説明

カード型電子装置システム及びカード型電子装置

CFカードと専用アダプタとの組み合わせでPCカードスロット装着時にはPCカードと同等の機能や性能を実現し、一方、CFカード単体でCFカードスロット装着時にはCFカードスロットの最大供給電流規格値に合わせた機能や性能を実現することができるカード型電子装置システムを実現する。
CFカードは、動作開始後、所定の認識手順に従って専用アダプタを認識し(ステップS101、S102)、専用アダプタが認識されなかった場合にはCFカードスロットの最大供給電流規格値に合致する所定の動作条件を選択し(ステップS104)、一方、専用アダプタが認識された場合にはPCカードスロットの最大供給電流規格値に合致する所定の動作条件を選択する(ステップS103)。専用アダプタは、前記所定の認識手順に合致する自己の識別手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード型電子装置と専用アダプタとから構成されるカード型電子装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PCカードと呼ばれるカード型電子装置があり、携帯型パーソナルコンピュータ等の機能拡張用に各種機能を具備するものが実現されている。例えば、モデム、LAN、無線電話等の通信カードやメモリカードなどがある。また、CFカードと呼ばれるカード型電子装置があり、PCカードと同様に各種機能を具備するものが実現されている。このCFカードはPCカードに比べて形状が小さいので、特に携帯電話機やPDA等の携帯端末などの小型の機器に使用されている。
【0003】
また、CFカードの外部端子の信号割付けはPCカード規格に準拠しており、専用のアダプタを使用すれば、携帯型パーソナルコンピュータ等のPCカードスロットに装着し、PCカードとして使用することができる(例えば、特許文献1参照)。その専用アダプタは、単に配線を延長してカード形状をPCカードに合わせるものであり、制御回路を持たない簡単な構成となっている。
[特許文献1] 特開2000−194800号公報
上述したCFカード及びPCカードは、それぞれ装着されるホスト装置のカードスロットから電流供給を受けて動作する。そして、CFカードとPCカードとでは、規格上、カードスロットから供給される最大電流の規格値が異なっており、CFカードスロットの最大供給電流規格値の方が小さい。このため、CFカード単体でCFカードスロットに装着して使用する場合を考慮して、CFカードで実現する機能や性能がPCカードよりも制限して設計されることがある。
【0004】
例えば、符号分割多元接続(CDMA)方式の無線電話規格では、端末からの送信出力に複数のクラスが規定されている。しかしながら、PCカードにおいては、ある最大送信出力のクラスに対応できたとしても、CFカードでその最大送信出力のクラスを実施すると、最大消費電流がCFカードスロットの最大供給電流規格値を超えてしまうことがある。このためCFカードでは該最大送信出力のクラスには非対応として設計しなければならない。
【0005】
このような理由から、上記した従来のCFカード及び専用アダプタの組み合わせでは、PCカードとして使用することはできるが、PCカードと同等の機能や性能が実現されない場合がある。この結果、ユーザが、携帯用にはCFカードを準備し、さらに機能や性能の面からPCカードを準備するという事態になりかねず、ユーザの負担が大きい。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、CFカードと専用アダプタとの組み合わせでPCカードスロット装着時にはPCカードと同等の機能や性能を実現し、一方、CFカード単体でCFカードスロット装着時にはCFカードスロットの最大供給電流規格値に合わせた機能や性能を実現することができるカード型電子装置システム及びカード型電子装置を提供することにある。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のカード型電子装置システムは、装着相手のホスト装置から電流供給を受けて動作するカード型電子装置と、前記カード型電子装置用の第1のカードスロットの最大供給電流規格値よりも大きな最大供給電流規格値を有する特定の第2のカードスロットに、前記カード型電子装置を形状的に適合させる専用アダプタと、から構成されるカード型電子装置システムであって、前記カード型電子装置は、動作開始後、所定の認識手順に従って前記専用アダプタを認識する認識手段と、前記専用アダプタが認識されなかった場合には前記第1のカードスロットの最大供給電流規格値に合致する所定の動作条件を選択し、一方、前記専用アダプタが認識された場合には前記第2のカードスロットの最大供給電流規格値に合致する所定の動作条件を選択する制御手段と、を備え、前記専用アダプタは、前記所定の認識手順に合致する自己の識別手段を備えたことを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、カード型電子装置、例えばCFカードと専用アダプタとの組み合わせで第2のカードスロット、例えばPCカードスロットに装着された場合には、専用アダプタが認識されて該PCカードスロットに適した動作条件が選択されるので、PCカードと同等の機能や性能を実現することができる。一方、カード型電子装置(CFカード)単体で第1のカードスロット(CFカードスロット)に装着された場合には、専用アダプタが認識されず該CFカードスロットに適した動作条件が選択されるので、CFカードスロットの最大供給電流規格値に合わせた機能や性能を実現することができる。
