説明

ガス状流体を吹き込む装置を有するプロセス・チャンバ

本発明は、内室(39)を有するプロセス・チャンバ(5)に関する。内室(39)内には、ワークピース(3)のための収容領域(15)が設けられている。プロセス・チャンバ(5)は、ワークピース(3)を導入又は導出するための開口(12,14)を有している。プロセス・チャンバは、ガス状流体を内室(39)内に吹き込むための吹き込み装置(17,19,25,29,33,37,35)を有している。ガス流体吹き込み装置は、開口(12,14)と、ワークピース(3)のための収容領域(15)との間に流体流カーテン(21,23)を生成するための少なくとも1つのノズル(17,19)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピースのための収容領域を有する内室と、ワークピースを導入するための開口と、ガス状流体を内室内に吹き込むための吹き込み装置とを有するプロセス・チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
車体に塗装及び被覆を施すための製造現場では、塗装されたばかりの車体又は腐食防止被覆が施された車体を乾燥させるために、乾燥設備が使用される。このような乾燥設備は、乾燥器トンネルとして形成されたプロセス・チャンバを有している。プロセス・チャンバ内には高温の空気が吹き込まれる。乾燥器トンネル内には乾燥ゾーンがある。乾燥ゾーンは、車体の形態を成すワークピースのための収容領域である。車体を乾燥させるために、この車体は搬送装置上で乾燥器トンネル内を動かされる。車体の乾燥させようとする塗膜又は被覆体は、汚染物質、特にダスト粒子によって損なわれるおそれがある。さらに、ワークピースを導入するための開口を通って、ガス流体がその熱とともに内室から逃げることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、少なくとも一時的に開かれる内室を有するプロセス・チャンバであって、特に簡単な手段によってこのような内室を周囲から効率的に熱分離することが可能になるようなプロセス・チャンバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、ガス状流体を吹き込むための吹き込み装置が、開口と、ワークピースのための収容領域との間に流体流カーテンを生成するための少なくとも1つのノズル又は少なくとも1つのアパーチャを有している、冒頭で述べた形式のプロセス・チャンバによって解決される。ノズル又はアパーチャは有利には、周囲温度を超えて加熱され且つ/又は周囲圧力を超えて圧縮された空気(又は、相応に処理された不活性ガス、例えばCO2又はN2)のための流出開口として役立つ。特に、プロセス・チャンバ内にはガス状流体が含有されている。ガス状流体には、100℃を上回る温度レベル、もしくは50°Kを上回る、プロセス・チャンバの周囲に対する温度差が対応している。1つの実施例では、流体は上方から下方へ向かってほぼ鉛直方向にプロセス・チャンバ内に流入させられる。別の有利な実施例では、ノズルを通って流入する流体は、プロセス・チャンバ内に含有された(ほぼ静止している)流体よりも20°Kを上回る分だけ高い又は低い温度を有している。さらに、主として不動の又は調節可能なノズル形状が参照され、本発明はその都度、1つ以上の簡単なアパーチャで実現されることもできる。
【0005】
ワークピースの収容領域は有利にはトンネル状に形成されている。収容領域は床及び天井を有している。少なくとも1つのノズルがほぼ方形の流出断面を有するスリット・ノズルとして形成されることにより、ガス状流体は、収容領域の天井を介して、床に対して傾斜した流れ方向に供給され、このガス状流体の供給は、流体カーテンの入口側開口に向いた側で流動ロールが空気から形成され、且つ、この流動ロールが吹き込まれた流体と少なくとも部分的に混合されるように行われる。
【0006】
本発明の着想は特に、少なくとも1つのノズルを介して内室内に吹き込まれるガス状流体が、内室内に突入するガイド成形材に沿って案内されると、より少ないエネルギー消費で流体カーテンを生成し得ることである。特にこのようなガイド成形材を旋回させることができると有利である。これにより、流体流カーテンを水平方向に対して調節することが可能になる。流出方向と水平線との間の角度は90°〜40°で調節されると有利である。特に、ガイド成形材を旋回させることによって、ワークピースがプロセス・チャンバ内への進入時又は進出時に損なわれることはなくなる。
【0007】
特に、ガイド成形材の、開口に向いた側に壁が配置されており、壁はガイド成形材と一緒に混合室を画定していると有利である。このような混合室は、流体カーテンの、開口に向いた側で(すなわちプロセス・チャンバの内室から外方に向かって)形成された流動ロールからの流体が、開口の領域からの空気と混合されるように位置決めされている。この流体はここで、ノズル又はアパーチャを通って流れるガス状流体によって内室内に吸い込まれる。
