説明

キナーゼインヒビターとしてのピラゾロトリアジン

【課題】CDKに関連した疾患および障害を治療または予防または軽減する際に有用な化合物を提供すること。
【解決手段】その多くの実施形態において、本発明は、キナーゼ(例えば、サイクリン依存性キナーゼ)のインヒビターとしての新規種類のピラゾロ[1,5−a]トリアジン化合物、このような化合物を調製する方法、1種またはそれ以上のこのような化合物を含有する医薬組成物、1種またはそれ以上のこのような化合物を含有する医薬組成物を調製する方法、およびこのような化合物または医薬処方物を使用してキナーゼに関連した1種またはそれ以上の疾患を治療、予防、阻止または軽減する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、プロテインキナーゼインヒビター(例えば、サイクリン依存性キナーゼ、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK/ERK)、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3β)、チェックポイントキナーゼ−1(「CHK−1」)、チェックポイントキナーゼ−2(「CHK−2」)、Auroraキナーゼ(例えば、Aurora A、BおよびC)、プロテインキナーゼB(例えば、セリン/スレオニンキナーゼ(例えば、AKT1、AKT2およびAKT3))などのインヒビター)として有用なピラゾロ[1,5−a]トリアジン化合物、該化合物を含有する医薬組成物、および該化合物および組成物を使用して疾患(例えば、癌、炎症、関節炎、ウイルス性の病気、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、循環器病および真菌性の病気)を治療する方法に関する。本願は、2004年2月25日に出願された米国仮出願第60/547,685号から優先権を主張している。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
プロテインキナーゼインヒビターとしては、例えば、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK/ERK)、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3β)、チェックポイントキナーゼ−1(「CHK−1」)、チェックポイントキナーゼ−2(「CHK−2」)、Auroraキナーゼ(例えば、Aurora A、BおよびC)、プロテインキナーゼB(例えば、セリン/スレオニンキナーゼ(例えば、AKT1、AKT2およびAKT3)などのインヒビターが挙げられる。プロテインキナーゼインヒビターは、例えば、特許文献1において、M.Haleらにより、また、非特許文献1において、記載されている。サイクリン依存性キナーゼは、セリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、これは、細胞周期および細胞増殖の背後での駆動力である。個々のCDK(CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6およびCDK7、CDK8など)は、細胞周期の進行において別個の役割を果たし、G1期、S期またはG2M期の酵素のいずれかとして分類され得る。制御されていない増殖は、癌細胞の顕著な特徴であり、CDK機能の制御の失敗が、多くの重要な固体腫瘍において高頻度で生じている。CDK2およびCDK4は、特に重要である。なぜならば、これらの活性は、広範な種々のヒト癌においてしばしば制御に失敗しているからである。CDK2活性は、細胞周期のG1期からS期への進行に必要とされ、そして、CDK2は、G1チェックポイントの重要な構成要素の1つである。チェックポイントは、細胞周期事象の適切な順序を維持し、細胞が損傷または増殖シグナルに応答することを可能にするように働く一方で、癌細胞における適切なチェックポイント制御の喪失は、腫瘍形成に寄与している。CDK2経路は、腫瘍サプレッサー機能(例えば、p52、RBおよびp27)およびオンコジーン活性化(サイクリンE)のレベルで、腫瘍形成に影響を及ぼす。多くの報告が、CDK2のコアクチベーターであるサイクリンEとCDK2のインヒビターであるp27の両方が、それぞれ、乳房、結腸、非小細胞肺、胃、前立腺、膀胱、非ホジキンリンパ腫、卵巣および他の癌において過剰発現されているか、または、過小発現されているかのいずれかであることを示している。これらの変更された発現は、CDK2活性レベルの増加と全体的な生存率が乏しいことと相関しているこが示されている。これらの観察は、CDK2およびその調節経路を、何年もの間の開発標的にさせ、多数のアデノシン5’−三リン酸(ATP)競合的な有機低分子ならびにペプチドが、癌の強力な処置のためのCDKインヒビターとして、文献に報告されている。特許文献2の第1欄、第23行〜第15欄、第10行は、種々のCDK、および、それらの、種々の型の癌との関係の良好な説明を提供する。
【0003】
CDKインヒビターは、公知である。例えば、フラボピリドール(式I)は、非選択的CDKインヒビターであり、これは、現在、ヒトに対する臨床試験を受けている(非特許文献2)。
【0004】
【化6】

他の公知のCDKインヒビターには、例えば、オロモウシン(非特許文献3)およびロスコビチン(非特許文献4)が挙げられる.特許文献3は、CDKインヒビターとしての特定のピラゾロ[3,4−b]ピリジン化合物を記述している。この’305特許で例示された全ての化合物は、式IIを有する:
【0005】
【化7】

非特許文献5および特許文献4は、CDKインヒビターとしてのある種のアミノチアゾール化合物を開示している。
【0006】
ピラゾロピリミジンは、公知である。例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10(これらは、特許文献11、特許文献12および特許文献13に相当する)、特許文献14、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8および非特許文献9は、種々のピラゾロピリミジンを開示している。他の重要な刊行物には、以下がある:特許文献15(これは、2003年12月11日に公開された)、特許文献16(これは、2003年11月6日に公開された)、および特許文献17(これは、2003年12月11日に公開された)。さらに、係属中の米国特許出願第10/654,546号、第10/653,776号、第10/654,168号、第10/654,163号、第10/653,868号および第10/776,988号は、種々のピラゾロピリミジンを開示している。
【0007】
ピラゾロトリアジンは、公知である。ピラゾロトリアジンを開示しているいくつかの刊行物には、以下がある:特許文献18(これは、1999年12月29日に公開された)、特許文献19、特許文献20(これは、2002年12月5日に公開された)、および特許文献6(これは、2002年6月27日に公開された)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第02/22610号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,413,974号明細書
【特許文献3】米国特許第6,107,305号明細書
【特許文献4】国際公開第02/10162号パンフレット
【特許文献5】国際公開第92/18504号パンフレット
【特許文献6】国際公開第02/50079号パンフレット
【特許文献7】国際公開第95/35298号パンフレット
【特許文献8】国際公開第02/40485号パンフレット
【特許文献9】欧州特許出願公開94304104.6号明細書
【特許文献10】欧州特許0628559号明細書
【特許文献11】米国特許第5,602,136号明細書
【特許文献12】米国特許第5,602,137号明細書
【特許文献13】米国特許第5,571,813号明細書
【特許文献14】米国特許第6,383,790号明細書
【特許文献15】国際公開第03/101993号パンフレット
【特許文献16】国際公開第03/091256号パンフレット
【特許文献17】独国特許発明第10223917号明細書
【特許文献18】国際公開第99/67247号パンフレット
【特許文献19】独国特許出願公開2900288号明細書
【特許文献20】国際公開第02/096348号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Y.Metteyら、J.Med.Chem.(2003)46、222−236
【非特許文献2】A.M.Sanderowiczら、J.Clin.Oncol.(1998)16、2986−2999
【非特許文献3】J.Veselyら、Eur.J.Biochem.(1994)224、771−786
【非特許文献4】I.Meijerら、Eur.J.Biochem.(1997)243、527−536
【非特許文献5】K.S.Kimら、J.Med.Chem.45(2002)3905−3927
【非特許文献6】Chem.Pharm.Bull.(1999)47、928
【非特許文献7】J.Med.Chem.(1977)20、296
【非特許文献8】J.Med.Chem.(1976)19、517
【非特許文献9】Chem.Pharm.Bull.(1962)10、620
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
CDKに関連した疾患および障害を治療する新規化合物、処方物、処置および治療法が必要とされている。従って、本発明の目的は、このような疾患および障害を治療または予防または軽減する際に有用な化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
その多くの実施形態では、本発明は、キナーゼ(例えば、サイクリン依存性キナーゼ)のインヒビターとしての新規種類のピラゾロ[1,5−a]トリアジン化合物、このような化合物を調製する方法、1種またはそれ以上のこのような化合物を含有する医薬組成物、1種またはそれ以上のこのような化合物を含有する医薬処方物を調製する方法、およびこのような化合物または医薬組成物を使用してキナーゼ(例えば、CDK)に関連した1種またはそれ以上の疾患を治療、予防、阻止または軽減する方法を提供する。
【0012】
1局面では、本願は、化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステルを開示しており、該化合物は、式IIIで示した一般構造を有する:
【0013】
【化8】

ここで:
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、NR、シクロアルキルおよびシクロアルキルアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルおよびアリールアルキルの各々は、非置換であり得るか、または必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の部分で置換でき、該部分は、同一または異なり得、各々は、別個に、ハロ、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、トリフルオロメチル、OR、NR、SR、SO、CN、SON(R)およびNOからなる群から選択される;
は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、トリフルオロメチル、−OR、−SR、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、ホルミル、ニトロ、アルキルカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、または−アルキレン−N(R)である(ここで、RおよびRは、別個に、Hもしくはアルキルを表わすか、またはRおよびRは、−N(R)中の窒素と一緒になって、5員〜7員複素環を形成する);
は、−NR
【0014】
【化9】

