説明

カーテンエアバッグ手段を備えた車両の内装構造及びその組み付け方法

【課題】カーテンエアバッグ装置を備える内装構造において、カーテンエアバッグの展開安定性を確保しつつ、ルーフトリム端部と車体間の隙間からエアバッグを展開可能にし、ルーフトリムの端部の変形を規制してその見映えと意匠性を高め、上部ピラー間トリムを変形させずにカーテンエアバッグを展開可能にする。
【解決手段】 車両の側部のウインドを覆うようにルーフトリム7と上部ピラー間トリム14との境界を含むルーフトリム端部の隙間からカーテン部材4aを展開可能なカーテンエアバッグ手段4と、クォータウインドガーニッシュと、その上部ピラー間トリム14も設けられている。車体インナパネルと上部ピラー間トリム14及びルーフトリム7との間に付設部材20を設けてその付設部材20を車体に固定し、この付設部材20にルーフトリム7の下端部7aの少なくとも一部を受け止めて車体側への移動を規制する規制部22を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンエアバッグ手段を備えた車両の内装構造及びその組付け方法に関し、特に額縁トリムの部位に、上部ピラー間トリムと別体叉は一体の付設部材を設け、この付設部材を介してルーフトリム端部の移動を規制するようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
最近、自動車等の車両においては、衝突や横転時等に乗員を保護する為のエアバッグ装置が装備される。エアバッグ装置の中には、車両の側突や横転時に側部ウインドの内面にカーテン状に展開するカーテンエアバッグ装置が実用に供されつつある。
このカーテンエアバッグ装置のカーテンエアバッグは、ルーフトリムと車体間の空間に配設され、展開時にはピラートリムとルーフトリムの境界を含むルーフトリムの下端部と車体間の隙間から展開する。
【0003】
上記のようにピラートリムとルーフトリムの境界を押し広げてカーテンエアバッグが展開する際に、カーテンエアバッグがピラートリムの上端に引っかかり、エアバッグの展開性が悪くなるという問題があり、その対策技術が種々提案されている。
【0004】
特許文献1のエアバッグ配設構造においては、ルーフサイドレールの内側に収納状態のカーテンエアバッグ(カーテンエアバッグモジュール)が配設され、このカーテンエアバッグモジュールはルーフサイドレールのインナパネルに取り付けられ、そのインナパネルに、カーテンエアバッグの展開時にエアバッグを案内するジャンプ台が形成されている。 他方、別のジャンプ台として、ピラートリムの上端部から上方へ一体的に突出するガイド部が設けられ、このガイド部にはカーテンエアバッグの展開時にエアバッグを案内する傾斜状のガイド壁面が形成され、また、このガイド部の下端付近においてピラートリムの上端近傍部には凹部(係合溝)が形成され、この凹部(係合溝)にルーフトリム下端縁を収納して係合させる構造が開示されている。
【0005】
特許文献2のピラーガーニッシュ(ピラートリム)においては、車体インナパネルとルーフトリムとの間にカーテンエアバッグ用のエアバッグモジュールが配設され、ピラーガーニッシュにはその上端近傍から上方へ延出する案内部が一体形成され、この案内部の上端にエアバッグの展開時にエアバッグを案内する傾斜状の案内面が形成されている。また、案内部とピラーガーニッシュ上端部との間に前後方向に延びるストレートの溝状の凹部が形成され、この凹部にルーフトリムの下端部が挿入係合されている。
【0006】
他方、ハッチバック型(ワゴン系)の自動車にカーテンエアバッグを装備した場合に、クォータウインドガーニッシュ(通称、額縁トリム)には、上部ピラー間トリムが装備されているため、カーテンエアバッグの展開性に配慮した上部ピラー間トリムの構造について種々提案されている。
【0007】
例えば、特許文献3のクォータウインドガーニシュ部の構造においては、その図1〜図3に示すように、クォータウインドガーニシュ11(額縁トリム)を、上部のルーフサイド部12(上部ピラー間トリム)と、残り3辺側を構成する一般部21とに分割し、車体のインナパネルの内面に取り付けたカーテンエアバッグモジュールAの一部をルーフサイド部12で覆うように構成してある。ルーフサイド部12は軟質合成樹脂材料で構造されて可撓性を有し、一般部21は硬質合成樹脂材料で構成されている。
【0008】
