カラー画像形成装置
【課題】大幅なダウンタイムを生じることなく、中間転写体上に形成されたテストパターンをクリーニングすることのできるカラー画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数のテストパターンを形成し、テストパターンを画像濃度検知手段29で検知し、画像濃度検知手段の検知結果によって画像を画像補正手段で補正する画像形成装置において、複数色のテストパターンを検出する第1の補正モードと、第1の補正モードよりテストパターン数が少ない第2の補正モードとを有し、第2の補正モードで用いるテストパターンは、第1の補正モードで用いる複数のテストパターンの中で単位面積あたりのトナー量が最も多いテストパターンより単位面積あたりのトナー量が少なく、第2の補正モードは、プリント動作中の非画像形成部にて実行され、第2の補正モードで中間転写体13上に形成されたテストパターンは、画像濃度検知手段に検知された後、像担持体1に逆転写される。
【解決手段】複数のテストパターンを形成し、テストパターンを画像濃度検知手段29で検知し、画像濃度検知手段の検知結果によって画像を画像補正手段で補正する画像形成装置において、複数色のテストパターンを検出する第1の補正モードと、第1の補正モードよりテストパターン数が少ない第2の補正モードとを有し、第2の補正モードで用いるテストパターンは、第1の補正モードで用いる複数のテストパターンの中で単位面積あたりのトナー量が最も多いテストパターンより単位面積あたりのトナー量が少なく、第2の補正モードは、プリント動作中の非画像形成部にて実行され、第2の補正モードで中間転写体13上に形成されたテストパターンは、画像濃度検知手段に検知された後、像担持体1に逆転写される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真記録方式を利用するカラー画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、中間転写体を用いた画像形成装置は、様々な転写材への対応が可能などの特徴を生かし、特に複数色の色を重ねるカラー画像形成装置として多数提案されている。
【0003】
中間転写体を用いたカラー画像形成装置は、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という。)上に形成された各色のトナー像を、1次転写手段により中間転写体上に順次に1次転写し、複数色のトナー像を重ね合わせる。この時、1次転写手段には、感光ドラム上のトナー像と逆極性の電圧(感光ドラム上のトナーの極性がマイナス極性の場合は、プラス極性)を印加する。その後、中間転写体上に重ね合わされた複数色のトナー像は、2次転写手段にトナー像と逆極性の電圧を印加して、転写材上に一括して2次転写される。
【0004】
2次転写後の中間転写体は、次の画像形成に備えて、転写材に2次転写されずに中間転写体表面に残ったトナー(以下、「2次転写残トナー」という。)をクリーニングする必要がある。
【0005】
一般的なクリーニング方法としては、2次転写残トナーをブレードやファーブラシ等で掻き取る方法がある。この方法では、掻き取った2次転写残トナーを収納する容器が必要であり、この容器のスペースが本体サイズへ影響する。また、本体サイズへの影響を小さくするため、小さい容器を用いた場合は、定期的な容器交換が必要となり、ユーザビリティの低下を招く場合がある。
【0006】
そこで、特許文献1に開示されているように、2次転写残トナーを感光ドラムに静電的に転移させた後、感光ドラムをクリーニングするためのクリーニングユニットにより回収する方法がある。つまり、2次転写残トナーは、帯電ローラやコロナ帯電器によって、例えば現像時のトナー極性と逆極性(現像時のトナーの極性が負極性の場合は、正極性)に帯電した後、マイナスに帯電されている感光ドラムに静電的に転移させる。その後、感光ドラムをクリーニングするためのクリーニングユニットにより回収する。なお、この回収は、プリント間隔の増大を抑制するために、1次転写と同時に行ってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−49019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1に記載される技術構成では、次のような問題がある。つまり、中間転写体上に任意のテストパターンであるハーフトーンパターンなどを作成して、現像の階調特性を補正する階調制御などの補正制御を、紙間などの一連のプリントシーケンス中に行った場合には、中間転写体のクリーニング動作が必要となる。そのため、ダウンタイムが発生する。
【0009】
具体的には、階調制御は、中間転写体上にトナー量の少ない状態(以下、この状態をハイライトとする)側からトナー量の多い状態(以下、この状態をダークとする)側にかけての複数のテストパターンを形成して、現像の階調特性を計測し、補正する制御である。特に、トナー量の多いダーク側のテストパターンは、2次転写残トナーと比較してトナー量が多い。そのため、特許文献1に記載する中間転写体クリーニング工程のように、中間転写体上に配置されたトナー帯電手段で一括帯電した場合、トナーを均一に帯電し、その極性を現像時の極性と反転させることが難しい。そのため、感光ドラムをクリーニングするためのクリーニングユニットにより回収することができない。従って、中間転写体上のトナー量を減らす工程が必要となる。
【0010】
そこで、中間転写体1周目として、濃度検知手段で検知後のテストパターンは、トナー帯電手段に現像時のトナー極性の電圧(以下、負極性として説明する)を印加して、トナー帯電手段にトナーを付着させること無く通過させる。次に、1次転写手段に現像時のトナーと同極性の負極性電圧を印加して、中間転写体上のトナー像の一部を感光ドラム上に転移させる。その後、中間転写体2周目には中間転写体上に残留したトナーは、中間転写体上に配置されたトナー帯電手段により現像時のトナーと逆極性の正極性に帯電され、1次転写部で感光ドラムに逆転写させて、感光ドラムに配置されたクリーニング手段によりクリーニングする。
【0011】
つまり、テストパターンのトナー量が通常の2次転写残トナーよりも多いため、中間転写体を2周以上回転して、クリーニングする必要がある。従って、2次転写残トナーのみをクリーニングしている通常プリント時の場合に比べ、中間転写体の回転数が増加する。そのため、紙間などの通常プリントシーケンスの一部に階調制御用テストパターンを形成した場合は、中間転写体クリーニングに要する時間がダウンタイムとして生じることになる。
【0012】
そこで、本発明は、このような実情を鑑みてなされたものである。
【0013】
本発明の目的は、プリントシーケンス中にテストパターンを形成し、画像の階調制御を行う場合に、大幅なダウンタイムを生じることなく、中間転写体上に形成されたテストパターンをクリーニングすることのできるカラー画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係るカラー画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体のトナー像を静電的に転写させる中間転写体と、前記中間転写体上のトナー像を転写材に静電的に転写し、前記中間転写体から転写材にトナー像が転写された後に前記中間転写体上に残留するトナーを現像時のトナー極性と逆極性に帯電するトナー帯電手段と、を有し、
複数のテストパターンを形成し、前記テストパターンを検知する画像濃度検知手段と、前記画像濃度検知手段の検知結果によって画像を補正する画像補正手段と、を有する画像形成装置において、
複数色のテストパターンを検出する第1の補正モードと、前記第1の補正モードよりテストパターン数が少ない第2の補正モードとを有し、
第2の補正モードで用いるテストパターンは、前記第1の補正モードで用いる複数のテストパターンの中で単位面積あたりのトナー量が最も多いテストパターンより単位面積あたりのトナー量が少なく、
前記第2の補正モードは、プリント動作中の非画像形成部にて実行され、前記第2の補正モードで前記中間転写体上に形成されたテストパターンは、前記画像濃度検知手段に検知された後、前記像担持体に逆転写されることを特徴とするカラー画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プリントシーケンス中にテストパターンを形成し、画像の階調制御を行う場合に、大幅なダウンタイムを生じることなく、中間転写体上に形成されたテストパターンをクリーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1のカラー画像形成装置を説明する図である。
【図2】実施例1で用いた濃度検知センサを説明する図である。
【図3】実施例1のカラー画像形成装置の概略構成を説明する図である。
【図4】実施例1における第1の階調制御のテストパターンを説明する図である。
【図5】実施例1のカラー画像形成装置の階調特性を説明する図である。
【図6】実施例1における第1の階調制御後の中間転写ベルトのクリーニング工程を説明する図である。
【図7】実施例1における第2の階調制御時を説明する図である。
【図8】実施例1における第2の階調制御のテストパターンを説明する図である。
【図9】実施例1における第2の階調制御の動作を説明する図である。
【図10】実施例1における画像データとトナー量の関係を説明する図である。
【図11】実施例1における第2の階調制御の中間転写ベルトのクリーニング工程を説明する図である。
【図12】実施例2のトナー帯電ローラ近傍の構成を説明する図である。
【図13】実施例2における第2の階調制御の中間転写ベルトのクリーニング工程を説明する図である。
【図14】実施例2のトナー補助帯電ブラシのトナー回収率を説明する図である。
【図15】実施例3における第2の階調制御のテストパターンを説明する図である。
【図16】実施例3における第2の階調制御の中間転写ベルトのクリーニング工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るカラー画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0018】
実施例1
図1に、本発明に係るカラー画像形成装置の一実施例の全体構成を示す。本実施例にて、画像形成装置は、電子写真方式を採用した4ドラムフルカラー画像形成装置とされる。
【0019】
(画像形成装置の全体構成)
図1に示すように、4ドラムフルカラー画像形成装置は、複数の、本実施例では4つの画像形成のためのステーションS、即ち、第1〜第4ステーションSa、Sb、Sc、Sdを備えている。
【0020】
また、各ステーションSは、それぞれ像担持体であるドラム状の電子写真感光体、即ち、感光ドラム1(1a、1b、1c、1d)を有している。感光ドラム1(1a、1b、1c、1d)は、無端ベルト状の中間転写体、即ち、中間転写ベルト13の移動方向に沿って順次配置されている。中間転写ベルト13の移動方向に関して感光ドラム1aが最上流の感光ドラムに対応し、感光ドラム1dが最下流の感光ドラムに対応する。
【0021】
各ステーションSは、同様の構成とされ、それぞれ感光ドラム1の周囲に、帯電手段としての一次帯電ローラ2(2a、2b、2c、2d)及び現像手段としての現像ユニット8(8a、8b、8c、8d)が配置されている。更に、感光ドラム1の周囲には、クリーニング手段としてのクリーニングユニット3(3a、3b、3c、3d)及び露光手段としてのレーザ露光装置11(11a、11b、11c、11d)を備えている。感光ドラム1、帯電ローラ2、現像ユニット8、クリーニングユニット3は、一体型のプロセスカートリッジ9(9a、9b、9c、9d)を構成している。
【0022】
また、各現像ユニット8は、現像スリーブ4(4a、4b、4c、4d)、現像剤塗布ブレード7(7a、7b、7c、7d)を備えており、それぞれ、異なる色の非磁性一成分現像剤5(5a、5b、5c、5d)を収容している。
【0023】
更に、感光ドラム1と共に中間転写ベルト13を挟持する位置には、感光ドラム1と共に一次転写部T1(T1a、T1b、T1c,T1d)を形成する一次転写部材である一次転写ローラ10(10a、10b、10c、10d)が対向設置されている。
【0024】
一方、中間転写ベルト13は、駆動ローラ14、テンションローラ15、二次転写対向ローラ24に張架され、矢印方向に循環移動可能とされる。また、二次転写対向ローラ24の中間転写ベルト13を挟んだ位置には、二次転写対向ローラ24と共に二次転写部T2を形成する二次転写部材である二次転写ローラ25が対向配置されている。
【0025】
また、装置本体の下部には、二次転写部T2に転写材Pを給送する転写材カセット16が配置されている。
【0026】
(カラー画像形成動作)
次に、カラー画像形成動作について詳しく説明する。
【0027】
本実施例では、第1ステーションSaをイエロー(Y)、第2ステーションSbをマゼンタ(M)、第3ステーションScをシアン(C)、第4ステーションSdをブラック(K)色の画像形成部としている。
【0028】
画像形成動作がスタートすると、感光ドラム1a〜1dや中間転写ベルト13等は、所定のプロセススピードで矢印方向に回転を始める。感光ドラム1aは、帯電ローラ2aに帯電バイアス電源20aよって一様に負極性に帯電され、続いて露光手段11aからの走査ビーム12aによって画像情報に従った静電潜像が形成される。
