説明

ガス器具判別装置と判別方法

【課題】必要最小限のガス流量計測を行い、必要最小限の計測データを用いてガス器具の判別を効率よく高精度に行うことを可能とする。
【解決手段】抽出タイミング判定手段60は、特徴抽出を行うタイミングを判定した場合に、パターン判定として、パターン化手段30によるパターン化、特徴抽出手段50による特徴抽出、および器具判別手段70による器具判別を行わせる。パターン化手段30は、計測データ記録手段20に記録された計測データを読み出し、パターン化して計測データパターンを抽出する。特徴抽出手段50は、計測データ記録手段20および計測データパターン記録手段40からデータを読み出して、器具判定用の特徴抽出を行う。器具判別手段70は、抽出された計測データパターンの特徴と各ガス器具の特徴データまたはガス漏れの特徴データとを比較して器具判別を行い、判別結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各家庭へのガス供給ライン中に設置され、ガス流量計を有するガスメータなどに利用されるガス器具判別装置および判別方法に関するもので、特に、使用中のガス器具の種別やガス漏れの有無を特定することにより、ガス器具に対応したより高度な保安機能やサービスの提供を可能とする技術に係る。
【背景技術】
【0002】
各家庭へのガス供給ラインの入り口には、ガス流量計を内蔵したガスメータが取り付けられている。ガスメータは、ガス供給ラインを通過するガス流量を計測し、計測されたガス流量は定期的な請求ガス料金の算出に利用される。かかるガスメータは、ガス流量の計測という基本的な機能に加えて、異常状態発生時にガス供給を遮断するという保安機能を有する。この保安機能は、地震の検出やガス漏れまたは器具の消し忘れなどの異常な使用状態の検出に応答して、ガスメータのガス流路内に設けられた遮断弁によりガスを遮断する機能である。
【0003】
図27は、上記保安機能の一つである安全継続使用時間オーバ時の遮断機能に利用される安全継続使用時間設定値を示す図である。この機能は、ガス流量の発生が検出されてから、そのガス流量が継続して使用される場合に、継続時間が過度に長くなる時は、ガス漏れなどの何らかの異常な使用状態が発生したとみなして、ガスを遮断する機能である。
【0004】
図27に示されるとおり、ガス流量が大きい大型の湯沸かし器は、せいぜい30分程度しか継続して使用されず、一方で、ガス流量が小さいストーブは、長時間継続して使用されるであろうとの前提で、ガス流量が大きい時の安全継続使用時間を短く、ガス流量が小さい時の安全継続使用時間を長く設定している。
【0005】
そして、ガスメータは、ガス流量が発生した時点や増加側に変化した時点で、何らかのガス器具の使用が開始されたと判断して、その流量が継続する時間を計測し、図27に示す安全継続使用時間を超えてその流量が継続する場合に、保安上の理由からガス遮断を行っている。従って、使用中のガス器具を特定することなく、使用ガス流量に基づいて、安全継続使用時間オーバ遮断を行っている。
【0006】
しかしながら、図27に示されるとおり、少ないガス流量レンジ(流量の大小の範囲)に、比較的長時間使用されるストーブと、比較的短時間しか使用されないコンロや小型湯沸かし器などの、使用時間の大きく異なる複数種類のガス器具が存在する。従来のガスメータでは、使用中のガス器具の種別を特定することができないので、長時間使用のストーブに合わせてこの流量レンジの安全継続使用時間をかなり長く設定している。このような長時間に設定された安全継続使用時間は、同じ流量レンジに存在するコンロや小型湯沸かし器に対しては過度に長くなってしまい、必ずしも最適な安全継続使用時間であるとはいえなかった。すなわち、この手法は、使用中のガス器具の種別を特定するものではないため、ガス器具の種別に適した保安機能を提供することは困難である。
【0007】
このような問題点を克服する観点から、ガス器具判別装置に関する提案が、たとえば特許文献1〜3に示すように従来からなされている。これらの従来技術では、ガス器具が使用された時のガス流量の変化から使用中のガス器具の種別を判定するために、複雑な一連のガス流量の変化を燃焼制御ステップ毎に分割した部分流量パターンという概念を使用して、次のような手法によりガス器具の種別を判別している。
【0008】
すなわち、まず、使用可能性がある複数種類のガス器具について、部分流量パターンを制御ステップ毎に分類して流量パターンテーブルに登録しておく。さらに、複数種類のガス器具に対応する部分流量パターンの組合せを器具テーブルに登録しておく。そして、ガス流量計が検出したガス流量パターンとマッチングする部分流量パターンを流量パターンテーブルから抽出し、さらに、抽出された部分流量パターンの組合せとマッチングするガス器具を器具テーブルから抽出する。
【0009】
この従来技術では、ガス器具の燃焼制御に伴う複雑な一連のガス流量パターンを、制御ステップ毎に分割した部分流量パターンに単純化し、検出されたガス流量パターンとのマッチングを容易にし、ガス器具の種別の判定を可能にしている。
【0010】
特に、特許文献1〜3に記載の発明は、燃焼制御ステップとして、少なくとも「点火時」「その後の初期過渡期」「流量が安定する安定期」という3つの流量パターンに基づいてガス器具を判定するものである。また、この流量パターンに加えて、制御ステップごとに流量レンジ(流量の大小の範囲)も監視して、検出したガス流量パターンの流量が、予め器具テーブルに登録されていた流量レンジ内に該当するか否かも考慮して、器具を判別することも行っている。
【特許文献1】特開2003−149019
【特許文献2】特開2003−149027
【特許文献3】特開2003−149075
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記のような特許文献1〜3に記載の従来技術において、ガス器具の判別精度を向上するためには、ガス流量の瞬時の変化を見逃すことなく、ガス流量の時間軸に沿った変化を正確に把握する必要がある。そのための方法としては、できるだけ短い計測周期で計測されたガス流量の計測データを用いて、できるだけ短い時間間隔で連続的にデータ解析を行うことが考えられる。
【0012】
しかしながら、このような方法を採用した場合、高頻度のガス流量計測を行って大量の計測データを取得し、高頻度のデータ解析を行わなければならず、大容量のメモリや記憶装置が必要となる上、器具判別のための処理効率が低下してしまう。また、ガス流量の計測用の消費電力が増加するという問題も生じる。計測用の電源には、一般的に電池が採用されているため、高頻度のガス流量計測により電池の消耗が早まってしまう。
【0013】
また、ガス器具の判別精度を向上するためには、ガス器具の種別を確実に特定可能とするような、ガス器具毎の特徴を明確かつ詳細に定義する特徴データを用意することも重要であるが、従来、そのような識別性の高い特徴データは確立されていない。
【0014】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであって、その第1の目的は、必要最小限のガス流量計測を行い、必要最小限の計測データを用いてガス器具の判別を効率よく高精度に行うことが可能で、メモリや記憶装置、計測用の電力の節減に有用な、器具判別性能および経済性に優れたガス器具判別装置および判別方法を提供することである。
【0015】
また、本発明の第2の目的は、ガス器具毎の特徴を明確かつ詳細に定義する識別性の高い特徴データを用意するか、または、判別対象器具の特徴を明確かつ詳細に示す識別性の高い特徴を抽出可能とすることにより、ガス器具の判別を効率よく高精度に行うことが可能な、器具判別性能に優れたガス器具判別装置および判別方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の第1の目的を達成するために、請求項1に記載のガス器具判別装置は、ガス流路に設けられて予め設定された計測周期でガス流量の瞬時流量を計測する計測手段と、この計測手段により計測されたガス流量の計測値をその計測時刻とともに計測データとして記録する計測データ記録手段と、この計測データ記録手段に記録された計測データの特徴を抽出する特徴抽出手段と、予め設定された特徴抽出のタイミングであると判定した場合に、前記特徴抽出手段による特徴抽出を行わせる抽出タイミング判定手段と、前記特徴抽出手段によって抽出された計測データの特徴を用いて、前記ガス流路に接続された供給先のガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力する器具判別手段を備え、前記特徴抽出のタイミングおよび前記計測周期は、前記ガス器具の使用段階に応じてそれぞれ設定されており、前記特徴抽出のタイミングは、所定の時間間隔で周期的に決定される周期的タイミング、または、前記計測手段で計測された計測値の変化を検出した時点で決定される変化検出タイミングのいずれかであることを特徴とする。
【0017】
上記の第2の目的を達成するために、請求項32に記載のガス器具判別装置は、ガス流路に設けられて予め設定されたガス流量計測周期でガス流量の瞬時流量を計測するガス流量計測手段と、前記ガス流路に設けられて予め設定された供給圧力計測周期で瞬時圧力を計測する供給圧力計測手段と、前記ガス流量計測手段により計測されたガス流量の計測値をその計測時刻とともにガス流量計測データとして記録するガス流量記録手段と、前記供給圧力計測手段により計測された供給圧力の計測値をその計測時刻とともに供給圧力計測データとして記録する供給圧力記録手段と、前記ガス流量記録手段および前記供給圧力記録手段に記録されたガス流量および供給圧力の各計測データの特徴を抽出すると共に、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を抽出する特徴抽出手段と、前記ガス流路の供給先となる複数種別のガス器具について、ガス器具ごとの特徴に関する特徴データおよびガス漏れの特徴に関する特徴データとして、ガス流量および供給圧力の各計測データの特徴とガス流量と供給圧力の相関関係の特徴に関する特徴データを記憶した特徴データ記憶手段と、前記特徴抽出手段によって抽出された各計測データの特徴および相関関係の特徴と、前記特徴データ記憶手段に記憶されている各ガス器具の特徴データまたはガス漏れの特徴データとを比較して、使用されているガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力する器具判別手段を備え、前記ガス流量が立上り後に一定値または連続的変化を示す区間を安定区間と称した場合に、前記特徴データ記憶手段に記憶されているガス器具の特徴データは、立上り時における最大流量値に関する特徴、立上り前の圧力値と立上り後の最初の安定区間の圧力値との差分値に関する特徴、および、安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係に関する特徴を含むことを特徴とする。
【0018】
上記の第2の目的を達成するために、請求項42に記載のガス器具判別装置は、ガス流路に設けられて予め設定されたガス流量計測周期でガス流量の瞬時流量を計測するガス流量計測手段と、前記ガス流路に設けられて予め設定された供給圧力計測周期で瞬時圧力を計測する供給圧力計測手段と、前記ガス流量計測手段により計測されたガス流量の計測値をその計測時刻とともにガス流量計測データとして記録するガス流量記録手段と、前記供給圧力計測手段により計測された供給圧力の計測値をその計測時刻とともに供給圧力計測データとして記録する供給圧力記録手段と、前記ガス流量記録手段および前記供給圧力記録手段に記録されたガス流量および供給圧力の各計測データの特徴を抽出すると共に、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を抽出する特徴抽出手段と、前記ガス流路の供給先となる複数種別のガス器具について、ガス器具ごとの特徴に関する特徴データおよびガス漏れの特徴に関する特徴データとして、ガス流量および供給圧力の各計測データの特徴とガス流量と供給圧力の相関関係の特徴に関する特徴データを記憶した特徴データ記憶手段と、前記特徴抽出手段によって抽出された各計測データの特徴および相関関係の特徴と、前記特徴データ記憶手段に記憶されている各ガス器具の特徴データまたはガス漏れの特徴データとを比較して、使用されているガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力する器具判別手段を備え、前記特徴抽出手段は、ガス流量計測データおよび供給圧力計測データの特徴、および、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を、所定の判定方法で抽出するように構成され、前記ガス流量が立上り後に一定値または連続的変化を示す区間を安定区間と称した場合に、前記特徴抽出手段による前記所定の判定方法は、立上り時における最大流量値を抽出し、その値を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法、立上り前の圧力値と立上り後の最初の安定区間の圧力値との差分値を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法、および、安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法を含むことを特徴とする。
【0019】
また、請求項30、40、52に記載のガス器具判別方法は、請求項1、32、42に記載のガス器具判別装置の機能を方法の観点からそれぞれ把握したものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1、30に記載のガス器具判別装置および判別方法によれば、ガス流量などの計測データを記録し、その特徴を適切なタイミングで抽出することで、器具判別に有効な特徴を効率よく高精度に抽出できる。そして、得られた特徴に基づき、ガス器具の種別およびガス漏れの有無を効率よく高精度に判別できる。この場合、特徴抽出のタイミングおよび計測周期は、ガス器具の使用段階に応じて最適に設定できる。したがって、必要最小限のガス流量計測を行い、必要最小限の計測データを用いてガス器具の判別を効率よく高精度に行うことが可能で、メモリや記憶装置、計測用の電力の節減に有用な、性能品質および経済性に優れたガス器具判別装置および判別方法を提供することができる。
