説明

ガス貯蔵構造体およびこれを含むガス貯蔵装置

【課題】ガス貯蔵構造体およびこれを含むガス貯蔵装置が提供される。
【解決手段】提供されるものはガス貯蔵構造体およびこれを含むガス貯蔵装置である。このガス貯蔵構造体は、開口を含むガス貯蔵部と、開口に配され、かつゲートを含む出入制御部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス貯蔵構造体およびこれを含むガス貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス状態の物質は、エネルギー産業を初めとする各種産業分野に多様に利用されている。特に、ガス状態の物質を利用した次世代エネルギー開発は、化石エネルギーの枯渇によって脚光を浴び、これに対する研究も活発に進められている。
【0003】
しかし、ガス状態の物質は、ガス状態の多様な特性のために保管、および/または使用に難しさがある。例えば、物質がガス状態で存在する場合、非常に大きい体積を有するために保管および制御が容易ではないという難しさがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公開第2004−0191589号公報
【特許文献2】特開2004−059409号公報
【特許文献3】特開2003−154260号公報
【特許文献4】韓国特許公開第2007−0015841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、ガスの保管が容易であるガス貯蔵構造体およびこれを含むガス貯蔵装置を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、ガスの注入および放出を容易に制御することができるガス貯蔵構造体およびこれを含むガス貯蔵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明によるガス貯蔵構造体およびこれを含むガス貯蔵装置が提供される。
【0008】
本発明の一実施形態は、ガスを貯蔵する内部空間を画成し、かつ開口を含むガス貯蔵部と、前記開口に配され、かつゲートを含む出入制御部とを含むガス貯蔵構造体を提供する。
【0009】
一実施形態において、前記ガス貯蔵部は、多孔性構造体を含むことができる。
【0010】
一実施形態において、前記ガス貯蔵部の外壁は、前記多孔性構造体の空間格子によって画成されるガス貯蔵構造体であってよい。
【0011】
一実施形態において、前記ゲートは、臨界温度よりも高い温度にて前記ガス貯蔵部の空間格子よりも大きな寸法を有し、前記ガスが前記ゲートを通って移動することができ、前記臨界温度は、前記ガスの気化点よりも高く、かつ前記出入制御部の融点よりも低いものであってよい。
【0012】
一実施形態において、前記ゲートは、前記臨界温度よりも低い温度にて前記ガス貯蔵部の空間格子以下の寸法を有することができる。
【0013】
一実施形態において、前記出入制御部は、前記ガス貯蔵部を構成する物質よりも低い融点を持つ物質にて形成されることができる。
【0014】
本発明の他の実施形態によるガス貯蔵装置は、内部の空間を真空状態に維持するチャンバと、このチャンバ内に配される加熱ユニットと、前記チャンバ内に配される冷却ユニットと、前記空間内に配されるガス貯蔵構造体とを含む。前記ガス貯蔵構造体は、ガスを貯蔵する内部空間を画成し、この内部空間を外部空間に対して接続する開口を含むガス貯蔵部と、前記開口に配され、かつゲートを含む出入制御部とを含むことができる。
【0015】
一実施形態において、前記ガス貯蔵部は、前記開口よりも小さな寸法を有する格子空間を含む多孔性構造体を含むことができる。
【0016】
一実施形態において、前記出入制御部は、前記ガス貯蔵部を構成する物質の融点よりも低い融点を有する物質で形成されることができる。
【0017】
一実施形態において、前記加熱ユニットおよび冷却ユニットは、前記出入制御部を加熱および冷却して前記ゲートの寸法を制御することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、ガス貯蔵部の開口に配された出入制御部を通してガスの出入が制御される。前記出入制御部を介して前記ガス貯蔵部内に容易にガスを注入することができ、注入されたガスは、望まない放出(漏出)を最小限に抑えた状態で前記ガス貯蔵部に貯蔵されることができる。また、前記出入制御部によって必要時にガスを前記ガス貯蔵部から容易に放出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態によるガス貯蔵構造体を形成する方法を示した図である。