上記のルーフサイド部12の車幅方向内端は天井部材Rに連結されている。カーテンエアバッグモジュールAの展開時にカーテンエアバッグを案内するブラケットBが、ルーフサイド部12の外側(反車室側)に設けられている。ルーフサイド部12の下端部は、自由端状態のままウインドガラスに接近し、ルーフサイド部12の途中部がブラケットBに近接している。
【0009】
【特許文献1】特開平11−91490号公報
【特許文献2】特開2002−59802号公報
【特許文献3】特開2001−219807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献3のクォータウインドガーニシュ部の構造においては、カーテンエアバッグの展開時、ルーフサイド部(上部ピラー間トリム)を変形させ、ルーフサイド部の下端とウインド間の隙間からカーテンエアバッグを展開させる構成である。しかし、ルーフトリムは軟質のシート状部材で構成され、クォータウインドガーニシュ部においても、ルーフトリムの端部と車体間の隙間からカーテンエアバッグを展開させる構造が望ましいが、次のような問題がある。
【0011】
このような構造により、カーテンエアバッグは、軟質なルーフトリムを大きく変形させて展開が可能となり、展開性を向上できるが、ルーフトリムが軟質であるため、例えば、不測にも乗員が、エアバッグが展開される前の通常の状態で、ルーフトリムのカーテンエアバッグが展開される部分を押圧するなどすると、ルーフトリムの一部が車体側へ移動するように変形してしまい、見映えを悪化させたり、カーテンエアバッグが展開する場合にカーテンエアバッグの展開安定性を阻害させることが懸念される。
【0012】
本発明の目的は、カーテンエアバッグ手段を備えた車両の内装構造において、カーテンエアバッグの展開性を確保しながら、ルーフトリムの端部の変形を規制してその見映えと意匠性を高めること、カーテンエアバッグの展開安定性を高めることなどである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造は、車両の隣り合うピラー上端部を連結する上部ピラー間トリムと、車両側部のウインドを覆うように、上部ピラー間トリムより軟質なルーフトリムと上部ピラー間トリムとの境界を含むルーフトリム端部の隙間からカーテン部材を展開可能なカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造であって、車体と上部ピラー間トリム及びルーフトリムとの間の空間に付設部材を設け、この付設部材を車体に固定し、この付設部材にルーフトリムの下端部の少なくとも一部を受け止めて車体側への移動を規制する規制部を形成したことを特徴とするものである。
【0014】
カーテンエアバッグが展開する際には、車両側部のウインドを覆うように、ルーフトリムと上部ピラー間トリムとの境界を含むルーフトリム端部と車体間の隙間からカーテン部材が展開する。通常時では、カーテンエアバッグが収納された状態で、車体と上部ピラー間トリム及びルーフトリムとの間に設けられ且つ車体に固定された付設部材の規制部でもって、ルーフトリムの端部の少なくとも一部を受け止めて車体側への移動を規制する。
【0015】
請求項2のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造は、請求項1の発明において、前記付設部材には、カーテンエアバッグが展開する時にカーテンエアバッグを案内するガイド部が形成され、このガイド部は規制部の車幅方向内端よりも上側に形成されたことを特徴としている。
【0016】
請求項3のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造は、請求項1叉は2の発明において、前記付設部材は、前記ガイド部の上端から上方へ延び且つ車体のインナパネルに当接したバッグ当接部を有し、収納状態のカーテンエアバッグの長さ方向の一部分が前記バッグ当接部に当接されたことを特徴としている。
【0017】
請求項4のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造は、請求項1の発明において、前記付設部材の規制部と上部ピラー間トリムの車室側端部とでルーフトリムの端部の少なくとも一部を導入係合させる係合溝が形成されたことを特徴としている。
【0018】
請求項5のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造は、請求項4の発明において、前記付設部材は前記上部ピラー間トリムと別体に構成され、この付設部材の下端部に前記上部ピラー間トリムが固定されたことを特徴としている。
