説明

ガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットおよびそれを用いた成形方法

【課題】 引張強度、耐熱性、疲労強度、成形時の計量安定性に優れ、ひずみやボイドや
クラックが少なく、特に自動車エンジンルーム内の100℃を超える高温高湿度環境下で使用される部品において、機械的性質の低下が小さいガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットおよびそれを用いた成形方法を提供する。
【解決手段】 短繊維強化ポリアミドペレット(A)と長繊維強化ポリアミドペレット(B)を混合してなるガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットであって、混合ペレット中のガラス繊維の総量が40〜60質量%であり、短繊維強化ポリアミドペレット(A)、長繊維強化ポリアミドペレット(B)が以下の特徴を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引張強度、耐熱性、疲労強度、成形時の計量安定性に優れ、ひずみやボイドやクラックが少なく、特に自動車エンジンルーム内の100℃を超える高温高湿度環境下で使用される部品において、機械的性質の低下が小さいガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットおよびそれを用いた成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂は、その成形品が優れた機械的性質を有することから、金属代替材料として幅広く利用されている。ポリアミド成形品に高剛性、耐熱性を付与させる場合には、通常は繊維状強化材で強化したポリアミド樹脂組成物が用いられており、繊維状強化材としてガラス繊維を特定量配合させたポリアミド樹脂組成物が提案されている。
【0003】
しかしながら、長期にわたって多大な荷重のかかる機械部材としての使用においては、変形や成形品の破断が生じる。特に、ポリアミド樹脂は平衡状態において吸水し、吸水量に伴い機械物性が低下するという特性があり、実用上十分な性能を有していなかった。
【0004】
成形品の機械的性質を改善する方法として、連続した強化繊維を溶融樹脂に含浸させた長繊維強化樹脂ペレットが提供されているが、成形機への食い込みが悪く、エアーの巻き込みが多くなり、肉厚部にはボイドが発生しするばかりか、長い繊維長による応力(ひずみ)が発生し強度低下を引きこしやすくなる。そこで、同じように連続した強化繊維に樹脂を含浸させた長繊維強化ペレットの長短2種類のペレットをブレンドし、成形機への食い込みを改善する方法が提案されてる(特許文献1)。しかしながら、このような方法でも、成形機での樹脂ペレットの可塑化において、少なからず空気を巻き込みボイドを発生させ、さらに、長短2種類のどちらのペレットも連続した強化繊維に樹脂を含浸させた長繊維強化ペレットであるので、特に強化繊維の配合量が増えると樹脂と強化繊維との接着が不十分で、機械的性質が低下するという問題があった。
【0005】
また、自動車エンジンルーム内の100℃を超える高温高湿度環境のような過酷な条件下で使用される部品について、特許文献1に記載されるようなポリアミド樹脂組成物では機械的性質が低く金属部品に替えて用いることは難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−285323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、引張強度、耐熱性、疲労強度、成形時の計量安定性に優れ、ひずみやボイドやクラックが少なく、特に自動車エンジンルーム内の100℃を超える高温高湿度環境下で使用される部品において、機械的性質の低下が小さいガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットおよびそれを用いた成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂に多価カルボン酸または多価アミンを配合し、また、特定の繊維長を有するガラス繊維を配合した樹脂ペレットを混合し成形することで、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
【0010】
(1)短繊維強化ポリアミドペレット(A)と長繊維強化ポリアミドペレット(B)を混合してなるガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットであって、混合ペレット中のガラス繊維の総量が40〜60質量%であり、短繊維強化ポリアミドペレット(A)、長繊維強化ポリアミドペレット(B)が以下の特徴を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
(A): 短繊維強化ポリアミドペレット(A)がポリアミド樹脂(a)/ガラスチョップドストランド=40/60〜60/40(質量比)からなり、用いるポリアミド樹脂(a)が、ポリアミド樹脂100質量部に対し、1分子中に3個のグリシジル基を有するエポキシ化合物(c)0.1〜3質量部を配合したもの。
(B): 長繊維強化ポリアミドペレット(B)がポリアミド樹脂(b)/ガラスフィラメント=30/70〜60/40(質量比)からなり、ガラスフィラメントがペレットの長手方向と平行に配列している。