【0008】
壁は、開口の領域からの循環空気を貫流させるための1つ以上の開口を有することができる。
【0009】
ガイド成形材の、混合室とは反対側に、ガス状流体のための「デッドスペース」として作用する副室が形成されていることにより、ノズル又はアパーチャから発生する、ガス状流体からの流れが、ガイド成形材に沿って流動剥離が発生することなしに案内されることを保証することができる。「デットスペース」内には、デットスペースの外側よりも低い流れ速度が形成されていると有利である。混合室内に付加的なガイド翼部材が配置されていることにより、大量の流体を流動ロールから流体カーテン内に戻すことができる。
【0010】
ガイド翼部材の、入口開口に向いた側に、ガイド成形材と一緒に滞留空間を画定する端壁が配置されていることによって、ガイド翼部材の領域内で内室の縁部領域内に導かれた、入口側開口の領域からの循環空気が屋外へ出るのを抑制することができる。
【0011】
端壁が、入口側開口の領域からの循環空気を貫流させるための1つ以上の開口を有していると好都合である。少なくとも1つのノズルは、ノズルを貫流する流体の流量を調節するための調節装置を有することができる。複数のノズルに、ノズルを貫流する流体の流量を調節するための調節装置を設けることによって、入口側開口とワークピースのための収容領域との間の流体流カーテンを種々の区分内で異なる状態に調節することができる。
【0012】
ガス状流体を吹き込むための吹き込み装置は、ガス状流体を加熱するための加熱装置を有することができる。これにより、プロセス・チャンバの開口の領域内で、凝縮物、例えば凝縮水が生じないようにすることができる。プロセス・チャンバは、乾燥設備及び/又は硬化設備内での使用に適している。特にプロセス・チャンバは塗装設備内に組み込むことができる。
【0013】
プロセス・チャンバ内で、流体カーテンは、圧力負荷されたガス状流体で生成されてノズルを通して案内される。ノズルに隣接して配置された混合室内で、プロセス・チャンバの開口の領域からの空気は、ノズルから流れるガス状流体に混和される。ノズルを通って案内されたガス状流体は、混合室を仕切るガイド成形材に沿って案内される。このようなガイド成形材は特に、ガス状流体のためのデッドスペースとして作用する、混合室に隣接して配置された副室から混合室を分離する。
【0014】
プロセス・チャンバは特に、ノズルを通して案内されたガス状流体流が開口とワークピースのための収容領域との間に流体流カーテンを生成するために絞られ又は遮断され、且つ/又は、ワークピースが開口を通って動かされたときに流体流カーテンの方向が変えられるように、運転することができる。このことは、流体カーテンが、プロセス・チャンバ内外へ動かされるワークピースの被覆体を損なわないことを保証する。
【0015】
図面に概略的に示された実施例に基づいて、以下に本発明を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、車体用乾燥設備を示す図である。
【図2】図2は、乾燥設備のロックを示す縦断面図である。
【図3】図3は、ロックを三次元的に示す図である。
【図4】図4は、ロックの領域内の空気の流動状態を示す図である。
【図5】図5は、乾燥装置のための別のロックを示す縦断面図である
【図6】図6は、乾燥装置内のロックの別の実施態様を示す更なる縦断面図である。
【図7】図7は、乾燥装置内のロックの別の実施態様を示す更なる縦断面図である。
【図8】図8は、乾燥装置内のロックの別の実施態様を示す更なる縦断面図である。
【図9】図9は、乾燥設備内の乾燥器トンネルの横断面図である。
【図10】図10は、別のロックを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示された、金属ワークピースを乾燥させるための設備1は、特に車体3のために構成されている。設備1は、乾燥器トンネル5として形成されたプロセス・チャンバを有している。乾燥器トンネル5を通って、スキッド7上で組み立てられた車体3は、搬送装置9によって移動せしめられることができる。搬送装置は電気的な駆動装置10を有している。乾燥器トンネル5は金属薄板でライニングされている。乾燥器トンネル5は、開口12を備えた入口側ロック11と、開口14を備えた出口側ロック13とを有している。乾燥器トンネル5は、入口側ロック11と出口側ロック13との間に位置する乾燥区分15を有している。乾燥区分15は、ワークピースのための収容領域である。乾燥区分15は、塗料及び/又は溶剤を含有した下地で被覆されたばかりの約15台の車体3を多かれ少なかれ同時に乾燥させ得るように構成されていると有利である。このために、乾燥区分15は、長さL=40m、内法幅bが1.40m<b<1.60m、そして内法高さhが2.60m<h<2.00mを有するように構成される。特に有利な実施例において、サイクル間隔5.2m、1時間当たりの単位30、及び滞留時間0.5時間の場合、78mのトンネル長(幅b外寸:3m〜4.6m、高さh外寸:2.8〜3.3m)が生じる。乾燥区分15内では、ベンチレータ61によって、乾燥用空気が循環させられる。乾燥用空気を不変の温度に保つために、空気は、加熱装置63を通って案内される。乾燥器トンネル5内のガス雰囲気から、溶剤を車体の塗料又は被覆体から導出するために、設備1内に排気のための導管65が設けられている。この導管は、溶剤で負荷された空気を、乾燥器トンネル5から清浄化反応器67に導入する。
