説明

カード用コネクタ

【課題】カードの装着状態を確実に維持するカード用コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタは、カード1が挿抜される凹部21を形成するハウジング2と凹部21を覆うカバー3を備える。スライド部材4は、カード1の挿抜方向と平行する方向に進退するように凹部21の片翼に配置され、ハート型のカム溝41を形成する。板ばね5は、スライド部材4に固定された突出片51と突出片51の基端部に向かって反転する反転片52を有する。圧縮コイルばね6aは、スライド部材4をカード1が排出される方向に付勢する。案内棒6bは、一端がハート型のカム溝41に連結し、他端がハウジング2に回動自在に支持される。スライド部材4は、カード1の側面に形成された斜辺1aに当接する係合辺42を有し、板ばね5は、溝部1bにカード1の側面側から出入りする第1屈曲部と、凹部21の側壁に近接する第2屈曲部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関する。特に、本発明は、超小型メモリカードであるmicroSD(Secure Digital)カードなどのメモリカードが挿入されることによって、当該メモリカードと電気的に接続するカード用コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
カード型の記憶装置であるメモリカードは、記憶媒体としてフラッシュメモリを採用している。メモリカードは非常に小型であり、データの読み書きにほとんど電力を消費しないため、例えば、カメラ付き携帯電話やPDA(Personal Digital Assistance)に代表される携帯型情報機器の記録メディアとして普及している。
【0003】
フレキシブルディスク(FD)や光磁気ディスク(MO)などのディスク型の記憶装置に比較して、このメモリカードは記憶容量が小さく、又、高価であるとされてきた。しかし、近年の技術進歩やメモリカードを使用する機器の普及に伴う量産効果により、記憶容量も大きくなり、低価格となってきている。
【0004】
更に、メモリカードは、データの読み書きにFDやMOなどのように駆動装置を必要としないというメリットがあるため、消費電力や携帯性が重要視されるデジタルカメラやノート型パソコン、携帯音楽プレーヤーには好適である。
【0005】
このようなメモリカード用のコネクタとして、メモリカードの挿入性を向上させた、プッシュ・プッシュ型のイジェクト機構付きカード用コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1によるカード用コネクタは、カードを収容するハウジングと、ハウジングにカードが収容されたときにカードと接触する複数のコンタクトと、を備えている。又、特許文献1によるカード用コネクタは、ハウジング内をカードの挿抜方向に沿ってスライド可能に設けられたカード載置用のイジェクト部材と、イジェクト部材をカードの抜出方向に向かって付勢する圧縮コイルばねと、を備えている。
【0007】
更に、特許文献1によるカード用コネクタは、イジェクト部材が圧縮コイルばねによってカードの抜出方向に付勢されたときに、イジェクト部材の抜出側部をカードの抜出側に向かって下方に傾ける傾斜手段を有している。
【0008】
特許文献1によるカード用コネクタは、カード挿入側において、イジェクト部材が常時上方に持ち上げられ、カードの挿入側に向かって下方に傾いているので、コネクタの挿入口は広くなり、カードの挿入性が向上する、としている。
【特許文献1】特開2007−48606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1によるカード用コネクタは、カードの表面をハウジングに向けて付勢する一対の板ばねがハウジングを覆う金属製のカバーに設けられている。したがって、カードをコネクタに着脱する度に、一対の板ばねの先端部がカードの表面を摺動して、カードの表面に印刷された記号や文字を傷つけるという懸念がある。
【0010】
ハウジングを覆うカバーにカードを付勢する板ばねを設けることなく、カードの不用意な飛び出しを防止でき、かつ、カードの装着状態を確実に維持するカード用コネクタが実現できれば、カードの表面を傷つけることを防止できる。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、カードの表面を傷つけることを防止でき、かつ、カードの装着状態を確実に維持するカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、カードと共に移動するスライド部材にJ字状の板ばねを配置し、カードがハウジンジから容易に離脱しないように、このJ字状の板ばねを構成することにより、前記課題が解決可能なことを見出し、これに基づいて、以下のような新たなカード用コネクタを発明するに至った。
