説明

クリヤー塗料組成物、複層塗膜の形成方法及び加飾成形品

【課題】
銀メッキ層上のクリヤー層に防錆剤を配合し、塩素イオンなど腐食物質と銀メッキ表層との接触を防止することにより腐食反応を抑制し、長期間美しい銀メッキ意匠を発現するクリヤー塗料組成物及び銀メッキ層を含む加飾成形品を提供する。
【解決手段】
プラスチック基材上に、ベース塗膜層、銀メッキ層、クリヤー塗膜層を順次層形成させてなる銀メッキ層を含む複層塗膜の形成において使用するクリヤー塗料組成物であって、アクリル系ポリオールを含有する主剤及びポリイソシアネート化合物を含有する硬化剤からなる2液型ポリウレタン塗料であり、上記アクリル系ポリオール中のOH基と上記ポリイソシアネート化合物中のNCO基との当量比(NCO/OH)は、0.8/1〜1.2/1であり、防錆剤をアクリル系ポリオール及び防錆剤の合計100質量部に対する含有量1.0〜13.0部(固形分質量換算)の割合で含むクリヤー塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリヤー塗料組成物、複層塗膜の形成方法及び加飾成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック素材上に銀メッキ層を備える加飾成形品は、金属様の外観を呈するものとなるため、メータークラスター、センタークラスター、センターコンソール等の自動車の内装部品、ホイールキャップ、バンパーモール、ホイルガーニッシュ、グリルラジエータ、バックパネル、ドアーミラーカバー、ドアーハンドル等の自動車の外装部品、エアコンハウジング、携帯電話、ノートパソコン、化粧品容器等の自動車部品以外の用途等に使用することができるものである。
【0003】
しかし、銀メッキ層を含む加飾複層塗膜は、塩水噴霧試験等の塗膜性能評価時や長期経時により、銀メッキ層が変色したり、白く濁ったりして本来の意匠価値がなくなってしまうという問題を有する。
【0004】
このような問題を改善する方法として、特許文献1には金属表面に存在している微量の不純物を人為的に除去する工程を備えてなるめっき製品の製造方法が記載されている。しかし、このような方法では工程が多くなるため効率的ではなく、効果も充分ではなかった。
【0005】
特許文献2には、金属めっき層にマイクロクラックを意図的に形成させることによって、金属に腐食が生じた場合、腐食が金属めっき全体に広がるのを防止して意匠性の低下を防ぐめっき製品が記載されている。しかし、このような方法は、本質的に金属の腐食自体を防止する方法ではないことから、効果に限界があり、充分に長期間美しい外観を保つことはできない。
【0006】
特許文献3には、特定のシリコンアクリル樹脂からなる被覆層を備えてなることによって、金属めっき層への水分の浸透を抑制することによって、金属の腐食を抑制する方法が記載されている。しかし、これ以上に効果を改善し、より高いレベルでの腐食防止を図ることが望まれている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−256454号公報
【特許文献2】特開2002−256455号公報
【特許文献3】特開2003−155580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、銀メッキ層上のクリヤー層に防錆剤を配合し、塩素イオンなど腐食物質と銀メッキ表層との接触を防止することにより腐食反応を抑制し、長期間美しい銀メッキ意匠を発現するクリヤー塗料組成物及び銀メッキ層を含む加飾成形品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、プラスチック基材上に、ベース塗膜層、銀メッキ層、クリヤー塗膜層を順次層形成させてなる銀メッキ層を含む複層塗膜の形成において使用するクリヤー塗料組成物であって、アクリル系ポリオールを含有する主剤及びポリイソシアネート化合物を含有する硬化剤からなる2液型ポリウレタン塗料であり、上記アクリル系ポリオール中のOH基と上記ポリイソシアネート化合物中のNCO基との当量比(NCO/OH)は、0.8/1〜1.2/1であり、防錆剤をアクリル系ポリオール及び防錆剤の合計100質量部に対する含有量1.0〜13.0部(固形分質量換算)の割合で含むことを特徴とするクリヤー塗料組成物である。
また、上記主剤は、アクリル系ポリオール、非水分散樹脂及び下記一般式(1);
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Rは、メチル基、メトキシ基又はエトキシ基を表し、R及びRは、同一若しくは異なって、メトキシ基又はエトキシ基を表す。)で表されるエポキシシランを含有するものであってもよい。
上記防錆剤は、脂肪酸アミド化合物であることが好ましい。
【0012】
本発明は、プラスチック基材上に、ベース塗膜層、銀メッキ層、クリヤー塗膜層を順次層形成させてなる銀メッキ層を含む複層塗膜の形成方法であって、クリヤー塗膜層は、上述したクリヤー塗料組成物によって形成されたものであることを特徴とする複層塗膜の形成方法でもある。
