クルクミノイドまたはメチルキサンチンを用いての相乗的な抗炎症医薬組成物および関連する方法
本発明は、ホップから単離されたまたは由来する画分、およびメチルキサンチンを包含する組成物を提供する。本発明は加えて、ホップに由来する画分およびクルクミノイドを包含する組成物を提供する。本発明はまた、炎症を低減するためにそのような組成物を使用する方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、ホップ(Humulus lupulus)抽出物またはその誘導体を、クルクミノイドまたはメトチルキサンチンと組み合わせて含有する相乗的な(synergistic)医薬組成物に関する。本発明はまた、炎症を低減するために組成物を使用する方法に関する。
【0002】
プロスタグランジン類(PGs、PG類)は、即時的細胞環境で種々の生理学的変化に影響を及ぼす、パラクリンメディエータおよびオートクリンメディエータの双方として機能する遍在性のホルモンである。PG類の多様な生理学的効果には、例えば慢性関節リウマチおよび変形性関節炎のような炎症反応、血圧のコントロール、血小板の凝集、陣痛の誘発、ならびに疼痛および発熱の悪化が含まれる。アスピリンおよび他の非ステロイド鎮痛薬がPG産生を阻害するという30年前の発見が、PG合成を薬剤開発の標的と結びつけた。PGA〜PGIまで命名された9つの異なる化学的クラスに、少なくとも16の異なるPG類が存在する。PG類は、エイコサノイドと呼ばれる20の炭素を含有する化合物のより大きなファミリーの一部である;それらにはプロスタサイクリン、トロンボキサンおよびロイコトリエンが含まれる。産生されるPG類の陣容は、特定の細胞のタイプに存在する下流の酵素の機構に依存して変わる。例えば内皮細胞は主としてPDI2を産生するが、一方血小板は主にTXA2を産生する。
【0003】
アラキドン酸は、すべてのPG類の生合成の最初の基質として供される。シクロオキシゲナーゼ(プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ、EC 1.14.991, COX)は、アラキドン酸のプロスタグランジンH2 (PGH2) への代謝の律速段階を触媒し、PGH2はさらに様々なプロスタグランジン類、プロスタサイクリン、およびトロンボキサンA2に代謝される(図1を参照のこと)。1990年代初頭、COXは一般にCOX-1およびCOX-2と呼ばれる2つのアイソフォームにて存在することが確証された。COX-1およびCOX-2のタンパク質は、鳥類および哺乳動物以前に明確に分岐した別個の遺伝子に由来することが、次いで決定された。COX-1およびCOX-2の経路を介して生成されるPG類は同一の分子群であり、したがって同一の生物学的効果を有する。しかしCOX-1およびCOX-2は、ユニークなパターンおよび可変的な量のエイコサノイドを生成することができ、従って、これらのアイソザイムの活性の相対的差異が全く似ていない生物学的応答に至らせ得る。COX-1およびCOX-2の組織分布および調節における差異が、COX阻害剤の有益な効果ならびに副作用に関して重大であると現在考えられている。
【0004】
一般に抱かれている概念(COXの教義(dogma))は、COX-1はほとんどの組織で構成性に発現されているのに対して、COX-2はin vitroの細胞において、そしてin vivoの炎症部位において、マイトジェン、サイトカイン、および細菌のリポ多糖(LPS)を含む炎症誘発性の刺激が引き金となる誘導性の酵素である、というものである。主に、そのような発現の差異に基づいて、COX-1はハウスキーピング酵素として特徴付けられ、そして生理学的機能(例えば胃粘膜の細胞保護作用、腎血流の調節、および血小板の凝集のコントロール)を維持することに関与すると考えられている。COX-2は、脳、腎臓および消化管において構成性の発現が見出されているが、主に炎症を介在すると考えられている。
【0005】
プロスタグランジン(PG)は、ヒトの胃粘膜のホメオスタシスの維持に重要な役割を担っていると思われている。現在の教義は、COX-1は粘膜のホメオスタシスを維持するために正常な胃粘膜におけるPGの合成の責任を担っており、そしてCOX-2は、正常な胃粘膜により低レベルで発現されているが、エンドトキシンの暴露またはサイトカインの刺激後の潰
瘍の治癒中には発現が誘導される、というものもある。COX-1およびCOX-2の双方が、正常な胃粘膜において重要な生理学的役割を有することが、現在明らかである。
【0006】
COXによるPG類の産生を阻害する化合物は、疼痛および炎症のコントロールにおいて重要な薬剤となってきた。これらの薬剤は集合的に非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)として知られ、それらの主な適用は、変形性骨関節炎および慢性関節リウマチである。しかしNSAIDs、特にアスピリンの使用は、心血管疾患の予防にまで拡大している。過去10年間にわたり、COX-2の酵素活性の直接的な阻害剤である新規分子の開発には、これらの化合物は慢性的な使用に伴う胃への刺激がより低いであろうという推論と共に、かなりの努力が費やされてきた。
【0007】
COX-2選択性(すなわち胃への低刺激性)を確認することに関連する主要な問題は、アッセイの方法論の違いが、得られる結果に著明な効果を及ぼす可能性があることである。表1に示すのは、COX-1およびCOX-2に対するNSAIDおよび天然化合物の相対的阻害活性を検査および比較するために開発された、多数のin vitro のアッセイの分類である。これらの検査システムは、3つの群:(1)動物の酵素、動物の細胞または細胞株を使用するシステム、(2)ヒトの細胞株、またはヒトの血小板および単球を使用するアッセイ、ならびに(3)NSAIDおよび栄養補助食品の抗炎症効果および副作用に関する標的細胞の代表であるヒトの細胞を使用する現在開発中のモデル、に分類することができる。一般に、ヒトの細胞株またはヒトの血小板および単球を使用するモデルが現在のスタンダードであり、確証された標的細胞モデルは公表されていない。胃への刺激に関する可能性を評価することのできるヒト胃細胞株が、決定的に必要とされている。
【0008】
使用する酵素は、動物またはヒト由来のものであることができ、それらは天然またはリコンビナントであることができ、そしてそれらはミクロソーム調製物質または全細胞のアッセイのいずれかにおける精製酵素として使用することができる。システムのその他の可変部分には、アラキドン酸の供給源が含まれる。PG合成は、内因的に放出されるアラキドン酸、または外部から添加されるアラキドン酸から測定することができる。後者の場合、異なる濃度が異なる研究室で使用されている。
【0009】
COX-2選択性に関する理想的なアッセイは、以下の特徴:(1) 発現に関する正常な生理学的コントロール下で天然のヒトの酵素を含有する全細胞を使用すべきである;(2) 細胞はまた、化合物の抗炎症効果および副作用に関する標的細胞であるべきである;(3) COX-2は構成性に発現されているよりむしろ、誘導されてそれにより炎症プロセスを刺激するべきである;そして(4) PG合成は、外部から添加されたアラキドン酸によるのではなく、内在する蓄積から放出されたアラキドン酸により測定されるべきである、を有するものであろう。
【0010】
【表1】
【0011】
COX-2選択性に関する理想的なアッセイを開発した研究室はまだない。処方薬(Rx)および市販薬(OTC)に関して最も一般的に使用される全細胞システムは、William Harvey Institute (Warner et al., Proc Natl Acad Sci U S A 96: 7563-7568 (1999))により開発されたヒト全血アッセイである。今日まで、このアッセイのフォーマットが、他のいかなる方法より臨床との関連性を裏付けるより多くのデータを開発してきた。しかし正常な胃粘膜におけるCOX-2の構成性の発現の役割に関する新たな研究は、COX-2不在下におけるCOX-1の阻害モデルと血小板の使用との関連性を再検討することを必要としている。血小板の研究を胃への毒性の推断の基礎とすることは、もはや堅実な分子的基盤に基づくとは言えない。シクロオキシゲナーゼ阻害剤の標的組織への可能性のある毒性を確立するためにヒト胃粘膜細胞株を確証することは、安全で効果的な抗炎症薬の開発にとっての決定的な必要性を呈することでもある。
【0012】
炎症の治療のための理想的な製剤は、胃粘膜細胞においてPGE2の合成を阻害することなく、COX-2の誘導および活性を阻害するだろう。しかし従来の非ステロイド抗炎症薬は、胃のPGE2の合成に影響を与えずにCOX-2を阻害するという特異性に欠けており、長期間使用した場合に消化器系の損傷を引き起こすリスクがある。実際、新規に開発された抗炎症薬、例えばロフェコキシブ(Vioxx(登録商標), Merk & Co., Inc.)およびセレコキシブ(Celebrex(登録商標), Pfizer, Inc.)でさえ、誘導される特発性出血および胃潰瘍の治癒の遅れという形で有害な胃への毒性をきたす。
【0013】
NSAIDの毒性
NSAIDsは、胃の出血および腎臓の損傷を含む深刻な健康問題を引き起こすことが知られている。米国において、1300万人を上回るNSAIDsの常用者がおり、毎年7000万のNSAIDの処方が書かれ、そして年間300億錠の市販のNSAIDs錠剤が売られている。NSAIDに誘発される疾患が、1年当たり103,000件の入院、および年間推定16,500人の死亡を引き起こす。すべての慢性的NSAID使用者の20%が、消化性潰瘍を発症するだろう。NSAID使用者は、上部消化器の出血、穿孔、または双方への、より高いリスク−3倍〜4倍高い−を有する。重症のNSAID誘発性の合併症で入院した患者の81%は、消化器の症候の既往はなかった。60歳以上の人は、NSAID使用に伴う合併症を経験する、有意に高い可能性を有する。さらに米国における薬剤の副作用全体の21%が、NSAIDの使用による。
【0014】
新しい選択的COX-2阻害剤、例えばセレコキシブおよびロフェコキシブは、ほとんどのNSAIDsに対するより安全な代替物となることが示された。しかし最近の試験は、選択的COX-2阻害剤が消化器への毒性を完全には排除しないことを指摘している。事実、消化管の炎症または潰瘍形成の場合、処方のCOX-2阻害剤は潰瘍の治癒を遅らせ得る。
【0015】
それ故、胃粘膜におけるPGE2の合成にほとんどまたは全く影響を及ぼさずに、COX-2によるプロスタグランジンの合成を特異的に阻害または予防するような化合物の天然製剤を同定することは有用であろう。そのような製剤は、関節組織の健康を保持するため、関節炎またはその他の炎症状態を治療するために有用であろう。“特異的または選択的COX-2阻害剤”という用語は、COX-1を上回ってCOX-2を選択的に阻害する化合物または化合物の混合物を包含するよう造られた。しかしその含意が、そのような計算された選択性が胃へのより低い刺激をもたらすだろうということである一方で、検査材料が胃の細胞で評価されなければ、“選択的COX-2阻害剤”という用語が消化器細胞への安全性の保証を与えることはない。標的組織、炎症細胞および胃粘膜細胞における化合物の作用を検査することでのみ、胃への刺激に対する潜在能力の低いそれら薬剤を同定するだろう。
【0016】
したがって、炎症細胞においてCOX-2酵素活性の発現を特異的に阻害または予防し、一方胃の粘液細胞においてはPGE2合成にほとんどまたは全く影響を及ぼさず、その結果消化器の不調を伴うことなくこれらの製剤を使用することができるような組成物を同定することは有用であろう。さらにそのような製剤は、胃に予め存在している潰瘍性の状態の治癒も許容することができるはずである。本発明はこの必要性に応え、関連する利点も同様に提供する。
【0017】
発明の概要
本発明は、ホップから単離されたまたは由来する画分、およびメチルキサンチンを含有する組成物を提供する。本発明は加えて、ホップに由来する画分およびクルクミノイドを含有する組成物を提供する。本発明はまた、炎症を低減させるためにそのような組成物を使用する方法を提供する。
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、炎症を低減するための組成物および方法を提供する。特に本発明は、ホップ(Humulus lupulus)から単離されたまたは由来する画分を、クルクミノイドまたはメチルキサンチン、例えばカフェインと組み合わせて提供する。本発明は、患者の炎症を予防的および/または治療的に処置する上で使用するための、ホップ(Humulus lupulus)抽出物またはその誘導体をクルクミノイドまたはメチルキサンチンと組み合わせて提供する。
【0019】
本発明はまた、プロスタグランジンE2 (PGE2)を相乗的に阻害する、クルクミンと組み合わせてのホップから単離されたまたは由来する画分(例えばイソアルファ酸または還元イソアルファ酸)を投与することにより、炎症を低減する方法を提供する。本発明は加えて、PGE2を相乗的に阻害する、メチルキサンチンと組み合わせてのホップから単離されたまたは由来する画分(例えばイソアルファ酸または還元イソアルファ酸)を投与することにより、炎症を低減する方法を提供する。
【0020】
ホップ誘導体の急性の毒性は非常に低い。したがって所望であれば、ホップによる毒性の影響を受けずに、比較的高用量のホップ誘導体を使用することができる。毒性のある用量は、本発明に従って意図される治療用量よりかなり高い。
【0021】
本発明はまた、ホップ抽出物またはその誘導体の活性量を、クルクミノイドまたはメチルキサンチンと組み合わせて包含する医薬組成物を提供する。本発明はさらに、炎症障害
を有意に低減するおよび/または治療的に処置する、ホップ抽出物またはその誘導体の使用について提供する。
【0022】
本明細書において使用する場合“栄養補助食品”という用語は、生理機能における構造的または機能的変化に影響を与えるために消費される組成物をいう。“治療組成物”という用語は、疾患を治療もしくは予防するため、または疾患に伴う兆候もしくは症候を寛解させるために、投与される化合物をいう。
【0023】
本明細書において使用する場合“有効量”という用語は、選択された結果を達成するために必要な量を意味する。そのような量は、過度の実験なしに当業者により容易に決定することができる。
【0024】
本明細書において使用する場合“実質的な”という用語は、大体は特定されているとおりであるが完全にではないことを意味する。
本明細書において使用する場合“COX阻害剤”という用語は、COX-2酵素の活性もしくは発現を阻害することのできる、または重症の炎症性応答の、疼痛および腫脹を含む重症度を阻害または低減することのできる化合物の組成物をいう。
【0025】
本明細書において使用する場合、“誘導体”という用語または“由来する”ものは、別の物質と構造的に関連する化学的物質、および該物質から理論的に得られうる化学的物質、すなわち別の物質から作製することのできる物質をいう。誘導体は、化学反応を介して得られる化合物を含むことができる。化合物の誘導体を作製する方法は、当業者に周知である。
【0026】
本明細書において使用する場合“炎症細胞”という用語は、炎症性のシグナル(例えばインターロイキン、腫瘍壊死因子、ブラジキニン、ヒスタミンまたは細菌由来成分)に応答してのプロスタグランジンの合成に関与する免疫系の細胞のメンバー(例えばBリンパ球およびTリンパ球、好中球またはマクロファージ)をいう。
【0027】
本明細書において使用する場合“標的細胞”という用語は、そこにおけるPGE2またはその他のプロスタグランジンの合成の阻害が望まれる細胞集団、例えば炎症細胞または腫瘍細胞をいう。あるいは“非標的細胞”は、そこにおけるPGE2またはその他のプロスタグランジンの合成の阻害が望まれない細胞集団、例えば胃粘膜細胞、神経細胞、または腎細胞をいう。
【0028】
本明細書において使用する場合“ホップ抽出物”という用語は、(1)ホップ植物の生成物を溶媒に暴露する、(2)該ホップ植物の生成物から該溶媒を分離する、(3)該溶媒を除去する、ことから得られる固体材料をいう。
【0029】
本明細書において使用する場合“溶媒”という用語は、ホップ植物の生成物から固体材料を抽出するために必要な特徴を保有する水性または有機性の性質の液体をいう。溶媒の例は、水、水蒸気、過熱した水、メタノール、エタノール、ヘキサン、クロロホルム、塩化メチレン、液体もしくは超臨界のCO2、液体N2、またはそのような材料の組み合わせを含むであろうがこれに限定されない。
【0030】
本明細書において使用する場合“CO2抽出物”という用語は、ホップ植物の生成物を液体または超臨界のCO2調製液に暴露させた後、CO2を除去することから得られる固体の材料をいう。
【0031】
本明細書において使用する場合“ホップ粕(spent hops)”という用語は、ホップの抽出
物からの固体および親水性の残渣をいう。
本明細書において使用する場合“アルファ酸”という用語は、集合的にフムロンとして知られている化合物をいい、ホップ植物の生成物から単離することができ、とりわけ、フムロン、コフムロン、アドフムロン、フルポン(hulupone)、およびイソプレフムロン(isoprehumulone)を含む。
【0032】
本明細書において使用する場合“イソアルファ酸”という用語は、ホップ植物の生成物から単離し、これをその後異性体化した化合物をいう。アルファ酸の異性体化は熱的に(例えば沸騰)起こすことができる。イソアルファ酸の例は、イソフムロン、イソコフムロン、およびイソアドフムロンを含むがこれに限定されない。
【0033】
本明細書において使用する場合“還元イソアルファ酸”という用語は、ホップ植物の生成物から単離し、これをその後異性体化および還元したアルファ酸をいい、シス型およびトランス型を含む。還元イソアルファ酸(RIAA)の例は、ジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、およびジヒドロ-アドフムロンを含むがこれに限定されない。
【0034】
本明細書において使用する場合“テトラ-ヒドロイソアルファ酸”という用語は、還元イソアルファ酸のある種のクラスをいう。テトラ-ヒドロイソアルファ酸(THIAA)の例は、テトラ-ヒドロ-イソフムロン、テトラ-ヒドロ-イソコフムロン、およびテトラ-ヒドロ-アドフムロンを含むがこれに限定されない。
【0035】
本明細書において使用する場合“ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸”という用語は、還元イソアルファ酸のある種のクラスをいう。ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸(HHIAA)の例は、ヘキサ-ヒドロ-イソフムロン、ヘキサ-ヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサ-ヒドロ-アドフムロンを含むがこれに限定されない。
【0036】
本明細書において使用する場合“ベータ酸画分”という用語は、集合的にルプロンとして知られている化合物をいい、とりわけルプロン、コルプロン、アドルプロン、テトラヒドロイソフムロンおよびヘキサヒドロコルプロンを含む。
【0037】
本明細書において使用する場合“必須オイル画分(essential oil fraction)”という用語は、とりわけミルセン、フムレン、ベータ-カリオフィレン、ウンデカン-2-オン、および2-メチル-ブト-3-エン-オールを含む成分の、複合的(complex)混合物をいう。
【0038】
本明細書において使用する場合“メチルキサンチン”という用語は、カフェイン;テオブロミン;テオフィリン;アミノフィリン;ドキソフィリン;ペントキシフィリン;8-オキソペントキシフィリン;8-オキソリソフィリン;およびリソフィリンを含むがこれに限定されない、メチル化キサンチン誘導体として分類される化合物をいう。具体例としてのメチルキサンチンを図5に示すが、それらは、カフェイン;テオフィリン;1-プロパラギル(proparagyl)3,7-ジメチルキサンチン;7-プロパラギル1,3-ジメチルキサンチン;3-プロパラギル1,7-ジメチルキサンチン;1,3,7-トリプロパラギルキサンチン;3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX);1,3,7-トリプロピルキサンチン;7-ベンジル-IBMX;1-プロピル3,7-ジメチルキサンチン;1,3-ジプロピル7-メチルキサンチン;1,3-ジプロピル7-プロパラギルキサンチン;3,7-ジメチル1-プロピルキサンチン;および7-アリル1,3-ジメチルキサンチンを含む。多様なメチルキサンチンが当該技術分野において周知である(例えば、Daly et al., Pharmacol. 42: 309-321 (1991); Ukena et al., Life Sci.39: 743-750 (1986); Choi et al., Life Sci. 43: 387-398 (1988); Daly et al., J. Med. Chem.
