンズ3b,3c,3dの間に配置した場合は、カバー板9の左側とモータMの右側に狭い空間ができるだけであって、他の構成部材の配置構成が面倒になり、本体1の厚さ(図1における左右方向の寸法)を厚くせざるを得ない要因となってしまう。その上、本実施例のように、3枚のレンズ3b,3c,3dを一つのレンズ枠3aに取り付けたり、撮影光学系3と固体撮像素子5をユニット化したりすることが容易ではなくなるため、部品点数が増加したり、組立調整が面倒になって、コストアップになることがある。
【0026】
また、本実施例の構成によれば、撮影用開口1aを塞ぐように、本体1に透光板2を取り付けているので、地板6とカバー板9とを透光板2と撮影光学系3の間に配置しても、外部から指先を入れることはできないし、埃も入らない。仮に、透光板2が取り付けられていない場合には、シャッタ羽根10,11やレンズ3bに指先が触れ、それらの表面を汚すおそれがある。また、埃が侵入した場合には、レンズ3bの表面に付着するし、羽根室内に入ったものは、シャッタ羽根10,11に付着するものもあるし、出力ピン20の作動を可能にするために地板6や第2固定子枠15に設けられた長孔を通過して、回転子を配置している第1固定子枠14内に入るものもある。更に、他の構成部材の配置されているスペースにまで侵入したものは、本実施例のような構成をしていないと、固体撮像素子4の受像面に付着することにもなる。そのため、長い間には、シャッタ装置の作動や撮影した画質に影響を与えることになるが、本実施例の場合にはそのようなことがない。
【0027】
次に、本実施例の作動を簡単に説明する。図2は本実施例の初期状態を示している。即ち、カメラの電源はオンとなっており、シャッタ羽根10,11は開口6aを全開にしている。そのため、固体撮像素子4は被写体からの光にさらされており、被写体像をディスプレーで観察することが可能である。また、このとき、モータのコイル16には通電されていないが、周知のように、図示していない回転子には、その永久磁石と磁性体棒18との間に作用する磁気吸引力によって、時計方向へ回転する力が付与されている。そのため、シャッタ羽根10,11は、出力ピン20によって相反する方向へ回転する力が与えられ、図示しないストッパに接触して、この状態が維持される。
【0028】
撮影に際してレリーズボタンを押すと、図示しない露光制御回路からの信号によって固体撮像素子4に蓄積されていた電荷が放出され、撮影のための露光が開始する。そして、所定の時間が経過すると、露光制御回路からの信号によってモータのコイル16に通電され、回転子が反時計方向へ回転させられる。そのため、シャッタ羽根10,11は、出力ピン20によって相反する方向へ回転させられ、開口部6aを閉鎖し、図示していないストッパに当接して停止する。この閉鎖状態において撮像情報が記憶装置に転送されると、コイル16に対して、上記の場合とは逆方向への通電が行われる。そのため、回転子は時計方向へ回転し、シャッタ羽根10,11に開き作動を行わせる。そして、シャッタ羽根10,11が開口部6aを全開にし、図示していないストッパに当接して停止すると、コイル16に対する通電が断たれ、図2の初期状態に復帰する。
【0029】
尚、上記の説明においては、本発明を、図3に示されているタイプの携帯電話MPとして構成した場合を説明した。しかし、詳細な図面を用いて説明をするまでもなく、携帯用情報端末装置内での配置が同じであれば、本発明は、図4に示すように、本実施例のシャッタ装置を、折りたたみ式の携帯電話MPの本体1に形成された撮影用開口1aの背面に内蔵したものとすることも、図5に示されているように、PDA(Personal Digital Assistants)のような高機能電子手帳PDAの本体1に形成された撮影用開口1aの背面に内蔵したものとすることも、図6に示すように、パソコンPCの本体1に形成された撮影用開口1aの背面に内蔵することも可能である。そして、このことは、以下の各々の実施例で説明する各種の装置の場合も、同様である。
【実施例2】
【0030】
次に、図7〜図10を用いて実施例2を説明する。図7は本実施例の要部断面図であり、図8は図7の右方から見た平面図であり、図9は地板を取り外して図8の状態における羽根室内を示した平面図であり、図10は図9に示されたフィルタ羽根の構成を示した説明図である。本実施例は、シャッタ装置とフィルタ装置を一つのユニットとして構成し、実施例1と同じタイプのカメラ付き携帯電話MPに組み付けたものである。そのユニット以外の構成部材は、形状に多少の違いがあるにしても、実質的に実施例1と同じである。そのため、本実施例の図面においては、そのユニット以外の構成部材に、実施例1と同じ符号を付けてある。
【0031】
以下、本実施例の構成を説明する。携帯電話の本体1には、撮影用開口1aが形成されており、その撮影用開口1aを塞ぐように透光板2が取り付けられている。撮影光学系3は、レンズ枠3aに取り付けられた3枚のレンズ3b,3c,3dで構成されていて、そのレンズ枠3aには、固体撮像素子4が基板5を介して取り付けられている。
【0032】
次に、本実施例に採用されているシャッタ装置とフィルタ装置の構成を説明する。地板21には、ねじ22,23によってカバー板24が取り付けられ、地板21とカバー板24との間に羽根室を構成している。地板21は、合成樹脂製であって、撮影光路を規制する円形の開口21aを有しており、カバー板24も、略同じ直径の開口24aを有している。そして、地板21とカバー板24とは、それらの開口21a,24aを、透光板2と撮影光学系3の間に配置している。また、図9に示すように、地板21は、羽根室側の面に三つの軸21b,21c,21dと、六つのストッパ21e,21f,21g,21h,21i,21jを有していて、軸21b,21c,21dとストッパ21jの先端を、カバー板24に設けられた孔に嵌合させている。尚、図9においては、地板21の円形状の外形を二点鎖線で示してある。
【0033】
羽根室内には、長孔25a,26aを有するシャッタ羽根25,26が配置されていて、軸21b,21cに、夫々、回転可能に取り付けられている。また、シャッタ羽根25よりカバー板24側には、3枚の羽根27,28,29が重ねて配置されている。図10に示されているように、それらのうち、両側に配置された羽根27,29は全く同じ形状をしていて、カバー板24の開口24aよりも若干大きな円形の開口27a,29aをそれぞれ有しており、左端には長孔27b,29bと、円孔27c,29cを有している。また、羽根28は、NDフィルタ板で製作されており、左端には、長孔28aと円孔28bを有している。そして、それらの羽根27,28,29は、円孔27c,28b,29cを軸21dに対して回転可能に嵌合させている。
【0034】
図8に示されているように、地板21の羽根室外の面には、シャッタ羽根25,26を駆動するアクチュエータが、ねじ30,31によって取り付けられ、フィルタ羽根を構成している3枚の羽根27,28,29を駆動するアクチュエータが、ねじ32,33によって取り付けられている。これらのアクチュエータは、実施例1のムービングマグネット型モータとは固定子の構成が異なり、全体として扁平に構成されている。このモータも、固定子コイルに対する通電方向に対応して、永久磁石製の回転子が、所定の角度範囲内でだけ往復回転する電流制御式のムービングマグネット型モータである。しかし、その具体的な構成については、アクチュエータ自体の具体的な構成には直接関係がないので、図示した範囲内でのみ説明する。
【0035】
本実施例の二つのモータM1,M2は、構成が全く同じである。そして、一方のモータM1の固定子は、固定子枠34と、コイル35と、二つのヨーク36,37とで構成されていて、固定子枠34がねじ30,31によって地板21に取り付けられている。また、他方のモータM2の固定子は、固定子枠38と、コイル39と、二つのヨーク40,41とで構成されていて、固定子枠38がねじ32,33によって地板21に取り付けられている。ここでは、一方の固定子の構成だけを具体的に説明する。固定子枠38には筒状のボビン部が形成されていて、その外周にコイル35が巻回されている。また、各々二つの脚部を有するヨーク36,37は重合されていて、各々の一方の脚部を、ボビン部の中空部に挿入し、各々の二つの脚部の先端を固定子の磁極部としている。また、図8においては、明示されていないが、二つのヨーク36,37は全く同じ形状ではなく、ボビン部に挿入していない脚部の先端形状は、実施例1で説明した磁性体棒の役目もするように形成されている。
【0036】
一方のモータM1の回転子42は、地板21と固定子枠34によって軸受けされており、他方のモータM2の回転子43は、地板21と固定子枠38によって軸受けされている。各固定子の磁極部は、それらの回転子42,43の円周面に各々対向させられている。この回転子42,43は永久磁石製であるが、その永久磁石と一体化されていて径方向に張出した腕部44,45の先端には、回転軸と平行な出力ピン46,47が形成されている。それらの出力ピン46,47は、地板21に形成されている図示していない各々の円弧状の長孔を貫通していて、一方の出力ピン46は、羽根室内でシャッタ羽根25,26の長孔25a,26aに嵌合し、その先端を、カバー板24の長孔24bに挿入している。また、他方の出力ピン47は、羽根室内で3枚の羽根27,28,29の長孔27b,28a,29bに嵌合し、その先端を、カバー板24の長孔24cに挿入している。尚、図9においては、このような構成をした回転子42,43、腕部44,45を二点鎖線で示し、出力ピン46,47を断面で示してある。
【0037】
このように、本実施例の構成によれば、羽根室を構成している地板21とカバー板24とが、本体1内で、透光板2と撮影光学系3との間に配置されているため、図7において二つのモータを左方へ寄せ、モータの右方に撮影光学系3の一部を配置することが可能である。従って、シャッタ装置とフィルタ装置を一つにした本実施例のユニットは、スペース効率が極めてよくなる状態で配置されていることになる。そして、その分だけ、本体1の厚さ(図7における左右方向の寸法)を厚くしなくて済み、また、実施例1の構成の場合より、撮影光学系3の下方のスペースを有効に利用できる。また、本実施例の場合にも、撮影用開口1aを塞ぐようにして、本体1に透光板2を取り付けてあるので、実施例1で述べたように、内部の構成部材に指で触れたり、内部へ埃が入ったりしない。
【0038】
次に、本実施例の作動を簡単に説明する。図9は本実施例の初期状態を示している。そのため、シャッタ羽根25,26は、地板21に設けられた光路規制用の開口21aよりも若干直径の大きな開口24aを全開にしており、固体撮像素子4は被写体からの光にさらされている。また、このとき、二つのモータM1,M2のコイル35,39には通電されていないが、実施例1と同等の手段によって、回転子42,43は、この停止状態を維持され、シャッタ羽根25,26をストッパ21e,21fに接触させ、3枚の羽根27,28,29を共にストッパ21iに接触させている。
【0039】
撮影に際してレリーズボタンを押すと、測光結果によって撮影光を減光して撮影すべきかどうかが判断され、減光すべきと判断された場合には、先ず、フィルタ装置用のモータM2のコイル39に通電され、回転子43を反時計方向へ回転させる。そのため、3枚の羽根27,28,29は、出力ピン47によって、同時に反時計方向へ同角度だけ回転させられ、ストッパ21jに当接して停止させられる。それによって、NDフィルタ板で製作された羽根28だけが、地板21に形成された開口21aを覆い、固体撮像素子4に達する撮影光が減光される。このあと、コイル39には、撮影が終了するまで通電を続けてもよいが、通電を断ったとしても、回転子43は、図9の状態に維持されるのと同様の理由により、その回転した位置を維持することが可能である。
