説明

カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物、カラーフィルタ及び液晶表示装置

【課題】顔料分散性に優れると共に、アルカリ現像性に優れ、カラーフィルタの薄膜化を可能にするカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を提供する。
【解決手段】(A)顔料分散剤と、(B)赤色顔料と、(C)アルカリ可溶性樹脂と、(D)多官能性モノマーと、(E)光開始剤と、(F)溶媒とを有するカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物であって、前記(E)光開始剤が下記一般式(IV)で表される化合物であるカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物、カラーフィルタ及び液晶表示装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、顔料分散性に優れると共に、アルカリ現像性に優れ、カラーフィルタの薄膜化を可能にするカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物、該レジスト組成物を用いて形成されたカラーフィルタ及びこのカラーフィルタを有する液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴って、液晶ディスプレイの需要が増加している。また、最近においては家庭用の液晶テレビの普及率も高まっており、益々液晶ディスプレイの市場は拡大する状況にある。さらに近年普及している液晶ディスプレイは大画面化の傾向があり、特に家庭用の液晶テレビに関してはその傾向が強くなってきている。このような状況において、液晶ディスプレイを構成する部材についてはより低コストで高品質なものを高生産性で製造することが望まれており、特に液晶ディスプレイをカラー表示化させる機能を有するカラーフィルタにおいては、従来高コストであったことからこのような要望が高まっている。
【0003】
ここで、一般的なカラーフィルタの製造方法としては、遮光部がパターン状に形成された基板上に、各色の顔料を分散させた光硬化性レジスト組成物からなる塗膜を形成し、所望のパターン形状のフォトマスクを介して露光・アルカリ現像することにより、各色の着色層をパターン状に形成する方法が用いられる。
【0004】
このようなカラーフィルタの製造に用いられる光硬化性レジスト組成物としては、通常、上述した各色の顔料に加えて、顔料を均一に分散させるために添加される顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、多官能性モノマー、光開始剤、及び溶剤を有するものが用いられる。光硬化性レジスト組成物に用いられる顔料分散剤としては、カラーフィルタの着色層とする際に顔料の分散性が不十分であると、着色層に色ムラ等が生じるおそれがあることから、優れた分散性を有するものが用いられている。優れた分散性を有する顔料分散剤としては、芳香族エステル、芳香族アミン、及び/又は第4アンモニウム基を有するグラフト共重合体が用いられたもの(例えば、特許文献1)が開示されている。また、窒素原子含むモノマーを主鎖とし、末端にエチレン性不飽和二重結合を有するマクロモノマーを側鎖とするグラフト共重合体を含む顔料分散体も開示されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
近年、液晶表示装置の更なる高精細化、バックライトの省電力化、高輝度化の要求が高まっており、カラーフィルタの更なる高透過率化、高コントラスト化や薄膜化のための高顔料濃度化が求められている。このような要求を達成するため、顔料の微細化が求められている。そのため上記光硬化性レジスト組成物中における顔料の表面積が増大することになり、顔料を均一に分散させるために必要となる顔料分散剤の添加量を増加させる必要が生じている。
しかしながら、特許文献1に開示されるような、4級アンモニウム塩基を含む従来型の顔料分散剤では、その添加量を増加することにより顔料の均一分散性を確保することはできるが、アルカリ現像性が低下し、アルカリ現像に要する時間の長時間化や、基板上に未露光の光硬化性レジスト組成物が残存するといった問題が生じ、生産性及び品質の低下が生じるといった問題があった。特許文献2に開示されるような顔料分散体では、レジスト組成物中の顔料濃度が増加するにつれて分散剤の量が増加するため、特許文献1に開示される顔料分散剤と同様に現像性が低下するという点で不十分であった。
また、特許文献3には、カラーフィルタの薄膜化を目的とした、特定の高分子結合剤や光開始剤を用いたカラーレジスト組成物が開示されている。しかし、特許文献3に開示されるようなカラーレジスト組成物では、薄膜化を達成するために組成物中の顔料濃度を増加させても現像性は損なわれないが、顔料に対する分散剤の使用量が少ないために顔料分散性が不十分となり、微細化された顔料への適用が困難であり、良好な光学特性を得る点で不十分であった。
【0006】
【特許文献1】特開2003−517065号公報
【特許文献2】特開2003−26949号公報
【特許文献3】特開2003−149801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況下になされたものであり、顔料分散性に優れると共に、アルカリ現像性に優れ、カラーフィルタの薄膜化を可能にするカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物、該レジスト組成物を用いて形成されたカラーフィルタ及びこのカラーフィルタを有する液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、顔料分散剤と、顔料と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤と、溶媒とを含み、かつ前記顔料分散剤として、特定の構造を有するブロック共重合体の有機リン酸化合物を用い、かつ光開始剤として、特定の構造を有する化合物を用いてなるレジスト組成物が、顔料分散性に優れると共に、アルカリ現像性に優れ、カラーフィルタの薄膜化を可能にし、その目的に適合し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)(A)顔料分散剤と、(B)赤色顔料と、(C)アルカリ可溶性樹脂と、(D)多官能性モノマーと、(E)光開始剤と、(F)溶媒とを有するカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物であって、前記(A)顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される構成単位(1)と、下記一般式(II)で表される構成単位(2)とを有し、さらに前記構成単位(1)が有するアミノ基と、下記一般式(III)で表される有機リン酸化合物とが塩を形成したブロック共重合体であり、前記(E)光開始剤が下記一般式(IV)で表される化合物であることを特徴とするカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物、
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