(2)短繊維強化ポリアミドペレット(A)、長繊維強化ポリアミドペレット(B)を(A)/(B)=30/70〜70/30(質量比)の配合比率で混合することを特徴とする(1)のガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
(3)エポキシ化合物(c)のエポキシ当量が180g/eq以下であり、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリフェノールメタントリグリシジルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種類とトリグリシジルイソシアヌレートを混合して用いることを特徴とする(1)または(2)のガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
(4)JIS K7199に従い、測定温度をポリアミド樹脂の融点+30℃とし、かつ、せん断速度1000s−1で測定したときの、ポリアミド樹脂(a)および(b)の溶融粘度ηaとηb(単位Pa・s)が、100≦ηa≦600、20≦ηb≦80であることを特徴とする(1)〜(3)のガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
(5)短繊維強化ポリアミドぺレット(A)のペレット長が1〜4mm、含有されるガラス繊維の直径が4〜11μmで平均繊維長/繊維径が15〜200であり、長繊維強化ポリアミドペレット(B)のペレット長が5〜20mm、含有されるガラス繊維の直径が11〜20μmであることを特徴とする(1)〜(4)のガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
(6)(1)〜(5)のガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを用いた成形方法。
(7)(1)〜(5)のガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを成形してなる平均肉厚5mm以上の成形体。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ポリアミド樹脂に1分子中に3個のグリシジル基を有する特定のエポキシ化合物を配合し、また、特定の繊維長を有するガラス繊維を配合した樹脂ペレットを2種類混合し成形することで、引張強度、耐熱性、疲労強度、成形時の計量安定性に優れ、ひずみやボイドやクラックが少なく、特に自動車エンジンルーム内の100℃を超える高温高湿度環境下で使用される部品において、機械的性質の低下が小さいガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットおよびそれを用いた成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のポリアミド樹脂組成物を成形して得られる成形体の一例であるエンジンマウントブラケットを模した成形体を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ポリアミド樹脂(a)および(b)として用いるポリアミド樹脂は主鎖中にアミド結合を有する重合体でよく、ポリε−カプラミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、ポリドデカナミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)およびこれらのうち少なくとも2種類の異なったポリアミド成分を含むポリアミド共重合体、あるいは、これらの混合物などである。
【0014】
ポリアミド樹脂(a)および(b)として用いるポリアミド樹脂の相対粘度には、特に制限はないが、96質量%濃硫酸を溶媒とし、温度25℃、濃度1g/dlの条件で測定した相対粘度が、1.5以上、3.5未満であることが好ましい。さらに好ましくは2.0以上3.5未満である。相対粘度が1.5未満であると、得られたポリアミド樹脂組成物の強度が低下する傾向がある。相対粘度が3.5を超えると溶融粘度が高くなり、加工適性が悪くなる傾向がある。
【0015】
ポリアミド樹脂(a)および(b)として用いるポリアミド樹脂は特定の溶融粘度を有することが好ましい。ポリアミド樹脂の溶融粘度は、JIS K7199に準じ、ポリアミド樹脂の融点よりも30℃高い温度で、せん断速度1000s−1のときの溶融粘度を測定し、融点はJIS K7121に準じ示差走査熱量計(DSC)により測定され、ポリアミド樹脂が異なる融点を有する混合物である場合は高いほうの融点を採用するものとする。
【0016】
長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)のポリアミド樹脂(a)に配合するエポキシ化合物(c)としては、1分子中にグリシジル基が3個であるエポキシ化合物を用いることが好ましい。エポキシ化合物(c)の1分子中のグリシジル基が2個以下であると、強度、靭性、耐久性の向上が乏しく本発明の効果が得られない。一方、4個以上であると、ポリアミド樹脂のゲル化が著しく操業性が悪化するため好ましくない。
【0017】