【図2】本発明の一実施形態によるガス貯蔵構造体を形成する方法を示した図である。
【図3】本発明の一実施形態によるガス貯蔵構造体を形成する方法を示した図である。
【図4】本発明の一実施形態によるガス貯蔵構造体を形成する方法を示した図である。
【図5】本発明の他の実施形態によるガス貯蔵構造体の図である。
【図6】本発明の他の実施形態によるガス貯蔵構造体の図である。
【図7】本発明の他の実施形態によるガス貯蔵構造体の図である。
【図8】本発明の実施形態によるガス貯蔵方法およびガス貯蔵装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図示された図面を参照して本発明の実施形態によるガス貯蔵構造体およびこれを含むガス処理装置が説明される。説明される実施形態は、本発明の思想を当業者が容易に理解することができるように提供することであって、これによって本発明が限定されるものではない。本発明の実施形態は、本発明の技術的思想および範囲内で他の形態に変形されることができる。本明細書において、「および/または」は、前後に羅列した構成要素のうちに少なくとも一つを含む意味に使われている。本明細書において、ある構成要素が異なる構成要素の「上に」位置するということは、ある構成要素が異なる構成要素の上に直接位置するという意味はもちろん、ある構成要素が第3の構成要素を介して異なる構成要素の上に位置することができるという意味をも含む。図面に示された構成要素の厚さおよび相対的厚さは、本発明の実施形態を明確に表現するために誇張されている場合があることに注意されたい。また、図面に示した各要素および物質またはこれらの要素を含む装置は、本発明の技術的思想を説明するために例示されており、実際の要素および物質またはこれら実際の要素を含む装置と相異する場合がある。
【0021】
図1〜図4を参照すると、本発明の一実施形態によるガス貯蔵構造体100の形成方法が説明される。図1を参照すると、ガス貯蔵部110が用意されている。ガス貯蔵部110は、ガスを貯蔵することができる内部空間を含む。また、ガス貯蔵部110は、その表面に画成された格子空間111を有することができる。ガス貯蔵部110は、多孔性構造体を含むことができる。この多孔性構造体は、金属と、金属化合物と、非金属と、非金属化合物との少なくとも一つから形成されることができる。例えば、ガス貯蔵部110は、炭素ナノチューブと、フラーレンと、炭素繊維を含む炭素系ナノ構造体の一つを含むことができる。他の例に関し、ガス貯蔵部110は、ゼオライトを含む多孔性構造体の一つを含むことができる。本実施形態では、炭素系のナノ構造体の一つである炭素ナノチューブを一例として説明しているが、これに限定されない。
【0022】
本実施形態における格子空間111は、ガス貯蔵部110の外壁を構成する原子および/または分子によって画成される空間であってよい。例えば、図示した炭素ナノチューブの場合、6個の炭素原子によって画成される空間がガス貯蔵部110の格子空間であってよい。他方、ガス貯蔵部110が多孔性ポリマーによって形成されている場合、格子空間111は、ポリマーを構成する原子および/または分子によって画成される空間であってよい。ガス貯蔵部110が多層膜を含む場合、格子空間111をガス貯蔵部110の各層の格子空間の積層によって形成することができる。格子空間111の寸法は、ガスが余裕をもって出入することができない寸法であってよい。従って、格子空間111によって画成される外壁を有するガス貯蔵部110内にガスが貯蔵された場合、格子空間111を通ってガスが排出されることを最小にすることができる。
【0023】
図2を参照すると、少なくとも一つの開口112をガス貯蔵部110の表面に形成することができる。この開口112は、格子空間111よりも大きくてよい。例えば、開口112の周長は、格子空間111の周長よりも大きくてよい。内部空間をガス貯蔵部110の外部空間に対して接続する通路として開口112を画成することができる。図2に示すように、この開口112をガス貯蔵部110の柱を構成する部分のみならず、ガス貯蔵部110の両端の少なくとも一方に形成することもできる。
【0024】