請求項6のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造は、請求項4の発明において、前記付設部材は前記上部ピラー間トリムと一体に構成され、この付設部材の下端部が前記上部ピラー間トリムに一体的に連結されたことを特徴としている。
【0019】
請求項7のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造の組み付け方法は、車両の隣り合うピラー上端部を連結する上部ピラー間トリムと、車両側部のウインドを覆うように、上部ピラー間トリムより軟質なルーフトリムと上部ピラー間トリムとの境界を含むルーフトリム端部の隙間からカーテン部材を展開可能なカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造を組み付ける方法において、車体にカーテンエアバッグを組み付けると共に、車体にルーフトリムの下端部の少なくとも一部を受け止めて車体側への移動を規制する規制部を有する付設部材を組み付ける第1工程と、次に、前記ルーフトリムを車体に組み付ける第2工程と、次に、前記上部ピラー間トリムを組み付けて、前記付設部材の規制部と上部ピラー間トリムとでルーフトリムの下端部の少なくとも一部を導入係合させる係合溝を形成する第3工程とを備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項8のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造を組み付け方法は、請求項7の発明において、前記第1工程において、前記付設部材を収納状態のカーテンエアバッグに支持させ、その収納状態のカーテンエアバッグと共に前記付設部材を組み付けることを特徴としている。
請求項9のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造を組み付け方法は、請求項7の発明において、前記第1工程において前記付設部材を車体に固定する共に、前記第3工程において前記上部ピラー間トリムを付設部材に組み付けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、ルーフトリムの端部と車体間の隙間からカーテンエアバッグを展開させる関係上、ルーフトリムの端部の外形(形状)の保持性が低下する虞があるが、付設部材を設けて車体に固定し、この付設部材に、ルーフトリムの端部の少なくとも一部を受け止めて車体側への移動を規制する規制部を形成したため、ルーフトリムの下端部の外形保持を可能とし、カーテンエアバッグの展開安定性を確保し、ルーフトリムの端部の見映えと意匠性を高めることができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、付設部材にはカーテンエアバッグを案内するガイド部が形成され、このガイド部は規制部の車幅方向内端よりも上側に形成されたため、カーテンエアバッグの展開時、カーテンエアバッグがガイド部で案内されて規制部と干渉することなく、車室内へ展開するようになる。
【0023】
請求項3の発明によれば、付設部材はガイド部の上端から上方へ延び且つ車体のインナパネルに当接したバッグ当接部を有し、収納状態のカーテンエアバッグの長さ方向の一部分が前記バッグ当接部に当接されたので、付設部材を収納状態のカーテンエアバッグの邪魔にならないように配置することができる。しかも、例えば、付設部材を上部ピラー間トリムと別体に形成した場合には、前記バッグ当接部を収納状態のカーテンエアバッグに当接させた状態にして付設部材をカーテンエアバッグに支持させ、カーテンエアバッグと共に組み付けることができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、付設部材の規制部と上部ピラー間トリムの車室側端部とでルーフトリムの端部の少なくとも一部を導入係合させる係合溝が形成されたため、この係合溝にルーフトリムの端部の少なくとも一部を導入係合させて保持することができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、前記付設部材は上部ピラー間トリムと別体に構成され、この付設部材の下端部に前記上部ピラー間トリムが固定されたため、付設部を小物部品として扱うことができ、カーテンエアバッグやルーフトリムとの位置関係を確実にして容易に取り付けることが可能となる。
