説明

カードディスペンサー

【課題】IC/磁気カード等を大量に発行でき、メンテナンス性が高く、保守頻度が少ないカードディスペンサーを提供する。
【解決手段】ストッカー本体の一端よりウエイト荷重により押圧し、該ストッカー本体の他端のゲートよりゴムローラの駆動によって一枚ずつ排出するカードディスペンサーにおいて、前記ストッカー本体底板の下部に設けられ、該ストッカー本体底板の切り欠き部を介してIC/磁気カード等の最下面と当接するゴムローラーと、該ゴムローラを挿通するゴムローラシャフトと、該ゴムローラシャフトに取り付けられ回動可能な可動板と、該可動板を軸支する可動板取りつけシャフトとからなり、巻きバネ等の付勢手段により前記可動板を介して前記ゴムローラを前記IC/磁気カード等の最下面から前記ウエイト荷重より低圧にて押圧し、駆動手段により前記ゴムローラを回転させることによって前記IC/磁気カード等を略水平に排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC/磁気カードリーダーライタ等のカードディスペンサーに関するものである
【背景技術】
【0002】
今日、病院や店舗等あるいは遊技場等においてIC/磁気カード等(以下単にカードという)を使った端末装置が数多く使用されている。前記端末装置は複数のカードをストッカー内に備えており、カードディスペンサーによって一枚ずつカードを排出し、カードの発行等が行われている。
【0003】
前記カードディスペンサーの構造とカードの流れを図5により、説明すると。カードストッカー本体2に複数収容されたカード4は一端側より金属製ウエイト3により加圧され、他端側の底板10に設けた切り欠き部(図示せず)より挿入されたゴムローラ5及び樹脂ローラ8と前記カード4の最下面で当接する。前記ゴムローラ5はカードディスペンサー1の筐体に回転可能に軸支され、モータ7により駆動伝達手段(図示せず)を介して回転し、前記カード4の最下面のカード4−1を前記ゴムローラ5の回転によりゲート部11方向に移動させ、ゲートブロック6と底板10とで形成されるゲート部11より排出させる。カードストッカー本体2に収容されたカード4が無くなると、カード有り無し検知スイッチ9により感知され、図示しない警報ランプなどを点灯させ警報を発する。
【0004】
しかしながら、上記従来のカードディスペンサー1においては、カード4を排出する際にゴムローラ5とゲート部11の間でカード4が撓んで底板10と接触したまま移動しゲート部11を通過するものであり、カードの厚みも0.26mm前後の薄いものがほとんどであった。ところが厚さ0.76mmのカードの場合腰が強いため、カード4が前記ゲート部11を通過する際に、カード4が撓まずゲートブロック6と接触し、ゲートブロック6表面に沿って接触したまま移動するためカード4の表面に傷が付く惧れがある。しかもカード4がゲートブロック6表面に沿って接触したまま移動する際にゲートブロック6やウエイト3を押し上げる力が生じ、異常音が発生したりカードディスペンサー本体1に故障を生じる危険性もある。また、カード4を大量に排出することによって、ゴムローラ5に摩擦による磨耗が生じゴムローラ5の径が減少し、カード4を押圧する力が低下するだけでなく接触しないという事故も発生するため、例えばカードを5万枚発行処理する度にゴムローラ5を交換する必要があった。
【0005】
従来のこれらの問題点を解決するために、カードディスペンサーの引き出し側に、カードディスペンサーに収容された各カードを支持する回転自由の支持ローラと、引き出し側の最前位のカードを吸着する吸着部と、これを移動する移動機構とを設け、かつ、複数の弾性羽根がホッパーに収容された各カードの側面に摺動接触し、密着した各カードを互いに微小な間隔に分離させる羽根車と、分離した各カードの微小な間隔にエアを吹き込んで、分離状態を維持するエア噴出部とを設けて構成された磁気カードのピックアップ機構が提案されている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−100186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に提案されている磁気カードのピックアップ機構の場合、カードの搬送用ローラなどの搬送機構以外に複数の弾性羽根やエア噴出機構などの付帯設備を必要とするため装置が大きなものとなり、しかも高コストとなるものである
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、ゴムローラを早期に交換せずに長期間使用でき、しかもカードを略水平に搬出することにより傷等を付けることなく、またカード通過時の異常音やカードデイスペンサー本体に故障を生じさせることもなく、さらに装置の大きさも小さく安価なカードディスペンサーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明では、ストッカー本体に収容された複数のカード等を、該ストッカー本体の一端よりウエイト荷重により押圧し、該ストッカー本体の他端のゲートよりゴムローラの駆動によって一枚ずつ排出するカードディスペンサーにおいて、前記ストッカー本体底板の下部に設けられ、該ストッカー本体底板の切り欠き部を介して前記カード等の最下面と当接するゴムローラと、該ゴムローラを挿通するゴムローラシャフトと、該ゴムローラシャフトに取り付けられ回動可能な可動板と、該可動板を軸支する可動板取りつけシャフトとからなり、巻きバネ等の付勢手段により前記可動板を介して前記ゴムローラを前記カード等の最下面から前記ウエイト荷重より低圧にて押圧し、駆動手段により前記ゴムローラを回転させることによって前記カード等を略水平に排出させることを第1の特徴とする。
