説明

ガスタービンプラント

【課題】全体のエネルギー効率の低下を抑えつつ純水を生成することが可能なガスタービンプラントを提供する。
【解決手段】ガスタービンプラント1は、圧縮機2a及びタービン2cを有するガスタービン2と、タービン2から排出される排ガスG1を利用するタービン排ガス利用手段3と、復水器12及び復水器12と連通して内部を負圧状態に設定されたボイラ本体11を有し、タービン排ガス利用手段3で利用後の排ガスの熱を利用してボイラ本体11で蒸気を生成し、復水器12で蒸気から水を生成する水生成手段10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンを備えるガスタービンプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機、燃焼器及びタービンを基本構成とするガスタービンを備えたガスタービンプラントでは、タービンから排出される排熱を利用した排熱利用設備を備えるものが知られている。具体的には、例えば、排熱利用設備としてボイラを備えるとともに、このボイラで生成された蒸気を利用する蒸気タービンを備えたガスタービンプラントが知られている。このようなガスタービンプラントでは、ガスタービンを稼働させるとともに、タービンの排熱を利用して、蒸気タービンにより発電を行うことが可能である。そして、排熱を利用して電気エネルギー等さらにエネルギーを生成することができるので、全体としてエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0003】
また、排熱利用設備としてボイラを含む水生成設備を備えたガスタービンプラントが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなガスタービンプラントでは、排熱を利用して純水を生産することができる。このように生産された純粋は、プラント内において例えば出力増大を目的としてガスタービンに供給され、あるいは、プラント外に、例えば洗浄などの用途を目的として供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−70889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたガスタービンプラントでは、水の気化熱としてタービンの排熱が利用されてしまうため、前述の蒸気タービンを備えたもののようにエネルギー効率の向上を図ることができなくなってしまう問題があった。また、生産した純水をガスタービンに供給することで出力増大を図るものとしても、純水を生産するのに上記のとおりタービンの排熱を利用してしまっているので、結果として十分なエネルギー効率の向上を図ることができない。また、前述の蒸気タービンを備えたガスタービンプラントにおいて、蒸気タービンに蒸気を供給するボイラで生成される蒸気の一部を水生成に利用することも考えられるが、この場合にも結局蒸気タービンで利用可能な蒸気の一部を消費することとなってしまい、全体のエネルギー効率が低下してしまうこととなる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、全体のエネルギー効率の低下を抑えつつ純水を生成することが可能なガスタービンプラントを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明のガスタービンプラントは、圧縮機及びタービンを有するガスタービンと、前記タービンから排出される排ガスを利用するタービン排ガス利用手段と、復水器及び該復水器と連通して内部を負圧状態に設定されたボイラ本体を有し、前記タービン排ガス利用手段で利用後の排ガスの熱を利用して前記ボイラ本体で蒸気を生成し、前記復水器で該蒸気から水を生成する水生成手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、タービンから排出される排ガスを利用するタービン排ガス利用手段で利用後の排ガスの熱を利用して水生成手段によって水を生成する。このため、水生成手段による水の生成の影響を受けること無く、タービン排ガス利用手段によってタービンから排出される排ガスに含まれる熱を有効に利用することができ、全体のエネルギー効率の低下を抑えることができる。一方、水生成手段では、復水器によって負圧状態に設定されたボイラ本体によって負圧環境下において蒸気を生成するため、タービンの排ガスを利用した後にタービン排ガス利用手段で利用後の排ガスの熱による比較的低い温度の熱でも効率良く蒸気を生成することができ、これにより復水器で水を生成することができる。
【0009】
本発明のガスタービンプラントは、圧縮機及びタービンを有するガスタービンと、前記圧縮機から生成される圧縮流体を冷却する冷却手段と、復水器及び該復水器と連通して内部を負圧状態に設定されたボイラ本体を有し、前記圧縮流体を冷却することにより発生する熱を利用して前記ボイラ本体で蒸気を生成し、前記復水器で該蒸気から水を生成する水生成手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、圧縮機から生成される圧縮流体を冷却する際に発生する熱を利用して水生成手段によって水を生成する。このため、水生成手段による水の生成の影響を受けること無く、タービンから排出される排ガスに含まれる熱を別途有効に利用することができ、全体のエネルギー効率の低下を抑えることができる。一方、水生成手段は、復水器によって負圧状態に設定されたボイラ本体によって負圧環境下において蒸気を生成するため、圧縮機で生成された圧縮流体を冷却した際発生する熱による比較的低い温度の熱でも効率良く蒸気を生成することができ、これにより復水器で水を生成することができる。また、圧縮流体を冷却した際に発生する熱エネルギーを有効利用することができ、全体のエネルギー効率の向上も図ることができる。