29: 1305-1308 (1986); Daly et al., Prog. Clin. Biol. Res. 230: 41-63 (1987)を参照のこと。これらの各文献を本明細書において参照として援用する)。
【0039】
本明細書において使用する場合“クルクミノイド”という用語は、クルクミンまたはクルクミン誘導体として分類される化合物をいい、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、シス-トランス-クルクミン、およびシクロクルクミンを含むがこれに限定されない。具体例としてのクルクミンを図4に示す。
【0040】
本明細書において使用する場合、化合物の“コンジュゲート”は、単糖類または二糖類、アミノ酸、スルフェート、スクシネート、アセテート、およびグルタチオンから成る群から選択されるメンバーと、共有結合またはコンジュゲートした化合物を意味する。単糖類または二糖類は、グルコース、マンノース、リボース、ガラクトース、ラムノース、アラビノース、マルトース、およびフルクトースから成る群より選択されるメンバーとすることができる。
【0041】
本発明は、炎症を低減するためにホップ抽出物を使用することに関する。1つの形または別の形でのホップの抽出は、水およびエタノール中への抽出が最初に試みられた19世紀初頭まで150年以上さかのぼる。今日もなお、エタノール抽出物はヨーロッパで役立っているが、明らかに主要な抽出物は、有機溶媒抽出物(例えばヘキサン)およびCO2抽出物(超臨界および液体)である。CO2(典型的には60バール圧で50〜10℃)は液体状態にあり、相対的にマイルドな非極性溶媒で、ホップのソフトレジンおよびオイルに対して非常に特異的である。臨界点を超えると、典型的には300バール圧および60℃で、CO2は気体および液体の双方の特性を有し、はるかに強い溶媒である。多様な抽出物の組成を表2に比較する。
【0042】
最もシンプルな方法ではホップの抽出は、ホップを製粉、ペレット化、そして再度製粉して、リュープリンを分散させ、充填カラムに溶媒を通してレジン成分を集め、最後に溶媒を除去して全抽出物または“純粋な”レジン抽出物を得ることを伴う。
【0043】
【表2】
【0044】
主な有機抽出溶媒は強い溶媒であり、事実上すべてのリュープリン成分に加え、それら溶媒は、植物色素、クチクラワックス、水および水溶性の材料も抽出する。
【0045】
超臨界CO2は有機溶媒より選択的であり、より少量のタンニンおよびワックス、そしてより少量の水、したがって水溶性成分を抽出する。この溶媒はクロロフィルのような一部の植物色素を確かに抽出するが、有機溶媒の場合よりむしろ少ない。液体CO2は、ホップ用に商業的に使用される最も選択的な溶媒であり、したがって最も純粋な全レジンおよびオイルの抽出物を生成する。この溶媒は、ハードレジンまたはタンニンをほとんど抽出せず、植物ワックスもずっと低レベルで、植物色素は抽出せず、そして水および水溶性の材料もより少量しか抽出しない。
【0046】
この選択性およびよりマイルドな溶媒の特性の結果として、ホップのユニット重量当たりの液体CO2抽出物の絶対収率は、他の記載した溶媒を使用する場合より低い。加えて液体CO2を用いてのアルファ酸の収率(89-93%)は、超臨界CO2の場合(91-94%)または有機溶媒の場合(93-96%)より低い。抽出後、溶媒を除去する過程があり、有機溶媒に関するこの過程は揮発を引き起こすための加熱を伴う。それにもかかわらず、微量の溶媒が抽出物中にどうしても残る。しかしながら、CO2の除去は、CO2を揮発させるために単に圧を抜くことを伴うだけである。
【0047】
図3に示したように、ホップのCO2抽出物は、ホップオイル、ベータ酸、およびアルファ酸を含む成分に分画することができる。ホップオイルは、フムレン、ベータ-カリオフィレン、ミクレン(mycrene)、ファルネセン、ガンマ-カジネン、アルファ-セリネン、およびアルファ-カジネンを含むがこれに限定されない。ベータ酸は、集合的にルプロンとして知られている、ルプロン、コルプロン、アドルプロン、テトラヒドロイソフムロン、およびヘキサヒドロコルプロンを含むがこれに限定されない。ベータ酸は異性体化および還元することができる。ベータ酸を還元すると、テトラ-ベータ酸を得られる。アルファ酸は、フムロン、コフムロン、アドフムロン、フルポン、およびイソプレフムロンを含むがこれに限定されない。アルファ酸は異性体化して、イソアルファ酸を得ることができる。イソ-アルファ酸は還元して、還元-イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、およびヘキサ-ヒドロイソアルファ酸を得ることができる。
【0048】
骨再吸収の阻害剤としてのホップ抽出物由来のフムロンの同定が、Tobe et al.(Biosci. Biotech. Biochem 61(1): 158-159 (1997))において報告された。同じグループによるその後の研究は、フムロンの作用機序をMC3T3,E1細胞のTNF-α刺激後のCOX-2遺伝子の転写の阻害として特徴付けた(Yamamoto, FEBS Letters 465: 103-106 (2000))。フムロン(humulone、humulonとも表す)の作用はグルココルチコイドのそれと類似するが、フムロンはグルココルチコイド受容体を通しては機能しないと結論された。これらの結果は、フムロンがMC3T3(骨芽細胞)におけるPGE2合成を遺伝子レベルで阻害することを確立するものであるが、当業者はこれらの結果が免疫炎症細胞またはその他の細胞株においては必ずしも起こらないと想定するだろう。本明細書において開示するように、ホップ化合物および誘導体は、標的細胞および非標的細胞において高レベルの組織選択性を示す。さらに、本発明に記載するホップ誘導体は、アルファ酸フムロンとは構造的に異なる。
【0049】
本発明は、ホップ(Humulus lupulus)から単離されたまたは由来する少なくとも1つの画分を含有する組成物を提供する。ホップから単離されたまたは由来する画分の例は、アルファ酸、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、ベータ酸、およびホップ粕である。ホップから単離されたまたは由来する画分は、コフムロン、アドフムロン、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロ-アドフムロン、テトラ-ヒドロ-イソフムロン、テトラヒドロ-イソコフムロン、テトラヒドロ-アドフムロン、ヘキサヒドロ-イソフムロン、ヘキサヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサヒドロ-アドフムロンを含むがこれに限定されない。好ましい化合物はまた、例えばハロゲン、エーテル、およびエステル等の置換基を有することができる。
【0050】
ホップから単離されたまたは由来する画分の化合物は、以下の上属(supragenus)により表すことができる:
【0051】
【化1】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される;そして式中R、T、X、およびZは独立して、H、F、Cl、Br、I、およびπ軌道から成る群より選択されるが、ただしR、T、X、またはZの1つがπ軌道である場合には、隣接するR、T、X、またはZもまたπ軌道であり、それにより二重結合を形成する。
【0052】
もう1つの態様において、ホップから単離されたまたは由来する画分の化合物は、以下の属(genus)により表すことができる:
【0053】
【化2】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される。具体例としての属Aの構造は、イソアルファ酸(例えばイソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、等)、および還元イソアルファ酸(例えばジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロアドフムロン)、およびエーテルもしくはエステルのコンジュゲートまたは二重結合のハロゲン化修飾を含む。
【0054】
なおもう1つの態様において、ホップから単離されたまたは由来する画分の化合物は、以下の属により表すことができる:
【0055】
【化3】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される。具体例としての属Bの構造は、テトラ-ヒドロイソアルファ酸(例えばテトラ-ヒドロ-イソフムロン、テトラ-ヒドロ-イソコフムロン、テトラ-ヒドロ-ア
ドフムロン、等)、およびヘキサ-ヒドロイソアルファ酸(例えばヘキサ-ヒドロ-イソフムロン、ヘキサ-ヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサ-ヒドロ-アドフムロン)、およびエーテルまたはエステルのコンジュゲートを含む。
【0056】
図3に示すように、ホップから単離されたまたは由来する成分の化合物の例は、フムロン、コフムロン、アドフムロン、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロ-アドフムロン、テトラヒドロ-イソフムロン、テトラヒドロ-イソコフムロン、テトラヒドロ-アドフムロン、ヘキサヒドロ-イソフムロン、ヘキサヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサヒドロ-アドフムロンを含むがこれに限定されない。これらの化合物は、上の式で示したような置換基を有することができる。
【0057】
ホップ誘導体は、植物中に天然に生ずる公知の化合物であり、食品および飲料中に見出せる。これら化合物は、当該技術分野において公知の抽出法および加工法のいずれかにより調製し得る。ホップ誘導体は、あらゆる公知の様式で植物材料から直接調製することができる。ホップ誘導体は、当該技術分野における公知の方法、例えば水溶性有機溶媒(例えばアルコール水溶液)からの再結晶により精製し得る。ホップ誘導体の合成による修飾は、医薬技術分野において公知の薬剤の修飾の方法に従って調製し得る。
【0058】
本発明はまた、ホップから単離されたまたは由来する画分または化合物を、クルクミノイドまたはメチルキサンチンと組み合わせて含有する組成物を提供する。1つの態様において本発明は、本明細書に開示するようなホップから単離されたまたは由来する画分または化合物、およびクルクミノイド(例えばクルクミン)、またはメチルキサンチン(例えばカフェイン)を含有する組成物を提供する。本発明に従ってまた、ホップから単離されたまたは由来する画分の有効量を、クルクミノイドまたはメチルキサンチンと組み合わせて、そして所望により医薬的担体またはアジュバントと組み合わせて含有する医薬組成物を提供する。
【0059】
投与
本発明に従ってさらに、公知の製剤技術によって、例えば除放性錠剤により、消化管の所望の部位で、例えば胃および/または十二指腸のいずれかにおいて活性成分を放出するため、ホップ誘導体の有効量を包含する経口投与剤形の医薬製剤が提供される。本発明に従ってなおさらに、ホップ誘導体の有効な耐薬量を包含する医薬組成物を提供する。その低い毒性のため、所望される特定の効果に依存して、高投与量のホップ誘導体を有用な結果を得るために使用することができる。
【0060】
ホップ誘導体は特に経口投与に適する。したがってホップ誘導体は経口使用として、すなわち:錠剤、コーティング錠剤、糖衣錠、カプセル、粉末、顆粒、および水溶性錠剤、ならびに液体の剤形、例えば懸濁液、分散液(dispersions)、または溶液として、所望により付加的な活性成分、例えばクルクミノイドまたはメチルキサンチンと合わせて製剤化することができる。
【0061】
本発明は、本明細書において記載したような医薬組成物を調製する方法、およびそのように調製した場合の組成物にも拡大する。当該組成物はホップ誘導体を医薬的に受容可能な担体または補助剤と共に、そして所望により鎮痛剤および/または抗炎症剤、ならびに/または別の化合物(1つまたは複数)と共に混合して包含する方法により製造してよい。医薬組成物を調製する方法は当業者に周知である(例えばGenarro, ed., Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania (1990)を参照のこと)。
【0062】
選択される投与量レベルは、特定の組成物の活性、投与経路、治療または予防する状態の重症度、ならびに治療する患者の状態およびこれまでの病歴に依存することになる。しかし所望される治療効果を達成するために必要とされるより低いレベルで組成物の用量を開始すること、そして所望される効果を達成するまで投与量を漸増することは、当該分野の技術の範疇である。所望であれば有効な1日の用量を、投与の目的のため複数回の用量に、例えば1日当たり2〜4回の個別の用量に分割してもよい。しかしあらゆる特定の患者のための具体的な用量レベルは、体重、全身の健康状態、食事、投与時間および投与経路、他の組成物との組み合わせ、ならびに治療または予防する特定の状態の重症度に依存することになることは、理解されるだろう。
【0063】
本発明は、ホップ画分、ホップ化合物、またはホップ誘導体の有効量を送達することを含む方法を提供する。例えば本発明の組成物の1日の用量を、1日当たり約0.5〜約10,000mgのホップ画分、例えばアルファ酸、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、ベータ酸、ホップ粕、またはその他のホップ画分を送達するように製剤化することができる。特に組成物の有効な1日の用量は、1日当たり約50〜約7500mgのホップ画分、例えばアルファ酸、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、ベータ酸、ホップ粕、またはその他のホップ画分を送達するように製剤化することができる。例えば組成物の有効な1日の用量は、1日当たり約100mg〜約5000mg、約200mg〜約3000mg、約300mg〜約2000mg、約500mg〜約1000mgのホップ画分を送達するように製剤化することができる。1つの態様において、有効な1日の用量を1日に1回または2回投与する。ある種の態様は、1日当たり約0.5mg〜約500mgのイソアルファ酸または還元イソアルファ酸、例えば約50mg〜約300mg、または約100mg〜約200mgのイソアルファ酸または還元イソアルファ酸を包含する組成物を提供する。もう1つの態様において本発明は、1日当たり約10mg〜約3000mgの還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、またはヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、例えば約50mg〜約2000mg、約100mg〜約1000mg、約200mg〜約750mg、約250mg〜約500mgの還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、またはヘキサ-ヒドロイソアルファ酸を包含する組成物を提供する。なおもう1つのある種の態様は、1日当たり約50mg〜約7500mgのホップ粕、例えば1日当たり約100mg〜約6000mg、約200mg〜約5000mg、約300mg〜約3000mg、約500mg〜約2000mg、または1000約mg〜約1500mgのホップ粕を包含する組成物を提供する。
【0064】
局所投与に関する態様の組成物は、約0.001〜約10重量パーセント、例えば約0.01〜約5重量パーセント、または約0.1〜約1重量パーセントのホップ誘導体を含有することができる。そのような組成物は、約0.0001〜約10μM、例えば約0.001〜約5μM、約0.01〜約1μM、または約0.1〜約0.5μMの範囲のホップから単離されたまたは由来する画分またはそのコンジュゲートの血清濃度を得ることができる。
【0065】
ホップから単離されたまたは由来する1つまたはそれより多くの画分をクルクミノイドと組み合わせる本発明の組成物において、ホップから単離されたまたは由来する画分 対 クルクミノイドの比率は、所望の効果を最適化するように変えることができる。例えば本明細書に開示するように、RIAAおよびクルクミンの組み合わせによるPGE2阻害の相乗作用が、ヒト大動脈内皮細胞(HAEC)において観察された(実施例3を参照のこと)。PGE2の生合成の阻害に関するRIAAおよびクルクミン間の相乗作用は、RIAA:クルクミン 100:1、10:1および3:2の比率で観察された。特に有効な相乗作用は、RIAA:クルクミン 3:2の比率で観察された。本発明はホップから単離されたまたは由来する画分を、クルクミノイド(例えばクルクミン)と組み合わせて含有する組成物を提供する。1つの態様において本発明は、PGE2を相乗的に阻害するための有効な量および比率での、ホップから単離されたまたは由来する画分(例えばRIAA)、およびクルクミノイド(例えばクルクミン)の組み合わせを提供する。ホップから単離されたまたは由来する画分(例えばRIAA)、およびクルクミノイドを
、PGE2を相乗的に阻害するための有効な量および比率で、例えばホップから単離されたまたは由来する画分(例えばRIAA) 対 クルクミノイドの比率 約100:1〜約1:10で、例えば約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、または約10:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約3:2、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、または約1:10で組み合わせる。ホップに由来する画分 対 クルクミノイドの特に有用な比率は約3:2である。
【0066】
同様に、ホップから単離されたまたは由来する1つまたはそれより多くの画分をメチルキサンチンと組み合わせる本発明の組成物において、ホップから単離されたまたは由来する画分 対 メチルキサンチンの比率は、所望の効果を最適化するように変えることができる。例えば本明細書に開示するように、RIAAおよびカフェインとの組み合わせによるPGE2阻害の相乗作用が、RAW 264.7マクロファージ細胞において観察された(実施例4を参照のこと)。PGE2の生合成の阻害に関するRIAAおよびカフェイン間の相乗作用は、RIAA:カフェイン 100:1〜1:100の比率で観察された。本発明はホップから単離されたまたは由来する画分を、メチルキサンチンと組み合わせて含有する組成物を提供する。1つの態様において本発明は、PGE2を相乗的に阻害するための有効な量および比率での、ホップから単離されたまたは由来する画分(例えばRIAA)、およびメチルキサンチン(例えばカフェイン)の組み合わせを提供する。ホップから単離されたまたは由来する画分(例えばRIAA)、およびメチルキサンチンを、PGE2を相乗的に阻害するための有効な比率で、例えばホップから単離されたまたは由来する画分(例えばRIAA) 対 メチルキサンチンの比率 約100:1〜約1:100で、例えば約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、または約10:1で組み合わせる。ホップから単離されたまたは由来する画分 対 メチルキサンチンの特に有用な比率は、例えば約3:2、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:10、約1:15、約1:20、約1:25、約1:30、約1:35、約1:40、約1:45、約1:50、約1:55、約1:60、約1:65、約1:70、約1:75、約1:80、約1:85、約1:90、約1:95、または約1:100を含む。特に有用なメチルキサンチンはカフェインである。
【0067】
製剤
本発明の組成物は、栄養補助食品または治療用組成物という形で投与することができる。当該組成物は、経口、局所、経皮、経粘膜、非経口等により、適当な投与ユニットで、所望されるように投与してよい。食品としての適用のための組成物は、様々な添加物、例えば中間代謝物のその他の天然成分、ビタミンおよびミネラル、ならびに例えば錠剤およびカプセルの製造における標準的な賦形剤であるタルクおよびステアリン酸マグネシウムのような不活性成分を含んでよい。例えば1つの態様は、本発明の組成物の活性成分を、グルコサミンまたはコンドロイチン硫酸と組み合わせて包含する。
【0068】
