説明

ガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材及びこれを利用した深層濾過型空気フィルターカートリッジ

【課題】 本発明は、圧力損失が低く維持され、ほこり除去工程が不必要になり、かつ、空気フィルター材の気孔サイズに変化がない深層濾過型空気フィルター材及びこれを利用した空気フィルターカートリッジを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明に従ったガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材は、繊度が0.5〜6デニールの静電単繊維不織布と、スパンボンド支持層とで形成され、大きいサイズの粒子を集塵する第一の層と;繊度が6〜20デニールの低融点合成纎維を含むサーマルボンド不織布で形成され、累積集塵量を増加させる第二の層;及び繊度が0.07〜0.9デニールの極細静電メルトブローン繊維で形成され、微細な粒子を凝集させ、圧力損失の増加を抑制し、累積集塵量を倍加する第三の層;を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンを使用する発電所や大型圧縮機を使用する産業現場において、ガスタービン及び圧縮機の吸気を浄化するための深層濾過型空気フィルター材及びこれを利用した深層濾過型空気フィルターカートリッジに関し、特に、静電メルトブローン繊維、静電単繊維、サーマルボンド支持層及び低融点纎維で形成され、曲げ可能であり、低い圧力損失を有し、ほこりなどの粒子の集塵性が優秀であり、優れた発水性と耐水性を有する深層濾過型空気フィルター材及びこれを利用した深層濾過型空気フィルターカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ガスタービンによる発電は、浄化装置によって空気を浄化、浄化された空気を圧縮機で圧縮して燃焼装置へ流入、高温・高圧のガスを発生するために圧縮気を利用して気体燃料を燃消、回転力を得るために高温・高圧のガスを利用してガスタービンを回転及び回転力を利用して発電機を作動させ電気を発生するという順次で行われる。
【0003】
このようなガスタービンは、往復式内燃機関又は蒸気タービンに比べ、簡単な構造、軽量、作動しやすい、電力発生量の多い、低品位燃料の使用可能、故障や震動が少ないというような長所があることから、発電機、機関車、船舶、航空機などで幅広く使われている。
【0004】
従来、ガスタービンに流入された空気を浄化するために、ほこり除去工程が必要となる表面濾過型空気フィルターカートリッジが主に使われている。
【0005】
図1は、従来のガスタービン用圧縮機の吸気浄化装置を示す概略図である。図1に示されたように、外部から流入された汚れた空気1は、フィルターハウジング20の前方部に設置された入口フード19を通過した後、表面濾過型空気フィルターカートリッジ3を通過する。ほこりなどの粒子は、空気フィルターカートリッジの表面で集塵され、汚れた空気が浄化され、浄化された空気2が入口吸音器22へ流入される。
【0006】
空気フィルターカートリッジ3の表面で集塵されたほこりなどの粒子は、ほこり除去用圧縮機から吹気管を通して供給された圧縮気4を空気フィルターカートリッジ3へ噴射することで除去する。図2に示されたように、空気フィルターカートリッジの圧力損失が最終圧力損失に到達すると、ほこり除去用圧縮機は、自動的に、かつ、周期的に圧縮気を空気フィルターカートリッジへ噴射する。
【0007】
従来の表面濾過型空気フィルターカートリッジは、表面濾過方式によってほこりなどの粒子を集塵するので、空気フィルターカートリッジの圧力損失が急激に増加して最終圧力損失に到達するまでにかかる時間が短縮され、ほこり除去用圧縮機の噴射周期も短くなり、これによって、平均圧力損失が高く、発電時出力が低下される問題点があった。
【0008】
上記の表面濾過型空気フィルターカートリッジは、湿式不織布で形成される濾過紙とこの濾過紙の表面にポリエチレンを電気スプレイ処理したスパイダーウェブ型表面層とを含む空気フィルター材を利用して製造される。
【0009】
従来、ガスタービン吸気浄化用表面濾過型空気フィルターについて、様々な特許出願及び登録があった。例えば、米国特許公報第4、720、292号は、ガスタービン用空気フィルターを開示しており、韓国公開特許公報第10-2003-0046424号は、ガスタービンシステムの空気濾過方法を開示している。
【0010】
また、韓国特許公報第10-0304596号は、表面濾過型空気フィルター材のしわ部を所定間隔で配置することで、優れた濾過効果を有し、寿命が長くなり、かつ、空気フィルター材のケーシングを射出成形可能な合成樹脂で形成することで焼却及びリサイクルが可能なガスタービン吸気浄化用空気フィルター及びその製造方法を開示しており、韓国特許公報第10-0308701号は、焼却に関わる問題点を解決するために空気フィルターケーシングから空気フィルターを分離する方法を開示している。さらに、韓国登録実用新案公報第20-0270415号は、各濾過紙に大きいしわ部及び小さいしわ部が混合形成され、濾過紙の組み立てが容易になり、また、小さいしわ部によってガスタービンに流入されたほこりなどの粒子をより容易に除去し、空気フィルターの効率と寿命が向上するガスタービン用表面濾過型空気フィルターを開示しており、韓国登録実用新案公報第20-0270416号は、表面積を大きくするためのしわ部を有する円筒状空気フィルター材と;該空気フィルター材の内外部を囲む内部及び外部スクリーンコアと;該内部及び外部スクリーンコアを固定する上部キャップ及び下部キャップと;該上部キャップと下部キャップを密封するゴムリングを含むガスタービン用表面濾過型空気フィルターを開示している。