【0040】
ここで、本実施例の場合には、フィルタ羽根を3枚の羽根27,28,29で構成している理由を簡単に説明する。通常のフィルタ羽根は、例えば、羽根29のように、開口29aを有する羽根を1枚だけ用意しておき、その開口29aを覆うように、NDフィルタ板を羽根29に接着していた。この場合には、NDフィルタ板が地板又はカバー板に摺接して、傷が付いてしまうため、地板又はカバー板の方には、その摺接面に窪みを形成して、接触しないようにしていた。しかしながら、そのような窪みは、深く形成することが実際上難しいことと、NDフィルタ板の接着の仕方によっては、NDフィルタ板に反りが生じ、結局は摺接する結果となる。また、NDフィルタの接着コストも無視することができない。このようなことから、部品点数は多くなるものの、製作コストを上げずに、NDフィルタ板の透光面に絶対に傷が付かないようにするために、本実施例においては、3枚の羽根27,28,29の重合構成を採用している。
【0041】
尚、本実施例の場合には、羽根27,29の開口27a,29aの直径を、地板21に形成された光路規制用の開口21aより大きくしているが、羽根28の素材であるNDフィルタ板の濃度によっては、開口27a,29aの直径を、開口21aより小さくすることもある。また、本実施例の場合には、フィルタ羽根を、3枚の羽根27,28,29で構成しているが、本発明はそのような構成には限定されず、上記のような1枚の羽根にNDフィルタ板を接着したもの(以下に実施例5として説明する)でも差し支えない。更に、本実施例の場合には、減光用の羽根としてフィルタ羽根を採用しているが、絞り羽根を採用しても差し支えないし、場合によっては、それらの両方を採用しても差し支えない。その場合の絞り羽根の一例としては、以下に実施例4として説明する構成のものが好適である。
【0042】
上記のようにして、3枚の羽根27,28,29が反時計方向へ回転して、ストッパ21jに当接して停止すると、露光制御回路からの信号によって固体撮像素子4に蓄積されていた電荷が放出され、撮影のための露光が開始される。そして、所定時間後には、露光制御回路からの信号によって、シャッタ装置用のモータM1のコイル35に通電される。それによって、回転子42が反時計方向へ回転させられるため、シャッタ羽根25,26は、出力ピン46によって相反する方向へ回転させられ、開口21aを閉鎖し、ストッパ21g,21hに当接して停止する。その後、この閉鎖状態において撮像情報が記憶装置に転送されると、コイル35に対して、上記の場合とは逆方向への通電が行われる。そのため、回転子42は時計方向へ回転し、シャッタ羽根25,26に開き作動を行わせる。そして、シャッタ羽根25,26が開口21aを全開にし、ストッパ21e,21fに当接して停止すると、コイル35に対する通電が断たれる。
【0043】
その後、フィルタ装置用のモータのコイル39に、上記の場合とは逆方向へ通電される。そのため、回転子43は時計方向へ回転し、3枚の羽根27,28,29は、出力ピン47によって、同時に時計方向へ回転させられ、ストッパ21iに当接して停止すると、コイル39への通電が断たれ、図9の初期状態に復帰する。
【実施例3】
【0044】
次に、図11を用いて、実施例3を説明する。本実施例は、実施例1と同様に、図3に示されているタイプのカメラ付き携帯電話MPに、シャッタ装置のユニットだけを組み付けている。そのため、図示していないが、本体1に対するシャッタ装置の全体の配置構成は、実施例1と同じである。図11は、図2と同様の平面図である。また、実施例1のシャッタ装置は、シャッタ羽根を2枚備えていたが、本実施例は、1枚だけしか備えていない。そのシャッタ羽根を駆動するためのアクチュエータは、実施例2で用いられたムービングマグネット型のモータと、実質的に同じである。従って、本実施例の説明は、実施例1,2よりも簡単に行なわれる。
【0045】
先ず、本実施例の構成を説明する。地板48は、撮影光の光路を規制する円形の開口48aを有している。図示しないが、地板48の背面側には、地板48と略同じ外形をしたカバー板が取り付けられており、地板48との間に羽根室を構成している。そのカバー板にも、開口48aと同心で、開口48aより若干直径の大きな開口が形成されている。また、両者は、携帯電話内で、カバー板を被写体側にして配置され、図示しない本体に対して、適宜な手段によって取り付けられている。更に、地板48は、羽根室側の面に軸48bとストッパ48c,48dを有しており、軸48bには、シャッタ羽根49が回転可能に取り付けられている。シャッタ羽根49には、長孔49aが形成されている。
【0046】
地板48の羽根室外の面には、シャッタ羽根49を駆動するアクチュエータが、ねじ50,51によって取り付けられている。このアクチュエータは、実施例2のモータM1,M2と同様に扁平型のムービングマグネットモータMであり、具体的な構成も、モータM1,M2と実質的に同じである。従って、本実施例のモータMは、固定子が、固定子枠52と、コイル53と、ヨーク54とで構成されていて、その固定子枠52がねじ50,51によって地板48に取り付けられている。そして、ヨーク54は、その二つの脚部の先端を磁極部としている。尚、本実施例の場合には、実施例2のように、二つのヨークを重合させていないが、固定子枠52のボビンに挿入されていない脚部の先端は、実施例1で説明した磁性体棒18の役目もするように成形されている。
【0047】
回転子55は、地板48と固定子枠52によって軸受けされている。そして、ヨーク55の二つの磁極部は、回転子55の円周面に対向させられている。また、回転子55の径方向に張出した腕部56の先端には、出力ピン57が形成されている。出力ピン57は、地板48に形成されている図示しない円弧状の長孔を貫通し、羽根室内でシャッタ羽根49の長孔49aに嵌合している。尚、本実施例の場合にも、実施例1,2と同様に、図11では図示していない本体1に、その撮影用開口1aを塞ぐように、透光板2を取り付けていることはいうまでもない。これは、以下の各実施例の場合も同じである。
【0048】
次に、本実施例の作動を簡単に説明する。図11は、シャッタ羽根49が開口48aを閉じた状態を示している。撮影前に、このような状態にあることは、表示装置によって予め被写体の観察ができないため、好ましくない。しかしながら、本実施例に用いられるモータMは、携帯時に激しい振動が加わると、回転子55が回転させられて、このような閉鎖状態にさせられてしまうことがある。そのような事態は、これまで説明をしなかったが、上記の各実施例の場合にも当然発生し得ることである。そのような事態が発生しないようにするため、携帯電話の電源を入れたときには、必ずコイル53に、回転子55を時計方向へ回転させるための電流が供給されるようにする。そのため、本実施例のように、閉鎖状態になっていた場合には、その電流の供給によって、シャッタ羽根49が反時計方向へ回転させられ、ストッパ48dに当接して停止させられる。
【0049】
その停止状態が、本実施例におけるシャッタ装置の初期状態であり、そのときには、開口部48aが全開になっていて、撮影前に、被写体像の観察が可能になる。その後は、実施例1,2の場合と同様であって、撮影に際してレリーズボタンを押すと、露光制御回路からの信号によって固体撮像素子4に蓄積されていた電荷が放出され、撮影のための露光が開始する。そして、所定時間後に、露光制御回路からの信号によって、コイル53に通電されると、回転子55が反時計方向へ回転させられるため、シャッタ羽根49は、出力ピン57によって時計方向へ回転させられて開口48aを閉鎖し、ストッパ48cに当接して、図11に示された状態になる。その後、この閉鎖状態において撮像情報が記憶装置に転送されると、コイル53に対して、上記とは逆方向への通電が行われる。そのため、回転子55は時計方向へ回転し、シャッタ羽根49に開き作動を行わせる。そして、シャッタ羽根49が開口48aを全開にし、ストッパ48dに当接して停止すると、コイル53に対する通電が断たれて、次の撮影の待機状態となる。
【実施例4】
【0050】
次に、図12を用いて、実施例4を説明する。本実施例は、図3に示されたタイプのカメラ付き携帯電話MPに、絞り装置のユニットだけを組み付けている。図12では分からないが、実際には、実施例1におけるシャッタ装置の場合と同様に、本体1に対しては、地板58を固体撮像素子4側にし、カバー板59を開口1a側にして配置されている。また、本実施例のアクチュエータは、実施例1で用いられたムービングマグネット型モータMと実質的に同じ構成をしており、開口58aに対して向きを変えて、地板58に取り付けられている。従って、モータMの構成部材には、実施例1の場合と同じ符号を付けてある。尚、図12には、回転子,腕部19,出力ピン20が明示されていない。しかしながら、回転子の配置構成は、実施例1の説明から理解することができるであろう。また、本実施例の場合には、出力ピン20は、回転子から、ねじ13側に延伸した腕部19の先端に設けられる。また、アクチュエータとしては、実施例2,3に記載されたアクチュエータを用いてもよい。そして、これらのことは以下に説明する各実施例の場合も同じである。
【0051】
次に、本実施例の構成を簡単に説明する。地板58は、撮影光の光路を規制する円形の開口58aを有している。また、カバー板59は、開口58aより若干直径の大きな開口59aを有しているほか、三つの円孔59b,59c,59dと円弧状の長孔59eを有している。円孔59b,59cは、ねじ60,61によって地板58にカバー板59を結合するのに用いられる。地板58とカバー板59の間に形成される羽根室には、絞り羽根62が配置される。この絞り羽根62は、開口58aよりも直径の小さな開口62aと、円孔62bと、長孔62cを有している。円孔62bは、地板58に設けられた図示しない軸に回転可能に嵌合しており、その軸の先端は、カバー板59の円孔59dに挿入されている。長孔62cには、モータMの回転子と一体の上記出力ピン20が挿入されており、出力ピン20の先端は、カバー板59の円弧状の長孔59eに挿入されている。尚、図示しないが、本実施例の場合にも、実施例3のストッパ48c,48dに相当する二つのストッパが、地板58の羽根室側の面に設けられている。
【0052】
次に、本実施例の作動を簡単に説明する。本実施例の絞り羽根62は、往復回転することによって、開口62aを、地板58の開口58a内に進入させたり開口58aから退避させたりする。図12は、開口62aを開口58aに進入させた状態を示している。撮影前に、このような状態となっていると、被写体光が減光され、表示装置によって観察する被写体像が暗くなるので、好ましくない。しかしながら、実施例3で説明したように、実際には、撮影前に開口62aが開口58a内に進入した状態になっていることがある。そのために、携帯電話の電源スイッチを入れたときには、必ずコイル16に対して、回転子を反時計方向へ回転させる電流が供給されるようになっている。従って、絞り羽根62が、たまたま図12の状態になっていた場合には、電源スイッチを入れると同時に反時計方向へ回転させられ、開口部58aから完全に退いた段階で、図示していないストッパに当接して停止させられる。この停止状態が、本実施例の絞り装置の初期状態である。尚、最初から初期状態が得られている場合には、電源スイッチを入れてコイル16に通電されたとき、絞り羽根62は、図示していないストッパに押し付けられるだけである。
【0053】