【0018】
乾燥器トンネル5の入口側ロック11及び出口側ロック13内には、流体流カーテン21,23を生成するためのそれぞれ1つのノズル17,19が設けられている。ノズル17,19には、圧縮器として作用する、新鮮空気のためのベンチレータ25,27を介して、乾燥器トンネル5の天井6の上方に配置されたチャンバ29,31を通して新鮮空気が供給される。ノズル17,19は有利には狭幅のスリット状の開口33,35を有している。これらのスリット状の開口は乾燥器トンネル5のほぼ全幅にわたって延びている。ノズル17,19のスリット状の開口33,35は、乾燥器トンネル5の内室39内に開口している。ノズル17,19から流出した流体は、ガイド成形材211を備えたガイド薄板に沿って、乾燥器トンネルの内室内に案内されている。ノズル17,19を介して内室39から導入される流体の温度をできる限り有利に検出するために、ガイド成形材211に温度センサ69,71が位置している。
【0019】
流体流カーテン21,23は、有利にはそれぞれ水平線37に対して40°≦α≦60°の角度を成して延びている。流体流カーテンは、乾燥器トンネル5の内室39内に向けられている。ノズル17,19から流れる流体流は、乾燥器トンネル5の床41に向かって広がっている。ノズル17,19の開口33,35からの間隔が増大するのに伴って、流体流カーテン21,23を形成する、ガス状流体としての新鮮空気の流れ速度は減少する。流体流カーテン21,23は、乾燥器トンネル5の内室39内のガス雰囲気を周囲空気42から分離する。
【0020】
乾燥器トンネル5のガス雰囲気中の溶剤の濃度を検出するために、乾燥区分15内に溶剤センサ73が配置されている。ノズル17,19に導入された空気の形態を成すガス状流体は、加熱装置43,44内で所期プロセス温度Tsollに予熱されている。所期プロセス温度Tsollは有利には200℃≦Tsoll≦250℃の温度範囲にある。流体流カーテン21,23が新鮮空気から成っていることにより、乾燥器トンネル5の乾燥ゾーン15内の有機溶剤に対応する爆発下限界を超えないことを保証することができる。導入された流体の予熱は、乾燥器トンネル5の入口側ロック11及び出口側ロック13内に凝縮物が発生しないことを保証する。
【0021】
乾燥ゾーン15内の爆発限界を守るために、ノズル17,19を介して規定の新鮮空気の量が調節されることが特に可能である。ノズル17,19を介して乾燥器トンネル5内に導入される新鮮空気の量を調節するために、乾燥設備内に制御装置45,47が設けられていると有利である。制御装置45,47によって、ノズル17,19から出る流体流が調節される。流体流の調節は、センサ49,51によって検出された、乾燥器トンネルの乾燥ゾーン15を通して動かされる車体の数に応じて、そして温度センサ69,71及び溶剤センサ73の信号に基づいて行われる。流体流は、設備1の運転時に、乾燥器トンネル5内のガス雰囲気の組成のいわゆる爆発下限界を超えないように調節される。
【0022】
図2は、図1における乾燥設備1の入口側ロック11を示す断面図である。入口側ロック11内のノズル17は、スリット・ノズルである。ノズル17には、加熱装置44内で加熱された新鮮空気が管路201を介して導入される。管路201はチャンバ203内に開口している。チャンバ203内では、新鮮空気は空気フィルタ205、及び斜めに配置されたガイド薄板207を介してノズル17に導かれる。ロック11内のガイド薄板207は、回転軸線208を中心として矢印214の方向に旋回することができる。ガイド薄板207を旋回させると、フィルタ205へのアクセス通路が開かれ、これによりこの場所で保守作業を行うことができる。ノズル17はスリット状の開口209を有している。ノズル17のスリット状の開口209は、乾燥器トンネル5の天井6に対して後退した状態で配置されている。このことは、ノズル17から出る流体流の流れ速度が高くても、入口側ロック11を通して乾燥器トンネル5内に動かされる、まだ乾燥させられていない車両被覆体の損害及び損傷を回避することを可能にする。このような損傷の回避にとって重要なのは、乾燥器トンネル5の床41からのノズル17の開口の距離が比較的大きいことである。このことは、ノズル17を後退させた状態で乾燥器トンネル5内に配置することによって達成することができる。このことは、ノズル17から流れるガス状流体のパルスが乾燥器トンネルの中央で既に、車体3の対応被覆体が流体流カーテン21により損傷され得ない程度に弱められることを保証する。