【0009】
また、前記ゲートは、前記ストッカー本体の他端部に設けられたゲートブロックと、前記ストッカー本体底板とで形成された隙間で構成され、該隙間は前記カード等の厚みよりやや広いことを第2の特徴とする。
【0010】
そして、前記ストッカー本体と、前記カードディスペンサーとが一体に構成されたことを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るカードディスペンサーによれば、カードリーダーライタで大量のカード等を発行しても、ゴムローラが巻きバネ等の付勢手段により前記カードの最下面から前記ウエイト荷重より低圧にて押圧するため、ゴムローラに摩擦による磨耗が生じてゴムローラの径が減少しても、前記カードとゴムローラとが接触しないという事故が生じることがなく一定の圧力を前記カードにかけることができるため、長期間ゴムローラを交換せずに使用できるという優れた効果を有する。
【0012】
また、ゴムローラをカードの最下面から前記ウエイト荷重より低圧にて押圧し、駆動手段により前記ゴムローラを回転させることによって前記カードを略水平に排出させることができ、さらにゲートブロックと前記ストッカー本体底板とで形成されたカードの厚みよりやや広いゲートを通過させるため、前記カード表面に傷等を付けることがなく、しかも異常音が発生せずカードデイスペンサー本体に故障を生じないという優れた効果を有する。
【0013】
しかも、前記ストッカー本体と、前記カードディスペンサーとが一体に構成されているため、装置がコンパクトであり、またエア噴出部などの付帯設備を必要としないために安価であるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に示す実施例に基づいて説明するが、本発明が本実施例に限定されないことは言うまでもない。図1は本発明に係るカードディスペンサー取り付けたカードリーダーライタの一実施例を示す斜視図である。図2は本発明に係るカードデイスペンサーの構造を示す斜視図である。図3は本発明に係るカードデイスペンサーの斜視説明図である。図4は本発明に係るカードディスペンサーを説明する右側面断面図である。図5は従来のカードディスペンサーを説明する右側面断面図である。
【実施例】
【0015】
図1に示すように、本発明に係るカードディスペンサー1は、カードリーダーライタ部100に取り付けられカードリーダーライタ101として構成され使用される。
【0016】
図2および図3により、更に詳細に説明すると、カードディスペンサー1はカードディスペンサー本体111とストッカー本体2とから構成されており、ストッカー本体2には多数のカード4を収容できるステンレス製の立方体形状の筐体で、カード4の上方から金属製ウエイト3によって加圧されるように構成されている。また、ストッカー本体2の底板10には切り欠き部12が設けられ後述するゴムローラ5及び樹脂ローラ8が挿入される。そしてストッカー本体2のカード排出部(ゲート部)11には底板10に対向して5角柱形状の金属製ゲートブロック6が設けられ、カード4の厚みの略1.5倍の隙間が調節可能に形成されている。カードディスペンサー本体111は対向する2枚の金属板からなり、固定用シャフト16により固定されストッカー本体2が装脱着可能に構成されている。固定用シャフト16の近傍には可動板取り付け用シャフト17が取り付けられ、コの字に形成された金属製の可動版15の一端側が可動板取り付け用シャフト17の略中央部に挿通され回動可能とされ、巻きバネ14が可動板取り付け用シャフト17の略中央部に取り付けられ可動板15を付勢する。尚、巻きバネ14の付勢圧は前記ウエイト3の荷重圧より低圧とされている。また可動板15の他端側にはゴムローラシャフト13が挿通され可動板15を挟持してゴムローラ5が取り付けられている。さらに可動板取り付け用シャフト17の上方には樹脂ローラ8が固定用シャフト16に回転可能に取り付けられ、ゴムローラ5の回転によるカード4の移動を補助する。そしてゴムローラシャフト13はカードディスペンサー本体111に設けられたゴムローラシャフト係合部(図示せず)から延出し、一端部はベルトプーリ18が取り付けられベルト19・テンションローラ20を介してモータ7と連結されている。尚本実施例においては上記カードディスペンサー本体111とストッカー本体2が各々独立して構成されているが、カードディスペンサー本体111とストッカー本体2が一体に構成されたものであってもよい。
【0017】