【0011】
また、上記のガスタービンプラントにおいて、前記水生成手段は、前記ボイラ本体に水を供給する給水管に設けられて開閉自在のボイラ入口バルブと、前記ボイラ本体と前記復水器との間に設けられて開閉自在のボイラ出口バルブと、生成する必要水量、前記ボイラ本体で利用される前記熱を含み蒸気を生成するために前記ボイラ本体に供給される供給ガスの温度、及び、前記復水器内の圧力に基づいて前記ボイラ入口バルブ及び前記ボイラ出口バルブの開度を制御するボイラ制御手段とを有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ボイラ制御手段によって、必要水量、供給ガスの温度及び復水器内の圧力に基づいてボイラ入口バルブ及びボイラ出口バルブの開度を制御することで、ボイラ本体内部の圧力を調整して、給水管からボイラ本体へ必要水量に応じた水量の水を供給し、また、ボイラ本体から復水器へ必要水量に応じた蒸気を送り出し、復水器で水を生成することができる。
【0013】
さらに、上記のガスタービンプラントにおいて、前記ボイラ制御手段は、前記必要水量に基づいて前記供給ガスと生成する蒸気との温度差として要求されるピンチ温度を演算するピンチ温度演算部と、該ピンチ温度演算部で演算された前記ピンチ温度及び前記供給ガスの温度に基づいて、前記ボイラ本体内で発生させるべきボイラ圧力を演算するボイラ圧力演算部と、該ボイラ圧力演算部で演算された前記ボイラ圧力及び前記必要水量に基づいて、前記ボイラ入口バルブの開度を演算し該ボイラ入口バルブの開度を制御する入口バルブ制御部と、前記ボイラ圧力演算部で演算された前記ボイラ圧力、前記必要水量及び前記復水器内の圧力に基づいて、前記ボイラ出口バルブの開度を演算し該ボイラ出口バルブの開度を制御する出口バルブ制御部とを具備することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、ピンチ温度演算部で必要水量に対応した量の蒸気をボイラ本体で生成するのに要求される供給ガスと生成する蒸気との温度差であるピンチ温度を求め、ボイラ圧力演算部でこのピンチ温度と供給ガスの温度とに応じたボイラ圧力を求めることができる。そして、入口バルブ制御部では、このボイラ圧力と必要水量とに基づいてボイラ入口バルブの開度を演算し制御することで、ボイラ本体内と供給側との圧力差を考慮して、生成すべき蒸気の量に応じた水を給水管からボイラ本体へ供給することができる。また、出口バルブ制御部では、ボイラ圧力、必要水量及び復水器の圧力に基づいてボイラ出口バルブの開度を演算し制御することで、ボイラ本体内と復水器内との圧力差を考慮して、生成すべき量の蒸気をボイラ本体から復水器へ送り出すことができる。
【0015】
また、上記のガスタービンプラントにおいて、前記ガスタービンの必要出力に基づいて前記必要水量を演算する必要水量演算手段を備え、前記水生成手段で生成される水の少なくとも一部が前記ガスタービンに供給されることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、必要水量演算手段によって、ガスタービンの必要出力に応じた必要水量を演算することができ、演算した必要水量に基づいて水生成手段で水を生成し、その一部をガスタービンに供給することで、ガスタービンによって効率良く必要出力分の出力を発生させることができる。
【0017】
また、上記のガスタービンプラントにおいて、蒸気タービンを備え、前記タービン排ガス利用手段は、該蒸気タービンに供給する蒸気を生成する蒸気生成手段であることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、蒸気生成手段によってタービンの排ガスを利用して蒸気を生成し、これにより蒸気タービンを駆動させることができるとともに、蒸気生成手段から排出される熱を利用して水生成手段によって水を生成することができる。
【0019】
また、上記のガスタービンプラントにおいて、前記タービン排ガス利用手段は、前記排ガスによって流体を加熱して熱利用設備に供給する熱交換器であるものとしても良い。
【0020】
この構成によれば、熱交換器でタービンの排ガスによって流体を加熱して熱利用設備に供給することで、熱利用設備で排ガスに含まれる熱を有効に利用することができるとともに、熱交換器で流体を加熱した後の低温となった排ガスの熱を利用して水生成手段によって水を生成することができる。
【0021】
また、上記のガスタービンプラントにおいて、前記水生成手段は、前記冷却手段を兼ねて、前記圧縮流体を冷却しつつ、該圧縮流体の熱を利用して前記ボイラ本体で蒸気を生成することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、水生成手段が冷却手段を兼ねて、圧縮流体を冷却しつつ、該圧縮流体の熱を利用して前記ボイラ本体で蒸気を生成することで、全体のエネルギー効率の低下を抑えつつ水を生成することができるとともに、装置構成の簡略化、装置コストの低減を図ることができる。
【0023】
また、上記のガスタービンプラントにおいて、前記ガスタービンは、前記圧縮機を複数段有し、前記冷却手段は、複数段の前記圧縮機間の中間冷却を行うことが好ましい。
【0024】
この構成によれば、冷却手段によって複数段の圧縮機間の中間冷却を効果的に行いつつ、その際に発生する熱を有効利用して水生成手段によって水を生成することができる。
【0025】
また、上記のガスタービンプラントにおいて、前記ガスタービンは、前記圧縮機から抽気して前記タービン内部の冷却を行う冷却経路を有し、前記冷却手段は、前記冷却経路を流通する冷却ガスの冷却を行うものとしても良い。
【0026】
