説明

キナーゼ阻害剤としてのトリフルオロメチル置換ベンズアミド

本発明は、式(I)
【化1】


のトリフルオロメチル置換ベンズアミド化合物、これらの化合物を含む医薬、特にタンパク質キナーゼの阻害剤としておよび/またはタンパク質キナーゼ活性が介在する状態、障害または疾患状態および/または増殖性疾患の処置のための、医薬としてのもしくはその製造のためのこれらの使用、化合物を投与することを含む処置法、とりわけ治療および予防処置法、化合物および新規中間物質の製造法およびこれらの合成のための部分的段階に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の要約
本発明は、トリフルオロメチル置換ベンズアミド化合物、これらの化合物を含む医薬、医薬としての、特にタンパク質キナーゼ、例えばc−abl、Flt−3、KDR、c−Src、c−kit、FGFR−1、c−Raf、b−Raf、cdk−1、Ins−R、Tek、KDRおよび/またはRETキナーゼ(複数も含む)および/またはそれらの変異型の阻害剤としての、または医薬の製造のための、および/またはタンパク質キナーゼ活性が介在する状態、障害または疾患状態および/または増殖性疾患の処置のためのこれらの使用、化合物を投与することを含む処置法、とりわけ治療および予防処置法、化合物および新規中間物質の製造法およびこれらの合成のための部分的段階(partial steps)に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
特定の縮合ヘテロアリール誘導体は、例えばリウマチ性関節炎の処置における、P38キナーゼ阻害剤としての使用のための記載(WO 2004/010995参照)がある。該出願の焦点は、シクロプロピル置換誘導体である。
【0003】
多数のタンパク質キナーゼならびに多数の増殖性および他のタンパク質キナーゼ関連疾患を考慮して、タンパク質キナーゼ阻害剤としておよびそれ故にこれらのPTK(タンパク質チロシンキナーゼ)関連疾患の処置において有用な化合物の新規クラスを提供するた必要性が存在し続けている。必要であるものとは、薬学的に有利なPTK阻害化合物の新規クラスである。
【0004】
今回、驚くべきことに、シクロプロピル基の代わりに(さらに置換されたまたは置換されていない)トリフルオロメチルフェニル基を有する化合物が、下記の、とりわけ好ましいとして記載のものの、少なくとも、好ましくは選択的に1種またはそれ以上のキナーゼに対して活性を示すことを見いだした。この残基はしたがって、強力なキナーゼ阻害剤の設計のための主成分として使用され得る。加えて、これらは、さらに、有利な薬学的に有用な特性を示す。
【0005】
発明の概要
今回、驚くべきことに、新規クラスのトリフルオロメチル置換ベンズアミド化合物、とりわけ下記のものが、キナーゼ、とりわけ1種またはそれ以上のc−Abl、Bcr−Abl、c−Kit、c−Raf、Flt−1、Flt−3、PDGFR−キナーゼ、c−Src、FGF−R1、FGF−R2、FGF−R3、FGF−R4、カゼインキナーゼ(CK−1、CK−2、G−CK)、Pak、ALK、ZAP70、Jak1、Jak2、Axl、Cdk1、cdk4、cdk5、Met、FAK、Pyk2、Syk、インシュリン受容体キナーゼ、Tie−2またはBcr−Abl、c−Kit、c−Raf、Flt−3、FGF−R3、PDGF−受容体、および/またはMetのようなキナーゼの構造的に活性な変異体(活性化キナーゼ)の特定の種類またはクラスもしくは群の阻害を示すことを見いだした。とりわけ好ましくは、それらは、c−abl、c−kit、FGFR(例えばFGFR−1)、Ins−R、Tek、HER−1、より好ましくはc−Src、Tie/Tek、KDRキナーゼ、c−Abl、c−Raf、b−Raf、RET−受容体キナーゼもしくはエフリン受容体キナーゼまたは1種またはそれ以上のこれらの変異型(例えばBcr−Abl、RET/MEN2A、RET/MEN2B、RET/PTC1−9またはb−raf(V599E))に対する阻害を示す。
【0006】
これらの活性を考慮して、該化合物は、このような種類のキナーゼ、とりわけ記載のキナーゼ、そしてさらにとりわけ好ましいとして記載のキナーゼのとりわけ異常なまたは過剰な活性に関連する疾患の処置のために使用され得る。
【0007】
発明の詳細な説明
本発明は、特に式I
【化1】

[式中、
は、水素または−N(R)(ここで、RおよびRのそれぞれはアルキルであるか、またはそれらが結合している窒素と一緒になって5から7員ヘテロ環式環を形成し、このさらなる環原子は、炭素と窒素、酸素および硫黄から選択される0、1または2個のヘテロ原子から選択され、そして該環は、非置換であるかまたは、さらに窒素環原子が存在するとき、非置換であるかもしくは該窒素でアルキルにより置換されている。)であり;
は、水素または−CH−N(R)(ここで、RおよびRのそれぞれはアルキルであるか、またはそれらが結合している窒素と一緒になって5から7員ヘテロ環式環を形成し、このさらなる環原子は、炭素と窒素、酸素および硫黄から選択される0、1または2個のヘテロ原子から選択され、そして該環は、非置換であるかまたは、さらに窒素環原子が存在するとき、非置換であるかもしくは該窒素でアルキルにより置換されている。)であり;
ただし、RおよびRの少なくとも1個が水素であり;
は、ハロまたはC−C−アルキルであり;
は、
【化2】