【0009】
また、本発明のカード型電子装置システムにおいては、前記認識手段は、所定の信号を前記専用アダプタへ送信し、この送信信号に対する応答により前記専用アダプタを認識し、前記識別手段は、前記送信信号を受信して所定の応答を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明のカード型電子装置システムにおいては、前記識別手段は、所定の信号を前記カード型電子装置へ送信し、前記認識手段は、前記識別手段からの所定信号の受信により前記専用アダプタを認識することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のカード型電子装置システムにおいては、前記カード型電子装置は、符号分割多元接続方式の無線電話手段を有し、前記制御手段は、前記専用アダプタの認識結果に応じて前記無線電話規格の送信出力クラスを選択することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、専用アダプタの認識結果に応じて送信出力クラスが選択されるので、使用可能な消費電流に合致した送信出力クラスによる無線通信を実現することができる。
【0013】
また、本発明のカード型電子装置システムにおいては、前記カード型電子装置は、時分割多元接続方式の無線電話手段を有し、前記制御手段は、前記専用アダプタの認識結果に応じて前記時分割多元接続時の使用スロット数を選択することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、専用アダプタの認識結果に応じて時分割多元接続時の使用スロット数が選択されるので、使用可能な消費電流に合致した時分割多元接続による無線通信を実現することができる。
【0015】
また、本発明のカード型電子装置システムにおいては、前記カード型電子装置は、複数のメモリアクセス速度を切り換える手段を有するメモリカードであり、前記制御手段は、前記専用アダプタの認識結果に応じて前記メモリアクセス速度を選択することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、専用アダプタの認識結果に応じてメモリアクセス速度が選択されるので、使用可能な消費電流に合致したアクセス速度によるメモリアクセスを実現することができる。
【0017】
また、本発明のカード型電子装置システムにおいては、前記カード型電子装置は、入力クロックにより動作する処理回路と複数の前記入力クロック速度を切り換える手段とを有し、前記制御手段は、前記専用アダプタの認識結果に応じて前記入力クロック速度を選択することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、専用アダプタの認識結果に応じて入力クロック速度が選択されるので、使用可能な消費電流に合致した処理回路性能(例えばCPU性能)による処理実行を実現することができる。
【0019】
また、本発明のカード型電子装置システムにおいては、前記カード型電子装置は、複数の解像度を切り換える手段を有する電子カメラカードであり、前記制御手段は、前記専用アダプタの認識結果に応じて前記解像度を選択することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、専用アダプタの認識結果に応じて解像度が選択されるので、使用可能な消費電流に合致した解像度による撮影を実現することができる。
【0021】
本発明のカード型電子装置は、装着相手のホスト装置の第1のカードスロットに挿入されるか、もしくは前記第1のカードスロットの最大供給電流規格値よりも大きな最大供給電流規格値を有する第2のカードスロットに形状的に適合させる専用アダプタを介して該第2のカードスロットに挿入され、前記挿入されたカードスロットから電流供給を受けて動作するカード型電子装置であって、動作開始後、所定の認識手順に従って前記専用アダプタを認識する認識手段と、前記専用アダプタが認識されなかった場合には前記第1のカードスロットの最大供給電流規格値に合致する所定の動作条件を選択し、一方、前記専用アダプタが認識された場合には前記第2のカードスロットの最大供給電流規格値に合致する所定の動作条件を選択する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0022】
