説明

カンナビノイドCB1受容体アンタゴニストとしてのN−[(4,5−ジフェニル−3−アルキル−2−チエニル)メチル]アミン(アミド、スルホンアミド、カルバミン酸及び尿素)誘導体

本発明は式(I):


[式中、Xは−C−、−SO−、−C−N(R)−、−C−O−基を表し;Rは(C−C)アルキル、置換されていないか又は炭素環の数カ所を置換された(C−C)シクロアルキルメチル、置換されていないか又はモノ、ジもしくはトリ置換されたフェニル;置換されていないか又はモノもしくはジ置換されたベンジル、インドリルを表し;Rは水素原子又は(C−C)アルキルを表し;Rは(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルを表し;Rは置換されていないか又はモノ、ジもしくはトリ置換されたフェニルを表し;Rは置換されていないか又はモノ、ジもしくはトリ置換されたフェニルを表し;Rは水素原子又は(C−C)アルキルを表す]の化合物に関する。本発明は前記化合物の製造方法と、カンナビノイドCB受容体アンタゴニストとしてのその使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は置換N−[(4,5−ジフェニル−3−アルキル−2−チエニル)メチル]アミン誘導体、その製造及び治療薬としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビノイドCB受容体に対して親和性をもつジフェニルピラゾール誘導体は特に特許US5 624 941、EP0 576 357、EP0 656 354、及び1 150 961並びにWO2005/073197に記載されている。
【0003】
抗炎症作用と鎮痛作用をもつ4,5−ジアリールオフェン誘導体は国際特許出願WO91/19708に記載されている。チオフェン−2−カルボキサミド誘導体は国際特許出願WO2005/035488に記載されている。
【発明の開示】
【0004】
カンナビノイドCB受容体に対してアンタゴニスト性をもつ新規置換N−[(4,5−ジフェニル−3−アルキル−2−チエニル)メチル]アミン誘導体が今般発見された。
【0005】
本発明は式:
【0006】
【化5】

[式中、
−Xは、
【0007】
【化6】

基を表し;
−Rは:
・(C−C)アルキル;
・置換されていないか又は1カ所以上を(C−C)アルキルで置換された(C−C12)非芳香族炭素環基;
・置換されていないか又は炭素環の1カ所以上を(C−C)アルキルで置換された(C−C)シクロアルキルメチル;
・置換されていないかあるいは、ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、シアノ、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、S(O)Alk基、(C−C)アルキルカルボニル;又はフェニル、フェノキシ、ピロリル、イミダゾリル、ピリジルもしくはピラゾリル基(前記基は置換されていないか又は(C−C)アルキルで1カ所以上を置換されている)から独立して選択される置換基でモノ、ジ又はトリ置換されたフェニル;
・置換されていないかあるいは、ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ又はトリフルオロメチル基から独立して選択される置換基でフェニル上をモノ又はジ置換されているか、あるいは(C−C)アルキル及び(C−C)シクロアルキルから選択される1又は2個の同一又は異なる基でα置換されたベンジル;
・置換されていないか又はハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ及びトリフルオロメチル基から独立して選択される置換基でフェニル上をモノもしくはジ置換されたフェネチル;
・ベンズヒドリル;ベンズヒドリルメチル;
・置換されていないかあるいは、ハロゲン原子、(C−C)アルキル及びトリフルオロメチル基から独立して選択される置換基で1カ所以上を置換されたピロリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、ピラゾリル又はインドリルから選択される芳香族複素環基を表し;
−Rは水素原子又は(C−C)アルキルを表し;
−Rは(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルを表し;
−Rは置換されていないかあるいは、ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチル基及びS(O)Alk基から独立して選択される置換基でモノ、ジ又はトリ置換されたフェニルを表し;
−Rは置換されていないかあるいは、ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチル基及びS(O)Alk基から独立して選択される置換基でモノ、ジ又はトリ置換されたフェニルを表し;
−Rは水素原子又は(C−C)アルキルを表し;
−nは0、1又は2を表し;
−Alkは(C−C)アルキルを表す]の化合物に関する。
【0008】
式(I)の化合物は1個以上の不斉炭素原子を含むことができる。従って、これらの化合物はエナンチオマー又はジアステレオマー形態で存在することができる。これらのエナンチオマー及びジアステレオマーと、ラセミ混合物を含むその混合物も本発明を構成する。
【0009】
式(I)の化合物は水和物又は溶媒和物の形態、即ち1個以上の水分子又は溶媒との会合又は結合形態で存在することができる。このような水和物及び溶媒和物も本発明を構成する。
【0010】
「ハロゲン原子」なる用語は臭素、塩素、フッ素又はヨウ素原子を意味する。
【0011】
「(C−C)アルキル」、「(C−C)アルキル」、「(C−C)アルキル」及び「(C−C)アルキル」なる用語は夫々炭素原子数1〜3、1〜4、1〜5又は1〜7の直鎖又は分岐鎖アルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル又はヘプチル基が挙げられる。
【0012】
「(C−C)アルコキシ」なる用語は炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ又はtert−ブトキシ基が挙げられる。
【0013】
「(C−C)シクロアルキル」なる用語は炭素原子数3〜7の環状アルキル基を意味し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル基が挙げられる。
【0014】
非芳香族C−C12炭素環基としては単環式又は多環式、縮合、架橋又はスピロ環状基が挙げられる。単環式基としては、シクロアルキル(例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル)が挙げられる。縮合、架橋又はスピロ環状2環式又は3環式基としては例えばノルボルニル、ボルニル、イソボルニル、ノルアダマンチル、アダマンチル、スピロ[5.5]ウンデシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル及びビシクロ[3.1.1]ヘプチル基が挙げられる。
【0015】
本発明の主題である式(I)の化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
−−X−が−CO−基を表し、R〜R置換基が式(I)の化合物について定義した通りである式(IA)の化合物;
−−X−が−SO−基を表し、R〜R置換基が式(I)の化合物について定義した通りである式(IB)の化合物;
−−X−が−CON(R)−基を表し、R〜R置換基が式(I)の化合物について定義した通りである式(IC)の化合物;
−−X−が−COO−基を表し、R〜R置換基が式(I)の化合物について定義した通りである式(ID)の化合物;
−−X−が−SO−基を表し、R〜R置換基が式(I)の化合物について定義した通りである式(IE)の化合物。
【0016】
本発明によると、
−Xが
【0017】
【化7】

