説明

クリップ式取付構造

【課題】クリップを取付部材に取り付ける際における作業者による誤取付を抑制し得るクリップ式取付構造を提供すること。
【解決手段】取付部材1と相手部材8とを持つクリップ式取付構造において、クリップ5に短冊状をなす鍔部60を設け、相手部材8の差し込み部20の周縁部に突起状をなす干渉部3を設け、正取付時には鍔部60と干渉部3とが干渉しないようにし、誤取付時には鍔部60と干渉部3とが干渉するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップとクリップが取り付けられる取付部材と、を持つクリップ式取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
クリップと取付部材とを持つクリップ式取付構造としては、従来から種々のものが提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。この種のクリップ式取付構造は、予め取付部材に取り付けたクリップを相手部材に取り付けることで、クリップを介して取付部材を相手部材に取り付ける。詳しくは、取付部材には貫通孔状をなす取付係合部が設けられている。相手部材には貫通孔状をなす相手係合部が設けられている。クリップは、第1クリップ係合部と第2クリップ係合部とを持ち、第1クリップ係合部を取付係合部に係合させることで取付部材に取り付けられる。また、第2クリップ係合部を相手係合部に係合させることで相手部材に取り付けられる。
【0003】
ところで、クリップ式取付構造のなかには、クリップを取付部材に対して異なる複数の方向に取り付け得るものがある。例えば、クリップ式取付構造のなかには、第2クリップ係合部を相手係合部に係合させた状態でクリップを相手部材および取付部材に対して所定角度回転させることで、第2クリップ係合部と相手係合部との係合を解除するものがある。この種のクリップ式構造体によると、クリップを回転させることで、一旦相手部材に取り付けたクリップ式取付構造を相手部材から取り外すことができる。取付部材を相手部材に取り付けたときの取付部材に対するクリップの向きを正位置と呼び、取付部材を相手部材から取り外すとき(すなわち、クリップを回転させたとき)の取付部材に対するクリップの向きを回転位置と呼ぶ。
【0004】
ところで、この種のクリップ式取付構造によると、クリップが正位置に配置されているときにも回転位置に配置されているときにも、クリップと取付部材とは係合したままである。このためクリップは、取付部材に対して、正位置と回転位置との2つの向きに取り付けることができる。したがって、作業者がクリップを取付部材に取り付ける作業の際に、誤ってクリップを回転位置に取り付ける可能性がある。クリップが回転位置に取り付けられていると、取付部材を相手部材に取り付ける際に、クリップの第2クリップ係合部が相手部材の相手係合部に係合しない。したがってこの場合には、取付部材を相手部材に取り付けることができない。よって、作業者がクリップを正位置に信頼性高く取り付けることができ、クリップを取付部材に取り付ける際における作業者による誤取付を抑制し得るクリップ式取付構造が求められている。
【特許文献1】特開2008−38964号公報
【特許文献2】特開2008−38962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、クリップを取付部材に取り付ける際における作業者による誤取付を抑制し得るクリップ式取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明のクリップ式取付構造は、
貫通孔状をなす取付係合部2を持つ取付部材1と、該取付係合部2に係合する第1クリップ係合部6と突起状をなし相手部材8に取り付けられる第2クリップ係合部7とを持つクリップ5と、を持ち、
該クリップ5は、該第1クリップ係合部6が該取付係合部2に係合する正位置と、該第1クリップ係合部6が該取付係合部2に係合しかつ該第1クリップ係合部6を中心として該正位置から所定角度回転している回転位置と、で該取付部材1に取り付け可能であり、
該正位置に配置された該クリップ5の該第2クリップ係合部7が該相手部材8に係合することで、該クリップ5を介して該取付部材1を該相手部材8に取り付けるクリップ式取付構造であって、
該クリップ5は、短冊状をなし該第1クリップ係合部6の突起方向と交叉する方向に延びる鍔部60を持ち、
該取付部材1は、該取付係合部2の周縁部に、突起状をなす干渉部3を持ち、
該鍔部60は、該正位置において長手方向を該干渉部3に向け、該回転位置において幅方向を該干渉部3に向け、
該干渉部3と該鍔部60とは、該クリップ5を該取付部材1に対して該正位置に取り付けるときには当接せず、該クリップ5を該取付部材1に対して該回転位置に取り付けるときには当接して該第1クリップ係合部6と該取付係合部2との係合に干渉することを特徴とする。
【0007】