【0029】
現像ユニット8a内のトナー5aは、現像剤塗布ブレード7aによって負極性に帯電されて現像スリーブ4aに塗布される。そして、現像スリーブ4aには、現像バイアス電源21aより、所定の電圧が供給され、感光ドラム1aが回転して感光ドラム1a上に形成された静電潜像が現像スリーブ4aに到達すると、静電潜像は負極性のトナーによって可視化され、感光ドラム1a上には第1色目(本実施例では、Y)のトナー像が形成される。
【0030】
尚、第2〜第4ステーションSb〜Sdも第1ステーションSaと同様の構成とされ、第1ステーションSaと同様の動作を行うので、第2〜第4ステーションSb〜Sdについての動作説明は省略する。
【0031】
次に、4つの感光ドラム1a〜1d全てに対し当接するように配置された中間転写ベルト13には、上述のように、感光ドラム1a〜1dとの対向部に1次転写ローラ10a〜10dが配置されている。1次転写ローラ10a〜10dに1次転写バイアス電源22aよりトナーと逆極性である正極性の直流電圧を印加して、感光ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像を、中間転写ベルト13にトナー像を転写していき、中間転写ベルト13上に多重画像を形成する。
【0032】
その後、露光による静電潜像の作像に合わせて、転写材カセット16に積載されている転写材Pは、給紙ローラ17によりピックアップされ、不図示の搬送ローラによりレジストローラ18にまで搬送される。転写材Pは、中間転写ベルト13上のトナー像に同期してレジストローラ18によって、中間転写ベルト13と2次転写手段である2次転写ローラ25とで形成される当接部(二次転写部T2)へ搬送される。その後、2次転写ローラ25には2次転写バイアス電源26により、トナーと逆極性である正極性の電圧印加され、中間転写ベルト13上に担持された4色の多重トナー像は、一括して転写材P上に静電的に2次転写される。2次転写終了後の転写材Pは、定着手段19へと搬送され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として画像形成装置外へと排出される。
【0033】
一方、2次転写を終えた後、中間転写ベルト13上に残留した2次転写残トナーは、中間転写ベルト13に当接配置されたトナー帯電手段であるトナー帯電ローラ27により帯電される。帯電された2次転写残トナーは、第1ステーションSaで感光ドラム1aに逆転写されて、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収され、中間転写ベルト13はクリーニングされる。
【0034】
2次転写残トナーが感光ドラム1aに逆転写されるメカニズムを以下に説明する。
【0035】
トナー帯電ローラ27には、トナー帯電バイアス電源28が接続されている。2次転写残トナーは、トナー帯電バイアス電源28からトナー帯電ローラ27に供給される電圧(本実施例では直流電圧に交流電圧を重畳しており、直流電圧の極性にトナーを帯電する。詳細は後述するが、これにより、現像時の帯電極性(本実施例では、負極性)とは逆極性(本実施例では正極性)に帯電される。その後、正極性に帯電された2次転写残トナーは、1次転写部(T1a)において正極性の電圧を印加されている1次転写ローラ10aと負極性に帯電されている感光ドラム1a間に発生する電界により、感光ドラム1aに逆転写される。
【0036】
本実施例においては、中間転写ベルト13は、上述のように、その張架部材として2次転写対向ローラ24、駆動ローラ14、テンションローラ15の3本のローラにより支持されており、適当なテンションが維持されるようになっている。駆動ローラ14を駆動させることにより中間転写ベルト13は、感光ドラム1a〜1dに対して順方向に略同速度で移動する。
【0037】
また、中間転写ベルト13は、矢印方向に回転し、1次転写ローラ10aの中間転写ベルト13の回転方向下流側には除電部材23aが配置されている。
【0038】
尚、本実施例においては、中間転写ベルト13の周長は650mmであり、2ページ分のA4サイズの画像を中間転写ベルト13上に担持することができる。
【0039】
次に、本実施例に画像濃度検知、階調補正について説明する。
【0040】
本実施例において、画像形成装置には画像濃度検知手段として、濃度検知センサ29を設けている。図2に示すように、濃度検知センサ29は、LEDなどの発光素子30とフォトダイオードなどの受光素子31、32、ホルダー33から構成されている。濃度検知センサ29は、中間転写ベルト13上に形成された画像濃度制御用のトナー像Tに対して、発光素子30から光を照射して、反射光を受光素子31、32により検知することでトナー像Tの濃度を測定している。なお、受光素子31は乱反射光を、受光素子32は正反射光を検知している。本実施例では、詳しくは後述するが、濃度検知センサ29の検知結果によって画像を補正するために、画像形成装置制御部の画像補正手段により補正モードが実行される。
【0041】
また、本実施例では、カラー画像形成装置に温湿度検知センサ34が設けられている。この温湿度センサ34を用いて、カラー画像形成装置の置かれている雰囲気の温湿度測定を行う。
【0042】
電子写真方式のカラー画像形成装置では、使用する環境の変化、及び画像形成枚数などの諸条件によって、画像濃度が変動すると、本来の正しい色調が得られなくなってしまう。そこで、本実施例では画像濃度制御を行い常に安定した色調の画像が得られるようにしている。
【0043】
また、本実施例での画像濃度制御は、画像の最大濃度を所定の濃度に合わせる最大濃度制御と画像の階調特性を所定の特性に合わせる階調制御とからなる。
【0044】
最大濃度制御は、温湿度検知センサ34が検知した温湿度に対応して、予め設定されたルックアップテーブルに基づき、帯電バイアス電源20a〜20dの出力電圧及び現像バイアス電源21a〜21dの出力電圧を決定している。
【0045】
階調制御は、最大濃度制御により帯電バイアス電源20a〜20dの出力電圧及び現像バイアス電源21a〜21dの出力電圧を決定後に実行される制御であり、画像補正手段により第1の補正モードと第2の補正モードとが実行される。具体的には以下の動作で実行している。
【0046】
階調制御を実行するにあたり各種データのやり取りは、図3に示すカラー画像形成装置概略図を用いて説明する。
【0047】
尚、図1に示す本実施例に係るカラー画像形成装置は、画像形成部37、画像形成部37を制御する制御部36、不図示のコンピュータなどの情報処理装置から画像情報を受け取り、展開するビデオコントローラ部35から構成されている。また、画像形成部37は、帯電、露光、現像、転写、クリーング、定着など一連の画像形成動作を行う作像定着部42、中間転写ベルト13上に形成されたテストパターン像を検知する濃度検知センサ29、カラー画像形成装置の雰囲気の温湿度を検知する温湿度検知センサ34から構成されている。また、制御部36は、階調制御用のテストパターンを発生させるテストパターン発生手段38、CPU39、ROM40、RAM41より構成されている。
【0048】
カラー画像形成装置の電源投入、若しくは、電源投入からの経過時間、画像形成枚数、ユーザからの指示などの適当なタイミングを制御部36内のCPU39が検出する。すると、画像補正手段として機能するCPU39は、ROM40に格納されているプログラムを実行して、階調制御をスタートさせる。制御部36内のCPU39は、カラー画像形成装置本体の初期動作を開始すると共に、作像定着部42を構成する感光ドラム1aを帯電バイアス電源20aから供給される所定電圧で帯電する。
【0049】
次に、CPU30はテストパターン発生手段38から発生させた階調制御用トナー像の画像データを露光装置11a〜11dに送り、感光ドラム1a〜1d上に回転方向に沿って、図4に示すようなTY1〜TY7の7つのテストパターンの潜像を形成する。
【0050】
尚、検知用パターンTY1〜TY7は所定の間隔で濃度が変化するように、画像データSY1〜SY7が予め設定されており、本実施例では、SY1〜SY7は、10%〜70%の印字率の画像データで構成されている。なお、画像データSY1〜SY7は、予め設定された現像電圧VTYによってそれぞれ現像される。感光ドラム1a上に形成されたテストパターンTY1〜TY7のトナー像は、感光ドラム1aと1次転写ローラ10aとの間の電圧印加により中間転写ベルト13に転写される。そして、イエロー(Y)に続いてマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のテストパターンも同様に形成し、中間転写ベルト13上にテストパターンが形成される。これらのテストパターンTY1〜TY7、TM1〜TM7、TC1〜TC7、TBk1〜TBk7を濃度検知センサ29によってそれぞれ測定する。そして、濃度測定値DY1〜DY7、DM1〜DM7、DC1〜DC7、DBk1〜DBk7を制御部36内のRAM32に書き込む。
【0051】
検出パターンの測定が終わると画像補正手段としてのCPU39は、RAM41に保存された各パターンの濃度と画像データの間を多項式等を使って補間することで、このカラー画像形成装置の階調特性を求める。通常、電子写真式のカラー画像形成装置の階調特性は、図5に示す曲線(B)のような非線形の形になる。その後、求められた階調特性を図5に示す直線(A)のような線形或いは所定の形になるように、画像形成部37に入力される画像データと、露光装置に送るデータとの間を調整する階調補正特性であるルックアップテーブルを作り、RAM32内に保存する。以後の画像形成にはこのルックアップテーブルを使って階調の補正を行う。具体的には、濃度測定値DY1〜DY7を図5に示す基準値DY1t〜DY7tになるように画像データを補正するルックアップテーブルを作成している。
【0052】
以上のようにして求めたルックアップテーブルを用いることで安定した色調のカラー画像を得ることができる。
【0053】
一方、図6は、トナー帯電ローラ27、1次転写ローラ10aの電圧印加状態と動作内容を模式的に示したものである。図6を用いて、中間転写ベルト13上に形成されたテストパターンのクリーニング工程を説明する。
【0054】
濃度検知センサ29での検知終了後、トナー帯電バイアス電源28から−1.0kVの負極性の直流電圧をトナー帯電ローラ27に印加して、トナー帯電ローラ27表面をテストパターンのトナー像と同極性にする。これにより、トナーを付着させること無く、トナー像を通過させる。その後、1次転写ローラ10a〜10dに負極性電圧を印加して、テストパターンのトナー像の一部を感光ドラム1a〜1dに逆転写して感光ドラム1a〜1dに当接するクリーニングユニット3a〜3dにより回収する。
【0055】
その後、1次転写部T1a〜T1dにおいて、逆転写できなかった残留トナーは、再度、トナー帯電ローラ27部に周回してくる。このとき、トナー帯電バイアス電源28から3.0kVppの矩形の交流電圧に1.0kVの直流電圧が重畳された電圧を印加されたトナー帯電ローラ27からの放電をうけて、残留トナーは、正極性に帯電される。その後、正極性に帯電されたテストパターンの残留トナーは、正極性の電圧を印加された1次転写ローラ10a〜10dにより1次転写部T1a〜T1dで感光ドラム1a〜1dに逆転写されて、感光ドラム1a〜1dに当接するクリーニングユニット3a〜3dにより回収される。
【0056】
尚、濃度検知センサ29での検知終了後の直ぐにテストパターンをトナー帯電ローラ27で正極性に帯電した場合は、テストパターンのトナー量が多いため、均一帯電が難しい。従って、中間転写ベルト13上のトナー量を減らす目的で、1次転写ローラ10a〜10dに負極性の電圧を印加して、テストパターンのトナー像の一部を感光ドラム1a〜1dに逆転写している。
【0057】
以上のように、第1の補正モードによる第1の階調制御では、濃度検知終了後にクリーニング工程を特別に設け、中間転写ベルト13を2周させてテストパターンのクリーニングを行っている。
【0058】
以下に、本実施例の特徴を述べる。
【0059】
本実施例では、中間転写ベルト13上に残留するトナーを現像時のトナー極性と逆極性に帯電するトナー帯電ローラ27を有し、かつ階調制御として、第1の階調制御とは別に、紙間に第2の階調制御を行う。第2の補正モードによる第2の階調制御で用いるテストパターンは、第1の階調制御で用いている最大濃度のテストパターンより単位面積あたりのトナー量の少ないパターンであり、かつ第1の階調制御で用いるテストパターンよりテストパターンの数を少なくすることである。
【0060】
上述のように、本実施例では、第1の階調制御とは別に、よりテストパターンが少なく、簡易的な第2の階調制御を実行している。具体的には、第2の階調制御は、第1の階調制御により作成されたルックアップテーブルを補正するものである。つまり、第1の階調制御により階調特性を図7に示す直線(A)のように補正しても、連続プリントを重ねた場合や、カラー画像形成装置の置かれている雰囲気環境が変化した場合は、図7示す曲線(C1)、(C2)のように変化してしまう。第2の階調補正は、このような画像特性の変化を低濃度域の画像データ(図7ではS’Y1)によるテストパターンのみを測定することで捉え、検知結果により、適宜、階調特性を修正することで直線(A)の階調特性に補正する制御である。
【0061】