【0023】
ノズル17の開口209から出る流体流210は、ガイド翼部材として作用するガイド薄板の成形材211に沿って、乾燥器トンネル5の内部に案内されている。ガイド薄板207の成形材211の長さLは、ノズル開口209のスリット幅Bの20〜40倍に相当する。
【0024】
成形材211の、乾燥器トンネル5の入口側開口213に向いた側には、端壁215が設けられている。端壁215はロック11の全幅にわたって延びている。端壁215は成形材211及び屋根棟状部材212と一緒に、ガス状流体219のための混合室217を画定している。混合室217は、乾燥器トンネル5の天井6に対して後退して配置されている。混合室217は、ロック11内の、入口側開口213の上方に位置している。混合室217は入口側開口213に隣接している。成形材211を有するガイド薄板は、混合室217を副室216から分離している。副室216は乾燥器トンネル5の内部39内に開いている。副室216は、乾燥器トンネル5からの空気のためのデッドスペースを形成している。ガイド成形材211を有するガイド薄板210の後ろ側に形成された副室によって、流体流210は、流動剥離なしにコアンダ効果に基づいてガイド成形材211に沿って案内される。
【0025】
図3は、図2の入口側ロック11を三次元的に示す図である。ノズル17のスリット状の開口209は、乾燥器トンネル5の入口側開口213の全幅にわたって延びている。ノズル17のスリット状の開口209は、極めて狭幅なので、ノズル17から出た流体流は、広い流域全体にわたって種々異なる流出速度で流体流カーテンを形成する。このような流体流は、図1に示された乾燥設備1の周囲から乾燥器トンネル5の内部へ、汚染粒子301が取り込まれるのを阻止する。
【0026】
図4は、図1に示された乾燥器トンネル5の縦断平面内における入口側ロック11内の空気の流動状態を矢印によって示している。乾燥器トンネル5にスリット状ノズル17を介して導入された新鮮空気は、ノズル17の流出側で流体流カーテン401を生じさせる。ノズル17の開口209から出発して、矢印402の方向に流れる新鮮空気から成る流体流カーテン401は、湾曲した棍棒403の形態を成して、入口ロック11の底部41に延びている。棍棒403は、入口側ロック11の中央の高さHにおいて、ノズル17の開口209の幅Bによって規定される厚さDを有している。流体流カーテン401の、乾燥器トンネル5の入口開口213に向いた側では、ノズル17から流れた新鮮空気が、空気から成る流動ロール407を生成する。流動ロール407中で、空気は、矢印406で示された流れ方向で中心409を中心として流れる。中心409の領域内の空気はほとんど動かされない。流動ロール407中で循環させられる空気は、少なくとも部分的に、ノズル17を介して吹き込まれた新鮮空気と混合されている。流動ロール407は、底部41から入口側ロック11の天井6まで延びている。
【0027】
ガイド薄板111の入口開口213に向いた側に位置する端壁薄板215と、ガイド薄板211と、屋根棟状部材212とによって画定された混合室217は、流動ロール407内で循環させられた空気の僅かな部分を受容する。この混合室217内では、このような空気は多くの部分が、ノズル17の開口209から流れたガス状流体によって同伴されて混和される。このことは、矢印402の領域内における流体カーテン401の体積流量を高める。このように、流体流カーテン401の体積流量は30%以上が、ノズル17から混合室217を介して流体流に導入されたガス状流体から成ることができる。その結果、吹き込まれる新鮮空気が比較的僅かな量でも、乾燥器トンネル5の床41にまで延びる流体流カーテン401を生成することができる。
【0028】
混合室217からの空気はこうして再び流動ロール407に導入される。このようなプロセスの結果、ノズル17を介して乾燥器トンネル5の内室39内に導入されたガス状流体の僅かな部分だけが、乾燥器トンネル5のロック11の開口213を通って再び出て行くことになる。これにより、ノズル17から流れるガス状流体は大部分が、矢印408の方向に従って乾燥器トンネル5の内部に達する。ノズル17から流れるガス状流体によって、ロック11の開口213の領域内には、流動ロール407内で循環させられる空気を含むバリアが生成される。このようなバリアによって、乾燥器トンネル5の内室39が外部領域から熱分離されることになる。さらに、このようなバリアは、ダスト及び汚染粒子が乾燥器トンネル5の内室39内に取り込まれることも阻止する。
【0029】