【0012】
【化3】

【0013】
【化4】

【0014】
[式(I)〜(IV)中、R1は水素原子又はメチル基、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R6)−CH(R7)−O]x−CH(R6)−CH(R7)−又は[(CH2y−O]z−(CH2y−で示される2価の基、R4は、炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−[CH(R6)−CH(R7)−O]x−R8又は−[(CH2y−O]z−R8で示される1価の基、R5及びR5'は、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−[CH(R9)−CH(R10)−O]a−R11、−[(CH2b−O]c−R11又は−O−R5''で示される1価であり、R5及びR5'の少なくとも一方は水素原子、及びヒドロキシル基以外の基である。
5''は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−[CH(R9)−CH(R10)−O]a−R11、又は−[(CH2b−O]c−R11で示される1価の基である。
6、R7、R9及びR10は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基、R8及びR11はそれぞれ独立に水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COOR12で示される1価の基であり、R12は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
13〜R26は、それぞれ独立して水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、ケトン基、芳香族基、又は脂肪族基を示す。
x及びaは0〜18の整数、y及びbは1〜5の整数、z及びcは0〜18の整数、m及びnは、それぞれ1〜200の整数を示す。]
(2)一般式(III)におけるR5及びR5'が、重合性基を有するものである上記(1)に記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物、
(3)前記重合性基が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びアリル基から選ばれる少なくとも一種である上記(2)に記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物、
(4)(B)赤色顔料が、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド242及びC.I.ピグメントレッド177から選ばれる少なくとも一種である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物、
(5)(B)赤色顔料の平均粒径が、10〜100nmである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物、
(6)(D)多官能性モノマーが、エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物、
(7)前記エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物が、多官能(メタ)アクリレートである上記(6)に記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物、
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を用いて形成されてなる着色層を有することを特徴とするカラーフィルタ、及び
(9)上記(8)に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、顔料分散性に優れると共に、アルカリ現像性に優れ、カラーフィルタの薄膜化を可能にするカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物、該レジスト組成物を用いて形成されたカラーフィルタ及びこのカラーフィルタを有する液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
まず、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物について説明する。
[カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物]
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物(以下、単にネガ型レジスト組成物と称することがある。)は、(A)顔料分散剤と、(B)赤色顔料と、(C)アルカリ可溶性樹脂と、(D)多官能性モノマーと、(E)光開始剤と、(F)溶媒とを含むものである。
【0017】
((A)顔料分散剤)
本発明のネガ型レジスト組成物において、(A)成分として用いられる顔料分散剤は、下記一般式(I)で表される構成単位(1)と、下記一般式(II)で表される構成単位(2)とを有し、さらに前記構成単位(1)が有するアミノ基と、下記一般式(III)で表される有機リン酸化合物とが塩を形成したブロック共重合体(以下、塩型ブロック共重合体と称することがある。)である。
【0018】
【化5】