その後、撮影に際してレリーズボタンを押すと、測光回路の測定結果によって、その状態で撮影が行われるか、減光して撮影が行われるかが判断される。減光すべきと判断された場合には、モータMのコイル16に通電され、図示していない回転子を時計方向へ回転させる。そのため、絞り羽根62は、図12では図示されていない出力ピン20によって、時計方向へ回転させられ、開口42aを開口58a内に進入させていく。その後、絞り羽根62は、図12に示す状態になると、図示していないストッパに当接して停止する。このようにして、絞り羽根62が停止すると、露光制御回路からの信号によって、図示していない固体撮像素子に蓄積されていた電荷が放出され、撮影のための露光が開始する。
【0054】
本実施例の場合には、シャッタ装置を備えていない。そのため、撮影のための露光が開始してから所定時間が経過すると、露光制御回路からの信号によって、固体撮像素子に蓄積された電荷、即ち撮像情報が直ちに記憶装置に転送される。そして、その後、コイル16に対して、上記とは逆方向への通電が行われるため、回転子は反時計方向へ回転して、絞り羽根62を開口58aから退かせていく。絞り羽根62が、開口58aから完全に退いて、図示しないストッパに当接して停止すると、コイル16に対する通電が断たれて、次の撮影の待機状態になる。尚、測光回路の測定結果によって、減光せずに撮影が行われるべきと判断された場合には、モータMのコイル16には通電されず、露光制御回路からの信号によって、図示しない固体撮像素子に蓄積されていた電荷が放出され、撮影のための露光が直ちに開始する。
【実施例5】
【0055】
次に、図13の分解斜視図を用いて、実施例5を説明する。本実施例は、図3に示されたタイプのカメラ付き携帯電話MPに、フィルタ装置ユニットだけを組み付けている。そして、実施例1におけるシャッタ装置と同様に、本体1に対しては、地板63を固体撮像素子4側にし、カバー板64を開口1a側にして配置されている。また、本実施例のアクチュエータも、実施例4と同様に、実施例1で採用されているムービングマグネット型のモータMと実質的に同じ構成をしており、地板63に取り付けられている。従って、モータMの構成部材には、実施例1,4の場合と同じ符号を付けてある。
【0056】
次に、本実施例の構成を説明する。地板63は、撮影光路を規制する円形の開口63aを有している。また、カバー板64は、開口63aより直径の大きな被写体からの光路用の開口と、後述のNDフィルタ板68と接触しないようにするための逃げ部として必要な開口とを連設した、大きな円弧状の開口64aを有しているほか、三つの円孔64b,64c,64dと円弧状の長孔64eを有している。円孔64b,64cは、カバー板64を地板63に取り付けるためのねじ65,66を通すのに用いられる。また、地板63とカバー板64との間に構成される羽根室には、羽根67とNDフィルタ板68とからなるフィルタ羽根が配置されており、羽根67には、開口63aよりも直径の小さな開口67aが形成されている。NDフィルタ板68は、開口67aを覆うように、羽根67のカバー板64側の面に接着されている。
【0057】
羽根67は、開口67aのほかに、円孔67bと長孔67cを有している。円孔67bは、地板63に設けられた図示しない軸に回転可能に嵌合し、その軸の先端は、カバー板64の円孔64dに挿入されている。長孔67cには、モータMの回転子と一体の出力ピン20が挿入され、出力ピン20の先端は、カバー板64の円弧状の長孔64eに挿入されている。そして、図示しないが、本実施例の場合にも、実施例3のストッパ48c,48dに相当する二つのストッパが、地板63の羽根室側の面に設けられている。
【0058】
尚、本実施例の場合には、開口67aの直径が、開口63aの直径よりも小さいが、周知のように、NDフィルタ板68の濃度が薄い場合には、開口63aよりも大きな直径にする場合もある。また、本実施例の場合には、カバー板64は、薄い板材で製作されている。そのため、NDフィルタ板68がカバー板64に接触しないようにするために、逃げ部として、カバー板64には開口を設けており、その開口を、撮影光路用の円形の開口と連接させている。しかしながら、カバー板64を厚い材料で製作した場合には、逃げ部を開口として形成する必要はなく、カバー板64の羽根室側の面に、NDフィルタ板68の作動領域に沿って窪みを形成しても良い。また、NDフィルタ板68は、羽根67の地板63側の面に接着しても良く、その場合には、地板63が厚いので、逃げ部としては、そのような窪みを形成することになる。
【0059】
このような構成をした本実施例のフィルタ羽根は、実施例4における絞り羽根62と全く同様に作動させられる。従って、重複を避けるために、その作動説明は省略する。
【実施例6】
【0060】
次に、図14の分解斜視図を用いて、実施例6を説明する。本実施例は、実施例5と同様に、図3に示されたタイプのカメラ付き携帯電話MPに、フィルタ装置ユニットだけを組み付けている。しかしながら、フィルタ羽根の構成が図3のそれとは異なっている。本実施例のフィルタ羽根は、実施例2で採用されたフィルタ羽根と実質的に同じである。また、図3に示された本体1に対して、地板69を固体撮像素子4側にし、カバー板70を開口1a側にして配置されている。また、本実施例のアクチュエータは、実施例4,5の場合と同様な構成であって、同じ配置で地板69に取り付けられている。従って、本実施例の場合にも、モータMの構成部材には、実施例1,4,5の場合と同じ符号を付けてある。
【0061】
次に、本実施例の構成を説明する。地板69は、撮影光の光路を規制する円形の開口69aを有している。また、カバー板70は、実施例4のカバー板59と同じ形状をしており、開口69aより直径の大きな被写体からの光路用の開口70aと、三つの円孔70b,70c,70dと円弧状の長孔70eを有している。円孔70b,70cは、カバー板70を地板69に取り付けるためのねじ71,72を通すために用いられる。また、地板69とカバー板70の間に構成された羽根室には、フィルタ羽根が配置されている。本実施例のフィルタ羽根は、重合された3枚の羽根73,74,75で構成されている。羽根73,75は、全く同じ形状をしていて、地板69の開口69aよりも若干大きな開口73a,75aと、円孔73b,75bと、長孔73c,75cを有している。
【0062】
また、羽根74は、NDフィルタ板で製作されていて、円孔74aと長孔74bを有している。円孔73b,74a,75bは、地板69に設けられた図示しない軸に回転可能に嵌合しており、その軸の先端は、カバー板70の円孔70dに挿入されている。また、長孔73c,74b,75cは、モータMの回転子と一体の出力ピン20を挿入させており、その出力ピン20の先端は、カバー板70の円弧状の長孔70eに挿入されている。尚、図示しないが、本実施例の場合にも、実施例3のストッパ48c,48dに相当する二つのストッパが、地板69の羽根室側の面に設けられている。
【0063】
このような構成をした本実施例のフィルタ羽根は、実施例4における絞り羽根62や、実施例5におけるフィルタ羽根の場合と全く同じようにして作動させられる。従って、重複を避けるために、その作動説明は省略する。
【実施例7】
【0064】
最後に、図15を用いて、実施を説明する。本実施例は、実施例5と同様に、図3に示されているタイプのカメラ付き携帯電話MPに、フィルタ装置ユニットだけが組み込まれている。そして、実施例1のシャッタ装置と同様に、本体1に対しては、地板76を固体撮像素子4側にし、カバー板77を開口1a側にして配置されている。アクチュエータも、実施例4と同様に、実施例1で採用したムービングマグネット型モータMと実質的に同じ構成を有し、実施例4と同様に地板76に取り付けらている。したがって、モータMの構成部材には、実施例1,4,5及び6と同じ符号を付けてある。
【0065】
次に、本実施例の構成を説明する。地板76は、撮影光路を規制する開口76aを有している。地板76の羽根室側の面には、後述のフィルタ羽根80の、少なくとも開口76bを覆う面とは接触しないようにするために、逃げ部として円弧状に窪み76bが形成されている。また、カバー板77は、図13に示した開口64aと同様に、開口76aより直径の大きな被写体よりの光路用開口と、後述のフィルタ羽根80と接触しないようにするための逃げ部として必要な開口とを連設した、大きな円弧状の開口77aを有しているほか、三つの円孔77b,77c,77dと円弧状の長孔77eを有している。円孔77b,77cは、地板76にカバー板77を取り付けるためのネジ78,79を通すのに用いられる。
【0066】
また、地板76とカバー板77の間に形成される羽根室には、NDフィルタ板を羽根状に形成したフィルタ羽根80が配置されている。フィルタ羽根80は、円孔80aと長孔80bを有している。円孔80aは、地板76に設けられている図示しない軸に回転可能に嵌合させており、その軸の先端は、カバー板77の円孔77dに挿入されている。また、長孔80bは、モータMの回転軸と一体の出力ピン20を挿入させており、出力ピン20の先端は、カバー板77の長孔77eに挿入されている。図示しないが、本実施例においても実施例3のストッパ48c,48dに相当する二つのストッパが、地板76の羽根室側の面に設けられている。逃げ部の高さ方向に余裕がある場合、前述の逃げ部の形状に似た凸条のガイド部を形成することでも同様の効果を得ることが出来る。
【0067】
このように構成した本実施例のフィルタ羽根は実施例5と同様に作動させられる。したがって、重複を避けるため、その作動説明は省略する。
【0068】
尚、上記の各実施例においては、地板とカバー板との間に羽根室を構成しているが、本発明には、特開2000−292827号に記載されているような、羽根室を構成しないシャッタ装置や絞り装置も適用することができる。また、実施例2のように、二つの装置を一つのユニットとする場合は、周知のように羽根室を二つ構成しても良い。更に、上記の各実施例の場合には、アクチュエータとして、ムービングマグネット型モータを採用しているが、本発明は、その種のモータを駆動源とすることには限定されず、ステップモータであっても、プランジャのように一方向へだけはばねで作動する形式であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のカメラ付き携帯用情報端末装置は、シャッタ装置,絞り装置などの羽根部材と、その羽根部材を取り付けている地板とを、装置本体の撮影用開口と撮影光学系との間に配置して、その撮影用開口に透光板を取り付けたから、本体部の薄型化や本体部内のスペースの効率化にとって好適であり、本体部を大型化することなく、画質のよい画像が得られる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタ羽根や絞り羽根などの羽根部材をアクチュエータで往復動させるようにしたカメラを備えた携帯用情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラに採用されているレンズシャッタ装置,絞り装置,フィルタ装置は、各々1枚又は複数枚の羽根部材を有していて、それらをアクチュエータによって往復動させるように構成されている。それらの装置は、それぞれを独立したユニットとして構成することもあるが、それらのうちの二者、又は三者を一つのユニットとして構成することもある。レンズシャッタ装置の場合には、2枚の羽根を用いることが多いが、レンズ口径の小さなカメラの場合には、1枚のみを用いることもある。また、レンズ口径の小さなカメラに採用される絞り装置の場合には、小さい円形の開口を有した1枚の羽根を、必要に応じて撮影光路に進退させるのが普通である。
【0003】