【0011】
しかし、前述した従来の空気浄化用空気フィルターは、空気フィルター材のしわ部の解れを防止するために高温での熱処理を必要とするが、高温で熱処理すると、空気フィルター材の表面に形成された被覆層が損傷され、また気孔が収縮、損傷され、これによって差圧が増加するという問題点があった。
【0012】
また、従来の空気フィルターは、しわ部の間隔を維持するためにエンボス加工するが、これによって、気孔の詰まり及び強度低下が発生し、空気フィルター材の多くの通気口が遮断され、空気浄化効率が大きく低下される問題点があった。
【0013】
このような問題点を解決するため、空気フィルター材を構成する各層を相互結合することが提案されている。結合層は、熱接合、樹脂接着、ニードルパンチング、スパンボンド、スパンレース、溶液紡糸などの方法によって製造された不織布から形成される。
【0014】
一方、空気フィルターにおいてほこり粒子の集塵メカニズムは、機械的原理と精電気的原理に基づいている。そのうち、精電気的原理を利用して粒子を集塵する場合、空気フィルターの層は、主にメルトブローン法で製造される。
【0015】
特に、空気フィルターの層を構成する纎維が極細纎維の場合、高効率空気フィルターの製造に使用される。しかし、この高効率空気フィルターは、相対的に粒子の集塵量が少ないという問題点があった。
【0016】
さらに、直径が大きい四角形又は円形の繊維から形成された静電サーマルボンド層又はニードルポンチ層を含む空気フィルターは、集塵量は多いが、集塵効率が低いという問題点があった。
【0017】
最近、このような問題点を解決するために、空気フィルター材を構成する纎維層として超極細繊維又は合成纎維が使用されている。しかし、この空気フィルター材を利用した空気フィルターは、集塵量が少なく、集塵効率が低いので、適用上の問題点があった。
【0018】
結論的に、ガスタービンの燃焼空気用圧縮機に流入された汚れた空気を浄化するために、現在、表面濾過型空気フィルターカートリッジが使用されている。表面濾過型空気フィルターカートリッジは、その平均圧力損失を高く維持する必要があり、また、表面に附着されたほこり除去工程が連続的に行わらなければならない。
【0019】
しかし、表面濾過型空気フィルターカートリッジの平均圧力損失を高く維持すると、空気フィルターシステムの発電効率が低下する。また、ほこり除去工程を連続的に行うので、ほこり除去工程で使用する圧縮気を発生する圧縮機を連続的に作動する必要がある。さらに、ほこり除去工程で、圧縮気の噴射によって空気フィルター材の気孔サイズが大きくなり、この気孔を通じてほこりなどの粒子が流入され、ガスタービンブレードの表面の摩耗、損傷の原因にもなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許公報第4、720、292号
【特許文献2】韓国公開特許公報第10-2003-0046424号
【特許文献3】韓国特許公報第10-0304596号
【特許文献4】韓国特許公報第10-0308701号
【特許文献5】韓国登録実用新案公報第20-0270415号
【特許文献6】韓国登録実用新案公報第20-0270416号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上述した問題点を解決するため、本発明は、圧力損失が低く維持され、ほこり除去工程が不必要になり、かつ、空気フィルター材の気孔サイズに変化がない深層濾過型空気フィルター材及びこれを利用した空気フィルターカートリッジを提供することを課題とする。
【0022】
本発明は、大きいサイズのほこり粒子を先に濾過する第一の層、累積集塵量を増加させる第二の層、及び微細なほこりなどの粒子を凝集させ、圧力損失の増加を抑制し、累積集塵量を倍加する第三の層で形成される多層構造の深層濾過型空気フィルター材を提供することを他の課題とする。
【0023】
本発明は、空気フィルターカートリッジを製造するために空気フィルター材表面に所定間隔でホットメルトを塗布して空気フィルターのしわ部の曲げ間隔を一定に維持するように構成された深層濾過型空気フィルターカートリッジを提供することをさらに他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の課題を解決するための本発明の一つの特徴に従ったガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材は、繊度が0.5〜6デニールの静電単繊維不織布と、スパンボンド支持層とで形成され、大きいサイズの粒子を集塵する第一の層;繊度が6〜20デニールの低融点合成纎維を含むサーマルボンド不織布で形成され、累積集塵量を増加させる第二の層;及び繊度が0.07〜0.9デニールの極細静電メルトブローン繊維で形成され、微細な粒子を凝集させ、圧力損失の増加を抑制し、累積集塵量を倍加する第三の層;を含み、前記深層濾過型空気フィルター材は、重量が100〜400g/m2、NaCl工程での効率が95%以上、5.3cm/secでの圧力損失が4.5mmAq以下であり、曲げ可能である。