図8は、第2の補正モードによる第2の階調制御で形成されるテストパターンを説明するものである。T’Y1、T’M1、T’C1、T’Bk1という各色1種類のテストパターンを紙間に作成して、濃度検知センサ29によりテストパターンの濃度D’Y1、D’M1、D’C1、D’Bk1を検出している。
【0062】
図9を用いて第2の階調制御で実行されるフローを説明する。
【0063】
Step1では、図8に示すようなテストパターンをプリント動作中の非画像形成部である紙間に形成し、Step2で中間転写ベルト13上に転写されたテストパターンを濃度検知センサ29で検知する。Step3では、テストパターン濃度D’Y1と基準濃度D’Ytと比較する。図7の(C1)のようにD’YtがD’Y1以上である場合には、Step4としてD’Y1のD’Ytに対する変化率(D’Yt− D’Y1)/D’Ytを基準値△D1と比較する。差分値が0〜△D1の場合には、検知濃度が第1の階調制御補正した階調特性からずれていないため、Step5として階調補正を実施しない。
【0064】
Step4において、(D’Yt−D’Y1)/D’Ytが基準値△D1より大きい場合には、Step6で、(D’Yt−D’Y1)/D’Ytを基準値△D2と比較する。変化率が△D1から△D2の範囲である場合には、Step7としてルックアップテーブルの補正を行う。補正値は、画像データごとにD’Y1の変化率をベースに決められる。
【0065】
一方、(D’Yt−D’Y1)/D’Ytが△D2より大きい場合には、階調特性のズレ量が大きいため、第1の階調制御の実行要求を行い、プリント動作終了後、第1の階調制御を実行する。本実施例では、△D1を0.02として、△D2を0.1としている。つまり、2%以内の変化は階調補正せず、10%以上の濃度変化が発生した場合は、第1の階調制御を実行するようにしている。
【0066】
尚、Step3では、テストパターン濃度D’Y1と基準濃度D’Ytと比較する。図7の(C2)のようにD’YtがD’Y1未満の場合に実行されるStep9からStep13は、Step4からStep8で実行されたフローと基準値が異なるだけで、動作は同一なので説明を省略する。また、基準値△D3、△D4も上述と同様にそれぞれ、0.02、0.1に設定されている。
【0067】
特に、紙間に形成されるT’Y1、T’M1、T’C1、T’Bk1の画像データS’Y1、S’M1、S’C1、S’Bk1は、第1の階調制御で用いているテストパターンの中の最大画像データを示すSY7、SM7、SC7、SBk7より小さい画像データのものである。本実施例では、画像データS’Y1、S’M1、S’C1、S’Bk1には20%の印字率を用いている。
【0068】
本実施例においては、第1の階調制御により、画像データと検知濃度は、図5にて(A)のように線形になるように階調を補正している。第1の階調制御実行後に画像データと単位面積当りトナー量の関係を測定したところ、図10に示すような関係となった。従って、第1の階調制御実行直後には20%印字率のテストパターンのトナー量は、0.1mg/cm2となる。実際には、第2の階調制御実行時には、第1の階調制御実行直後と比べ階調特性は変化しており、上述したように△D2、△D4が±10%であることより、20%印字率のテストパターンのトナー量は、0.09〜0.11mg/cm2の範囲で変化する。それ以上のトナー量変化が生じた場合は、上述のように第1の階調制御を実行する。
【0069】
図11は、トナー帯電ローラ27、1次転写ローラ10aの電圧印加状態と動作内容を模式的に示したものである。図11を用いて、紙間に設けられたテストパターンのクリーング工程について説明する。
【0070】
プリントを実行中のカラー画像形成装置において、N枚目とN+1枚目の紙間に形成されたテストパターンT’Y1、T’M1、T’C1、T’Bk1は、N枚目とN+1枚目の2次転写残トナーの間に位置している。そして、中間転写ベルト13に配置されたトナー帯電手段であるトナー帯電ローラ27により帯電される。その後、N+2枚目とN+3枚目の第1ステーションSaでの1次転写の紙間で感光ドラム1aに逆転写されて、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収される。尚、N枚目、N+1枚目の2次転写残トナーは、N+2枚目とN+3枚目の第1ステーションSaでの1次転写中に、感光ドラム1aに逆転写され、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収される。
【0071】
本実施例の作用について説明する。
【0072】
本実施例の構成において、2次転写残トナー量より、第2の階調制御で用いるテストパターンのトナー量が少なければ、通常プリント時と同様のトナー帯電ローラ27に印加される電圧条件でクリーニング可能である。例えば、本実施例の画像形成装置では、単色のベタ画像を形成した場合、中間転写ベルト13上での単位面積あたりのトナー量は0.5mg/cm2となるように設定されており、複数色を色重ねした場合の最大印字率は250%となるようにビデオコントローラ35は設定されている。従って、通常のプリント時では、中間転写ベルト13上には、最大1.25mg/cm2のトナーが担持される。このとき、2次転写効率が90%であると、2次転写残トナーは、最大0.13mg/cm2となる。この2次転写残トナーをトナー帯電ローラ27で帯電し、第1ステーションでの1次転写と同時に感光ドラム1aに逆転写し、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収できるようにトナー帯電バイアス電源28からトナー帯電ローラ27に印加される電圧は設定されている。
【0073】
本実施例で実行される第2の階調制御で用いるテストパターンは、20%の印字率で印字されたパターンであるため、上述したように単位面積当りのトナー量は、0.09〜0.11mg/cm2となる。従って、第2の補正モード、即ち、第2の階調制御で使用するテストパターンのトナー量は、カラー画像形成装置が印字可能な最大トナー量の画像を転写材に印字した後の中間転写ベルト上の残留トナー量より少ない。このように、テストパターンのトナー量は、通常プリント時の2次転写残トナー量より少ないため、トナー帯電ローラ27にトナー帯電バイアス電源28から3.0kVppの矩形の交流電圧に1.0kVの直流電圧を印加することで帯電可能である。そのため、特別なクリーニング工程によるダウンタイムを発生させることなく、通常のプリント工程と同様にテストパターントナーをトナー帯電ローラ27で正極性に帯電することができる。従って、第1ステーションSaで1次転写と同時に感光ドラム1aに逆転写し、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収することができる。つまり、中間転写ベルト13上にテストパターンが残留しないため、第2の階調補正後に特別なクリーニング工程を設ける必要が無く、画像も良好のものを得ることができる。
【0074】
以上、説明したように、階調制御として、第1の階調制御とは別に、紙間に第2の階調制御を行い、第2の階調制御で用いるテストパターンは、第1の階調制御で用いているテストパターンの最大濃度より濃度の低いパターンとすることで、特別な中間転写ベルト13のクリーニング工程によりカラー画像形成装置のスループットを低下させること無く、良好な画像を得ることができる。
【0075】
つまり、本実施例によれば、階調制御として、第1の階調制御とは別に、紙間に第2の階調制御を行い、第2の階調制御で用いるテストパターンは、第1の階調制御で用いているテストパターンの最大濃度より濃度の低いパターンとされる。これは、通常プリント時の2次転写残トナー量より少ない。そのため、トナー帯電手段に印加されている電圧で帯電可能となり、特別なクリーニング工程を用いることなく、通常のプリント工程と同様にテストパターントをトナー帯電手段で帯電し、第1ステーションで1次転写と同時に像担持体に逆転写し、像担持体に当接するクリーニングユニットにより回収することができる。
【0076】
従って、特別な中間転写体のクリーニング工程によりカラー画像形成装置のスループットを低下させること無く、良好な画像を得ることができる。
【0077】
実施例2
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例の画像形成装置の全体構成及び作動は実施例1で説明したカラー画像形成装置と同様である。従って、本実施例の画像形成装置の全体構成及び作動についての詳しい説明は、実施例1で説明したカラー画像形成装置の説明を援用する。また、本実施例を適用するカラー画像形成装置の構成において、本実施例の特徴部を説明する際には、前記実施例1と同様のものには、同一部材には同一符号を付し、説明を省略する。
【0078】
本実施例は、少なくとも中間転写ベルト13上のトナーの回収を補助する回収補助部材を配置し、その部材で紙間パッチのトナーを一部回収及び帯電を行い、中間転写ベルト13上のトナー帯電ローラ27により一括帯電できるようにすることを特徴としている。具体的には、図12を用いて説明する。
【0079】
図12は、トナー帯電ローラ27近傍の構成を示すものである。本実施例の構成は、トナー帯電ローラ27に対して中間転写ベルト13の回転方向上流側に回収補助部材として、トナー補助帯電ブラシ90を配置した。トナー補助帯電ブラシ90は、トナー補助帯電バイアス電源91に接続されている。トナー補助帯電ブラシ90は、中間転写ベルト13上のトナーを散らし、平準化している。そのために、トナー補助帯電ブラシ90通過後にはトナー量が減少することになり、トナー帯電ローラ27で均一に帯電することが可能となる。
【0080】
本実施例において、トナー補助帯電ブラシ90は、20μAの一定電流が印加されるようにトナー補助帯電バイアス電源91は駆動されている。一方、トナー帯電ローラ27は、1.5kVの直流電圧が印加されている。
【0081】
尚、第1の階調制御実行後のクリーニング工程では、トナー補助帯電ブラシ90は、―0.5KV、トナー帯電ローラ27には、―1.0KVを印加して、テストパターントナーを通過させた後、実施例1同様の動作でクリーニング工程を実行している。
【0082】
本実施例では、第2の階調制御は、実施例1の構成と同様に、第1の階調制御よりテストパターンが少なく、簡易的なものであり、第2の階調制御のテストパターン構成、印字率は実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0083】
トナー補助帯電ブラシ90、トナー帯電ローラ27、1次転写ローラ10aの電圧印加状態と動作内容を模式的に示した図13を用いて、紙間に設けられたテストパターンのクリーニング工程について説明する。
【0084】
プリントを実行中のカラー画像形成装置において、N枚目とN+1枚目の紙間に形成されたテストパターンT’Y1、T’M1、T’C1、T’Bk1は、N枚目とN+1枚目の2次転写残トナーの間に位置しており、中間転写ベルト13に配置されているトナー補助帯電ブラシ90により一部回収され、プレ帯電される。その後、トナー帯電手段であるトナー帯電ローラ27により帯電され、N+2枚目とN+3枚目の第1ステーションSaでの1次転写の紙間で感光ドラム1aに逆転写されて、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収される。
【0085】
尚、N枚目、N+1枚目の2次転写残トナーは、N+2枚目とN+3枚目の第1ステーションSaでの1次転写中に、感光ドラム1aに逆転写され、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収される。
【0086】
本実施例の作用について説明する。
【0087】
本実施例の構成において、2次転写残トナー量より、第2の階調制御で用いるテストパターンのトナー量が少なければ、通常プリント時と同様のトナー補助帯電ブラシ90、トナー帯電ローラ27に印加される電圧条件でクリーニング可能である。
【0088】
例えば、本実施例のカラー画像形成装置では、実施例1同様に単色のベタ画像を形成した場合、中間転写ベルト13上での単位面積あたりのトナー量は0.5mg/cm2となるように設定されており、複数色を色重ねした場合の最大印字率は250%となるようにビデオコントローラ35は設定されている。従って、通常のプリント時では、中間転写ベルト13上には、最大1.25mg/cm2のトナーが担持される。このとき、2次転写効率が90%であると、2次転写残トナーは、最大0.13mg/cm2となる。
【0089】
図14はトナー補助帯電ブラシ90に印加される電流とトナーの回収率を示している。図14では、本実施例でトナー補助帯電ブラシ90に印加される電流は、20μAであり、そのときのトナー回収率は35%である。このとき、最大0.13mg/cm2の2次転写残トナーは、トナー補助帯電ブラシ90通過後には、0.08mg/cm2となる。このように、トナー補助帯電ブラシ90を用いることで、トナー帯電ローラ27部に侵入するトナー量を減らすことができるためトナー補助帯電ブラシ90及びトナー帯電ローラ27は共に交流電圧を用いることなく直流電圧のみでトナーを正極性に帯電することが可能となる。従って、正極性に帯電されたトナーは、1次転写部で感光ドラム1aに逆転写され、クリーニングユニット3aで回収される。
【0090】
