キトサンまたはヒアルロン酸−ポリ(エチレンオキサイド)及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリ(エチレンオキサイド)を基底にするハイドロゲルとその製造方法
本発明は、キトサンまたはヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲルとハイドロゲル形態のマイクロビーズ、これを用いた生理活性物質伝達体と組織再生誘導用支持体及びその製造方法に関するものである。本発明は、アクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋されたキトサン誘導体がチオール(thiol)作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、アクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋されたヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及び(メタ)アクリレート作用基を有する物質と架橋されたキトサン誘導体及び(メタ)アクリレート作用基を有する物質と架橋されたヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズを提供する。上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルに生理活性物質を化学的に結合させて製造した組織再生用ハイドロゲル及びこれに物理的に担持させた生理活性物質伝達体を提供する。また、上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ハイドロゲルマイクロビーズ及び生理活性物質伝達体の製造方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キトサンまたはヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、これらを用いた生理活性物質伝達体、組織再生誘導用支持体、及びその製造方法に関し、より詳しくは、アクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋されたキトサン誘導体がチオール作用基を有する物質との共有結合により形成されるキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、アクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋されたヒアルロン酸誘導体とチオール作用基を有する物質との共有結合により形成されるヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及び(メタ)アクリレート作用基を有する物質と架橋されたヒアルロン酸誘導体及び(メタ)アクリレート作用基を有する物質と架橋されたキトサン誘導体とチオール作用基を有する物質との共有結合により形成されるキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルに関する。本発明はまた、生理活性物質を担持させた生理活性物質伝達体、及び、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルへの細胞付着とハイドロゲル分解能を提供する組織再生誘導用支持体に関するものである。本発明はさらに、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及び生理活性物質伝達体を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キトサン(chitosan)は、甲殻類の殻に存在するキチン(chitin)を高温、強アルカリで処理して脱アセチル化させた分子内のアミノ基を有する天然高分子物質であり、ヒアルロン酸は、人体あるいは微生物から製造され、分子内の遊離カルボキシル酸基が存在する天然高分子であるので、化学、医学、及び食品産業分野などに多様に用いられている。キトサンを用いた研究は、主に組織再生のための支持体製造に対するものであった。“キトサンにより表面コーティングされた組織再生用生分解性高分子製剤及びその製造方法”、“キトサン−ヒアルロン酸からなるイオン性複合支持体”、“生体吸収性神経導管及びその製造方法”、“軟骨細胞に特異的に付着するオリゴペプチド、細胞外基質を含む人工臓器製造用生分解性高分子基質及びその製造方法”などが報告されている。また、ヒアルロン酸は、“成長因子の徐放性伝達のための温度敏感性、分解性ヒアルロン酸/プルロン酸コンポジットハイドロゲル”、“架橋結合ヒアルロン酸ハイドロゲル”、“ヒアルロン酸/type2コラーゲンハイドロゲル”、“軟骨再生用キトサン−ヒアルロン酸ハイブリッド支持体合成”などのような研究が報告されている。
【0003】
医学分野では、薬物あるいは細胞伝達担体(drug or cell delivery carriers)と人工皮膚、人工軟骨、人工骨のような人体組織再生に必要とされる支持体(scaffolds for tissue engineering)、及び医薬、環境、化粧品産業など、全産業分野で用途が非常に多様なハイドロゲルに対する研究が相当に進行されたことにもかかわらず、ハイドロゲルの機械的性質と合成時間調節、及びハイドロゲルに固定された生理活性物質の収率、活性、及び効率の高いハイドロゲルの開発に対する要求が続けてある実情である。
【0004】
かかる背景の下で、本発明者は、ヒアルロン酸−アクリレート、アクリレート、またはメタアクリレートを有する物質と架橋されたキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びマイクロビーズ形態のハイドロゲルを製造した。本発明者はさらに、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを用いて、ペプチド、タンパク質、細胞などの生理活性物質を効果的に担持し、またはそのような生理活性物質の有効な化学結合を誘導することができ、このことにより、生理活性物質の残存収率と活性を改良しうることを見いだして、本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、アクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたキトサン−キトサン誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、アクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸−ヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、アクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたキトサン−ヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルをマイクロビーズの形態で提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルに細胞付着誘導及び癒着防止、あるいはハイドロゲルの分解が可能であって、組織再生環境組成を容易にすることができる組織再生誘導型支持体の提供と生理活性物質を担持させた生理活性物質伝達体を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、及び(d)上記キトサン誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、及び(d)上記ヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供することにある。
【0012】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、及び(d)上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供することにある。
【0013】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(d)上記キトサン誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と混合溶液を製造する段階、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、及び(f)分散されたキトサンとポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含むキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供することにある。
【0014】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(d)上記ヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と混合溶液を製造する段階、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、及び(f)分散されたヒアルロン酸とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含むヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供することにある。
【0015】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(d)上記ヒアルロン酸誘導体とキトサン誘導体混合物をチオール作用基を有する物質と混合溶液を製造する段階、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、及び(f)分散されたヒアルロン酸誘導体とキトサン誘導体及びポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含むヒアルロン酸−キトサン−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供することにある。
【0016】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(d)生理活性物質を上記キトサン誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(e)薬物を担持したままで上記キトサン誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含む生理活性物質伝達体または組織再生誘導用支持体を製造する方法を提供することにある。
【0017】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(d)生理活性物質を上記ヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(e)薬物を担持したままで上記ヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含む生理活性物質伝達体または組織再生誘導用支持体を製造する方法を提供することにある。
【0018】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(d)生理活性物質を上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(e)薬物を担持したままで上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含む生理活性物質伝達体または組織再生誘導用支持体を製造する方法を提供することにある。
【0019】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(d)生理活性物質を上記キトサン誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、及び(f)分散されたヒアルロン酸誘導体及びポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含む生理活性物質伝達体または組織再生誘導用支持体を製造する方法を提供することにある。
【0020】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(d)生理活性物質を上記ヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、及び(f)分散されたヒアルロン酸誘導体とヒアルロン酸誘導体及びポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含む生理活性物質伝達体または組織再生誘導用支持体を製造する方法を提供することにある。
【0021】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(d)生理活性物質を上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、(e)生理活性物質を担持したままで上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と混合する段階、(f)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、及び(g)分散されたヒアルロン酸誘導体とヒアルロン酸誘導体及びポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含む生理活性物質伝達体または組織再生誘導用支持体を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前述した目的を達成するために、本発明によるキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びその製造方法は、次のような特徴を有する。
【0023】
本発明の第1の目的によると、アクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサン誘導体及びメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサン誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを提供する。
【0024】
本発明の第2の目的によると、アクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸誘導体、及びメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを提供する。
【0025】
本発明の第3の目的によると、アクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサン誘導体とアクリレート、またはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを提供する。
【0026】
本発明の第4の目的によると、上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルをマイクロビーズの形態で提供する。
【0027】
本発明の第5の目的によると、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルに生理活性物質を担持させた生理活性物質伝達体を提供する。
【0028】
本発明の第6の目的によると、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドの構成成分であるハイドロゲル、及びマイクロビーズに生理活性物質が化学的及び物理的に結合された組織再生誘導用支持体を提供する。
【0029】
本発明の第7の目的によると、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(d)上記キトサンアクリレート誘導体あるいはキトサンメタアクリレート誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階とを含むことを特徴とするキトサンアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、キトサンメタアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供する。
【0030】
本発明の第8の目的によると、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン−アクリレート誘導体を製造する段階と、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン−メタアクリレート誘導体を製造する段階と、(d)上記キトサン−アクリレートあるいはキトサン−メタアクリレート誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と混合する段階と、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、(f)分散されたキトサン誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階とを含むことを特徴とするキトサンアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズ、キトサンメタアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズ、及びキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供する。
【0031】
本発明の第9の目的によると、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(d)上記キトサン誘導体の混合物あるいはチオール作用基を有する物質混合溶液に生理活性物質を含んで混合する段階と、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記の生理活性物質が混合された溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、(f)分散されたキトサン誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階とを含むことを特徴とする生理活性物質が含まれたキトサン−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供する。
【0032】
本発明の第10の目的によると、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)水溶液中のヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−アクリレート誘導体を製造する段階と、(c)上記ヒアルロン酸−アクリレート誘導体をチオール作用基を有するポリエチレンオキサイドと共有結合させる段階とを含むことを特徴とするヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供する。
【0033】
本発明の第11の目的によると、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)アジピン酸ジアミド水溶液を製造する段階と、(c)アジピン酸ジヒドラジドとtert−ブチル基を有するdi-tert-butyldicarbonateを化学結合させる段階と、(d)アジピン酸ヒドラジドブチルカルボネート(butylcarbonate)が結合されたアジピン酸ヒドラジドブチルカルボネートを分離する段階と、(e)アジピン酸ヒドラジドブチルカルボネートとヒアルロン酸と反応させてヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドブチルカルボネートを製造する段階と、(f)ヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドブチルカルボネートとヒアルロン酸を化学的に反応させてヒアルロン酸−アジピン酸−ブチルカルボネートを製造する段階と、(g)ヒアルロン酸−アジピン酸−ブチルカルボネートから末端のブチルグループを除去してヒアルロン酸−アジピン酸を製造し分離する段階と、(h)ヒアルロン酸−アジピン酸とアクリル酸と化学的に結合させてヒアルロン酸−アジピン酸−アクリレート(ヒアルロン酸−アクリレート)を製造する段階と、(i)未反応のアクリル酸を除去してヒアルロン酸−アクリレートを分離する段階とを含むヒアルロン酸−アクリレートを製造する方法を含む。
【0034】
本発明の第12の目的によると、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、(d)上記ヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階とを含むことを特徴とするヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供する。
【0035】
本発明の第13の目的によると、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、(d)上記ヒアルロン酸誘導体混合物をチオール作用基を有する物質と混合する段階と、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、(f)分散されたヒアルロン酸誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階とを含むことを特徴とするヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供する。
【0036】
本発明の第14の目的によると、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−アクリレート誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−メタアクリレート誘導体を製造する段階と、(d)上記ヒアルロン酸−アクリレートあるいはヒアルロン酸−メタアクリレート誘導体混合物あるいはチオール作用基を有するポリエチレンオキサイド混合溶液に生理活性物質を含んで混合する段階と、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記の生理活性物質が混合された溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、(f)分散されたヒアルロン酸誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階とを含むことを特徴とする生理活性物質が含まれたヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズあるいはヒアルロン酸メタアクリレートポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供する。
【0037】
本発明の第15の目的によると、(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を各々製造する段階と、(b)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、(d)上記キトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階とを含むことを特徴とするキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供する。
【0038】
本発明の第16の目的によると、前述した(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、(b)キトサンをアクリレートあるいはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をアクリレートあるいはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(d)上記キトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体の混合溶液をチオール作用基を有する物質溶液と混合させる段階と、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記の混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、(f)分散されたキトサン誘導体、ヒアルロン酸誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階とを含むことを特徴とするキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供する。
【0039】
本発明の第17の目的によると、前述した(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、(d)生理活性物質を上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階と、(e)生理活性物質を担持したままで上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階とを含むことを特徴とする生理活性物質伝達体を製造する方法を提供する。
【0040】
本発明の第18の目的によると、前述した(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)キトサンをアクリレートあるいはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサンアクリレート及びキトサンメタアクリレート誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をアクリレートあるいはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸アクリレートあるいはヒアルロン酸メタアクリレート誘導体を製造する段階と、(d)生理活性物質を上記キトサンアクリレートあるいはキトサンメタアクリレート誘導体溶液、ヒアルロン酸アクリレートあるいはヒアルロン酸メタアクリレート誘導体溶液、またはチオール作用基を有するポリエチレンオキサイド溶液に含める段階と、(e)生理活性物質を担持したままで上記キトサンアクリレートあるいはキトサンメタアクリレート誘導体とヒアルロン酸アクリレートあるいはヒアルロン酸メタアクリレート誘導体の混合溶液をチオール作用基を有するポリエチレンオキサイド溶液と混合させる段階と、疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記の生理活性物質が混合された溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、(f)分散された生理活性物質が含まれたキトサンアクリレートあるいはキトサンメタアクリレート誘導体、ヒアルロン酸アクリレートあるいはヒアルロン酸メタアクリレート誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階とを含むことを特徴とする生理活性物質が含まれたキトサンアクリレート−ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズ、あるいはキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズ、あるいはキトサンメタアクリレート−ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズ、あるいはキトサンメタアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0041】
本発明により薬物/細胞が含まれたハイドロゲルをキトサン−ヒアルロン酸の割合に従い開発して組織工学用人工臓器再生、火傷治療、あるいは美容のためのドレッシング剤、あるいは薬物伝達体として使用すると、薬物の効率的な伝達とハイドロゲルの生分解に従う組織再生促進を誘導することができる。例えば、キトサン−アクリレートとヒアルロン酸−メタアクリレート混合溶液とチオールグループを有するポリエチレンオキサイド溶液を混合−噴射させながら、瞬間的、そしてハイドロゲルの形成時間が調節されながら火傷口部位や傷口部位を治療することができる。更に他の例として、ポリエチレンオキサイド溶液に細胞を混合させた後、キトサン−アクリレート、キトサン−メタアクリレート、これらの混合溶液及びキトサン−アクリレート、ヒアルロン酸−メタアクリレート、及びこれらの混合溶液と共に混合して注射器で溶液を噴射させることができる。このようなハイドロゲルは、キトサンとヒアルロン酸の各々の特性を極大化すると共に、メタアクリレートとアクリレートの割合の調節に従い、希望する時間内に多様な物理的特性を有するハイドロゲルに変形可能に誘導させることができる。このようなハイドロゲルは、複雑な形態の傷口部位組織を復旧させることができる組織再生誘導用ハイドロゲル支持体に応用することができる。また、細胞の代りに生理活性物質を含めて組織再生あるいは傷口治癒可能な薬物担体のハイドロゲルとして使用可能である。2つの溶液を単純に混合することで、定まった時間にハイドロゲルが形成されるので、各々異なる容器に溶液を入れて噴射(spray)形態で2つの溶液を混合して傷口部位治療方法に応用可能である。製造されたハイドロゲルは、生体的な合成が優れるので成形用フィラー(filler)への適用も可能である。一方、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル合成を進行する際、ポリエチレンオキサイドの混合割合を増加させることによって、手術後の組織の細胞癒着を防止する細胞/組織癒着防止剤(tissue adhesion barriers)として適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明を説明するに当たり、関連した公知構成または機能に対する具体的な説明が当業者に自明であったり、本発明の要旨を曖昧にすることができると判断される場合は、その詳細な説明は省略する。