基を表し;
−R
・(C−C)アルキル;
・置換されていないか又は1カ所以上を(C−C)アルキル基で置換された(C−C)シクロアルキル;
・置換されていないか又は炭素環の1カ所以上を(C−C)アルキルで置換された(C−C)シクロアルキルメチル;
・置換されていないか又はハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、S(O)Alk基、(C−C)アルキルカルボニル基及びフェニルから独立して選択される置換基でモノ、ジもしくはトリ置換されたフェニル;
・置換されていないか又はハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ及びトリフルオロメチル基から独立して選択される置換基でモノもしくはジ置換されたベンジル;
・インドリル基を表し;
−Rが水素原子又は(C−C)アルキルを表し;
−Rが(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルを表し;
−Rが置換されていないか又はハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチル基及びS(O)Alk基から独立して選択される置換基でモノ、ジもしくはトリ置換されたフェニルを表し;
−Rが置換されていないか又はハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチル基及びS(O)Alk基から独立して選択される置換基でモノ、ジもしくはトリ置換されたフェニルを表し;
−Rが水素原子又は(C−C)アルキルを表し;
−nが0、1又は2を表し;
−Alkが(C−C)アルキルを表す塩基形態及び水和物又は溶媒和物形態の式(I)の化合物が好ましい。
【0018】
本発明の主題である式(I)の化合物のうち、第1群の化合物は、
−Xが−CO−基、−SO−基、−SO−基又は−CON(CHCH)−基を表し;
−Rが、
・1−エチルプロピル;1−メチルペンチル;tert−ブチル;エチル;
・シクロヘプチル;1−メチルシクロプロピル;
・3−(トリフルオロメチル)フェニル;4−(トリフルオロメチル)フェニルを表し;
−及び/又はRが水素原子を表し;
−及び/又はRがメチルを表し;
−及び/又はRが4−ブロモフェニル;4−クロロフェニルを表し;
−及び/又はRが2,4−ジクロロフェニルを表す化合物とその水和物又は溶媒和物から構成される。
【0019】
前記群の化合物としては、
−X−が−CO−基、−SO−基、−SO−基又は−CON(CHCH)−基を表し;
−Rが、
・1−エチルプロピル;1−メチルペンチル;tert−ブチル;エチル;
・シクロヘプチル;1−メチルシクロプロピル;
・3−(トリフルオロメチル)フェニル;
・4−(トリフルオロメチル)フェニルを表し;
−Rが水素原子を表し;
−Rがメチルを表し;
−Rが4−ブロモフェニル;4−クロロフェニルを表し;
−Rが2,4−ジクロロフェニルを表す式(I)の化合物とその水和物又は溶媒和物が挙げられる。
【0020】
前記群の化合物としては、
−Xが−CO−基又は−SO−基を表し;
−Rが、
・1−エチルプロピル;1−メチルペンチル;
・シクロヘプチル;
・3−(トリフルオロメチル)フェニルを表し;
−Rが水素原子を表し;
−Rがメチルを表し;
−Rが4−ブロモフェニルを表し;
−Rが2,4−ジクロロフェニルを表す式(I)の化合物とその水和物又は溶媒和物が挙げられる。
【0021】
本発明の主題である式(I)の化合物としては、特に以下の化合物:
−N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−エチルブタンアミド;
−N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]シクロヘプタンカルボキサミド;
−N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド;
−N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−メチルヘキサンアミド;
−N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2,2−ジメチルプロパンアミド;
−N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−エチルブタンアミド;
−N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−1−メチルシクロプロパンカルボキサミド;
−N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド;
−N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド;
−N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−メチルプロパン−2−スルホンアミド;
−3−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−1,1−ジエチル尿素とその水和物又は溶媒和物が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下の記載において「保護基Pg」なる用語はまず合成中にヒドロキシルやアミン等の反応性官能基を保護することができ、合成後に無傷の反応性官能基を再生することができる基を意味する。保護基の例と保護及び脱保護方法は“Protective Group in Organic Synthesis”,Greenら,第2版(John Wiley & Sons,Inc.,New York),1991に記載されている。
【0023】
以下の記載において、「脱離基」なる用語は異種結合の破壊により分子から容易に開裂することができ、電子対を失う基を意味する。従って、この基は例えば置換反応中に容易に別の基で置換することができる。このような脱離基は例えばハロゲン又はメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸等の活性化ヒドロキシル基である。脱離基の例とその製造方法については、“Advances in Organic Chemistry”,J.March,第3版,Wiley Interscience,1985,p.310−316に記載されている。
【0024】
本発明によると、式(I)の化合物は、
式:
【0025】
【化8】

[式中、R、R、R及びRは式(I)の化合物について定義した通りである]の化合物を
−X−が−CO−基を表す式(I)の化合物を製造する場合には、式:
HOOC−R(III)
[式中、Rは式(I)の化合物について定義した通りである]の酸又は前記酸の機能的誘導体で処理し;
−X−が−SO−基を表す式(I)の化合物を製造する場合には、式:
Hal−SO−R(IV)
[式中、Rは式(I)の化合物について定義した通りであり、Halはハロゲン原子を表す]のハロゲン化スルホニルで処理し;
−X−が−CON(R)−基を表す式(I)の化合物を製造する場合には、式:
HalCOOAr(V)
(式中、Halはハロゲン原子を表し、Arはフェニル又は4−ニトロフェニルを表す)のハロギ酸塩で処理し、式:
【0026】
【化9】