また、本発明のカード型電子装置においては、前記認識手段は、所定の信号を前記専用アダプタヘ送信し、この送信信号に対する応答により前記専用アダプタを認識することを特徴とする。
【0023】
これにより、専用アダプタとの組み合せで第2のカードスロット、例えばPCカードスロットに装着された場合には、カード型電子装置は専用アダプタを認識してPCカードスロットに適した動作条件を選択するので、PCカードと同等の機能や性能を実現することが出来る。一方、カード型電子装置単体で第1のカードスロット(CFカードスロット)に装着された場合には、専用アダプタは認識されずCFカードスロットに適した動作条件が選択されるので、CFカードスロットの最大供給電流規格値に合わせた機能や性能を実現することができる。
【0024】
また、本発明のカード型電子装置においては、符号分割多元接続方式の無線電話手段を有し、前記制御手段は、前記専用アダプタの認識結果に応じて前記無線電話規格の送信出力クラスを選択することを特徹とする。
【0025】
この構成によれば、専用アダプタの認識結果に応じて送信出力クラスを選択するので、使用可能な消費電力に合致した送信出力クラスによる無線通信を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1は本発明の一実施形態に係るカード型電子装置システムの構成を示すブロック図である。
【0027】
図2は同実施形態に係るカード型電子装置システムと装着相手の携帯型パーソナルコンピュータ(ホスト装置)3の外観図である。
【0028】
図3は図1に示すCFカード1の構成を示すブロック図である。
【0029】
図4は図1に示す専用アダプタ2の構成を示すブロック図である。
【0030】
図5は図4に示す専用アダプタ2の認識手順を説明するための図である。
【0031】
図6は図3に示すCFカード1が行う消費電流制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0032】
図7はCDMA方式の送信出力クラスの送信出力特性を説明するための波形図である。
【0033】
図8は他の実施形態による専用アダプタの認識手順を説明するための図である。
【0034】
図9は本発明に係る時分割多元接続方式の無線電話機能を実現する通信カードにおける使用スロットの一例を説明した説明図である。
【0035】
図10は本発明の他の実施形態によるCFカード10の構成を示すブロック図である
図11は図10に示すCFカード10が行うアクセス速度制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0036】
図12は本発明の他の実施形態によるCFカード11の構成を示すブロック図である。
【0037】
図13は図12に示すCFカード11が行う画像処理速度制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態においては、カード型電子装置の具体的な例としてCDMA方式の無線電話機能を実現するCFカードを、また、専用アダプタの具体的な例としてCFカードを形状的にPCカードスロットに適合させるものを、それぞれ挙げて説明する。また、カード型電子装置システムの装着相手であるホスト装置の具体的な例として携帯型パーソナルコンピュータを挙げて説明する。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態に係るカード型電子装置システムの構成を示すブロック図である。図2は、そのカード型電子装置システムと装着相手の携帯型パーソナルコンピュータ(ホスト装置)3の外観図である。図1及び図2において、カード型電子装置システムは、CFカード1と専用アダプタ2とから構成されている。そして、図2に示されるように、CFカード1は専用アダプタ2にセットされて携帯型パーソナルコンピュータ3のPCカードスロット301に装着することが可能である。
【0040】
図3は、本実施形態に係るCFカード1の構成を示すブロック図である。このCFカード1は、CDMA方式の無線電話機能を実現し、無線により音声通信及びデータ通信を行うことが可能なものである。
【0041】
図3において、CFカード1は、カード状のケース(図示せず)内に設けられた回路ユニット110と、ケースの外部側面に設けられたコネクタ120と、アンテナ140を有し、公衆網の基地局との間で無線信号を送受する無線部130とを具備する。コネクタ120はCFカードスロットに対応するものである。したがって、CFカード1は、CFカードスロットを有するホスト装置にはそのまま装着できる。
【0042】
回路ユニット110は、コネクタ120に接続され、このコネクタ120を介してホスト装置との信号の入出力を行う。また、無線部130に接続され、この無線部130により基地局との間で送受される信号を入出力する。
【0043】