開口112は、ガス貯蔵部110の表面の一部に傷を付けることによって形成可能である。例えば、ガス貯蔵部110が炭素ナノチューブで形成されている場合、開口112は、炭素ナノチューブを酸溶液に浸し、ここに超音波を照射することによって形成可能である。この際、傷は、炭素ナノチューブを構成する炭素間の結合の一部が崩れることによって形成可能である。他の例に関し、開口112は、ガス貯蔵部110の表面にプラズマを照射することによって形成可能である。開口112の寸法は、複数の格子空間111を合算したものと同じであってよい。
【0025】
ガス貯蔵部110が炭素系ナノ構造体の場合、炭素原子の一部および/または炭素原子間の結合が外れることによって、複数の格子空間111が相互につながって開口112を形成することができる。この場合、開口112を構成する1個の炭素原子は、他の炭素原子との結合に関与しない電子を含むことができる。特に、開口112を形成するために炭素ナノチューブに傷を付ける場合、1個の炭素原子と、これと結合する他の炭素原子との間の結合が破壊されるものであってよい。従って、開口を構成する1個の炭素原子は他の炭素原子との結合に関与しない少なくとも一つの価電子を含むことができる。
【0026】
図3を参照すると、ガス貯蔵部110の開口112に出入制御部120を取り付けることができる。この出入制御部120は、開口112の少なくとも一部を覆うように形成可能である。出入制御部120は、開口112の少なくとも一部を満たすように形成可能である。本実施形態における出入制御部120は、開口112を構成する炭素原子と出入制御部120を構成する物質との間の接合,静電気的吸引力および/または吸着によって、開口112におよび/または開口内に形成可能である。例えば、上述した他の炭素原子との結合に関与しない電子を含む炭素と、出入制御部120を構成する物質と間の相互作用によって、出入制御部120をガス貯蔵部110に取り付けることができる。
【0027】
あるいは、出入制御部120を仲介分子によって開口112に取り付けることができる。例えば、出入制御部120を構成する物質に仲介分子を装着した後、この物質を開口112に装着することによって、出入制御部120を開口112に組み込むことができる。この媒介分子は、例えば、チオール基(−SH)および/またはシラン基を有する分子であってよい。媒介分子は、出入制御部120を開口112に接続することができる。
【0028】
出入制御部120は、ガス貯蔵部110の融点よりも低い融点を有する物質で形成可能である。例えば、出入制御部120は、ガス貯蔵部110に装着可能な種々のポリマーの少なくとも一つで形成可能である。例えば、この出入制御部120は、ポリピロールと、ポリアニリンと、ポリフェノールと、ポリパラフェニレンとの少なくとも一つで形成可能であるが、これに限定されない。
【0029】
図4を参照すると、出入制御部120は、ガス貯蔵部110の内部空間をガス貯蔵部110の外部空間に対して接続する少なくとも一つのゲート122とを含むことができる。このゲート122は、出入制御部120を構成する原子および/または分子によって画成される空間であってよい。ゲート122の寸法は、温度を含む種々の条件に応じて変化することができる。例えば、出入制御部120を加熱した場合、出入制御部120を構成する原子および/または分子の運動が活発になり、原子間および/または分子間の間隔が拡がる。これにより、ゲート122の寸法を大きくすることができる。本明細書においては、ゲート122の寸法がガス貯蔵部110の格子空間111と実質的に同じとなる場合の温度を臨界温度として定義する。この臨界温度は、ガス貯蔵部110内に注入されるガスの気化点よりも高く、かつ出入制御部120の融点よりも低い温度であってよい。すなわち、出入制御部120を臨界温度よりも高い温度に加熱した場合、ゲート122の寸法が大きくなって格子空間111よりも大きな寸法を持つ。大きくなったゲート122は、格子空間111よりも大きな寸法を有するので、拡がったゲート122を介したガスの移動は、格子空間111を介したガスの移動よりも容易となろう。従って、拡がったゲート122を通してガス貯蔵部110へとガスを流入させたり、ガス貯蔵部110の外部にガスを排出させたりすることがさらに容易となろう。
【0030】
これに対し、出入制御部120を冷却した場合、出入制御部120を構成する原子および/または分子の運動が低下することにより、原子間および/または分子間の空間がより狭くなる。つまり、ゲート122の寸法が減じられよう。例えば、臨界温度よりも低い温度でのゲート122の寸法は、ガス貯蔵部110の格子空間111以下の寸法を有することができる。縮んだゲート120は、格子空間111以下の寸法を有するので、縮小したゲート120を通るガスの出入が制御可能である。従って、ガス貯蔵部110内にガスを安定して貯蔵することができる。