[式中、R、R、R及びRは式(I)の化合物について定義した通りである]の中間体化合物を得た後に、式:
HN(R)R(VII)
[式中、R及びRは式(I)の化合物について定義した通りである]のアミンと反応させ;
−X−が−COO−基を表す式(I)の化合物を製造する場合には、式:
HalCOO−R(XXIV)
[式中、Halはハロゲン原子を表し、Rは式(I)の化合物について定義した通りである]のハロギ酸塩で処理し;
−X−が−SO−基を表す式(I)の化合物を製造する場合には、式:
Hal−SO−R(XXV)
[式中、Rは式(I)の化合物について定義した通りであり、Halはハロゲン原子を表す]のハロゲン化スルフィニルで処理することを特徴とする方法により製造することができる。
【0027】
式(II)の化合物を式(III)の酸自体で処理する場合には、−10℃〜溶媒の還流温度で溶媒(例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド又はテトラヒドロフラン)中、ペプチド化学で使用されるカップリング剤(例えば1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド又はヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム又はヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム又はテトラフルオロ硼酸2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム)と塩基(例えばトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン又は4−ジメチルアミノピリジン)の共存下で方法を実施する。
【0028】
酸(III)の機能的誘導体としては、酸塩化物、酸無水物、混合酸無水物、C−Cアルキルエステル(アルキルは直鎖又は分岐鎖である)、又は活性エステル(例えばp−ニトロフェニルエステル)を使用することができる。
【0029】
従って、本発明の方法では、塩化チオニル又は塩化オキサリルを式(III)の酸と反応させることにより得られた酸塩化物を不活性雰囲気下に0℃〜室温で塩素化溶媒(例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム)、エーテル(例えばテトラヒドロフラン又はジオキサン)又はアミド(例えばN,N−ジメチルホルムアミド)等の溶媒中、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン又はピリジン等の第3級アミンの存在下で式(II)の化合物と反応させてもよい。
【0030】
1変形例では、トリエチルアミン等の塩基の存在下でクロロギ酸エチルを式(III)の酸と反応させることにより式(III)の酸の混合酸無水物を製造し、不活性雰囲気下に室温でジクロロメタン等の溶媒中、トリエチルアミン等の塩基の存在下で式(II)の化合物と反応させる。
【0031】
式(II)の化合物を式(IV)のハロゲン化スルホニルで処理する場合には、室温〜溶媒の還流温度でジクロロメタンやテトラヒドロフラン等の溶媒中、トリエチルアミンやジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下で方法を実施する。
【0032】
前記方法の1変形例によると、−X−が−SO−基を表す式(I)の化合物は−X−が−SO−基を表す式(I)を酸化剤と反応させることにより製造することができる。0℃〜室温でジクロロメタン等の溶媒中、酸化剤として3−クロロ過安息香酸を使用することができる。
【0033】
式(II)の化合物を式(V)のハロギ酸塩で処理する場合には、0℃〜室温でジクロロメタン等の溶媒中、トリエチルアミン等の塩基の存在下で方法を実施する。こうして得られた式(VI)の中間体化合物を次に0℃〜溶媒の還流温度でジクロロメタン等の溶媒中、トリエチルアミン等の塩基の存在下で式(VII)のアミンと反応させる。
【0034】
前記方法の1変形例によると、−X−が−CON(R)−基(式中、R=Hである)を表す式(I)の化合物は室温〜溶媒の還流温度でジクロロメタン等の溶媒中、トリエチルアミン等の塩基の存在下で式(II)の化合物を式R−N=C=O(VIII)のイソシアネートと反応させることにより製造することができる。
【0035】
前記方法の1変形例によると、−X−が−CON(R)−基を表す式(I)の化合物は0℃〜溶媒の還流温度でジクロロメタン等の溶媒中、トリエチルアミンや4−ジメチルアミノピリジン等の塩基の存在下で式(II)の化合物を式ClCON(R)R(IX)の化合物と反応させることにより製造することができる。
【0036】
式(II)の化合物を式(XXIV)のハロギ酸塩で処理する場合には、0℃〜溶媒の還流温度でジクロロメタン等の溶媒中、トリエチルアミン等の塩基の存在下で方法を実施する。
【0037】
式(II)の化合物を式(XXV)のハロゲン化スルフィニルで処理する場合には、室温〜溶媒の還流温度でジクロロメタン等の溶媒中、トリエチルアミン等の塩基の存在下で方法を実施する。
【0038】
前記方法の別の変形例によると、Rが(C−C)アルキルを表す式(I)の化合物は室温〜溶媒の還流温度でN,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中、水素化ナトリウム等の塩基の存在下でR=Hである式(I)の化合物を(C−C)アルキルハロゲン化物と反応させることにより製造することができる。
【0039】
こうして得られた式(I)を次に反応媒体から分離し、慣用方法(例えば結晶化やクロマトグラフィー)により精製することができる。
【0040】
式(II)の化合物は式:
【0041】
【化10】

[式中、R、R及びRは式(I)の化合物について定義した通りであり、Yは上記に定義したような脱離基、好ましくはハロゲン原子又はメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸もしくはトリフルオロメタンスルホン酸基等の活性化ヒドロキシ基を表す]の化合物を式:
N−R(XI)
[式中、Rは式(I)の化合物について定義した通りである]の化合物と反応させることにより製造される。
【0042】
反応は、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジクロロメタン、トルエン又は2−プロパノール等の溶媒中、塩基の存在下又は不在下で実施される。塩基を使用する場合には、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン又はN−メチルモルホリン等の有機塩基から選択される。反応は0℃〜溶媒の還流温度で実施される。
【0043】
1変形例によると、R=Hである式(II)の化合物はY=Clである式(X)の化合物を1,3,5,7−テトラアザトリシクロ[3.3.13,7]デカン(又はヘキサメチレンテトラアミン)と反応させた後に塩酸等の強酸で加水分解することにより製造することもできる。
【0044】
別の変形例によると、R=Hである式(II)の化合物は式:
【0045】
【化11】

[式中、R、R及びRは式(I)の化合物について定義した通りである]の化合物を還元することにより製造することもできる。室温〜溶媒の還流温度でテトラヒドロフラン等の溶媒中、ボラン等の還元剤を使用して還元を実施した後に酸加水分解する。
【0046】
式(III)の化合物は公知である。
【0047】
式(IV)の化合物は市販されているか又は文献に記載されており、あるいはJ.Org.Chem.USSR,1970,6,2454−2458;J.Am.Chem.Soc,1952,74,2008;J.Med.Chem.,1977,20(10),1235−1239;EP0469 984;WO95/18105等の文献に記載の方法に従って製造することができる。
【0048】
例えば、式(IV)の化合物は対応するスルホン酸又はその塩(例えばそのナトリウム塩又はカリウム塩)のハロゲン化により製造することができる。反応は−10℃〜200℃の温度で無溶媒又はハロゲン化炭化水素やN,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中、オキシ塩化リン、塩化チオニル、三塩化リン、三臭化リン又は五塩化リン等のハロゲン化剤の存在下で実施される。
【0049】
式(V)、(VII)、(VIII)及び(IX)の化合物は公知であるか、又は公知方法に従って製造される。
【0050】
式(X)の化合物は上記標準方法に従って、式:
【0051】
【化12】

[式中、R、R及びRは式(I)の化合物について定義した通りである]の化合物から製造される。
【0052】
従って、例えば、式(X)の化合物においてYがハロゲン原子を表す場合には、0℃〜室温でジクロロメタン等の溶媒中、式(XIII)の化合物をPCl、PBr、HBr又はBBr等のハロゲン化剤で処理する。
【0053】
式(X)の化合物においてYがメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸を表す場合には、式(XIII)の化合物を式W−SO−Cl(式中、Wはメチル、フェニル、p−トリル又はトリフルオロメチルを表す)の塩化スルホニルと反応させる。反応は−20℃〜溶媒の還流温度でジクロロメタン又はトルエン等の溶媒中、トリエチルアミン、ピリジン又はN,N−ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下で実施される。
【0054】
式(XI)の化合物は公知である。
【0055】
式(XII)の化合物は化合物(II)と化合物(III)の反応について上述した方法に従い、式:
【0056】
【化13】

[式中、R、R及びRは式(I)の化合物について定義した通りである]の酸又は前記酸の機能的誘導体をアンモニア水と反応させることにより製造される。
【0057】
式(XIII)の化合物は式:
【0058】
【化14】

[式中、R、R及びRは式(I)の化合物について定義した通りであり、Zはヒドロキシル又は(C−C)アルコキシを表す]の化合物の還元反応により製造される。
【0059】
反応は−20℃〜室温でテトラヒドロフラン等の溶媒中、ホウ水素化ナトリウムや水素化アルミニウムリチウム等の還元剤の存在下で実施される。Z=OHである式(XV)の化合物を還元する場合には、トリエチルアミンの存在下でクロロギ酸エチルと反応させることにより酸を予備活性化することができる。
【0060】
Z=OHである式(XIV)の化合物又は式(XV)の化合物はZ=(C−C)アルコキシである式(XV)の化合物の標準加水分解により製造される。
【0061】
反応は0℃〜溶媒の還流温度で水、メタノール、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン又はこれらの溶媒の混合物等の溶媒中、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を使用することによりアルカリ媒体中で加水分解により実施される。
【0062】
Z=(C−C)アルコキシである式(XV)の化合物は下記スキームI:
【0063】
【化15】