本明細書において使用する場合“医薬的に受容可能な担体”は、個体への投与に適する溶媒、分散媒体、コーティング剤、等張剤および吸収遅延剤、甘味剤等を含む。これらの医薬的に受容可能な担体は、希釈剤、結合剤および接着剤、滑剤、崩壊剤、着色剤、膨張剤、芳香剤、甘味剤、ならびに種々の材料、例えば特定の治療組成物を調製するために必要であると思われるバッファーおよび吸収剤を含むがこれに限定されない広範囲な材料から調製してよい。医薬的に活性な物質のためのそのような媒体および賦形剤の使用は、当該技術分野において周知である。製剤が活性成分と矛盾のない構成要素を含有することは理解されよう。1つの態様において、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを製剤中に含む。食品用のバー(dietary bar)または機能食品としての本発明の組成物の製造に影響のあることが知られているその他の成分は、芳香剤、糖、アミノ糖、タンパク質およびまたは修飾スターチ、ならびに油脂およびオイルを含むことができる。
【0069】
本発明の態様の栄養補助食品、ローション、または治療用組成物は、当業者に公知のあらゆる様式で製剤化することができる。1つの態様において当該組成物は、当業者に利用
可能な技術を用いてカプセルまたは錠剤に製剤化する。カプセルまたは錠剤の剤形において、成体のヒトまたは動物に対して推奨される1日の用量を、1〜6個のカプセルまたは錠剤中に含有させることができる。当該組成物はまた、他の使い勝手のよい剤形、例えば注入可能な溶液または懸濁液、スプレー用の溶液または懸濁液、ローション、ガム、ロゼンジ、食品またはスナックの品目に製剤化することができる。食品、スナック、ガムまたはロゼンジの品目は、甘味剤、芳香剤、オイル、スターチ、タンパク質、果物または果物の抽出物、野菜または野菜の抽出物、穀物、動物性脂肪またはタンパク質を含む、あらゆる摂取可能な成分を含むことができる。それ故本発明の組成物は、シリアル、スナック品目、例えばチップス、バー、ガムドロップ、チューイングキャンディー、またはゆっくり溶けるロゼンジ中に製剤化することができる。本発明の組成物は、急性および慢性双方の炎症に基づく疾患の治療に使用することができる。本発明の組成物の特に有用な製剤は、炎症応答を低減し、それにより患部組織の治癒を促進する、またはさらなる損傷を予防することができる。医薬的に受容可能な担体をまた、本発明の組成物および製剤中に使用することができる。
【0070】
本発明の組成物は、例えば被験者の炎症の治療のため、および炎症に伴う他の障害の治療のため、例えば疼痛および頭痛の治療における鎮痛薬として使用することができる。本発明の組成物は、例えば癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、または神経学的疾患を含む様々な状態を治療するために使用することができる。本発明の組成物はまた、HIV-1感染、ライノウイルス感染、および心血管疾患のような状態を治療するために使用することができる。本発明の組成物は、慢性関節リウマチ、脊椎関節症(spodyloathopathies)、痛風性関節炎、変形性関節炎、全身性紅斑性狼瘡、および若年性関節炎を含むがこれに限定されない関節炎を治療するために使用することができる。
【0071】
本発明の組成物は加えて、喘息、気管支炎、月経による腹痛、腱炎、滑液包炎、ならびに皮膚に関連する状態、例えば乾癬、湿疹、火傷および皮膚炎の治療に使用することができる。当該組成物はまた、消化器の状態、例えば炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、および潰瘍性大腸炎を治療するために、ならびに癌、例えば大腸癌の予防または治療のために使用することができる。
【0072】
さらに本発明の組成物は、血管疾患、偏頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、全身性強皮症、リウマチ熱、タイプI糖尿病、重症筋無力症、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット病、多発筋炎、歯肉炎、過敏症、傷害後に起こる腫脹、心筋虚血、歯周病、結合組織炎、アトピー性皮膚炎、インスリン炎等のような疾患における炎症の治療に使用することができる。本発明の組成物はまた、眼科的疾患、例えば網膜症、結膜炎、ぶどう膜炎、羞明、および眼組織への急性傷害の治療に使用することができる。本発明の組成物は加えて、肺の炎症、例えばウイルス感染および嚢胞性繊維症に伴うものの治療に使用することができる。
【0073】
加えて本発明の組成物は、ある種の神経系の障害、例えばアルツハイマー病を含む皮質性痴呆の治療のために使用することができる。本発明の組成物はまた、アレルギー性鼻炎、呼吸促迫症候群、エンドトキシンショック症候群、アテローム硬化症、ならびに卒中、虚血および外傷に起因する中枢神経系の損傷の治療に使用することができる。
【0074】
1つの態様において本発明は、ホップから単離されたまたは由来する画分およびメチルキサンチンを含有する組成物を提供する。ホップから単離されたまたは由来する画分は、アルファ酸、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、ベータ酸、およびホップ粕の群より選択することができる。ホップから単離されたまたは由来する画分はまた、以下の式を有する上属の化合物であることができる:
【0075】
【化4】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される;そして式中R、T、X、およびZは独立して、H、F、Cl、Br、I、およびπ軌道から成る群より選択されるが、ただしR、T、X、またはZの1つがπ軌道である場合には、隣接するR、T、X、またはZもまたπ軌道であり、それにより二重結合を形成する。
【0076】
ホップから単離されたまたは由来する画分の化合物は、加えて以下の式を有する属Aの化合物を包含することができる:
【0077】
【化5】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される。
【0078】
もう1つの態様において、ホップから単離されたまたは由来する画分の化合物は、以下の式を有する属Bの化合物を包含することができる:
【0079】
【化6】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される。
【0080】
ある態様においてホップから単離されたまたは由来する画分は、フムロン、コフムロン、アドフムロン、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロ-イソフ
ムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロ-アドフムロン、テトラヒドロ-イソフムロン、テトラヒドロ-イソコフムロン、テトラヒドロ-アドフムロン、ヘキサヒドロ-イソフムロン、ヘキサヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサヒドロ-アドフムロンから成る群から選択される化合物を包含することができる。
【0081】
本発明の組成物においてメチルキサンチンは、カフェイン;テオブロミン;テオフィリン;アミノフィリン;ドキソフィリン;ペントキシフィリン;8-オキソペントキシフィリン;8-オキソリソフィリン;リソフィリン;1-プロパラギル3,7-ジメチルキサンチン;7-プロパラギル1,3 -ジメチルキサンチン;3-プロパラギル1,7-ジメチルキサンチン;1,3,7-トリプロパラギルキサンチン;3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX);1,3,7-トリプロピルキサンチン;7-ベンジル-IBMX;1-プロピル3,7-ジメチルキサンチン;1,3-ジプロピル7-メチルキサンチン;1,3-ジプロピル7-プロパラギルキサンチン;3,7-ジメチル1-プロピルキサンチン;および7-アリル1,3-ジメチルキサンチンから選択することができる。1つの態様において、ホップから単離されたまたは由来する画分とメチルキサンチンとは、約100:1〜約1:100の比率である。もう1つの態様において、ホップから単離されたまたは由来する画分は還元イソアルファ酸であり、メチルキサンチンはカフェインである。
【0082】
当該組成物は、約0.5〜10000mgのホップから単離もしくは誘導された画分、または約50〜7500mgのホップから単離もしくは誘導された画分を包含することができる。加えて当該組成物は、約0.001〜10重量パーセントのホップから単離もしくは誘導された画分を包含することができる。もう1つの態様において当該組成物は、約0.1〜1重量パーセントのホップから単離もしくは誘導された画分を包含することができる。本発明の組成物は、医薬的に受容可能な担体をさらに包含することができ、そして経口、局所、非経口、または直腸からの投与用として製剤化することができる。
【0083】
もう1つの態様において本発明は、ホップに由来する画分およびクルクミノイドを包含する組成物を提供する。そのような組成物においてホップに由来する画分は、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、およびベータ酸から選択することができる。
【0084】
そのような組成物のまだもう1つの態様において、ホップに由来する画分は、以下の式を有する上属の化合物を包含することができる:
【0085】
【化7】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される;そして式中R、T、X、およびZは独立して、H、F、Cl、Br、I、およびπ軌道から成る群より選択されるが、ただしR、T、X、またはZの1つがπ軌道である場合には、隣接するR、T、X、またはZもまたπ軌道であり、それにより二重結合を形成する。
【0086】
そのような組成物のなおもう1つの態様において、ホップに由来する画分は、以下の式を有する属Aの化合物を包含する:
【0087】
【化8】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される。
【0088】
そのような組成物のさらなる態様において、ホップに由来する画分は、以下の式を有する属Bの化合物を包含することができる:
【0089】
【化9】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される。
【0090】
そのような組成物においてホップに由来する画分は、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロ-アドフムロン、テトラヒドロ-イソフムロン、テトラヒドロ-イソコフムロン、テトラヒドロ-アドフムロン、ヘキサヒドロ-イソフムロン、ヘキサヒドロ-イソコフムロン、ヘキサヒドロ-アドフムロンから成る群より選択される化合物を包含することができる。本発明のそのような組成物においてクルクミノイドは、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、シス-トランス-クルクミン、およびシクロクルクミンから選択することができる。1つの態様において、ホップに由来する画分とクルクミノイドとは、約100:1〜約1:10の比率である。もう1つの態様において、ホップに由来する画分とクルクミノイドとの比率は約3:2である。特定の態様において、ホップから単離された画分は還元イソアルファ酸であり、クルクミノイドはクルクミンである。
【0091】
上に考察したように当該組成物は、約0.5〜10000mgのホップから単離もしくは誘導された画分、または約50〜7500mgのホップから単離もしくは誘導された画分を包含することができる。加えて当該組成物は、約0.001〜10重量パーセントのホップから単離もしくは誘導された画分を包含することができる。もう1つの態様において当該組成物は、約0.1〜1重量パーセントのホップから単離もしくは誘導された画分を包含することができる。本発明の組成物はさらに、医薬的に受容可能な担体を包含することができ、そして経口、局所、非経口、または直腸からの投与用として製剤化することができる。
【0092】
本発明は加えて、本発明の組成物を投与することにより炎症を低減する方法を提供する。そのような方法を、本明細書において開示するように様々な炎症の状態を治療するために使用することができる。
【0093】
ヒトの治療に有用である他に、本発明の態様はまた、ウマ、イヌ、ネコ、鳥類、ヒツジ、ブタ、等を含むその他の動物の治療のために有用である。炎症の治療用の製剤は、胃粘膜のPGE2の合成にほとんど影響を及ぼさずにCOX-2の誘導および活性を阻害することができる。歴史的には炎症の治療用として使用されるNSAIDsは、胃粘膜細胞のPGE2合成に影響を与えずにCOX-2を阻害する特異性に欠けていた。したがってこれらの薬剤は、長期間使用した場合に消化器系を刺激し損傷を与えた。そのような禁忌を本発明は伴わず、したがって限定された胃疾患を伴うかまたは胃疾患を伴うことなく長期間使用してよい。投与は、当業者に利用可能なあらゆる方法、例えば経口、局所、経皮、経粘膜、または非経口の経路によることができる。
【0094】
本発明は加えて、ホップから単離されたイソアルファ酸または還元イソアルファ酸、およびメチルキサンチン、例えばカフェインを投与することにより、炎症を低減する方法を提供する(実施例4を参照のこと)。他のホップ誘導体またはホップから単離もしくは誘導された画分もまた、メチルキサンチン(例えばカフェイン)と共に、炎症を低減するために投与することができる。メチルキサンチン(例えばカフェイン)、および他のメチル化キサンチン誘導体は合成するか、または天然の供給源(例えばコーヒー豆、茶葉、ガラナ種子、等)から単離することができる。ガラナ(Paullinia cupana)は、カフェインおよびテオフィリンを含む複数のメチルキサンチンの供給源である。
【0095】
本明細書において使用する場合“炎症を低減すること”は、炎症応答を低下、寛解、または阻害することをいう。当業者は、炎症応答に伴う徴候または症候の低減を容易に認識できるだろう。炎症を低減することとは、炎症に伴う徴候または症候の重症度を低減させること、並びに結果として炎症に伴う症候がほとんどまたは全く存在しないよう炎症を阻害すること、ということができる。
【0096】
本発明はさらに、ホップから単離されたイソアルファ酸または還元イソアルファ酸、およびクルクミノイド(例えばクルクミン)を投与することにより、炎症を阻害する方法を提供する(実施例3を参照のこと)。他のホップ誘導体、またはホップから単離もしくは誘導された画分もまた、クルクミノイド(例えばクルクミン)と共に、炎症を低減するために投与することができる。
【0097】
本明細書において使用する場合“クルクミノイド”および“活性なクルクミノイド”という用語は、COX-1にほとんどもしくは全く影響を及ぼさないまま、COX-2の誘導能および/もしくは活性を阻害することのできる、または炎症応答の重症度を阻害もしくは低減することのできる、クルクミノイド属内の種をいう。クルクミノイドは、天然産物から抽出するか、または化学的に合成することができる。
【0098】
Curcuma longa(ウコン、アキウコン)の根茎から単離された黄色色素性画分は、ジシンナモイルメタン群に属するクルクミノイド類を含有する。クルクミノイド類は3〜5パーセント程度まで存在する。これらはCurcuma longaの最も重要な活性成分であると考えられており、Curcuma longaの生物学的活性の原因であると思われている。これらの主要な活性は抗炎症であるが、クルクミノイドは抗酸化、抗アレルギー、創傷治癒、抗痙攣、抗細菌、抗真菌、および抗腫瘍の活性も同様に有することが報告された。クルクミン(図4B)は、1815年に単離され、1910年に構造的に同定された。Curcuma longaから単離された他のクルクミノイドには、デメトキシクルクミン(図4C)、ビスデメトキシクルクミン(図4D)、クルクミンのシス-トランス幾何異性体 (図4E)、およびシクロクルクミン(図4F)を含む。
クルクミノイドは、Curcuma longaに加えて他の植物、例えばジャワウコン(Curcuma xanthorrhiza)およびガジュツ(Curcuma zedoaria)中に見出してもよい。
【0099】
クルクミノイドは、その抗炎症活性について周知である。ウコン(turmeric)は、アーユルヴェーダ医学で使用される最古の抗炎症薬の1つである。クルクミノイドの抗炎症活性は、炎症反応モデル、例えばカラゲーニン、綿尖、ホルムアルデヒド、およびに肉芽嚢のような化学的または物理的刺激物において評価されてきた。ヒトの二重盲検の臨床的試みは、1200mgクルクミノイド/日、5〜6週間の用量で慢性関節リウマチにおける効能を実証した。しかしこれらの用量では、消化器(GI)の不快感および胃への刺激の徴候がしばしば報告された。高用量のクルクミノイドに起因するGIの不調および胃への刺激は、クルクミノイドが、アスピリンおよびアスピリン様抗炎症薬と類似の様式でプロスタグランジンの産生に作用するという事実によると思われる。
【0100】
図4Aに示したような、そして図4Bのクルクミンにより具体的に例示したようなクルクミノイド属は、好ましくは、例えばSabinsa (121Ethel Road West, Piscataway, NJ)より市販にて入手することのできるような、医薬用グレードの植物抽出物である。使用してもよい他のクルクミノイドは、デメトキシクルクミン(図4C)、ビスデメトキシクルクミン(図4D)、シス-トランスクルクミン (図4E)、およびシクロクルクミン(図4F)を含む。使用するクルクミノイドは、Curcuma longa Lより容易に得ることができる。医薬用グレードのクルクミノイド抽出物は、約70パーセントより高いクルクミノイド含有量を有することと規格化されている。医薬用グレードの植物抽出物は、安全性および効能についてアッセイすることができる。本発明の態様において使用する場合、抽出物は約1〜99重量パーセントのクルクミノイド含有量を有する。最小のクルクミノイド含有量は、一般に約70重量パーセントであり、例えば少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれより多いことができる。あるいはクルクミノイドは、化学合成において公知の標準的な技術を用いて合成し得る。
【0101】
ホップから単離されたまたは由来する画分、例えばRIAA、IAA、THIAA、またはHHIAAおよびクルクミノイドを含有する組成物において、この組成物は、1日当たり約0.5〜約5000mgのクルクミノイドを送達するように製剤化することができる。特に、有効な1日の用量を、1日当たり約5〜約2000mgのクルクミノイド、例えば約10〜約1500mg、約20〜約1000mg、約50〜約500mg、または約100〜約200mgを送達するように製剤化することができる。本発明の態様において、当該組成物は、1日に1回または2回投与するように有効な1日の用量を提供するように、製剤化することができる。1つの態様において組成物は、1日に1回または2回投与するように、約200mgのクルクミノイド、および約300mgのホップから単離されたまたは由来する画分を含有することができる。特定の態様において組成物は、約200mgのクルクミノイド、および約300mgのRIAAを含有することができる。加えて本発明の組成物は特定の態様において、約200mgのクルクミノイド、および約300mgのIAAを含有することができる。また、本発明の組成物は、約200mgのクルクミノイド、および約300mgのTHIAAまたはHHIAAを含有することができる。
【0102】
ホップから単離されたまたは由来する画分、およびメチルキサンチン、例えばカフェインまたはテオフィリンを含有する組成物において、本発明の組成物は、1日当たり約0.5〜約5000mgのメチルキサンチンを送達するように製剤化することができる。特に、有効な1日の用量を、1日当たり約5〜約2000mgのメチルキサンチン、例えば約10〜約1500mg、約20〜約1000mg、約50〜約500mg、または約100〜約200mgを送達するように製剤化することができる。例えば当該組成物は、1日に1回または2回投与される有効な1日の用量を提供するように、製剤化することができる。特定の態様において組成物は、1日に1回または2回投与するように、約100mgのメチルキサンチン、例えばカフェインまたはカフェインの誘導体、例えばテオフィリン、および約300mgのRIAAを含有することができる。
【0103】
AGS細胞株を用いてのアッセイ
COX-2の発見は、COX-1により作られる胃および腎臓内の保護的プロスタグランジン類(PGs)を排除せずに炎症を低減する、薬剤のデザインを可能にした。本明細書において開示するように、in vitroの動物細胞を用いて、細胞保護的な作用を有し、消化器粘膜の完全性を維持する役割を担うPGE2を用いたCOX-2およびCOX-1の阻害活性をエンドポイントとして利用して評価して、本発明の組成物を評価することができる。第2に異なる細胞タイプを使用して、結果を確認する。スクリーニング法を使用して、COX-2への特異的な活性を有し、COX-1を限定的に阻害する組成物を示すことができる。本発明の態様の組成物は、2つの細胞のタイプ: 1) 1つまたはそれより多くの成分を包含する組成物に関する至適な量および比率を決定および同定するための、ヒト肺細胞またはその他の細胞株;および2)