【0021】
請求項32、40に記載のガス器具判別装置および判別方法によれば、ガス器具毎の特徴を、ガス流量の特徴だけでなく、供給圧力の特徴、およびガス流量と供給圧力の相関関係をも含む複数の特徴を用いて詳細に定義することにより、器具判別の比較用の特徴データとして、ガス器具毎の特徴を明確かつ詳細に定義する識別性の高い特徴データを実現できる。また、請求項42、52に記載のガス器具判別装置および判別方法によれば、判別対象となる器具の特徴を、ガス流量の特徴だけでなく、供給圧力の特徴、およびガス流量と供給圧力の相関関係をも含む複数の特徴を用いた詳細な判定方法を用いて抽出することにより、判別対象器具の特徴を明確かつ詳細に示す識別性の高い特徴を抽出できる。したがって、請求項32、40、42、52に記載のガス器具判別装置および判別方法によれば、比較用として定義された識別性の高い特徴データ、または、判別対象器具について抽出された識別性の高い特徴を用いることにより、ガス器具の判別を効率よく高精度に行うことが可能な、器具判別性能に優れたガス器具判別装置および判別方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下には、本発明を適用した複数の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
[構成]
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係るガス器具判別装置の構成を示す機能ブロック図である。この図1に示すように、本実施形態のガス器具判別装置は、計測手段10、計測データ記録手段20、パターン化手段30、計測データパターン記録手段40、特徴抽出手段50、抽出タイミング判定手段60、器具判別手段70、判別結果出力手段80、から構成されている。各手段10〜80の詳細は次の通りである。
【0024】
計測手段10は、ガス流路に設けられてガス流路を流れるガスに関する物理量として、ガス流量Q、供給圧力P、ガス温度Tを、ガス器具の使用段階に応じた一定の計測周期でそれぞれ計測するガス流量計測手段11、供給圧力計測手段12、ガス温度計測手段13、を含む。
【0025】
計測データ記録手段20は、ガス流量計測手段11、供給圧力計測手段12、ガス温度計測手段13で計測されたガス流量Q、供給圧力P、ガス温度Tの計測値をその計測時刻とともに計測データとしてそれぞれ記録するガス流量記録手段21、供給圧力記録手段22、ガス温度記録手段23、を含む。
【0026】
パターン化手段30は、計測データ記録手段20に記録された計測データを読み出し、時間軸に沿った変化を示す計測データを、予め設定された範囲内の変化を除去して一定の値に置き換えることでその範囲を超える変化のみを示すデータにパターン化して計測データパターンを抽出する手段である。パターン化の詳細については後述する。
【0027】
計測データパターン記録手段40は、パターン化手段30で抽出されたガス流量Q、供給圧力P、ガス温度Tの各計測データパターンをそれぞれ記録するガス流量パターン記録手段41、供給圧力パターン記録手段42、ガス温度パターン記録手段43、を含む。
【0028】
特徴抽出手段50は、計測データ記録手段20の各手段21〜23および計測データパターン記録手段40の各手段41〜43からデータを読み出して、器具判定用の特徴抽出を行う手段である。
【0029】
抽出タイミング判定手段60は、特徴抽出を行うタイミングを判定し、予め設定された特徴抽出のタイミングであると判定した場合に、パターン判定として、パターン化手段30によるパターン化、特徴抽出手段50による特徴抽出、および器具判別手段70による器具判別を行わせる手段である。ここで、特徴抽出のタイミングは、ガス器具の使用段階に応じてそれぞれ設定されている。この特徴抽出のタイミングは、所定の時間間隔で周期的に決定される周期的タイミング、または、前記計測手段で計測された計測値の変化を検出した時点で決定される変化検出タイミングのいずれかである。
【0030】
器具判別手段70は、ガス流路の供給先となる複数種別のガス器具についてガス器具ごとの特徴に関する特徴データおよびガス漏れの特徴に関する特徴データを記憶した特徴データ記憶手段71を有する。器具判別手段70は、特徴抽出手段50によって抽出された計測データパターンの特徴と特徴データ記憶手段71に記憶されている各ガス器具の特徴データまたはガス漏れの特徴データとを比較して、使用されているガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力する。
【0031】
判別結果出力手段80は、器具判別手段70から出力された器具判別結果を外部に出力する。
【0032】
以上のような本実施形態のガス器具判別装置は、一般的に、ガスメータに設置され、各手段は、次のように実現される。まず、ガス流量計測手段11としては、例えば、超音波流量計などの流量検出手段により、一定の計測周期でガス流量(瞬時流量)Qを計測する瞬時流量検出装置が使用される。供給圧力計測手段12としては、圧力センサや圧力計などの圧力検出手段により、一定の計測周期で供給圧力Pを計測する装置が使用される。ガス温度計測手段13としては、温度センサや温度計などの温度検出手段により、一定の計測周期でガス温度Tを計測する装置が使用される。
【0033】
また、計測データ記録手段20と計測データパターン記録手段40、および特徴データ記憶手段71は、各種の記憶装置やメモリによって実現可能である。また、パターン化手段30、特徴抽出手段50、抽出タイミング判定手段60、および器具判別手段70は、一般的には、各種の電子回路またはコンピュータとこれらの手段30,50〜70の機能を実現するために特化されたプログラムとの組み合わせにより実現可能である。
【0034】
一方、判別結果出力手段80は、ガスメータに設けられたLCDなどの表示装置、ガスメータに設けられたLCDなどの表示装置、外部に設けられた通報装置、その他、ディスプレイ、プリンタあるいはガス漏れ警報装置などの、各種の出力手段により実現可能である。
【0035】
[各手段の具体的な処理内容]
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のガス器具判別装置における特徴的な手段として、計測データ記録手段20、パターン化手段30、抽出タイミング判定手段60の具体的な処理方式について順次説明した後、抽出タイミング判定手段60のパターン判定時に使用されるデータについて説明する。
【0036】
[計測データ記録手段の具体的な記録方式]
図2は、本実施形態の計測データ記録手段20の具体的な記録方式として、ガス流量記録手段21の記録方式の一例を示す図である。この図2は、特に、ガス流量Qの挙動と、ガス流量記録手段21の記録状況について、時間的な推移を示したものである。
【0037】
この図2に示すように、ガス流量記録手段21には、ガス器具の使用段階に応じた一定の計測周期で計測されたガス流量(瞬時流量)Qの計測値がその計測時刻とともに計測データとして順次記録され、過去のデータも捨てずに蓄積される。
【0038】
このような計測データの記録処理が時間軸に沿って連続的に行われることにより、図2に示すように、時間が(1)、(2)、(3)と経過するにつれて、ガス流量記録手段21に記録されているデータは増加していく。
【0039】
なお、図示していないが、供給圧力記録手段22、ガス温度記録手段23についても、同様に、計測データの記録処理が時間軸に沿って連続的に行われ、時間の経過につれて、記録されているデータは増加していく。
【0040】
[パターン化手段の具体的なパターン化方式]
図3は、本実施形態のパターン化手段30の具体的なパターン化方式として、特に、ガス流量Qの計測データのパターン化の一例を示す図である。図3のパターン化前データ(A)に示すように、実際に計測されたデータにはばらつきがあるため、パターン化手段30は、そのばらつきを平均化して図3のパターン化後データ(B)に示すように、判定のしやすい形態にパターン化する。
【0041】
図3のパターン化前データ(A)において、「α」は同一流量とみなされる流量幅であり、この「流量幅α」の範囲内に入る流量データは同一流量であるとみなされる。例えば、パターン化前データ(A)の「区間a」は、「流量幅α」の範囲内に入っているため同一流量とみなされる。
【0042】
パターン化手段30は、このように同一流量が継続しているとみなされる区間を「ステップ」と称した場合に、この「ステップ」を、「ステップ流量」、「ステップ開始時刻」、および「ステップ終了時刻」により定義する。
【0043】
例えば、パターン化前データ(A)の「区間b」においては、「区間b」に属する流量データの平均値と、「区間b」の開始時刻と終了時刻を求め、パターン化後データ(B)の「ステップb」の「ステップ流量」、「ステップ開始時刻」、「ステップ終了時刻」とする。また、「区間a」、「区間c」、「区間d」、「区間e」についても、同様に、「ステップa」、「ステップc」、「ステップd」、「ステップe」を定義するデータにパターン化する。
【0044】
以上のようなパターン化により、ばらつきを含む計測データを、ばらつきがなくパターン判定のしやすい簡略なパターン形態に変換することができる。例えば、時間軸に沿って並ぶ2つのステップを「前ステップ」、「次ステップ」と称した場合に、「次ステップの流量」から「前ステップの流量」を減算することにより「変化流量」が算出され、また、「次ステップの開始時刻」から「前ステップの終了時刻」を減算することにより「変化時間」が算出される。さらに、「変化流量」を「変化時間」で割れば、「変化速度」の算出も可能である。
【0045】
また、図3の例では、「実質的に時間幅を持つステップ」が出現する場合について記載したが、器具使用の状況によっては、「実質的に時間幅を持つステップ」が出現せずに、流量の増減が瞬時に切り替わる場合がある。
【0046】
本実施形態のパターン化手段30は、このような場合の的確なパターン化を行うために、流量変化の傾きが正から負、または、負から正に切り替わった時に、その時点の流量を「ステップ流量」とし、「ステップ開始時刻」と「ステップ終了時刻」が同一である「ステップ」を定義する。すなわち、「実質的な時間幅を持たないステップ」を定義する処理を行う。この処理により、「実質的に時間幅を持つステップ(狭義のステップ)」が出現しなかった場合の流量変化状況を的確に定義して的確に判定することが可能となる。
【0047】
なお、上記の説明では、「ステップ開始時点」および「ステップ終了時点」が「ステップ開始時刻」および「ステップ終了時刻」である場合について説明したが、「ステップ開始時点」および「ステップ終了時点」は、必ずしもカレンダー上の時刻である必要はなく、ステップの時間的位置が特定できるデータ形式であればよい。例えば、「計測回数」や「起動時点(起動判定時点)からの経過時間」といったデータ形式を用いることが可能である。
【0048】
また、パターン化前データ(A)の「区間b」のように、ステップと判定された区間であっても実際には少しずつ変化しているような場合がある。このような場合には、的確なパターン化を行うために、ステップを定義するデータに、ステップの傾きを持たせてもよい。
【0049】
なお、以上のようなパターン化手段30による計測データのパターン化は、供給圧力P、ガス温度Tの計測データのパターン化についても同様に行われる。また、パターン化を行う際に使用するガス流量、供給圧力、ガス温度の計測データとしては、計測データをそのまま使用してもよいし、隣り合う幾つかの計測データの平均値を使用してもよい。
【0050】
[抽出タイミング判定手段の具体的な処理方式]
図4は、本実施形態の抽出タイミング判定手段60の具体的な処理方式として、特に、ガス器具の立上りを対象とする立上りパターン判定区間、ガス器具の立上りを含む過渡期を対象とする起動パターン判定区間、過渡期後の通常使用時を対象とする長時間パターン判定区間という3つの判定区間を用いて特徴抽出のタイミングを判定し、パターン判定を行う場合の一例を示す図である。
【0051】
ここで、立上りパターン判定区間は、起動判定時点(「ゼロ流量」から「流量あり」になった時点)から所定の時間T1(図4の例では10秒)が経過して立上りパターンの判定タイミングとなるまでの区間である。起動パターン判定区間は、起動判定時点から所定の時間T2(図4の例では1分)が経過して起動パターンの判定タイミングとなるまでの区間である。長時間パターン判定区間は、起動パターン判定区間が終了した時点以降の区間であり、この区間における判定タイミング(図4の例では1分間隔)毎に長時間パターンの特徴抽出が行われる。
【0052】
抽出タイミング判定手段60は、まず、起動判定として、「ゼロ流量」から「流量あり」になったかどうかを判定する。図4の例では、30L/h以上の流量変化を検出した場合に、「ゼロ流量」から「流量あり」になったと判定するようになっている。
【0053】
起動判定が成立すると、抽出タイミング判定手段60は、この起動判定時点を起点として立上りパターンの判定タイミングになるのを待つ。立上りパターンの判定タイミングは、起動判定から時間T1が経過した時点である。
【0054】
立上りパターンの判定タイミングになると、抽出タイミング判定手段60は、立上りパターン判定として、パターン化手段30による立上りパターンのパターン化、特徴抽出手段50による立上りパターン判定区間の特徴抽出、および器具判別手段70による立上りパターン区間の特徴を用いた器具判別を行わせる。
【0055】
立上りパターン判定が行われると、抽出タイミング判定手段60は、起動パターンの判定タイミングになるのを待つ。起動パターンの判定タイミングは、起動判定時点から時間T2が経過した時点である。
【0056】
起動パターンの判定タイミングになると、抽出タイミング判定手段60は、起動パターン判定として、パターン化手段30による起動パターンのパターン化、特徴抽出手段50による起動パターン判定区間の特徴抽出、および器具判別手段70による起動パターン判定区間の特徴を用いた器具判別を行わせる。
【0057】
起動パターン判定が行われると、抽出タイミング判定手段60は、長時間パターンの判定タイミングを待つ。長時間パターンの最初の判定タイミングは、起動パターン判定の終了(起動パターン判定区間の終点)を起点として時間T3(図4の例では1分)が経過した時点である。
【0058】
