ガス検出装置
【課題】短時間で、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができるようにする。
【解決手段】アルコールセンサ24Aによって、検出対象の気体中に含まれるエタノールガスの濃度を検出し、また、酸素センサ24Bによって、検出対象の気体中に含まれる酸素の濃度を検出する。そして、エタノール濃度算出部40によって、検出されたエタノールガスの濃度の変化の時間微分、検出された酸素の濃度の変化の時間微分、記憶されたアルコールセンサの出力濃度のインパルス応答の特性、記憶された酸素センサの出力濃度のインパルス応答の特性、及び予め求められた呼気中の酸素の濃度に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を検出する。
【解決手段】アルコールセンサ24Aによって、検出対象の気体中に含まれるエタノールガスの濃度を検出し、また、酸素センサ24Bによって、検出対象の気体中に含まれる酸素の濃度を検出する。そして、エタノール濃度算出部40によって、検出されたエタノールガスの濃度の変化の時間微分、検出された酸素の濃度の変化の時間微分、記憶されたアルコールセンサの出力濃度のインパルス応答の特性、記憶された酸素センサの出力濃度のインパルス応答の特性、及び予め求められた呼気中の酸素の濃度に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検出装置に係り、特に、運転者の呼気に含まれるアルコールの濃度を検出することができるガス検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、呼気中エタノールの検出方法として、酸化物半導体式、燃料電池式、赤外吸収式、及び接触燃焼式等が知られており、ドライバのエタノール濃度を検出してエンジン始動を停止する技術等も提案されている(特許文献1〜特許文献3)。
【0003】
また、呼気中のアルコール濃度を測定するため、従来から、センサ出力のピーク値の比を取る方法が行われている。
【特許文献1】特開2004−212217号公報
【特許文献2】特開2004−279228号公報
【特許文献3】特開2005−296252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、一般にセンサの応答性が悪く、センサ出力が最大値を示すまでに時間がかかってしまうため、測定所要時間が長い、という問題点がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、短時間で、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる濃度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のガス検出装置は、検出対象の気体中に含まれる検出対象ガスの濃度を検出する対象ガス検出手段と、前記検出対象の気体中に含まれる参照ガスの濃度を検出する参照ガス検出手段と、前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性を記憶した対象ガス応答特性記憶手段と、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性を記憶した参照ガス応答特性記憶手段と、前記対象ガス検出手段によって検出された前記検出対象ガスの濃度、前記参照ガス検出手段によって検出された前記参照ガスの濃度、前記対象ガス応答特性記憶手段に記憶された前記検出対象ガスの濃度の応答特性、前記参照ガス応答特性記憶手段に記憶された前記参照ガスの濃度の応答特性、及び予め求められた呼気中の前記参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の前記検出対象ガスの濃度を検出する濃度検出手段とを含んで構成されている。
【0007】
本発明のガス検出装置によれば、対象ガス検出手段によって、検出対象の気体中に含まれる検出対象ガスの濃度を検出し、また、参照ガス検出手段によって、検出対象の気体中に含まれる参照ガスの濃度を検出する。
【0008】
そして、濃度検出手段によって、対象ガス検出手段によって検出された検出対象ガスの濃度、参照ガス検出手段によって検出された参照ガスの濃度、対象ガス応答特性記憶手段に記憶された検出対象ガスの濃度の応答特性、参照ガス応答特性記憶手段に記憶された参照ガスの濃度の応答特性、及び予め求められた呼気中の参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出する。
【0009】
このように、対象ガス検出手段の応答特性及び参照ガス検出手段の応答特性を用いて、検出された検出対象ガスの濃度及び検出された参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することにより、短時間で、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる。
【0010】
本発明に係る濃度検出手段は、検出された検出対象ガスの濃度の変化の時間微分、検出された参照ガスの濃度の変化の時間微分、対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の応答特性、参照ガス検出手段によって検出される参照ガスの濃度の応答特性、及び呼気中の参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の前記検出対象ガスの濃度を検出することができる。これによって、検出対象ガスの濃度の変化の時間微分と、参照ガスの濃度の変化の時間微分とを検出すれば、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができるため、より短時間で、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる。
【0011】
この濃度検出手段は、下記の(1)式に従って、呼気中の検出対象ガスの濃度daを算出するようにすることができる。
【0012】
【数1】
ただし、tは、検出時の時間を表わす変数、ea(t)のドットは、検出された検出対象ガスの濃度の変化の時間微分、ex(t)のドットは、検出された参照ガスの濃度の変化の時間微分、ha(t)は、対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の応答特性、hx(t)は、参照ガス検出手段によって検出される参照ガスの濃度の応答特性、dxは、呼気中の参照ガスの濃度である。
【0013】
本発明に係る濃度検出手段は、検出された検出対象ガスの濃度、検出された参照ガスの濃度、対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の応答特性の所定時間内の積分値、参照ガス検出手段によってされる参照ガスの濃度の応答特性の所定時間内の積分値、及び呼気中の参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる。これによって、対象ガス検出手段の応答特性の積分値及び参照ガス検出手段の応答特性の積分値を用いて、検出された検出対象ガスの濃度及び検出された参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる。
【0014】
この濃度検出手段は、下記の(2)式に従って、呼気中の検出対象ガスの濃度daを算出するようにすることができる。
【0015】
【数2】
ただし、tは、検出時の時間を表わす変数、τは、時間を表わす変数、ea(t)は、検出された検出対象ガスの濃度、ex(t)は、検出された参照ガスの濃度、ha(τ)は、対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の応答特性、hx(τ)は、参照ガス検出手段によって検出される参照ガスの濃度の応答特性、Txは、予め求められた参照ガス検出手段によって検出される参照ガスの濃度の変化の応答持続時間、Taは、予め求められた検出対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の変化の応答持続時間、Tbは、検出された検出対象ガスの濃度の変化に基づいて定まる呼気の継続時間、dxは、呼気中の前記参照ガスの濃度である。
【0016】
本発明に係る濃度検出手段は、検出された参照ガスの濃度の変化をフーリエ変換した値と、参照ガス検出手段によって検出される参照ガスの濃度の応答特性をフーリエ変換した値と、呼気中の前記参照ガスの濃度とに基づいて得られる値に対して、逆フーリエ変換を行なって、呼気量の時間変化を推定し、推定した呼気量の時間変化と対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の応答特性との積の所定時間内の積分値、及び検出された検出対象ガスの濃度の変化に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる。これによって、フーリエ変換及び逆フーリエ変換を行なって、呼気量の時間変化を推定し、推定された呼気量の時間変化と対象ガス検出手段の応答特性との積の積分値、及び検出された検出対象ガスの濃度に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる。
【0017】
この濃度検出手段は、下記の(3)式に従って、呼気量の時間変化を推定し、下記の(4)式に従って、呼気中の検出対象ガスの濃度daを算出するようにすることができる。
【0018】
【数3】
【0019】
【数4】
ただし、F−1 []は、逆フーリエ変換、tは、検出時の時間を表わす変数、τは、時間を表わす変数、b(t−τ)のハットは、推定した呼気量の時間変化、ea(t)は、検出された検出対象ガスの濃度、Ex(f)は、検出された参照ガスの濃度の変化をフーリエ変換した値、ha(τ)は、対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の応答特性、Hx(f)は、参照ガス検出手段によって検出される参照ガスの濃度の応答特性をフーリエ変換した値、dxは、呼気中の前記参照ガスの濃度である。
【0020】
上記の検出対象ガスを、エタノールガスとし、参照ガスを、酸素、二酸化炭素、及び水蒸気の何れか1つとすることができる。
【0021】
上記の対象ガス検出手段を、酸化物半導体を用いてエタノールガスの濃度を検出するガスセンサで構成し、参照ガス検出手段を、酸素、二酸化炭素、及び水蒸気の何れか1つの濃度を検出するガスセンサで構成することができる。
【0022】
また、酸素の濃度を検出するガスセンサとしては、固体電解質を用いて酸素濃度を検出する酸素センサを用いることができ、二酸化炭素の濃度を検出するガスセンサとしては、固体電解質を用いて二酸化炭素の濃度を検出する二酸化炭素センサを用いることができ、水蒸気の濃度を検出するガスセンサとしては、酸化物半導体または高分子膜静電容量を用いて水蒸気の濃度を検出する水蒸気センサを用いることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、対象ガス検出手段の応答特性及び参照ガス検出手段の応答特性を用いて、検出された検出対象ガスの濃度及び検出された参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することにより、短時間で、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、ドライバの呼気からアルコールの一種であるエタノールの濃度を検出するエタノール濃度検出装置に、本発明を適用した場合を例に説明する。
【0025】
図1に示すように、第1の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置10は、運転席に設けられたステアリングコラム12の、ドライバの呼気が到達可能な位置に取り付けられている。エタノール濃度検出装置10は、先端部に拡径した吸い込み口20Aが形成された細長円筒状の呼気導入管20を備えており、呼気導入管20の基端部には、ドライバの呼気を吸い込み口20Aから吸い込むために駆動される吸い込みファン22が設けられている。
【0026】
呼気導入管20の中間部の内部には、酸化物半導体を用いてエタノールガスの濃度を検出するエタノールガスセンサであるアルコールセンサ、及び酸素の濃度を検出する酸素センサを有するセンサ群24が取り付けられている。
【0027】
図2に示すように、センサ群24は、呼気導入管20の中間部の内部に対向するように取り付けられた、アルコールセンサ24Aと酸素センサ24Bとで構成されている。
【0028】
アルコールセンサ24Aは、呼気導入管20内を流れる気体中に含まれるエタノールガスを検出するセンサであり、例えば、酸化錫の半導体を用いたTGS822(フィガロ技研社製、商品名)を使用することができる。
【0029】
酸素センサ24Bは、呼気導入管20内を流れる気体中の酸素の濃度を検出するセンサであり、例えば、ジルコニア固体電解質を用いたFCX−MVL(フジクラ社製、商品名)を使用することができる。
【0030】