創傷の治癒(例えば潰瘍)に必要であるCOX-1の阻害に典型的に関連する毒性を評価するための、ヒト胃上皮細胞(AGS細胞株)、消化管細胞株、およびモデルシステム、において検査することができる。それ故、COX-2またはCOX-2の誘導を阻害することのできる本発明の態様の組成物は、AGS細胞において活性の低いまたは活性を有していなく、そしてヒト肺細胞またはその他の細胞株において良好な活性を有する組成物を選択することにより、スクリーニングすることができる。
【0104】
本発明において開示するように、様々なアッセイを、ホップから単離されたまたは由来する1つまたはそれより多くの画分の有効性を示すために利用することができる(実施例を参照のこと)。ホップから単離されたまたは由来する画分は、本明細書において開示するように、本明細書において例示する方法を含む当業者に周知の様々なアッセイを用いて、炎症の低減における活性について評価することができることを、当業者は理解するだろう。
【0105】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図しており、その範囲を限定する意図はない。
【実施例】
【0106】
実施例1
AGS胃粘膜細胞はシクロオキシゲナーゼ-1およびシクロオキシゲナーゼ-2の双方を恒常的に発現する
概要-本実施例は、COX-1およびCOX-2の構成性発現を有するAGSヒト胃粘膜細胞株が、シクロオキシゲナーゼ阻害化合物の消化器への毒性を評価するためのモデルであることを実証する。
【0107】
本実施例に使用する装置は以下を含む:OHAS Model #E01140分析天秤、Forma Model #F1214安全キャビネット(biosafety cabinet)(Marietta, Ohio)、0.1〜100μLを送達するための多様なピペット(VWR, Rochester, NY)、細胞の手動カウンター(VWR, Catalog #23609-102, Rochester, NY)、Forma Model #F3210 CO2インキュベーター(Marietta, Ohio)、血球計(Hausser Model #1492, Horsham, PA)、Leica Model #DM IL 倒立顕微鏡(Wetzlar, Germany)、PURELAB Plus Water Polishing System (水洗浄システム)(U.S. Filter, Lowell, MA)、4℃冷蔵庫(Forma Model #F3775, Marietta, Ohio)、ボルテックス攪拌器(VWR Catalog # 33994-306, Rochester, NY)、および37℃水浴(Shel Lab Model #1203, Cornelius, OR)。
【0108】
(化学薬品および試薬)-プロスタグランジンE2 EIAキットモノクローナルは、Cayman Chemical(Ann Arbor, MI)より購入した。抗COX-1および抗COX-2のウサギポリクローナル抗血清は、Upstate Biotechnology (Lake Placid, NY)より入手した;ロバ抗ヤギIgG-HRPは、Santa Cruz Biotchnology (Santa Cruz、CA)より調達した。加熱不活性化したウシ胎児
血清(FBS-HI Cat. #35-011CV)、およびダルベッコ変法イーグル培地 (DMEM Cat# 10-013CV)はMediatech (Herndon, VA)より購入した。すべての標準的な試薬はSigma (St. Louis,
MO)より入手し、市販により入手可能な最も高純度のものとした。
【0109】
(細胞培養)-ヒト胃粘膜細胞株AGSは、American Type Culture Collection (ATCC number CRL-1739; Manassas, VA)より入手し、供給元の指示に従って継代培養した。細胞は、37℃、5%CO2にて、50ユニット ペニシリン/mL、50μg ストレプトマイシン/mL、5% ピルビン酸ナトリウム、および5% L-グルタミンを含む10% FBS含有RPMI 1640中でルーチン培養した。指数関数的に増殖する細胞を6ウェルプレートに蒔き、集密化するまで増殖させた。培地上清の20μLアリコートを、PGE2含有量を決定するためサンプル採取した。その後細胞をPBSで洗浄し、イムノブロット法のため掻きとり、溶解させた。
【0110】
(タンパク質アッセイ)-細胞溶解液のタンパク質濃度を、NanoOrange Protein Quantitation Kitを使用し、製造業者により供給された方法に従って、スタンダードとしてウシ血清アルブミン(Molecular Probes, Eugene, OE)を用いて決定した。蛍光は、Packard FluoroCount, Model BF 10000 蛍光光度計を使用し、485nmに設定した励起フィルターおよび570nmに設定した発光フィルターにて、Packard PlateReader バージョン3.0ソフトウエアを使用して決定した。Packard PlateReaderと共に提供されたI-Smart プログラムを使用して、タンパク質濃度を算出した。
【0111】
(イムノブロット法)‐COX-1およびCOX-2のウェスタンブロット法は、PAGErTM Gold Precast Gels (Bio Whittaker Molecular Application(Rockland, ME))を用いて行った。およそ60μgのタンパク質を含有するAGS 細胞溶解液を、総容積 30μLのゲルのウェルにLaemmliサンプルバッファーと共に乗せた。垂直方向のミニゲル電気泳動用チャンバーは、Savant Instruments Inc. (Holbrook, NY)、モデルMV 120により作製した。ゲルはブロモフェノールブルー染色がゲル底部に達するまで、室温で40 mA/プレート(一定電流)にて約1時間、泳動させた。その後ゲルをポリビニル蛍光転移膜(Pall Corporation, Ann Arbor, MI)上に、一晩、500mA、4℃でブロットさせた。Precision Protein Standard分子量マーカー、unstained(未着色)、broad range(広域)(Biorad, Herculse, CA)を使用した。BioWest(登録商標)長時間化学発光基質、非アイソトープ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ基質のウェスタンブロット検出用キット(BioImaging Systems, Upland, CA)をタンパク質の可視化のために使用した。ウェスタンブロットの画像は、UVP Epi Chemi II Darkroom ((BioImaging Systems)を用いて得て、LabWorks(登録商標)Image Acquisition and Analysis Software (BioImaging Systems)により分析し、増幅した。
【0112】
(PGE2アッセイ)-PGE2の定量のための市販の非放射性の方法 (Caymen Chemical, Ann Arbor, MI)を利用し、製造業者の推奨する方法を変更を加えずに使用した。手短には、PGE2スタンダードサンプルの段階希釈を含む培地 25μLを、適当な量のアセチルコリンエステラーゼ標識トレーサーおよびPGE2抗血清と共に混合し、室温で18時間インキュベーションした。ウェルを空にしてバッファーですすいだ後、アセチルコリンエステラーゼの基質を含有するエルマン試薬 200μLを加えた。反応は、緩やかな振盪機上で、室温で1時間行い、415nmの吸光度を決定した。PGE2濃度は、105細胞当たりのピコグラムとして表した。
【0113】
結果-AGS細胞株はCOX-1およびCOX-2双方を構成性発現しており、COX-1の発現はCOX-2の発現より約4倍多い。18時間にわたるAGS細胞におけるPGE2合成は、660pg/105細胞であった。したがって本実施例は、COX-1およびCOX-2の構成性発現を有するAGSヒト胃粘膜細胞株が、シクロオキシゲナーゼ阻害化合物の消化器への毒性を評価するためのモデルとして使用できることを実証している。
【0114】
過去において古典的なCOX-2の仮説は、消化器粘膜におけるCOX-2の発現の役割を過小評
価してきた。正常な胃粘膜においてCOX-1が主なCOXアイソザイムであるが、本実施例および文献において実証されたように、検出可能な量のCOX-2mRNAおよびタンパク質の双方が、動物およびヒト双方における胃粘膜の特定の場所で構成性発現され、かつ誘導可能であるという証拠が増加している (Halter et al. Gut 49: 443-453 (2001))。ラットにおける最近の試験は、COX-1またはCOX-2の選択的阻害が潰瘍発生性ではないのに対して、COX-1およびCOX-2双方の複合的阻害は、NSAID(例えばインドメタシン)の効果に匹敵する胃および小腸における重症の病変を誘導することを示した。この観察結果は、消化器粘膜の完全性の維持に対するCOX-2の重要な寄与を示唆する。
【0115】
実施例2
刺激および無刺激のネズミマクロファージにおける、ホップ(Humulus lupulus)化合物および誘導体によるPGE2合成の阻害
概要-本実施例は、RAW 264.7ネズミマクロファージモデルにおいて、ホップ画分および誘導体がCOX-1のPGE2合成を上回って優先的にCOX-2のPGE2合成を阻害することを例証する。
【0116】
(化学薬品および試薬)-細菌のリポ多糖(LPS; B E. coli 055: B5)はSigma (St. Louis,
MO)より入手した。ホップ画分である(1)アルファホップ(1%アルファ酸;AA)、(2)アロマホップ OE (10%ベータ酸および2%異性体化アルファ酸)、(3)イソホップ(異性体化アルファ酸;IAA))、(4)ベータ酸溶液(ベータ酸;BA)、(5)ヘキサホップゴールド(ヘキサヒドロ異性体化アルファ酸;HHIAA)、(6)レジホップ(redihop)(還元異性体化-アルファ酸;RIAA)、(7)テトラホップ(テトラヒドロ-イソ-アルファ酸;THIAA)および(8)ホップ粕は、Betatech Hops Products (Washington, D.C., U.S.A.)より入手した。ホップ粕は等容量の無水エタノールで2回抽出した。エタノールは、濃厚な褐色の残渣しか残らなくなるまで40℃で加熱することにより除去した。この残渣をRAW 264.7 細胞における検査用のDMSOに溶解させた。他に記述してなければ、すべての標準的な試薬はSigma (St. Louis, MO)より入手し、市販により入手可能な最も高純度のものとした。他の化学薬品および装置はすべて、実施例1に記載のとおりとした。
【0117】
(細胞培養)-American Type Culture Collection (Catalog #TIB-71, Manassas, VA)より入手したRAW 264.7細胞は、ダルベッコ変法イーグル培地 (DMEM, Mediatech , Herndon, VA)中で増殖させ、対数増殖期に維持した。DMEM増殖培地は、DMEM 500mLのビンに、加熱不活性化したFBS 50mL およびペニシリン/ストレプトマイシン 5mLを加えることにより作成し、4℃で保存した。増殖培地は、使用前に水浴中で37℃に温めた。
【0118】
実験第1日、午前中に、対数増殖期のRAW 264.7細胞を96ウェル組織培養プレートにおいて1ウェル当たり0.2 mLの増殖培地中に1ウェル当たり8×104 細胞にて蒔いた。その日の最後に(プレーティング後6〜8時間)、各ウェルから増殖培地100μLを抜き取り、新鮮な培地100μLに置換した。
【0119】
RAW 264.7細胞におけるCOX-2の発現を誘導するために使用する、LPSの1.0mg/mLストック溶液は、1mL DMSO中に1.0mg LPSを溶かすことにより調製した。これを溶解するまでボルテックスで攪拌し、4℃で保存した。使用前、室温にてまたは37℃水浴中で融解させた。
【0120】
実験第2日、検査材料はDMSO中の1000倍ストックとして調製した。1.7 mLミクロチューブ(microfuge tube)中に、FBSを含まないDMEM 1mLを、0.05、0.10、0.5、および1.0μg/mLの検査濃度用に加えた。検査材料の1000倍DMSOストック 2μLを、FBSを含まない培地 1mLに加えた。チューブには検査材料の最終濃度の2倍濃度を含有するものとし、これをインキュベーター中に10分間置き、37℃に平衡化させた。
【0121】
COX-2に伴うPGE2合成に関して、第1日に調製した細胞プレートの各ウェルから培地 100μLを抜き取り、平衡化した最終濃度の2倍の検査化合物 100μLと置換した。その後細胞を90分間インキュベーションした。LPS 20μLを、刺激する細胞の各ウェルに加えて、最終濃度 10ng LPS/mLとし、細胞を4時間インキュベーションした。LPSの刺激後、細胞の外観を観察し、細胞の生存度を3-(4,5‐ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)に基づいた比色分析(Sigma, St. Louis, MO)により評価した。MTT溶液は、PGE2決定のためのサンプル採取後ウェルに直接加えた。各ウェルの吸光度を、ELISAプレートリーダーを用いて580nmで読んだ。いずれの化合物についても、検査した最も高濃度でも毒性は観察されなかった。各ウェルからの培地上清25μLを、培地中に放出されたPGE2を決定するための清浄なミクロチューブに移した。PGE2は、先に実施例1に記載したようにアッセイし、報告した。
【0122】
COX-1に伴うPGE2合成に関して、第1日に調製した細胞プレートの各ウェルから培地 100μLを抜き取り、平衡化した最終濃度の2倍の検査化合物 100μLと置換した。その後細胞を90分間インキュベーションした。次にLPSによる刺激の代わりに、細胞を100μM アラキドン酸と共に15分間インキュベーションした。各ウェルからの培地上清25μLを、培地中に放出されたPGE2を決定するための清浄なミクロチューブに移した。細胞の外観を観察し、細胞の生存度を上に記載したように決定した。いずれの化合物についても、検査した最も高濃度でも毒性は観察されなかった。各ウェルからの培地上清25μLを、培地中に放出されたPGE2を決定するための清浄なミクロチューブに移した。PGE2は、先に実施例1に記載したように決定し、報告した。COX-1およびCOX-2の双方からのPGE2合成に関する50%抑制濃度(IC50)は、以下のように算出した。
【0123】
PGE2合成に関する50%抑制濃度(IC50)は、CalcuSyn (BIOSOFT, Ferguson, MO)を用いて算出した。この統計学的パッケージは、Chou and Talaly, Adv. Enzyme Regul. 22: 27-55. (1984) により記載されたmedian effect(半数効果、50%効果)法を用いて多剤の用量-効果の算出を行う。上記文献を本明細書に参照として援用する。
【0124】
手短には、この分析は最もシンプルな可能な式:fa/fu=(C/Cm)mにおいて“用量”および“効果”を相関させる。式中、Cは化合物の濃度または用量であり、Cmは、効力を示す有効な用量の中央値である。Cmは、median-effectプロットのx切片から決定される。検査材料の濃度により影響を受ける分画はfaであり、濃度により影響を受けない分画はfuである(fu=1-fa)。指数部mは、用量-効果曲線のシグモイド性(sigmoidicity)または形を示すパラメータである。このパラメータは、median-effectプロットの傾きにより見積もられる。
【0125】
median-effectプロットは、x=log(C) 対 y=log(fa/fu)のグラフであり、Chouのmedian-effect式の対数の形を基本とする。median-effect式に対するデータの適合度は、median-effectプロットの線形相関の相関係数rにより表される。通常、酵素または受容体系からの実験データはr>0.96、組織培養からはr>0.90、動物系からはr>0.85を有する。本明細書に報告した、細胞に基づく試験において、すべての線形相関の相関係数は0.90より大きかった。実験は異なる3日間にて3回繰り返した。各用量の阻害のパーセントは、3回の独立した実験全体の平均とし、この値を使用して報告した50%抑制濃度を算出した。
【0126】
【表3】
【0127】
表3に見られるようにすべてのホップ画分および誘導体は、この標的マクロファージモデルにおいてCOX-1を上回ってCOX-2を選択的に阻害した。このことは新規のそして予想外の発見であった。ホップ誘導体であるIAAおよびRIAAに関するCOX-2の選択性の程度、それぞれ144倍および87倍は、予想外であった。このRAW 264.7細胞モデルにおいて、属Aの化合物は属Bの化合物より高いCOX-2選択性を示し、それぞれ平均して116倍 対 16倍の、より高いCOX-2選択性を示した。アルファ酸、ベータ酸、およびホップ粕もまた、COX-1/COX-2比、それぞれ30、54および24を有する高い選択的COX-2阻害剤であった。低い50%抑制濃度と組み合わせてのこのような高いCOX-2選択性は、他の供給源由来の天然生成物についてはこれまでに報告されていない。アロマホップは、COX-1/COX-2比 2.6を有する、最も低いCOX-2選択性であった。
【0128】
実施例3
ヒト大動脈内皮細胞における還元異性体化アルファ酸およびクルクミン抽出物の組み合わせにより得られるPGE2阻害の相乗性
概要-本実施例は、腫瘍壊死因子α(TNF-α)-刺激ヒト大動脈内皮細胞の炎症モデルにおけるプロスタグランジンE2 (PGE2)の阻害への、還元異性体化アルファ酸(RIAA)およびクルクミンの組み合わせの効果を実証する。
【0129】
本実験に使用した標準的な装置は、実施例1に記載している。化学薬品および試薬は、以下のように入手した。TNF-αはSigma (St. Louis, MO)より得た。プロスタグランジンE2モノクローナル抗体キットは、Cayman Chemical (Ann Arbor, MI)より購入した。加熱不活性化したウシ胎児血清(FBS-HI Cat. #35-011CV)およびダルベッコ変法イーグル培地(DMEM Cat. #10-1013CV)は、Mediatech (Herndon, VA)より購入した。他に記述してなければ、すべての標準的な試薬はSigma (St. Louis, MO)より入手し、市販により入手可能な最も高純度のものとした。検査物質は、Betatech Hops Products (Washington, DC)より入手したRIAA (レジホップ(rho-イソ-アルファ酸(RIAA)、29.5-30.5%、<0.2% イソ-アルフ
ァ酸))、およびクルクミン抽出物(06656)(Metagenics, Gig Harbor, WA)を含んだ。クルクミンの他の市販の供給元は、Nutriscience Innovations (Fairfield CT)を含む。
【0130】
(細胞培養および検査材料による処理)-ヒト大動脈内皮細胞(HAEC)は、Cambrexより入手し(Catalog #CC-2525, Walkersville, MD)、供給元の指示に従って継代培養した。実験用にHAECは、EGM-2増殖培地(Cambrex #cc-4176; ウシ胎児血清(FBS)、ヒドロコルチゾン、hFGF-B、VEGF、R3-IGF-1、アスコルビン酸、hEGF、GA-1000(ゲンタマイシン/アンホテリシンB)およびヘパリンを含有する)を含有するT75フラスコ中で、37℃、加湿した95% 空気/5% CO2雰囲気下で増殖させる。細胞が集密化する前に、新鮮なトリプシン溶液で処理することにより、マイクロタイタープレートでの検査用に調製し、カウントした。1ウェル当たり200μL EGM-2増殖培地を加えた96ウェルプレート中に、およそ105細胞/ウェルを分注した。細胞は、検査材料およびTNF-αによる処理前に、80%の集密度に達するまで放置した。
【0131】
実験の日に、EGM-2増殖培地を吸引し、検査材料を含有する200μL EGM-2を代わりに加えた。検査材料を含有するEGM-2増殖培地は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中の250倍ストック検査材料 4μLをEGM-2 1mLに加えることにより調製した。したがって各ウェルは、同量のDMSOを含有した。コントロールウェルには、増殖培地のみの中にDMSOを加えた。検査材料の最終濃度は、5、1、0.1および0.01μg/mLとした。検査材料は、100ng/ml TNF-αでの刺激の前に加えた。
【0132】
表4は、検査材料、続いてTNF-α刺激にて処理したHAECに関する用量マトリックスを示す。
【0133】
【表4】