【0025】
本発明の他の特徴に従ったガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材は、前記第一の層が、繊度が15デニールのローメルト繊維を含む静電ファイバーウェブで形成されるスパンボンド支持層;及び繊度が0.5〜6デニール、重量が10〜100g/m2、NaCl工程での効率が40%以上、5.3cm/secでの圧力損失が0.5mmAq以下である静電単繊維不織布;を含む。
【0026】
本発明の更に他の特徴に従ったガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材は、前記第二の層のサーマルボンド不織布が、低融点ポリエステル繊維100%で形成される内部及び一般ポリエステル繊維100%で形成される外部を含み、あるいは、各々低融点ポリエステル繊維50%と一般ポリエステル繊維50%で形成される内部及び外部を含み、前記低融点ポリエステル繊維は、繊度が6〜20デニール、5.3cm/secでの圧力損失が0.5mmAq以下であり、重量が40〜200g/m2で容易に曲げ可能である。
【0027】
本発明の更に他の特徴に従ったガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材は、前記第三の層の極細静電メルトブローン繊維が、重量が5〜70g/m2、NaCl工程での効率95%以上、5.3cm/secでの圧力損失が3.0mmAq以下である。
【0028】
本発明の更に他の特徴に従ったガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材は、前記第三の層の極細静電メルトブローン繊維が、単層又は二層以上である。
【0029】
本発明の更に他の特徴に従ったガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材は、前記第一の層の静電単繊維不織布が、単層又は二層以上である。
【0030】
本発明の特徴に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジは、本発明の特徴に従った深層濾過型空気フィルター材を固定する上部キャップ及び下部キャップと;前記上部キャップ及び下部キャップを前記深層濾過型空気フィルター材に付着して密封するエポキシシーラーと;前記深層濾過型空気フィルター材の周縁に固定されたストラップと;及び前記深層濾過型空気フィルター材の内部と外部とに固定され、前記深層濾過型空気フィルター材の曲げ間隔を一定に維持するホットメルトスペーサ;を含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、ほこり除去工程及び圧縮機の作動が不必要になり、平均圧力損失が低く維持され、電気生産出力が増加する。また、ほこりなどの微細粒子の除去性能が優れるので、ガスタービンブレードの摩耗と腐食が防止され、ガスタービンと圧縮機の効率と寿命の極大化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】従来の表面濾過型空気フィルターカートリッジが設置された空気フィルターシステムを示す概略図である。
【図2】従来の表面濾過型空気フィルターカートリッジが設置された空気フィルターシステムの圧力損失と、本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジが設置された空気フィルターシステムの圧力損失を示したグラフである。
【図3】電子顕微鏡で観察した本発明に従った深層濾過型空気フィルター材を構成する各層の纎維形象を示す写真である。
【図4】本発明に従った深層濾過型空気フィルター材を構成する各層の断面図ある。
【図5】本発明に従った深層濾過型空気フィルター材の第一の層の断面図である。
【図6】本発明に従った深層濾過型空気フィルター材の第二の層の断面図である。
【図7】本発明に従った深層濾過型空気フィルター材の第三の層の断面図である。
【図8】本発明に従った深層濾過型空気フィルター材の完成品である深層濾過型空気フィルターカートリッジの外観図である。
【図9】本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジと比較例の深層濾過型空気フィルターカートリッジとの粒子量の増加に伴う圧力損失の変化を示したグラフである。
【図10】本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジと比較例の深層濾過型空気フィルターカートリッジとの累積集塵量を比べたグラフである。
【図11】本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジと比較例の深層濾過型空気フィルターカートリッジとの総集塵効率を比べたグラフである。
