説明

ガス遮断制御装置

【課題】ガス漏れ警報器40とガス遮断操作器100とを設置する際の作業性を向上させる。
【解決手段】ガス漏れ警報器40は待機状態で6Vの待機信号を出力し、ガス漏れ検出時に12Vのガス漏れ警報信号を出力する。信号入力回路13の端子にガス漏れ警報器40を任意に接続し、マグネット17bでリードスイッチ17aをONする。リードスイッチ17aのONを検出してマイコン11により設定処理を行う。設定処理で、信号入力回路の各接続端子に対応するA/D変換回路12の各入力ポートの電圧信号をスキャンする。12Vまたは6Vが検出された入力ポートを「接続有り」として設定(記憶)する。0Vが検出された入力ポートを「接続無し」として設定する。設定情報をEEPROM18に記憶する。監視処理で、12Vまたは6Vが検出された入力ポートを「接続有り」として設定する。リードスイッチ17aをONする毎に設定処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、待機信号とガス漏れ警報信号を出力するガス漏れ警報器を接続可能なガス遮断制御装置に係わり、詳細にはガス漏れ警報器を接続する信号入力回路の出力信号が0V電圧信号となったときにガス漏れ警報器の異常と判断するガス遮断制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のガス遮断制御装置として例えば特許第377993号公報(特許文献1)に開示されたものがある。このガス遮断制御装置はガス漏れ警報器から入力するガス漏れ警報信号に基づいて、ガス供給路に配設された遮断弁を弁閉させるように制御を行う。ガス漏れ警報器は、ガス漏れを検出していない間は電圧6Vからなる待機信号を出力し、ガス漏れを検知している間は電圧12Vからなるガス漏れ警報信号を出力する。なお、この特許文献1の技術ではガス漏れ警報器から0V電圧信号を検知すると停電と判断するようにしているが、ガス漏れ警報器がガス漏れを検知していないときは6Vの待機信号を出力しているので、0V電圧信号を検知することで、接続線の断線等のガス漏れ警報器故障を検出することができる。
【0003】
図9は従来のガス遮断制御装置における信号入力回路の一例を示す回路図である。この信号入力回路の出力端子は、当該ガス遮断制御装置を制御するCPU側のA/D変換回路の入力ポートに接続されており、ガス漏れ警報器接続端子には1台のガス漏れ警報器が接続される。図中、C1〜C3はノイズ除去用コンデンサ、ZD2、ZD3、R4、R5は過電圧から後段の回路を保護するツェナーダイオード及び抵抗器、ZD1は入力ポートを保護するツェナーダイオードである。抵抗器の値はR1+R2≫R4+R5となっており、R4とR5による電圧降下は無視できる。
【0004】
ダイオードD1〜D4はガス漏れ警報器接続端子を無極性化するためにブリッジ回路を構成している。そして、ガス漏れ警報器からの電圧信号はブリッジ回路でダイオード2個分の電圧が降下し、R1とR2で分割されて入力ポートへ入力される。また、設定スイッチSWをONすると、回路の電源電圧がR1、R2、R3で分割されて待機状態に相当する電圧が入力ポートへ入力される。
【0005】
上記の信号入力回路はガス漏れ警報器1台分の回路であり、ガス遮断制御装置が例えば3台のガス漏れ警報器を接続可能な場合には、同様な信号入力回路を3組備えている。そして、ガス遮断制御装置のCPUは、3つの信号入力回路の入力信号をA/D変換回路から取り込み、ガス漏れ警報器の待機状態、ガス漏れ検出状態、断線等の故障状態をそれぞれ判定する。
【特許文献1】特許第3779933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のようなガス遮断制御装置において、ガス漏れ警報器を接続しない信号入力回路では信号電圧が0Vなので、そのままでは警報器故障と判定してしまう。そこで、ガス漏れ警報器を接続しない信号入力回路は、前記設定スイッチSWをONにすることで待機状態に相当する電圧をA/D変換回路の入力ポートへ印可するようにしている。