HAECのTNF-α処理に関するポジティブコントロールが細胞を刺激していなかった実験は、除外した。
【0134】
(PGE2の決定)-PGE2定量用の市販の非放射性の方法 (Caymen Chemical, Ann Arbor, MI)をPGE2の決定のために利用し、製造業者の推奨する方法を変更を加えずに使用した。手短には、培地上清 50μLを適当な量のアセチルコリンエステラーゼ標識したトレーサーおよびPGE2抗血清で希釈し、室温で18時間インキュベーションした。その後PGE2アッセイマイクロプレートのウェルを空にして洗浄バッファーですすいだ後、アセチルコリンエステラーゼの基質を含有するエルマン試薬 200μLを加えた。反応は、緩やかな振盪機上で、室温で1時間維持し、Bio-tek Instruments (Model #Elx800, Winooski, VT)酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)プレートリーダーにて、415nmの吸光度を決定した。このアッセイに関する製造業者の規格は、<10%のアッセイ内変動係数、1%未満のPGD2およびPGF2αとの交差反応性、および10-1000pg mL-1の範囲にわたる直線性を含む。PGE2濃度は、以下に記載するように105細胞当たりのpgPGE2としてコンピュータにより算出した。
【0135】
PGE2アッセイに関連する算出として、PGE2合成に関する50%抑制濃度(IC50)を、CalcuSyn (BIOSOFT, Ferguson, MO)を用いて算出した。この統計学的パッケージは、Chou and Talaly (Adv. Enzyme Regul. 22: 27-55. (1984))により記載されたmedian effect法を用いて多剤の用量-効果の算出を行う。
【0136】
手短には、この分析は最もシンプルな可能な式:fa/fu=(C/Cm)mにおいて“用量”および“効果”を相関させる。式中、Cは化合物の濃度または用量であり、Cmは、効力を示す有効な用量の中央値である。Cmは、median-effectプロットのx切片から決定される。検査材料の濃度により影響を受ける分画はfaであり、濃度により影響を受けない分画はfuである(fu=1-fa)。指数部mは、用量-効果曲線のシグモイド性または形を示すパラメータである。このパラメータは、median-effectプロットの傾きにより見積もられる。
【0137】
Median-effectプロットは、x=log(C) 対 y=log(fa/fu)のグラフであり、Chouのmedian-effect式の対数の形を基本とする。median-effect式に対するデータの適合度は、median-effectプロットの線形相関の相関係数rにより表される。通常、酵素または受容体系からの実験データはr>0.96、組織培養からはr>0.90、動物系からはr>0.85を有する。本明細書に報告した、細胞に基づく試験において、すべての線形相関の相関係数は0.90より高かった。最も確かな結果を得るため、実験は異なる3日間にて最低3回繰り返す。各用量の阻害のパーセントは、3回の独立した実験全体の平均とし、この値を使用して報告した50%抑制濃度を算出する。
【0138】
検査化合物の相乗作用はcombination index (CI)パラメータを用いて定量した。Chou-TalalyのCIは、多剤の用量-効果を基本としており、酵素の動力学的モデル(Chou and Talaly, J. Biol. Chem. 252: 6438-6422 (1977))から導かれている。この等式は相乗作用または拮抗作用よりむしろ相加的効果のみを決定する。本明細書において相乗作用は、Chou
and Talaly、上記、1977により提案されたような予想される相加的効果より高い効果として、そして拮抗作用は予想される相加的効果より低い効果として定義する。相加的効果としてCI=1と表記することを使用して、同じ作用様式を有する相互に排他的な化合物に関して、または全体として独立した作用様式を有する相互に非排他的な薬剤に関して、以下の関係が得られる:CI<1、=1、および>1は、それぞれ相乗作用、相加作用、および拮抗作用を示す。
【0139】
(細胞の生存度)-細胞の生存度は、PGE2アッセイ用に培地からサンプル採取する前、またはサンプル採取した直後に目視により評価した。細胞の致死率は、観察時に記録した。
統計的方法のため最低4つの濃度(表4)を使用して、CalcuSyn (BIOSOFT, Ferguson, MO)を用いて用量-応答曲線、および50%抑制濃度(IC50)とその95%信頼区間をコンピュータにより算出した。この統計学的パッケージは、Chou and Talaly(上記、1984)により記載されたmedian effect法を用いて、多剤の用量-効果の算出を行う。すべての用量-応答デー
タから50%抑制濃度を得た。2つのデータ変換を正当な理由がある場合に適用した。最初の変換は、低い用量でのPGE2産生がTNF-α刺激コントロールでのPGE2産生を上回っている場合に、最も低い検査濃度から得られた最も高いPGE2産生から、阻害のパーセントをコンピュータで計算することをから成る。この方法は、プレートを通しての応答の変動および勾配について調節する。第2のデータ変換は、段階的用量での応答における変動について調整した。ウェル間での過去の変動を用いてのMonte Carloシミュレーションは、4ポイントの用量-応答曲線において1濃度当たりダブルのウェルを使用する場合、用量-応答曲線は40%しか段階的には現れない、と予測した。それ故、応答が段階的に現れない状態については、IC50を算出する前に濃度による応答の選別を行った。
【0140】
(結果)-本試験においてRIAAに関して得られたIC500.81μg/mL (95%信頼限界(CL) 0.19-3.4)は、他の炎症モデル、例えばLPS-RAW 264.7モデルを用いての、RIAAの以前の結果と一致した。クルクミンは、様々な炎症モデルについて文献で報告された値と一致する、50%抑制濃度 1.4μg/mL (95%CL 0.75 -2.7)を示した。クルクミンに関して報告された50%抑制濃度の例は、マウス表皮における12-O-テトラデカノイルフォルボル(phorbol)-13-アセテート(TPA)-誘導シクロオキシゲナーゼ活性の阻害に関する1.8〜3.6μg/mL(5〜10μM)(Huang et al., Cancer Res. 51:813-819 (1991));ヒト消化器上皮細胞におけるフォルボル12-ミリステート13-アセテート(PMA)-誘導シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)を介してのPGE2生合成の、5μM クルクミンでの63%阻害(Zhang et al., F., Carcinogenesis 20: 445-451 (1999));および未処理のHT-29ヒト大腸癌細胞における3.6μg/mLでのCOX-2タンパク質の発現のおよそ80%阻害(Goel et al., Cancer Letters 172:111-118 (2001))を含む。COX-1およびCOX-2の直接的阻害の研究は、PGE2阻害に関するむしろ高いIC50値、および低いCOX-2選択性、それぞれおよそ70μg/mL、および2.1倍を示す(Ramsewak et al., Phytomedicine 7: 303-308 (2000))。
【0141】
TNF-αに刺激されたHAECに関するRIAA、クルクミン、およびRIAA:クルクミンの組み合わせについての50%抑制濃度を、各組み合わせについてコンピュータにより算出された相乗作用の領域と共に、表5に示す。相乗作用は、用量-応答曲線の異なる区域ではあるものの、すべてのRIAA:クルクミンの組み合わせについて認められた。相乗作用の領域は、用量応答曲線の低用量領域および高用量領域の双方で、そしてRIAA>クルクミンの組み合わせでも、またRIAA<クルクミンの場合にも(例えばRIAA:クルクミン 100:1〜1:100まで)見られた。したがって、投与される製剤中の成分の比率にかかわりなく、RIAAおよびクルクミン双方の広範囲な用量にわたりin vivoで相乗作用が起こることを期待することは、妥当である。
【0142】
【表5】
HEACは、TNF-αの刺激60分前に検査材料にて処理し、一晩インキュベーションした。TNF-αの刺激の18時間後に、PGE2決定のため培地上清をサンプル採取した。50%抑制濃度は、3回の独立した実験にわたる最低4つの濃度からコンピュータにより算出した。CIは上に記載したようにコンピュータにより算出した。
【0143】
図6は、コンピュータにより算出したCombination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【0144】
これらの結果は、RIAAおよびクルクミン抽出物がTNF-αで刺激されたHAECにおけるPGE2の生合成の効力ある阻害剤であることを示す。PGE2の生合成の阻害に関するRIAAおよびクルクミン間の相乗作用は、RIAA:クルクミン比 100:1、10:1、3:2で観察された。100:1および10:1の組み合わせに関して、この相乗作用は用量-応答曲線の高用量領域で起こっており、それぞれ3.4および30μg/mLより高いRIAAの濃度を意味する。特に有効な相乗作用は、RIAA:クルクミン 3:2の比率で観察され、この場合は0.36μg/m未満 RIAA濃度に対して、CIが1より低かった。検査したRIAA:クルクミンの組み合わせに関して、拮抗作用は相乗作用より高頻度で観察された。最も顕著な拮抗作用は、4.6μg/mLにまでIC50が有意に増加し、IC50、IC75およびIC90の平均CIが15であった40% RIAAで認められた。
【0145】
実施例4
RAW 264.7細胞における、還元異性体化アルファ酸およびカフェインの組み合わせにより得られるPGE2阻害の相乗作用
本実施例は、リポ多糖(LPS)により刺激されたRAW 264.7炎症モデルにおいて、PGE2産生の阻害におけるRIAAおよびカフェインの組み合わせの効果について記載する。
【0146】
これらの実験で使用する標準的な装置は、実施例1で記載している。化学薬品および試薬は以下のように入手した。細菌のリポ多糖(LPS; B E. coli 055:B5)はSigma (St. Louis, MO)より得た。プロスタグランジンE2モノクローナル抗体キットは、Cayman Chemical (Ann Arbor, MI)より購入した。加熱不活性化したウシ胎児血清(FBS-HI Cat. #35-011CV)、およびダルベッコ変法イーグル培地 (DMEM Cat# 10-1013CV)はMediatech (Herndon, VA)より購入した。他に記述してなければ、すべての標準的な試薬はSigma (St. Louis, MO)
より入手し、市販により入手可能な最も高純度のものとした。検査物質には、Betatech Hops Productsより入手したRIAA (レジホップ(rho-イソ-アルファ酸(RIAA)、29.5-30.5%、<0.2% イソ-アルファ酸) (Washington, DC)、およびカフェイン(Sigma, St. Louis, MO)を含んだ。
【0147】
(細胞培養、および検査材料による処理)- RAW 264.7細胞(ATTC #TIB-71)は、American Type Culture Collection (Manassas, VA)より入手し、供給元の指示に従って継代培養した。検査用の調製において細胞は、ペニシリン/ストレプトマイシンを含む10% FBS-HIを含む増殖DMEM培地で増殖させ、実験開始前、対数増殖期に維持した。実験の第2日に、1ウェル当たり200μL 増殖培地を含む96ウェル組織培養プレートにおいて1ウェル当たり8×104細胞にて細胞を蒔いた。
【0148】
一晩37℃、5% CO2でインキュベーション後、増殖培地を吸引し、FBSまたはペニシリン/ストレプトマイシンを含まないDMEM 200μLで置換した。検査材料はDMSO中に250倍ストック溶液として溶解させた。この250倍ストック検査材料調製液 4μLをDMEM 1mLに加え、この溶液の200μLを、検査材料の各用量についてダブルでウェルに加えた。検査材料の最終濃度は10、1、0.1および0.01μg/mLとした。検査化合物を加えた後60分に、COX-2発現を刺激するため、LPSを1.0μg/mLの濃度で加えた。表6は、検査材料およびLPS刺激により処理したRAW 264.7細胞に関する用量マトリックスを示す。LPSの刺激が有効ではなかった、またはRIAAの結果が過去の値と有意に異なっていた実験のデータは、50%抑制阻害濃度およびRIAA:カフェインの相乗作用の決定から除外した。
【0149】
【表6】
PGE2のアッセイは、本質的には実施例3に記載したように行った。
【0150】
(細胞の生存度)-細胞の生存度は、PGE2アッセイ用に培地からサンプル採取する前、またはサンプル採取した直後に目視により評価した。細胞の致死率は、観察時に記録した。
低い用量でのPGE2産生が、LPS刺激によるコントロールのPGE2産生を上回っている場合
に、最初の変換が、最も低い検査濃度から得られた最も高いPGE2産生から、阻害のパーセントをコンピュータで計算することから成ることを除いて、統計的方法は、本質的には実施例3に記載のように行った。
【0151】
結果-本研究においてRIAAに関して得られたIC501.3μg/mL (95%信頼限界(CL) 0.41-3.9μg/mL)は、LPS-RAW 264.7の一晩のプロトコルを用いての本研究室におけるRIAAの以前の結果と一致した。本研究におけるカフェインに関するPGE2の50%抑制濃度 25μg/mL (95%CL 4.6-138)は、文献(Fiebich et al., Neuropharmacology 39: 2205-2213 (2000))において最近報告された 8.2μg/mLの値と一致した。RIAA、カフェイン、およびRIAA:カフェインの組み合わせのIC50およびCI値を表7に示す。
【0152】
LPSに刺激されたRAW 264.7細胞に関するRIAA、カフェイン、およびRIAA:カフェインの組み合わせについての50%抑制濃度を、各組み合わせについてコンピュータにより算出した相乗作用の領域と共に、表7に示す。相乗作用は、用量-応答曲線の異なる区域ではあるものの、すべてのRIAA:カフェインの組み合わせについて認められた。相乗作用の領域は、RIAA:カフェインの組み合わせが100:1〜3:2については用量応答曲線の高用量部分で、そして1:1およびそれより高い組み合わせについては用量応答曲線の全領域を通して見られた。したがって、投与される製剤中の成分比率にかかわりなく、RIAAおよびカフェインの双方の広範囲な用量にわたりin vivoで相乗作用が起こることを期待することは、妥当である。
【0153】
【表7】
RAW 264.7細胞は、LPSの刺激の60分前に検査材料にて処理し、一晩インキュベーションした。LPSの刺激18時間後に、PGE2決定のため培地上清をサンプル採取した。50%抑制濃度は、2回の独立した実験にわたる最低4つの濃度からコンピュータにより算出した。CIは上に記載したようにコンピュータにより算出した。
【0154】
図7は、コンピュータにより算出したCombination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【0155】
これらの結果は、LPSに刺激されたRAW 264.7炎症モデルにおいて、用量-応答曲線の一部の部分で、RIAA:カフェイン 100:1〜1:100のRIAAおよびカフェインの組み合わせがPGE2産生の阻害における相乗作用を呈したことを示す。RIAAの濃度が60%に等しいかまたはそれより低い場合に、相乗作用は特に有効であることが観察された。
【0156】
本出願を通して、様々な公開文献を参照してきた。本発明の属する技術分野の状態をより完全に記載するため、これら公開文献のそれらの全内容における開示を、本明細書により本出願における参照として援用する。本発明は上に提供した実施例を参照して記載してきたが、本発明の精神から離れることなく様々な修飾を行うことができることは、理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】図1は、シクロオキシゲナーゼ-2の誘導、およびシクロオキシゲナーゼ酵素によるアラキドン酸からプロスタグランジンおよびその他のエイコサノイドへの代謝を示す。非ステロイド抗炎症薬の作用は、シクロオキシゲナーゼ酵素の直接阻害による。
【図2】図2は、ホップから得ることのできる画分および化合物の概略を示す。
【図3】図3は、ホップから単離されたまたは由来する画分の例を図示する。図3Aは、アルファ酸属(AA)、および代表的な種であるフムロン(R= -CH2CH(CH3)2)、コフムロン(R= -CH(CH3)2)、およびアドフムロン(R= -CH(CH3)CH2CH3)を示す;図3Bは、イソアルファ酸属(IAA)、および代表的な種であるイソフムロン(R= -CH2CH(CH3)2)、イソコフムロン(R= -CH(CH3)2)、およびイソアドフムロン(R= -CH(CH3)CH2CH3)を示す;図3Cは、還元異性体化イソアルファ酸属(RIAA)、および代表的な種であるジヒドロ-イソフムロン(R= -CH2CH(CH3)2)、ジヒドロ-イソコフムロン(R= -CH(CH3)2)、およびジヒドロ-アドフムロン(R= -CH(CH3)CH2CH3)を示す;図3Dは、テトラ-ヒドロイソアルファ酸属(THIAA)、および代表的な種であるテトラ-ヒドロ-イソフムロン(R= -CH2CH(CH3)2)、テトラ-ヒドロ-イソコフムロン(R= -CH(CH3)2)、およびテトラ-ヒドロ-アドフムロン(R= -CH(CH3)CH2CH3)を示す;図3Eは、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸(HHIAA)属を、代表的な種であるヘキサ-ヒドロ-イソフムロン(R= -CH2CH(CH3)2)、ヘキサ-ヒドロ-イソコフムロン(R= -CH(CH3)2)、およびヘキサ-ヒドロ-アドフムロン(R= -CH(CH3)CH2CH3)と共に示す。
【図4A−F】図4A-Fは、クルクミノイド属(A)、および具体例としてのクルクミノイド:クルクミン(B)、デメトキシクルクミン(C)、ビスデメトキシクルクミン(D)、クルクミンのシス-トランス幾何異性体(E)、およびシクロクルクミン(F)、の一般的化学構造を図示する。
【図5A−N】図5A-Nは、具体例としてのメチルキサンチン:カフェイン(A);テオフィリン(B);1-プロパラギル3,7-ジメチルキサンチン(C);7-プロパラギル1,3-ジメチルキサンチン(D);3-プロパラギル1,7-ジメチルキサンチン(E);1,3,7-トリプロパラギルキサンチン(F);3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)(G);1,3,7-トリプロピルキサンチン(H);7-ベンジル-IBMX(I);1-プロピル3,7-ジメチルキサンチン(J);1,3-ジプロピル7-メチルキサンチン(K);1,3-ジプロピル7-プロパラギルキサンチン(L);3,7-ジメチル1-プロピルキサンチン(M);および7-アリル1,3-ジメチルキサンチン(N)、の構造を示す。
【図6A】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6B】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6C】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6D】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6E】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6F】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6G】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6H】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図7A】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7B】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7C】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7D】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7E】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7F】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7G】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7H】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、ホップ(Humulus lupulus)抽出物またはその誘導体を、クルクミノイドまたはメトチルキサンチンと組み合わせて含有する相乗的な(synergistic)医薬組成物に関する。本発明はまた、炎症を低減するために組成物を使用する方法に関する。