本発明のクリップ式取付構造は、下記の(1)〜(4)の何れかを備えるのが好ましく、(1)〜(4)の複数を備えるのがより好ましい。
【0008】
(1)前記取付係合部2は長孔状をなし、長手方向の一端部からなり前記第1クリップ係合部6よりも大径の差し込み部20と、長手方向の他端部からなり該差し込み部20よりも小径の固定部21と、を持ち、
前記クリップ5は、該差し込み部20に差し込まれた前記第1クリップ係合部6が該固定部21に移動し該固定部21に係合することで前記取付部材1に取り付けられ、
前記干渉部3は、該差し込み部20の周縁部に配置されている。
【0009】
(2)前記干渉部3は立壁状をなす。
【0010】
(3)前記取付部材1は、突起状をなし前記取付係合部2の周縁部のなかで前記干渉部3と前記固定部21との間の位置に形成されているストッパ部4を持つ。
【0011】
(4)前記干渉部3の突出高さは、前記鍔部60の長手方向の長さの1/4以上である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のクリップ式取付構造における取付部材は干渉部を持つ。干渉部は、突起状をなし、クリップを回転位置に配置しつつ取付部に取り付けようとするとき(以下、誤取付時と呼ぶ)にクリップの鍔部が配置される領域に突出する。したがって、クリップを誤取付しようとすると、干渉部と鍔部とが干渉して、第1クリップ係合部を取付係合部に差し込むことができない。鍔部は短冊状をなし、誤取付時には干渉部に鍔部の長手方向を向け、クリップを正位置に配置しつつ取付部に取り付けようとするとき(以下、正取付時と呼ぶ)には干渉部に幅方向(長手方向に交叉する方向)を向ける。このため正取付時における鍔部と干渉部との距離は、誤取付時における鍔部と干渉部との距離よりも長くなり、鍔部と干渉部とが干渉しない。このため、本発明のクリップは正取付可能であるが、誤取付できない。よって、本発明のクリップ式取付構造によると、クリップを取付部材に取り付ける際の作業者による誤取付を抑制し得る。
【0013】
上記(1)を備える本発明のクリップ式取付構造によると、干渉部を差し込み部の周縁部に配置したことで、クリップを差し込み部に差し込むときに(すなわち、クリップを取付部材に取り付ける作業の最初の段階で)クリップを正位置に配置でき、かつ、作業者による誤取付を抑制できる。そして、取付係合部を長孔状にし、第1クリップ係合部が係合する固定部を差し込み部から離間させたことで、クリップを固定部に係合させクリップを取付部材に取り付けたときの、鍔部と干渉部との距離を大きく設定できる。したがって、固定部に係合しているクリップを回転させて第2クリップ係合部と相手係合部との係合を解除するときの、鍔部と干渉部との干渉を信頼性高く抑制できる。このため、上記(1)を備える本発明のクリップ式取付構造によると、クリップを取付部材に取り付ける際の作業者による誤取付を信頼性高く抑制でき、かつ、取付部材に取り付けたクリップを回転位置に容易に配置できる。
【0014】
上記(2)を備える本発明のクリップ式取付構造によると、立壁状の干渉部によって、クリップの挿入を干渉部の突出方向(すなわち立壁の延びる方向)に案内できる。このため、上記(2)を備える本発明のクリップ式取付構造によると、クリップを取付部材に取り付ける際の作業者による誤取付をさらに信頼性高く抑制できる。
【0015】
上記(3)を備える本発明のクリップ式取付構造によると、突起状のストッパ部によって、固定部に移動した第1クリップ係合部が差し込み部に戻ることを抑制できる。このため、第1クリップ係合部は固定部に安定して係合する。また、ストッパ部と干渉部とによって鍔部の向きを規制できるために、クリップを信頼性高く正位置に配置でき、クリップを取付部材に取り付ける際の作業者による誤取付をさらに信頼性高く抑制できる。
【0016】
上記(4)を備える本発明のクリップ式取付構造によると、誤取付時において、鍔部と干渉部とを信頼性高く干渉させ得る。このため、上記(4)を備える本発明のクリップ式取付構造によると、クリップを取付部材に取り付ける際の作業者による誤取付をさらに信頼性高く抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明のクリップ式取付構造を具体的に説明する。
【0018】
(実施例1)
実施例1のクリップ式取付構造は上記(1)〜(4)を備える。実施例1のクリップ式取付構造を模式的に表す要部拡大分解斜視図を図1に示し、実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図を図2〜図3、図6〜図8に示す。実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを相手部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図を図4〜図5に示す。実施例1のクリップ式取付構造における鍔部および干渉部の寸法を説明する説明図を図9に示す。以下、実施例1において、上、下、左、右、前、後とは図1に示す上、下、左、右、前、後を指す。