【0013】
(1) カードが挿抜される凹部を形成する板状のハウジングと、このハウジングの凹部を覆う平坦面を有するカバーと、を備えるカード用コネクタであって、前記カードの挿抜方向と平行する方向に進退するように前記凹部の片翼に配置され、ハート型のカム溝が形成されたスライド部材と、基端部が前記スライド部材に固定され、先端部が前記凹部の開口に向かって突出する突出片、及びこの突出片の先端部が屈曲されて当該突出片の基端部に向かって反転する反転片を有するJ字状の板ばねと、前記ハウジングに保持され、前記スライド部材を前記カードが排出される方向に力を付勢する圧縮コイルばねと、一端が前記ハート型のカム溝に連結し、他端が前記ハウジングに回動自在に支持される案内棒と、を備え、前記スライド部材は、前記凹部の片翼側から当該凹部の開口に突出して前記カードの側面途上に形成された斜辺に当接する係合辺を有し、前記突出片は、前記カードの斜辺に隣接される略方形の溝部に当該カードの側面側から出入りし、当該溝部に弾性をもって係止する第1屈曲部を先端部に有し、前記反転片は、前記第1屈曲部と相反する向きに形成されると共に、前記凹部の一方の側壁に近接して移動する第2屈曲部を先端部に有し、前記第2屈曲部は、前記カードの溝部が前記第1屈曲部を乗り越えて、当該第1屈曲部を変位させる力が作用したときに、前記凹部の一方の側壁に当接して当該第1屈曲部が前記カードの溝部に向かう力を付勢するカード用コネクタ。
【0014】
(1)の発明によるカード用コネクタは、板状のハウジングとカバーを備えている。ハウジングは、カードが挿抜される凹部を形成している。カバーは、ハウジングの凹部を覆う平坦面を有している。又、(1)の発明によるカード用コネクタは、スライド部材、J字状の板ばね、圧縮コイルばね、及び案内棒を備えている。
【0015】
スライド部材は、カードの挿抜方向と平行する方向に進退するように、凹部の片翼に配置される。又、スライド部材は、ハート型のカム溝が形成されている。
【0016】
板ばねは、突出片と反転片を有している。突出片の基端部は、スライド部材に固定されている。突出片の先端部は、凹部の開口に向かって突出している。反転片は、突出片の先端部が屈曲されて、突出片の基端部に向かって反転している。
【0017】
圧縮コイルばねは、ハウジングに保持され、スライド部材をカードが排出される方向に力を付勢している。案内棒は、一端がハート型のカム溝に連結し、他端がハウジングに回動自在に支持されている。スライド部材は、凹部の片翼側から凹部の開口に突出し、カードの側面途上に形成された斜辺に当接する係合辺を有している。
【0018】
突出片は、第1屈曲部を先端部に有している。第1屈曲部は、カードの斜辺に隣接される略方形の溝部にカードの側面側から出入りし、溝部に弾性をもって係止する。一方、反転片は、第2屈曲部を先端部に有している。第2屈曲部は、第1屈曲部と相反する向きに形成されると共に、凹部の一方の側壁に近接して移動する。
【0019】
そして、第2屈曲部は、カードの溝部が第1屈曲部を乗り越えて、第1屈曲部を変位させる力が作用したときに、凹部の一方の側壁に当接して第1屈曲部がカードの溝部に向かう力を付勢する。
【0020】
ここで、ハウジングは絶縁性を有している。絶縁性のハウジングとは、非導電性の材料からなるハウジングのことであってよく、合成樹脂を成形して、所望の形状の絶縁性のハウジングを得ることができる。
【0021】
そして、ハウジングの凹部に複数のコンタクトが並設配置されている。並設とは、近接して一列に揃え、並べて設けることを意味している。コンタクトは導電性を有しており、導電性の金属板を打ち抜き加工又は折り曲げ加工して、所望の形状の導電性のコンタクトを得ることができる。コンタクトは加工の容易性や、ばね特性、導電性などを考慮すれば、例えば、銅合金が好ましく用いられるが、銅合金に限定される訳ではない。
【0022】
一般に、カードは、絶縁性のプラスチック筐体の内部にICチップが収納されている。このICチップは、筐体の表面に貼り付けられた複数の金属箔に接続されている。そして、並設配置された複数の金属箔がカードの接続端子となっている。ここで、個別のコンタクトは、個別の金属箔端子と一対一に接続されてよく、機械的及び電気的に接続する。
【0023】
コンタクトは、ばねの働きが片持ち梁であるカンチレバーコンタクトが好ましく用いられる。コンタクトは、弾性アームと固定アームで構成されてよく、弾性アームは、凹部の底面から突出して、カードに形成された接続端子に接触する接点を設けてよく、固定アームは、凹部に圧入して固定することができる。
【0024】