図5は、乾燥設備のためのロック501の変更実施形態を示している。ロック501は、図1に示されたロック11と比較して改変されたノズル形状によって新鮮空気を導入するためのノズル503を有している。ノズル503はダブルチャンバ型ノズルである。ノズル530はスリット状のノズル開口505とスリット状のノズル開口507とを有している。これらのノズル開口はそれぞれ、入口側ロック501の天井509の全幅にわたって延びている。ノズル503は旋回可能な制御フラップ511を含んでいる。制御フラップ511は、さらには図示されていないスピンドル駆動装置によって運動させることができる。しかし制御フラップの運動には、軸を備えた調節メカニズム又はケーブルも適している。制御フラップ511の旋回によって、チャンバ513を介してノズル503に導入された新鮮空気は、選択的にノズル開口507若しくはノズル開口509を通して又はノズル開口507,509を同時に通って案内されることができる。このことは、ノズル開口507,509から出る空気流を調量するのを可能にする。例えば制御フラップ511によって、乾燥器トンネルの入口側開口の領域における車体の位置に相応して、ノズル503からの空気流を変化させることが可能である。このような手段によって、車体に塗布された塗膜が、ノズル503からの新鮮空気によって形成された流体流によって損なわれることがなくなる。さらに、制御フラップ511によって、流体流カーテンの厚さD、ひいては乾燥器トンネルの内部に導入される新鮮空気の量及び/又は速度を調節することができる。
【0030】
入口側ロック501の変更実施態様において、ノズルに複数のノズル開口及び複数の制御フラップを設けることにより、乾燥器トンネルのための新鮮空気流を調節することができる。
【0031】
図6は、乾燥設備の入口領域又は出口領域内に空気カーテンを形成するための、ノズル603を備えたロック601の別の実施形態の断面を示している。
【0032】
ロック601内のノイズ603には、ガイド翼部材として作用する、有利には旋回可能に配置されたガイド薄板605が対応配置されている。ガイド薄板は、任意には少なくとも部分的に湾曲された外輪郭を有している。特にガイド薄板はノズル603の全幅にわたって延びている。ノズル603の開口607における旋回可能なガイド薄板605は、ロック601の天井608に回転ヒンジ615で旋回可能に支承されている。旋回可能なガイド薄板605は、ロック601の内部611内に突入している。ガイド薄板605の輪郭の長さLは、ノズル開口のスリット幅Bの約20〜40倍に相当する。旋回可能なガイド薄板605に対向して、ロック601内にはやはり端壁609が配置されている。旋回可能なガイド薄板605及び端壁609は、屋根棟状部材612と一緒に、ここでも混合室613を画定している。ガイド薄板605が旋回可能であることに基づいて、ロック601における混合室613の形状を変えることができる。
【0033】
旋回のためにガイド薄板605には、さらには図示しない調節駆動装置が対応配置されている。複矢印617に応じてガイド薄板605を旋回させることにより、水平線616に対する設定角β、ひいてはノズル603から生成された、ロック601内の流体カーテンの方向を調節することが可能である。旋回によって、ノズル607から流れたガス状流体がそれに沿って案内される、ガイド薄板605により形成されたガイド翼部材の輪郭は変位される。これにより、ノズル603から流出する流体に基づいて、ガイド薄板605の、開口619に向いた側に形成された流動ロールの形状を変化させることができる。ガイド薄板605がロック601の天井608に向かって旋回させられることによって、ガス状流体がロック内に比較的平らに流入することができる。ガイド薄板605の上昇運動及び下降運動によって、ノズルから流れた流体の流れ方向を、ロック601を通って乾燥器トンネルの内部に移動させられる車体の位置及び形状に適合させることができる。こうして、乾燥器トンネル内で乾燥させられるようになっている、車体に被着された塗膜が吹き飛ばされることがないように、且つ乾燥器トンネル内で損傷を被ることがないようにすることができる。
【0034】
図7は、乾燥設備の入口領域又は出口領域内に空気カーテンを形成するための、ノズル703を備えたロック701のさらに別の実施形態の断面を示している。ノズル703はディフューザを有している。ディフューザは、ノズルの狭められた断面に続いて設けられており、こうして流体の流動断面を拡張する。ディフューザが続いて設けられたノズル703はすなわち、ロック701の内部711に向かって拡張された断面を備えた流路704を有している。ロック701の構造はその他の点では図6のロック601の構造に相応する。ロック601及び701の互いに相応する構造群は従って図7では、図6と比較して100の数だけ大きい符号で示されている。図6におけるロック601の端壁609とは異なり、ロック701は、周囲空気のための1つ又は2つ以上の流入開口を備えた端壁709を有している。端壁709は、篩状のパーフォレーションの形態を成す開口を有していると有利である。このような手段も、ロック701の周囲の上側領域721から空気を吸い込むことを可能にする。ロック701内にこのように吸い込まれた空気は、有利には、ロックの開口に形成された流動ロールからの空気と混合される。続いて、吸い込まれた空気と、流動ロールからの空気の一部とが、ディフューザから出た流体流中に混和される。