【0019】
実施例1のクリップ式取付構造は、自動車のボデーを相手部材とし、コンソールボックスを取付部材とする例である。
【0020】
図1に示すように、実施例1のクリップ式取付構造は、取付部材1とクリップ5とを持つ。
【0021】
クリップ5は、第1クリップ係合部6と第2クリップ係合部7とを持つ。第2クリップ係合部7は、頭部70と2つの爪部71とを持つ。頭部70は略柱状をなす。各爪部71は、突起部72と基部73とを持ち、頭部70の対向する2側面にそれぞれ一体化されている。基部73は短冊状をなし弾性変形可能である。基部73の一端部は頭部70に一体化されている。突起部72は基部73の他端部に一体化され、頭部70の外方(側方)に突出している。第1クリップ係合部6は、鍔部60と、頸部61と、脚部62とを持つ。鍔部60は長尺板状をなし、長手方向を2つの爪部71と直交する方向に向け、平板面を上下方向に向けて、頭部70に一体化されている。頸部61は鍔部60よりも小径であり、鍔部60に一体化されている。脚部62は頸部61よりも大径であり、頸部61に一体化されている。
【0022】
取付部材1は、取付係合部2と、干渉部3と、2つのストッパ部4とを持つ。取付係合部2は貫通孔状かつ長孔状をなす。取付係合部2は、差し込み部20と、固定部21と、連絡部22とを持つ。差し込み部20は長孔の一端部によって構成されている。固定部21は長孔の他端部によって構成されている。連絡部22は差し込み部20と固定部21とを連絡する。差し込み部20の孔幅(図1中左右方向の長さ)は脚部62の外径よりも僅かに大きい。固定部21の孔幅は、頸部61の外径よりも僅かに大きく、脚部62の外径および鍔部60の外径よりも小さく、固定部21の孔幅よりも大きい。連絡部22の孔幅は、固定部21の孔幅とほぼ同じである。
【0023】
干渉部3は、取付係合部2の周縁部に配置されている。干渉部3は、取付係合部2の後側端部(取付係合部2のなかで固定部21と逆側の端部)を取り囲む略コ字の立壁状をなす。干渉部3の突出高さ(図9中W2で示す長さ)は、鍔部60の長手方向の長さ(図9中W1で示す長さ)の1/4である。なお、実施例1においては、干渉部3は差し込み部20の周壁の一部を構成している。
【0024】
2つのストッパ部4は同形状であり、取付係合部2の周縁部のなかで差し込み部20と固定部21との間に配置されている。詳しくは、2つのストッパ部4は、取付係合部2の周縁部のなかで、差し込み部20と連絡部22との境界部分に配置されている。各ストッパ部4は、取付係合部2を挟んで対称な位置に配置されている。各ストッパ部4は干渉部3と同じ方向に突出している。各ストッパ部4の差し込み部20側の突出高さは、固定部21側の突出高さよりも大きい。各ストッパ部4の差し込み部20側の端部と、干渉部3の固定部21側の端部と、の距離は、鍔部60の幅方向(長手方向と直交する方向)の長さとほぼ同じである。
【0025】
実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップ5を取付部材1に取り付ける手順を、以下に説明する。
【0026】
先ず、図2に示すように、クリップ5を取付部材1に対して正取付する。詳しくは、鍔部60の長手方向を左右に向け、鍔部60の幅方向の側面を干渉部3の前側立壁面30にあてがいつつ、クリップ5の脚部62および頸部61を取付係合部2の差し込み部20に差し込む。このとき鍔部60は、干渉部3の前側立壁面30とストッパ部4との間に挟み込まれて位置決めされ、前側立壁面30の延びる方向に案内される。脚部62は差し込み部20を通り抜ける。
【0027】
次いで、図3に示すように、差し込み部20に差し込んだクリップ5を固定部21方向にスライドさせる。すると、鍔部60がストッパ部4を乗り越え、頸部61が連絡部22を通って固定部21に入り込む。鍔部60は固定部21の周縁部の下面と対面し、脚部62は固定部21の周縁部の上面と対面する。したがって、第1クリップ係合部6は取付係合部2の周縁部と係合する。さらにこのとき、ストッパ部4は鍔部60よりも差し込み部20側に配置されているため、クリップ5は差し込み部20側に逆戻りし難い。以上の作業によって、クリップ5が相手部材に取り付けられる。
【0028】
図1に示すように、相手部材8には、貫通孔状かつ長孔状をなす相手係合部80が形成されている。相手係合部80の長手方向の長さW3および幅方向の長さW4は、頭部70の外径よりも長い。相手係合部80の幅方向の長さW4は、一対の爪部71の突出端部同士をむすぶ長さよりも短い。相手係合部80の長手方向W3の長さは、一対の爪部71の突出端部同士をむすぶ長さよりも長い。したがって、図4に示すように、一対の爪部71を相手係合部80の幅方向に向けつつ、第2クリップ係合部7を相手係合部80に挿入すると、爪部71が相手係合部80の幅方向における周縁部に係合し、クリップ5が相手部材8に取り付けられる。クリップ5に取り付けられている取付部材1もまた、相手部材8に取り付けられる。