1分子中に3個のグリシジル基を有するエポキシ化合物とは、トリグリシジルイソシアヌレート、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリフェノールメタントリグリシジルエーテル等であり、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリフェノールメタントリグリシジルエーテルから選ばれる少なくとも1種類とトリグリシジルイソシアヌレートを混合して用いることが好ましい。エポキシ化合物(c)としてトリグリシジルイソシアヌレートを単独で用いる場合よりも上記のように混合して用いる方がポリアミド樹脂に柔軟性と耐熱性を付与することが可能である。
【0018】
トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリフェノールメタントリグリシジルエーテルから選ばれる少なくとも1種類とトリグリシジルイソシアヌレートを混合して用いる場合のエポキシ化合物のエポキシ当量は、各々のエポキシ化合物のエポキシ当量と配合量を算術的に平均して求められる平均エポキシ当量が180g/eq以下であることが好ましく、150g/eq以下であることがより好ましい。平均エポキシ当量が180g/eqを超えると、特に強度、耐久性の向上効果が乏しくなるため好ましくない。
【0019】
エポキシ化合物(c)の配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して0.1〜3質量部、特に0.2〜2質量部であることが望ましい。0.1質量部未満であると、耐熱性、疲労強度に向上がみられず、また3質量部を超えると、ポリアミドの溶融粘度が大幅に増大し溶融混錬時にせん断応力が大きく、ガラス繊維が折損してしまい機械物性が低下する傾向にあり、さらにはゲル化により溶融混錬が出来なくなる場合もある。
【0020】
ポリアミド樹脂(a)の前述の方法による溶融粘度ηa(単位Pa・s)は、100≦ηa≦600、特に130≦ηa≦400であることが望ましい。ηaが100未満の場合、成形品がもろく、特に5mm以上の肉厚部ではクラックが発生し成形品強度が低くなる。また、ηaが600を超える場合は溶融混錬時にせん断応力が大きく、ガラス繊維が折損してしまい機械物性が低下する傾向にある。
【0021】
短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)のガラス繊維とは公知のガラス繊維の製造方法により製造され、マトリックス樹脂との密着性、均一分散性の向上のためシランカップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニア系カップリング剤などのカップリング剤を少なくとも1種類及び皮膜形成剤などを含んだ配合する樹脂に適した公知の集束剤により集束され、集束されたガラス繊維ストランドを集めて一定の長さに切断したチョップドストランドの形態で使用される。また、ガラス繊維は、一般的に供給されるEガラス(Electrical glass)、Cガラス(Chemical glass)、Aガラス(Alkaliglass)、Sガラス(High strength glass)、及び耐アルカリガラス等のガラスを溶融紡糸して得られる繊維が用いられるが、ガラス繊維にできるものであればどのような組成でも使用可能で特に限定されるものではない。
【0022】
短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)のガラス繊維径としては、4〜11μmが好ましく、7〜10μmが更に好ましい。ガラス径が4μm未満では、溶融混錬する際に定量供給が困難であるばかりかウェルド部の強度低下となる傾向があり、ガラス径が11μmを超えると、補強効果が小さくなるため、問題である。
【0023】
短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)のガラス繊維長は1〜10mm、特に1.5〜6mmであることが好ましい。繊維長が1mm未満ではペレット中の残存繊維長が短く、成形品強度が低くなり、繊維長が10mmを超える場合は溶融混錬する際に定量供給が不安定となり、操業性が悪化する傾向にある。
【0024】
短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)を製造する方法としては特に限定されるものではないが、二軸押出混練機を用いて混練する方法が好適に用いられる。シリンダーの上流からポリアミドとエポキシ化合物(C)を供給し、下流側でガラス繊維をサイドフィードする工程が経済的にも好適である。
【0025】
ガラス繊維の配合量は短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)100質量%中、ガラス繊維が40〜60質量%であることが好ましい。配合量が40質量%未満では100℃を超える高温高湿度環境下において、その性能の低下が大きく、60質量%を超えるとガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造が困難である。
【0026】
短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)のペレット長は1〜4mmである必要が