更に、フィルタ装置の場合には、1枚の羽根が、上記の絞り装置の羽根と類似の形状(但し、その開口は、地板に形成された撮影光路規制用の開口と略同じ大きさの場合もある)を有していて、その開口の近傍位置にその開口を覆うようにNDフィルタ板を取り付けた構造が多いが、上記の形状の羽根を2枚用意すると共に、それらの間に、それらの開口を覆うように、NDフィルタ板の羽根を重合させ、3枚の羽根を同時に同方向へ同角度だけ往復回転させるようにした構造も提案されている。
【0004】
ところで、最近の携帯電話やPDAなどの携帯用情報端末装置の傾向は、カメラを装備することにある。ところが、上記のようなシャッタ装置,絞り装置,フィルタ装置がいくら小型化されたとはいっても、アクチュエータを小型化するには自ずと限度があり、装置内での配置構成も容易ではない。また、携帯用情報端末装置自体も、上記のような装置を組み込んだことを理由に、大型にすることは許されない。そのため、それらの装置を組み込めば、画質のよい画像が得られることは分っているが、実際問題としては、組み込まれていないのが現状である(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2001−309003号公報
【特許文献2】特開2003−219229号公報
【発明の開示】
【0005】
特許文献2に記載されているように、従来のカメラ付き携帯用情報端末装置は、本体に撮影用開口が形成されていて、その開口に近接して、本体内部に撮影光学系が配置されている。そして、撮影光学系の光軸方向の寸法を出来るだけ小さくして、本体を極力薄くすることや、内部のスペース効率をよくして、全体を小型にすることが要求されている。他方、上記のようなシャッタ装置,絞り装置,フィルタ装置では、羽根部材が、通常は羽根室内において地板に取り付けられており、アクチュエータは、地板の外面に取り付けられている。そして、通常のカメラでは、羽根部材と地板とは、撮影光学系を構成している複数枚のレンズ間に配置されるのが一般的である。そのため、それらの装置をそのようにして携帯用情報端末装置に組み付けた場合は、アクチュエータが比較的嵩張ることから、撮影光学系の光軸方向の寸法を大きくする結果となったり、本体内のスペース効率を損なう要因になるという問題点がある。
【0006】
このような問題点を解消し、それらの装置を採用し易いようにするためには、羽根部材と地板とを、撮影光学系を構成している複数枚のレンズ間に配置するのではなく、本体の撮影用開口と撮影光学系との間に配置することが考えられる。それによってアクチュエータの配置位置が撮影用開口側に寄せられるので、その分だけ上記の撮影光学系の光軸方向の寸法が大きくならず、本体の薄型化が可能になったり、他の部材を配置するために便利な比較的大きなスペースを確保することができる。ところが、そのような構成にした場合には、従来のように撮影光学系の前面だけが外部に露出しているだけではなく、羽根部材も外部に露出する結果となるため、従来のように、撮影光学系のみならず羽根部材にも埃が付着したり、羽根部材を指で押す可能性があるほか、埃が羽根部材の作動領域の隙間から本体内部に進入する結果となる。
【0007】
そして、埃が羽根部材に付着した場合には、羽根部材の作動に影響を与えるし、撮影光学系に付着した場合には、画質に直接影響を与える。また、羽根部材を誤って指で振れたり押したりした場合は、羽根部材を変形させたり、羽根部材に指紋を付けたりして、羽根部材の作動に影響を与えることになる。また、撮影光学系の構成部品に指紋を付けた場合には、画質に直接影響を与えることになる。更に、埃が羽根部材の作動領域の隙間から本体内部に進入した場合には、やがて、アクチュエータの作動に影響を与えたり、固体撮像素子の結像面に付着したりするほか、カメラ以外の構成部材の機能にも影響を与える結果となる。
【0008】
従来は、撮影光学系の前面に埃や指紋が付着したときには、その表面を拭けばよかった。ところが、羽根部材と地板とを、本体の撮影用開口と撮影光学系との間に配置した場合には、撮影光学系は、元々口径が小さい上に、羽根部材と地板とを配置した分だけ本体の奥へ配置されることになるため、拭き取り作業が容易でなく、完全に清掃することが極めて困難になる。また、特許文献1には、保護カバーを本体に取り付けて、撮影時以外は撮影光学系の前面を保護カバーで覆うようにした構成が記載されているが、そのような保護カバーを採用したとしても、保護カバーを撮影光学系の前面で進退させる操作が面倒であって、撮影後、撮影用開口を覆うことを忘れることもあるし、承知の上で長時間覆わない場合もある。また、撮影の都度、そのような操作を行なったとしても、撮影の際には、本体内部への微細な埃の侵入を防ぐことができない。
【0009】
本発明の目的は、シャッタ装置,絞り装置,フィルタ装置に設けられている羽根部材と、その羽根部材が取り付けられている地板とを、本体の撮影用開口と撮影光学系との間に配置して、本体の薄型化と本体部内のスペースを有効に利用することを可能にすると共に、本体内部に撮影用開口から埃が侵入しないようなカメラ付き携帯用情報端末装置を提供することにある。
【0010】
この目的を達成するために、本発明のカメラ付き携帯用情報端末装置は、撮影用開口を形成した本体と、前記撮影用開口を塞ぐことができるように前記本体に取り付けられた透光板と、前記本体内において前記透光板に面して配置された撮影光学系と、前記撮影光学系の結像面に配置された固体撮像素子と、撮影光の光路規制用開口を有していて該光路規制用開口を前記透光板と前記撮影光学系との間に配置した地板と、前記地板に往復動可能に取り付けられていて前記光路規制用開口に進退可能な少なくとも1枚の羽根部材と、前記地板の前記撮影光学系側の面に取り付けられていて前記羽根部材を駆動するアクチュエータとを備えている。
【0011】
また、上記のカメラ付き携帯用情報端末装置において、さらに、前記地板に往復動可能に取り付けられていて前記光路規制用開口に進退可能な少なくとも1枚の第2羽根部材と、前記地板に取り付けられていて該第2羽根部材を駆動する第2アクチュエータとを備え、前記羽根部材と該第2羽根部材との一方が、シャッタ羽根であり、他方の羽根部材が減光用の羽根部材であるようにしてもよい。その場合、前記減光用の羽根部材が、前記光路規制用開口より小さくて前記光路規制用開口に進退させる開口を有した絞り羽根であって、前記地板に回転可能に取り付けられているようにしてもよいし、また、前記減光用の羽根部材が、前記光路規制用開口に進退させる開口を有した2枚の羽根部材と、該2枚の羽根部材の開口を覆うように該2枚の羽根部材の間に重合された1枚のフィルタ板で製作された羽根部材とで構成されていて、それらの3枚の羽根部材は、前記地板の同一位置に回転可能に取り付けられてもよい。
【0012】
前記羽根部材は、前記光路規制用開口より小さくて前記光路規制用開口に進退する開口を有した絞り羽根であって、前記地板に回転可能に取り付けられていてもよい。
【0013】
また、前記羽根部材は、前記光路規制用開口に進退する開口を有していて該開口を覆うため一方の面にフィルタ板を取り付けたフィルタ羽根であり、該フィルタ羽根は、前記地板と光路用開口を有するカバー板との間に配置され、前記地板と該カバー板のいずれか一方には、前記フィルタ羽根が回転するとき該フィルタ板に接触しないように逃げ部が形成されている。
【0014】
また、前記羽根部材は、前記光路規制用開口に進退する開口を有した2枚の羽根と、該2枚の羽根の開口を覆うように該2枚の羽根の間に重合された1枚のフィルタ板で製作された羽根とで構成されていて、それらの3枚の羽根は、前記地板の同一位置に回転可能に取り付けられている。
【0015】
また、前記羽根部材は、フィルタ板で製作された1枚のフィルタ羽根であり、該フィルタ羽根は、前記地板と、光路用開口を有するカバー板との間に配置されており、前記地板と該カバー板の何れにも、前記フィルタ羽根が回転するとき該フィルタ板に接触しないように逃げ部が形成されている。
【0016】
前記カメラ付き携帯用情報端末装置は、携帯電話、PDA等のモバイル情報端末機及びパーソナルコンピュータの何れにも搭載され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例1の要部断面図である。
【図2】図2は実施例1に用いられたシャッタ装置のユニットを図1の右方から見た平面図である。
【図3】図3は実施例1のシャッタ装置を内蔵した携帯電話の一例の正面図である。
【図4】図4は実施例1のシャッタ装置を内蔵した携帯電話の他の例の正面図である。
【図5】図5は実施例1のシャッタ装置を内蔵したPDAの斜視図である。
【図6】図6は実施例1のシャッタ装置を内蔵したパソコンの斜視図である。
【図7】図7は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例2の要部断面図である。
【図8】図8は実施例2に用いられたシャッタ装置とフィルタ装置のユニットを図7の右方から見た平面図である。
【図9】図9は地板を取り除いて図8の状態における羽根室内を示した平面図である。
【図10】図10は図9に示されたフィルタ羽根の構成部材を示した説明図である。
【図11】図11は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例3に用いられたシャッタ装置を図2と同じようにして見た平面図である。
【図12】図12は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例4に採用されている絞り装置の分解斜視図である。
【図13】図13は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例5に採用されているフィルタ装置の分解斜視図である。
【図14】図14は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例6に採用されているフィルタ装置の分解斜視図である。
【図15】図15は本発明によるカメラ付き携帯用情報端末装置の実施例7に採用されているフィルタ装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を図示した六つの実施例によって説明する。図1〜図6は実施例1を、図7〜図10は実施例2を、図11,図12,図13,図14及び図15はそれぞれ実施例3,4,5,6及び7を説明するために用いられる。
【実施例1】
【0019】
本実施例は、シャッタ装置だけを備えたカメラ付き携帯用情報端末装置の一例である。図1はカメラ付き携帯電話に実施された場合の要部を示す断面図、図2はシャッタ装置のユニットだけを図1の右方から見た平面図、図3は携帯電話の全体を示した正面図である。
【0020】
携帯電話MPの本体1には、撮影用開口1aが形成されている。この撮影用開口1aは、図3に示されているように、通常の場合には円形をしているが、後述の説明からも分かるように、必ずしも円形である必要がない。図1に示すように、本体1の内部側には、透光板2が、その撮影用開口1aを塞ぐため、接着剤などによって取り付けられている。また、本体1の内部には、透光板2に面して撮影光学系3が配置されている。撮影光学系3は、本実施例の場合、レンズ枠3aに取り付けられた3枚のレンズ3b,3c,3dで構成されている。固体撮像素子4は、レンズ3dの後方において撮影光学系3の結像面に配置されており、基板5を介してレンズ枠3aに取り付けられている。このように組み付けられた撮影光学系3と固体撮像素子4とは、図示していない適宜な手段を介して、本体1に取り付けられている。
【0021】