回路ユニット110は、PCカードインタフェースIC111からなるホストインタフェースと、ベースバンドIC114、ROM115及びRAM116からなる電話部とから構成されている。
【0044】
ベースバンドIC114はCPU114aを内蔵し、ROM115に記憶されている制御プログラムを実行することによって各部を制御する。
【0045】
ベースバンドIC114は、無線部130と基地局間で音声等のデータを送受信するための変復調を行う。
【0046】
CPU114aはPCカードインタフェースIC111を制御してホスト装置との間のデータ通信を行う。そしてPCカードインタフェースIC111を介してホスト装置から指示を受けると、ベースバンドIC114が発着信動作を行うよう制御するとともに、無線部130の動作を制御する。また、CPU114aは、所定の認識手順に従って専用アダプタ2を認識する処理を行う。その専用アダプタ2の認識手順については後述する。
【0047】
また、ROM115には、CDMA方式の送信出力クラス毎に、それぞれ対応する送信電力パラメータが予め格納されている。この送信電力パラメータは、該当する送信出力クラスの送信出力特性を実現する。CPU114aは、いずれかの送信電力パラメータを使用して、無線部130の送信出力を制御する。
【0048】
無線部130は、CDMA方式により無線信号を送受信する。
【0049】
図4は、本実施形態に係る専用アダプタ2の構成を示すブロック図である。この専用アダプタ2は、PCカードスロット301に装着可能な外部形状となっている。また、専用アダプタ2内部にCFカード1を装着可能な内部形状となっている。そして、図4に示すように、専用アダプタ2内部には、CFカード側の位置にコネクタ210と、PCカードスロット側の位置にコネクタ220と、が設けられている。
【0050】
CFカード側のコネクタ210は、上記図3のCFカード1のコネクタ120に対応するもの、即ちCFカードスロット用である。そして、専用アダプタ2にCFカード1が装着されたときに、コネクタ210とコネクタ120とが接続される。
【0051】
PCカードスロット側のコネクタ220は、PCカードスロット301のコネクタ(図示せず)に対応するもの、即ちPCカード用である。そして、PCカードスロット301に専用アダプタ2が装着されたときに、PCカードスロット301のコネクタとコネクタ220とが接続される。
【0052】
そして、図4に示されるように、コネクタ210と220間は、それぞれ対応する端子間が配線されている。また、特に、制御回路を持たない簡単な構成となっている。
【0053】
このように専用アダプタ2は、基本的には、単に配線を延長してCFカード1のカード形状をPCカードに合わせるものであるが、さらに自己の識別手段を備える。
【0054】
図5は、本実施形態に係る専用アダプタ2の認識手順を説明するための図である。
【0055】
図5に示されるように、専用アダプタ2のコネクタ220では、一つの信号線が別の信号線に折り返されるように配線されている。これら折り返し用の2つの信号線は、ホスト装置間において未使用のものである。
【0056】
CFカード1のCPU114aは、PCカードインターフェースIC111を介して専用アダプタ2の認識のために、所定の信号Aを折り返し用の信号線(往路)に出力する。これにより、専用アダプタ2が接続されていれば、折り返し用の信号線(復路)から信号Aが戻ってくるので、専用アダプタ2を認識することができる。一方、専用アダプタ2が接続されていなければ、折り返し用の信号線(復路)から信号Aが戻ってこないので、専用アダプタ2を認識することができない。
【0057】
上記信号Aとしては、例えばHighレベルとLowレベルを交互に複数回繰り返す信号列とする。
【0058】
次に、図6を参照して、本実施形態に係るカード型電子装置システムの消費電流制御に係る動作を説明する。図6は、CFカード1が行う消費電流制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0059】
CFカード1は、ホスト装置のカードスロットに装着後、当該カードスロットから電流供給を受けると、動作を開始する。そして、初期化処理が開始されると、その初期化処理の中で、図6の処理を開始する。
【0060】
図6において、先ず、CFカード1のCPU114aは、上記図5を参照して説明したように、所定の信号Aをコネクタ120を介して送信する(ステップS101)。次いで、その送信信号に対する応答が有るか判断する(ステップS102)。
【0061】
例えば、信号Aとして、所定回数だけHighレベルとLowレベルを交互に繰り返す信号列を送信する。そして、この信号列が戻ってきた場合には応答有りと判断する。この場合にはCFカード1が専用アダプタ2にセットされてホスト装置のPCカードスロットに装着されていると認識できる。
【0062】
一方、信号列が戻らなければ、応答無しと判断する。この場合にはCFカード1がそのまま単体でホスト装置のCFカードスロットに装着されていると認識できる。