{式中、
Xは、CH、NまたはC−NHであり;
Yは、CHまたはNであり;
ただし、XおよびYの両方が同時にNではなく;そして
は、水素、C−C−アルキルまたは非置換もしくは置換フェニルである。}
からなる群から選択される二環式ヘテロシクリルであり;
Aは、式IのQおよびZを含む環に結合する−NH−を有する−C(=O)−NH−または式IのQおよびZを含む環に結合する−C(=O)−を有する−NH−C(=O)−であり;
ZはCHまたはNであり;そして
Qは−S−または−CH=CH−である。]
のトリフルオロメチル置換ベンズアミド化合物、または1個またはそれ以上の塩形成基が存在するとき(好ましくは薬学的に許容される)それらの塩に関する。
【0008】
本発明はまた、温血動物、とりわけヒトに式Iの化合物を投与することを含む、キナーゼ依存性および/または増殖性疾患の処置法、および、とりわけキナーゼ依存性疾患または障害の処置のための、式Iの化合物の使用に関する。本発明はまた、とりわけキナーゼ依存性疾患または障害の処置のための、式Iの化合物を含む医薬製剤、式Iの化合物の製造法、ならびにその製造のための新規出発物質および中間体に関する。本発明はまた、キナーゼ依存性疾患の処置のための医薬製剤の製造における式Iの化合物の使用に関する。
【0009】
上記および下記の一般的な用語または記号は、本明細書中で、他に記載がない限り好ましくは下記の意味を有する:
【0010】
結合に垂直な波線を使用するそれぞれの場合において、これは記載の基が対応する分子の残りに結合しているときの結合を示す。
【0011】
“低級”または“C−C−”なる用語は、最大7(7を含む)、とりわけ最大4(4を含む)個の炭素原子を有する基を示し、該部分は分岐鎖または直鎖である。低級またはC−C−アルキルは、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシルもしくはn−ヘプチルまたは好ましくはC−C−アルキル、とりわけメチル、エチル、n−プロピル、sec−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルである。
【0012】
非置換または置換フェニルは、非置換または1個もしくはそれ以上、好ましくは1もしくは2個の置換基により置換されており、該置換基は独立して:ハロ、低級アルキル、置換低級アルキル、例えばハロ低級アルキル、例えばトリフルオロメチル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ、アミノ、モノ−もしくはジ置換アミノ、例えばモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ、アミノ低級アルコキシ;低級アルカノイルアミノ;アミジノ、ニトロ、シアノ、シアノ−低級アルキル、カルボキシ、エステル化カルボキシ、とりわけ低級アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニルもしくはイソ−プロポキシカルボニル、低級アルカノイル、ベンゾイル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ置換カルバモイル、例えばN−モノ−もしくはN,N−ジ−低級アルキルカルバモイルまたはN−モノ−もしくはN,N−ジ−(ヒドロキシ−低級アルキル)−カルバモイル、アミジノ、グアニジノ、ウレイド、メルカプト、スルホ、低級アルキルチオ、スルホンアミド、ベンゾスルホンアミド、スルホノ、フェニル、フェニル−低級アルキル、例えばベンジル、フェノキシ、フェニル−低級アルコキシ、例えばベンジルオキシ、フェニルチオ、フェニル−低級アルキルチオ、低級アルキル−フェニルチオ、低級アルキルスルフィニル、フェニルスルフィニル、フェニル−低級アルキルスルフィニル、アルキルフェニルスルフィニル、低級アルカンスルホニル、フェニルスルホニル、フェニル−低級アルキルスルホニル、アルキルフェニルスルホニル、ハロゲン−低級アルキルメルカプト、ハロゲン−低級アルキルスルホニル、例えばトリフルオロメタンスルホニル、ジヒドロキシボラ(−B(OH))、環の隣接したC−原子で結合した低級アルキレンジオキシ、例えばメチレンジオキシ、ホスホノ(−P(=O)(OH))、ヒドロキシ−低級アルコキシホスホリルもしくはジ−低級アルコキシホスホリル、または−NR(ここで、RおよびRは、同じでも、異なっていてもよく、独立してH;低級アルキル(例えばメチル、エチルまたはプロピル)であるか;またはRおよびRは、N原子とともに、1−4個の窒素、酸素または硫黄原子を含む、3−から8−員ヘテロ環式環(例えばピペラジニル、低級アルキル−ピペラジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリニル、イミダゾリニル)を形成する)を含む、任意の1個またはそれ以上の官能基から選択される。
【0013】
アルキルは、好ましくは1から12個の炭素原子を有するか、またはとりわけ7個までの、好ましくは1から5個(5を含む)の炭素原子を有する低級アルキルであり、そして直鎖または分岐鎖であり;好ましくは、上記定義のとおりの低級アルキルである。
【0014】
ハロまたはハロゲンは、好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、さらに好ましくはフルオロ、クロロまたはブロモである。
【0015】
塩は、とりわけ式Iの化合物の薬学的に許容される塩である。これらは、塩形成基、例えば塩基性または酸性基が存在するとき形成でき、例えばpH4から10の範囲の水溶液中、少なくとも一部解離形で存在でき、またはとりわけ固体形で単離できる。
【0016】
このような塩は、例えば、塩基性窒素原子を有する式Iの化合物から、好ましくは有機酸または無機酸との酸付加塩、とりわけ薬学的に許容される塩として形成する。適当な無機酸は、例えば、ハロゲン酸、例えば塩酸、硫酸またはリン酸である。適当な有機酸は、例えば、カルボキシル酸、ホスホン酸、スルホン酸もしくはスルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、アミノ酸、例えばグルタミン酸もしくはアスパラギン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、安息香酸、メタン−もしくはエタン−スルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレン−ジスルホン酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸、N−メチル−、N−エチル−もしくはN−プロピル−スルファミン酸、または他の有機プロトン酸、例えばアスコルビン酸である。
【0017】
負電荷基、例えばカルボキシまたはスルホの存在下、塩はまた、塩基と、例えばメチルまたはアンモニウム塩、例えばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウムもしくはカルシウム塩、またはアンモニアを有するアンモニウム塩または適当な有機アミン、例えば三級モノアミン、例えばトリエチルアミンもしくはトリ(2−ヒドロキシエチル)アミン、またはヘテロ環式塩基、例えばN−エチル−ピペリジンもしくはN,N’−ジメチルピペラジンを形成し得る。
【0018】
塩基性基および酸性基が同じ分子内に存在するとき、式Iの化合物はまた、内部塩を形成し得る。
【0019】
単離または精製目的のために、薬学的に許容されない塩、例えばピクリン酸塩または過塩素酸塩もまた使用できる。治療的使用のために、(適用可能であれば医薬製剤に包含されて)薬学的に許容される塩または遊離化合物のみを使用し、したがってこれらが好ましい。
【0020】
遊離形の化合物と、例えば化合物またはそれらの塩の精製または同定における、中間体として使用できる塩を含む、これらの塩形の化合物との密接な関係を考慮して、上記および下記の“化合物”、とりわけ式Iの化合物(複数を含む)への言及は、他に記載のない限り、適当におよび好都合に、1種またはそれ以上のそれらの塩または遊離化合物および1種またはそれ以上のそれらの塩の混合物と言及するものとしてもまた理解されるべきである。
【0021】
複数形を化合物、塩、医薬製剤、疾患、障害などで使用するとき、これは単数形の化合物、塩、医薬製剤、疾患などもまた意味し、そしてその逆も同様である。
【0022】
式Iの化合物は、重要な薬理学的特性を有し、キナーゼ依存性疾患の処置において、例えば、1種またはそれ以上の増殖性疾患を処置する薬剤として有用である。
【0023】
(とりわけチロシンタンパク質キナーゼ依存性疾患または障害の)“処置”または“治療”なる用語は、好ましくは疾患、とりわけ下記に記載の疾患の予防的または治療的(苦痛緩和、治癒、症状の緩和、症状の軽減、キナーゼ調節および/またはキナーゼ阻害を含むが、これらに限定されない)処置に言及する。
【0024】
下記または前記の“使用”なる用語を(動詞または名詞として)(式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの塩の使用に関連して)記載するとき、これは(文脈において他に指示がない限り)、本発明の任意の1個またはそれ以上の下記の態様の各々を含む(他に記載のない限り):他に記載のない限り適当におよび好都合に、(とりわけチロシン)タンパク質キナーゼ依存性疾患の処置における使用、タンパク質キナーゼ依存性疾患の処置において使用するための医薬組成物の製造のための使用、タンパク質キナーゼ依存性および/または増殖性疾患の処置における式Iの1種またはそれ以上の化合物の使用法、タンパク質キナーゼ依存性疾患の処置のための1種またはそれ以上の式Iの化合物を含む医薬製剤、およびタンパク質キナーゼ依存性疾患の処置のための1種またはそれ以上の式Iの化合物。特に、処置すべきであり、故に式Iの化合物の“使用”に好適である疾患は、下記の(とりわけチロシン)タンパク質キナーゼ依存性(“依存性”は、“単に依存”だけでなく“支持”もまた意味する)疾患、とりわけ下記の増殖性疾患、さらにとりわけ1種またはそれ以上のc−Abl、Bcr−Abl、c−Kit、c−Raf、Flt−1、Flt−3、PDGFR−キナーゼ、c−Src、FGF−R1、FGF−R2、FGF−R3、FGF−R4、カゼインキナーゼ(CK−1、CK−2、G−CK)、Pak、ALK、ZAP70、Jak1、Jak2、Axl、Cdk1、cdk4、cdk5、Met、FAK、Pyk2、Syk、インシュリン受容体キナーゼ、Tie−2またはBcr−Abl、c−Kit、c−Raf、b−Raf、Flt−3、FGF−R3、PDGF−受容体および/またはMetのキナーゼの構造的に活性化変異型(活性化キナーゼ)(以後“該キナーゼ”)に依存する、およびさらにとりわけc−Raf、b−Raf、c−src、c−Abl、Tie/TekにおよびさらにとりわけKDR、RET−受容体キナーゼ、および/またはエフリン受容体キナーゼに依存する、またはこれらのいずれか1種またはそれ以上の変異型に依存する1種もしくはそれ以上のこれらのまたは他の疾患から選択され、そして、式Iの化合物は、したがって、とりわけ上記および下記のキナーゼの1種またはそれ以上に依存している疾患の処置において使用でき、ここで、(とりわけ異常な高度に発現している、構造的に活性および/または変異キナーゼの場合)該キナーゼ依存性疾患または障害は、該キナーゼ経路の活性または2種またはそれ以上の記載のキナーゼの任意の組合せに依存する。
【0025】
キナーゼ依存性疾患または障害を言及するとき、上記および/または下記のキナーゼの広い意味において、これは、好ましくは、任意の1種またはそれ以上のc−Abl、c−kit、FGFR(例えばFGFR−1)、c−Raf、b−Raf、c−Src、Tie/Tek、c−abl受容体キナーゼ、および、さらにとりわけKDR、RET−受容体キナーゼ、および/またはエフリン受容体キナーゼ依存性疾患もしくは障害またはこれらのキナーゼの任意の1種またはそれ以上の変異型に依存する疾患もしくは障害を意味する。
【0026】
式Iの化合物は、価値ある薬理学的特性を有し、タンパク質キナーゼ依存性疾患の処置において、例えば、増殖性疾患の処置のための薬剤として使用することができる。
【0027】
典型的な例示的試験系の下記の記述において、下記の略語は、下記の意味を有する:DMSO=ジメチルスルホキシド;DTT=ジチオスレイトール;EDTA=エチレンジアミン四酢酸;MOI=感染の多重度;PMSF=p−トルエンスルホニルフッ化物;Tris=トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン。他に記載のない限り、“阻害剤”は、式Iの試験化合物である。
【0028】
KDRタンパク質−チロシンキナーゼ活性の阻害剤としての本発明の化合物の効力は、下記のとおりに証明できる:VEGF誘導受容体自己リン酸化の阻害は、恒久的にヒトVEGF−R2受容体(KDR)を発現するトランスフェクトCHO細胞のような細胞内で行うことができ、6ウェル細胞培養プレート中の完全培養培地(10%ウシ胎仔血清=FCS含有)中にまき、37℃で5%CO下、これらが約80%密集度を示すまでインキュベートする。試験すべき該化合物を次いで、培養培地(FCS非含有、0.1%ウシ血清アルブミン含有)で希釈し、細胞に加える。対照は、試験化合物非含有培地を含む。2時間、37℃でインキュベーション後、組み換えVEGFを加える;最終VEGF濃度は20ng/mlである。さらに、5分間、37℃でインキュベーション後、細胞を2度氷冷PBS(リン酸緩衝化食塩水)で洗浄し、即座に100μl溶解バッファー/ウェル中に溶解する。溶解物を次いで遠心分離し、細胞核を除去し、上清のタンパク質濃度を、市販のタンパク質アッセイ(BIORAD)を用いて測定する。溶解物を次いで、即座に使用するか、または必要により−20℃で保存できる。このプロトコールを使用して、式Iの化合物が0.005−20μMの範囲、好ましくは0.005から20μMの範囲、より好ましくは0.005から0.5μMの範囲でKDR阻害についてのIC50値を示すことを見いだせる。
【0029】
RETの阻害は下記のとおりに測定できる:バキュロウイルスドナーベクターpFB−GSTX3を使用して、RETの野生型キナーゼドメイン(wtRET)に対応するヒトRET−Men2Aおよび、活性化ループM918Tの活性化変異によりwtRETと異なるRET−Men2Bの細胞質内キナーゼドメインのアミノ酸領域658−1072(Swiss prot No. Q9BTB0)を発現する、組み換えバキュロウイルスを産生する(D. S. Acton et al., Oncogene 19, 3121 (2000))。プラスミドpBABEpuro RET−Men2AおよびpBABEpuro RET−Men2Bから、wtRETおよびRET−Men2Bの細胞質ドメインのコード配列をPCRで増幅させる。増幅DNAフラグメントおよびpFB−GSTX3ベクターは、SalIおよびKpnIでの消化によるライゲーションに適合性となる。これらのDNAフラグメントのライゲーションが、バキュロウイルスドナープラスミドpFB−GX3−RET−Men2AおよびpFB−GX3−RET−Men2B各々を生ずる。
【0030】
ウイルスの産生:キナーゼドメインを含む移入ベクターをDH10Bac細胞系(GIBCO)に挿入し、選択寒天プレートにおく。ウイルスゲノム内への融合配列の挿入(バクテリアにより運搬)のないコロニーは青色である。単一の白色のコロニーを回収し、ウイルスDNA(bacmid)を標準プラスミド精製法によりバクテリアから単離する。Sf9細胞またはSf21(American Type Culture Collection)細胞を次いで、25cmフラスコ内、Cellfectin試薬を使用して、ウイルスDNAでトランスフェクトする。
【0031】
Sf9細胞における小規模のタンパク質発現の測定:ウイルス含有培地をトランスフェクトした細胞培養物から回収し、その力価を増加させるための感染に使用する。2回の感染後に得られたウイルス含有培地を、大規模のタンパク質発現のために使用する。大規模のタンパク質発現のために、100cm丸型組織培養プレートに5×10細胞/プレートでまき、1mLのウイルス含有培地(約5MOI)で感染させる。3日間後、細胞をプレートからかきとり、500rpmで5分間、遠心する。10−20個の100cmプレートからの細胞ペレットを、50mLの氷冷溶解バッファー(25mM トリス−HCl、pH7.5、2mM EDTA、1% NP−40、1mM DTT、1mM PMSF)中に再懸濁する。細胞を氷上15分間撹拌し、次いで5,000rpmsで20分間遠心する。
【0032】
GSTタグ付きタンパク質の精製:遠心分離した細胞溶解物を、2mLのグルタチオン−セファロースカラム(Pharmacia)にローディングし、10mLの25mM トリス−HCl、pH7.5、2mM EDTA、1mM DTT、200mM NaClで3×洗浄する。GSTタグ付きタンパク質を次いで、25mM トリス−HCl、pH7.5、10mM還元グルタチオン、100mM NaCl、1mM DTT、10% グリセロールの10回適用(各々1mL)により溶出させ、−70℃で保存する。
【0033】
酵素活性の測定:精製GST−wtRETまたはGST−RET−Men2Bタンパク質のチロシンタンパク質キナーゼアッセイを、15ngのGST−wtRETまたはGST−RET−Men2Bタンパク質、20mM トリス−HCl、pH7.5、1mM MnCl、10mM MgCl、1mM DTT、3μg/mL ポリ(GIu、Tyr)4:1、1% DMSO、2.0μM ATP(γ−[33p]−ATP 0.1μCi)を含む、最終用量30μL中で行う。活性は阻害剤の存在下または非存在下で、ポリ(Glu、Tyr)4:1中、[γ33P]ATP由来33Pの取り込みを測定することによりアッセイする。アッセイは、96ウェルプレート中、周囲温度で15分間、下記の条件下で行い、20μLの125mM EDTAの添加により停止させる。その後、40μLの反応混合物をあらかじめ5分間メタノールに浸したImmobilon−PVDF膜(Millipore)に移し、水で濯ぎ、次いで5分間0.5%HPOに浸し、切断された真空源を備える真空マニホールド上にマウントする。すべてのサンプルをスポット後、真空に接続し、200μLの0.5% HPOで各々よく濯ぐ。膜を取り、シェーカー上で1.0% HPOで4回、1回エタノールで洗浄する。膜を周囲温度で乾燥させ、Packard TopCount 96−ウェルフレームにマウントし、10μL/ウェルのMicroscint TM(Packard)を添加した後、カウントする。IC5o値を、4種の濃度(通常0.01、0.1、1および10μM)で、デュプリケートの各化合物の阻害%の線形回帰分析により計算する。タンパク質キナーゼ活性の1単位を1nmoleの33P ATPが、[γ33P]ATPから、37℃でタンパク質基質/分/タンパク質mgで移されることとして定義する。
【0034】
IC50計算値:
インプット:Immobilon膜上、3×4μLの停止アッセイ、洗浄せず。
バックグラウンド(3ウェル):酵素の代わりにHOでアッセイ。
陽性対照(4ウェル):化合物の代わりに3%のDMSO。
浴対照(1ウェル):反応混合物なし。
【0035】
IC50値は、4種の濃度(通常10μMで開始の3または10倍希釈シリーズ)での各化合物の阻害%の対数回帰分析により計算する。各実験において、参照化合物による実際の阻害を、参照阻害剤の平均値の基礎に対するIC50値の標準化のために使用する:
標準化IC50=測定したIC5o平均参照IC50/測定した参照IC50
例:実験における参照阻害剤0.4μM、平均0.3μM;
実験における試験化合物1.0μM、標準化:0.3/0.4=0.75μM。
【0036】
例えば、スタウロスポリンまたは合成スタウロスポリン誘導体を参照化合物として使用する。このプロトコールを使用して、式Iの化合物が、0.001−10μMの範囲、好ましくは0.01−1μMの範囲のRET阻害についてのIC50値を示すことを見いだすことができる。
【0037】
式Iの化合物はまた、他のチロシンタンパク質キナーゼ、例えばとりわけc−Srcキナーゼ、c−Kitおよび/またはFGFRを阻害する;これらすべては、動物、とりわけヒト細胞を含む哺乳類細胞における、成長調節および形質転換において役割を果たす。適当なアッセイは、Andrejauskas-Buchdunger et al., Cancer Res. 52, 5353-8 (1992)に記載されている。この試験系を使用して、式Iの化合物は、0.005から100μMの範囲、通常0.01から5μMでc−Srcの阻害についてのIC50値を示し得る。式Iの化合物はまた、0.01から5μMの範囲、通常0.005から5μMでc−kit阻害についてのIC50値を示し得る。
【0038】
Tekの阻害は、下記のとおりに測定できる:これらのキナーゼの発現、精製およびアッセイの手段は、Fabbro et al., Pharmacol. Ther. 82(2-3) 293-301 (1999)に記載されている。簡潔に言うと、pAcG1ベクター(Pharmingen)からのグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子をEcoRVおよびEcoRIで切除し、Fast−Bacバキュロウイルスベクター(GIBCO)のクローニング部位に挿入し、pAcG1融合ベクター由来N−末端クローニング部位を有する5530bpベクター(FBG0)を創る。C−末端クローニング部位は、使用されるN−末端クローニング部位の下流の(Fast−Bacベクターからの)任意のクローニング部位であり得る。N−末端にGST融合した(pAcG1、Pharmingen)KDRまたはTekキナーゼドメインをProQinase、Freiburg、Germanyから得る。Tekは、EcoRI切除およびEcoRI消化FBG1(FBG1−Tek)へのライゲーションによりFBG1ベクター内に再クローニングする。c−Kit(aa 544−976)およびc−Fms(aa 538−972)の完全な細胞質ドメインに関するコード配列は、各々ヒト子宮およびヒト骨髄cDNAライブラリー(Clontech)からPCRにより増幅する。増幅したDNAフラグメントをBamHI−EcoRI挿入物としてそれらをFBG1にクローニングすることによりGSTに融合させ、FBG1−c−KitおよびFBG1−c−Fmsを産生する。Tekは、EcoRI切除およびEcoRI消化FBG0(FBG−Tie2/Tek)へのライゲーションによりFBG0移入ベクター内に再クローニングする。FGFR−1およびc−metキナーゼドメインは、PCRによりヒトA431細胞から得る。N−末端プライマーは、張り出したEcoRI部位を含むが、C−末端プライマーは、XhoI部位を含み、移入ベクターへのクローニングの助けとなる。PCRフラグメントおよびFBG0の両方の消化後、分解産物をゲル精製し、一緒にライゲーションし、キナーゼ構築物(FBG−Met、FBG−FGFR−1)を形成させる。
【0039】
キナーゼ用ウイルスをGIBCOにより提供されるプロトコールにしたがって作製する。簡潔に言うと、キナーゼドメイン含有移入ベクターをDH10Bac細胞系(GIBCO)にトランスフェクトし、Blue−Gal、IPTG、カナマイシン、テトラサイクリン、およびゲンタマイシンの推奨濃度を含む寒天プレートにまく。融合配列のウイルスゲノム内への挿入(バクテリアにより運搬)のないコロニーは青色である。通常、単一の白色のコロニーを選択し、ウイルスDNA(bacmid)を標準プラスミドmini prep法によりバクテリアから単離する。Sf9細胞またはHigh Five細胞(GIBCO)を次いで、Cellfectin試薬およびBac−to−Bacキット(GIBCO)で提供されるプロトコールを使用して、25cmフラスコ内で、ウイルスDNAでトランスフェクトする。ウイルス含有培地をトランスフェクト細胞培養物から回収し、その力価を増加させるための感染に使用する。2回感染後に得られたウイルス含有培地を、大規模のタンパク質発現のために使用する。大規模のタンパク質発現のために、100cm丸型組織培養プレートに5×10細胞/プレートでまき、1mLのウイルス含有培地(約5MOI)で感染させる。3日間後、細胞をプレートから掻き出し、500rpmで5分間遠心する。
【0040】
10−20個の100cmプレートからの細胞ペレットを、50mLの氷冷溶解バッファー(25mM トリス−HCl、pH7.5、2mM EDTA、1% NP−40、1mM DTT、1mM PMSF)中に再懸濁する。細胞を氷上で15分間撹拌し、次いで5,000rpmで20分間遠心する。上清を2mLのグルタチオン−セファロースカラムにローディングし、10mLの25mM トリス−HCl、pH7.5、2mM EDTA、1mM DTT、200mM NaClで3回洗浄する。GSTタグ付きタンパク質を次いで、25mM トリス−HCl、pH7.5、10mM還元グルタチオン、100mM NaCl、1mM DTT、10% グリセロールの10回適用(1mL各々)により溶出し、−70℃で保存する。
【0041】
アッセイ(30μl)は、200−1800ng(特異的活性に依存)の酵素タンパク質、20mM トリス−HCl、pH7.6、3mM MnCl、3mM MgCl、1mM DTT、10μM NaVO、3μg/ml ポリ(Glu、Tyr)4:1、8μM ATP(γ−[33P]−ATP 0.1μCi)を含む。反応は20分間、周囲温度でインキュベートし、次いで25μlの0.25M EDTA(pH7.0)の添加により停止させる。40μlのアリコートを低真空源に接続したMillipore MicrotiterフィルターマニホールドにマウントしたImmobilon P膜上に、マルチチャネル・ディスペンサーでスポットする。液体の除去後、膜を一連の0.5% HPOを含む4個の洗浄浴、EtOHの1個の洗浄浴(各10分間振動インキュベーション)に移し、乾燥させ、10μl Microscint(登録商標)を添加したHewlett Packard TopCountマニホールド上にマウントし、カウントする。式Iの化合物が、線形回帰分析により計算して、0.001−100μM、好ましくは0.1−10μMのTek阻害についてのIC50値を示すことを見いだすことができる。
【0042】
c−Raf−1の阻害は、下記のとおりに測定できる:組み換えc−Raf−1タンパク質の生産物は、Sf21細胞をGST−c−Raf−1組み換えバキュロウイルスと、活性なc−Raf−1キナーゼを製造するために必要であるv−Srcおよびv−Ras組み換えバキュロウイルスで3重感染させることにより得る(Williamsetal.,PNAS1992;89:2922-2926)。活性なRas(v−Ras)はc−Raf−1を細胞膜に集めるために必要であり、そしてv−Srcはc−Raf−1を完全に活性化するためにそれをリン酸化するために必要である(Williamsetal.,PNAS1992;89:2922-2926)。細胞を2.5×10細胞/150mm皿でまき、150mm皿に1時間室温(RT)で付着させる。培地(10%FBS含有SF900II)を吸引し、組み換えバキュロウイルス;GST−C−Raf−1、v−Rasおよびv−Srcを全量4−5mLに3.0、2.5および2.5MOIで各々加える。細胞を1時間室温でインキュベートし、次いで、15mLの培地を加える。感染細胞を48−72時間27℃でインキュベートする。感染Sf21細胞をかきとり、50mLチューブに回収し、10分間4℃で1100gでSorvall遠心分離機で遠心する。細胞ペレットを氷冷PBSで1度洗浄し、2.5×10個の細胞あたり0.6mLの溶解バッファーで溶解する。細胞の完全な溶解は、氷上で時々ピペッティングしながら10分後達成する。細胞溶解物を、10分間4℃で14,500gでSS−34ローターを備えたSorvall遠心分離機で遠心し、上清を新鮮なチューブに移し、−80℃で保存する。c−Raf−1を、2.5×10細胞あたり100μLの氷冷PBS中で平衡化した充填グルタチオン−セファロース4Bビーズを使用して細胞溶解物を精製する。GST−c−Raf−1を4℃で1時間振動させながらビーズに結合させる。ビーズに結合したGST−c−Raf−1をカラムに移す。カラムを溶解バッファーで1回、氷冷Tris緩衝化食塩水で2回洗浄する。氷冷溶出バッファーを加え、遊離グルタチオンでGST−c−Raf−1とグルタチオンセファロースビーズとの相互作用を妨害させるためにカラムの流れを止める。画分(1mL)をあらかじめ冷却したチューブに回収する。各チューブは、凍結融解サイクル中、キナーゼ活性を維持するため10%グリセロール(最終濃度)を含む。GST−c−Raf−1キナーゼタンパク質の精製画分を−80℃で保存する。
【0043】
IκBをc−Raf−1キナーゼの基質として使用した。IκBはHisタグ付きタンパク質としてバクテリアで発現させる(Dr. Eder; ABM, Novartis, Baselによりクローン化され、恵与された)。IκBプラスミドを含むBL21 LysSバクテリアをLB培地中OD600が0.6になるまで増殖させ、次いでkbを発現させるために、IPTG(最終濃度1mM)で3時間37℃で誘導し、次いでバクテリアを超音波処理(超音波処理バッファー[50mM Tris pH8.0、1mM DTT、1mM EDTA]中、各1分で3回についてマイクロチップ設定限界)により溶解させ、10,000gで15分間遠心する。上清を硫酸アンモニウムと混合し、最終濃度30%とする。この混合物を15分間4℃で振動させ、次いで10,000gで15分間遠心する。ペレットを10mM BSA含有結合バッファー(Novagen)中に再懸濁する。この溶液をNi−アガロース(Novagen)に適用し、Novagen指示書にしたがって洗浄する。IκBを溶出バッファー(0.4M イミダゾール、0.2M NaCl、8mM Tris pH7.9)を使用して、カラムから溶出する。タンパク質を含む画分を50mM Tris pH8、1mM DTTで透析する。
【0044】
c−Raf−1、b−Rafおよびb−Raf(V599E)タンパク質キナーゼの活性を阻害剤の存在下または不存在下、[γ33P]ATP由来の33PのIκBへの結合を測定することによりアッセイする。アッセイを96ウェルプレート中、周囲温度で60分間行う。それは、1% DMSOの存在下、600ngのIκBを使用して、(全量30μl):c−raf−1、b−Rafまたはb−Raf(V599E)キナーゼ(400−600ng)、25mM Tris−HCl、pH7.5、5mM MgCl、5mM MnCl、10μM NaVO、1mM DTTおよび0.3pCi/アッセイ[γ33P]−ATP(10μM ATP)を含む。反応は10μLの250mM EDTAの添加により停止させ、30μLの反応混合物を、あらかじめ5分間メタノールに浸したImmobilon−PVDF膜(Millipore、Bedford、MA、USA)上に移し、水で濯ぎ、次いで5分間0.5%のHPOに浸し、切断した真空源を備える真空マニホールドにマウントする。すべてのサンプルをスポット後、真空に接続し、200μLの0.5% HPOで各ウェルを濯ぐ。膜を外し、シェーカー上で0.5% HPOで4回、エタノールで1回洗浄する。膜を周囲温度で乾燥させ、Packard TopCount 96−ウェルフレームにマウントし、10μL/ウェルのMicroscint TM(Packard)を添加した後、カウントする。式Iの化合物は、0.01−50μM、好ましくは0.01から10μMの範囲でc−Raf−1、b−Rafまたはb−Raf(V599E)阻害を示すことができる。
【0045】
c−Ablタンパク質−チロシンキナーゼ活性の阻害剤として本発明の化合物の有効性を下記のとおり証明できる:
インビトロ酵素アッセイを、下記の改変をしたGeissler et al. in Cancer Res. 1992; 52:4492-4498に記載のとおりに、フィルター結合アッセイとして96ウェルプレートで行う。c−AblのHisタグ付きキナーゼドメインをBhat et al. in J.Biol.Chem. 1997; 272:16170-16175に記載のとおりのバキュロウイルス/Sf9系でクローン化および発現させる。37kDのタンパク質(c−Ablキナーゼ)をコバルト金属キレートカラム、次いで陰イオン交換カラムの二段階製造により精製し、1−2mg/LのSf9細胞を産生する(Bhat et al., reference cited)。c−Ablキナーゼの純度は、クーマシーブルー染色後SDS−PAGEにより>90%と判定する。アッセイは、1% DMSO存在下、30μg/mLのポリ−Ala、Glu、Lys、Tyr−6:2:5:1(Poly−AEKY, Sigma P1152)を使用して、(全量30μL):c−Ablキナーゼ(50ng)、20mM Tris−HCl、pH7.5、10mM MgCl、10μM NaVO、1mM DTTおよび0.06μCi/アッセイ[γ33P]−ATP(5μM ATP)を含む。反応を10μLの250mM EDTAの添加により終了させ、30μLの反応混合物をあらかじめ5分間メタノールに浸したImmobilon−PVDF膜(Millipore、Bedford、MA、USA)上に移し、水で濯ぎ、次いで5分間0.5%のHPOに浸し、切断された真空源を備える真空マニホールドにマウントする。すべてのサンプルをスポット後、真空に接続し、200μLの0.5% HPOで各ウェルを濯ぐ。膜を外し、シェーカー上で0.5% HPOで4回、エタノールで1回洗浄する。膜を、周囲温度で乾燥させ、Packard TopCount 96−ウェルフレームにマウントし、そして10μL/ウェルのMicroscint TM(Packard)を添加後した後、カウントする。この試験系を使用して、式Iの化合物は、0.002−100μM、通常0.002から5μMの範囲でc−Abl阻害のIC50値を示すことができる。
【0046】
インビボで式Iの化合物の抗腫瘍活性を証明するための実験もある。
【0047】
例えば、式Iの化合物、例えば下記の実施例1のものがインビボでVEGF介在血管形成を阻害するかどうかを試験するために、マウスの増殖因子移植モデルのVEGFにより誘導される血管新生応答の結果を試験する:多孔のテフロンチャンバー(容量0.5mL)を増殖因子(2μg/mlのヒトVEGF)ありまたはなしで、ヘパリン(20単位/ml)含有0.8% w/v寒天で満たし、C57/C6マウスの背面横腹に皮下に移植する。マウスの試験化合物(例えば25、50または100mg/kg p.o. 1日1回)または賦形剤での処置をチャンバーの移植の日に開始し、そしてその後4日間続ける。処置後、マウスを殺し、チャンバーを除去する。チャンバーの周りの増殖した血管新生組織を注意深く摘出し、検量し、血液容量を組織のヘモグロビン容量を測定することによって評価する(Drabkins法;Sigma、Deisenhofen、Germany)。これらの増殖因子が体重とチャンバーの周りの(繊維芽細胞および微少血管を含むことにより組織学的に特徴付けられる)増殖している組織の重量および血管容量の用量依存的増加を誘導し、この応答は特異的にVEGFを中和する抗体により阻害されることは以前に示されている(Wood JM et al., Cancer Res. 60(8), 2178-2189, (2000); および Schlaeppi et al., J. Cacner Res. Clin. Oncol. 125, 336-342, (1999)参照)。このモデルで、式Iの化合物の場合における、阻害を示すことができる。
【0048】
本発明の広い意味において、式Iの化合物が使用され得るキナーゼ依存性疾患は、過増殖状態、例えば白血病、過形成、線維症(とりわけ肺疾患であるが、他の種類の線維症、例えば腎線維症もまた)、血管形成、乾癬、アテローム性動脈硬化症および血管の平滑筋増殖、例えば狭窄または血管形成術後の再狭窄を含む増殖性疾患であり得る。さらに、式Iの化合物は、血栓症、乾癬、強皮症および線維症の処置のために使用され得る。
【0049】
好ましくは、式Iの化合物は、腫瘍または癌疾患、とりわけ好ましくは良性または、とりわけ悪性腫瘍または癌疾患、より好ましくは脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、胸、胃(とりわけ胃腫瘍)、卵巣、大腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣、甲状腺の癌腫、肉腫、グリア芽腫、多発性骨髄腫または消化器系の癌、とりわけ大腸癌腫または結腸直腸腺腫、または頭頸部、表皮過増殖、とりわけ乾癬、前立腺肥大、とりわけ上皮性形質の新生組織形成、好ましくは乳癌または白血病から選択される増殖性障害の治療(予防を含む)において使用され得る。
【0050】
式Iの化合物は、腫瘍の退行をもたらし、そして腫瘍転移の形成および(微少)転移の増殖を阻害するために使用できる。それらに加えて、表皮性過増殖(例えば乾癬)、前立腺肥大および、とりわけ上皮性形質の新生組織形成、例えば乳癌の処置において使用できる。数種のまたは、とりわけ個々のチロシンタンパク質キナーゼが関与するため、免疫系の疾患の処置において、式Iの化合物を使用することも可能である;さらに、とりわけ特に記載のものから選択される、少なくとも1個のチロシンタンパク質キナーゼによるシグナル伝達を含むとき、式Iの化合物はまた、中枢または末梢神経系の疾患の処置において使用できる。
【0051】
慢性骨髄性白血病(CML)において、造血幹細胞(HSC)の相互に安定した染色体転座がBCR−ABLハイブリッド遺伝子を産生する。後部は発癌性のBcr−Abl融合タンパク質をコードする。ABLは、細胞増殖、細胞接着およびアポトーシスの制御において基本的な役割を果たす、しっかりと調節されたタンパク質チロシンキナーゼをコードするが、BCR−ABL融合遺伝子は、HSCを、進行的により悪性形質転換体の蓄積を可能にする脱制御されたクローン増殖、減少した骨髄間質への付着能力および変異刺激に対する減少したアポトーシス応答を示す表現型に変異させる、構造的に活性なキナーゼをコードする。得られた顆粒球は成熟リンパ球に成長できず、そして血液中に放出され、成熟細胞の欠乏を導き、感染感受性を増加させる。キナーゼが細胞分裂および抗アポトーシス経路(例えばP−3キナーゼおよびSTAT5)を活性化することを防止し、BCR−ABL表現型細胞の死を導く、そしてしたがってCMLに対する有効な治療を提供するBcr−AblのATP競合阻害剤が記載されている。本発明に従いBcr−Abl阻害剤として有用なピラゾロ[1,5a]ピリミジン−7−イルアミン誘導体、とりわけ式Iの化合物は、したがってとりわけその過剰発現が関連する疾患、とりわけ白血病、例えばCMLまたはALLのような白血病の治療に適当である。
【0052】
式Iの化合物は、腫瘍増殖の減速または腫瘍退行を果たし、腫瘍転移の形成および微少転移の増殖を予防する能力がある。これらは、とりわけ表皮過増殖(乾癬)の場合、固形癌、例えば(例えば非小細胞)肺癌、扁平上皮(頭頸部)癌、胸、胃、卵巣、大腸および前立腺癌ならびに神経膠腫の処置において、および白血病、例えばとりわけ急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)の処置において使用できる。加えて、式Iの化合物は、数種のまたは、とりわけ、個々のタンパク質チロシンキナーゼおよび/または(さらに)セリン/スレオニンタンパク質キナーゼが関与する免疫系の障害の処置において使用できる;式Iの化合物はまた、数種のまたは、とりわけ、1種のタンパク質チロシンキナーゼおよび/または(さらに)セリン/スレオニンタンパク質キナーゼによるシグナル伝達が関与する、中枢または末梢神経のこれらの障害の処置において使用できる。
【0053】
血管形成は、最大直径約1−2mmを超えて成長する、腫瘍の絶対必要条件だと考えられる;この限界まで、酸素および栄養分は拡散により腫瘍細胞に提供され得る。その起源および原因に関係なく、あるサイズに到達後、全腫瘍はしたがって成長のために血管形成に依存している。3個の重要なメカニズム:1)アポトーシスと増殖と間で達成されるバランスのために正味の腫瘍増殖を無くす結果をもたらす、無血休眠腫瘍への血管、とりわけ毛細血管の成長の阻害;2)腫瘍への、および腫瘍からの血流の不足のための腫瘍細胞の転移の予防;および3)内皮細胞増殖の阻害、したがって通常血管を裏打ちする内皮細胞により周囲の組織に発揮されるパラクリン増殖刺激効果の防止は、腫瘍に対する血管形成阻害剤の活性において重要な役割を果たす。
【0054】
KDRの阻害、およびしたがって血管形成を調節するこれらの能力のおかげで式Iの化合物は、とりわけVEGF受容体チロシンキナーゼ過剰発現が関連する疾患の治療のために適当である。これらの疾患の中で、とりわけ(例えば虚血性)網膜症、(例えば加齢性)黄斑変性、乾癬、肥満、血管細胞芽腫、血管腫、炎症性疾患、例えばリウマチまたはリウマチ性炎症性疾患、とりわけ関節炎、例えばリウマチ性関節炎、または他の慢性炎症性障害、例えば慢性喘息、動脈のまたは移植後アテローム性動脈硬化症、子宮内膜症、およびとりわけ腫瘍性疾患、例えばいわゆる固形腫瘍(とりわけ胃腸管、膵臓、胸、胃、頸部、膀胱、腎臓、前立腺、卵巣、子宮内膜、肺、脳の癌、黒色腫、カポジ肉腫、頭頸部の扁平上皮細胞癌、悪性胸膜中皮腫、リンパ腫または多発性骨髄腫)およびさらに、液性腫瘍(例えば白血病)がとりわけ重要である。
【0055】
本発明はまた、持続性の血管形成により引き起こされる疾患、例えば再狭窄、例えば、ステント誘導再狭窄;クローン病;ホジキン病;眼の疾患、例えば糖尿病性網膜症および血管新生緑内障;腎臓疾患、例えば糸球体腎炎;糖尿病性腎症;炎症性腸疾患;悪性腎硬化症;血栓性微小血管症候群;(例えば慢性)移植拒絶反応および糸球体症;線維症、例えば肝硬変症;メサンギウム細胞増殖疾患;神経組織の損傷を予防または処置するために、ならびに、血管プロステーシスにおいてまたは機械的デバイス、例えばステント挿入後の血管開口持続のために使用されるバルーンカテーテル処置後の血管の再閉塞の阻害のために、免疫抑制剤として、傷跡のない創傷治癒における助剤として、ならびに老人斑および接触性皮膚炎の処置のために使用できる。
【0056】
好ましくは、式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの塩は、本明細書に記載のとおりの固形腫瘍および/または液性腫瘍、例えば本明細書に記載のとおりの白血病の処置において有用である。
【0057】
製造法
式Iの化合物は、他の化合物から、当分野で既知の原理において同様の方法で製造でき、好ましくは式II
【化3】