この実施の形態によれば、吸い込みファン22を駆動することにより、ドライバから吐き出された呼気は呼気導入管20の吸い込み口20Aから呼気導入管20内に吸入されると共に、呼気が空気と混合されることで任意に希釈され、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bへ到達する。そして、呼気は、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bに接触した後、吸い込みファン22の背面に排出される。
【0031】
呼気がアルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bに接触することにより、アルコールセンサ24Aによって呼気を含む気体中のエタノールガスの濃度が検出されると共に、酸素センサ24Bによって呼気を含む気体中の酸素の濃度が検出される。アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bで検出された気体中のエタノールガスの濃度及び酸素の濃度は、後述するエタノール濃度判定器に入力され、検出したエタノールガスの濃度の大きさ及び酸素の濃度の大きさに基づいて、呼気中の検出対象ガスとしてのエタノールガスの濃度が検出される。
【0032】
図3に示すように、エタノール濃度検出装置10は、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bに接続され、かつ、エタノールガスの濃度を検出するエタノール濃度判定器30を備えている。
【0033】
エタノール濃度判定器30は、アルコールセンサ24Aからの出力濃度に基づいて、呼気導入管20内を流れる呼気を含む気体中のエタノールガスの濃度の変化の時間微分を算出するエタノール濃度微分算出部32と、酸素センサ24Bの出力濃度に基づいて、呼気導入管20内を流れる気体中の酸素の濃度の変化の時間微分を算出する酸素濃度微分算出部34と、予め求められたアルコールセンサ24Aの出力濃度のインパルス応答の特性を記憶したアルコールセンサ応答特性記憶部36と、予め求められた酸素センサ24Bの出力濃度のインパルス応答の特性を記憶した酸素センサ応答特性記憶部38と、気体中のエタノールガスの濃度の変化の時間微分、気体中の酸素の濃度の変化の時間微分、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性、酸素センサ24Bのインパルス応答の特性、及び予め求められた呼気中の酸素の濃度に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出するエタノール濃度算出部40と、エタノール濃度算出部40による算出結果を表示する表示部42とを備えている。
【0034】
エタノール濃度微分算出部32は、図4(A)に示すような呼気が導入され、導入された呼気に対する応答として、図4(B)に示すように、アルコールセンサ24Aの出力濃度が変化することを検知すると、出力濃度が最大値となる前の所定の計測期間Tmsの出力濃度の変化から、エタノールガスの濃度の変化の時間微分を算出する。
【0035】
酸素濃度微分算出部34は、図4(A)に示すような呼気が導入され、導入された呼気に対する応答として、図4(C)に示すように、酸素センサ24Bの出力濃度が変化することを検知すると、出力濃度が最小値となる前の所定の計測期間Tmsの出力濃度の変化から、酸素の濃度の変化の時間微分を算出する。
【0036】
アルコールセンサ応答特性記憶部36には、図4(B)に示すような、アルコールセンサ24Aの出力濃度のインパルス応答の特性が記憶されており、酸素センサ応答特性記憶部38には、図4(C)に示すような、酸素センサ24Bの出力濃度のインパルス応答の特性が記憶されている。
【0037】
ここで、従来の方法について説明する。呼気中のエタノールガスの濃度を測定するため、従来は、センサからの出力濃度のピーク値の比を取る方法が行われてきた。この従来の方法は、以下に説明する原理に基づいている。
【0038】
酸素センサからの出力濃度のインパルス応答の最小値をhxm、アルコールセンサからの出力濃度のインパルス応答の最大値をhamとすると、酸素センサの出力の最小値max(ex(t))、及びアルコールセンサの出力の最大値max(ea(t))は、以下の(5)式で表される。
【0039】
【数5】
ただし、dxは、予め求められた呼気中の酸素の濃度(例えば、分圧比約15%)、daは、呼気中のエタノールガスの濃度、b0は、呼気量、Tbは、呼気継続時間である。
【0040】
上記(5)式から、呼気中のエタノールガスの濃度daを以下の(6)式で表わすことができ、(6)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度daを算出することができる。
【0041】
【数6】
しかし、上述した従来の方法には問題がある。一般にアルコールセンサは応答性が悪く、アルコールセンサの出力ea(t)が最大値を示しピークを形成するまでに5秒以上かかってしまう場合があり、測定所要時間が長くなってしまう、という問題がある。また、各センサの最大値のみに基づいて、エタノールガスの濃度を算出するため、たまたま最大値出力時にノイズが混入した場合、大きな誤差を生んでしまい、測定精度が低下してしまう、という問題がある。
【0042】
そこで、本実施の形態では、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの出力濃度の変化の時間微分を用いて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。以下に、本実施の形態の原理について説明する。
【0043】
まず、呼気中のエタノールガスの濃度をdx、酸素の濃度をda、センサ計測地点tで観測される呼気量の時間変化をb(t)、酸素センサ24B及びアルコールセンサ24Aの各々の出力をex(t)、ea(t)とすると、図5に示すようなモデルに基づいて、酸素センサ24B及びアルコールセンサ24Aの各々からの出力濃度のインパルス応答hx(t)、ha(t)は、以下の(7)式で表される。
【0044】
【数7】
ここで、呼気量を図4(A)のようにパルス波形で近似すると、呼気量の時間変化b(t)は、以下の(8)式で表わされる。
【0045】
【数8】
上記(7)式及び(8)式により、酸素センサ24B及びアルコールセンサ24Aの各々からの出力濃度ex(t)、ea(t)は、以下の(9)式で表される。
【0046】
【数9】
ただし、Txは、酸素センサ24Bのインパルス応答持続時間(図8(C)参照)、Taは、アルコールセンサ24Aのインパルス応答持続時間(図8(B)参照)である。また、Tx、Taは、呼気継続時間Tbより長いと仮定した。
【0047】
上記(9)式により、酸素センサ24B及びアルコールセンサ24Aの各々からの出力濃度の時間微分ex(t)のドット、ea(t)のドットは、以下の(10)式で表される。
【0048】
【数10】
従って、上記(10)式により、呼気中のエタノールガスの濃度daは、0<t<Tbの区間で、以下の(11)式で表される。
【0049】
【数11】
エタノール濃度算出部40は、上記(11)式を用いて、算出された呼気導入管20内を流れる呼気を含む気体中のエタノールガスの濃度の変化の時間微分、算出された呼気導入管20内を流れる呼気を含む気体中の酸素の濃度の変化の時間微分、アルコールセンサ24Aからの出力濃度のインパルス応答の特性、及び酸素センサ24Bからの出力濃度のインパルス応答の特性に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。
【0050】
次に、第1の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置10の作用について説明する。ドライバが車両シートに着座すると、ドライバの呼気が呼気導入管20に吹き込まれる状態となり、ドライバによってイグニッションスイッチがオンされると、エタノール濃度検出装置10のエタノール濃度判定器30において、図6に示すエタノール濃度検出処理ルーチンが実行される。
【0051】
まず、ステップ100において、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々からの出力濃度の変化から、呼気に対する応答が検知されたか否かを判定し、上記図4(B)、(C)に示すような出力濃度の変化が検知されると、呼気が呼気導入管20内に導入されたと判断し、ステップ102へ進む。
【0052】
ステップ102では、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々から、所定の計測期間Tmsの出力濃度を取得する。そして、ステップ104において、上記ステップ102で取得した酸素センサ24Bの出力濃度から、酸素濃度の変化の時間微分を算出し、ステップ106で、上記ステップ102で取得したアルコールセンサ24Aの出力濃度から、エタノールガス濃度の変化の時間微分を算出する。
【0053】
そして、ステップ108において、アルコールセンサ応答特性記憶部36から、アルコールセンサ24Aからの出力濃度のインパルス応答の特性を取得すると共に、酸素センサ応答特性記憶部38から、酸素センサ24Bからの出力濃度のインパルス応答の特性を取得する。
【0054】
次のステップ110では、上記ステップ104で算出した酸素濃度の変化の時間微分、上記ステップ106で算出したエタノールガスの濃度の変化の時間微分、上記ステップ108で取得したアルコールセンサ24Aからの出力濃度のインパルス応答の特性、及び酸素センサ24Bからの出力濃度のインパルス応答の特性に基づいて、上記(11)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。そして、ステップ112において、上記ステップ110で算出された呼気中のエタノールガスの濃度を表示部42に表示させて、エタノール濃度検出処理ルーチンを終了する。
【0055】
以上説明したように、第1の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置によれば、アルコールセンサのインパルス応答の特性及び酸素センサのインパルス応答の特性を用いて、アルコールセンサの出力濃度の変化の時間微分と、酸素センサの出力濃度の変化の時間微分とを算出すれば、呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができるため、センサの出力濃度のピーク値をとる場合に比べて、短時間で、呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0056】
また、アルコールセンサの出力濃度や酸素センサの出力濃度そのものを用いずに、アルコールセンサの出力濃度の変化の時間微分と、酸素センサの出力濃度の変化の時間微分とを用いて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出するため、ノイズによる測定誤差を低減することができ、精度よく呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0057】
次に、第2の実施の形態に係るエタノール濃度判定装置について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
第2の実施の形態では、酸素センサのインパルス応答の特性の所定時間の積分値と、アルコールセンサのインパルス応答の特性の所定時間の積分値とを用いて、呼気中のエタノールガスの濃度値を算出している点が、第1の実施の形態と主に異なっている。
【0059】
図7に示すように、第2の実施の形態に係るエタノール濃度判定装置210のエタノール濃度判定器230は、アルコールセンサ24Aから、出力濃度を取得するアルコールセンサ出力取得部232と、酸素センサ24Bから、出力濃度を取得する酸素センサ出力取得部234と、酸素センサ24Bの出力濃度の変化に基づいて、呼気継続時間を算出する呼気継続時間算出部236と、アルコールセンサ応答特性記憶部36と、酸素センサ応答特性記憶部38と、アルコールセンサ24Aの出力濃度、酸素センサ24Bの出力濃度、算出された呼気継続時間、アルコールセンサ24Aの出力濃度のインパルス応答の特性、及び酸素センサ24Bの出力濃度のインパルス応答の特性に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出するエタノール濃度算出部240と、エタノール濃度算出部240による算出結果を表示する表示部42とを備えている。
【0060】
次に、本実施の形態の原理について説明する。なお、以下では、図8に示すように、酸素センサ24Bの応答が速く、呼気継続時間Tbより酸素センサ応答持続時間Txの方が短い場合を例に説明する。
【0061】
酸素センサ24Bの出力濃度ex(t)は、以下の(12)式で表される。
【0062】
【数12】
上記(12)式に示すように、Tx<t<Tbの区間でex(t)が一定値をとるため、ex(t)の値を計測し、一定値をとった期間の長さをTb−Txとする。Txは既知のため、Tb−Txが得られると、Tbが算出される。
【0063】
また、アルコールセンサ24Aの出力濃度ea(t)は、以下の(13)式で表される。
【0064】
【数13】