ある。長さ1mm未満ではペレット(B)と分離しやすい問題が生じ、長さ4mmを超えると、成形時の計量安定性が改善されないという問題がある。カッティングに際しては公知のペレタイザを用いて行うことができる。ここで、ストランドの太さは、二軸押出混練機の機械の能力により選択することができるが、押出ヘッドのホール数と1ホールあたりのホール径によって決めることができる。本願発明においては、直径2〜6mmであることが好ましく、直径2mm未満では溶融混錬時のシリンダー内圧、せん断が大きく繊維が破損する傾向があり好ましくなく、直径6mmを越えると、成形加工において、樹脂ペレットの供給が難しくなり好ましくない。
【0027】
また、短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)に含まれるガラス繊維の平均繊維長/繊維径(以下、L/Dと称す)が15〜200、特に20〜100であることが望ましい。L/Dが15未満では、成形品の強度が低く、歪みが大きくなるため適当でなく、また200を超える場合は、溶融混錬が不十分である傾向があり、樹脂とガラス繊維の接着が悪く強度低下となる。
【0028】
長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)は、加熱溶融された熱可塑性樹脂が溜められた樹脂槽内に開繊した補強繊維としての連続したガラス繊維(ガラスロービング)を導入し、いわゆる含浸ローラでガラスロービングを挟みながら樹脂をガラスロービングに含浸させる。この際、ガラスロービングの搬送は、樹脂槽の下流に位置するフィードローラがガラスロービングを引っ張ることにより行われる。
【0029】
樹脂を含浸させた後、上記フィードローラによってガラスロービングはさらに下流に搬送され、ダイによって樹脂量を調整し断面形状を整えられた後に、カッターを有する切断装置に送り込まれる。そして、樹脂を含んだガラスロービングは切断装置のカッターによって切断され、長繊維樹脂ペレット(B)を製造する。
【0030】
ポリアミド樹脂(b)の前述の方法、すなわち、ポリアミド樹脂の融点よりも30℃高い温度で、せん断速度1000s−1のとき測定される溶融粘度ηb(単位Pa・s)は20≦ηb≦80、特に30≦ηb≦70であることが望ましい。ηbが20未満のものは、成形品がもろくなり、強度が低くなる。一方、80を超えるものは連続したガラス繊維に溶融樹脂を含侵が悪化し、強度が低くなるばかりか、ペレット化することも困難となる場合があり、問題である。
【0031】
本発明で使用されるガラスロービングとは、100〜200本のガラスフィラメント(単繊維)を集束したストランドを数10本合糸して円筒状に巻き取ったものであり、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)のガラス繊維径とは、ガラスロービングにより供給されるガラスフィラメント(単繊維)1本あたりのガラス繊維径を示す。
【0032】
長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)のガラス繊維径としては、11〜20μmが好ましく、13〜17μmが更に好ましい。ガラス径が11μm未満では、長繊維樹脂ペレットの製造に際してガラスロービングが破断しやすくなり製造が困難である。ガラス径が20μmを超えると、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)の製造はできるものの成形時に成形品の補強効果が小さく、100℃を超える高温高湿度環境下においてその性能の低下が大きい。
【0033】
長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)のカット長は5〜20mm、好ましくは10〜15mmが望ましい。カット長が5mm未満では100℃を超える高温高湿度環境下においてその性能の低下が大きく、20mmを超えると成形時の計量が安定しない。
【0034】
また、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)に含まれるガラス繊維の長さは、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)の長手方向に並行してガラス繊維が配列した場合は、実質、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)に含まれるガラス繊維の繊維長は、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)のカット長と等しくなり、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)の長手方向に対して、斜めに配列した場合は、長繊維強化ポリア
ミド樹脂ペレット(B)に含まれるガラス繊維の繊維長は、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)よりも長くなる。
【0035】
長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット100質量%中、ガラス長繊維配合量は40〜70質量%、好ましくは45〜65質量%が望ましい。ガラス長繊維配合量が40質量%未満では、100℃を超える高温高湿度環境下においてその性能の低下が大きく、70質量%を超えると長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)の製造が困難である。
【0036】