【0043】
1つの様態として、本発明は、アクリレートを有する物質と架橋結合されたキトサン誘導体、及びメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたキトサン誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズと、アクリレートを有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸誘導体及びメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズと、アクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたキトサン誘導体及びアクリレート、またはメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズに関するものである。
【0044】
本発明の用語の“ハイドロゲル”は、十分な量の水分を含んでいる親水性高分子の3次元的な構造を意味する。本発明の目的上、ハイドロゲルは、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルである。水溶性キトサンまたはヒアルロン酸とアクリレート、またはメタアクリレートグループを有する分子を化学的に結合させてキトサン−アクリレートとキトサン−メタアクリレート、ヒアルロン酸−アクリレートとヒアルロン酸−メタアクリレート化合物を一次合成した後、キトサン−アクリレート及びキトサン−メタアクリレート混合物のアクリルまたはメタアクリルグループとチオール作用基を有するポリエチレンオキサイド、ヒアルロン酸−アクリレート及びヒアルロン酸−メタアクリレート混合物のアクリル、またはメタアクリルグループとチオール作用基を有するポリエチレンオキサイド、及びキトサン−アクリレート及びヒアルロン酸−メタアクリレート混合物のアクリル、またはメタアクリルグループとチオール作用基を有するポリエチレンオキサイドを結合させてハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズを合成した。
【0045】
本発明の用語の“ハイドロゲルビーズ”は、上記のハイドロゲルの特性を有し、その形態がマイクロサイズのビーズで製造されることを意味する。製造方法によってマイクロ及びサブマイクロ(sub-micro)サイズに調節できることを表す。
【0046】
本発明で使われるキトサンは、脱アセチル化したキトサンであって、好ましくは、60%以上脱アセチル化した水溶性キトサン、より好ましくは約85%脱アセチル化した水溶性キトサンである。また、1乃至1,000KDaのサイズを有するキトサンであり、より好ましくは5KDa乃至200KDaのサイズを有するキトサンである。キトサンは、生体親和性が優れて、抗原性が低いし、生体内で分解されて人体外へ除去される特徴を有するので、医療用材料に好ましい。
【0047】
本発明のハイドロゲル及びマイクロビーズの製造に使われるキトサンは、キトサンのアミン作用基がアクリレートまたはメタアクリレートのカルボキシル酸作用基と架橋結合されて、アクリレートまたはメタアクリレートを含有するキトサン誘導体である。本発明の好ましい実施形態に従うキトサン−メタアクリレート及びキトサン−アクリレート化合物の化学反応式は、図1及び2の通りである。
【0048】
本発明で使われるヒアルロン酸は、好ましくは水溶性ヒアルロン酸である。また、1乃至3,000KDaのサイズを有するヒアルロン酸であり、より好ましくは5KDa乃至500KDaのサイズを有するヒアルロン酸である。ヒアルロン酸は、生体親和性が優れて、抗原性が低いし、生体内で分解されて人体外へ除去される特徴を有するので、医療用材料に好ましい。
【0049】
本発明のハイドロゲル及びマイクロビーズの製造に使われるヒアルロン酸は、ヒアルロン酸のカルボキシ酸作用基がアクリレートまたはメタアクリレートのアミン作用基と架橋結合されて、アクリレートまたはメタアクリレートを含有するヒアルロン酸誘導体である。本発明の好ましい様態に従うヒアルロン酸−メタアクリレート、tert−ブチル基により保護されたヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドtert−ブチルヒドラジドとアルロン酸−アクリレート化合物の化学反応式は、各々図3、4及び5の通りである。
【0050】
本発明の具体的な様態であって、ハイドロゲルの製造のためのキトサン誘導体として、メタアクリル酸をキトサンと結合させてキトサン−アミノアクリレートで合成したし、2−カルボキシエチルアクリレートをキトサンと結合させてキトサン−2−カルボエチルアクリレートで合成した。
【0051】
本発明の具体的な様態であって、ハイドロゲル製造のためのヒアルロン酸誘導体として、アミノプロピルメタアクリレートをヒアルロン酸科結合させてヒアルロン−アミノプロピルメタアクリレートで合成及びモノ−tert−ブチルヒドラジドアジピン酸ヒドラジドアクリレートをヒアルロン酸と結合させてヒアルロン酸−ヒドラジドアジピン酸ヒドラジドアクリレートで合成した。
【0052】
キトサンと架橋結合できるアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質には、アクリル酸(acrylic acid)、メタアクリル酸(methacrylic acid)、アクリルアミド(acrylamide)、メタアクリルアミド(methacrylamide)アルキル−(メタ)アクリルアミド[alkyl−(meth)acrylamide]、モノ−tert−ブチルヒドラジドアジピン酸ヒドラジドアクリレート[(mono-tert-Butyl hydrazide adipic acid hydrazide acrylate)]。N−モノ−(メタ)アクリルアミド(N-mono-(meth)acrylamide)、N、N−di−C1−C4−(メタ)アクリルアミド(N、N-di-C1-C4alkyl-(meth)acrylamide)、N−ブチル(メタ)アクリレート(N-butyl(meth)acrylate)、メチル(メタ)アクリレート[methyl(meth)acrylate]、エチル(メタ)アクリレート[ethyl(meth)acrylate]、イソボルニル(メタ)アクリレート[isobornyl(meth)acrylate]、シクロヘキシル(メタ)アクリレート[cyclohexyl(meth)acrylate]、ハイドロエチルアクリレート(hydroxyethyl acrylate)、ヒドロキシエチルメタアクリレート(hydroxyethyl methacrylate)、ハイドロプロピルアクリレート(hydroxypropyl acrylate)、ハイドロプロピルメタアクリレート(hydroxypropyl methacrylate)、ヒドロキシブチルアクリレート(hydroxybutyl acrylate)、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド[N−(2-hydroxyethyl) acrylamide]、N−メチルアクリルアミド(N-methyl acrylamide)、N−ブトキシメチルアクリルアミド(N-butoxymethylacrylamide)、N−メトキシメチルアクリルアミド(N-methoxymethylacrylamide)、N−メトキシメチルメタアクリルアミド(N-methoxymethylmethacrylamide)、2−アクリルアミドグリコール酸(2-acrylamidoglycolic acid)及び2−カルボキシエチルアクリレート(2-carboxyethylacrylate)などを含むが、これに制限されるものではない。
【0053】
キトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させることによって、本発明のキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズを製造することができる。この際、アクリレートまたは/及びメタアクリレート作用基とチオール作用基の割合は8:1乃至1:8であり、これらの割合を調節することによって、細胞付着誘導及び細胞癒着防止を調節することができる。好ましくは、アクリレートまたは/及びメタアクリレート作用基とチオール作用基の割合は3:1乃至1:2であり、より好ましくは1:1である。
【0054】
キトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体とを割合に従い混合させて本発明のキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズを製造することができ、この際、キトサンとヒアルロン酸との割合を99:1から1:99に至る多様な割合で選択して、ハイドロゲル合成時間、及びキトサンまたはヒアルロン酸の生物学的及び機械的特性を最適化できると共に、合成時間を調節することができ、キトサンまたはヒアルロン酸に連結されたアクリレートとメタアクリレートとの割合を100:0から0:100に至る多様な割合で選択してハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズの合成時間を調節することができる。
【0055】
キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体と結合されるチオール作用基を有する物質には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、またはアリールグリシジルエーテル(allyl glycidyl ether)などがあるが、これに制限されるものではない。より好ましくは、ポリエチレンオキサイドであり、この時に使われるキトサン誘導体またはヒアルロン酸誘導体とポリエチレンオキサイドとの割合を調節して細胞癒着防止を調節するハイドロゲルとして使用可能である。
【0056】
具体的な様態において、キトサン−アクリレート、キトサン−メタアクリレート、ヒアルロン酸−アクリレート、ヒアルロン酸−メタアクリレート、及びこれらの混合物の作用基とチオール作用基を有する分子であるポリエチレンオキサイドチオールとの間の反応により、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル(図4)及びハイドロゲルマイクロビーズが合成された。
【0057】
上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズは、傷口治癒パッチ、成形材料、美容材料、あるいは組織再生用支持体などの多様な用途に使われることができる。また、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルは、生理活性物質伝達体に使用することができる。ポリエチレンオキサイド、キトサン、及びヒアルロン酸は、生体適合性(biocompatibility)を有する物質と公知されているので、生理活性物質伝達体への利用はより好ましい。
【0058】
他の様態であって、本発明は、上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイド、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズに生理活性物質を担持させた生理活性物質伝達体に関するものである。
【0059】
本発明の用語の“生理活性物質”とは、疾病の治療、治癒、予防、または診断などに使われる物質を意味し、特定物質や分類に制限されない。このような生理活性分子には、有機化合物、抽出物、タンパク質、ペプチド、PNA(peptide nucleic acid)核酸、脂質、炭水化物、ステロイド、細胞外基質物質、及び細胞などを含む。また、任意の、希釈剤、放出遅延剤、非活性オイル、結合剤などの当該技術分野で多様な賦形剤が選択的に混合されることができる。
【0060】
本発明の用語の“生理活性物質伝達体”は、生理活性物質を垣持して生体内に伝達することができる装置を意味する。本発明では、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−タンパク質、またはキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズに生理活性物質が垣持されて生体内に伝えられる。目的によっては、生理活性物質は予定された部位で、予定された時間に亘って一定に放出されるようにすることができる。このような調節型物質伝達体は、生体的利用率が低いとか、薬物の吸水性が非常に大きくて、体外に過度に速く消失される場合に薬物の放出速度を調節することによって、薬物の血中濃度を長い間治療領域に維持させることができる長所がある。本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズにおいて、ジェルの物理的強度及び化学的特徴に従い、ジェルの分解速度、生理活性物質の放出速度などが調節されることができる。
【0061】
本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズに垣持して生体内に伝達できる有機化合物には、一般的に使われる抗生剤、抗癌剤、消炎鎮痛剤、抗ウイルス第、抗菌剤などがある。抗生剤としては、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、オフロキサシン、レボフロキサシン、シフロフロキサシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、セパクラ、セフォタキシム、イミペネム、ペニシリン、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、バンコマイシンなどの誘導体及び混合物から選択される抗生剤を例示することができる。抗癌剤としては、メトトレキセート、カルボプラチン、タキソール、シスプラチン、5−フルオロウラシル、 ドキソルビシン、エトボサイド、パクリタキセル、カンプトテシン、サイトシンアラビノスなどの誘導体及び混合物から選択される抗癌剤を例示することができる。消炎剤としては、 インドメタシン 、イブプロペン、ケトプロペン、ピロキシカム、フルビプロフェン、ジクロフェナクなどの誘導体及び混合物から選択される消炎剤を例示することができる。抗ウイルス剤としては、アシクロビル、ロバビンなどの誘導体及び混合物から選択される抗ウイルス剤を例示することができる。抗菌剤としては、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、アムホテリシン−B、グリセオフルビンなどの誘導体及び混合物から選択される抗菌剤を例示することができる。
【0062】
本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズに垣持して生体内に伝達できるタンパク質及びペプチドとしては、疾病を治療または予防する目的に使われるホルモン、サイトカイン、酵素、抗体、成長因子、転写調節因子、血液因子、ワクチン、構造タンパク質、リガンドタンパク質及び受容体、細胞表面抗原、受容体拮抗物質のような多様な生理活性ペプチド、これらの誘導体及び類似体を例示することができる。
【0063】
具体的に、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、インターフェロン類とインターフェロン受容体類(例:インターフェロン−アルファ、−ベータ及び−ガンマ、水溶性タイプIインターフェロン受容体等)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、グルカゴン−類似ペプチド類(GLP−1等)、G−プロテイン結合受容体(G-protein-coupled receptor)、インタールキン類(例:インタールキン−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8、−9等)とインタールキン受容体類(例:IL−1受容体、IL−4受容体等)、酵素類(例:グルコセレブロシダーゼ(glucocerebrosidase)、イズロネート−2−スルファターゼ(iduronate-2-sulfatase)、アルファ−ガラクトシダーゼ−A、アガルシダーゼアルファ(agalsidase alpha)、ベータ、アルファ−L−イズロニダーゼ(alpha−L−iduronidase)、ブチリルコリンエステラーゼ(butyrylcholinesterase)、キチナーゼ(chitinase)、グルタメートデカルボキシラーゼ(glutamate decarboxylase)、イミグルセラーゼ(imiglucerase)、リパーゼ(lipase)、ウリカーゼ(uricase)、血小板−活性因子アセチルヒドロラーゼ(platelet-activating factor acetylhydrolase)、中性エンドペプチダーゼ(neutral endopeptidase)、ミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase)等)、インタールキン及びサイトカイン結合タンパク質類(例:IL−18bp、TNF−結合タンパク質等)、マクロファージ活性因子、マクロファージペプチド、B細胞因子、T細胞因子、タンパク質A、アレルギー抑制因子、細胞壊死糖タンパク質、免疫毒素、リンホ毒素、腫瘍壊死因子、腫瘍抑制因子、転移成長因子、アルファ−1アンチトリプシン、アルブミン、アルファ−ラクトアルブミン(alpha−lactalbumin)、アポリポタンパク質−E、赤血球生成因子、高糖鎖化赤血球生成因子、アンジオポイエチン類(angiopoietin)、ヘモグロビン、トロンビン(thrombin)、トロンビン受容体活性ペプチド、トロンボモデュリン(thrombomodulin)、血液因子VII、血液因子VIIa、血液因子VIII、血液因子IX、血液因子XIII、プラズミノゲン活性因子、フィブリン−結合ペプチド、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヒルジン(hirudin)、タンパク質C、C−反応性タンパク質、レニン抑制剤、コラゲナーゼ抑制剤 、スーパーオキサイドディスミューターゼ、レプチン、血小板由来成長因子、上皮細胞成長因子、表皮細胞成長因子、アンジオスタチン(angiostatin)、アンジオテンシン (angiotensin)、骨形成成長因子、骨形成促進タンパク質、カルシトニン、インシュリン、アトリオペプチン、軟骨誘導因子、エルカトニン(elcatonin)、結合組織活性因子、組織因子経路抑制剤(tissue factor pathway inhibitor)、濾胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、神経成長因子類(例:神経成長因子、毛様体神経栄養因子(cilliary neurotrophic factor)、アクソゼネシス因子−1(axogenesis factor-1)、脳−ナトリウム利尿ペプチド(brain-natriureticpeptide)、神経膠由来神経栄養因子(glial derived neurotrophic factor)、ネトリン(netrin)、中性球抑制因子(neutrophil inhibitor factor)、神経栄養因子、ニュートリン(neuturin)等)、副甲状腺ホルモン、リラクシン、セクレチン、ソマトメジン、インシュリン類似成長因子、副腎皮質ホルモン、グルカゴン、コレシストキニン、膵臓ポリペプチド、ガストリン放出ペプチド、コルチコトロピン放出因子、甲状腺刺激ホルモン、オートタキシン(autotaxin)、ラクトフェリン(lactoferrin)、ミオスタチン(myostatin)、受容体類(例:TNFR(P75)、TNFR(P55)、IL−1受容体、VEGF受容体、B細胞活性因子受容体等)、受容体拮抗物質(例:IL1−Ra等)、細胞表面抗原(例:CD2、3、4、5、7、11a、11b、18、19、20、23、25、33、38、40、45、69等)、単一クロン抗体、多重クロン抗体、抗体断片類(例:scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFd)、ウイルス由来ワクチン抗原などを例示することができる。
【0064】
本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズに垣持して生体内に伝達できる核酸としては、DNA、RNA、オリゴヌクレオチドなどを例示することができる。
【0065】
本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズに垣持して生体内に伝達できる細胞外基質物質としては、コラゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、ラミニン、ビトロネクチンなどを例示することができ、また、細胞としては、繊維芽細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞、神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、皮膚細胞、シュワン細胞、幹細胞などを例示することができる。
【0066】
実際に、本発明の方法により製造されたハイドロゲルの表面に平滑筋細胞培養を進行した時、3日後に細胞数が増加することが分かったし、同時に、ハイドロゲルを細胞伝達体として利用した時、ハイドロゲルに垣根された細胞が増殖されて数字が増加し、約2週−数ヶ月後には分解されて細胞が細胞培養フラスコの表面に付着されることを確認することができた。これは、本発明のキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルは、垣持される生理活性物質の残存収率と活性に安定的であることを示唆するところである。
【0067】
更に他の様態であって、本発明は、上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイド、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズにおいて、キトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体にチオール作用基を有する物質としてポリエチレンオキサイドの他にシステインアミノ酸を含むペプチドまたはフィブロネクチンを含むタンパク質などを結合して合成されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズに関するものであって、これは、組織再生誘導生理活性支持体として使われることができる。上記システインアミノ酸を含むペプチドは、細胞付着性及び/または細胞移動及び増殖誘導可能なアミノ酸シーケンス(sequence)と(メタ)アクリレートキトサン/メタアクリレートヒアルロン酸/ポリエチレンオキサイドとの架橋結合のためのシステイン(cystein)アミノ酸を含むペプチド(例えば、GSRGDSG)とコラゲナーゼ、プラスミンなどのような酵素により生分解が調節される機能性を有するアミノ酸シーケンス(例えば、YKNR)にシステインを含有するペプチドあるいは上記の互いに異なる機能を有するペプチドを称する。
【0068】
本発明の用語の“組織再生誘導用生理活性支持体”は、組織再生誘導機能を有するペプチドをキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイド、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズの化学構造に化学的に結合させて新たなキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイド−ペプチド及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドから構成されるハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ物質を意味する。ペプチドはアミノ酸システインを含むオリゴペプチドあるいはタンパク質を表し、システインに含まれたチオール作用基が(メタ)アクリレート作用基と反応して化学的架橋結合によりキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズを形成する。ペプチドのアミノ酸シーケンスにより細胞の付着と増殖(例えば、RGD)あるいは酵素による支持体の分解地点(例えば、YKNR)を提供する役割をして組織再生を誘導する。ペプチドはハイドロゲルあるいはジェルの内部に含まれた細胞の付着が可能であるようにする地点(focal contact or cell adhesion)を提供する。また、支持体の分解地点はハイドロゲルの分解を誘導し、これによって、付着された細胞が支持体の分解に従い分解される地点に細胞移動と増殖を誘導して、最終的にハイドロゲルは分解されて除去され、ハイドロゲルが占めた空間は細胞が分泌した細胞外基質と増殖された細胞により構成される新たな再生組織が取り替えるものである。
【0069】
本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲルの構成要素であるペプチドは、細胞付着性のRGD、RGDS、REDV、YIGSRなどのオリゴペプチドあるいはシステインを含む細胞外基質物質として知らされたコラーゲン(collagen)、フィブロネクチン(fibronectin)、ゼラチン(gelatin)、エラスチン(elastin)、オステオカルシン(osteocalcin)、フィブリノゲン(fibrinogen)、フィブロモジュリン(fibromodulin)、テナシン(tenascin)、ラミニン(laminin)、オステオポンチン(osteopontin)、オステオネクチン(osteonectin)、パーレカン(perlecan)、バーシカン(versican)、フォンヴィルブランド因子(von Willebrand factor)及びビトロネクチン(vitronectin)となることができ、特定の酵素により分解されるYKNR有機化合物などが含まれることができる。ここで、RGE、REDV、YKNRなどはアミノ酸の単一文字表記である。
【0070】
更に他の様態であって、本発明は(i)水溶性キトサン溶液を製造する段階、(ii)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(iii)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、及び(iv)上記キトサン誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むことを特徴とするキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法に関するものである。
【0071】
更に他の様態であって、本発明は、(i)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(ii)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(iii)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、及び(iv)上記ヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むことを特徴とするヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法に関するものである。
【0072】
更に他の様態であって、本発明は、(i)水溶性キトサン及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(ii)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(iii)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、及び(iv)上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法に関するものである。
【0073】
上記段階(i)において、キトサンとヒアルロン酸を水に溶かす段階と酸性溶液に溶かす段階。
【0074】
上記段階(ii)及び(iii)において、アクリレートまたはメタアクリレートを有する物質とキトサンまたはヒアルロン酸は架橋剤を用いて架橋させることができる。架橋剤としては、エチレングリコール、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ビスアクリルアミド、ジアリールフタレート、ジアリールアジペート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリセリンジグリシジルエーテル、トリアリールアミン、グリオキサール、ジエチルプロピルエチルカルボジイミドハイドロクロライド、カルボジイミド(CDI)などを使用することができる。
【0075】
本発明の具体的な様態では、ジエチルプロピルエチルカルボジイミドハイドロクロライド(EDC)を架橋剤として使用したし、キトサン:2−アクリルアミドグリコール酸:EDCとヒアルロン酸:アジピン酸ジヒドラジド:アクリル酸:EDCのモール反応比は多様に調節されることができる。実際に、キトサンハイドロゲル合成の場合には1:4:4、1:8:8または1:12:8等で多様に変化させてハイドロゲルを形成することができる。
【0076】
上記段階(iv)において、アクリレートまたはメタアクリレート作用基とチオール作用基の割合は適切に調節することができる。アクリレートまたはメタアクリレート作用基とチオール作用基の割合は4:1乃至1:3である。好ましくは、アクリレートまたはメタアクリレート作用基とチオール作用基の割合は3:1乃至1:2であり、より好ましくは1:1である。