この構成によれば、冷却手段によって冷却経路を流通する冷却ガスを冷却することで、タービン内部を効果的に冷却しつつ、冷却ガスを冷却する際に発生する熱を有効利用して水生成手段によって水を生成することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のガスタービンプラントによれば、上記の復水器とボイラ本体とを有する水生成手段を備えることによって、全体のエネルギー効率の低下を抑えつつ純水を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態のガスタービンプラントの構成を示す概要図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のガスタービンプラントにおいて、水生成手段のボイラ本体の詳細図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のガスタービンプラントの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のガスタービンプラントにおいて、ボイラ制御手段の入口バルブ制御部に記憶されている必要水量とボイラ入口バルブの開度との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第1の実施形態のガスタービンプラントにおいて、ボイラ制御手段の出口バルブ制御部に記憶されている必要水量とボイラ出口バルブの開度との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第1の実施形態の変形例のガスタービンプラントの構成を示す概要図である。
【図7】本発明の第2の実施形態のガスタービンプラントの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施形態のガスタービンプラントにおいて、ガスタービン制御手段に記憶されている必要出力と吸気温度との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第3の実施形態のガスタービンプラントの構成を示す概要図である。
【図10】本発明の第4の実施形態のガスタービンプラントの構成を示す概要図である。
【図11】本発明の第4の実施形態の変形例のガスタービンプラントの構成を示す概要図である。
【図12】本発明の第5の実施形態のガスタービンプラントの構成を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る実施形態について図1から図5を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態のガスタービンプラント1は、圧縮機2a、燃焼器2b及びタービン2cを有するガスタービン2と、ガスタービン2のタービン2cから排出される排ガスを利用して蒸気を生成する排ガス利用手段である蒸気生成手段3と、蒸気生成手段3で生成された蒸気で駆動する高圧蒸気タービン4及び低圧蒸気タービン5と、蒸気生成手段3から排出された熱を利用して水を生成する水生成手段10とを備える。
【0030】
ガスタービン2は、圧縮機2aによって吸気した空気を圧縮して燃焼器2bに供給し、燃焼器2bで燃料と混合して燃焼させて燃焼ガスを生成し、これをタービン2c内に供給することで、図示しない翼構造によりロータ2dを回転させて第一の発電機6Aで発電を行うことが可能である。また、タービン2c内を流通した燃焼ガスは、一次排ガスG1として蒸気生成手段3に供給される。一次排ガスG1の温度は、ガスタービン2の性能によって異なるが、一般的に400〜600℃程度である。
【0031】
タービン排ガス利用手段である蒸気生成手段3は、本実施形態では、高圧過熱器3aと、高圧蒸発器3bと、高圧節炭器3cと、低圧過熱器3dと、低圧蒸発器3eと、低圧節炭器3fとを有し、供給される一次排ガスG1がこの順に流通し、それぞれ一次排ガスG1から熱の供給を受けるとともに、熱を供給した後のより低温となったガスは二次排ガスG2として排出される。ここで、二次排ガスG2の温度としては、一次排ガスG1の温度及び蒸気生成手段3の規格によって異なるが、例えば、80℃程度となる。
【0032】
低圧節炭器3fでは、後述する水生成手段10の復水器12から水が供給され、供給された水をタービン2cからの一次排ガスG1から供給された熱によって予熱して低圧蒸発器3e及び高圧節炭器3cに供給する。低圧蒸発器3eでは、低圧節炭器3fで予熱された水を一次排ガスG1から供給された熱によって加熱して蒸気を生成して低圧過熱器3dに供給する。低圧過熱器3dでは、供給された蒸気をタービン2cからの一次排ガスG1から供給された熱によって加熱し、過熱蒸気を生成し低圧蒸気タービン5に供給する。
【0033】
また、高圧節炭器3cは、低圧節炭器3fからポンプ3gによって加圧されて供給された水がタービン2cからの一次排ガスG1から供給された熱によってさらに予熱されて高圧蒸発器3bに供給される。高圧蒸発器3bでは、高圧節炭器3cで予熱された水が一次排ガスG1から供給された熱によって加熱され蒸気が生成されて高圧過熱器3aに供給される。高圧過熱器3aでは、供給された蒸気をタービン2cからの一次排ガスG1から供給された熱によって加熱し、過熱蒸気を生成し高圧蒸気タービン4に供給する。
【0034】
そして、高圧蒸気タービン4では、高圧過熱器3aから供給された蒸気によって駆動し、第二の発電機6Bで発電を行うことが可能である。また、高圧蒸気タービン4内を流通した蒸気は、低圧過熱器3dからの蒸気とともに低圧蒸気タービン5に供給され、これにより低圧蒸気タービン5は駆動し、第三の発電機6Cで発電を行うことが可能である。なお、低圧蒸気タービン5内を流通した蒸気は、後述する水生成手段10の復水器12に供給される。
【0035】