次に、図1及び図2を参照して、本実施例に用いられるシャッタ装置ユニットの構成を説明する。地板6には、ねじ7,8によってカバー板9が取り付けられ、地板6とカバー板9との間には羽根室が構成されている。地板6は、合成樹脂製であって、撮影光の光路を規制する円形の開口6aを有しており、カバー板9も、開口6aより直径の大きな開口9aを有している。地板6とカバー板9とは、それらの開口6a,9aを、透光板2と撮影光学系3の間に配置している。また、図2に示すように、地板6は、羽根室側の面に軸6b,6cを有し、羽根室外の面には位置決めピン6d,6eを有している。羽根室内には、長孔10a,11aを有するシャッタ羽根10,11が配置されていて、軸6b,6cに、夫々、回転可能に取り付けられている。
【0022】
地板6の羽根室外の面には、シャッタ羽根10,11を駆動するアクチュエータが、ねじ12,13によって取り付けられている。このアクチュエータは、ムービングマグネット型モータなどと称されている電流制御式のモータMであって、固定子コイルに対する通電方向に対応して、永久磁石製の回転子が、所定の角度範囲内でだけ往復回転し得るモータである。このモータの構成は、例えば、特開2000−60088号により周知であるが、ここで、その構成を簡単に説明する。
【0023】
モータMの固定子は、第1固定子枠14と、第2固定子枠15と、コイル16と、ヨーク17とで構成されていて、第2固定子枠15に設けられた孔を位置決めピン6d,6eに嵌合させ、ねじ12,13によって地板6に取り付けられている。第1固定子枠14はコップ状をしていて、その開放端を第2固定子枠15で塞ぎ、その両者にコイル16を巻回した後、第1固定子枠14に、円筒形をしたヨーク17を嵌合させている。第1固定子枠14には、鉄ピンと称される5本の磁性体棒18が埋設されている。
【0024】
モータMの回転子は、明示していないが、第1固定子枠14に収容されていて、第1固定子枠14と第2固定子枠15によって軸受けされている。コイル16は、それらの軸受部を囲むようにして巻回されている。また、回転子は、永久磁石製であり、その永久磁石と一体化されていて径方向に張出した合成樹脂製の腕部19の先端には、回転軸と平行になるように出力ピン20が設けられている。出力ピン20は、第2固定子枠15と地板6に形成された図示しない円弧状の長孔を貫通し、羽根室内でシャッタ羽根10,11の長孔10a,11aに嵌合している。
【0025】
このように、本実施例の構成によれば、両者の間に羽根室を構成している地板6とカバー板9とが、本体1内で、透光板2と撮影光学系3との間に配置されているため、図1においてモータを左方へ寄せ、モータの右方に大きな空間を確保することが可能である。従って、シャッタ装置は、本体内のスペース効率をよくした状態で配置されていることになる。もし、地板6とカバー板9とを、撮影光学系3の3枚のレンズ3b,3c,3dの間に配置した場合は、カバー板9の左側とモータMの右側に狭い空間ができるだけであって、他の構成部材の配置構成が面倒になり、本体1の厚さ(図1における左右方向の寸法)を厚くせざるを得ない要因となってしまう。その上、本実施例のように、3枚のレンズ3b,3c,3dを一つのレンズ枠3aに取り付けたり、撮影光学系3と固体撮像素子5をユニット化したりすることが容易ではなくなるため、部品点数が増加したり、組立調整が面倒になって、コストアップになることがある。
【0026】
また、本実施例の構成によれば、撮影用開口1aを塞ぐように、本体1に透光板2を取り付けているので、地板6とカバー板9とを透光板2と撮影光学系3の間に配置しても、外部から指先を入れることはできないし、埃も入らない。仮に、透光板2が取り付けられていない場合には、シャッタ羽根10,11やレンズ3bに指先が触れ、それらの表面を汚すおそれがある。また、埃が侵入した場合には、レンズ3bの表面に付着するし、羽根室内に入ったものは、シャッタ羽根10,11に付着するものもあるし、出力ピン20の作動を可能にするために地板6や第2固定子枠15に設けられた長孔を通過して、回転子を配置している第1固定子枠14内に入るものもある。更に、他の構成部材の配置されているスペースにまで侵入したものは、本実施例のような構成をしていないと、固体撮像素子4の受像面に付着することにもなる。そのため、長い間には、シャッタ装置の作動や撮影した画質に影響を与えることになるが、本実施例の場合にはそのようなことがない。
【0027】
次に、本実施例の作動を簡単に説明する。図2は本実施例の初期状態を示している。即ち、カメラの電源はオンとなっており、シャッタ羽根10,11は開口6aを全開にしている。そのため、固体撮像素子4は被写体からの光にさらされており、被写体像をディスプレーで観察することが可能である。また、このとき、モータのコイル16には通電されていないが、周知のように、図示していない回転子には、その永久磁石と磁性体棒18との間に作用する磁気吸引力によって、時計方向へ回転する力が付与されている。そのため、シャッタ羽根10,11は、出力ピン20によって相反する方向へ回転する力が与えられ、図示しないストッパに接触して、この状態が維持される。
【0028】
撮影に際してレリーズボタンを押すと、図示しない露光制御回路からの信号によって固体撮像素子4に蓄積されていた電荷が放出され、撮影のための露光が開始する。そして、所定の時間が経過すると、露光制御回路からの信号によってモータのコイル16に通電され、回転子が反時計方向へ回転させられる。そのため、シャッタ羽根10,11は、出力ピン20によって相反する方向へ回転させられ、開口部6aを閉鎖し、図示していないストッパに当接して停止する。この閉鎖状態において撮像情報が記憶装置に転送されると、コイル16に対して、上記の場合とは逆方向への通電が行われる。そのため、回転子は時計方向へ回転し、シャッタ羽根10,11に開き作動を行わせる。そして、シャッタ羽根10,11が開口部6aを全開にし、図示していないストッパに当接して停止すると、コイル16に対する通電が断たれ、図2の初期状態に復帰する。
【0029】
尚、上記の説明においては、本発明を、図3に示されているタイプの携帯電話MPとして構成した場合を説明した。しかし、詳細な図面を用いて説明をするまでもなく、携帯用情報端末装置内での配置が同じであれば、本発明は、図4に示すように、本実施例のシャッタ装置を、折りたたみ式の携帯電話MPの本体1に形成された撮影用開口1aの背面に内蔵したものとすることも、図5に示されているように、PDA(Personal Digital Assistants)のような高機能電子手帳PDAの本体1に形成された撮影用開口1aの背面に内蔵したものとすることも、図6に示すように、パソコンPCの本体1に形成された撮影用開口1aの背面に内蔵することも可能である。そして、このことは、以下の各々の実施例で説明する各種の装置の場合も、同様である。
【実施例2】
【0030】
次に、図7〜図10を用いて実施例2を説明する。図7は本実施例の要部断面図であり、図8は図7の右方から見た平面図であり、図9は地板を取り外して図8の状態における羽根室内を示した平面図であり、図10は図9に示されたフィルタ羽根の構成を示した説明図である。本実施例は、シャッタ装置とフィルタ装置を一つのユニットとして構成し、実施例1と同じタイプのカメラ付き携帯電話MPに組み付けたものである。そのユニット以外の構成部材は、形状に多少の違いがあるにしても、実質的に実施例1と同じである。そのため、本実施例の図面においては、そのユニット以外の構成部材に、実施例1と同じ符号を付けてある。
【0031】
以下、本実施例の構成を説明する。携帯電話の本体1には、撮影用開口1aが形成されており、その撮影用開口1aを塞ぐように透光板2が取り付けられている。撮影光学系3は、レンズ枠3aに取り付けられた3枚のレンズ3b,3c,3dで構成されていて、そのレンズ枠3aには、固体撮像素子4が基板5を介して取り付けられている。
【0032】
次に、本実施例に採用されているシャッタ装置とフィルタ装置の構成を説明する。地板21には、ねじ22,23によってカバー板24が取り付けられ、地板21とカバー板24との間に羽根室を構成している。地板21は、合成樹脂製であって、撮影光路を規制する円形の開口21aを有しており、カバー板24も、略同じ直径の開口24aを有している。そして、地板21とカバー板24とは、それらの開口21a,24aを、透光板2と撮影光学系3の間に配置している。また、図9に示すように、地板21は、羽根室側の面に三つの軸21b,21c,21dと、六つのストッパ21e,21f,21g,21h,21i,21jを有していて、軸21b,21c,21dとストッパ21jの先端を、カバー板24に設けられた孔に嵌合させている。尚、図9においては、地板21の円形状の外形を二点鎖線で示してある。
【0033】
羽根室内には、長孔25a,26aを有するシャッタ羽根25,26が配置されていて、軸21b,21cに、夫々、回転可能に取り付けられている。また、シャッタ羽根25よりカバー板24側には、3枚の羽根27,28,29が重ねて配置されている。図10に示されているように、それらのうち、両側に配置された羽根27,29は全く同じ形状をしていて、カバー板24の開口24aよりも若干大きな円形の開口27a,29aをそれぞれ有しており、左端には長孔27b,29bと、円孔27c,29cを有している。また、羽根28は、NDフィルタ板で製作されており、左端には、長孔28aと円孔28bを有している。そして、それらの羽根27,28,29は、円孔27c,28b,29cを軸21dに対して回転可能に嵌合させている。
【0034】
図8に示されているように、地板21の羽根室外の面には、シャッタ羽根25,26を駆動するアクチュエータが、ねじ30,31によって取り付けられ、フィルタ羽根を構成している3枚の羽根27,28,29を駆動するアクチュエータが、ねじ32,33によって取り付けられている。これらのアクチュエータは、実施例1のムービングマグネット型モータとは固定子の構成が異なり、全体として扁平に構成されている。このモータも、固定子コイルに対する通電方向に対応して、永久磁石製の回転子が、所定の角度範囲内でだけ往復回転する電流制御式のムービングマグネット型モータである。しかし、その具体的な構成については、アクチュエータ自体の具体的な構成には直接関係がないので、図示した範囲内でのみ説明する。
【0035】
本実施例の二つのモータM1,M2は、構成が全く同じである。そして、一方のモータM1の固定子は、固定子枠34と、コイル35と、二つのヨーク36,37とで構成されていて、固定子枠34がねじ30,31によって地板21に取り付けられている。また、他方のモータM2の固定子は、固定子枠38と、コイル39と、二つのヨーク40,41とで構成されていて、固定子枠38がねじ32,33によって地板21に取り付けられている。ここでは、一方の固定子の構成だけを具体的に説明する。固定子枠38には筒状のボビン部が形成されていて、その外周にコイル35が巻回されている。また、各々二つの脚部を有するヨーク36,37は重合されていて、各々の一方の脚部を、ボビン部の中空部に挿入し、各々の二つの脚部の先端を固定子の磁極部としている。また、図8においては、明示されていないが、二つのヨーク36,37は全く同じ形状ではなく、ボビン部に挿入していない脚部の先端形状は、実施例1で説明した磁性体棒の役目もするように形成されている。
【0036】