短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)および長繊維機強化ポリアミド樹脂ペレット(B)の製造に当たっては、その特性を大きく損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、着色防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤、離型剤等を添加してもよい。
【0037】
熱安定剤や酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
本願発明において、短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)と長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)は、混合して用いることで、引張強度、耐熱性、疲労強度、成形時の計量安定性に優れ、ひずみやボイドやクラックが少ない、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形品を得ることができる。混合の方法は、通常のブレンド法であり、計量した短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)、計量した長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)を、タンブラー等、所定の混合攪拌機の中に仕込み、攪拌することで得られる。このような混合はドライブレンドと呼ばれ、最も好ましい混合形態である。
【0039】
この際、短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)を溶融混練し混合してしまうことは、短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)の、それぞれの樹脂ペレットの特性を消失してしまうことになり好ましくない。成形品を成形加工するための成形加工機に、
樹脂ペレットを投入する際に、短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)、長繊維強化
ポリアミド樹脂ペレット(B)がドライブレンドされた状態で投入されることが、引張強度、耐熱性、疲労強度、成形時の計量安定性に優れ、ひずみやボイドやクラックが少ない、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形品を得る上で最も好ましい混合形態である。特に、射出成形、吹き込み成形等、バッチ式で成形加工する加工形態では、このような混合を用いることができる。また、押出成形等、連続で成形加工する場合で、2系統以上の樹脂供給装置を有する場合は、それぞれの樹脂供給装置に短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)を別々に仕込み、樹脂供給装置の計量によって、成形加工機に所定の配合比で樹脂ペレットの供給が行われ、連続的に成形加工することができる。
【0040】
短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)の配合量は、(A)/(B)=30/70〜70/30質量%であることが好ましく、(A)/(B)=35/65〜65/35質量%であることがより好ましく、(A)/(B)=45/55〜55/45質量%であることが最も好ましい。短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)が30質量%未満では成形時の計量が安定せず、70質量%を超えると100℃を超える高温高湿度環境下においてその性能の低下が大きい。長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)が30質量%未満では100℃を超える高温高湿度環境下においてその性能の低下が大きく、70質量%を超えると成形時の計量が安定しない。
【0041】
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形品は、通常の成形加工方法で加工することができ、例えば射出成形、押出成形、吹き込み成形等の熱溶融成形法によって各種の成形品にしたり、有機溶媒溶液からの流延法により薄膜とすることができる。
【0042】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、特に厚肉で成形する際の計量安定性に優れ、また得られた成形体の剛性、耐熱性が高いために、特に平均肉厚5mm以上の成形体で好適に用いることができる。
【0043】
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを用いた成形品の成形では、その特性が損なわれない範囲で、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の有機金属塩を配合することができる。
【0044】
