説明

カード処理装置

【課題】 カードの回収と再発行とをコンパクトな構成のカード処理装置で実現する。
【解決手段】 実質上円弧状の搬送路6の一端に挿入兼排出口8を形成し、搬送路6の内径側にOリング10が備えられた回転盤9が配置され、挿入兼排出口8から略180度だけ反転した搬送路6の終端部にカード収納部21が備えられ、搬送路6の中途部にアンテナ部42が備えられ、カード収納部21には、収納されたカード5をOリング10に向かって押圧付勢可能で且つ収納されたカードの枚数に応じて収納空間を変更可能とするフラッパ23が備えられ、挿入兼排出口から挿入したカードを回転盤9によりアンテナ部42まで搬送し、そのカードの処理内容に応じて、カードを回転盤9によりカード収納部21に向けて搬送する一方、カード収納部21に収納されたカードをその処理内容に応じて、回転盤9を逆転させて、搬送路6を介して挿入兼排出口8から排出可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型等のカードや、磁気カード、その他の記録媒体としてのカードに記録されている価値情報を含む所定の情報を読み取り、または情報を書き込む(記録)処理を実行するためのカード処理装置に係り、より詳しくは、価値情報が無くなった(価値情報がゼロの)カードを回収し、再発行可能とする構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、パチンコ台等の遊技機器の遊技球を出力するために使用するプリペイド式のカードは、所定の遊技店であることを認識、判別するためのIDデータと、前払いして残存する金額データ等が記録されている。その所定の遊技店でのカード処理装置に利用者が前記カードを挿入して、残存する金額を最大値とする適宜の金額分に相当するだけの遊技球と交換可能となっている。
【0003】
従来のカード処理装置としての特許文献1や特許文献2の構成では、前記カードに記録された全金額を消費してしまうと、通常はそのカードは利用者に返還されることなく、そのカードを再利用するため、カード処理装置における回収箱に取り込んで回収することが行われている。
【特許文献1】特開2000−148917号公報(図1及び図2参照)。
【特許文献2】特開2000−187708号公報(図1及び図2参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の構成では、カードを搬送する経路は、水平方向に延びる第1搬送路と、この第1搬送路中途部の交差部に対して下向きに延びて下端の回収箱上に至る第2搬送路とからなる側面視T字状であり、駆動モータは1つであっても、第1搬送路及び第2搬送路にそれぞれ動力伝達する搬送手段を備える必要があること及び動力伝達の切換え手段を備えている。他方、特許文献2の構成では、カード挿入兼排出口から挿入されたカードを搬送する第1搬送路と、この第1搬送路と平行状に配置された第2搬送路と、第1搬送路の終端から排出されたカードをそのカードの面方向と平行に略180°反転させて第2搬送路の始端部に搬送する反転搬送手段とを有し、第2搬送路にカード回収箱を設ける一方、第1搬送路及び第2搬送路に対する搬送手段の駆動ローラを駆動するための1つの駆動モータと、反転搬送手段に対する駆動モータとを備えている。
【0005】
従って、これらの両カード処理装置の構造が複雑となり、且つ部品点数も多くなるからコストが高くなるという問題があった。
【0006】
特に、特許文献2の構成では、平行状に配置された第1搬送路と第2搬送路との間をU字状の反転搬送手段にて接続しているので、カードの搬送方向の奥行き寸法が大きくなり装置が嵩張るという問題があった。
【0007】
さらに、上記の特許文献1及び2では、カード処理装置の回収箱に回収されたカードを再発行する場合は、発行者が一旦回収箱から取り出したカード(価値情報としての残高0円)をカード発行装置に収納し、利用者がカード発行装置に所定の紙幣などの金銭を入れると、対応する金額データが記録媒体に記録(書き込み)されて後、カードが発行されるものであったから、別途にカード発行装置が必要となり、装置が大がかりとなり、設置場所に大きな空間が必要となると共にカードの取り扱いの手間が掛かるし、さらにコストも大幅に上昇するという問題もあった。
【0008】