【0063】
次いで、上記ステップS102の判断の結果、応答有りの場合には、CFカード1のCPU114aが、ROM115から高出力用の送信電力パラメータを取得し(ステップS103)、一方、応答無しの場合には、ROM115から低出力用の送信電力パラメータを取得する(ステップS104)。次いで、その取得した送信電力パラメータを無線部130の送信出力制御用に設定する(ステップS105)。
【0064】
これにより、CPU114aは、送信出力制御用に設定された送信電力パラメータを使用して無線部130の送信出力を制御する。この結果、無線部130からは、送信出力制御用に設定された送信電力パラメータに対応する送信出力クラスの送信出力で無線信号が送信される。
【0065】
図7に、CDMA方式の送信出力クラスの出力レベルを説明するための波形図を示す。この図7に示される波形は、高送信出力レベルを示すW1と、低送信出力レベルを示すW2とが示されており、低送信出力クラスの最大送信出力値P2の方が、高送信出力クラスの最大送信出力値P1よりも小さい。そして、低送信出力クラスが選択された場合には、CFカード1の消費電流がCFカードスロットの最大供給電流規格値以下に抑えられる。また、高送信出力クラスが選択された場合には、CFカード1の消費電流がPCカードスロットの最大供給電流規格値以下に抑えられる。
【0066】
従って、本実施形態によれば、CFカード1と専用アダプタ2との組み合わせでPCカードスロットに装着された場合には、専用アダプタ2が認識されて高送信出力クラスが選択されるので、PCカードと同等の高出力特性で無線送信することができる。
【0067】
一方、CFカード1単体でCFカードスロットに装着された場合には、専用アダプタ2が認識されず低送信出力クラスが選択されるので、CFカードスロットの最大供給電流規格値に合わせた低出力特性で無線送信することができる。
【0068】
これにより、ユーザは、CFカードとPCカードの両方を有して使い分ける必要が無くなり、本実施形態のCFカード1のみを有すれば、常に適切なCDMA方式の無線通信を行うことができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0070】
例えば、本発明に係る専用アダプタの認識手順として、専用アダプタから所定の信号を発信し、この所定信号の受信によりCFカードが専用アダプタを認識するようにしてもよい。例えば、図8に示されるように、ホスト装置間で未使用の一つの信号線を、専用アダプタ2aのコネクタ220aでグランド線に結線する。また、そのホスト装置間で未使用の同じ信号線を、CFカード1aのコネクタ120aでプルアップする。
【0071】
これにより、CFカード1a単体でCFカードスロットに装着された場合には、当該信号線がHighレベルとなっているが、CFカード1aと専用アダプタ2aとの組み合わせでPCカードスロットに装着された場合には、当該信号線を介して専用アダプタ2aからLowレベル信号Bが入力されるので、専用アダプタ2aを認識することができる。
【0072】
また、上述した実施形態では、本発明に係るカード型電子装置としてCDMA方式の無線電話機能を実現するCFカードを例に挙げたが、各種のカードに応用可能である。
【0073】
例えば、時分割多元接続方式の無線電話機能を実現する通信カードの場合、専用アダプタの認識結果に応じて時分割多元接続時の使用スロット数を選択するようにすればよい。
【0074】
図9は、時分割多元接続時の使用スロットの一例を説明した説明図である。この例では、送信、受信ともに4つのスロットで構成されている。そして、専用アダプタ2が接続されていることを認識した場合には、図9(a)に示すように2つのスロットT1、T2を使用して送信を行い、スロットR1を使用して受信を行う。一方、専用アダプタ2が接続されていないことを認識した場合には、図9(b)に示すように1つのスロットT1aを使用して送信を行い、スロットR1aを使用して受信を行う。
【0075】
なお、上記した図9の例の場合は、送信に使用するスロット数を2つとするか、或いは1つとするかに切り替えているが、使用するスロット数は、専用アダプタ2の接続/未接続のそれぞれの場合における最大消費電流規格値に合わせて決定すればよい。
【0076】
時分割多元接続方式では、送信はスロットごとにオン/オフされ、消費電流もそのオン/オフに応じて変動することになるが、平均的な消費電流は使用するスロット数に応じて増減するので、本願発明を適用することができる。これにより、使用可能な消費電流に合致した時分割多元接続による無線通信を実現することが可能となる。
【0077】
また、複数のメモリアクセス速度を切り換えることが可能なメモリカードの場合、専用アダプタの認識結果に応じてメモリアクセス速度を選択するようにすればよい。これにより、使用可能な消費電流に合致したアクセス速度によるメモリアクセスを実現することができる。