長時間パターンの判定タイミングになると、抽出タイミング判定手段60は、長時間パターン判定として、パターン化手段30による長時間パターンのパターン化、特徴抽出手段50によるパターン化済の全区間の特徴抽出、および器具判別手段70によるパターン化済の全区間の特徴を用いた器具判別を行わせる。
【0059】
長時間パターン判定区間は、起動パターン判定区間が終了した以降の長時間に亘る区間であるため、長時間パターンの判定は、時間T3間隔の判定タイミングで繰り返し行われる。
【0060】
なお、以上のような抽出タイミング判定手段60による各パターン判定は、計測データ記録手段20の各記録手段21〜23、および、計測データパターン記録手段40の各パターン記録手段41〜43にその時点までに記録されているデータを使用して行われる。
【0061】
[パターン判定時に使用するデータ]
図5は、本実施形態の抽出タイミング判定手段60による各パターン判定時に使用されるデータ、すなわち、計測データ記録手段20の各記録手段21〜23、および、計測データパターン記録手段40の各パターン記録手段41〜43に記録されるデータのうち、特に、ガス流量記録手段21およびガス流量パターン記録手段41に記録されるデータの一例を時系列で示す図である。
【0062】
ガス流量記録手段21には、前述したように、ガス器具の使用段階に応じた一定の計測周期で計測されたガス流量(瞬時流量)Qが順次記録されている。また、ガス流量パターン記録手段41には、パターン化手段30によりパターン化されたガス流量パターン情報が順次記録されている。
【0063】
図5において、立上りパターン判定の時点(図5中の(2)時点)では、起動判定時点(1)からこの立上りパターン判定時点(2)までの間に計測したガス流量(瞬時流量)Qがガス流量記録手段21に記録されている。
【0064】
この状態で、立上りパターン判定を実行する際には、まず、立上りパターン判定時点(2)で流量記録手段21に記録されているデータの全範囲に対して、パターン化手段30によりパターン化が行われ、その結果得られるガス流量パターン情報がガス流量パターン記録手段41に記録される。そして、立上りパターン判定における特徴抽出手段50による特徴抽出は、立上りパターン判定時点(2)までにガス流量記録手段21とガス流量パターン記録手段41に記録されたデータを使用して行われる。
【0065】
次に、起動パターン判定時点(図5中の(3)時点)では、起動判定時点(1)から起動パターン判定時点(3)までの間に計測したガス流量(瞬時流量)Qがガス流量記録手段21に記録されている。
【0066】
そして、起動パターン判定を実行する際には、まず、起動パターン判定時点(3)でガス流量記録手段21に記録されているデータの全範囲に対してパターン化手段30によりパターン化が行われ、その結果得られるガス流量パターン情報がガス流量パターン記録手段41に記録される。そして、起動パターン判定における特徴抽出手段50による特徴抽出は、起動パターン判定時点(3)までにガス流量記録手段21とガス流量パターン記録手段41に記録されたデータを使用して行われる。
【0067】
以後、長時間パターン判定区間における長時間パターン判定についても、同様に、各長時間パターン判定時点(4)〜(6)までの間にガス流量記録手段21とガス流量パターン記録手段41に記録されたデータを使用して行われる。
【0068】
[ガス器具判別手順]
図6は、以上のような構成を有する第1の実施形態のガス器具判別装置によるガス器具判別手順の一例を示すフローチャートである。
【0069】
この図6に示すように、ガス器具の使用を開始するまでの間は、各計測手段11〜13により、ガス流量Q、供給圧力P、ガス温度Tを判定区間に応じた一定の計測周期でそれぞれ計測し、計測された各計測値をその計測時刻とともに計測データとして、計測データ記録手段20の各記録手段21〜23にそれぞれ記録する(S01)。ここで、各計測手段11〜13の計測周期は、例えば、図7に示すように、立上りパターン判定区間:0.2秒、立上り以降の起動パターン判定区間:1秒、長時間パターン判定区間:2秒、となるように設定されている。
【0070】
抽出タイミング判定手段60は、まず、起動判定として、所定の起動条件を満たすガス流量を検出した場合に、ガス器具の起動を判定する(S02)。図4の例では、30L/h以上の流量変化を検出した場合に、ガス器具の起動時点であると判定する。
【0071】
抽出タイミング判定手段60は、起動判定後に、立上りパターンの判定タイミングとなった時点(S03)で、立上りパターン判定として、まず、パターン化手段30により、計測データ記録手段20の各記録手段21〜23に記録された立上りパターン判定区間の各計測データを用いて立上りパターンへのパターン化をそれぞれ行わせ、得られた各パターンを計測データパターン記録手段40の各パターン記録手段41〜43にそれぞれ記録させる(S04)。
【0072】
抽出タイミング判定手段60は、次に、特徴抽出手段50による立上りパターン判定区間の特徴抽出、および器具判別手段70による立上りパターン判定区間の特徴を用いた器具判別を行わせる(S05)。ここで、特徴抽出手段50は、立上りパターン判定時点までに計測データ記録手段20の各記録手段21〜23および計測データパターン記録手段40の各パターン記録手段41〜43にそれぞれ記録されたデータを用いて、器具判別手段70による立上りパターン判定用の判別ロジックに応じた特徴を抽出する。
【0073】
例えば、器具判別手段70による立上りパターン判定用の判別ロジックにおいて、ガス流量の立上りパターンおよび最大流量値に関する特徴、および、ガス流量Q、供給圧力P、ガス温度Tの間の相関関係(QP相関、QT相関、PT相関)に関する特徴が使用される場合には、特徴抽出手段50は、立上りパターン判定区間において記録されている各データから、それらの特徴を抽出する。
【0074】
抽出タイミング判定手段60は、立上りパターン判定(S04、S05)後に、起動パターンの判定タイミングとなった時点(S06)で、起動パターン判定として、まず、パターン化手段30により、計測データ記録手段20の各記録手段21〜23に記録された立上りパターン判定区間の各計測データを用いて起動パターンへのパターン化をそれぞれ行い、得られた各パターンを計測データパターン記録手段40の各パターン記録手段41〜43にそれぞれ記録する(S07)。
【0075】
抽出タイミング判定手段60は、次に、特徴抽出手段50による起動パターン判定区間の特徴抽出、および器具判別手段70による起動パターン判定区間の特徴を用いた器具判別を行わせる(S08)。ここで、特徴抽出手段50は、起動パターン判定時点までに計測データ記録手段20の各記録手段21〜23および計測データパターン記録手段40の各パターン記録手段41〜43にそれぞれ記録されたデータを用いて、器具判別手段70による起動パターン判定用の判別ロジックに応じた特徴を抽出する。
【0076】
例えば、器具判別手段70による起動パターン判定用の判別ロジックにおいて、ガス流量の立上りパターンおよび最大流量値に関する特徴、ガス流量の起動パターンにおけるステップの出現やその流量値に関する特徴、および、ガス流量Q、供給圧力P、ガス温度Tの間の相関関係(QP相関、QT相関、PT相関)に関する特徴が使用される場合には、特徴抽出手段50は、起動パターン判定区間において記録されている各データから、それらの特徴を抽出する。
【0077】
抽出タイミング判定手段60は、起動パターン判定(S07、S08)後に、長時間パターンの判定タイミングとなった時点(S09)で、長時間パターン判定として、まず、パターン化手段30により、計測データ記録手段20の各記録手段21〜23に記録された立上りパターン判定区間の各計測データを用いて長時間パターンへのパターン化をそれぞれ行い、得られた各パターンを計測データパターン記録手段40の各パターン記録手段41〜43にそれぞれ記録する(S10)。
【0078】
抽出タイミング判定手段60は、次に、特徴抽出手段50によるパターン化済の全区間の特徴抽出、および器具判別手段70によるパターン化済の全区間の特徴を用いた器具判別を行わせる(S11)。ここで、特徴抽出手段50は、長時間パターン判定時点までに計測データ記録手段20の各記録手段21〜23および計測データパターン記録手段40の各パターン記録手段41〜43にそれぞれ記録されたデータを用いて、器具判別手段70による長時間パターン判定用の判別ロジックに応じた特徴を抽出する。
【0079】
例えば、器具判別手段70による長時間パターン判定用の判別ロジックにおいて、ガス流量の立上りパターンおよび最大流量値に関する特徴、ガス流量の起動パターンおよび長時間パターンにおけるステップの出現やその流量値に関する特徴、および、ガス流量Q、供給圧力P、ガス温度Tの間の相関関係(QP相関、QT相関、PT相関)に関する特徴が使用される場合には、特徴抽出手段50は、パターン化済の全区間において記録されている各データから、それらの特徴を抽出する。
【0080】
また、以上のようなタイミング判定およびパターン判定と並行して、計測手段10の各計測手段11〜13により、ガス流量Q、供給圧力P、ガス温度Tを一定の計測周期でそれぞれ計測し、計測された各計測値をその計測時刻とともに計測データとして、計測データ記録手段20の各記録手段21〜23にそれぞれ記録する(S12)。
【0081】
[効果]
以上のような第1の実施形態によれば、次のような効果が得られる。
【0082】
まず、ガス流量などの計測データを記録し、その特徴を適切なタイミングで抽出することで、器具判別に有効な特徴を効率よく高精度に抽出できる。特に、この特徴抽出に当たって、ガス流量などの計測データを、適切なタイミングで簡略なデータにパターン化することで、器具判別に有効な特徴を、必要最小限のデータを用いて極めて効率よく高精度に抽出できる。そして、得られた特徴に基づき、ガス器具の種別およびガス漏れの有無を効率よく高精度に判別できる。この場合、特徴抽出のタイミングおよび計測周期は、ガス器具の使用段階に応じて最適に設定できる。
【0083】
本実施形態では、一例として、特徴抽出のタイミングの時間間隔を、立上りパターン判定区間では10秒、立上り以降の起動パターン判定区間および長時間パターン判定区間ではそれぞれ1分間隔としており、また、計測周期を、立上りパターン判定区間では0.2秒、立上り以降の起動パターン判定区間では1秒、長時間パターン判定区間では2秒としている。
【0084】
このように、特徴抽出タイミングの時間間隔および計測周期を、ガス器具の特徴が最も出現しやすい立上り時には、それ以降よりも短く設定することにより、器具判別の確度を高めることができる。特に、計測周期については、起動後の長時間パターン判定区間では最長として、ガス器具の特徴が出現しやすい起動時にはそれより短くし、さらに、ガス器具の特徴が最も出現しやすい立上り時には最短としているため、器具判別の確度を一層高めることができる。
【0085】
また、立上り後に特徴抽出タイミングの時間間隔および計測周期が短い場合には、計測データが無駄に増大し、計測用の電池の消耗が早まってしまうが、本実施形態では、特徴抽出タイミングの時間間隔および計測周期を、立上り後は比較的長く設定することにより、無駄な計測の増加を防止し、かつ、計測用の消費電力の節減を図ることができる。
【0086】
このように、本実施形態においては、特徴抽出タイミングの時間間隔および計測周期をガス器具の使用段階に応じて適切に設定することにより、全ての区間について同じ間隔とした場合に比べて、ガス流量計測や特徴抽出を無駄に高頻度に行うことなく、有効な少量のデータのみを用いてガス器具の判別を効率よく高精度に行うことができる。
【0087】
特に、本実施形態においては、ガス流量の立上りパターン判定区間、起動パターン判定区間、および長時間パターン判定区間という、3種類の判定区間を用いるとともに、ガス流量に加えて供給圧力やガス温度をも計測してそれらをパターン化し、相関関係も含めてガス器具判別に使用している。このため、判別対象器具の特徴を、より多角的な観点から各判定区間単位で詳細に示す識別性の高い特徴を抽出可能である。また、そのようにして抽出された特徴に基づき、ガス器具毎の特徴を明確かつ詳細に定義する識別性の高い特徴データを、器具判別の比較用の特徴データとして特徴データ記憶手段71に予め記憶しておくことが可能である。このように、判別対象器具について抽出された識別性の高い特徴、または、比較用として定義された識別性の高い特徴データを用いることにより、ガス器具の判別を効率よく高精度に行うことができる。
【0088】
したがって、本実施形態によれば、必要最小限のガス流量計測を行い、必要最小限の計測データを用いてガス器具の判別を効率よく高精度に行うことが可能で、メモリや記憶装置、計測用の電力の節減に有用な、性能品質および経済性に優れたガス器具判別装置および判別方法を提供することができる。
【0089】
[変形例]
なお、以上説明した第1の実施形態の変形例としては、例えば、特徴抽出タイミングの時間間隔および計測周期の変形例、判定区間の変形例、データ記録方式の変形例やそれを採用した場合のパターン判定時に使用するデータの変形例、特徴抽出タイミング自体の変形例やそれを採用した場合の抽出タイミング判定手段の処理方式の変形例、パターン化方式の変形例、起動判定方式およびステップ判定方式の変形例、などが考えられる。
【0090】
[特徴抽出タイミングの時間間隔および計測周期の変形例]
第1の実施形態では、特徴抽出のタイミングの時間間隔を、立上りパターン判定区間では10秒、立上り以降の起動パターン判定区間および長時間パターン判定区間ではそれぞれ1分間隔としたが、時間間隔はこれに限定されず、適宜変更可能である。例えば、立上りパターン判定区間では10秒、立上り以降の起動パターン判定区間では1分、長時間パターン判定区間では2分とするなど、立上り時が最短となるように3段階で設定することも可能である。このように、特徴抽出のタイミングの時間間隔を、起動後の長時間パターン判定区間では最長として、ガス器具の特徴が出現しやすい起動時にはそれより短くし、さらに、ガス器具の特徴が最も出現しやすい立上り時には最短とすることにより、器具判別の確度を一層高めることができる。
【0091】
一般的には、立上りパターン判定区間における特徴抽出のタイミングの時間間隔を10秒〜30秒の範囲内とし、起動パターン判定区間および長期パターン判定区間における特徴抽出のタイミングの時間間隔を1分〜5分の範囲内とすることが望ましい。