[式中、DおよびDはヒドロキシまたは置換ヒドロキシであるか、または結合しているホウ素原子および2個の結合している酸素原子とともに式IIA
【化4】

{式中、Eはアルキレン、置換アルキレン、非置換もしくは置換シクロアルキレン、非置換もしくは置換ビシクロアルキレンまたは非置換もしくは置換トリシクロアルキレンである。}の環を形成する。]のボロン酸誘導体を
式III
【化5】

[式中、Rは式Iの化合物について上記または下記に定義のとおりであり、そしてLは脱離基である。]
のカップリングパートナーと反応させること、そして、所望により、式Iの化合物を式Iの異なる化合物に変換すること、得られる式Iの化合物の塩を遊離化合物または異なる塩に変換すること、および/または得られる式Iの遊離化合物をそれらの塩に変換することにより製造する。
【0058】
反応は、好ましくは慣用の条件下、例えばSuzuki−Miyauraクロスカップリング(例えばMiyaura et al., Chem. Rev. 95, 2457 (1995)参照)、適当な(好ましくは水非含有=無水)溶媒、例えばエーテル、例えばエチレングリコール、ジメチルエーテルもしくはジオキサン、炭化水素、例えばヘキサンもしくはトルエン、またはアルコール、例えばエタノール、またはそれらの2またはそれ以上の混合物の存在下、触媒の存在下;とりわけ貴金属錯体触媒、例えばイリジウム、ロジウムまたは好ましくはパラジウム触媒、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(Pd(PPh)(例えばパラジウム塩、例えば酢酸パラジウム、および錯体リガンド、例えばトリフェニルホスフィンからその場で形成もされ得る)、好ましくは塩基、例えば酸付加金属塩、例えば無機酸のアルカリ金属塩、例えばリン酸または炭酸(例えばナトリウムまたはカリウム)塩のアルカリ金属塩、例えば低級アルカン酸(例えばナトリウムまたはカリウム)塩、例えば酢酸塩の存在下、好ましくは高温、例えば25℃から還流温度、例えば75から95℃で行う。反応は、好ましくは不活性ガス、例えば窒素またはアルゴン下で行う。
【0059】
およびDがそれぞれ置換ヒドロキシであるとき、置換ヒドロキシは、好ましくはアルキルオキシ、とりわけ低級アルキルオキシ、アリールオキシ、とりわけ上記のとおりの非置換または置換フェニルを有するフェニルオキシ、またはシクロアルキルオキシであって、ここで、シクロアルキルは、好ましくはC−C−シクロアルキル、例えばシクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0060】
(好ましい例のとおり)DおよびDが、結合しているホウ素原子および酸素原子と一緒に環または上記の式IIAを形成するとき、Eは、好ましくは空間的に隣接のまたは近隣の炭素原子、例えば近接の(“1,2−”)または“1,3”−位(互いに相対的)である、2個の異なる炭素原子上、ホウ素原子に結合している2個の酸素原子を有する。
【0061】
アルキレンは、好ましくは非分岐鎖C−C12−、好ましくは直前に記載のとおり好ましくは近隣のまたは“1,3”−位で2個の異なる炭素原子を介して結合している、C−Cアルキレン部分、例えばエチレンまたはプロピレン、広い局面においてブチレン、ペンチレンまたはヘキシレンである。置換アルキレン(これが好ましい)は、好ましくは上記定義のとおりの非分岐鎖低級アルキレン部分であって、これが好ましくは独立して低級アルキル、例えばメチルまたはエチル、例えば1−メチルエチレン、1,2−ジメチルエチレン、(好ましくは)2,2−ジメチルプロピレン(ネオペンチレン)または(とりわけ好ましくは)1,1,2,2−テトラメチルエチレン、または本発明の広い意味において、ヒドロキシ、例えば2−ヒドロキシ−プロピレン、またはヒドロキシ−低級アルキル、例えばヒドロキシメチル、例えば1−ヒドロキシメチル−エチレンから選択される1またはそれ以上の、とりわけ4個までの置換基で置換されているか、または置換されていない。
【0062】
非置換または置換シクロアルキレンは、好ましくはC−C12−、より好ましくはWについて記載のとおりである好ましくは近隣のまたは“1,3”−位で、2個の異なる炭素原子を介して結合している、C−C−シクロアルキレン、例えばシクロヘキシレンまたはシクロペンチレンである。非置換または置換ビシクロアルキレンは、好ましくはEについて記載のとおりである好ましくは近隣のまたは“1,3”−位で2個の異なる炭素原子を介して結合している、C−C12−ビシクロアルキレンである。1つの例は、ピナニレン(2,3−(2,6,6−トリメチル−ビシクロ[3.1.1]ヘプタン)である。非置換または置換トリシクロアルキレンは、好ましくはEについて記載のとおりである好ましくは近隣のまたは“1,3”−位で2個の異なる炭素原子を介して結合している、C−C12−トリシクロアルキレンである。
【0063】
非置換または置換シクロアルキレン、非置換または置換ビシクロアルキレンまたは非置換または置換トリシクロアルキレンは、非置換であるか、または独立して、低級アルキル、例えばメチルまたはエチル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−低級アルキル、例えばメトキシ、または酸素原子を介して結合しているモノ−もしくはオリゴサッカリジル(“オリゴサッカリジル”は、好ましくは5個までのサッカリジル基を含む)から選択される1個またはそれ以上の、とりわけ3個までの置換基で置換され得る。
【0064】
式IIIの化合物中の脱離基Lは、好ましくはハロ、とりわけヨード、ブロモ(好ましい)もしくはクロロ、またはペルフルオロアルキルスルホニルオキシ(例えば−O−SO−(C2f+1)、ここでf=1、2または4)である。
【0065】
原則として、式Iの化合物の製造はまた、別法として、上記の式IIAの基の代わりに脱離基Lを有する式IIの化合物、および反応パートナーとして、脱離基Lの代わりに上記の式IIAの基を有する式IIIの化合物を使用することが可能である。次いで反応条件は、上記の式IIおよびIIIの化合物の反応についての記載と同様である。
【0066】
所望の反応および変換
式Iの化合物は、式Iの異なる化合物に変換し得る。例えば、低級アルコキシカルボニル置換基は、鹸化によりカルボキシルに変換し得、ニトロ置換基は、水素化でアミノに変換し得る。
【0067】
少なくとも1個の塩形成基を有する式Iの化合物の塩は、既知の方法で製造され得る。例えば、酸性基を有する式Iの化合物の塩は、例えば、化合物を、金属化合物、例えば適当な有機カルボン酸のアルカリ金属塩、例えば2−エチルヘキサン酸のナトリウム塩で、有機アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物、例えば対応する水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩、例えばナトリウムまたはカリウムの水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩で、対応するカルシウム化合物でまたはアンモニアもしくは適当な有機アミンを有する化合物で、好ましくは使用されるべき化学量論量または少し過剰な塩形成剤を使用して、処理することにより、形成され得る。式Iの化合物の酸付加塩を、慣用の方法、例えば酸または適当な陰イオン交換試薬で化合物を処理することにより得る。酸性および塩基性塩形成基、例えば遊離カルボキシ基および遊離アミノ基を含む式Iの化合物の分子内塩は、例えば酸付加塩の、例えば弱塩基での等電点までの塩の中和により、またはイオン交換体での処理により形成され得る。
【0068】
式Iの化合物の塩は、慣用の方法で遊離化合物に変換できる;金属およびアンモニウム塩は、例えば適当な酸で処理することにより変換でき、そして酸付加塩は、例えば適当な塩基性剤で処理することにより変換できる。両方の場合において、適当なイオン交換体が使用され得る。
【0069】
中間体および最終産物は、例えばクロマトグラフィー法、分配法、(再)結晶化などを使用する、標準方法にしたがって、後処理および/または精製できる。
【0070】
出発物質
出発物質は、例えば、好ましくは下記のとおりに製造できる:
式IIのボロン酸誘導体は、好ましくは、式IV
【化6】