【図12】本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジと比較例の深層濾過型空気フィルターカートリッジとの部分集塵効率を比べたグラフである。
【図13】従来の表面濾過型空気フィルターカートリッジ3を本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジ21に置き換えた空気フィルターシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付の図面を参照しながら、本発明の実施例について以下に説明する。また、本発明を説明するにおいて、関連する公知機能又は公知構成に関する具体的な説明が本発明の要旨の理解の妨げになると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0034】
図3は、電子顕微鏡で観察した本発明に従った深層濾過型空気フィルター材を構成する各層の纎維形象を示す写真であり、図4は、本発明に従った深層濾過型空気フィルター材を構成する各層の断面図ある。
【0035】
図示されたように、本発明に従った深層濾過型空気フィルター材は、繊度が0.5〜6デニールの静電単繊維不織布と、スパンボンド支持層で形成され、大きいサイズの粒子を集塵する第一の層5と;繊度が6〜20デニールの低融点合成纎維を含むサーマルボンド不織布で形成され、累積集塵量を増加させる第二の層(中間層)6と;及び繊度が0.07〜0.9デニールの極細静電メルトブローン繊維で形成され、微細な粒子を凝集させ、圧力損失の増加を抑制し、累積集塵量を倍加する第三の層(最終層)7;を含む。
【0036】
第一の層、第二の層及び第三の層で形成される三層複合静電単繊維不織布材は、重量が100〜400g/m2、NaCl工程での効率が95%以上、5.3cm/secでの圧力損失が4.5mmAq以下であり、曲げ可能である。このように数値限定した理由は、その数値範囲で本発明による効果が最も良いからである。
【0037】
また、前記三層複合静電単繊維不織布材には、不飽和カルボキシル酸、脂肪酸金属塩、撥水剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色剤、静電気防止剤などの添加剤が含まれる。
【0038】
前記第一の層を構成する静電単繊維不織布は、繊度が0.5〜6デニールである。
【0039】
また、前記第二の層を構成するサーマルボンド不織布は、単繊維の低融点ポリエステルで形成され、繊度が6〜20デニールである。
【0040】
また、第三の層を構成する極細静電メルトブローン繊維(ultrafine electrostatic melt-blown fabric)は、繊度が0.07〜0.9デニールである。
【0041】
このように数値限定した理由は、その数値範囲で本発明による効果が最も良いからである。
【0042】
図5は、本発明に従った深層濾過型空気フィルター材の第一の層の断面図である。
【0043】
図5に示されたように、第一の層5は、繊度が15デニールのローメルト繊維を含む静電ファイバーウェブで形成されるスホンボンド支持層9と;繊度が0.5〜6デニール、重量が10〜100g/m2、NaCl工程での効率が40%以上、5.3cm/secでの圧力損失が0.5mmAq以下である静電単繊維不織布8;を含む。このように数値限定した理由は、その数値範囲で本発明による効果が最も良いからである。
【0044】
第一の層5に、繊度が15デニールのローメルト繊維を含む静電ファイバーウェブで形成されるホンボンド支持層9と静電単繊維不織布8を利用した理由は、第一の層5がプリフィルター(pre-filter)として機能するので、空気中に含有されている大きいサイズのほこり粒子を先に濾過し、小さいサイズのほこり粒子のみを第二の層6へ送るからである。つまり、第一の層5が大きいサイズの粒子を効率的に濾過し、圧力損失を減少させるためには、纎維が疎く、静電効果を有さなければならない。第一の層5は、静電力によってほこり粒子を集塵し、集塵されたほこり粒子を静電効果によって凝集させ大きい凝集体を生成する。
【0045】
前記静電単繊維不織布8は、単層又は二層以上であることが望ましい。二層以上で構成すれば、ほこり粒子の累積集塵量が増加する。
【0046】
図6は、本発明に従った深層濾過型空気フィルター材の第二の層6の断面図である。
【0047】
図6に示されたように、第二の層6は、曲げ可能なサーマルボンド不織布10で形成される。サーマルボンド不織布10は、低融点ポリエステル繊維100%で形成される内部(コア、core)及び一般ポリエステル繊維100%で形成される外部(シース、sheath)を含み、あるいは、各々低融点ポリエステル繊維50%と一般ポリエステル繊維50%で形成される内部(コア)及び外部(シース)を含む。前記低融点ポリエステル繊維は、繊度が6〜20デニール、5.3cm/secでの圧力損失が0.5mmAq以下、重量が40〜200g/m2で容易に曲げ可能である。
【0048】
このように数値限定した理由は、その数値範囲で本発明による効果が最も良いからである。
【0049】