【0029】
取付部材1を相手部材8から取り外す場合には、クリップ5を図4に示す正位置から図5に示す回転位置に回転させる。するとクリップ5は、爪部71を相手係合部80の長手方向に向ける。上述したように、相手係合部80の長手方向の長さは、一対の爪部71の突出端部同士をむすぶ長さよりも長いため、クリップ5が回転位置に移動すると、相手係合部80の周縁部と爪部71との係合が解除される。したがって、クリップ5を相手部材8から取り外すことができる。また、クリップ5に取り付けられている取付部材1を相手部材8から取り外すことができる。クリップ5の脚部62には六角形状の作業孔69が形成されている。このため作業孔69に六角レンチなどの工具を差し込み、工具を回転させることで、クリップ5を容易に回転させ得る。
【0030】
なお、図6に示すように、干渉部3は、クリップ5が固定部21に移動し回転した際に鍔部60が配置される領域よりも外方に配置されている。このためクリップ5が固定部21に移動すると、干渉部3はクリップ5の回転に干渉しない。
【0031】
図7に示すように、干渉部3は、差し込み部20の周縁部に形成され、誤取付時における鍔部60の配置領域内に突起する。したがって、作業者がクリップ5を誤取付しようとすると、図8に示すように、干渉部3が鍔部60に干渉し、クリップ5の第1クリップ係合部6を取付係合部2に挿入できない。換言すると、実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップ5は誤取付できない。よって、実施例1のクリップ式取付構造によると、作業者による誤取付を抑制できる。
【0032】
複数名の作業者によって、実施例1のクリップ式取付構造の取付評価試験をおこなった。詳しくは、各作業者は実施例1のクリップ式取付構造100個を、それぞれ異なる相手部材8に取り付けた。その結果、全ての試験において誤取付は発生しなかった。この結果から、本発明のクリップ式取付構造によると作業者の誤取付を信頼性高く抑制できることがわかる。さらに、この結果から、干渉部3の突出高さを鍔部60の長手方向の長さの1/4以上にすることで、作業者の誤取付を信頼性高く抑制できることがわかる。
【0033】
(実施例2)
実施例2のクリップ式取付構造は、取付部材1の形状以外は実施例1のクリップ式取付構造と同じである。実施例2のクリップ式取付構造は、上記(1)〜(4)を備える。実施例2のクリップ式取付構造における取付部材1を模式的に表す要部拡大斜視図を図10に示す
実施例2のクリップ式取付構造における取付係合部2は、取付部材1の端部に形成されている。詳しくは、固定部21および連絡部22は、取付部材1の端部に形成されている。差し込み部20は、取付部材1の外部に向けて張り出している。差し込み部20の周縁部もまた、取付部材1の外部に向けて略コ字状に張り出している。干渉部3は、略コ字の立壁状をなし、取付部材1の最外部に張り出している。実施例2のクリップ式取付構造は、取付係合部2が取付部材1の端部に形成され、差し込み部20、差し込み部20の周縁部、および干渉部3が、取付部材1の最外部に張り出している。しかし、実施例2のクリップ式取付構造は、実施例1のクリップ式取付構造と同様に、誤取付時に干渉部3と鍔部(図略)とが干渉する。したがって、実施例2のクリップ式取付構造もまた、作業者による誤取付を抑制できる。
【0034】
(実施例3)
実施例3のクリップ式取付構造は、干渉部3の形状以外は、実施例1のクリップ式取付構造と同じである。実施例3のクリップ式取付構造は、上記(1)〜(4)を備える。実施例3のクリップ式取付構造における取付部材1を模式的に表す要部拡大斜視図を図11に示す。
【0035】
実施例3のクリップ式取付構造における干渉部3は、略I字の立壁状をなし、差し込み部20の後側周壁に沿って延びる。実施例3のクリップ式取付構造は、最後部側の立壁面35でクリップ5の差し込み方向を案内する。実施例3のクリップ式取付構造は、実施例1のクリップ式取付構造と同様に、誤取付時に干渉部3と鍔部(図略)とが干渉する。したがって、実施例3のクリップ式取付構造もまた、作業者による誤取付を抑制できる。
【0036】
実施例1〜3のクリップ式取付構造における干渉部3は立壁状をなすが、本発明のクリップ式取付構造における干渉部3は単なる突起状をなしても良い。また、本発明のクリップ式取付構造は複数の突起(または立壁)を持っても良い。
【0037】
実施例1〜3のクリップ式取付構造においては、ストッパ部4と干渉部3との距離は鍔部60の幅方向の長さとほぼ同じであるが、ストッパ部4と干渉部3との距離を鍔部60の幅方向の長さよりも短くしても良い。この場合には、正取付時に鍔部60をストッパ部4と干渉部3との間に差し込むときにストッパ部4による抵抗が生じ、鍔部60をストッパ部4と干渉部3との間に完全に差し込むと作業者にクリック感を与え得る。よって作業者は、クリック感が生じたか否かを基準にすることでも正取付した否かを確認でき、クリップ5を取付部材1に取り付ける際の作業者による誤取付をさらに信頼性高く抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例1のクリップ式取付構造を模式的に表す要部拡大分解斜視図である。