[式中、R、R、R、A、QおよびZは、式Iの化合物について上記のとおりであり、そしてGは、脱離基、とりわけ式IIIの化合物の脱離基Lについて上記のとおりである。]の化合物を式VAまたはVB
【化7】

または
【化8】

[式中、DおよびDは、式IIの化合物について上記のとおりであり、そしてDは、式IIの化合物について上記のとおりの置換ヒドロキシである。]のジボロン化合物と、慣用の反応条件下、適当な(好ましくは水非含有=無水)溶媒、例えばエーテル、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン、炭化水素、例えばヘキサン、またはアルコール、例えば、エタノール、またはそれらの任意の2種またはそれ以上の混合物の存在下、貴金属錯体触媒、例えば、イリジウム、ロジウムまたは好ましくはパラジウム、例えば好ましくは1,1’−ビス(ジフェニルホスヒノ)フェロセン−ジクロロパラジウム(Pd(dppf)Cl)、錯体触媒の存在下、および好ましくは塩基、例えば金属の酸付加塩、例えば、無機酸のアルカリ金属塩、例えば(例えばナトリウムまたはカリウム)炭酸塩、または炭酸の、例えば(例えばナトリウムまたはカリウム)低級アルカン酸塩、例えば、酢酸塩の存在下、好ましい温度、例えば20℃から還流温度、例えば75℃から反応混合物の還流温度で反応させることにより製造する。反応は、好ましくは不活性ガス、例えば、窒素またはアルゴン下で行う。別法として、式IVの化合物をまず、例えばn−ブチルリチウムでリチオ化し、得られたリチオ生成物を次いで式VBの化合物と慣用の反応条件下で反応させる。
【0071】
、R、R、QおよびZが上記または下記の式Iの化合物のとおりであり、そしてGが、脱離基であり、そしてAが(式IのQおよびZを含む環に結合している−NH−を有する)−C(=O)−NH−である、式IVの出発物質は、好ましくは、式VI
【化9】

[式中、RおよびRは、式Iの化合物について定義のとおりである。]の炭酸の反応誘導体を式VII
【化10】

[式中、Q、ZおよびRは、式Iの化合物について定義のとおりであり、そしてGは、式IVについて定義のとおりである脱離基である。]のアミノ塩基と、適当な溶媒、例えばニトリル、例えば、アセトニトリル中、好ましくは0から50℃、例えば20から40℃の温度で、好ましくは塩基、例えば三級窒素塩基、例えば、トリ低級アルキルアミン、例えばトリエチルアミンの存在下で反応させることにより製造する。活性誘導体はその場で反応誘導体に、例えば式IVおよびVの化合物を、適当な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、塩化メチレン、または2種またはそれ以上のこのような溶媒の混合物に溶解させることにより、および適当な塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピル−エチルアミン(DIEA)またはN−メチルモルホリンおよびその場で好ましい式IIIの炭酸反応誘導体を形成する適当なカップリング剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(DCC/HOBT);O−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TPTU);O−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU);または1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロライド(EDC)の添加により変換する。他の可能なカップリング剤に関して、例えばKlauser;Bodansky, Synthesis 1972, 453-463参照。反応混合物は、好ましくは約−20から50℃、とりわけ0℃から室温の温度で撹拌し、式IVの化合物を得る。別法として、式VIの炭酸を、例えば炭酸ハロゲン化物、例えば、クロライド、炭酸との、例えばC−C−アルカン酸との無水物、活性エステルのような反応誘導体の形態で、またはアルカリ金属塩、例えばナトリウム、リチウムまたはカリウム塩の形態で、使用される。両方の場合において、該反応は、好ましくは不活性ガス、例えば窒素またはアルゴン下で行うことができる。
【0072】
、R、R、QおよびZが上記または下記の式Iの化合物について定義のとおりであり、Gが脱離基であり、Aが(式IのQおよびZを含む環に結合している−C(=O)−を有する)−NH−C(=O)−である、式IVの出発物質は、式VIII
【化11】

[式中、R、QおよびZは、式Iの化合物について定義のとおりであり、そしてGは、式IVについて定義のとおりの脱離基である。]の炭酸の反応誘導体(その場で形成または直接存在、上記式VIの炭酸反応誘導体を使用する同様の反応条件、参照)を、式IX
【化12】

[式中、RおよびRは、式Iの化合物について定義のとおりである。]のアミノ化合物と反応させることにより合成でき、使用する反応条件は、上記式VIおよびVIIの化合物の反応と同様である。
【0073】
Lがペルフルオロアルカンスルホニルオキシ脱離基である、式IIIの化合物は、例えば、Lの代わりに、ヒドロキシ基が存在する対応する化合物を対応するペルフルオロアルカンスルホン酸無水物と、例えば適当な溶媒、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメチレン中、(好ましくは三級窒素)塩基、例えば、トリ−低級アルキルアミン、例えばトリエチルアミンの存在下、−10℃から50℃、例えば0℃から25℃の好ましい温度で反応させることにより製造できる。Lがハロである式IIIの化合物は、例えば、Lの代わりに水素が存在する対応する前駆化合物を、ハロゲン化剤、例えばN−ブロモスクシンイミドと濃硫酸/トリフルオロ酢酸中、0から40℃の好ましい温度、例えば室温で反応することにより製造できる。
【0074】
例えば式V、VI、VII、VIIIおよびIXの他の出発物質は既知であり、当分野で既知の方法に準じて得ることができ、および/または市販物を利用でき、とりわけ実施例の方法によりまたはそれに準じて得ることができる。
【0075】
一般的な反応条件
具体的に上記または下記の反応条件が好ましいが、下記のものは上記および下記のすべてのプロセスに一般的に適用する:
【0076】
上記および下記の任意の反応において、保護基は、たとえ具体的に記載がなくても、ある反応への参加を意図しない官能基の保護のために、適当にまたは所望により使用され得、それらは適当なまたは所望の段階で導入および/または除去できる。したがって、保護および/または脱保護の明確な記載のない反応が本明細書に記載されているとき、保護基の使用を含む反応が可能であるとして含まれる。
【0077】
他に示す内容がない限り、本明細書の範囲内において、式Iの特に所望の最終生成物の構成要素でない容易に除去できる基のみを“保護基”と呼ぶ。このような保護基による官能基の保護、保護基それ自体、およびこれらの除去のための適当な反応は、例えば標準参考資料、例えばJ. F. W. McOmie、“Protective Groups in Organic Chemistry”、Plenum Press、London and New York 1973、in T. W. Greene and P. G. M. Wuts、“Protective Groups in Organic Synthesis alternatively、Third edition、Wiley、New York 1999、in “The Pep-tides alternatively; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer)、Academic Press、London and New York 1981、in “Methoden der organischen Chemie” (Methods of Organic Chemistry)、Houben Weyl、4th edition、Volume 15/1、Georg Thieme Verlag、Stuttgart 1974、in H.-D. Jakubke and H. Jesch-keit、“Aminosaeuren、Peptide、Proteine” (Amino acids、Peptides、Proteins)、Verlag Chemie、Weinheim、Deerfield Beach、and Basel 1982、and in Jochen Lehmann、“Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate” (Chemistry of Carbohydrates: Monosaccharides and Derivatives)、Georg Thieme Verlag、Stuttgart 1974に記載されている。保護基の特徴は、それらが容易に(すなわち不要な二次反応の発生なしに)例えば加溶媒分解、還元反応、光分解により、または別法として生理学的条件下(例えば酵素的切断による)、除去できることである。
【0078】
上記すべてのプロセス段階は、それ自体既知の反応条件下、好ましくはここに特に記載の条件下、習慣的に、溶媒または希釈剤、好ましくは使用する反応物およびそれらの溶解物に非活性である溶媒または希釈剤の、非存在下または存在下、触媒、縮合または中和剤例えばイオン交換体、例えば、例えばH形態の陽イオン交換体の存在下、反応および/または反応物のタイプに依存して、低温、常温、または高温、例えば約−100℃から約190℃の温度範囲、好ましくは約−80℃から約150℃、例えば−80から−60℃、室温で、−20から40℃または還流温度で、大気圧下または、適当であれば圧力下、密封容器中、および/または不活性雰囲気下、例えばアルゴンまたは窒素雰囲気下で行うことができる。
【0079】
特定の反応に適している溶媒は、特に記載のものを含み、または、例えばプロセスの記載において他に記載がない限り、水、エステル、例えば低級アルキル−低級アルカン酸塩、例えば酢酸エチル、エーテル、例えば脂肪族エーテル、例えばジエチルエーテル、または環状エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン、液体芳香族性炭化水素、例えばベンゼンまたはトルエン、アルコール、例えばメタノール、エタノールまたは1−もしくは2−プロパノール、亜硝酸塩、例えばアセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンまたはクロロホルムのような、酸アミド、例えばジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド、塩基、例えばヘテロ環式窒素塩基、例えばピリジンまたはN−メチルピロリジン−2−オン、カルボン酸無水物、例えば低級アルカン酸無水物、例えば無水酢酸、環状、直鎖または分岐鎖炭化水素、例えばシクロヘキサン、ヘキサンまたはイソペンタン、またはそれらの混合物、例えば水性溶液から選択され得る。このような溶媒混合物はまた、例えばクロマトグラフィーまたは分離法による後処理に使用し得る。
【0080】
化合物(この用語は、それぞれの場合に遊離化合物および/または塩形成基が存在するときそれらの塩を含む)はまた、水和物の形態で得ることができるか、または例えば、それらの結晶は結晶化のために使用される溶媒を含み、溶媒和物を形成することができる。異なる結晶形態が存在し得る。
【0081】
本発明はまた、プロセスの任意の段階での中間体として得られる化合物を出発物質として使用して残りのプロセス段階を行う、または出発物質を反応条件下で形成するか、または誘導体の形態、例えば保護された形態または塩形態で使用する、または本発明のプロセスにより得られる化合物を該プロセス条件下で製造し、さらに、その場で処理する、プロセスの形態に関する。本発明のプロセスにおいて、好ましいとして記載の式Iの化合物をもたらす出発物質を好ましくは使用する。実施例の記載と同一または類似である反応条件が特に優先する。
【0082】
本発明の好ましい態様
下記の好ましい態様において、任意の1種またはそれ以上の一般表現を、上記および下記で提供される対応するさらに具体的な定義に置き換えることができ、したがって、本発明のさらに好ましい態様をもたらす。
【0083】
本発明の好ましい態様は、Qが−CH=CH−であり、そしてR、R、R、R、R、AおよびZが、式Iの化合物に定義のとおりである、式Iの化合物または(好ましくは薬学的に許容される)それらの塩;またはその使用に関する。
【0084】
本発明の別の好ましい態様は、Aが(式IのQおよびZを含む環に結合している−NH−を有する)−C(=O)−NH−であり、そしてR、R、R、R、R、QおよびZが、式Iの化合物に定義のとおりである、式Iの化合物または(好ましくは薬学的に許容される)それらの塩;またはその使用に関する。
【0085】
別の好ましい態様は、RおよびRが水素であり、そして他が水素または
【化13】

[式中、“Alk”は、アルキル、好ましくは低級アルキル、より好ましくはメチルまたはエチルであり;そしてR、R、R、A、QおよびZは、式Iの化合物に関して上記または下記に定義のとおりである。]からなる群から選択される基である、式Iの化合物または(好ましくは薬学的に許容される)それらの塩に関する。
【0086】
本発明は、より好ましくは、RおよびRの各々が水素であり;
がC−C−アルキル、とりわけメチルであり;

【化14】

[式中、
XはCH、NまたはC−NHであり;YはCHまたはNであり;
(ただし、XおよびYの両方が同時にNではない。)
そしてRは、水素、C−C−アルキルまたはフェニルである;
−(ここで、Rは、好ましくは
【化15】

である。)。]からなる群から選択される二環式ヘテロシクリルであり、
Aが、(式IのQおよびZを含む環に結合している−NH−を有する)−C(=O)−NH−または(式IのQおよびZを含む環に結合している−C(=O)−を有する)−NH−C(=O)−であり;
Zが、CHであり;そして
Qが−CH=CH−である;
式Iの化合物または1個またはそれ以上の塩形成基が存在するとき(好ましくは薬学的に許容される)それらの塩に関する。
【0087】
本発明の別の好ましい態様は、R
【化16】