コンタクトの固定アームは、凹部に一体にモールド成形して固定することもできる。リード部を固定アームの端部に形成してもよく、このリード部をプリント基板にはんだ接合することにより、このカード用コネクタを表面実装用コネクタとすることができる。
【0025】
ハウジングは、対向する一対の側壁と、一対の側壁と直交してカードの先端縁が当接する停止壁を有している。又、ハウジングは、一方の側壁に沿ってスライドするスライド部材を備えている。そして、スライド部材の側壁、他方の側壁、及び停止壁で囲われた薄直方体状の空間を「カードが挿抜される凹部」と規定できる。又、カード保持部とすることもできる。
【0026】
この凹部がカバーで覆われることにより、停止壁と対向してカードが挿入される長方形の開口が形成される。ここで、対向するスライド部材の側壁と他方の側壁の距離は、カードの幅よりも充分に広く、他方の側壁とスライド部材及び板ばねとがカードの両翼を規制して、カードの正しい姿勢(傾き)が維持され、カードの接続端子とコンタクトとを正しく位置合わせできる。
【0027】
カバーは、金属薄板からなり、展開された金属薄板を成形加工することにより、所望の形状のカバーを得ることができる。カバーは、導電性の金属薄板からなることが好ましく、カバーの平担面がハウジングを覆うことによりシールド効果が得られる。このカバーの平坦面には、カードを付勢する板ばねを設けていないので、カードの表面を傷つけることを防止できる。
【0028】
カバーは、両翼が直角に折り曲げ加工されてよく、これらの折り曲げ片に矩形穴を形成し、ハウジングの両側面に突出するランスに係止するようにしてもよい。又、プリント基板にはんだ接合されるリード部をカバーに設けてよく、プリント基板との接合強度を補強でき、カバーをプリント基板のグランドに接地することもできる。凹部と対向するカバーの平坦面には、案内棒をハート型のカム溝の底面に付勢する片持ち状のばね片を設けてもよい。
【0029】
凹部の一方の片翼には、スライド部材が配置される。凹部の他方の片翼には、カードが装着位置に在ることを電気的に検出するカード検出スイッチを設けてもよい。例えば、カード検出スイッチは可動板と固定板で構成されてよく、カードが装着位置に在るときは、カードに押されて可動板が変位して可動板と固定板とが電気的に接続状態となる。カードを抜去すると、可動板は復帰して可動板と固定板は電気的に遮断状態となる。このようにカードの有無が検出される。
【0030】
ハウジングの片翼には、スライド部材を移動可能に案内する溝を設けてよく、スライド部材は、この溝に規制されてカードの挿抜方向と平行する方向に進退できる。スライド部材は、進退する直線運動のみが許容される。
【0031】
例えば、ハウジングの片翼には、圧縮コイルばねを収容する縦長の溝が形成される。一方、スライド部材には、圧縮コイルばねの一方のコイル端部が当接される片翼片が形成されている。片翼片は、スライド部材の長手方向と直交する方向にL字状に突出している。そして、圧縮コイルばねの両コイル端部が片翼片と停止壁との間に装架することにより、スライド部材をカードが排出される方向に力を付勢することができる。カードが挿入されない状態では、スライド部材は圧縮コイルばねに付勢されて、凹部の開口側に停止している。
【0032】
案内棒の両端は、略直角に屈折されてよく、案内棒の一端がスライド部材の表面に穿設されたハート型のカム溝に連結する。一方、案内棒の他端は、ハウジングの停止壁に形成された穴に挿入され、回動自在に支持される。そして、案内棒の一端は、ハート型のカム溝に従動する。
【0033】
ハート型のカム溝を有するスライド部材を動節となるカムとし、案内棒を従動節とすれば、スライド部材と案内棒とは、カムと従動節が相対変位するカム装置を構成していると言える。又、カム溝は、ハート型の軌跡を描く平面曲線のみならず、カム溝の底面が段差又は斜面となる連続軌跡を含む空間曲線となっている。スライド部材と案内棒は、いわゆる立体カム装置を構成できる。
【0034】
更に、ハート型のカム溝は、始点からの行き行程の軌跡と始点に戻る帰り行程の軌跡とを描いている。ハート型のカム溝の軌跡は、案内棒の一端が部分的に逆行することはあっても、全行程において案内棒の一端が逆行しない不可逆の連続軌跡を描いている。
【0035】
実体として、ハート型のカム溝は、行き行程の軌跡と帰り行程の軌跡の分岐点に、V字状に陥没するV字溝が形成されている。案内棒の一端がこのV字溝に係止することにより、圧縮コイルばねに付勢されて、カードの装着位置でスライド部材をロックできる。ハート型のカム溝と案内棒で構成するカム装置は、スライド部材の停止位置を規定すると言うこともできる。
【0036】