【0077】
使われるキトサンとヒアルロン酸の分子量、アクリレートまたはメタアクリレートを含有する分子の種類、キトサンとヒアルロン酸濃度とキトサンのジアセチル化の度合、使用する架橋剤の種類と濃度及びpH、反応させるアクリレートまたはメタアクリレート作用基とチオール作用基の割合など、非常に多様な要素に従いハイドロゲルの物理的強度及び化学的特性は変わる。このような全ての点を考慮して目的に適したハイドロゲルを製造する。例えば、キトサン:2−アクリルアミドグリコール酸:EDCのモール比及びPEOに結合されたチオール基の個数によってジェルの含水率が変わることができる。ヒアルロン酸の場合にもヒアルロン酸:アミノプロピルメタアクリレート:EDCのモール比及びPEOに結合されたチオール個数によって合成されたジェルの特性調節が可能である。
【0078】
より具体的に、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの製造方法は、水溶性キトサンまたは水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、キトサンをアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、ヒアルロン酸をメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、上記キトサン誘導体及び上記ヒアルロン酸誘導体から未反応アクリレート及びメタアクリレート反応物を除去する段階、上記キトサン誘導体及び上記ヒアルロン酸誘導体を乾燥させる段階、及び上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含む。
【0079】
更に他の様態であって、本発明は、(i)水溶性キトサン溶液を製造する段階、(ii)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(iii)キトサンをメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(iv)生理活性物質を上記キトサン誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(v)生理活性物質を垣持している上記キトサン誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むことを特徴とする生理活性物質伝達体の製造方法に関するものである。
【0080】
更に他の様態であって、本発明は、(i)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(ii)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(iii)ヒアルロン酸をメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(iv)生理活性物質を上記ヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(v)生理活性物質を垣持している上記ヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むことを特徴とする生理活性物質伝達体の製造方法に関するものである。
【0081】
更に他の様態であって、本発明は、(i)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(ii)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(iii)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(iv)生理活性物質を上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(v)生理活性物質を垣持している上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含む生理活性物質伝達体の製造方法に関するものである。
【0082】
本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルへの生理活性物質の垣持は、ジェルの製造過程、またはジェル製造後、使用前にすることができるが、ジェル製造過程のうち、(ii)及び(iii)過程で獲得したキトサン誘導体溶液、ヒアルロン酸溶液、及びキトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体の混合溶液に生理活性物質をジェルに垣持して段階(iv)を進行することが好ましい。キトサン誘導体溶液とヒアルロン酸誘導体溶液またはチオール作用基を有する物質を溶かした溶液に生理活性物質を混合して、物質がジェルと共に共有結合されるようにする。
【0083】
より具体的に、生理活性物質伝達ハイドロゲルの製造方法は、水溶性キトサン溶液と水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、キトサンをアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、ヒアルロン酸をメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、上記キトサン誘導体及び上記ヒアルロン酸誘導体から未反応アクリレート及びメタアクリレート反応物を除去する段階、上記キトサン誘導体及び上記ヒアルロン酸誘導体を乾燥させる段階、生理活性物質を上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含む。
【0084】
更に他の様態であって、生理活性物質伝達ハイドロゲルマイクロビーズの製造方法は、(i)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(ii)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(iii)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(iv)生理活性物質を上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(v)生理活性物質を垣持している上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と混合して混合溶液を製造する段階、(e)疏水性有機溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、(f)分散されたヒアルロン酸誘導体とキトサン誘導体及びポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含む。
【0085】
以下、実施形態と実験例を通じて本発明をより詳細に説明するが、これらが本発明の範囲を制限するものではない。
【0086】
(実施形態1)生理活性因子が含まれたキトサンメタアクリレート誘導体ハイドロゲル開発
1段階の過程:約85%脱アセチル化(deacetylated)した水溶性キトサン(5〜10KDa;Chitolife、Korea)20mLとメタアクリル酸(Methacrylic acid)0.3mLを混合した後、5mL EDCを添加して撹拌しながら反応を進行した。反応後、有機溶媒で生成物を沈殿させた後、1日間凍結乾燥して1(キトサン):4(2−カルボキシエチルアクリル酸):4(EDC)モール反応比に従うキトサン−メタアクリレートの1次生成物を獲得した(図7−B)。
【0087】
2段階の過程:1段階で製造したキトサン−メタアクリレートをトリエタノールアミン(triethanol amine)に溶かしてキトサン−メタアクリレート0.1mL溶液を製造し、他の容器にチオール作用基を6個(6arm)有するポリエチレンオキサイド高分子をトライエタノールアミンに溶かして0.1mL溶液を製造した。
【0088】
3段階の過程:2段階で製造された2つの溶液を混合してキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルが24乃至30時間位に亘って形成されることを肉眼で観察することができた。
【0089】
(実施形態2)
実施形態1のメタアクリル酸(Methacrylic acid)の代りに、2−カルボキシエチルアクリレート(2-carboxyethyl acrylate)を使用してキトサン−2−カルボキシエチルアクリレート生成物を合成してNMRで評価した(図7−A)。
【0090】
(実施形態3)
実施形態1のメタアクリル酸の代りに、2−アクリルアミドグリコール酸(2-acrylamidoglycolic acid monohydrate)を使用してキトサン−2−アクリルアミドグリコール酸を合成した。合成されたキトサン−2−アクリルアミドグリコール酸とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行した結果、2分以内にキトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0091】
(実施形態4)
実施形態1の水溶性キトサンの代りにヒアルロン酸(MW10k〜100k)を使用し、メタアクリル酸の代りにN−(3−アミノプロピル)メタアクリルアミド(N-(3-Aminopropyl)methacrylamide(APM))を使用してヒアルロン酸−N−(3−アミノプロピル)メタアクリルアミド生成物を合成した。ヒアルロン酸−N−3−アミノプロピルメタアクリルアミドとポリエチレンオキサイドを反応させて24時間以内にヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0092】
(実施形態5)
実施形態1のキトサン−メタアクリレートと実施形態2のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートを25%対75%の割合で混合した溶液とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行して、2時間以内にキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0093】
(実施形態6)
実施形態1のキトサン−メタアクリレートと実施形態2のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートを50%対50%の割合で混合した溶液とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行した結果、4時間以内にキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0094】
(実施形態7)
実施形態1のキトサン−メタアクリレートと実施形態2のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートを75%対25%の割合で混合した溶液とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行した結果、5時間以内にキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0095】
(実施形態8)
実施形態3のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートと実施形態4のヒアルロン酸−N−(3−アミノプロピル)メタアクリルアミドを75%対25%の割合で混合した溶液とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行した結果、2時間以内にキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0096】
(実施形態9)
実施形態3のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートと実施形態4のヒアルロン酸−N−(3−アミノプロピル)メタアクリルアミドを50%対50%の割合で混合した溶液とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行した結果、4時間以内にキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0097】
(実施形態10)
実施形態3のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートと実施形態4のヒアルロン酸−N−(3−アミノプロピル)メタアクリルアミドを25%対75%の割合で混合した溶液とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行した結果、5時間以内にキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0098】
(実施形態11)
実施形態1のキトサン−メタアクリレートと実施形態2のキトサン−アクリレートを混合する過程で、コラーゲンをアセット酸に溶かした溶液[キトサン−(メタ)アクリレートの0.1%(w/w)あるいは0.3%]と共に混合することで、0.1%あるいは0.3%のコラーゲンが添加されたキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0099】
(実施形態12)
実施形態1の2段階において、ハイドロゲルの合成過程で、溶液にコラーゲンをアセト酸に溶かした溶液[キトサン−(メタ)アクリレートの0.1%あるいは0.3%(w/w)]と共に混合することで、0.1%あるいは0.3%のコラーゲンが添加されたキトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドあるいはキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0100】
(実施形態13)
実施形態1の2段階において、ハイドロゲルの合成過程で、フィブロネクチンを超純水に溶かした溶液[キトサン−(メタ)アクリレートの0.1%あるいは0.3%(w/w)]と共に混合することで、0.1%あるいは0.3%のフィブロネクチンが添加されたキトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドあるいはキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0101】
(実施形態14)
実施形態1のキトサン−メタアクリレートと実施形態3のキトサン−アクリレートを混合する過程で、フィブロネクチンを超純水溶媒に溶かした溶液[キトサン−(メタ)アクリレートの0.1%(w/w)あるいは0.3%]と共に混合することで、フィブロネクチンが添加されたキトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドあるいはキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0102】
(実施形態15)
実施形態9において、ハイドロゲルの合成過程で、フィブロネクチンを超純水に溶かしたキトサン溶液[キトサン−アクリレートの0.3%(w/w)]とヒアルロン酸−メタアクリレート溶液を混合することで、0.3%のフィブロネクチンが添加されたキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0103】
(実施形態16)
ハイドロゲル合成過程で、実施形態1の2段階及び実施形態3で合成されたキトサンメタアクリレート及びキトサンアクリレート混合重量の0.1%または0.3%に該当するコラーゲンを滅菌蒸溜水に溶かした5μLまたは15μLのコラーゲン溶液と5,000平滑筋細胞が含まれた10μLの細胞懸濁液を1.5mLマイクロコニカルチューブ(micro-conical tube)に各々用意する。更に他の1.5mLマイクロコニカルチューブにチオール基を含むポリエチレンオキサイド−トリエタノールアミン溶液300μLとキトサン−アクリレート及びキトサン−メタアクリレートの混合物−トリエタノールアミン溶液300μLを各々用意する。用意したコラーゲン溶液に平滑筋細胞懸濁液を含めた後、混合して細胞−コラーゲン溶液を製造し、またポリエチレンオキサイド溶液と2次的に混合させる。上記の細胞−コラーゲン−ポリエチレンオキサイド溶液をキトサン−アクリレート及びキトサン−メタアクリレート溶液と混合して細胞が含まれたキトサンメタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイド−コラーゲンハイドロゲルを製造した。
【0104】
(実施形態17)
実施形態16のコラーゲンの代りに、フィブロネクチンを使用して細胞が含まれたキトサンメタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイド−フィブロネクチンハイドロゲルを製造した。
【0105】
(実施形態18)
実施形態16のキトサン−メタアクリレートの代りに、ヒアルロン酸−メタアクリレートを使用して細胞が含まれたキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイド−コラーゲンハイドロゲルを製造した。
【0106】
(実施形態19)
実施形態18において、ハイドロゲル合成過程で、溶液にコラーゲンの代わりにフィブロネクチンをトリエタノールアミン溶媒に溶かした溶液[キトサン−アクリレート及びヒアルロン酸−メタアクリレートの0.3%(w/w)]と共に混合してフィブロネクチンが添加されたキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイド−フィブロネクチンハイドロゲルを製造した。
【0107】
(実施形態20)
実施形態18において、ハイドロゲル合成過程で、溶液にコラーゲンの代わりにCGRGDGCペプチドをトリエタノールアミン溶媒に溶かした溶液[キトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレートの0.3%(w/w)]と共に混合してシステインアミノ酸を含むペプチド−キトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造した。
【0108】
(実施形態21)
アジピン酸ジヒドラジドの片方の末端をtert−ブチル基で保護されたtert−ブチルアジピン酸ヒドラジド合成し、合成された生成物をヒアルロン酸と化学的に一次的に結合させてヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドを合成した。ヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドのtert−ブチル基を除去した後、アクリル酸と結合させてヒアルロン酸−アクリレートを合成してポリエチレンオキサイドと反応させる下記の段階を経て、ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0109】
1段階−アジピン酸ジヒドラジドの片方の末端保護過程:(1)アジピン酸ジヒドラジド(MW174g/mol)3.5gをテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran):水(THF/H2O)混合溶媒30mLに溶かしてアジピン酸ヒドラジド溶液を製造する。(2)ジ−tert−ブチルジカルボネート(BOC2O)2.4gをTHF/H2O混合溶媒に溶かす。(3)ジ−tert−ブチルジカルボネート量の2.5倍に該当するNaHCO3 2.3gをジ−tert−ブチルジカルボネート溶液に添加する。(4)アジピン酸ジヒドラジド溶液にジ−tert−ブチルジカルボネートとNaHCO3溶液をゆっくり添加して反応させた後、凍結乾燥させる。(5)純水50mLを添加して溶解した後、tert−ブチルグループが片方の末端のヒドラジド結合されたアジピン酸ヒドラジドtert−ブチルヒドラジド物質を合成した。(6)tert−ブチルグループが両方の末端のヒドラジドに結合されたアジピン酸を分離させて除去して、純粋なアジピン酸ヒドラジドtert−ブチルヒドラジドのみを獲得して凍結乾燥させて粉末として得た。
【0110】
2段階−片方の末端が保護されたヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジド化合物製造過程:(1)ヒアルロン酸0.68g(1.7mmol)とtert−ブチルカルボネートにより保護されたアジピン酸tert−ブチルグループヒドラジドMW=274、6.8mmol)を純水40mLに溶かす。(2)1-hydroxybenzotriazole hydrate(MW=135)0.9g(6.8mmol)とEDC 1.1g(MW155、6.8mmol)をジメチルスルファーオキサイドと純水(1:1)混合溶媒10mLに溶解した後、ヒアルロン酸溶液に添加して反応を進行させる。(3)エタノール500mLにヒアルロン酸溶液を添加して沈殿させて分離する。(4)ヒアルロン酸を2日間凍結乾燥させてtert−アジピン酸ブチルグループヒドラジド−ヒアルロン酸を獲得した(図8−b)。
【0111】
3段階−アミン保護基の除去:(1)tert−アジピン酸ブチルグループヒドラジド−ヒアルロン酸0.6g(MW 632g/mol、0.95mmol)を蒸溜水6mL(10%)に溶解する。(2)塩化水素−メタノール(1:1)混合溶媒をtert−アジピン酸ブチルグループヒドラジド−ヒアルロン酸溶液にゆっくり加えて常温で1−2時間の間反応させる。(3)エタノール100mLに洗浄した後、凍結乾燥してサンプルを獲得した。
【0112】
4段階−ヒアルロン酸−アジピン酸−アクリレート合成:ヒアルロン酸−アジピン酸0.6g(MW=532g/mol)とアクリル酸0.3g(MW=72g/mol、4mmol)を蒸溜水40mLに溶解する。(2)EDC 0.7g(MW155)を添加して反応を進行させる。(3)生成物を沈殿及び凍結乾燥してヒアルロン酸−アクリレートサンプルを獲得した(図8−c)。
【0113】
5段階−ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル合成:(1)ヒアルロン酸−アジピン酸−アクリレート(以下、“ヒアルロン酸アクリレート”と称する)をトライエタノールアミン(triethanol amine buffer)に溶解させて10%(w/v)溶液で製造した。(2)6個のチオール作用基を有するポリエチレンオキサイドをトリエタノールバッファーに溶かして20%(w/v)溶液を製造した。(3)上記の2つの溶液を混合した結果、2−3分以内のハイドロゲルが合成され始めて、透明なヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0114】
(実施形態22)
実施形態9のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートの代りに、実施形態21のヒアルロン酸−アクリレートと実施形態9のヒアルロン酸−N−(3−アミノプロピル)メタアクリルアミドを50:50の割合で混合して混合溶液を製造した後、上記混合溶液とポリエチレンオキサイド溶液と混合してヒアルロン酸アクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドは1時間以内にハイドロゲルを合成した。
【0115】
(実施形態23)
実施形態21のヒアルロン酸−アクリレートと実施形態1のキトサン−メタアクリレートを50:50の割合で混合して混合溶液を製造した後、ポリエチレンオキサイド溶液と混合してヒアルロン酸アクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを1時間以内に合成が進行されることを確認した。
【0116】
(実験例1)
実施形態1及び3のキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びキトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルとキトサンサンプルに対し、NMRを使用して評価した結果、アクリレートとメタアクリレートがキトサンに化学結合されていることを確認した(図7)。
【0117】
(実験例2)
実験例1のキトサン−メタアクリレート溶液とポリエチレンオキサイド溶液を混合した後、レオメータ(Rheometer)を使用して評価した結果、1分以内にキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルが合成され始めていることを粘性及び弾性モジュラス変化を観察して確認した(図9−a)。
【0118】
(実験例3)
実施形態8のキトサン−アクリレート75%とヒアルロン酸−アミノプロピルメタアクリレート25%で構成された混合溶液とポリエチレンオキサイド溶液を混合することにより形成される溶液の変化を時間によってレオメータ(Rheometer)で評価した結果、1分以内にキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルが合成され始めていることを確認した(図9−b)。
【0119】
(実験例4)
実施形態9のキトサン−アクリレート50%とヒアルロン酸−アミノプロピルメタアクリレート50%で構成された混合溶液とポリエチレンオキサイド溶液を混合させて、時間によってレオメータ(Rheometer)で評価した結果、5分以内にキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルが合成され始めることを確認した(図9−c)。
【0120】
(実験例5)
実施形態21において、100%のヒアルロン酸アクリレートとポリエチレンオキサイド溶液を混合させて、時間によってレオメータ(Rheometer)で評価した結果、1分以内にヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルが合成され始めることを確認した(図9−d)。
【0121】
(実験例6)
実施形態1の2段階で製造したキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの表面に2,000及び10,000cells/cm2濃度の平滑筋細胞を6時間及び3日間in vitro培養して細胞付着性を光学顕微鏡で観察し、cell counting kit-8染色剤を添加して細胞増殖性をマイクロプレートリーダ(Microplate Reader)で評価した結果、optical density(OD)値が増加されることを観察することによって、細胞が生きて増殖されることを確認した(図10)。
【0122】
(実験例7)
実施形態4と実施形態8乃至10の100%ヒアルロン酸−メタアクリレートハイドロゲル、ヒアルロン酸メタアクリレート75%とキトサン−アクリレート25%の混合ハイドロゲル、ヒアルロン酸−メタアクリレート50%とキトサン−アクリレート50%の混合ハイドロゲル、ヒアルロン酸−メタアクリレート25%とキトサン−アクリレート75%の混合ハイドロゲルに対し、37℃、5% CO2条件の細胞培養器で平滑筋細胞培養を6時間進行して、細胞の増殖と付着を観察した結果、細胞付着性が各々違うことを観察した(図11)。
【0123】
(実験例8)
実験例9のヒアルロン酸−メタアクリレート50%とキトサン−アクリレート50%の混合ハイドロゲル、実施形態10のヒアルロン酸−メタアクリレート25%とキトサン−アクリレート75%の混合ハイドロゲル、及び実施形態3の100%キトサン−アクリレートハイドロゲルをポリスチレン細胞培養フラスコの上に37℃、5% CO2条件の細胞培養器で平滑筋細胞培養を6時間進行して、細胞の増殖と付着を観察した結果、細胞付着性が各々違うことを観察した(図11)。
【0124】
(実験例9)
実施形態9のヒアルロン酸メタアクリレート(50%)−キトサンアクリレート(50%)溶液とポリエチレンオキサイド溶液に0.2%フィブロネクチン(w/w)を含めて、ヒアルロン酸メタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成して37℃、5% CO2条件の細胞培養器でin vitro細胞培養を1週間まで進行して細胞数の増殖と付着を観察した結果、フィブロネクチンを含めた場合が細胞付着性が向上した(図12−E)。
【0125】
(実験例10)
実施形態9のヒアルロン酸メタアクリレート(50%)−キトサンアクリレート(50%)の混合溶液とポリエチレンオキサイド溶液に0.2%のCGRGDGCペプチドを含めた混合溶液を用いて製造したヒアルロン酸メタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルに対し、37℃、5% CO2条件の細胞培養器でin vitro細胞培養を1週間まで進行して、細胞数の増殖と付着を観察した結果、CGRGDGCペプチドを含めた場合が細胞付着性が向上した(図12−F)。
【0126】
(実験例11)
実施形態16のように、キトサンメタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイド−コラーゲンハイドロゲルに細胞を含めて37℃、5% CO2条件の細胞培養器でin vitro細胞培養を1週間まで進行して細胞数の増殖と付着を観察した結果、細胞適合性が向上することを観察した。
【0127】
(実験例12)
実験例6のキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの代りに、ヒアルロン酸メタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルに変えて、細胞付着性と増殖性を評価した。
【0128】
(実験例13)
実施形態21で製造したヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドtert−ブチルヒドラジドとヒアルロン酸−アジピン酸アクリレート化合物をNMRで分析した結果、ヒアルロン酸を対照群にした各化合物の固有ピークを確認することによって、生成物を確認した(図8−a、band c)。
【0129】
(実験例14)