一方、本実施例で実行される第2の階調制御で用いるテストパターンは、実施例1と同様のシーケンスにより20%の印字率で印字されたパターンであるため、上述したように単位面積当りのトナー量は、0.09〜0.11mg/cm2となる。図14に示すように、本実施例で用いているトナー補助帯電ブラシ90には20μAの電流が印加されており、そのときのトナー回収率は35%である。トナー補助帯電ブラシ90通過後のテストパターンのトナー量は、0.06〜0.07mg/cm2となり、通常プリント時の2次転写残トナーがトナー補助帯電ブラシ90通過した後のトナー量0.08mg/cm2より少ない。そのため、本実施例に示されているトナー補助帯電ブラシ90、トナー帯電ローラ27に印加されている電圧で帯電可能となる。従って、通常プリント時の2次転写残トナー量より少ないため、トナー補助帯電ブラシ90には20μAの一定電流を印加し、トナー帯電ローラ27には1.5kVの直流電圧を印加することでトナーの帯電が可能となる。従って、特別なクリーニング工程によるダウンタイムを発生させることなく、通常のプリント工程と同様にテストパターントをトナー帯電ローラ27で正極性に帯電することができる。従って、第1ステーションSaで1次転写と同時に感光ドラム1aに逆転写し、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収することができる。つまり、中間転写ベルト13上にテストパターンが残留しないため、第2の階調補正後に特別なクリーニング工程を設け必要が無く、良好な画像を得ることができる。
【0091】
以上、説明したように、トナー補助帯電部材90を配置し、その部材90で紙間パッチのトナーを回収及び帯電を行い、中間転写ベルト13上のトナー帯電ローラ27により一括帯電できるようにする。これにより、直流電圧のみの簡素な高圧構成で、特別な中間転写ベルト13のクリーニング工程によりカラー画像形成装置のスループットを低下させること無く、良好な画像を得ることができる。
【0092】
実施例3
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例の画像形成装置の全体構成及び作動は実施例1で説明したカラー画像形成装置と同様である。従って、本実施例の画像形成装置の全体構成及び作動についての詳しい説明は、実施例1で説明したカラー画像形成装置の説明を援用する。また、トナー帯電ローラ27周辺の構成は、図12に示す実施例2の構成と同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
【0093】
本実施例は、紙間に印字されたテストパターンが中間転写ベルト13上に配置されたトナー補助帯電部材であるトナー補助帯電ブラシ90の位置に到達した場合には、2次転写残トナーを補助帯電する場合に印加される電圧を変化させる。それにより、トナー補助帯電ブラシ90のテストパターンを回収する効率を向上させ、中間転写体上の帯電手段により一括帯電できるようにすることを特徴としている。
【0094】
具体的には、本実施例では、トナー補助帯電ブラシ90は、通常プリントシーケンス時には20μAの一定電流が印加され、第2の階調制御を実施した場合は、5μAの一定電流が印加されるようトナー補助帯電バイアス電源91は駆動されている。一方、トナー帯電ローラ27には、実施例2と同様に1.5kVの直流電圧が印加されている。
【0095】
尚、第1の階調制御実行後のクリーニング工程では、実施例2と同様に、トナー補助帯電ブラシ90は、―0.5KV、トナー帯電ローラ27には、―1.0KVを印加して、テストパターントナーを通過させた後、実施例1と同様の動作でクリーニング工程を実行している。
【0096】
本実施例における第2の階調制御のテストパターンについて、図15を用いて説明する。図15に示すように、N枚目とN+1枚目の紙間には、T’Y1、T’Y2、T’M1、T’M2というイエローとマゼンタ色のテストパターンを各2種の濃度で作成して、濃度検知センサ29によりテストパターンの濃度D’Y1、D’Y2、D’M1、D’M2を検出している。
【0097】
紙間に形成されるT’Y1、T’Y2、T’M1、T’M2の画像データS’Y1、S’Y2、S’M1、S’M2は、実施例1と同様の階調制御である第1の階調制御で用いているテストパターンの中の最大画像データSY7、SM7より小さい画像データのものを用いている。より具体的には、T’Y1、T’M1は20%、T’Y2 、T’M2は40%の印字率の画像データを用いている。尚、シアン、ブラックもイエロー、マゼンタと同様に2種類にテストパターンを用いている。
【0098】
本実施例における第2の階調制御は、実施例1のものと動作条件は同一であり、T’Y1、T’Y2の検知濃度D’Y1、D’Y2を基準濃度D’Yt1、D’Yt2と比較している。D’Y1、D’Y2が実施例1と同様の条件、つまり基準濃度D’Yt1、D’Yt2と比較して、ズレ量が2%〜10%の場合のみ第1の階調制御で作成されたルックアップテーブルを補正する。実施例1同様に、基準濃度D’Yt1、D’Yt2からのズレ量が大きい場合は、第1の階調制御を実行し、ズレ量が小さい場合は、ルックアップテーブルの補正は行わない。
【0099】
図16は、トナー補助帯電ブラシ90、トナー帯電ローラ27、1次転写ローラ10aの電圧印加状態と動作内容を模式的に示したものである。図16を用いて、紙間に設けられたテストパターンのクリーング工程について説明する。
【0100】
プリントを実行中のカラー画像形成装置において、N枚目とN+1枚目の紙間に形成されたテストパターンT’Y1、T’Y2、T’M1、T’M2は、N枚目とN+1枚目の2次転写残トナーの間に位置している。中間転写ベルト13に配置されているトナー補助帯電ブラシ90は、通常プリント時に制御されている電流値より低い電流値で制御され、回収効率を上昇させている。その後、トナー帯電手段であるトナー帯電ローラ27により帯電され、N+2枚目とN+3枚目の第1ステーションSaでの1次転写の紙間で感光ドラム1aに逆転写されて、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収される。
【0101】
尚、N枚目、N+1枚目の2次転写残トナーは、N+2枚目とN+3枚目の第1ステーションSaでの1次転写中に、感光ドラム1aに逆転写され、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収される。
【0102】
ここで、イエローとマゼンタについて説明したが、シアン、ブラック色のトナーについても同様のテストパターンをイエローとマゼンタと異なる紙間に作成し、同様の検知、クリーニング工程を行っている。
【0103】
本実施例の作用について説明する。
【0104】
本実施例の構成において、2次転写残トナー量より、第2の階調制御で用いるテストパターンのトナー量が少なければ、通常プリント時と同様のトナー補助帯電ブラシ90、トナー帯電ローラ27に印加される電圧条件でクリーニング可能である。
【0105】
例えば、本実施例の画像形成装置では、単色のベタ画像を形成した場合、中間転写ベルト13上での単位面積あたりのトナー量は0.5mg/cm2となるように設定されており、複数色を色重ねした場合の最大印字率は250%となるようにビデオコントローラ35は設定されている。従って、通常のプリント時では、中間転写ベルト13上には、最大1.25mg/cm2のトナーが担持される。このとき、2次転写効率が90%であると、2次転写残トナーは、最大0.13mg/cm2となる。実施例2同様に、通常プリント時においてはトナー補助帯電ブラシ90に印加される電流は、20μAであり、図14によるとトナー回収率は35%である。このとき、最大0.13mg/cm2の2次転写残トナーは、トナー補助帯電ブラシ90通過後には、0.08mg/cm2となる。このように、トナー補助帯電ブラシ90を用いることで、トナー帯電ローラ27部に侵入するトナー量を減らすことができるためトナー補助帯電ブラシ90及びトナー帯電ローラ27は共に交流電圧を用いることなく直流電圧のみでトナーを正極性に帯電することが可能となる。従って、正極性に帯電されたトナーは、1次転写部で感光ドラム1aに逆転写され、クリーニングユニット3aで回収される。
【0106】
本実施例では、本実施例で実行される第2の階調制御で用いるテストパターンは、実施例1と同様のシーケンスにより20%、40%の印字率で印字されたパターンである。20%印字率のパターンの単位面積当りのトナー量は、0.09〜0.11mg/cm2、40%印字率のパターンの単位面積あたりのトナー量は、0.18〜0.22mg/cm2となる。本実施例では、紙間に形成された第2の階調制御で用いるテストパターンに対して、トナー補助帯電ブラシ90にトナーの一部を回収するのに適した電圧を印加している。
【0107】
具体的には、図14を用いて説明する。図14によると、テストパターンに対するトナー補助帯電ブラシ90のトナー回収量は、0〜5μAにかけて向上し、5〜15μAで減少傾向を示し、15μA以上で飽和している。これは、5μA以上では、トナー補助帯電ブラシ90と中間転写ベルト13との間で放電が発生するため、中間転写ベルト13上のトナーを正極性に帯電してトナー補助帯電ブラシ90の帯電性能が低下している。従って、本実施例では、トナー回収性能の最大の70%となる5μAの一定電流となるようにトナー補助帯電バイアス電源91が駆動している。従って、20%、40%の印字率で印字されたテストパターンは、それぞれトナー補助帯電ブラシ90通過後には、トナー量は、0.027〜0.33mg/cm2、0.054〜0.066mg/cm2となる。通常プリント時の2次転写残トナーがトナー補助帯電ブラシ90通過した後のトナー量0.08mg/cm2より少ないため、本実施例に示されているトナー補助帯電ブラシ90、トナー帯電ローラ27に印加されている電圧で帯電可能となる。つまり、第2の階調制御で用いるテストパターン部の通過時のみ、トナー補助帯電ブラシ90にトナーの回収効率の良い5μAの一定電流を印加することで、通常プリント時の2次転写残トナー量より多いテストパターンであってもトナー補助帯電ブラシ90通過後のトナー量が少なくなる。そのため、テストパターンのトナーをトナー帯電ローラ27で正極性に帯電することができ、第1ステーションSaで1次転写と同時に感光ドラム1aに逆転写し、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収することができる。従って、中間転写ベルト13上にテストパターンは残留しないため、第2の階調制御後に特別なクリーニング工程によるダウンタイムを発生させることなく、良好な画像を得ることができる。
【0108】
以上説明したように、トナー補助帯電ブラシ90を用いて、トナー補助帯電ブラシ90のテストパターン部のトナー回収効率を上げることで、中間転写ベルト13上にテストパターンの濃度を上げることができる。そのため、テストパターンの選択自由度が広がり、第2の階調制御の精度を向上させることができるだけでなく、特別な中間転写ベルト13のクリーニング工程によりカラー画像形成装置のスループットを低下させること無く、良好な画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0109】
1 感光ドラム(像担持体)
13 中間転写ベルト(中間転写体)
10 1次転写ローラ(一次帯電手段)
27 トナー帯電ローラ(トナー帯電手段)
28 トナー帯電バイアス電源
29 濃度検知センサ(画像濃度検知手段)
90 トナー補助帯電ブラシ(トナー補助帯電手段)
91 トナー補助帯電バイアス電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真記録方式を利用するカラー画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、中間転写体を用いた画像形成装置は、様々な転写材への対応が可能などの特徴を生かし、特に複数色の色を重ねるカラー画像形成装置として多数提案されている。
【0003】
中間転写体を用いたカラー画像形成装置は、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という。)上に形成された各色のトナー像を、1次転写手段により中間転写体上に順次に1次転写し、複数色のトナー像を重ね合わせる。この時、1次転写手段には、感光ドラム上のトナー像と逆極性の電圧(感光ドラム上のトナーの極性がマイナス極性の場合は、プラス極性)を印加する。その後、中間転写体上に重ね合わされた複数色のトナー像は、2次転写手段にトナー像と逆極性の電圧を印加して、転写材上に一括して2次転写される。
【0004】
2次転写後の中間転写体は、次の画像形成に備えて、転写材に2次転写されずに中間転写体表面に残ったトナー(以下、「2次転写残トナー」という。)をクリーニングする必要がある。
【0005】
一般的なクリーニング方法としては、2次転写残トナーをブレードやファーブラシ等で掻き取る方法がある。この方法では、掻き取った2次転写残トナーを収納する容器が必要であり、この容器のスペースが本体サイズへ影響する。また、本体サイズへの影響を小さくするため、小さい容器を用いた場合は、定期的な容器交換が必要となり、ユーザビリティの低下を招く場合がある。
【0006】