【0013】
プラスチック素材上に、ベース塗膜層、銀メッキ層及び上述した耐食性クリヤー塗料によって形成されたクリヤー塗膜層を順次層形成させて得られることを特徴とする銀メッキ層を含む加飾成形品でもある。
上記加飾成形品は、更に、プラスチック素材及びベース塗膜層との間にプライマー層を有するものであることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明のクリヤー塗料組成物は、防錆剤を含有してなるクリヤー塗料組成物である。すなわち、防錆剤を含有することによって、塩素イオンなど腐食物質による銀の変色防止を図るものである。上記防錆剤は、2液型ポリウレタン塗料の主剤との相溶性を有するものであることが好ましい。上述したような防錆剤を使用すると、クリヤー塗膜の透明性を維持したままで腐食を防止することができる点で好ましい。
【0015】
上記防錆剤としては、例えば、脂肪酸アミド化合物系防錆剤、ベンゾチアゾール系防錆剤、ケトカルボン酸系防錆剤等を挙げることができる。2液型ポリウレタン塗料の主剤との相溶性が特に優れる点で、脂肪酸アミド化合物であることが特に好ましい。
【0016】
上記脂肪酸アミド化合物としては、例えば、市販のものとして、ノプコチェックスRA(商品名:サンノプコ社製)等を挙げることができる。
【0017】
上記ベンゾチアゾール系防錆剤は、分子中にコハク酸を含むベンゾチアゾール骨格を有する化合物であり、例えば、1−(ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸、(2−ベンゾチアゾール−2−イル−チオ)コハク酸ジ−(C12−C14アルキルアンモニウム塩)等を挙げることができる。市販のベンゾチアゾール系防錆剤としては、イルガコア252LD、イルガコア153(いずれも商品名:チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)等を挙げることができる。
【0018】
上記ケトカルボン酸系防錆剤は、ケトカルボン酸骨格を有する化合物である。具体的には、例えば、4−メチル−γ−オキソ−ベンゼンブタン酸及びN−エチルモルフォリンの付加反応物等が知られている。市販のものとしては、イルガコア1405(商品名:チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)等を挙げることができる。
【0019】
上記防錆剤は、アクリル系ポリオール及び防錆剤の合計量に対して1.0〜13.0質量部(固形分質量換算)の割合で含まれるものである。上記防錆剤の含有量が1.0質量部未満であると、充分に腐食反応の抑制を図ることができず、充分に変色防止を図ることができない。上記防錆剤の含有量が13.0質量部を超えると、クリヤー塗膜に着色を生じ、塗膜密着性も低下する。上記防錆剤の添加量は、2.0〜10.0質量部であることがより好ましい。
【0020】
本発明のクリヤー塗料組成物は、アクリル系ポリオールを含有する主剤及びポリイソシアネート化合物を含有する硬化剤からなる2液型ポリウレタン塗料である。アクリル系ポリオールを含有する主剤及びポリイソシアネート化合物を含有する硬化剤からなる2液型ポリウレタン塗料は、耐水二次密着性、耐食性、加飾成形品の外観といった点において優れた性質を有するものである。
【0021】
上記クリヤー塗料組成物用主剤に含まれるアクリル系ポリオールとしては、水酸基を含有するアクリル樹脂であれば特に限定されず、また、変性したものであってもよい。
上記アクリル系ポリオールの水酸基価は、35〜85mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは40〜75mgKOH/gである。35mgKOH/g未満であると、ポリイソシアネート硬化剤との架橋反応点が不足し、塗膜物性が不充分となる場合があり、85mgKOH/gを超えると、架橋反応点が多すぎ、塗膜が硬くもろくなったり、また、過剰の水酸基が原因となり塗膜の耐湿性、耐水性が低下し好ましくない場合がある。
【0022】
上記アクリル系ポリオールの重量平均分子量は、好ましくは10000〜60000、より好ましくは10000〜40000の範囲である。10000未満であると、塗膜の物性が低下する傾向にあり、60000を超えると、塗装作業性が低下し、仕上がり外観が低下する傾向にある。なお、本明細書において、重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィ)によって測定し、ポリスチレン換算法で算出した値である。
【0023】
上記アクリル系ポリオールは、水酸基含有ラジカル重合性モノマー及び必要に応じて使用するその他のラジカル重合性モノマーからなるモノマー組成物を、常法によって重合して得ることができる。
【0024】