本発明は、これらの従来の課題を解決すべくなされたものであって、その第1の目的は、簡単且つコンパクトな構成のカード処理装置を提供することであり、第2の目的はカードの回収機能と再発行機能とを備えたカード処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本願の請求項1に記載のカード処理装置は、実質上円弧状の搬送路の一端にカード挿入兼排出口を形成し、前記搬送路の内径側に回転盤を有する搬送手段が配置され、前記カード挿入兼排出口から適宜角度だけ反転した前記搬送路の終端部にカード収納部が備えられ、前記搬送路の中途部にカード処理部が備えられ、前記カード挿入兼排出口から挿入したカードを前記搬送手段により前記カード処理部まで搬送し、前記カード処理部におけるカードの処理内容に応じて、当該カードを前記搬送手段によりカード収納部に向けて搬送するように構成したものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカード処理装置において、前記カード収納部には、前記カードを前記搬送手段に向かって押圧付勢可能で且つ収納されたカードの枚数に応じて収納空間を変更可能とするフラッパを備えたものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のカード処理装置において、前記搬送手段は、正逆回転する駆動モータにより駆動する回転盤の片面に装着された弾性リング体と、前記搬送路の円周方向に沿って形成された円弧状の突条部とにより前記カードの厚み方向を挟持するように構成されているものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3記載のカード処理装置において、前記カード収納部には、前記カードの有無を検知するためのセンサと、前記フラッパの回動位置とを検知するためのセンサを備えたものである。
【0013】
請求項5に記載の発明のカード処理装置は、実質上円弧状の搬送路の一端にカード挿入兼排出口を形成し、前記搬送路の内径側に回転盤を有する搬送手段が配置され、前記カード挿入兼排出口から適宜角度だけ反転した前記搬送路の終端部にカード収納部が備えられ、前記搬送路の中途部にカード処理部が備えられ、前記カード収納部には、前記収納されたカードを前記搬送手段に向かって押圧付勢可能で且つ収納されたカードの枚数に応じて収納空間を変更可能とするフラッパが備えられ、前記カード挿入兼排出口から挿入したカードを前記搬送手段により前記カード処理部まで搬送し、前記カード処理部におけるカードの処理内容に応じて、当該カードを前記搬送手段によりカード収納部に向けて搬送する一方、前記カード収納部に収納されたカードをその処理内容に応じて、前記搬送手段を逆転させて、前記搬送路を介して前記カード挿入兼排出口から前記カードを排出可能に構成したものである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のカード処理装置において、前記カード挿入兼排出口には、前記搬送路へのカードの挿入を阻止するシャッタを開閉制御可能に設けられているものである。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のカード処理装置において、前記カード収納部の一端部には、前記カード挿入兼排出口と実質上平行なカード取り出し口を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、実質上円弧状の搬送路の一端にカード挿入兼排出口を形成し、前記搬送路の内径側に回転盤を有する搬送手段が配置され、前記カード挿入兼排出口から適宜角度だけ反転した前記搬送路の終端部にカード収納部が備えられ、前記搬送路の中途部にカード処理部が備えられたものであるから、カード搬送方向に沿う装置長さを短くでき、コンパクトになるという効果を奏する。また、実質上円弧状の搬送路に配置される搬送手段は、前記搬送路の内径側に回転盤を配置するものであるから、構造が簡単になり、且つ低コストにできるという効果を奏する。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、前記カード収納部には、前記カードを前記搬送手段に向かって押圧付勢可能で且つ収納されたカードの枚数に応じて収納空間を変更可能とするフラッパを備えたものであるから、このフラッパと回転盤を有する搬送手段とにより、回収されるカードを確実にカード収納部に取り込むことができるという効果を奏する。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、前記搬送手段は、正逆回転する駆動モータにより駆動する回転盤の片面に装着された弾性リング体と、前記搬送路の円周方向に沿って形成された円弧状の突条部とにより前記カードの厚み方向を挟持するように構成されているものであるから、搬送すべきカードを弾性リング体と円弧状の突条部とにより、搬送方向に沿って連続的に挟持搬送することが極めて簡単にできるという効果を奏する。