説明

ガス分解システムおよびガス分解器の寿命確認方法

【課題】分解しようとするガスが分解されずに排出される可能性を極力抑制しつつ、ガス分解器の能力を限界付近まで使用することでその寿命を長くすることができるガス分解システムを提供すること。
【解決手段】ガス分解システム40は、オゾンガスが供給されるチャンバ11内からオゾンガスを排気する排気配管31に設けられ、オゾンガスを分解するオゾンキラー41と、オゾンキラー41の途中から分岐する分岐配管42と、分岐配管42に設けられたオゾンガスの濃度を検出するオゾンセンサ43と、オゾンセンサ43が検出したオゾンガスの濃度をモニタするモニタ部51aとを具備し、モニタ部51aによりモニタされたオゾンガスの濃度からオゾンキラー41が寿命に達したか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、処理容器から排出されるガスを分解するガス分解システムおよびそれに用いるガス分解器の寿命確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造においては、半導体ウエハ等の被処理基板に対してプラズマエッチングが行われるが、プラズマ中で発生するラジカルやイオンが被処理基板のベベル面や裏面に回り込み、ポリマーがベベル面および裏面上に付着し、ベベル/バックサイドポリマー(Bevel/Backside Polymer、以下BSPという)と称される堆積層を形成する。BSPは、半導体集積回路に対して悪影響を与えるおそれがあるため、これを除去することが求められており、特許文献1にはレーザーとオゾンを用いた熱処理によってBSPを除去する技術が開示されている。
【0003】
オゾンガスは有害なガスであるため、このようなオゾンガスを利用したプロセスを行う装置では、一般的に排気系にオゾンを分解するためのオゾンキラーと呼ばれるガス分解器を設置している(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−123831号公報
【特許文献2】特開平5−262612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オゾンキラーは、使用を継続すると、排気中の水分や窒素酸化物等により経時的に劣化し、オゾンを分解する能力が低下してくる。そのため、オゾンキラーの寿命を把握する必要がある。しかしながら、従来は、オゾンと反応することにより色が変化する試薬を用いる等、オゾンキラーの分解能力が消失したことを把握するものが用いられているに過ぎず、定期確認が必要であるという問題および定期確認までの期間にオゾンが分解されずに排出される可能性があるという問題がある。このため、必要以上に大きな安全率を見てオゾンキラーの寿命を設定する必要があり、オゾンキラーの寿命が短いものになってしまう。
【0006】
このような問題は、オゾンキラーに限らず、他の有害ガスを分解するガス分解器を用いる場合にも同様に存在する。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、分解しようとするガスが分解されずに排出される可能性を極力抑制しつつ、ガス分解器の能力を限界付近まで使用することでその寿命を長くすることができるガス分解システムおよびガス分解システムに用いるガス分解器の寿命確認方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るガス分解システムは、所定のガスが供給される容器内から前記所定のガスを排気する排気流路に設けられ、前記所定のガスを分解するガス分解器と、前記ガス分解器の途中からまたは前記ガス分解器を経た後の前記排気流路から分岐する分岐配管と、前記分岐配管に設けられた前記所定のガスの濃度を検出するガスセンサと、前記ガスセンサが検出した前記所定のガスの濃度をモニタするモニタ部とを具備し、前記モニタ部によりモニタされた前記所定のガスの濃度から前記ガス分解器が寿命に達したか否かを判断することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るガス分解器の寿命確認方法は、所定のガスが供給される容器内から前記所定のガスを排気する排気流路に前記所定のガスを分解するガス分解器を設け、前記ガス分解器の途中からまたは前記ガス分解器を経た後の前記排気流路から分岐する分岐配管に前記所定のガスの濃度を検出するガスセンサを設け、前記ガスセンサが検出した前記所定のガスのガス濃度をモニタし、モニタしたガス濃度から前記ガス分解器が寿命に達したか否かを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガス分解器の途中からまたはガス分解器を経た後の排気流路から分岐する分岐配管にガスセンサを設け、そこで検出した前記所定のガスのガス濃度をモニタし、モニタしたガス濃度からガス分解器が寿命に達したか否かを判断するので、常時ガス分解器の能力を限界付近まで使用することでその寿命確認が可能であり、分解しようとするガスが分解されずに排出される可能性を極力抑制することができる。