【0092】
また、第1の実施形態では、計測周期を、立上りパターン判定区間では0.2秒、立上り以降の起動パターン判定区間では1秒、長時間パターン判定区間では2秒としたが、計測周期はこれに限定されず、例えば、立上りパターン判定区間では0.1秒とし、それ以外の区間では1秒とするなど、適宜変更可能である。さらに、第1の実施形態では、ガス流量、供給圧力、ガス温度の計測周期を全て同じとした場合について説明したが、それぞれ異なる計測周期としてもよい。
【0093】
一般的には、立上りパターン判定区間における計測周期を0.1秒〜0.2秒の範囲内とし、起動パターン判定区間および長期パターン判定区間における計測周期を1秒〜2秒の範囲内とすることが望ましい。
【0094】
[判定区間の変形例]
第1の実施形態では、長時間パターン判定区間を、起動パターン判定区間が終了した以降の区間としたが、起動判定時点を起点として、起動パターン判定区間と重なるようにしてもよい。また、長時間パターン判定についてはガス器具の使用開始に関係ない任意の起点から常に所定の時間間隔で実行し、立上りパターン判定と起動パターン判定のみを、器具の使用開始を起点とした時間間隔で実行するようにしてもよい。
【0095】
[データ記録方式の変形例]
第1の実施形態では、ガス流量記録手段21には、計測されたガス流量(瞬時流量)Qが順次記録され、過去のデータも削除せずに蓄積する場合について説明したが、変形例として、ガス流量記録手段21に記録するデータ量に制限をかけてもよい。例えば、最新の720分に相当するデータのみを記録し、それ以前のデータは削除するなどの制限が考えられる。このようなデータ量の制限は、供給圧力記録手段22やガス温度記録手段23についても同様に可能である。
【0096】
また、第1の実施形態では、全ての計測データを記録する方式について説明したが、ガス流量記録手段21に記録された計測データのうち、パターン判定に使用された使用済の計測データを削除し、その特徴を示す少量のデータのみを残す記録方式(使用済データ削除方式)を採用してもよい。ここで残した特徴データを、特徴抽出手段50による以降の器具の特徴判別に使用することにより、器具判別の確度を一層高めることができる。
【0097】
この特徴データとしては、パターン化手段30によりパターン化した計測データを当てることができるが、それに加えて、もしくは、その代わりに、例えば、計測データの最大値、最小値、全データの平均値、数データ(例えば5個)ごとの平均値、数番目(例えば5番目)ごとの計測データ、計測データの標準偏差などのばらつき度合いを示すデータ、などを保持することが考えられる。このように保持した特徴データの記録方式もまた、適宜選択可能であり、例えば、過去のデータも削除せずに全ての特徴データを蓄積しておいてもよいし、特徴データとして記録するデータ量に制限をかけてもよい。例えば、最新の720分に相当するデータのみを記録し、それ以前のデータは削除するなどの制限が考えられる。
【0098】
このような記録方式は、供給圧力記録手段22やガス温度記録手段23についても同様に可能である。
【0099】
[パターン判定時に使用するデータの変形例]
図8は、データ記録方式として前述の「使用済データ削除方式」を採用した場合における、抽出タイミング判定手段60による各パターン判定時に使用されるデータのうち、特に、ガス流量記録手段21およびガス流量パターン記録手段41に記録されるデータの一例を時系列で示す図である。
【0100】
この図8の例において、ガス流量記録手段21に、ガス器具の使用段階に応じた一定の計測周期で計測されたガス流量(瞬時流量)Qが順次記録される点、および、ガス流量パターン記録手段41に、パターン化手段30によりパターン化されたガス流量パターン情報が順次記録される点は、第1の実施形態と同様である。
【0101】
そして、図8中の立上りパターン判定時点(2)でガス流量記録手段21に記録されている起動判定時点(1)から立上りパターン判定時点(2)までのデータが、パターン化手段30によりパターン化されてガス流量パターン情報がガス流量パターン記録手段41に記録される点、および、そのガス流量パターン情報とともに、立上りパターン判定における特徴抽出手段50による特徴抽出に使用される点もまた、第1の実施形態と同様である。
【0102】
しかし、この図8の例では、立上りパターン判定が行われた後に、ガス流量記録手段21に記録されているデータのうち、パターン判定に使用された使用済の全てのデータ、すなわち、ガス流量記録手段21に記録されている起動判定時点(1)から立上りパターン判定時点(2)までのデータが削除される。
【0103】
次に、起動パターン判定時点(図5中の(3)時点)では、立上りパターン判定時点(2)から起動パターン判定時点(3)までの間に計測したガス流量(瞬時流量)Qがガス流量記録手段21に記録されている。
【0104】
そして、起動パターン判定を実行する際には、まず、起動パターン判定時点(3)でガス流量記録手段21に記録されているデータの全範囲(立上りパターン判定時点(2)から起動パターン判定時点(3)までのデータ)に対してパターン化手段30によりパターン化が行われ、その結果得られるガス流量パターン情報がガス流量パターン記録手段41に記録される。そして、起動パターン判定における特徴抽出手段50による特徴抽出は、起動パターン判定時点(3)までにガス流量記録手段21とガス流量パターン記録手段41に記録されたデータを使用して行われる。
【0105】
起動パターン判定が行われた後に、ガス流量記録手段21に記録されているデータのうち、パターン判定に使用された使用済の全てのデータ、すなわち、ガス流量記録手段21に記録されている立上りパターン判定時点(2)から起動パターン判定時点(3)までのデータが削除される。
【0106】
以後、長時間パターン判定区間における長時間パターン判定についても、同様に、各長時間パターン判定時点(4)〜(6)までの間にガス流量記録手段21とガス流量パターン記録手段41に記録されたデータを使用して行われ、ガス流量記録手段21に記録されているデータのうち使用済のデータが削除される。
【0107】
以上のように、ガス流量記録手段21に記録されているデータのうち、使用済のデータを順次消去していくことにより、データを蓄積するためのメモリ容量を削減することが可能である。
【0108】
[特徴抽出タイミングの変形例]
第1の実施形態では、特徴抽出のタイミングとして、所定の時間間隔で周期的に決定される周期的タイミングを採用した場合について説明したが、特徴抽出のタイミングは周期的タイミングに限らず、計測値の変化を検出した時点で決定される変化検出タイミング、あるいは、それらのタイミングの組み合わせを採用してもよい。
【0109】
[抽出タイミング判定手段の処理方式の変形例]
図9は、特徴抽出のタイミングとして、特に、周期的タイミングと変化検出タイミングの組み合わせを採用した場合における抽出タイミング判定手段60の処理方式の変形例を示す図である。
【0110】
この図9に示す例では、長時間パターン判定区間においてのみ、特徴抽出のタイミングとして周期的タイミングと変化検出タイミングの組み合わせを採用しており、立上りパターン判定区間と起動パターン判定区間における特徴抽出のタイミングは、第1の実施形態と同様に、起動判定時点から所定時間(時間T1および時間T2)経過後の周期的タイミングである。
【0111】
この図9の例において、起動判定から起動パターン判定までの抽出タイミング判定手段60の処理内容は、第1の実施形態と同様であり、起動パターン判定後の処理内容のみが、以下のように異なる。
【0112】
すなわち、起動パターン判定が行われると、抽出タイミング判定手段60は、長時間パターンの判定タイミングになるのを待つが、この図9の例における長時間パターンの最初の判定タイミングは、起動パターン判定が終了(起動パターン判定区間の終点)を起点として時間T3(図4の例では1分)が経過した場合、および、予め設定された範囲以上の流量変化を検出した場合のうち、いずれか一方の条件を満たす時点である。
【0113】
ここで、「予め設定された範囲以上の流量変化」とは、現在の流量値と前回の流量値との差分値を算出し、その差分値が、予め設定された所定範囲の閾値を超えた場合を意味している。例えば、パターン化の際に同一流量とみなす流量幅(例えば、図3に示す流量幅α)を超えた場合をこの「予め設定された範囲以上の流量変化」としてもよいが、他の範囲で設定してもよい。図9中では、一例として、3箇所の「予め設定された範囲以上の流量変化」101〜103が示されている。なお、差分値の算出に使用する流量値は、計測データをそのまま使用してもよいし、隣り合う幾つかの計測データの平均値を使用してもよい。
【0114】
長時間パターンの判定タイミングにおける抽出タイミング判定手段60の長時間パターン判定は、第1の実施形態と同様である。
【0115】
長時間パターン判定区間は、起動パターン判定区間が終了した以降の長時間に亘る区間であるため、長時間パターンの判定は、前回の長時間パターン判定時点を起点とした時間T3経過時点、および、流量変化発生時点のいずれかの時点毎に繰り返し判定を行う。
【0116】
なお、以上のような抽出タイミング判定手段60による各パターン判定が、計測データ記録手段20の各記録手段21〜23、および、計測データパターン記録手段40の各パターン記録手段41〜43にその時点までに記録されているデータを使用して行われる点は、第1の実施形態と同様である。
【0117】
以上のように、流量変化時にパターン判定を行うことにより、流量変化を迅速に検出することができる。ガス器具の特徴は、流量の変化状況に顕著に現れるため、流量変化を迅速に検出することにより、器具判別速度を向上することができる。
【0118】
[パターン化方式の変形例]
第1の実施形態では、パターン化手段30によるパターン化方式として、計測データを、同一計測値が継続しているステップでパターン化する場合について説明したが、計測データを、計測値の波形の傾きでパターン化する変形例も考えられる。図10は、この場合のパターン化方式の一例を示す図である。
【0119】
図10のパターン化前データ(A)において、「β」は、波形の変化範囲であり、流量データを示す波形のうち、波形の傾き軸に対して波形の変化がこの「変化範囲β」内に入る区間は、同一の傾きを持つ区間であるとみなす。
【0120】
例えば、パターン化前データ(A)における「区間b」では、流量データを示す波形が「変化範囲β」内に入っているため同一の傾きとみなされるが、「区間c」になると流量データを示す波形が「区間b」に対して「変化範囲β」外となるため、傾きが変わったと判定される。
【0121】
パターン化手段30は、このように、同一の傾きを持つとみなされる区間に対応する線分を、「開始流量」、「傾き」、「開始時刻」、「終了時刻」により定義する。
【0122】
例えば、パターン化前データ(A)の「区間b」においては、「区間b」の開始位置における流量(開始流量)と、「区間b」の傾き、「区間b」の開始時刻と終了時刻を求め、パターン化後データ(B)の「線分b」の、「開始流量」、「傾き」、「開始時刻」、「終了時刻」とする。また、「区間a」〜「区間i」についても、同様に、「線分a」〜「線分i」を定義するデータにパターン化する。
【0123】
なお、パターン化を行う際に使用するガス流量、供給圧力、ガス温度の計測データとして、計測データをそのまま使用してもよいし、隣り合う幾つかのデータの平均値を使用してもよい点は、第1の実施形態と同様である。
【0124】
また、第1の実施形態のパターン化方式(図3)および図10のパターン化方式のいずれにおいても、さらなる変形例として、「終了時刻」に代えて、「継続時間」を記憶してもよい。「開始時刻」に「継続時間」を加算することで、「終了時刻」が算出できるため、同様の効果が得られる。
【0125】
また、第1の実施形態のパターン化方式(図3)および図10のパターン化方式のいずれにおいても、「傾き」を示すデータの形態は具体的な数値に限定されず、例えば、「急激に増加」、「ゆっくり増加」、「直線的に減少」、「曲線的に減少」、「上に凸で増加」といったように、変化の状況を表わす情報でもよい。
【0126】
[起動判定方式の変形例]
第1の実施形態では、抽出タイミング判定手段60による起動判定として、30L/h以上の流量変化を検出した場合に、ガス器具の起動(使用の開始)を判定する場合について説明した。この起動判定は、器具が1つの場合は、ゼロ流量に対する変化量を使用して判定することになる。一方、すでに一つ以上の器具が使用されている状態から別の器具の起動判定を行う場合には、その時点の流量値からの変化量を使用して判定することになる。
【0127】
図11は、抽出タイミング判定手段60による起動判定方式の変形例を示す図である。この図11に示す例では、流量値が30L/h以上となる(つまり、ゼロをベースとした流量変化が30L/h以上となる)事象が、予め設定された複数回数以上連続して発生した時に起動と判定するようになっている。
【0128】
この起動判定例によれば、次のような効果が得られる。すなわち、ガス流量は、ガス器具の使用時だけでなく、ガス器具を使用していない場合でも外乱等により一時的に変化する場合がある。これに対して、所定範囲以上の流量変化を示す流量値を1回検出しただけで起動と判定した場合には、外乱等による一時的な流量変化により誤った起動判定を行う可能性がある。
【0129】
これに対して、以上のように所定範囲以上の流量変化を示す流量値を複数回数以上連続して検出した場合に起動判定することにより、外乱等による一時的な流量変化が発生した場合でも、誤った起動判定を回避できるため、ガス器具の起動判定を正確に行うことができる。
【0130】
この場合、設定される複数回数としては、2回以上の任意の回数を選択可能であるが、2回とした場合には、誤った起動判定を行う可能性を完全に排除できず、また、回数を多くしすぎると、流量変化の検出が遅くなる問題も生じる。そのため、一般的には、図11に示すように、所定範囲以上の流量変化を示す流量値が3回連続しているか否かを判定することにより、起動判定を迅速かつ確実に行うことが可能である。
【0131】
[ステップ判定方式の変形例]
第1の実施形態では、パターン化手段30によるパターン化時において、流量幅α以内の流量が継続している区間をステップと判定しており、流量幅αを超えた場合にステップに変化があったと判定されることになる。
【0132】