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形品の用途は特に限定されないが、100℃を超える高温高湿度環境下で使用される部品、例えば、自動車用部品、電気部品、家庭用品に適している。自動車用部品としては具体的にはエンジン周りで使用される部品があり、特にシリンダーヘッドカバー、エンジンマウント、エアインテークマニホールド、スロットルボディ、エアインテークパイプ、ラジエータタンク、ラジエータサポート、ウォーターポンプレンレット、ウォーターポンプアウトレット、サーモスタットハウジング、クーリングファン、ファンシュラウド、オイルパン、オイルフィルターハウジング、オイルフィルターキャップ、オイルレベルゲージ、タイミングベルトカバー、エンジンカバー、トルクロッド等に好適に用いられる。
【実施例】
【0045】
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。なお、実施例および比較例に用いた原料および物性測定方法は次の通りである。
【0046】
1.測定方法
【0047】
(1)ポリアミド樹脂の溶融粘度
JIS K7199に準拠し測定した。オリフィス径は1mm、融点+30度℃に加熱したシリンダーに樹脂ペレットを入れ、3分間予熱した後、剪断速度1000s−1で測定を行った。
【0048】
(2)引張強さA
ISO527−1 527−2に準拠し厚み4mmの試験片を作成し測定した。210MPa以上、特に230MPa以上であることが好ましい。
【0049】
(3)引張強さB
ISO527−1 527−2に準拠し厚み4mmの試験片を作成し、23℃×50%RHでの平衡吸水率まで吸水させた後、100℃空気中で測定した。120MPa以上、特に130MPa以上であることが好ましい。
【0050】
(4)引張強さC
ISO527−1 527−2に準拠し厚み10mmの試験片を作成し測定した。160MPa以上、特に180MPa以上であることが好ましい。試験片内部にボイドまたはクラックがある場合は、強度が低くなる。
【0051】
(5)引張強さD
図1に示すようなエンジンマウントブラケットを模した円筒状上部に台座部が接合された形状を有する幅40mmの成形体を射出成形により得た。円筒状上部は外径100mm、内径80mm、厚み10mmであり、台座部は厚み10mmでボルト固定用穴2つを有する。ボルト2本を用いて成形体台座部を引張試験機に固定し、成形体円筒状上部に外径50mmの金属棒を通し、金属棒両端を支持、20mm/分で上方に引張り、成形体が破壊するときの強度を測定した。破壊強度は28kN以上、特に30kN以上であることが好ましい。
【0052】
(6)疲労強度
JIS K7118 に準じて、片振り引張疲れ限度(10回までに破壊しない応力の上限値)を23℃×50%RHでの平衡吸水率まで吸水させた状態で、100℃空気中、繰り返し速度1800rpmの条件で測定した。70MPa以上、特に80MPa以上であることが好ましい。
【0053】
(7)反り量
厚み1.6mmtの直径100mmの円板をサイドゲートにより射出成形し、23℃、絶乾状態で24時間放置後、水平盤に円板を静置させ、以下の4点の水平盤からの距離を測定した。反り量は、下式によって求めた。
基準点 a,b:水平盤に接地している2点
反り点 c,d:ソリが大きい2点
反り量 =(c+d)/2−(a+b)/2
上記方法により求められる反り量は、実質的には3mm以下、特に2mm以下であることが好ましい。
【0054】
(8)計量安定性
上記、引張強さ測定用試験片を射出成形機(ファナック社製 S−2000i 100
B スクリュー径φ28)で成形し、100ショット分の計量時間のばらつきを測定した。計量時間のばらつきが2秒以内、特に1秒以内であることが好ましい。
【0055】
2.原料
【0056】
(A)ポリアミド樹脂
・PA−1:ナイロン6(ユニチカ社製A1015)、融点220℃、溶融粘度40Pa・s
・PA−2:ナイロン6(ユニチカ社製A1030BRL)、融点220℃、溶融粘度100Pa・s
・PA−3:ナイロン66(ユニチカ社製E2001R)、融点260℃、溶融粘度40Pa・s
・PA−4:ナイロン66(ユニチカ社製A125)、融点260℃、溶融粘度80Pa・s
・PA−5:ナイロン6(ユニチカ社製A1030BRF)、融点220℃、溶融粘度200Pa・s
【0057】
(B)短繊維ガラス繊維(チョップドストランド)
・GF−1:チョップドストランド(日東紡社製CS3DE459)、ガラス繊維径7μm、繊維長3mm
・GF−2:チョップドストランド(日東紡社製CS3H459)、ガラス繊維径10μm、繊維長3mm
【0058】
(C)長繊維ガラス繊維(ガラスロービング)
・LGF−1:ガラスロービング(ガラス繊維径5μm)
・LGF−2:ガラスロービング(ガラス繊維径13μm)
・LGF−3:ガラスロービング(ガラス繊維径17μm)
・LGF−4:ガラスロービング(ガラス繊維径25μm)
【0059】
(D)1分子にグリシジル基を3個有するエポキシ化合物
・TEPIC−S:トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学社製TEPIC−S)、
エポキシ当量105g/eq
・SR−TMP:トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製SR−TMP)、エポキシ当量137g/eq
【0060】
(E)1分子にグリシジル基を2個有するエポキシ化合物
・SR−2EG:ジエチレングリコールグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製SR−2EG)、エポキシ当量149g/eq
【0061】
(F)1分子にグリシジル基を4個有するエポキシ化合物