【0031】
再び図4を参照し、本発明の一実施形態によるガス貯蔵構造体100が説明されよう。前述した内容の一部が省略されよう。図4を参照すると、格子空間111を含むガス貯蔵部110が与えられている。このガス貯蔵部110を多孔性物質で形成することができる。例えば、ガス貯蔵部110は、炭素ナノチューブと、フラーレンと、炭素繊維とを含む炭素系ナノ構造体を含むことができる。 他の例に関し、ガス貯蔵部110は、ゼオライトを含む多孔性構造体の一つを含むことができる。従って、本実施形態では炭素系ナノ構造体の一つである炭素ナノチューブを例として説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0032】
ガス貯蔵部110は、開口112を有することができる。この開口112は、内部空間をガス貯蔵部110の外部空間に接続する通路であってよい。開口112は、格子空間111よりも大きな寸法を有することができる。例えば、開口112は、複数個の格子空間111を合算することによって形成される形状を有することができる。
【0033】
開口112に出入制御部120を形成することができる。この出入制御部120は、開口112の上および/または開口内に配することができる。出入制御部120は、ガス貯蔵部110よりも融点が低い物質で形成可能である。例えば、出入制御部120は、ガス貯蔵部110よりも融点が低いポリマーで形成可能である。図5を参照すると、出入制御部121は、炭素ナノチューブの一端に形成可能である。この出入制御部121の一部をガス貯蔵部110の内部空間へと延在させることができる。上述した実施形態のように、出入制御部121は、ゲート123を含むことができる。また、一つの炭素ナノチューブに複数の出入制御部121および/または開口を存在させることも可能である。例えば、炭素ナノキューブの両端および/またはこれら両端をつなぐ柱状部分に出入制御部120および開口を配することができる。
【0034】
再び図4を参照すると、出入制御部120は、ゲート122を含むことができる。このゲート122は、出入制御部120を構成する物質の格子によって、またはこれら格子の重ね合わせによって画成可能である。ゲート122は、温度に応じて寸法が変わることができる。例えば、高い温度がもたらされた場合、ゲート122を構成する原子および/または分子の運動が活発になるので、これら原子および/または分子間の距離が広がり、ゲート122の寸法を大きくすることができる。例えば、ゲート122は、臨界温度よりも高い温度にて出入制御部120の格子空間111よりも大きく拡がることができる。これに対し、出入制御部120に臨界温度よりも低い温度を与えた場合、ゲート122は、格子空間111以下の寸法を有することとなろう。説明の便宜上、参照図面ではゲート122を通る管状通路を有しているが、ゲートの形状は、これに限定されない。例えば、出入制御部120を構成する原子および/または分子間の空間によって画成される種々の形状を与えることができる。
【0035】
ゲート122の寸法の変化に応じてガス貯蔵部110に対するガスの出入を調節することができる。例えば、ゲート122が拡がってガス貯蔵部110の格子空間111よりも大きな寸法を有する場合、ガス貯蔵部110へとガスを容易に導入させることができる。これに対し、ゲート122が縮んでガス貯蔵部110の格子空間111よりも小さな寸法を有する場合、ガス貯蔵部110に導入されたガスがガス貯蔵部110の外に排出されるのを最小にすることができる。上述したように、ゲート122の寸法は、温度の如き制御可能な要因によって調節可能であるので、ガスの導入,貯蔵および/または排出を容易に制御することができる。
【0036】
特に、ゲート122は、臨界温度よりも高い温度にてガス貯蔵部110の格子空間111よりも大きな寸法を有することができる。従って、ガスがゲート122を介してガス貯蔵部110に流入する場合、ガスが格子空間111を介してガス貯蔵部110に流入する場合よりも容易にガスをガス貯蔵部110へと流入させることができる。
【0037】
これに対し、ゲート122は、臨界温度よりも低い温度にてガス貯蔵部110の開口112以下の寸法を有することができる。従って、ゲート122は、格子空間111と同じか、またはこれよりも小さな寸法に縮められることができる。これにより、ガス貯蔵部110に貯蔵されたガスが外部に放出するのを最小にすることができる。このため、ガス貯蔵部110および出入制御部120を含むガス貯蔵構造体100は優れたガス貯蔵能力を有することができる。