H、アルキル、アルキルチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、またはアラルキルスルフィニルである;
は、アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり、ここで、該アルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクリルの各々は、非置換であり得るか、または必要に応じて、別個に、1個〜4個の置換基で置換でき、該置換基は、同一または異なり得、各置換基は、別個に、ハロ、アルキル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、トリフルオロメチル、OR、NR、SR、SO、CN、SON(R)およびNOからなる群から選択される;
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アシルまたはヘテロアリールアルキルである;
は、H、アルキルまたはアリールである;
は、Hまたはアルキルである;
10は、ハロ、アルキル、ヒドロキシアルキル、トリフルオロメチル、OR、NR、SR、SO、CN、SON(R)またはNOである;そして
nは、0〜4であり、ここで、nが2〜4であるとき、該n部分は、同一または異なり得、各々は、別個に選択される:
但し、以下:
(i)RがC〜Cアルキルであり、そしてRがHであるとき、Rは、C〜Cアルキルではない;
(ii)Rがハロ、CN、ホルミル、ニトロ、アルキルカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、または−アルキレン−N(R)であるとき:(a)Rは、H、アルキルチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アラルキルスルフィニル、または−NRではなく、そして(b)nは、0ではない;そして
(iii)Rがアルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはアルキニルであるとき、Rは、NH(メチル)、N,N(ジメチル)、NH(アセチル)またはN(メチル)(アセチル)ではない。
【0015】
式IIIの化合物は、プロテインキナーゼインヒビターとして有用であり得、そして増殖疾患(例えば、癌、炎症および関節炎)を治療し予防する際に有用であり得る。それらはまた、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、心臓血管疾患、ウイルス性疾患および真菌性疾患)を治療する際に有用であり得る。
例えば、本発明は以下を提供する。
(項目1)
以下の構造式で表わされる化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステルであって、
【化1】


ここで:
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、NR、シクロアルキルおよびシクロアルキルアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルおよびアリールアルキルの各々は、非置換であり得るか、または必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の部分で置換でき、該部分は、同一または異なり得、各々は、別個に、ハロ、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、トリフルオロメチル、OR、NR、SR、SO、CN、SON(R)およびNOからなる群から選択される;
は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、トリフルオロメチル、−OR、−SR、−ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、ホルミル、ニトロ、アルキルカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、または−アルキレン−N(R)である(ここで、RおよびRは、別個に、Hまたはアルキルを表わすか、またはRおよびRは、−N(R)中の窒素と一緒になって、5員〜7員複素環を形成する);
は、−NR
【化2】


H、アルキル、アルキルチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、またはアラルキルスルフィニルである;
は、アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり、ここで、該アルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクリルの各々は、非置換であり得るか、または必要に応じて、別個に、1個〜4個の置換基で置換でき、該置換基は、同一または異なり得、各置換基は、別個に、ハロ、アルキル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、トリフルオロメチル、OR、NR、SR、SO、CN、SON(R)およびNOからなる群から選択される;
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アシルまたはヘテロアリールアルキルである;
は、H、アルキルまたはアリールである;
は、Hまたはアルキルである;
10は、ハロ、アルキル、ヒドロキシアルキル、トリフルオロメチル、OR、NR、SR、SO、CN、SON(R)またはNOである;そして
nは、0〜4であり、ここで、nが2〜4であるとき、該n部分は、同一または異なり得、各々は、別個に選択される:
但し、以下:
(i)RがC〜Cアルキルであり、そしてRがHであるとき、Rは、C〜Cアルキルではない;
(ii)Rがハロ、CN、ホルミル、ニトロ、アルキルカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、または−アルキレン−N(R)であるとき:(a)Rは、H、アルキルチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アラルキルスルフィニル、または−NRではなく、そして(b)nは、0ではない;そして
(iii)Rがアルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはアルキニルであるとき、Rは、NH(メチル)、N,N(ジメチル)、NH(アセチル)またはN(メチル)(アセチル)ではない、
である、化合物。
(項目2)
が、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキルまたはNRから選択され、ここで、該アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよびアリールアルキルの各々が、非置換であり得るか、または必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の置換基で置換されており、該置換基が、同一または異なり得、各置換基が、別個に、ハロ、アルキル、アリール、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、OR、NR、SR、SO、CN、SON(R)およびNOからなる群から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目3)
が、アルキル、シクロアルキル、アルキニル、トリフルオロメチル、−ORまたは−SRである、項目1に記載の化合物。
(項目4)
が、NR
【化3】


である、項目1に記載の化合物。
(項目5)
が、アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり、ここで、該アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルの各々が、非置換であり得るか、または必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の部分で置換でき、該置換基が、同一または異なり得、各部分が、別個に、ハロ、アルキル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、トリフルオロメチル、OR、NR、SR、SO、CN、SON(R)およびNOからなる群から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目6)
が、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである、項目1に記載の化合物。
(項目7)
nが、1〜2である、項目1に記載の化合物。
(項目8)
が、H、アルキルまたはアリールである、項目1に記載の化合物。
(項目9)
が、Hまたはアルキルである、項目1に記載の化合物。
(項目10)
10が、ハロ、アルキル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、トリフルオロメチル、OH、NR、SR、SO、CNまたはSONRである、項目1に記載の化合物。
(項目11)
が、フェニル、イミダゾリル、イミダゾリル−N−オキシド、ピリジル、ピリジル−N−オキシド、ピラジニル、ピラジニル−N−オキシド、フェネチル、ピリドン、−(CH)−ピリジル、−(CH)−ピリジル−N−オキシド、−(CH)−ピラジニル、−(CH)−ピラジニル−N−オキシド、−(CH)−ピリドン、および−(CH)−イミダゾリル−N−オキシドからなる群から選択され、ここで、該フェニル、イミダゾリル、ピリジル、ピリドンおよびピラジニルの各々が、非置換であり得るか、または必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の部分で置換でき、該部分が、同一または異なり得、各部分が、別個に、ハロ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、OH、アルコキシ、NH、SH、SOCH、CNおよびSONH(CHCHからなる群から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目12)
が、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、エテニル、−CF、ヒドロキシ、メトキシおよびエトキシからなる群から選択される、項目3に記載の化合物。
(項目13)
nが、1である、項目7に記載の化合物。
(項目14)
が、以下からなる群から選択される、項目4に記載の化合物:
(i)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピペリジル;
(ii)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピラジニル;
(iii)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピロリジニル;
(iv)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロヘキシル;
(v)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロペンチル;
(vi)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピペリジル);
(vii)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロヘキシル);
(viii)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロペンチル);
(ix)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピロリジニル);および
(x)−N(H)[CH(ヒドロキシメチル)(イソプロピル)]。
(項目15)
が、アルキルまたはシクロアルキルである、項目5に記載の化合物。
(項目16)
が、Hである、項目6に記載の化合物。
(項目17)
が、Hまたはアルキルである、項目8に記載の化合物。
(項目18)
が、アルキルである、項目9に記載の化合物。
(項目19)
10が、ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルである、項目10に記載の化合物。
(項目20)
項目1に記載の化合物であって、ここで:
は、イミダゾリル、イミダゾリル−N−オキシド、ピリジル、ピリジル−N−オキシド、ピラジニル、ピラジニル−N−オキシド、フェネチル、ピリドン、−(CH)−ピリジル、−(CH)−ピリジル−N−オキシド、−(CH)−ピラジニル、−(CH)−ピリドン、および−(CH)−ピラジニル−N−オキシドからなる群から選択される;
は、メチル、エチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される;
nは、1である;
は、以下からなる群から選択される:
(i)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピペリジル;
(ii)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピラジニル;
(iii)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピロリジニル;
(iv)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロヘキシル;
(v)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロペンチル;
(vi)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピペリジル);
(vii)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロヘキシル);
(viii)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロペンチル);
(ix)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピロリジニル);および
(x)−N(H)[CH(ヒドロキシメチル)(イソプロピル)];
は、アルキルまたはシクロアルキルである;
は、Hである;
は、Hまたはアルキルである;そして
は、アルキルである、
化合物。
(項目21)
以下からなる群から選択される化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステル:
【化4−1】