図12は、このようなパターン化手段30によるステップ判定方式の変形例を示す図である。この図12の(1)の例では、流量値が流量幅α以上となる事象が、予め設定された複数回数以上連続して発生した時にステップに変化があったと判定するようになっている。
【0133】
このような図12の(1)に示すステップ判定例によれば、所定範囲以上の流量変化を示す流量値を複数回数以上連続して検出した場合にステップの変化を判定することにより、外乱等による一時的な流量変化が発生した場合でも、ステップの変化を誤って判定してしまうことを回避できるため、ガス器具の使用状況に応じたステップ判定を正確に行うことができる。
【0134】
前述した起動判定方式の変形例と同様に、設定される複数回数としては、2回以上の任意の回数を選択可能であるが、2回とした場合には、誤ったステップ判定を行う可能性を完全に排除できず、また、回数を多くしすぎると、流量変化の検出が遅くなる問題も生じる。そのため、一般的には、図12の(1)に示すように、所定範囲以上の流量変化を示す流量値が3回連続しているか否かを判定することにより、ステップ判定を迅速かつ確実に行うことが可能である。
【0135】
また、図12の(2)に示す例は、流量幅α以上となった時、その差分が流量幅γ(γ>α)以上の場合には、1回だけでもステップに変化があったと判定するようになっている。ここで、流量幅γは、外乱で発生する程度の微少な流量変化ではなく、ガス器具を使用した場合にしか発生しない程度のレベルの流量変化に応じて設定される。
【0136】
このような図12の(2)に示すステップ判定例によれば、ガス器具を瞬間的に使用したような場合でも、外乱と器具の使用とを明確に区別することができるため、器具の特徴を正しく捉えることができる。
【0137】
[第2の実施形態]
[構成]
図13は、本発明を適用した第2の実施形態に係るガス器具判別装置の構成を示す機能ブロック図である。この図13に示すように、本実施形態のガス器具判別装置は、第1の実施形態の構成に、計測周期変更手段90を追加したものである。
【0138】
ここで、計測周期変更手段90は、立上りパターン判定区間、起動パターン判定区間、長時間パターン判定区間といった特徴抽出の判定区間毎に各計測手段11〜13の計測周期をそれぞれ可変とする手段である。この計測周期変更手段90の追加に伴い、抽出タイミング判定手段60は、この計測周期変更手段90に対して、起動判定時、各パターン判定時、および予め設定された範囲以上の流量変化の検出時に、そのタイミングを示す信号を与えるようになっている。なお、他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、以下には、この計測周期変更手段90の追加による第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0139】
[計測周期変更手段の処理方式]
図14は、本実施形態の計測周期変更手段90の処理方式の一例を示す図である。この図14に示すように、計測周期変更手段90は、立上りパターン判定区間、起動パターン判定区間、長時間パターン判定区間といった特徴抽出の判定区間毎に、各計測手段11〜13の計測周期の初期設定値として、例えば、立上りパターン判定区間:0.2秒、立上り以降の起動パターン判定区間:1秒、長時間パターン判定区間:2秒、と設定しており、この初期設定値から異なる設定値へと随時変更できる。
【0140】
また、計測周期変更手段90は、このように設定値を変更できるだけでなく、抽出タイミング判定手段60から、図14中に示すような、予め設定された範囲以上の流量変化101〜103を示すタイミング信号を受け取った際には、図中に破線の矢印で示すように、その時点からの計測周期を短く変更する。例えば、流量変化を起点として10秒間の間、計測周期を2秒から0.2秒に短縮するなどの運用が考えられる。
【0141】
[効果]
以上のような第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、さらに次のような効果が得られる。
【0142】
まず、計測周期変更手段90により、各計測手段の計測周期を、特徴抽出の判定区間毎に随時変更可能とすることにより、状況に応じたより適切な計測周期での計測が可能となり、無駄な計測を極力省きながら、有用な計測データを用いてガス器具の判別を効率よく高精度に行うことができる。
【0143】
特に、図14に示すように、計測周期を、ガス器具の特徴が最も出現しやすい立上り時には短く設定することにより、器具判別の確度を高めることができる。また、立上り後に計測周期が短い場合には、計測データが無駄に増大し、計測用の電池の消耗が早まってしまうが、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、計測周期を、立上り後は比較的長く設定することにより、無駄な計測の増加を防止し、かつ、計測用の消費電力の節減を図ることができる。
【0144】
また、長時間パターン判定区間においては、基本的に計測周期を長く設定しているが、流量変化が発生した場合には計測周期を短くすることで、流量変化が発生した部分を細かく監視することができる。さらに、流量変化が発生した場合において計測周期を短くする区間を流量変化が発生してから所定時間に限定することにより、消費電力の増加を抑えることが可能である。
【0145】
[変形例]
なお、第2の実施形態においては、ガス流量、供給圧力、ガス温度の計測周期を全て同じとした場合について説明したが、それぞれ異なる計測周期とし、個別に変更できるようにしてもよい。
【0146】
また、ガス流量の流量変化時に、ガス流量、供給圧力、ガス温度の全ての計測周期を変更してもよいが、ガス流量の計測周期を変更せずに、供給圧力またはガス温度の計測周期のみを変更するなど、一部のみの計測周期を変更する運用も可能である。
【0147】
さらに、ガス流量の流量変化時だけでなく、供給圧力やガス温度の変化時に計測周期を変更してもよい。例えば、供給圧力の変化を検出した時に、ガス流量やガス温度の計測周期を変更するなどの運用が可能である。
【0148】
[特徴抽出の実施例]
図15〜図26は、以上のような第1、第2の実施形態に係るガス器具判別装置により、給湯器、FF暖房機、ストーブ、コンロ、ファンヒータ、床暖房設備、という6種類のガス器具を対象として、各器具のガス流量の特徴およびガス流量と供給圧力の相関関係の特徴を用いて特徴抽出を行う場合の具体的な実施例をそれぞれ示す図である。
【0149】
[給湯器の特徴抽出の実施例]
図15は、給湯器の作動例を示す図であり、流量値を太線で、圧力値を細線でそれぞれ示している。この作動例から得られる給湯器のガス流量の特徴およびガス流量と供給圧力の相関関係の特徴は、以下の表1に示す特徴(1)〜(6)として定義可能であり、これらの特徴(1)〜(6)は、給湯器の特徴データとして、器具判別手段70の特徴データ記憶手段71に記憶される。
【0150】
【表1】

【0151】
図16は、図15に示す給湯器の作動例をパターン化手段30によりパターン化した結果を示す図である。特徴抽出手段50は、この図16に示すパターンから以下の表2に示す各特徴(1)〜(6)に応じた各判定方法で、当該特徴の有無を判定することにより、特徴抽出を行う。この特徴抽出結果は、器具判別手段70に入力され、その特徴データ記憶手段71に記憶された特徴データに基づき、器具判別が行われる。
【0152】
【表2】

【0153】
[FF暖房機の特徴抽出の実施例]
図17は、FF暖房機の作動例を示す図であり、流量値を太線で、圧力値を細線でそれぞれ示している。この作動例から得られるFF暖房機のガス流量の特徴およびガス流量と供給圧力の相関関係の特徴は、以下の表3に示す特徴(1)〜(5)として定義可能であり、これらの特徴(1)〜(5)は、FF暖房機の特徴データとして、器具判別手段70の特徴データ記憶手段71に記憶される。
【0154】
【表3】

【0155】
図18は、図17に示すFF暖房機の作動例をパターン化手段30によりパターン化した結果を示す図である。特徴抽出手段50は、この図18に示すパターンから以下の表4に示す各特徴(1)〜(5)に応じた各判定方法で、当該特徴の有無を判定することにより、特徴抽出を行う。この特徴抽出結果は、器具判別手段70に入力され、その特徴データ記憶手段71に記憶された特徴データに基づき、器具判別が行われる。
【0156】
【表4】

【0157】
[ストーブの特徴抽出の実施例]
図19は、ストーブの作動例を示す図であり、流量値を太線で、圧力値を細線でそれぞれ示している。この作動例から得られるストーブのガス流量の特徴およびガス流量と供給圧力の相関関係の特徴は、以下の表5に示す特徴(1)〜(5)として定義可能であり、これらの特徴(1)〜(5)は、ストーブの特徴データとして、器具判別手段70の特徴データ記憶手段71に記憶される。
【0158】
【表5】

【0159】
図20は、図19に示すストーブの作動例をパターン化手段30によりパターン化した結果を示す図である。特徴抽出手段50は、この図20に示すパターンから以下の表6に示す各特徴(1)〜(5)に応じた各判定方法で、当該特徴の有無を判定することにより、特徴抽出を行う。この特徴抽出結果は、器具判別手段70に入力され、その特徴データ記憶手段71に記憶された特徴データに基づき、器具判別が行われる。
【0160】
【表6】

【0161】
[コンロの特徴抽出の実施例]
図21は、コンロの作動例を示す図であり、流量値を太線で、圧力値を細線でそれぞれ示している。この作動例から得られるコンロのガス流量の特徴およびガス流量と供給圧力の相関関係の特徴は、以下の表7に示す特徴(1)〜(6)として定義可能であり、これらの特徴(1)〜(6)は、コンロの特徴データとして、器具判別手段70の特徴データ記憶手段71に記憶される。
【0162】
【表7】

【0163】
図22は、図21に示すコンロの作動例をパターン化手段30によりパターン化した結果を示す図である。特徴抽出手段50は、この図22に示すパターンから以下の表8に示す各特徴(1)〜(6)に応じた各判定方法で、当該特徴の有無を判定することにより、特徴抽出を行う。この特徴抽出結果は、器具判別手段70に入力され、その特徴データ記憶手段71に記憶された特徴データに基づき、器具判別が行われる。
【0164】
【表8】

【0165】
[ファンヒータの特徴抽出の実施例]
図23は、ファンヒータの作動例を示す図であり、流量値を太線で、圧力値を細線でそれぞれ示している。この作動例から得られるファンヒータのガス流量の特徴およびガス流量と供給圧力の相関関係の特徴は、以下の表9に示す特徴(1)〜(6)として定義可能であり、これらの特徴(1)〜(6)は、ファンヒータの特徴データとして、器具判別手段70の特徴データ記憶手段71に記憶される。
【0166】
【表9】

【0167】
図24は、図23に示すファンヒータの作動例をパターン化手段30によりパターン化した結果を示す図である。特徴抽出手段50は、この図24に示すパターンから以下の表10に示す各特徴(1)〜(6)に応じた各判定方法で、当該特徴の有無を判定することにより、特徴抽出を行う。この特徴抽出結果は、器具判別手段70に入力され、その特徴データ記憶手段71に記憶された特徴データに基づき、器具判別が行われる。
【0168】
【表10】

【0169】
[床暖房設備の特徴抽出の実施例]
図25は、床暖房設備の作動例を示す図であり、流量値を太線で、圧力値を細線でそれぞれ示している。この作動例から得られる床暖房設備のガス流量の特徴およびガス流量と供給圧力の相関関係の特徴は、以下の表11に示す特徴(1)〜(4)として定義可能であり、これらの特徴(1)〜(4)は、床暖房設備の特徴データとして、器具判別手段70の特徴データ記憶手段71に記憶される。
【0170】
【表11】

【0171】
図26は、図25に示す床暖房設備の作動例をパターン化手段30によりパターン化した結果を示す図である。特徴抽出手段50は、この図26に示すパターンから以下の表12に示す各特徴(1)〜(4)に応じた各判定方法で、当該特徴の有無を判定することにより、特徴抽出を行う。この特徴抽出結果は、器具判別手段70に入力され、その特徴データ記憶手段71に記憶された特徴データに基づき、器具判別が行われる。
【0172】
【表12】

【0173】
[実施例の効果]
以上のような図15〜図26、および表1〜表12に示した実施例によれば、次のような効果が得られる。すなわち、ガス器具毎の特徴を、ガス流量の特徴だけでなく、供給圧力の特徴、およびガス流量と供給圧力の相関関係をも含む複数の特徴を用いて詳細に定義することにより、器具判別の比較用の特徴データとして、ガス器具毎の特徴を明確かつ詳細に定義する識別性の高い特徴データを実現できる。
【0174】
また、判別対象となる器具の特徴を、ガス流量の特徴だけでなく、供給圧力の特徴、およびガス流量と供給圧力の相関関係をも含む複数の特徴を用いた詳細な判定方法を用いて抽出することにより、判別対象器具の特徴を明確かつ詳細に示す識別性の高い特徴を抽出できる。
【0175】
したがって、以上のような比較用として定義された識別性の高い特徴データ、または、判別対象器具について抽出された識別性の高い特徴を用いることにより、ガス器具の判別を効率よく高精度に行うことが可能な、器具判別性能に優れたガス器具判別装置および判別方法を提供することができる。
【0176】
[他の実施形態]
なお、本発明は、前記の実施形態や変形例、実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で、他にも多種多様な変形例が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態に係るガス器具判別装置の構成を示す機能ブロック図。
【図2】第1の実施形態におけるガス流量記録手段の具体的な記録方式の一例を示す図。
【図3】第1の実施形態におけるパターン化手段の具体的なパターン化方式の一例を示す図。
【図4】第1の実施形態における抽出タイミング判定手段の具体的な処理方式の一例を示す図。
【図5】第1の実施形態の抽出タイミング判定手段による各パターン判定時に使用されるデータの一例を時系列で示す図。
【図6】第1の実施形態のガス器具判別装置によるガス器具判別手順の一例を示すフローチャート。
【図7】第1の実施形態における計測手段の計測周期の設定例を示す図。
【図8】第1の実施形態の抽出タイミング判定手段による各パターン判定時に使用されるデータの変形例を時系列で示す図。