そこで、特許文献1に開示されているように、2次転写残トナーを感光ドラムに静電的に転移させた後、感光ドラムをクリーニングするためのクリーニングユニットにより回収する方法がある。つまり、2次転写残トナーは、帯電ローラやコロナ帯電器によって、例えば現像時のトナー極性と逆極性(現像時のトナーの極性が負極性の場合は、正極性)に帯電した後、マイナスに帯電されている感光ドラムに静電的に転移させる。その後、感光ドラムをクリーニングするためのクリーニングユニットにより回収する。なお、この回収は、プリント間隔の増大を抑制するために、1次転写と同時に行ってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−49019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1に記載される技術構成では、次のような問題がある。つまり、中間転写体上に任意のテストパターンであるハーフトーンパターンなどを作成して、現像の階調特性を補正する階調制御などの補正制御を、紙間などの一連のプリントシーケンス中に行った場合には、中間転写体のクリーニング動作が必要となる。そのため、ダウンタイムが発生する。
【0009】
具体的には、階調制御は、中間転写体上にトナー量の少ない状態(以下、この状態をハイライトとする)側からトナー量の多い状態(以下、この状態をダークとする)側にかけての複数のテストパターンを形成して、現像の階調特性を計測し、補正する制御である。特に、トナー量の多いダーク側のテストパターンは、2次転写残トナーと比較してトナー量が多い。そのため、特許文献1に記載する中間転写体クリーニング工程のように、中間転写体上に配置されたトナー帯電手段で一括帯電した場合、トナーを均一に帯電し、その極性を現像時の極性と反転させることが難しい。そのため、感光ドラムをクリーニングするためのクリーニングユニットにより回収することができない。従って、中間転写体上のトナー量を減らす工程が必要となる。
【0010】
そこで、中間転写体1周目として、濃度検知手段で検知後のテストパターンは、トナー帯電手段に現像時のトナー極性の電圧(以下、負極性として説明する)を印加して、トナー帯電手段にトナーを付着させること無く通過させる。次に、1次転写手段に現像時のトナーと同極性の負極性電圧を印加して、中間転写体上のトナー像の一部を感光ドラム上に転移させる。その後、中間転写体2周目には中間転写体上に残留したトナーは、中間転写体上に配置されたトナー帯電手段により現像時のトナーと逆極性の正極性に帯電され、1次転写部で感光ドラムに逆転写させて、感光ドラムに配置されたクリーニング手段によりクリーニングする。
【0011】
つまり、テストパターンのトナー量が通常の2次転写残トナーよりも多いため、中間転写体を2周以上回転して、クリーニングする必要がある。従って、2次転写残トナーのみをクリーニングしている通常プリント時の場合に比べ、中間転写体の回転数が増加する。そのため、紙間などの通常プリントシーケンスの一部に階調制御用テストパターンを形成した場合は、中間転写体クリーニングに要する時間がダウンタイムとして生じることになる。
【0012】
そこで、本発明は、このような実情を鑑みてなされたものである。
【0013】
本発明の目的は、プリントシーケンス中にテストパターンを形成し、画像の階調制御を行う場合に、大幅なダウンタイムを生じることなく、中間転写体上に形成されたテストパターンをクリーニングすることのできるカラー画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係るカラー画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体のトナー像を静電的に転写させる中間転写体と、前記中間転写体上のトナー像を転写材に静電的に転写し、前記中間転写体から転写材にトナー像が転写された後に前記中間転写体上に残留するトナーを現像時のトナー極性と逆極性に帯電するトナー帯電手段と、を有し、
複数のテストパターンを形成し、前記テストパターンを検知する画像濃度検知手段と、前記画像濃度検知手段の検知結果によって画像を補正する画像補正手段と、を有する画像形成装置において、
複数色のテストパターンを検出する第1の補正モードと、前記第1の補正モードよりテストパターン数が少ない第2の補正モードとを有し、
第2の補正モードで用いるテストパターンは、前記第1の補正モードで用いる複数のテストパターンの中で単位面積あたりのトナー量が最も多いテストパターンより単位面積あたりのトナー量が少なく、
前記第2の補正モードは、プリント動作中の非画像形成部にて実行され、前記第2の補正モードで前記中間転写体上に形成されたテストパターンは、前記画像濃度検知手段に検知された後、前記像担持体に逆転写されることを特徴とするカラー画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プリントシーケンス中にテストパターンを形成し、画像の階調制御を行う場合に、大幅なダウンタイムを生じることなく、中間転写体上に形成されたテストパターンをクリーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1のカラー画像形成装置を説明する図である。
【図2】実施例1で用いた濃度検知センサを説明する図である。
【図3】実施例1のカラー画像形成装置の概略構成を説明する図である。
【図4】実施例1における第1の階調制御のテストパターンを説明する図である。
【図5】実施例1のカラー画像形成装置の階調特性を説明する図である。
【図6】実施例1における第1の階調制御後の中間転写ベルトのクリーニング工程を説明する図である。
【図7】実施例1における第2の階調制御時を説明する図である。
【図8】実施例1における第2の階調制御のテストパターンを説明する図である。
【図9】実施例1における第2の階調制御の動作を説明する図である。
【図10】実施例1における画像データとトナー量の関係を説明する図である。
【図11】実施例1における第2の階調制御の中間転写ベルトのクリーニング工程を説明する図である。
【図12】実施例2のトナー帯電ローラ近傍の構成を説明する図である。
【図13】実施例2における第2の階調制御の中間転写ベルトのクリーニング工程を説明する図である。
【図14】実施例2のトナー補助帯電ブラシのトナー回収率を説明する図である。
【図15】実施例3における第2の階調制御のテストパターンを説明する図である。
【図16】実施例3における第2の階調制御の中間転写ベルトのクリーニング工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るカラー画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0018】
実施例1
図1に、本発明に係るカラー画像形成装置の一実施例の全体構成を示す。本実施例にて、画像形成装置は、電子写真方式を採用した4ドラムフルカラー画像形成装置とされる。
【0019】
(画像形成装置の全体構成)
図1に示すように、4ドラムフルカラー画像形成装置は、複数の、本実施例では4つの画像形成のためのステーションS、即ち、第1〜第4ステーションSa、Sb、Sc、Sdを備えている。
【0020】
また、各ステーションSは、それぞれ像担持体であるドラム状の電子写真感光体、即ち、感光ドラム1(1a、1b、1c、1d)を有している。感光ドラム1(1a、1b、1c、1d)は、無端ベルト状の中間転写体、即ち、中間転写ベルト13の移動方向に沿って順次配置されている。中間転写ベルト13の移動方向に関して感光ドラム1aが最上流の感光ドラムに対応し、感光ドラム1dが最下流の感光ドラムに対応する。
【0021】
各ステーションSは、同様の構成とされ、それぞれ感光ドラム1の周囲に、帯電手段としての一次帯電ローラ2(2a、2b、2c、2d)及び現像手段としての現像ユニット8(8a、8b、8c、8d)が配置されている。更に、感光ドラム1の周囲には、クリーニング手段としてのクリーニングユニット3(3a、3b、3c、3d)及び露光手段としてのレーザ露光装置11(11a、11b、11c、11d)を備えている。感光ドラム1、帯電ローラ2、現像ユニット8、クリーニングユニット3は、一体型のプロセスカートリッジ9(9a、9b、9c、9d)を構成している。
【0022】
また、各現像ユニット8は、現像スリーブ4(4a、4b、4c、4d)、現像剤塗布ブレード7(7a、7b、7c、7d)を備えており、それぞれ、異なる色の非磁性一成分現像剤5(5a、5b、5c、5d)を収容している。
【0023】
更に、感光ドラム1と共に中間転写ベルト13を挟持する位置には、感光ドラム1と共に一次転写部T1(T1a、T1b、T1c,T1d)を形成する一次転写部材である一次転写ローラ10(10a、10b、10c、10d)が対向設置されている。
【0024】
一方、中間転写ベルト13は、駆動ローラ14、テンションローラ15、二次転写対向ローラ24に張架され、矢印方向に循環移動可能とされる。また、二次転写対向ローラ24の中間転写ベルト13を挟んだ位置には、二次転写対向ローラ24と共に二次転写部T2を形成する二次転写部材である二次転写ローラ25が対向配置されている。
【0025】
また、装置本体の下部には、二次転写部T2に転写材Pを給送する転写材カセット16が配置されている。
【0026】
(カラー画像形成動作)
次に、カラー画像形成動作について詳しく説明する。
【0027】
本実施例では、第1ステーションSaをイエロー(Y)、第2ステーションSbをマゼンタ(M)、第3ステーションScをシアン(C)、第4ステーションSdをブラック(K)色の画像形成部としている。
【0028】
画像形成動作がスタートすると、感光ドラム1a〜1dや中間転写ベルト13等は、所定のプロセススピードで矢印方向に回転を始める。感光ドラム1aは、帯電ローラ2aに帯電バイアス電源20aよって一様に負極性に帯電され、続いて露光手段11aからの走査ビーム12aによって画像情報に従った静電潜像が形成される。
【0029】
現像ユニット8a内のトナー5aは、現像剤塗布ブレード7aによって負極性に帯電されて現像スリーブ4aに塗布される。そして、現像スリーブ4aには、現像バイアス電源21aより、所定の電圧が供給され、感光ドラム1aが回転して感光ドラム1a上に形成された静電潜像が現像スリーブ4aに到達すると、静電潜像は負極性のトナーによって可視化され、感光ドラム1a上には第1色目(本実施例では、Y)のトナー像が形成される。
【0030】
尚、第2〜第4ステーションSb〜Sdも第1ステーションSaと同様の構成とされ、第1ステーションSaと同様の動作を行うので、第2〜第4ステーションSb〜Sdについての動作説明は省略する。
【0031】
次に、4つの感光ドラム1a〜1d全てに対し当接するように配置された中間転写ベルト13には、上述のように、感光ドラム1a〜1dとの対向部に1次転写ローラ10a〜10dが配置されている。1次転写ローラ10a〜10dに1次転写バイアス電源22aよりトナーと逆極性である正極性の直流電圧を印加して、感光ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像を、中間転写ベルト13にトナー像を転写していき、中間転写ベルト13上に多重画像を形成する。
【0032】
その後、露光による静電潜像の作像に合わせて、転写材カセット16に積載されている転写材Pは、給紙ローラ17によりピックアップされ、不図示の搬送ローラによりレジストローラ18にまで搬送される。転写材Pは、中間転写ベルト13上のトナー像に同期してレジストローラ18によって、中間転写ベルト13と2次転写手段である2次転写ローラ25とで形成される当接部(二次転写部T2)へ搬送される。その後、2次転写ローラ25には2次転写バイアス電源26により、トナーと逆極性である正極性の電圧印加され、中間転写ベルト13上に担持された4色の多重トナー像は、一括して転写材P上に静電的に2次転写される。2次転写終了後の転写材Pは、定着手段19へと搬送され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として画像形成装置外へと排出される。
【0033】
一方、2次転写を終えた後、中間転写ベルト13上に残留した2次転写残トナーは、中間転写ベルト13に当接配置されたトナー帯電手段であるトナー帯電ローラ27により帯電される。帯電された2次転写残トナーは、第1ステーションSaで感光ドラム1aに逆転写されて、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収され、中間転写ベルト13はクリーニングされる。
【0034】
2次転写残トナーが感光ドラム1aに逆転写されるメカニズムを以下に説明する。
【0035】
トナー帯電ローラ27には、トナー帯電バイアス電源28が接続されている。2次転写残トナーは、トナー帯電バイアス電源28からトナー帯電ローラ27に供給される電圧(本実施例では直流電圧に交流電圧を重畳しており、直流電圧の極性にトナーを帯電する。詳細は後述するが、これにより、現像時の帯電極性(本実施例では、負極性)とは逆極性(本実施例では正極性)に帯電される。その後、正極性に帯電された2次転写残トナーは、1次転写部(T1a)において正極性の電圧を印加されている1次転写ローラ10aと負極性に帯電されている感光ドラム1a間に発生する電界により、感光ドラム1aに逆転写される。
【0036】