【化4−2】


【化4−3】


【化4−4】


(項目22)
1種またはそれ以上のキナーゼを阻害する方法であって、このような阻害を必要とする患者に、項目1に記載の少なくとも1種の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
(項目23)
キナーゼに関連した1種またはそれ以上の疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする患者に、項目1に記載の少なくとも1種の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
(項目24)
前記キナーゼが、サイクリン依存性キナーゼ−1(「CDK1」)、CDK2、CDK3、CDK4またはCDK5である、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記キナーゼが、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK/ERK)である、項目23に記載の方法。
(項目26)
前記キナーゼが、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3β)、チェックポイントキナーゼ−1(「CHK−1」)、チェックポイントキナーゼ−2(「CHK−2」)、Aurora A、Aurora B、Aurora C、AKT1、AKT2またはAKT3である、項目23に記載の方法。
(項目27)
前記疾患が、以下:膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、および皮膚癌(扁平上皮癌を含む);
白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、およびバーケットリンパ腫;
急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、および前骨髄球性白血病;
繊維肉腫、横紋筋肉腫;
星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、およびシュワン細胞腫;
黒色腫、精上皮腫、奇形腫、骨肉腫、ゼノデローマ色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺濾胞状癌、およびカポジ肉腫
からなる群から選択される、項目23に記載の方法
(項目28)
キナーゼに関連した1種またはそれ以上の疾患を治療する方法であって、このような治療が必要な哺乳動物に、以下を投与する工程を包含する、方法:
一定量の第一化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステルであって、該第一化合物は、項目1に記載の化合物である;および
一定量の少なくとも1種の第二化合物であって、該第二化合物は、抗癌剤である;
ここで、該第一化合物および該第二化合物の量は、治療効果を生じる、
方法。
(項目29)
さらに、放射線療法を包含する、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記抗癌剤が、以下:増殖抑制剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、イリノテカン、カンプトスター、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポシロン、タモキシフェン、5−フルオロウラシル、メトキシトレキサート(methoxtrexate)、5FU、テモゾロミド、シクロホスファミド、SCH66336、R115777、L778,123、BMS214662、Iressa、Tarceva、EGFRに対する抗体、グリーベック、イントロン、アラ−C、アドリアマイシン、シトキサン、ゲムシタビン(gemcitabine)、ウラシルマスタード、クロロメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンホスフェート、オキサリプラチン、ロイコボリン、ELOXATINTM、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド(Leuprolide)、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、カルボプラチン、ヒドロキシウレア、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、ネイブルビン(Navelbene)、CPT−11、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン(Reloxafine)、ドロキサフィン(Droloxafine)、またはヘキサメチルメラミンからなる群から選択される、項目28に記載の方法。
(項目31)
少なくとも1種の薬学的に受容可能な担体と組み合わせて、項目1に記載の少なくとも1種の化合物の治療有効量を含有する、医薬組成物。
(項目32)
さらに、以下:増殖抑制剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、イリノテカン、カンプトスター、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポシロン、タモキシフェン、5−フルオロウラシル、メトキシトレキサート(methoxtrexate)、5FU、テモゾロミド、シクロホスファミド、SCH66336、R115777、L778,123、BMS214662、Iressa、Tarceva、EGFRに対する抗体、グリーベック、イントロン、アラ−C、アドリアマイシン、シトキサン、ゲムシタビン(gemcitabine)、ウラシルマスタード、クロロメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンホスフェート、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド(Leuprolide)、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、カルボプラチン、ヒドロキシウレア、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、ネイブルビン(Navelbene)、CPT−11、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン(Reloxafine)、ドロキサフィン(Droloxafine)、またはヘキサメチルメラミンからなる群から選択される1種またはそれ以上の抗癌剤を含有する、項目29に記載の医薬組成物。
(項目33)
以下からなる群から選択される化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステル:
【化5】


(項目34)
項目33に記載の1種またはそれ以上の化合物を含有する、医薬組成物。
(項目35)
精製した形態の項目1に記載の化合物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
1実施形態では、本発明は、ピラゾロ[1,5−a]トリアジン化合物(これらは、構造式IIIで表わされる)、またはそれらの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルを開示しており、ここで、種々の部分は、上で記述したとおりである。
【0017】
他の実施形態では、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキルまたはNRから選択され、ここで、該アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよびアリールアルキルの各々は、非置換であり得るか、または必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の置換基で置換され得、該置換基は、同一または異なり得、各置換基は、別個に、ハロ、アルキル、アリール、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、OR、NR、SR、SO、CN、SON(R)およびNOからなる群から選択される。
【0018】
他の実施形態では、Rは、アルキル、シクロアルキル、アルキニル、トリフルオロメチル、−ORまたは−SRである。
【0019】
他の実施形態では、Rは、NR
【0020】
【化10】

である。
【0021】
他の実施形態では、Rは、アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり、ここで、該アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルの各々は、非置換であり得るか、または必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の部分で置換でき、該置換基は、同一または異なり得、各部分は、別個に、ハロ、アルキル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、トリフルオロメチル、OR、NR、SR、SO、CN、SON(R)およびNOからなる群から選択される。
【0022】
他の実施形態では、Rは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである。
【0023】
他の実施形態では、nは、1〜2である。
【0024】
他の実施形態では、Rは、H、アルキルまたはアリールである。
【0025】
他の実施形態では、Rは、Hまたはアルキルである。
【0026】
他の実施形態では、R10は、ハロ、アルキル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、トリフルオロメチル、OH、NR、SR、SO、CNまたはSONRである。
【0027】
さらなる実施形態では、Rは、フェニル、イミダゾリル、イミダゾリル−N−オキシド、ピリジル、ピリジル−N−オキシド、ピラジニル、ピラジニル−N−オキシド、フェネチル、ピリドン、−(CH)−ピリジル、−(CH)−ピリジル−N−オキシド、−(CH)−ピラジニル、−(CH)−ピラジニル−N−オキシド、−(CH)−ピリドン、および−(CH)−イミダゾリル−N−オキシドからなる群から選択され、ここで、該フェニル、イミダゾリル、ピリジル、ピリドンおよびピラジニルの各々は、非置換であり得るか、または必要に応じて、別個に、1個またはそれ以上の部分で置換でき、該部分は、同一または異なり得、各部分は、別個に、ハロ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、OH、アルコキシ、NH、SH、SOCH、CNおよびSONH(CHCHからなる群から選択される。
【0028】
さらに他の実施形態では、Rは、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、エテニル、−CF、ヒドロキシ、メトキシおよびエトキシからなる群から選択される。
【0029】
さらなる実施形態では、nは、1である。
【0030】
さらなる実施形態では、Rは、以下からなる群から選択される:
(i)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピペリジル;
(ii)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピラジニル;
(iii)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピロリジニル;
(iv)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロヘキシル;
(v)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロペンチル;
(vi)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピペリジル);
(vii)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロヘキシル);
(viii)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロペンチル);
(ix)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピロリジニル);および
(x)−N(H)[CH(ヒドロキシメチル)(イソプロピル)]。
【0031】
さらなる実施形態では、Rは、アルキルまたはシクロアルキルである。
【0032】
さらなる実施形態では、Rは、Hである。
【0033】
さらなる実施形態では、Rは、Hまたはアルキルである。
【0034】
さらなる実施形態では、Rは、アルキルである。
【0035】
さらなる実施形態では、R10は、ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルである。
【0036】
さらなる実施形態では、Rは、イミダゾリル、イミダゾリル−N−オキシド、ピリジル、ピリジル−N−オキシド、ピラジニル、ピラジニル−N−オキシド、フェネチル、ピリドン、−(CH)−ピリジル、−(CH)−ピリジル−N−オキシド、−(CH)−ピラジニル、−(CH)−ピリドン、および−(CH)−ピラジニル−N−オキシドからなる群から選択される;
は、メチル、エチルおよびシクロプロピルからなる群から選択される;
nは、1である;
は、以下からなる群から選択される:
(i)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピペリジル;
(ii)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピラジニル;
(iii)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピロリジニル;
(iv)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロヘキシル;
(v)ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロペンチル;
(vi)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピペリジル);
(vii)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロヘキシル);
(viii)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたシクロペンチル);
(ix)−N(H)(ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルで置換されたピロリジニル);および
(x)−N(H)[CH(ヒドロキシメチル)(イソプロピル)];
は、アルキルまたはシクロアルキルである;
は、Hである;
は、Hまたはアルキルである;そして
は、アルキルである。
【0037】
なお他の実施形態は、表1で示した本発明の化合物を開示している。
【0038】
【表1−1】

【0039】
【表1−2】

【0040】
【表1−3】

【0041】
【表1−4】

上でおよび本開示全体を通じて使用される以下の用語は、特に明記しない限り、以下の意味を有することが理解できるはずである:
「患者」は、ヒトおよび動物の両方を含む。
【0042】
「哺乳動物」は、ヒトおよび他の哺乳動物を包含する。
【0043】
「アルキル」とは、脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖または分枝であり得、その鎖の中に、約1個〜約20個の炭素原子を含有する。好ましいアルキル基は、その鎖の中に、約1個〜約12個の炭素原子を含有する。さらに好ましいアルキル基は、その鎖の中に、約1個〜約6個の炭素原子を含有する。分枝とは、直鎖状のアルキル鎖に、1個またはそれ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が結合されることを意味する。「低級アルキル」とは、その鎖内に、約1個〜約6個の炭素原子を有する基を意味し、直鎖または分枝であり得る。「置換アルキル」との用語は、このアルキル基が、1個またはそれ以上の置換基(これらは、同一または異なり得る)で置換され得ることを意味し、各置換基は、別個に、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群から選択される。適切なアルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが挙げられる。
【0044】
「アルキニル」とは、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含有する脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖または分枝であり得、その鎖の中に、約2個〜約15個の炭素原子を含有する。好ましいアルキニル基は、その鎖の中に、約2個〜約12個の炭素原子を有する;さらに好ましくは、その鎖の中に、約2個〜約4個の炭素原子を有する。分枝とは、直鎖状のアルキニル鎖に、1個またはそれ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が結合されることを意味する。「低級アルキニル」とは、その鎖内に、約2個〜約6個の炭素原子を有する基を意味し、直鎖または分枝であり得る。適切なアルキニルの非限定的な例には、エチニル、プロピニル、2−ブチニルおよび3−メチルブチリルが挙げられる。「置換アルキニル」との用語は、このアルキニル基が、1個またはそれ以上の置換基(これらは、同一または異なり得る)で置換され得ることを意味し、各置換基は、別個に、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から選択される。
【0045】
「アリール」とは、芳香族の一環式または多環式の環系を意味し、これは、約6個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6個〜約10個の炭素原子を含有する。このアリール基は、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これらの置換基は、同一または異なり得、そして本明細書中で定義したとおりである。適切なアリール基の非限定的な例には、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0046】
「ヘテロアリール」とは、芳香族の一環式または多環式の環系を意味し、これは、約5個〜約14個の環原子、好ましくは、約5個〜約10個の環原子を含有し、ここで、その環原子の1個またはそれ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素またはイオウ)単独またはその組合せである。好ましいヘテロアリールは、約5個〜約6個の環原子を含有する。この「ヘテロアリール」は、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これは、同一または異なり得、そして本明細書中で定義したとおりである。このヘテロアリール根本名称の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、環原子として、少なくとも、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子が存在していることを意味している。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化できる。適切なヘテロアリールの非限定的な例には、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、ピリドン(N−置換ピリドンを含めて)、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシンドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。「ヘテロアリール」との用語はまた、部分的に飽和のヘテロアリール部分(例えば、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなど)を意味する。
【0047】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリール−アルキル基を意味し、ここで、このアリールおよびアルキルは、先に定義したとおりである。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含有する。適切なアラルキル基の非限定的な例には、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが挙げられる。その親部分への結合は、アルキルを介している。
【0048】
「アルキルアリール」とは、アルキル−アリール基を意味し、ここで、このアリールおよびアルキルは、先に記述したとおりである。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含有する。適切なアルキルアリール基の非限定的な例には、トリルがある。その親部分への結合は、アリールを介している。
【0049】
「シクロアルキル」とは、非芳香族の一環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含む。好ましいシクロアルキル環は、約5個〜約7個の環原子を含有する。このシクロアルキルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これは、同一または異なり得、上で定義したとおりである。適切な一環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例には、1−デカリニル、ノルボルネニル、アダマンチルなどだけでなく、部分飽和種(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなど)が挙げられる。
【0050】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素および臭素が好ましい。
【0051】
「環系置換基」とは、芳香族または非芳香族環系に結合した置換基を意味し、これは、例えば、その環系上の利用可能な水素を置き換える。環系置換基は、同一または異なり得、各々は、別個に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−および−SONYからなる群から選択され、ここで、YおよびYは、同一または異なり得、そして別個に、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびアラルキルからなる群から選択される。「環系置換基」はまた、環系上の2個の隣接炭素原子(各炭素上で1個のH)にある2個の利用可能な水素を同時に置き換える単一部分を意味し得る。このような部分の例には、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−C(CH−などがあり、これらは、例えば、以下のような部分を形成する:
【0052】
【化11】