【0078】
近年、半導体プロセスの微細化に伴いメモリデバイスは大容量化し、低消費電力化も実現され、メモリカードもフラッシュデバイスを使用したものからハードディスクを使用したものまで様々なものが存在する。また、メモリデバイスのアクセス速度についても著しく向上している。
【0079】
こうした省電力化が進む中でもアクセススピード向上に伴い低速アクセス時にはWait処理が入るため平均消費電力は低下したように見えるが、アクセス速度を上げるに従い消費電力は増加する。
【0080】
更に、大容量のメモリデバイスを複数個使用するようなメモリーカードの場合や、ハードディスク搭載のメモリーカードを使用する場合、メモリカードへのアクセス速度を上げるほど、メモリカードがスロットから消費する電流は増加し、やがてスロットの供給電力規格を超える可能性がある。
【0081】
そこで、予め各カードで使用可能な電力(CFカードスロット=500mA、PCカードスロット=1000mA)に対する、メモリアクセス可能スピードのデータを各々保持しておくことにより、カードアダプタが装着されていない場合には、CFカードスロットの最大消費電流まで利用可能なメモリアクセススピードまで動作可能とし、カードアダプタが装着されたと判断した場合には、PCカードスロットの最大消費電流まで利用可能なメモリアクセススピードまで動作することで、夫々の形態での最大限のアクセススピードが実現可能なメモリカードを提供することが可能となる。
【0082】
図10は上記の本発明のメモリーカードの一実施形態を示すブロック図である。図10において、CFカード10はケースの外部側面に設けられたコネクタ120を有する。コネクタ120はCFカードスロットに対応するものである。したがって、CFカード10は、CFカードスロットを有するホスト装置にはそのまま装着できる。
【0083】
コネクタ120はPCカードインターフェースIC111を介してCPU150に接続され信号の入出力を行う。CPU150はPCカードインタフェースIC111からの信号によりRAM151を制御してホスト装置との間のデータ通信を行う。また、CFカード10は、前述の実施例と同様に専用アダプタにより携帯型パーソナルコンピュータ(ホスト装置)のPCカードスロットに接続される。
【0084】
ROM152のアクセス速度データ保持部153には、PCカードでのメモリアクセス速度とCFカードでのメモリアクセス速度が保持され、CPU150がRAM151にアクセスする速度が制御される。
【0085】
CFカード10は、ホスト装置のカードスロットに装着後、当該カードスロットから電流供給を受けると、動作を開始する。そして、初期化処理が開始されると、その初期化処理の中で、図11の処理を開始する。
【0086】
図11において、先ず、CFカード10のCPU150は、所定の信号をコネクタ120を介して送信する(ステップS201)。次いで、その送信信号に対する応答信号が有るか判断する(ステップS202)。
【0087】
応答信号が戻ってきた場合には応答有りと判断する。この場合にはCFカード10が専用アダプタにセットされてホスト装置のPCカードスロットに装着されていると認識できる。
【0088】
一方、応答信号が戻らなければ、応答無しと判断する。この場合にはCFカード10がそのまま単体でホスト装置のCFカードスロットに装着されていると認識できる。
【0089】
次いで、上記ステップS202の判断の結果、応答有りの場合には、CFカード10のCPU150が、ROM152のアクセス速度データ保持部153から高速アクセススピード用のパラメータを取得し(ステップS203)、一方、応答無しの場合には、ROM152のアクセス速度データ保持部153からから低速アクセススピード用のパラメータを取得する(ステップS204)。次いで、その取得したアクセススピードパラメータをRAM151のアクセススピードとして設定する(ステップS205)。CPU150は、設定されたアクセススピードによりRAM151とデータの入出力を行い、且つホスト装置とデータのやり取りを行う。これにより、ユーザーに対して快適で安全なメモリアクセス可能なメモリカードを提供できる。
【0090】
また、入力クロックにより動作するCPU(処理回路)を備え、複数の入力クロック速度を切り換えることが可能なカードの場合、専用アダプタの認識結果に応じて入力クロック速度を選択するようにすればよい。これにより、使用可能な消費電流に合致したCPU性能による処理実行を実現することができる。
【0091】
また、複数の解像度を切り換え可能な電子カメラカードの場合、専用アダプタの認識結果に応じて解像度を選択するようにすればよい。これにより、使用可能な消費電流に合致した解像度による撮影を実現することができる。
【0092】
例えば、カード型PC用Webカメラの場合、カメラの解像度により、集積回路が処理するデータ量は増加する。特にリアルタイム映像の場合、所定時間内に処理できるデータ量で表示画質が異なる。
【0093】