[式中、
XはCH、NまたはC−NHであり;
YはCHまたはNである。]である、式Iの化合物に関する。
【0088】
本発明の別の好ましい態様は、R
【化17】

である、式Iの化合物に関する。
【0089】
本発明の好ましい態様は、QがSであり、そしてR、R、R、R、R、AおよびZが式Iの化合物に関して上記または下記に定義のとおりである、式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの塩の(上記定義のとおりの)使用に関する。
【0090】
好ましくはまた、Aが(式IのQおよびZを含む環に結合している−C(=O)−を有する)NH−C(=O)であり、そしてR、R、R、R、R、QおよびZが式Iの化合物に関して上記または下記に定義のとおりである、式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの塩の(上記定義のとおりの)使用に関する。
【0091】
とても好ましくは、処置すべき疾患が増殖性疾患、好ましくは良性または、とりわけ悪性腫瘍、より好ましくは脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、胸、胃(とりわけ胃腫瘍)、卵巣、大腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣、甲状腺の癌腫、肉腫、グリア芽腫、多発性骨髄腫または消化器系の癌、とりわけ大腸癌腫または結腸直腸腺腫、または頭頸部、表皮過増殖、とりわけ乾癬、前立腺肥大、とりわけ上皮性形質の新生組織形成、好ましくは乳癌または白血病であるとき、式Iの化合物を、処置の必要な動物、とりわけヒトに投与することを含む、キナーゼ依存性および/または増殖性疾患の処置法である。またアテローム性動脈硬化症、血栓症、乾癬、強皮症および線維症の処置のために、式Iの化合物は価値がある。その処置において式Iの化合物が使用できる他の疾患または障害は、アテローム性プラーク破裂、骨関節症、慢性呼吸器疾患(例えばCOPD、喘息)、糸球体腎炎、神経変性疾患(例えばアルツハイマー病、パーキンソン病)および糖尿病の合併症である。
【0092】
より好ましくは、下記‘実施例’に例示のとおりの式Iの化合物または(好ましくは薬学的に許容される)それらの塩、または上記定義のとおりのその使用である。
【0093】
医薬組成物
本発明はまた、式Iの化合物を含む医薬組成物、キナーゼ依存性疾患、とりわけ好ましくは上記疾患の治療的(本発明の広い局面における予防も)処置または処置法におけるそれらの使用、該使用のための化合物およびとりわけ該使用のための医薬製剤およびそれらの製造に関する。
【0094】
本発明はまた、インビボでこのような式Iの化合物それ自体に変換する、式Iの化合物のプロドラッグに関する。任意の式Iの化合物の言及は、それゆえ式Iの化合物の対応するプロドラッグもまた言及するように、適当におよび好都合に理解されるべきである。
【0095】
本発明の薬理学的に許容される化合物は、例えば、活性成分として有効量の式Iの化合物、または薬学的に許容されるそれらの塩を、1種またはそれ以上の無機または有機の、固体または液体の、薬学的に許容される担体(担体物質)とともにまたは組み合わせて含む、医薬組成物中に存在し、またはその製造のために使用し得る。
【0096】
本発明はまた、キナーゼ活性に応答する疾患の処置(これはまた、本発明の広い局面において、予防を含む(=予防薬))のために、好ましくは該阻害有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体をともに含む、温血動物、とりわけヒト(または温血動物、とりわけヒト由来の細胞または細胞系、例えばリンパ球)に投与に適する医薬組成物に関する。
【0097】
本発明の医薬組成物は、有効量の薬理学的活性成分を単独で、または有効量の薬学的に許容される担体とともに含み、経腸、例えば経鼻、経直腸もしくは経口、または非経腸、例えば筋肉内または静脈内で温血動物(とりわけヒト)に投与するためのものである。活性成分の用量は、温血動物の種、体重、年齢および個々の状態、個々の薬物動態データ、処置すべき疾患および投与経路に依存する。
【0098】
本発明はまた、キナーゼの阻害に応答する疾患および/または増殖性疾患の処置法に関する;該方法は、記載の疾患のためにこのような処置を必要とする、とりわけ温血動物、例えばヒトに、(記載の疾患に対する)予防またはとりわけ治療有効量の本発明の式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を投与することを含む。
【0099】
温血動物、例えば体重約70kgのヒトに投与すべき式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの塩の用量は、好ましくは約3mgから約10g、より好ましくは約10mgから約1.5g、さらに好ましくは約100mgから約1000mg/人/日であり、好ましくは例えば同用量であり得る1回用量を1−3回に分割する。通常、子供は成人の半分を用いる。
【0100】
医薬組成物は、約1%から約95%、好ましくは約20%から約90%の活性成分を含む。本発明の医薬組成物は、例えば単位用量型、例えばアンプル剤、バイアル剤、座薬、糖衣錠、錠剤またはカプセルの形態であり得る。
【0101】
本発明の医薬組成物は、それ自体既知の方法、例えば慣用の溶解、凍結乾燥、混合、造粒または糖衣プロセスの手段で製造する。
【0102】
活性成分の溶液および懸濁液、ならびにとりわけ等張水溶液または懸濁液は好ましくは使用され、例えば活性成分を単独でまたは担体、例えばマンニトールとともに含む、凍結乾燥組成物の場合、使用前にこのような溶液または懸濁液を製造することが可能である。医薬組成物は、滅菌され得そして/または賦形剤、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧調節用塩および/またはバッファーを含み得、そしてそれ自体既知の方法で、例えば慣用の溶解または凍結乾燥法の手段により製造され得る。該溶液または懸濁液は、増粘物質、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンを含み得る。
【0103】
油中懸濁液は、注射目的のために習慣的な植物性、合成または半合成油を油成分として含む。8−22個、とりわけ12−22個の炭素原子を有する、長鎖脂肪酸、例えばラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタカプリン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸または対応する不飽和酸、例えばオレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジ酸もしくはリノール酸、酸の成分として含むこのような液体脂肪酸エステルをとりわけ言及し得、所望により抗酸化剤、例えばビタミンE、β−カロテンまたは3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを添加する。これらの脂肪酸エステルのアルコール成分は、最大6個の炭素原子を有し、モノ−またはポリ−ヒドロキシ、例えばモノ−、ジ−またはトリ−ヒドロキシ、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールもしくはペンタノールまたはそれらの異性体だが、とりわけグリコールおよびグリセロールである。脂肪酸エステルの下記の例を、それゆえ特記できる:エチルオレイン酸エステル、イソプロピルミリスチン酸エステル、イソプロピルパルミチン酸エステル、“Labrafil M 2375”(ポリオキシエチレングリセロール三オレイン酸エステル、Gattefosse、Paris)、“Miglyol 812”(CからC12の鎖長を有する飽和脂肪酸のトリグリセリド、Huels AG、Germany)だけでなく、とりわけ植物油、例えば綿実油、アーモンド油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、ダイズ油および落花生油。
【0104】
注射または注入組成物は、滅菌条件下、慣用の方法で製造する;同じことを、アンプルまたはバイアルへの組成物の注入および該容器の密封にもまた適用する。
【0105】
経口投与用医薬組成物は、活性成分を固体担体と結合させ、所望により得られた混合物を造粒し、所望によりまたは必要により、適当な賦形剤の添加後、混合物を錠剤、糖衣錠核またはカプセルに加工することにより得ることができる。活性成分を分散できるまたはそれらを一定量で放出するプラスチック担体にそれらを含むことも可能である。
【0106】
適当な担体は、とりわけ増量剤、例えば糖、例えばラクトース、サッカロース、マンニトールまたはソルビトール、セルロース製剤および/またはリン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム、および結合剤、例えばデンプンペースト、例えばコーン、小麦、米またはポテトデンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドン、および/または、所望により、崩壊剤、例えば上記のデンプン、および/またはカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはそれらの塩、例えばアルギン酸ナトリウムである。賦形剤は、とりわけフロー条件および滑剤、例えばケイ酸、タルク、ステアリン酸またはそれらの塩、例えばステアリン酸マグネシウムまたはカルシウム、および/またはポリエチレングリコールである。糖衣錠核は、適当な、所望により腸溶性の、コーティングを付され、それは、とりわけ、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタンを含み得る濃糖溶液、または適当な有機溶媒中のコーティング溶液または、腸溶性コーティング製剤のために、適当なセルロース製剤、例えばエチルセルロースフタレートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの溶液を使用する。カプセルは、ゼラチン製乾燥充填カプセルならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールを含む軟密封カプセルである。乾燥充填カプセルは、例えば増量剤、例えばラクトース、結合剤、例えばデンプン、および/または流動促進剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウムとともに、および所望により安定化剤とともに顆粒形の活性成分を含み得る。軟カプセルにおいて、活性成分は、好ましくは適当な油賦形剤、例えば脂肪油、パラフィン油または液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁され、安定化剤および/または抗菌剤を加えることもまた可能である。染料または色素を、錠剤または錠剤コーティングまたはカプセル被覆に、例えば同定目的のため、または様々な用量の活性成分を示すために添加し得る。
【0107】
組合せ剤
式Iの化合物はまた、他の抗増殖剤と組み合わせて有利に使用し得る。このような抗増殖剤は、限定すべきではないが、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性化剤;アルキル化剤;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;細胞分化過程を誘導する化合物;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;抗新生物代謝拮抗剤;白金化合物;タンパク質または脂質キナーゼ活性を標的にする/減少する化合物、およびさらなる抗血管形成化合物;タンパク質または脂質ホスファターゼの活性を標的、減少または阻害する化合物;ゴナドレリンアゴニスト;抗アンドロゲン;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;ビスホスホネート;生物反応調節剤;抗増殖性抗体;へパラナーゼ阻害剤;Ras発癌イソ型の阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液悪性疾患の処置において使用される薬剤;Flt−3の活性を標的、減少または阻害する化合物;Hsp90阻害剤;およびテモゾロマイド(TEMODAL(登録商標))を含む。
【0108】
本明細書で使用される“アロマターゼ阻害剤”なる用語は、エストロゲン産生、すなわちアンドロステンジオンおよびテストステロンの各々エストロンおよびエストラジオールへの変換を阻害する化合物に関する。該語は、限定すべきではないが、ステロイド、とりわけアタメスタン、エキセメスタンおよびフォルメスタンおよび、特に、非ステロイド、とりわけアミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾールおよびレトロゾールを含む。エキセメスタンは、例えば商標AROMASINの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。フォルメスタンは、例えば商標LENTARONの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。ファドロゾールは、例えば商標AFEMAの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。アナストロゾールは、例えば商標ARIMIDEXの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。レトロゾールは、例えば商標FEMARAまたはFEMARの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。アミノグルテチミドは、例えば商標ORIMETENの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。アロマターゼ阻害剤である、化学療法剤を含む本発明の組合せ剤は、特にホルモン受容体陽性腫瘍、例えば乳腫瘍の処置のために有用である。
【0109】
本明細書で使用される“抗エストロゲン”なる用語は、エストロゲン受容体レベルでエストロゲンの効果を拮抗する化合物に関する。該語は、限定すべきではないが、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェンおよびラロキシフェンヒドロクロライドを含む。タモキシフェンは、例えば商標NOLVADEXの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。ラロキシフェンヒドロクロライドは、例えば商標EVISTAの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。フルベストラントは、US 4,659,516に記載のとおりに製造でき、または、例えば商標FASLODEXの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。抗エストロゲンである化学療法剤を含む本発明の組合せ剤は、特にエストロゲン受容体陽性腫瘍、例えば乳腫瘍の処置のために有用である。
【0110】
本明細書で使用される“抗アンドロゲン”なる用語は、男性ホルモンの生物活性を阻害できる任意の物質に関し、そして、限定すべきではないが、例えばUS 4,636,505に記載のとおりに製造できるビカルタミド(CASODEX)を含む。
【0111】
本明細書で使用される“ゴナドレリンアゴニスト”なる用語は、限定すべきではないが、アバレリクス、ゴセレリンおよび酢酸ゴセレリンを含む。ゴセレリンは、US 4,100,274に記載のとおりであり、そして例えば商標ZOLADEXの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。アバレリクスは、US 5,843,901に記載のとおりに製造できる。
【0112】
本明細書で使用される“トポイソメラーゼI阻害剤”なる用語は、限定すべきではないが、トポテカン、ギマテカン、イリノテカン、カンプトテシアンおよびその類似体、9−ニトロカンプトテシンおよび高分子カンプトテシン複合体PNU−166148(WO 99/17804の化合物A1)を含む。イリノテカンは、例えば商標CAMPTOSARの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。トポテカンは、例えば商標HYCAMTINの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。
【0113】
本明細書で使用される“トポイソメラーゼII阻害剤”なる用語は、限定すべきではないが、アントラサイクリン、例えばドキソルビシン(リポソーム製剤、例えばCAELYXを含む)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシン、アントラキノン類、ミトキサントロンおよびロソキサントロン、ならびにポドフィロトキシン類、エトポシドおよびテニポシドを含む。エトポシドは、例えば商標ETOPOPHOSの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。テニポシドは、例えば商標VM26−BRISTOLの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。ドキソルビシンは、例えば商標ADRIBLASTINまたはADRIAMYCINの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。エピルビシンは、例えば商標FARMORUBICINの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。イダルビシンは、例えば商標ZAVEDOSの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。ミトキサントロンは、例えば商標NOVANTRONの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。
【0114】
“微小管活性化剤”なる用語は、限定すべきではないが、タキサン類、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル、ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、とりわけビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン、とりわけビンクリスチン硫酸塩、およびビノレルビン、ディスコデルモライド、コチシンおよびエポチロンならびにそれらの誘導体、例えばエポチロンBまたはそれらの誘導体を含む、微小管安定化剤、微小管不安定化剤および微小管重合阻害剤に関する。パクリタキセルは、例えば商標TAXOLの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。ドセタキセルは、例えば商標TAXOTEREの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。ビンブラスチン硫酸塩は、例えば商標VINBLASTIN R.P.の下に、例えば市販の形態で、投与することができる。ビンクリスチン硫酸塩は、例えば商標FARMISTINの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。ディスコデルモライドは、例えば、US 5,010,099に記載のとおりに得ることができる。WO 98/10121、US 6,194,181、WO 98/25929、WO 98/08849、WO 99/43653、WO 98/22461およびWO 00/31247に記載のエポチロン誘導体もまた含む。とりわけ好ましくは、エポチロンAおよび/またはBである。
【0115】
本明細書で使用される“アルキル化剤”なる用語は、限定すべきではないが、シクロホスファミド、イホスファミド、メラファランまたはニトロソウレア(BCNUまたはGliadel)を含む。シクロホスファミドは、例えば商標CYCLOSTINの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。イホスファミドは、例えば商標HOLOXANの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。
【0116】
“ヒストンデアセチラーゼ阻害剤”または“HDAC阻害剤”なる用語は、ヒストンデアセチラーゼを阻害し、そして抗増殖性活性を有する化合物に関する。これは、化合物は、WO 02/22577に記載の化合物、とりわけN−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドル−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペナミド、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドル−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペナミドおよび薬学的に許容されるそれらの塩を含む。それは、さらに、とりわけスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)を含む。
【0117】
“抗新生物代謝拮抗物質”なる用語は、限定すべきではないが、5−フルオロウラシル(5−FU);カペシタビン;ゲムシタビン;DNA脱メチル化剤、例えば5−アザシチジンおよびデシタビン;メトトレキサート;エダトレキサート;および葉酸アンタゴニスト、例えばペメトレキセドを含む。カペシタビンは、例えば商標XELODAの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。ゲムシタビンは、例えば商標GEMZARの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。例えば、例えば商標HERCEPTINの下に、例えば市販の形態で、投与することができる、モノクローナル抗体トラスツマブもまた含む。
【0118】
本明細書で使用される“白金化合物”なる用語は、限定すべきではないが、カルボプラチン、シスプラチン、シスプラスチンおよびオキサリプラチンを含む。カルボプラチンは、例えば商標CARBOPLATの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。オキサリプラチンは、例えば商標ELOXATINの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。
【0119】
本明細書で使用される“タンパク質または脂質キナーゼ活性を標的/減少する化合物およびさらなる抗血管形成化合物”なる用語は、限定すべきではないが:タンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリンおよび/またはスレオニンキナーゼ阻害剤または脂質キナーゼ阻害剤、例えば:
a)血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)の活性を標的、減少または阻害する化合物、例えばPDGFRの活性を標的、減少または阻害する化合物、とりわけPDGF受容体を阻害する化合物、例えばN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、例えばイマチニブ、SU101、SU6668、およびGFB−111;
b)繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の活性を標的、減少または阻害する化合物;
c)インシュリン様増殖因子I受容体(IGF−IR)の活性を標的、減少または阻害する化合物、とりわけIGF−IRを阻害する化合物、例えばWO 02/092599に記載のこれらの化合物;
d)Trk受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的、減少または阻害する化合物;
e)Axl受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的、減少または阻害する化合物;
f)c−Met受容体の活性を標的、減少または阻害する化合物;
g)c−Kit受容体チロシンキナーゼ(PDGFRファミリーの一部)の活性を標的、減少または阻害する化合物、例えばc−Kit受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的、減少または阻害する化合物、とりわけc−Kit受容体を阻害する化合物、例えばイマチニブ;
h)c−Ablファミリーのメンバーおよびこれらの遺伝子融合産物(例えばBCR−Ablキナーゼ)の活性を標的、減少または阻害する化合物、例えばc−Ablファミリーメンバーおよびこれらの遺伝子融合産物の活性を標的、減少または阻害する化合物、例えばN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、例えばParkeDavisからのイマチニブ;PD180970;AG957;NSC680410;またはPD173955;
i)タンパク質キナーゼC(PKC)のメンバーおよびセリン/スレオニンキナーゼのRafファミリー、MEK、SRC、JAK、FAK、PDKのメンバーおよびRas/MAPKファミリーメンバー、またはPI(3)キナーゼファミリー、またはPI(3)−キナーゼ−関連キナーゼファミリーのメンバー、および/またはシクリン依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーの活性を標的、減少または阻害する化合物、および、とりわけUS 5,093,330に記載のスタウロスポリン誘導体、例えばミドスタウリン;化合物の例は、例えばさらに、例えばUCN−01、サフィンゴール、BAY 43−9006、Bryostatin 1、Perifosine;Ilmofosine;RO 318220およびRO 320432;GO 6976;Isis 3521;LY333531/LY379196;例えばWO 00/09495に記載のイソキノリン化合物;FTIs;PD184352またはQAN697(P13K阻害剤)を含む;
j)タンパク質−チロシンキナーゼの活性を標的、減少または阻害する化合物、例えばイマチニブメシレート(GLIVEC/GLEEVEC)またはチルホスチン(tyrphostin)。チルホスチンは、好ましくは低分子量(Mr<1500)の化合物、または薬学的に許容されるそれらの塩、とりわけ化合物のベンジリデンマロニトリルクラスまたはS−アリールベンゼンマロニトリルもしくは二基質キノリンクラスから選択される化合物、さらにとりわけ、チルホスチンA23/RG−50810;AG 99;チルホスチンAG 213;チルホスチンAG 1748;チルホスチンAG 490;チルホスチンB44;チルホスチンB44(+)エナンチオマー;チルホスチンAG 555;AG 494;チルホスチンAG 556、AG957およびアダホスチン(4−{[(2,5−ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}−安息香酸アダマンチルエステル;NSC 680410、アダホスチン)からなる群から選択される任意の化合物;および
k)受容体チロシンキナーゼ(ホモ−またはヘテロダイマーとしてEGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4)の上皮細胞増殖因子ファミリーの活性を標的、減少または阻害する化合物、例えば上皮細胞増殖因子受容体ファミリーの活性を標的、減少または阻害する化合物、および、とりわけEGF受容体チロシンキナーゼファミリー、例えばEGF受容体、ErbB2、ErbB3およびErbB4のメンバーを阻害する、またはEGFまたはEGF関連リガンドに結合する化合物、タンパク質または抗体、および、特に一般的におよび具体的にWO 97/02266、例えば実施例39の化合物、またはEP 0 564 409、WO 99/03854、EP 0520722、EP 0 566 226、EP 0 787 722、EP 0 837 063、US 5,747,498、WO 98/10767、WO 97/30034、WO 97/49688、WO 97/38983および、とりわけ、WO 96/30347(例えばCID358774で既知の化合物)、WO 96/33980(例えば化合物ZD1839)およびWO 95/03283(例えば化合物ZM105180)に記載のこれらの化合物、タンパク質またはモノクローナル抗体;例えばトラスツマブ(Herpetin)、セチュキマブ、Iressa、エルロチニブ(TarcevaTM)、CI−1033、EKB−569、GW−2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3もしくはE7.6.3、およびWO 03/013541に記載の7H−ピロロ−[2,3−d]ピリミジン誘導体を含む。
【0120】
さらなる抗血管形成化合物は、それらの活性について、例えばタンパク質または脂質キナーゼ阻害に無関係である、他の機構を有する化合物、例えばサリドマイド(THALOMID)およびTNP−470を含む。
【0121】
タンパク質または脂質ホスファターゼの活性を標的、減少または阻害する化合物は、例えば、ホスファターゼ1、ホスファターゼ2A、PTENもしくはCDC25の阻害剤、例えばオカダ酸またはそれらの誘導体である。
【0122】
細胞分化過程を誘導する化合物は、例えばレチノイン酸、α−γ−もしくはδ−トコフェロールまたはα−γ−もしくはδ−トコトリエノールである。
【0123】
本明細書で使用される“シクロオキシゲナーゼ阻害剤”なる用語は、限定すべきではないが、例えばCox−2阻害剤、5−アルキル置換2−アリールアミノフェニル酢酸および誘導体、例えばセレコキシブ(CELEBREX)、ロフェコキシブ(VIOXX)、エトリコキシブ、バルデコキシブまたは5−アルキル−2−アリールアミノフェニル酢酸、例えば5−メチル−2−(2’−クロロ−6’−フルオロアニリノ)フェニル酢酸、ルミラコキシブを含む。
【0124】
本明細書で使用される“mTOR阻害剤”なる用語は、ラパマイシン(mTOR)の哺乳類標的を阻害し、そして抗増殖性活性を有する化合物、例えばシロリムス(Rapamune(登録商標))、エベロリムス(CerticanTM)、CCI−779およびABT578に関する。
【0125】
本明細書で使用される“ビスホスホネート”なる用語は、限定すべきではないが、エトリドン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸およびゾレドロン酸を含む。“エチドロン酸”は、例えば、例えば商標DIDRONELの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。“クロドロン酸”は、例えば、例えば商標BONEFOSの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。“チルドロン酸”は、例えば、例えば商標SKELIDの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。“パミドロン酸”は、例えば、例えば商標AREDIATMの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。“アレンドロン酸”は、例えば、例えば商標FOSAMAXの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。“イバンドロン酸”は、例えば、例えば商標BONDRANATの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。“リセドロン酸”は、例えば、例えば商標ACTONELの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。“ゾレドロン酸”は、例えば、例えば商標ZOMETAの下に、例えば市販の形態で、投与することができる。
【0126】
本明細書で使用される“ヘパラナーゼ阻害剤”なる用語は、ヘパリン硫酸塩分解を標的、減少または阻害する化合物に関する。該語は、限定すべきではないが、PI−88を含む。
【0127】
本明細書で使用される“生物反応修飾物質”なる用語は、リンフォカインまたはインターフェロン、例えばインターフェロンγに関する。
【0128】
本明細書で使用される“Ras発癌イソ型、例えばH−Ras、K−Ras、またはN−Rasの阻害剤”なる用語は、Ras発癌活性を標的、減少または阻害する化合物、例えば“ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤”、例えばL−744832、DK8G557またはR115777(Zarnestra)に関する。
【0129】
本明細書で使用される“テロメラーゼ阻害剤”なる用語は、テロメラーゼの活性を標的、減少または阻害する化合物に関する。テロメラーゼの活性を標的、減少または阻害する化合物は、とりわけテロメラーゼ受容体を阻害する化合物、例えばテロメスタチンである。本明細書で使用される“メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤”なる用語は、メチオニンアミノペプチダーゼの活性を標的、減少または阻害する化合物に関する。メチオニンアミノペプチダーゼの活性を標的、減少または阻害する化合物は、例えばベンズアミドまたはそれらの誘導体である。
【0130】
本明細書で使用される“プロテアソーム阻害剤”なる用語は、プロテアソームの活性を標的、減少または阻害する化合物に関する。プロテアソームの活性を標的、減少または阻害する化合物は、例えばPS−341およびMLN341を含む。
【0131】
本明細書で使用される“マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤”または(“MMP阻害剤”)なる用語は、限定すべきではないが、コラーゲンペプチド模倣および非ペプチド模倣阻害剤、テトラシクリン誘導体、例えばヒドロキサメートペプチド模倣薬阻害剤、バチマスタット(batimastat)およびその生物学的に経口利用可能な類似体、マリマスタット(marimastat)(BB−2516)、プリノマスタット(prinomastat)(AG3340)、メタスタット(metastat)(NSC 683551)、BMS−279251、BAY12−9566、TAA211、MM1270BまたはAAJ996を含む。
【0132】
本明細書で使用される“血液悪性疾患の処置において使用される薬剤”なる用語は、限定すべきではないが、FMS様チロシンキナーゼ阻害剤、例えばFlt−3の活性を標的、減少または阻害する化合物;インターフェロン、1−b−D−アラビノフランシルシトシン(ara−c)およびビスルファン;およびALK阻害剤、例えば、未分化のリンパ腫キナーゼを標的、減少または阻害する化合物を含む。
【0133】
“Fit−3の活性を標的、減少または阻害する化合物”なる用語は、とりわけ、Fit−3を阻害する化合物、タンパク質または抗体、例えばPKC412、ミドスタウリン、スタウロスポリン誘導体、SU11248およびMLN518である。
【0134】
本明細書で使用される“HSP90阻害剤”なる用語は、限定すべきではないが、HSP90の内因性ATPアーゼ活性を標的、減少または阻害する化合物;ユビキチンプロテアソーム経路を介してHSP90クライアントタンパク質を分解、標的、減少または阻害する化合物を含む。HSP90の内因性ATPアーゼ活性を標的、減少または阻害する化合物は、とりわけHSP90のATPアーゼ活性を阻害する化合物、タンパク質または抗体、例えば、17−アリルアミノ、17−デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、ゲルダナマイシン誘導体;他のゲルダナマイシン関連化合物;ラジシコールおよびHDAC阻害剤である。
【0135】
本明細書で使用される“抗増殖性抗体”なる用語は、限定すべきではないが、トラスツマブ(HerceptinTM)、トラスツマブ−DM1、ベバシズマブ(AvastinTM)、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、PRO64553(抗CD40)および2C4抗体を含む。抗体は、例えば完全なモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2個の完全な抗体から形成される多特異的な抗体、および所望の生物学的活性を示す限り、抗体フラグメトを意味する。
【0136】
急性骨髄性白血病(AML)の処置のために、式Iの化合物は、標準的な白血病治療剤と組み合わせて、とりわけAMLの処置のために使用される治療と組み合わせて使用できる。特に、式Iの化合物は、例えばファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤および/またはAMLの処置のための有用な他の薬剤、例えばダウノルビシン、アドリアマイシン、Ara−C、VP−16、テニポシド、ミトキサントロン、イダルビシン、カルボプラチンおよびPKC412と組み合わせて投与できる。
【0137】
コードナンバー、一般名または商標名により特定される活性化剤の構造は、標準概論“The Merck Index”の現版またはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)から得ることができる。
【0138】
式Iの化合物と組み合わせて使用できる上記の化合物は、上記引用文献のように当分野で既知のとおりに製造でき、そして投与できる。
【0139】
式Iの化合物はまた、既知の治療法、例えば、ホルモンの投与または、とりわけ放射線治療と組み合わせて有利に使用され得る。
【0140】
式Iの化合物は、特に放射線増感剤として、とりわけ放射線治療に低い感受性を示す腫瘍の処置のために使用され得る。
【0141】
“組合せ”は、単位用量型における固定された組合せ、または式Iの化合物および組合せパートナーが同時に独立して、またはとりわけ組合せパートナーが相加、例えば相乗効果を示すことができる時間間隔で別々に投与され得るとき組合せもしくは任意のそれらの組合せ投与のための複数パーツのキットを意味する。
【実施例】
【0142】
下記の実施例はその範囲を制限することなく例示のために使用する:
溶媒、例えば、溶離剤または溶媒混合物の比率は、用量(v/v)または用量%により得る。温度は摂氏温度で測定する。他に記載がない限り、反応は室温で行う。R値は、それぞれの物質の移動距離と溶離剤フロントの移動距離との割合を示し、それぞれ指定の溶媒システムを使用して、薄層クロマトグラフィーのシリカゲル薄層プレート(Merck、Darmstadt、Germany)で測定する。
【0143】
HPLCが記載されているとき、分析HPLC条件は下記のとおりである:
カラム:(70×4.0mm)HPLCカラムCC 70/4 Nucleosil 100−3C18(オクタデシルシランで共有結合的に誘導体化したシリカゲルを有する平均粒径3μm、Macherey&Nagel、Dueren、Germany)。215nmでUV吸収による検出。保持時間(t)は分である。流速:1ml/分。
勾配:5分間b)中、20%−>100% a)+1分間100% a)。a):アセトニトリル+0.1% TFA;b):水+0.1% TFA。
【0144】
他のHPLC条件:
HPLC(GRAD3):
カラム:逆相物質C18−Nucleosil(オクタデシルシランで共有結合的に誘導体化したシリカゲルを有する平均粒径5μm、Macherey&Nagel、Dureen、Germany)を詰めたもの(250×4.6mm)。215nmでUV吸収による検出。保持時間(t)は分である。流速:1ml/分。
勾配:7.5分間b)中、5%−>40% a)+7分間40% a)。a):アセトニトリル+0.1% TFA;b):水+0.1% TFA。
【0145】
使用される省略形および略語は下記の定義を有する:
conc. 濃
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
MS−ES 質量分析(電子スプレー)
h 時間
Me メチル
min 分
mL ミリリットル
M.P. 融点
RT 室温
TFA トリフルオロ酢酸
THF (Na/ベンゾフェノンで蒸留した)テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
保持時間
【0146】
実施例1:N−(3−イソキノリン−7−イル−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化18】