【0002】
プロスタグランジン類(PGs、PG類)は、即時的細胞環境で種々の生理学的変化に影響を及ぼす、パラクリンメディエータおよびオートクリンメディエータの双方として機能する遍在性のホルモンである。PG類の多様な生理学的効果には、例えば慢性関節リウマチおよび変形性関節炎のような炎症反応、血圧のコントロール、血小板の凝集、陣痛の誘発、ならびに疼痛および発熱の悪化が含まれる。アスピリンおよび他の非ステロイド鎮痛薬がPG産生を阻害するという30年前の発見が、PG合成を薬剤開発の標的と結びつけた。PGA〜PGIまで命名された9つの異なる化学的クラスに、少なくとも16の異なるPG類が存在する。PG類は、エイコサノイドと呼ばれる20の炭素を含有する化合物のより大きなファミリーの一部である;それらにはプロスタサイクリン、トロンボキサンおよびロイコトリエンが含まれる。産生されるPG類の陣容は、特定の細胞のタイプに存在する下流の酵素の機構に依存して変わる。例えば内皮細胞は主としてPDI2を産生するが、一方血小板は主にTXA2を産生する。
【0003】
アラキドン酸は、すべてのPG類の生合成の最初の基質として供される。シクロオキシゲナーゼ(プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ、EC 1.14.991, COX)は、アラキドン酸のプロスタグランジンH2 (PGH2) への代謝の律速段階を触媒し、PGH2はさらに様々なプロスタグランジン類、プロスタサイクリン、およびトロンボキサンA2に代謝される(図1を参照のこと)。1990年代初頭、COXは一般にCOX-1およびCOX-2と呼ばれる2つのアイソフォームにて存在することが確証された。COX-1およびCOX-2のタンパク質は、鳥類および哺乳動物以前に明確に分岐した別個の遺伝子に由来することが、次いで決定された。COX-1およびCOX-2の経路を介して生成されるPG類は同一の分子群であり、したがって同一の生物学的効果を有する。しかしCOX-1およびCOX-2は、ユニークなパターンおよび可変的な量のエイコサノイドを生成することができ、従って、これらのアイソザイムの活性の相対的差異が全く似ていない生物学的応答に至らせ得る。COX-1およびCOX-2の組織分布および調節における差異が、COX阻害剤の有益な効果ならびに副作用に関して重大であると現在考えられている。
【0004】
一般に抱かれている概念(COXの教義(dogma))は、COX-1はほとんどの組織で構成性に発現されているのに対して、COX-2はin vitroの細胞において、そしてin vivoの炎症部位において、マイトジェン、サイトカイン、および細菌のリポ多糖(LPS)を含む炎症誘発性の刺激が引き金となる誘導性の酵素である、というものである。主に、そのような発現の差異に基づいて、COX-1はハウスキーピング酵素として特徴付けられ、そして生理学的機能(例えば胃粘膜の細胞保護作用、腎血流の調節、および血小板の凝集のコントロール)を維持することに関与すると考えられている。COX-2は、脳、腎臓および消化管において構成性の発現が見出されているが、主に炎症を介在すると考えられている。
【0005】
プロスタグランジン(PG)は、ヒトの胃粘膜のホメオスタシスの維持に重要な役割を担っていると思われている。現在の教義は、COX-1は粘膜のホメオスタシスを維持するために正常な胃粘膜におけるPGの合成の責任を担っており、そしてCOX-2は、正常な胃粘膜により低レベルで発現されているが、エンドトキシンの暴露またはサイトカインの刺激後の潰
瘍の治癒中には発現が誘導される、というものもある。COX-1およびCOX-2の双方が、正常な胃粘膜において重要な生理学的役割を有することが、現在明らかである。
【0006】
COXによるPG類の産生を阻害する化合物は、疼痛および炎症のコントロールにおいて重要な薬剤となってきた。これらの薬剤は集合的に非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)として知られ、それらの主な適用は、変形性骨関節炎および慢性関節リウマチである。しかしNSAIDs、特にアスピリンの使用は、心血管疾患の予防にまで拡大している。過去10年間にわたり、COX-2の酵素活性の直接的な阻害剤である新規分子の開発には、これらの化合物は慢性的な使用に伴う胃への刺激がより低いであろうという推論と共に、かなりの努力が費やされてきた。
【0007】
COX-2選択性(すなわち胃への低刺激性)を確認することに関連する主要な問題は、アッセイの方法論の違いが、得られる結果に著明な効果を及ぼす可能性があることである。表1に示すのは、COX-1およびCOX-2に対するNSAIDおよび天然化合物の相対的阻害活性を検査および比較するために開発された、多数のin vitro のアッセイの分類である。これらの検査システムは、3つの群:(1)動物の酵素、動物の細胞または細胞株を使用するシステム、(2)ヒトの細胞株、またはヒトの血小板および単球を使用するアッセイ、ならびに(3)NSAIDおよび栄養補助食品の抗炎症効果および副作用に関する標的細胞の代表であるヒトの細胞を使用する現在開発中のモデル、に分類することができる。一般に、ヒトの細胞株またはヒトの血小板および単球を使用するモデルが現在のスタンダードであり、確証された標的細胞モデルは公表されていない。胃への刺激に関する可能性を評価することのできるヒト胃細胞株が、決定的に必要とされている。
【0008】
使用する酵素は、動物またはヒト由来のものであることができ、それらは天然またはリコンビナントであることができ、そしてそれらはミクロソーム調製物質または全細胞のアッセイのいずれかにおける精製酵素として使用することができる。システムのその他の可変部分には、アラキドン酸の供給源が含まれる。PG合成は、内因的に放出されるアラキドン酸、または外部から添加されるアラキドン酸から測定することができる。後者の場合、異なる濃度が異なる研究室で使用されている。
【0009】
COX-2選択性に関する理想的なアッセイは、以下の特徴:(1) 発現に関する正常な生理学的コントロール下で天然のヒトの酵素を含有する全細胞を使用すべきである;(2) 細胞はまた、化合物の抗炎症効果および副作用に関する標的細胞であるべきである;(3) COX-2は構成性に発現されているよりむしろ、誘導されてそれにより炎症プロセスを刺激するべきである;そして(4) PG合成は、外部から添加されたアラキドン酸によるのではなく、内在する蓄積から放出されたアラキドン酸により測定されるべきである、を有するものであろう。
【0010】
【表1】
【0011】
COX-2選択性に関する理想的なアッセイを開発した研究室はまだない。処方薬(Rx)および市販薬(OTC)に関して最も一般的に使用される全細胞システムは、William Harvey Institute (Warner et al., Proc Natl Acad Sci U S A 96: 7563-7568 (1999))により開発されたヒト全血アッセイである。今日まで、このアッセイのフォーマットが、他のいかなる方法より臨床との関連性を裏付けるより多くのデータを開発してきた。しかし正常な胃粘膜におけるCOX-2の構成性の発現の役割に関する新たな研究は、COX-2不在下におけるCOX-1の阻害モデルと血小板の使用との関連性を再検討することを必要としている。血小板の研究を胃への毒性の推断の基礎とすることは、もはや堅実な分子的基盤に基づくとは言えない。シクロオキシゲナーゼ阻害剤の標的組織への可能性のある毒性を確立するためにヒト胃粘膜細胞株を確証することは、安全で効果的な抗炎症薬の開発にとっての決定的な必要性を呈することでもある。
【0012】
炎症の治療のための理想的な製剤は、胃粘膜細胞においてPGE2の合成を阻害することなく、COX-2の誘導および活性を阻害するだろう。しかし従来の非ステロイド抗炎症薬は、胃のPGE2の合成に影響を与えずにCOX-2を阻害するという特異性に欠けており、長期間使用した場合に消化器系の損傷を引き起こすリスクがある。実際、新規に開発された抗炎症薬、例えばロフェコキシブ(Vioxx(登録商標), Merk & Co., Inc.)およびセレコキシブ(Celebrex(登録商標), Pfizer, Inc.)でさえ、誘導される特発性出血および胃潰瘍の治癒の遅れという形で有害な胃への毒性をきたす。
【0013】
NSAIDの毒性
NSAIDsは、胃の出血および腎臓の損傷を含む深刻な健康問題を引き起こすことが知られている。米国において、1300万人を上回るNSAIDsの常用者がおり、毎年7000万のNSAIDの処方が書かれ、そして年間300億錠の市販のNSAIDs錠剤が売られている。NSAIDに誘発される疾患が、1年当たり103,000件の入院、および年間推定16,500人の死亡を引き起こす。すべての慢性的NSAID使用者の20%が、消化性潰瘍を発症するだろう。NSAID使用者は、上部消化器の出血、穿孔、または双方への、より高いリスク−3倍〜4倍高い−を有する。重症のNSAID誘発性の合併症で入院した患者の81%は、消化器の症候の既往はなかった。60歳以上の人は、NSAID使用に伴う合併症を経験する、有意に高い可能性を有する。さらに米国における薬剤の副作用全体の21%が、NSAIDの使用による。
【0014】
新しい選択的COX-2阻害剤、例えばセレコキシブおよびロフェコキシブは、ほとんどのNSAIDsに対するより安全な代替物となることが示された。しかし最近の試験は、選択的COX-2阻害剤が消化器への毒性を完全には排除しないことを指摘している。事実、消化管の炎症または潰瘍形成の場合、処方のCOX-2阻害剤は潰瘍の治癒を遅らせ得る。
【0015】
それ故、胃粘膜におけるPGE2の合成にほとんどまたは全く影響を及ぼさずに、COX-2によるプロスタグランジンの合成を特異的に阻害または予防するような化合物の天然製剤を同定することは有用であろう。そのような製剤は、関節組織の健康を保持するため、関節炎またはその他の炎症状態を治療するために有用であろう。“特異的または選択的COX-2阻害剤”という用語は、COX-1を上回ってCOX-2を選択的に阻害する化合物または化合物の混合物を包含するよう造られた。しかしその含意が、そのような計算された選択性が胃へのより低い刺激をもたらすだろうということである一方で、検査材料が胃の細胞で評価されなければ、“選択的COX-2阻害剤”という用語が消化器細胞への安全性の保証を与えることはない。標的組織、炎症細胞および胃粘膜細胞における化合物の作用を検査することでのみ、胃への刺激に対する潜在能力の低いそれら薬剤を同定するだろう。
【0016】
したがって、炎症細胞においてCOX-2酵素活性の発現を特異的に阻害または予防し、一方胃の粘液細胞においてはPGE2合成にほとんどまたは全く影響を及ぼさず、その結果消化器の不調を伴うことなくこれらの製剤を使用することができるような組成物を同定することは有用であろう。さらにそのような製剤は、胃に予め存在している潰瘍性の状態の治癒も許容することができるはずである。本発明はこの必要性に応え、関連する利点も同様に提供する。
【0017】
発明の概要
本発明は、ホップから単離されたまたは由来する画分、およびメチルキサンチンを含有する組成物を提供する。本発明は加えて、ホップに由来する画分およびクルクミノイドを含有する組成物を提供する。本発明はまた、炎症を低減させるためにそのような組成物を使用する方法を提供する。
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、炎症を低減するための組成物および方法を提供する。特に本発明は、ホップ(Humulus lupulus)から単離されたまたは由来する画分を、クルクミノイドまたはメチルキサンチン、例えばカフェインと組み合わせて提供する。本発明は、患者の炎症を予防的および/または治療的に処置する上で使用するための、ホップ(Humulus lupulus)抽出物またはその誘導体をクルクミノイドまたはメチルキサンチンと組み合わせて提供する。
【0019】
本発明はまた、プロスタグランジンE2 (PGE2)を相乗的に阻害する、クルクミンと組み合わせてのホップから単離されたまたは由来する画分(例えばイソアルファ酸または還元イソアルファ酸)を投与することにより、炎症を低減する方法を提供する。本発明は加えて、PGE2を相乗的に阻害する、メチルキサンチンと組み合わせてのホップから単離されたまたは由来する画分(例えばイソアルファ酸または還元イソアルファ酸)を投与することにより、炎症を低減する方法を提供する。
【0020】
ホップ誘導体の急性の毒性は非常に低い。したがって所望であれば、ホップによる毒性の影響を受けずに、比較的高用量のホップ誘導体を使用することができる。毒性のある用量は、本発明に従って意図される治療用量よりかなり高い。
【0021】
本発明はまた、ホップ抽出物またはその誘導体の活性量を、クルクミノイドまたはメチルキサンチンと組み合わせて包含する医薬組成物を提供する。本発明はさらに、炎症障害
を有意に低減するおよび/または治療的に処置する、ホップ抽出物またはその誘導体の使用について提供する。
【0022】
本明細書において使用する場合“栄養補助食品”という用語は、生理機能における構造的または機能的変化に影響を与えるために消費される組成物をいう。“治療組成物”という用語は、疾患を治療もしくは予防するため、または疾患に伴う兆候もしくは症候を寛解させるために、投与される化合物をいう。
【0023】
本明細書において使用する場合“有効量”という用語は、選択された結果を達成するために必要な量を意味する。そのような量は、過度の実験なしに当業者により容易に決定することができる。
【0024】
本明細書において使用する場合“実質的な”という用語は、大体は特定されているとおりであるが完全にではないことを意味する。
本明細書において使用する場合“COX阻害剤”という用語は、COX-2酵素の活性もしくは発現を阻害することのできる、または重症の炎症性応答の、疼痛および腫脹を含む重症度を阻害または低減することのできる化合物の組成物をいう。
【0025】
本明細書において使用する場合、“誘導体”という用語または“由来する”ものは、別の物質と構造的に関連する化学的物質、および該物質から理論的に得られうる化学的物質、すなわち別の物質から作製することのできる物質をいう。誘導体は、化学反応を介して得られる化合物を含むことができる。化合物の誘導体を作製する方法は、当業者に周知である。
【0026】
本明細書において使用する場合“炎症細胞”という用語は、炎症性のシグナル(例えばインターロイキン、腫瘍壊死因子、ブラジキニン、ヒスタミンまたは細菌由来成分)に応答してのプロスタグランジンの合成に関与する免疫系の細胞のメンバー(例えばBリンパ球およびTリンパ球、好中球またはマクロファージ)をいう。
【0027】
本明細書において使用する場合“標的細胞”という用語は、そこにおけるPGE2またはその他のプロスタグランジンの合成の阻害が望まれる細胞集団、例えば炎症細胞または腫瘍細胞をいう。あるいは“非標的細胞”は、そこにおけるPGE2またはその他のプロスタグランジンの合成の阻害が望まれない細胞集団、例えば胃粘膜細胞、神経細胞、または腎細胞をいう。
【0028】
本明細書において使用する場合“ホップ抽出物”という用語は、(1)ホップ植物の生成物を溶媒に暴露する、(2)該ホップ植物の生成物から該溶媒を分離する、(3)該溶媒を除去する、ことから得られる固体材料をいう。
【0029】
本明細書において使用する場合“溶媒”という用語は、ホップ植物の生成物から固体材料を抽出するために必要な特徴を保有する水性または有機性の性質の液体をいう。溶媒の例は、水、水蒸気、過熱した水、メタノール、エタノール、ヘキサン、クロロホルム、塩化メチレン、液体もしくは超臨界のCO2、液体N2、またはそのような材料の組み合わせを含むであろうがこれに限定されない。
【0030】
本明細書において使用する場合“CO2抽出物”という用語は、ホップ植物の生成物を液体または超臨界のCO2調製液に暴露させた後、CO2を除去することから得られる固体の材料をいう。
【0031】
本明細書において使用する場合“ホップ粕(spent hops)”という用語は、ホップの抽出
物からの固体および親水性の残渣をいう。
本明細書において使用する場合“アルファ酸”という用語は、集合的にフムロンとして知られている化合物をいい、ホップ植物の生成物から単離することができ、とりわけ、フムロン、コフムロン、アドフムロン、フルポン(hulupone)、およびイソプレフムロン(isoprehumulone)を含む。
【0032】
本明細書において使用する場合“イソアルファ酸”という用語は、ホップ植物の生成物から単離し、これをその後異性体化した化合物をいう。アルファ酸の異性体化は熱的に(例えば沸騰)起こすことができる。イソアルファ酸の例は、イソフムロン、イソコフムロン、およびイソアドフムロンを含むがこれに限定されない。
【0033】
本明細書において使用する場合“還元イソアルファ酸”という用語は、ホップ植物の生成物から単離し、これをその後異性体化および還元したアルファ酸をいい、シス型およびトランス型を含む。還元イソアルファ酸(RIAA)の例は、ジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、およびジヒドロ-アドフムロンを含むがこれに限定されない。
【0034】
本明細書において使用する場合“テトラ-ヒドロイソアルファ酸”という用語は、還元イソアルファ酸のある種のクラスをいう。テトラ-ヒドロイソアルファ酸(THIAA)の例は、テトラ-ヒドロ-イソフムロン、テトラ-ヒドロ-イソコフムロン、およびテトラ-ヒドロ-アドフムロンを含むがこれに限定されない。
【0035】
本明細書において使用する場合“ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸”という用語は、還元イソアルファ酸のある種のクラスをいう。ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸(HHIAA)の例は、ヘキサ-ヒドロ-イソフムロン、ヘキサ-ヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサ-ヒドロ-アドフムロンを含むがこれに限定されない。
【0036】
本明細書において使用する場合“ベータ酸画分”という用語は、集合的にルプロンとして知られている化合物をいい、とりわけルプロン、コルプロン、アドルプロン、テトラヒドロイソフムロンおよびヘキサヒドロコルプロンを含む。
【0037】
本明細書において使用する場合“必須オイル画分(essential oil fraction)”という用語は、とりわけミルセン、フムレン、ベータ-カリオフィレン、ウンデカン-2-オン、および2-メチル-ブト-3-エン-オールを含む成分の、複合的(complex)混合物をいう。
【0038】
本明細書において使用する場合“メチルキサンチン”という用語は、カフェイン;テオブロミン;テオフィリン;アミノフィリン;ドキソフィリン;ペントキシフィリン;8-オキソペントキシフィリン;8-オキソリソフィリン;およびリソフィリンを含むがこれに限定されない、メチル化キサンチン誘導体として分類される化合物をいう。具体例としてのメチルキサンチンを図5に示すが、それらは、カフェイン;テオフィリン;1-プロパラギル(proparagyl)3,7-ジメチルキサンチン;7-プロパラギル1,3-ジメチルキサンチン;3-プロパラギル1,7-ジメチルキサンチン;1,3,7-トリプロパラギルキサンチン;3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX);1,3,7-トリプロピルキサンチン;7-ベンジル-IBMX;1-プロピル3,7-ジメチルキサンチン;1,3-ジプロピル7-メチルキサンチン;1,3-ジプロピル7-プロパラギルキサンチン;3,7-ジメチル1-プロピルキサンチン;および7-アリル1,3-ジメチルキサンチンを含む。多様なメチルキサンチンが当該技術分野において周知である(例えば、Daly et al., Pharmacol. 42: 309-321 (1991); Ukena et al., Life Sci.39: 743-750 (1986); Choi et al., Life Sci. 43: 387-398 (1988); Daly et al., J. Med. Chem.