【0035】
図8は、乾燥設備の入口領域又は出口領域内に空気カーテンを形成するための、開口804を備えたアパーチャ803を有するロック801のさらに別の実施形態の断面を示している。ロック801の構造は図7のロック701の構造に相応する。ロック701及び801の互いに相応する構造群は従って図8では、図7と比較して100の数だけ大きい符号で示されている。図7におけるロック701の端壁709とは異なり、ロック801の端壁809は切欠き816を有した状態で構成されている。このような手段も、ロック801の周囲の上側領域821からの空気を、アパーチャ803によって生成された、ロックの開口における流動ロール中に受容するのを可能にする。
【0036】
図9は、車体912を有する乾燥設備内の乾燥器トンネル900の入口側ロック又は出口側ロック901を示す横断面図である。ロック901は、スリット状のノズル903,905,907を有している。これらのノズルは、ロック901の天井910に位置している。ノズル903,905,907は、さらには図示されない新鮮空気導入装置を介して、新鮮空気流909で負荷されることができる。ロック901内には制御フラップが設けられている。これらの制御フラップによって新鮮空気流909は、ノズル903,905,907を新鮮空気で別々に負荷するための種々異なる通路911,913及び915に分割されることができる。
【0037】
このような手段は、乾燥器トンネルの開口に形成された流体流カーテン917の調節を可能にする。流体流カーテンは、ワークピース、例えば車体が開口の全幅Bにわたって貫通するのに相応して、種々異なる状態に調節されることができる。
【0038】
図10は、金属ワークピースを乾燥させるための設備内の乾燥器トンネルのための更なるロック1011を示す縦断面図である。図4に相応して、ここでもロック1011内の空気の流動状態が矢印で示されている。スリット状のノズル1017を介して乾燥器トンネルに導入された新鮮空気は、ノズル1017の流出側で流体流カーテン1401を生じさせる。「新鮮空気」という用語は、特に前圧縮され、加熱され、且つ/又は清浄化され、且つ/又は乾燥させられた空気であって、その状態パラメータが任意に調節されているものを意味する。
【0039】
ノズル1017の開口1209から出発して、(矢印1402の方向に流れる新鮮空気から成る)流体流カーテン1401は、多かれ少なかれ湾曲した棍棒1403の形態を成して、ロック1011の床1041に向かって延びている。流体流カーテン1401の、ロック1011の入口開口1213に向いた側で、ノズル1017から流れる新鮮空気は、空気から成る流動ロール1407を生成する。流動ロール1407中で、空気は、矢印1406によって示された流れ方向で中心1409を中心として流れる。中心1409の領域内の空気は、ほとんど動かされない。流動ロール1407中で循環させられる空気は、少なくとも部分的に、ノズル1017を介して吹き込まれた新鮮空気と混合されている。流動ロール1407は底部1041から入口側ロック1011の天井1006まで延びている。
【0040】
ロック1011は、ガイド成形材を有するガイド薄板1211の、入口側開口1213に向いた側に、ノズル1017の開口1009に隣接して、アーチ状の屋根棟状壁1215を有している。ガイド薄板1211及び屋根棟状壁1215は、下方に向かって開く混合室1217を仕切り、そして部分的に取り囲んでいる。混合室1217内には、図10に示された実施例の場合、流れガイド部材1218が「流動翼」の形態を成して位置決めされている。流れガイド部材は、ノズル1017の開口1009と同様に、ロック1011の全幅にわたって延びている。ガイド薄板1211は、混合室1217を副室1216から分離している。副室1216は空気のためのデッドスペースとして作用する。デッドスペース内では、残りのロック内(流動ロールの、元来無視するべき回転中心1409を除く)よりも低い流れ速度が存在する。
【0041】
ロック1011の底部1041には、開口1213の領域内で、シルエット壁1220が配置されている。シルエット壁1220は特に流れバリアとして、もしくは床側の流れガイド部材として役立つ。シルエット壁1220は有利にはばね鋼又は他の耐温度性及び/又は耐腐食性鋼から成っている。シルエット壁1220は(水平方向)軸線1222を中心として矢印1224に従って旋回させられ又は折り畳まれることができる。
【0042】
混合室1217は、本発明によれば、流動ロール1407中で循環させられる空気の僅かな部分を受容する。混合室1217内では、このような空気は流動翼1218によって、ノズル17の開口1209から流れたガス状流体に案内される。空気はガス状流体によって同伴される。このことは、矢印1402の領域内における流体カーテン1401の体積流量を高める。このように、流体流カーテン1401の体積流は多くの部分が、ノズル1017から混合室1217を介して流体流に導入されたガス状流体から成ることができる。その結果、吹き込まれる新鮮空気が比較的僅かな量でも、乾燥器トンネル5の床1041まで延びる流体流カーテン1401を生成することができる。