【0038】
図6および図7を参照し、本発明の他の実施形態によるガス貯蔵構造体が説明されよう。図6を参照すると、ナノ繊維で形成されたガス貯蔵部210が与えられる。本実施形態によるガス貯蔵構造体200は、開口を有するガス貯蔵部210と、開口上に配された出入制御部220とを含むことができる。出入制御部220は、ゲートを含むことができる。
【0039】
ガス貯蔵部210がナノ繊維を含むことができる。このナノ繊維は、金属と、非金属と、金属化合物と、非金属化合物とを含む種々の物質の少なくとも一つで形成することができる。ガス貯蔵部210は、このガス貯蔵部210にガスを貯蔵するための内部空間を与えることができる。ガス貯蔵部210の表面に格子空間を画成することができる。この格子空間は、ガス貯蔵部210を構成する原子および/または分子によって画成される空間であってよい。格子空間は、ガス貯蔵部210に対してガスが円滑に出入できないような寸法を有することができる。
【0040】
ガス貯蔵部210の表面に格子空間よりも大きな寸法を有する開口を画成することができる。この開口は、ガス貯蔵部210を構成する原子および/または分子間の結合を一部崩すことで形成可能である。ガス貯蔵部210がポリマーで形成される場合、分子間の結合を崩すことは、ポリマーを構成するモノマー間の結合の一部を破壊することである。これに対し、開口は、ナノ繊維の両端に位置する原子および/または分子によって画成される空間であってよい。この場合、原子および/または分子は格子空間を開口と同時に画成することができる。
【0041】
出入制御部220は、ガス貯蔵部210の一端部および/または表面に装着可能である。この出入制御部220は、開口を覆うことができる。出入制御部220は、ガス貯蔵部210よりも融点が低い物質で形成可能である。例えば、出入制御部220は、ガス貯蔵部210よりも融点が低いポリマーで形成可能である。
【0042】
出入制御部220は、ゲート222を含むことができる。このゲート222は、出入制御部220を構成する原子および/または分子によって画成された空間であってよい。ゲート222は、温度に応じて寸法が変わることができる。例えば、ゲート222の寸法は、臨界温度よりも高い温度にてガス貯蔵部210の格子空間よりも大きな寸法を有することができる。ゲート222の寸法は、臨界温度未満の温度にて格子空間と同じか、または小さな寸法を有することができる。この臨界温度は、注入されるガスの気化点より高く、かつ出入制御部220の融点よりも低いことが好ましい。
【0043】
ゲート222は、臨界温度よりも高い温度にてガス貯蔵部210の格子空間よりも大きな寸法に拡げられることができる。これによって、拡がったゲート222を介して移動するガスの出入が円滑となることができる。また、ゲート222は、臨界温度以下の温度にてガス貯蔵部210の格子空間と同じか、または小さな寸法を有することができる。従って、ガス貯蔵部210に貯蔵されたガスが外部への漏洩を最小に抑えることができる。
【0044】
図7は、本発明の他の実施形態によるガス貯蔵構造体を示す図である。本実施形態におけるガス貯蔵部310は、複数の層を含む構造体であってよい。例えば、ガス貯蔵部310は、複数の板状ナノ構造体を積層した構造であってよい。具体な例に関し、複数の層は、五酸化バナジウム(V25)を含むことができる。板状構造体を相互に間隔をあけて配することができる。すなわち、複数の層の間に何もない空間が存在してよい。
【0045】
複数の層の間の空間をガス貯蔵部310の内部空間として画成することができる。さらに、複数の層の間の空間を開口として画成することも可能である。すなわち、本実施形態におけるガス貯蔵部310の開口と内部空間とが同じ領域を有することができる。ガス貯蔵部310を構成する各ナノ構造体は格子空間を有することができる。この格子空間は、各層を構成する原子および/または分子によって画成された空間であってよい。格子空間は、ガス貯蔵部310に対してガスが容易に出入することができない寸法を有することができる。従って、ガス貯蔵部310の内部空間に貯蔵されたガスは、格子空間を通って容易に出入することができないようになっている。
【0046】