「ヘテロサイクリル」とは、非芳香族の飽和した一環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の環原子、好ましくは、約5個〜約10個の環原子を含み、ここで、その環系内の原子の1個またはそれ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素またはイオウ)単独またはその組合せである。この環系には、隣接した酸素原子および/またはイオウ原子は存在しない。好ましいヘテロサイクリル環は、約5個〜約6個の環原子を含有する。そのヘテロサイクリル基礎名称の前のアザ、オキサまたはチアとの接頭語は、環原子として、少なくとも、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子がそれぞれ存在していることを意味する。ヘテロサイクリル環中の任意の−NHは、保護されて存在し得る(例えば、−N(Boc)基、−N(CBz)基、−N(Tos)基など);このような保護はまた、本発明の一部であると見なされる。このヘテロサイクリルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これは、同一または異なり得、上で定義したとおりである。このヘテロサイクリルの窒素原子またはイオウ原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに酸化できる。適切な一環式ヘテロサイクリル環の非限定的な例には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ラクタム、ラクトンなどが挙げられる。
【0053】
本発明のヘテロ原子含有環系において、N、OまたはSに隣接した炭素原子には、水酸基が存在しないだけでなく、他のヘテロ原子に隣接した炭素には、NまたはS基が存在しないことに注目すべきである。それゆえ、例えば、以下の環では、マーク付けされた2番および5番の炭素に直接結合した−OHは、存在しない:
【0054】
【化12】