このコネクタにカードを挿入して、圧縮コイルばねに抗して押すと、案内棒の一端は、始点からV字溝が形成される分岐点に向かって相対的に進行する。そして、案内棒の一端がV字溝に係止して、カードをロックする。カードがロックされた状態からカードを押すと、案内棒の一端は、V字溝から解除されて始点に戻る。つまり、カードが排出される方向に移動する。このように、ハート型のカム溝を有するスライド部材と案内棒とは、いわゆる、プッシュ・プッシュ型のイジェクト機構を構成している。
【0037】
板ばねは、帯板状の突出片が伸長して、その先端部が反転して突出片と略平行に延びる反転片を形成してよく、反転片が突出片より短いJ字状に形成される。例えば、突出片の基端部をスライド部材に圧入により固定できる。板ばねの先端側が凹部の開口に向かって突出するように配置される。そして、板ばねとスライド部材とは、一体となって進退する。板ばねは、ばねの働きが片持ち梁であってよく、突出片の先端部に形成された第1屈曲部に荷重が作用することにより、弾性変形する。
【0038】
例えば、カードは、略矩形に形成されており、接続端子が配置される先端側は、基端側より幅が狭くなっている。カードの先端側は、平行する両側面の内、一方の側面が鈍角に開角された斜辺を形成し、基端側に平行する両側面の内の一方の側面に連続している。すなわち、カードの先端側は、一方の隅部が片刃状に切り欠かれた形状となっている。そして、略方形の溝部がカードの斜辺に隣接されている。
【0039】
カードをハウジングの凹部に挿入すると、斜辺が第1屈曲部に当接する。更に、カードを挿入すると、第1屈曲部は、カードの斜辺とスライドしつつ、この斜辺から離反する方向に弾性変形する。そして、この斜辺がスライド部材の係合辺に当接した状態では、第1屈曲部はカードの側面をスライドして、カードの溝部に突出する。なお、スライド部材の係合辺は、カードの斜辺と同じ勾配をもつ斜面が形成されてもよい。続いて、カードを押すと、スライド部材はハウジングの凹部の奥方向に移動する。
【0040】
カードを押し切って、若干戻った状態で、案内棒の一端がV字溝に係止して、カードの装着位置で、スライド部材がハウジングにロックされる。カードの装着位置では、突出片の先端部にある第1屈曲部がカードの溝部に弾性をもって係止しているので、カードの装着状態を維持できる。
【0041】
カードの装着状態において、カードの溝部が第1屈曲部を乗り越えて、第1屈曲部を変位させる力が作用したときに、第2屈曲部は、凹部の一方の側壁に当接して第1屈曲部がカードの溝部に向かう力を付勢するので、カードの装着状態を確実に維持できる。
【0042】
カードの装着状態から、カードを一旦押すと、案内棒の一端はV字溝から解放されて、帰り行程に移動する。そして、圧縮コイルばねに付勢されて、スライド部材は、カードを凹部の開口側に移動させる。案内棒の一端がハート型のカム溝の始点に相対的に戻った時点で、スライド部材が停止する。ここで、カードには、慣性力が作用するが、第1屈曲部がカードの溝部に弾性をもって係止しているので、カードの不用意な飛び出しを防止できる。そして、カードを比較的強い力で引く抜くことによりカードをコネクタから離脱できる。
【0043】
このように、(1)の発明によるカード用コネクタは、カードと共に移動するスライド部材にJ字状の板ばねを配置し、このJ字状の板ばねに設けられた第1屈曲部がカードに形成された方形の溝部に嵌合し、カードの溝部が第1屈曲部を乗り越えて、第1屈曲部を変位させる力が作用したときに、第2屈曲部は、凹部の一方の側壁に当接して第1屈曲部がカードの溝部に向かう力を付勢するので、カードの装着状態を確実に維持できる。
【0044】
(1)の発明によるカード用コネクタは、ハウジングを覆うカバーにカードを付勢する板ばねを設けることなく、カードの不用意な飛び出しを防止でき、かつ、カードの装着状態を確実に維持するカード用コネクタが実現しているので、カードの表面を傷つけることを防止できる。
【0045】
(2) 前記凹部の一方の側壁は、前記凹部の他方の側壁に向かって隆起する突起を当該凹部の開口の近傍に有する(1)記載のカード用コネクタ。
【0046】
前述したように、カードの装着状態から、カードを一旦押すと、案内棒の一端はV字溝から解放されて、帰り行程に移動する。そして、圧縮コイルばねに付勢されて、スライド部材は、カードを凹部の開口側に移動させる。
【0047】
スライド部材が凹部の開口側に移動する途上では、第2屈曲部が突起に衝突して、スライド部材の移動を一旦、阻止する。ここで、この突起は、圧縮コイルばねの貫性力を緩和し、カードの飛び出しを抑制すべく作用する。第2屈曲部が突起を乗り越える強い力でカードを引き抜くことにより、カードを取り出すことができる。
【0048】
(3) 前記スライド部材が前記凹部の開口に向かって進出して停止した状態では、前記第2屈曲部が前記凹部の一方の側壁から解放されている(1)又は(2)記載のカード用コネクタ。