上記(13)式により、Tbを用いて、呼気中のエタノールガスの濃度daが以下の(14)式で表されるため、(14)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度daが算出される。
【0065】
【数14】
呼気継続時間算出部236は、上述したように、酸素センサ24Bの出力濃度が一定値をとる期間の長さから、呼気継続時間Tbを算出する。
【0066】
また、エタノール濃度算出部240は、上述したように、上記(14)式を用いて、酸素センサ24Bの出力濃度が一定値となる期間終了後の計測時刻t(=Tb+Δt)におけるアルコールセンサ24Aからの出力濃度、呼気継続時間Tbにおける酸素センサ24Bの出力濃度、予め求められた呼気中の酸素の濃度、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性の所定期間(時刻t−Tbから計測時刻tまでの期間)の積分値、及び酸素センサ24Bのインパルス応答の特性の所定期間(時刻0から酸素センサ応答持続時間Txまでの期間)の積分値に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。
【0067】
次に、第2の実施の形態に係るエタノール濃度検出処理ルーチンについて、図9を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0068】
まず、ステップ100で、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々からの出力濃度の変化から、呼気に対する応答が検知されたか否かを判定し、呼気の導入に対する出力濃度の変化が検知されると、ステップ250へ進む。
【0069】
ステップ250では、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々から、酸素センサ24Bの出力濃度が一定となる期間と、出力濃度が一定となる期間終了後の所定期間とにおける出力濃度を取得する。
【0070】
そして、ステップ252において、上記ステップ250で取得した酸素センサ24Bからの出力濃度から、出力濃度が一定となる期間が終了する時点を、呼気継続時間Tbとして算出し、ステップ254において、上記ステップ250で取得した酸素センサ24Bからの出力濃度から、時刻Tbにおける酸素センサ24Bのセンサ出力を取得する。
【0071】
次のステップ256では、上記ステップ250で取得したアルコールセンサ24Aからの出力濃度から、所定の計測時刻t(=Tb+Δt)におけるアルコールセンサ24Aのセンサ出力を取得する。そして、ステップ108において、アルコールセンサ応答特性記憶部36から、アルコールセンサ24Aの出力濃度のインパルス応答の特性を取得すると共に、酸素センサ応答特性記憶部38から、酸素センサ24Bの出力濃度のインパルス応答の特性を取得する。
【0072】
次のステップ258では、上記ステップ252で算出した呼気継続時間Tb、上記ステップ254で取得したTbにおける酸素センサ24Bの出力濃度、上記ステップ256で取得した計測時刻tにおけるアルコールセンサ24Aの出力濃度、予め求められた呼気中の酸素の濃度、上記ステップ108で取得したアルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性の時刻t−Tbから計測時刻tまでの期間の積分値、及び酸素センサ24Bのインパルス応答の特性の時刻0(酸素センサ24Bの出力濃度の応答開始時)から酸素センサ応答持続時間Txまでの期間の積分値に基づいて、上記(14)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。そして、ステップ112において、上記ステップ258で算出された呼気中のエタノールガスの濃度を表示部42に表示させて、エタノール濃度検出処理ルーチンを終了する。
【0073】
以上説明したように、第2の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置によれば、アルコールセンサのインパルス応答の特性の積分値及び酸素センサのインパルス応答の特性の積分値を用いて、アルコールセンサの出力濃度と、酸素センサの出力濃度とに基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができるため、センサの出力濃度のピーク値をとる場合に比べて、短時間で、呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0074】
また、アルコールセンサの出力濃度のピーク値や酸素センサの出力濃度のピーク値を用いずに、呼気中のエタノールガスの濃度を算出するため、ノイズによる測定誤差を低減することができ、精度よく呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0075】
次に、第3の実施の形態に係るエタノール濃度判定装置について説明する。なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
第3の実施の形態では、呼気量の時間変化を推定している点が第1の実施の形態と異なっている。
【0077】
図10に示すように、第3の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置310のエタノール濃度判定器330は、アルコールセンサ24Aから、図11(B)に示すような出力濃度を所定期間分取得するアルコールセンサ出力取得部332と、酸素センサ24Bから、図11(A)に示すような出力濃度を所定期間分取得する酸素センサ出力取得部334と、アルコールセンサ応答特性記憶部36と、酸素センサ応答特性記憶部38と、酸素センサ24Bの出力濃度の変化及び酸素センサ24Bのインパルス応答の特性に基づいて、呼気量の時間変化を推定する呼気推定量算出部336と、アルコールセンサ24Aからの出力濃度、算出された呼気量の時間変化推定量、及びアルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出するエタノール濃度算出部340と、エタノール濃度算出部340による算出結果を表示する表示部42とを備えている。
【0078】
ここで、本実施の形態の原理について説明する。呼気中のアルコール濃度をdx、呼気中の酸素濃度をda、センサ計測地点で観測される呼気量の時間変化をb(t)、酸素センサ24B及びアルコールセンサ24Aの各々からの出力濃度をex(t),ea(t)とすると、酸素センサ24B及びアルコールセンサ24Aの各々からの出力濃度のインパルス応答の特性hx(t),ha(t)は、以下の(15)式で表される。
【0079】
【数15】
上記(15)式をフーリエ変換すると、以下の(16)式が得られる。
【0080】
【数16】
但し、Ex(f)は酸素センサ24Bの出力濃度の変化をフーリエ変換した値、Ea(f)はアルコールセンサ24Aの出力濃度の変化をフーリエ変換した値、Hx(f)は酸素センサ24Bのインパルス応答の特性をフーリエ変換した値、Ha(f)はアルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性をフーリエ変換した値、B(f)は呼気量の変化をフーリエ変換した値である。
【0081】
一般に、酸素センサ24Bはアルコールセンサ24Aに比べて応答が速いため、上記(16)式のうちの酸素センサ24Bの出力濃度に関する式から、呼気量の時間変化推定量b(t)のハットが以下の(17)式で表される。
【0082】
【数17】
但し、F−1[]は逆フーリエ変換を表す。
【0083】
また、上記(17)式で算出される呼気推定量b(t)のハットを用いて、呼気中のエタノールガスの濃度daが以下の(18)式で表され、(18)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度daが算出される。
【0084】
【数18】
呼気推定量算出部336は、酸素センサ出力取得部334で取得した酸素センサ24Bの出力濃度、酸素センサ24Bの出力濃度のインパルス応答の特性、及び予め求められた呼気中の酸素の濃度に基づいて、上記(17)式に従って、呼気量の時間変化推定量を算出する。
【0085】
エタノール濃度算出部340は、アルコールセンサ出力取得部332で取得したアルコールセンサ24Aの出力濃度、推定された呼気量の時間変化推定量、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性に基づいて、上記(18)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。
【0086】
次に、第3の実施の形態に係るエタノール濃度検出処理ルーチンについて、図12を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0087】
まず、ステップ100で、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々からの出力濃度の変化から、呼気に対する応答が検知されたか否かを判定し、呼気の導入に対するセンサ出力の変化が検知されると、ステップ350へ進む。
【0088】
ステップ350では、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々から、所定期間分(例えば、酸素センサ応答継続時間分)の出力濃度を取得する。
【0089】
そして、ステップ108において、アルコールセンサ応答特性記憶部36から、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性を取得すると共に、酸素センサ応答特性記憶部38から、酸素センサ24Bのインパルス応答の特性を取得する。
【0090】
次のステップ352では、上記ステップ350で取得した酸素センサ24Bの出力濃度、酸素センサ24Bのインパルス応答の特性、及び予め求められた呼気中の酸素の濃度に基づいて、呼気量の時間変化推定量を算出する。上記ステップ352では、まず、上記ステップ350で取得した酸素センサ24Bの出力濃度に対してフーリエ変換を行うと共に、酸素センサ24Bのインパルス応答の特性に対してフーリエ変換を行なう。そして、上記(17)式に従って、酸素センサ24Bの出力濃度をフーリエ変換した値、酸素センサ24Bのインパルス応答の特性をフーリエ変換した値、及び予め求められた呼気中の酸素の濃度に基づいて得られる値に対して、逆フーリエ変換を行なって、呼気量の時間変化推定量を算出する。
【0091】
そして、ステップ354では、上記ステップ352で算出された呼気量の時間変化推定量、アルコールセンサ24Aの出力濃度、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性に基づいて、上記(18)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。そして、ステップ112において、上記ステップ354で算出された呼気中のエタノールガスの濃度を表示部42に表示させて、エタノール濃度検出処理ルーチンを終了する。
【0092】
以上説明したように、第3の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置は、フーリエ変換及び逆フーリエ変換を行なって、呼気量の時間変化を推定し、推定された呼気量の時間変化とアルコールセンサのインパルス応答の特性との積の積分値、及び検出されたアルコールセンサの出力濃度に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができるため、センサの出力濃度のピーク値をとる場合に比べて、短時間で、呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0093】
また、アルコールセンサの出力濃度のピーク値や酸素センサの出力濃度のピーク値を用いずに、呼気中のエタノールガスの濃度を算出するため、ノイズによる測定誤差を低減することができ、精度よく呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0094】
次に、第4の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0095】
第4の実施の形態では、アルコールセンサ及び酸素センサの各々から出力される信号にノイズ成分が含まれないようにするために、呼気周波数成分の信号のみを通過させるハイパスフィルタ等で構成された呼気信号フィルタを用いている点が第1の実施の形態と異なっている。
【0096】
第4の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置では、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々とエタノール濃度判定器30との間に、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々から出力された信号から呼気周波数成分以上の信号のみを通過させるハイパスフィルタで構成された呼気信号フィルタ(図示省略)が接続されている。呼気信号フィルタは、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々から出力された信号から呼気周波数成分に相当する成分の電気信号のみを抽出し、エタノール濃度判定器30に入力する。