また、モニタしたガス濃度からガス分解器が寿命に達したか否かを判断するので、設定した寿命までガス分解器を使用することができ、ガス分解器の寿命を長くすることができる。特に、ガス分解器の途中から分岐配管を分岐させてガス濃度を検出することにより、実際の排ガスはさらにガス分解器を通過するため、モニタしている所定のガスの濃度よりも、実際の排ガス中の所定のガスの濃度のほうが低くなる。このため、より安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るガス分解システムが搭載されたBSP除去装置を示す断面図である。
【図2】BSP除去装置のゲートバルブのシール構造を拡大して示す断面図である。
【図3】図1のBSP除去装置に設けられたガス分解システムの他の例を示す模式図である。
【図4】図1のBSP除去装置に設けられたガス分解システムのさらに他の例を示す模式図である。
【図5】図1のBSP除去装置に設けられたガス分解システムのさらにまた他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るガス分解システムが搭載されたBSP除去装置を示す断面図である。
【0013】
このBSP除去装置1は、被処理基板としてBSP2が付着した半導体ウエハ(以下単にウエハと記す)Wを収容する容器であるチャンバ11を備えており、チャンバ11の内部には、ウエハWを回転可能にかつ水平に保持するスピンチャック12が設けられていて、このスピンチャック12にはチャンバ11の下方に設けられた回転モータ13が接続されている。スピンチャック12は例えば真空吸着によりウエハWを保持する。そして、回転モータ13によりスピンチャック12を回転させることにより、スピンチャック12に吸着保持されたウエハWを回転させるようになっている。
【0014】
チャンバ11の内部には、ウエハWの周縁部に対応する位置にBSP除去部14が設けられている。このBSP除去部14は、ウエハWの周縁部が通過するように設けられた切り欠き部16を有する本体15を有し、この本体15の切り欠き部16の下方部分15aには、ウエハWに付着したBSPにレーザーを照射するレーザー照射部としてのレーザー照射ヘッド18が設けられている。レーザー照射ヘッド18は本体15の下方部分15aに沿ってウエハWの径方向に移動可能となっており、また、レーザー照射ヘッド18は角度可変となっている。これにより、BSP2の付着状況に応じてレーザー照射位置を調節可能となっている。また、本体15には、BSP2にオゾンガスを吐出するオゾンガス吐出ノズル20と、オゾンガスをほぼ100%吸引するオゾンガス吸引ノズル19とが設けられている。オゾンガス吐出ノズル20はオゾンガス供給配管21に接続されており、オゾンガス供給配管21にはオゾンガス供給源22からオゾンガスが供給されるようになっている。オゾンガス吸引ノズル19には、主にオゾンガスを排気する排気流路を構成する排気配管31が接続されている。排気配管31は、工場酸排気配管(図示せず)に接続されている。
【0015】
チャンバ11の上部には大気を吸引してチャンバ11の内部に取り入れるためのファン32と、ファン32により吸引された大気のパーティクルを除去するフィルタ33が設けられている。一方、チャンバ11の底部には排気口34が設けられている。そして、ファン32によりフィルタ33を介してチャンバ11内に大気が取り込まれ、排気口34から排気されることによりチャンバ11内に清浄空気のダウンフローが形成されるようになっている。排気口34には排気配管35が接続されており、排気配管35は工場酸排気配管(図示せず)に接続されている。
【0016】