・EX−614B:ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製EX−614B) エポキシ当量173g/eq
【0062】
[ポリアミド樹脂(a)の作成]
表1に記載のポリアミド樹脂とエポキシ化合物の配合に従い、ポリアミド樹脂PAX−1〜PAX−7の作成を行った。
【0063】
【表1】

【0064】
[短繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(A)の作成]
【0065】
製造例1
表1に記載のポリアミド樹脂とエポキシ化合物の配合に従い、ポリアミド樹脂PA−2、100質量部とトリグリシジルイソシアヌレート1質量部とトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル1質量部をブレンドし、クボタ社製連続定量供給装置を用いて、同方向二軸押出機(東芝機械製TEM37BS)の主供給口に供給し、溶融混練を行い
PAX−1の作成を行うとともに、途中、同方向二軸押出機中間部の位置より、サイドフィーダーにて短繊維ガラス繊維GF−1、55質量%を供給し、ダイスから樹脂組成物をストランド状に引き取った後、水槽を通して冷却固化し、ペレタイザーでカッティングして短繊維強化ポリアミド樹脂ペレットPAG−1を得た。押出条件は温度設定270〜290℃で、スクリュー回転数250rpm、吐出量35kg/h、ダイスから出た樹脂組成物の樹脂温度270℃であった。その結果を表2にまとめて示す。
【0066】
【表2】

【0067】
製造例2〜製造例10
製造例1と同様にして、表1に記載のポリアミド樹脂とエポキシ化合物の配合に従い、短繊維強化ポリアミド樹脂ペレットPAG−2〜PAG−8の作成を行った。その結果を表2にまとめて示す。
【0068】
製造例6では、ポリアミド樹脂とエポキシ化合物の配合において、用いる1分子にグリシジル基を3個有するエポキシ化合物の配合が、所定よりも多かったために、樹脂組成物がゲル化してしまい、短繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを採取することができなかった。
【0069】
製造例7では、配合する短繊維ガラス繊維の配合量が、所定よりも多かったために、ストランドの引取りができず、短繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを採取することができなかった。
【0070】
製造例8では、リアミド樹脂とエポキシ化合物の配合において、用いる1分子にグリシジル基を4個有するエポキシ化合物を配合したために、樹脂組成物がゲル化してしまい、短繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを採取することができなかった。
【0071】
[長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット(B)の作成]
【0072】
製造例11
同方向二軸押出機で溶融したポリアミド樹脂PA−1を樹脂槽内で溶融状態を保ったまま加温し、一方で、ガラス長繊維径13μm、単繊維数800本からなるガラスロービングLGF−2を溶融樹脂中に通過させ、含浸ローラでガラスロービングを挟みながら溶融
樹脂をガラスロービングに含浸させたのち、樹脂槽の下流に位置するフィードローラーにてストランドとして引き取り、水槽を通して冷却固化し、それをペレタイザーでペレット長が7mmになるようにカッターの回転数を調整して長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットLFP−1を得た。ここで含浸、および引取条件を調整し、ポリアミド樹脂PA−1が40質量%、ガラスロービングLGF−2が60質量%の配合となるように設定した。その他、押出条件は温度設定270〜290℃で、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/h、ダイスから出た樹脂組成物の樹脂温度は265℃であった。その結果を表3にまとめて示す。
【0073】
【表3】

【0074】
製造例12〜製造例18
製造例11と同様にして、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットLFP−2〜LFP−8の作成を行った。その結果を表3にまとめて示す。
【0075】
製造例17では、ガラス繊維の径が小さくガラスロービングが破断してしまうために、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを採取することができなかった。
【0076】
実施例1
製造例1で得られた短繊維強化ポリアミド樹脂ペレットPAG−1を35質量%、製造例8で得られた長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットLFP−2を65質量%の割合でブレンドし、射出成形機(ファナック社製 S−2000i 100B)を用いてシリンダー温度280℃、金型温度100℃の条件で射出成形して物性測定試験片、および、形状1を作成し、各種評価試験を行った。その結果を表4に示す。
【0077】
【表4】

【0078】
実施例2〜9
表4に記載の配合に従い、実施例1と同様にして試験片、および、形状1を作成し、各種評価試験を行った。その結果を表4にまとめて示す。