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、前記カード収納部には、前記カードの有無を検知するためのセンサと、前記フラッパの回動位置とを検知するためのセンサを備えたものであるので、カード収納部内のカードの有無及び満杯状態のいずれも検知できるという効果を奏する。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、実質上円弧状の搬送路の一端にカード挿入兼排出口を形成し、前記搬送路の内径側に回転盤を有する搬送手段が配置され、前記カード挿入兼排出口から適宜角度だけ反転した前記搬送路の終端部にカード収納部が備えられ、前記搬送路の中途部にカード処理部が備えられ、前記カード収納部には、前記収納されたカードを前記搬送手段に向かって押圧付勢可能で且つ収納されたカードの枚数に応じて収納空間を変更可能とするフラッパが備えられ、前記カード挿入兼排出口から挿入したカードを前記搬送手段により前記カード処理部まで搬送し、前記カード処理部におけるカードの処理内容に応じて、当該カードを前記搬送手段によりカード収納部に向けて搬送する一方、前記カード収納部に収納されたカードをその処理内容に応じて、前記搬送手段を逆転させて、前記搬送路を介して前記カード挿入兼排出口から前記カードを排出可能に構成したので、1つのカード処理装置だけで、カード価値情報が零のカードの回収と、その回収したカードを利用して、カード価値情報を有価に書き込んだ再発行することの2つの機能を持たせることができ、装置全体をコンパクトにできるという効果を奏する。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、請求項項1ないし5のいずれかに記載の発明による効果に加えて、前記カード挿入兼排出口には、前記搬送路へのカードの挿入を阻止するシャッタを開閉制御可能に設けられているものであるから、後続するカードを挿入することが阻止でき、カード処理部において1枚ずつのカード処理を確実に実行することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、前記カード収納部の一端部には、前記カード挿入兼排出口と実質上平行なカード取り出し口を備えたものであるから、利用者に対するカードの出し入れと、管理者側によるカードの回収補充作業を同じ方向から実行することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明を具体化した実施形態について図面を参照しながら説明する。図1はカード処理装置の斜視図、図2はカバー体を外した状態の正面図、図3は裏面図、図4は図2のIV−IV線矢視断面図、図5は図3のV−V線矢視断面図、図6は図2のVI−VI線矢視断面図、図7(a)〜図7(d)はカード回収動作を示す動作説明図、図8(a)〜図8(d)はカード再発行動作を示す動作説明図、図9は制御機能ブロック図、図10はカード回収時の制御のフローチャート、図11はカード再発行時の制御のフローチャートである。
【0024】
本発明のカード処理装置1は、1つの実施形態としての非接触型のICカード(プラスチック製カードにICチップとアンテナ部等を埋め込んでなるもの)を処理するものである。本発明では、磁気カードにも適用可能であるので、これら処理されるものを、以下、単にカード5と称する。
【0025】
カード処理装置1は、合成樹脂材を射出成形したベース体2とその表面を覆うようにビス止めされたカバー体3とを有する。ベース体2の表面側には、正面視で実質上円弧状の外周縁4aを備えた搬送路板4が段落ち状にて形成されている(図1、図6参照)。そして、ベース体2及びカバー体3の一側縁(実施形態では図2で右端の上部寄り)には、段落ち状の搬送路板4と、正面視でL字状の区切り部13とカバー体3とで囲まれた部位がカード挿入兼排出口8(以下単に挿入兼排出口という)として形成され、挿入兼排出口8に連通するカバー体3と搬送路板4との間の隙間が、カード5が通過し得る搬送路6となる。
【0026】
挿入兼排出口8を塞ぐようにバネ16にて付勢されたシャッタ14は断面L字状に形成され、ベース体2の裏面側に配置したアクチュエータ手段である電磁ソレノイド15の励磁動作により、シャッタ14はバネ16力に抗して挿入兼排出口8から後退して開き、カード5の挿入可能状態となる。
【0027】