しかしながら、このような方式では、特に複数のガス漏れ警報器を接続可能なものにおいて、ガス漏れ警報器を接続しない場合にはその接続端子に対応する設定スイッチSWをそれぞれONにしなければならず、作業性が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、ガス遮断制御装置及びガス漏れ警報器を設置する際や点検時の作業性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のガス遮断制御装置は、待機状態で待機信号を出力するとともにガス漏れ状態を検知してガス漏れ警報信号を出力するガス漏れ警報器を接続可能なガス遮断制御装置であって、前記ガス漏れ警報器を接続可能な信号入力回路と、該信号入力回路の出力信号を監視する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記信号入力回路の出力信号として前記ガス漏れ警報信号を検出すると、ガス供給路のガスの流れを遮断する遮断弁に遮断信号を出力するとともに、前記信号入力回路の出力信号として0V電圧信号を検出すると前記ガス漏れ警報器の異常と判断するガス遮断制御装置において、操作者が操作可能で前記制御手段が操作を検出する操作手段と、前記制御手段が情報の書き込み及び読み出しが可能な不揮発性記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記操作手段の操作を検出すると設定処理を行い、該設定処理の間に前記信号入力回路の出力信号として前記待機信号または前記ガス漏れ警報信号を検出した場合には、該信号入力回路にガス漏れ警報器が接続されているものとして設定し、該信号入力回路の出力信号として0V電圧信号を検出した場合には、該信号入力回路にガス漏れ警報器が接続されていないものとして設定し、該設定状態を示す設定情報を前記不揮発性記憶手段に記憶し、該不揮発性記憶手段に記憶した設定情報に基づいて動作を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項2のガス遮断制御装置は、請求項1に記載のガス遮断制御装置であって、前記制御手段の制御により操作者が表示を確認できる表示手段を備え、前記制御手段は、前記信号入力回路にガス機器が接続されているか接続されていないかの設定の状態の変化を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0010】
請求項3のガス遮断制御装置は、請求項1または2に記載のガス遮断制御装置であって、前記制御手段は、前記設定処理の後に、該設定処理でガス漏れ警報器が接続されていないものとして設定した信号入力回路で、前記待機信号または前記ガス漏れ警報信号を検出した場合には、該信号入力回路にガス漏れ警報器が接続されているものとして設定して、該設定情報を前記不揮発性記憶手段に記憶することを特徴とする。
【0011】
請求項4のガス遮断制御装置は、請求項1乃至3のいずれかか一項に記載のガス遮断制御装置であって、複数の前記信号入力回路を備え、各信号入力回路にガス漏れ警報器をそれぞれ独立に接続可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1のガス遮断制御装置によれば、信号入力回路にガス漏れ警報器を接続して操作手段を操作すると、設定処理の間にガス漏れ警報器からの待機信号またはガス漏れ警報信号が検出されるのでガス漏れ警報器が接続されているものとして設定され、ガス漏れ警報器を接続しないで操作手段を操作した場合には0V電圧信号が検出されるのでガス漏れ警報器が接続されていないものとして設定される。したがって、操作手段を操作するだけでガス漏れ警報器の接続状態または非接続状態が設定さる。また、停電等が発生した場合でも、設定情報は不揮発性記憶手段に記憶されているので、電源が復旧した後、この不揮発性記憶手段の設定情報により元どおりの制御ができる。
【0013】
請求項2のガス遮断制御装置によれば、請求項1の効果に加えて、さらに、設定状態の変化を表示手段により確認できるので、ガス遮断制御装置及びガス漏れ警報器を設置する際や点検する際の作業性が向上する。
【0014】
請求項3のガス遮断制御装置によれば、請求項1または2の効果に加えて、ガス漏れ警報器が接続されていない信号入力回路に対して後からガス漏れ警報器を接続した場合にも、ガス漏れ警報器が接続されているものとして設定するので、自動的に適正な設定状態とすることができる。
【0015】
請求項4のガス遮断制御装置によれば、請求項1、2または3の効果に加えて、複数のガス漏れ警報器を接続する場合にも対応できるので、さらに作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明のガス遮断制御装置の一実施の形態を説明する。図1は本発明の実施形態に係るガス遮断制御装置としてのガス遮断操作器100の要部ブロック図、図2は同ガス遮断操作器100における信号入力回路の回路図、図3は同ガス遮断操作器100の正面図である。なお、図3では本体ケース下部の端子台カバーCを外した状態を示している。図3に示すように、この実施形態のガス遮断操作器100は、本体ケース内部に後述の制御部10を備えるとともに、本体ケースの前面上部に操作表示部20を備えている。また、本体ケース内の下部に後述の端子台を有する配線パネル30を備えている。