【0097】
アルコールセンサ24Aから出力されるエタノールガス濃度を示す信号から呼気のタイミングに相当する呼気周波数成分の信号のみが抽出され、エタノールガスの濃度が検出される。また、酸素センサ24Bから出力される酸素の濃度を示す信号から呼気のタイミングに相当する呼気周波数成分の信号のみが抽出され、酸素の濃度が検出される。
【0098】
これによって、呼気信号フィルタを通過したアルコールセンサからの出力濃度を示す信号の大きさに基づいて、呼気として排出されたガス中のエタノールガスの濃度を検出し、また、呼気信号フィルタを通過した酸素センサからの出力濃度を示す信号の大きさに基づいて、呼気として排出されたガス中の酸素の濃度を検出することにより、より正確に呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0099】
次に、第5の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置について説明する。第5の実施の形態では、参照ガスとして二酸化炭素を検出する二酸化炭素センサを用いている点が第1の実施の形態と異なっている。
【0100】
第5の実施の形態に係るエタノール検出装置では、アルコールセンサ24Aの出力濃度と、二酸化炭素センサの出力濃度とが、エタノール濃度判定器に入力される。また、エタノール濃度判定器には、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性と二酸化炭素センサのインパルス応答の特性とが記憶されている。
【0101】
そして、アルコールセンサ24Aの出力濃度、二酸化炭素センサの出力濃度、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性、二酸化炭素センサのインパルス応答の特性、及び予め求められた呼気中の二酸化炭素の濃度に基づいて、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同様に、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。
【0102】
二酸化炭素センサは、呼気導入管20内を流れる気体中に含まれる二酸化炭素を検出するセンサであり、例えば、固体電解質を用いたCDM4160(フィガロ技研社製、商品名)を使用することができる。呼気中の二酸化炭素濃度については、実験や統計により予め求めておけばよく、例えば、約3.8%で一定である。
【0103】
なお、参照ガスの濃度として二酸化炭素の濃度を用いる場合には、酸素の濃度を用いる場合とは反対に、大気中に比べて呼気中の濃度は増加するので、二酸化炭素センサの出力濃度は、大気中の二酸化炭素センサの出力濃度より増加することになる。また、二酸化炭素センサの出力濃度のインパルス応答の特性では、出力濃度が最大値をとるように変化する。
【0104】
次に、第6の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置について説明する。第6の実施の形態では、参照ガスとして水蒸気を検出する水蒸気センサを用いている点が第1の実施の形態と異なっている。
【0105】
第6の実施の形態に係るエタノール検出装置では、アルコールセンサ24Aの出力濃度と、水蒸気センサの出力濃度とが、エタノール濃度判定器に入力される。また、エタノール濃度判定器には、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性と水蒸気センサのインパルス応答の特性とが記憶されている。
【0106】
そして、アルコールセンサ24Aの出力濃度、水蒸気センサの出力濃度、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性、水蒸気センサのインパルス応答の特性、及び予め求められた呼気中の水蒸気の濃度(例えば、34℃の飽和水蒸気濃度の値とする)に基づいて、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同様に、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。
【0107】
水蒸気センサとしては、酸化錫の半導体を用いたTGS2180(フィガロ技研社製、商品名)を用いることができる。また、高分子膜静電容量を用いた水蒸気センサを用いてもよい。
【0108】
なお、参照ガスの濃度として水蒸気の濃度を用いる場合には、酸素の濃度を用いる場合とは反対に、大気中に比べて呼気中の水蒸気は増加するので、水蒸気センサの出力濃度は、大気中の水蒸気センサの出力濃度より増加することになる。また、水蒸気センサの出力濃度のインパルス応答の特性では、出力濃度が最大値をとるように変化する。
【0109】
上記の実施の形態では、算出された呼気中のエタノールガスの濃度を表示する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、算出したエタノールガス濃度と予め定めた閾値とを比較し、算出したエタノールガス濃度が閾値以上の場合にエタノールの濃度が高いと判定し、エンジンが始動できないようにする等の不正ができないように制御するようにしてもよい。
【0110】
上記では、ドライバの呼気からエタノールを検出する例について説明したが、エタノール濃度検出装置を携帯可能に構成する等により、本発明はドライバ以外の人間の呼気からエタノールを検出する場合にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本実施の形態のエタノール濃度検出装置を運転席のステアリングコラムに取り付けた状態を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態のエタノール濃度判定器の構成を示すブロック図である。
【図4】(A)呼気量の時間変化を示す線図、(B)アルコールセンサの出力濃度の時間変化を示す線図、及び(C)酸素センサの出力濃度の時間変化を示す線図である。
【図5】呼気量、アルコールセンサのインパルス応答の特性、及び酸素センサのインパルス応答の特性に基づいて、アルコールセンサ及び酸素センサの各々の出力濃度が算出されるモデルを示すイメージ図である。
【図6】第1の実施の形態のエタノール濃度検出装置におけるエタノール濃度検出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態のエタノール濃度判定器の構成を示すブロック図である。
【図8】(A)呼気量の時間変化を示す線図、(B)アルコールセンサの出力濃度の時間変化を示す線図、及び(C)酸素センサの出力濃度の時間変化を示す線図である。
【図9】第2の実施の形態のエタノール濃度検出装置におけるエタノール濃度検出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施の形態のエタノール濃度判定器の構成を示すブロック図である。
【図11】(A)酸素センサの出力濃度の時間変化を示す線図、及び(B)アルコールセンサの出力濃度の時間変化を示す線図である。
【図12】第3の実施の形態のエタノール濃度検出装置におけるエタノール濃度検出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0112】
10、210、310 エタノール濃度検出装置
20 呼気導入管
24A アルコールセンサ
24B 酸素センサ
30、230、330 エタノール濃度判定器
32 エタノール濃度微分算出部
34 酸素濃度微分算出部
36 アルコールセンサ応答特性記憶部
38 酸素センサ応答特性記憶部
40、240、340 エタノール濃度算出部
236 呼気継続時間算出部
336 呼気推定量算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検出装置に係り、特に、運転者の呼気に含まれるアルコールの濃度を検出することができるガス検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、呼気中エタノールの検出方法として、酸化物半導体式、燃料電池式、赤外吸収式、及び接触燃焼式等が知られており、ドライバのエタノール濃度を検出してエンジン始動を停止する技術等も提案されている(特許文献1〜特許文献3)。
【0003】
また、呼気中のアルコール濃度を測定するため、従来から、センサ出力のピーク値の比を取る方法が行われている。
【特許文献1】特開2004−212217号公報
【特許文献2】特開2004−279228号公報
【特許文献3】特開2005−296252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、一般にセンサの応答性が悪く、センサ出力が最大値を示すまでに時間がかかってしまうため、測定所要時間が長い、という問題点がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、短時間で、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる濃度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のガス検出装置は、検出対象の気体中に含まれる検出対象ガスの濃度を検出する対象ガス検出手段と、前記検出対象の気体中に含まれる参照ガスの濃度を検出する参照ガス検出手段と、前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性を記憶した対象ガス応答特性記憶手段と、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性を記憶した参照ガス応答特性記憶手段と、前記対象ガス検出手段によって検出された前記検出対象ガスの濃度、前記参照ガス検出手段によって検出された前記参照ガスの濃度、前記対象ガス応答特性記憶手段に記憶された前記検出対象ガスの濃度の応答特性、前記参照ガス応答特性記憶手段に記憶された前記参照ガスの濃度の応答特性、及び予め求められた呼気中の前記参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の前記検出対象ガスの濃度を検出する濃度検出手段とを含んで構成されている。
【0007】
本発明のガス検出装置によれば、対象ガス検出手段によって、検出対象の気体中に含まれる検出対象ガスの濃度を検出し、また、参照ガス検出手段によって、検出対象の気体中に含まれる参照ガスの濃度を検出する。
【0008】
そして、濃度検出手段によって、対象ガス検出手段によって検出された検出対象ガスの濃度、参照ガス検出手段によって検出された参照ガスの濃度、対象ガス応答特性記憶手段に記憶された検出対象ガスの濃度の応答特性、参照ガス応答特性記憶手段に記憶された参照ガスの濃度の応答特性、及び予め求められた呼気中の参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出する。
【0009】
このように、対象ガス検出手段の応答特性及び参照ガス検出手段の応答特性を用いて、検出された検出対象ガスの濃度及び検出された参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することにより、短時間で、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる。
【0010】
本発明に係る濃度検出手段は、検出された検出対象ガスの濃度の変化の時間微分、検出された参照ガスの濃度の変化の時間微分、対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の応答特性、参照ガス検出手段によって検出される参照ガスの濃度の応答特性、及び呼気中の参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の前記検出対象ガスの濃度を検出することができる。これによって、検出対象ガスの濃度の変化の時間微分と、参照ガスの濃度の変化の時間微分とを検出すれば、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができるため、より短時間で、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる。
【0011】
この濃度検出手段は、下記の(1)式に従って、呼気中の検出対象ガスの濃度daを算出するようにすることができる。
【0012】
【数1】
ただし、tは、検出時の時間を表わす変数、ea(t)のドットは、検出された検出対象ガスの濃度の変化の時間微分、ex(t)のドットは、検出された参照ガスの濃度の変化の時間微分、ha(t)は、対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の応答特性、hx(t)は、参照ガス検出手段によって検出される参照ガスの濃度の応答特性、dxは、呼気中の参照ガスの濃度である。
【0013】