チャンバ11の側壁には、ウエハ搬入出口11aが設けられており、ウエハ搬入出口11aはゲートバルブ23により開閉可能となっている。ゲートバルブ23は、弁体24と弁体24を開閉するエアシリンダ26を有しており、弁体24を閉じた際に、弁体24とチャンバ11との間はシールリング25によりシールされるようになっている。図2の拡大図にも示すように、チャンバ11側壁のシールリング25よりも外側には、リング状の溝27が形成されている。また、この溝27にはガス流路28が接続され、ガス流路28には吸引配管29が接続されている。吸引配管29は後述する排気配管に接続されている。これにより、シールリング25から漏洩したガスが溝27、ガス流路28、吸引配管29を介して吸引される局所排気シールが構成されている。すなわち、シールリング25と局所排気シールの二重シール構造となっている。
【0017】
主にオゾンガスを排気する排気流路を構成する排気配管31には、オゾンガスを分解するガス分解システム40が設けられている。このガス分解システム40は、排気配管31に直接接続された、オゾンガスを分解するガス分解器としてのオゾンキラー41と、オゾンキラー41の途中から延び、オゾンキラー41からガスをサンプリングする分岐配管42と、分岐配管42に接続され、排ガスのオゾン濃度を検出してオゾンキラー41の状態を把握するオゾンセンサ43とを有している。分岐配管42は、排気配管31のオゾンキラー41の下流側に接続されている。分岐配管42の排気配管31との接続部近傍には、分岐配管42に流れる排ガスの流量を調節する流量調節弁44が設けられている。
【0018】
排気配管31には図示しないポンプが設けられており、このポンプにより主にチャンバ11内のオゾンガスを排気することにより、オゾンキラー41でオゾンガスが分解された排ガスが工場酸排気配管へ送給されるようになっている。上記局所排気シールの吸引配管29は、排気配管31のオゾンキラー41上流側に接続されている。
【0019】
オゾンキラー41は、容器内にオゾンガスを分解するための物質が充填された状態となっている。オゾンの分解方法としては種々あるが、ここでは触媒法、活性炭法を利用する。
【0020】
触媒法は、オゾンガスを分解する物質としてオゾン分解触媒を用いてオゾンガスを分解するものであり、オゾン分解触媒として二酸化マンガン(MnO)等の金属酸化物が用いられる。そして、触媒金属Mとオゾン(O)との間で以下の(1)、(2)の反応が繰り返し生じ、オゾンガスが分解される。
MO + O → MO + O …(1)
MO + O → MO + 2O …(2)
この触媒法は、オゾンの分解効率が高いという利点がある。
【0021】
活性炭法は、オゾンガスを分解する物質として活性炭を用いる。オゾンは活性炭と反応し分解され、活性炭の炭素が酸化されて炭酸ガス(CO)、一酸化炭素ガス(CO)が生成される。活性炭法は比較的簡便であるが、オゾンガスの分解速度は触媒法よりも小さい。
【0022】
オゾンセンサ43としては、高精度でオゾン濃度を検出することができればその方式は問わないが、中性ヨウ化カリウム溶液からオキシダントによって遊離したヨウ素イオンの吸光度を測定して定量する方式、オゾンの紫外線領域での吸光度を測定して定量する方式等のJISに規定されている方式を用いたものを好適に用いることができる。
【0023】
なお、オゾンガスはほとんどが吸引ノズル19に吸引されるが、多少は排気口34から排気配管35へ流れるため、排気配管35にも上記ガス分解システム40を設けることが好ましい。
【0024】
BSP除去装置1は、さらに制御部50を有している。制御部50は、主にBSP除去装置1の各構成部を制御するためのものであり、マイクロプロセッサを有する演算部51を備えている。演算部51には、オペレータがBSP除去装置1を管理するためのコマンド等の入力操作を行うキーボードや、ディスプレイ等からなるユーザーインターフェース52が接続されている。また、演算部51には、所定の制御を行うための制御プログラムや、処理レシピが格納された記憶部53が接続されている。処理レシピは記憶部53の中の記憶媒体に記憶されている。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース52からの指示等にて任意の処理レシピを記憶部53から呼び出して実行させることで、所定の処理が行われる。
【0025】