28mLの乾燥ジオキサン中のN−[4−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−3−トリ−フルオロメチル−ベンズアミド(1.74g、4.3mmol)およびトリフルオロ−メタンスルホン酸イソキノリン−7−イルエステル(1.081g、3.9mmol)の溶液に、1.23g(5.79mmol)のリン酸カリウムを加え、溶液をゆっくりとした流れの窒素を懸濁液に15分間通すバブリングにより脱気する。0.232g(0.33mmol)のテトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム添加後、混合物を10時間、90℃に加熱する。同量の触媒およびリン酸カリウムを再び加え、混合物を次いで17時間90℃で撹拌する。反応混合物を冷却し、Hyflo Super Cel(登録商標)(Fluka、Buchs、Switzerland)を通して濾過し、残渣をジオキサンで洗浄する。組み合わせたジオキサン溶液を蒸発させ、褐色残渣をCombi−Flash CompanionTM(Isco Inc.)装置で120gのシリカゲルカラムを使用してクロマトグラフィーにより精製する。tert−ブチル−メチルエーテル/ヘキサン1:1から4:1の勾配を使用する。純粋な画分を溜め、蒸発させ、表題化合物をピンク色泡状物として得る;R(tert−ブチル−メチルエーテル)=0.32;HPLC t=3.24分;MS−ES+:(M+H)+=407。
【0147】
段階1.1:N−[4−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化19】

窒素を50mLのTHF中の5.0g(14mmol)のN−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドおよび3.42g(34.5mmol)の酢酸カリウムの混合物に20分間通して泡立てる。4.06mg(16mmol)のビス−(ピナコレート)−ジボロンの添加後、6mol%の1,1’−ビス(ジフェニルホスピノ)フェロセン−パラジウムジクロライド(700mg、0.8mmol)を添加し、得られた混合物を還流下18時間加熱する。反応混合物を次いでRTに冷却し、酢酸エチルで希釈する。濃塩化ナトリウム溶液で混合物を洗浄後、酢酸エチル相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させる。粗生成物をジクロロメタンを溶媒として使用してフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。表題化合物を無色固体として得る;m.p.148−152℃;R(ジクロロメタン)=0.36;HPLC t=4.82分;MS−ES+:(M+H)+=406。
【0148】
段階1.2:N−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化20】

80mLのアセトニトリル中の5.8mL(39mmol)の3−トリフルオロメチル−ベンゾイルクロライドの溶液を室温で12.2mL(78mmol)のトリエチルアミン、次いで7.8g(42.9mmol)の3−ブロモ−4−メチル−アニリンの滴下で処理する。3−トリフルオロメチル−アニリンのゆっくりとした添加中、温度は、約30℃に上がる。混合物を室温で10時間で撹拌し、次いで0℃に冷却する。水(100mL)を加え、得られた沈殿を濾取し、水で洗浄し、乾燥させる。固体をヘキサンに懸濁し、数分間撹拌し、濾過し、再び乾燥させ、表題化合物を無色固体として得る;m.p.153−155℃;HPLC t=4.54分。
【0149】
段階1.3:トリフルオロ−メタンスルホン酸イソキノリン−7−イルエステル
【化21】

100mLのジクロロメタン中の5.8g(0.04mol)の7−ヒドロキシキノリンおよび6.68mL(0.048mol)のトリエチルアミンの溶液を氷浴で冷却し、30分にわたって7.26mL(0.044mol)のトリフルオロ−スルホン酸無水物を滴下し処理する。完全に添加後、冷浴を除去し、暗色混合物を1.5時間、室温で撹拌する。反応混合物を100mLの冷水に注ぎ、二層の混合物をHyflo Super Cel(登録商標)(濾過助剤はFluka、Buchs、Switzerlandから得られる珪藻土を利用)を通して濾過する。有機層を分離し、50mL、10%のクエン酸、50mLの塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ、褐色残渣を残す。これはジクロロメタン/酢酸エチルの100:2.5から100:5を使用するフラッシュクロマトグラフィーで精製する。純粋な画分を溜め、蒸発させ、オレンジ色油状物として得る。HPLC t=2.35分;R(tert−ブチル−メチルエーテル)=0.38;MS−ES+:(M+H)+=278。
【0150】
実施例2:N−(4−メチル−3−キナゾリン−6−イル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化22】

3mLのトルエンおよび0.375mLのエタノール中のN−[4−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−3−トリ−フルオロメチル−ベンズアミド(0.456g、1.125mmol)および6−ブロモ−キナゾリン(0.157g、0.75mmol)の混合物を0.75mLの2モルの炭酸ナトリウムの溶液で処理し、得られた混合物を、窒素を混合物に5分間通してバブリングすることにより脱気する。酢酸パラジウム(0.0075g、0.034mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.0293g、0.117mmol)の添加後、混合物を90℃で2時間撹拌する。同量の酢酸パラジウムおよびトリフェニルホスフィンを再び加え、混合物を6時間90℃で撹拌する。反応混合物を冷却し、10mLの酢酸エチルおよび4mLの水を加える。二層の混合物をHyflo Super Cel(登録商標)(Fluka、Buchs、Switzerland)に通して濾過し、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ、褐色残渣を残す。粗生成物をCombi−Flash CompanionTM(Isco Inc.)装置で40gのシリカゲルカラムを使用してクロマトグラフィーにより精製する。ジクロロメタン/メタノールの100:1から100:15の勾配を使用する。濃縮した画分を、40gのシリカゲルカラムおよびtert−ブチル−メチルエーテルを溶媒として使用して同システムで再びクロマトグラフィーする。純粋な画分を溜め、蒸発させ、表題化合物を褐色泡状物として得る;R(ジクロロメタン/エタノール9:1)=0.56;HPLC t=3.23分;MS−ES+:(M+H)+=408。
【0151】
段階2.1:6−ブロモ−キナゾリン
【化23】

トリフルオロ酢酸(10mL)を温度計および機械的攪拌機を備えた反応槽中に入れる。20℃で、キナゾリン(2.6g、0.020mol)を加え、次いで3.4mLの96%硫酸を加える。次いでN−ブロモスクシンイミド(4.8g、0.027mol)を、添加の間隔を30分置き、5回で加える。完全に添加後、黄色混合物を17時間室温で撹拌する。トリフルオロ酢酸を回転式蒸発装置(rotavap)で除去し、残渣を20gの破砕した氷に注ぐ。混合物のpHを30%の水酸化ナトリウム溶液の添加により〜8−9に調節する。得られた懸濁液を40mLの酢酸エチルで希釈し、濾過する。有機層を分離し、水相を20mLの酢酸エチルで抽出する。混合した酢酸エチル抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させる。酢酸エチル/ヘキサンの1:3から1:2を使用した残渣のフラッシュクロマトグラフィーにより、無色結晶として表題化合物を得る。m.p.155−156℃;HPLC t=1.29分;R(酢酸エチル/ヘキサン3:2)=0.36;MS−ES+:(M+H)+=210.9。
【0152】
実施例3:3−イソキノリン−7−イル−4−メチル−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
【化24】

異なる出発物質として、4−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミドを使用して、触媒の2回目の添加が必要ないことを除いては実施例1の記載と同じ方法を使用する。表題化合物を無色固体として得る;m.p.189−191℃;HPLC t=3.30分;R(酢酸エチル/ジクロロメタン1:4)=0.21;MS−ES+:(M+H)+=407。
【0153】
段階3.1:4−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
【化25】

実施例1、段階1.1の記載と同じ方法を使用するが、ただし、3−ブロモ−4−メチル−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミドで出発する。反応時間は、8時間である。表題化合物を褐色固体として得る;m.p.157−159℃;R(ジクロロメタン)=0.36;HPLC t=4.93分;MS−ES+:(M+H)+=406。
【0154】
段階3.2:3−ブロモ−4−メチル−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
【化26】

120mLアセトニトリル中の14g(60mmol)の3−ブロモ−4−メチル−ベンゾイルクロライドの溶液を室温で12.6g(120mmol)のトリエチルアミン、次いで8.3mL(66mmol)の3−トリフルオロメチル−アニリンの添加により処理する。3−トリフルオロメチル−アニリンゆっくりとした添加中、温度は約35℃に上がる。混合物を室温で5時間撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈する。得られた混合物を連続して飽和重炭酸ナトリウム溶液、1N塩酸および塩水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒の蒸発で褐色油状物を残し、これをエーテル/石油エーテルから結晶化し、表題化合物を無色固体として得る;m.p.157−158℃;HPLC t=4.63分;R(ジクロロメタン)=0.75。
【0155】
実施例4:4−メチル−3−キナゾリン−6−イル−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
【化27】

異なる出発物質として実施例3.1の表題化合物を使用して、触媒の2回目の添加が必要でないことを除いては、実施例2の記載と同じ方法を使用する。表題化合物を無色泡状物として得る;HPLC t=3.31分;R(tert.−ブチル−メチルエーテル)=0.21;MS−ES+:(M+H)+=408。
【0156】
実施例5:N−(3−ベンゾチアゾル−6−イル−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化28】

異なる出発物質として6−ブロモ−ベンゾチアゾルを使用して、触媒の2回目の添加が必要でないことを除いては、実施例2の記載と同じ方法を使用する。反応時間は、2時間であり、フラッシュクロマトグラフィーにより精製する。表題化合物を無色固体として得る;m.p.94−96℃;HPLC t=4.58分;R(ジクロロメタン/エタノール98:2)=0.3;MS−ES+:(M+H)+=413。
【0157】
実施例6:3−ベンゾチアゾル−6−イル−4−メチル−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
【化29】