搬送路6の内径側には、回転盤9を有する搬送手段7が配置されている。回転盤9の内面側における外周部には環状溝9aが形成されており、この環状溝9aには、ゴム等の高摩擦係数を有するOリング10が取付けられる。Oリング10の最外周縁は、回転盤9の最外周縁よりも若干外周寄りに位置している。弾性リング体としてのOリング10は搬送路板4と対峙している。
【0028】
搬送路板4の中途部には、Oリング10の配置位置と対応するように、適宜長さの円弧状の2列の突条部26が設けられている(図2参照)。この半径内寄りと半径外寄りの円弧状の平行2列に並ぶ突条部26はOリング10の環状部を挟むよう配置され(図6参照)、突条部26とOリング10とで挟持されたカード5が確実搬送されるよう構成されている。突条部26の始端は、挿入兼排出口8から挿入したカード5の長さの略半分程度の位置である。そして、突条部26の全円弧長さは、開口部22に接近する方向に中心角略90°程度に設定されている(図2及び図3参照)。なお、各突条部26の前後端部はカード5の誘い込みのために傾斜面を有している。
【0029】
回転盤9の支持軸11の一端はカバー体3に樹脂製の軸受12aを介して軸支され(図2参照)、支持軸11の他端部はベース体2の裏面側に膨出形成された袋部17の裏面板17aに樹脂製の軸受12bを介して軸支されている(図3参照)。
【0030】
ベース体2の裏面に装着された第1駆動モータ19の出力軸に固定された傘歯車20aと、支持軸11に固着されたベベルギヤ20bとは袋部17内にて噛合うように配置されている(図3参照)。第1駆動モータ19は正逆回転可能な減速歯車機構付きのDCモータである。
【0031】
カード挿入兼排出口8から適宜角度(実施形態では180°)反転した搬送路6の終端部(図2では、回転盤9の配置位置より下部右寄り部位)に、複数枚のカード5を収納できるカード収納部21が備えられている。このカード収納部21は、ベース体2における搬送路板4(搬送路6)に連通するように切欠きした開口部22と、この開口部22に開閉可能に配置されたフラッパ23と、カバー体3とにより区画形成されているものであり、実施形態では、カード収納部21には、10枚程度のカード5その広幅面方向に堆積させて収容できる(図1、図2及び図5参照)。
【0032】
合成樹脂製等のフラッパ23の基端部は支軸24を介してベース体2に支軸され、フラッパ23における表面の自由端(先端)側がカバー体3の内面に対して接離するように開閉回動可能に設けられている。支軸24に被嵌する捩じりばね25を介して、フラッパ23はその自由端側が常時カバー体3の内面に向かう方向に付勢されている(図2〜図5参照)。
【0033】
上記フラッパ23を開閉するための作動手段は、フラッパ23の自由端側に連結する作動アーム31と、この作動アーム31を揺動させるためのアクチュエータとしての第2駆動モータ32とを備える(図3〜図5参照)。ベース体2の裏面側にて、作動アーム31の中途部は支軸33を介して回動可能に配置されている。作動アーム31の先端側に固着された連結ピン34は、フラッパ23の裏面側のリブに形成された長孔35に摺動可能に嵌挿されている。正逆回転可能な減速歯車機構付きのDCモータである第2駆動モータ32の出力軸に取付られた偏心軸36は、作動アーム31の他端部31aに当接可能に配置されている(図3〜図5参照)。
【0034】
第2駆動モータ32は図4において矢印A方向と矢印B方向とにほぼ180°程度正逆回動するものであり、図4において矢印B方向に第2駆動モータ32が回動して、偏心軸36が作動アーム31の他端部31aから離間している状態では、捩じりばね25の付勢力により、フラッパ23の先端側の表面がカバー体3の裏面に接近している状態(この状態を以下、閉状態という)となり、作動アーム31の先端側(連結ピン34側)もカバー体3の裏面に接近している。
【0035】
第2駆動モータ32が図5において矢印A方向に回動し、偏心軸36にて作動アーム31の他端部31aを押すと、作動アーム31が回動して、その先端側(連結ピン34側)もカバー体3の裏面から離間する。この動きに応じて、捩じりばね25の付勢力に抗してフラッパ23は、その先端側の表面がカバー体3の裏面から離間するように回動するのである(以下、この状態を開き状態という)。
【0036】
ベース体2の裏面に回動可能に設けられた検査アーム37は、第2駆動モータ32が回動しているか否かを検知するためのものであり、第2駆動モータ32の正逆回動に応じて揺動移動する偏心軸36が、検査アーム37の先端側のガイド長孔37aに摺動自在に嵌まっている(図4及び図5の二点鎖線参照)。
【0037】