【図9】第1の実施形態における抽出タイミング判定手段の処理方式の変形例を示す図。
【図10】第1の実施形態におけるパターン化手段のパターン化方式の変形例を示す図。
【図11】第1の実施形態の抽出タイミング判定手段による起動判定方式の変形例を示す図。
【図12】第1の実施形態のパターン化手段によるステップ判定方式の変形例を示す図。
【図13】本発明を適用した第2の実施形態に係るガス器具判別装置の構成を示す機能ブロック図。
【図14】第2の実施形態の計測周期変更手段の処理方式の一例を示す図。
【図15】給湯器の特徴抽出の実施例において、給湯器の作動例を示す図。
【図16】図15に示す給湯器の作動例をパターン化した結果を示す図。
【図17】FF暖房機の特徴抽出の実施例において、FF暖房機の作動例を示す図。
【図18】図17に示すFF暖房機の作動例をパターン化した結果を示す図。
【図19】ストーブの特徴抽出の実施例において、ストーブの作動例を示す図。
【図20】図19に示すストーブの作動例をパターン化した結果を示す図。
【図21】コンロの特徴抽出の実施例において、コンロの作動例を示す図。
【図22】図21に示すコンロの作動例をパターン化した結果を示す図。
【図23】ファンヒータの特徴抽出の実施例において、ファンヒータの作動例を示す図。
【図24】図23に示すファンヒータの作動例をパターン化した結果を示す図。
【図25】床暖房設備の特徴抽出の実施例において、床暖房設備の作動例を示す図。
【図26】図25に示す床暖房設備の作動例をパターン化した結果を示す図。
【図27】従来の安全継続使用時間オーバ時の判定に使用される制限時間設定値を示す図。
【符号の説明】
【0178】
10…計測手段
11…ガス流量計測手段
12…供給圧力計測手段
13…ガス温度計測手段
20…計測データ記録手段
21…ガス流量記録手段
22…供給圧力記録手段
23…ガス温度記録手段
30…パターン化手段
40…計測データパターン記録手段
41…ガス流量パターン記録手段
42…供給圧力パターン記録手段
43…ガス温度パターン記録手段
50…特徴抽出手段
60…抽出タイミング判定手段
70…器具判別手段
71…特徴データ記憶手段
80…判別結果出力手段
90…計測周期変更手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路に設けられて予め設定された計測周期でガス流量の瞬時流量を計測する計測手段と、
この計測手段により計測されたガス流量の計測値をその計測時刻とともに計測データとして記録する計測データ記録手段と、
この計測データ記録手段に記録された計測データの特徴を抽出する特徴抽出手段と、
予め設定された特徴抽出のタイミングであると判定した場合に、前記特徴抽出手段による特徴抽出を行わせる抽出タイミング判定手段と、
前記特徴抽出手段によって抽出された計測データの特徴を用いて、前記ガス流路に接続された供給先のガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力する器具判別手段を備え、
前記特徴抽出のタイミングおよび前記計測周期は、前記ガス器具の使用段階に応じてそれぞれ設定されており、
前記特徴抽出のタイミングは、所定の時間間隔で周期的に決定される周期的タイミング、または、前記計測手段で計測された計測値の変化を検出した時点で決定される変化検出タイミングのいずれかである
ことを特徴とするガス器具判別装置。
【請求項2】
前記計測データ記録手段に記録された計測データを読み出し、時間軸に沿った変化を示す計測データを、予め設定された範囲内の変化を除去して一定の値に置き換えることでその範囲を超える変化のみを示すデータにパターン化して計測データパターンを抽出するパターン化手段と、
このパターン化手段により抽出された計測データパターンを記録する計測データパターン記録手段を備え、
前記特徴抽出手段は、前記計測データパターン記録手段に記録された計測データパターンを読み出してその特徴を抽出するように構成され、
前記抽出タイミング判定手段は、予め設定された特徴抽出のタイミングであると判定した場合に、前記パターン化手段によるパターン化および前記特徴抽出手段による特徴抽出を行わせるように構成され、
前記器具判別手段は、前記特徴抽出手段によって抽出された計測データパターンの特徴を用いて、前記ガス流路に接続された供給先のガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のガス器具判別装置。
【請求項3】
前記パターン化手段は、時間軸に沿った変化を示す計測データのうち、予め設定された範囲内の変化しか示さない区間を同一計測値が継続している区間とみなし、この区間をステップと称した場合に、このステップを、ステップ計測値、ステップ開始時点、およびステップ終了時点で定義するデータにパターン化して、単数または複数のステップからなる計測データパターンを抽出するように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のガス器具判別装置。
【請求項4】
前記パターン化手段は、時間軸に沿った変化を示す計測データのうち、計測値変化の傾きが、同一計測値の継続区間なしに正と負の間で切り替わっている部分については、その変移点の計測値をステップ計測値として、ステップ開始時点とステップ終了時点が同一であるステップを定義するデータにパターン化するように構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のガス器具判別装置。
【請求項5】
前記ステップ開始時点とステップ終了時点は、カレンダー上の時刻、計測回数、前記ガス器具の起動時点からの経過時間、の中から選択されたデータ形式で定義される
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のガス器具判別装置。
【請求項6】
前記パターン化手段は、予め設定された範囲内の変化しか示さない区間に予め設定されたレベル以上の傾きが存在する場合に、この区間を傾きを有するステップとして、ステップ計測値と傾き、ステップ開始時点、およびステップ終了時点で定義するデータにパターン化するように構成されている
ことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のガス器具判別装置。
【請求項7】
前記パターン化手段は、時間軸に沿った変化を示す計測データを示す波形のうち、波形の傾き軸に対して予め設定された範囲内の変化しか示さない区間を同一の傾きを持つ区間とみなし、この区間に対応する線分を、開始計測値、傾き、開始時点、および終了時点で定義するデータにパターン化して、単数または複数の線分からなる計測データパターンを抽出するように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のガス器具判別装置。
【請求項8】
前記パターン化手段は、時間軸に沿った変化を示す計測データのうち、予め設定された範囲以上の変化を示す計測値が予め設定された複数回数以上連続して発生した場合に、当該範囲以上の変化が発生したと判定するように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のガス器具判別装置。
【請求項9】
前記特徴抽出手段は、前記計測データ記録手段に記録された計測データと、前記計測データパターン記録手段に記録された計測データパターンを読み出してその特徴を抽出するように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のガス器具判別装置。
【請求項10】
前記計測データ記録手段は、前記計測データパターン記録手段により時間軸上の新たな部分の計測データパターンが記録され、前記特徴抽出手段による特徴抽出に使用された時点で、この使用済の計測データパターン部分の抽出元となった計測データ部分を削除するように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のガス器具判別装置。
【請求項11】
前記計測データ記録手段は、前記使用済の計測データパターン部分の抽出元となった計測データ部分を削除する場合に、この計測データ部分の特徴を示す特徴データを残すように構成され、
前記特徴抽出手段は、前記計測データ記録手段に残された特徴データを利用するように構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載のガス器具判別装置。
【請求項12】
前記計測データ記録手段は、予め設定された範囲の最新の計測データのみを残し、それ以前の過去の計測データ部分を削除するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のガス器具判別装置。
【請求項13】
前記抽出タイミング判定手段は、時間軸に沿った変化を示す計測データのうち、予め設定された範囲以上の変化を示す計測値が予め設定された複数回数以上連続して発生した場合に、当該範囲以上の変化が発生したと判定するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のガス器具判別装置。
【請求項14】
前記抽出タイミング判定手段により特徴抽出のタイミングを判定するために時間軸上の複数種別の判定区間が予め定義され、
前記抽出タイミング判定手段は、前記複数種別の判定区間に対して、判定区間ごとに予め設定された特徴抽出のタイミングを判定するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のガス器具判別装置。
【請求項15】
前記計測手段は、前記複数種別の判定区間に対して、判定区間ごとに予め設定された計測周期で計測を行うように構成されている
ことを特徴とする請求項14に記載のガス器具判別装置。
【請求項16】
前記計測手段を制御して前記複数種別の判定区間における計測周期を可変とする計測周期変更手段を有する
ことを特徴とする請求項14に記載のガス器具判別装置。
【請求項17】
前記抽出タイミング判定手段は、前記計測手段で計測されたガス流量に基づき、前記ガス器具の使用を開始した起動時点を判定した後、この起動時点に対して予め定義された判定区間を含む前記複数種別の判定区間に対して、判定区間ごとに予め設定された特徴抽出のタイミングを判定するように構成されている
ことを特徴とする請求項14に記載のガス器具判別装置。
【請求項18】
前記複数種別の判定区間は、前記ガス器具の立上りを対象とする立上り判定区間、前記ガス器具の立上りを含む過渡期を対象とする起動判定区間、過渡期後の通常使用時を対象とする長期判定区間を含む
ことを特徴とする請求項14に記載のガス器具判別装置。
【請求項19】
前記立上り判定区間および前記起動判定区間における特徴抽出のタイミングは、周期的タイミングであり、前記長期判定区間における特徴抽出のタイミングは、周期的タイミングまたは変化検出タイミング、あるいはそれらのタイミングの組み合わせである
ことを特徴とする請求項18に記載のガス器具判別装置。
【請求項20】
前記長期判定区間における特徴抽出のタイミングは、前回の特徴抽出のタイミングから当該長期判定区間について予め設定された時間間隔を経過した時点、および、予め設定された範囲以上の計測値変化を検出した時点のいずれかである
ことを特徴とする請求項19に記載のガス器具判別装置。
【請求項21】
前記複数種別の判定区間における特徴抽出のタイミングは、いずれも周期的タイミングであり、前記立上り判定区間における特徴抽出のタイミングの時間間隔は、前記起動判定区間および前記長期判定区間よりも短い
ことを特徴とする請求項19または請求項20に記載のガス器具判別装置。
【請求項22】
前記立上り判定区間における特徴抽出のタイミングの時間間隔は10秒〜30秒の範囲内であり、前記起動判定区間および前記長期判定区間における特徴抽出のタイミングの時間間隔は1分〜5分の範囲内である
ことを特徴とする請求項21に記載のガス器具判別装置。
【請求項23】
前記起動判定区間および前記長期判定区間における特徴抽出のタイミングは、周期的タイミングであり、起動判定区間における特徴抽出のタイミングの時間間隔は、長期判定区間よりも短い
ことを特徴とする請求項19または請求項20に記載のガス器具判別装置。
【請求項24】
前記立上り判定区間における計測周期は、前記起動判定区間および前記長期判定区間における計測周期よりも短い
ことを特徴とする請求項18に記載のガス器具判別装置。
【請求項25】
前記立上り判定区間における計測周期は0.1秒〜0.2秒の範囲内であり、前記起動判定区間および前記長期判定区間における計測周期は1秒〜2秒の範囲内である
ことを特徴とする請求項24に記載のガス器具判別装置。
【請求項26】
前記起動判定区間における計測周期は、前記長期判定区間における計測周期よりも短い
ことを特徴とする請求項18に記載のガス器具判別装置。
【請求項27】
前記ガス流路の供給先となる複数種別のガス器具についてガス器具ごとの特徴に関する特徴データおよびガス漏れの特徴に関する特徴データを記憶した特徴データ記憶手段を備え、
前記器具判別手段は、前記特徴抽出手段によって抽出された計測データの特徴と前記特徴データ記憶手段に記憶されている各ガス器具の特徴データまたはガス漏れの特徴データとを比較して、使用されているガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のガス器具判別装置。
【請求項28】
前記計測手段は、前記ガス流路に設けられて予め設定されたガス流量計測周期でガス流量の瞬時流量を計測するガス流量計測手段と、前記ガス流路に設けられて予め設定された供給圧力計測周期で瞬時圧力を計測する供給圧力計測手段を含み、
前記計測データ記録手段は、前記ガス流量計測手段により計測されたガス流量の計測値をその計測時刻とともにガス流量計測データとして記録するガス流量記録手段と、前記供給圧力計測手段により計測された供給圧力の計測値をその計測時刻とともに供給圧力計測データとして記録する供給圧力記録手段を含み、
前記特徴抽出手段は、前記計測データ記録手段に記録されたガス流量計測データおよび供給圧力計測データの特徴を抽出すると共に、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を抽出するように構成され、