出発物質として6−ブロモ−ベンゾチアゾルおよび実施例3.1の表題化合物を使用して、触媒の2回目の添加が必要でないことを除いては、実施例2の記載と同じ方法を使用する。反応時間は、3時間である。表題化合物を無色固体として得る;m.p.102−104℃;HPLC t=4.66分;R(ジクロロメタン/エタノール98:2)=0.3;MS−ES+:(M+H)+=413。
【0158】
実施例7:N−(4−メチル−3−フタラジン−6−イル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化30】

触媒の2回目の添加が必要でないことを除いては、実施例2の記載と同じ方法を使用する。反応時間は、3時間である。表題化合物を無色固体として得る;m.p.205−206℃;HPLC t=3.34分;MS−ES+:(M+H)+=408。
【0159】
出発物質は下記のとおりに製造する:
段階7.1:6−ブロモ−フタラジン
【化31】

4mLのエタノールおよび4mlのジクロロメタン中の1.0g(4.7mmol)の4−ブロモ−ベンゼン−1,2−ジカルバルデヒドの溶液を、40分にわたって0℃で窒素下で4.7mLのエタノール中のヒドラジン水和物(0.684mL、14.1mmol)の溶液に滴下する。得られた懸濁液を1時間0℃で撹拌し、次いで溶媒を蒸発させる。結晶物質を20mLのトルエンで撹拌し、溶媒を再び蒸発させる。この手順をジクロロメタンで繰り返す。最後に、生成物を60℃で8時間真空下乾燥させ、表題化合物を無色結晶として得る:m.p.140−143℃、HPLC t=1.49分;ME−ES:(M+H)=210.9。
【0160】
段階7.2:4−ブロモ−ベンゼン−1,2−ジカルバルデヒド
【化32】

表題化合物は、(4−ブロモ−2−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタノールのSwern酸化、次いでO. Farooq, Synthesis 10, 1035-1037(1994)による手段により合成され、わずかに黄色の結晶として得る:m.p.97−100℃、MS−ES:(M+H)=210.9+212.9。
【0161】
段階7.3:3−(4−ブロモ−2−ヒドロキシメチル−フェニル)メタノール
【化33】

24mLの1,2−ジメトキシエタン中の3g(12.2mmol)の4−ブロモ−フタル酸の溶液に、0℃で、1.394g(36.8mmol)の水素化ホウ素ナトリウムを10回で加える。撹拌15分後、8mLの1,2−ジメトキシエタン中の4.61mL(36.5mmol)三フッ化ホウ素エーテラートの溶液を10分以内に加える。10分0℃で撹拌後、混合物を室温に加温し、撹拌を2時間続ける。反応混合物を次いで、40gの破砕した氷にゆっくりと加え、水性混合物を酢酸エチルで蒸発させる。混合した酢酸エチル抽出物を水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させる。得られた黄色油状物(粗物質)をCombi−Flash CompanionTM(Isco Inc.)クロマトグラフィー装置で120gのシリカゲルカラムを使用してクロマトグラフィーにより精製する。ジクロロメタン/酢酸エチル0−>50%酢酸エチルの勾配を使用する。表題化合物を油状物として得、それは静置により結晶化する:m.p.79−81℃、HPLC t=1.94分、MS−ES:(M+H)=214+216。
【0162】
実施例8:4−メチル−3−フタラジン−6−イル−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
【化34】

実施例7の記載と同じ方法を使用する。表題化合物:m.p.270−272℃;HPLC t=3.43分;R(ジクロロメタン/エタノール)=0.32;MS−ES(M+H)=408。
【0163】
実施例9:N−(3−ベンゾチアゾル−5−イル−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化35】

5−ブロモ−ベンゾチアゾールで出発して、実施例2の記載と同じ方法を使用する。反応時間は、全4時間である。表題化合物を無色固体として得る。M.p.90−93℃、HPLC t=4.54分;R(ジクロロメタン(エタノール)=0.30;MS−ES:(M+H)=413。
【0164】
出発物質を下記のとおりに製造する:
段階9.1:5−ブロモ−ベンゾチアゾール
【化36】

18mLの35%臭化水素酸溶液中の4−アミノ−ベンゾチアゾール(3.0g、0.02mol)を0℃で、11mLの水中の1.19g(0,0195mmol)の亜硝酸ナトリウムの溶液のゆっくりとした添加によりジアゾ化する。1時間0℃で撹拌後、褐色溶液を45mLの35%臭化水素酸溶液中の3.3g(0.023mol)のCuBrの暗色溶液に0℃で添加する。反応混合物を0.5時間0℃、2時間室温および次いで2時間90℃で撹拌する。混合物を室温に冷却し、20gの破砕した氷に注ぐ。濃アンモニアを混合物に添加してそれをアルカリ性にし、次いで酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせ、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させる。残渣を溶離剤としてジクロロメタン/石油エーテルを使用して、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製する.表題化合物を固体として得る:m.p.104−106℃、HPLC t=3.44分;R(ジクロロメタン/石油エーテル)=0.30。
【0165】
段階9.2:5−アミノ−ベンゾチアゾール
【化37】

160mLのメタノールおよび60mLのTHF中に溶解した、精製した5−ニトロ−ベンゾチアゾール(7.2g、0.04mol、WO 98/23612、実施例7A参照)を、1.6gのPd/C(10%;Engelhard 4505)の存在下、水素化する。触媒を濾取し、濾液を濃縮し、残った油状物をジクロロメタノール/メタノール97:3を溶離剤として使用して、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。表題化合物を無色固体として得る:m.p.76−78℃、HPLC t=0.76分;MS−ES’:(M+H)=151;R(ジクロロメタン/メタノール97:3)=0.76。
【0166】
実施例10:3−ベンゾチアゾル−5−イル−4−メチル−N−(3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド
【化38】

実施例9の記載と同じ方法を使用する。表題化合物:m.p.200−202℃、HPLC t=4.62分;R(ジクロロメタン/エタノール98:2)=0.30;MS−ES:(M+H)=413。
【0167】
実施例11:N−(3−イソキノリン−7−イル−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化39】

4.2mLのジオキサン中の0.162g(0.584mmol)のトリフルオロ−メタンスルホン酸イソキノリン−7−イルエステル(段階1.3)および0.362g(0.4897mmol)の4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドの溶液を、0.184g(0.867mmol)のリン酸カリウムで処理する。窒素のゆっくりとした流れを15分間、得られた懸濁液に通して、混合物を0.035g(0.03mmol)テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムで処理し、次いで90℃で4時間撹拌する。もう一度0.035g(0.03mmol)の触媒を加え、90℃で15時間続けて撹拌する。混合物を冷却し、濾過し、濾液を蒸発させる。残渣を、Combi−Flash CompanionTM(Isco Inc.)装置で40gのシリカゲルカラムを使用して、クロマトグラフィーにより精製する。ジクロロメタン/メタノール(0−>15%メタノール)の勾配を使用する。純粋な画分を溜め、蒸発させ、表題化合物を褐色泡状物として得る;R(ジクロロメタン/メタノール9:1)=0.23;HPLC t=2.47分;MS−ES+:(M+H)+=519。
【0168】
段階11.1:4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化40】

出発物質としてN−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドを使用して、表題化合物を段階1.1の記載と同じ方法にしたがって合成する。表題化合物を褐色泡状物として得る;R(ジクロロメタン/メタノール/濃アンモニア350:50:1)=0.88;HPLC t=3.70分;MS−ES+:(M+H)+=518。
【0169】
段階11.2:N−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化41】

50mLのアセトン中の4.51g(0.01mol)の4−ブロモメチル−N−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドの溶液を10℃に冷却し、2.76g(0.02mol)の炭酸カリウムおよび1.33mL(0.012mol)の1−メチルピペラジンで処理する。混合物を室温で4時間撹拌し、濾過し、濾液を蒸発させる。残渣をジクロロメタン(50mL)中に溶解し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒の蒸発で、純粋な表題化合物を褐色泡状物として得る:R(酢酸エチル/メタノール8:2)=0.16;HPLC t=3.39分;MS−ES+:(M+H)+=470,472。
【0170】
段階11.3:4−ブロモメチル−N−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化42】

120mLのTHF中に13.95g(0.0493mol)の4−ブロモメチル−3−トリフルオロメチル−安息香酸、9.17g(0.0493mol)の3−ブロモ−4−メチルアニリンおよび7.56g(0.0493mol)の1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールを含む溶液を0℃に冷却し、20分にわたって0℃で40mLのTHF中の11.18g(0.052mol)のN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドの溶液の滴下により処理する。45分後、冷浴を除去し、混合物をもう1時間、室温で撹拌する。得られた懸濁液を濾過し、ジシクロヘキシル−ウレアを少量のTHFで洗浄する。濾液を蒸発させ、乾燥させる。残渣を溶離剤として酢酸エチル/ヘキサンを、最初2.5:100、次いで15:100で使用して、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。純粋な画分を溜め、蒸発させ、表題化合物を結晶として得る:m.p.153−154℃;R(酢酸エチル/ヘキサン1:1)=0.63;HPLC t=4.72分;MS−ES+:(M+H)+=450、452。
【0171】
段階11.4:4−ブロモメチル−3−トリフルオロメチル−安息香酸
【化43】

500mLのテトラクロロメタン中に16.33g(0.08mol)の4−メチル−3−(トリフルオロメチル)−安息香酸、17.08g(0.096mol)のN−ブロモスクシンイミドおよび0.96g(0.003mol)のジベンゾイル−ペルオキシドを含む懸濁液を還流温度に加温し、125Wランプで1.5時間照射する。混合物を10℃に冷却し、濾過し、濾液を約50mLに濃縮する。固体を濾取し、少量の冷テトラクロロメタンで洗浄し、乾燥させる。表題化合物をさらに、精製することなく使用する:mp.136−140℃;HPLC t=3.40分。
【0172】
実施例12:3−イソキノリン−7−イル−4−メチル−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−ベンズアミド
【化44】

出発物質として4−メチル−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンズアミドを使用して、表題化合物を実施例11の記載と同じ方法にしたがって合成する。表題化合物を褐色泡状物として得る;R(ジクロロメタン/メタノール9:1)=0.10;HPLC t=2.34分;MS−ES+:(M+H)+=519。
【0173】
段階12.1:4−メチル−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンズアミド
【化45】

出発物質として3−ブロモ−4−メチル−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−ベンズアミドを使用して、表題化合物を段階11.1の記載と同じ方法にしたがって合成する。表題化合物を褐色泡状物として得る;R(ジクロロメタン/エタノール9:1)=0.1;HPLC t=3.57分;MS−ES+:(M+H)+=518。
【0174】
段階12.2:3−ブロモ−4−メチル−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−ベンズアミド
【化46】

50mLのアセトニトリル中の6.1g(0.025mol)の3−ブロモ−4−メチル安息香酸クロライドの溶液に、10℃で、7mL(0.05mol)のトリエチルアミンを加え、次いで50mLのアセトニトリル中の4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニルアミンの溶液を添加する(発熱反応)。褐色懸濁液を5時間、室温で撹拌し、次いで一晩放置する。酢酸エチルを加え、溶液を飽和重炭酸ナトリウム溶液および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させる。1%濃アンモニアを含有するジクロロメタン/エタノール93:7を使用して、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーを行い、純粋な表題化合物を得る:R(1%濃アンモニアを有するジクロロメタン/エタノール93:7)=0.4;HPLC t=3.14分;MS−ES+:(M+H)+=470、472。
【0175】
実施例13:4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−(4−メチル−3−キナゾリン−6−イル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化47】

窒素を、10分間、0.3g(0.406mmol)の4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、0.084g(0.402mmol)の6−ブロモ−キナゾリン、1.6mLのトルエン、0.2mLのエタノールおよび0.4mLの2M炭酸ナトリウム溶液を含む混合物に通す。混合物を、次いで窒素下、4mg(0.0178mmol)の酢酸パラジウムおよび15.6mg(0.0595mmol)のトリフェニルホスフィンで処理し、90℃に4時間、加熱する。暗色混合物を5mLの酢酸エチルで処理し、有機相を分離する。1.6gのシリカゲルを有機溶液に添加し、次いで溶媒を除去する。シリカゲル上にコーティングされた粗生成物を、Combi−Flash CompanionTM(Isco Inc.)装置で40gのシリカゲルカラムを使用して、クロマトグラフィーにより精製する。ジクロロメタン/エタノール(0−>25%エタノール)の勾配を使用する。純粋な画分を溜め、蒸発させ、表題化合物を褐色泡状物として得る;R(ジクロロメタン/エタノール9:1)=0.07;HPLC t=2.48分;MS−ES+:(M+H)+=520。
【0176】
実施例14:4−メチル−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−キナゾリン−6イル−ベンズアミド
【化48】

表題化合物を、実施例13の記載と同じ方法にしたがって、4−メチル−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンズアミドおよび6−ブロモ−キナゾリンを出発物質として使用して、合成する。表題化合物を褐色泡状物として得る;R(ジクロロメタン/メタノール9:1)=0.18;HPLC t=2.36分;MS−ES+:(M+H)+=520。
【0177】
実施例15:N−(4−メチル−3−フタラジン−6−イル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化49】

表題化合物を、実施例13の記載と同じ方法にしたがって、4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド6−ブロモフタラジンを出発物質として使用して、合成する。表題化合物を無色結晶として得る;m.p.204−208℃;HPLC t=2.53分;MS−ES+:(M+H)+=520。
【0178】
実施例16:4−メチル−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−フタラジン−6−イル−ベンズアミド
【化50】

表題化合物を、実施例13の記載と同じ方法にしたがって、4−メチル−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンズアミドおよび6−ブロモ−フタラジンを出発物質として使用して、合成する。表題化合物を褐色泡状物として得る;R(ジクロロメタン/メタノール9:1)=0.18;HPLC t=2.38分;MS−ES+:(M+H)+=520。
【0179】
実施例17:N−(4−メチル−3−フタラジン−6−イル−フェニル)−4−ピペリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化51】

窒素を3.12mLのDMF中、0.295g(0.648mmol)のN−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−4−ピペリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、0.191g(1.94mmol)の酢酸カリウムおよび0.198g(0.778mmol)のビス−(ピナコレート)−ジボロンの混合物に、約10分間通す。0.032g(0.0391mmol)の1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウムジクロライドの添加後、混合物を80℃に6時間加熱する。形成されるN−[4−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−4−ピペリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド中間体は、単離しない。冷却した暗色懸濁液に、窒素下、6−ブロモフタラジン(0.1355g、0.648mmol)、炭酸セシウム(0.316g、0.97mmol)および0.0225mg(0.0195mmol)テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを加える。暗色混合物を80℃に15時間加熱し、室温に冷却し、濾過する。固体をDMFで洗浄し、組み合わせた濾液を減圧下で蒸発させる。残渣を酢酸エチルと飽和重炭酸ナトリウム溶液の間に分配し、有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させる。粗生成物をCombi−Flash CompanionTM(Isco Inc.)装置で40gのシリカゲルカラムを使用して、クロマトグラフィーにより精製する。酢酸エチル/メタノール(0−>10%メタノール)の勾配を使用する。純粋な画分を溜め、蒸発させ、表題化合物を褐色結晶として得る;m.p.175−177℃;R(酢酸エチル/メタノール9:1)=0.39;HPLC t=2.50分;MS−ES+:(M+H)+=505。
【0180】
段階17.1:N−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−4−ピペリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化52】

表題化合物を段階11.2の記載と同じ方法にしたがって、ピペリジンを試薬として使用して合成する。褐色泡状物:R(酢酸エチル)=0.71;HPLC t=3.51分;MS−ES+:(M+H)+=455、457。
【0181】
実施例18:4−ジメチルアミノメチル−N−(3−イソキノリン−7−イル−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化53】

表題化合物を実施例17の記載と同じ方法にしたがって、N−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−4−ジメチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドを出発物質として、合成する。無色樹脂:R(酢酸エチル/メタノール9:1)=0.40;HPLC t=2.30分;MS−ES+:(M+H)+=464。
【0182】
段階18.1:N−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−4−ジメチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化54】

表題化合物を段階11.2の記載と同じ方法にしたがって、ジメチルアミンヒドロクロライドを試薬として使用して合成する。黄色結晶:m.p.169−172℃;R(酢酸エチル/メタノール9:1)=0.48;HPLC t=4.83分;MS−ES+:(M+H)+=372、374。
【0183】
実施例19:4−ジメチルアミノメチル−N−(4−メチル−3−フタラジン−6−イル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化55】

表題化合物を実施例17の記載と同じ方法にしたがって、N−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−4−ジメチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドおよび6−ブロモフタラジンを出発物質として使用して、合成する。褐色結晶:m.p.240−241℃;R(酢酸エチル/メタノール9:1)=0.20;HPLC t=2.24分;MS−ES+:(M+H)+=465。
【0184】
実施例20:N−(4−メチル−3−フタラジン−6−イル−フェニル)−4−モルホリン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化56】

表題化合物を実施例17の記載と同じ方法にしたがって、N−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−4−モルホリン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドおよび6−ブロモフタラジンを出発物質として使用して合成する。褐色結晶:m.p.236−238℃;R(酢酸エチル/メタノール92.5:7.5)=0.26;HPLC t=2.30分;MS−ES+:(M+H)+=507。
【0185】
段階20.1:−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−4−モルホリン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化57】