上記水酸基含有ラジカル重合性モノマーとしては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートをε−カプロラクトンによって開環させたもの(ダイセル化学工業社製プラクセルFA及びFMシリーズ)等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
上記その他のラジカル重合性モノマーとしては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマーの他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、α−メチルスチレン等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
上記モノマー組成物を重合することによってアクリル系ポリオールが得られるが、アクリル系ポリオールの製造方法としては従来公知のアクリル樹脂の製造方法を用いることができる。すなわち、溶液重合、非水ディスパージョン重合、塊状重合等の重合方法をとり得るが、重合の容易さ、分子量調節の面、塗料化するときの使い易さの面から溶液重合法が適している。
【0027】
上記アクリル系ポリオールとしては、市販のものを使用することもできる。市販のアクリル系ポリオールとしては、例えば、ダイヤナールLR−2586(商品名、三菱レイヨン社製;水酸基価:60mgKOH/g、重量平均分子量:3万、Tg:40℃、酸価:3mgKOH/g)、アクリセット2050−55(商品名、日本触媒社)、ヒタロイド3371(商品名、日立化成工業社製)等を挙げることができる。
【0028】
上記主剤は、2液型ポリウレタン塗料のうちの1つの構成成分であり、上記アクリル系ポリオールを含有するものである。上記主剤は、上記アクリル系ポリオールの他に非水分散樹脂、エポキシシラン化合物、表面調整剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化触媒、沈降防止剤等を更に含有するものであってもよい。
【0029】
上記非水分散樹脂は、有機溶剤中に分散された樹脂であり、通常NADと呼ばれるものである。上記非水分散樹脂としては特に限定されず、アクリル系、アクリルポリオール系、アクリルスチレン系等、塗料分野において使用することができる任意の非水分散樹脂を使用することができる。
【0030】
上記非水分散樹脂の水酸基価は、0〜250mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは100〜190mgKOH/gである。250mgKOH/gを超えると、架橋反応点が多すぎ、塗膜が硬くもろくなったり、また、過剰の水酸基が原因となり塗膜の耐湿性、耐水性が低下し好ましくない場合がある。
【0031】
上記非水分散樹脂の市販品としては、例えば、セタラックス1850SS−50(アクゾノーベル社製)、ヒタロイド6110(日立化成社製)等を挙げることができる。
【0032】
本発明のクリヤー塗料組成物における主剤において、非水分散樹脂を含有する場合、上記非水分散樹脂と上記アクリル系ポリオールとの固形分質量比〔(非水分散樹脂)/(アクリル系ポリオール)〕は、5/95〜25/75であることが好ましい。5/95未満であると、銀メッキ層との密着性、耐食性が低下するおそれがある。25/75を超えると、にごりが発生するおそれがある。5/95〜20/80であることがより好ましい。
【0033】
上記エポキシシランとしては、下記一般式(1);
【0034】
【化2】

【0035】
(式中、Rは、メチル基、メトキシ基又はエトキシ基を表し、R及びRは、同一若しくは異なって、メトキシ基又はエトキシ基を表す。)
【0036】
で表される化合物が好ましい。上記一般式(1)で表されるエポキシシランは、カップリング剤として作用する化合物である。上記エポキシシランとしては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社より、KBM403として市販)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学社よりKBE402として市販)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学社よりKBE−403として市販)等を挙げることができる。
【0037】
本発明の加飾成形用クリヤー塗料組成物における主剤において、上記エポキシシランと、上記アクリル系ポリオール及び上記非水分散樹脂の合計量との固形分質量比〔(エポキシシラン)/[(アクリル系ポリオール)+(非水分散樹脂)]〕の比は、1.5/100〜5.5/100であることが好ましい。1.5/100未満であると、銀メッキ層との密着性、耐食性が低下するおそれがある。5.5/100を超えると、経済性の点から不利である。2.0/100〜4.0/100であることがより好ましい。