その互変異性形状(例えば、以下の部分)は、本発明の特定の実施形態において、同等物であると見なされることにも注目すべきである:
【0055】
【化13】

「アルキニルアルキル」とは、そのアルキニルおよびアルキルが先に記述したとおりであるアルキニル−アルキル基を意味する。好ましいアルキニルアルキルは、低級アルキニル基および低級アルキル基を含有する。その親部分への結合は、アルキルを介している。適切なアルキニルアルキルの非限定的な例には、プロパルギルメチルが挙げられる。
【0056】
「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリール−アルキル基を意味し、ここで、このヘテロアリールおよびアルキルは、先に定義したとおりである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含有する。適切なヘテロアラルキル基の非限定的な例には、ピリジルメチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。その親部分への結合は、アルキルを介している。
【0057】
「ヒドロキシアルキル」とは、HO−アルキル基を意味し、ここで、アルキルは、先に定義したとおりである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含有する。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例には、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0058】
「アシル」とは、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基またはシクロアルキル−C(O)−基を意味し、ここで、これらの種々の基は、先に記述したとおりである。その親部分への結合は、カルボニルを介している。好ましいアシルは、低級アルキルを含有する。適切なアシル基の非限定的な例には、ホルミル、アセチルおよびプロパノイルが挙げられる。
【0059】
「アロイル」とは、アリール−C(O)−基を意味し、ここで、そのアリール基は、先に記述したとおりである。その親部分への結合は、カルボニルを介している。適切な基の非限定的な例には、ベンゾイルおよび1−ナフトイルが挙げられる。
【0060】
「アルコキシ」とは、アルキル−O−基を意味し、ここで、そのアルキル基は、先に記述したとおりである。適切なアルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。その親部分への結合は、そのエーテル酸素を介してである。
【0061】
「アリールオキシ」とは、アリール−O−基であり、ここで、そのアリール基は、先に記述したとおりである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例には、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。その親部分への結合は、エーテル酸素を介している。
【0062】
「アラルキルオキシ」とは、アラルキル−O−基を意味し、ここで、そのアラルキル基は、先に記述したとおりである。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例には、ベンジルオキシおよび1−または2−ナフタレンメトキシが挙げられる。その親部分への結合は、エーテル酸素を介している。
【0063】
「アルキルチオ」とは、アルキル−S−基を意味し、ここで、そのアルキル基は、先に記述したとおりである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例には、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。その親部分への結合は、イオウを介している。
【0064】
「アリールチオ」とは、アリール−S−基を意味し、ここで、そのアリール基は、先に記述したとおりである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例には、フエニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。その親部分への結合は、イオウを介している。
【0065】
「アラルキルチオ」とは、アラルキル−S−基を意味し、ここで、そのアラルキル基は、先に記述したとおりである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例には、ベンジルチオが挙げられる。その親部分への結合は、イオウを介している。
【0066】
「アルコキシカルボニル」とは、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。その親部分への結合は、カルボニルを介している。
【0067】
「アリールオキシカルボニル」とは、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例には、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。その親部分への結合は、カルボニルを介している。
【0068】
「アラルコキシカルボニル」とは、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例には、ベンジルオキシカルボニルが挙げられる。その親部分への結合は、カルボニルを介している。
【0069】
「アルキルスルホニル」とは、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基には、そのアルキル基が低級アルキルであるものがある。その親部分への結合は、スルホニルを介している。
【0070】
「アリールスルホニル」とは、アリール−S(O)−基を意味する。その親部分への結合は、スルホニルを介している。
【0071】
「置換された」との用語とは、指定原子上の1個またはそれ以上の水素が指示された基からの選択で置き換えられたことを意味するが、但し、既存状況下での指定原子の通常の原子価を超えず、その置換は、安定な化合物を生じる。置換基および/または変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ、許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な純度までの単離および有効な治療剤への処方に耐えるのに十分に頑丈である化合物を意味する。
【0072】
「必要に応じて置換された」との用語は、特定の基、ラジカルまたは部分での任意の置換を意味する。
【0073】
ある化合物についての「単離した」または「単離形状」との用語は、合成プロセスまたは天然源またはそれらの組合せから単離した後の該化合物の物理的状態を意味する。ある化合物についての「精製した」または「精製形状」との用語は、本明細書中で記述したかまたは当業者に周知の精製プロセスから、本明細書中で記述したかまたは当業者に周知の標準的な分析技術により特徴付け可能である程度に十分な純度で得た後の該化合物の物理的状態を意味する。
【0074】
本明細書中の教本、図式、実施例および表における満たされていない原子価を有するヘテロ原子はいずれも、それらの原子価を満たすように水素原子を有すると想定されることもまた、留意すべきである。
【0075】
ある化合物中の官能基が「保護される」と呼ばれるとき、このことは、その化合物を反応にかけたとき、その保護部位で望ましくない副反応を防止するために、その基が改変された形状であることを意味する。適切な保護基は、当業者に知られているだけでなく、標準的な教本(例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991),Wiley,New York)への参照により理解される。
【0076】
任意の変数(例えば、アリール、複素環、Rなど)が、任意の成分または式IIIにおいて、1回より多く現れるとき、各出現例でのその定義は、いずれの他の出現例でのその定義とも無関係である。
【0077】
本明細書中で使用する「組成物」との用語は、特定量で特定の成分を含有する生成物だけでなく、特定量の特定成分の組合せから直接的または間接的に得られる任意の生成物を包含すると意図される。
【0078】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で考慮される。「プロドラッグ」との用語は、本明細書中で使用するとき、薬剤前駆体である化合物を意味し、これは、被験体に投与すると、代謝または化学プロセスにより化学変換を受けて、式IIIの化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物を生じる。プロドラッグの論述は、A.C.S.Symposium Seriesの、T.HiguchiおよびV.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)第14巻およびBioreversible.Carriers in Drug Design、(1987)、Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressで提供されており、両文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0079】
「溶媒和物」とは、本発明の化合物と1種またはそれ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合には、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含めて)が関与している。ある場合には、この溶媒和物は、例えば、1種またはそれ以上の溶媒分子を結晶性固形物の結晶格子に取り込むとき、単離できる。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能溶媒の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例には、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」とは、その溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0080】
「有効量」または「治療有効量」とは、CDKを阻害するのに有効な(それにより、所望の治療効果、改善効果、阻害効果または予防効果を生じる)本発明の化合物または組成物の量を意味する。
【0081】
式IIIの化合物は、本発明の範囲内でもある塩を形成する。本明細書中での式IIIの化合物の言及は、他に指示がなければ、その塩の言及を含むことが分かる。「塩」との用語は、本明細書中で使用するとき、無機酸および/または有機酸と形成された酸性塩だけでなく、無機塩基および/または有機塩基で形成された塩基性塩基を意味する。それに加えて、式IIIの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾール(これらに限定されないが))または酸性部分(例えば、カルボン酸(これに限定されないが))の両方を含有するとき、両性イオン(「内部塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用する「塩」との用語に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性で生理学的に受容可能な)塩が好ましいものの、他の塩もまた、有用である。式IIIの化合物の塩は、例えば、式IIIの化合物を、この塩が沈殿する媒体または水性媒体中にて、一定量(例えば、等量)の酸または塩基と反応させることに続いて、凍結乾燥することにより、形成され得る。
【0082】
代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ塩、ショウノウスルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(これはまた、トシレートとしても知られている)などが挙げられる。さらに、塩基性医薬品化合物から薬学的に有用な塩を形成するのに適切と一般に考えられている酸は、例えば、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1〜19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201〜217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;およびThe Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.(そのウェブサイトにおいて))で論述されている。これらの開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0083】
代表的な塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)を備えた塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン)、およびアミノ酸を備えた塩(例えば、アルギニン、リシンなど))が挙げられる。塩基性窒素含有基は、以下のような試薬で四級化され得る:低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化のメチル、エチルおよびブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチルおよび硫酸ジブチルおよび)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化のデシル、ラウリルおよびステアリル)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよびフェネチル)など。
【0084】
このような酸塩および塩基塩の全ては、本発明の範囲内で、薬学的に受容可能な塩であると解釈され、全ての酸塩および塩基塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形状と等価であると考えられる。
【0085】
本発明の化合物の薬学的に受容可能なエステルには、以下の群が挙げられる:(1)そのヒドロキシ基のエステル化により得られるカルボン酸エステルであって、ここで、このエステル分類のカルボン酸部分の非カルボニル部分は、以下から選択される:直鎖または分枝鎖アルキル(例えば、アセチル、n−プロピル、t−ブチルまたはn−ブチル)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル)、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル)、アリール(例えば、フェニルであって、これは、必要に応じて、例えば、ハロゲン、C1〜4アルキルまたはC1〜4アルコキシまたはアミノで置換されている);(2)スルホン酸エステル(例えば、アルキル−またはアラルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル));(3)アミノ酸エステル(例えば、L−バリルまたはL−イソロイシル);(4)ホスホン酸エステルおよび(5)モノ−、ジ−またはトリリン酸エステル。これらのリン酸エステルは、例えば、C1〜20アルコールもしくはそれらの反応性誘導体により、または2,3−ジ(C6〜24)アシルグリセロールにより、さらにエステル化され得る。
【0086】
式IIIの化合物、その塩、溶媒和物およびプロドラッグは、それらの互変異性形状(例えば、アミドエーテルまたはイミノエーテル)の形状で存在し得る。このような互変異性形状の全ては、本明細書中では、本発明の一部であると考慮される。
【0087】
本発明の化合物(これらの化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグだけでなく、これらのプロドラッグの塩および溶媒和物も含めて)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(例えば、種々の置換基上の非対称炭素が原因で存在し得るもの)は、鏡像異性体(これは、非対称炭素なしで存在し得る)、回転異性体、アトロプ異性体およびジアステレオマー形状を含めて、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジン)と同様に、本発明の範囲内であると考慮される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含み得ないか、例えば、ラセミ体として混合され得るか、他の全ての立体異性体または他の選択した立体異性体と混合され得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsにより定義されるSまたはR立体配置を有し得る。「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの用語の使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ化合物またはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグにも、同様に適用すると解釈される。
【0088】
式IIIの化合物、および式IIIの化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグの多形形状は、本発明に含まれると解釈される。
【0089】
本発明による化合物は、薬理学的性質を有する;特に、式IIIの化合物は、プロテインキナーゼインヒビター(例えば、サイクリン依存性キナーゼ(例えば、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5など)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK/ERK)、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3β)、チェックポイントキナーゼ−1(「CHK−1」)、チェックポイントキナーゼ−2(「CHK−2」)、Auroraキナーゼ(例えば、Aurora A、BおよびC)、プロテインキナーゼB(例えば、セリン/スレオニンキナーゼ(例えば、AKT1、AKT2およびAKT3))などのインヒビター)であり得る。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)としては、例えば、CDC2(CDK1)、CDK2、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、およびCDK8が挙げられる。式IIIの新規化合物は、癌のような増殖性疾患、自己免疫疾患、ウイルス性疾患、真菌性疾患、神経学的/神経変性障害、関節炎、炎症、抗増殖(例えば、眼の網膜症)、神経疾患、脱毛症、および心血管性疾患の治療に有用であると予期される。これらの疾患および障害の多くは、前に引用された米国特許第6,413,974号(この開示内容は、本明細書中で援用される)に列挙される。