29: 1305-1308 (1986); Daly et al., Prog. Clin. Biol. Res. 230: 41-63 (1987)を参照のこと。これらの各文献を本明細書において参照として援用する)。
【0039】
本明細書において使用する場合“クルクミノイド”という用語は、クルクミンまたはクルクミン誘導体として分類される化合物をいい、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、シス-トランス-クルクミン、およびシクロクルクミンを含むがこれに限定されない。具体例としてのクルクミンを図4に示す。
【0040】
本明細書において使用する場合、化合物の“コンジュゲート”は、単糖類または二糖類、アミノ酸、スルフェート、スクシネート、アセテート、およびグルタチオンから成る群から選択されるメンバーと、共有結合またはコンジュゲートした化合物を意味する。単糖類または二糖類は、グルコース、マンノース、リボース、ガラクトース、ラムノース、アラビノース、マルトース、およびフルクトースから成る群より選択されるメンバーとすることができる。
【0041】
本発明は、炎症を低減するためにホップ抽出物を使用することに関する。1つの形または別の形でのホップの抽出は、水およびエタノール中への抽出が最初に試みられた19世紀初頭まで150年以上さかのぼる。今日もなお、エタノール抽出物はヨーロッパで役立っているが、明らかに主要な抽出物は、有機溶媒抽出物(例えばヘキサン)およびCO2抽出物(超臨界および液体)である。CO2(典型的には60バール圧で50〜10℃)は液体状態にあり、相対的にマイルドな非極性溶媒で、ホップのソフトレジンおよびオイルに対して非常に特異的である。臨界点を超えると、典型的には300バール圧および60℃で、CO2は気体および液体の双方の特性を有し、はるかに強い溶媒である。多様な抽出物の組成を表2に比較する。
【0042】
最もシンプルな方法ではホップの抽出は、ホップを製粉、ペレット化、そして再度製粉して、リュープリンを分散させ、充填カラムに溶媒を通してレジン成分を集め、最後に溶媒を除去して全抽出物または“純粋な”レジン抽出物を得ることを伴う。
【0043】
【表2】
【0044】
主な有機抽出溶媒は強い溶媒であり、事実上すべてのリュープリン成分に加え、それら溶媒は、植物色素、クチクラワックス、水および水溶性の材料も抽出する。
【0045】
超臨界CO2は有機溶媒より選択的であり、より少量のタンニンおよびワックス、そしてより少量の水、したがって水溶性成分を抽出する。この溶媒はクロロフィルのような一部の植物色素を確かに抽出するが、有機溶媒の場合よりむしろ少ない。液体CO2は、ホップ用に商業的に使用される最も選択的な溶媒であり、したがって最も純粋な全レジンおよびオイルの抽出物を生成する。この溶媒は、ハードレジンまたはタンニンをほとんど抽出せず、植物ワックスもずっと低レベルで、植物色素は抽出せず、そして水および水溶性の材料もより少量しか抽出しない。
【0046】
この選択性およびよりマイルドな溶媒の特性の結果として、ホップのユニット重量当たりの液体CO2抽出物の絶対収率は、他の記載した溶媒を使用する場合より低い。加えて液体CO2を用いてのアルファ酸の収率(89-93%)は、超臨界CO2の場合(91-94%)または有機溶媒の場合(93-96%)より低い。抽出後、溶媒を除去する過程があり、有機溶媒に関するこの過程は揮発を引き起こすための加熱を伴う。それにもかかわらず、微量の溶媒が抽出物中にどうしても残る。しかしながら、CO2の除去は、CO2を揮発させるために単に圧を抜くことを伴うだけである。
【0047】
図3に示したように、ホップのCO2抽出物は、ホップオイル、ベータ酸、およびアルファ酸を含む成分に分画することができる。ホップオイルは、フムレン、ベータ-カリオフィレン、ミクレン(mycrene)、ファルネセン、ガンマ-カジネン、アルファ-セリネン、およびアルファ-カジネンを含むがこれに限定されない。ベータ酸は、集合的にルプロンとして知られている、ルプロン、コルプロン、アドルプロン、テトラヒドロイソフムロン、およびヘキサヒドロコルプロンを含むがこれに限定されない。ベータ酸は異性体化および還元することができる。ベータ酸を還元すると、テトラ-ベータ酸を得られる。アルファ酸は、フムロン、コフムロン、アドフムロン、フルポン、およびイソプレフムロンを含むがこれに限定されない。アルファ酸は異性体化して、イソアルファ酸を得ることができる。イソ-アルファ酸は還元して、還元-イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、およびヘキサ-ヒドロイソアルファ酸を得ることができる。
【0048】
骨再吸収の阻害剤としてのホップ抽出物由来のフムロンの同定が、Tobe et al.(Biosci. Biotech. Biochem 61(1): 158-159 (1997))において報告された。同じグループによるその後の研究は、フムロンの作用機序をMC3T3,E1細胞のTNF-α刺激後のCOX-2遺伝子の転写の阻害として特徴付けた(Yamamoto, FEBS Letters 465: 103-106 (2000))。フムロン(humulone、humulonとも表す)の作用はグルココルチコイドのそれと類似するが、フムロンはグルココルチコイド受容体を通しては機能しないと結論された。これらの結果は、フムロンがMC3T3(骨芽細胞)におけるPGE2合成を遺伝子レベルで阻害することを確立するものであるが、当業者はこれらの結果が免疫炎症細胞またはその他の細胞株においては必ずしも起こらないと想定するだろう。本明細書において開示するように、ホップ化合物および誘導体は、標的細胞および非標的細胞において高レベルの組織選択性を示す。さらに、本発明に記載するホップ誘導体は、アルファ酸フムロンとは構造的に異なる。
【0049】
本発明は、ホップ(Humulus lupulus)から単離されたまたは由来する少なくとも1つの画分を含有する組成物を提供する。ホップから単離されたまたは由来する画分の例は、アルファ酸、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、ベータ酸、およびホップ粕である。ホップから単離されたまたは由来する画分は、コフムロン、アドフムロン、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロ-アドフムロン、テトラ-ヒドロ-イソフムロン、テトラヒドロ-イソコフムロン、テトラヒドロ-アドフムロン、ヘキサヒドロ-イソフムロン、ヘキサヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサヒドロ-アドフムロンを含むがこれに限定されない。好ましい化合物はまた、例えばハロゲン、エーテル、およびエステル等の置換基を有することができる。
【0050】
ホップから単離されたまたは由来する画分の化合物は、以下の上属(supragenus)により表すことができる:
【0051】
【化1】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される;そして式中R、T、X、およびZは独立して、H、F、Cl、Br、I、およびπ軌道から成る群より選択されるが、ただしR、T、X、またはZの1つがπ軌道である場合には、隣接するR、T、X、またはZもまたπ軌道であり、それにより二重結合を形成する。
【0052】
もう1つの態様において、ホップから単離されたまたは由来する画分の化合物は、以下の属(genus)により表すことができる:
【0053】
【化2】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される。具体例としての属Aの構造は、イソアルファ酸(例えばイソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、等)、および還元イソアルファ酸(例えばジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロアドフムロン)、およびエーテルもしくはエステルのコンジュゲートまたは二重結合のハロゲン化修飾を含む。
【0054】
なおもう1つの態様において、ホップから単離されたまたは由来する画分の化合物は、以下の属により表すことができる:
【0055】
【化3】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される。具体例としての属Bの構造は、テトラ-ヒドロイソアルファ酸(例えばテトラ-ヒドロ-イソフムロン、テトラ-ヒドロ-イソコフムロン、テトラ-ヒドロ-ア
ドフムロン、等)、およびヘキサ-ヒドロイソアルファ酸(例えばヘキサ-ヒドロ-イソフムロン、ヘキサ-ヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサ-ヒドロ-アドフムロン)、およびエーテルまたはエステルのコンジュゲートを含む。
【0056】
図3に示すように、ホップから単離されたまたは由来する成分の化合物の例は、フムロン、コフムロン、アドフムロン、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロ-アドフムロン、テトラヒドロ-イソフムロン、テトラヒドロ-イソコフムロン、テトラヒドロ-アドフムロン、ヘキサヒドロ-イソフムロン、ヘキサヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサヒドロ-アドフムロンを含むがこれに限定されない。これらの化合物は、上の式で示したような置換基を有することができる。
【0057】
ホップ誘導体は、植物中に天然に生ずる公知の化合物であり、食品および飲料中に見出せる。これら化合物は、当該技術分野において公知の抽出法および加工法のいずれかにより調製し得る。ホップ誘導体は、あらゆる公知の様式で植物材料から直接調製することができる。ホップ誘導体は、当該技術分野における公知の方法、例えば水溶性有機溶媒(例えばアルコール水溶液)からの再結晶により精製し得る。ホップ誘導体の合成による修飾は、医薬技術分野において公知の薬剤の修飾の方法に従って調製し得る。
【0058】
本発明はまた、ホップから単離されたまたは由来する画分または化合物を、クルクミノイドまたはメチルキサンチンと組み合わせて含有する組成物を提供する。1つの態様において本発明は、本明細書に開示するようなホップから単離されたまたは由来する画分または化合物、およびクルクミノイド(例えばクルクミン)、またはメチルキサンチン(例えばカフェイン)を含有する組成物を提供する。本発明に従ってまた、ホップから単離されたまたは由来する画分の有効量を、クルクミノイドまたはメチルキサンチンと組み合わせて、そして所望により医薬的担体またはアジュバントと組み合わせて含有する医薬組成物を提供する。
【0059】
投与
本発明に従ってさらに、公知の製剤技術によって、例えば除放性錠剤により、消化管の所望の部位で、例えば胃および/または十二指腸のいずれかにおいて活性成分を放出するため、ホップ誘導体の有効量を包含する経口投与剤形の医薬製剤が提供される。本発明に従ってなおさらに、ホップ誘導体の有効な耐薬量を包含する医薬組成物を提供する。その低い毒性のため、所望される特定の効果に依存して、高投与量のホップ誘導体を有用な結果を得るために使用することができる。
【0060】
ホップ誘導体は特に経口投与に適する。したがってホップ誘導体は経口使用として、すなわち:錠剤、コーティング錠剤、糖衣錠、カプセル、粉末、顆粒、および水溶性錠剤、ならびに液体の剤形、例えば懸濁液、分散液(dispersions)、または溶液として、所望により付加的な活性成分、例えばクルクミノイドまたはメチルキサンチンと合わせて製剤化することができる。
【0061】
本発明は、本明細書において記載したような医薬組成物を調製する方法、およびそのように調製した場合の組成物にも拡大する。当該組成物はホップ誘導体を医薬的に受容可能な担体または補助剤と共に、そして所望により鎮痛剤および/または抗炎症剤、ならびに/または別の化合物(1つまたは複数)と共に混合して包含する方法により製造してよい。医薬組成物を調製する方法は当業者に周知である(例えばGenarro, ed., Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania (1990)を参照のこと)。
【0062】
選択される投与量レベルは、特定の組成物の活性、投与経路、治療または予防する状態の重症度、ならびに治療する患者の状態およびこれまでの病歴に依存することになる。しかし所望される治療効果を達成するために必要とされるより低いレベルで組成物の用量を開始すること、そして所望される効果を達成するまで投与量を漸増することは、当該分野の技術の範疇である。所望であれば有効な1日の用量を、投与の目的のため複数回の用量に、例えば1日当たり2〜4回の個別の用量に分割してもよい。しかしあらゆる特定の患者のための具体的な用量レベルは、体重、全身の健康状態、食事、投与時間および投与経路、他の組成物との組み合わせ、ならびに治療または予防する特定の状態の重症度に依存することになることは、理解されるだろう。
【0063】
本発明は、ホップ画分、ホップ化合物、またはホップ誘導体の有効量を送達することを含む方法を提供する。例えば本発明の組成物の1日の用量を、1日当たり約0.5〜約10,000mgのホップ画分、例えばアルファ酸、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、ベータ酸、ホップ粕、またはその他のホップ画分を送達するように製剤化することができる。特に組成物の有効な1日の用量は、1日当たり約50〜約7500mgのホップ画分、例えばアルファ酸、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、ベータ酸、ホップ粕、またはその他のホップ画分を送達するように製剤化することができる。例えば組成物の有効な1日の用量は、1日当たり約100mg〜約5000mg、約200mg〜約3000mg、約300mg〜約2000mg、約500mg〜約1000mgのホップ画分を送達するように製剤化することができる。1つの態様において、有効な1日の用量を1日に1回または2回投与する。ある種の態様は、1日当たり約0.5mg〜約500mgのイソアルファ酸または還元イソアルファ酸、例えば約50mg〜約300mg、または約100mg〜約200mgのイソアルファ酸または還元イソアルファ酸を包含する組成物を提供する。もう1つの態様において本発明は、1日当たり約10mg〜約3000mgの還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、またはヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、例えば約50mg〜約2000mg、約100mg〜約1000mg、約200mg〜約750mg、約250mg〜約500mgの還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、またはヘキサ-ヒドロイソアルファ酸を包含する組成物を提供する。なおもう1つのある種の態様は、1日当たり約50mg〜約7500mgのホップ粕、例えば1日当たり約100mg〜約6000mg、約200mg〜約5000mg、約300mg〜約3000mg、約500mg〜約2000mg、または1000約mg〜約1500mgのホップ粕を包含する組成物を提供する。
【0064】
局所投与に関する態様の組成物は、約0.001〜約10重量パーセント、例えば約0.01〜約5重量パーセント、または約0.1〜約1重量パーセントのホップ誘導体を含有することができる。そのような組成物は、約0.0001〜約10μM、例えば約0.001〜約5μM、約0.01〜約1μM、または約0.1〜約0.5μMの範囲のホップから単離されたまたは由来する画分またはそのコンジュゲートの血清濃度を得ることができる。
【0065】
ホップから単離されたまたは由来する1つまたはそれより多くの画分をクルクミノイドと組み合わせる本発明の組成物において、ホップから単離されたまたは由来する画分 対 クルクミノイドの比率は、所望の効果を最適化するように変えることができる。例えば本明細書に開示するように、RIAAおよびクルクミンの組み合わせによるPGE2阻害の相乗作用が、ヒト大動脈内皮細胞(HAEC)において観察された(実施例3を参照のこと)。PGE2の生合成の阻害に関するRIAAおよびクルクミン間の相乗作用は、RIAA:クルクミン 100:1、10:1および3:2の比率で観察された。特に有効な相乗作用は、RIAA:クルクミン 3:2の比率で観察された。本発明はホップから単離されたまたは由来する画分を、クルクミノイド(例えばクルクミン)と組み合わせて含有する組成物を提供する。1つの態様において本発明は、PGE2を相乗的に阻害するための有効な量および比率での、ホップから単離されたまたは由来する画分(例えばRIAA)、およびクルクミノイド(例えばクルクミン)の組み合わせを提供する。ホップから単離されたまたは由来する画分(例えばRIAA)、およびクルクミノイドを
、PGE2を相乗的に阻害するための有効な量および比率で、例えばホップから単離されたまたは由来する画分(例えばRIAA) 対 クルクミノイドの比率 約100:1〜約1:10で、例えば約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、または約10:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約3:2、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、または約1:10で組み合わせる。ホップに由来する画分 対 クルクミノイドの特に有用な比率は約3:2である。
【0066】
同様に、ホップから単離されたまたは由来する1つまたはそれより多くの画分をメチルキサンチンと組み合わせる本発明の組成物において、ホップから単離されたまたは由来する画分 対 メチルキサンチンの比率は、所望の効果を最適化するように変えることができる。例えば本明細書に開示するように、RIAAおよびカフェインとの組み合わせによるPGE2阻害の相乗作用が、RAW 264.7マクロファージ細胞において観察された(実施例4を参照のこと)。PGE2の生合成の阻害に関するRIAAおよびカフェイン間の相乗作用は、RIAA:カフェイン 100:1〜1:100の比率で観察された。本発明はホップから単離されたまたは由来する画分を、メチルキサンチンと組み合わせて含有する組成物を提供する。1つの態様において本発明は、PGE2を相乗的に阻害するための有効な量および比率での、ホップから単離されたまたは由来する画分(例えばRIAA)、およびメチルキサンチン(例えばカフェイン)の組み合わせを提供する。ホップから単離されたまたは由来する画分(例えばRIAA)、およびメチルキサンチンを、PGE2を相乗的に阻害するための有効な比率で、例えばホップから単離されたまたは由来する画分(例えばRIAA) 対 メチルキサンチンの比率 約100:1〜約1:100で、例えば約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、または約10:1で組み合わせる。ホップから単離されたまたは由来する画分 対 メチルキサンチンの特に有用な比率は、例えば約3:2、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:10、約1:15、約1:20、約1:25、約1:30、約1:35、約1:40、約1:45、約1:50、約1:55、約1:60、約1:65、約1:70、約1:75、約1:80、約1:85、約1:90、約1:95、または約1:100を含む。特に有用なメチルキサンチンはカフェインである。