【0038】
上記アクリル系ポリオール、エポキシシラン、非水分散樹脂の固形分質量比を上述した範囲に規定すると、密着性、耐食性、銀の析出性、ベース塗膜層の平滑性、積層成形品の外観をより向上させることができる。
【0039】
上記ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に限定されず、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート等の芳香族のもの;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族のもの;イソホロンジイソシアネート等の脂環族のもの;その単量体及びそのビュレットタイプ、ヌレートタイプ、アダクトタイプ等の多量体等を挙げることができる。
【0040】
上記ポリイソシアネートの市販品としては、デュラネート24A−90PX(NCO:23.6%、商品名、旭化成社製)、スミジュールN−3200−90M(商品名、住友バイエルウレタン社製)、タケネートD165N−90X(商品名、三井武田ケミカル社製)、スミジュールN−3300、スミジュールN−3500(いずれも商品名、住友バイエルウレタン社製)、デュラネートTHA−100(商品名、旭化成社製)等を挙げることができる。
【0041】
上記クリヤー塗料組成物において、上記クリヤー用硬化剤中のNCO基と上記クリヤー用アクリル系ポリオール中のOH基との当量比(NCO/OH)は、0.8/1〜1.2/1である。0.8/1未満であると、クリヤー塗膜の塗膜強度が不充分となる。1.2/1を超えると、付着性が不充分になる。上記当量比(NCO/OH)は、0.9/1〜1.1/1であることがより好ましい。
【0042】
本発明の複層塗膜の形成方法は、プラスチック基材上に、ベース塗膜層、銀メッキ層及びクリヤー塗膜層が順次形成されてなるものである。すなわち、プラスチック素材からなる射出成形品、フィルム、シート等の板状体、ブロー成型容器等、特定の形状を有する成形品のプラスチック素材上にベース塗膜層、銀メッキ層及びクリヤー塗膜層を順次形成する方法であり、本発明の複層塗膜の形成方法によって形成された塗膜を有する成形品は、銀メッキ層によって金属様の外観を呈するものである。
【0043】
上記ベース塗膜層は、ベース塗料組成物を使用して形成されるものである。上記ベース塗料組成物としては特に限定されず、例えば、ポリウレタン樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、シリコーン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗料、アミノアルキド樹脂系塗料等を挙げることができる。なかでも、耐水二次密着性、耐食性、加飾成形品の外観等から2液硬化型ポリウレタン樹脂系塗料を使用することが好ましい。
【0044】
上記ベース塗料組成物として使用する2液硬化型ポリウレタン樹脂系塗料は、本発明のクリヤー塗料組成物と同様、アクリル系ポリオールを含有してなる主剤及びポリイソシアネート化合物を含有してなる硬化剤からなるものである。ベース塗料組成物の主剤には、アクリル系ポリオールの他、有機変性ポリジメチルシロキサンやエポキシシラン化合物を含んでもよい。
【0045】
上記ベース用主剤に含まれるアクリル系ポリオールとしては、水酸基を含有するアクリル樹脂であれば特に限定されず、また、変性したものであってもよい。
上記ベース主剤に含まれるアクリル系ポリオールの水酸基価は、60〜140mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは70〜100mgKOH/gである。60mgKOH/g未満であると、ポリイソシアネート硬化剤との架橋反応点が不足し、塗膜物性が不充分となる場合があり、140mgKOH/gを超えると、架橋反応点が多すぎ、塗膜が硬くもろくなったり、また、過剰の水酸基が原因となり塗膜の耐湿性、耐水性が低下し好ましくない場合がある。
【0046】
上記ベース主剤に含まれるアクリル系ポリオールの重量平均分子量は、好ましくは10000〜70000、より好ましくは15000〜50000の範囲である。10000未満であると、塗膜の物性が低下する傾向にあり、70000を超えると、塗装作業性が低下し、仕上がり外観が低下する傾向にある。なお、本明細書において、重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィ)によって測定し、ポリスチレン換算法で算出した値である。
【0047】
上記ベース主剤に含まれるアクリル系ポリオールは、水酸基含有ラジカル重合性モノマー及び必要に応じて使用するその他のラジカル重合性モノマーからなるモノマー組成物を、常法によって重合して得ることができる。
【0048】