(式中、Halはハロゲン原子、好ましくは臭素を表す)に従って製造される。
【0064】
スキームIのステップa1では、−70℃〜0℃の温度でテトラヒドロフラン等の溶媒中、ヘキサメチルジシラザンのアルカリ金属塩(例えばナトリウム塩)の存在下で式(XVI)の化合物と式(XVII)の化合物の反応を実施する。
【0065】
ステップb1では、こうして得られた式(XVIII)の化合物を−10℃〜溶媒の還流温度で1,2−ジクロロエタン等の溶媒中、N,N−ジメチルホルムアミド/オキシ塩化リン混合物と反応させる。
【0066】
こうして得られた式(XIX)の化合物をステップc1において−20℃〜室温でテトラヒドロフラン等の溶媒中、ハロゲン化(C−C)アルキルマグネシウム又はハロゲン化(C−C)シクロアルキルマグネシウムと反応させる。
【0067】
こうして得られた式(XXI)の化合物をステップd1において室温でジクロロメタン等の溶媒中、二クロム酸ピリジニウムやモレキュラーシーブ等の酸化剤の存在下で酸化させる。
【0068】
こうして得られた化合物(XXII)をステップc1において室温〜溶媒の還流温度でアセトニトリル等の溶媒中、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン等の塩基の存在下で化合物(XXIII)と反応させる。
【0069】
式(XVI)、(XVII)、(XX)、(XXIII)、(XXIV)及び(XXV)の化合物は公知であるか、又は公知方法により製造される。
【0070】
以下、実施例により本発明の所定化合物の製造について記載する。これらは非限定的な実施例であり、本発明を例証するものに過ぎない。例示する化合物の番号は本発明の多数の化合物の化学構造と物性を示す下表Iに記載する番号である。
【0071】
以下の製造例及び実施例では、以下の略語を使用する。
エーテル:ジエチルエーテル
イソエーテル:ジイソプロピルエーテル
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
TBTU:テトラフルオロ硼酸2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム
DCM:ジクロロメタン
EtOAc:酢酸エチル
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
TFA:トリフルオロ酢酸
2N塩酸エーテル:ジエチルエーテル中2N塩酸溶液
m.p.:融点
RT:室温
b.p.:沸点
HPLC:高性能液体クロマトグラフィー
シリカH:Merck(Darmstadt)から市販されている60Hシリカゲル
pH2緩衝液:KHSO 16.66gとKSO 32.32gの水(1リットル)溶液。
【0072】
陽子核磁気共鳴(H NMR)スペクトルはDMSO−d中、200MHzで記録した。化学シフトδは百万分率(ppm)で表す。スペクトルの解釈には以下の略語を使用する:s:一重項、d:二重項、t:三重項、q:四重項、m:未分解複合体、mt:多重項、bs:ブロード一重項、dd:ダブル二重項。
【0073】
本発明の化合物はLC/UV/MS併用(液体クロマトグラフィー/UV検出/質量分析)により分析する。分子量ピーク(MH)と保持時間(rt)(分)を測定する。
【0074】
方法1:
Symmetry C18 2.1×50mm,3.5μmカラムを30℃、流速0.4ml/分で使用する。
【0075】
溶離液は以下のように構成する:
−溶媒A:水中0.005%トリフルオロ酢酸(TFA),pH3.15;
−溶媒B:アセトニトリル中0.005%TFA。
【0076】
勾配:
【0077】
【表1】

【0078】
UV検出はλ=210nmで実施し、質量検出は正ESI化学イオン化モードで実施する。
【0079】
方法2:
XTerra MS C18 2.1×50mm,3.5μmカラムを30℃、流速0.4ml/分で使用する。
【0080】
溶離液は以下のように構成する:
−溶媒A:水中10mM酢酸アンモニウム(NHAcO),pH7;
−溶媒B:アセトニトリル。
【0081】
勾配:
【0082】
【表2】

【0083】
UV検出はλ=220nmで実施し、質量検出は正ESI化学イオン化モードで実施する。
【0084】
製造例
1.式(XVIII)の化合物の製造例:
製造例1.1
2−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エタノン。
【0085】
【化16】

【0086】
ヘキサメチルジシラザンのナトリウム塩の2M THF溶液436mlを窒素雰囲気下で−60℃まで冷却し、THF 400mlを加えた後、4−ブロモフェニル酢酸75gのTHF(100ml)溶液を滴下し、混合物を−70℃で1時間半撹拌した。次に2,4−ジクロロ安息香酸メチル67.9gを滴下し、混合物を30分間撹拌した後、5℃まで昇温させた。反応混合物を氷/2N HCl 1リットルの混合物に注ぎ、エーテルで抽出し、有機相を飽和NaHCO溶液と水で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を容量200mlまで減圧蒸発させ、ペンタンを加え、形成された結晶生成物を吸引濾別した。期待化合物80gが得られた。
【0087】
製造例1.2
2−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エタノン。
【0088】
【化17】

【0089】
ヘキサメチルジシラザンのナトリウム塩の2M THF溶液417mlを窒素雰囲気下で−60℃まで冷却し、THF 350mlを加えた後、4−クロロフェニル酢酸57gのTHF(70ml)溶液を滴下し、−40℃まで昇温させながら混合物を2時間撹拌した。反応混合物を−60℃まで冷却し、2,4−ジクロロ安息香酸メチル65.3gを滴下し、0℃まで昇温させながら混合物を撹拌した。反応混合物を氷/2N HCl 1リットルの混合物に注ぎ、エーテルで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を容量150mlまで減圧濃縮した。残りの溶液をペンタン300mlに注ぎ、形成された結晶生成物を吸引濾別した。期待化合物60gが得られた。
【0090】
2.式(XIX)の化合物の製造例:
製造例2.1
2−(4−ブロモフェニル)−3−クロロ−3−(2,4−ジクロロフェニル)アクリルアルデヒド。
【0091】
【化18】

DMF(33.7ml)の1,2−ジクロロエタン(75ml)溶液を−5℃まで冷却し、POCl 40.6mlを滴下した後、室温まで昇温させながら混合物を撹拌した。次に、製造例1.1で得られた化合物40gの1,2−ジクロロエタン(300ml)溶液を加え、混合物を48時間加熱還流した。冷却後、反応混合物を氷水1.5リットルに注ぎ、NaHCOを加えることによりpHを7に調整し、得られた混合物をDCMで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。ヘプタン/DCM混合物の勾配(90/10;v/v)→(50/50;v/v)を溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。期待化合物39gが得られた。
【0092】
製造例2.2
3−クロロ−2−(4−クロロフェニル)−3−(2,4−ジクロロフェニル)アクリルアルデヒド。
【0093】
【化19】