次に、水生成手段10の詳細について説明する。水生成手段10は、排ガス利用手段である蒸気生成手段3から排出される二次排ガスG2が供給され、二次排ガスG2に含まれる熱を利用して蒸気Vを生成するボイラ本体11と、ボイラ本体11と連通してボイラ本体11を負圧状態とするとともに、ボイラ本体11から供給される蒸気Vから水W1を生成する復水器12とを有する。図2に示すように、ボイラ本体11は、水W0が供給される蒸気ドラム11aと、蒸気ドラム11aの下部に接続された降水管11bと、蒸発器入口管寄せ11cにより一端で降水管11bに接続される略U字状の蒸発器管11dと、蒸発器出口管寄せ11eにより蒸発器管11dの他端と接続されるとともに蒸気ドラム11aの上部に接続された連結管11fとを有する。
【0036】
また、ボイラ本体11の上部には、水W0を供給する給水管13と、蒸気を送り出す飽和蒸気管14とが接続されている。給水管13は、給水源と接続されている。給水源は、例えば海等であり、海水等の不純物の混入した水W0が供給される。給水管13には、ボイラ入口バルブ15が設けられており、後述するボイラ制御手段による制御によって開度V1を調整することによってボイラ本体11に供給される水W0の量を調整することが可能となっている。また、飽和蒸気管14は、復水器12と接続されている。飽和蒸気管14には、ボイラ出口バルブ16が設けられており、後述するボイラ制御手段20による制御によって開度V2を調整することによって復水器12に供給される蒸気の量を調整することが可能となっている。
【0037】
また、蒸発器管11dは、蒸気生成手段3から供給される二次排ガスG2が流通する経路に配されており、二次排ガスG2の熱によって加熱され、内部を流通する水W0を蒸気Vにすることが可能となっている。また、蒸発器管11dとボイラ本体11に接続された降水管11bとを接続する蒸発器入口管寄せ11cには、不純物排出管17がさらに接続されている。不純物排出管17には、排出用バルブ18と、ドレインポンプ19とが設けられており、ドレインポンプ19で吸引するとともに、排出用バルブ18の開度を調整することによって降水管11bを流通する水の一部とともに不純物を排出することが可能となっている。
【0038】
そして、以上のような構成のボイラ本体11では、給水管13から供給されて蒸気ドラム11aに貯留した水W0は、降水管11bから蒸発器管11dへと流入して、蒸発器管11dで加熱されて蒸気Vとなり、飽和蒸気管14から復水器12へと送り出されるとともに、蒸気Vと分離された不純物は、不純物排出管17から外部へと排出される。ここで、蒸発器管11dを加熱する二次排ガスG2は、タービン2cから排出される一次排ガスG1と比較して低温であり、上記のとおり100℃以下となる場合がある。しかしながら、ボイラ本体11は、復水器12と連通して負圧状態となっていることで、低温状態でも蒸発器管11d内において流通する水W0から蒸気Vを生成することができる。
【0039】
そして、ボイラ本体11で生成された蒸気は、飽和蒸気管14を経て復水器12に供給される。また、本実施形態では、当該復水器12には、さらに、低圧蒸気タービン5から排出された蒸気も供給される。そして、復水器12では、供給された蒸気が冷却媒体により冷却されることにより水W1が生成される。復水器12で生成された水W1は、本実施形態では、ポンプ12aによって加圧された後に、一部がガスタービン2の圧縮機2aの吸気に混合され、また、他の一部が蒸気生成手段3の低圧節炭器3fに供給されて、高圧蒸気タービン4及び低圧蒸気タービン5で使用される蒸気となる。なお、ガスタービン2の圧縮機2aに送られる水の流量と、蒸気生成手段3の低圧節炭器3fに送られる水の流量とは、ポンプ12aと圧縮機2aとの間の配管に設けられたバルブ12bによって調整されている。
【0040】
ここで、図3に示すように、ガスタービンプラント1は、水生成手段10の復水器12によって生成すべき必要水量Gwを設定する必要水量設定手段7と、蒸気生成手段3から排出される二次排ガスG2の排ガス温度Texを測定する排ガス温度測定手段8と、水生成手段10の復水器12内の復水器圧力Pcを測定する復水器圧力測定手段9とを備える。また、水生成手段10は、ボイラ入口バルブ15及びボイラ出口バルブ16の開度を制御するボイラ制御手段20を有し、ボイラ制御手段20は、必要水量設定手段7、排ガス温度測定手段8及び復水器圧力測定手段9から入力される必要水量Gw、排ガス温度Tex及び復水器圧力Pcに基づいて、ボイラ入口バルブ15及びボイラ出口バルブ16の開度を制御し、復水器12で必要水量Gwに応じた量の水を生成することが可能となっている。以下にボイラ制御手段20の構成及び制御の詳細について説明する。
【0041】
図3に示すように、ボイラ制御手段20は、ボイラ本体11に供給される供給ガスとなる二次排ガスG2と生成する蒸気Vとの温度差として要求されるピンチ温度ΔTを演算するピンチ温度演算部21と、ボイラ本体11内で発生させるべきボイラ圧力Pbを演算するボイラ圧力演算部22と、ボイラ入口バルブ15の開度を制御する入口バルブ制御部23と、ボイラ出口バルブ16の開度を制御する出口バルブ制御部24とを具備する。
【0042】
ピンチ温度演算部21には、必要水量設定手段7で入力設定された必要水量Gwが入力されている。また、ピンチ温度演算部21には、ボイラ本体11の固有値であるボイラ伝熱面積Ab及びボイラ熱伝達率Hb、並びに、水の気化熱rが記憶されている。ここで、ボイラにおいて、必要水量Gwに応じた量の蒸気を生成するために要求されるピンチ温度ΔTは、必要水量Gw、ボイラ伝熱面積Ab、ボイラ熱伝達率Hb及び水の気化熱rの関数であり、以下の<数1>で示す関係式で表わされる。そして、ピンチ温度演算部21では、<数1>が記憶されており、入力された必要水量Gwからピンチ温度ΔTを演算する。
【0043】
【数1】

【0044】
また、ボイラ圧力演算部22には、ピンチ温度演算部21で演算されたピンチ温度ΔTが入力されるとともに、排ガス温度測定手段8から、ボイラ本体11に供給される供給ガスである二次排ガスG2の排ガス温度Texが入力されている。ここで、必要水量Gwに応じた量の蒸気Vを生成するために、供給される二次排ガスG2の温度に応じて要求されるボイラ本体11に供給される水の飽和温度Tbは、以下の<数2>で示す関係式で表わされる。
