説明

ガラス等の接着剤。

【課題】環境問題になっている鉛を含んだハンダ及びフィラの使用が困難になってきているが400℃付近の低温で使用できる、鉛を含まないガラスフリットを用いた有効な接着方法を提供する。
【解決手段】リン酸ガラスに熱伝導性の良い酸化チタンを配合し、フリットの内部に熱を伝え380℃での接着を容易にしたフリットを用い、ガラスを重ね合わせ、接着した真空容器またはガス封印容器用のガラス容器として利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスのシーリング部にリン酸ガラスと酸化チタンで構成されるフリットで接着した、ガラスの接着、真空容器又はガス封印容器を製作する技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術においては、下記の方法で行われている。
a.リン酸ガラスにシリカ、コージライト等を配合し、フリットを480℃付近まで加熱し、溶解させて接着している。
b.鉛ハンダを使用して接着する。
c.有機系接着剤を使用して接着やシールをする方法が開発されつつある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
a.最近では環境問題として熱エネルギーの消費低減が叫ばれているがリン酸ガラスにシリカ、コージライト等を配合したフリットでは480℃付近で溶解、接着している。
b.鉛を含むハンダは環境問題で使用できない。
c.有機系接着剤を用いた接着では、加熱乾燥により水分等が発生し電子部品に不具合が発生する。
以上のような欠点を解決し、380℃付近の温度で加熱接着でき、鉛を含まず、加熱により水分等が発生しない接着剤を提供するために本発明をした。
【問題を解決するための手段】
【0004】
リン酸ガラスフリットに熱伝導性の良い酸化チタンを配合し、フリットの内部に熱を伝え380℃での接着を容易にした。
成分及び配合比率を次に示す。
配合表
リン酸ガラスフリット 73〜82重量%
シリカ 15〜25重量%
アルミナ(チタンバリウムフィラ) 3〜 8重量%
酸化チタン 2〜 7重量%
上記の配合比率は一例である。
リン酸ガラスを主成分とするフリットは、シリカ等の熱伝導率が悪い素材を用いるためフリットの溶けだし温度が500℃付近にある。元素の中で熱伝導率が一番大きなチタンを配合することによって接着剤の溶ける温度を380℃付近に調整することができた。
酸化チタンを配合表の配合比率を超え配合しても溶解温度に影響は与えない。
【0005】
ガラスの接着面の片側にディスペンス装置又はスクリーン印刷により、本発明によるフリットを塗り、枠を形成させ350〜380℃まで加熱し、フリットを溶かした枠付きガラス。枠付きガラスの上に上蓋用ガラスを乗せ380℃に加熱接着したガラス等の接着方法。
【0006】
ガラスの片面の接着部にディスペンス装置又はスクリーン印刷により枠及び/又は支柱を形成させる。乾燥炉に入れガラスを380℃で40分加熱する。加熱後室温まで冷却する。上蓋ガラスを合わせ乾燥炉に入れ380℃で20分加熱、加熱後室温まで冷却する。
支柱用のフリットには、接着のための再加熱の際に支柱が接着温度で溶け出すのを防止するためチタンバリウムフィラをアルミナの代わりに混ぜることによりリン酸ガラスを結晶化させることが可能となり、再加熱の際400℃付近では溶け出さないのでこれを使用する。
【発明の効果】
【0007】
本発明を実施することで次のような効果がある。
a.ガラスの接着温度が従来よりも約100℃下げることができるようになったので.環境問題として熱エネルギーの消費低減に寄与することができた。
b.鉛を使用しないので鉛による環境問題も解決した。
c.有機系接着剤やシリコン系接着剤を使用する必要が無くなったので水分や気泡による不具合が解決した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、発明を実施するための最良の形態を示す断面図である。
ガラス(2)の片面の接着部にディスペンス装置又はスクリーン印刷により枠(3)を形成させる。
枠作成後、乾燥炉に入れガラスを380℃で40分加熱する。ガラス(2)を室温まで下げる、別のガラス(1)とガラス(2)を合わせ乾燥炉に入れ380℃で20分加熱する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施例1
図2は実施例1を示す断面図である。
実施例1では真空ガラス容器の作成方法を示す。
真空ガラス容器は、二枚のガラスを重ね、周囲を接着及びシールをして枠(3)を形成し内部を真空状態にしたものである。真空によりガラスが歪むのを防止するために内部に支柱(4)を設ける必要がある。
【0010】
ガラス(2)の片面の接着部にディスペンス装置又はスクリーン印刷により枠(3)及び/又は支柱(4)を形成させる。枠作成後、乾燥炉に入れガラスを380℃で40分加熱する。ガラス(2)を室温まで下げる。別のガラス(1)とガラス(2)を合わせ乾燥炉に入れ380℃で20分加熱する。
【0011】
支柱(4)用の接着剤には、接着のための再加熱の際、支柱が接着温度で溶け出すのを防止するためチタンバリウムフィラをアルミナの代わりに混ぜることによりリン酸ガラスを結晶化させることが可能となり再加熱の際400℃付近では溶け出さないのでこれを使用する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 発明を実施するための最良の形態を示す断面図である。
【図2】 実施例1を示す断面図である。
【符号の説明】
【0013】
1,2 ガラス
3 枠
4 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸ガラスを主成分とするフリットに酸化チタンを配合したガラス等の接着剤。
【請求項2】
請求項1に記載した接着剤を用い作成した枠、支柱。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−31257(P2007−31257A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243392(P2005−243392)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(502383281)有限会社ソフィアプロダクト (10)
【Fターム(参考)】