本発明に係る濃度検出手段は、検出された検出対象ガスの濃度、検出された参照ガスの濃度、対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の応答特性の所定時間内の積分値、参照ガス検出手段によってされる参照ガスの濃度の応答特性の所定時間内の積分値、及び呼気中の参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる。これによって、対象ガス検出手段の応答特性の積分値及び参照ガス検出手段の応答特性の積分値を用いて、検出された検出対象ガスの濃度及び検出された参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる。
【0014】
この濃度検出手段は、下記の(2)式に従って、呼気中の検出対象ガスの濃度daを算出するようにすることができる。
【0015】
【数2】
ただし、tは、検出時の時間を表わす変数、τは、時間を表わす変数、ea(t)は、検出された検出対象ガスの濃度、ex(t)は、検出された参照ガスの濃度、ha(τ)は、対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の応答特性、hx(τ)は、参照ガス検出手段によって検出される参照ガスの濃度の応答特性、Txは、予め求められた参照ガス検出手段によって検出される参照ガスの濃度の変化の応答持続時間、Taは、予め求められた検出対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の変化の応答持続時間、Tbは、検出された検出対象ガスの濃度の変化に基づいて定まる呼気の継続時間、dxは、呼気中の前記参照ガスの濃度である。
【0016】
本発明に係る濃度検出手段は、検出された参照ガスの濃度の変化をフーリエ変換した値と、参照ガス検出手段によって検出される参照ガスの濃度の応答特性をフーリエ変換した値と、呼気中の前記参照ガスの濃度とに基づいて得られる値に対して、逆フーリエ変換を行なって、呼気量の時間変化を推定し、推定した呼気量の時間変化と対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の応答特性との積の所定時間内の積分値、及び検出された検出対象ガスの濃度の変化に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる。これによって、フーリエ変換及び逆フーリエ変換を行なって、呼気量の時間変化を推定し、推定された呼気量の時間変化と対象ガス検出手段の応答特性との積の積分値、及び検出された検出対象ガスの濃度に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる。
【0017】
この濃度検出手段は、下記の(3)式に従って、呼気量の時間変化を推定し、下記の(4)式に従って、呼気中の検出対象ガスの濃度daを算出するようにすることができる。
【0018】
【数3】
【0019】
【数4】
ただし、F−1 []は、逆フーリエ変換、tは、検出時の時間を表わす変数、τは、時間を表わす変数、b(t−τ)のハットは、推定した呼気量の時間変化、ea(t)は、検出された検出対象ガスの濃度、Ex(f)は、検出された参照ガスの濃度の変化をフーリエ変換した値、ha(τ)は、対象ガス検出手段によって検出される検出対象ガスの濃度の応答特性、Hx(f)は、参照ガス検出手段によって検出される参照ガスの濃度の応答特性をフーリエ変換した値、dxは、呼気中の前記参照ガスの濃度である。
【0020】
上記の検出対象ガスを、エタノールガスとし、参照ガスを、酸素、二酸化炭素、及び水蒸気の何れか1つとすることができる。
【0021】
上記の対象ガス検出手段を、酸化物半導体を用いてエタノールガスの濃度を検出するガスセンサで構成し、参照ガス検出手段を、酸素、二酸化炭素、及び水蒸気の何れか1つの濃度を検出するガスセンサで構成することができる。
【0022】
また、酸素の濃度を検出するガスセンサとしては、固体電解質を用いて酸素濃度を検出する酸素センサを用いることができ、二酸化炭素の濃度を検出するガスセンサとしては、固体電解質を用いて二酸化炭素の濃度を検出する二酸化炭素センサを用いることができ、水蒸気の濃度を検出するガスセンサとしては、酸化物半導体または高分子膜静電容量を用いて水蒸気の濃度を検出する水蒸気センサを用いることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、対象ガス検出手段の応答特性及び参照ガス検出手段の応答特性を用いて、検出された検出対象ガスの濃度及び検出された参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することにより、短時間で、呼気中の検出対象ガスの濃度を検出することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、ドライバの呼気からアルコールの一種であるエタノールの濃度を検出するエタノール濃度検出装置に、本発明を適用した場合を例に説明する。
【0025】
図1に示すように、第1の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置10は、運転席に設けられたステアリングコラム12の、ドライバの呼気が到達可能な位置に取り付けられている。エタノール濃度検出装置10は、先端部に拡径した吸い込み口20Aが形成された細長円筒状の呼気導入管20を備えており、呼気導入管20の基端部には、ドライバの呼気を吸い込み口20Aから吸い込むために駆動される吸い込みファン22が設けられている。
【0026】
呼気導入管20の中間部の内部には、酸化物半導体を用いてエタノールガスの濃度を検出するエタノールガスセンサであるアルコールセンサ、及び酸素の濃度を検出する酸素センサを有するセンサ群24が取り付けられている。
【0027】
図2に示すように、センサ群24は、呼気導入管20の中間部の内部に対向するように取り付けられた、アルコールセンサ24Aと酸素センサ24Bとで構成されている。
【0028】
アルコールセンサ24Aは、呼気導入管20内を流れる気体中に含まれるエタノールガスを検出するセンサであり、例えば、酸化錫の半導体を用いたTGS822(フィガロ技研社製、商品名)を使用することができる。
【0029】
酸素センサ24Bは、呼気導入管20内を流れる気体中の酸素の濃度を検出するセンサであり、例えば、ジルコニア固体電解質を用いたFCX−MVL(フジクラ社製、商品名)を使用することができる。
【0030】
この実施の形態によれば、吸い込みファン22を駆動することにより、ドライバから吐き出された呼気は呼気導入管20の吸い込み口20Aから呼気導入管20内に吸入されると共に、呼気が空気と混合されることで任意に希釈され、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bへ到達する。そして、呼気は、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bに接触した後、吸い込みファン22の背面に排出される。
【0031】
呼気がアルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bに接触することにより、アルコールセンサ24Aによって呼気を含む気体中のエタノールガスの濃度が検出されると共に、酸素センサ24Bによって呼気を含む気体中の酸素の濃度が検出される。アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bで検出された気体中のエタノールガスの濃度及び酸素の濃度は、後述するエタノール濃度判定器に入力され、検出したエタノールガスの濃度の大きさ及び酸素の濃度の大きさに基づいて、呼気中の検出対象ガスとしてのエタノールガスの濃度が検出される。
【0032】
図3に示すように、エタノール濃度検出装置10は、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bに接続され、かつ、エタノールガスの濃度を検出するエタノール濃度判定器30を備えている。
【0033】
エタノール濃度判定器30は、アルコールセンサ24Aからの出力濃度に基づいて、呼気導入管20内を流れる呼気を含む気体中のエタノールガスの濃度の変化の時間微分を算出するエタノール濃度微分算出部32と、酸素センサ24Bの出力濃度に基づいて、呼気導入管20内を流れる気体中の酸素の濃度の変化の時間微分を算出する酸素濃度微分算出部34と、予め求められたアルコールセンサ24Aの出力濃度のインパルス応答の特性を記憶したアルコールセンサ応答特性記憶部36と、予め求められた酸素センサ24Bの出力濃度のインパルス応答の特性を記憶した酸素センサ応答特性記憶部38と、気体中のエタノールガスの濃度の変化の時間微分、気体中の酸素の濃度の変化の時間微分、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性、酸素センサ24Bのインパルス応答の特性、及び予め求められた呼気中の酸素の濃度に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出するエタノール濃度算出部40と、エタノール濃度算出部40による算出結果を表示する表示部42とを備えている。
【0034】
エタノール濃度微分算出部32は、図4(A)に示すような呼気が導入され、導入された呼気に対する応答として、図4(B)に示すように、アルコールセンサ24Aの出力濃度が変化することを検知すると、出力濃度が最大値となる前の所定の計測期間Tmsの出力濃度の変化から、エタノールガスの濃度の変化の時間微分を算出する。
【0035】
酸素濃度微分算出部34は、図4(A)に示すような呼気が導入され、導入された呼気に対する応答として、図4(C)に示すように、酸素センサ24Bの出力濃度が変化することを検知すると、出力濃度が最小値となる前の所定の計測期間Tmsの出力濃度の変化から、酸素の濃度の変化の時間微分を算出する。
【0036】
アルコールセンサ応答特性記憶部36には、図4(B)に示すような、アルコールセンサ24Aの出力濃度のインパルス応答の特性が記憶されており、酸素センサ応答特性記憶部38には、図4(C)に示すような、酸素センサ24Bの出力濃度のインパルス応答の特性が記憶されている。
【0037】
ここで、従来の方法について説明する。呼気中のエタノールガスの濃度を測定するため、従来は、センサからの出力濃度のピーク値の比を取る方法が行われてきた。この従来の方法は、以下に説明する原理に基づいている。
【0038】
酸素センサからの出力濃度のインパルス応答の最小値をhxm、アルコールセンサからの出力濃度のインパルス応答の最大値をhamとすると、酸素センサの出力の最小値max(ex(t))、及びアルコールセンサの出力の最大値max(ea(t))は、以下の(5)式で表される。
【0039】
【数5】
ただし、dxは、予め求められた呼気中の酸素の濃度(例えば、分圧比約15%)、daは、呼気中のエタノールガスの濃度、b0は、呼気量、Tbは、呼気継続時間である。
【0040】
上記(5)式から、呼気中のエタノールガスの濃度daを以下の(6)式で表わすことができ、(6)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度daを算出することができる。
【0041】
【数6】
しかし、上述した従来の方法には問題がある。一般にアルコールセンサは応答性が悪く、アルコールセンサの出力ea(t)が最大値を示しピークを形成するまでに5秒以上かかってしまう場合があり、測定所要時間が長くなってしまう、という問題がある。また、各センサの最大値のみに基づいて、エタノールガスの濃度を算出するため、たまたま最大値出力時にノイズが混入した場合、大きな誤差を生んでしまい、測定精度が低下してしまう、という問題がある。
【0042】
そこで、本実施の形態では、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの出力濃度の変化の時間微分を用いて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。以下に、本実施の形態の原理について説明する。
【0043】
まず、呼気中のエタノールガスの濃度をdx、酸素の濃度をda、センサ計測地点tで観測される呼気量の時間変化をb(t)、酸素センサ24B及びアルコールセンサ24Aの各々の出力をex(t)、ea(t)とすると、図5に示すようなモデルに基づいて、酸素センサ24B及びアルコールセンサ24Aの各々からの出力濃度のインパルス応答hx(t)、ha(t)は、以下の(7)式で表される。
【0044】
【数7】
ここで、呼気量を図4(A)のようにパルス波形で近似すると、呼気量の時間変化b(t)は、以下の(8)式で表わされる。
【0045】
【数8】
上記(7)式及び(8)式により、酸素センサ24B及びアルコールセンサ24Aの各々からの出力濃度ex(t)、ea(t)は、以下の(9)式で表される。
【0046】
【数9】
ただし、Txは、酸素センサ24Bのインパルス応答持続時間(図8(C)参照)、Taは、アルコールセンサ24Aのインパルス応答持続時間(図8(B)参照)である。また、Tx、Taは、呼気継続時間Tbより長いと仮定した。
【0047】
上記(9)式により、酸素センサ24B及びアルコールセンサ24Aの各々からの出力濃度の時間微分ex(t)のドット、ea(t)のドットは、以下の(10)式で表される。
【0048】
【数10】