【0019】
【化6】

【0020】
【化7】

【0021】
[式(I)〜(III)中、R1は水素原子又はメチル基、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R6)−CH(R7)−O]x−CH(R6)−CH(R7)−又は[(CH2y−O]z−(CH2y−で示される2価の基、R4は、炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−[CH(R6)−CH(R7)−O]x−R8又は−[(CH2y−O]z−R8で示される1価の基、R5及びR5'は、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−[CH(R9)−CH(R10)−O]a−R11、−[(CH2b−O]c−R11又は−O−R5''で示される1価の基であり、R5及びR5'の少なくとも一方は水素原子、及びヒドロキシル基以外の基である。
5''は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−[CH(R9)−CH(R10)−O]a−R11、又は−[(CH2b−O]c−R11で示される1価の基である。
6、R7、R9及びR10は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基、R8及びR11はそれぞれ独立に水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COOR12で示される1価の基であり、R12は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
x及びaは0〜18の整数、y及びbは1〜5の整数、z及びcは0〜18の整数、m及びnは、それぞれ1〜200の整数を示す。]
【0022】
本発明によれば、上記一般式(I)で表される構成単位(1)と、上記一般式(II)で表される構成単位(2)とを有し、かつ上記構成単位(1)が有するアミノ基と、上記一般式(III)で表される有機リン酸化合物とが塩を形成した塩型ブロック共重合体であることにより、塩形成部位を形成する上記構成単位(1)の(B)赤色顔料に対する付着性を強め、構成単位(2)が、(F)溶媒との可溶性を有することにより、(F)溶媒中での(B)赤色顔料の安定化を図ることができ、その結果(B)赤色顔料の分散性及び安定性に優れたものとすることができる。
また、上記一般式(III)で表される有機リン酸化合物を有することにより、上記構成単位(1)に含まれるアミノ基と上記有機リン酸化合物とが形成する塩形成部位が、アルカリ現像時のアルカリ水溶液に対して高い溶解性を有することから、アルカリ現像性に優れたものとすることができる。したがって、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を用いて、カラーフィルタを製造した場合には、アルカリ現像時間を短縮することができ、生産性に優れたものとすることができる。また、アルカリ現像性に優れることにより、未露光箇所におけるカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の残渣が少ない高品質なカラーフィルタを得ることができる。
【0023】
<ブロック共重合体>
当該塩型ブロック共重合体からなる顔料分散剤におけるブロック共重合体は、上記一般式(I)で表される構成単位(1)と、上記一般式(II)で表される構成単位(2)とを有するものである。
上記一般式(I)において、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。これらの中で、メチル基及びエチル基が好ましい。
本発明においては、上記R2及びR3は、たがいに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0024】
Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R6)−CH(R7)−O]x−CH(R6)−CH(R7)−又は[(CH2y−O]z−(CH2y−で示される2価の基である。ここで、上記炭素数1〜8のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種オクチレン基などである。
6及びR7は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
xは0〜18の整数、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは0〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは0〜4の整数、好ましくは0〜2の整数である。本発明においては、x、y及びzが、上記の範囲にあれば、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物は、顔料の分散性に優れたものになる。
このAとしては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。炭素数が1〜8の範囲内であれば、顔料の分散性を良好に保つことができる。
【0025】
上記一般式(II)において、R4は、炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−[CH(R6)−CH(R7)−O]x−R8又は−[(CH2y−O]z−R8で示される1価の基である。なお、R4が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などである。
【0026】
上記R6及びR7は前記と同じであり、R8は、水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COOR12で示される1価の基であり、R12は水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基である。
上記R8は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記R8のうちの炭素数1〜18のアルキル基は、前記のR4で示したとおりである。
当該R4において、x、y及びzは、前記Aで説明したとおりである。
【0027】
本発明において、上記R4としては、なかでも、後述する溶媒との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、具体的には、上記ブロック共重合体を構成する構成単位等によっても異なるが、上記溶媒が、テトラヒドロフラン、トルエン等である場合には、メチル基、エチル基、ベンジル基等を用いることが好ましく、上記溶媒が、ペンタン、ヘキサン等のより極性の低いものである場合には、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等を用いることが好ましい。
ここで、上記R4をこのように設定する理由は、上記R4を含む構成単位(2)が、上記溶媒に対する可溶性を有し、上記構成単位(1)のアミノ基と、後述する有機リン酸化合物とが形成する塩形成部位が顔料に対して高い吸着性を有するものであることにより、顔料の分散性、及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
さらに、上記R4は、上記ブロック共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよい。
【0028】
本発明に用いられる構成単位(1)のユニット数m及び構成単位(2)のユニット数nの比率m/nとしては、0.01〜1の範囲内であることが好ましく、0.05〜0.5の範囲内であることがより好ましい。比率m/nが上記範囲内にあれば、上記構成単位(1)が有するアミノ基が形成する塩形成部位の割合が適切となるので、後述する顔料に対する吸着性が良好となり、上記構成単位(2)による上記溶媒との溶解性が低くなることがなく、顔料の分散性、及び安定性が低下することがない。
【0029】
本発明に用いられるブロック共重合体における、上記構成単位(1)のユニット数m及び構成単位(2)のユニット数nは、それぞれ1〜200の整数であればよく、特に限定されないが、上記mとしては、1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜10の範囲内であることがより好ましい。また、上記nとしては、20〜100の範囲内であることが好ましい。
さらに、上記ブロック共重合体の重量平均分子量Mwは、500〜20000の範囲内であることが好ましく、1000〜15000の範囲内であることがより好ましく、3000〜12000の範囲内であることさらに好ましい。上記範囲であることにより、顔料を均一に分散させることが可能となる。
【0030】
なお、上記重量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
【0031】
本発明に用いられるブロック共重合体の結合順としては、上記構成単位(1)及び上記構成単位(2)を有し、後述する顔料を安定に分散することができるものであればよく、特に限定されないが、上記構成単位(1)が上記ブロック共重合体の一端のみに結合したものであることが好ましい。すなわち、上記構成単位(1)と、上記構成単位(2)とが、構成単位(1)−構成単位(2)の順で結合したものであっても良く、構成単位(1)−構成単位(2)−構成単位(1)の順で結合したものであっても良く、構成単位(2)−構成単位(1)−構成単位(2)の順で結合したものであっても良く、構成単位(1)−構成単位(2)が繰り返し結合したものであっても良いが、本発明においては、なかでも構成単位(1)−構成単位(2)の順で結合したものが好ましい。その理由は、後述する顔料に対する吸着性に優れ、さらにこのようなブロック共重合体を用いた顔料分散剤同士の凝集を効果的に抑えることができるからである。
【0032】
<有機リン酸化合物>
前述した一般式(I)で表される構成単位(1)と、一般式(II)で表される構成単位(2)とを有するブロック共重合体の構成単位(1)が有するアミノ基と、塩を形成する有機リン酸化合物は、上記一般式(III)で表される構造を有する化合物である。
本発明においては、上記有機リン酸化合物を用いることにより、当該顔料分散剤を、後述する顔料の分散性及び安定性に優れたものとすることができ、さらに塩形成部位が、アルカリ現像時のアルカリ水溶液に対して高い溶解性を有することから、アルカリ現像性に優れたものとすることができる。
【0033】
上記一般式(III)において、R5及びR5'は、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−[CH(R9)−CH(R10)−O]a−R11、−[(CH2b−O]c−R11又は−O−R5''で示される1価の基であり、R5及びR5'の少なくとも一方は水素原子、及びヒドロキシル基以外の基である。R5及びR5'は、たがいに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。なおR5及びR5'が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、前記R4で示したとおりである。
上記炭素数1〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基などを挙げることができる。
【0034】
上記R5''は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−[CH(R9)−CH(R10)−O]a−R11、又は−[(CH2b−O]c−R11で示される1価の基である。上記炭素数1〜18のアルキル基は、前記R5で示したとおりであり、上記炭素数2〜18のアルケニル基は、前記R4で示したとおりである。なお、R5''が芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
【0035】
上記R9及びR10は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。R11は、水素原子、あるいは置換基を有してもよい炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COOR12で示される1価の基であり、R12は水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基である。
上記R11で示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記R11のうちの炭素数1〜18のアルキル基は、前記のR5及びR5'で示したとおりである。
上記R5、R5'及びR5''において、aは0〜18の整数、bは1〜5の整数、cは0〜18の整数である。
【0036】
上記一般式(III)で表される有機リン酸化合物としては、R5、R5'及びR5''がそれぞれ独立にメチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ビニル基、アリル基あるいは−(CH(R9)−CH(R10)−O)a−R11又は−((CH2b−O)c−R11であり、かつR11が−CO−CH=CH2又は−CO−C(CH3)=CH2であるものが好ましく、なかでも重合性基を有するもの、すなわち、ビニル基、アリル基あるいは−(CH(R9)−CH(R10)−O)a−R11又は−((CH2b−O)c−R11であり、かつR11が−CO−CH=CH2又は−CO−C(CH3)=CH2であるものが好ましく、特にR5、R5'及びR5''がそれぞれ独立にビニル基、アリル基、2−メタクリロイルオキシエチル基、2−アクリロイルオキシエチル基であるものが好ましい。
【0037】
有機リン酸化合物におけるR5、R5'及びR5''がメチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ビニル基、アリル基、あるいは−(CH(R9)−CH(R10)−O)a−R11又は−((CH2b−O)c−R11であり、かつR11が−CO−CH=CH2又は−CO−C(CH3)=CH2であることにより、当該有機リン酸化合物を顔料分散性及びアルカリ現像性に優れたものとすることができる。R5、R5'及びR5''がビニル基、アリル基、あるいは−(CH(R9)−CH(R10)−O)a−R11又は−((CH2b−O)c−R11であり、かつR11が−CO−CH=CH2又は−CO−C(CH3)=CH2であることにより、当該有機リン酸化合物は、重合性基を含むことになる。そのため、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を用いて着色層を形成する際の露光時に、上記重合性基同士及び/又は上記重合性基と、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等とを容易に重合することができ、カラーフィルタの着色層中において、上記顔料分散剤が、安定に存在することを可能とする。したがって、このようなカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造した際には、液晶層等へ上記顔料分散剤がブリードアウトすることを防止することができる。