サーマルボンド不織布10は、95wt.%〜99.9wt.%の非極性物質、0.1wt.%〜5wt.%の強誘電体物質(極性物質)及び0.1wt.%〜0.5wt.%の撥水剤を含む。
【0050】
このように、第二の層に低融点ポリエステルを使用した理由は、低融点ポリエステルが単纎維で放射されると、纎維の均一性が向上し、通気性が増加するからである。
【0051】
図7は、本発明に従った深層濾過型空気フィルター材の第三の層7の断面図である。
【0052】
第三の層7は、極細静電メルトブローン繊維11で形成される。極細静電メルトブローン繊維11は、重量が5〜70g/m2、NaCl工程での効率95%以上、5.3cm/secでの圧力損失が3.0mmAq以下である。
【0053】
極細静電メルトブローン繊維11は、0.1wt.%〜5wt.%の強誘電体物質、0.1wt.%〜0.5wt.%の撥水剤を含む。また、極細静電メルトブローン繊維11は、繊度が0.07〜0.9デニールである。このように数値限定した理由は、その数値範囲で本発明による効果が最も良いからである。
【0054】
第三の層に極細メルトブローン材を使用した理由は、繊度が低いから、濾過効果が大きく、微細な粒子まで効率的に集塵することができ、静電効果を有するので累積集塵量が大きいからである。
【0055】
前記極細メルトブローン材11は、単層又は二層以上であることが望ましい。二層以上で構成すれば、微細なほこりの集塵効率が向上し、累積集塵量が非常に増加する。
【0056】
本発明に従った深層濾過型空気フィルター材の完成品である深層濾過型空気フィルターカートリッジの外観図である。
【0057】
図8に示されたように、深層濾過型空気フィルターカートリッジは、深層濾過型空気フィルター材16を固定する上部キャップ13及び下部キャップ14と;上部キャップ13及び下部キャップ14を深層濾過型空気フィルター材16に付着して密封するエポキシシーラー15;を含む。
【0058】
また、空気フィルターカートリッジは、深層濾過型空気フィルター材16の周縁に固定された三つのストラップ17をさらに含むことが望ましい。
【0059】
また、空気フィルターカートリッジは、深層濾過型空気フィルター材16の内部及び外部に接着剤を利用して所定間隔で固定され、深層濾過型空気フィルター材16のしわ部の曲げ間隔を一定に維持する糸状のホットメルトスペーサ(hot-melted spacer)18をさらに含むことが望ましい。ホットメルトスペーサ18は、図8において水平方向に引かれた白色線で示されている。
【0060】
さらに、空気フィルターカートリッジは、上部キャップに設けられ、空気フィルターカートリッジが多孔板に装着される際空気フィルターカートリッジを密封するゴムリング12を含む。
【0061】
図9は、本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジと比較例の深層濾過型空気フィルターカートリッジとの粒子量の増加に伴う圧力損失の変化を示したグラフである。
【0062】
図9に示されたように、本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジの圧力損失の増加の勾配は、比較例に比べて小さく、最終圧力損失に到逹するまでの作動時間は、本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジが比較例の約2倍である。
【0063】
図10は、本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジと比較例の深層濾過型空気フィルターカートリッジとの累積集塵量を比べたグラフである。図10に示されたように、本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジの累積集塵量は、比較例の約2倍である。
【0064】
図11は、本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジと比較例の深層濾過型空気フィルターカートリッジとの総集塵効率を比べたグラフである。図11に示されたように、本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジの総集塵効率は、比較例に比べて高い。
【0065】
図12は、本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジと比較例の深層濾過型空気フィルターカートリッジとの部分集塵効率を比べたグラフである。
【0066】
図12に示されたように、本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジの部分集塵効率は、粒子サイズが4.0μm以上の場合、約100%として同じであるが、粒子サイズが4.0μm以下の場合は、本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジが比較例に比べて高い。
【0067】
従来の表面濾過型空気フィルターカートリッジ3を本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジ21に置き換えた空気フィルターシステムの概略図である。
【0068】