【0026】
請求項6の発明によれば、前記付設部材は前記上部ピラー間トリムと一体に構成され、この付設部材の下端部が前記上部ピラー間トリムに一体的に連結されたので、付設部材と上部ピラー間トリムの構造が簡単化し、部品数が増すことがない。
【0027】
請求項7の発明(組み付け方法)によれば、第1工程において、車体にカーテンエアバッグを組み付けると共に、車体にルーフトリムの端部の少なくとも一部を受け止めて車体側への移動を規制する規制部を有する付設部材を組み付け、次に、第2工程において前記ルーフトリムを車体に組み付け、次に、第3工程において、上部ピラー間トリムを組み付けて、前記付設部材の規制部と上部ピラー間トリムとでルーフトリムの端部の少なくとも一部を導入係合させる係合溝を形成するため、ルーフトリムの組み付け前に、付設部材を組み付けることができ、付設部材を簡単に能率的に組み付けることができる。第3工程において、付設部材の規制部と上部ピラー間トリムとでルーフトリムの下端部の少なくとも一部を導入係合させる係合溝を形成するため、その係合溝にルーフトリムの下端部の少なくとも一部を容易に導入係合させることができる。
【0028】
請求項8の発明によれば、第1工程において、前記付設部材を収納状態のカーテンエアバッグに支持させ、その収納状態のカーテンエアバッグと共に前記付設部材を組み付けるため、付設部材の組み付けを簡単に行うことができる。
請求項9の発明によれば、第1工程において前記付設部材を車体に固定する共に、前記第3工程において上部ピラー間トリムを付設部材に組み付けるため、上部ピラー間トリムを車体に固定する構造が簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、車両の隣り合うピラー上端部を連結する上部ピラー間トリムと、車両側部のウインドを覆うように、ルーフトリムと上部ピラー間トリムとの境界を含むルーフトリム端部の隙間からカーテン部材を展開可能なカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造に関するものである。
【実施例1】
【0030】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、自動車1の車室内には3列のシート装置2が装備され、車両側部のウインド3a〜3cを含む内面側の上半部をカーテン状に覆うようにカーテン部材4aを展開可能なカーテンエアバッグ装置を備えた車両の内装構造が設けられている。
カーテンエアバッグ装置は、自動車1の左側車体側部と右側車体側部とに夫々装備されるが、本実施例では自動車の右側車体側部に装備されたカーテンエアバッグ装置を例にして説明する。
【0031】
このカーテンエアバッグ装置は、折り畳んだカーテンエアバッグ4aをモジュールケース4bに収納したカーテンエアバッグモジュール4と、インフレータユニット4cと、自動車1の側突を検出する複数の側突検出センサ(図示略)及び自動車1のロール傾斜角を検出する傾斜角検出センサ(図示略)と、これら側突検出センサや傾斜角検出センサからの検出信号に基づいて側突や横転が検出されたときに、インフレータユニット4cを作動させてカーテンエアバッグ4aをカーテン状に展開させるコントローラ(図示略)等を備えている。但し、超音波やマイクロ波を介して側突を予知する側突予知手段により側突を予知した時にもインフレータユニット4cを作動させるように構成してもよい。
【0032】
図1に示すように、カーテンエアバッグモジュール4は、車体右側部のルーフサイドレールよりやや下側部位の内面に、車室11のほぼ全長に亙って配設されている。カーテンエアバッグ4aが展開した状態は図2に斜線領域で示すとおりである。
【0033】
図1〜図3に示すように、Bピラー8の車室側面にはピラートリム12が装着される。ウインド3cの周囲に装着されるトリムは、合成樹脂製の矩形枠形の額縁トリム13(クォータウインドガーニシュ)である。この額縁トリム13の上辺枠部が上部ピラー間トリム14である。上記のピラートリム12及び額縁トリム13は硬質の合成樹脂製の成形品である。
【0034】