上記水酸基含有ラジカル重合性モノマー、その他のラジカル重合性モノマーとしては特に限定されず、上記クリヤー塗料組成物の主剤において使用されるアクリル系ポリオールの合成に使用することができるとして例示したモノマーを使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合方法も、クリヤー塗料組成物の主剤に使用するアクリル系ポリオールと同様にして行うことができる。
【0049】
上記モノマー組成物を重合することによってアクリル系ポリオールが得られるが、アクリル系ポリオールの製造方法としては従来公知のアクリル樹脂の製造方法を用いることができる。すなわち、溶液重合、非水ディスパージョン重合、塊状重合等の重合方法をとり得るが、重合の容易さ、分子量調節の面、塗料化するときの使い易さの面から溶液重合法が適している。
【0050】
上記アクリル系ポリオールは、アルキド変性アクリルポリオール樹脂であってもよい。上記アルキド変性アクリルポリオール樹脂としては、上記モノマーの重合反応をアルキド樹脂の存在下で重合することによって得られるものである。
【0051】
上記アルキド変性アクリルポリオール樹脂の市販品としては、例えば、アクリディックWZU−771、アクリディックLU−293(いずれも大日本インキ化学工業社製)、テスロイド4220−50(日立化成ポリマー社製)等を挙げることができる。
【0052】
上記ベース用主剤に添加することができる上記有機変性ポリジメチルシロキサンは、有機化合物によって変性したポリジメチルシロキサンであり、高分子量の表面調整剤として使用する化合物である。上記有機変性ポリジメチルシロキサンとしては特に限定されず、例えば、ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
上記有機変性ポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、好ましくは10000〜50000、より好ましくは10000〜35000の範囲である。10000未満であると、塗膜の物性が低下する傾向にあり、70000を超えると、塗装作業性が低下し、仕上がり外観が低下する傾向にある。
【0054】
上記有機変性ポリジメチルシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−371、BYK−307(いずれもビックケミー・ジャパン社製)等のポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等を挙げることができる。
【0055】
上記ベース用主剤に添加することができる上記エポキシシラン化合物としては、上記クリヤー塗料組成物において使用することができるエポキシシラン化合物として例示した化合物と同一のものを使用することができる。
【0056】
上記ベース用主剤において、上記有機変性ポリジメチルシロキサンを使用する場合、上記有機変性ポリジメチルシロキサンと上記アクリル系ポリオールとの固形分質量比〔有機変性ポリジメチルシロキサン/アクリル系ポリオール〕は、0.02/100〜0.20/100であることが好ましい。0.02/100未満であると、銀の析出性、ベース塗膜層の平滑性が低下するおそれがある。0.20/100を超えると、ベース塗膜層と銀メッキ層との密着性、耐食性、耐水性が低下するおそれがある。0.04/100〜0.16/100であることがより好ましい。
【0057】
上記ベース用主剤において、上記エポキシシランを使用する場合は、上記エポキシシランと上記アクリル系ポリオールとの固形分質量比〔エポキシシラン/アクリル系ポリオール〕は、1.5/100〜5.5/100であることが好ましい。1.5/100未満であると、ベース塗膜層と銀メッキ層との密着性、耐食性が低下するおそれがある。5.5/100を超えると、加飾成形品に虹が発生するおそれがある。2.0/100〜5.0/100であることがより好ましい。
【0058】
上記ベース用主剤は、上記各成分を公知の手段で混合、攪拌することによって得ることができる。また、必要に応じて、更に、着色顔料、体質顔料、光輝材等の顔料;酢酸ブチルエステル、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等の溶剤;紫外線吸収剤、酸化防止剤、硬化触媒、沈降防止剤等の添加剤等の成分を添加してもよい。
【0059】
上記ベース塗料組成物において、上記ベース用硬化剤中のNCO基と上記アクリル系ポリオール中のOH基との当量比(NCO/OH)は、1.5〜3.0であることが好ましい。1.5未満であると、ベース塗膜層と銀メッキ層との密着性、耐食性が低下し、また、加飾成形品に虹が発生するおそれがある。3.0を超えると、加飾成形品に虹が発生するおそれがある。上記当量比(NCO/OH)は、1.5〜2.5であることがより好ましい。
【0060】
上記ベース用硬化剤は、ポリイソシアネート化合物からなるものであることが好ましい。上記ポリイソシアネート化合物としては特に限定されず、例えば、上述したクリヤー塗料組成物において使用することができるものとして例示した化合物を使用することができる。