前記器具判別手段は、前記特徴抽出手段によって抽出されたガス流量計測データおよび供給圧力計測データの特徴と、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を用いて前記ガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のガス器具判別装置。
【請求項29】
前記計測手段は、前記ガス流路に設けられて予め設定されたガス流量計測周期でガス流量の瞬時流量を計測するガス流量計測手段、前記ガス流路に設けられて予め設定された供給圧力計測周期で瞬時圧力を計測する供給圧力計測手段、および前記ガス流路に設けられて予め設定されたガス温度計測周期で瞬時温度を計測するガス温度計測手段を含み、
前記計測データ記録手段は、前記ガス流量計測手段により計測されたガス流量の計測値をその計測時刻とともにガス流量計測データとして記録するガス流量記録手段、前記供給圧力計測手段により計測された供給圧力の計測値をその計測時刻とともに供給圧力計測データとして記録する供給圧力記録手段、および前記ガス温度計測手段により計測されたガス温度の計測値をその計測時刻と共にガス温度計測データとして記録するガス温度記録手段を含み、
前記特徴抽出手段は、前記計測データ記録手段に記録されたガス流量計測データ、供給圧力計測データ、およびガス温度計測データの特徴を抽出すると共に、ガス流量、供給圧力、ガス温度の間の相関関係の特徴を抽出するように構成され、
前記器具判別手段は、前記特徴抽出手段によって抽出されたガス流量計測データ、供給圧力計測データ、およびガス温度計測データの特徴と、ガス流量、供給圧力、ガス温度の間の相関関係の特徴を用いて前記ガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のガス器具判別装置。
【請求項30】
ガス流路を流れるガス流量の瞬時流量を予め設定された計測周期で計測する計測ステップと、
この計測ステップにより計測されたガス流量の計測値をその計測時刻とともに計測データとして計測データ記録手段に記録する計測データ記録ステップと、
前記計測データ記録手段に記録された計測データの特徴を抽出する特徴抽出ステップと、
予め設定された特徴抽出のタイミングであると判定した場合に、前記特徴抽出ステップを行わせる抽出タイミング判定ステップと、
前記特徴抽出ステップによって抽出された計測データの特徴を用いて、前記ガス流路に接続された供給先のガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力する器具判別ステップを有し、
前記特徴抽出のタイミングおよび前記計測周期は、前記ガス器具の使用段階に応じてそれぞれ設定されており、
前記特徴抽出のタイミングは、所定の時間間隔で周期的に決定される周期的タイミング、または、前記計測手段で計測された計測値の変化を検出した時点で決定される変化検出タイミングのいずれかである
ことを特徴とするガス器具判別方法。
【請求項31】
前記計測データ記録手段に記録された計測データを読み出し、時間軸に沿った変化を示す計測データを、予め設定された範囲内の変化を除去して一定の値に置き換えることでその範囲を超える変化のみを示すデータにパターン化して計測データパターンを抽出するパターン化ステップと、
このパターン化ステップにより抽出された計測データパターンを計測データパターン記録手段に記録する計測データパターン記録ステップを有し、
前記特徴抽出ステップは、前記計測データパターン記録手段に記録された計測データパターンを読み出してその特徴を抽出するステップを含み、
前記抽出タイミング判定ステップは、予め設定された特徴抽出のタイミングであると判定した場合に、前記パターン化ステップおよび前記特徴抽出ステップを行わせるステップを含み、
前記器具判別ステップは、前記特徴抽出ステップによって抽出された計測データパターンの特徴を用いて、前記ガス流路に接続された供給先のガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力するステップを含む
ことを特徴とする請求項30に記載のガス器具判別方法。
【請求項32】
ガス流路に設けられて予め設定されたガス流量計測周期でガス流量の瞬時流量を計測するガス流量計測手段と、
前記ガス流路に設けられて予め設定された供給圧力計測周期で瞬時圧力を計測する供給圧力計測手段と、
前記ガス流量計測手段により計測されたガス流量の計測値をその計測時刻とともにガス流量計測データとして記録するガス流量記録手段と、
前記供給圧力計測手段により計測された供給圧力の計測値をその計測時刻とともに供給圧力計測データとして記録する供給圧力記録手段と、
前記ガス流量記録手段および前記供給圧力記録手段に記録されたガス流量および供給圧力の各計測データの特徴を抽出すると共に、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を抽出する特徴抽出手段と、
前記ガス流路の供給先となる複数種別のガス器具について、ガス器具ごとの特徴に関する特徴データおよびガス漏れの特徴に関する特徴データとして、ガス流量および供給圧力の各計測データの特徴とガス流量と供給圧力の相関関係の特徴に関する特徴データを記憶した特徴データ記憶手段と、
前記特徴抽出手段によって抽出された各計測データの特徴および相関関係の特徴と、前記特徴データ記憶手段に記憶されている各ガス器具の特徴データまたはガス漏れの特徴データとを比較して、使用されているガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力する器具判別手段を備え、
前記ガス流量が立上り後に一定値または連続的変化を示す区間を安定区間と称した場合に、前記特徴データ記憶手段に記憶されているガス器具の特徴データは、立上り時における最大流量値に関する特徴、立上り前の圧力値と立上り後の最初の安定区間の圧力値との差分値に関する特徴、および、安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係に関する特徴を含む
ことを特徴とするガス器具判別装置。
【請求項33】
前記ガス流量記録手段および前記供給圧力記録手段に記録された計測データを読み出し、時間軸に沿った変化を示す計測データを、予め設定された範囲内の変化を除去して一定の値に置き換えることでその範囲を超える変化のみを示すデータにパターン化してガス流量計測データパターンおよび供給圧力計測データパターンをそれぞれ抽出するパターン化手段と、
このパターン化手段により抽出されたガス流量計測データパターンを記録するガス流量パターン記録手段と、
前記パターン化手段により抽出された供給圧力計測データパターンを記録する供給圧力パターン記録手段を備え、
前記特徴抽出手段は、前記ガス流量パターン記録手段および前記供給圧力パターン記録手段に記録されたガス流量計測データパターンおよび供給圧力計測データパターンをそれぞれ読み出して、これらのパターンの特徴を抽出すると共に、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を抽出するように構成され、
前記特徴データ記憶手段は、前記ガス流路の供給先となる複数種別のガス器具について、ガス器具ごとの特徴に関する特徴データおよびガス漏れの特徴に関する特徴データとして、ガス流量および供給圧力のパターンと相関関係の特徴に関する特徴データを記憶するように構成され、
前記器具判別手段は、前記特徴抽出手段によって抽出された各パターンの特徴および相関関係の特徴と、前記特徴データ記憶手段に記憶されている各ガス器具の特徴データまたはガス漏れの特徴データとを比較して、使用されているガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力するように構成されている
ことを特徴とする請求項32に記載のガス器具判別装置。
【請求項34】
前記特徴データ記憶手段に記憶されているガス器具の特徴データは、給湯器の特徴データを含み、
この給湯器の特徴データは、立上り時における最大流量値に関する特徴、立上り時の流量と立上り後の最初の安定区間との間に存在する流量値のアンダーシュートに関する特徴、立上り前の圧力値と立上り後の最初の安定区間の圧力値との差分値に関する特徴、立上り後の最初の安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係に関する特徴、立上り後に最初の安定区間が開始するまでの時間に関する特徴、ガス器具の消火時における直前の流量値とそれ以降の立上り後の最初の安定区間の流量値との一致に関する特徴を含む
ことを特徴とする請求項32に記載のガス器具判別装置。
【請求項35】
前記特徴データ記憶手段に記憶されているガス器具の特徴データは、FF暖房機の特徴データを含み、
このFF暖房機の特徴データは、立上り時における最大流量値に関する特徴、立上り後の最初の安定区間の流量値と第3の安定区間の流量値との一致に関する特徴、ガス器具の消火時における直前の流量値とそれ以降の立上り後の消火時における直前の流量値との一致に関する特徴、立上り後の最初の安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係に関する特徴、立上り前の圧力値と立上り後の最初の安定区間の圧力値との差分値に関する特徴を含む
ことを特徴とする請求項32に記載のガス器具判別装置。
【請求項36】
前記特徴データ記憶手段に記憶されているガス器具の特徴データは、ストーブの特徴データを含み、
このストーブの特徴データは、立上り時における最大流量値に関する特徴、立上り後の最初の安定区間の流量値に対する第2の安定区間の流量値の半減に関する特徴、立上り後の最初の安定区間の流量値と立上り時における最大流量値との差分値およびこの最大流量値の継続時間に関する特徴、立上り後の最初の安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係に関する特徴、立上り前の圧力値と立上り後の最初の安定区間の圧力値との差分値に関する特徴を含む
ことを特徴とする請求項32に記載のガス器具判別装置。
【請求項37】
前記特徴データ記憶手段に記憶されているガス器具の特徴データは、コンロの特徴データを含み、
このコンロの特徴データは、立上り時における最大流量値に関する特徴、安定区間の流量値とその次の安定区間の流量値との差分値に関する特徴、立上り後の最初の安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係に関する特徴、立上り前の圧力値と立上り後の最初の安定区間の圧力値との差分値に関する特徴、安定区間の終了時点とその次の安定区間の開始時点との時間差に関する特徴、安定区間とその次の安定区間について流量値および圧力値の差分値をそれぞれ求めた場合における流量差と圧力差の相関関係に関する特徴を含む
ことを特徴とする請求項32に記載のガス器具判別装置。
【請求項38】
前記特徴データ記憶手段に記憶されているガス器具の特徴データは、ファンヒータの特徴データを含み、
このファンヒータの特徴データは、立上り時における最大流量値に関する特徴、立上り後の最初の安定区間の直前までの流量値の傾きまたは段階的な変化に関する特徴、安定区間の終了時点とその次の安定区間の開始時点との時間差に関する特徴、安定区間の流量値とその次の安定区間の流量値との差分値に関する特徴、立上り後の最初の安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係に関する特徴、立上り前の圧力値と立上り後の最初の安定区間の圧力値との差分値に関する特徴を含む
ことを特徴とする請求項32に記載のガス器具判別装置。
【請求項39】
前記特徴データ記憶手段に記憶されているガス器具の特徴データは、床暖房設備の特徴データを含み、
この床暖房設備の特徴データは、立上り時における最大流量値に関する特徴、安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係に関する床暖房設備およびガス漏れの特徴、立上り前の圧力値と立上り後の最初の安定区間の圧力値との差分値に関する特徴、ガス器具の消火時における直前の流量値とそれ以降の立上り後の最初の安定区間の流量値との一致に関する特徴を含む
ことを特徴とする請求項32に記載のガス器具判別装置。
【請求項40】
ガス流路を流れるガス流量の瞬時流量を予め設定されたガス流量計測周期で計測するガス流量計測ステップと、
前記ガス流路を流れるガスの供給圧力の瞬時圧力を予め設定された供給圧力計測周期で計測する供給圧力計測ステップと、
前記ガス流量計測ステップにより計測されたガス流量の計測値をその計測時刻とともにガス流量計測データとしてガス流量記録手段に記録するガス流量記録ステップと、
前記供給圧力計測ステップにより計測された供給圧力の計測値をその計測時刻とともに供給圧力計測データとして供給圧力記録手段に記録する供給圧力記録ステップと、
前記ガス流量記録手段および前記供給圧力記録手段に記録されたガス流量および供給圧力の各計測データの特徴を抽出すると共に、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を抽出する特徴抽出ステップと、
前記ガス流路の供給先となる複数種別のガス器具について、ガス器具ごとの特徴に関する特徴データおよびガス漏れの特徴に関する特徴データとして、ガス流量および供給圧力の各計測データの特徴とガス流量と供給圧力の相関関係の特徴に関する特徴データを記憶した特徴データ記憶手段を用いて、前記特徴抽出手段によって抽出された各計測データの特徴および相関関係の特徴と、前記特徴データ記憶手段に記憶されている各ガス器具の特徴データまたはガス漏れの特徴データとを比較して、使用されているガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力する器具判別ステップを有し、
前記ガス流量が立上り後に一定値または連続的変化を示す区間を安定区間と称した場合に、前記特徴データ記憶手段に記憶されているガス器具の特徴データは、立上り時における最大流量値に関する特徴、立上り前の圧力値と立上り後の最初の安定区間の圧力値との差分値に関する特徴、および、安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係に関する特徴を含む
ことを特徴とするガス器具判別方法。
【請求項41】