【0017】
操作表示部20には、音声警報や警報音を停止するとき操作する音声停止スイッチ20a、ガス漏れ警報器がガス漏れを検知したときやガス漏れ警報器の故障及び遮断弁の接続異常状態を検知したときなど警報の理由を表示する警報理由表示ランプ20b、遮断弁が開状態のとき点灯する緑色の弁開ランプ20c、遮断弁が閉状態のとき点灯する黄色の弁止ランプ20d、手動操作で遮断弁を開閉するとき操作する弁開/止スイッチ20eが配設されている。なお、警報理由表示ランプ20bは表示手段を構成する7セグメント表示器であり、後述のようにアルファベットと数字により警報理由等を表示する。
【0018】
配線パネル30には、第1端子台1、第2端子台2、ディップスイッチ3、電源端子台4及び電源スイッチ5が配設されている。第1端子台1は、当該ガス遮断操作器100に対して遮断弁とガス漏れ警報器を配線接続するためのものであり、この第1端子台1は端子部1a,1b,1A,1B,1Cを備えている。端子部1aは遮断弁への遮断信号の出力と遮断弁からの弁状態信号及びガス圧信号の入力を行う。端子部1bは直流型のガス漏れ警報器に24V電源を供給する。端子部1A,1B,1Cは、3台のガス漏れ警報器の信号線をそれぞれ独立に接続するものであり、端子部1A、1B、1Cには極性がない。第2端子台2は、当該ガス遮断操作器100に対してガス遮断表示盤、自動消火装置あるいは遠隔スイッチ等の外部機器を配線接続するためのものであり、この第2端子台2を介して外部機器との間で信号の入出力を行う。
【0019】
ディップスイッチ3は、内蔵感振器と遮断弁との連動機能の設定や、復帰安全確認時間の設定など各種の機能に関する設定を行うスイッチである。なお、従来のガス遮断制御装置においても同様なディップスイッチを備えており、前記のようにガス漏れ警報器を接続しない入力ポートへ電圧を印可するための設定スイッチSWとして用いられている。しかし実施形態では従来のような設定スイッチはなく、ディップスイッチ3には未使用のスイッチもあり、またはその他の機能に使用されている。
【0020】
電源端子台4には100V(50/60Hz)の商用電源の電源コードが接続され、電源スイッチ5の操作により当該ガス遮断操作器100の電源の投入と切断が行われる。さらに配線パネル30には、リードスイッチ17aが配設されており、このリードスイッチ17aは操作者が所持するマグネット17bを近づけることによりONとる。なお、このリードスイッチ17aとマグネット17bは操作手段の一例である。
【0021】
図1に示すように、制御部10は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)11、A/D変換回路12、信号入力回路13、駆動部14、I/Oポート15、表示部16、操作部17及び不揮発性記憶手段としてのEEPROM18等から構成されている。信号入力回路13は、第1端子台1の端子部1A、1B、1Cに対応して、図2に示す信号入力回路を3組備えており、この信号入力回路はそれぞれA/D変換回路12の各入力ポートに接続されている。図2に示す信号入力回路と前掲の図9の従来の信号入力回路との違いは、設定スイッチSWを備えいない点であり、その他の構成は前記同様である。
【0022】
以上の構成により、端子部1A、1B、1Cにそれぞれ接続されるガス漏れ警報器40からの電圧信号が信号入力回路13からA/D変換回路12に入力され、A/D変換回路12でデジタル信号に変換されてマイコン11に入力される。マイコン11は各信号入力回路に対応するA/D変換回路12の3つの入力ポート(警報器用のポート)を識別し、各入力ポートからデジタル信号を読み取る。なお、ガス漏れ警報器40はAC100Vで動作し、DC24Vやバッテリで動作するものもある。そして、ガス漏れ警報器40は、従来同様にガス漏れを検出していない待機状態では電圧6Vからなる待機信号を出力し、ガス漏れを検知している間は電圧12Vからなるガス漏れ警報信号を出力する。
【0023】
マイコン11は、処理プログラムに従って各種の処理を行うCPU11aと、CPU 11aが行う処理のプログラムなどを格納したROM11bと、CPU11aでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ記憶エリアなどを有するRAM11c等で構成されており、これらの各要素はバスラインによって接続されている。そして、マイコン11は、電源スイッチ5で電源が投入されると後述の処理プログラムを実行する。
【0024】