搬送路6の中途部である搬送路板4の裏面側には、カード処理部としてのアンテナ部42が備えられている(図1〜図3、図6〜図8参照)。このアンテナ部42はカード5がICカードである場合、そのICチップ(図示せず)に、店舗情報や価値情報を書き込み(記録)したり、それらの情報を読取るためのものであり、搬送路板4の裏面側にアンテナ部42に対する制御基板43も配置されている(図3参照)。磁気カードの場合には、カード5の広幅面の所定の磁気記録部に摺接できるカード処理部を配置すれば良い。
【0038】
カード5の位置を検知し、その検知結果に応じてカード処理装置1を作動するために、ベース体2とカバー体3との間に赤外線等の光が通過するように、発光素子と受光素子とを分離して配置する遮光センサが複数位置に配置されている。図2及び図3に示すように、第1遮光センサ44、第2遮光センサ45、第3遮光センサ46は、搬送路6内に位置するカード5を検知するもので、第1遮光センサ44の検知部44aはカード挿入兼排出口8の近傍に配置されている。第2遮光センサ45の検知部45aは、図2のようにカード処理装置1の正面視において、アンテナ部42を挟んで第1遮光センサ44と反対側に配置されている。第3遮光センサ46の検知部46aは第2遮光センサ45より下方であって、開口部22の近傍に配置されている。第4遮光センサ47の検知部47aは、カード収容部21にカード5が存在するか否かを判別するためのものであり、フラッパ23の切欠き部23を挟むように配置されている。
【0039】
なお、カバー体3の表面側に基端がネジ止めされたカード補助押え体48は弾性を有する合成樹脂材料からなり、カード補助押え体48の先端部である押え部48aは、カバー体3に穿設された孔49から、フラッパ23の表面先端側に接近するように配置されている(図2及び図4参照)。
【0040】
図9は、本発明のカード処理装置1を制御するための制御手段の機能ブロック図である。マイクロコンピュータや電子回路などからなる制御用のコントローラ50は、制御バスを介して上述のアンテナ部42に対する制御基板43及びカード5の購入や金銭額データ等の書き換えのための外部コントローラ51に接続する一方、コントローラ50の入力部には、第1フォトインタラプタ40、第2フォトインタラプタ41、第1遮光センサ44、第2遮光センサ45、第3遮光センサ46、第4遮光センサ47が接続されている。他方、コントローラ50の出力部には、シャッタ14を開閉作動させるための電磁ソレノイド15、第1駆動モータ19の駆動回路52、第2駆動モータ32の駆動回路53などが接続されている。
【0041】
コントローラ50では、第1、第2フォトインタラプタ40,41の遮光及び透光の状態、ならびにその状態の組み合わせに応じて、以下のような判別をする。第2駆動モータ32の正逆回動に応じて検査アーム37が揺動するとき、即ち、検査アーム37の先端側に突出する遮断片37bが、ベース体2に設けた第1フォトインタラプタ40における発光素子と受光素子との間を間欠的に遮るときは、第2駆動モータ32が作動(駆動)しているものと判別する。逆に、第2駆動モータ32に駆動出力を印加しているのに、遮断片37bが発光素子と受光素子との間に静止しているとき(遮光しているとき)、または発光素子からの光が受光素子で受光した状態を保持しているときには、第2駆動モータ32が回動していない(第2駆動モータ32が故障している)と判別する。
【0042】
他方、作動アーム31の他端部31aにて突出する遮断片31bが、ベース体2に設けた第2フォトインタラプタ41における赤外線等の発光素子と受光素子との間を遮る状態のときは、フラッパ23が閉状態であると判別し、遮断片31bが発光素子と受光素子との間から外れ、受光状態のときには、フラッパ23が開状態であると判別する。
【0043】
なお、第1及び第2フォトインタラプタ40、41の両方が同時に遮光状態のときには、フラッパ23は開き状態であると判別される。第1フォトインタラプタ40が透光状態で、且つ第2フォトインタラプタ41が遮光状態のときには、カード収納部21内にカード5が所定枚数が入った満杯状態であると判別される。第1及び第2フォトインタラプタ40、41の両方が同時に透光状態のときには、フラッパ23は閉じ状態であると判別される。
【0044】