【0090】
より具体的には、式IIIの化合物は、以下を含む種々の癌(限定ではない)の処置に有用であり得る:膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞肺癌を含む)、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、および皮膚癌(扁平上皮癌を含む)を含む癌腫;
白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、およびバーケットリンパ腫を含むリンパ系の造血性腫瘍;
急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、および前骨髄性白血病を含む骨髄系の造血性腫瘍;
線維肉腫および横紋筋肉腫を含む間葉起源の腫瘍;
星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、およびシュワン細胞腫を含む中枢および末梢神経系の腫瘍;ならびに
黒色腫、精上皮腫、奇形腫、骨肉腫、ゼノデローマ色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺濾胞状癌、およびカポジ肉腫を含む他の腫瘍。
【0091】
一般に細胞増殖の調節におけるCDKの主要な役割に起因して、インヒビターは、異常な細胞増殖を特徴とする任意の疾患プロセス(例えば、良性の前立腺過形成)、家族性腺腫性ポリポーシス、神経線維腫症、アテローム性動脈硬化症、肺線維症、関節炎、乾癬、糸球体腎炎、血管形成もしくは血管手術に続く再狭窄、肥大性瘢痕形成、炎症性腸疾患、移植拒絶、内毒素性ショック、および真菌感染の処置に有用であり得る、可逆性の細胞増殖抑制性剤として作用し得る。
【0092】
式IIIの化合物はまた、CDK5がtauタンパク質のリン酸化に関与する(J.Biochem,(1995)117,741−749)という最近の発見によって示唆されるように、アルツハイマー病の処置に有用であり得る。
【0093】
式IIIの化合物は、アポトーシスを誘導もしくは阻害し得る。アポトーシス反応は、種々のヒト疾患中にある異常である。式IIIの化合物は、アポトーシスのモジュレーターとして、癌(限定ではないが、本明細書で上記に述べた癌の型を含む)、ウイルス感染(限定ではないが、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタイン−バーウイルス、シンドビスウイルス、およびアデノウイルスを含む)、HIV感染個体におけるAIDS発生の防止、自己免疫疾患(限定ではないが、全身性狼瘡、エリテマトーデス、自己免疫媒介性糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、および自己免疫性糖尿病を含む)、神経変性障害(限定ではなく、アルツハイマー病、AIDSに関連する痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、脊髄性筋萎縮症、および小脳変性を含む)、骨髄異形成症候群、形成性貧血、心筋梗塞関連する虚血性傷害、脳卒中および再潅流傷害、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素誘導性肝疾患もしくはアルコールに関連する肝疾患、造血性疾患(限定ではなく、慢性貧血および再生不良性貧血を含む)、骨筋格系の変性疾患(限定ではなく、骨粗鬆症および関節炎を含む)、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎疾患、および癌の痛みの処置に有用である。
【0094】
式IIIの化合物は、CDKのインヒビターとして、細胞のRNA合成およびDNA合成のレベルを調節(modulate)し得る。従って、これらの薬剤は、ウイルス感染(限定ではなく、HIV、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタイン−バーウイルス、シンドビスウイルス、およびアデノウイルスを含む)の処置に有用である。
【0095】
式IIIの化合物はまた、癌の化学予防に有用であり得る。化学予防は、突然変異現象の開始をブロックすることによってかもしくは既に傷害を被っている前転移細胞の進行をブロックすることによって、侵襲的癌の発生を阻害することとしてか、または腫瘍の再発を阻害することとして定義される。
【0096】
式IIIの化合物はまた、腫瘍の新脈管形成および転移を阻害することに有用であり得る。
【0097】
式IIIの化合物はまた、他のプロテインキナーゼ(例えば、プロテインキナーゼC、her2、raf1、MEK1、MAPキナーゼ、EGFレセプター、PDGFレセプター、IGFレセプター、P13キナーゼ、wee1キナーゼ、Src、Abl)のインヒビターとして作用し得、従って、他のプロテインキナーゼに関連する疾患の処置に有効である。
【0098】
本発明の別の局面は、CDKに関連する疾患もしくは状態を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を、治療的に有効な量の、少なくとも一種類の式IIIの化合物またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステルをこの哺乳動物に投与することによって処置する方法である。
【0099】
好ましい投薬量は、式IIIの化合物の、約0.001〜約500mg/体重kg/日である。特に好ましい投薬量は、式IIIの化合物またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステルの、約0.01〜25mg/体重kg/日である。
【0100】
本発明の化合物はまた、一つ以上の抗癌処置(例えば、放射線療法、および/もしくは以下:細胞成長抑止剤、細胞傷害剤(例えば、限定ではないが、DNA相互作用剤(例えば、シスプラチンもしくはドキソルビシン)など);タキサン(例えば、タキソテール、タキソール);トポイソメラーゼIIインヒビター(例えば、エトポシド);トポイソメラーゼIインヒビター(例えば、イリノテカン(もしくはCPT−11)、カンプトスター(camptostar)、もしくはトポテカン);チューブリン相互作用剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、またはエポシロン);ホルモン剤(例えば、タモキシフェン);チミジレートシンターゼインヒビター(例えば、5−フルオロウラシル);抗代謝産物剤(例えば、メソトレキセート(methoxtrexate));アルキル化剤(例えば、テモゾロミド(temozolomide)(Schering−Plough Corporation、Kenilworth、New Jerseyから提供されるTEMODARTM)、シクロホスファミド);ファルネシルタンパク質転移酵素インヒビター(例えば、SARASARTM(4−[2−[4−[(11R)−3,10−ジブロモ−8−クロロ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−11−イル−]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル(oxoehtyl)]−1−ピペリジンカルボキサミド、もしくはSchering−Plough Corporation、Kenilworth、New Jerseyから提供されるSCH66336)、ティピファルニブ(tipifarnib)(Zarnestra(登録商標)もしくはJanssen Pharmaceuticalsから提供されるR115777)、L778,123(Merck&Company、Whitehouse Station、New Jerseyから提供されるファルネシルタンパク質転移酵素インヒビター)、BMS214662(Bristol−Myers Squibb Pharmaceuticals、Princeton、New Jerseyから提供されるファルネシルタンパク質転移酵素インヒビター);シグナル伝達インヒビター(例えば、Astra Zeneca Pharmaceuticals、Englandから提供されるイレッサ)、タルセバ(Tarceva)(EGFRキナーゼインヒビター)、EGFRに対する抗体(例えば、C225)、GLEEVECTM(Novartis Pharmaceuticals、East Hanover、New
Jerseyから提供されるC−ablキナーゼインヒビター);インターフェロン(例えば、Schering−Plough Corporationから提供されるイントロン、Schering−Plough Corporationから提供されるPeg−イントロン;ホルモン治療の組み合わせ;アロマターゼの組み合わせ;ara−C、アドリアマイシン、サイトキサン、およびゲムシタビン、からなる群から選択された一種類以上の抗癌剤)との組み合わせ(同時もしくは経時的な投与)に有用であり得る。
【0101】
他の抗癌剤(また、抗腫瘍剤としても公知である)としては、以下が挙げられるが、これに限定されない:ウラシルマスタード、クロルメザノン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、オキサリプラチン、ロイコボリン、オキサリプラチン(Sanofi−Synthelabo Pharmaeuticals、Franceから提供されるELOXATINTM)、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、ナベルベン(Navelbene)、アナストラゾール(Anastrazole)、レトラゾール(Letrazole)、カペシタビン(Capecitabine)、レロキサフィン(Reloxafine)、ドロキサフィン(Droloxafine)、もしくはヘキサメチルメラミン。
【0102】
このような投与が必要な患者に併用療法を投与するとき、その組み合わせにおける治療薬、または医薬組成物、またはこの治療薬を含有する組成物は、任意の順序(例えば、順次、同時(concurrently)、一緒、一斉(simultaneously)など)で投与され得る。このような併用療法における種々の活性剤の量は、異なる量(異なる投薬量)または同じ量(同じ投薬量)であり得る。それゆえ、非限定的で例証的な目的には、式IIIの化合物および追加治療薬は、単一投薬単位(例えば、カプセル、錠剤など)で、固定量(投薬量)で存在し得る。固定量の2種の異なる活性化合物を含有するこのような単回投薬量単位の市販の例には、VYTORIN(登録商標)(これは、Merck Schering−Plough Pharmaceutical,Kenilworth,New Jerseyから入手できる)がある。
【0103】
固定用量として処方される場合、このような組み合わせ生成物は、本明細書に記載される投薬範囲内の本発明の化合物と、投薬範囲内での他の薬学的に活性な因子または処置を使用する。例えば、CDC2インヒビターであるオロムシン(olomucine)は、アポトーシスを誘導する公知の細胞傷害剤との相乗作用を見出されている(J.Cell
Sci.,(1995)108,2897)。式IIIの化合物はまた、組み合わせ処方が適切でない場合、公知の抗癌剤または細胞傷害剤と連続して投与され得る。本発明は、連続投与に限定されない;式IIIの化合物は、公知の抗癌剤または細胞傷害剤の投与前または後のいずれかで投与され得る。例えば、サイクリン依存性インヒビターであるフラボピリドール(flavopiridol)の細胞傷害活性は、抗癌剤との連続投与によってもたらされる。Cancer Research,(1997)57,3375。このような技術は、当業者ならびに主治医の技術範囲内である。
【0104】
従って、1局面では、本発明は、一定量の式IIIの少なくとも1つの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステルと、ある量の上で列挙した1種またはそれ以上の抗癌治療または抗癌剤とを含む組合せを包含し、ここで、該化合物/治療の量は、所望の治療効果を生じる。
【0105】
本発明の化合物の薬理特性は、多数の薬理学的アッセイにより、確認され得る。本発明に従った化合物およびそれらの塩を使って、以下で記述する典型的な薬理学的アッセイを実行できる。
【0106】
本発明はまた、式IIIの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステルと少なくとも1種の薬学的に受容可能な担体とを含有する医薬組成物に関する。
【0107】
本発明で記述した化合物から医薬組成物を調製するためには、不活性で薬学的に受容可能な担体は、固体または液体のいずれかであり得る。固形製剤には、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシュ剤および座剤が挙げられる。これらの粉末および錠剤は、約5%〜約95%の活性成分から構成され得る。適切な固体担体は、当該技術分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ショ糖、ラクトースがある。錠剤、粉末、カシュ剤およびカプセル剤は、経口投与に適切な固体投薬形状として使用できる。薬学的に受容可能な担体の例および種々の組成物の製造方法は、A.Gennaro(編),Remington‘s Pharmaceutical Sciences,18版(1990)(Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania)で見られ得る。
【0108】
液状製剤には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。一例としては、非経口注入用に、水または水−プロピレングリコール溶液が言及され得、また、経口溶液、懸濁液および乳濁液用に、甘味料および乳白剤の添加が言及され得る。液状製剤には、また、鼻腔内投与用の溶液が挙げられ得る。
【0109】
吸入に適切なエアロゾル製剤には、溶液および粉末形状固体が挙げられ得、これは、薬学的に受容可能な担体(例えば、不活性圧縮気体(例えば、窒素))と組み合わせられ得る。
【0110】
また、使用直前に、経口投与または非経口投与のいずれか用の液状製剤に転化するように向けられた固形製剤も含まれる。このような液体形状には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。
【0111】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。これらの経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/または乳濁液の形状をとり得、この目的のために当該技術分野で通常のマトリックス型またはレザバ型の経皮パッチに含まれ得る。
【0112】
本発明の化合物はまた、皮下送達され得る。
【0113】
好ましくは、この化合物は、経口投与または静脈内投与される。
【0114】
好ましくは、この製薬製剤は、単位投薬形状である。このような形状では、この製剤は、適切な量(例えば、所望の目的を達成する有効量)の活性成分を含有する適切なサイズの単位用量に細分される。
【0115】
単位用量の製剤中の活性化合物の量は、特定の用途に従って、約1mg〜約100mg、好ましくは、約1mg〜約50mg、さらに好ましくは、約1mg〜約25mgで変えられるか調整され得る。
【0116】
使用する実際の投薬量は、患者の要件および治療する病気の重症度に依存して、変わり得る。特定の状況に適切な投薬量の決定は、当該技術の範囲内である。便宜上、全毎日投薬量は、必要に応じて、その日に、分割して少しずつ投与され得る。
【0117】
本発明の化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の投与の量および頻度は、患者の年齢、状態および体格だけでなく治療する症状の重症度のような要因を考慮して、担当医の判断に従って、調節される。経口投与に典型的な推奨毎日投薬レジメンは、2回〜4回の分割用量で、約1mg/日〜約500mg/日、好ましくは、約1mg/日〜約200mg/日の範囲であり得る。
【0118】
本発明の他の局面は、式IIIの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルの治療有効量と、薬学的に受容可能な担体、賦形剤または希釈剤とを含有するキットである。
【0119】
本発明のさらに他の局面は、式IIIの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルの治療有効量と、上で列挙した抗癌療法および/または抗癌剤の少なくとも1種の一定量とを含有するキットであり、ここで、該2種またはそれ以上の成分の量は、所望の治療効果を生じる。
【0120】
本明細書中で開示した発明は、以下の調製、提案された経路および実施例で例示されるが、これらは、本開示の範囲を限定するとは解釈すべきではない。代替的な機械的経路および類似の構造は、当業者に明らかであり得る。
【0121】
NMRデータを提示する場合、Hスペクトルは、Varian VXR−200(200MHz、H)、Varian Gemini−300(300MHz)またはXL−400(400MHz)のいずれかで得、括弧で示したヘルツにおいて、プロトン数、多重度および結合定数と共に、MeSiからのppmダウンフィールドとして報告される。LC/MSデータを提示する場合、分析は、Applied Biosystems
API−100質量分析計およびShimadzu SCL−10A LCカラムを使用して、実行した:Altech白金C18、3ミクロン、33mm×7mm ID;勾配流れ:0分−10%CHCN、5分−95%CHCN、7分−95%CHCN、7.5分−10%CHCN、9分−停止。保持時間および観測した親イオンを示す。
【0122】
以下の溶媒および試薬は、それらの略語で呼ばれ得る:
薄層クロマトグラフィー:TLC
ジクロロメタン:CHCl
酢酸エチル:AcOEtまたはEtOAc
メタノール:MeOH
トリフルオロ酢酸:TFA
トリエチルアミン:EtNまたはTEA
ブトキシカルボニル:N−BocまたはBoc
核磁気共鳴分析法:NMR
液体クロマトグラフィー質量分析法:LCMS
高分解能質量スペクトル:HRMS
ミリリットル:mL
ミリモル:mmol
マイクロリットル:μl
グラム:g
ミリグラム:mg
室温またはrt(常温):約25℃。
【0123】
ジメトキシエタン:DME
【実施例】
【0124】
一般に、本発明で記述された化合物は、スキーム1で図示しているように、調製できる。適切に置換した3−アミノピラゾール1のアシル化および塩基触媒環化により、チオール2が生じる。
【0125】
【化14】