カーテンエアバッグモジュール4は、車体インナパネルとルーフトリム7の下端側部分との間に配設されている。カーテンエアバッグモジュール4のモジュールケース4bは、複数のクリップ10により車体のインナパネルやピラーインナ6aに取り付けられる。Bピラー8の部位では、カーテンエアバッグモジュール4は、カーテンエアバッグモジュール4の一部は、車体のピラーインナとルーフトリム7の下端側部分との間に配設されている。
【0035】
図4に示すように、額縁トリム13の部位では、カーテンエアバッグモジュール4の一部は、車体のインナパネル15aとルーフトリム7の下端側部分との間に配設されている。そのルーフトリム7は、額縁トリム13より軟質の材料で構成され、例えば微細発泡層と表皮層とからなる柔軟性と伸縮性と圧縮性のあるウレタン製成形シート材で構成されている。
【0036】
カーテンエアバッグ4aが展開する際には、カーテンエアバッグ4aは、ルーフトリム7の下端側部分を車室11側へ押し開きながらルーフトリム7の下端側の隙間(ルーフトリム下端部と車体間の隙間)から車室11内へ展開し、Bピラー8の部位では、ルーフトリム7の下端側部分を車室11側へ押し開きながら、ピラートリム12とルーフトリム7との境界から車室11内へ展開する。額縁トリム13の部位では、ルーフトリム7の下端側部分を車室11側へ押し開きながら、上部ピラー間トリム14とルーフトリム7との境界から車室11内へ展開する。
【0037】
次に、カーテンエアバッグ装置を備えた車両の内装構造であって、額縁トリム13の付近の内装構造について説明する。
図3、図4に示すように、ルーフサイドレール15はインナパネル15aと補強パネル15bとを有し、ウインド3cの上端部がルーフサイドレール15に固着されている。
【0038】
上部ピラー間トリム14の部位において、ルーフトリム7の下端部7aと車体間の隙間からカーテンエアバッグ4aを展開可能とし、ルーフトリム7の下端部7aと上部ピラー間トリム14との境界の付近の外観と意匠性を高め、カーテンエアバッグ4aが展開する時の展開性を高めるため、ウインド3cの前後方向ほぼ中央部において、ルーフサイドレール15と上部ピラー間トリム14及びルーフトリム7との間に硬質合成樹脂製の付設部材20が設けられ、付設部材20は上部ピラー間トリム14とは別体に構成されている。但し、付設部材20は金属製の部材で構成してもよい。
【0039】
この付設部材20は、下端部のほぼ水平なトリム取付部21と、このトリム取付部21から車室11内側へ上り傾斜状に延びる規制部22と、この規制部22の上端から車幅方向外側へ上り急傾斜状に延びるガイド部23と、このガイド部23の上端から車室11内側へ上り傾斜状に延びてインナパネル15aの内面に当接するバッグ当接部24と、このバッグ当接部24の上端から上方へ突出する1対の屈曲片25などを備えている。
【0040】
トリム取付部21の上面には台形状のスペーサ部21aが一体形成され、このスペーサ部21aをインナパネル15aに当接させ、クリップ27によりスペーサ部21aの頂部壁がインナパネル15に固定されている。1対の屈曲片25をインナパネル15aに形成した1対の係止孔25aに係止させることで、バッグ当接部24がインナパネル15aに当接され、こうして付設部材20がインナパネル15aに固定され、カーテンエアバッグモジュール4の長さ方向の一部分がバッグ当接部24に当接されている。上部ピラー間トリム14は、トリム取付部21の下面に当接させた状態に組み付けられ、クリップ16により付設部材20のトリム取付部21に固定される。
【0041】
付設部材20の規制部22と上部ピラー間トリム14の車室側端部14aとでルーフトリム7の下端部7aの少なくとも一部を導入係合させる係合溝26が形成されている。
係合溝26の車幅方向内側の半幅分は、車幅方向内側へ向かって緩く上り傾斜する傾斜状に形成され、上部ピラー間トリム14の車室側端部14aも、上記と同様に傾斜しており、ルーフトリム7の下端部7aを係合させる係合溝26の部分の溝厚(溝幅)は、ルーフトリム7の厚さとほぼ等しく設定され、ルーフトリム7の下端部7aは係合溝26に摩擦抵抗を殆ど与えない状態に係合され、係合溝26が車室11内側上方へ開放されている。そのため、カーテンエアバッグ4aの展開の妨げになることはない。
【0042】
また、係合溝26の溝厚(溝幅)はルーフトリム7の厚さとほぼ等しいので、額縁と3の全体が上下方向に熱伸びしても、ルーフトリム7の端部は係合溝26に対して大幅な隙間を形成することなく追従でき、見映えが悪化することがない。また、その場合、付設部材20は上下方向に長い係止孔25aに対し上下移動可能に取り付けられるため、上述の熱伸びや、側突直後のピラートリムの上方移動に対し、係合溝26の溝厚(溝幅)を大幅に狭めることを抑制でき、エアバッグ展開時のルーフトリム端部との係合解除を阻害することもない。