【0049】
(3)の発明によるカード用コネクタは、スライド部材が凹部の開口に向かって進出して停止した状態では、第2屈曲部が凹部の一方の側壁から解放されているので、カードを容易に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明によるカード用コネクタは、カードと共に移動するスライド部材にJ字状の板ばねを配置し、このJ字状の板ばねに設けられた半第1屈曲部がカードに形成された方形の溝部に嵌合し、カードの溝部が第1屈曲部を乗り越えて、第1屈曲部を変位させる力が作用したときに、第2屈曲部は、凹部の一方の側壁に当接して第1屈曲部がカードの溝部に向かう力を付勢するので、カードの装着状態を確実に維持できる。
【0051】
本発明によるカード用コネクタは、ハウジングを覆うカバーにカードを付勢する板ばねを設けることなく、カードの不用意な飛び出しを防止でき、かつ、カードの装着状態を確実に維持するカード用コネクタが実現しているので、カードの表面を傷つけることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
図1は、本発明によるカード用コネクタ(以下、コネクタと略称する)の一実施形態を示す斜視分解組立図である。図2は、前記実施形態によるコネクタの斜視分解組立図である。図3は、前記実施形態によるコネクタの斜視外観図であり、カバーを取り外した状態図である。図4は、前記実施形態によるコネクタの斜視外観図であり、カードが装着された状態図である。
【0053】
図5は、前記実施形態によるコネクタの平面図である。図6は、前記実施形態によるコネクタの斜視外観図であり、図3と異なる方向からコネクタを観ている。図7は、前記実施形態によるコネクタのスライド部材の側面図である。図8は、前記実施形態によるコネクタの平面図であり、カードを取り出した状態図である。図9は、前記実施形態によるコネクタの平面図であり、カードを完全に装着した状態図である。
【0054】
最初に、本発明の実施形態によるコネクタの構成を説明する。図1又は図2において、コネクタ10は、板状のハウジング2とカバー3を備えている。ハウジング2は、カード1が挿抜される凹部21を形成している。カバー3は、ハウジング2の凹部21を覆っている。ハウジング2は、絶縁性の合成樹脂材で矩形状に成形されている。カバー3は、金属板で形成され、両翼がL字状に折り曲げられている。
【0055】
又、図1又は図2において、コネクタ10は、スライド部材4、J字状の板ばね5、圧縮コイルばね6a、及び案内棒6bを備えている。スライド部材4は、カード1の挿抜方向と平行する方向に進退するように、凹部21の片翼に配置される。スライド部材4は、ハート型のカム溝41が形成されている。
【0056】
図1又は図2において、板ばね5は、突出片51と反転片52を有している。突出片51の基端部は、スライド部材4に固定されている。突出片51の先端部は、凹部21の開口に向かって突出している。反転片52は、突出片51の先端部が屈曲されて、突出片51の基端部に向かって反転している。
【0057】
図1又は図2において、圧縮コイルばね6aは、ハウジング2に保持され、スライド部材4をカード1が排出される方向に力を付勢している。案内棒6bは、一端61bがハート型のカム溝41に連結し、他端62bがハウジング2に回動自在に支持されている。スライド部材4は、凹部21の片翼側から凹部21の開口に突出し、カード1の側面途上に形成された斜辺1aに当接する係合辺42を有している。
【0058】
図5を参照すると、突出片51は、第1屈曲部51aを先端部に有している。第1屈曲部51aは、カード1の斜辺1aに隣接される略方形の溝部1bにカード1の側面側から出入りし、溝部1bに弾性をもって係止する。一方、反転片52は、第2屈曲部52aを先端部に有している。第2屈曲部52aは、第1屈曲部51aと相反する向きに形成されると共に、凹部21の一方の側壁21aに近接して移動する。
【0059】
図1又は図2において、コネクタ10は、ハウジング2にカバー3が取り付けられることにより、カード1が挿入される開口を形成し、薄直方体形状のカード保持部が形成される(図4参照)。そして、ハウジング2の凹部21に8本のコンタクト7が並設配置されている。複数のコンタクト7は、カード1の表面に形成された複数の接続端子(図示せず)と一体一に電気的及び機械的に接触する。
【0060】
図6において、コンタクト7は、ばねの働きが片持ち梁であるカンチレバーコンタクトであってよく、弾性アームと固定アームで構成される。弾性アームは、凹部21の底面から突出して、カード1に形成された接続端子(図示せず)に接触する接点71が設けられている(図1参照)。固定アームは、凹部21に一体にモールド成形されて固定されている。又、リード部72が固定アームの端部に形成され、リード部72をプリント基板1pにはんだ接合することにより、コネクタ10を表面実装用コネクタとすることができる(図4参照)。