メチル化、塩素化、および所望のアミンで置換すると、4が得られ、これは、酸化および求核置換により、所望生成物5に変換できる。
【0126】
(調製例100)
【0127】
【化15】

4−アミノメチルピリジン(1.41mL、13.87mmol)のCHCl(50mL)溶液に、BOCO(3.3g、1.1当量)およびTEAを加え、得られた溶液を、室温で、2時間撹拌した。その反応混合物をHO(50mL)で希釈し、そしてCHClで抽出した。合わせた有機物をNaSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下にて濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(これは、溶離液として、5%(MeOH中の10%NHOH)CHCl溶液を使用する)で精製して、黄色固形物(2.62g、収率91%)を得た。LCMS:MH=209。
【0128】
(調製例101)
【0129】
【化16】

3−アミノメチルピリジンで置き換えただけで、調製例100で示した手順とほぼ同じ手順により、黄色油状物(2.66g、収率92%)として、上記化合物を調製した。LCMS:MH=209。
【0130】
(調製例200)
【0131】
【化17】

調製例100(0.20g、0.96mmol)で調製した化合物のCHCl(5mL)溶液に、0℃で、m−CPBA(0.17g、1.0当量)を加え、得られた溶液を、0℃で、2時間撹拌し、そして4℃で、一晩貯蔵し、その時点で、その反応混合物を室温まで温め、そして3時間撹拌した。この反応混合物をHOで希釈し、そしてCHClで抽出した。合わせた有機物をNaSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(これは、溶離液として、10%(MeOH中の10%NHOH)溶液を使用する)で精製した:LCMS:MH=255。
【0132】
(調製例201)
【0133】
【化18】

MeOH(200mL)およびHO(250mL)中の調製例101で調製した化合物(27g、0.13mol)およびNaHCO(21.8g、2.0当量)に、オキソン(58.6g)のHO(250mL)溶液を滴下した。得られた溶液を、室温で、一晩撹拌した。その反応混合物をCHCl(500mL)で希釈し、そして濾過した。層分離し、水層をCHClで抽出した。合わせた有機物をNaSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下にて濃縮して、白色固形物(21.0g、収率72%)を得た。MS:MH=255。
【0134】
(調製例300)
【0135】
【化19】

調製例200で調製した化合物(0.29g、1.29mmol)を、室温で、ジオキサン中の4M HCl(0.97mL)中で、2時間撹拌した。その反応混合物を真空中で濃縮し、そして、さらに精製することなく、使用した。LCMS:MH=125。
【0136】
(調製例301)
【0137】
【化20】

調製例201で調製した化合物で置き換えただけで、調製例201で示した手順とほぼ同じ手順により、上で示した化合物を調製した。LCMS:MH=125。
【0138】
(調製例400)
【0139】
【化21】

工程A:
アルデヒド(50g、0.41mol)[例えば、WO 0232893を参照のこと]のMeOH(300mL)溶液を0℃まで冷却し、そして20分間にわたって、NaBH(20g、6バッチで0.53mol)で慎重に処理した。次いで、その反応物を20℃まで温め、そして4時間撹拌した。この混合物を再度0℃まで冷却し、NHCl飽和水溶液で慎重にクエンチし、そして濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(5〜10%の7N NH−MeOH/CHCl)にかけると、淡黄色固形物として、第一級アルコール(31g、62%)が得られた。
【0140】
工程B:
調製例400、工程Aから得たアルコール(31g、0.25mol)のCHCl(500mL)スラリーを0℃まで冷却し、そしてSOCl(55mL、0.74mol、30分間にわたって)でゆっくりと処理した。次いで、その反応物を、20℃で、一晩撹拌した。この物質を濃縮し、アセトンでスラリーにし、次いで、濾過した。得られたベージュ色固形物を一晩真空乾燥した(38.4g、52%、HCl塩)。
【0141】
工程C:
撹拌棒を装填した15mL圧力チューブに、調製例400、工程Bから得た塩化物(150mg、0.83mmol)を加え、続いて、7M NH/MeOH(10mL)を加えた。得られた溶液を、室温で、48時間撹拌し、それから、ここの混合物を減圧下にて濃縮して、淡黄色固形物(0.146g、83%)を得た。M+H(遊離塩基)=140。
【0142】
(調製例401)
【0143】
【化22】

WO 00/37473に従って、公知の第一級アルコールを調製し、そしてWO 02/064211に従って、調製例400と類似の様式で、所望のアミン二塩酸塩に変換した。
【0144】
(調製例500)
【0145】
【化23】

95%EtOH(150mL)中の(S)−(+)−ショウノウスルホン酸(228.7g、1.0当量)に、95%EtOH(260mL)中のピペリジン−2−エタノール(127g、980mmol)を加え、得られた溶液を還流状態まで温めた。温めた溶液に、EtO(600mL)を加え、その溶液を室温まで冷却し、そして3日間放置した。得られた結晶を濾過し、そして真空乾燥した(25g):mp 173〜173℃(lit.168℃)。次いで、その塩をNaOH(3M、100mL)に溶解し、そして2時間撹拌し、得られた溶液をCHCl(5×100mL)で抽出した。合わせた有機物をNaSOで乾燥し、濾過し、濾過し、そして減圧下にて濃縮して、(S)−ピペリジン−2−エタノール(7.8g)を得、その一部を、EtOから再結晶した:mp=69〜70℃(lit.68−69℃);[α]=14.09°(CHCl、c=0.2)。
【0146】
(調製例501)
【0147】
【化24】

(R)−(−)−ショウノウスルホン酸で置き換えただけで、調製例500で示した手順とほぼ同じ手順により、(R)−ピペリジン−2−エタノールを調製した(1.27g):[α]=11.3°(CHCl、c=0.2)。
【0148】
(調製例502)
【0149】
【化25】

シス−(1R,2S)−(+)−2−(ベンジルアミノ)シクロヘキサンメタノール(1g、4.57mmol)のMeOH(35mL)溶液を充填した圧力ボトルに、20重量%Pd(OH)(0.3g、>50%湿潤)を一度に加えた。その混合物を、Parr水素化装置にて、50psiのH下にて、12時間振盪した。この混合物をNでパージし、そしてセライトのパッドで濾過した。このパッドをMeOH(2×25mL)で十分に洗浄し、得られた濾液を、減圧下にて、濃縮して、0.57g(97%)の白色固形物を得た。M+H=130。
【0150】
(調製例507)
【0151】
【化26】

t−BuOK(112.0g、1.00mol)を、5Lフラスコ(これには、滴下漏斗を備え付けた)にて、N下にて、乾燥EtO(3.0L)中で、撹拌した。3時間の間に、ブチロニトリル(69.0g、1.00mol)およびギ酸エチル(77.7g、1.05mol)の混合物を滴下し、次いで、その反応混合物を、室温で、一晩撹拌した。この混合物を0℃まで冷却し、AcOH(57mL)を加え、その混合物を濾過し、そして固形物をEtO(500mL)で洗浄した。合わせた濾液を、ロートバプ(rotovap)にて、室温で、蒸発させて、淡黄色油状物(95.1g)を得た。この油状物を乾燥EtOH(100mL)に溶解し、99%ヒドラジン一水和物(48mL)を加え、次いで、AcOH(14mL)を加え、その混合物を、N下にて、一晩還流した。溶媒を蒸発させ、得られた油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(これは、MeOH中のCHCl:7N NHを使う)にかけた。透明油状物として、22.4g(20%)の3−アミノ−4−エチルピラゾールが得られ、これは、放置すると、固化した。
【0152】
(調製例508)
【0153】
【表2】

適切な出発物質で置き換えただけで、調製例507で示した手順とほぼ同じ手順により、アミノピラゾール508を調製した。
【0154】
(調製例509〜511)
適切な出発物質で置き換えただけで、調製例507で示した手順とほぼ同じ手順により、表500のカラム2で示したアミノピラゾールを調製した。
【0155】
【表3】

(調製例512)
【0156】
【化27】

工程A:
調製例507から得たピラゾール(3.33g、300mmol)の乾燥CHCl(50mL)撹拌溶液に、0℃で、イソチオシアン酸エトキシカルボニル(3.54mL、3.00mmol)を滴下した。得られた混合物を、室温で、24時間撹拌し、その時点で、沈殿物を濾過し、EtO(2×50mL)で洗浄し、そして真空乾燥した。白色固形物(3.50g、48%)が得られた。LCMS:MH=243。Mp=177〜179℃。
【0157】
工程B:
乾燥アセトニトリル(20mL)中の調製例512、工程Aから得た固形物(800mg、3.30mmol)およびKCO(1.37g、9.90mmol)の混合物を撹拌し、そして窒素下にて、4時間還流した。この混合物を25℃まで冷却し、酢酸(5mL)で酸性化し、そして水(20mL)で希釈した。溶媒を蒸発させ、その残渣を水(50mL)に懸濁させた。固形物を濾過により除き、フィルター上で水(2×20mL)で洗浄し、そして真空乾燥した。灰白色固形物(548mg、85%)が得られた。LCMS:MH=197.Mp=251〜253℃。
【0158】
(調製例513)
【0159】
【化28】