【0061】
上記ベース塗料組成物がベース用主剤及びベース用硬化剤とからなる2液型ポリウレタン塗料組成物である場合、上記2成分を使用直前に混合して塗装を行うことにより、上記ベース塗膜層を形成することができる。上記ベース塗料組成物の塗装によるベース塗膜層の形成は、スプレー塗装等の通常の方法によって行うことができる。塗装後は、60〜100℃で加熱硬化を行い、硬化膜厚20〜30μmの塗膜を得ることが好ましい。
【0062】
本発明の複層塗膜の形成方法は、上記ベース塗膜層上に銀メッキ層を形成するものである。上記ベース塗膜層上に銀メッキ層を形成することによって、銀の析出性がよく、外観や密着性にも優れた銀メッキ層を形成することができる。
【0063】
めっき塗装工程では、上記乾燥後のベース塗膜層を形成させた成形品に0.1〜3質量%の第二塩化スズ(SnCl2)溶液を塗布又は浸漬させ、スズをベース塗膜層の表面に吸着させる工程を有するものであることが好ましい。上記工程を行うことによって、銀鏡の付着が良好なものとなる。続いて、イオン交換水又は蒸留水を用いて成形品表面を水洗し、吸着されなかった余剰の第二塩化スズを除去することが好ましい。これによって、銀鏡のメッキ層の腐食、変色等がより良好に抑制される点で好ましい。なお、上記スズの代わりにパラジウム(Pd)を用いてもよい。
【0064】
銀メッキ層の形成方法は特に限定されるものではなく、銀鏡反応と呼ばれる無電解メッキ法によって行うことができる。もっとも一般的な方法としては、トレンス試薬と呼ばれるアンモニア性硝酸銀([Ag(NHOH)と還元剤溶液とを上記ベース塗膜層の表面上で混合されるように塗布する方法を挙げることができる。上記還元剤としては特に限定されず、例えば、グルコース等の糖類;グリオキサール等のアルデヒド基を有する有機化合物;亜硝酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0065】
本発明の複層塗膜の形成方法は、上記銀メッキ層上に、クリヤー塗膜層を設けるものである。これによって、銀メッキ層の劣化を防止し、耐食性を向上させるものであり、また、積層成形品の外観をより向上させるものである。本発明の加飾成形品において、上記クリヤー塗膜層は、上述のクリヤー塗料組成物を使用して形成されるものである。
【0066】
上記クリヤー塗料組成物は、上記各成分を使用直前に混合して塗装を行うものである。上記クリヤー塗料組成物の塗装によるクリヤー塗膜層の形成は、スプレー塗装等の通常の方法によって行うことができる。塗装後は、60〜100℃で加熱硬化を行い、硬化膜厚20〜40μmの塗膜を得ることが好ましい。乾燥膜厚が20μm未満であると、耐食性及び外観が悪化するおそれがある。乾燥膜厚が50μmを超えると、タレ、ワキが生じやすくなる点で好ましくない。上記クリヤー塗膜層の乾燥膜厚は、25〜35μmであることがより好ましい。
【0067】
本発明の複層塗膜の形成方法を適用するプラスチック素材としては特に限定されず、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、PC(ポリカーボネート)/ABSアロイ、PP(ポリプロピレン)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)又はTPE(熱可塑性エラストマー)等を挙げることができる。これらは、射出成型法、押出成型法、ブロー成型法等の公知の成型方法によって成型したものを使用することができる。
【0068】
上記プラスチック素材は、上記ベース塗膜層と素材表面との間に、プライマー層を有するものであってもよい。プライマー層を形成することによって、ベース塗膜層と素材表面との密着性を向上させることができる。特に、ポリプロピレン等の付着性が悪いオレフィン系プラスチック素材を使用する場合には、プライマー層を有することが好ましい。
【0069】
上記プライマー層は、プライマー塗料を塗布することによって形成することができるものである。上記プライマー塗料としては、塩素化ポリプロピレン系プライマー塗料を使用することが好ましく、例えば、RB116プライマー塗料(日本ビー・ケミカル社製)等を挙げることができる。
【0070】
上述した本発明の複層塗膜の形成方法によって形成された複層塗膜を有する加飾成形品も本発明の一部である。本発明の加飾成形品は、例えば、メータークラスター、センタークラスター、センターコンソール等の自動車の内装部品、ホイールキャップ、バンパーモール、ホイルガーニッシュ、グリルラジエータ、バックパネル、ドアーミラーカバー、ドアーハンドル等の自動車の外装部品、エアコンハウジング、携帯電話、ノートパソコン、化粧品容器等の自動車部品以外の用途に好適に使用することができる。
【発明の効果】
【0071】