【0094】
DMF 54.5mlの1,2−ジクロロエタン(80ml)溶液を0℃まで冷却し、POCl 60.7mlを滴下した後、室温まで昇温させながら混合物を撹拌した。次に、製造例1.2の化合物30gの1,2−ジクロロエタン(300ml)溶液を加え、混合物を80℃に4時間加熱した。冷却後、反応混合物を氷に注ぎ、酢酸ナトリウムを加えることによりpHを7に調整し、得られた混合物をDCMで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。DCMを溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。期待化合物35gが得られた。
【0095】
3.式(XXI)の化合物の製造例:
製造例3.1
3−(4−ブロモフェニル)−4−クロロ−4−(2,4−ジクロロフェニル)ブト−3−エン−2−オール。
【0096】
【化20】

【0097】
製造例2.1で得られた化合物10gのTHF(100ml)溶液を−20℃まで冷却し、臭化メチルマグネシウムの1.4M THF溶液25mlを滴下した。反応混合物を飽和NHCl溶液に注ぎ、エーテルで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。期待化合物11gが得られた。
【0098】
製造例3.2
4−クロロ−3−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)ブト−3−エン−2−オール。
【0099】
【化21】

【0100】
製造例2.2で得られた化合物35gのTHF(200ml)溶液を−20℃まで冷却し、臭化メチルマグネシウムの1.4M THF溶液54.2mlを滴下した。反応混合物を飽和NHCl溶液に注ぎ、エーテルで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。ヘプタン→ヘプタン/EtOAc混合物(80/20;v/v)を溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。期待化合物16gが得られた。
【0101】
4.式(XXII)の化合物の製造例:
製造例4.1
3−(4−ブロモフェニル)−4−クロロ−4−(2,4−ジクロロフェニル)ブト−3−エン−2−オン。
【0102】
【化22】

【0103】
DCM 200ml中、製造例3.1で得られた化合物7gと、二クロム酸ピリジニウム12.8gと、4Åモレキュラーシーブ15gの混合物を24時間室温で撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、濾液を減圧濃縮した。ヘプタン→ヘプタン/EtOAc混合物(96/4;v/v)を溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。期待化合物7gが得られた。
【0104】
製造例4.2
4−クロロ−3−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)ブト−3−エン−2−オン。
【0105】
【化23】

【0106】
DCM 200ml中、製造例3.2で得られた化合物16gと、二クロム酸ピリジニウム41.6gと、4Åモレキュラーシーブ40gの混合物を一晩室温で撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、濾液を減圧濃縮した。ヘプタン/EtOAc混合物(90/10;v/v)を溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。期待化合物15gが得られた。
【0107】
5.式(XV)の化合物の製造例:
製造例5.1
4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチルチオフェン−2−カルボン酸メチル。
【0108】
【化24】

【0109】
製造例4.1で得られた化合物2.7gのアセトニトリル(25ml)溶液にメルカプト酢酸メチル1.49mlとDBU 2.4mlを順次加え、混合物を一晩室温で撹拌した。反応混合物を1N HCl 12.5mlに注ぎ、EtOAcで抽出し、有機相を水洗し、NaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。ヘプタン/EtOAc混合物(95/5;v/v)を溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。期待化合物1.21gが得られた。
【0110】
製造例5.2
4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチルチオフェン−2−カルボン酸メチル。
【0111】
【化25】

【0112】
製造例4.2で得られた化合物7.5gと、メルカプト酢酸メチル4.4gの混合物を80℃まで加熱し、DBU 3mlを滴下し、混合物を一晩60℃で撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を1N HCl溶液に取り、エーテル/EtOAc混合物で抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。ヘプタン→ヘプタン/EtOAc混合物(90/10;v/v)を溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。MeOHから結晶化後に期待化合物3.5gが得られた。
【0113】
6.式(XIV)の化合物の製造例:
製造例6.1
4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチルチオフェン−2−カルボン酸。
【0114】
【化26】

【0115】
製造例5.1で得られた化合物1.21gの1,2−ジメトキシエタン(6ml)溶液にMeOH 3mlと30% NaOH溶液1.73mlを順次加え、混合物を24時間50℃で撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水に取り、水相をエーテルで洗浄し、濃HCl溶液を加えることによりpH=2まで酸性化し、エーテルで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。ペンタン/イソエーテル混合物(75/25;v/v)から結晶化後に期待化合物0.75gが得られた。
【0116】
製造例6.2
4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチルチオフェン−2−カルボン酸。
【0117】
【化27】

【0118】
製造例5.2で得られた化合物3.5gの1,2−ジメトキシエタン(15ml)溶液にMeOH 15mlとNaOHペレット0.68gを順次加え、混合物を一晩室温で撹拌した後、60℃に3時間加熱した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水に取り、エーテルで洗浄し、濃HCl溶液を加えることによりpH=2まで酸性化し、エーテルで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。DCM/イソエーテル混合物から結晶化後に期待化合物3gが得られた。
【0119】
7.式(XII)の化合物の製造例:
製造例7.1
4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチルチオフェン−2−カルボキサミド。
【0120】
【化28】

【0121】
1,2−ジクロロエタン 60ml中、製造例6.1で得られた化合物3gと、塩化チオニル1.98mlの混合物を70℃に4時間加熱した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を1,2−ジクロロエタンに取り、溶媒を減圧蒸発させると、酸塩化物3gが得られた。MeOH中2Mアンモニア水6.51mlとトリエチルアミン1.37mlのDCM(10ml)溶液を5℃まで冷却し、酸塩化物3gのDCM(5ml)溶液を滴下し、混合物を室温まで昇温させながら一晩撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水に取り、EtOAcで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。エーテル/イソエーテル混合物から結晶化後に期待化合物2.5gが得られた。
【0122】
製造例7.2
4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチルチオフェン−2−カルボキサミド。
【0123】
【化29】

【0124】
1,2−ジクロロエタン60ml中、製造例6.2で得られた化合物3gと塩化チオニル2.2mlの混合物を2時間半加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を1,2−ジクロロエタンに取り、溶媒を減圧蒸発させると、酸塩化物3gが得られた。MeOH中2Mアンモニア水7.21mlとトリエチルアミン1.52mlのDCM(20ml)溶液を0℃まで冷却し、酸塩化物3gのDCM(20ml)溶液を滴下し、混合物を室温まで昇温させながら一晩撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水に取り、エーテルで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。DCM→DCM/2−プロパノール混合物(95/5;v/v)を溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。イソエーテルから結晶化後に期待化合物2gが得られた。
【0125】
8.式(II)の化合物の製造例:
製造例8.1
1−[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メタンアミン塩酸塩。
【0126】
【化30】

【0127】
製造例7.1で得られた化合物2.5gのTHF(50ml)溶液にボランの1M THF溶液22.67mlを加えた後、混合物を15時間加熱還流した。次にガス発生が停止するまでMeOHを加え、HClの2Nエーテル溶液10mlを加えた。反応混合物を容量10mlまで減圧濃縮した後、室温でイソエーテル150mlに滴下し、一晩室温で撹拌し、形成された沈殿を吸引濾別した。期待化合物1.9gが得られた。
【0128】
製造例8.2
1−[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メタンアミン塩酸塩
【0129】
【化31】