本実施例においては、中間転写ベルト13は、上述のように、その張架部材として2次転写対向ローラ24、駆動ローラ14、テンションローラ15の3本のローラにより支持されており、適当なテンションが維持されるようになっている。駆動ローラ14を駆動させることにより中間転写ベルト13は、感光ドラム1a〜1dに対して順方向に略同速度で移動する。
【0037】
また、中間転写ベルト13は、矢印方向に回転し、1次転写ローラ10aの中間転写ベルト13の回転方向下流側には除電部材23aが配置されている。
【0038】
尚、本実施例においては、中間転写ベルト13の周長は650mmであり、2ページ分のA4サイズの画像を中間転写ベルト13上に担持することができる。
【0039】
次に、本実施例に画像濃度検知、階調補正について説明する。
【0040】
本実施例において、画像形成装置には画像濃度検知手段として、濃度検知センサ29を設けている。図2に示すように、濃度検知センサ29は、LEDなどの発光素子30とフォトダイオードなどの受光素子31、32、ホルダー33から構成されている。濃度検知センサ29は、中間転写ベルト13上に形成された画像濃度制御用のトナー像Tに対して、発光素子30から光を照射して、反射光を受光素子31、32により検知することでトナー像Tの濃度を測定している。なお、受光素子31は乱反射光を、受光素子32は正反射光を検知している。本実施例では、詳しくは後述するが、濃度検知センサ29の検知結果によって画像を補正するために、画像形成装置制御部の画像補正手段により補正モードが実行される。
【0041】
また、本実施例では、カラー画像形成装置に温湿度検知センサ34が設けられている。この温湿度センサ34を用いて、カラー画像形成装置の置かれている雰囲気の温湿度測定を行う。
【0042】
電子写真方式のカラー画像形成装置では、使用する環境の変化、及び画像形成枚数などの諸条件によって、画像濃度が変動すると、本来の正しい色調が得られなくなってしまう。そこで、本実施例では画像濃度制御を行い常に安定した色調の画像が得られるようにしている。
【0043】
また、本実施例での画像濃度制御は、画像の最大濃度を所定の濃度に合わせる最大濃度制御と画像の階調特性を所定の特性に合わせる階調制御とからなる。
【0044】
最大濃度制御は、温湿度検知センサ34が検知した温湿度に対応して、予め設定されたルックアップテーブルに基づき、帯電バイアス電源20a〜20dの出力電圧及び現像バイアス電源21a〜21dの出力電圧を決定している。
【0045】
階調制御は、最大濃度制御により帯電バイアス電源20a〜20dの出力電圧及び現像バイアス電源21a〜21dの出力電圧を決定後に実行される制御であり、画像補正手段により第1の補正モードと第2の補正モードとが実行される。具体的には以下の動作で実行している。
【0046】
階調制御を実行するにあたり各種データのやり取りは、図3に示すカラー画像形成装置概略図を用いて説明する。
【0047】
尚、図1に示す本実施例に係るカラー画像形成装置は、画像形成部37、画像形成部37を制御する制御部36、不図示のコンピュータなどの情報処理装置から画像情報を受け取り、展開するビデオコントローラ部35から構成されている。また、画像形成部37は、帯電、露光、現像、転写、クリーング、定着など一連の画像形成動作を行う作像定着部42、中間転写ベルト13上に形成されたテストパターン像を検知する濃度検知センサ29、カラー画像形成装置の雰囲気の温湿度を検知する温湿度検知センサ34から構成されている。また、制御部36は、階調制御用のテストパターンを発生させるテストパターン発生手段38、CPU39、ROM40、RAM41より構成されている。
【0048】
カラー画像形成装置の電源投入、若しくは、電源投入からの経過時間、画像形成枚数、ユーザからの指示などの適当なタイミングを制御部36内のCPU39が検出する。すると、画像補正手段として機能するCPU39は、ROM40に格納されているプログラムを実行して、階調制御をスタートさせる。制御部36内のCPU39は、カラー画像形成装置本体の初期動作を開始すると共に、作像定着部42を構成する感光ドラム1aを帯電バイアス電源20aから供給される所定電圧で帯電する。
【0049】
次に、CPU30はテストパターン発生手段38から発生させた階調制御用トナー像の画像データを露光装置11a〜11dに送り、感光ドラム1a〜1d上に回転方向に沿って、図4に示すようなTY1〜TY7の7つのテストパターンの潜像を形成する。
【0050】
尚、検知用パターンTY1〜TY7は所定の間隔で濃度が変化するように、画像データSY1〜SY7が予め設定されており、本実施例では、SY1〜SY7は、10%〜70%の印字率の画像データで構成されている。なお、画像データSY1〜SY7は、予め設定された現像電圧VTYによってそれぞれ現像される。感光ドラム1a上に形成されたテストパターンTY1〜TY7のトナー像は、感光ドラム1aと1次転写ローラ10aとの間の電圧印加により中間転写ベルト13に転写される。そして、イエロー(Y)に続いてマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のテストパターンも同様に形成し、中間転写ベルト13上にテストパターンが形成される。これらのテストパターンTY1〜TY7、TM1〜TM7、TC1〜TC7、TBk1〜TBk7を濃度検知センサ29によってそれぞれ測定する。そして、濃度測定値DY1〜DY7、DM1〜DM7、DC1〜DC7、DBk1〜DBk7を制御部36内のRAM32に書き込む。
【0051】
検出パターンの測定が終わると画像補正手段としてのCPU39は、RAM41に保存された各パターンの濃度と画像データの間を多項式等を使って補間することで、このカラー画像形成装置の階調特性を求める。通常、電子写真式のカラー画像形成装置の階調特性は、図5に示す曲線(B)のような非線形の形になる。その後、求められた階調特性を図5に示す直線(A)のような線形或いは所定の形になるように、画像形成部37に入力される画像データと、露光装置に送るデータとの間を調整する階調補正特性であるルックアップテーブルを作り、RAM32内に保存する。以後の画像形成にはこのルックアップテーブルを使って階調の補正を行う。具体的には、濃度測定値DY1〜DY7を図5に示す基準値DY1t〜DY7tになるように画像データを補正するルックアップテーブルを作成している。
【0052】
以上のようにして求めたルックアップテーブルを用いることで安定した色調のカラー画像を得ることができる。
【0053】
一方、図6は、トナー帯電ローラ27、1次転写ローラ10aの電圧印加状態と動作内容を模式的に示したものである。図6を用いて、中間転写ベルト13上に形成されたテストパターンのクリーニング工程を説明する。
【0054】
濃度検知センサ29での検知終了後、トナー帯電バイアス電源28から−1.0kVの負極性の直流電圧をトナー帯電ローラ27に印加して、トナー帯電ローラ27表面をテストパターンのトナー像と同極性にする。これにより、トナーを付着させること無く、トナー像を通過させる。その後、1次転写ローラ10a〜10dに負極性電圧を印加して、テストパターンのトナー像の一部を感光ドラム1a〜1dに逆転写して感光ドラム1a〜1dに当接するクリーニングユニット3a〜3dにより回収する。
【0055】
その後、1次転写部T1a〜T1dにおいて、逆転写できなかった残留トナーは、再度、トナー帯電ローラ27部に周回してくる。このとき、トナー帯電バイアス電源28から3.0kVppの矩形の交流電圧に1.0kVの直流電圧が重畳された電圧を印加されたトナー帯電ローラ27からの放電をうけて、残留トナーは、正極性に帯電される。その後、正極性に帯電されたテストパターンの残留トナーは、正極性の電圧を印加された1次転写ローラ10a〜10dにより1次転写部T1a〜T1dで感光ドラム1a〜1dに逆転写されて、感光ドラム1a〜1dに当接するクリーニングユニット3a〜3dにより回収される。
【0056】
尚、濃度検知センサ29での検知終了後の直ぐにテストパターンをトナー帯電ローラ27で正極性に帯電した場合は、テストパターンのトナー量が多いため、均一帯電が難しい。従って、中間転写ベルト13上のトナー量を減らす目的で、1次転写ローラ10a〜10dに負極性の電圧を印加して、テストパターンのトナー像の一部を感光ドラム1a〜1dに逆転写している。
【0057】
以上のように、第1の補正モードによる第1の階調制御では、濃度検知終了後にクリーニング工程を特別に設け、中間転写ベルト13を2周させてテストパターンのクリーニングを行っている。
【0058】
以下に、本実施例の特徴を述べる。
【0059】
本実施例では、中間転写ベルト13上に残留するトナーを現像時のトナー極性と逆極性に帯電するトナー帯電ローラ27を有し、かつ階調制御として、第1の階調制御とは別に、紙間に第2の階調制御を行う。第2の補正モードによる第2の階調制御で用いるテストパターンは、第1の階調制御で用いている最大濃度のテストパターンより単位面積あたりのトナー量の少ないパターンであり、かつ第1の階調制御で用いるテストパターンよりテストパターンの数を少なくすることである。
【0060】
上述のように、本実施例では、第1の階調制御とは別に、よりテストパターンが少なく、簡易的な第2の階調制御を実行している。具体的には、第2の階調制御は、第1の階調制御により作成されたルックアップテーブルを補正するものである。つまり、第1の階調制御により階調特性を図7に示す直線(A)のように補正しても、連続プリントを重ねた場合や、カラー画像形成装置の置かれている雰囲気環境が変化した場合は、図7示す曲線(C1)、(C2)のように変化してしまう。第2の階調補正は、このような画像特性の変化を低濃度域の画像データ(図7ではS’Y1)によるテストパターンのみを測定することで捉え、検知結果により、適宜、階調特性を修正することで直線(A)の階調特性に補正する制御である。
【0061】
図8は、第2の補正モードによる第2の階調制御で形成されるテストパターンを説明するものである。T’Y1、T’M1、T’C1、T’Bk1という各色1種類のテストパターンを紙間に作成して、濃度検知センサ29によりテストパターンの濃度D’Y1、D’M1、D’C1、D’Bk1を検出している。
【0062】
図9を用いて第2の階調制御で実行されるフローを説明する。
【0063】
Step1では、図8に示すようなテストパターンをプリント動作中の非画像形成部である紙間に形成し、Step2で中間転写ベルト13上に転写されたテストパターンを濃度検知センサ29で検知する。Step3では、テストパターン濃度D’Y1と基準濃度D’Ytと比較する。図7の(C1)のようにD’YtがD’Y1以上である場合には、Step4としてD’Y1のD’Ytに対する変化率(D’Yt− D’Y1)/D’Ytを基準値△D1と比較する。差分値が0〜△D1の場合には、検知濃度が第1の階調制御補正した階調特性からずれていないため、Step5として階調補正を実施しない。
【0064】
Step4において、(D’Yt−D’Y1)/D’Ytが基準値△D1より大きい場合には、Step6で、(D’Yt−D’Y1)/D’Ytを基準値△D2と比較する。変化率が△D1から△D2の範囲である場合には、Step7としてルックアップテーブルの補正を行う。補正値は、画像データごとにD’Y1の変化率をベースに決められる。
【0065】
一方、(D’Yt−D’Y1)/D’Ytが△D2より大きい場合には、階調特性のズレ量が大きいため、第1の階調制御の実行要求を行い、プリント動作終了後、第1の階調制御を実行する。本実施例では、△D1を0.02として、△D2を0.1としている。つまり、2%以内の変化は階調補正せず、10%以上の濃度変化が発生した場合は、第1の階調制御を実行するようにしている。
【0066】
尚、Step3では、テストパターン濃度D’Y1と基準濃度D’Ytと比較する。図7の(C2)のようにD’YtがD’Y1未満の場合に実行されるStep9からStep13は、Step4からStep8で実行されたフローと基準値が異なるだけで、動作は同一なので説明を省略する。また、基準値△D3、△D4も上述と同様にそれぞれ、0.02、0.1に設定されている。
【0067】
特に、紙間に形成されるT’Y1、T’M1、T’C1、T’Bk1の画像データS’Y1、S’M1、S’C1、S’Bk1は、第1の階調制御で用いているテストパターンの中の最大画像データを示すSY7、SM7、SC7、SBk7より小さい画像データのものである。本実施例では、画像データS’Y1、S’M1、S’C1、S’Bk1には20%の印字率を用いている。
【0068】
本実施例においては、第1の階調制御により、画像データと検知濃度は、図5にて(A)のように線形になるように階調を補正している。第1の階調制御実行後に画像データと単位面積当りトナー量の関係を測定したところ、図10に示すような関係となった。従って、第1の階調制御実行直後には20%印字率のテストパターンのトナー量は、0.1mg/cm2となる。実際には、第2の階調制御実行時には、第1の階調制御実行直後と比べ階調特性は変化しており、上述したように△D2、△D4が±10%であることより、20%印字率のテストパターンのトナー量は、0.09〜0.11mg/cm2の範囲で変化する。それ以上のトナー量変化が生じた場合は、上述のように第1の階調制御を実行する。
【0069】