【0061】
図5において、ハウジング2は、対向する一対の側壁21a・21bと、一対の側壁21a・21bと直交してカード1の先端縁が当接する停止壁21cを有している。又、ハウジング2は、側壁21aに沿ってスライドするスライド部材4を備えている。そして、スライド部材4の側壁43、側壁21b、及び停止壁21cで囲われた薄直方体状の空間を凹部21とすることができる。
【0062】
図3において、凹部21がカバー3で覆われることにより、停止壁21cと対向してカード1が挿入される長方形の開口が形成される。対向する側壁21bとスライド部材4の側壁43との距離は、カード1の幅よりも僅かに広く、他方の側壁21bとスライド部材4及び板ばね5とがカード1の両翼を規制して、カード1の正しい姿勢が規制され、カード1の接続端子とコンタクト7とが正しく位置合わせできる。
【0063】
図1又は図2において、カバー3は、両翼が直角に折り曲げ加工されている。これらの折り曲げ片には複数の矩形穴3aが形成されている。複数の矩形穴3aがハウジング2の両側面に突出するランス2rに係止することにより、カバー3が組み込まれる(図5参照)。又、カバー3には、プリント基板1pにはんだ接合されるリード部3rが設けられている(図4参照)。凹部21と対向するカバー3の平坦面30には、案内棒6bをハート型のカム溝41の底面に付勢する片持ち状のばね片31を設けている。
【0064】
図5又は図6に示されるように、凹部21の一方の片翼には、スライド部材4が配置される。凹部21の他方の片翼には、カード1が装着位置に在ることを電気的に検出するカード検出スイッチ8を設けている。カード検出スイッチ8は、可動板8aと固定板8bで構成されている。カード1が装着位置に在るときは(図4参照)、カード1の先端稜に押されて可動板8aの先端部が変位して固定板8bが電気的に接続状態となる。カード1を抜去すると、可動板8aは復帰して可動板8aと固定板8bとは電気的に遮断状態となる。このようにカード1の有無が検出される。
【0065】
図2又は図6において、ハウジング2の片翼には、スライド部材4を移動可能に案内する溝22が設けられている。スライド部材4は、溝22に規制されてカード1の挿抜方向と平行する方向に進退できる。スライド部材4は、進退する直線運動のみが許容される。
【0066】
図2又は図6において、ハウジング2の片翼には、圧縮コイルばね6aを収容する縦長の溝22が形成される。一方、スライド部材4には、圧縮コイルばね6aの一方のコイル端部が当接される片翼片が形成されている。この片翼片は、スライド部材4の長手方向と直交する方向にL字状に突出している。
【0067】
図2又は図6において、スライド部材4の片翼片には、溝22内に突出する円柱突起4aが形成される。一方、ハウジング2の停止壁21cには、円柱突起4aに対向し、溝22に連通する方形溝2aが形成されている。そして、圧縮コイルばね6aの両コイル端部を円柱突起4aと方形溝2aと間に装架することにより、スライド部材4をカード1が排出される方向に力を付勢することができる。カード1が挿入されない状態では、スライド部材4は圧縮コイルばね6aに付勢されて、凹部21の開口側に停止している。
【0068】
図1又は図2において、案内棒6bの両端は、略直角に屈折されており、案内棒6bの一端61bは、スライド部材4の表面に穿設されたハート型のカム溝41に連結する。一方、案内棒6bの他端62bは、ハウジング2の停止壁21cに形成された穴22aに挿入され、回動自在に支持される。そして、案内棒6bの一端61bは、ハート型のカム溝41に従動できる。
【0069】
図1又は図2において、スライド部材4と案内棒6bとは、カムと従動節が相対変位するカム装置を構成している。カム溝41は、ハート型の軌跡を描く平面曲線のみならず(図5参照)、カム溝41の底面が段差又は斜面となる連続軌跡を含む空間曲線となっている(図7参照)。ここで、スライド部材4と案内棒6bとは、立体カム装置を構成している。
【0070】
図5において、ハート型のカム溝41は、始点A1からの行き行程の軌跡と、始点A1に戻る帰り行程の軌跡とを描いている。ハート型のカム溝41の軌跡は、案内棒6bの一端61bが部分的に逆行することはあっても、全行程において案内棒6bの一端61bが逆行しない不可逆の連続軌跡を描いている。そして、ハート型のカム溝41は、行き行程の軌跡と帰り行程の軌跡の分岐点に、V字状に陥没するV字溝A2が形成されている。
【0071】