次に、図7(a)〜図7(d)及び図10のフローチャートを参照しながら、カード5の回収作業時の制御態様について説明する。カード処理装置1が待機状態のときには、シャッタ14は開き状態に保持されている(S1)。この状態ではフラッパ23は開状態、つまり、第2駆動モータ32が図5のように、矢印A方向に回動し、作動アーム31を介してフラッパ23の先端側をカバー体3から離した位置(姿勢)で保持される。利用者が挿入兼排出口8からカード5を挿入すると、第1遮光センサ44の検知部44aにて遮光されてカード挿入を確認し(S2)、第1駆動モータ19が正回転し、回転盤9は図7(a)において反時計回りに回転する。利用者がカード5をその長さ寸法の略半分程度を押し込むと、カード5はその厚さ方向において、突条部26とOリング10とにより挟持されるので、回転盤9の回転につれてカード5が円弧状の搬送路6に沿って搬送される(S3)。カード5の先端部が第2遮光センサ45の検知部45aに位置して遮光すると、カード処理部(アンテナ部42と対峙する位置)の位置にカード5を保持するため、第1駆動モータ19が停止する(S4)。次いで、電磁ソレノイド15が非励磁となり、シャッタ14が閉じるので(S5)、後続してカード5が挿入できないように阻止する。この停止したカード5に対してアンテナ部42が対峙し(図7(b)参照)、カード5におけるICチップに記録されている情報を読取る(S6)。
【0045】
上記の情報に基づいてカード処理を実行する。例えば、パチンコ店でのパチンコ台等の遊技機器の遊技球を出力するためのカード5についてカード処理を説明すると、前記カード5に記録された店情報データ(IDデータ)を検知し、挿入されたカード5が不正な場合や、系列外店のIDデータである、つまり正規カードでないと判別すると(S7:no)、直ちに、シャッタ14を開き(S8)、第1駆動モータ19を逆回転させて、カード5を挿入兼排出口8から排出する(S9)。
【0046】
正規カードであると判別すると(S7:yes )、次に、カード5に記録されている残存する金額データを読取る(S10)。残存する金額データが0円でなければ(S10:no)、遊技機器の作動を許可する(S11)。これにより、利用者は、例えば、遊技機器の側方などに備えられた遊技球出力ボタン等を押して、遊技球を出すことができる。なお、カード処理位置(アンテナ部42)にカード5が停止しいる間に、図示しない金銭納入装置に紙幣などを差し込む(納金)すると、その分の金額だけ、カード5に記録されている残存する金額データを増額する(加算する)ようにカード処理することができる。
【0047】
残存する金額データが0円であれば(S10:yes )、第1駆動モータ19を正回転させて、カード5をカード収納部21に向かって搬送する(S12)。この場合、カード5の先端部が第3遮光センサ46の検知部46aに位置して遮光すると(S13)(図7(c)参照)、フラッパ23を閉状態にする(S14)ため、第2駆動モータ32を図4の矢印B方向に回動させる。なお、この場合、カード補助押え体48の先端から突出してカバー体3に穿設された孔49から臨む傾斜状の押え部48aがフラッパ23の表面に当接しているので、この押え部48aに沿ってカード5はフラッパ23の表面に沿って滑り込むことができる。
【0048】
次いで、第1駆動モータ19をさらに正回転させることにより、カード5はフラッパ23とカバー体の裏面とで挟持された状態でカード収納部21に収納されることになる。そして、図7(d)に示すように、カード5の中途部が第4遮光センサ47の検知部47aに位置して遮光すると、カード5はカード収納部21に完全に取り込まれたものと判別される(S15)。このようにして、価値情報零円のカード5は利用者に返還されずに、確実にカード収納部21に回収できるのである。
【0049】
なお、上述のように、カード収納部21内にカード5が所定枚数が入った満杯状態であると判別されると、外部コントローラ51に所定の信号を出力するので、その信号または報知音に従い、係員がカード収納部21の前端側のカード取り出し口54を塞いでいる扉55(図7(a)〜図7(d)参照)を開き、適宜枚数のカード5を回収するのである。
【0050】
カード取り出し口54を挿入兼排出口8と実質上平行になるように、ベース体2の一側に形成することで、利用者も係員も遊技機器の同じ側から操作でき、カード処理装置1の配置のための必要空間をコンパクトにできるという効果を有する。
【0051】
次に、図11のフローチャートと図8(a)〜図8(d)を参照しながら、上記カード処理装置1を利用して、カード収納部21内に回収収納されたカード5(価値情報0円)に適宜の価値情報を書き込んで(記録)後、遊技機器を利用したり、挿入兼排出口8から取り出すという再発行動作について説明する。
【0052】
スタートに続き、カード収納部21内に価値情報0円のカード5が収納されていることを確認する(S21)(図8(a)の状態参照)。もし、カード5がなければ(S21:no)、外部に報知し(S22)、カード5をカード収納部21内に補充する(S23)。