なお、表示部16は警報理由表示ランプ20b、弁開ランプ20c及び弁止ランプ20dの表示駆動を行う回路であり、操作部17は、前記リードスイッチ17aのON操作、音声停止スイッチ20a及び弁開/止スイッチ20eの操作を入力する回路である。また、駆動部14は第1端子台1を介して遮断弁50に接続され、I/Oポート15は第2端子台2を介して前記各種外部機器60に接続されている。
【0025】
図4は警報理由表示ランプ20bの表示例を示す図である。図4(A) は端子部1Aに接続された1台のガス漏れ警報器がガス漏れを検知している状態である。この場合は、数字の「0」を1秒点灯し、アルファベットの「A」を1秒点灯し、1秒消灯する動作を繰り返す。図4(B) は端子部1Aに接続されたガス漏れ警報器がガス漏れを検知し、端子部1B,1Cに接続された2台のガス漏れ警報器が故障の場合(異常警報時)である。この場合は、数字の「0」を1秒点灯し、アルファベットの「A」を1秒点灯し、1秒消灯し、数字の「6」を1秒点灯し、アルファベットの「b」を1秒点灯し、アルファベットの「c」を1秒点灯し、1秒消灯する動作を繰り返す。なお、その他の警報理由も予め決められた数字とアルファベットにより表示される。
【0026】
図5〜図7は実施形態における制御部10のマイコン11の制御プログラムの要部フローチャートであり、同図に基づいて動作を説明する。ここで、信号入力回路(端子部1A,1B,1C)にガス漏れ警報器40接続されているとして設定した状態を「接続有り」、接続されていないとして設定した状態を「接続無し」とし、この設定した状態は設定情報としてEEPROM18に記憶される。なお、工場出荷時にはEEPROM18には3つの信号入力回路に対して「接続有り」として記憶されている。また、警報状態、異常警報状態などは、所定のデータとしてRAM11cに記憶される。さらに、マイコン11は、A/D変換回路12の3つの入力ポートのをインデックスIの値を更新して入力ポートをスキャンする。
【0027】
図5のメイン処理は電源の投入により起動され、、図7の設定処理はリードスイッチ17aのONで発生する割込信号により起動される。まず、図5のメイン処理では、ステップS1で3秒間経過するまで待機し、3秒間経過するとステップS2で図6の監視処理を行う。次に、ステップS3で外部機器関連の処理などその他の処理を行い、ステップS2に戻る。このメイン処理は電源が切断されるまで繰り返される。
【0028】
図6の監視処理では、ステップS11で入力ポートを示すインデックスIを“0”にセットし、ステップS22でのIのインクリメントとステップS23での判定処理により、ステップS12以降の処理を各入力ポートに対応して実行する。ステップS12では現在の入力ポートから電圧信号を取得し、ステップS13で電圧値が12V(ガス漏れ警報信号)であるかを判定する。12Vであれば、ステップS14で、EEPROM18の設定情報により現在の入力ポートが「接続無し」に設定されているかを判定し、判定がNOであればステップS16で警報処理を行ってステップS22に進む。ステップS14で判定がYESであれば、現在の入力ポートにガス漏れ警報器が接続されていなかったところに新たにガス漏れ警報器が接続されたことになるので、ステップS15で現在のポートに対し「接続有り」として設定(再設定)し、その設定状態を設定情報としてEEPROM18に記憶し、ステップS16に進む。
【0029】
ステップS13で12VでなければステップS17で電圧値が6V(待機信号)であるかを判定し、6Vであれば、ステップS18で、EEPROM18の設定情報により現在の入力ポートが「接続無し」に設定されているかを判定し、判定がNOであればそのままステップS22に進む。ステップS18で判定がYESであれば、現在の入力ポートに新たにガス漏れ警報器が接続されたことになるので、ステップS19で現在のポートに対し「接続有り」として設定(再設定)し、その設定状態を設定情報としてEEPROM18に記憶し、ステップS22に進む。
【0030】
ステップS17で6Vでなければ0V(0電圧信号)であるので、ステップS20でEEPROM18の設定情報により現在の入力ポートが「接続有り」に設定されているかを判定し、判定がNOであればそのままステップS22に進む。ステップS20で判定がYESであれば故障が発生していると判断して、ステップS21で異常警報処理を行い、ステップS22に進む。そして、ステップS22でIをインクリメントし、ステップS23で3つの入力ポートの処理が終了すると、ステップS24で、記憶した現在の状態に応じた表示処理を行ってメインルーチンに復帰する。
【0031】