【0045】
【数2】

【0046】
また、水が供給されるボイラ本体11内のボイラ圧力Pbと、供給される水の飽和温度Tbとは、相関関係にあり、従ってボイラ圧力Pbは、以下の<数3>で示す関係式で表わされる。なお、具体的な相関関係は、例えば「機械実用便覧改定第6版、社団法人日本機械学会、1990年3月20日、p586−587」に開示されている。
【0047】
【数3】

【0048】
そして、ボイラ圧力演算部22では、上記<数2>及び<数3>が記憶されており、入力されたピンチ温度ΔT及び排ガス温度Texからボイラ圧力Pbを演算する。
【0049】
また、入口バルブ制御部23には、ボイラ圧力演算部22で演算されたボイラ圧力Pb入力され、また、必要水量設定手段7から必要水量Gwが入力されているとともに、供給源側から供給される水W0の供給圧力Pwが記憶されている。なお、供給圧力Pwについては、供給圧力Pwを測定する測定手段を備え、測定された供給圧力Pwが適時入力されるものとしても良い。ここで、必要水量Gwに応じた量の水W0を給水管13を通してボイラ本体11に供給するためのボイラ入口バルブ15の開度V1は、その必要水量Gwと、供給源側から供給される水W0の供給圧力Pwとボイラ本体11内部のボイラ圧力Pbとの差分との関数であり、以下の<数4>に示す関係式で表わされる。
【0050】
【数4】

【0051】
そして、例えば図4に示すように、供給圧力Pwとボイラ圧力Pbとの差分値毎にボイラ入口バルブ15の開度V1と必要水量Gwとの具体的な関係を予め測定しておき、この関係が入口バルブ制御部23に記憶されている。そして、入口バルブ制御部23では、必要水量Gw、ボイラ圧力Pb及び供給圧力Pwから、記憶されている図4に示すグラフを参照して、必要水量Gwに応じたボイラ入口バルブ15の開度V1を決定し、当該開度V1となるようにボイラ入口バルブ15を制御する。
【0052】
また、出口バルブ制御部24には、ボイラ圧力演算部22で演算されたボイラ圧力Pbが入力されるとともに、必要水量設定手段7から必要水量Gwが入力され、また、復水器圧力測定手段9から復水器圧力Pcが入力されている。ここで、必要水量Gwに応じた量の蒸気を飽和蒸気管14を通して復水器12に供給するためのボイラ出口バルブ16の開度V2は、その必要水量Gwと、ボイラ圧力Pbと復水器圧力Pcとの差分との関数であり、以下の<数5>に示す関係式で表わされる。
【0053】
【数5】

【0054】
そして、例えば図5に示すように、ボイラ圧力Pbと復水器圧力Pcとの差分値毎にボイラ出口バルブ16の開度V2と必要水量Gwとの具体的な関係を予め測定しておき、この関係が出口バルブ制御部24に記憶されている。そして、出口バルブ制御部24では、必要水量Gw、ボイラ圧力Pb及び復水器圧力Pcから、記憶されている図5に示すグラフを参照して、必要水量Gwに応じたボイラ出口バルブ16の開度V2を決定し、当該開度V2となるようにボイラ出口バルブ16を制御する。これにより水生成手段10では、設定された必要水量Gwに応じてボイラ本体11内に水W0を供給して蒸発させることで蒸気Vを生成し、該蒸気Vから復水器12によって必要水量Gwだけ水W1を生成することができる。
【0055】
以上のように、本実施形態のガスタービンプラント1では、タービン2cから排出される一次排ガスG1に含まれる熱は、蒸気生成手段3で蒸気生成に利用し、この蒸気を利用して高圧蒸気タービン4及び低圧蒸気タービン5で発電を行うことができる。そして、水生成手段10は、この蒸気生成手段3から排出される二次排ガスG2に含まる熱を利用して水W1を生成する。すなわち、水生成手段10による水の生成の影響を受けること無く、蒸気生成手段3によってタービン2cから排出される一次排ガスG1に含まれる熱を有効に利用することができ、全体のエネルギー効率の低下を抑えることができる。一方、水生成手段10では、復水器12によって負圧状態に設定されたボイラ本体11によって負圧環境下において蒸気を生成するため、タービン2cからの一次排ガスG1を利用した後に蒸気生成手段3から排出される二次排ガスG2に含まれる熱による比較的低い温度の熱でも効率良く蒸気Vを生成することができ、これにより復水器12で水W1を生成することができる。このため、全体のエネルギー効率の低下を抑えつつ純水を生成することができる。
【0056】
そして、本実施形態では、水生成手段10で生成された水を、ガスタービン2の圧縮機2aの吸気に混合することによりタービン2cにおける出力増大を図ることができ、これにより全体としてエネルギーの効率化を図ることができる。また、本実施形態では、高圧蒸気タービン4及び低圧蒸気タービン5で使用する蒸気を生成する蒸気生成手段3で使用される水も、水生成手段10で生成されたものを利用することで、別途エネルギーを消費して水を生成する必要がなく、さらに全体としてエネルギーの効率化を図ることができる。
【0057】