工程A:
調製例512で記述した化合物(500mg、2.55mmol)のEtOH溶液に、HO(3mL)中のNaOH(204mg、5.10mmol)を加え、次いで、MeI(362mg、2.55mmol)を滴下した。得られた混合物を、室温で、1時間撹拌し、1M HCl(5mL)で酸性化し、そして溶媒を蒸発させた。その残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(これは、溶離液として、CHCl/MeOH(15:1)を使う)で精製して、白色固形物(442mg、83%)が得られた。LCMS:MH=211。Mp=182〜184℃。
【0160】
工程B:
調製例513、工程Aで記述された化合物(400mg、1.90mmol)のPOCl(6mL)溶液に、N,N−ジメチルアニリン(460mg、3.80mmol)を加え、その混合物を、窒素下にて、18時間にわたって、還流状態まで加熱した。得られた溶液を砕氷(200g)に注ぎ、そしてCHCl(2×50mL)で抽出した。合わせた抽出物をHO(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。その残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(これは、溶離液として、CHClを使う)で精製して、淡黄色固形物(275mg、63%)を得た。LCMS:M=229。
【0161】
(調製例514)
【0162】
【表4】

調製例512〜513で示した手順とほぼ同じ手順により、調製例514で示した化合物を調製した。
【0163】
(調製例515〜517)
表501のカラム2で示した化合物で置き換えただけで、調製例512〜513で示した手順とほぼ同じ手順により、表501のカラム3で示した化合物を調製した。
【0164】
【表5】

(調製例518)
【0165】
【化29】

乾燥アセトニトリル(3mL)中の調製例513から得た化合物(130mg、0.57mmol)、アミン(94mg、0.68mmol)およびNaHCO(96mg、1.14mmol)の混合物を、70℃で、N下にて、20時間撹拌した。減圧下にて溶媒を除去し、その残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(これは、溶離液として、CHCl/MeOH(20:1)を使う)で精製して、白色固形物(150mg、80%)を得た。LCMS:MH=331。Mp=162〜164℃。
【0166】
(調製例519〜527)
表502のカラム3のアミンおよび表502のカラム3で示した塩化物で置き換えただけで、調製例518で示した手順とほぼ同じ手順により、表502のカラム4で示した化合物を調製した。
【0167】
【表6−1】

【0168】
【表6−2】

【0169】
【表6−3】

(実施例1000)
【0170】
【化30】

工程A:
調製例518から得た化合物(80mg、0.24mmol)のCHCl(5mL)溶液に、70%m−CPBA(60mg、0.24mmol)を加えた。得られた溶液を、室温で、一晩撹拌し、次いで、CHCl(15mL)を追加した。その溶液をNaHCO飽和水溶液(2×20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。そのように得られた白色固形物(55mg)を、工程Bで直接使用した。
【0171】
工程B:
乾燥NMP(0.2mL)中の実施例1000、工程Aから得た化合物(55mg)と調製例500から得たアミノアルコール(60mg)との混合物を、N下にて、100℃で、5時間撹拌した。次いで、減圧下にてNMPを除去し、その残渣を分取シリカゲルTLC(これは、溶離液として、CHCl/MeOH(5:1)を使う)で精製して、淡黄色ワックス状物(30mg、51%)を得た。LCMS:MH=412。
【0172】
(実施例1001〜1010)
表1000のカラム2の適切なアミンおよび表1000のカラム3の適切なチオエーテルで置き換えただけで、実施例1000で示した手順とほぼ同じ手順により、表1000のカラム4の化合物を調製した。
【0173】
【表7−1】

【0174】
【表7−2】

【0175】
【表7−3】

(実施例2001〜2029)
表2000のカラム2の適切なアミンおよび表2000のカラム3の適切なチオエーテルで置き換えただけで、実施例1000で示した手順とほぼ同じ手順により、表2000のカラム4の化合物が調製できる。
【0176】
【表8−1】

【0177】
【表8−2】

【0178】
【表8−3】

【0179】
【表8−4】

【0180】
【表8−5】

【0181】
【表8−6】

【0182】
【表8−7】

(アッセイ)
キナーゼ活性に有用なアッセイを以下で記述する。
【0183】
(バキュロウイルス構築):サイクリンAおよびサイクリンEを、アミノ末端部にGluTAG配列(EYMPME)を加えて、PCRによりpFASTBAC(Invitrogen)にクローン化して、抗GluTAGアフィニティカラム上で精製する。発現するタンパク質は、約46kDa(サイクリンE)および50kDa(サイクリンA)の大きさである。CDK2をまた、カルボキシ末端部にヘマグルチニンエピトープタグ(YDVPDYAS)を加えて、PCRによりpFASTBACにクローン化する。発現するタンパク質は、約34kDaの大きさである。
【0184】
(酵素生成):組換えバキュロウイルス発現サイクリンA、サイクリンEおよびCDK2を、感染の同一多重度(MOI=5)で48時間、SF9に共に感染させる。細胞を、1000RPMで10分間の遠心分離により集める。サイクリン含有(EまたはA)ペレットを、CDK2含有細胞ペレットと合わせ、30分間、ペレット容積の5倍量の50mM Tris pH8.0、0.5% NP 40,1mM DTTおよびプロテアーゼ/ホスファターゼインヒビター(Roche Diagnostics GmbH,Mannhein,Germany)を含む溶解緩衝液に、氷上で溶解する。混合物を30〜60分間撹拌して、サイクリン−CDK2複合体形成を促進させた。次いで、混合溶解物を15000PRMで10分間遠沈させて、この上清を得る。次いで、5mLの抗GluTAGビーズ(1リットルのSF9細胞)を、サイクリン−CDK2複合体を取り込むために使用する。結合したビーズを、溶解緩衝液中で3回洗浄する。タンパク質を、100〜200μg/mLのGluTAGペプチドを含む溶解緩衝液で競合的に溶出する。溶出物を、50mM Tris pH8.0、1mM DTT,10mM MgCl、100μMオルトバナジン酸ナトリウムおよび20%グリセロールを含む2Lのキナーゼ緩衝液に、一晩透析する。酵素を、−70℃のアリコート中で保存する。
【0185】
(インビトロキナーゼアッセイ):CDK2キナーゼアッセイ(サイクリンAかサイクリンEのいずれかに依存する)を、低タンパク質結合96−ウェルプレートにおいて行なう(Corning Inc,Corning,New York)。酵素を希釈して、50mM Tris pH8.0、10mM MgCl、1mM DTTおよび0.1mMオルトバナジン酸ナトリウムを含むキナーゼ緩衝液中50μg/mlの最終濃度にする。これらの反応で使用する基質は、Histone H1(Amersham,UKより)に由来のビオチン化ペプチドである。この基質を氷で解凍し、そしてキナーゼ緩衝液中で、2μMまで希釈する。化合物を、10%DMSO中で、所望濃度まで希釈した。各キナーゼ反応について、20μlの50μg/ml酵素溶液(1μgの酵素)および20μlの1μM基質溶液を混合し、次いで、試験用の各ウェルにて、10μlの希釈化合物と混ぜ合わせる。このキナーゼ反応を、50μlの4μM ATPおよび1μCiの33P−ATP(Amersham,UKより)の添加によって開始する。この反応を、1時間室温にて行なう。反応を、0.1%Triton X−100,1mM ATP、5mM EDTAおよび5mg/mlストレプトアビジンコーティングされたSPAビーズ(Amersham,UKより)を含む200μlの停止緩衝液を、15分間にわたって加えることにより停止させる。次いで、このSPAビーズを、Filtermate universal harvester(Packard/Perkin Elmer Life Sciences)を使用して、96ウェルGF/Bフィルタプレート(Packard/Perkin Elmer Life Sciences)上に取り込む。このビーズを2M NaClを用いて2回、次いで、1%リン酸を含む2M NaClで2回洗浄することによって、非特異的シグナルを除去する。次いで、放射性活性シグナルを、トップカウント96ウェル液体シンチレーション計数器(Packard/Perkin Elmer Life Sciences)を用いて測定する。
【0186】
(IC50決定):用量−応答曲線を、各2連で、阻害化合物の8ポイント系列希釈から作成される阻害データからプロットする。化合物の濃度を、%キナーゼ活性に対してプロットして、未処理サンプルのCPMにより分割される処理されたサンプルCPMによって計算する。次いで、IC50値を作成するために、用量−応答曲線を、標準S字形曲線に当てはめて、IC50値を非直線回帰分析によって誘導する。キナーゼ活性は、上記のアッセイを使用してサイクリンAまたはサイクリンEを用いることによりにより生成できる。本発明の化合物のいくつかのIC50は、表2にて、以下で示す:
【0187】
【表9−1】

【0188】
【表9−2】

【0189】
【表9−3】

本発明は、上で述べた特定の実施形態に関連して記述されているものの、その多くの代替、改良および変更は、当業者に明らかである。このような全ての代替、改良および変更は、本発明の精神および範囲内に入ると解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の方法。

【公開番号】特開2010−180247(P2010−180247A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118852(P2010−118852)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【分割の表示】特願2007−500923(P2007−500923)の分割
【原出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】