従って、上記(10)式により、呼気中のエタノールガスの濃度daは、0<t<Tbの区間で、以下の(11)式で表される。
【0049】
【数11】
エタノール濃度算出部40は、上記(11)式を用いて、算出された呼気導入管20内を流れる呼気を含む気体中のエタノールガスの濃度の変化の時間微分、算出された呼気導入管20内を流れる呼気を含む気体中の酸素の濃度の変化の時間微分、アルコールセンサ24Aからの出力濃度のインパルス応答の特性、及び酸素センサ24Bからの出力濃度のインパルス応答の特性に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。
【0050】
次に、第1の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置10の作用について説明する。ドライバが車両シートに着座すると、ドライバの呼気が呼気導入管20に吹き込まれる状態となり、ドライバによってイグニッションスイッチがオンされると、エタノール濃度検出装置10のエタノール濃度判定器30において、図6に示すエタノール濃度検出処理ルーチンが実行される。
【0051】
まず、ステップ100において、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々からの出力濃度の変化から、呼気に対する応答が検知されたか否かを判定し、上記図4(B)、(C)に示すような出力濃度の変化が検知されると、呼気が呼気導入管20内に導入されたと判断し、ステップ102へ進む。
【0052】
ステップ102では、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々から、所定の計測期間Tmsの出力濃度を取得する。そして、ステップ104において、上記ステップ102で取得した酸素センサ24Bの出力濃度から、酸素濃度の変化の時間微分を算出し、ステップ106で、上記ステップ102で取得したアルコールセンサ24Aの出力濃度から、エタノールガス濃度の変化の時間微分を算出する。
【0053】
そして、ステップ108において、アルコールセンサ応答特性記憶部36から、アルコールセンサ24Aからの出力濃度のインパルス応答の特性を取得すると共に、酸素センサ応答特性記憶部38から、酸素センサ24Bからの出力濃度のインパルス応答の特性を取得する。
【0054】
次のステップ110では、上記ステップ104で算出した酸素濃度の変化の時間微分、上記ステップ106で算出したエタノールガスの濃度の変化の時間微分、上記ステップ108で取得したアルコールセンサ24Aからの出力濃度のインパルス応答の特性、及び酸素センサ24Bからの出力濃度のインパルス応答の特性に基づいて、上記(11)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。そして、ステップ112において、上記ステップ110で算出された呼気中のエタノールガスの濃度を表示部42に表示させて、エタノール濃度検出処理ルーチンを終了する。
【0055】
以上説明したように、第1の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置によれば、アルコールセンサのインパルス応答の特性及び酸素センサのインパルス応答の特性を用いて、アルコールセンサの出力濃度の変化の時間微分と、酸素センサの出力濃度の変化の時間微分とを算出すれば、呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができるため、センサの出力濃度のピーク値をとる場合に比べて、短時間で、呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0056】
また、アルコールセンサの出力濃度や酸素センサの出力濃度そのものを用いずに、アルコールセンサの出力濃度の変化の時間微分と、酸素センサの出力濃度の変化の時間微分とを用いて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出するため、ノイズによる測定誤差を低減することができ、精度よく呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0057】
次に、第2の実施の形態に係るエタノール濃度判定装置について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
第2の実施の形態では、酸素センサのインパルス応答の特性の所定時間の積分値と、アルコールセンサのインパルス応答の特性の所定時間の積分値とを用いて、呼気中のエタノールガスの濃度値を算出している点が、第1の実施の形態と主に異なっている。
【0059】
図7に示すように、第2の実施の形態に係るエタノール濃度判定装置210のエタノール濃度判定器230は、アルコールセンサ24Aから、出力濃度を取得するアルコールセンサ出力取得部232と、酸素センサ24Bから、出力濃度を取得する酸素センサ出力取得部234と、酸素センサ24Bの出力濃度の変化に基づいて、呼気継続時間を算出する呼気継続時間算出部236と、アルコールセンサ応答特性記憶部36と、酸素センサ応答特性記憶部38と、アルコールセンサ24Aの出力濃度、酸素センサ24Bの出力濃度、算出された呼気継続時間、アルコールセンサ24Aの出力濃度のインパルス応答の特性、及び酸素センサ24Bの出力濃度のインパルス応答の特性に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出するエタノール濃度算出部240と、エタノール濃度算出部240による算出結果を表示する表示部42とを備えている。
【0060】
次に、本実施の形態の原理について説明する。なお、以下では、図8に示すように、酸素センサ24Bの応答が速く、呼気継続時間Tbより酸素センサ応答持続時間Txの方が短い場合を例に説明する。
【0061】
酸素センサ24Bの出力濃度ex(t)は、以下の(12)式で表される。
【0062】
【数12】
上記(12)式に示すように、Tx<t<Tbの区間でex(t)が一定値をとるため、ex(t)の値を計測し、一定値をとった期間の長さをTb−Txとする。Txは既知のため、Tb−Txが得られると、Tbが算出される。
【0063】
また、アルコールセンサ24Aの出力濃度ea(t)は、以下の(13)式で表される。
【0064】
【数13】
上記(13)式により、Tbを用いて、呼気中のエタノールガスの濃度daが以下の(14)式で表されるため、(14)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度daが算出される。
【0065】
【数14】
呼気継続時間算出部236は、上述したように、酸素センサ24Bの出力濃度が一定値をとる期間の長さから、呼気継続時間Tbを算出する。
【0066】
また、エタノール濃度算出部240は、上述したように、上記(14)式を用いて、酸素センサ24Bの出力濃度が一定値となる期間終了後の計測時刻t(=Tb+Δt)におけるアルコールセンサ24Aからの出力濃度、呼気継続時間Tbにおける酸素センサ24Bの出力濃度、予め求められた呼気中の酸素の濃度、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性の所定期間(時刻t−Tbから計測時刻tまでの期間)の積分値、及び酸素センサ24Bのインパルス応答の特性の所定期間(時刻0から酸素センサ応答持続時間Txまでの期間)の積分値に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。
【0067】
次に、第2の実施の形態に係るエタノール濃度検出処理ルーチンについて、図9を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0068】
まず、ステップ100で、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々からの出力濃度の変化から、呼気に対する応答が検知されたか否かを判定し、呼気の導入に対する出力濃度の変化が検知されると、ステップ250へ進む。
【0069】
ステップ250では、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々から、酸素センサ24Bの出力濃度が一定となる期間と、出力濃度が一定となる期間終了後の所定期間とにおける出力濃度を取得する。
【0070】
そして、ステップ252において、上記ステップ250で取得した酸素センサ24Bからの出力濃度から、出力濃度が一定となる期間が終了する時点を、呼気継続時間Tbとして算出し、ステップ254において、上記ステップ250で取得した酸素センサ24Bからの出力濃度から、時刻Tbにおける酸素センサ24Bのセンサ出力を取得する。
【0071】
次のステップ256では、上記ステップ250で取得したアルコールセンサ24Aからの出力濃度から、所定の計測時刻t(=Tb+Δt)におけるアルコールセンサ24Aのセンサ出力を取得する。そして、ステップ108において、アルコールセンサ応答特性記憶部36から、アルコールセンサ24Aの出力濃度のインパルス応答の特性を取得すると共に、酸素センサ応答特性記憶部38から、酸素センサ24Bの出力濃度のインパルス応答の特性を取得する。
【0072】
次のステップ258では、上記ステップ252で算出した呼気継続時間Tb、上記ステップ254で取得したTbにおける酸素センサ24Bの出力濃度、上記ステップ256で取得した計測時刻tにおけるアルコールセンサ24Aの出力濃度、予め求められた呼気中の酸素の濃度、上記ステップ108で取得したアルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性の時刻t−Tbから計測時刻tまでの期間の積分値、及び酸素センサ24Bのインパルス応答の特性の時刻0(酸素センサ24Bの出力濃度の応答開始時)から酸素センサ応答持続時間Txまでの期間の積分値に基づいて、上記(14)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。そして、ステップ112において、上記ステップ258で算出された呼気中のエタノールガスの濃度を表示部42に表示させて、エタノール濃度検出処理ルーチンを終了する。
【0073】
以上説明したように、第2の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置によれば、アルコールセンサのインパルス応答の特性の積分値及び酸素センサのインパルス応答の特性の積分値を用いて、アルコールセンサの出力濃度と、酸素センサの出力濃度とに基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができるため、センサの出力濃度のピーク値をとる場合に比べて、短時間で、呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0074】
また、アルコールセンサの出力濃度のピーク値や酸素センサの出力濃度のピーク値を用いずに、呼気中のエタノールガスの濃度を算出するため、ノイズによる測定誤差を低減することができ、精度よく呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0075】
次に、第3の実施の形態に係るエタノール濃度判定装置について説明する。なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
第3の実施の形態では、呼気量の時間変化を推定している点が第1の実施の形態と異なっている。
【0077】
図10に示すように、第3の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置310のエタノール濃度判定器330は、アルコールセンサ24Aから、図11(B)に示すような出力濃度を所定期間分取得するアルコールセンサ出力取得部332と、酸素センサ24Bから、図11(A)に示すような出力濃度を所定期間分取得する酸素センサ出力取得部334と、アルコールセンサ応答特性記憶部36と、酸素センサ応答特性記憶部38と、酸素センサ24Bの出力濃度の変化及び酸素センサ24Bのインパルス応答の特性に基づいて、呼気量の時間変化を推定する呼気推定量算出部336と、アルコールセンサ24Aからの出力濃度、算出された呼気量の時間変化推定量、及びアルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を算出するエタノール濃度算出部340と、エタノール濃度算出部340による算出結果を表示する表示部42とを備えている。
【0078】
ここで、本実施の形態の原理について説明する。呼気中のアルコール濃度をdx、呼気中の酸素濃度をda、センサ計測地点で観測される呼気量の時間変化をb(t)、酸素センサ24B及びアルコールセンサ24Aの各々からの出力濃度をex(t),ea(t)とすると、酸素センサ24B及びアルコールセンサ24Aの各々からの出力濃度のインパルス応答の特性hx(t),ha(t)は、以下の(15)式で表される。
【0079】
【数15】
上記(15)式をフーリエ変換すると、以下の(16)式が得られる。
【0080】
【数16】