【0130】
製造例7.2で得られた化合物2gのTHF(20ml)溶液にボランの1M THF20.2mlを加えた後、混合物を5時間加熱還流した。次にガス発生が停止するまでMeOHを加え、HClの2Nエーテル溶液10mlを加え、混合物を30分間撹拌した。反応混合物を容量10mlまで減圧濃縮し、室温でエーテル/イソエーテル混合物(50/50;v/v)150mlに滴下し、一晩室温で撹拌し、形成された沈殿を吸引濾別した。期待化合物1.5gが得られた。
【実施例1】
【0131】
化合物1
N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−エチルブタンアミド。
【0132】
DCM 20ml中、製造例8.1で得られた化合物0.35gと、トリエチルアミン0.32mlと、塩化2−エチルブチリル0.1gの混合物を1時間室温で撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水に取り、EtOAcで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。残渣をDCMに溶かし、イソエーテルを加え、形成された結晶生成物を吸引濾別した。期待化合物0.28gが得られた。
【0133】
MH=524;rt=11.86(方法2)。
【0134】
H NMR:DMSO−d:δ(ppm):0.8:t:6H;1.4:mt:4H;1.85−2.15:m:4H;4.45:d:2H;6.9−7.7:m:7H;8.5:t:1H。
【実施例2】
【0135】
化合物2
N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]シクロヘプタンカルボキサミド。
【0136】
DCM 20ml中、製造例8.1で得られた化合物0.35gと、シクロヘプタンカルボン酸0.11gと、トリエチルアミン0.32mgと、TBTU 0.27gの混合物を一晩室温で撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水に取り、EtOAcで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。残渣をDCMに溶かし、イソエーテルを加え、形成された結晶生成物を吸引濾別した。期待化合物0.27gが得られた。
【0137】
MH=550;rt=12.4(方法2)。
【0138】
H NMR:DMSO−d:δ(ppm):1.2−1.9:m:12H;2.02:s:3H;2.3:mt:1H;4.4:d:2H;6.9−7.7:m:7H;8.4:t:1H。
【実施例3】
【0139】
化合物3
N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド。
【0140】
DCM 20ml中、製造例8.1で得られた化合物0.35gと、塩化3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル0.2gと、トリエチルアミン0.32mlの混合物を一晩室温で撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水に取り、EtOAcで抽出し、有機相を水洗し、NaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。DCM/EtOAc混合物(90/10;v/v)を溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。期待化合物0.25gが得られた。
【0141】
MH=632;rt=12.28(方法2)。
【0142】
H NMR:DMSO−d:δ(ppm):1.9:s:3H;4.3:s:2H;6.7−8.2:m:11H;8.65:bs:1H。
【実施例4】
【0143】
化合物4
N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−メチルヘキサンアミド。
【0144】
DCM 20ml中、製造例8.1で得られた化合物0.35gと、トリエチルアミン0.35mlと、2−メチルヘキサン酸0.11gと、TBTU 0.29gの混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水に取り、EtOAcで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。結晶化した期待化合物0.3gが得られた。
【0145】
MH=538;rt=12.71(方法1)。
【0146】
H NMR:DMSO−d:δ(ppm):0.8:t:3H;1.0:d:3H;1.05−1.65:m:6H;2.05:s:3H;2.25:mt:1H;4.45:mt:2H;6.9−7.7:m:7H;8.55:t:1H。
【実施例5】
【0147】
化合物5
N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2,2−ジメチルプロパンアミド。
【0148】
DCM 20ml中、製造例8.2で得られた化合物0.35gと、トリエチルアミン0.35mlと、塩化2,2−ジメチルプロパノイル0.11mlの混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水に取り、エーテルで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。エーテル/イソエーテル混合物から結晶化後に期待化合物0.3gが得られた。
【0149】
H NMR:DMSO−d:δ(ppm):1.12:s:9H;2.03:s:3H;4.43:d:2H;7.07:d:2H;7.24−7.40:m:4H;7.58:bs:1H;8.19:t:1H。
【実施例6】
【0150】
化合物6
N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−エチルブタンアミド。
【0151】
DCM 20ml中、製造例8.2で得られた化合物0.35gと、トリエチルアミン0.35mlと、塩化2−エチルブチリル0.12gの混合物を2時間室温で撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を0.5N HCl溶液に取り、エーテルで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。イソエーテルから結晶化後に期待化合物0.3gが得られた。
【0152】
H NMR:DMSO−d:δ(ppm):0.81:t:6H;1.42:mt:4H;1.91−2.15:m:4H;4.47:d:2H;7.07:d:2H;7.22−7.44:m:4H;7.61:d:1H;8.50:t:1H。
【実施例7】
【0153】
化合物7
N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−1−メチルシクロプロパンカルボキサミド。
【0154】
DCM 30ml中、製造例8.2で得られた化合物0.35gと、トリエチルアミン0.35mlと、1−メチルシクロプロパンカルボン酸0.09gと、TBTU 0.3gの混合物を12時間室温で撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水に取り、エーテルで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。イソエーテルから結晶化後に期待化合物0.2gが得られた。
【0155】
H NMR:DMSO−d:δ(ppm):0.53:q:2H;0.97:q:2H;1.27:s:3H;2.05:s:3H;4.43:d:2H;7.07:d:2H;7.25−7.43:m:4H;7.59:d:1H;8.25:t:1H。
【実施例8】
【0156】
化合物8
N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド。
【0157】
DCM 20ml中、製造例8.1で得られた化合物0.35gと、塩化4−(トリフルオロメチル)ベンゾイル0.17gと、トリエチルアミン0.32mlの混合物を一晩室温で撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水に取り、エーテルで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。ヘプタン→ヘプタン/EtOAc混合物(90/10;v/v)を溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。期待化合物0.3gが得られた。
【0158】
H NMR:DMSO−d:δ(ppm):2.12:s:3H;4.68:d:2H;7.02:d:2H;7.25−7.41:m:2H;7.49:d:2H;7.59:d:1H;7.87:d:2H;8.09:d:2H;9.44:t:1H。
【実施例9】
【0159】
化合物9
N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド。
【0160】
DCM 20ml中、製造例8.2で得られた化合物0.3gと、塩化2−メチルプロパン−2−スルフィニル0.12gと、トリエチルアミン0.3mlの混合物を2時間室温で撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水に取り、エーテルで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。DCM→DCM/EtOAc混合物(90/10;v/v)を溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。期待化合物0.2gが得られた。
【0161】
H NMR:DMSO−d:δ(ppm):1.16:s:9H;2.03:s:3H;4.36:mt:2H;6.03:t:1H;7.07:d:2H;7.22−7.47:m:4H;7.60:d:1H。
【実施例10】
【0162】
化合物10
N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−メチルプロパン−2−スルホンアミド。
【0163】
DCM 20ml中、0.35gの化合物9と、3−クロロ過安息香酸0.3gの混合物を1時間室温で撹拌した。次に、10% NaHCO溶液を加え、混合物をDCMで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。DCMを溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。イソエーテルから結晶化後に期待化合物0.18gが得られた。
【0164】
H NMR:DMSO−d:δ(ppm):1.30:s:9H;2.03:s:3H;4.42:d:2H;7.08:d:2H;7.27−7.44:m:4H;7.62:d:1H;7.66:t:1H。
【実施例11】
【0165】
化合物11
3−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−1,1−ジエチル尿素。
【0166】
DCM 30ml中、製造例8.2で得られた化合物0.35gと、ジエチルカルバミン酸クロリド0.165mlと、4−ジメチルアミノピリジン0.1gと、KCO 0.11gの混合物を45℃に48時間加熱した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水に取り、エーテルで抽出し、有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発させた。DCM→DCM/MeOH混合物(97.5/2.5;v/v)を溶離液として残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。期待化合物0.25gが得られた。
【0167】
H NMR:DMSO−d:δ(ppm):l.03:t:6H;2.05:s:3H;3.22:q:4H;4.41:d:2H;6.95:t:1H;7.07:d:2H;7.24−7.44:m:4H;7.59:d:1H。
【0168】
下表は本発明の化合物の多数の例の化学構造を示す。
【0169】
【表3】