ガス貯蔵部310の側面を出入制御部320によって囲むことができる。この出入制御部320は、ガス貯蔵部310よりも融点が低い物質で形成されることができる。出入制御部320は、ガス貯蔵部310よりも融点が低い物質で形成可能である。例えば、出入制御部320は、ガス貯蔵部310よりも融点が低いポリマーで形成可能である。出入制御部320は、ゲート322を含むことができる。このゲート322は、出入制御部320を構成する原子および/または分子によって画成された空間であってよい。ゲート322は、温度に応じて寸法が変わることができる。例えば、ゲート322の寸法は、臨界温度よりも高い温度にて格子空間よりも大きな寸法を有することができる。このゲート322の寸法は、臨界温度以下の温度にて格子空間と同じか、または小さな寸法を有することができる。臨界温度は、注入されるガスの気化点より高く、かつ出入制御部320の融点よりも低いことが好ましい。
【0047】
ゲート322が格子空間よりも大きな寸法に拡げられた場合、ガスはゲート322を介して容易に出入することができる。他方、ゲート322が格子空間と同じか、または小さな寸法に縮められた場合、ゲート322を介したガスの出入を制御することができる。従って、ガスの注入や貯蔵および放出を容易に制御することができる。
【0048】
図4〜図8を参照し、本発明の一実施形態によるガス貯蔵構造体100を用いたガス処理方法が説明されよう。図8は、本発明の実施形態によるガス貯蔵方法およびガス貯蔵装置の模式図である。図1〜図4を参照して説明した内容は一部省略されよう。本実施形態では、図4のガス貯蔵構造体を適用した例が説明されるが、これに限定されない。例えば、本発明の他の実施形態によるガス貯蔵構造体を適用することも可能である。
【0049】
先ず、図8のガス貯蔵装置2000が説明されよう。このガス貯蔵装置2000は、貯蔵チャンバ2200と、この貯蔵チャンバ2200に配される断熱体2300と、冷却ユニット2400と、加熱ユニット2500と、これら冷却ユニット2400と加熱ユニット2500と間の空間である空間2600とを含むことができる。断熱体2300,冷却ユニット2400,加熱ユニット2500および空間2600は、貯蔵チャンバ2200内に配されている。冷却ユニット2400および加熱ユニット2500は、チャンバ2200の外部に接続することができる。ガス貯蔵装置2000の外部と内部とが貯蔵チャンバ2200の注入口2100と排出口2700とを通って相互に接続されることができる。本発明の実施形態によるガス貯蔵構造体100の少なくとも一つが空間2600に配される。
【0050】
ガス貯蔵構造体100へのガスの注入方法が説明されよう。この実施形態においては、水素がガス貯蔵構造体100に注入される方法を説明するが、異なるガスを本実施形態に適用されることが可能である。
【0051】
水素ガスは、注入口2100を通ってガス貯蔵装置2000に導入される。水素ガスを導入する直前のチャンバ2200は、実質的に真空状態であってよい。水素ガスの流入後、加熱ユニット2500を用いてチャンバ2200内の温度を臨界温度よりも高い温度に設定する。この臨界温度は、上述したように、出入制御部120のゲート122がガス貯蔵部110の格子空間111と同じ寸法になるような温度である。チャンバ内に加えられた熱によって、ゲート122の寸法を格子空間111よりも大きな寸法に拡げることができる。
【0052】
ガス貯蔵部110に水素ガスが導入される。この水素ガスは、拡がったゲート122を介してガス貯蔵部110に導入されることができる。この際、ゲート122は、ガス貯蔵部110の格子空間111よりも大きな寸法を有しているので、ガスが格子空間111を通ってガス貯蔵部110に流入することより、容易にガス貯蔵部110に導入させることができる。
【0053】
水素ガスは、チャンバ2100内の圧力が上昇することによって、より容易にガス貯蔵部110に流入することができる。特に、チャンバ2100に水素ガスを流入する場合、水素ガスによってチャンバ2100内の圧力を上昇させることができる。水素ガスが流入する初期段階において、ガス貯蔵部110の外部の圧力がガス貯蔵部110の内部の圧力よりも高い状態であってよい。従って、ガス貯蔵部110の外部の圧力によって水素ガスがガス貯蔵部110の内部に容易に流入可能となる。この際、水素ガスがガス貯蔵部110の内面に吸着されるので、水素ガスはガス貯蔵部110に貯蔵可能となる。他方、チャンバ2100内に高い圧力を与えることができる別な手段によっても、ガス貯蔵部110内外に圧力勾配を形成し、ガス貯蔵部110への水素ガスの流入および/または貯蔵が可能となる。
【0054】