【0043】
この付設部材20の規制部22は、にルーフトリム7の下端部7aの少なくとも一部を受け止めて車体側への移動を規制する。それ故、規制部22で規制される範囲では、ルーフトリム7の下端部7aの取付け状態が安定し、変形したりせず、上部ピラー間トリム14の車室側端部14aとルーフトリム7の下端部7aの間に隙間が生じたりしなくなるため、乗員から見た外観と見映えと意匠性が向上する。
【0044】
付設部材20に、カーテンエアバッグ4aが展開する時にカーテンエアバッグ4aを案内するガイド部23が鉛直方向に対して約15〜20度の急傾斜状に形成され、このガイド部23は規制部22の車幅方向内端よりも上側に形成され、規制部22より上側に形成されており、カーテンエアバッグ4aの展開時に、カーテンエアバッグ4aが車室11の方へ展開するように案内する。
【0045】
次に、上記の内装構造を組み付ける組み付け方法について説明する。
先ず、付設部材20をカーテンエアバッグモジュール4に連結する為に、バッグ取付け部24の下端に対応する位置には1対の切欠き部24aが形成されている。カーテンエアバッグモジュール4を車体に組み付ける前に、カーテンエアバッグモジュール4のうちの対応する部位に、付設部材20のバッグ当接部24を当接させ、上記の1対の切欠き部24aの位置においてカーテンエアバッグモジュール4とバッグ当接部24に巻き付けた1対の紙テープ5で付設部材20をカーテンエアバッグモジュール4に連結しておく。
【0046】
上記の内装構造を組み付けの第1工程において、車体にカーテンエアバッグモジュール4を組み付けると共に、このカーテンエアバッグモジュール4を組み付けと同時に、規制部22を有する付設部材20を組み付け、付設部材20の1対の折曲片25をインナパネル15aの1対の係止孔25aに係止させ、クリップ27をインナパネル15aに固定し、こうして付設部材20を車体に固定する。
【0047】
次に、第2工程においてルーフトリム7を車体のルーフの内面側に組み付ける。
次に、第3工程において額縁トリム13と共に上部ピラー間トリム14を組み付けて、そのクリップ16を付設部材20に組み付け、規制部22と上部ピラー間トリム14とで係合溝26を形成し、この係合溝26にルーフトリム7の下端部7aを導入係合させる。
【0048】
次に、以上説明した内装構造の作用、効果について説明する。
ルーフトリム7の下端部7aと車体間の隙間からカーテンエアバッグ4aを展開させる関係上、ルーフトリム7の下端部7aの安定性が低下する虞があるが、付設部材20を設けて車体に固定し、この付設部材20に、ルーフトリム7の下端部7aの少なくとも一部を受け止めて車体側への移動を規制する規制部22を形成したので、ルーフトリム7の下端部7aの外形保持を可能とし、カーテンエアバッグ4aの展開性と展開安定性を確保し、ルーフトリム7の下端部7aの見映えと意匠性を高めることができる。
【0049】
付設部材20にはカーテンエアバッグ4aを案内するガイド部23が形成され、このガイド部23は規制部22の車幅方向内端よりも上側に形成されたため、カーテンエアバッグ4aの展開時、カーテンエアバッグ4aがガイド部23で案内されて規制部22と干渉することなく、車室内へ確実に展開するようになる。
【0050】
付設部材20はガイド部23の上端から上方へ延び且つ車体のインナパネル15aに当接したバッグ当接部24を有し、カーテンエアバッグモジュール4の長さ方向の一部分がバッグ当接部24に当接されたので、付設部材20をカーテンエアバッグモジュール4の邪魔にならないように配置できる。しかも、付設部材20をカーテンエアバッグモジュール4に支持させ、カーテンエアバッグモジュール4と共に組み付けることができる。
【0051】
付設部材20の規制部22と上部ピラー間トリム14の車室側端部14aとでルーフトリム7の下端部7aの一部を導入係合させる係合溝26が形成されたため、この係合溝26にルーフトリム7の下端部7aの少なくとも一部を係合保持することができる。
この付設部材20の下端部に上部ピラー間トリム14が固定されるため、カーテンエアバッグモジュール4と共に、付設部材20を車体に組み付けることが可能となり、上部ピラー間トリム14を付設部材20の下端部に確りと固定することができる。
【0052】