制御部50の演算部51は、オゾンセンサ43のオゾン濃度検出値を常時モニタするモニタ部51aを有しており、モニタ部51aでモニタしたガス濃度からオゾンキラー41が寿命に達したか否かを判断する。具体的には、モニタ部51aはこの濃度検出値が基準値を超えたか否かを判定し、基準値を超えたと判定した時点で、オゾンキラー41が寿命に達したと判断し、モニタ部51aに接続されたアラーム装置54に指令を発するようになっている。そして、その指令を受けたアラーム装置54はアラームを発生する。
【0026】
このように構成されるBSP除去装置においては、まず、ゲートバルブ23の弁体24を開にして、図示しない搬送アームによりウエハWを搬入出口11aを介してチャンバ11内に搬入し、スピンチャック12に真空吸着させる。そして、ゲートバルブ23の弁体24を閉じ、チャンバ11を気密にシールする。
【0027】
次いで、回転モータ13によりスピンチャック12を回転させ、これによりスピンチャック12に吸着保持されているウエハWを回転させる。そして、このようにウエハWを回転させつつ、BSP除去部14のレーザー照射ヘッド18からウエハWに付着したBSP2にレーザーを照射するとともに、オゾンガス吐出ノズル20からオゾンガスを吹き付け、オゾンガス吸引ノズル19でオゾンガスを吸引する。これにより、レーザー照射による熱とオゾンガスによる酸化によって、BSP2が除去される。このとき、レーザーが所望の位置に当たるように、照射ヘッド18をウエハWの径方向に移動させるとともに、レーザー照射ヘッド18の角度調節を行う。
【0028】
このBSP除去処理の際には、オゾンガス吐出ノズル20からオゾンガスが供給され、オゾンガス吸引ノズル19から排気流路としての排気配管31を経て排気されるため、排気配管31を流れる排ガス中にはオゾンガスが高濃度で含まれている。オゾンガスは有害なガスであるため、排気配管31にオゾンキラー41を設け、オゾンガスを分解してから排出する。オゾンキラー41は経時的に劣化してオゾンガスを分解する能力が低下し、そのまま使用を続けると、オゾンガス濃度の高い排ガスが排出されてしまうため、オゾンキラー41の寿命を判定する必要がある。
【0029】
そのため、本実施形態では、オゾンセンサ43を用いてオゾンキラー41の途中からサンプリングした排ガス中のオゾンガス濃度を検出し、そのオゾンガス濃度をモニタ部51aでモニタし、モニタ部51aでモニタしたガス濃度からオゾンキラー41が寿命に達したか否かを判断する。具体的には、モニタ部51aはオゾンガス濃度の検出値が基準値を超えたか否かを判定し、基準値を超えたと判定した時点で、オゾンキラー41が寿命に達したと判断し、モニタ部51aに接続されたアラーム装置54に指令を発し、その指令を受けたアラーム装置54はアラームを発生する。そして、アラームを確認したオペレータは、BSP除去装置1を停止し、オゾンキラー41を交換する。
【0030】
このときの基準値は、安全のため実際に規定された濃度よりも低い値に設定する。具体的には、オゾンガスの安全基準は0.1ppm以下であるが、例えば20%の安全率を見て0.08ppmを基準値とする。これにより、安全基準を超えるオゾンガスを流すことを極力抑制することができる。
【0031】
このようにオゾンキラー41を経た排ガス中のオゾン濃度を検出して常時モニタするので、常時オゾンキラー41の寿命確認が可能であり、オゾンガスが分解されずに排出される可能性を極力抑制することができる。また、モニタしたオゾンガス濃度からオゾンキラー41が寿命に達したか否かを判断するので、設定した寿命までオゾンキラー41を使用することができ、ガス分解器の寿命を従来よりも長くすることができる。
【0032】
また、オゾンキラー41の途中から分岐配管42を分岐させて排ガスをサンプリングすることによりオゾン濃度を検出するので、オゾンキラー41の全部を通過する実際の排ガスよりも通過するオゾンキラー41の長さが短く、モニタ部51aでモニタしているオゾン濃度よりも、実際の排ガス中のオゾン濃度のほうが低くなるようにすることができ、より安全性を高めることができる。また、これによりオゾンキラー41を交換するまでの間の安全性を確保することもできる。
【0033】
さらに、分岐配管42は、オゾンセンサ43を経た後、排気配管31に接続されているので、オゾン濃度測定後の排ガスを通常の排ガスとともに工場の酸排気配管に送給することができる。この場合に、分岐配管42はオゾンキラー41の下流側に接続されているため、流量調節弁44を適切に調節することにより、分岐配管42にポンプを設けることなく排気配管31のポンプによって適切な流量で分岐配管42に排ガスを流すことができる。流量調節弁44を調節しただけでは分岐配管42に排ガスが適切に流れない場合もあり得るが、その場合でもオゾンセンサ43に内蔵されたまたは分岐配管42に外置きされた小型のポンプで十分に対応することができ、設備負担は小さい。