また、本実施形態では、必要水量設定手段7を備えるとともに、ボイラ制御手段20を備えることで、ボイラ制御手段20による制御のもと、ボイラ入口バルブ15及びボイラ出口バルブ16の開度を調整して、必要水量設定手段7で設定した必要水量Gw分の水を水生成手段10により生成することができる。また、ボイラ制御手段20が、上記入口バルブ制御部23を有することで、ボイラ本体11内と供給側との圧力差を考慮して、生成すべき蒸気の量に応じた水を給水管からボイラ本体11へ供給することができ、また、上記出口バルブ制御部24を有することで、ボイラ本体11内と復水器12内との圧力差を考慮して、生成すべき量の蒸気をボイラ本体11から復水器12へ送り出すことができ、復水器12で必要水量Gw分の水W1を生成することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、水生成手段10で生成された水W1は、ガスタービン2、及び、蒸気生成手段3に供給されるものとしたが、これに限るものではなく、いずれか一方のみ供給されるものとしても良い。また、ガスタービン2において、圧縮機2aに供給するものとしたが、これに限るものではなく、燃焼器2bやタービン2c内に供給するものとしても良い。図6は、この実施形態の変形例を示している。図6に示すように、この変形例のガスタービンプラント25では、水生成手段10で生成された水の一部がガスタービン2の燃焼器2bに供給されている。ここで、水を供給するタイミングとしては、燃焼器2での燃焼工程前の圧縮流体、または、燃焼工程後の燃焼ガスのいずれに供給しても良く、いずれにおいても出力増大の効果を期待することができる。また、上記の場合はいずれも水生成手段10で生成された水をガスタービンプラント1の構成のいずれかに供給するものとしたが、これに限るものではなく、外部の水利用設備に供給するものとしても良い。
【0059】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図7及び図8は、本発明の第2の実施形態を示したものである。なお、本実施形態のガスタービンプラントの基本構成は、第1の実施形態と同様であり、図1に基づくものであり、同様に図1も参照して説明する。そして、この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0060】
図7に示すように、この実施形態のガスタービンプラント30では、ガスタービン2を制御するガスタービン制御手段31と、ガスタービン2で出力すべき必要出力を入力する必要出力入力手段32と、気温を測定する気温測定手段33と、大気湿度を測定する大気湿度測定手段34とを備える。ガスタービン制御手段31では、必要出力入力手段32からの入力に基づいて出力が必要出力となるようにガスタービン2を駆動させる。また、ガスタービン制御手段31は、気温測定手段33から気温Tambが入力され、また、大気湿度測定手段34から大気湿度ψambが入力されており、必要水量演算手段として、これらの入力に基づいて必要出力P0とするに吸気に混合すべき水の必要水量を演算することが可能となっている。
【0061】
ここで、圧縮機2aに吸気される空気の吸気温度Tiと、ガスタービン2の出力とは、以下の<数6>及び図8のグラフに示すような相関関係にある。また、吸気に水を混合することにより吸気温度Tiを下げることが可能であり、気温Tamb、湿度ψambの空気を所定の吸気温度Tiとするために要求される必要水量Gwは、以下の<数7>に示すような関係式から求められる。ここで、具体的な<数6>及び図8に示される関係式、並びに、<数7>に示される関係式は、実機において試験的に運用して求めるものとしても良いし、あるいは、例えば「ガスタービンセオリー第5版(GAS TUBINE THEORY 5TH EDITION)、パーソンエデュケーションリミテッド(Person Education Limited)、2001年、p375−397」に基づいて理論式を求めるものとしても良い。
【0062】
【数6】

【数7】

【0063】
そして、ガスタービン制御手段31では、上記の<数6>及び<数7>が記憶されており、必要出力P0と対応する吸気温度Tiを求め、現在の気温Tamb、大気湿度ψambにおいて求めた吸気温度Tiとするのに必要な必要水量Gwを求めることができる。ここで、水生成手段10で生成された水の全てを圧縮機2aに供給する場合には、上記で求めた必要水量Gwをボイラ制御手段20に入力すれば良いし、図1に示すように蒸気生成手段3にも供給する場合には、蒸気生成手段3に供給すべき分を加算して必要水量Gwとしてボイラ制御手段20に入力すれば良い。
【0064】
以上のように、本実施形態のガスタービンプラント30では、ガスタービン制御手段31によって、ガスタービン2の必要出力P0に応じた必要水量Gwを演算することができ、演算した必要水量Gwに基づいて水生成手段10で水W1を生成しガスタービン2に供給することで、ガスタービン2によって効率良く必要出力P0分の出力を発生させることができる。また、上記のように必要出力P0に応じた最適となる必要水量Gwを求めて、当該量だけ水を供給するようにすることで、供給する水量が多くなって、圧縮機2aを損傷してしまうことを防止し、また、水を生成するために、さらに排水するためのポンプ等の設備を不要に稼働させるために、エネルギーを無駄に消費してしまうことを防止することができる。また、供給する水量が少なくなって要求される出力を得ることができなくなってしまうことを防止することができる。
【0065】
なお、上記においては、ガスタービン制御手段31が、必要水量演算手段として、必要出力P0に応じた必要水量Gwを演算するものとしたが、必要水量演算手段を別構成としても良い。また、本実施形態では、水生成手段10によって生成する水を圧縮機2aの吸気に供給する場合として必要水量演算手段を構成するものとしたが、これに限らず、例えば水生成手段10で生成された水を燃焼器2bやタービン2cに供給するものとして、必要水量演算手段によって必要出力P0に応じた必要水量Gwを演算するものとしても良い。この場合においても、予め必要出力P0と必要水量Gwの相関関係を、実機において試験的に運用して求めるものとしても良いし、あるいは、例えば上述の「ガスタービンセオリー第5版」に基づいて理論式を求めるものとしても良い。
【0066】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図9は、本発明の第2の実施形態を示したものである。なお、この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