図11は、トナー帯電ローラ27、1次転写ローラ10aの電圧印加状態と動作内容を模式的に示したものである。図11を用いて、紙間に設けられたテストパターンのクリーング工程について説明する。
【0070】
プリントを実行中のカラー画像形成装置において、N枚目とN+1枚目の紙間に形成されたテストパターンT’Y1、T’M1、T’C1、T’Bk1は、N枚目とN+1枚目の2次転写残トナーの間に位置している。そして、中間転写ベルト13に配置されたトナー帯電手段であるトナー帯電ローラ27により帯電される。その後、N+2枚目とN+3枚目の第1ステーションSaでの1次転写の紙間で感光ドラム1aに逆転写されて、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収される。尚、N枚目、N+1枚目の2次転写残トナーは、N+2枚目とN+3枚目の第1ステーションSaでの1次転写中に、感光ドラム1aに逆転写され、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収される。
【0071】
本実施例の作用について説明する。
【0072】
本実施例の構成において、2次転写残トナー量より、第2の階調制御で用いるテストパターンのトナー量が少なければ、通常プリント時と同様のトナー帯電ローラ27に印加される電圧条件でクリーニング可能である。例えば、本実施例の画像形成装置では、単色のベタ画像を形成した場合、中間転写ベルト13上での単位面積あたりのトナー量は0.5mg/cm2となるように設定されており、複数色を色重ねした場合の最大印字率は250%となるようにビデオコントローラ35は設定されている。従って、通常のプリント時では、中間転写ベルト13上には、最大1.25mg/cm2のトナーが担持される。このとき、2次転写効率が90%であると、2次転写残トナーは、最大0.13mg/cm2となる。この2次転写残トナーをトナー帯電ローラ27で帯電し、第1ステーションでの1次転写と同時に感光ドラム1aに逆転写し、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収できるようにトナー帯電バイアス電源28からトナー帯電ローラ27に印加される電圧は設定されている。
【0073】
本実施例で実行される第2の階調制御で用いるテストパターンは、20%の印字率で印字されたパターンであるため、上述したように単位面積当りのトナー量は、0.09〜0.11mg/cm2となる。従って、第2の補正モード、即ち、第2の階調制御で使用するテストパターンのトナー量は、カラー画像形成装置が印字可能な最大トナー量の画像を転写材に印字した後の中間転写ベルト上の残留トナー量より少ない。このように、テストパターンのトナー量は、通常プリント時の2次転写残トナー量より少ないため、トナー帯電ローラ27にトナー帯電バイアス電源28から3.0kVppの矩形の交流電圧に1.0kVの直流電圧を印加することで帯電可能である。そのため、特別なクリーニング工程によるダウンタイムを発生させることなく、通常のプリント工程と同様にテストパターントナーをトナー帯電ローラ27で正極性に帯電することができる。従って、第1ステーションSaで1次転写と同時に感光ドラム1aに逆転写し、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収することができる。つまり、中間転写ベルト13上にテストパターンが残留しないため、第2の階調補正後に特別なクリーニング工程を設ける必要が無く、画像も良好のものを得ることができる。
【0074】
以上、説明したように、階調制御として、第1の階調制御とは別に、紙間に第2の階調制御を行い、第2の階調制御で用いるテストパターンは、第1の階調制御で用いているテストパターンの最大濃度より濃度の低いパターンとすることで、特別な中間転写ベルト13のクリーニング工程によりカラー画像形成装置のスループットを低下させること無く、良好な画像を得ることができる。
【0075】
つまり、本実施例によれば、階調制御として、第1の階調制御とは別に、紙間に第2の階調制御を行い、第2の階調制御で用いるテストパターンは、第1の階調制御で用いているテストパターンの最大濃度より濃度の低いパターンとされる。これは、通常プリント時の2次転写残トナー量より少ない。そのため、トナー帯電手段に印加されている電圧で帯電可能となり、特別なクリーニング工程を用いることなく、通常のプリント工程と同様にテストパターントをトナー帯電手段で帯電し、第1ステーションで1次転写と同時に像担持体に逆転写し、像担持体に当接するクリーニングユニットにより回収することができる。
【0076】
従って、特別な中間転写体のクリーニング工程によりカラー画像形成装置のスループットを低下させること無く、良好な画像を得ることができる。
【0077】
実施例2
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例の画像形成装置の全体構成及び作動は実施例1で説明したカラー画像形成装置と同様である。従って、本実施例の画像形成装置の全体構成及び作動についての詳しい説明は、実施例1で説明したカラー画像形成装置の説明を援用する。また、本実施例を適用するカラー画像形成装置の構成において、本実施例の特徴部を説明する際には、前記実施例1と同様のものには、同一部材には同一符号を付し、説明を省略する。
【0078】
本実施例は、少なくとも中間転写ベルト13上のトナーの回収を補助する回収補助部材を配置し、その部材で紙間パッチのトナーを一部回収及び帯電を行い、中間転写ベルト13上のトナー帯電ローラ27により一括帯電できるようにすることを特徴としている。具体的には、図12を用いて説明する。
【0079】
図12は、トナー帯電ローラ27近傍の構成を示すものである。本実施例の構成は、トナー帯電ローラ27に対して中間転写ベルト13の回転方向上流側に回収補助部材として、トナー補助帯電ブラシ90を配置した。トナー補助帯電ブラシ90は、トナー補助帯電バイアス電源91に接続されている。トナー補助帯電ブラシ90は、中間転写ベルト13上のトナーを散らし、平準化している。そのために、トナー補助帯電ブラシ90通過後にはトナー量が減少することになり、トナー帯電ローラ27で均一に帯電することが可能となる。
【0080】
本実施例において、トナー補助帯電ブラシ90は、20μAの一定電流が印加されるようにトナー補助帯電バイアス電源91は駆動されている。一方、トナー帯電ローラ27は、1.5kVの直流電圧が印加されている。
【0081】
尚、第1の階調制御実行後のクリーニング工程では、トナー補助帯電ブラシ90は、―0.5KV、トナー帯電ローラ27には、―1.0KVを印加して、テストパターントナーを通過させた後、実施例1同様の動作でクリーニング工程を実行している。
【0082】
本実施例では、第2の階調制御は、実施例1の構成と同様に、第1の階調制御よりテストパターンが少なく、簡易的なものであり、第2の階調制御のテストパターン構成、印字率は実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0083】
トナー補助帯電ブラシ90、トナー帯電ローラ27、1次転写ローラ10aの電圧印加状態と動作内容を模式的に示した図13を用いて、紙間に設けられたテストパターンのクリーニング工程について説明する。
【0084】
プリントを実行中のカラー画像形成装置において、N枚目とN+1枚目の紙間に形成されたテストパターンT’Y1、T’M1、T’C1、T’Bk1は、N枚目とN+1枚目の2次転写残トナーの間に位置しており、中間転写ベルト13に配置されているトナー補助帯電ブラシ90により一部回収され、プレ帯電される。その後、トナー帯電手段であるトナー帯電ローラ27により帯電され、N+2枚目とN+3枚目の第1ステーションSaでの1次転写の紙間で感光ドラム1aに逆転写されて、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収される。
【0085】
尚、N枚目、N+1枚目の2次転写残トナーは、N+2枚目とN+3枚目の第1ステーションSaでの1次転写中に、感光ドラム1aに逆転写され、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収される。
【0086】
本実施例の作用について説明する。
【0087】
本実施例の構成において、2次転写残トナー量より、第2の階調制御で用いるテストパターンのトナー量が少なければ、通常プリント時と同様のトナー補助帯電ブラシ90、トナー帯電ローラ27に印加される電圧条件でクリーニング可能である。
【0088】
例えば、本実施例のカラー画像形成装置では、実施例1同様に単色のベタ画像を形成した場合、中間転写ベルト13上での単位面積あたりのトナー量は0.5mg/cm2となるように設定されており、複数色を色重ねした場合の最大印字率は250%となるようにビデオコントローラ35は設定されている。従って、通常のプリント時では、中間転写ベルト13上には、最大1.25mg/cm2のトナーが担持される。このとき、2次転写効率が90%であると、2次転写残トナーは、最大0.13mg/cm2となる。
【0089】
図14はトナー補助帯電ブラシ90に印加される電流とトナーの回収率を示している。図14では、本実施例でトナー補助帯電ブラシ90に印加される電流は、20μAであり、そのときのトナー回収率は35%である。このとき、最大0.13mg/cm2の2次転写残トナーは、トナー補助帯電ブラシ90通過後には、0.08mg/cm2となる。このように、トナー補助帯電ブラシ90を用いることで、トナー帯電ローラ27部に侵入するトナー量を減らすことができるためトナー補助帯電ブラシ90及びトナー帯電ローラ27は共に交流電圧を用いることなく直流電圧のみでトナーを正極性に帯電することが可能となる。従って、正極性に帯電されたトナーは、1次転写部で感光ドラム1aに逆転写され、クリーニングユニット3aで回収される。
【0090】
一方、本実施例で実行される第2の階調制御で用いるテストパターンは、実施例1と同様のシーケンスにより20%の印字率で印字されたパターンであるため、上述したように単位面積当りのトナー量は、0.09〜0.11mg/cm2となる。図14に示すように、本実施例で用いているトナー補助帯電ブラシ90には20μAの電流が印加されており、そのときのトナー回収率は35%である。トナー補助帯電ブラシ90通過後のテストパターンのトナー量は、0.06〜0.07mg/cm2となり、通常プリント時の2次転写残トナーがトナー補助帯電ブラシ90通過した後のトナー量0.08mg/cm2より少ない。そのため、本実施例に示されているトナー補助帯電ブラシ90、トナー帯電ローラ27に印加されている電圧で帯電可能となる。従って、通常プリント時の2次転写残トナー量より少ないため、トナー補助帯電ブラシ90には20μAの一定電流を印加し、トナー帯電ローラ27には1.5kVの直流電圧を印加することでトナーの帯電が可能となる。従って、特別なクリーニング工程によるダウンタイムを発生させることなく、通常のプリント工程と同様にテストパターントをトナー帯電ローラ27で正極性に帯電することができる。従って、第1ステーションSaで1次転写と同時に感光ドラム1aに逆転写し、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収することができる。つまり、中間転写ベルト13上にテストパターンが残留しないため、第2の階調補正後に特別なクリーニング工程を設け必要が無く、良好な画像を得ることができる。
【0091】
以上、説明したように、トナー補助帯電部材90を配置し、その部材90で紙間パッチのトナーを回収及び帯電を行い、中間転写ベルト13上のトナー帯電ローラ27により一括帯電できるようにする。これにより、直流電圧のみの簡素な高圧構成で、特別な中間転写ベルト13のクリーニング工程によりカラー画像形成装置のスループットを低下させること無く、良好な画像を得ることができる。
【0092】
実施例3
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例の画像形成装置の全体構成及び作動は実施例1で説明したカラー画像形成装置と同様である。従って、本実施例の画像形成装置の全体構成及び作動についての詳しい説明は、実施例1で説明したカラー画像形成装置の説明を援用する。また、トナー帯電ローラ27周辺の構成は、図12に示す実施例2の構成と同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
【0093】
本実施例は、紙間に印字されたテストパターンが中間転写ベルト13上に配置されたトナー補助帯電部材であるトナー補助帯電ブラシ90の位置に到達した場合には、2次転写残トナーを補助帯電する場合に印加される電圧を変化させる。それにより、トナー補助帯電ブラシ90のテストパターンを回収する効率を向上させ、中間転写体上の帯電手段により一括帯電できるようにすることを特徴としている。
【0094】
具体的には、本実施例では、トナー補助帯電ブラシ90は、通常プリントシーケンス時には20μAの一定電流が印加され、第2の階調制御を実施した場合は、5μAの一定電流が印加されるようトナー補助帯電バイアス電源91は駆動されている。一方、トナー帯電ローラ27には、実施例2と同様に1.5kVの直流電圧が印加されている。
【0095】