集積回路の処理速度が十分である場合、規定時間により多くのデータ量を処理すること、即ち処理速度の向上は消費電流の増加となる。
【0094】
そこで、予めカードで使用可能な電力(CFカードスロット=500mA、PCカード
スロット=1000mA)に対する集積回路のデータ処理スピードのデータを保持しておくことにより、カードアダプタが装着されていない場合には、CFカードスロットの最大消費電流まで利用可能な処理速度まで動作可能とし、カードアダプタが装着されたと判断した場合には、PCカードスロットの最大消費電流まで利用可能な処理速度まで動作することで、最大限のカメラの画像品質を実現可能なカード型PC用電子カメラを提供することが可能となる。
【0095】
図12は上記の本発明のカード型PC用電子カメラの一実施形態を示すブロック図である。図12において、CFカード11はケースの外部側面に設けられたコネクタ120を有する。コネクタ120はCFカードスロットに対応するものである。したがって、CFカード11は、CFカードスロットを有するホスト装置にはそのまま装着できる。
【0096】
コネクタ120はPCカードインターフェースIC111を介してCPU160に接続され信号の入出力を行う。撮像素子161はCFカード11の外部に設けられたレンズ162のより、画像を電子データに変換する。CPU160はPCカードインタフェースIC111からの信号により撮像素子161、PAM163、ROM164を制御して画像データをホスト装置に送信する。また、CFカード11は、前述の実施例と同様に専用アダプタにより携帯型パーソナルコンピュータ(ホスト装置)のPCカードスロットに接続される。
【0097】
ROM164の画像処理速度データ保持部165には、PCカードでの画像処理速度とCFカードでの画像処理速度が保持され、CPU160、撮像素子161、RAM163、およびROM164で行われる画像処理の速度が制御される。
【0098】
CFカード11は、ホスト装置のカードスロットに装着後、当該カードスロットから電流供給を受けると、動作を開始する。そして、初期化処理が開始されると、その初期化処理の中で、図13の処理を開始する。
【0099】
図13において、先ず、CFカード11のCPU160は、所定の信号をコネクタ120を介して送信する(ステップS301)。次いで、その送信信号に対する応答信号が有るか判断する(ステップS302)。
【0100】
応答信号が戻ってきた場合には応答有りと判断する。この場合にはCFカード11が専用アダプタにセットされてホスト装置のPCカードスロットに装着されていると認識できる。
【0101】
一方、応答信号が戻らなければ、応答無しと判断する。この場合にはCFカード11がそのまま単体でホスト装置のCFカードスロットに装着されていると認識できる。
【0102】
次いで、上記ステップS302の判断の結果、応答有りの場合には、CFカード11のCPU160が、ROM164の画像処理速度データ保持部165から高速画像処理用のパラメータを取得し(ステップS303)、一方、応答無しの場合には、ROM164の画像処理速度データ保持部165からから低速画像処理用のパラメータを取得する(ステップS304)。次いで、その取得した画像処理速度パラメータを設定し(ステップS305)、CPU160は、設定された画像処理速度により撮影された画像の処理を行う。
【0103】
これにより、ユーザーに対して、快適な画像品質で使用できるカード型PC用カメラを提供できる。
【0104】
また、上述した実施形態では、本発明に係る専用アダプタとしてCFカードを形状的にPCカードスロットに適合させるものを例に挙げたが、適合元のカードの種類及び適合先のカードスロットの種類はこれに限定されるものではない。
【0105】
また、本発明に係るカード型電子装置システムの装着相手のホスト装置として携帯型パーソナルコンピュータを例に挙げたが、ホスト装置はこれに限定されるものではない。
【0106】
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明によれば、カード型電子装置、例えばCFカードと専用アダプタとの組み合わせで第2のカードスロット、例えばPCカードスロットに装着された場合には、PCカードと同等の機能や性能を実現することができ、一方、カード型電子装置(CFカード)単体で第1のカードスロット(CFカードスロット)に装着された場合には、CFカードスロットの最大供給電流規格値に合わせた機能や性能を実現することができる。これにより、ユーザは、CFカードとPCカードの両方を有して使い分ける必要が無くなり、本発明に係るCFカードのみを有すれば、常に適切な動作条件で当該CFカードを使用することができる。


【図5】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着相手のホスト装置から電流供給を受けて動作するカード型電子装置と、前記カード型電子装置用の第1のカードスロットの最大供給電流規格値よりも大きな最大供給電流規格値を有する特定の第2のカードスロットに、前記カード型電子装置を形状的に適合させる専用アダプタと、から構成されるカード型電子装置システムであって、