【0038】
また、当該有機リン酸化合物が、重合性基を含むことにより、着色層形成に用いる前に、当該有機リン酸化合物が有する、重合性基同士を、重合させることができ、その結果顔料分散剤が高分子量化されるため、着色層形成の現像時において、未露光箇所のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を、アルカリ現像性に特に優れるものとすることができる。
【0039】
ここで、上記重合性基同士が、重合していることにより、アルカリ現像性に特に優れるものとすることができる理由については、以下のように推察される。
すなわち、添加された顔料分散剤は、その全てが、後述する顔料の分散性向上に寄与するのではなく、当該顔料分散剤の一部は、上記顔料から、遊離した状態で存在している。また、当該顔料分散剤は、一般的に、アルカリ現像性を低下させる場合があるため、遊離した状態の顔料分散剤が多い場合には、着色層形成の現像時において、アルカリ現像を阻害することになる。
一方、上記重合性基同士が、着色層形成に用いる前に重合し、高分子量化していることにより、着色層形成の現像時において、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物中に、遊離の顔料分散剤を少ないものとすることができる。このため、遊離の顔料分散剤による、アルカリ現像の阻害を少ないものとすることができ、未露光箇所のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を、アルカリ現像性に特に優れるものとすることができる。
【0040】
本発明で用いる(A)顔料分散剤における当該有機リン酸化合物の含有量は、良好な顔料分散安定性が発揮されるのであればよく、特に制限はないが、一般に前記構成単位(1)に含まれるアミノ基に対して、0.1〜4.0モル%程度、好ましくは0.2〜2.0モル%、より好ましくは0.5〜1.0モル%である。
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物においては、(A)成分の顔料分散剤として、前述したように、一般式(I)で表される構成単位(1)と、一般式(II)で表される構成単位(2)とを有し、かつ上記構成単位(1)が有するアミノ基と、一般式(III)で表される有機リン酸化合物とが塩を形成してなる塩型ブロック共重合体が用いられる。
このような塩型ブロック共重合体を顔料分散剤として用いることにより、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を、顔料の分散安定性に優れたものとすることができる。
【0041】
<塩型ブロック共重合体の製造>
本発明において、(A)成分の顔料分散剤として用いる塩型ブロック共重合体の製造方法としては、前記の構成単位(1)と、構成単位(2)とを有し、かつ構成単位(1)が有するアミノ基と、前記の一般式(III)で表される有機リン酸化合物とが塩を形成したものを製造することができる方法であればよく特に限定されない。本発明においては、例えば、前記の構成単位(1)及び構成単位(2)を公知の重合手段を用いて重合した後、後述する溶媒中に溶解又は分散し、次いで該溶媒中に上記有機リン酸化合物を添加し、攪拌することにより製造することができる。
上記重合手段としては、前記の構成単位(1)及び構成単位(2)を所望のユニット比で重合し、所望の分子量とすることができる手段であればよく、特に限定されず、ビニル基を有する化合物の重合に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えばアニオン重合やリビングラジカル重合等を用いることができる。本発明においては、なかでも、「J.Am.Chem.Soc.」105、5706(1983)に開示されているグループトランスファー重合(GTP)のようにリビング的に重合が進行する方法を用いることが好ましい。この方法によると、分子量、分子量分布等を所望の範囲とすることが容易であるので、当該顔料分散剤の分散性、アルカリ現像性等の特性を均一にすることができる。
【0042】
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において、(A)成分である顔料分散剤としては、上記塩型ブロック共重合体を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよく、その含有量は、用いる顔料の種類、該ネガ型レジスト組成物中の固形分濃度等に応じて適宜選定されるが、後述する顔料100質量部に対して、通常、5〜200質量部の範囲であり、10〜100質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがより好ましい。塩型ブロック共重合体の含有量が上記範囲内にあれば、顔料を均一に分散させることができ、相対的にアルカリ可溶性樹脂、多官能性モノマーの配合比率が低下することがなく、十分な硬度を持った着色層が形成できる。
【0043】
((B)赤色顔料)
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において、(B)成分として用いられる赤色顔料は、カラーフィルタの着色層を形成した際に所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、種々の有機又は無機着色剤を、単独で又は2種以上混合して使用することができる。
<顔料の種類>
上記有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。有機顔料の具体例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1〜18、21〜23、31、32、37、38、41、48:1〜48:5、49、49:1〜49:3、50:1、51:1、52:1、52:2、53、53:1、57:1、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64、64:1、66〜68、81:1、81:3、83:1、88〜90、95、111、112、114、117、119、122、123、136、144、146〜151、164、166、168〜172、175〜179、181、184、185、187、188、190、192、194、200、202、204、206〜214、216、220〜224、226、237〜240、242、243、245、247、247:1、248、251〜258、260〜262、264などのレッド系ピグメントのカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0044】
また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができ、具体例としては、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤等を挙げることができる。
【0045】
本発明において、赤色顔料としては、上記したなかでもC.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド242及びC.I.ピグメントレッド254が好ましい。赤色顔料は、単独で又は2種以上混合して使用することができ、特にC.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド242及びC.I.ピグメントレッド254から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。また、他の色の顔料などと組み合わせてもよい。
【0046】
<赤色顔料の粒径>
本発明に用いられる赤色顔料の平均粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、10〜50nmの範囲内であることがより好ましい。当該顔料の平均粒径が上記範囲であることにより、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を用いて製造された液晶表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとし、さらに低コストで生産することができる。また従来の顔料分散剤であれば、顔料の粒径の微小化に伴い、顔料分散剤が多量に必要になり、アルカリ現像性の低下や残渣の増加といった問題が生じるおそれがあるが、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物に用いられる顔料分散剤は、アルカリ現像性に優れるため、そのような問題を生じるおそれが少ない。したがって、当該顔料の平均粒径が上記範囲に示すように、従来に比べ微小であるほど、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物が有する特徴を発揮することができる。
なお、上記平均粒径は、レーザ散乱法により測定した値である。具体的には、顔料粒子を溶媒中に分散し、その分散溶媒にレーザ光線を当てて得られた散乱光を捕捉し、演算することにより、平均粒径を測定する。
【0047】
<P/V比>
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において、(B)成分として用いる顔料の含有量は、カラーフィルタの薄膜化を図りつつ、良好な現像特性とを両立させる観点から、(B)赤色顔料と顔料以外の固形分との質量比(P/V比)が0.4〜1.0の範囲となる量が好ましく、0.75〜0.9の範囲となる量がより好ましい。ここで固形分とは、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物中では液状であっても、該レジスト組成物を硬化または固化したときに固形物の構成成分となり得る成分であり、溶媒中に溶解している多官能性モノマーなども含まれる。本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の固形分は、(F)溶媒以外の全成分のことである。質量比(P/V比)が上記したような、顔料を通常よりも多く含む場合であっても、本発明のレジスト組成物が、前記した所定の(A)顔料分散剤、及び後述する(E)光開始剤などの特定の構成を有することで、
アルカリ現像性と光硬化性とを損なわずに両立できるので、カラーフィルタの薄膜化が可能となる。
【0048】
((C)アルカリ可溶性樹脂)
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において、(C)成分として用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、ネガ型レジストに一般的に用いられるものを用いることができ、アルカリ水溶液に可溶性を有するものであればよく、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、γ−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレートなどの中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーも例示できる。また、上記のコポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させたポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を有するポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
【0049】
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において、(C)成分として用いられるアルカリ可溶性樹脂は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物に含まれる顔料100質量部に対して、通常、10〜1000質量部の範囲内、好ましくは20〜500質量部の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が少な過ぎると、充分なアルカリ現像性が得られない場合があり、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が多すぎると顔料の割合が相対的に低くなって、充分な着色濃度が得られない場合がある。
【0050】
((D)多官能性モノマー)
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において、(D)成分として用いられる多官能性モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0051】
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0052】
また、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0053】
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能性モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、例えばジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートやジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが好適に用いられる。
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において、(D)成分として用いられる上記多官能性モノマーの含有量は、特に制限はないが、(C)成分のアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能性モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能性モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
【0054】
((E)光開始剤)
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において、(E)成分として用いられる光開始剤は、下記一般式(IV)で表される化合物である。
【0055】
【化8】