【0034】
さらにまた、ゲートバルブ23の弁体24を閉の状態にした場合に、シールリング25と局所排気シールの二重シール構造となっているため、シールリング25のシールが不十分な場合であっても、有害なオゾンガスが外部に漏洩することを防止することができ、より安全性を高めることができる。また、局所排気シールの吸引配管29はチャンバ11の排気配管31に接続されているため、排気配管31のポンプにより吸引することができ簡便であるとともに、吸引したガスに基準値以上のオゾンガスが含まれていても、オゾンキラー41で分解して排気することができる。
【0035】
次に、ガス分解システムの他の例について説明する。
図3は、ガス分解システムの他の例を示す模式図である。この例のガス分解システム40aでは、分岐配管42の代わりに、オゾンキラー41の途中から延び、排気配管31のオゾンキラー41上流側に接続する分岐配管42aを有しており、オゾンセンサ43はこの分岐配管42aに設けられ、分岐配管42aの排気配管31との接続部近傍に流量調節弁44が設けられている。このような構成においては、オゾンセンサ43によりオゾン濃度を検出した後のガスをオゾンキラー41の上流側に戻すので、再びオゾンキラー41を通過することになり、基準濃度以上のオゾンを含有する排ガスを工場の酸排気設備に流すおそれを一層小さくすることができる。この場合に、分岐配管42aは、排気配管31の下流側から上流側に流すため、オゾンセンサ43に内蔵されたまたは分岐配管42aに外置きされたポンプを用いることが好ましい。ただし、流量調節弁44による排気調整によりポンプが不要な場合もあり得る。
【0036】
図4は、ガス分解システムのさらに他の例を示す模式図である。この例のガス分解システム40bでは、分岐配管42の代わりに、オゾンキラー41を経た後の排気配管31から延び、排気配管31のさらに下流側に接続する分岐配管42bを有しており、オゾンセンサ43はこの分岐配管42bに設けられ、分岐配管42bの排気配管31との接続部近傍に流量調節弁44が設けられている。このような構成でも、安全率を高く設定する等、安全対策を十分にとることにより、適用可能である。
【0037】
図5は、ガス分解システムのさらにまた他の例を示す模式図である。この例のガス分解システム40cでは、分岐配管42の代わりに、オゾンキラー41を経た後の排気配管31から延び、排気配管31の上流側に接続する分岐配管42cを有しており、オゾンセンサ43はこの分岐配管42cに設けられ、分岐配管42cの排気配管31との接続部近傍に流量調節弁44が設けられている。オゾンセンサ43によりオゾン濃度を検出した後のガスをオゾンキラー41の上流側に戻すので、再びオゾンキラー41を通過することになり、基準濃度以上のオゾンを含有する排ガスを工場の酸排気設備に流すおそれを小さくする効果を得ることができる。この場合にも図3の例と同様、分岐配管42cは、排気配管31の下流側から上流側に流すため、オゾンセンサ43に内蔵されたまたは分岐配管42cに外置きされたポンプを用いることが好ましい。ただし、流量調節弁44による排気調整によりポンプが不要な場合もあり得る。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、本発明をBSP除去装置に適用した場合について示したが、オゾンを排出する処理であれば他の装置にも適用可能である。また、分解すべきガスはオゾンに限らない。なお、本発明のような分解法に限らず、Cl、HCl等の塩素系ガス、SiF等のフッ素系ガス、HBr等の臭素系ガスを吸着法により無害化し、排気する場合にも、本発明と同様の手法を適用することができる。
【0039】
また、上記実施形態では、オゾンセンサの情報を演算部のモニタ部で基準値と比較することによりモニタし、基準値を超えた場合にアラームを発するようにしたが、これに限らず、単に検出値をディスプレイでモニタしてそれを見ながらオペレータがオゾンキラー(ガス分解器)の寿命を判断する等、他の方法を採用することもできる。
【0040】
さらにまた、上記実施形態では、被処理基板として半導体ウエハを用いた例を示したが、これに限るものではなく、FPD(フラットパネルディスプレイ)用基板等、他の基板であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1;BSP除去装置