この実施形態のガスタービンプラント40では、排ガス利用手段として、第1の実施形態の蒸気生成手段に変えて熱交換器41を備えている。熱交換器41は、タービン2cからの一次排ガスG1が流入する伝熱管41aと、被加熱媒体となる流体が流通する被加熱配管41とを有する。被加熱配管41は、上流側で水生成手段10の復水器12と接続されており、生成された水の一部が被加熱媒体として供給され、伝熱管41aを流通する一次排ガスG1に含まれる熱によって加熱される。被加熱配管41を流通して加熱された水は、熱利用設備42に供給される。一方、伝熱管41aを流通して被加熱配管41を加熱することで冷却された一次排ガスG1は、二次排ガスG2として水生成手段10のボイラ本体11に供給される。
【0068】
本実施形態のガスタービンプラント40では、熱交換器41でタービン2cの一次排ガスG1によって被加熱媒体として供給される水を加熱して熱利用設備42に供給することで、熱利用設備42で一次排ガスG1に含まれる熱を有効に利用することができる。そして、熱交換器41で水を加熱した後の低温となった二次排ガスG2の熱を利用して水生成手段10によって水を生成することができる。また、本実施形態では、この生成した水を熱交換器41における被加熱媒体として利用することで、より効率的なものとすることができる。
【0069】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図10は、本発明の第4の実施形態を示したものである。なお、この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0070】
図10に示すように、この実施形態のガスタービンプラント50のガスタービン51は、第一の圧縮機51aと第二の圧縮機51と圧縮機を複数段に備え、第一の圧縮機51aで吸気し圧縮した圧縮流体を連絡配管52を流通させて第二の圧縮機51bに送り込み、第二の圧縮機51bでさらに圧縮した後に燃焼器2bに供給している。ここで、第一の圧縮機51aと第二の圧縮機51bとの間の連絡配管52の間には、中間冷却を行う冷却手段として水冷却手段10のボイラ本体11が設けられている。すなわち、ボイラ本体11には、第一の圧縮機51aで圧縮された圧縮流体が供給ガスとして供給され、図2に示す蒸発器管11dを流通した後に第二の圧縮機51bに吸気される。
【0071】
ここで、ボイラ本体11は、第1の実施形態で既に述べたとおり、復水器12によって負圧状態に設定されていることから、第一の圧縮機51aから排出される比較的低温の圧縮流体によっても蒸気を生成することができる。一方、ボイラ本体11から第二の圧縮機51bに送り出される圧縮流体は、ボイラ本体11で熱を奪われて冷却されることとなり、第二の圧縮機51では冷却された圧縮流体が吸気されることにより効率良くさらに圧縮させて燃焼器2bに供給することができる。
【0072】
以上のように、本実施形態のガスタービンプラント50では、第一の圧縮機51aから生成される圧縮流体を冷却する際に発生する熱を利用して水生成手段10によって水を生成する。このため、水生成手段10による水の生成の影響を受けること無く、タービン2cから排出される一次排ガスG1に含まれる熱を別途、蒸発生成手段3で蒸気を生成し高圧蒸気タービン4及び低圧蒸気タービン5を駆動させるのに有効に利用することができ、全体のエネルギー効率の低下を抑えることができる。一方、水生成手段10では、圧縮流体を冷却した際に発生する熱エネルギーを有効利用して水を生成することができ、全体のエネルギー効率の向上をさらに図ることができる。また、水生成手段10のボイラ本体11を冷却手段として、圧縮流体を冷却することで、別途冷却手段となる構成を設ける必要が無く、装置構成の簡略化、装置コストの低減も図ることができる。
【0073】
なお、本実施形態においても、水生成手段10で生成された水は、第一の圧縮機51aの吸気に供給され、また、蒸気生成手段3に供給されるものとしたが、燃焼器2bやタービン2cへの供給や、外部設備への供給としても良い。また、本実施形態では、水冷却手段10のボイラ本体11が圧縮流体を冷却する冷却手段を兼ねるものとしたが、これに限るものではない。図11は、本実施形態の変形例を示していて、この変形例のガスタービンプラント55では、第一の圧縮機51aと第二の圧縮機51bとの連絡配管52の間には冷却手段として熱交換器56が設けられている。熱交換器56は、連絡配管52を流通する圧縮流体を、伝熱配管56aを流通する冷却用ガスにより冷却するものである。そして、熱交換器56で圧縮流体を冷却することで加熱された冷却用ガスがボイラ本体11に供給ガスとして供給されて、これにより水を加熱し蒸気を生成することができる。
【0074】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図12は、本発明の第5の実施形態を示したものである。なお、この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0075】
図12に示すように、この実施形態のガスタービンプラント60のガスタービン61は、圧縮機2aから抽気してタービン2cの内部の冷却を行う冷却経路62を有している。また、冷却経路62には、圧縮機2aから抽気された圧縮流体を冷却するために冷却手段として熱交換器63が設けられている。熱交換器63には、冷却経路62を流通する圧縮流体を、伝熱配管63aを流通する冷却用ガスにより冷却するものである。そして、熱交換器36で圧縮流体を冷却することで加熱された冷却用ガスがボイラ本体11に供給ガスとして供給されて、これにより水を加熱し蒸気を生成することができる。
【0076】