但し、Ex(f)は酸素センサ24Bの出力濃度の変化をフーリエ変換した値、Ea(f)はアルコールセンサ24Aの出力濃度の変化をフーリエ変換した値、Hx(f)は酸素センサ24Bのインパルス応答の特性をフーリエ変換した値、Ha(f)はアルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性をフーリエ変換した値、B(f)は呼気量の変化をフーリエ変換した値である。
【0081】
一般に、酸素センサ24Bはアルコールセンサ24Aに比べて応答が速いため、上記(16)式のうちの酸素センサ24Bの出力濃度に関する式から、呼気量の時間変化推定量b(t)のハットが以下の(17)式で表される。
【0082】
【数17】
但し、F−1[]は逆フーリエ変換を表す。
【0083】
また、上記(17)式で算出される呼気推定量b(t)のハットを用いて、呼気中のエタノールガスの濃度daが以下の(18)式で表され、(18)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度daが算出される。
【0084】
【数18】
呼気推定量算出部336は、酸素センサ出力取得部334で取得した酸素センサ24Bの出力濃度、酸素センサ24Bの出力濃度のインパルス応答の特性、及び予め求められた呼気中の酸素の濃度に基づいて、上記(17)式に従って、呼気量の時間変化推定量を算出する。
【0085】
エタノール濃度算出部340は、アルコールセンサ出力取得部332で取得したアルコールセンサ24Aの出力濃度、推定された呼気量の時間変化推定量、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性に基づいて、上記(18)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。
【0086】
次に、第3の実施の形態に係るエタノール濃度検出処理ルーチンについて、図12を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0087】
まず、ステップ100で、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々からの出力濃度の変化から、呼気に対する応答が検知されたか否かを判定し、呼気の導入に対するセンサ出力の変化が検知されると、ステップ350へ進む。
【0088】
ステップ350では、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々から、所定期間分(例えば、酸素センサ応答継続時間分)の出力濃度を取得する。
【0089】
そして、ステップ108において、アルコールセンサ応答特性記憶部36から、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性を取得すると共に、酸素センサ応答特性記憶部38から、酸素センサ24Bのインパルス応答の特性を取得する。
【0090】
次のステップ352では、上記ステップ350で取得した酸素センサ24Bの出力濃度、酸素センサ24Bのインパルス応答の特性、及び予め求められた呼気中の酸素の濃度に基づいて、呼気量の時間変化推定量を算出する。上記ステップ352では、まず、上記ステップ350で取得した酸素センサ24Bの出力濃度に対してフーリエ変換を行うと共に、酸素センサ24Bのインパルス応答の特性に対してフーリエ変換を行なう。そして、上記(17)式に従って、酸素センサ24Bの出力濃度をフーリエ変換した値、酸素センサ24Bのインパルス応答の特性をフーリエ変換した値、及び予め求められた呼気中の酸素の濃度に基づいて得られる値に対して、逆フーリエ変換を行なって、呼気量の時間変化推定量を算出する。
【0091】
そして、ステップ354では、上記ステップ352で算出された呼気量の時間変化推定量、アルコールセンサ24Aの出力濃度、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性に基づいて、上記(18)式に従って、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。そして、ステップ112において、上記ステップ354で算出された呼気中のエタノールガスの濃度を表示部42に表示させて、エタノール濃度検出処理ルーチンを終了する。
【0092】
以上説明したように、第3の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置は、フーリエ変換及び逆フーリエ変換を行なって、呼気量の時間変化を推定し、推定された呼気量の時間変化とアルコールセンサのインパルス応答の特性との積の積分値、及び検出されたアルコールセンサの出力濃度に基づいて、呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができるため、センサの出力濃度のピーク値をとる場合に比べて、短時間で、呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0093】
また、アルコールセンサの出力濃度のピーク値や酸素センサの出力濃度のピーク値を用いずに、呼気中のエタノールガスの濃度を算出するため、ノイズによる測定誤差を低減することができ、精度よく呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0094】
次に、第4の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0095】
第4の実施の形態では、アルコールセンサ及び酸素センサの各々から出力される信号にノイズ成分が含まれないようにするために、呼気周波数成分の信号のみを通過させるハイパスフィルタ等で構成された呼気信号フィルタを用いている点が第1の実施の形態と異なっている。
【0096】
第4の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置では、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々とエタノール濃度判定器30との間に、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々から出力された信号から呼気周波数成分以上の信号のみを通過させるハイパスフィルタで構成された呼気信号フィルタ(図示省略)が接続されている。呼気信号フィルタは、アルコールセンサ24A及び酸素センサ24Bの各々から出力された信号から呼気周波数成分に相当する成分の電気信号のみを抽出し、エタノール濃度判定器30に入力する。
【0097】
アルコールセンサ24Aから出力されるエタノールガス濃度を示す信号から呼気のタイミングに相当する呼気周波数成分の信号のみが抽出され、エタノールガスの濃度が検出される。また、酸素センサ24Bから出力される酸素の濃度を示す信号から呼気のタイミングに相当する呼気周波数成分の信号のみが抽出され、酸素の濃度が検出される。
【0098】
これによって、呼気信号フィルタを通過したアルコールセンサからの出力濃度を示す信号の大きさに基づいて、呼気として排出されたガス中のエタノールガスの濃度を検出し、また、呼気信号フィルタを通過した酸素センサからの出力濃度を示す信号の大きさに基づいて、呼気として排出されたガス中の酸素の濃度を検出することにより、より正確に呼気中のエタノールガスの濃度を検出することができる。
【0099】
次に、第5の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置について説明する。第5の実施の形態では、参照ガスとして二酸化炭素を検出する二酸化炭素センサを用いている点が第1の実施の形態と異なっている。
【0100】
第5の実施の形態に係るエタノール検出装置では、アルコールセンサ24Aの出力濃度と、二酸化炭素センサの出力濃度とが、エタノール濃度判定器に入力される。また、エタノール濃度判定器には、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性と二酸化炭素センサのインパルス応答の特性とが記憶されている。
【0101】
そして、アルコールセンサ24Aの出力濃度、二酸化炭素センサの出力濃度、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性、二酸化炭素センサのインパルス応答の特性、及び予め求められた呼気中の二酸化炭素の濃度に基づいて、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同様に、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。
【0102】
二酸化炭素センサは、呼気導入管20内を流れる気体中に含まれる二酸化炭素を検出するセンサであり、例えば、固体電解質を用いたCDM4160(フィガロ技研社製、商品名)を使用することができる。呼気中の二酸化炭素濃度については、実験や統計により予め求めておけばよく、例えば、約3.8%で一定である。
【0103】
なお、参照ガスの濃度として二酸化炭素の濃度を用いる場合には、酸素の濃度を用いる場合とは反対に、大気中に比べて呼気中の濃度は増加するので、二酸化炭素センサの出力濃度は、大気中の二酸化炭素センサの出力濃度より増加することになる。また、二酸化炭素センサの出力濃度のインパルス応答の特性では、出力濃度が最大値をとるように変化する。
【0104】
次に、第6の実施の形態に係るエタノール濃度検出装置について説明する。第6の実施の形態では、参照ガスとして水蒸気を検出する水蒸気センサを用いている点が第1の実施の形態と異なっている。
【0105】
第6の実施の形態に係るエタノール検出装置では、アルコールセンサ24Aの出力濃度と、水蒸気センサの出力濃度とが、エタノール濃度判定器に入力される。また、エタノール濃度判定器には、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性と水蒸気センサのインパルス応答の特性とが記憶されている。
【0106】
そして、アルコールセンサ24Aの出力濃度、水蒸気センサの出力濃度、アルコールセンサ24Aのインパルス応答の特性、水蒸気センサのインパルス応答の特性、及び予め求められた呼気中の水蒸気の濃度(例えば、34℃の飽和水蒸気濃度の値とする)に基づいて、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同様に、呼気中のエタノールガスの濃度を算出する。
【0107】
水蒸気センサとしては、酸化錫の半導体を用いたTGS2180(フィガロ技研社製、商品名)を用いることができる。また、高分子膜静電容量を用いた水蒸気センサを用いてもよい。
【0108】
なお、参照ガスの濃度として水蒸気の濃度を用いる場合には、酸素の濃度を用いる場合とは反対に、大気中に比べて呼気中の水蒸気は増加するので、水蒸気センサの出力濃度は、大気中の水蒸気センサの出力濃度より増加することになる。また、水蒸気センサの出力濃度のインパルス応答の特性では、出力濃度が最大値をとるように変化する。
【0109】
上記の実施の形態では、算出された呼気中のエタノールガスの濃度を表示する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、算出したエタノールガス濃度と予め定めた閾値とを比較し、算出したエタノールガス濃度が閾値以上の場合にエタノールの濃度が高いと判定し、エンジンが始動できないようにする等の不正ができないように制御するようにしてもよい。
【0110】
上記では、ドライバの呼気からエタノールを検出する例について説明したが、エタノール濃度検出装置を携帯可能に構成する等により、本発明はドライバ以外の人間の呼気からエタノールを検出する場合にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本実施の形態のエタノール濃度検出装置を運転席のステアリングコラムに取り付けた状態を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態のエタノール濃度判定器の構成を示すブロック図である。
【図4】(A)呼気量の時間変化を示す線図、(B)アルコールセンサの出力濃度の時間変化を示す線図、及び(C)酸素センサの出力濃度の時間変化を示す線図である。
【図5】呼気量、アルコールセンサのインパルス応答の特性、及び酸素センサのインパルス応答の特性に基づいて、アルコールセンサ及び酸素センサの各々の出力濃度が算出されるモデルを示すイメージ図である。
【図6】第1の実施の形態のエタノール濃度検出装置におけるエタノール濃度検出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態のエタノール濃度判定器の構成を示すブロック図である。
【図8】(A)呼気量の時間変化を示す線図、(B)アルコールセンサの出力濃度の時間変化を示す線図、及び(C)酸素センサの出力濃度の時間変化を示す線図である。
【図9】第2の実施の形態のエタノール濃度検出装置におけるエタノール濃度検出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施の形態のエタノール濃度判定器の構成を示すブロック図である。
【図11】(A)酸素センサの出力濃度の時間変化を示す線図、及び(B)アルコールセンサの出力濃度の時間変化を示す線図である。