図5において、案内棒6bの一端61bがV字溝A2に係止することにより、圧縮コイルばね6aに付勢されて、カード1の装着位置でスライド部材4をロックできる。ハート型のカム溝41と案内棒6bで構成するカム装置は、スライド部材4の停止位置を規定している。
【0072】
図5から7において、板ばね5は、帯板状の突出片51が伸長して、突出片51の先端部が反転して突出片51と略平行に延びる反転片52を形成している。図示された板ばね5は、反転片52が突出片51より短いJ字状に形成されている。
【0073】
図5から7において、突出片51の基端部は、スライド部材4に圧入されて固定している。板ばね5の先端側が凹部21の開口に向かって突出するように配置している。そして、板ばね5とスライド部材4とは、一体となって進退する。板ばね5は、ばねの働きが片持ち梁であってよく、突出片51の先端部に形成された第1屈曲部51aに荷重が作用することにより、弾性変形する。
【0074】
図1又は図5に示されるように、カード1は、略矩形に形成されており、接続端子(図示せず)が配置される先端側は、基端側より幅が狭くなっている。カード1の先端側は、平行する両側面の内、一方の側面が鈍角に開角された斜辺1aを形成し、基端側に平行する両側面の内の一方の側面に連続している。カード1の先端側は、一方の隅部が片刃状に切り欠かれた形状となっている。又、略方形の溝部1bがカード1の斜辺1aに隣接されている。
【0075】
次に、本発明の実施形態によるコネクタの動作及び作用を説明する。
【0076】
図1又は図5に示された状態から、カード1を凹部21に挿入すると、カード1の斜辺1aが第1屈曲部51aに当接する。更に、カード1を挿入すると、第1屈曲部51aは斜辺1aとスライドしつつ、斜辺1aから離反する方向に弾性変形する。そして、斜辺1aが係合辺42に当接した状態では(図3参照)、第1屈曲部51aはカード1の側面をスライドして、カード1の溝部1bに突出している。なお、スライド部材4の係合辺42は、カード1の斜辺1aと同じ勾配をもつ斜面が形成されている。続いて、カードを押すと、スライド部材4は、ハウジング2の凹部21の奥方向に移動する(図3参照)。
【0077】
図5において、カード1を押し切って、若干戻った状態で、案内棒6bの一端61bがV字溝A2に係止して、カード1の装着位置で、スライド部材4がハウジング2にロックされる(図9参照)。図9に示されるカード1の装着位置では、突出片51の先端部にある第1屈曲部51aがカード1の溝部1bに弾性をもって係止しているので、カード1の装着状態を確実に維持できる(図9参照)。
【0078】
図9に示された、カード1の装着状態において、カード1の溝部1bが第1屈曲部51aを乗り越えて、第1屈曲部51aを変位させる力が作用したときに、第2屈曲部52aは、凹部21の側壁21aに当接して第1屈曲部51aがカード1の溝部1bに向かう力を付勢するので、カード1の装着状態を確実に維持できる。
【0079】
図9に示される、カード1の装着状態から、カード1を一旦押すと、案内棒6bの一端61bはV字溝A2から解放されて、帰り行程に移動する(図5参照)。そして、圧縮コイルばね6aに付勢されて、スライド部材4は、カード1を凹部21の開口側に移動させる。案内棒6bの一端61bがハート型のカム溝41の始点A1に相対的に戻った時点で、スライド部材4が停止する(図5参照)。ここで、カード1には、慣性力が作用するが、第1屈曲部51aがカード1の溝部1bに弾性をもって係止しているので、カード1の不用意な飛び出しを確実に防止できる。そして、カード1を比較的強い力で引く抜くことによりカード1をコネクタ10から離脱できる。
【0080】
このように、本発明の実施形態によるコネクタ10は、カード1と共に移動するスライド部材4にJ字状の板ばね5を配置し、J字状の板ばね5に設けられた第1屈曲部51aがカード1に形成された方形の溝部1bに嵌合し、カード1の溝部1bが第1屈曲部51aを乗り越えて、第1屈曲部51aを変位させる力が作用したときに、第2屈曲部52aは、凹部21の一方の側壁21aに当接して第1屈曲部51aがカード1の溝部1bに向かう力を付勢するので、カード1の装着状態を確実に維持できる。
【0081】
本発明の実施形態によるコネクタ10は、ハウジング2を覆うカバー3にカード1を付勢する板ばねを設けることなく、カード1の不用意な飛び出しを防止でき、かつ、カード1の装着状態を確実に維持するカード用コネクタが実現しているので、カード1の表面を傷つけることを防止できる。
【0082】
更に、本発明の実施形態によるコネクタ10は、凹部21の一方の側壁21aには、凹部21の他方の側壁21bに向かって隆起する突起211を凹部21の開口の近傍に有している(図8又は図9参照)。
【0083】