ガス貯蔵部110に充分な水素ガスが導入された場合、冷却ユニット2400を用いてチャンバ2100を冷却することができる。チャンバ2100内の温度が下降することにより、出入制御部120のゲート122の寸法を縮めることができる。例えば、ゲート122の寸法をガス貯蔵部110の表面の格子空間111と同じか、または小さな寸法に縮めることができる。これによって、ガス貯蔵部110に導入された水素ガスがゲート122を介してガス貯蔵部110の外部に放出されるのを最小にすることができる。従って、水素ガスをガス貯蔵部110に安定して貯蔵することができる。
【0055】
次に、ガス貯蔵構造体100から水素ガスを放出する方法が説明されよう。チャンバ2200内の加熱ユニット2500を用いてチャンバ2200内の温度を臨界温度以上に上昇させることができる。これにより、ガス貯蔵構造体100のゲート122を拡げることができる。拡がったゲート122を介してガス貯蔵部110にある水素ガスヲ放出させることができる。水素ガスがチャンバ2100の外に放出される初期段階において、ガス貯蔵部110の内部の圧力がガス貯蔵部110の外部の圧力よりも高めることができる。このようなガス貯蔵部110の内外の圧力差に基づく拡散によって、ガス貯蔵部110内の水素ガスをガス貯蔵部110の外に放出することができる。ガス貯蔵部110から放出されたガスは、排出口2700を介してガス貯蔵装置2000の外部に放出させることができる。
【0056】
上述のように、本発明の実施形態によると、ガスの出入がガス貯蔵部の表面に画成した開口の出入制御部によって制御される。このガスは、出入制御部を介してガス貯蔵部へと容易に導入されることができ、導入されたガスは望まざる漏洩が最少になる状態でガス貯蔵部に収容されることができる。また、必要に応じてガスを放出することも容易である。
【符号の説明】
【0057】
100 ガス貯蔵構造体
110 ガス貯蔵部
111 格子空間
120 出入制御部
122 ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを貯蔵する内部空間を画成し、この内部空間を外部空間に接続する開口を具えたガス貯蔵部と、
前記開口に装着され、かつゲートを具えた出入制御部と
を具えたことを特徴とするガス貯蔵構造体。
【請求項2】
前記ガス貯蔵部が多孔性構造体を具えていることを特徴とする請求項1に記載のガス貯蔵構造体。
【請求項3】
前記ガス貯蔵部の外壁が前記多孔性構造体の格子空間によって画成されていることを特徴とする請求項2に記載のガス貯蔵構造体。
【請求項4】
前記ゲートは、臨界温度よりも高い温度にて前記ガス貯蔵部の格子空間よりも大きな寸法さを有し、前記臨界温度は、前記ガスの気化点よりも高く、かつ前記出入制御部の融点よりも低いことを特徴とする請求項2に記載のガス貯蔵構造体。
【請求項5】
前記ゲートは、前記臨界温度よりも低い温度にて前記ガス貯蔵部の格子空間以下の寸法を有することを特徴とする請求項4に記載のガス貯蔵構造体。
【請求項6】
前記出入制御部は、前記ガス貯蔵部を構成する物質よりも低い融点を有する物質で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガス貯蔵構造体。
【請求項7】
内部の空間を真空状態に維持するチャンバと、
このチャンバ内に配される加熱ユニットと、
前記チャンバ内に配される冷却ユニットと、
前記空間内に配されるガス貯蔵構造体と
を具え、前記ガス貯蔵構造体は、ガスを貯蔵する内部空間を画成し、この内部空間を外部空間に対して接続する開口を具えたガス貯蔵部と、前記開口に配され、かつゲートを有する出入制御部とを具えていることを特徴とするガス貯蔵装置。
【請求項8】
前記ガス貯蔵部は、前記開口よりも小さな寸法を有する格子空間を具えた多孔性構造体を具えていることを特徴とする請求項7に記載のガス貯蔵装置。
【請求項9】
前記出入制御部は、前記ガス貯蔵部を構成する物質よりも低い融点を有する物質で形成されていることを特徴とする請求項7に記載のガス貯蔵装置。
【請求項10】
前記加熱ユニットおよび冷却ユニットは、前記出入制御部を加熱および冷却して前記ゲートの寸法をそれぞれ制御することを特徴とする請求項7に記載のガス貯蔵装置。

【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−144926(P2010−144926A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136231(P2009−136231)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】