実施形態21で製造したヒアルロン酸−アクリレート(50%)と実施形態4で製造したヒアルロン酸−メタアクリレート(50%)を混合させて製造した混合溶液とポリエチレンオキサイド溶液を1:1の割合で混合した1mL混合溶液を20mL注射器に入れて注射器ポンプ(syringepump)を使用して80mLのジクロロメテイン溶媒にゆっくり落としながら、同時にマグネチック撹拌器を用いてヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド溶液を3,500rpmで撹拌させた。界面活性剤をゆっくり添加しながら反応を進行したし、漏斗を用いてフィルタリングして生成物を濾過した後、冷凍乾燥させた。乾燥サンプルは水溶液に水化して光学顕微鏡で観察(図13−A)及び乾燥されたサンプルは電子顕微鏡(図13−B)で観察した結果、150−200μmサイズのマイクロビーズが形成されることを観察した。
【0130】
以上の説明は、本発明を例示的に説明したことに過ぎないものであって、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で多様な変形が可能である。したがって、本明細書に開示された実施形態は本発明を限定するためのものでなく、説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の思想と範囲が限るのではない。本発明の範囲は下記の請求範囲により解されなければならなくて、それと同等な範囲内にある全ての技術は本発明の権利範囲に含まれることと解されているべきである。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明のキトサン−メタアクリレート化合物の化学反応式の例である。
【図2】本発明のキトサン−アクリレート化合物の化学反応式の例である。
【図3】本発明のヒアルロン酸−メタアクリレート化合物の化学反応式の例である。
【図4】本発明のヒアルロン酸がtert−ブチル基により保護されたヒアルロン酸−アジピン酸ジヒドラジド(HA−ADH−BOC)化合物の化学反応式の例である。
【図5】図4において、tert−ブチル基が除去されたヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジド化合物(HA−ADH)とアクリル酸の反応により生成されたヒアルロン酸−アジピン酸−アクリレート化合物(ヒアルロン酸−アクリレート:HA−Ac)の化学反応式である。
【図6】本発明の方法により製造されたキトサン(あるいは、ヒアルロン酸)−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの(A)化学反応式、(B)キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルネットワークの模式図である。
【図7】本発明の方法により製造されたキトサン誘導体のNMR結果であって、(A)はキトサン−アクリレート、(B)はキトサン−メタアクリレート、(C)はキトサンを示す。
【図8a】本発明の方法により製造されたヒアルロン酸誘導体のNMR結果であって、(A)はヒアルロン酸である。
【図8b】本発明の方法により製造されたヒアルロン酸誘導体のNMR結果であって、(B)はtert−ブチル基が保護されたヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドtert−ブチルヒドラジド化合物である。
【図8c】本発明の方法により製造されたヒアルロン酸誘導体のNMR結果であって、(C)はヒアルロン酸−アジピン酸−アクリレート化合物(ヒアルロン酸−アクリレート:HA−Ac)である。
【図9a】本発明の方法により製造されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルのレオロジーグラフであって、(A)はキトサン−アクリレート100%を用いた場合を表す。
【図9b】本発明の方法により製造されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルのレオロジーグラフであって、(B)はキトサン−アクリレート75%:ヒアルロン酸−アミノプロピルメタアクリレート25%を用いた場合を表す。
【図9c】本発明の方法により製造されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルのレオロジーグラフであって、(C)はキトサンアクリレート50%:ヒアルロン酸−アミノプロピルメタアクリレート50%を用いた場合を表す。
【図9d】ヒアルロン酸−アジピン酸−アクリレートを用いて製造されたヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルのレオロジーグラフである。
【図10】キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの上に平滑筋細胞を培養した後、6時間及び3日に観察した細胞増殖性評価結果である。
【図11】本発明の方法により100%キトサンを用いて製造したハイドロゲル、ヒアルロン酸(HA)75%とキトサン25%を用いて製造したヒアルロン酸−キトサンハイドロゲル、ヒアルロン酸(HA)50%とキトサン50%を用いて製造したキトサン−ヒアルロン酸ハイドロゲル及びヒアルロン酸(HA)25%とキトサン75%を用いて製造したヒアルロン酸−キトサンハイドロゲルに細胞培養を6時間の間進行した結果の光学顕微鏡写真である。
【図12】本発明の方法により100%のキトサンを用いて製造したキトサンハイドロゲル、ヒアルロン酸(HA)25%とキトサン75%を用いて製造したキトサン−ヒアルロン酸ハイドロゲル、ヒアルロン酸(HA)50%とキトサン50%を用いて製造したキトサン−ヒアルロン酸ハイドロゲル、及びポリスチレン細胞培養フラスコ上で細胞培養を3日間進行した結果の光学顕微鏡写真である。
【図13】本発明の方法により製造された50%のヒアルロン酸−アクリレート溶液と50%のヒアルロン酸−メタアクリレート溶液を混合した後、ポリエチレンオキサイド溶液を混合したヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド混合溶液を用いて製造したヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズの形状である。(A):光学顕微鏡観察の形状、(B):電子顕微鏡観察の形状。
【技術分野】
【0001】
本発明は、キトサンまたはヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、これらを用いた生理活性物質伝達体、組織再生誘導用支持体、及びその製造方法に関し、より詳しくは、アクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋されたキトサン誘導体がチオール作用基を有する物質との共有結合により形成されるキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、アクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋されたヒアルロン酸誘導体とチオール作用基を有する物質との共有結合により形成されるヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及び(メタ)アクリレート作用基を有する物質と架橋されたヒアルロン酸誘導体及び(メタ)アクリレート作用基を有する物質と架橋されたキトサン誘導体とチオール作用基を有する物質との共有結合により形成されるキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルに関する。本発明はまた、生理活性物質を担持させた生理活性物質伝達体、及び、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルへの細胞付着とハイドロゲル分解能を提供する組織再生誘導用支持体に関するものである。本発明はさらに、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及び生理活性物質伝達体を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キトサン(chitosan)は、甲殻類の殻に存在するキチン(chitin)を高温、強アルカリで処理して脱アセチル化させた分子内のアミノ基を有する天然高分子物質であり、ヒアルロン酸は、人体あるいは微生物から製造され、分子内の遊離カルボキシル酸基が存在する天然高分子であるので、化学、医学、及び食品産業分野などに多様に用いられている。キトサンを用いた研究は、主に組織再生のための支持体製造に対するものであった。“キトサンにより表面コーティングされた組織再生用生分解性高分子製剤及びその製造方法”、“キトサン−ヒアルロン酸からなるイオン性複合支持体”、“生体吸収性神経導管及びその製造方法”、“軟骨細胞に特異的に付着するオリゴペプチド、細胞外基質を含む人工臓器製造用生分解性高分子基質及びその製造方法”などが報告されている。また、ヒアルロン酸は、“成長因子の徐放性伝達のための温度敏感性、分解性ヒアルロン酸/プルロン酸コンポジットハイドロゲル”、“架橋結合ヒアルロン酸ハイドロゲル”、“ヒアルロン酸/type2コラーゲンハイドロゲル”、“軟骨再生用キトサン−ヒアルロン酸ハイブリッド支持体合成”などのような研究が報告されている。
【0003】
医学分野では、薬物あるいは細胞伝達担体(drug or cell delivery carriers)と人工皮膚、人工軟骨、人工骨のような人体組織再生に必要とされる支持体(scaffolds for tissue engineering)、及び医薬、環境、化粧品産業など、全産業分野で用途が非常に多様なハイドロゲルに対する研究が相当に進行されたことにもかかわらず、ハイドロゲルの機械的性質と合成時間調節、及びハイドロゲルに固定された生理活性物質の収率、活性、及び効率の高いハイドロゲルの開発に対する要求が続けてある実情である。
【0004】
かかる背景の下で、本発明者は、ヒアルロン酸−アクリレート、アクリレート、またはメタアクリレートを有する物質と架橋されたキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びマイクロビーズ形態のハイドロゲルを製造した。本発明者はさらに、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを用いて、ペプチド、タンパク質、細胞などの生理活性物質を効果的に担持し、またはそのような生理活性物質の有効な化学結合を誘導することができ、このことにより、生理活性物質の残存収率と活性を改良しうることを見いだして、本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、アクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたキトサン−キトサン誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、アクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸−ヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、アクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたキトサン−ヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルをマイクロビーズの形態で提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルに細胞付着誘導及び癒着防止、あるいはハイドロゲルの分解が可能であって、組織再生環境組成を容易にすることができる組織再生誘導型支持体の提供と生理活性物質を担持させた生理活性物質伝達体を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、及び(d)上記キトサン誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、及び(d)上記ヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供することにある。
【0012】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、及び(d)上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供することにある。
【0013】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(d)上記キトサン誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と混合溶液を製造する段階、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、及び(f)分散されたキトサンとポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含むキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供することにある。
【0014】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(d)上記ヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と混合溶液を製造する段階、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、及び(f)分散されたヒアルロン酸とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含むヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供することにある。
【0015】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(d)上記ヒアルロン酸誘導体とキトサン誘導体混合物をチオール作用基を有する物質と混合溶液を製造する段階、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、及び(f)分散されたヒアルロン酸誘導体とキトサン誘導体及びポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含むヒアルロン酸−キトサン−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供することにある。
【0016】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(d)生理活性物質を上記キトサン誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(e)薬物を担持したままで上記キトサン誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含む生理活性物質伝達体または組織再生誘導用支持体を製造する方法を提供することにある。
【0017】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(d)生理活性物質を上記ヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(e)薬物を担持したままで上記ヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含む生理活性物質伝達体または組織再生誘導用支持体を製造する方法を提供することにある。
【0018】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(d)生理活性物質を上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(e)薬物を担持したままで上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含む生理活性物質伝達体または組織再生誘導用支持体を製造する方法を提供することにある。
【0019】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(d)生理活性物質を上記キトサン誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、及び(f)分散されたヒアルロン酸誘導体及びポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含む生理活性物質伝達体または組織再生誘導用支持体を製造する方法を提供することにある。
【0020】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(d)生理活性物質を上記ヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、及び(f)分散されたヒアルロン酸誘導体とヒアルロン酸誘導体及びポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含む生理活性物質伝達体または組織再生誘導用支持体を製造する方法を提供することにある。
【0021】
本発明の更に他の目的は、(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(b)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(c)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(d)生理活性物質を上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、(e)生理活性物質を担持したままで上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と混合する段階、(f)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、及び(g)分散されたヒアルロン酸誘導体とヒアルロン酸誘導体及びポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含む生理活性物質伝達体または組織再生誘導用支持体を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前述した目的を達成するために、本発明によるキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びその製造方法は、次のような特徴を有する。
【0023】
本発明の第1の目的によると、アクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサン誘導体及びメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサン誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを提供する。
【0024】
本発明の第2の目的によると、アクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸誘導体、及びメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを提供する。
【0025】
本発明の第3の目的によると、アクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサン誘導体とアクリレート、またはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを提供する。
【0026】
本発明の第4の目的によると、上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルをマイクロビーズの形態で提供する。
【0027】
本発明の第5の目的によると、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルに生理活性物質を担持させた生理活性物質伝達体を提供する。
【0028】
本発明の第6の目的によると、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドの構成成分であるハイドロゲル、及びマイクロビーズに生理活性物質が化学的及び物理的に結合された組織再生誘導用支持体を提供する。
【0029】
本発明の第7の目的によると、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(d)上記キトサンアクリレート誘導体あるいはキトサンメタアクリレート誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階とを含むことを特徴とするキトサンアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、キトサンメタアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供する。
【0030】
本発明の第8の目的によると、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン−アクリレート誘導体を製造する段階と、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン−メタアクリレート誘導体を製造する段階と、(d)上記キトサン−アクリレートあるいはキトサン−メタアクリレート誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と混合する段階と、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、(f)分散されたキトサン誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階とを含むことを特徴とするキトサンアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズ、キトサンメタアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズ、及びキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供する。
【0031】
本発明の第9の目的によると、(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(d)上記キトサン誘導体の混合物あるいはチオール作用基を有する物質混合溶液に生理活性物質を含んで混合する段階と、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記の生理活性物質が混合された溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、(f)分散されたキトサン誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階とを含むことを特徴とする生理活性物質が含まれたキトサン−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供する。
【0032】
本発明の第10の目的によると、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)水溶液中のヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−アクリレート誘導体を製造する段階と、(c)上記ヒアルロン酸−アクリレート誘導体をチオール作用基を有するポリエチレンオキサイドと共有結合させる段階とを含むことを特徴とするヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供する。
【0033】
本発明の第11の目的によると、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)アジピン酸ジアミド水溶液を製造する段階と、(c)アジピン酸ジヒドラジドとtert−ブチル基を有するdi-tert-butyldicarbonateを化学結合させる段階と、(d)アジピン酸ヒドラジドブチルカルボネート(butylcarbonate)が結合されたアジピン酸ヒドラジドブチルカルボネートを分離する段階と、(e)アジピン酸ヒドラジドブチルカルボネートとヒアルロン酸と反応させてヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドブチルカルボネートを製造する段階と、(f)ヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドブチルカルボネートとヒアルロン酸を化学的に反応させてヒアルロン酸−アジピン酸−ブチルカルボネートを製造する段階と、(g)ヒアルロン酸−アジピン酸−ブチルカルボネートから末端のブチルグループを除去してヒアルロン酸−アジピン酸を製造し分離する段階と、(h)ヒアルロン酸−アジピン酸とアクリル酸と化学的に結合させてヒアルロン酸−アジピン酸−アクリレート(ヒアルロン酸−アクリレート)を製造する段階と、(i)未反応のアクリル酸を除去してヒアルロン酸−アクリレートを分離する段階とを含むヒアルロン酸−アクリレートを製造する方法を含む。
【0034】
本発明の第12の目的によると、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、(d)上記ヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階とを含むことを特徴とするヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供する。
【0035】
本発明の第13の目的によると、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、(d)上記ヒアルロン酸誘導体混合物をチオール作用基を有する物質と混合する段階と、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、(f)分散されたヒアルロン酸誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階とを含むことを特徴とするヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供する。
【0036】
本発明の第14の目的によると、(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−アクリレート誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−メタアクリレート誘導体を製造する段階と、(d)上記ヒアルロン酸−アクリレートあるいはヒアルロン酸−メタアクリレート誘導体混合物あるいはチオール作用基を有するポリエチレンオキサイド混合溶液に生理活性物質を含んで混合する段階と、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記の生理活性物質が混合された溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、(f)分散されたヒアルロン酸誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階とを含むことを特徴とする生理活性物質が含まれたヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズあるいはヒアルロン酸メタアクリレートポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供する。
【0037】
本発明の第15の目的によると、(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を各々製造する段階と、(b)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、(d)上記キトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階とを含むことを特徴とするキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法を提供する。
【0038】
本発明の第16の目的によると、前述した(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、(b)キトサンをアクリレートあるいはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をアクリレートあるいはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(d)上記キトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体の混合溶液をチオール作用基を有する物質溶液と混合させる段階と、(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記の混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、(f)分散されたキトサン誘導体、ヒアルロン酸誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階とを含むことを特徴とするキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供する。
【0039】