図7の設定処理はリードスイッチ17aがONとなると起動され、図6同様にステップS31、S40、S41の処理で、ステップS32以降の処理を各入力ポートに対応して実行する。ステップS32では現在の入力ポートから電圧信号を取得し、ステップS33で電圧値が12V(ガス漏れ警報信号)であるかを判定する。12VであればステップS34で現在の入力ポートに対し「接続有り」として設定し、その設定状態を設定情報としてEEPROM18に記憶し、ステップS35で警報処理を行ってステップS39に進む。
【0032】
ステップS33で12VでなければステップS36で電圧値が6V(待機信号)であるかを判定し、6Vであれば、ステップS37で現在の入力ポートに対し「接続有り」として設定し、その設定状態を設定情報としてEEPROM18に記憶し、ステップS99に進む。ステップS36で6Vでなければ0V(0電圧信号)であるので、ステップS38で現在の入力ポートに対し「接続無し」として設定し、その設定状態を設定情報としてEEPROM18に記憶し、ステップS39に進む。ステップS39では、警報状態あるいは待機状態など現在の状態を記憶し、ステップS40に進む。
【0033】
そして、ステップS40でIをインクリメントし、ステップS41で3つの入力ポートの処理が終了すると、ステップS42で、記憶した現在の状態に応じた表示処理を行ってメインルーチンに復帰する。この表示処理では、図4のような警報理由表示ランプ20bの点灯や弁止ランプ20dの点灯などの処理を行う。
【0034】
図8は以上の処理に対応する時系列な動作の一例を示す図である。警報器Aだけが接続されており、警報器Aからは待機信号(6V)が出力されている。そこで、t1のタイミングでガス遮断操作器100を投入(ON)すると、電源の投入から3秒経過したt2のタイミングで監視処理となる。このとき、工場出荷時の状態で各警報器(信号入力回路)は「接続有り」に設定されているので、警報器Aは待機信号が検出されるが、警報器Bと警報器Cは0電圧信号となっているので、警報器故障と判定され、図4のような警報器Bと警報器Cの故障の表示が行われる。この表示を確認することにより、例えば警報器Bと警報器Cを接続し忘れた場合は、接続が不完全であった場合などを確認することができ、再度接続しなおすなどの作業を行うことができる。
【0035】
次に、リードスイッチ17aをONにして設定処理を行うと、t3のタイミングで警報器Bと警報器Cは0電圧信号となっているので、警報器Bと警報器Cは「接続無し」と設定され、EEPROMの設定情報が上書きされる。その後、警報処理(繰り返し処理)に入り、t4のタイミングで警報器Bが接続されて待機信号(6V)が検出されると、警報器Bに対して「接続有り」として設定されてEEPROMの設定情報が上書きされる。また、t5のタイミングで警報器Cが接続されて例えばガス漏れ警報信号(12V)が検出されると、警報器Cに対して「接続有り」として設定されてEEPROMの設定情報が上書きされる。このタイミングt4,t5の動作は図6の監視処理における自動設定による。
【0036】
この設定状態はEEPROMに記憶されているので、t6で警報器Cが、t7で警報器Bが0電圧信号となるとそれぞれ警報器故障と判定され、さらに、t8で警報器Cから待機信号(6V)が出力されると、正常と判定される。また、この状態で、t9でリードスイッチ17aをONにすると、警報器Bは0電圧信号となっているので、警報器Bは「接続無し」と設定されてEEPROMの設定情報が上書きされる。その後、電源を切断(OFF)し、さらに電源を投入しても、警報器Bは「接続無し」としてEEPROMに記憶されているので、t10のタイミングでは故障判定とはならない。これは停電して復旧した場合も同様である。
【0037】
このように、リードスイッチ17aをON操作するだけでガス漏れ警報器の接続状態を自動的に設定するので、ガス漏れ警報器に対応して個々の設定スイッチを操作する必要もなく、設置作業が容易になる。また、その都度、設定情報はEEPROMに記憶されるので、停電などにより電源OFFとなり、電源が復旧した後でも設定状態のまま正常に動作する。
【0038】
また、「接続有り」の設定状態でガス漏れ警報器を接続しない場合には故障の表示が行われるが、その状態でリードスイッチをONして自動設定を行うと「接続無し」に設定されるので、その後、故障判定とならず、故障の表示は消灯される。したがって、設定状態が変化したことを確認できる。
【0039】
以上の実施形態では、操作手段としてリードスイッチ17a及びマグネット17bを用いているので、例えば端子カバーCを取り付けた状態でも設定状態のリセットを行うことができるが、操作手段は自動復帰型の押しボタンスイッチや、その他のスイッチなど、操作者が操作できるものであればよい。
【0040】