前述したように、カード1の装着状態から、カード1を一旦押すと、案内棒6bの一端61bはV字溝A2から解放されて、帰り行程に移動する(図5参照)。そして、圧縮コイルばね6aに付勢されて、スライド部材4は、カード1を凹部21の開口側に移動させる(図9参照)。
【0084】
図9において、スライド部材4が凹部21の開口側に移動する途上では、第2屈曲部52aが突起211に衝突して、スライド部材4の移動を一旦、阻止する。ここで、突起211は、圧縮コイルばね6aの貫性力を緩和し、カードの飛び出しを抑制すべく作用する。第2屈曲部52aが突起211を乗り越える強い力でカード1を引き抜くことにより、カード1を取り出すことができる。
【0085】
そして、図8に示されるように、スライド部材4が凹部21の開口に向かって進出して停止した状態では、第2屈曲部52aが凹部21の一方の側壁21aから解放されている。スライド部材4が凹部21の開口に向かって進出して停止した状態では、第2屈曲部52aが凹部21の一方の側壁21aから解放されているので、カード1を容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明によるカード用コネクタの一実施形態を示す斜視分解組立図である。
【図2】前記実施形態によるカード用コネクタの斜視分解組立図である。
【図3】前記実施形態によるカード用コネクタの斜視外観図であり、カバーを取り外した状態図である。
【図4】前記実施形態によるカード用コネクタの斜視外観図であり、カードが装着された状態図である。
【図5】前記実施形態によるカード用コネクタの平面図である。
【図6】前記実施形態によるカード用コネクタの斜視外観図であり、図3と異なる方向からカード用コネクタを観ている。
【図7】前記実施形態によるカード用コネクタのスライド部材の側面図である。
【図8】前記実施形態によるカード用コネクタの平面図であり、カードを取り出した状態図である。
【図9】前記実施形態によるカード用コネクタの平面図であり、カードを完全に装着した状態図である。
【符号の説明】
【0087】
1 カード
1a 斜辺
1b 溝部
2 ハウジング
3 カバー
4 スライド部材
5 板ばね
6a 圧縮コイルばね
6b 案内棒
10 コネクタ(カード用コネクタ)
21 凹部
21a 側壁(一方の側壁)
21b 側壁(他方の側壁)
30 平坦面
41 カム溝
42 係合辺
51 突出片
51a 第1屈曲部
52 反転片
52a 第2屈曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが挿抜される凹部を形成する板状のハウジングと、このハウジングの凹部を覆う平坦面を有するカバーと、を備えるカード用コネクタであって、
前記カードの挿抜方向と平行する方向に進退するように前記凹部の片翼に配置され、ハート型のカム溝が形成されたスライド部材と、
基端部が前記スライド部材に固定され、先端部が前記凹部の開口に向かって突出する突出片、及びこの突出片の先端部が屈曲されて当該突出片の基端部に向かって反転する反転片を有するJ字状の板ばねと、
前記ハウジングに保持され、前記スライド部材を前記カードが排出される方向に力を付勢する圧縮コイルばねと、
一端が前記ハート型のカム溝に連結し、他端が前記ハウジングに回動自在に支持される案内棒と、を備え、
前記スライド部材は、前記凹部の片翼側から当該凹部の開口に突出して前記カードの側面途上に形成された斜辺に当接する係合辺を有し、
前記突出片は、前記カードの斜辺に隣接される略方形の溝部に当該カードの側面側から出入りし、当該溝部に弾性をもって係止する第1屈曲部を先端部に有し、
前記反転片は、前記第1屈曲部と相反する向きに形成されると共に、前記凹部の一方の側壁に近接して移動する第2屈曲部を先端部に有し、
前記第2屈曲部は、前記カードの溝部が前記第1屈曲部を乗り越えて、当該第1屈曲部を変位させる力が作用したときに、前記凹部の一方の側壁に当接して当該第1屈曲部が前記カードの溝部に向かう力を付勢するカード用コネクタ。
【請求項2】
前記凹部の一方の側壁は、前記凹部の他方の側壁に向かって隆起する突起を当該凹部の開口の近傍に有する請求項1記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記スライド部材が前記凹部の開口に向かって進出して停止した状態では、前記第2屈曲部が前記凹部の一方の側壁から解放されている請求項1又は2記載のカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−49889(P2010−49889A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212046(P2008−212046)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】