一方のモータM1の回転子42は、地板21と固定子枠34によって軸受けされており、他方のモータM2の回転子43は、地板21と固定子枠38によって軸受けされている。各固定子の磁極部は、それらの回転子42,43の円周面に各々対向させられている。この回転子42,43は永久磁石製であるが、その永久磁石と一体化されていて径方向に張出した腕部44,45の先端には、回転軸と平行な出力ピン46,47が形成されている。それらの出力ピン46,47は、地板21に形成されている図示していない各々の円弧状の長孔を貫通していて、一方の出力ピン46は、羽根室内でシャッタ羽根25,26の長孔25a,26aに嵌合し、その先端を、カバー板24の長孔24bに挿入している。また、他方の出力ピン47は、羽根室内で3枚の羽根27,28,29の長孔27b,28a,29bに嵌合し、その先端を、カバー板24の長孔24cに挿入している。尚、図9においては、このような構成をした回転子42,43、腕部44,45を二点鎖線で示し、出力ピン46,47を断面で示してある。
【0037】
このように、本実施例の構成によれば、羽根室を構成している地板21とカバー板24とが、本体1内で、透光板2と撮影光学系3との間に配置されているため、図7において二つのモータを左方へ寄せ、モータの右方に撮影光学系3の一部を配置することが可能である。従って、シャッタ装置とフィルタ装置を一つにした本実施例のユニットは、スペース効率が極めてよくなる状態で配置されていることになる。そして、その分だけ、本体1の厚さ(図7における左右方向の寸法)を厚くしなくて済み、また、実施例1の構成の場合より、撮影光学系3の下方のスペースを有効に利用できる。また、本実施例の場合にも、撮影用開口1aを塞ぐようにして、本体1に透光板2を取り付けてあるので、実施例1で述べたように、内部の構成部材に指で触れたり、内部へ埃が入ったりしない。
【0038】
次に、本実施例の作動を簡単に説明する。図9は本実施例の初期状態を示している。そのため、シャッタ羽根25,26は、地板21に設けられた光路規制用の開口21aよりも若干直径の大きな開口24aを全開にしており、固体撮像素子4は被写体からの光にさらされている。また、このとき、二つのモータM1,M2のコイル35,39には通電されていないが、実施例1と同等の手段によって、回転子42,43は、この停止状態を維持され、シャッタ羽根25,26をストッパ21e,21fに接触させ、3枚の羽根27,28,29を共にストッパ21iに接触させている。
【0039】
撮影に際してレリーズボタンを押すと、測光結果によって撮影光を減光して撮影すべきかどうかが判断され、減光すべきと判断された場合には、先ず、フィルタ装置用のモータM2のコイル39に通電され、回転子43を反時計方向へ回転させる。そのため、3枚の羽根27,28,29は、出力ピン47によって、同時に反時計方向へ同角度だけ回転させられ、ストッパ21jに当接して停止させられる。それによって、NDフィルタ板で製作された羽根28だけが、地板21に形成された開口21aを覆い、固体撮像素子4に達する撮影光が減光される。このあと、コイル39には、撮影が終了するまで通電を続けてもよいが、通電を断ったとしても、回転子43は、図9の状態に維持されるのと同様の理由により、その回転した位置を維持することが可能である。
【0040】
ここで、本実施例の場合には、フィルタ羽根を3枚の羽根27,28,29で構成している理由を簡単に説明する。通常のフィルタ羽根は、例えば、羽根29のように、開口29aを有する羽根を1枚だけ用意しておき、その開口29aを覆うように、NDフィルタ板を羽根29に接着していた。この場合には、NDフィルタ板が地板又はカバー板に摺接して、傷が付いてしまうため、地板又はカバー板の方には、その摺接面に窪みを形成して、接触しないようにしていた。しかしながら、そのような窪みは、深く形成することが実際上難しいことと、NDフィルタ板の接着の仕方によっては、NDフィルタ板に反りが生じ、結局は摺接する結果となる。また、NDフィルタの接着コストも無視することができない。このようなことから、部品点数は多くなるものの、製作コストを上げずに、NDフィルタ板の透光面に絶対に傷が付かないようにするために、本実施例においては、3枚の羽根27,28,29の重合構成を採用している。
【0041】
尚、本実施例の場合には、羽根27,29の開口27a,29aの直径を、地板21に形成された光路規制用の開口21aより大きくしているが、羽根28の素材であるNDフィルタ板の濃度によっては、開口27a,29aの直径を、開口21aより小さくすることもある。また、本実施例の場合には、フィルタ羽根を、3枚の羽根27,28,29で構成しているが、本発明はそのような構成には限定されず、上記のような1枚の羽根にNDフィルタ板を接着したもの(以下に実施例5として説明する)でも差し支えない。更に、本実施例の場合には、減光用の羽根としてフィルタ羽根を採用しているが、絞り羽根を採用しても差し支えないし、場合によっては、それらの両方を採用しても差し支えない。その場合の絞り羽根の一例としては、以下に実施例4として説明する構成のものが好適である。
【0042】
上記のようにして、3枚の羽根27,28,29が反時計方向へ回転して、ストッパ21jに当接して停止すると、露光制御回路からの信号によって固体撮像素子4に蓄積されていた電荷が放出され、撮影のための露光が開始される。そして、所定時間後には、露光制御回路からの信号によって、シャッタ装置用のモータM1のコイル35に通電される。それによって、回転子42が反時計方向へ回転させられるため、シャッタ羽根25,26は、出力ピン46によって相反する方向へ回転させられ、開口21aを閉鎖し、ストッパ21g,21hに当接して停止する。その後、この閉鎖状態において撮像情報が記憶装置に転送されると、コイル35に対して、上記の場合とは逆方向への通電が行われる。そのため、回転子42は時計方向へ回転し、シャッタ羽根25,26に開き作動を行わせる。そして、シャッタ羽根25,26が開口21aを全開にし、ストッパ21e,21fに当接して停止すると、コイル35に対する通電が断たれる。
【0043】
その後、フィルタ装置用のモータのコイル39に、上記の場合とは逆方向へ通電される。そのため、回転子43は時計方向へ回転し、3枚の羽根27,28,29は、出力ピン47によって、同時に時計方向へ回転させられ、ストッパ21iに当接して停止すると、コイル39への通電が断たれ、図9の初期状態に復帰する。
【実施例3】
【0044】
次に、図11を用いて、実施例3を説明する。本実施例は、実施例1と同様に、図3に示されているタイプのカメラ付き携帯電話MPに、シャッタ装置のユニットだけを組み付けている。そのため、図示していないが、本体1に対するシャッタ装置の全体の配置構成は、実施例1と同じである。図11は、図2と同様の平面図である。また、実施例1のシャッタ装置は、シャッタ羽根を2枚備えていたが、本実施例は、1枚だけしか備えていない。そのシャッタ羽根を駆動するためのアクチュエータは、実施例2で用いられたムービングマグネット型のモータと、実質的に同じである。従って、本実施例の説明は、実施例1,2よりも簡単に行なわれる。
【0045】
先ず、本実施例の構成を説明する。地板48は、撮影光の光路を規制する円形の開口48aを有している。図示しないが、地板48の背面側には、地板48と略同じ外形をしたカバー板が取り付けられており、地板48との間に羽根室を構成している。そのカバー板にも、開口48aと同心で、開口48aより若干直径の大きな開口が形成されている。また、両者は、携帯電話内で、カバー板を被写体側にして配置され、図示しない本体に対して、適宜な手段によって取り付けられている。更に、地板48は、羽根室側の面に軸48bとストッパ48c,48dを有しており、軸48bには、シャッタ羽根49が回転可能に取り付けられている。シャッタ羽根49には、長孔49aが形成されている。
【0046】
地板48の羽根室外の面には、シャッタ羽根49を駆動するアクチュエータが、ねじ50,51によって取り付けられている。このアクチュエータは、実施例2のモータM1,M2と同様に扁平型のムービングマグネットモータMであり、具体的な構成も、モータM1,M2と実質的に同じである。従って、本実施例のモータMは、固定子が、固定子枠52と、コイル53と、ヨーク54とで構成されていて、その固定子枠52がねじ50,51によって地板48に取り付けられている。そして、ヨーク54は、その二つの脚部の先端を磁極部としている。尚、本実施例の場合には、実施例2のように、二つのヨークを重合させていないが、固定子枠52のボビンに挿入されていない脚部の先端は、実施例1で説明した磁性体棒18の役目もするように成形されている。
【0047】
回転子55は、地板48と固定子枠52によって軸受けされている。そして、ヨーク55の二つの磁極部は、回転子55の円周面に対向させられている。また、回転子55の径方向に張出した腕部56の先端には、出力ピン57が形成されている。出力ピン57は、地板48に形成されている図示しない円弧状の長孔を貫通し、羽根室内でシャッタ羽根49の長孔49aに嵌合している。尚、本実施例の場合にも、実施例1,2と同様に、図11では図示していない本体1に、その撮影用開口1aを塞ぐように、透光板2を取り付けていることはいうまでもない。これは、以下の各実施例の場合も同じである。
【0048】
次に、本実施例の作動を簡単に説明する。図11は、シャッタ羽根49が開口48aを閉じた状態を示している。撮影前に、このような状態にあることは、表示装置によって予め被写体の観察ができないため、好ましくない。しかしながら、本実施例に用いられるモータMは、携帯時に激しい振動が加わると、回転子55が回転させられて、このような閉鎖状態にさせられてしまうことがある。そのような事態は、これまで説明をしなかったが、上記の各実施例の場合にも当然発生し得ることである。そのような事態が発生しないようにするため、携帯電話の電源を入れたときには、必ずコイル53に、回転子55を時計方向へ回転させるための電流が供給されるようにする。そのため、本実施例のように、閉鎖状態になっていた場合には、その電流の供給によって、シャッタ羽根49が反時計方向へ回転させられ、ストッパ48dに当接して停止させられる。
【0049】
その停止状態が、本実施例におけるシャッタ装置の初期状態であり、そのときには、開口部48aが全開になっていて、撮影前に、被写体像の観察が可能になる。その後は、実施例1,2の場合と同様であって、撮影に際してレリーズボタンを押すと、露光制御回路からの信号によって固体撮像素子4に蓄積されていた電荷が放出され、撮影のための露光が開始する。そして、所定時間後に、露光制御回路からの信号によって、コイル53に通電されると、回転子55が反時計方向へ回転させられるため、シャッタ羽根49は、出力ピン57によって時計方向へ回転させられて開口48aを閉鎖し、ストッパ48cに当接して、図11に示された状態になる。その後、この閉鎖状態において撮像情報が記憶装置に転送されると、コイル53に対して、上記とは逆方向への通電が行われる。そのため、回転子55は時計方向へ回転し、シャッタ羽根49に開き作動を行わせる。そして、シャッタ羽根49が開口48aを全開にし、ストッパ48dに当接して停止すると、コイル53に対する通電が断たれて、次の撮影の待機状態となる。
【実施例4】
【0050】
次に、図12を用いて、実施例4を説明する。本実施例は、図3に示されたタイプのカメラ付き携帯電話MPに、絞り装置のユニットだけを組み付けている。図12では分からないが、実際には、実施例1におけるシャッタ装置の場合と同様に、本体1に対しては、地板58を固体撮像素子4側にし、カバー板59を開口1a側にして配置されている。また、本実施例のアクチュエータは、実施例1で用いられたムービングマグネット型モータMと実質的に同じ構成をしており、開口58aに対して向きを変えて、地板58に取り付けられている。従って、モータMの構成部材には、実施例1の場合と同じ符号を付けてある。尚、図12には、回転子,腕部19,出力ピン20が明示されていない。しかしながら、回転子の配置構成は、実施例1の説明から理解することができるであろう。また、本実施例の場合には、出力ピン20は、回転子から、ねじ13側に延伸した腕部19の先端に設けられる。また、アクチュエータとしては、実施例2,3に記載されたアクチュエータを用いてもよい。そして、これらのことは以下に説明する各実施例の場合も同じである。