【0043】
混合室1217からの空気はこうして再び流動ロール1407に導入される。このようなプロセスの結果、ノズル1017を介して乾燥器トンネルの内室1039内に導入されたガス状流体の僅かな部分だけが、乾燥器トンネルのロック1011の開口1213を通って再び出て行くことになる。これにより、ノズル1017から流れるガス状流体は、大部分が矢印1408の方向に従って乾燥器トンネルの内部に達する。ノズル1017から流れるガス状流体によって、ロック1011の開口1213の領域内には、流動ロール1407内で循環させられる空気を含むバリアが生成される。このバリアは、乾燥器トンネルの内室1039を外部領域から熱分離し、さらに、ダスト及び汚染粒子が乾燥器トンネル内に取り込まれることも阻止する。ロック1011の床1041に設けられたシルエット壁1220によって、流動ロール1407は比較的は狭幅になる。ワークピースが乾燥器トンネル内で動かされるときだけ、シルエット壁は矢印1220に従って短時間にわたって床1041の方向に折り畳まれる。
【0044】
要約すると、本発明の下記の有利な特徴を確認することができる。すなわち、プロセス・チャンバ5は内室39を有している。内室39内には、ワークピース3のための収容領域15が設けられており、内室39は、プロセス・チャンバの周囲に対して高められた又は低くされた温度を有している。プロセス・チャンバは、ワークピース3を導入又は導出するための、少なくとも一時的に周囲に向かって開く開口12,14を有している。プロセス・チャンバは、ガス状流体を内室39内に吹き込むための吹き込み装置17,19,25,29,33,37,35を有している。ガス流体吹き込み装置は、開口12,14と、ワークピース34のための収容領域15との間に流体流カーテン21,23を生成するために、少なくとも1つのノズル17,19を有している。導入されたガス状流体は、その物理的及び/又は化学的パラメータに関してコンディショニングされており、そして特にプロセス・チャンバの内室に対して且つ/又はプロセス・チャンバの周囲に対して、異なる温度を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(3)のための収容領域(15)を有する内室(39)と、ワークピース(3)を導入又は導出するための開口(12,14)と、ガス状流体を前記内室(39)内に吹き込むための吹き込み装置(17,19,25,29,33,37,35)とを有するプロセス・チャンバ(5)において、
ガス状流体を吹き込むための前記吹き込み装置が、前記開口(12,14)と、ワークピース(3)のための前記収容領域(15)との間に流体流カーテン(21,23)を生成するための少なくとも1つのノズル(17,19)又はアパーチャ(803)を有していることを特徴とする、プロセス・チャンバ(5)。
【請求項2】
ワークピース(3)のための前記収容領域(15)がトンネル状に形成され且つ床(41)及び天井(6)を有しており、前記少なくとも1つのノズル(17,19)又はアパーチャ(803)がスリット形状を有しており、該スリット形状は、前記内室(39)の天井(6)を介して、前記床(41)に対して傾斜した流れ方向(402)にガス状流体を供給するようになっていて、該供給は、前記流体カーテン(21,23)の前記開口(12,14)に向いた側で流動ロール(407)が空気から形成され、且つ、該流動ロールが吹き込まれた流体と少なくとも部分的に混合されるように行われることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス・チャンバ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのノズル(17,19)又はアパーチャ(803)を介して前記内室(39)内に吹き込まれるガス状流体はガイド成形材(211)に沿って前記内室(39)へ案内されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプロセス・チャンバ。
【請求項4】
前記ガイド成形材(606)が旋回可能なガイド翼部材(605)に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のプロセス・チャンバ。
【請求項5】
前記ガイド成形材(211,1211)の前記開口(213,1213)に向いた側に、壁(215,1215)が配置されており、該壁は前記ガイド成形材(211,1211)と一緒に混合室(217,1217)を画定しており、該混合室内では、前記流体カーテン(21,23)の前記開口(12,14)に向いた側で形成された前記流動ロール(407,1407)からの流体が、前記開口(213,1213)の領域からの空気と混合され、且つ、前記ノズル(17,19,1017)又は前記アパーチャ(803)を通って流れるガス状流体によって前記内室(39,1039)内に吸い込まれることを特徴とする、請求項3又は4に記載のプロセス・チャンバ。