次に、カード4の排出状態を図3により説明すると、多数のカード4が収容されたストッカー本体2はカードディスペンサー本体111に挿入され、ストッカー保持手段(図示せず)により保持される。ストッカー本体2に収容され、ウエイト3で加圧されたカード4は前記樹脂ローラー8及びゴムローラ5とカード4の最下面で当接する。この際可動板15は巻きバネ14により付勢されているため、可動板15と連結するゴムローラ5も付勢されカード4の最下面をウエイト3より低圧で押圧する。したがってゴムローラ5はストッカー本体2の底板10表面から上方に突出することがない。モータ7の回転がベルトプーリ18を介してゴムローラ5に伝達され、ゴムローラ5と当接する最下面のカード4−1がゲート部11へ移動する。この際カード4−1は略水平に搬送されしかもゲート部11の隙間はカード4−1の厚みの略1.5倍に設定されており、ゲートブロック6と接触することがなくカード4−1表面に傷が付くことがなく、またカード4−1がゲートブロック6と接触することで発生する異常音も出ずカードディスペンサー本体111に故障を生じることもない。
【0018】
カードディスペンサー1からカード4が大量に排出されると、前記ゴムローラ5は摩擦によって表面が磨耗しゴムローラ5の径が小さくなるが、前記巻きバネ14による付勢によって常に最下面のカード4−1を押圧する位置に支持されるため、ゴムローラ5の接触不良による事故等が低減し、しかもゴムローラ5を交換する頻度も低下する。
【0019】
以上、本発明によるカードディスペンサーによれば、カードリーダーライタ等に用いられ大量のカード等を発行処理することができる。また該発行処理の際に生じるカード表面の傷を防止でき、異常音の発生やカードディスペンサー本体の故障も出ず、発行処理に伴うゴムローラなどの交換頻度が少なくて済むためメンテナンスがし易い。さらに、構造がシンプルであり付帯設備なども不要であるため装置も小さくて済み、安価である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るカードディスペンサーを取り付けたカードリーダーライタの一実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るカードディスペンサーの構造を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るカードディスペンサーの斜視説明図である。
【図4】本発明に係るカードディスペンサーを説明する右側面断面図である。
【図5】従来のカードディスペンサーを説明する右側面断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 カードディスペンサー
2 ストッカー本体
3 ウエイト
4、4−1 カード
5 ゴムローラ
6 ゲートブロック
7 モータ
8 樹脂ローラ
9 カード有り無し検知スイッチ
10 底板
11 ゲート部
12 切り欠き部
13 ゴムローラシャフト
14 バネ
15 可動板
16 固定用シャフト
17 可動板取り付け用シャフト
18 ベルトプーリ
19 ベルト
20 テンションローラ
100 カードリーダーライタ部
101 カードリーダライタ
111 カードディスペンサー本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストッカー本体に収容された複数のIC/磁気カード等を、該ストッカー本体の一端よりウエイト荷重により押圧し、該ストッカー本体の他端のゲートよりゴムローラの駆動によって一枚ずつ排出するカードディスペンサーにおいて、前記ストッカー本体底板の下部に設けられ、該ストッカー本体底板の切り欠き部を介して前期IC/磁気カード等の最下面と当接するゴムローラーと、該ゴムローラを挿通するゴムローラシャフトと、該ゴムローラシャフトに取り付けられ回動可能な可動板と、該可動板を軸支する可動板取りつけシャフトとからなり、巻きバネ等の付勢手段により前記可動板を介して前記ゴムローラを前記IC/磁気カード等の最下面から前記ウエイト荷重より低圧にて押圧し、駆動手段により前記ゴムローラを回転させることによって前記IC/磁気カード等を略水平に排出させることを特徴とするカードディスペンサー。
【請求項2】
前記ゲートは、前記ストッカー本体の他端部に設けられたゲートブロックと、前記ストッカー本体底板とで形成された隙間で構成され、該隙間は前記IC/磁気カード等の厚みよりやや広いことを特徴とする請求項1記載のカードディスペンサー。
【請求項3】
前記ストッカー本体と、前記カードディスペンサーとが一体に構成されたことを特徴とする請求項1又は2記載のカードディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−103932(P2006−103932A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295726(P2004−295726)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000177346)三和ニューテック株式会社 (35)
【Fターム(参考)】