【0051】
次に、本実施例の構成を簡単に説明する。地板58は、撮影光の光路を規制する円形の開口58aを有している。また、カバー板59は、開口58aより若干直径の大きな開口59aを有しているほか、三つの円孔59b,59c,59dと円弧状の長孔59eを有している。円孔59b,59cは、ねじ60,61によって地板58にカバー板59を結合するのに用いられる。地板58とカバー板59の間に形成される羽根室には、絞り羽根62が配置される。この絞り羽根62は、開口58aよりも直径の小さな開口62aと、円孔62bと、長孔62cを有している。円孔62bは、地板58に設けられた図示しない軸に回転可能に嵌合しており、その軸の先端は、カバー板59の円孔59dに挿入されている。長孔62cには、モータMの回転子と一体の上記出力ピン20が挿入されており、出力ピン20の先端は、カバー板59の円弧状の長孔59eに挿入されている。尚、図示しないが、本実施例の場合にも、実施例3のストッパ48c,48dに相当する二つのストッパが、地板58の羽根室側の面に設けられている。
【0052】
次に、本実施例の作動を簡単に説明する。本実施例の絞り羽根62は、往復回転することによって、開口62aを、地板58の開口58a内に進入させたり開口58aから退避させたりする。図12は、開口62aを開口58aに進入させた状態を示している。撮影前に、このような状態となっていると、被写体光が減光され、表示装置によって観察する被写体像が暗くなるので、好ましくない。しかしながら、実施例3で説明したように、実際には、撮影前に開口62aが開口58a内に進入した状態になっていることがある。そのために、携帯電話の電源スイッチを入れたときには、必ずコイル16に対して、回転子を反時計方向へ回転させる電流が供給されるようになっている。従って、絞り羽根62が、たまたま図12の状態になっていた場合には、電源スイッチを入れると同時に反時計方向へ回転させられ、開口部58aから完全に退いた段階で、図示していないストッパに当接して停止させられる。この停止状態が、本実施例の絞り装置の初期状態である。尚、最初から初期状態が得られている場合には、電源スイッチを入れてコイル16に通電されたとき、絞り羽根62は、図示していないストッパに押し付けられるだけである。
【0053】
その後、撮影に際してレリーズボタンを押すと、測光回路の測定結果によって、その状態で撮影が行われるか、減光して撮影が行われるかが判断される。減光すべきと判断された場合には、モータMのコイル16に通電され、図示していない回転子を時計方向へ回転させる。そのため、絞り羽根62は、図12では図示されていない出力ピン20によって、時計方向へ回転させられ、開口42aを開口58a内に進入させていく。その後、絞り羽根62は、図12に示す状態になると、図示していないストッパに当接して停止する。このようにして、絞り羽根62が停止すると、露光制御回路からの信号によって、図示していない固体撮像素子に蓄積されていた電荷が放出され、撮影のための露光が開始する。
【0054】
本実施例の場合には、シャッタ装置を備えていない。そのため、撮影のための露光が開始してから所定時間が経過すると、露光制御回路からの信号によって、固体撮像素子に蓄積された電荷、即ち撮像情報が直ちに記憶装置に転送される。そして、その後、コイル16に対して、上記とは逆方向への通電が行われるため、回転子は反時計方向へ回転して、絞り羽根62を開口58aから退かせていく。絞り羽根62が、開口58aから完全に退いて、図示しないストッパに当接して停止すると、コイル16に対する通電が断たれて、次の撮影の待機状態になる。尚、測光回路の測定結果によって、減光せずに撮影が行われるべきと判断された場合には、モータMのコイル16には通電されず、露光制御回路からの信号によって、図示しない固体撮像素子に蓄積されていた電荷が放出され、撮影のための露光が直ちに開始する。
【実施例5】
【0055】
次に、図13の分解斜視図を用いて、実施例5を説明する。本実施例は、図3に示されたタイプのカメラ付き携帯電話MPに、フィルタ装置ユニットだけを組み付けている。そして、実施例1におけるシャッタ装置と同様に、本体1に対しては、地板63を固体撮像素子4側にし、カバー板64を開口1a側にして配置されている。また、本実施例のアクチュエータも、実施例4と同様に、実施例1で採用されているムービングマグネット型のモータMと実質的に同じ構成をしており、地板63に取り付けられている。従って、モータMの構成部材には、実施例1,4の場合と同じ符号を付けてある。
【0056】
次に、本実施例の構成を説明する。地板63は、撮影光路を規制する円形の開口63aを有している。また、カバー板64は、開口63aより直径の大きな被写体からの光路用の開口と、後述のNDフィルタ板68と接触しないようにするための逃げ部として必要な開口とを連設した、大きな円弧状の開口64aを有しているほか、三つの円孔64b,64c,64dと円弧状の長孔64eを有している。円孔64b,64cは、カバー板64を地板63に取り付けるためのねじ65,66を通すのに用いられる。また、地板63とカバー板64との間に構成される羽根室には、羽根67とNDフィルタ板68とからなるフィルタ羽根が配置されており、羽根67には、開口63aよりも直径の小さな開口67aが形成されている。NDフィルタ板68は、開口67aを覆うように、羽根67のカバー板64側の面に接着されている。
【0057】
羽根67は、開口67aのほかに、円孔67bと長孔67cを有している。円孔67bは、地板63に設けられた図示しない軸に回転可能に嵌合し、その軸の先端は、カバー板64の円孔64dに挿入されている。長孔67cには、モータMの回転子と一体の出力ピン20が挿入され、出力ピン20の先端は、カバー板64の円弧状の長孔64eに挿入されている。そして、図示しないが、本実施例の場合にも、実施例3のストッパ48c,48dに相当する二つのストッパが、地板63の羽根室側の面に設けられている。
【0058】
尚、本実施例の場合には、開口67aの直径が、開口63aの直径よりも小さいが、周知のように、NDフィルタ板68の濃度が薄い場合には、開口63aよりも大きな直径にする場合もある。また、本実施例の場合には、カバー板64は、薄い板材で製作されている。そのため、NDフィルタ板68がカバー板64に接触しないようにするために、逃げ部として、カバー板64には開口を設けており、その開口を、撮影光路用の円形の開口と連接させている。しかしながら、カバー板64を厚い材料で製作した場合には、逃げ部を開口として形成する必要はなく、カバー板64の羽根室側の面に、NDフィルタ板68の作動領域に沿って窪みを形成しても良い。また、NDフィルタ板68は、羽根67の地板63側の面に接着しても良く、その場合には、地板63が厚いので、逃げ部としては、そのような窪みを形成することになる。
【0059】
このような構成をした本実施例のフィルタ羽根は、実施例4における絞り羽根62と全く同様に作動させられる。従って、重複を避けるために、その作動説明は省略する。
【実施例6】
【0060】
次に、図14の分解斜視図を用いて、実施例6を説明する。本実施例は、実施例5と同様に、図3に示されたタイプのカメラ付き携帯電話MPに、フィルタ装置ユニットだけを組み付けている。しかしながら、フィルタ羽根の構成が図3のそれとは異なっている。本実施例のフィルタ羽根は、実施例2で採用されたフィルタ羽根と実質的に同じである。また、図3に示された本体1に対して、地板69を固体撮像素子4側にし、カバー板70を開口1a側にして配置されている。また、本実施例のアクチュエータは、実施例4,5の場合と同様な構成であって、同じ配置で地板69に取り付けられている。従って、本実施例の場合にも、モータMの構成部材には、実施例1,4,5の場合と同じ符号を付けてある。
【0061】
次に、本実施例の構成を説明する。地板69は、撮影光の光路を規制する円形の開口69aを有している。また、カバー板70は、実施例4のカバー板59と同じ形状をしており、開口69aより直径の大きな被写体からの光路用の開口70aと、三つの円孔70b,70c,70dと円弧状の長孔70eを有している。円孔70b,70cは、カバー板70を地板69に取り付けるためのねじ71,72を通すために用いられる。また、地板69とカバー板70の間に構成された羽根室には、フィルタ羽根が配置されている。本実施例のフィルタ羽根は、重合された3枚の羽根73,74,75で構成されている。羽根73,75は、全く同じ形状をしていて、地板69の開口69aよりも若干大きな開口73a,75aと、円孔73b,75bと、長孔73c,75cを有している。
【0062】
また、羽根74は、NDフィルタ板で製作されていて、円孔74aと長孔74bを有している。円孔73b,74a,75bは、地板69に設けられた図示しない軸に回転可能に嵌合しており、その軸の先端は、カバー板70の円孔70dに挿入されている。また、長孔73c,74b,75cは、モータMの回転子と一体の出力ピン20を挿入させており、その出力ピン20の先端は、カバー板70の円弧状の長孔70eに挿入されている。尚、図示しないが、本実施例の場合にも、実施例3のストッパ48c,48dに相当する二つのストッパが、地板69の羽根室側の面に設けられている。
【0063】
このような構成をした本実施例のフィルタ羽根は、実施例4における絞り羽根62や、実施例5におけるフィルタ羽根の場合と全く同じようにして作動させられる。従って、重複を避けるために、その作動説明は省略する。
【実施例7】
【0064】
最後に、図15を用いて、実施を説明する。本実施例は、実施例5と同様に、図3に示されているタイプのカメラ付き携帯電話MPに、フィルタ装置ユニットだけが組み込まれている。そして、実施例1のシャッタ装置と同様に、本体1に対しては、地板76を固体撮像素子4側にし、カバー板77を開口1a側にして配置されている。アクチュエータも、実施例4と同様に、実施例1で採用したムービングマグネット型モータMと実質的に同じ構成を有し、実施例4と同様に地板76に取り付けらている。したがって、モータMの構成部材には、実施例1,4,5及び6と同じ符号を付けてある。
【0065】
次に、本実施例の構成を説明する。地板76は、撮影光路を規制する開口76aを有している。地板76の羽根室側の面には、後述のフィルタ羽根80の、少なくとも開口76bを覆う面とは接触しないようにするために、逃げ部として円弧状に窪み76bが形成されている。また、カバー板77は、図13に示した開口64aと同様に、開口76aより直径の大きな被写体よりの光路用開口と、後述のフィルタ羽根80と接触しないようにするための逃げ部として必要な開口とを連設した、大きな円弧状の開口77aを有しているほか、三つの円孔77b,77c,77dと円弧状の長孔77eを有している。円孔77b,77cは、地板76にカバー板77を取り付けるためのネジ78,79を通すのに用いられる。
【0066】