本発明のクリヤー塗料組成物を使用することにより、銀メッキが変色したり、白く濁ったりして意匠性を低下させるという問題を抑制し、長期間美しい銀メッキ意匠を発現することができる複層塗膜を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味し、「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味する。
【0073】
(ベース用主剤溶液の調製)
攪拌機を備えた容器にアクリル系ポリオールを入れ、攪拌しながら有機変性ポリジメチルシロキサン、エポキシシランを加え、最後に酢酸ブチルエステルを加えて30分間攪拌し、ベース用主剤溶液を得た。なお、各原料の配合量は、表1中に示した。表1中、「アクリディックWZU−771」は、大日本インキ化学工業社製アクリルポリオールであり、OH価84mgKOH/g、重量平均分子量20000、固形分質量%50%、酸価5mgKOH/gのアルキド変性アクリル樹脂である。「BYK−371」は、ビッグケミー・ジャパン社製ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサンであり、重量平均分子量28000、OH価0mgKOH/gである。「KBM−403」は、信越化学社製3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシ当量236)である。表1中の数値は、質量部を表す。
【0074】
【表1】

【0075】
クリヤー塗料主剤液の調製(実施例1〜4、比較例1〜4)
攪拌機を備えた容器にアクリル系ポリオール、防錆剤、酢酸ブチルエステルを入れ、攪拌しながら表面調整剤、サノールLS−292、チヌビン384の90質量%キシレン溶液を加えて30分間攪拌し、クリヤー塗料主剤液を得た。
アクリル系ポリオール:ダイヤナールLR−2586/三菱レイヨン社製;水酸基価:60KOHmg/g、重量平均分子量:3万、Tg:40℃、酸価:3KOHmg/g
表面調整剤:SH2000−100CS/東レ・ダウコーニング・シリコーン社製。
サノールLS−292:三共社製光安定剤。
チヌビン384:チバスペシャリティーケミカルズ社製紫外線吸収剤。
【0076】
クリヤー塗料主剤液の調製(実施例5)
攪拌機を備えた容器にアクリル系ポリオール、防錆剤、酢酸ブチルエステルを入れ、攪拌しながらエポキシシラン、表面調整剤、サノールLS−292、チヌビン384の90質量%キシレン溶液を加え、最後に非水分散樹脂を加えて30分間攪拌し、クリヤー塗料主剤液を得た。
アクリル系ポリオール:ダイヤナールLR−2586/三菱レイヨン社製;水酸基価:60KOHmg/g、重量平均分子量:3万、Tg:40℃、酸価:3KOHmg/g
非水分散樹脂:セタラックス1850SS−50/アクゾノーベル社製アクリル系NAD。OHV:169mgKOH/g。NV:50%。
エポキシシラン:KBM403/信越化学社製。3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン。エポキシ当量:236。
表面調整剤:SH2000−100CS/東レ・ダウコーニング・シリコーン社製。
サノールLS−292:三共社製光安定剤。
チヌビン384:チバスペシャリティーケミカルズ社製紫外線吸収剤。
【0077】
クリヤー塗料用硬化剤溶液
表2中、ポリイソシアネート化合物は、デュラネート24A−90PX(商品名、旭化成社製:NCO:23.6%)を酢酸ブチルエステルでNV=70質量%に希釈したものである。
【0078】
(試験片の作成)
ポリプロピレン製基材の前処理
70×100×3mmのポリプロピレン基材をイソプロパノール洗浄、乾燥後、塩素化ポリプロピレン系プライマー希釈塗料を、乾燥膜厚7μmとなるようスプレー塗装し、80℃で10分間乾燥した。なお、塩素化ポリプロピレン系プライマー希釈塗料は、RB−116(日本ビーケミカル社製)100部を下記希釈溶剤A40部で希釈したものを使用した。希釈溶剤Aは、トルエン20部、キシレン20部、イプゾール(丸紅ケミックス社製炭化水素系溶剤)60部(計100部)の割合で混合した溶剤である。
【0079】
ABS製基材の前処理
70×100×3mmのABS製基材をイソプロパノール洗浄し、乾燥した。
【0080】
ベース層の形成
上記前処理を施したポリプロピレン製基材又はABS製基材上に、2液硬化型ポリウレタンベース希釈塗料を、乾燥膜厚25μmとなるようスプレー塗装し、80℃で30分間乾燥させ、ベース層が形成された試験片を得た。なお、2液硬化型ポリウレタンベース希釈塗料は、アクリルポリオール系主剤溶液248.98部、希釈溶剤B248.98部からなる主剤溶液(小計497.96部)、及び、硬化剤液A76.3部、合計574.26部を使用して行った。希釈溶剤Bは、酢酸ブチルエステル35部、メチルイソブチルケトン10部、キシレン33部、イプゾール22部(計100部)の割合で混合した溶剤である。硬化剤液Aは、市販のポリイソシアネート化合物であるスミジュールN−3300 75部、酢酸ブチルエステル25部の割合で混合した溶液である。