本発明の第17の目的によると、前述した(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、(d)生理活性物質を上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階と、(e)生理活性物質を担持したままで上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階とを含むことを特徴とする生理活性物質伝達体を製造する方法を提供する。
【0040】
本発明の第18の目的によると、前述した(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、(b)キトサンをアクリレートあるいはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサンアクリレート及びキトサンメタアクリレート誘導体を製造する段階と、(c)ヒアルロン酸をアクリレートあるいはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸アクリレートあるいはヒアルロン酸メタアクリレート誘導体を製造する段階と、(d)生理活性物質を上記キトサンアクリレートあるいはキトサンメタアクリレート誘導体溶液、ヒアルロン酸アクリレートあるいはヒアルロン酸メタアクリレート誘導体溶液、またはチオール作用基を有するポリエチレンオキサイド溶液に含める段階と、(e)生理活性物質を担持したままで上記キトサンアクリレートあるいはキトサンメタアクリレート誘導体とヒアルロン酸アクリレートあるいはヒアルロン酸メタアクリレート誘導体の混合溶液をチオール作用基を有するポリエチレンオキサイド溶液と混合させる段階と、疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記の生理活性物質が混合された溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、(f)分散された生理活性物質が含まれたキトサンアクリレートあるいはキトサンメタアクリレート誘導体、ヒアルロン酸アクリレートあるいはヒアルロン酸メタアクリレート誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階とを含むことを特徴とする生理活性物質が含まれたキトサンアクリレート−ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズ、あるいはキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズ、あるいはキトサンメタアクリレート−ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズ、あるいはキトサンメタアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズを製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0041】
本発明により薬物/細胞が含まれたハイドロゲルをキトサン−ヒアルロン酸の割合に従い開発して組織工学用人工臓器再生、火傷治療、あるいは美容のためのドレッシング剤、あるいは薬物伝達体として使用すると、薬物の効率的な伝達とハイドロゲルの生分解に従う組織再生促進を誘導することができる。例えば、キトサン−アクリレートとヒアルロン酸−メタアクリレート混合溶液とチオールグループを有するポリエチレンオキサイド溶液を混合−噴射させながら、瞬間的、そしてハイドロゲルの形成時間が調節されながら火傷口部位や傷口部位を治療することができる。更に他の例として、ポリエチレンオキサイド溶液に細胞を混合させた後、キトサン−アクリレート、キトサン−メタアクリレート、これらの混合溶液及びキトサン−アクリレート、ヒアルロン酸−メタアクリレート、及びこれらの混合溶液と共に混合して注射器で溶液を噴射させることができる。このようなハイドロゲルは、キトサンとヒアルロン酸の各々の特性を極大化すると共に、メタアクリレートとアクリレートの割合の調節に従い、希望する時間内に多様な物理的特性を有するハイドロゲルに変形可能に誘導させることができる。このようなハイドロゲルは、複雑な形態の傷口部位組織を復旧させることができる組織再生誘導用ハイドロゲル支持体に応用することができる。また、細胞の代りに生理活性物質を含めて組織再生あるいは傷口治癒可能な薬物担体のハイドロゲルとして使用可能である。2つの溶液を単純に混合することで、定まった時間にハイドロゲルが形成されるので、各々異なる容器に溶液を入れて噴射(spray)形態で2つの溶液を混合して傷口部位治療方法に応用可能である。製造されたハイドロゲルは、生体的な合成が優れるので成形用フィラー(filler)への適用も可能である。一方、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル合成を進行する際、ポリエチレンオキサイドの混合割合を増加させることによって、手術後の組織の細胞癒着を防止する細胞/組織癒着防止剤(tissue adhesion barriers)として適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明を説明するに当たり、関連した公知構成または機能に対する具体的な説明が当業者に自明であったり、本発明の要旨を曖昧にすることができると判断される場合は、その詳細な説明は省略する。
【0043】
1つの様態として、本発明は、アクリレートを有する物質と架橋結合されたキトサン誘導体、及びメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたキトサン誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズと、アクリレートを有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸誘導体及びメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズと、アクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたキトサン誘導体及びアクリレート、またはメタアクリレートを有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸誘導体がチオール作用基を有する物質と共有結合により形成されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズに関するものである。
【0044】
本発明の用語の“ハイドロゲル”は、十分な量の水分を含んでいる親水性高分子の3次元的な構造を意味する。本発明の目的上、ハイドロゲルは、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルである。水溶性キトサンまたはヒアルロン酸とアクリレート、またはメタアクリレートグループを有する分子を化学的に結合させてキトサン−アクリレートとキトサン−メタアクリレート、ヒアルロン酸−アクリレートとヒアルロン酸−メタアクリレート化合物を一次合成した後、キトサン−アクリレート及びキトサン−メタアクリレート混合物のアクリルまたはメタアクリルグループとチオール作用基を有するポリエチレンオキサイド、ヒアルロン酸−アクリレート及びヒアルロン酸−メタアクリレート混合物のアクリル、またはメタアクリルグループとチオール作用基を有するポリエチレンオキサイド、及びキトサン−アクリレート及びヒアルロン酸−メタアクリレート混合物のアクリル、またはメタアクリルグループとチオール作用基を有するポリエチレンオキサイドを結合させてハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズを合成した。
【0045】
本発明の用語の“ハイドロゲルビーズ”は、上記のハイドロゲルの特性を有し、その形態がマイクロサイズのビーズで製造されることを意味する。製造方法によってマイクロ及びサブマイクロ(sub-micro)サイズに調節できることを表す。
【0046】
本発明で使われるキトサンは、脱アセチル化したキトサンであって、好ましくは、60%以上脱アセチル化した水溶性キトサン、より好ましくは約85%脱アセチル化した水溶性キトサンである。また、1乃至1,000KDaのサイズを有するキトサンであり、より好ましくは5KDa乃至200KDaのサイズを有するキトサンである。キトサンは、生体親和性が優れて、抗原性が低いし、生体内で分解されて人体外へ除去される特徴を有するので、医療用材料に好ましい。
【0047】
本発明のハイドロゲル及びマイクロビーズの製造に使われるキトサンは、キトサンのアミン作用基がアクリレートまたはメタアクリレートのカルボキシル酸作用基と架橋結合されて、アクリレートまたはメタアクリレートを含有するキトサン誘導体である。本発明の好ましい実施形態に従うキトサン−メタアクリレート及びキトサン−アクリレート化合物の化学反応式は、図1及び2の通りである。
【0048】
本発明で使われるヒアルロン酸は、好ましくは水溶性ヒアルロン酸である。また、1乃至3,000KDaのサイズを有するヒアルロン酸であり、より好ましくは5KDa乃至500KDaのサイズを有するヒアルロン酸である。ヒアルロン酸は、生体親和性が優れて、抗原性が低いし、生体内で分解されて人体外へ除去される特徴を有するので、医療用材料に好ましい。
【0049】
本発明のハイドロゲル及びマイクロビーズの製造に使われるヒアルロン酸は、ヒアルロン酸のカルボキシ酸作用基がアクリレートまたはメタアクリレートのアミン作用基と架橋結合されて、アクリレートまたはメタアクリレートを含有するヒアルロン酸誘導体である。本発明の好ましい様態に従うヒアルロン酸−メタアクリレート、tert−ブチル基により保護されたヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドtert−ブチルヒドラジドとアルロン酸−アクリレート化合物の化学反応式は、各々図3、4及び5の通りである。
【0050】
本発明の具体的な様態であって、ハイドロゲルの製造のためのキトサン誘導体として、メタアクリル酸をキトサンと結合させてキトサン−アミノアクリレートで合成したし、2−カルボキシエチルアクリレートをキトサンと結合させてキトサン−2−カルボエチルアクリレートで合成した。
【0051】
本発明の具体的な様態であって、ハイドロゲル製造のためのヒアルロン酸誘導体として、アミノプロピルメタアクリレートをヒアルロン酸科結合させてヒアルロン−アミノプロピルメタアクリレートで合成及びモノ−tert−ブチルヒドラジドアジピン酸ヒドラジドアクリレートをヒアルロン酸と結合させてヒアルロン酸−ヒドラジドアジピン酸ヒドラジドアクリレートで合成した。
【0052】
キトサンと架橋結合できるアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質には、アクリル酸(acrylic acid)、メタアクリル酸(methacrylic acid)、アクリルアミド(acrylamide)、メタアクリルアミド(methacrylamide)アルキル−(メタ)アクリルアミド[alkyl−(meth)acrylamide]、モノ−tert−ブチルヒドラジドアジピン酸ヒドラジドアクリレート[(mono-tert-Butyl hydrazide adipic acid hydrazide acrylate)]。N−モノ−(メタ)アクリルアミド(N-mono-(meth)acrylamide)、N、N−di−C1−C4−(メタ)アクリルアミド(N、N-di-C1-C4alkyl-(meth)acrylamide)、N−ブチル(メタ)アクリレート(N-butyl(meth)acrylate)、メチル(メタ)アクリレート[methyl(meth)acrylate]、エチル(メタ)アクリレート[ethyl(meth)acrylate]、イソボルニル(メタ)アクリレート[isobornyl(meth)acrylate]、シクロヘキシル(メタ)アクリレート[cyclohexyl(meth)acrylate]、ハイドロエチルアクリレート(hydroxyethyl acrylate)、ヒドロキシエチルメタアクリレート(hydroxyethyl methacrylate)、ハイドロプロピルアクリレート(hydroxypropyl acrylate)、ハイドロプロピルメタアクリレート(hydroxypropyl methacrylate)、ヒドロキシブチルアクリレート(hydroxybutyl acrylate)、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド[N−(2-hydroxyethyl) acrylamide]、N−メチルアクリルアミド(N-methyl acrylamide)、N−ブトキシメチルアクリルアミド(N-butoxymethylacrylamide)、N−メトキシメチルアクリルアミド(N-methoxymethylacrylamide)、N−メトキシメチルメタアクリルアミド(N-methoxymethylmethacrylamide)、2−アクリルアミドグリコール酸(2-acrylamidoglycolic acid)及び2−カルボキシエチルアクリレート(2-carboxyethylacrylate)などを含むが、これに制限されるものではない。
【0053】
キトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させることによって、本発明のキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズを製造することができる。この際、アクリレートまたは/及びメタアクリレート作用基とチオール作用基の割合は8:1乃至1:8であり、これらの割合を調節することによって、細胞付着誘導及び細胞癒着防止を調節することができる。好ましくは、アクリレートまたは/及びメタアクリレート作用基とチオール作用基の割合は3:1乃至1:2であり、より好ましくは1:1である。
【0054】
キトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体とを割合に従い混合させて本発明のキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズを製造することができ、この際、キトサンとヒアルロン酸との割合を99:1から1:99に至る多様な割合で選択して、ハイドロゲル合成時間、及びキトサンまたはヒアルロン酸の生物学的及び機械的特性を最適化できると共に、合成時間を調節することができ、キトサンまたはヒアルロン酸に連結されたアクリレートとメタアクリレートとの割合を100:0から0:100に至る多様な割合で選択してハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズの合成時間を調節することができる。
【0055】
キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体と結合されるチオール作用基を有する物質には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、またはアリールグリシジルエーテル(allyl glycidyl ether)などがあるが、これに制限されるものではない。より好ましくは、ポリエチレンオキサイドであり、この時に使われるキトサン誘導体またはヒアルロン酸誘導体とポリエチレンオキサイドとの割合を調節して細胞癒着防止を調節するハイドロゲルとして使用可能である。
【0056】
具体的な様態において、キトサン−アクリレート、キトサン−メタアクリレート、ヒアルロン酸−アクリレート、ヒアルロン酸−メタアクリレート、及びこれらの混合物の作用基とチオール作用基を有する分子であるポリエチレンオキサイドチオールとの間の反応により、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル(図4)及びハイドロゲルマイクロビーズが合成された。
【0057】
上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズは、傷口治癒パッチ、成形材料、美容材料、あるいは組織再生用支持体などの多様な用途に使われることができる。また、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルは、生理活性物質伝達体に使用することができる。ポリエチレンオキサイド、キトサン、及びヒアルロン酸は、生体適合性(biocompatibility)を有する物質と公知されているので、生理活性物質伝達体への利用はより好ましい。
【0058】
他の様態であって、本発明は、上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイド、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズに生理活性物質を担持させた生理活性物質伝達体に関するものである。
【0059】
本発明の用語の“生理活性物質”とは、疾病の治療、治癒、予防、または診断などに使われる物質を意味し、特定物質や分類に制限されない。このような生理活性分子には、有機化合物、抽出物、タンパク質、ペプチド、PNA(peptide nucleic acid)核酸、脂質、炭水化物、ステロイド、細胞外基質物質、及び細胞などを含む。また、任意の、希釈剤、放出遅延剤、非活性オイル、結合剤などの当該技術分野で多様な賦形剤が選択的に混合されることができる。
【0060】
本発明の用語の“生理活性物質伝達体”は、生理活性物質を垣持して生体内に伝達することができる装置を意味する。本発明では、キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−タンパク質、またはキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズに生理活性物質が垣持されて生体内に伝えられる。目的によっては、生理活性物質は予定された部位で、予定された時間に亘って一定に放出されるようにすることができる。このような調節型物質伝達体は、生体的利用率が低いとか、薬物の吸水性が非常に大きくて、体外に過度に速く消失される場合に薬物の放出速度を調節することによって、薬物の血中濃度を長い間治療領域に維持させることができる長所がある。本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズにおいて、ジェルの物理的強度及び化学的特徴に従い、ジェルの分解速度、生理活性物質の放出速度などが調節されることができる。
【0061】
本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズに垣持して生体内に伝達できる有機化合物には、一般的に使われる抗生剤、抗癌剤、消炎鎮痛剤、抗ウイルス第、抗菌剤などがある。抗生剤としては、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、オフロキサシン、レボフロキサシン、シフロフロキサシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、セパクラ、セフォタキシム、イミペネム、ペニシリン、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、バンコマイシンなどの誘導体及び混合物から選択される抗生剤を例示することができる。抗癌剤としては、メトトレキセート、カルボプラチン、タキソール、シスプラチン、5−フルオロウラシル、 ドキソルビシン、エトボサイド、パクリタキセル、カンプトテシン、サイトシンアラビノスなどの誘導体及び混合物から選択される抗癌剤を例示することができる。消炎剤としては、 インドメタシン 、イブプロペン、ケトプロペン、ピロキシカム、フルビプロフェン、ジクロフェナクなどの誘導体及び混合物から選択される消炎剤を例示することができる。抗ウイルス剤としては、アシクロビル、ロバビンなどの誘導体及び混合物から選択される抗ウイルス剤を例示することができる。抗菌剤としては、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、アムホテリシン−B、グリセオフルビンなどの誘導体及び混合物から選択される抗菌剤を例示することができる。
【0062】
本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズに垣持して生体内に伝達できるタンパク質及びペプチドとしては、疾病を治療または予防する目的に使われるホルモン、サイトカイン、酵素、抗体、成長因子、転写調節因子、血液因子、ワクチン、構造タンパク質、リガンドタンパク質及び受容体、細胞表面抗原、受容体拮抗物質のような多様な生理活性ペプチド、これらの誘導体及び類似体を例示することができる。
【0063】
具体的に、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、インターフェロン類とインターフェロン受容体類(例:インターフェロン−アルファ、−ベータ及び−ガンマ、水溶性タイプIインターフェロン受容体等)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、グルカゴン−類似ペプチド類(GLP−1等)、G−プロテイン結合受容体(G-protein-coupled receptor)、インタールキン類(例:インタールキン−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8、−9等)とインタールキン受容体類(例:IL−1受容体、IL−4受容体等)、酵素類(例:グルコセレブロシダーゼ(glucocerebrosidase)、イズロネート−2−スルファターゼ(iduronate-2-sulfatase)、アルファ−ガラクトシダーゼ−A、アガルシダーゼアルファ(agalsidase alpha)、ベータ、アルファ−L−イズロニダーゼ(alpha−L−iduronidase)、ブチリルコリンエステラーゼ(butyrylcholinesterase)、キチナーゼ(chitinase)、グルタメートデカルボキシラーゼ(glutamate decarboxylase)、イミグルセラーゼ(imiglucerase)、リパーゼ(lipase)、ウリカーゼ(uricase)、血小板−活性因子アセチルヒドロラーゼ(platelet-activating factor acetylhydrolase)、中性エンドペプチダーゼ(neutral endopeptidase)、ミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase)等)、インタールキン及びサイトカイン結合タンパク質類(例:IL−18bp、TNF−結合タンパク質等)、マクロファージ活性因子、マクロファージペプチド、B細胞因子、T細胞因子、タンパク質A、アレルギー抑制因子、細胞壊死糖タンパク質、免疫毒素、リンホ毒素、腫瘍壊死因子、腫瘍抑制因子、転移成長因子、アルファ−1アンチトリプシン、アルブミン、アルファ−ラクトアルブミン(alpha−lactalbumin)、アポリポタンパク質−E、赤血球生成因子、高糖鎖化赤血球生成因子、アンジオポイエチン類(angiopoietin)、ヘモグロビン、トロンビン(thrombin)、トロンビン受容体活性ペプチド、トロンボモデュリン(thrombomodulin)、血液因子VII、血液因子VIIa、血液因子VIII、血液因子IX、血液因子XIII、プラズミノゲン活性因子、フィブリン−結合ペプチド、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヒルジン(hirudin)、タンパク質C、C−反応性タンパク質、レニン抑制剤、コラゲナーゼ抑制剤 、スーパーオキサイドディスミューターゼ、レプチン、血小板由来成長因子、上皮細胞成長因子、表皮細胞成長因子、アンジオスタチン(angiostatin)、アンジオテンシン (angiotensin)、骨形成成長因子、骨形成促進タンパク質、カルシトニン、インシュリン、アトリオペプチン、軟骨誘導因子、エルカトニン(elcatonin)、結合組織活性因子、組織因子経路抑制剤(tissue factor pathway inhibitor)、濾胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、神経成長因子類(例:神経成長因子、毛様体神経栄養因子(cilliary neurotrophic factor)、アクソゼネシス因子−1(axogenesis factor-1)、脳−ナトリウム利尿ペプチド(brain-natriureticpeptide)、神経膠由来神経栄養因子(glial derived neurotrophic factor)、ネトリン(netrin)、中性球抑制因子(neutrophil inhibitor factor)、神経栄養因子、ニュートリン(neuturin)等)、副甲状腺ホルモン、リラクシン、セクレチン、ソマトメジン、インシュリン類似成長因子、副腎皮質ホルモン、グルカゴン、コレシストキニン、膵臓ポリペプチド、ガストリン放出ペプチド、コルチコトロピン放出因子、甲状腺刺激ホルモン、オートタキシン(autotaxin)、ラクトフェリン(lactoferrin)、ミオスタチン(myostatin)、受容体類(例:TNFR(P75)、TNFR(P55)、IL−1受容体、VEGF受容体、B細胞活性因子受容体等)、受容体拮抗物質(例:IL1−Ra等)、細胞表面抗原(例:CD2、3、4、5、7、11a、11b、18、19、20、23、25、33、38、40、45、69等)、単一クロン抗体、多重クロン抗体、抗体断片類(例:scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFd)、ウイルス由来ワクチン抗原などを例示することができる。
【0064】
本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズに垣持して生体内に伝達できる核酸としては、DNA、RNA、オリゴヌクレオチドなどを例示することができる。
【0065】
本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズに垣持して生体内に伝達できる細胞外基質物質としては、コラゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、ラミニン、ビトロネクチンなどを例示することができ、また、細胞としては、繊維芽細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞、神経細胞、軟骨細胞、骨細胞、皮膚細胞、シュワン細胞、幹細胞などを例示することができる。
【0066】
実際に、本発明の方法により製造されたハイドロゲルの表面に平滑筋細胞培養を進行した時、3日後に細胞数が増加することが分かったし、同時に、ハイドロゲルを細胞伝達体として利用した時、ハイドロゲルに垣根された細胞が増殖されて数字が増加し、約2週−数ヶ月後には分解されて細胞が細胞培養フラスコの表面に付着されることを確認することができた。これは、本発明のキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルは、垣持される生理活性物質の残存収率と活性に安定的であることを示唆するところである。
【0067】
更に他の様態であって、本発明は、上記キトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイド、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズにおいて、キトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体にチオール作用基を有する物質としてポリエチレンオキサイドの他にシステインアミノ酸を含むペプチドまたはフィブロネクチンを含むタンパク質などを結合して合成されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズに関するものであって、これは、組織再生誘導生理活性支持体として使われることができる。上記システインアミノ酸を含むペプチドは、細胞付着性及び/または細胞移動及び増殖誘導可能なアミノ酸シーケンス(sequence)と(メタ)アクリレートキトサン/メタアクリレートヒアルロン酸/ポリエチレンオキサイドとの架橋結合のためのシステイン(cystein)アミノ酸を含むペプチド(例えば、GSRGDSG)とコラゲナーゼ、プラスミンなどのような酵素により生分解が調節される機能性を有するアミノ酸シーケンス(例えば、YKNR)にシステインを含有するペプチドあるいは上記の互いに異なる機能を有するペプチドを称する。
【0068】
本発明の用語の“組織再生誘導用生理活性支持体”は、組織再生誘導機能を有するペプチドをキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイド、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズの化学構造に化学的に結合させて新たなキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイド−ペプチド及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドから構成されるハイドロゲル及びハイドロゲルマイクロビーズ物質を意味する。ペプチドはアミノ酸システインを含むオリゴペプチドあるいはタンパク質を表し、システインに含まれたチオール作用基が(メタ)アクリレート作用基と反応して化学的架橋結合によりキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル、及びハイドロゲルマイクロビーズを形成する。ペプチドのアミノ酸シーケンスにより細胞の付着と増殖(例えば、RGD)あるいは酵素による支持体の分解地点(例えば、YKNR)を提供する役割をして組織再生を誘導する。ペプチドはハイドロゲルあるいはジェルの内部に含まれた細胞の付着が可能であるようにする地点(focal contact or cell adhesion)を提供する。また、支持体の分解地点はハイドロゲルの分解を誘導し、これによって、付着された細胞が支持体の分解に従い分解される地点に細胞移動と増殖を誘導して、最終的にハイドロゲルは分解されて除去され、ハイドロゲルが占めた空間は細胞が分泌した細胞外基質と増殖された細胞により構成される新たな再生組織が取り替えるものである。
【0069】