【0056】
式(IV)中、R13〜R26は、それぞれ独立して水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、ケトン基、芳香族基、又は脂肪族基を示す。R13〜R26のうち、少なくとも1つがハロゲン原子であると、光照射時における式(IV)で表される光開始剤の開裂反応性を高めることができるので、光開始剤の感度をより向上させることが可能となるので好ましい。ハロゲン原子としては、F、Cl、Brなどなどが好ましく挙げられる。
また、R13〜R26のうち、少なくとも1つがヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、ケトン基、芳香族基、又は脂肪族基であることが好ましい。式(IV)で表される光開始剤の吸収スペクトルを調整することが可能となり、照射波長に応じて光開始剤の吸収波長特性を調整することができるからである。
【0057】
芳香族基としては、炭素数5〜20の芳香族基が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基のような芳香族炭化水素基のほか、ピリジル基、ピリジルフェニル基のような炭化水素以外の原子を含む基も挙げられる。これらの芳香族基は、置換基を有していてもよく、基の途中に炭化水素以外の構造を有していてもよい。
脂肪族基としては、炭素数1〜10の脂肪族基が好ましく、例えば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基のような炭化水素基、あるいは炭化水素以外の原子を含む基も挙げられる。ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、上記R4で示した炭素数1〜18のアルキル基のうち炭素数1〜10のものと同様のものが挙げられ、炭素数2〜10のアルケニル基としては、上記R5で示した炭素数2〜18のアルケニル基のうち、炭素数2〜10のものと同様のものが挙げられる。これらの脂肪族基は、置換基を有していてもよく、基の途中に炭化水素以外の構造を有していてもよい。
これらの芳香族基及び脂肪族基は、分岐構造、環式構造を有していてもよく、基の途中にエーテル結合、エステル結合、アミノ結合、アミド結合、チオエーテル結合、不飽和結合から選ばれる1種以上を含んでいてもよく、基の末端にヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、カルボニル基、芳香族基から選ばれる一種以上を含んでいてもよい。
【0058】
ケトン基としては、炭素数1〜10のアルキル基や炭素数5〜14の芳香族基を含むものが好ましく挙げられる。炭素数1〜10のアルキル基は、上記R4で示した炭素数1〜18のアルキル基のうち炭素数1〜10のものと同様のものが挙げられる。炭素数5〜14の芳香族基としては、ナフチル基、ベンジル基、ベンジリデン基、フェニル基、ビフェニル基、ピリジル基、ピリジルフェニル基などが挙げられる。これらのアルキル基と芳香族基は、置換基を有していてもよく、基の途中に炭化水素以外の構造を有していてもよい。
【0059】
上記一般式(IV)で表される光開始剤は、感度が高く、効率よく硬化反応が進行するので、本発明のレジスト組成物は、通常と比べて少ない露光量でも十分に硬化しうる。また、本発明のレジスト組成物中の顔料濃度が高かったり、樹脂成分の濃度が小さい場合でも、あるいは少量の光しか届かないレジスト組成物の塗膜の深い位置でも、十分に樹脂成分の重合反応が進行し、当該組成物を塗工する透明基板などへの該レジスト組成物の高い密着性が得られるため、現像時にパターンが流れにくくなり、細かいパターン形状を正確に形成することが可能となる。
【0060】
このような感度の向上効果は、特に酸素存在下での露光において顕著であり、特徴的である。すなわち、一般式(IV)で表される光開始剤は、酸素による重合反応阻害を受けにくいことから、酸素存在下でも重合反応が速やかに進行する。このことから、本発明のレジスト組成物は、酸素遮断膜を形成することなく、あるいは窒素雰囲気下で露光することなく、良好な硬化状態を得られるので、プロセスの煩雑さやコスト高を回避することができる。さらに、上記の酸素による重合反応阻害は、酸素との接触のあるレジスト組成物の塗膜表面で強く生じるため、パターンの表面形状、特にエッジのシャープさに影響を及ぼす傾向がある。一般式(IV)で表される光開始剤を使用することで、そのような影響を回避することができるので、透明基板などへの密着性、及びパターンの表面形状の正確性が同時に向上し、微細かつ精密なパターニング性が得られる。
一般式(IV)で表される光開始剤が、上記したような特徴を有する理由について解明はされていないが、これらの光開始剤は、他の開始剤、例えばカラーフィルタ用途で汎用されるアルキルフェノン系光開始剤(市販品として、「イルガキュア907(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)などに比べて、333nm、365nmといった330〜370nmの波長範囲における吸収強度が大きく、かつ重合開始反応に関与する量子収率が高いため、330〜370nmの波長範囲の光を効率的に利用して重合反応を進めることができるからと考えられる。
【0061】
上記した観点から、一般式(IV)で表される光開始剤のなかでも、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン1−[9−エチル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン1−[9−エチル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン1−[9−エチル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン1−[9−エチル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン1−[9−エチル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)などのオキシムエステル系光開始剤が好ましく、特にエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)(市販品として、「CGI242(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が好ましい。本発明においては、これらの光開始剤を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
本発明においては、上記した一般式(IV)で表される光開始剤と併用して、光が照射されることにより開裂や水素引き抜き反応を起こし、ラジカル重合反応を誘起する作用を有する、その他の光開始剤を用いることができる。
その他の光開始剤としては、例えば、紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ベンゾイン、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステル等の誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類等の含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられ、好ましくは、ケトン系及びビイミダゾール系化合物が挙げられる。
【0063】
ケトン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなどが好ましく挙げられる。
【0064】
ビイミダゾール系化合物としては、例えば、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−シアノフェニル)−4,4',5.5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−エチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾールなどが好ましく挙げられる。
【0065】
上記したもののうち、ケトン系化合物としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(市販品として、「イルガキュア907(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(市販品として、「イルガキュア369(商品名):チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)などが特に好ましく挙げられ、ビイミダゾール系化合物としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール(市販品として、「ビイミダゾール(商品名)」:黒金化成(株)製)などが特に好ましく挙げられる。
本発明においては、これらのその他の光開始剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において、(E)成分として用いられる光開始剤の含有量は、(D)成分の多官能性モノマー100質量部に対して、通常0.01〜100質量部程度、好ましくは5〜60質量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の固形分中の顔料等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
【0067】
((F)溶媒)
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物において、(F)成分として用いられる溶媒としては、該レジスト組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶媒であればよく、特に限定されない。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系;メトキシアルコール、エトキシアルコール、メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのエーテルアルコール系;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸3−メトキシブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系;メトキシエチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテートなどのエーテルアルコールアセテート系;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド系;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系;n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの飽和炭化水素系などの有機溶媒が挙げられる。
【0068】
これらの中では、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテートなどのエーテルアルコールアセテート系;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系;酢酸3−メトキシブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系等を好適に用いることができる。
なかでも、本発明に用いられる溶媒としては、MBA(酢酸3−メトキシブチル)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)又はこれらを混合したものが、顔料分散剤の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
【0069】