【図12】第3の実施の形態のエタノール濃度検出装置におけるエタノール濃度検出処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0112】
10、210、310 エタノール濃度検出装置
20 呼気導入管
24A アルコールセンサ
24B 酸素センサ
30、230、330 エタノール濃度判定器
32 エタノール濃度微分算出部
34 酸素濃度微分算出部
36 アルコールセンサ応答特性記憶部
38 酸素センサ応答特性記憶部
40、240、340 エタノール濃度算出部
236 呼気継続時間算出部
336 呼気推定量算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象の気体中に含まれる検出対象ガスの濃度を検出する対象ガス検出手段と、
前記検出対象の気体中に含まれる参照ガスの濃度を検出する参照ガス検出手段と、
前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性を記憶した対象ガス応答特性記憶手段と、
前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性を記憶した参照ガス応答特性記憶手段と、
前記対象ガス検出手段によって検出された前記検出対象ガスの濃度、前記参照ガス検出手段によって検出された前記参照ガスの濃度、前記対象ガス応答特性記憶手段に記憶された前記検出対象ガスの濃度の応答特性、前記参照ガス応答特性記憶手段に記憶された前記参照ガスの濃度の応答特性、及び予め求められた呼気中の前記参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の前記検出対象ガスの濃度を検出する濃度検出手段と、
を含むガス検出装置。
【請求項2】
前記濃度検出手段は、前記検出された前記検出対象ガスの濃度の変化の時間微分、前記検出された前記参照ガスの濃度の変化の時間微分、前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性、及び前記呼気中の前記参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の前記検出対象ガスの濃度を検出する請求項1記載のガス検出装置。
【請求項3】
前記濃度検出手段は、下記の(1)式に従って、前記呼気中の前記検出対象ガスの濃度daを算出するようにした請求項2記載のガス検出装置。
【数1】
ただし、tは、検出時の時間を表わす変数、ea(t)のドットは、前記検出された前記検出対象ガスの濃度の変化の時間微分、ex(t)のドットは、前記検出された前記参照ガスの濃度の変化の時間微分、ha(t)は、前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性、hx(t)は、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性、dxは、前記呼気中の前記参照ガスの濃度である。
【請求項4】
前記濃度検出手段は、前記検出された前記検出対象ガスの濃度、前記検出された前記参照ガスの濃度、前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性の所定時間内の積分値、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性の所定時間内の積分値、及び前記呼気中の前記参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の前記検出対象ガスの濃度を検出する請求項1記載のガス検出装置。
【請求項5】
前記濃度検出手段は、下記の(2)式に従って、前記呼気中の前記検出対象ガスの濃度daを算出するようにした請求項4記載のガス検出装置。
【数2】
ただし、tは、検出時の時間を表わす変数、τは、時間を表わす変数、ea(t)は、前記検出された前記検出対象ガスの濃度、ex(t)は、前記検出された前記参照ガスの濃度、ha(τ)は、前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性、hx(τ)は、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性、Txは、予め求められた前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の変化の応答持続時間、Taは、予め求められた前記検出対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の変化の応答持続時間、Tbは、前記検出された前記検出対象ガスの濃度の変化に基づいて定まる呼気の継続時間、dxは、前記呼気中の前記参照ガスの濃度である。
【請求項6】
前記濃度検出手段は、前記検出された前記参照ガスの濃度の変化をフーリエ変換した値と、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性をフーリエ変換した値と、前記呼気中の前記参照ガスの濃度とに基づいて得られる値に対して、逆フーリエ変換を行なって、呼気量の時間変化を推定し、前記推定した呼気量の時間変化と前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性との積の所定時間内の積分値、及び前記検出された前記検出対象ガスの濃度に基づいて、呼気中の前記検出対象ガスの濃度を検出する請求項1記載のガス検出装置。
【請求項7】
前記濃度検出手段は、下記の(3)式に従って、前記呼気量の時間変化を推定し、下記の(4)式に従って、前記呼気中の前記検出対象ガスの濃度daを算出するようにした請求項6記載のガス検出装置。
【数3】
【数4】
ただし、F−1 []は、逆フーリエ変換、tは、検出時の時間を表わす変数、τは、時間を表わす変数、b(t−τ)のハットは、前記推定した呼気量の時間変化、ea(t)は、前記検出された前記検出対象ガスの濃度、Ex(f)は、前記検出された前記参照ガスの濃度の変化をフーリエ変換した値、ha(τ)は、前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性、Hx(f)は、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性をフーリエ変換した値、dxは、前記呼気中の前記参照ガスの濃度である。
【請求項8】
前記検出対象ガスを、エタノールガスとし、
前記参照ガスを、酸素、二酸化炭素、及び水蒸気の何れか1つとした請求項1〜請求項7の何れか1項記載のガス検出装置。
【請求項9】
前記対象ガス検出手段を、酸化物半導体を用いてエタノールガスの濃度を検出するガスセンサで構成し、
前記参照ガス検出手段を、酸素、二酸化炭素、及び水蒸気の何れか1つの濃度を検出するガスセンサで構成した請求項8記載のガス検出装置。
【請求項1】
検出対象の気体中に含まれる検出対象ガスの濃度を検出する対象ガス検出手段と、
前記検出対象の気体中に含まれる参照ガスの濃度を検出する参照ガス検出手段と、
前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性を記憶した対象ガス応答特性記憶手段と、
前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性を記憶した参照ガス応答特性記憶手段と、
前記対象ガス検出手段によって検出された前記検出対象ガスの濃度、前記参照ガス検出手段によって検出された前記参照ガスの濃度、前記対象ガス応答特性記憶手段に記憶された前記検出対象ガスの濃度の応答特性、前記参照ガス応答特性記憶手段に記憶された前記参照ガスの濃度の応答特性、及び予め求められた呼気中の前記参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の前記検出対象ガスの濃度を検出する濃度検出手段と、
を含むガス検出装置。
【請求項2】
前記濃度検出手段は、前記検出された前記検出対象ガスの濃度の変化の時間微分、前記検出された前記参照ガスの濃度の変化の時間微分、前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性、及び前記呼気中の前記参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の前記検出対象ガスの濃度を検出する請求項1記載のガス検出装置。
【請求項3】
前記濃度検出手段は、下記の(1)式に従って、前記呼気中の前記検出対象ガスの濃度daを算出するようにした請求項2記載のガス検出装置。
【数1】
ただし、tは、検出時の時間を表わす変数、ea(t)のドットは、前記検出された前記検出対象ガスの濃度の変化の時間微分、ex(t)のドットは、前記検出された前記参照ガスの濃度の変化の時間微分、ha(t)は、前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性、hx(t)は、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性、dxは、前記呼気中の前記参照ガスの濃度である。
【請求項4】
前記濃度検出手段は、前記検出された前記検出対象ガスの濃度、前記検出された前記参照ガスの濃度、前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性の所定時間内の積分値、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性の所定時間内の積分値、及び前記呼気中の前記参照ガスの濃度に基づいて、呼気中の前記検出対象ガスの濃度を検出する請求項1記載のガス検出装置。
【請求項5】
前記濃度検出手段は、下記の(2)式に従って、前記呼気中の前記検出対象ガスの濃度daを算出するようにした請求項4記載のガス検出装置。
【数2】
ただし、tは、検出時の時間を表わす変数、τは、時間を表わす変数、ea(t)は、前記検出された前記検出対象ガスの濃度、ex(t)は、前記検出された前記参照ガスの濃度、ha(τ)は、前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性、hx(τ)は、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性、Txは、予め求められた前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の変化の応答持続時間、Taは、予め求められた前記検出対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の変化の応答持続時間、Tbは、前記検出された前記検出対象ガスの濃度の変化に基づいて定まる呼気の継続時間、dxは、前記呼気中の前記参照ガスの濃度である。
【請求項6】
前記濃度検出手段は、前記検出された前記参照ガスの濃度の変化をフーリエ変換した値と、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性をフーリエ変換した値と、前記呼気中の前記参照ガスの濃度とに基づいて得られる値に対して、逆フーリエ変換を行なって、呼気量の時間変化を推定し、前記推定した呼気量の時間変化と前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性との積の所定時間内の積分値、及び前記検出された前記検出対象ガスの濃度に基づいて、呼気中の前記検出対象ガスの濃度を検出する請求項1記載のガス検出装置。
【請求項7】
前記濃度検出手段は、下記の(3)式に従って、前記呼気量の時間変化を推定し、下記の(4)式に従って、前記呼気中の前記検出対象ガスの濃度daを算出するようにした請求項6記載のガス検出装置。
【数3】
【数4】
ただし、F−1 []は、逆フーリエ変換、tは、検出時の時間を表わす変数、τは、時間を表わす変数、b(t−τ)のハットは、前記推定した呼気量の時間変化、ea(t)は、前記検出された前記検出対象ガスの濃度、Ex(f)は、前記検出された前記参照ガスの濃度の変化をフーリエ変換した値、ha(τ)は、前記対象ガス検出手段によって検出される前記検出対象ガスの濃度の応答特性、Hx(f)は、前記参照ガス検出手段によって検出される前記参照ガスの濃度の応答特性をフーリエ変換した値、dxは、前記呼気中の前記参照ガスの濃度である。
【請求項8】
前記検出対象ガスを、エタノールガスとし、
前記参照ガスを、酸素、二酸化炭素、及び水蒸気の何れか1つとした請求項1〜請求項7の何れか1項記載のガス検出装置。
【請求項9】
前記対象ガス検出手段を、酸化物半導体を用いてエタノールガスの濃度を検出するガスセンサで構成し、
前記参照ガス検出手段を、酸素、二酸化炭素、及び水蒸気の何れか1つの濃度を検出するガスセンサで構成した請求項8記載のガス検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−42166(P2009−42166A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209576(P2007−209576)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
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