カーテンエアバッグモジュール4と共に付設部材20を組み付けるため、付設部材20の組み付けを簡単に行うことができる。付設部材20を車体に固定してから、上部ピラー間トリム14を付設部材20に組み付けて固定するため、上部ピラー間トリム14を車体に固定する構造が簡単になる。
【実施例2】
【0053】
次に、本発明の実施例2の内装構造について説明する。
この内装構造は、付設部材20Aを上部ピラー間トリム14と一体的に構成した点で異なるのみであるので、実施例1と同様のものに同じ符号を付して説明を省略する。
図5、図6に示すように、この付設部材20Aには、前記付設部材20と同様の、規制部22、ガイド部23、バッグ当接部24、1対の屈曲片25などが形成されている。
【0054】
この付設部材20Aにおいては、前記付設部材20のトリム取付け部21とスペーサ部21aが省略され、付設部材20Aの規制部22が上部ピラー間トリム14と一体化され、規制部22と上部ピラー間トリム14とで係合溝26が形成され、その係合溝26にルーフトリム7の下端部7aが導入係合される。上部ピラー間トリム14には、スペーサ部14bが形成され、このスペーサ部14bがクリップ28によりインナパネル15aに固定される。
【0055】
この上部ピラー間トリム14は、その組み付け性が悪化しないように、例えば、図3のA,Bの位置で、額縁トリム13から分断した構造に構成されている。この場合、例えば、図6に示すように、上部ピラー間トリム14の端部を、額縁トリム13の上辺部の端部に連結する構造として、上部ピラー間トリム14の端部の係合突起14cを、額縁トリム13の上辺部13aの端部の係合穴13bに係合させる構造を採用してもよい。
【0056】
この内装構造の組み付けの際、最初に第1工程においてカーテンエアバッグモジュール4が車体に組み付けられ、次に、第2工程において付設部材20Aと上部ピラー間トリム14とが組み付けられる。このとき、付設部材20Aのバッグ取付け部24をインナパネル15aとカーテンエアバッグモジュール4との間に挿入し、1対の屈曲片25を1対の係止孔25aに係止させ、上部ピラー間トリム14のスペーサ部14bをクリップ28によりインナパネル15aに固定する。次に、第3工程において、ルーフトリム7を組み付け、その下端部7aを係合溝26に係合させる。
【0057】
この内装構造によれば、付設部材20Aが上部ピラー間トリム14と一体に構成され、この付設部材20Aの下端部が上部ピラー間トリム14に一体的に連結されたので、付設部材20Aと上部ピラー間トリム14の構造が簡単化し、部品数が増すことがない。
【0058】
次に、前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
(1)付設部材20,20Aの前後方向の長さを大きくし、ウインド3cのほぼ全長と等しい長さに構成してもよい。この場合、規制部20,20Aと係合溝26が長くなって、ルーフトリム7の下端部7aの組み付け状態の安定性が増し、外観、意匠性が向上する。
【0059】
(2)実施例1の上部ピラー間トリム14は、額縁トリム13と一体形成したものであったが、実施例2と同様に、上部ピラー間トリム14を額縁トリム13から分断した構造にしてもよい。
(3)その他、当業者ならば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例1,2に種々の変更を付加して実施可能であり、本発明はそのような変更例も包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例1のカーテンエアバッグ装置を備えた内装構造の側面図である。
【図2】カーテンエアバッグ展開状態における前記内装構造の側面図である。
【図3】額縁トリムと付設部材などの要部側面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】実施例2の図4相当図である。
【図6】額縁トリムと上部ピラー間トリムの連結部を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
4a カーテンエアバッグ
4 カーテンエアバッグモジュール
7 ルーフトリム
13 額縁トリム
14 上部ピラー間トリム
20,20A 付設部材
22 規制部
23 ガイド部
24 バッグ当接部