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物における(F)成分である溶媒の含有量は、該ネガ型レジスト組成物の各構成を均一に溶解又は分散することができるのであればよく、特に限定されない。本発明においては、該ネガ型レジスト組成物中の溶媒を除いた成分が、5〜40質量%の範囲が好ましく、10〜30質量%の範囲がより好ましい。上記範囲であることにより、塗布に適した粘度とすることができる。
【0070】
(任意添加成分)
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ各種添加剤、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
【0071】
(カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の調製)
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の調製方法としては、前述した(A)顔料分散剤と、(B)赤色顔料と、(C)アルカリ可溶性樹脂と、(D)多官能性モノマーと、(E)光開始剤と、所望により用いられる各種添加成分とを、(F)溶媒中に均一に溶解又は分散させ得る方法であればよく、特に制限はされず、公知の混合手段を用いて混合することにより、調製することができる。
当該ネガ型レジスト組成物の調製方法としては、例えば(1)溶媒中に、上記の顔料分散剤及び顔料を添加し、分散機を用いて分散させることによって、顔料分散液を作製した後、これにアルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤と、所望により用いられる各種添加成分とを添加し混合する方法、(2)溶媒中に、上記の顔料分散剤と、顔料と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤と、所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法、及び(3)溶媒中に、上記の顔料分散剤と、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤と、所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、これに顔料を加えて混合する方法などを挙げることができる。
これらの方法の中で、上記(1)の方法が、顔料の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。この場合、顔料分散液中の溶媒の含有量としては、該顔料の分散性や顔料分散経時安定性、得られるカラーフィルタの色度などの観点から、60〜90質量%の範囲が好ましい。
【0072】
上記(1)の方法における顔料分散液の調製において、顔料の分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントシェーカー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミル等が挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2mmが好ましく、より好ましくは0.1〜1mmである。また、分散後、5.0〜0.2μm程度のメンブランフィルタで濾過することが好ましい。これにより、顔料の分散性に優れた顔料分散液が得られる。
また、本発明に用いられる顔料分散剤に含まれる有機リン酸化合物が、重合性基を有する場合には、例えば、溶媒中に上記顔料分散剤と光開始剤を添加した後、あるいは、溶媒中に上記顔料分散剤と顔料と光開始剤とを分散又は溶解させた後に光照射をして上記顔料分散剤同士を重合してもよい。このように顔料分散剤同士を重合させることにより、本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物中における顔料の分散安定性を高めることができる。
【0073】
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
[カラーフィルタ]
本発明のカラーフィルタは、前述した本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を用いて形成されてなる着色層を有することを特徴とする。
このような本発明のカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
本発明のカラーフィルタは、前述した本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を用いて着色層を形成することにより、アルカリ現像性に優れることから、高い生産性を有している。また、アルカリ現像性に優れることにより、未露光箇所におけるカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の残渣が少ない高品質なものである。
【0074】
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、前述した本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を用いて形成されたものであればよく、特に限定されないが、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、該カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物に含まれる顔料の種類によって、3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0075】
当該着色層は、例えば下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等を光重合反応させて、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
【0076】
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶媒にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、ネガ型レジスト組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
【0077】
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrOx膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrOx膜(xは任意の数)、CrNy膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
【0078】
上記の場合であって、遮光部の形成方法として印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0079】
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、黒色着色剤及び感光性樹脂を含有する遮光部用感光性樹脂組成物には、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。本発明においては、上記遮光部用感光性樹脂組成物として、顔料としてカーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料を有した上記カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を用いてもよい。
【0080】
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、印刷法等を挙げることができる。
【0081】
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜2μm程度で設定される。
【0082】
(透明基板)
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
【0083】
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0084】
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0085】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【実施例】
【0086】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0087】
製造例1 ブロック共重合体の製造
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた500mL丸底4口セパラブルフラスコに、テトラヒドロフラン(THF)250質量部及び開始剤のジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール5.81質量部を添加用ロートを介して加え、充分に窒素置換を行った。触媒のテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1モル/Lアセトニトリル溶液0.5質量部をシリンジを用いて注入し、第1モノマーのメタクリル酸メチル100質量部を添加用ロートを用い、60分かけて滴下した。反応フラスコを氷浴で冷却することにより、温度を40℃未満に保った。1時間後、メタクリル酸ジメチルアミノエチル33.3質量部を20分かけて滴下した。1時間反応させた後、メタノール1質量部を加えて反応を停止させた。得られたブロック共重合体THF溶液はヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、ブロック共重合体を得た。このようにして得られたブロック共重合体を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01モル/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、メタクリル酸メチル(MMA)及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)の構成割合MMA/DMAEMA質量比が、5/3であり、重量平均分子量Mw:8120、数平均分子量Mn:6840、分子量分布Mw/Mnは1.19であった。
【0088】
製造例2 塩型ブロック共重合体溶液の調製
100mL丸底フラスコ中で、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)50.4質量部に、上記ブロック共重合体10質量部を溶解させて、ライトエステルP−2M(共栄社化学株式会社製)を6.3質量部(ブロック共重合体のDMAEMAユニットに対し、1.0当量)加え、室温で2時間攪拌することにより、固形分20質量%の塩型ブロック共重合体溶液を調製した。得られたブロック共重合体溶液の酸価は140mgKOH/gであった。
【0089】
製造例3 顔料分散液1の調製
顔料分散剤として、製造例2で調製した塩型ブロック共重合体溶液、アルカリ可溶性樹脂、溶媒、及び2.0mmジルコニアビーズ60質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて1時間振とうし、次いで前記ジルコニアビーズを取り除いてから粒径0.1mmのジルコニアビーズ60質量部をマヨネーズビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて2時間分散を行い、顔料分散液1を調製した。
【0090】
製造例4〜6 顔料分散液2〜4の調製
製造例3において、第1表に示される成分及び配合量とした以外は製造例3と同様にして、顔料分散液2〜4を調製した。
【0091】
【表1】