表題化合物を段階11.2の記載と同じ方法にしたがって、モルホリンを試薬として使用して、合成する。無色結晶:m.p.160−162℃;R(酢酸エチル/ヘキサン1:1)=0.40;HPLC t=3.27分;MS−ES+:(M+H)+=457、459。
【0186】
実施例21:N−(3−イソキノリン−7−イル−4−メチル−フェニル)−4−モルホリン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化58】

表題化合物を実施例17の記載と同じ方法にしたがって、N−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−4−モルホリン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドおよびトリフルオロ−メタンスルホン酸イソキノリン−7−イルエステルを出発物質として使用して、合成する。無色樹脂:R(酢酸エチル)=0.20;HPLC t=2.29分;MS−ES+:(M+H)+=506。
【0187】
実施例22:4−メチル−3−フタラジン−6−イル−N−(4−ピペリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
【化59】

表題化合物を実施例17の記載と同じ方法にしたがって、3−ブロモ−4−メチル−N−(4−ピペリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミドおよび6−ブロモフタラジンを出発物質として使用して、合成する。褐色結晶:m.p.247−249℃;HPLC t=2.52分;MS−ES+:(M+H)+=505。
【0188】
段階22.1:3−ブロモ−4−メチル−N−(4−ピペリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
【化60】

5mLの酢酸エチル中の0.5g(1.295mmol)の3−ブロモ−N−(4−ホルミル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−メチル−ベンズアミドの溶液を窒素下、0.64mL(6.48mmol)のピペリジンおよび0.0325mg(0.13mmol)のトシル酸ピリジウムで処理する。混合物を60℃に加熱し、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムを少量ずつ45分にわたって加える。撹拌を60℃で10分間続け、濃い懸濁液を室温で一晩放置する。10℃で混合物を2mLの水の滴下により加水分解する。2層を分離し、酢酸エチル相を水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させる。粗生成物をCombi−Flash CompanionTM(Isco Inc.)装置で40gのシリカゲルカラムを使用して、クロマトグラフィーにより精製する。酢酸エチル/ヘキサン(5−430%酢酸エチル)の勾配を使用する。純粋な画分を溜め、蒸発させ、表題化合物を薄い黄色結晶として得る;m.p.151−153℃;R(酢酸エチル)=0.52;HPLC t=3.56分;MS−ES+:(M+H)+=455、457。
【0189】
段階22.2:3−ブロモ−N−(4−ホルミル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−メチル−ベンズアミド
【化61】

粗4−アミノ−2−トリフルオロメチル−ベンズアルデヒド(褐色油状物、〜3g、〜0.016mol)を15mLのジクロロメタンに溶解し、室温でトリエチルアミン(2.465mL、0.0177mol)で処理する。暗色溶液に次いで、ゆっくりと15mLのジクロロメタン中の3.8g(0.016mol)の3−ブロモ−4−メチル安息香酸クロライドの溶液を加える。完全に添加後、混合物を一晩室温で放置する。ジクロロメタンを蒸発させ、残渣をCombi−Flash CompanionTM(Isco Inc.)装置で120gのシリカゲルカラムを使用して、クロマトグラフィーにより精製する。酢酸エチル/ヘキサン(0−>25%酢酸エチル)の勾配を使用する。純粋な画分を溜め、蒸発させ、表題化合物を薄い黄色結晶として得る;m.p.193.5−195℃;R(酢酸エチル/ヘキサン1:3)=0.34;HPLC t=4.75分;MS−ES+:(M+H)+=386、384。
【0190】
段階22.3:4−アミノ−2−トリフルオロメチル−ベンズアルデヒド
【化62】

9mLの乾燥THF中の3g(0.0161mol)の4−アミノ−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリルの溶液を室温で窒素下、トルエン中26.85mL(0.0403mol)の1.5Mジイソブチル−アルミニウム−水素化物溶液で滴下処理する。添加中、温度は適当な冷却により最高28℃で維持する。完全に添加後、褐色溶液を室温で一晩放置する。次いで4.4mLのメタノールおよび39mLの飽和(〜3M)酒石酸カリウムナトリウム塩溶液の混合物に滴下する。加水分解中、温度は40℃以下を維持する。15分間撹拌後、酢酸エチルを加え、2個の層を分離する。酢酸エチル層を水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させる。得られた褐色泡状物は、アルデヒドのオリゴマー形態(イミン形態)からなり、したがって10mLの酢酸エチル中に再溶解させ、効率よく10分間、10mLの1N HClと撹拌する。水酸化ナトリウム(1N、8.5mL)を加え、撹拌を5分以上続ける(終了時、溶液がpH〜9である)。酢酸エチルを分離し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ、粗4−アミノ−2−トリフルオロメチル−ベンズアルデヒドを褐色油状物として得、それを即座に次の段階で使用する。
【0191】
実施例23:4−メチル−N−(4−モルホリン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−3−フタラジン−6−イル−ベンズアミド
【化63】

表題化合物を、実施例17の記載と同じ方法にしたがって、3−ブロモ−4−メチル−N−(4−モルホリン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミドおよび6−ブロモフタラジンを出発物質として使用して、合成する。褐色結晶:m.p.284−287℃;R(酢酸エチル/エタノール95:5)=0.16;HPLC t=2.25分;MS−ES+:(M+H)+=507。
【0192】
段階23.1:3−ブロモ−4−メチル−N−(4−モルホリン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
【化64】

表題化合物を段階22.1の記載と同じ方法にしたがって、3−ブロモ−N−(4−ホルミル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−メチル−ベンズアミドおよびモルホリンを出発物質として使用して、合成する。薄い黄色結晶:m.p.147−151℃;HPLC t=3.31分;MS−ES+:(M+H)+=457、459。
【0193】
実施例24:N−(4−ジメチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−メチル−3−フタラジン−6−イル−ベンズアミド
【化65】

表題化合物を実施例17の記載と同じ方法にしたがって、3−ブロモ−N−(4−ジメチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−メチル−ベンズアミドおよび6−ブロモフタラジンを出発物質として使用して、合成する。無色結晶:m.p.251−254℃;R(ジクロロメタン/メタノール/濃アンモニア90:10:1)=0.45;HPLC t=2.22分;MS−ES+:(M+H)+=465。
【0194】
段階24.1:3−ブロモ−N−(4−ジメチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−メチル−ベンズアミド
【化66】

表題化合物を段階22.1の記載と同じ方法にしたがって、3−ブロモ−N−(4−ホルミル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−メチル−ベンズアミドおよびジメチルアミンヒドロクロライドおよびトリエチルアミンを出発物質として使用して、合成する。無色結晶:m.p.156−157℃;HPLC t=3.24分;MS−ES+:(M+H)+=415、417。
【0195】
実施例25:4−メチル−3−フタラジン−6−イル−N−(4−ピロリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
【化67】

表題化合物を実施例17の記載と同じ方法にしたがって、3−ブロモ−4−メチル−N−(4−ピロリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミドおよび6−ブロモフタラジンを出発物質として使用して、合成する。無色結晶:m.p.246−250℃;R(ジクロロメタン/メタノール/濃アンモニア90:10:1)=0.39;HPLC t=2.42分;MS−ES+:(M+H)+=491。
【0196】
段階25.1:3−ブロモ−4−メチル−N−(4−ピロリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド
【化68】

表題化合物を段階22.1の記載と同じ方法にしたがって、3−ブロモ−N−(4−ホルミル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−メチル−ベンズアミドおよびピロリジンを出発物質として使用して、合成する。無色結晶:m.p.168−170℃;HPLC t=3.43分;MS−ES+:(M+H)+=441、443。
【0197】
実施例26:N−(3−(2−アミノキナゾリン−6−イル)−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化69】

50mLの密閉チューブ中、0.400g(1.70mmol)の2−アミノ−6−ブロモ−キナゾリン、0.420g(0.804mmol)の4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド(段階11.1)および0.160g(0.226mmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライドを2mLの1M水性炭酸水素ナトリウム、5mLのトルエンおよび1mLのEtOHの溶液に加える。窒素で5分間バブリングした後、反応混合物を密閉し、90℃で3時間加熱する。冷却後、混合物を真空濃縮し、得られた残渣をWaters xTerraカラム(50×100mm)を備えたVarian Prostarシステムおよび水中0.1%NH/アセトニトリル中0.1%NH(0−>100%)の勾配の溶媒を使用して、逆相HPLCにより精製する。純粋な画分を溜め、蒸発させ、0.10g(0.185mmol)の表題化合物を薄い黄色固体として得る;HPLC t(水/アセトニトリル)=8.4分;MS−ES+:(M+H)+=535。
【0198】
段階26.1:2−アミノ−6−ブロモ−キナゾリン
【化70】

250mLの反応チューブ中、9.30g(45.4mmol)の5−ブロモ−2−フルオロベンズアルデヒドおよび12.40g(68.1mmol)のグアニジン炭酸塩を130mLのN、N−ジメチルアセトアミド中に溶解する。溶液を窒素で1時間バブリングした後、チューブを密閉し、140℃で3時間加熱する。冷却後、反応物を50mLの飽和NaHCO溶液および300mLの水で希釈し、0.5時間撹拌する。得られた沈殿を回収し、最初に50mLの水、次いで50mLのエーテルで洗浄し、空気乾燥させ、4.0g(17.7mmol)の表題化合物を得る:HPLC t=5.6分;MS−ES+:(M+H)+=225。
【0199】
実施例27:軟カプセル
前記実施例の任意の1つに記載の0.05gの式Iの化合物を活性成分としてそれぞれ含む、5000個の軟ゼラチンカプセルを下記のとおりに製造する:
組成物
活性成分 250g
Lauroglycol 2リットル
製造プロセス:粉状の活性成分をLauroglycol(登録商標)(プロピレングリコールラウリン酸エステル、Gattefosse S.A.、SaintPriest、France)に懸濁し、湿粉砕器で挽き、約1から3μmの粒子サイズを製造する。混合物の0.419g分を、カプセル充填機を使用して、軟ゼラチンカプセルを製造する。
【0200】
実施例28:式Iの化合物を含む錠剤
活性成分として、100mgの実施例1から10の任意の1つに記載の式Iの化合物を下記組成物で製造したものを含む、錠剤を下記の標準製造で製造する:
組成物
活性成分 100mg
結晶ラクトース 240mg
Avicel 80mg
PVPPXL 20mg
Aerosil 2mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
447mg
製造:活性成分を担体物質と混合させ、打錠機(Korsch EKO、Stempeldurchmesser 10mm)の手段により圧縮する。
Avicel(登録商標)は微結晶セルロース(FMC、Philadelphia、USA)である。PVPPXLは交差結合したポリビニル−ポリピロリドン(BASF、Germany)である。Aerosil(登録商標)はシルシウムジオキシド(silcium dioxide)(Degussa、Germany)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
は、水素または−N(R)(ここで、RおよびRのそれぞれはアルキルであるか、またはそれらが結合している窒素と一緒になって5から7員ヘテロ環式環を形成し、このさらなる環原子は、炭素と窒素、酸素および硫黄から選択される0、1または2個のヘテロ原子から選択され、そして該環は、非置換であるかまたは、さらに窒素環原子が存在するとき、非置換であるかもしくは該窒素がアルキルにより置換されている。)であり;
は、水素または−CH−N(R)(ここで、RおよびRのそれぞれはアルキルであるか、またはそれらが結合している窒素と一緒になって5から7員ヘテロ環式環を形成し、このさらなる環原子は、炭素と窒素、酸素および硫黄から選択される0、1または2個のヘテロ原子から選択され、そして該環は、非置換であるかまたは、さらに窒素環原子が存在するとき、非置換であるかもしくは該窒素でアルキルにより置換されている。)であり;
ただし、RおよびRの少なくとも1個が水素であり;
は、ハロまたはC−C−アルキルであり;
は、
【化2】

{式中、
Xは、CH、NまたはC−NHであり;
Yは、CHまたはNであり;
ただし、XおよびYの両方が同時にNではなく;そして
は、水素、C−C−アルキルまたは非置換もしくは置換フェニルである。}
からなる群から選択される二環式ヘテロシクリルであり;
Aは、式IのQおよびZを含む環に結合する−NH−を有する−C(=O)−NH−または式IのQおよびZを含む環に結合する−C(=O)−を有する−NH−C(=O)−であり;
ZはCHまたはNであり;そして
Qは−S−または−CH=CH−である。]
の化合物、または1個またはそれ以上の塩形成基が存在するときそれらの塩。
【請求項2】
Qが−CH=CH−であり、そしてR、R、R、R、R、AおよびZが請求項1に定義のとおりである、請求項1に記載の式Iの化合物または好ましくは薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項3】
Aが、式IのQおよびZを含む環に結合する−NH−を有する−C(=O)−NH−であり、そしてR、R、R、R、R、QおよびZが請求項1に定義のとおりである、請求項1に記載の式Iの化合物または好ましくは薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項4】
およびRの一方が水素であり、そして他方が、水素または
【化3】

[式中、“Alk”はアルキル、好ましくは低級アルキル、より好ましくはメチルまたはエチルであり;そしてR、R、R、A、QおよびZが請求項1に定義のとおりである。]からなる群から選択される部分である、請求項1に記載の式Iの化合物または好ましくは薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項5】
およびRのそれぞれが水素であり;
がC−C−アルキル、とりわけメチルであり;

【化4】

[式中、
XはCH、NまたはC−NHであり;
YはCHまたはNであり;
ただし、XおよびYの両方が同時にNではない;
そして、Rは水素、C−C−アルキルまたはフェニルである。]からなる群から選択される、二環式ヘテロシクリルであり;
(ここで、Rが好ましくは
【化5】

である。)
Aが(式IのQおよびZを含む環に結合する−NH−を有する)−C(=O)−NH−または(式IのQおよびZを含む環に結合する−C(=O)−を有する)−NH−C(=O)−であり;
ZがCHであり;そして
Qが−CH=CH−である、請求項1に記載の式Iの化合物または1個またはそれ以上の塩形成基が存在するとき好ましくは薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項6】

【化6】

である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項7】
N−(3−イソキノリン−7−イル−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
N−(4−メチル−3−キナゾリン−6−イル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
3−イソキノリン−7−イル−4−メチル−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
4−メチル−3−キナゾリン−6−イル−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
N−(3−ベンゾチアゾル−6−イル−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド3−ベンゾチアゾル−6−イル−4−メチル−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
N−(4−メチル−3−フタラジン−6−イル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
4−メチル−3−フタラジン−6−イル−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
N−(3−ベンゾチアゾル−5−イル−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
3−ベンゾチアゾル−5−イル−4−メチル−N−(3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド、
N−(3−イソキノリン−7−イル−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
3−イソキノリン−7−イル−4−メチル−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−ベンズアミド、
4−メチル−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンズアミド、4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−(4−メチル−3−キナゾリン−6−イル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
4−メチル−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−キナゾリン−6−イル−ベンズアミド、
N−(4−メチル−3−フタラジン−6−イル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
4−メチル−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−フタラジン−6−イル−ベンズアミド、
N−(4−メチル−3−フタラジン−6−イル−フェニル)−4−ピペリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
4−ジメチルアミノメチル−N−(3−イソキノリン−7−イル−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
4−ジメチルアミノメチル−N−(4−メチル−3−フタラジン−6−イル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
N−(4−メチル−3−フタラジン−6−イル−フェニル)−4−モルホリン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
N−(3−イソキノリン−7−イル−4−メチル−フェニル)−4−モルホリン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
4−メチル−3−フタラジン−6−イル−N−(4−ピペリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
4−メチル−N−(4−モルホリン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−3−フタラジン−6−イル−ベンズアミド、
N−(4−ジメチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−4−メチル−3−フタラジン−6−イル−ベンズアミド、
4−メチル−3−フタラジン−6−イル−N−(4−ピロリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド、
およびN−(3−(2−アミノキナゾリン−6−イル)−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
からなる群から選択される請求項1に記載の式Iの化合物または塩形成基が存在するとき薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項8】
式II
【化7】

{式中、DおよびDはヒドロキシまたは置換ヒドロキシであるか、または結合しているホウ素原子および2個の結合している酸素原子とともに式IIA
【化8】

[式中、Eはアルキレン、置換アルキレン、非置換もしくは置換シクロアルキレン、非置換もしくは置換ビシクロアルキレンまたは非置換もしくは置換トリシクロアルキレンである。]の環を形成する。}のボロン酸誘導体を
式III
【化9】

[式中、Rは請求項1に定義のとおりであり、そしてLは脱離基である。]
のカップリングパートナーと反応させること、そして、所望により、式Iの化合物を式Iの異なる化合物に変換すること、得られる式Iの化合物の塩を遊離化合物または異なる塩に変換すること、および/または得られる式Iの遊離化合物をそれらの塩に変換することを含む、請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物またはそれらの塩の製造方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項10】
動物、とりわけ哺乳類、またはヒトの診断的および/または治療処置において使用するための、請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項11】
1種またはそれ以上のタンパク質キナーゼ、とりわけc−abl、KDR、c−Src、c−raf、b−raf、Tie/TekおよびKDRキナーゼからなる群から選択される1種またはそれ以上のタンパク質チロシンキナーゼまたはそれらの変異型に依存する、1種またはそれ以上の疾患または障害の処置における、または処置用医薬の製造のための、請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの塩の使用。
【請求項12】
増殖性疾患の処置における、または処置用医薬組成物の製造のための、請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの塩の使用。
【請求項13】
請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの塩の予防的またはとりわけ治療有効量を、処置を必要とする下記の疾患を有するとりわけ温血動物、例えばヒトに投与することを含む、キナーゼの阻害に応答するおよび/または増殖性疾患である疾患の処置法。
【請求項14】
治療有効量の請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、および、第2の薬剤または薬学的に許容されるそれらの塩を含む、組合せ剤。

【公表番号】特表2008−509187(P2008−509187A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525252(P2007−525252)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008695
【国際公開番号】WO2006/015859
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】