前記カード型電子装置は、
動作開始後、所定の認識手順に従って前記専用アダプタを認識する認識手段と、
前記専用アダプタが認識されなかった場合には前記第1のカードスロットの最大供給電流規格値に合致する所定の動作条件を選択し、一方、前記専用アダプタが認識された場合には前記第2のカードスロットの最大供給電流規格値に合致する所定の動作条件を選択する制御手段と、を備え、
前記専用アダプタは、前記所定の認識手順に合致する自己の識別手段を備えたことを特徴とするカード型電子装置システム。
【請求項2】
前記認識手段は、所定の信号を前記専用アダプタへ送信し、この送信信号に対する応答により前記専用アダプタを認識し、
前記識別手段は、前記送信信号を受信して所定の応答を行うことを特徴とする請求項1に記載のカード型電子装置システム。
【請求項3】
前記識別手段は、所定の信号を前記カード型電子装置へ送信し、
前記認識手段は、前記識別手段からの所定信号の受信により前記専用アダプタを認識することを特徴とする請求項1に記載のカード型電子装置システム。
【請求項4】
前記カード型電子装置は、符号分割多元接続方式の無線電話手段を有し、
前記制御手段は、前記専用アダプタの認識結果に応じて前記無線電話規格の送信出力クラスを選択することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかの項に記載のカード型電子装置システム。
【請求項5】
前記カード型電子装置は、時分割多元接続方式の無線電話手段を有し、
前記制御手段は、前記専用アダプタの認識結果に応じて前記時分割多元接続時の使用スロット数を選択することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかの項に記載のカード型電子装置システム。
【請求項6】
前記カード型電子装置は、複数のメモリアクセス速度を切り換える手段を有するメモリカードであり、
前記制御手段は、前記専用アダプタの認識結果に応じて前記メモリアクセス速度を選択することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかの項に記載のカード型電子装置システム。
【請求項7】
前記カード型電子装置は、入力クロックにより動作する処理回路と複数の前記入力クロック速度を切り換える手段とを有し、
前記制御手段は、前記専用アダプタの認識結果に応じて前記入力クロック速度を選択することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかの項に記載のカード型電子装置システム。
【請求項8】
前記カード型電子装置は、複数の解像度を切り換える手段を有する電子カメラカードであり、
前記制御手段は、前記専用アダプタの認識結果に応じて前記解像度を選択することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかの項に記載のカード型電子装置システム。
【請求項9】
装着相手のホスト装置の第1のカードスロットに挿入されるか、もしくは前記第1のカードスロットの最大供給電流規格値よりも大きな最大供給電流規格値を有する第2のカードスロットに形状的に適合させる専用アダプタを介して該第2のカードスロットに挿入され、前記挿入されたカードスロットから電流供給を受けて動作するカード型電子装置であって、
動作開始後、所定の認識手順に従って前記専用アダプタを認識する認識手段と、
前記専用アダプタが認識されなかった場合には前記第1のカードスロットの最大供給電流規格値に合致する所定の動作条件を選択し、一方、前記専用アダプタが認識された場合には前記第2のカードスロットの最大供給電流規格値に合致する所定の動作条件を選択する制御手段と、
を備えたことを特徴とするカード型電子装置。
【請求項10】
前記認識手段は、所定の信号を前記専用アダプタヘ送信し、この送信信号に対する応答により前記専用アダプタを認識することを特徴とする請求項9に記載のカード型電子装置。
【請求項11】
符号分割多元接続方式の無線電話手段を有し、
前記制御手段は、前記専用アダプタの認識結果に応じて前記無線電話規格の送信出力クラスを選択することを特徹とする請求項9または請求項10に記載のカード型電子装置。


【国際公開番号】WO2005/069206
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517003(P2005−517003)
【国際出願番号】PCT/JP2005/000012
【国際出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【出願人】(501440684)ソフトバンクモバイル株式会社 (654)
【Fターム(参考)】