*1,ピグメント・レッド254 BKCF(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
*2,製造例1で得られた塩型ブロック共重合体溶液
*3,「Disperbyk2000」(ビックケミージャパン(株)社製,変性アクリル系ブロック共重合体,固形分濃度40質量%)
*4,「Disperbyk2001」(ビックケミージャパン(株)社製,変性アクリル系ブロック共重合体,固形分濃度46質量%)
*5,「Disperbyk161」(ビックケミージャパン(株)社製,高分子共重合物,固形分濃度30質量%)
*6,メタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ベンジル共重合体(モル比:10/30/50,重量平均分子量:9000,酸価:70mgKOH/g,有効成分含量40質量%)
*7,ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業(株)製)
*8,ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダイセル化学工業(株)製)
【0092】
製造例7及び8 クリアレジスト組成物1及び2の調製
アルカリ可溶性樹脂、多官能性モノマー、光開始剤、増感剤、及び溶媒を第2表に示される配合量で均一になるまで混合、溶解してクリアレジスト組成物1及び2を得た。
【0093】
【表2】

*6及び7,第1表と同じである。
*9,「TO1382(商品名)」:東亞合成化学(株)製,ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。
*10,「イルガキュア369(商品名):チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1
*11,「イルガキュア907(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン
*12,「CGI242(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)
*13,「ビイミダゾール(商品名)」:黒金化成(株)製、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール
*14,「EAB−SS(商品名)」:大同化成工業(株)製、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン
【0094】
実施例1
第3表に示される、製造例3で得られた顔料分散液1と、クリアレジスト組成物2、溶媒、及びその他の添加剤とを均一になるまで混合し、さらにメッシュサイズ0.2μmである加圧ろ過装置によりろ過することにより、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物1を得た。
【0095】
比較例1〜10
実施例1において、第4表に示される成分、及び配合量とした以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物2〜11を調製した。
【0096】
【表3】