本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド−ペプチドハイドロゲルの構成要素であるペプチドは、細胞付着性のRGD、RGDS、REDV、YIGSRなどのオリゴペプチドあるいはシステインを含む細胞外基質物質として知らされたコラーゲン(collagen)、フィブロネクチン(fibronectin)、ゼラチン(gelatin)、エラスチン(elastin)、オステオカルシン(osteocalcin)、フィブリノゲン(fibrinogen)、フィブロモジュリン(fibromodulin)、テナシン(tenascin)、ラミニン(laminin)、オステオポンチン(osteopontin)、オステオネクチン(osteonectin)、パーレカン(perlecan)、バーシカン(versican)、フォンヴィルブランド因子(von Willebrand factor)及びビトロネクチン(vitronectin)となることができ、特定の酵素により分解されるYKNR有機化合物などが含まれることができる。ここで、RGE、REDV、YKNRなどはアミノ酸の単一文字表記である。
【0070】
更に他の様態であって、本発明は(i)水溶性キトサン溶液を製造する段階、(ii)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(iii)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、及び(iv)上記キトサン誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むことを特徴とするキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法に関するものである。
【0071】
更に他の様態であって、本発明は、(i)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(ii)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(iii)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、及び(iv)上記ヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むことを特徴とするヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法に関するものである。
【0072】
更に他の様態であって、本発明は、(i)水溶性キトサン及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(ii)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(iii)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、及び(iv)上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する方法に関するものである。
【0073】
上記段階(i)において、キトサンとヒアルロン酸を水に溶かす段階と酸性溶液に溶かす段階。
【0074】
上記段階(ii)及び(iii)において、アクリレートまたはメタアクリレートを有する物質とキトサンまたはヒアルロン酸は架橋剤を用いて架橋させることができる。架橋剤としては、エチレングリコール、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ビスアクリルアミド、ジアリールフタレート、ジアリールアジペート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリセリンジグリシジルエーテル、トリアリールアミン、グリオキサール、ジエチルプロピルエチルカルボジイミドハイドロクロライド、カルボジイミド(CDI)などを使用することができる。
【0075】
本発明の具体的な様態では、ジエチルプロピルエチルカルボジイミドハイドロクロライド(EDC)を架橋剤として使用したし、キトサン:2−アクリルアミドグリコール酸:EDCとヒアルロン酸:アジピン酸ジヒドラジド:アクリル酸:EDCのモール反応比は多様に調節されることができる。実際に、キトサンハイドロゲル合成の場合には1:4:4、1:8:8または1:12:8等で多様に変化させてハイドロゲルを形成することができる。
【0076】
上記段階(iv)において、アクリレートまたはメタアクリレート作用基とチオール作用基の割合は適切に調節することができる。アクリレートまたはメタアクリレート作用基とチオール作用基の割合は4:1乃至1:3である。好ましくは、アクリレートまたはメタアクリレート作用基とチオール作用基の割合は3:1乃至1:2であり、より好ましくは1:1である。
【0077】
使われるキトサンとヒアルロン酸の分子量、アクリレートまたはメタアクリレートを含有する分子の種類、キトサンとヒアルロン酸濃度とキトサンのジアセチル化の度合、使用する架橋剤の種類と濃度及びpH、反応させるアクリレートまたはメタアクリレート作用基とチオール作用基の割合など、非常に多様な要素に従いハイドロゲルの物理的強度及び化学的特性は変わる。このような全ての点を考慮して目的に適したハイドロゲルを製造する。例えば、キトサン:2−アクリルアミドグリコール酸:EDCのモール比及びPEOに結合されたチオール基の個数によってジェルの含水率が変わることができる。ヒアルロン酸の場合にもヒアルロン酸:アミノプロピルメタアクリレート:EDCのモール比及びPEOに結合されたチオール個数によって合成されたジェルの特性調節が可能である。
【0078】
より具体的に、キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの製造方法は、水溶性キトサンまたは水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、キトサンをアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、ヒアルロン酸をメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、上記キトサン誘導体及び上記ヒアルロン酸誘導体から未反応アクリレート及びメタアクリレート反応物を除去する段階、上記キトサン誘導体及び上記ヒアルロン酸誘導体を乾燥させる段階、及び上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含む。
【0079】
更に他の様態であって、本発明は、(i)水溶性キトサン溶液を製造する段階、(ii)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(iii)キトサンをメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(iv)生理活性物質を上記キトサン誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(v)生理活性物質を垣持している上記キトサン誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むことを特徴とする生理活性物質伝達体の製造方法に関するものである。
【0080】
更に他の様態であって、本発明は、(i)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(ii)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(iii)ヒアルロン酸をメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(iv)生理活性物質を上記ヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(v)生理活性物質を垣持している上記ヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含むことを特徴とする生理活性物質伝達体の製造方法に関するものである。
【0081】
更に他の様態であって、本発明は、(i)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(ii)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(iii)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(iv)生理活性物質を上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(v)生理活性物質を垣持している上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含む生理活性物質伝達体の製造方法に関するものである。
【0082】
本発明のキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、ヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル、及びキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルへの生理活性物質の垣持は、ジェルの製造過程、またはジェル製造後、使用前にすることができるが、ジェル製造過程のうち、(ii)及び(iii)過程で獲得したキトサン誘導体溶液、ヒアルロン酸溶液、及びキトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体の混合溶液に生理活性物質をジェルに垣持して段階(iv)を進行することが好ましい。キトサン誘導体溶液とヒアルロン酸誘導体溶液またはチオール作用基を有する物質を溶かした溶液に生理活性物質を混合して、物質がジェルと共に共有結合されるようにする。
【0083】
より具体的に、生理活性物質伝達ハイドロゲルの製造方法は、水溶性キトサン溶液と水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、キトサンをアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、ヒアルロン酸をメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、上記キトサン誘導体及び上記ヒアルロン酸誘導体から未反応アクリレート及びメタアクリレート反応物を除去する段階、上記キトサン誘導体及び上記ヒアルロン酸誘導体を乾燥させる段階、生理活性物質を上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階を含む。
【0084】
更に他の様態であって、生理活性物質伝達ハイドロゲルマイクロビーズの製造方法は、(i)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階、(ii)キトサンをアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階、(iii)ヒアルロン酸をアクリレートまたはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階、(iv)生理活性物質を上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階、及び(v)生理活性物質を垣持している上記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と混合して混合溶液を製造する段階、(e)疏水性有機溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に上記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階、(f)分散されたヒアルロン酸誘導体とキトサン誘導体及びポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階を含む。
【0085】
以下、実施形態と実験例を通じて本発明をより詳細に説明するが、これらが本発明の範囲を制限するものではない。
【0086】
(実施形態1)生理活性因子が含まれたキトサンメタアクリレート誘導体ハイドロゲル開発
1段階の過程:約85%脱アセチル化(deacetylated)した水溶性キトサン(5〜10KDa;Chitolife、Korea)20mLとメタアクリル酸(Methacrylic acid)0.3mLを混合した後、5mL EDCを添加して撹拌しながら反応を進行した。反応後、有機溶媒で生成物を沈殿させた後、1日間凍結乾燥して1(キトサン):4(2−カルボキシエチルアクリル酸):4(EDC)モール反応比に従うキトサン−メタアクリレートの1次生成物を獲得した(図7−B)。
【0087】
2段階の過程:1段階で製造したキトサン−メタアクリレートをトリエタノールアミン(triethanol amine)に溶かしてキトサン−メタアクリレート0.1mL溶液を製造し、他の容器にチオール作用基を6個(6arm)有するポリエチレンオキサイド高分子をトライエタノールアミンに溶かして0.1mL溶液を製造した。
【0088】
3段階の過程:2段階で製造された2つの溶液を混合してキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルが24乃至30時間位に亘って形成されることを肉眼で観察することができた。
【0089】
(実施形態2)
実施形態1のメタアクリル酸(Methacrylic acid)の代りに、2−カルボキシエチルアクリレート(2-carboxyethyl acrylate)を使用してキトサン−2−カルボキシエチルアクリレート生成物を合成してNMRで評価した(図7−A)。
【0090】
(実施形態3)
実施形態1のメタアクリル酸の代りに、2−アクリルアミドグリコール酸(2-acrylamidoglycolic acid monohydrate)を使用してキトサン−2−アクリルアミドグリコール酸を合成した。合成されたキトサン−2−アクリルアミドグリコール酸とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行した結果、2分以内にキトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0091】
(実施形態4)
実施形態1の水溶性キトサンの代りにヒアルロン酸(MW10k〜100k)を使用し、メタアクリル酸の代りにN−(3−アミノプロピル)メタアクリルアミド(N-(3-Aminopropyl)methacrylamide(APM))を使用してヒアルロン酸−N−(3−アミノプロピル)メタアクリルアミド生成物を合成した。ヒアルロン酸−N−3−アミノプロピルメタアクリルアミドとポリエチレンオキサイドを反応させて24時間以内にヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0092】
(実施形態5)
実施形態1のキトサン−メタアクリレートと実施形態2のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートを25%対75%の割合で混合した溶液とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行して、2時間以内にキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0093】
(実施形態6)
実施形態1のキトサン−メタアクリレートと実施形態2のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートを50%対50%の割合で混合した溶液とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行した結果、4時間以内にキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0094】
(実施形態7)
実施形態1のキトサン−メタアクリレートと実施形態2のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートを75%対25%の割合で混合した溶液とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行した結果、5時間以内にキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0095】
(実施形態8)
実施形態3のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートと実施形態4のヒアルロン酸−N−(3−アミノプロピル)メタアクリルアミドを75%対25%の割合で混合した溶液とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行した結果、2時間以内にキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0096】
(実施形態9)
実施形態3のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートと実施形態4のヒアルロン酸−N−(3−アミノプロピル)メタアクリルアミドを50%対50%の割合で混合した溶液とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行した結果、4時間以内にキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0097】
(実施形態10)
実施形態3のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートと実施形態4のヒアルロン酸−N−(3−アミノプロピル)メタアクリルアミドを25%対75%の割合で混合した溶液とポリエチレンオキサイドとの反応を実施形態1のように進行した結果、5時間以内にキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0098】
(実施形態11)
実施形態1のキトサン−メタアクリレートと実施形態2のキトサン−アクリレートを混合する過程で、コラーゲンをアセット酸に溶かした溶液[キトサン−(メタ)アクリレートの0.1%(w/w)あるいは0.3%]と共に混合することで、0.1%あるいは0.3%のコラーゲンが添加されたキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0099】
(実施形態12)
実施形態1の2段階において、ハイドロゲルの合成過程で、溶液にコラーゲンをアセト酸に溶かした溶液[キトサン−(メタ)アクリレートの0.1%あるいは0.3%(w/w)]と共に混合することで、0.1%あるいは0.3%のコラーゲンが添加されたキトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドあるいはキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0100】
(実施形態13)
実施形態1の2段階において、ハイドロゲルの合成過程で、フィブロネクチンを超純水に溶かした溶液[キトサン−(メタ)アクリレートの0.1%あるいは0.3%(w/w)]と共に混合することで、0.1%あるいは0.3%のフィブロネクチンが添加されたキトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドあるいはキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0101】
(実施形態14)
実施形態1のキトサン−メタアクリレートと実施形態3のキトサン−アクリレートを混合する過程で、フィブロネクチンを超純水溶媒に溶かした溶液[キトサン−(メタ)アクリレートの0.1%(w/w)あるいは0.3%]と共に混合することで、フィブロネクチンが添加されたキトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドあるいはキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0102】
(実施形態15)
実施形態9において、ハイドロゲルの合成過程で、フィブロネクチンを超純水に溶かしたキトサン溶液[キトサン−アクリレートの0.3%(w/w)]とヒアルロン酸−メタアクリレート溶液を混合することで、0.3%のフィブロネクチンが添加されたキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0103】
(実施形態16)
ハイドロゲル合成過程で、実施形態1の2段階及び実施形態3で合成されたキトサンメタアクリレート及びキトサンアクリレート混合重量の0.1%または0.3%に該当するコラーゲンを滅菌蒸溜水に溶かした5μLまたは15μLのコラーゲン溶液と5,000平滑筋細胞が含まれた10μLの細胞懸濁液を1.5mLマイクロコニカルチューブ(micro-conical tube)に各々用意する。更に他の1.5mLマイクロコニカルチューブにチオール基を含むポリエチレンオキサイド−トリエタノールアミン溶液300μLとキトサン−アクリレート及びキトサン−メタアクリレートの混合物−トリエタノールアミン溶液300μLを各々用意する。用意したコラーゲン溶液に平滑筋細胞懸濁液を含めた後、混合して細胞−コラーゲン溶液を製造し、またポリエチレンオキサイド溶液と2次的に混合させる。上記の細胞−コラーゲン−ポリエチレンオキサイド溶液をキトサン−アクリレート及びキトサン−メタアクリレート溶液と混合して細胞が含まれたキトサンメタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイド−コラーゲンハイドロゲルを製造した。
【0104】
(実施形態17)
実施形態16のコラーゲンの代りに、フィブロネクチンを使用して細胞が含まれたキトサンメタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイド−フィブロネクチンハイドロゲルを製造した。
【0105】
(実施形態18)
実施形態16のキトサン−メタアクリレートの代りに、ヒアルロン酸−メタアクリレートを使用して細胞が含まれたキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイド−コラーゲンハイドロゲルを製造した。
【0106】
(実施形態19)
実施形態18において、ハイドロゲル合成過程で、溶液にコラーゲンの代わりにフィブロネクチンをトリエタノールアミン溶媒に溶かした溶液[キトサン−アクリレート及びヒアルロン酸−メタアクリレートの0.3%(w/w)]と共に混合してフィブロネクチンが添加されたキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイド−フィブロネクチンハイドロゲルを製造した。
【0107】
(実施形態20)
実施形態18において、ハイドロゲル合成過程で、溶液にコラーゲンの代わりにCGRGDGCペプチドをトリエタノールアミン溶媒に溶かした溶液[キトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレートの0.3%(w/w)]と共に混合してシステインアミノ酸を含むペプチド−キトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造した。
【0108】
(実施形態21)
アジピン酸ジヒドラジドの片方の末端をtert−ブチル基で保護されたtert−ブチルアジピン酸ヒドラジド合成し、合成された生成物をヒアルロン酸と化学的に一次的に結合させてヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドを合成した。ヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドのtert−ブチル基を除去した後、アクリル酸と結合させてヒアルロン酸−アクリレートを合成してポリエチレンオキサイドと反応させる下記の段階を経て、ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0109】
1段階−アジピン酸ジヒドラジドの片方の末端保護過程:(1)アジピン酸ジヒドラジド(MW174g/mol)3.5gをテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran):水(THF/H2O)混合溶媒30mLに溶かしてアジピン酸ヒドラジド溶液を製造する。(2)ジ−tert−ブチルジカルボネート(BOC2O)2.4gをTHF/H2O混合溶媒に溶かす。(3)ジ−tert−ブチルジカルボネート量の2.5倍に該当するNaHCO3 2.3gをジ−tert−ブチルジカルボネート溶液に添加する。(4)アジピン酸ジヒドラジド溶液にジ−tert−ブチルジカルボネートとNaHCO3溶液をゆっくり添加して反応させた後、凍結乾燥させる。(5)純水50mLを添加して溶解した後、tert−ブチルグループが片方の末端のヒドラジド結合されたアジピン酸ヒドラジドtert−ブチルヒドラジド物質を合成した。(6)tert−ブチルグループが両方の末端のヒドラジドに結合されたアジピン酸を分離させて除去して、純粋なアジピン酸ヒドラジドtert−ブチルヒドラジドのみを獲得して凍結乾燥させて粉末として得た。
【0110】
2段階−片方の末端が保護されたヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジド化合物製造過程:(1)ヒアルロン酸0.68g(1.7mmol)とtert−ブチルカルボネートにより保護されたアジピン酸tert−ブチルグループヒドラジドMW=274、6.8mmol)を純水40mLに溶かす。(2)1-hydroxybenzotriazole hydrate(MW=135)0.9g(6.8mmol)とEDC 1.1g(MW155、6.8mmol)をジメチルスルファーオキサイドと純水(1:1)混合溶媒10mLに溶解した後、ヒアルロン酸溶液に添加して反応を進行させる。(3)エタノール500mLにヒアルロン酸溶液を添加して沈殿させて分離する。(4)ヒアルロン酸を2日間凍結乾燥させてtert−アジピン酸ブチルグループヒドラジド−ヒアルロン酸を獲得した(図8−b)。
【0111】
3段階−アミン保護基の除去:(1)tert−アジピン酸ブチルグループヒドラジド−ヒアルロン酸0.6g(MW 632g/mol、0.95mmol)を蒸溜水6mL(10%)に溶解する。(2)塩化水素−メタノール(1:1)混合溶媒をtert−アジピン酸ブチルグループヒドラジド−ヒアルロン酸溶液にゆっくり加えて常温で1−2時間の間反応させる。(3)エタノール100mLに洗浄した後、凍結乾燥してサンプルを獲得した。
【0112】
4段階−ヒアルロン酸−アジピン酸−アクリレート合成:ヒアルロン酸−アジピン酸0.6g(MW=532g/mol)とアクリル酸0.3g(MW=72g/mol、4mmol)を蒸溜水40mLに溶解する。(2)EDC 0.7g(MW155)を添加して反応を進行させる。(3)生成物を沈殿及び凍結乾燥してヒアルロン酸−アクリレートサンプルを獲得した(図8−c)。
【0113】
5段階−ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル合成:(1)ヒアルロン酸−アジピン酸−アクリレート(以下、“ヒアルロン酸アクリレート”と称する)をトライエタノールアミン(triethanol amine buffer)に溶解させて10%(w/v)溶液で製造した。(2)6個のチオール作用基を有するポリエチレンオキサイドをトリエタノールバッファーに溶かして20%(w/v)溶液を製造した。(3)上記の2つの溶液を混合した結果、2−3分以内のハイドロゲルが合成され始めて、透明なヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成した。
【0114】
(実施形態22)
実施形態9のキトサン−2−カルボキシエチルアクリレートの代りに、実施形態21のヒアルロン酸−アクリレートと実施形態9のヒアルロン酸−N−(3−アミノプロピル)メタアクリルアミドを50:50の割合で混合して混合溶液を製造した後、上記混合溶液とポリエチレンオキサイド溶液と混合してヒアルロン酸アクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドは1時間以内にハイドロゲルを合成した。
【0115】
(実施形態23)
実施形態21のヒアルロン酸−アクリレートと実施形態1のキトサン−メタアクリレートを50:50の割合で混合して混合溶液を製造した後、ポリエチレンオキサイド溶液と混合してヒアルロン酸アクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを1時間以内に合成が進行されることを確認した。
【0116】
(実験例1)
実施形態1及び3のキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲル及びキトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルとキトサンサンプルに対し、NMRを使用して評価した結果、アクリレートとメタアクリレートがキトサンに化学結合されていることを確認した(図7)。
【0117】
(実験例2)
実験例1のキトサン−メタアクリレート溶液とポリエチレンオキサイド溶液を混合した後、レオメータ(Rheometer)を使用して評価した結果、1分以内にキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルが合成され始めていることを粘性及び弾性モジュラス変化を観察して確認した(図9−a)。
【0118】
(実験例3)
実施形態8のキトサン−アクリレート75%とヒアルロン酸−アミノプロピルメタアクリレート25%で構成された混合溶液とポリエチレンオキサイド溶液を混合することにより形成される溶液の変化を時間によってレオメータ(Rheometer)で評価した結果、1分以内にキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルが合成され始めていることを確認した(図9−b)。