また、地板76とカバー板77の間に形成される羽根室には、NDフィルタ板を羽根状に形成したフィルタ羽根80が配置されている。フィルタ羽根80は、円孔80aと長孔80bを有している。円孔80aは、地板76に設けられている図示しない軸に回転可能に嵌合させており、その軸の先端は、カバー板77の円孔77dに挿入されている。また、長孔80bは、モータMの回転軸と一体の出力ピン20を挿入させており、出力ピン20の先端は、カバー板77の長孔77eに挿入されている。図示しないが、本実施例においても実施例3のストッパ48c,48dに相当する二つのストッパが、地板76の羽根室側の面に設けられている。逃げ部の高さ方向に余裕がある場合、前述の逃げ部の形状に似た凸条のガイド部を形成することでも同様の効果を得ることが出来る。
【0067】
このように構成した本実施例のフィルタ羽根は実施例5と同様に作動させられる。したがって、重複を避けるため、その作動説明は省略する。
【0068】
尚、上記の各実施例においては、地板とカバー板との間に羽根室を構成しているが、本発明には、特開2000−292827号に記載されているような、羽根室を構成しないシャッタ装置や絞り装置も適用することができる。また、実施例2のように、二つの装置を一つのユニットとする場合は、周知のように羽根室を二つ構成しても良い。更に、上記の各実施例の場合には、アクチュエータとして、ムービングマグネット型モータを採用しているが、本発明は、その種のモータを駆動源とすることには限定されず、ステップモータであっても、プランジャのように一方向へだけはばねで作動する形式であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のカメラ付き携帯用情報端末装置は、シャッタ装置,絞り装置などの羽根部材と、その羽根部材を取り付けている地板とを、装置本体の撮影用開口と撮影光学系との間に配置して、その撮影用開口に透光板を取り付けたから、本体部の薄型化や本体部内のスペースの効率化にとって好適であり、本体部を大型化することなく、画質のよい画像が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影用開口を形成した本体と、前記撮影用開口を塞ぐため前記本体に取り付けられた透光板と、前記本体内において前記透光板に面して配置された撮影光学系と、前記撮影光学系の結像面に配置された固体撮像素子と、撮影光の光路規制用開口を有していて該光路規制用開口を前記透光板と前記撮影光学系との間に配置した地板と、前記地板に往復作動可能に取り付けられていて前記光路規制用開口に進退可能な少なくとも1枚の羽根部材と、前記地板の前記撮影光学系側の面に取り付けられていて前記羽根部材を駆動するアクチュエータと、を備えているカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項2】
前記地板に往復動可能に取り付けられていて前記光路規制用開口に対して進退可能な少なくとも1枚の第2羽根部材と、前記地板に取り付けられていて該第2羽根部材を駆動する第2アクチュエータと、を備えていて、前記羽根部材と該第2羽根部材との一方が、シャッタ羽根であり、他方の羽根部材が減光用羽根である請求項1に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項3】
前記減光用羽根が、前記光路規制用開口より小さくて前記光路規制用開口に対して進退する開口を有した絞り羽根であって、前記地板に回転可能に取り付けられている請求項2に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項4】
前記減光用羽根が、前記光路規制用開口に対して進退する開口を有した2枚の羽根部材と、該2枚の羽根部材の開口を覆うため該2枚の羽根部材の間に重合された1枚のフィルタ板で製作された羽根部材とで構成されていて、前記3枚の羽根部材は、前記地板の同一位置に回転可能に取り付けられている請求項2に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項5】
前記羽根部材が、前記光路規制用開口より小さくて前記光路規制用開口に対して進退する開口を有した絞り羽根であって、前記地板に回転可能に取り付けられている請求項1に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項6】
前記羽根部材が、前記光路規制用開口に対して進退する開口を有していて該開口を覆うため一方の面にフィルタ板を取り付けたフィルタ羽根であり、該フィルタ羽根は、前記地板と光路用開口を有するカバー板との間に配置されており、前記地板と該カバー板のいずれか一方には、前記フィルタ羽根が回転するとき前記フィルタ板に接触しないように逃げ部が形成されている請求項1に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項7】
前記羽根部材が、前記光路規制用開口に対して進退する開口を有した2枚の羽根部材と、該2枚の羽根部材の開口を覆うため該2枚の羽根部材の間に重合された1枚のフィルタ板で製作された羽根部材とで構成されていて、前記3枚の羽根部材は、前記地板の同一位置に回転可能に取り付けられている請求項1に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項8】
前記羽根部材が、フィルタ板で製作された1枚のフィルタ羽根であり、該フィルタ羽根は、前記地板と、光路用開口を有するカバー板との間に配置されており、前記地板と該カバー板の何れにも、前記フィルタ羽根が回転するとき該フィルタ板に接触しないように逃げ部が形成されている請求項1に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項9】
前記カメラ付き携帯用情報端末装置は、携帯電話に搭載されている請求項1乃至8のいずれかに記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項10】
前記カメラ付き携帯用情報端末装置は、PDA等のモバイル情報端末機に搭載されている請求項1乃至8のいずれかに記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項11】
前記カメラ付き携帯用情報端末装置は、パーソナルコンピュータに搭載されている請求項1乃至8のいずれかに記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項1】
撮影用開口を形成した本体と、前記撮影用開口を塞ぐため前記本体に取り付けられた透光板と、前記本体内において前記透光板に面して配置された撮影光学系と、前記撮影光学系の結像面に配置された固体撮像素子と、撮影光の光路規制用開口を有していて該光路規制用開口を前記透光板と前記撮影光学系との間に配置した地板と、前記地板に往復作動可能に取り付けられていて前記光路規制用開口に進退可能な少なくとも1枚の羽根部材と、前記地板の前記撮影光学系側の面に取り付けられていて前記羽根部材を駆動するアクチュエータと、を備えているカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項2】
前記地板に往復動可能に取り付けられていて前記光路規制用開口に対して進退可能な少なくとも1枚の第2羽根部材と、前記地板に取り付けられていて該第2羽根部材を駆動する第2アクチュエータと、を備えていて、前記羽根部材と該第2羽根部材との一方が、シャッタ羽根であり、他方の羽根部材が減光用羽根である請求項1に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項3】
前記減光用羽根が、前記光路規制用開口より小さくて前記光路規制用開口に対して進退する開口を有した絞り羽根であって、前記地板に回転可能に取り付けられている請求項2に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項4】
前記減光用羽根が、前記光路規制用開口に対して進退する開口を有した2枚の羽根部材と、該2枚の羽根部材の開口を覆うため該2枚の羽根部材の間に重合された1枚のフィルタ板で製作された羽根部材とで構成されていて、前記3枚の羽根部材は、前記地板の同一位置に回転可能に取り付けられている請求項2に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項5】
前記羽根部材が、前記光路規制用開口より小さくて前記光路規制用開口に対して進退する開口を有した絞り羽根であって、前記地板に回転可能に取り付けられている請求項1に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項6】
前記羽根部材が、前記光路規制用開口に対して進退する開口を有していて該開口を覆うため一方の面にフィルタ板を取り付けたフィルタ羽根であり、該フィルタ羽根は、前記地板と光路用開口を有するカバー板との間に配置されており、前記地板と該カバー板のいずれか一方には、前記フィルタ羽根が回転するとき前記フィルタ板に接触しないように逃げ部が形成されている請求項1に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項7】
前記羽根部材が、前記光路規制用開口に対して進退する開口を有した2枚の羽根部材と、該2枚の羽根部材の開口を覆うため該2枚の羽根部材の間に重合された1枚のフィルタ板で製作された羽根部材とで構成されていて、前記3枚の羽根部材は、前記地板の同一位置に回転可能に取り付けられている請求項1に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項8】
前記羽根部材が、フィルタ板で製作された1枚のフィルタ羽根であり、該フィルタ羽根は、前記地板と、光路用開口を有するカバー板との間に配置されており、前記地板と該カバー板の何れにも、前記フィルタ羽根が回転するとき該フィルタ板に接触しないように逃げ部が形成されている請求項1に記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項9】
前記カメラ付き携帯用情報端末装置は、携帯電話に搭載されている請求項1乃至8のいずれかに記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項10】
前記カメラ付き携帯用情報端末装置は、PDA等のモバイル情報端末機に搭載されている請求項1乃至8のいずれかに記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【請求項11】
前記カメラ付き携帯用情報端末装置は、パーソナルコンピュータに搭載されている請求項1乃至8のいずれかに記載のカメラ付き携帯用情報端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【国際公開番号】WO2005/036251
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【発行日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514649(P2005−514649)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015145
【国際出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【発行日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/015145
【国際出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
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