本実施形態のガスタービンプラント60では、熱交換器63によって冷却経路62を流通する冷却ガスを冷却することで、タービン2c内部を効果的に冷却しつつ、冷却ガスを冷却する際に発生する熱を有効利用して水生成手段10によって水を生成することができる。なお、本実施形態においても、水生成手段10のボイラ本体11を冷却手段を兼ねて冷却経路62の間に設けるものとしても良い。
【0077】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1、25、30、40、50、55、60 ガスタービンプラント
2、51、61 ガスタービン
2a 圧縮機
2b 燃焼器
2c タービン
3 蒸気生成手段(排ガス利用手段)
10 水生成手段
11 ボイラ本体(冷却手段)
12 復水器
13 供給管
15 ボイラ入口バルブ
16 ボイラ出口バルブ
20 ボイラ制御手段
21 ピンチ温度演算部
22 ボイラ圧力演算部
23 入口バルブ制御部
24 出口バルブ制御部
31 ガスタービン制御手段(必要水量演算手段)
41 熱交換器(排ガス利用手段)
51a 第一の圧縮機(圧縮機)
51b 第二の圧縮機(圧縮機)
56 熱交換器(冷却手段)
62 冷却経路
G1 一次排ガス(排ガス)
G2 二次排ガス(供給ガス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機及びタービンを有するガスタービンと、
前記タービンから排出される排ガスを利用するタービン排ガス利用手段と、
復水器及び該復水器と連通して内部を負圧状態に設定されたボイラ本体を有し、前記タービン排ガス利用手段で利用後の排ガスの熱を利用して前記ボイラ本体で蒸気を生成し、前記復水器で該蒸気から水を生成する水生成手段とを備えることを特徴とするガスタービンプラント。
【請求項2】
圧縮機及びタービンを有するガスタービンと、
前記圧縮機から生成される圧縮流体を冷却する冷却手段と、
復水器及び該復水器と連通して内部を負圧状態に設定されたボイラ本体を有し、前記圧縮流体を冷却することにより発生する熱を利用して前記ボイラ本体で蒸気を生成し、前記復水器で該蒸気から水を生成する水生成手段とを備えることを特徴とするガスタービンプラント。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記水生成手段は、前記ボイラ本体に水を供給する給水管に設けられて開閉自在のボイラ入口バルブと、
前記ボイラ本体と前記復水器との間に設けられて開閉自在のボイラ出口バルブと、
生成する必要水量、前記ボイラ本体で利用される前記熱を含み蒸気を生成するために前記ボイラ本体に供給される供給ガスの温度、及び、前記復水器内の圧力に基づいて前記ボイラ入口バルブ及び前記ボイラ出口バルブの開度を制御するボイラ制御手段とを有することを特徴とするガスタービンプラント。
【請求項4】
請求項3に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記ボイラ制御手段は、前記必要水量に基づいて前記供給ガスと生成する蒸気との温度差として要求されるピンチ温度を演算するピンチ温度演算部と、
該ピンチ温度演算部で演算された前記ピンチ温度及び前記供給ガスの温度に基づいて、前記ボイラ本体内で発生させるべきボイラ圧力を演算するボイラ圧力演算部と、
該ボイラ圧力演算部で演算された前記ボイラ圧力及び前記必要水量に基づいて、前記ボイラ入口バルブの開度を演算し該ボイラ入口バルブの開度を制御する入口バルブ制御部と、
前記ボイラ圧力演算部で演算された前記ボイラ圧力、前記必要水量及び前記復水器内の圧力に基づいて、前記ボイラ出口バルブの開度を演算し該ボイラ出口バルブの開度を制御する出口バルブ制御部とを具備することを特徴とするガスタービンプラント。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記ガスタービンの必要出力に基づいて前記必要水量を演算する必要水量演算手段を備え、
前記水生成手段で生成される水の少なくとも一部が前記ガスタービンに供給されることを特徴とするガスタービンプラント。
【請求項6】
請求項1に記載のガスタービンプラントにおいて、
蒸気タービンを備え、
前記タービン排ガス利用手段は、該蒸気タービンに供給する蒸気を生成する蒸気生成手段であることを特徴とするガスタービンプラント。
【請求項7】
請求項1に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記タービン排ガス利用手段は、前記排ガスによって流体を加熱して熱利用設備に供給する熱交換器であることを特徴とするガスタービンプラント。
【請求項8】
請求項2に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記水生成手段は、前記冷却手段を兼ねて、前記圧縮流体を冷却しつつ、該圧縮流体の熱を利用して前記ボイラ本体で蒸気を生成することを特徴とするガスタービンプラント。
【請求項9】
請求項2または請求項8に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記ガスタービンは、前記圧縮機を複数段有し、
前記冷却手段は、複数段の前記圧縮機間の中間冷却を行うことを特徴とするガスタービンプラント。
【請求項10】
請求項2または請求項8に記載のガスタービンプラントにおいて、
前記ガスタービンは、前記圧縮機から抽気して前記タービン内部の冷却を行う冷却経路を有し、
前記冷却手段は、前記冷却経路を流通する冷却ガスの冷却を行うことを特徴とするガスタービンプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−196656(P2010−196656A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44713(P2009−44713)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】