前記ガス流量記録手段および前記供給圧力記録手段に記録された計測データを読み出し、時間軸に沿った変化を示す計測データを、予め設定された範囲内の変化を除去して一定の値に置き換えることでその範囲を超える変化のみを示すデータにパターン化してガス流量計測データパターンおよび供給圧力計測データパターンをそれぞれ抽出するパターン化ステップと、
このパターン化ステップにより抽出されたガス流量計測データパターンをガス流量パターン記録手段に記録するガス流量パターン記録ステップと、
前記パターン化ステップにより抽出された供給圧力計測データパターンを供給圧力パターン記録手段に記録する供給圧力パターン記録ステップを有し、
前記特徴抽出ステップは、前記ガス流量パターン記録手段および前記供給圧力パターン記録手段に記録されたガス流量計測データパターンおよび供給圧力計測データパターンをそれぞれ読み出して、これらのパターンの特徴を抽出すると共に、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を抽出するステップを含み、
前記特徴データ記憶手段には、前記ガス流路の供給先となる複数種別のガス器具について、ガス器具ごとの特徴に関する特徴データおよびガス漏れの特徴に関する特徴データとして、ガス流量および供給圧力のパターンと相関関係の特徴に関する特徴データが記憶され、
前記器具判別ステップは、前記特徴抽出ステップによって抽出された各パターンの特徴および相関関係の特徴と、前記特徴データ記憶手段に記憶されている各ガス器具の特徴データまたはガス漏れの特徴データとを比較して、使用されているガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力するステップを含む
ことを特徴とする請求項40に記載のガス器具判別方法。
【請求項42】
ガス流路に設けられて予め設定されたガス流量計測周期でガス流量の瞬時流量を計測するガス流量計測手段と、
前記ガス流路に設けられて予め設定された供給圧力計測周期で瞬時圧力を計測する供給圧力計測手段と、
前記ガス流量計測手段により計測されたガス流量の計測値をその計測時刻とともにガス流量計測データとして記録するガス流量記録手段と、
前記供給圧力計測手段により計測された供給圧力の計測値をその計測時刻とともに供給圧力計測データとして記録する供給圧力記録手段と、
前記ガス流量記録手段および前記供給圧力記録手段に記録されたガス流量および供給圧力の各計測データの特徴を抽出すると共に、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を抽出する特徴抽出手段と、
前記ガス流路の供給先となる複数種別のガス器具について、ガス器具ごとの特徴に関する特徴データおよびガス漏れの特徴に関する特徴データとして、ガス流量および供給圧力の各計測データの特徴とガス流量と供給圧力の相関関係の特徴に関する特徴データを記憶した特徴データ記憶手段と、
前記特徴抽出手段によって抽出された各計測データの特徴および相関関係の特徴と、前記特徴データ記憶手段に記憶されている各ガス器具の特徴データまたはガス漏れの特徴データとを比較して、使用されているガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力する器具判別手段を備え、
前記特徴抽出手段は、ガス流量計測データおよび供給圧力計測データの特徴、および、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を、所定の判定方法で抽出するように構成され、
前記ガス流量が立上り後に一定値または連続的変化を示す区間を安定区間と称した場合に、前記特徴抽出手段による前記所定の判定方法は、立上り時における最大流量値を抽出し、その値を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法、立上り前の圧力値と立上り後の最初の安定区間の圧力値との差分値を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法、および、安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法を含む
ことを特徴とするガス器具判別装置。
【請求項43】
前記ガス流量記録手段および前記供給圧力記録手段に記録された計測データを読み出し、時間軸に沿った変化を示す計測データを、予め設定された範囲内の変化を除去して一定の値に置き換えることでその範囲を超える変化のみを示すデータにパターン化してガス流量計測データパターンおよび供給圧力計測データパターンをそれぞれ抽出するパターン化手段と、
このパターン化手段により抽出されたガス流量計測データパターンを記録するガス流量パターン記録手段と、
前記パターン化手段により抽出された供給圧力計測データパターンを記録する供給圧力パターン記録手段を備え、
前記特徴抽出手段は、前記ガス流量パターン記録手段および前記供給圧力パターン記録手段に記録されたガス流量計測データパターンおよび供給圧力計測データパターンをそれぞれ読み出して、これらのパターンの特徴を抽出すると共に、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を抽出するように構成され、
前記特徴データ記憶手段は、前記ガス流路の供給先となる複数種別のガス器具について、ガス器具ごとの特徴に関する特徴データおよびガス漏れの特徴に関する特徴データとして、ガス流量および供給圧力のパターンと相関関係の特徴に関する特徴データを記憶するように構成され、
前記器具判別手段は、前記特徴抽出手段によって抽出された各パターンの特徴および相関関係の特徴と、前記特徴データ記憶手段に記憶されている各ガス器具の特徴データまたはガス漏れの特徴データとを比較して、使用されているガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力するように構成されている
ことを特徴とする請求項42に記載のガス器具判別装置。
【請求項44】
前記特徴抽出手段による前記所定の判定方法は、立上り後の最初の安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法を含む
ことを特徴とする請求項42に記載のガス器具判別装置。
【請求項45】
前記特徴抽出手段による前記所定の判定方法は、立上り時の流量と立上り後の最初の安定区間との間に存在する流量値のアンダーシュートを器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法、立上り後に最初の安定区間が開始するまでの時間を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法、および、ガス器具の消火時における直前の流量値とそれ以降の立上り後の最初の安定区間の流量値との一致を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法を含む
ことを特徴とする請求項42に記載のガス器具判別装置。
【請求項46】
前記特徴抽出手段による前記所定の判定方法は、立上り後の最初の安定区間の流量値と第3の安定区間の流量値との一致を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法、および、ガス器具の消火時における直前の流量値とそれ以降の立上り後の消火時における直前の流量値との一致を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法を含む
ことを特徴とする請求項42に記載のガス器具判別装置。
【請求項47】
前記特徴抽出手段による前記所定の判定方法は、立上り後の最初の安定区間の流量値に対する第2の安定区間の流量値の半減を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法、および、立上り後の最初の安定区間の流量値と立上り時における最大流量値との差分値およびこの最大流量値の継続時間を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法を含む
ことを特徴とする請求項42に記載のガス器具判別装置。
【請求項48】
前記特徴抽出手段による前記所定の判定方法は、安定区間の流量値とその次の安定区間の流量値との差分値を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法、安定区間の終了時点とその次の安定区間の開始時点との時間差を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法を含む
ことを特徴とする請求項42に記載のガス器具判別装置。
【請求項49】
前記特徴抽出手段による前記所定の判定方法は、安定区間とその次の安定区間について流量値および圧力値の差分値をそれぞれ求めた場合における流量差と圧力差の相関関係を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法を含む
ことを特徴とする請求項42に記載のガス器具判別装置。
【請求項50】
前記特徴抽出手段による前記所定の判定方法は、立上り後の最初の安定区間の直前までの流量値の傾きまたは段階的な変化を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法を含む
ことを特徴とする請求項42に記載のガス器具判別装置。
【請求項51】
前記特徴抽出手段による前記所定の判定方法は、
安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係を器具の特徴としてガス器具およびガス漏れの判別を行う判定方法を含む
ことを特徴とする請求項42に記載のガス器具判別装置。
【請求項52】
ガス流路を流れるガス流量の瞬時流量を予め設定されたガス流量計測周期で計測するガス流量計測ステップと、
前記ガス流路を流れるガスの供給圧力の瞬時圧力を予め設定された供給圧力計測周期で計測する供給圧力計測ステップと、
前記ガス流量計測ステップにより計測されたガス流量の計測値をその計測時刻とともにガス流量計測データとしてガス流量記録手段に記録するガス流量記録ステップと、
前記供給圧力計測ステップにより計測された供給圧力の計測値をその計測時刻とともに供給圧力計測データとして供給圧力記録手段に記録する供給圧力記録ステップと、
前記ガス流量記録手段および前記供給圧力記録手段に記録されたガス流量および供給圧力の各計測データの特徴を抽出すると共に、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を抽出する特徴抽出ステップと、
前記ガス流路の供給先となる複数種別のガス器具について、ガス器具ごとの特徴に関する特徴データおよびガス漏れの特徴に関する特徴データとして、ガス流量および供給圧力の各計測データの特徴とガス流量と供給圧力の相関関係の特徴に関する特徴データを記憶した特徴データ記憶手段を用いて、前記特徴抽出手段によって抽出された各計測データの特徴および相関関係の特徴と、前記特徴データ記憶手段に記憶されている各ガス器具の特徴データまたはガス漏れの特徴データとを比較して、使用されているガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力する器具判別ステップを有し、
前記特徴抽出ステップは、ガス流量計測データおよび供給圧力計測データの特徴、および、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を、所定の判定方法で抽出するステップを含み、
前記ガス流量が立上り後に一定値または連続的変化を示す区間を安定区間と称した場合に、前記特徴抽出ステップによる前記所定の判定方法は、立上り時における最大流量値を抽出し、その値を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法、立上り前の圧力値と立上り後の最初の安定区間の圧力値との差分値を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法、および、安定区間における流量値の傾きと圧力値の傾きとの相関関係を器具の特徴としてガス器具の判別を行う判定方法を含む
ことを特徴とするガス器具判別方法。
【請求項53】
前記ガス流量記録手段および前記供給圧力記録手段に記録された計測データを読み出し、時間軸に沿った変化を示す計測データを、予め設定された範囲内の変化を除去して一定の値に置き換えることでその範囲を超える変化のみを示すデータにパターン化してガス流量計測データパターンおよび供給圧力計測データパターンをそれぞれ抽出するパターン化ステップと、
このパターン化ステップにより抽出されたガス流量計測データパターンをガス流量パターン記録手段に記録するガス流量パターン記録ステップと、
前記パターン化ステップにより抽出された供給圧力計測データパターンを供給圧力パターン記録手段に記録する供給圧力パターン記録ステップを有し、
前記特徴抽出ステップは、前記ガス流量パターン記録手段および前記供給圧力パターン記録手段に記録されたガス流量計測データパターンおよび供給圧力計測データパターンをそれぞれ読み出して、これらのパターンの特徴を抽出すると共に、ガス流量と供給圧力の間の相関関係の特徴を抽出するステップを含み、
前記特徴データ記憶手段には、前記ガス流路の供給先となる複数種別のガス器具について、ガス器具ごとの特徴に関する特徴データおよびガス漏れの特徴に関する特徴データとして、ガス流量および供給圧力のパターンと相関関係の特徴に関する特徴データが記憶され、
前記器具判別ステップは、前記特徴抽出ステップによって抽出された各パターンの特徴および相関関係の特徴と、前記特徴データ記憶手段に記憶されている各ガス器具の特徴データまたはガス漏れの特徴データとを比較して、使用されているガス器具の種別およびガス漏れの有無を判別し、判別結果を出力するステップを含む
ことを特徴とする請求項52に記載のガス器具判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−190832(P2008−190832A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28623(P2007−28623)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】