【0079】
比較例1〜7
表5に記載の配合に従い、実施例1と同様にして試験片、および、形状1を作成し、各種評価試験を行った。その結果を表5にまとめて示す。
【0080】
【表5】

【0081】
実施例1〜9は、本願で規定する処方でガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの作成を行ったため、引張強度、耐熱性、疲労強度、成形時の計量安定性に優れ、ひずみやボイドやクラックのない成形体を得ることができた。また、該成形体は、吸水時の引張強度にも優れていた。
【0082】
比較例1は、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを混合して成形体の成形を行わなかったために、疲労強度が小さく、得られた成形品の反り量も多かった。
【0083】
比較例2は、短繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを混合して成形体の成形を行わなかったために、射出成形時の計量安定性が悪く、引張強さCが低くボイドやクラックが多かった。
【0084】
比較例3および4は、短繊維強化ポリアミド樹脂ペレットとして、1分子にグリシジル基を3個有するエポキシ化合物を配合したポリアミド樹脂を用いなかったために、疲労強度が小さくなった。
【0085】
比較例5は、短繊維強化ポリアミド樹脂ペレットに配合したガラス繊維量が所定よりも少なかったため、強度が低く、またボイドやクラックが多かった。
【0086】
比較例6は、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットに配合したガラス繊維量が所定よりも少なかったために、強度が低く、反りが大きいものとなった。
【0087】
比較例7は、混合ペレット中のガラス繊維の総量が所定よりも少なかったために、強度が低いものとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短繊維強化ポリアミドペレット(A)と長繊維強化ポリアミドペレット(B)を混合してなるガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットであって、混合ペレット中のガラス繊維の総量が40〜60質量%であり、短繊維強化ポリアミドペレット(A)、長繊維強化ポリアミドペレット(B)が以下の特徴を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
(A): 短繊維強化ポリアミドペレット(A)がポリアミド樹脂(a)/ガラスチョップドストランド=40/60〜60/40(質量比)からなり、用いるポリアミド樹脂(a)が、ポリアミド樹脂100質量部に対し、エポキシ化合物(c)0.1〜3質量部を配合したもの。
(B): 長繊維強化ポリアミドペレット(B)がポリアミド樹脂(b)/ガラスフィラメント=30/70〜60/40(質量比)からなり、ガラスフィラメントがペレットの長手方向と平行に配列している。
【請求項2】
短繊維強化ポリアミドペレット(A)、長繊維強化ポリアミドペレット(B)を(A)/(B)=30/70〜70/30(質量比)の配合比率で混合することを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
【請求項3】
エポキシ化合物(c)が、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリフェノールメタントリグリシジルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種類とトリグリシジルイソシアヌレートを混合してなるエポキシ化合物であり、平均エポキシ当量が180g/eq以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
【請求項4】
JIS K7199に従い、測定温度をポリアミド樹脂の融点+30℃とし、かつ、せん断速度1000s−1で測定したときの、ポリアミド樹脂(a)および(b)の溶融粘度ηaとηb(単位Pa・s)が、100≦ηa≦600、20≦ηb≦80であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
【請求項5】
短繊維強化ポリアミドぺレット(A)のペレット長が1〜4mm、含有されるガラス繊維の直径が4〜11μmで平均繊維長/繊維径が15〜200であり、長繊維強化ポリアミドペレット(B)のペレット長が5〜20mm、含有されるガラス繊維の直径が11〜20μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを用いた成形方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを成形してなる平均肉厚5mm以上の成形体。



【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−189637(P2010−189637A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14874(P2010−14874)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】