2;BSP
11;チャンバ
12;スピンチャック
13;回転モータ
14;BSP除去部
18;レーザー照射ヘッド
19;オゾンガス吸引ノズル
20;オゾンガス吐出ノズル
22;オゾンガス供給源
23;ゲートバルブ
31;排気配管
40;ガス分解システム
41;オゾンキラー
42,42a,42b,42c;分岐配管
43;オゾンセンサ
50;制御部
51;演算部
51a;モニタ部
54;アラーム装置
W;ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のガスが供給される容器内から前記所定のガスを排気する排気流路に設けられ、前記所定のガスを分解するガス分解器と、前記ガス分解器の途中からまたは前記ガス分解器を経た後の前記排気流路から分岐する分岐配管と、前記分岐配管に設けられた前記所定のガスの濃度を検出するガスセンサと、前記ガスセンサが検出した前記所定のガスの濃度をモニタするモニタ部とを具備し、前記モニタ部によりモニタされた前記所定のガスの濃度から前記ガス分解器が寿命に達したか否かを判断することを特徴とするガス分解システム。
【請求項2】
前記分岐配管は、前記ガスセンサを経た後、前記排気流路における前記ガス分解器の下流側に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のガス分解システム。
【請求項3】
前記分岐配管は、前記ガスセンサを経た後、前記排気流路における前記ガス分解器の上流側に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のガス分解システム。
【請求項4】
前記排気流路における前記ガス分解器の上流側には、前記容器を密閉するための弁体からの前記所定のガスの漏洩を防止するための局所排気シールの排気ラインが接続されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガス分解システム。
【請求項5】
前記所定のガスはオゾンガスであり、前記ガス分解器はオゾンキラーであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガス分解システム。
【請求項6】
前記モニタ部は、前記ガスセンサの検出値と予め設定された基準値とを比較し、基準値を超えたと判断した時点で、前記ガス分解器が寿命に達したと判断することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガス分解システム。
【請求項7】
所定のガスが供給される容器内から前記所定のガスを排気する排気流路に前記所定のガスを分解するガス分解器を設け、前記ガス分解器の途中からまたは前記ガス分解器を経た後の前記排気流路から分岐する分岐配管に前記所定のガスの濃度を検出するガスセンサを設け、前記ガスセンサが検出した前記所定のガスのガス濃度をモニタし、モニタしたガス濃度から前記ガス分解器が寿命に達したか否かを判断することを特徴とするガス分解器の寿命確認方法。
【請求項8】
前記分岐配管は、前記ガスセンサを経た後、前記排気流路における前記ガス分解器の下流側に接続されていることを特徴とする請求項7に記載のガス分解器の寿命確認方法。
【請求項9】
前記分岐配管は、前記ガスセンサを経た後、前記排気流路における前記ガス分解器の上流側に接続されていることを特徴とする請求項7に記載のガス分解器の寿命確認方法。
【請求項10】
前記所定のガスはオゾンガスであり、前記ガス分解器はオゾンキラーであることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のガス分解器の寿命確認方法。
【請求項11】
モニタした前記ガスセンサの検出値と予め設定された基準値とを比較し、基準値を超えたと判断した時点で、前記ガス分解器が寿命に達したと判断することを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載のガス分解器の寿命確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−5360(P2011−5360A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148586(P2009−148586)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】