【0053】
次いで、利用者が図示しない紙幣もしくは硬貨投入口から金銭を納入したときの金額を確認する(S24)。これにより、第2駆動モータ32が作動し、前述のように、フラッパ23は閉じ状態となり(S25)、フラッパ23とカバー体3との間にカード5が挟持される。
【0054】
次いで、第1駆動モータ19を逆回転させて、回転盤9を図8(a)で時計回りに回転させて、カード5を搬送路6に逆送する(S26)。次いで、図8(b)に示すように、カード5の先端縁部が第2遮光センサ45の検知部45aに位置して遮光すると(S27)、第2駆動モータ32が作動し、フラッパ23を開き状態に保持する。さらに、回転盤9を図8(c)で時計回りに回転させて、カード5の後端縁部が第2遮光センサ45の検知部45aを通過して透光すると、第1駆動モータ19を一旦停止させ、カード処理部でカード5を一旦停止させる(S28)。これにより、カード5はアンテナ部42と対峙するので、ここで、カード情報の例えば店情報のIDデータを読み取って正規カードであること確認した後、入金された価値情報(金額情報)をそのカード5に書き込む(S29)。この状態で、利用者が遊技機器を使用したいときには、図示しない利用ボタンを押す(S30)ことにより、所定の金額情報が減算される(S31)。
【0055】
例えば、現状のパチンコ機では、1回の利用ボタンを押す毎に、所定金額のデータが減算される。もし、入金された価値情報分を全て利用者が使い切り、価値情報零円となった場合(S32:yes )、そのカード5の処理は、図10のステップS12以下のフローに戻り、カード5はカード収納部21に回収され、利用者に返還されないのである。
【0056】
利用者が遊技機器の使用をやめる等のため、価値情報(金額情報)が零でないカード5を利用者に返却するには、価値情報(金額情報)が零でないことを確認(アンテナ部42で読み取り)した(S32:no)のち、カード返却ボタンを押すと(S33)、シャッタ14を開き(S34)、回転盤9を図8(d)で示すように時計回りに回転させて、カード5を挿入兼排出口8へ排出するのである(S35)。
【0057】
利用者がカード5を挿入兼排出口8から抜き出したことを、第1遮光センサ44の検知部44aの透光状態で判別すると、再び、シャッタ14を閉じるように、電磁ソレノイド15は非励磁されるのである。
【0058】
従って、カード収納部21に回収収納された価値情報0円のカード5を、利用者による金銭納入に応じて、有額価値情報が書き込まれた(記録された)カード5として、再発行するカード発行装置としても利用できることになり、カード処理装置が非常にコンパクト且つ構造も簡単になるという顕著な効果を奏する。
【0059】
上述のように、本発明のカード処理装置1は実質上円弧状の搬送路6を有し、その内径側には、Oリング10が取付けられた回転盤9の回転により、挿入兼排出口8から挿入されたカード5を取り込んで、カード5の面と平行な円弧状の搬送路6に沿って搬送し、180°などの適宜角度だけ隔てた位置にあるカード収納部21にカード5を収納できるので、搬送路6が短くできる。従って、カード処理装置の奥行き寸法(カード5の挿入方向に沿う長さ)が短く、コンパクトにできる。搬送路6に設ける搬送手段7は、Oリング10が取付けられた回転盤9だけの1つの回転体であるので、アクチュエータである第1駆動モータ19も1つで済み、部品点数が少ないから、低コストとなる。
【0060】
カード収納部21は開口部22に対する開閉回動するフラッパ23であるので、カード収納部21に取り込まれたカード5の姿勢も安定し、さらに、挿入兼排出口8の開口方向と同じ方向にカード5を装置外に取り出すことが簡単にできるという効果も奏する。
【0061】
カード収納部21内のフラッパ23は、カードを回転盤9に向かって押圧付勢可能で且つ収納されたカード5の枚数に応じて収納空間を変更可能とするものであるから、カード収納部21内へのカード5の取り込み(回収収納)作業が確実に実行できるという効果を奏する。
【0062】
本発明は、ICカードや磁気カード等の価値情報が記録されたカードであっても、価値情報が零になったものを回収できると共に、価値情報を再度書き込んで再発行することもコンパクトな構成のカード処理装置で可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】カード処理装置の正面側から見た斜視図である。
【図2】カード処理装置の正面図である。
【図3】裏面図である。
【図4】図2のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】図3のV−V線矢視断面図である。