尚、第1の階調制御実行後のクリーニング工程では、実施例2と同様に、トナー補助帯電ブラシ90は、―0.5KV、トナー帯電ローラ27には、―1.0KVを印加して、テストパターントナーを通過させた後、実施例1と同様の動作でクリーニング工程を実行している。
【0096】
本実施例における第2の階調制御のテストパターンについて、図15を用いて説明する。図15に示すように、N枚目とN+1枚目の紙間には、T’Y1、T’Y2、T’M1、T’M2というイエローとマゼンタ色のテストパターンを各2種の濃度で作成して、濃度検知センサ29によりテストパターンの濃度D’Y1、D’Y2、D’M1、D’M2を検出している。
【0097】
紙間に形成されるT’Y1、T’Y2、T’M1、T’M2の画像データS’Y1、S’Y2、S’M1、S’M2は、実施例1と同様の階調制御である第1の階調制御で用いているテストパターンの中の最大画像データSY7、SM7より小さい画像データのものを用いている。より具体的には、T’Y1、T’M1は20%、T’Y2 、T’M2は40%の印字率の画像データを用いている。尚、シアン、ブラックもイエロー、マゼンタと同様に2種類にテストパターンを用いている。
【0098】
本実施例における第2の階調制御は、実施例1のものと動作条件は同一であり、T’Y1、T’Y2の検知濃度D’Y1、D’Y2を基準濃度D’Yt1、D’Yt2と比較している。D’Y1、D’Y2が実施例1と同様の条件、つまり基準濃度D’Yt1、D’Yt2と比較して、ズレ量が2%〜10%の場合のみ第1の階調制御で作成されたルックアップテーブルを補正する。実施例1同様に、基準濃度D’Yt1、D’Yt2からのズレ量が大きい場合は、第1の階調制御を実行し、ズレ量が小さい場合は、ルックアップテーブルの補正は行わない。
【0099】
図16は、トナー補助帯電ブラシ90、トナー帯電ローラ27、1次転写ローラ10aの電圧印加状態と動作内容を模式的に示したものである。図16を用いて、紙間に設けられたテストパターンのクリーング工程について説明する。
【0100】
プリントを実行中のカラー画像形成装置において、N枚目とN+1枚目の紙間に形成されたテストパターンT’Y1、T’Y2、T’M1、T’M2は、N枚目とN+1枚目の2次転写残トナーの間に位置している。中間転写ベルト13に配置されているトナー補助帯電ブラシ90は、通常プリント時に制御されている電流値より低い電流値で制御され、回収効率を上昇させている。その後、トナー帯電手段であるトナー帯電ローラ27により帯電され、N+2枚目とN+3枚目の第1ステーションSaでの1次転写の紙間で感光ドラム1aに逆転写されて、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収される。
【0101】
尚、N枚目、N+1枚目の2次転写残トナーは、N+2枚目とN+3枚目の第1ステーションSaでの1次転写中に、感光ドラム1aに逆転写され、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収される。
【0102】
ここで、イエローとマゼンタについて説明したが、シアン、ブラック色のトナーについても同様のテストパターンをイエローとマゼンタと異なる紙間に作成し、同様の検知、クリーニング工程を行っている。
【0103】
本実施例の作用について説明する。
【0104】
本実施例の構成において、2次転写残トナー量より、第2の階調制御で用いるテストパターンのトナー量が少なければ、通常プリント時と同様のトナー補助帯電ブラシ90、トナー帯電ローラ27に印加される電圧条件でクリーニング可能である。
【0105】
例えば、本実施例の画像形成装置では、単色のベタ画像を形成した場合、中間転写ベルト13上での単位面積あたりのトナー量は0.5mg/cm2となるように設定されており、複数色を色重ねした場合の最大印字率は250%となるようにビデオコントローラ35は設定されている。従って、通常のプリント時では、中間転写ベルト13上には、最大1.25mg/cm2のトナーが担持される。このとき、2次転写効率が90%であると、2次転写残トナーは、最大0.13mg/cm2となる。実施例2同様に、通常プリント時においてはトナー補助帯電ブラシ90に印加される電流は、20μAであり、図14によるとトナー回収率は35%である。このとき、最大0.13mg/cm2の2次転写残トナーは、トナー補助帯電ブラシ90通過後には、0.08mg/cm2となる。このように、トナー補助帯電ブラシ90を用いることで、トナー帯電ローラ27部に侵入するトナー量を減らすことができるためトナー補助帯電ブラシ90及びトナー帯電ローラ27は共に交流電圧を用いることなく直流電圧のみでトナーを正極性に帯電することが可能となる。従って、正極性に帯電されたトナーは、1次転写部で感光ドラム1aに逆転写され、クリーニングユニット3aで回収される。
【0106】
本実施例では、本実施例で実行される第2の階調制御で用いるテストパターンは、実施例1と同様のシーケンスにより20%、40%の印字率で印字されたパターンである。20%印字率のパターンの単位面積当りのトナー量は、0.09〜0.11mg/cm2、40%印字率のパターンの単位面積あたりのトナー量は、0.18〜0.22mg/cm2となる。本実施例では、紙間に形成された第2の階調制御で用いるテストパターンに対して、トナー補助帯電ブラシ90にトナーの一部を回収するのに適した電圧を印加している。
【0107】
具体的には、図14を用いて説明する。図14によると、テストパターンに対するトナー補助帯電ブラシ90のトナー回収量は、0〜5μAにかけて向上し、5〜15μAで減少傾向を示し、15μA以上で飽和している。これは、5μA以上では、トナー補助帯電ブラシ90と中間転写ベルト13との間で放電が発生するため、中間転写ベルト13上のトナーを正極性に帯電してトナー補助帯電ブラシ90の帯電性能が低下している。従って、本実施例では、トナー回収性能の最大の70%となる5μAの一定電流となるようにトナー補助帯電バイアス電源91が駆動している。従って、20%、40%の印字率で印字されたテストパターンは、それぞれトナー補助帯電ブラシ90通過後には、トナー量は、0.027〜0.33mg/cm2、0.054〜0.066mg/cm2となる。通常プリント時の2次転写残トナーがトナー補助帯電ブラシ90通過した後のトナー量0.08mg/cm2より少ないため、本実施例に示されているトナー補助帯電ブラシ90、トナー帯電ローラ27に印加されている電圧で帯電可能となる。つまり、第2の階調制御で用いるテストパターン部の通過時のみ、トナー補助帯電ブラシ90にトナーの回収効率の良い5μAの一定電流を印加することで、通常プリント時の2次転写残トナー量より多いテストパターンであってもトナー補助帯電ブラシ90通過後のトナー量が少なくなる。そのため、テストパターンのトナーをトナー帯電ローラ27で正極性に帯電することができ、第1ステーションSaで1次転写と同時に感光ドラム1aに逆転写し、感光ドラム1aに当接するクリーニングユニット3aにより回収することができる。従って、中間転写ベルト13上にテストパターンは残留しないため、第2の階調制御後に特別なクリーニング工程によるダウンタイムを発生させることなく、良好な画像を得ることができる。
【0108】
以上説明したように、トナー補助帯電ブラシ90を用いて、トナー補助帯電ブラシ90のテストパターン部のトナー回収効率を上げることで、中間転写ベルト13上にテストパターンの濃度を上げることができる。そのため、テストパターンの選択自由度が広がり、第2の階調制御の精度を向上させることができるだけでなく、特別な中間転写ベルト13のクリーニング工程によりカラー画像形成装置のスループットを低下させること無く、良好な画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0109】
1 感光ドラム(像担持体)
13 中間転写ベルト(中間転写体)
10 1次転写ローラ(一次帯電手段)
27 トナー帯電ローラ(トナー帯電手段)
28 トナー帯電バイアス電源
29 濃度検知センサ(画像濃度検知手段)
90 トナー補助帯電ブラシ(トナー補助帯電手段)
91 トナー補助帯電バイアス電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体のトナー像を静電的に転写させる中間転写体と、前記中間転写体上のトナー像を転写材に静電的に転写し、前記中間転写体から転写材にトナー像が転写された後に前記中間転写体上に残留するトナーを現像時のトナー極性と逆極性に帯電するトナー帯電手段と、を有し、
複数のテストパターンを形成し、前記テストパターンを検知する画像濃度検知手段と、前記画像濃度検知手段の検知結果によって画像を補正する画像補正手段と、を有する画像形成装置において、
複数色のテストパターンを検出する第1の補正モードと、前記第1の補正モードよりテストパターン数が少ない第2の補正モードとを有し、
第2の補正モードで用いるテストパターンは、前記第1の補正モードで用いる複数のテストパターンの中で単位面積あたりのトナー量が最も多いテストパターンより単位面積あたりのトナー量が少なく、
前記第2の補正モードは、プリント動作中の非画像形成部にて実行され、前記第2の補正モードで前記中間転写体上に形成されたテストパターンは、前記画像濃度検知手段に検知された後、前記像担持体に逆転写されることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の補正モードで補正した画像特性を、前記第2の補正モードで検知した結果により修正することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の補正モードで使用するテストパターンのトナー量が、カラー画像形成装置が印字可能な最大トナー量の画像を転写材に印字した後の前記中間転写体上の残留トナー量より少ないことを特徴とする請求項1又は2に記載のカラー画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー帯電手段が、少なくとも2つの帯電手段により構成され、1つの前記帯電手段は、前記中間転写体上に残留する前記第2の補正モードのテストパターンの一部を回収するトナー補助帯電手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載のカラー画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー補助帯電手段に印加する電圧を、前記第1の補正モードと前記第2の補正モードで変化させることを特徴とする請求項4に記載のカラー画像形成装置。
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体のトナー像を静電的に転写させる中間転写体と、前記中間転写体上のトナー像を転写材に静電的に転写し、前記中間転写体から転写材にトナー像が転写された後に前記中間転写体上に残留するトナーを現像時のトナー極性と逆極性に帯電するトナー帯電手段と、を有し、
複数のテストパターンを形成し、前記テストパターンを検知する画像濃度検知手段と、前記画像濃度検知手段の検知結果によって画像を補正する画像補正手段と、を有する画像形成装置において、
複数色のテストパターンを検出する第1の補正モードと、前記第1の補正モードよりテストパターン数が少ない第2の補正モードとを有し、
第2の補正モードで用いるテストパターンは、前記第1の補正モードで用いる複数のテストパターンの中で単位面積あたりのトナー量が最も多いテストパターンより単位面積あたりのトナー量が少なく、
前記第2の補正モードは、プリント動作中の非画像形成部にて実行され、前記第2の補正モードで前記中間転写体上に形成されたテストパターンは、前記画像濃度検知手段に検知された後、前記像担持体に逆転写されることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の補正モードで補正した画像特性を、前記第2の補正モードで検知した結果により修正することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の補正モードで使用するテストパターンのトナー量が、カラー画像形成装置が印字可能な最大トナー量の画像を転写材に印字した後の前記中間転写体上の残留トナー量より少ないことを特徴とする請求項1又は2に記載のカラー画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー帯電手段が、少なくとも2つの帯電手段により構成され、1つの前記帯電手段は、前記中間転写体上に残留する前記第2の補正モードのテストパターンの一部を回収するトナー補助帯電手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載のカラー画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー補助帯電手段に印加する電圧を、前記第1の補正モードと前記第2の補正モードで変化させることを特徴とする請求項4に記載のカラー画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−57759(P2013−57759A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195396(P2011−195396)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]