【図2】実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図である。
【図3】実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図である。
【図4】実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを相手部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図である。
【図5】実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを相手部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図である。
【図6】実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図である。
【図7】実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図である。
【図8】実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図である。
【図9】実施例1のクリップ式取付構造における鍔部および干渉部の寸法を説明する説明図である。
【図10】実施例2のクリップ式取付構造における取付部材を模式的に表す要部拡大斜視図である。
【図11】実施例3のクリップ式取付構造における取付部材を模式的に表す要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1:取付部材 2:取付係合部 3:干渉部
4:ストッパ部 5:クリップ 6:第1クリップ係合部
7:第2クリップ係合部 8:相手部材 20:差し込み部
21:固定部 60:鍔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔状をなす取付係合部を持つ取付部材と、該取付係合部に係合する第1クリップ係合部と突起状をなし相手部材に取り付けられる第2クリップ係合部とを持つクリップと、を持ち、
該クリップは、該第1クリップ係合部が該取付係合部に係合する正位置と、該第1クリップ係合部が該取付係合部に係合しかつ該第1クリップ係合部を中心として該正位置から所定角度回転している回転位置と、で該取付部材に取り付け可能であり、
該正位置に配置された該クリップの該第2クリップ係合部が該相手部材に係合することで、該クリップを介して該取付部材を該相手部材に取り付けるクリップ式取付構造であって、
該クリップは、短冊状をなし該第1クリップ係合部の突起方向と交叉する方向に延びる鍔部を持ち、
該取付部材は、該取付係合部の周縁部に、突起状をなす干渉部を持ち、
該鍔部は、該正位置において長手方向を該干渉部に向け、該回転位置において幅方向を該干渉部に向け、
該干渉部と該鍔部とは、該クリップを該取付部材に対して該正位置に取り付けるときには当接せず、該クリップを該取付部材に対して該回転位置に取り付けるときには当接して該第1クリップ係合部と該取付係合部との係合に干渉することを特徴とするクリップ式取付構造。
【請求項2】
前記取付係合部は長孔状をなし、長手方向の一端部からなり前記第1クリップ係合部よりも大径の差し込み部と、長手方向の他端部からなり該差し込み部よりも小径の固定部と、を持ち、
前記クリップは、該差し込み部に差し込まれた前記第1クリップ係合部が該固定部に移動し該固定部に係合することで前記取付部材に取り付けられ、
前記干渉部は、該差し込み部の周縁部に配置されている請求項1に記載のクリップ式取付構造。
【請求項3】
前記干渉部は立壁状をなす請求項1または請求項2に記載のクリップ式取付構造。
【請求項4】
前記取付部材は、突起状をなし前記取付係合部の周縁部のなかで前記干渉部と前記固定部との間の位置に形成されているストッパ部を持つ請求項2に記載のクリップ式取付構造。
【請求項5】
前記干渉部の突出高さは、前記鍔部の長手方向の長さの1/4以上である請求項1〜請求項3の何れか一つに記載のクリップ式取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−78065(P2010−78065A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247375(P2008−247375)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】