【図6】図2のVI−VI線矢視断面図である。
【図7】(a)〜(d)はカード取り込み作業の説明図である。
【図8】(a)〜(d)はカード再発行作業の説明図である。
【図9】制御装置の機能ブロック図である。
【図10】カード取り込み作業のフローチャートである。
【図11】カード再発行作業のフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 カード処理装置。
【0065】
2 ベース体
3 カバー体
4 搬送路板
5 カード
6 搬送路
7 搬送手段
8 挿入兼排出口
9 回転盤
10 弾性リング体としてのOリング
14 シャッタ
19 第1駆動モータ
21 カード収納部
23 フラッパ
25 ねじりばね
31 作動アーム
32 第2駆動モータ
37 検査アーム
40 第1フォトインタラプタ
41 第2フォトインタラプタ
42 カード処理部としてのアンテナ部
44〜47 遮光センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質上円弧状の搬送路の一端にカード挿入兼排出口を形成し、前記搬送路の内径側に回転盤を有する搬送手段が配置され、
前記カード挿入兼排出口から適宜角度だけ反転した前記搬送路の終端部にカード収納部が備えられ、
前記搬送路の中途部にカード処理部が備えられ、
前記カード挿入兼排出口から挿入したカードを前記搬送手段により前記カード処理部まで搬送し、前記カード処理部におけるカードの処理内容に応じて、当該カードを前記搬送手段によりカード収納部に向けて搬送するように構成したことを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
前記カード収納部には、前記カードを前記搬送手段に向かって押圧付勢可能で且つ収納されたカードの枚数に応じて収納空間を変更可能とするフラッパを備えたことを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、正逆回転する駆動モータにより駆動する回転盤の片面に装着された弾性リング体と、前記搬送路の円周方向に沿って形成された円弧状の突条部とにより前記カードの厚み方向を挟持するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカード処理装置。
【請求項4】
前記カード収納部には、前記カードの有無を検知するためのセンサと、前記フラッパの回動位置とを検知するためのセンサを備えたことを特徴とする請求項2または3記載のカード処理装置。
【請求項5】
実質上円弧状の搬送路の一端にカード挿入兼排出口を形成し、前記搬送路の内径側に回転盤を有する搬送手段が配置され、
前記カード挿入兼排出口から適宜角度だけ反転した前記搬送路の終端部にカード収納部が備えられ、
前記搬送路の中途部にカード処理部が備えられ、
前記カード収納部には、前記収納されたカードを前記搬送手段に向かって押圧付勢可能で且つ収納されたカードの枚数に応じて収納空間を変更可能とするフラッパが備えられ、
前記カード挿入兼排出口から挿入したカードを前記搬送手段により前記カード処理部まで搬送し、前記カード処理部におけるカードの処理内容に応じて、当該カードを前記搬送手段によりカード収納部に向けて搬送する一方、
前記カード収納部に収納されたカードをその処理内容に応じて、前記搬送手段を逆転させて、前記搬送路を介して前記カード挿入兼排出口から前記カードを排出可能に構成したことを特徴とするカード処理装置。
【請求項6】
前記カード挿入兼排出口には、前記搬送路へのカードの挿入を阻止するシャッタを開閉制御可能に設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のカード処理装置。
【請求項7】
前記カード収納部の一端部には、前記カード挿入兼排出口と実質上平行なカード取り出し口を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のカード処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−79682(P2007−79682A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263590(P2005−263590)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(594117087)有限会社ウイング設計 (3)
【Fターム(参考)】