【0081】
銀メッキ層の形成
上記ベース層が形成された試験片上に、0.2%塩化錫(II)の0.2%塩酸溶液を塗膜表面に塗布した後水洗した。水洗後の試験片に硝酸銀と過剰のアンモニアの混合水溶液及びグルコース溶液を同時に試験片上に塗布することによって、約20μmの均一な銀メッキ膜を形成させ、残留分を水洗によって除去することにより、上記ベース層上に銀メッキ層が形成された試験片を得た。
【0082】
クリヤー層の形成
表2に示す塗料主剤液と硬化剤液を混合し、クリヤー塗料を得た。上記銀メッキ層が形成された試験片上に、これらクリヤー塗料を、硬化膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、80℃で20分間硬化させ、クリヤー層を形成させた試験片を得た。
得られた試験片を下記評価方法によって評価した。結果を表2に示した。
【0083】
(評価方法)
耐食性
40℃の5%塩化ナトリウム水溶液に10日間浸漬後取りだし、水洗後表面の水を拭い去った後、表面の状態を目視で観察。
〇:銀メッキ膜に変色、白濁、脱離等の異常がなく良好な状態
×:銀メッキ膜に変色、白濁、脱離等の異常が認められる
【0084】
塗膜外観
目視にて、実施例及び比較例の試験片の外観を下記基準に基づいて観察した。
○:干渉縞、濁り等の外観異常がない。
×:干渉縞、濁り等の外観異常が見られる。
【0085】
付着性;耐温水二次密着性
40℃の温水に10日間浸漬後取り出し、表面の水を拭い去った後、25℃で1時間放置。その後、カッターナイフで2mm角100個の枡目をいれ、密着テープにより剥離試験を行った。
〇:剥離、カット部の欠け等の異常がない。
×:剥離、カット部の欠け等の異常が認められる。
【0086】
【表2】

【0087】
表2の結果より、本発明のクリヤー塗料組成物を使用して得られた複層塗膜は、耐食性及び付着性に優れた性質を有するものであることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のクリヤー塗料組成物は、長期使用時においても銀メッキ層が変色したり、白く濁ったりすることがなく、長期間にわたって優れた意匠性を有するものであるから、メータークラスター、センタークラスター、センターコンソール等の自動車の内装部品、ホイールキャップ、バンパーモール、ホイルガーニッシュ、グリルラジエータ、バックパネル、ドアーミラーカバー、ドアーハンドル等の自動車の外装部品、エアコンハウジング、携帯電話、ノートパソコン、化粧品容器等の自動車部品以外の用途における塗装に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック基材上に、ベース塗膜層、銀メッキ層、クリヤー塗膜層を順次層形成させてなる銀メッキ層を含む複層塗膜の形成において使用するクリヤー塗料組成物であって、
アクリル系ポリオールを含有する主剤及びポリイソシアネート化合物を含有する硬化剤からなる2液型ポリウレタン塗料であり、
前記アクリル系ポリオール中のOH基と前記ポリイソシアネート化合物中のNCO基との当量比(NCO/OH)は、0.8/1〜1.2/1であり、
防錆剤をアクリル系ポリオール及び防錆剤の合計100質量部に対する含有量1.0〜13.0部(固形分質量換算)の割合で含むことを特徴とするクリヤー塗料組成物。
【請求項2】
主剤は、アクリル系ポリオール、非水分散樹脂及び下記一般式(1);
【化1】

(式中、Rは、メチル基、メトキシ基又はエトキシ基を表し、R及びRは、同一若しくは異なって、メトキシ基又はエトキシ基を表す。)
で表されるエポキシシランを含有してなる請求項1記載のクリヤー塗料組成物。
【請求項3】
防錆剤は、脂肪酸アミド化合物である請求項1又は2記載のクリヤー塗料組成物。
【請求項4】
プラスチック基材上に、ベース塗膜層、銀メッキ層、クリヤー塗膜層を順次層形成させてなる銀メッキ層を含む複層塗膜の形成方法であって、
クリヤー塗膜層は、請求項1、2又は3記載のクリヤー塗料組成物によって形成されたものであることを特徴とする複層塗膜の形成方法。
【請求項5】
プラスチック素材上に、ベース塗膜層、銀メッキ層及び請求項1、2又は3記載のクリヤー塗料組成物によって形成されたクリヤー塗膜層を順次層形成させて得られることを特徴とする銀メッキ層を含む加飾成形品。
【請求項6】
更に、プラスチック素材及びベース塗膜層との間にプライマー層を有するものである請求項5記載の加飾成形品。

【公開番号】特開2006−111857(P2006−111857A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−154062(P2005−154062)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(593135125)日本ビー・ケミカル株式会社 (52)
【Fターム(参考)】