また、表示手段を警報理由表示ランプとし、監視処理における故障の表示の機能を利用して、その故障の表示の有無により設定状態の変化を確認できるようにしているが、表示手段による表示の態様はその他の態様でもよい。例えば設定状態そのものを表示するようなものでもよく、操作手段により自動設定したときに設定状態の変化が確認できるものであればよい。
【0041】
また、実施形態では、ガス漏れ警報器に対応する個々の設定スイッチを備えていない場合について説明したが、ハードウエア的に従来同様な設定スイッチを備えている機器にも適用できることはいうまでもない。この場合は、その設定スイッチの操作を必要としない。
【0042】
また、実施形態では、本発明のガス遮断制御装置としてガス遮断操作器を例に説明したが、ガスメータ等に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係るガス遮断操作器の要部ブロック図である。
【図2】同ガス遮断操作器の信号入力回路の回路図である。
【図3】同ガス遮断操作器の正面図である。
【図4】実施形態における表示例を示す図である。
【図5】実施形態におけるメイン処理のフローチャートである。
【図6】実施形態における監視処理のフローチャートである。
【図7】実施形態における設定処理のフローチャートである。
【図8】実施形態における動作の一例を示す図である。
【図9】従来の信号入力回路の回路図である。
【符号の説明】
【0044】
11 マイコン(制御手段)
12 A/D変換回路
13 信号入力回路
17a リードスイッチ(操作手段)
17b マグネット(操作手段)
18 EEPROM(不揮発性記憶手段)
20b 警報理由表示ランプ(表示手段)
40 ガス漏れ警報器
100 ガス遮断操作器(ガス遮断制御装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
待機状態で待機信号を出力するとともにガス漏れ状態を検知してガス漏れ警報信号を出力するガス漏れ警報器を接続可能なガス遮断制御装置であって、前記ガス漏れ警報器を接続可能な信号入力回路と、該信号入力回路の出力信号を監視する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記信号入力回路の出力信号として前記ガス漏れ警報信号を検出すると、ガス供給路のガスの流れを遮断する遮断弁に遮断信号を出力するとともに、前記信号入力回路の出力信号として0V電圧信号を検出すると前記ガス漏れ警報器の異常と判断するガス遮断制御装置において、
操作者が操作可能で前記制御手段が操作を検出する操作手段と、前記制御手段が情報の書き込み及び読み出しが可能な不揮発性記憶手段とを備え、
前記制御手段は、前記操作手段の操作を検出すると設定処理を行い、該設定処理の間に前記信号入力回路の出力信号として前記待機信号または前記ガス漏れ警報信号を検出した場合には、該信号入力回路にガス漏れ警報器が接続されているものとして設定し、該信号入力回路の出力信号として0V電圧信号を検出した場合には、該信号入力回路にガス漏れ警報器が接続されていないものとして設定し、該設定状態を示す設定情報を前記不揮発性記憶手段に記憶し、該不揮発性記憶手段に記憶した設定情報に基づいて動作を制御することを特徴とするガス遮断制御装置。
【請求項2】
前記制御手段の制御により操作者が表示を確認できる表示手段を備え、
前記制御手段は、前記信号入力回路にガス機器が接続されているか接続されていないかの設定の状態の変化を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載のガス遮断制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記設定処理の後に、該設定処理でガス漏れ警報器が接続されていないものとして設定した信号入力回路で、前記待機信号または前記ガス漏れ警報信号を検出した場合には、該信号入力回路にガス漏れ警報器が接続されているものとして設定して、該設定情報を前記不揮発性記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1または2に記載のガス遮断制御装置。
【請求項4】
複数の前記信号入力回路を備え、各信号入力回路にガス漏れ警報器をそれぞれ独立に接続可能にしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガス遮断制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−8530(P2009−8530A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170178(P2007−170178)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】