*7,第1表と同じである。
*15,「KBM503(商品名)」:信越化学工業(株)製、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
*16,「メガパックR08MH(商品名)」:大日本インキ化学工業(株)製、フッ素原子含有シリコン系界面活性剤
【0097】
【表4】

*7,第1表と同じである。
*15及び16,第3表と同じである。
【0098】
以上、実施例1及び比較例1〜10で得たカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物1〜11について、下記の方法により、現像形態、アルカリ現像性(現像時間及びμmライン&スペース解像度)、膜厚、密着性を評価した。評価結果を第5表に示す。
【0099】
<アルカリ現像性評価>
以下のようにして、評価用基板を作成した。各例で得られたカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を、厚み0.7mmで10mm×10mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥することにより、厚さ2.5μmの赤色着色層を形成した。この着色層にフォトマスクを介して超降圧水銀灯を用いて60mJ/cm2の紫外線を照射した。このときのフォトマスクと基板とのギャップは75μmとした。その後、上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05質量%水酸化カリウム水溶液を用いてシャワー現像し、上記着色層が完全に溶解し、上記着色層を形成した箇所のガラス面が現れるまでの時間を現像時間として測定した。
上記のアルカリ現像後、さらに60秒間超純水で洗浄してから、230℃のクリーンオーブン内で30分間のポストベークを行って、評価用基板を作製した。得られた着色層の解像度(μmライン&スペース解像度)を光学顕微鏡を用いて観察した。
【0100】
<現像形態の評価>
上記の評価用基板の作製において、現像時のレジスト組成物の塗膜の未露光部分の、アルカリ現像液に対する溶解の程度を観察し、下記の基準で評価した。
○ :溶解して流れた
× :溶解せずに、剥離片や粉になって流れた
− :現像不可のため、判断できなかった
【0101】
<膜厚>
上記のようにして得られた着色層の膜厚を、触針式膜厚測定器(「SURFCORDER ET4000A(型番):小坂研究所製)を用いて測定した。
【0102】
<密着性の評価>
上記のようにして得られた着色層において、現像後に流されずに密着している独立細線の最小線幅を測定し、下記の基準で評価した。
○ :密着している独立細線の最小線幅が10μm以下である
× :密着している独立細線の最小線幅が10μmより大きい
− :現像できず、測定できなかった
【0103】
【表5】

*17,解像度及び膜厚欄の「−」は、現像不可あるいは現像によりレジスト組成物の塗膜が流れてしまい、着色層を形成することができず、計測できなかったことを示す。
【0104】
実施例1のレジスト組成物は、全ての評価において優れており、顔料分散性に優れるとともに、アルカリ現像性に優れ、カラーフィルタの薄膜化を可能にすることが示された。一方、比較例1〜10のレジスト組成物は、現像ができない、あるいは現像形態が良好ではないなど、いずれかの点で問題があった。また、P/V比を0.9と大きくした比較例1のレジスト組成物は、現像によりレジスト組成物の塗膜が全て流れてしまい、着色層を形成することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物は、顔料分散性に優れると共に、アルカリ現像性に優れ、カラーフィルタの薄膜化を可能にするなどの特性を有し、品質の良好なカラーフィルタ及びそれを有する液晶表示装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0107】
1 … 透明基板
2 … 遮光部
3 … 着色層
10 … カラーフィルタ
20 … 対向基板
30 … 液晶層
40 … 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)顔料分散剤と、(B)赤色顔料と、(C)アルカリ可溶性樹脂と、(D)多官能性モノマーと、(E)光開始剤と、(F)溶媒とを有するカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物であって、前記(A)顔料分散剤が、下記一般式(I)で表される構成単位(1)と、下記一般式(II)で表される構成単位(2)とを有し、さらに前記構成単位(1)が有するアミノ基と、下記一般式(III)で表される有機リン酸化合物とが塩を形成したブロック共重合体であり、前記(E)光開始剤が下記一般式(IV)で表される化合物であることを特徴とするカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

[式(I)〜(IV)中、R1は水素原子又はメチル基、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R6)−CH(R7)−O]x−CH(R6)−CH(R7)−又は[(CH2y−O]z−(CH2y−で示される2価の基、R4は、炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−[CH(R6)−CH(R7)−O]x−R8又は−[(CH2y−O]z−R8で示される1価の基、R5及びR5'は、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−[CH(R9)−CH(R10)−O]a−R11、−[(CH2b−O]c−R11又は−O−R5''で示される1価の基であり、R5及びR5'の少なくとも一方は水素原子、及びヒドロキシル基以外の基である。
5''は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−[CH(R9)−CH(R10)−O]a−R11、又は−[(CH2b−O]c−R11で示される1価の基である。
6、R7、R9及びR10は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基、R8及びR11はそれぞれ独立に水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基、ビフェニル基、ピリジルフェニル基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COOR12で示される1価の基であり、R12は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
13〜R26は、それぞれ独立して水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、ケトン基、芳香族基、又は脂肪族基を示す。
x及びaは0〜18の整数、y及びbは1〜5の整数、z及びcは0〜18の整数、m及びnは、それぞれ1〜200の整数を示す。]
【請求項2】
一般式(III)におけるR5及びR5'が、重合性基を有するものである請求項1に記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。
【請求項3】
前記重合性基が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びアリル基から選ばれる少なくとも一種である請求項2に記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。
【請求項4】
(B)赤色顔料が、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド242及びC.I.ピグメントレッド177から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。
【請求項5】
(B)赤色顔料の平均粒径が、10〜100nmである請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。
【請求項6】
(D)多官能性モノマーが、エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物である請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。
【請求項7】
前記エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物が、多官能(メタ)アクリレートである請求項6に記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のカラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物を用いて形成されてなる着色層を有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項9】
請求項8に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−265267(P2009−265267A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112907(P2008−112907)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】