【0119】
(実験例4)
実施形態9のキトサン−アクリレート50%とヒアルロン酸−アミノプロピルメタアクリレート50%で構成された混合溶液とポリエチレンオキサイド溶液を混合させて、時間によってレオメータ(Rheometer)で評価した結果、5分以内にキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルが合成され始めることを確認した(図9−c)。
【0120】
(実験例5)
実施形態21において、100%のヒアルロン酸アクリレートとポリエチレンオキサイド溶液を混合させて、時間によってレオメータ(Rheometer)で評価した結果、1分以内にヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルが合成され始めることを確認した(図9−d)。
【0121】
(実験例6)
実施形態1の2段階で製造したキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの表面に2,000及び10,000cells/cm2濃度の平滑筋細胞を6時間及び3日間in vitro培養して細胞付着性を光学顕微鏡で観察し、cell counting kit-8染色剤を添加して細胞増殖性をマイクロプレートリーダ(Microplate Reader)で評価した結果、optical density(OD)値が増加されることを観察することによって、細胞が生きて増殖されることを確認した(図10)。
【0122】
(実験例7)
実施形態4と実施形態8乃至10の100%ヒアルロン酸−メタアクリレートハイドロゲル、ヒアルロン酸メタアクリレート75%とキトサン−アクリレート25%の混合ハイドロゲル、ヒアルロン酸−メタアクリレート50%とキトサン−アクリレート50%の混合ハイドロゲル、ヒアルロン酸−メタアクリレート25%とキトサン−アクリレート75%の混合ハイドロゲルに対し、37℃、5% CO2条件の細胞培養器で平滑筋細胞培養を6時間進行して、細胞の増殖と付着を観察した結果、細胞付着性が各々違うことを観察した(図11)。
【0123】
(実験例8)
実験例9のヒアルロン酸−メタアクリレート50%とキトサン−アクリレート50%の混合ハイドロゲル、実施形態10のヒアルロン酸−メタアクリレート25%とキトサン−アクリレート75%の混合ハイドロゲル、及び実施形態3の100%キトサン−アクリレートハイドロゲルをポリスチレン細胞培養フラスコの上に37℃、5% CO2条件の細胞培養器で平滑筋細胞培養を6時間進行して、細胞の増殖と付着を観察した結果、細胞付着性が各々違うことを観察した(図11)。
【0124】
(実験例9)
実施形態9のヒアルロン酸メタアクリレート(50%)−キトサンアクリレート(50%)溶液とポリエチレンオキサイド溶液に0.2%フィブロネクチン(w/w)を含めて、ヒアルロン酸メタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを合成して37℃、5% CO2条件の細胞培養器でin vitro細胞培養を1週間まで進行して細胞数の増殖と付着を観察した結果、フィブロネクチンを含めた場合が細胞付着性が向上した(図12−E)。
【0125】
(実験例10)
実施形態9のヒアルロン酸メタアクリレート(50%)−キトサンアクリレート(50%)の混合溶液とポリエチレンオキサイド溶液に0.2%のCGRGDGCペプチドを含めた混合溶液を用いて製造したヒアルロン酸メタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルに対し、37℃、5% CO2条件の細胞培養器でin vitro細胞培養を1週間まで進行して、細胞数の増殖と付着を観察した結果、CGRGDGCペプチドを含めた場合が細胞付着性が向上した(図12−F)。
【0126】
(実験例11)
実施形態16のように、キトサンメタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイド−コラーゲンハイドロゲルに細胞を含めて37℃、5% CO2条件の細胞培養器でin vitro細胞培養を1週間まで進行して細胞数の増殖と付着を観察した結果、細胞適合性が向上することを観察した。
【0127】
(実験例12)
実験例6のキトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの代りに、ヒアルロン酸メタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルに変えて、細胞付着性と増殖性を評価した。
【0128】
(実験例13)
実施形態21で製造したヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドtert−ブチルヒドラジドとヒアルロン酸−アジピン酸アクリレート化合物をNMRで分析した結果、ヒアルロン酸を対照群にした各化合物の固有ピークを確認することによって、生成物を確認した(図8−a、band c)。
【0129】
(実験例14)
実施形態21で製造したヒアルロン酸−アクリレート(50%)と実施形態4で製造したヒアルロン酸−メタアクリレート(50%)を混合させて製造した混合溶液とポリエチレンオキサイド溶液を1:1の割合で混合した1mL混合溶液を20mL注射器に入れて注射器ポンプ(syringepump)を使用して80mLのジクロロメテイン溶媒にゆっくり落としながら、同時にマグネチック撹拌器を用いてヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド溶液を3,500rpmで撹拌させた。界面活性剤をゆっくり添加しながら反応を進行したし、漏斗を用いてフィルタリングして生成物を濾過した後、冷凍乾燥させた。乾燥サンプルは水溶液に水化して光学顕微鏡で観察(図13−A)及び乾燥されたサンプルは電子顕微鏡(図13−B)で観察した結果、150−200μmサイズのマイクロビーズが形成されることを観察した。
【0130】
以上の説明は、本発明を例示的に説明したことに過ぎないものであって、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で多様な変形が可能である。したがって、本明細書に開示された実施形態は本発明を限定するためのものでなく、説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の思想と範囲が限るのではない。本発明の範囲は下記の請求範囲により解されなければならなくて、それと同等な範囲内にある全ての技術は本発明の権利範囲に含まれることと解されているべきである。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明のキトサン−メタアクリレート化合物の化学反応式の例である。
【図2】本発明のキトサン−アクリレート化合物の化学反応式の例である。
【図3】本発明のヒアルロン酸−メタアクリレート化合物の化学反応式の例である。
【図4】本発明のヒアルロン酸がtert−ブチル基により保護されたヒアルロン酸−アジピン酸ジヒドラジド(HA−ADH−BOC)化合物の化学反応式の例である。
【図5】図4において、tert−ブチル基が除去されたヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジド化合物(HA−ADH)とアクリル酸の反応により生成されたヒアルロン酸−アジピン酸−アクリレート化合物(ヒアルロン酸−アクリレート:HA−Ac)の化学反応式である。
【図6】本発明の方法により製造されたキトサン(あるいは、ヒアルロン酸)−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの(A)化学反応式、(B)キトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルネットワークの模式図である。
【図7】本発明の方法により製造されたキトサン誘導体のNMR結果であって、(A)はキトサン−アクリレート、(B)はキトサン−メタアクリレート、(C)はキトサンを示す。
【図8a】本発明の方法により製造されたヒアルロン酸誘導体のNMR結果であって、(A)はヒアルロン酸である。
【図8b】本発明の方法により製造されたヒアルロン酸誘導体のNMR結果であって、(B)はtert−ブチル基が保護されたヒアルロン酸−アジピン酸ヒドラジドtert−ブチルヒドラジド化合物である。
【図8c】本発明の方法により製造されたヒアルロン酸誘導体のNMR結果であって、(C)はヒアルロン酸−アジピン酸−アクリレート化合物(ヒアルロン酸−アクリレート:HA−Ac)である。
【図9a】本発明の方法により製造されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルのレオロジーグラフであって、(A)はキトサン−アクリレート100%を用いた場合を表す。
【図9b】本発明の方法により製造されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルのレオロジーグラフであって、(B)はキトサン−アクリレート75%:ヒアルロン酸−アミノプロピルメタアクリレート25%を用いた場合を表す。
【図9c】本発明の方法により製造されたキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルのレオロジーグラフであって、(C)はキトサンアクリレート50%:ヒアルロン酸−アミノプロピルメタアクリレート50%を用いた場合を表す。
【図9d】ヒアルロン酸−アジピン酸−アクリレートを用いて製造されたヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルのレオロジーグラフである。
【図10】キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの上に平滑筋細胞を培養した後、6時間及び3日に観察した細胞増殖性評価結果である。
【図11】本発明の方法により100%キトサンを用いて製造したハイドロゲル、ヒアルロン酸(HA)75%とキトサン25%を用いて製造したヒアルロン酸−キトサンハイドロゲル、ヒアルロン酸(HA)50%とキトサン50%を用いて製造したキトサン−ヒアルロン酸ハイドロゲル及びヒアルロン酸(HA)25%とキトサン75%を用いて製造したヒアルロン酸−キトサンハイドロゲルに細胞培養を6時間の間進行した結果の光学顕微鏡写真である。
【図12】本発明の方法により100%のキトサンを用いて製造したキトサンハイドロゲル、ヒアルロン酸(HA)25%とキトサン75%を用いて製造したキトサン−ヒアルロン酸ハイドロゲル、ヒアルロン酸(HA)50%とキトサン50%を用いて製造したキトサン−ヒアルロン酸ハイドロゲル、及びポリスチレン細胞培養フラスコ上で細胞培養を3日間進行した結果の光学顕微鏡写真である。
【図13】本発明の方法により製造された50%のヒアルロン酸−アクリレート溶液と50%のヒアルロン酸−メタアクリレート溶液を混合した後、ポリエチレンオキサイド溶液を混合したヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイド混合溶液を用いて製造したヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズの形状である。(A):光学顕微鏡観察の形状、(B):電子顕微鏡観察の形状。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサンアクリレート誘導体とメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサンメタアクリレート誘導体との混合物と、チオール作用基を有する物質との間の共有結合により形成されたキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルであることを特徴とする、キトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項2】
アクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸アクリレート誘導体とメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸メタアクリレート誘導体との混合物とチオール作用基を有する物質との間の共有結合により形成されたヒアルロン酸アクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルであることを特徴とする、ヒアルロン酸アクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項3】
アクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサンアクリレート誘導体とメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸メタアクリレート誘導体との混合物とチオール作用基を有する物質との間の共有結合により形成されたキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルであることを特徴とする、キトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項4】
アクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸アクリレート誘導体とメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサンメタアクリレート誘導体との混合物とチオール作用基を有する物質との間の共有結合により形成されたキトサンメタアクリレート−ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルであることを特徴とする、キトサンメタアクリレート−ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項5】
マイクロビーズとして提供される、請求項1乃至4のうち、いずれか1項記載のキトサン−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、またはキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項6】
アクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質が、アクリル酸(acrylic acid)、メタアクリル酸(methacrylic acid)、アジピン酸ヒドラジドジアミドアクリレート、アクリルアミド(acrylamide)、メタアクリルアミド(methacrylamide)アルキル−(メタ)アクリルアミド[alkyl-(meth)acrylamide]、N−モノ−(メタ)アクリルアミド(N-mono-(meth)acrylamide)、N、N−ジ−C1−C4−アルキル−(メタ)アクリルアミド(N、N-di-C1-C4alkyl-(meth)acrylamide)、N−ブチル(メタ)アクリレート(N-butyl(meth)acrylate)、メチル(メタ)アクリレート[methyl(meth)acrylate]、エチル(メタ)アクリレート[ethyl(meth)acrylate]、イソボルニル(メタ)アクリレート[isobornyl(meth)acrylate]、シクロヘキシル(メタ)アクリレート[cyclohexyl(meth)acrylate]、ヒドロキシエチルアクリレート(hydroxyethyl acrylate)、ヒドロキシエチルメタアクリレート(hydroxyethyl methacrylate)、ヒドロキシプロピルアクリレート(hydroxypropyl acrylate)、ヒドロキシプロピルメタアクリレート(hydroxypropyl methacrylate)、ヒドロキシブチルアクリレート(hydroxybutyl acrylate)、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド[N-(2-hydroxyethyl)acrylamide]、N−メチルアクリルアミド(N-methyl acrylamide)、N−ブトキシメチルアクリルアミド(N-butoxymethyl acrylamide)、N−メトキシメチルアクリルアミド(N-methoxymethyl acrylamide)、N−メトキシメチルメタアクリルアミド(N-methoxymethyl methacrylamide)、2−アクリルアミドグリコール酸(2-acrylamidoglycolic acid)及び2−カルボキシエチルアクリレート(2-carboxyethyl acrylate)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1乃至5のうち、いずれか1項記載のキトサン(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、ヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、またはキトサン−(メタ)アクリレート−ヒアルロン酸−(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項7】
アクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質がアクリルアミド(acrylamide)、メタアクリルアミド(methacrylamide)、アリールアミン(allylamine)、アジピン酸ヒドラジドヒドラジドアミドアクリレート(adipic acid hydrazide hydrazideamideacrylate)、及びアミノプロピルメタアクリレート(aminopropylmethacrylate)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6記載のヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項8】
チオール作用基を有する物質がポリエチレンオキサイドと共にシステインを含有するペプチド、またはタンパク質であることを特徴とする、請求項1乃至7のうち、いずれか1項記載のキトサン(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、キトサン(メタ)アクリレート−ヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、またはヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項9】
組織再生誘導用である、請求項1乃至6のうち、いずれか1項記載のキトサンメタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、ヒアルロン酸メタアクリレート−ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、またはキトサン(メタ)アクリレート−ヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項10】
請求項9で規定したハイドロゲルに生理活性物質を担持させたことを特徴とする、生理活性物質伝達体(delivery carrier)。
【請求項11】
生理活性物質が有機化合物、抽出物、タンパク質、ペプチド、核酸、細胞外基質物質及び細胞、及び無機化合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項10記載の生理活性物質伝達体。
【請求項12】
有機化合物が抗生剤、抗癌剤、消炎剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、及びホルモンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項11記載の生理活性物質伝達体。
【請求項13】
タンパク質がホルモン、サイトカイン、酵素、抗体、成長因子、転写調節因子、血液因子、ワクチン、構造タンパク質、リガンドタンパク質、受容体、細胞表面抗原及び受容体拮抗物質からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11記載の生理活性物質伝達体。
【請求項14】
細胞外基質物質がコラーゲン(collagen)、フィブロネクチン(fibronectin)、ゼラチン(gelatin)、エラスチン(elastin)、オステオカルシン(osteocalcin)、フィブリノゲン(fibrinogen)、フィブロモジュリン(fibromodulin)、テナシン(tenascin)、ラミニン(laminin)、オステオポンチン(osteopontin)、オステオネクチン(osteonectin)、パーレカン(perlecan)、バーシカン(versican)、フォンヴィルブランド因子(von Willebrand factor)、フィブリン(fibrin)、及びビトロネクチン(vitronectin)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11記載の生理活性物質伝達体。
【請求項15】
細胞が繊維芽細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞、神経細胞、骨細胞、皮膚細胞、軟骨細胞、シュワン細胞、及び幹細胞からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11記載の生理活性物質伝達体。
【請求項16】
無機化合物は、ヒドロキシアパタイト(hydroxyapatite)、トリカルシウムフォスフェート(tricalciumphosphate)、ヒドロキシアパタイト−トリカルシウムフォスフェート混合物から構成された粒子あるいはタンパク質でコーティングされた前記無機化合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11記載の生理活性物質伝達体。
【請求項17】
(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、
(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン−アクリレート誘導体を製造する段階と、
(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン−メタアクリレート誘導体を製造する段階と、
(d)前記キトサン誘導体混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階と、
を含むことを特徴とする、請求項1で規定されるキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの製造方法。
【請求項18】
(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−アクリレート誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−メタアクリレート誘導体を製造する段階と、
(d)前記ヒアルロン酸誘導体混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階と、
を含むことを特徴とする、請求項2で規定されるヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの製造方法。
【請求項19】
(a)水溶性キトサン溶液と水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)キトサンを(メタ)アクリレートを有する物質と共有結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸を(メタ)アクリレートを有する物質と共有結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、
(d)キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体の混合物とチオール作用基を有する物質とを共有結合させる段階と、
を含むことを特徴とする、請求項3または4で規定されるキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの製造方法。
【請求項20】
(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、
(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン−アクリレート誘導体を製造する段階と、
(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン−メタアクリレート誘導体を製造する段階と、
(d)生理活性物質を前記キトサン誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階と、
(e)生理活性物質を担持したままで前記キトサン誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階と、
を含むことを特徴とする、請求項10の生理活性物質伝達体の製造方法。
【請求項21】
(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−アクリレート誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−メタアクリレート誘導体を製造する段階と、
(d)生理活性物質を前記ヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階と、
(e)生理活性物質を担持したままで前記ヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階と、
を含むことを特徴とする、請求項10の生理活性物質伝達体の製造方法。
【請求項22】
(a)水溶性キトサン溶液と水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)キトサンを(メタ)アクリレートを有する物質と共有結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸を(メタ)アクリレートを有する物質と共有結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、
(d)生理活性物質を前記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体、またはチオール作用基を有する物質と混合する段階と、
(e)生理活性物質を担持したままで前記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階と、
を含むことを特徴とする、請求項10の生理活性物質伝達体の製造方法。
【請求項23】
(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、
(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、
(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、
(d)前記キトサン誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と混合して混合液を製造する段階と、
(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に前記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、
(f)分散されたキトサン誘導体とポリエチレンオキサイドとからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階と、
を含むことを特徴とする、キトサンメタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズの製造方法。
【請求項24】
(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、
(d)前記ヒアルロン酸誘導体混合物をチオール作用基を有する物質と混合して混合溶液を製造する段階と、
(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に前記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、
(f)分散されたヒアルロン酸誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階と、
を含むことを特徴とする、ヒアルロン酸アクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズの製造方法。
【請求項25】
(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)キトサンをアクリレートあるいはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸をアクリレートあるいはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、
(d)前記キトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体との混合溶液をチオール作用基を有する物質溶液と混合させる段階と、
(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に前記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、
(f)溶液中に分散されたキトサン誘導体、ヒアルロン酸誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階と、