【0170】
式(I)の化合物はM.Rinaldi−Carmonaら(FEBS Letters,1994,350,240−244)により記載されている実験条件下でCBカンナビノイド受容体に対して非常に良好なin vitro親和性(IC50≦5.10−7M)を示す。
【0171】
式(I)の化合物のアンタゴニスト性はM.Bouaboulaら,J.Biol.Chem.,1995,270,13973−13980,M.Rinaldi−Carmonaら,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,278,871−878及びM.Bouaboulaら,J.Biol.Chem.,1997,272,22330−22339に記載されているようなアデニル酸シクラーゼ阻害モデルで得られた結果により実証された。
【0172】
式(I)の化合物の毒性は医薬としてのその使用に適合可能である。
【0173】
従って、別の態様によると、本発明は式(I)の化合物、又は医薬的に許容可能な酸とのその付加塩、あるいは式(I)の化合物の溶媒和物又は水和物を含有する医薬に関する。
【0174】
従って、本発明の化合物はCBカンナビノイド受容体が関与する疾患の治療又は予防にヒト又は動物で使用することができる。
【0175】
限定するものではないが、例えば、式(I)の化合物は特に不安症、鬱病、気分障害、不眠症、譫妄、強迫障害、精神疾患一般、統合失調症、多動児(MBD)における注意欠陥多動性障害(AHD)等の精神障害の治療や、特に物質濫用及び/又は物質依存症(例えばアルコール依存症やニコチン依存症)の場合の向精神物質の使用に関連する障害の治療に向精神薬として有用である。
【0176】
本発明の式(I)の化合物は片頭痛、ストレス、心因性疾患、パニック発作、癲癇、運動障害、特にジスキネジー又はパーキンソン病、振戦及びジストニーの治療用医薬として使用することができる。
【0177】
本発明の式(I)の化合物は更に記憶障害、認知障害の治療、特に老人性痴呆症及びアルツハイマー病の治療と、注意又は意識障害の治療にも医薬として使用することができる。更に、式(I)の化合物は虚血、頭蓋外傷の治療及び神経変性疾患(例えば舞踏病、ハンチントン舞踏病及びトゥーレット症候群)の治療で神経保護薬としても有用であると思われる。
【0178】
本発明の式(I)の化合物は疼痛、神経因性疼痛、急性末梢性疼痛、炎症性慢性疼痛の治療で医薬として使用することができる。
【0179】
本発明の式(I)の化合物は食欲障害、(糖類、炭水化物、薬物、アルコール又は任意食欲増進物質に対する)食欲嗜好障害及び/又は摂食行動障害の治療、特に肥満症又は多食症の治療、更にはII型糖尿病又は非インスリン依存性糖尿病の治療及び脂質代謝異常症やメタボリックシンドロームの治療で医薬として使用することができる。従って、本発明の式(I)の化合物は肥満症及び肥満症に関連する危険、特に心臓血管の危険の治療に有用である。更に、本発明の式(I)の化合物は胃腸障害、下痢、潰瘍、嘔吐、膀胱及び泌尿器障害、内分泌性障害、心臓血管障害、低血圧、出血性ショック、敗血症性ショック、慢性肝硬変、肝脂肪症、脂肪性肝炎、喘息、レイノー症候群、緑内障、不妊症、早期妊娠中絶、炎症現象、免疫系疾患、特に自己免疫疾患及び神経炎症性疾患(例えば関節リウマチ、反応性関節炎、脱髄を伴う疾患、多発性硬化症)、感染性及びウイルス性疾患(例えば脳炎)、卒中の治療用医薬として使用することができ、更に、抗癌化学療法、ギラン・バレー症候群の治療及び骨粗鬆症の治療用医薬として使用することもできる。
【0180】
本発明によると、式(I)の化合物は精神障害、特に統合失調症、多動児(MBD)における注意欠陥多動性障害(AHD)の治療;食欲障害及び肥満症の治療;記憶及び認知障害の治療;アルコール依存症及びニコチン依存症の治療、即ち禁酒及び禁煙に特に有用である。
【0181】
1態様によると、本発明は上記障害及び疾患の治療における式(I)の化合物、医薬的に許容可能なその塩及びその溶媒和物又は水和物の使用に関する。
【0182】
別の態様によると、本発明は本発明の化合物を活性成分として含有する医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は有効用量の少なくとも1種の本発明の化合物、又は前記化合物の医薬的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物と、少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤を含有する。
【0183】
前記賦形剤は剤形と所望投与方法に応じて当業者に公知の通常の賦形剤から選択される。
【0184】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所、局部、気管内、鼻孔内、経皮又は直腸投与用の本発明の医薬組成物では、上記障害又は疾患を予防又は治療するために、上記式(I)の活性成分、又は場合によりその塩、溶媒和物もしくは水和物を標準医薬賦形剤との混合物として単位投与形態でヒト及び動物に投与することができる。
【0185】
適切な単位投与形態としては錠剤、ソフト又はハードゲルカプセル、散剤、顆粒剤及び経口溶液又は懸濁液等の経口剤形、舌下、口腔、気管内、眼内及び鼻孔内投与形態、吸入投与形態、局所、経皮、皮下、筋肉内又は静脈内投与形態、直腸投与形態並びにインプラントが挙げられる。局所用には、本発明の化合物をクリーム、ジェル、ポマード又はローションで使用することができる。
【0186】
例えば、錠剤形態の本発明の化合物の単位投与形態は以下の成分を含むことができる。
【0187】
【表4】

【0188】
経口経路では、活性成分の1日投与用量は0.01〜100mg/kg、好ましくは0.02〜50mg/kgを1回以上に分けて投与することができる。
【0189】
個々の症例によっては上記以上又は以下の用量が適切な場合もあり、このような用量も本発明の範囲に含まれる。通常の診療に従い、各患者に適切な用量は投与方法と前記患者の体重及び応答に従って医師により決定される。
【0190】
別の態様によると、本発明は有効用量の本発明の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩もしくは水和物もしく溶媒和物を患者に投与することを含む上記疾患の治療方法にも関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