25 屈曲片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の隣り合うピラー上端部を連結する上部ピラー間トリムと、車両側部のウインドを覆うように、上部ピラー間トリムより軟質なルーフトリムと上部ピラー間トリムとの境界を含むルーフトリム端部の隙間からカーテン部材を展開可能なカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造であって、
車体と上部ピラー間トリム及びルーフトリムとの間の空間に付設部材を設け、この付設部材を車体に固定し、この付設部材にルーフトリムの端部の少なくとも一部を受け止めて車体側への移動を規制する規制部を形成した、
ことを特徴とするカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造。
【請求項2】
前記付設部材には、カーテンエアバッグが展開する時にカーテンエアバッグを案内するガイド部が形成され、このガイド部は規制部の車幅方向内端よりも上側に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造。
【請求項3】
前記付設部材は、前記ガイド部の上端から上方へ延び且つ車体のインナパネルに当接したバッグ当接部を有し、収納状態のカーテンエアバッグの長さ方向の一部分が前記バッグ当接部に当接されたことを特徴とする請求項1叉は2に記載のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造。
【請求項4】
前記付設部材の規制部と上部ピラー間トリムの車室側端部とでルーフトリムの端部の少なくとも一部を導入係合させる係合溝が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造。
【請求項5】
前記付設部材は前記上部ピラー間トリムと別体に構成され、この付設部材の下端部に前記上部ピラー間トリムが固定されたことを特徴とする請求項4に記載のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造。
【請求項6】
前記付設部材は前記上部ピラー間トリムと一体に構成され、この付設部材の下端部が前記上部ピラー間トリムに一体的に連結されたことを特徴とする請求項4に記載のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造。
【請求項7】
車両の隣り合うピラー上端部を連結する上部ピラー間トリムと、車両側部のウインドを覆うように、上部ピラー間トリムより軟質なルーフトリムと上部ピラー間トリムとの境界を含むルーフトリム端部の隙間からカーテン部材を展開可能なカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造を組み付ける方法において、
車体にカーテンエアバッグを組み付けると共に、車体にルーフトリムの下端部の少なくとも一部を受け止めて車体側への移動を規制する規制部を有する付設部材を組み付ける第1工程と、
次に、前記ルーフトリムを車体に組み付ける第2工程と、
次に、前記上部ピラー間トリムを組み付けて、前記付設部材の規制部と上部ピラー間トリムとでルーフトリムの端部の少なくとも一部を導入係合させる係合溝を形成する第3工程と、
を備えたことを特徴とするカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造の組み付ける方法。
【請求項8】
前記第1工程において、前記付設部材を収納状態のカーテンエアバッグに支持させ、その収納状態のカーテンエアバッグと共に前記付設部材を組み付けることを特徴とする請求項7に記載のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造の組み付ける方法。
【請求項9】
前記第1工程において前記付設部材を車体に固定する共に、前記第3工程において前記上部ピラー間トリムを付設部材に組み付けることを特徴とする請求項7に記載のカーテンエアバッグ手段とを備えた車両の内装構造の組み付ける方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−168738(P2008−168738A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2756(P2007−2756)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】