【請求項6】
前記壁(709,809)が、前記開口(213)の領域からの循環空気を貫流させるための1つ以上の開口(816)を有していることを特徴とする、請求項5に記載のプロセス・チャンバ。
【請求項7】
前記ガイド成形材(211)の前記混合室(217)とは反対側に、ガス状流体のためのデッドスペースとして作用する副室(216)が形成されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載のプロセス・チャンバ。
【請求項8】
前記混合室(1217)内に、前記流動ロール(1407)から前記流体カーテン(1401)内へ流体を戻すためのガイド翼部材(1218)が配置されており、該ガイド翼部材に沿って前記流動ロール(1407)からのガス状流体が流れることができることを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項に記載のプロセス・チャンバ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのノズル(503)が該ノズル(503)を貫流する流体の流量を調節するための調節装置(511)を有しており、且つ/又は、前記入口側開口とワークピース(912)のための前記収容領域との間の前記流体流カーテンを種々の区分内で異なる状態に調節するために、複数のノズル(903,905,907)に、該ノズルを貫流する流体の流量を調節するための調節装置が設けられていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載のプロセス・チャンバ。
【請求項10】
前記内室(1039)内に形成された流体流を制御するために、旋回可能な流れバリア(1220)が設けられていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のプロセス・チャンバ。
【請求項11】
ガス状流体を吹き込むための前記吹き込み装置が、ガス状流体を加熱するための加熱装置(43,44)を有していることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載のプロセス・チャンバ。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に従って形成されたプロセス・チャンバ(5)を備えた、乾燥設備及び/又は硬化設備及び/又は塗装設備。
【請求項13】
特に請求項1から10までのいずれか1項に記載のプロセス・チャンバを運転するための、プロセス・チャンバ(5)を運転する方法であって、流体カーテンを生成するために、圧力負荷されたガス状流体をノズル(17,19)を通して案内し、そして該ノズル(17,19)に隣接して配置された混合室(217)内で、プロセス・チャンバ(5)の開口(213)の領域からの空気を、前記ノズル(17,19)から流れるガス状流体に混和する、プロセス・チャンバ(5)を運転する方法。
【請求項14】
前記ノズル(17,19)を通って案内されたガス状流体が、前記混合室(217)を仕切るガイド成形材(211)に沿って案内され、該ガイド成形材は特に、ガス状流体のためのデッドスペースとして作用する、前記混合室に隣接して配置された副室(216)から該混合室(217)を分離することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
特に請求項1から10までのいずれか1項に記載のプロセス・チャンバを運転するための、特に請求項13又は14に記載のプロセス・チャンバ(5)を運転する方法であって、ノズル(17,19)を通って案内されたガス状流体流が、前記開口(12,14)とワークピース(3)のための前記収容領域(15)との間に流体流カーテン(21,23)を生成するために絞られ又は遮断され、且つ/又は、ワークピース(3)が開口(12,14)を通して動かされたときに、前記流体流カーテン(21,23)の方向が変えられる、プロセス・チャンバ(5)を運転する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−519856(P2013−519856A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552433(P2012−552433)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2011/066154
【国際公開番号】WO2012/055634
【国際公開日】平成24年5月3日(2012.5.3)
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】