を含むことを特徴とする、キトサン(メタ)アクリレート−ヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズの製造方法。
【請求項26】
(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、
(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサンアクリレート誘導体を製造する段階と、
(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサンメタアクリレート誘導体を製造する段階と、
(d)前記キトサン(メタ)アクリレート誘導体混合物あるいはチオール作用基を有する物質の混合溶液に生理活性物質を取り込ませ、キトサン(メタ)アクリレート誘導体をチオール作用基を有する物質と混合して生理活性物質を含む混合溶液を製造する段階と、
(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に前記の生理活性物質を含む溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、
(f)分散されたキトサン(メタ)アクリレート誘導体とポリエチレンオキサイドがハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階と、
を含むことを特徴とする、生理活性物質が含まれたキトサン(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズの製造方法。
【請求項27】
(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸アクリレート誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸メタアクリレート誘導体を製造する段階と、
(d)前記ヒアルロン酸(メタ)アクリレート誘導体混合物あるいはチオール作用基を有する物質混合溶液に生理活性物質を取り込ませ、ヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と混合して生理活性物質を含む混合溶液を製造する段階と、
(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に前記の生理活性物質を含む溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、
(f)分散されたヒアルロン酸(メタ)アクリレート誘導体とポリエチレンオキサイドがハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階と、
を含むことを特徴とする、生理活性物質が含まれたヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズの製造方法。
【請求項28】
(a)ジヒドラジドの片方の末端を保護する段階と、
(b)片方の末端が保護されたヒアルロン酸−ヒドラジドtert−ブチルヒドラジド化合物を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸−ヒドラジドtert−ブチルヒドラジドからアミン保護 tert−ブチル基を除去してヒアルロン酸ヒドラジドを製造する段階と、
(d)ヒアルロン酸−ヒドラジドからヒアルロン酸−アクリレートを製造する段階と、
(e)ヒアルロン酸−アクリレートとポリエチレンオキサイドを反応させてヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する段階と、
を含むことを特徴とする、ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの製造方法。
【請求項29】
ジヒドラジドの片方の末端を保護する段階が、ジ−tert−ブチルジカルボネート(di-tert-butyldicarbonate)を、アジピン酸ジヒドラジド(adipic dihydrazide)、オキサル酸ジヒドラジド(oxalic dihydrazide)、オキサルジヒドラジド(oxalyldihydrazide)、コハク酸ジヒドラジド(succinic dihydrazide)、グルタ酸ジヒドラジド(glutaric dihydrazide)、およびエチルマロン酸ジヒドラジド(ethylmalonic dihydrazide)からなる群から選択される化合物と化学結合させることにより行われる、請求項28記載のヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの製造方法。
【請求項30】
請求項28の片方のアミン基が保護された化合物とヒアルロン酸を反応させた後、tert−ブチル基が除去されたヒアルロン酸ヒドラジドと(メタ)アクリレート化合物とを結合させることにより得られる、ヒアルロン酸(メタ)アクリレート化合物。
【請求項1】
アクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサンアクリレート誘導体とメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサンメタアクリレート誘導体との混合物と、チオール作用基を有する物質との間の共有結合により形成されたキトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルであることを特徴とする、キトサンアクリレート−キトサンメタアクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項2】
アクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸アクリレート誘導体とメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸メタアクリレート誘導体との混合物とチオール作用基を有する物質との間の共有結合により形成されたヒアルロン酸アクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルであることを特徴とする、ヒアルロン酸アクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項3】
アクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサンアクリレート誘導体とメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸メタアクリレート誘導体との混合物とチオール作用基を有する物質との間の共有結合により形成されたキトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルであることを特徴とする、キトサンアクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項4】
アクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたヒアルロン酸アクリレート誘導体とメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合されたキトサンメタアクリレート誘導体との混合物とチオール作用基を有する物質との間の共有結合により形成されたキトサンメタアクリレート−ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルであることを特徴とする、キトサンメタアクリレート−ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項5】
マイクロビーズとして提供される、請求項1乃至4のうち、いずれか1項記載のキトサン−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、またはキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項6】
アクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質が、アクリル酸(acrylic acid)、メタアクリル酸(methacrylic acid)、アジピン酸ヒドラジドジアミドアクリレート、アクリルアミド(acrylamide)、メタアクリルアミド(methacrylamide)アルキル−(メタ)アクリルアミド[alkyl-(meth)acrylamide]、N−モノ−(メタ)アクリルアミド(N-mono-(meth)acrylamide)、N、N−ジ−C1−C4−アルキル−(メタ)アクリルアミド(N、N-di-C1-C4alkyl-(meth)acrylamide)、N−ブチル(メタ)アクリレート(N-butyl(meth)acrylate)、メチル(メタ)アクリレート[methyl(meth)acrylate]、エチル(メタ)アクリレート[ethyl(meth)acrylate]、イソボルニル(メタ)アクリレート[isobornyl(meth)acrylate]、シクロヘキシル(メタ)アクリレート[cyclohexyl(meth)acrylate]、ヒドロキシエチルアクリレート(hydroxyethyl acrylate)、ヒドロキシエチルメタアクリレート(hydroxyethyl methacrylate)、ヒドロキシプロピルアクリレート(hydroxypropyl acrylate)、ヒドロキシプロピルメタアクリレート(hydroxypropyl methacrylate)、ヒドロキシブチルアクリレート(hydroxybutyl acrylate)、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド[N-(2-hydroxyethyl)acrylamide]、N−メチルアクリルアミド(N-methyl acrylamide)、N−ブトキシメチルアクリルアミド(N-butoxymethyl acrylamide)、N−メトキシメチルアクリルアミド(N-methoxymethyl acrylamide)、N−メトキシメチルメタアクリルアミド(N-methoxymethyl methacrylamide)、2−アクリルアミドグリコール酸(2-acrylamidoglycolic acid)及び2−カルボキシエチルアクリレート(2-carboxyethyl acrylate)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1乃至5のうち、いずれか1項記載のキトサン(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、ヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、またはキトサン−(メタ)アクリレート−ヒアルロン酸−(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項7】
アクリレートまたはメタアクリレート作用基を有する物質がアクリルアミド(acrylamide)、メタアクリルアミド(methacrylamide)、アリールアミン(allylamine)、アジピン酸ヒドラジドヒドラジドアミドアクリレート(adipic acid hydrazide hydrazideamideacrylate)、及びアミノプロピルメタアクリレート(aminopropylmethacrylate)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6記載のヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項8】
チオール作用基を有する物質がポリエチレンオキサイドと共にシステインを含有するペプチド、またはタンパク質であることを特徴とする、請求項1乃至7のうち、いずれか1項記載のキトサン(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、キトサン(メタ)アクリレート−ヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、またはヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項9】
組織再生誘導用である、請求項1乃至6のうち、いずれか1項記載のキトサンメタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、ヒアルロン酸メタアクリレート−ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル、またはキトサン(メタ)アクリレート−ヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドを基底にするハイドロゲル。
【請求項10】
請求項9で規定したハイドロゲルに生理活性物質を担持させたことを特徴とする、生理活性物質伝達体(delivery carrier)。
【請求項11】
生理活性物質が有機化合物、抽出物、タンパク質、ペプチド、核酸、細胞外基質物質及び細胞、及び無機化合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項10記載の生理活性物質伝達体。
【請求項12】
有機化合物が抗生剤、抗癌剤、消炎剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、及びホルモンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項11記載の生理活性物質伝達体。
【請求項13】
タンパク質がホルモン、サイトカイン、酵素、抗体、成長因子、転写調節因子、血液因子、ワクチン、構造タンパク質、リガンドタンパク質、受容体、細胞表面抗原及び受容体拮抗物質からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11記載の生理活性物質伝達体。
【請求項14】
細胞外基質物質がコラーゲン(collagen)、フィブロネクチン(fibronectin)、ゼラチン(gelatin)、エラスチン(elastin)、オステオカルシン(osteocalcin)、フィブリノゲン(fibrinogen)、フィブロモジュリン(fibromodulin)、テナシン(tenascin)、ラミニン(laminin)、オステオポンチン(osteopontin)、オステオネクチン(osteonectin)、パーレカン(perlecan)、バーシカン(versican)、フォンヴィルブランド因子(von Willebrand factor)、フィブリン(fibrin)、及びビトロネクチン(vitronectin)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11記載の生理活性物質伝達体。
【請求項15】
細胞が繊維芽細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞、神経細胞、骨細胞、皮膚細胞、軟骨細胞、シュワン細胞、及び幹細胞からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11記載の生理活性物質伝達体。
【請求項16】
無機化合物は、ヒドロキシアパタイト(hydroxyapatite)、トリカルシウムフォスフェート(tricalciumphosphate)、ヒドロキシアパタイト−トリカルシウムフォスフェート混合物から構成された粒子あるいはタンパク質でコーティングされた前記無機化合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11記載の生理活性物質伝達体。
【請求項17】
(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、
(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン−アクリレート誘導体を製造する段階と、
(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン−メタアクリレート誘導体を製造する段階と、
(d)前記キトサン誘導体混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階と、
を含むことを特徴とする、請求項1で規定されるキトサン−キトサン−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの製造方法。
【請求項18】
(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−アクリレート誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−メタアクリレート誘導体を製造する段階と、
(d)前記ヒアルロン酸誘導体混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階と、
を含むことを特徴とする、請求項2で規定されるヒアルロン酸−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの製造方法。
【請求項19】
(a)水溶性キトサン溶液と水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)キトサンを(メタ)アクリレートを有する物質と共有結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸を(メタ)アクリレートを有する物質と共有結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、
(d)キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体の混合物とチオール作用基を有する物質とを共有結合させる段階と、
を含むことを特徴とする、請求項3または4で規定されるキトサン−ヒアルロン酸−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの製造方法。
【請求項20】
(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、
(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン−アクリレート誘導体を製造する段階と、
(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン−メタアクリレート誘導体を製造する段階と、
(d)生理活性物質を前記キトサン誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階と、
(e)生理活性物質を担持したままで前記キトサン誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階と、
を含むことを特徴とする、請求項10の生理活性物質伝達体の製造方法。
【請求項21】
(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−アクリレート誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸−メタアクリレート誘導体を製造する段階と、
(d)生理活性物質を前記ヒアルロン酸誘導体またはチオール作用基を有する物質と混合する段階と、
(e)生理活性物質を担持したままで前記ヒアルロン酸誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階と、
を含むことを特徴とする、請求項10の生理活性物質伝達体の製造方法。
【請求項22】
(a)水溶性キトサン溶液と水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)キトサンを(メタ)アクリレートを有する物質と共有結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸を(メタ)アクリレートを有する物質と共有結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、
(d)生理活性物質を前記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体、またはチオール作用基を有する物質と混合する段階と、
(e)生理活性物質を担持したままで前記キトサン誘導体及びヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と共有結合させる段階と、
を含むことを特徴とする、請求項10の生理活性物質伝達体の製造方法。
【請求項23】
(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、
(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、
(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、
(d)前記キトサン誘導体の混合物をチオール作用基を有する物質と混合して混合液を製造する段階と、
(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に前記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、
(f)分散されたキトサン誘導体とポリエチレンオキサイドとからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階と、
を含むことを特徴とする、キトサンメタアクリレート−キトサンアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズの製造方法。
【請求項24】
(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、
(d)前記ヒアルロン酸誘導体混合物をチオール作用基を有する物質と混合して混合溶液を製造する段階と、
(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に前記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、
(f)分散されたヒアルロン酸誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階と、
を含むことを特徴とする、ヒアルロン酸アクリレート−ヒアルロン酸メタアクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズの製造方法。
【請求項25】
(a)水溶性キトサン溶液及び水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)キトサンをアクリレートあるいはメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサン誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸をアクリレートあるいはメタアクリレートを有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸誘導体を製造する段階と、
(d)前記キトサン誘導体とヒアルロン酸誘導体との混合溶液をチオール作用基を有する物質溶液と混合させる段階と、
(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に前記混合溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、
(f)溶液中に分散されたキトサン誘導体、ヒアルロン酸誘導体とポリエチレンオキサイドからハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階と、
を含むことを特徴とする、キトサン(メタ)アクリレート−ヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズの製造方法。
【請求項26】
(a)水溶性キトサン溶液を製造する段階と、
(b)キトサンをアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサンアクリレート誘導体を製造する段階と、
(c)キトサンをメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてキトサンメタアクリレート誘導体を製造する段階と、
(d)前記キトサン(メタ)アクリレート誘導体混合物あるいはチオール作用基を有する物質の混合溶液に生理活性物質を取り込ませ、キトサン(メタ)アクリレート誘導体をチオール作用基を有する物質と混合して生理活性物質を含む混合溶液を製造する段階と、
(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に前記の生理活性物質を含む溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、
(f)分散されたキトサン(メタ)アクリレート誘導体とポリエチレンオキサイドがハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階と、
を含むことを特徴とする、生理活性物質が含まれたキトサン(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズの製造方法。
【請求項27】
(a)水溶性ヒアルロン酸溶液を製造する段階と、
(b)ヒアルロン酸をアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸アクリレート誘導体を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸をメタアクリレート作用基を有する物質と架橋結合させてヒアルロン酸メタアクリレート誘導体を製造する段階と、
(d)前記ヒアルロン酸(メタ)アクリレート誘導体混合物あるいはチオール作用基を有する物質混合溶液に生理活性物質を取り込ませ、ヒアルロン酸誘導体をチオール作用基を有する物質と混合して生理活性物質を含む混合溶液を製造する段階と、
(e)疏水性溶媒と界面活性剤が含まれた溶液に前記の生理活性物質を含む溶液を滴下して混合溶液をその中に分散させる段階と、
(f)分散されたヒアルロン酸(メタ)アクリレート誘導体とポリエチレンオキサイドがハイドロゲルマイクロビーズを形成させ、このマイクロビーズを回収する段階と、
を含むことを特徴とする、生理活性物質が含まれたヒアルロン酸(メタ)アクリレート−ポリエチレンオキサイドマイクロビーズの製造方法。
【請求項28】
(a)ジヒドラジドの片方の末端を保護する段階と、
(b)片方の末端が保護されたヒアルロン酸−ヒドラジドtert−ブチルヒドラジド化合物を製造する段階と、
(c)ヒアルロン酸−ヒドラジドtert−ブチルヒドラジドからアミン保護 tert−ブチル基を除去してヒアルロン酸ヒドラジドを製造する段階と、
(d)ヒアルロン酸−ヒドラジドからヒアルロン酸−アクリレートを製造する段階と、
(e)ヒアルロン酸−アクリレートとポリエチレンオキサイドを反応させてヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルを製造する段階と、
を含むことを特徴とする、ヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの製造方法。
【請求項29】
ジヒドラジドの片方の末端を保護する段階が、ジ−tert−ブチルジカルボネート(di-tert-butyldicarbonate)を、アジピン酸ジヒドラジド(adipic dihydrazide)、オキサル酸ジヒドラジド(oxalic dihydrazide)、オキサルジヒドラジド(oxalyldihydrazide)、コハク酸ジヒドラジド(succinic dihydrazide)、グルタ酸ジヒドラジド(glutaric dihydrazide)、およびエチルマロン酸ジヒドラジド(ethylmalonic dihydrazide)からなる群から選択される化合物と化学結合させることにより行われる、請求項28記載のヒアルロン酸アクリレート−ポリエチレンオキサイドハイドロゲルの製造方法。
【請求項30】
請求項28の片方のアミン基が保護された化合物とヒアルロン酸を反応させた後、tert−ブチル基が除去されたヒアルロン酸ヒドラジドと(メタ)アクリレート化合物とを結合させることにより得られる、ヒアルロン酸(メタ)アクリレート化合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−518498(P2009−518498A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544236(P2008−544236)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【国際出願番号】PCT/KR2006/003383
【国際公開番号】WO2007/083870
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(508169421)ソウル ナショナル ユニバーシティー オブ テクノロジー センター フォー インダストリー コラボレーション (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【国際出願番号】PCT/KR2006/003383
【国際公開番号】WO2007/083870
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(508169421)ソウル ナショナル ユニバーシティー オブ テクノロジー センター フォー インダストリー コラボレーション (1)
【Fターム(参考)】
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