に対応する化合物、
[式中、
−Xは、
【化2】

基を表し;
−R
・(C−C)アルキル;
・置換されていないか又は1カ所以上を(C−C)アルキルで置換された(C−C12)非芳香族炭素環基;
・置換されていないか又は炭素環の1カ所以上を(C−C)アルキルで置換された(C−C)シクロアルキルメチル;
・置換されていないフェニルあるいは、ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ、シアノ、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、S(O)Alk基、(C−C)アルキルカルボニルから;又はフェニル、フェノキシ、ピロリル、イミダゾリル、ピリジルもしくはピラゾリル基(前記基は置換されていないか又は(C−C)アルキルで1カ所以上を置換されている)から独立して選択される置換基でモノ、ジ又はトリ置換されたフェニル;
・置換されていないベンジルあるいは、ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ又はトリフルオロメチル基から独立して選択される置換基でフェニル上をモノ又はジ置換されているか、あるいは(C−C)アルキル及び(C−C)シクロアルキルから選択される1又は2個の同一又は異なる基でα置換されたベンジル;
・置換されていないフェネチル又はハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ及びトリフルオロメチル基から独立して選択される置換基でフェニル上をモノもしくはジ置換されたフェネチル;
・ベンズヒドリル;ベンズヒドリルメチル;
・置換されていないかあるいは、ハロゲン原子、(C−C)アルキル及びトリフルオロメチル基から独立して選択される置換基で1カ所以上を置換されたピロリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、ピラゾリル又はインドリルから選択される芳香族複素環基を表し;
−Rは水素原子又は(C−C)アルキルを表し;
−Rは(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルを表し;
−Rは置換されていないフェニルあるいは、ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチル基及びS(O)Alk基から独立して選択される置換基でモノ、ジ又はトリ置換されたフェニルを表し;
−Rは置換されていないフェニルあるいは、ハロゲン原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、トリフルオロメチル基及びS(O)Alk基から独立して選択される置換基でモノ、ジ又はトリ置換されたフェニルを表し;
−Rは水素原子又は(C−C)アルキルを表し;
−nは0、1又は2を表し;
−Alkは(C−C)アルキルを表す]
及びその水和物又は溶媒和物。
【請求項2】
−X−が−CO−基を表し、及びRからR置換基が請求項1で式(I)の化合物について定義した通りである請求項1に記載の式(I)の化合物及びその水和物又は溶媒和物。
【請求項3】
−X−が−SO−基を表し、及びRからR置換基が請求項1で式(I)の化合物について定義した通りである請求項1に記載の式(I)の化合物及びその水和物又は溶媒和物。
【請求項4】
−X−が−CON(R)−基を表し、及びRからR置換基が請求項1で式(I)の化合物について定義した通りである請求項1に記載の式(I)の化合物及びその水和物又は溶媒和物。
【請求項5】
−X−が−COO−基を表し、及びRからR置換基が請求項1で式(I)の化合物について定義した通りである請求項1に記載の式(I)の化合物及びその水和物又は溶媒和物。
【請求項6】
−X−が−SO−基を表し、及びRからR置換基が請求項1で式(I)の化合物について定義した通りである請求項1に記載の式(I)の化合物及びその水和物又は溶媒和物。
【請求項7】
−X−が−CO−基、−SO−基、−SO−基又は−CON(CHCH)−基を表し;
−Rが、
・1−エチルプロピル;1−メチルペンチル;tert−ブチル;エチル;
・シクロヘプチル;1−メチルシクロプロピル;
・3−(トリフルオロメチル)フェニル;4−(トリフルオロメチル)フェニルを表し;
−Rが水素原子を表し;
−Rがメチルを表し;
−Rが4−ブロモフェニル;4−クロロフェニルを表し;
−Rが2,4−ジクロロフェニルを表す請求項1に記載の式(I)の化合物及びその水和物又は溶媒和物。
【請求項8】
−Xが−CO−基又は−SO−基を表し;
−Rが、
・1−エチルプロピル;1−メチルペンチル;
・シクロヘプチル;
・3−(トリフルオロメチル)フェニルを表し;
−Rが水素原子を表し;
−Rがメチルを表し;
−Rが4−ブロモフェニルを表し;
−Rが2,4−ジクロロフェニルを表す
請求項1に記載の式(I)の化合物及びその水和物又は溶媒和物。
【請求項9】
−N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−エチルブタンアミド;
−N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]シクロヘプタンカルボキサミド;
−N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド;
−N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−メチルヘキサンアミド;
−N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2,2−ジメチルプロパンアミド;
−N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−エチルブタンアミド;
−N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−1−メチルシクロプロパンカルボキサミド;
−N−[[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド;
−N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド;
−N−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−2−メチルプロパン−2−スルホンアミド;
−3−[[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]メチル]−1,1−ジエチル尿素
から選択される請求項1に記載の式(I)の化合物及びその水和物又は溶媒和物。
【請求項10】
請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法であり、
式:
【化3】

[式中、R、R、R及びRは請求項1で式(I)の化合物について定義した通りである]の化合物を
−X−が−CO−基を表す式(I)の化合物を製造する場合には、式:
HOOC−R(III)
[式中、Rは請求項1で式(I)の化合物について定義した通りである]の酸又はこの酸の機能的誘導体で処理し;
あるいは−X−が−SO−基を表す式(I)の化合物を製造する場合には、式:
Hal−SO−R(IV)
[式中、Rは請求項1で式(I)の化合物について定義した通りであり、及びHalはハロゲン原子を表す]のハロゲン化スルホニルで処理し;
あるいは−X−が−CON(R)−基を表す式(I)の化合物を製造する場合には、式:
HalCOOAr(V)
(式中、Halはハロゲン原子を表し、及びArはフェニル又は4−ニトロフェニルを表す)のハロギ酸塩で処理し、式:
【化4】

[式中、R、R、R及びRは請求項1で式(I)の化合物について定義した通りである]の中間体化合物を得た後に、式:
HN(R)R(VII)
[式中、R及びRは請求項1で式(I)の化合物について定義した通りである]のアミンと反応させ;
あるいは−X−が−COO−基を表す請求項1に記載の式(I)の化合物を製造する場合には、式:
HalCOO−R(XXIV)
[式中、Halはハロゲン原子を表し、及びRは請求項1で式(I)の化合物について定義した通りである]のハロギ酸塩で処理し;
あるいは−X−が−SO−基を表す式(I)の化合物を製造する場合には、式:
Hal−SO−R(XXV)
[式中、Rは請求項1で式(I)の化合物について定義した通りであり、及びHalはハロゲン原子を表す]のハロゲン化スルフィニルで処理する
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又は式(I)の化合物の水和物もしくは溶媒和物を含有することを特徴とする医薬。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はこの化合物の水和物もしくは溶媒和物と、少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤を含有することを特徴とする医薬的組成物。
【請求項13】
食欲障害、胃腸障害、炎症現象、免疫系疾患、精神障害、アルコール依存症及びニコチン依存症の治療及び予防用医薬の製造のための請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−525388(P2008−525388A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547569(P2007−547569)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/FR2005/003219
【国際公開番号】WO2006/070106
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】