図13に示されたように、従来の表面濾過型空気フィルターカートリッジ3を本発明に従った深層濾過型空気フィルターカートリッジ21に置き換えることで、フィルターカートリッジ浄化するための圧縮空気4が不必要になり、フィルターカートリッジ浄化装置が不必要になる。
【0069】
以上、本発明について例示的な実施形態に基づいて説明したが、本発明の技術分野に属する通常の知識を有する者であれば、本発明の範囲及び要旨を外れずに種々の変形及び変更が可能であることは自明である。
【符号の説明】
【0070】
1 汚れた空気
2 浄化された空気
3 従来の表面濾過型空気フィルターカートリッジ
4 ほこり除去用圧縮機
5 第一の層
6 第二の層
7 第三の層
8 静電単繊維不織布
9 スパンボンド支持層
10 サーマルボンド不織布
11 極細静電メルトブローン材
12 密封ゴムリング
13 上部キャップ
14 下部キャップ
15 固定用エポキシ樹脂
16 深層濾過型空気フィルター材
17 ストラップ
18 内部/外部ホットメルトスペーサ
19 入口フード
20 フィルターハウジング
21 深層濾過型空気フィルターカートリッジ
22 入口吸音器
23 ガスタービン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材であって:
繊度が0.5〜6デニールの静電単繊維不織布と、スパンボンド支持層とで形成され、大きいサイズの粒子を集塵する第一の層;
繊度が6〜20デニールの低融点合成纎維を含むサーマルボンド不織布で形成され、累積集塵量を増加させる第二の層;及び
繊度が0.07〜0.9デニールの極細静電メルトブローン繊維で形成され、微細な粒子を凝集させ、圧力損失の増加を抑制し、累積集塵量を倍加する第三の層;を含み、
前記深層濾過型空気フィルター材は、重量が100〜400g/m2、NaCl工程での効率が95%以上、5.3cm/secでの圧力損失が4.5mmAq以下であり、曲げ可能である
ことを特徴とするガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材。
【請求項2】
前記第一の層は、
繊度が15デニールのローメルト繊維を含む静電ファイバーウェブで形成されるスパンボンド支持層;及び
繊度が0.5〜6デニール、重量が10〜100g/m2、NaCl工程での効率が40%以上、5.3cm/secでの圧力損失が0.5mmAq以下である静電単繊維不織布;を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材。
【請求項3】
前記第二の層のサーマルボンド不織布は、
低融点ポリエステル繊維100%で形成される内部及び一般ポリエステル繊維100%で形成される外部を含み、あるいは、各々低融点ポリエステル繊維50%と一般ポリエステル繊維50%で形成される内部及び外部を含み、
前記低融点ポリエステル繊維は、繊度が6〜20デニール、5.3cm/secでの圧力損失が0.5mmAq以下であり、重量が40〜200g/m2で容易に曲げ可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材。
【請求項4】
前記第三の層の極細静電メルトブローン繊維は、
重量が5〜70g/m2、NaCl工程での効率95%以上、5.3cm/secでの圧力損失が3.0mmAq以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材。
【請求項5】
前記第三の層の極細静電メルトブローン繊維は、単層又は二層以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材。
【請求項6】
前記第一の層の静電単繊維不織布は、単層又は二層以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン及び圧縮機の吸気浄化用深層濾過型空気フィルター材。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の深層濾過型空気フィルター材を固定する上部キャップ及び下部キャップと;
前記上部キャップ及び下部キャップを前記深層濾過型空気フィルター材に付着して密封するエポキシシーラーと;
前記深層濾過型空気フィルター材の周縁に固定されたストラップと;及び
前記深層濾過型空気フィルター材の内部と外部とに固定され、前記深層濾過型空気フィルター材の曲げ間隔を一定に維持するホットメルトスペーサ;を含む
ことを特徴とする深層濾過型空気フィルターカートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図3】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−190795(P2011−190795A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121193(P2010−121193)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(595065552)コリア インスティチュート オブ エナジー リサーチ (11)
【Fターム(参考)】