【0067】
製剤
本発明の組成物は、栄養補助食品または治療用組成物という形で投与することができる。当該組成物は、経口、局所、経皮、経粘膜、非経口等により、適当な投与ユニットで、所望されるように投与してよい。食品としての適用のための組成物は、様々な添加物、例えば中間代謝物のその他の天然成分、ビタミンおよびミネラル、ならびに例えば錠剤およびカプセルの製造における標準的な賦形剤であるタルクおよびステアリン酸マグネシウムのような不活性成分を含んでよい。例えば1つの態様は、本発明の組成物の活性成分を、グルコサミンまたはコンドロイチン硫酸と組み合わせて包含する。
【0068】
本明細書において使用する場合“医薬的に受容可能な担体”は、個体への投与に適する溶媒、分散媒体、コーティング剤、等張剤および吸収遅延剤、甘味剤等を含む。これらの医薬的に受容可能な担体は、希釈剤、結合剤および接着剤、滑剤、崩壊剤、着色剤、膨張剤、芳香剤、甘味剤、ならびに種々の材料、例えば特定の治療組成物を調製するために必要であると思われるバッファーおよび吸収剤を含むがこれに限定されない広範囲な材料から調製してよい。医薬的に活性な物質のためのそのような媒体および賦形剤の使用は、当該技術分野において周知である。製剤が活性成分と矛盾のない構成要素を含有することは理解されよう。1つの態様において、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを製剤中に含む。食品用のバー(dietary bar)または機能食品としての本発明の組成物の製造に影響のあることが知られているその他の成分は、芳香剤、糖、アミノ糖、タンパク質およびまたは修飾スターチ、ならびに油脂およびオイルを含むことができる。
【0069】
本発明の態様の栄養補助食品、ローション、または治療用組成物は、当業者に公知のあらゆる様式で製剤化することができる。1つの態様において当該組成物は、当業者に利用
可能な技術を用いてカプセルまたは錠剤に製剤化する。カプセルまたは錠剤の剤形において、成体のヒトまたは動物に対して推奨される1日の用量を、1〜6個のカプセルまたは錠剤中に含有させることができる。当該組成物はまた、他の使い勝手のよい剤形、例えば注入可能な溶液または懸濁液、スプレー用の溶液または懸濁液、ローション、ガム、ロゼンジ、食品またはスナックの品目に製剤化することができる。食品、スナック、ガムまたはロゼンジの品目は、甘味剤、芳香剤、オイル、スターチ、タンパク質、果物または果物の抽出物、野菜または野菜の抽出物、穀物、動物性脂肪またはタンパク質を含む、あらゆる摂取可能な成分を含むことができる。それ故本発明の組成物は、シリアル、スナック品目、例えばチップス、バー、ガムドロップ、チューイングキャンディー、またはゆっくり溶けるロゼンジ中に製剤化することができる。本発明の組成物は、急性および慢性双方の炎症に基づく疾患の治療に使用することができる。本発明の組成物の特に有用な製剤は、炎症応答を低減し、それにより患部組織の治癒を促進する、またはさらなる損傷を予防することができる。医薬的に受容可能な担体をまた、本発明の組成物および製剤中に使用することができる。
【0070】
本発明の組成物は、例えば被験者の炎症の治療のため、および炎症に伴う他の障害の治療のため、例えば疼痛および頭痛の治療における鎮痛薬として使用することができる。本発明の組成物は、例えば癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、または神経学的疾患を含む様々な状態を治療するために使用することができる。本発明の組成物はまた、HIV-1感染、ライノウイルス感染、および心血管疾患のような状態を治療するために使用することができる。本発明の組成物は、慢性関節リウマチ、脊椎関節症(spodyloathopathies)、痛風性関節炎、変形性関節炎、全身性紅斑性狼瘡、および若年性関節炎を含むがこれに限定されない関節炎を治療するために使用することができる。
【0071】
本発明の組成物は加えて、喘息、気管支炎、月経による腹痛、腱炎、滑液包炎、ならびに皮膚に関連する状態、例えば乾癬、湿疹、火傷および皮膚炎の治療に使用することができる。当該組成物はまた、消化器の状態、例えば炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、および潰瘍性大腸炎を治療するために、ならびに癌、例えば大腸癌の予防または治療のために使用することができる。
【0072】
さらに本発明の組成物は、血管疾患、偏頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、全身性強皮症、リウマチ熱、タイプI糖尿病、重症筋無力症、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット病、多発筋炎、歯肉炎、過敏症、傷害後に起こる腫脹、心筋虚血、歯周病、結合組織炎、アトピー性皮膚炎、インスリン炎等のような疾患における炎症の治療に使用することができる。本発明の組成物はまた、眼科的疾患、例えば網膜症、結膜炎、ぶどう膜炎、羞明、および眼組織への急性傷害の治療に使用することができる。本発明の組成物は加えて、肺の炎症、例えばウイルス感染および嚢胞性繊維症に伴うものの治療に使用することができる。
【0073】
加えて本発明の組成物は、ある種の神経系の障害、例えばアルツハイマー病を含む皮質性痴呆の治療のために使用することができる。本発明の組成物はまた、アレルギー性鼻炎、呼吸促迫症候群、エンドトキシンショック症候群、アテローム硬化症、ならびに卒中、虚血および外傷に起因する中枢神経系の損傷の治療に使用することができる。
【0074】
1つの態様において本発明は、ホップから単離されたまたは由来する画分およびメチルキサンチンを含有する組成物を提供する。ホップから単離されたまたは由来する画分は、アルファ酸、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、ベータ酸、およびホップ粕の群より選択することができる。ホップから単離されたまたは由来する画分はまた、以下の式を有する上属の化合物であることができる:
【0075】
【化4】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される;そして式中R、T、X、およびZは独立して、H、F、Cl、Br、I、およびπ軌道から成る群より選択されるが、ただしR、T、X、またはZの1つがπ軌道である場合には、隣接するR、T、X、またはZもまたπ軌道であり、それにより二重結合を形成する。
【0076】
ホップから単離されたまたは由来する画分の化合物は、加えて以下の式を有する属Aの化合物を包含することができる:
【0077】
【化5】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される。
【0078】
もう1つの態様において、ホップから単離されたまたは由来する画分の化合物は、以下の式を有する属Bの化合物を包含することができる:
【0079】
【化6】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される。
【0080】
ある態様においてホップから単離されたまたは由来する画分は、フムロン、コフムロン、アドフムロン、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロ-イソフ
ムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロ-アドフムロン、テトラヒドロ-イソフムロン、テトラヒドロ-イソコフムロン、テトラヒドロ-アドフムロン、ヘキサヒドロ-イソフムロン、ヘキサヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサヒドロ-アドフムロンから成る群から選択される化合物を包含することができる。
【0081】
本発明の組成物においてメチルキサンチンは、カフェイン;テオブロミン;テオフィリン;アミノフィリン;ドキソフィリン;ペントキシフィリン;8-オキソペントキシフィリン;8-オキソリソフィリン;リソフィリン;1-プロパラギル3,7-ジメチルキサンチン;7-プロパラギル1,3 -ジメチルキサンチン;3-プロパラギル1,7-ジメチルキサンチン;1,3,7-トリプロパラギルキサンチン;3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX);1,3,7-トリプロピルキサンチン;7-ベンジル-IBMX;1-プロピル3,7-ジメチルキサンチン;1,3-ジプロピル7-メチルキサンチン;1,3-ジプロピル7-プロパラギルキサンチン;3,7-ジメチル1-プロピルキサンチン;および7-アリル1,3-ジメチルキサンチンから選択することができる。1つの態様において、ホップから単離されたまたは由来する画分とメチルキサンチンとは、約100:1〜約1:100の比率である。もう1つの態様において、ホップから単離されたまたは由来する画分は還元イソアルファ酸であり、メチルキサンチンはカフェインである。
【0082】
当該組成物は、約0.5〜10000mgのホップから単離もしくは誘導された画分、または約50〜7500mgのホップから単離もしくは誘導された画分を包含することができる。加えて当該組成物は、約0.001〜10重量パーセントのホップから単離もしくは誘導された画分を包含することができる。もう1つの態様において当該組成物は、約0.1〜1重量パーセントのホップから単離もしくは誘導された画分を包含することができる。本発明の組成物は、医薬的に受容可能な担体をさらに包含することができ、そして経口、局所、非経口、または直腸からの投与用として製剤化することができる。
【0083】
もう1つの態様において本発明は、ホップに由来する画分およびクルクミノイドを包含する組成物を提供する。そのような組成物においてホップに由来する画分は、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、およびベータ酸から選択することができる。
【0084】
そのような組成物のまだもう1つの態様において、ホップに由来する画分は、以下の式を有する上属の化合物を包含することができる:
【0085】
【化7】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される;そして式中R、T、X、およびZは独立して、H、F、Cl、Br、I、およびπ軌道から成る群より選択されるが、ただしR、T、X、またはZの1つがπ軌道である場合には、隣接するR、T、X、またはZもまたπ軌道であり、それにより二重結合を形成する。
【0086】
そのような組成物のなおもう1つの態様において、ホップに由来する画分は、以下の式を有する属Aの化合物を包含する:
【0087】
【化8】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される。
【0088】
そのような組成物のさらなる態様において、ホップに由来する画分は、以下の式を有する属Bの化合物を包含することができる:
【0089】
【化9】
式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルである;そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される。
【0090】
そのような組成物においてホップに由来する画分は、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロ-アドフムロン、テトラヒドロ-イソフムロン、テトラヒドロ-イソコフムロン、テトラヒドロ-アドフムロン、ヘキサヒドロ-イソフムロン、ヘキサヒドロ-イソコフムロン、ヘキサヒドロ-アドフムロンから成る群より選択される化合物を包含することができる。本発明のそのような組成物においてクルクミノイドは、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、シス-トランス-クルクミン、およびシクロクルクミンから選択することができる。1つの態様において、ホップに由来する画分とクルクミノイドとは、約100:1〜約1:10の比率である。もう1つの態様において、ホップに由来する画分とクルクミノイドとの比率は約3:2である。特定の態様において、ホップから単離された画分は還元イソアルファ酸であり、クルクミノイドはクルクミンである。
【0091】
上に考察したように当該組成物は、約0.5〜10000mgのホップから単離もしくは誘導された画分、または約50〜7500mgのホップから単離もしくは誘導された画分を包含することができる。加えて当該組成物は、約0.001〜10重量パーセントのホップから単離もしくは誘導された画分を包含することができる。もう1つの態様において当該組成物は、約0.1〜1重量パーセントのホップから単離もしくは誘導された画分を包含することができる。本発明の組成物はさらに、医薬的に受容可能な担体を包含することができ、そして経口、局所、非経口、または直腸からの投与用として製剤化することができる。
【0092】
本発明は加えて、本発明の組成物を投与することにより炎症を低減する方法を提供する。そのような方法を、本明細書において開示するように様々な炎症の状態を治療するために使用することができる。
【0093】
ヒトの治療に有用である他に、本発明の態様はまた、ウマ、イヌ、ネコ、鳥類、ヒツジ、ブタ、等を含むその他の動物の治療のために有用である。炎症の治療用の製剤は、胃粘膜のPGE2の合成にほとんど影響を及ぼさずにCOX-2の誘導および活性を阻害することができる。歴史的には炎症の治療用として使用されるNSAIDsは、胃粘膜細胞のPGE2合成に影響を与えずにCOX-2を阻害する特異性に欠けていた。したがってこれらの薬剤は、長期間使用した場合に消化器系を刺激し損傷を与えた。そのような禁忌を本発明は伴わず、したがって限定された胃疾患を伴うかまたは胃疾患を伴うことなく長期間使用してよい。投与は、当業者に利用可能なあらゆる方法、例えば経口、局所、経皮、経粘膜、または非経口の経路によることができる。
【0094】
本発明は加えて、ホップから単離されたイソアルファ酸または還元イソアルファ酸、およびメチルキサンチン、例えばカフェインを投与することにより、炎症を低減する方法を提供する(実施例4を参照のこと)。他のホップ誘導体またはホップから単離もしくは誘導された画分もまた、メチルキサンチン(例えばカフェイン)と共に、炎症を低減するために投与することができる。メチルキサンチン(例えばカフェイン)、および他のメチル化キサンチン誘導体は合成するか、または天然の供給源(例えばコーヒー豆、茶葉、ガラナ種子、等)から単離することができる。ガラナ(Paullinia cupana)は、カフェインおよびテオフィリンを含む複数のメチルキサンチンの供給源である。
【0095】
本明細書において使用する場合“炎症を低減すること”は、炎症応答を低下、寛解、または阻害することをいう。当業者は、炎症応答に伴う徴候または症候の低減を容易に認識できるだろう。炎症を低減することとは、炎症に伴う徴候または症候の重症度を低減させること、並びに結果として炎症に伴う症候がほとんどまたは全く存在しないよう炎症を阻害すること、ということができる。
【0096】
本発明はさらに、ホップから単離されたイソアルファ酸または還元イソアルファ酸、およびクルクミノイド(例えばクルクミン)を投与することにより、炎症を阻害する方法を提供する(実施例3を参照のこと)。他のホップ誘導体、またはホップから単離もしくは誘導された画分もまた、クルクミノイド(例えばクルクミン)と共に、炎症を低減するために投与することができる。
【0097】
本明細書において使用する場合“クルクミノイド”および“活性なクルクミノイド”という用語は、COX-1にほとんどもしくは全く影響を及ぼさないまま、COX-2の誘導能および/もしくは活性を阻害することのできる、または炎症応答の重症度を阻害もしくは低減することのできる、クルクミノイド属内の種をいう。クルクミノイドは、天然産物から抽出するか、または化学的に合成することができる。
【0098】
Curcuma longa(ウコン、アキウコン)の根茎から単離された黄色色素性画分は、ジシンナモイルメタン群に属するクルクミノイド類を含有する。クルクミノイド類は3〜5パーセント程度まで存在する。これらはCurcuma longaの最も重要な活性成分であると考えられており、Curcuma longaの生物学的活性の原因であると思われている。これらの主要な活性は抗炎症であるが、クルクミノイドは抗酸化、抗アレルギー、創傷治癒、抗痙攣、抗細菌、抗真菌、および抗腫瘍の活性も同様に有することが報告された。クルクミン(図4B)は、1815年に単離され、1910年に構造的に同定された。Curcuma longaから単離された他のクルクミノイドには、デメトキシクルクミン(図4C)、ビスデメトキシクルクミン(図4D)、クルクミンのシス-トランス幾何異性体 (図4E)、およびシクロクルクミン(図4F)を含む。
クルクミノイドは、Curcuma longaに加えて他の植物、例えばジャワウコン(Curcuma xanthorrhiza)およびガジュツ(Curcuma zedoaria)中に見出してもよい。
【0099】
クルクミノイドは、その抗炎症活性について周知である。ウコン(turmeric)は、アーユルヴェーダ医学で使用される最古の抗炎症薬の1つである。クルクミノイドの抗炎症活性は、炎症反応モデル、例えばカラゲーニン、綿尖、ホルムアルデヒド、およびに肉芽嚢のような化学的または物理的刺激物において評価されてきた。ヒトの二重盲検の臨床的試みは、1200mgクルクミノイド/日、5〜6週間の用量で慢性関節リウマチにおける効能を実証した。しかしこれらの用量では、消化器(GI)の不快感および胃への刺激の徴候がしばしば報告された。高用量のクルクミノイドに起因するGIの不調および胃への刺激は、クルクミノイドが、アスピリンおよびアスピリン様抗炎症薬と類似の様式でプロスタグランジンの産生に作用するという事実によると思われる。
【0100】
図4Aに示したような、そして図4Bのクルクミンにより具体的に例示したようなクルクミノイド属は、好ましくは、例えばSabinsa (121Ethel Road West, Piscataway, NJ)より市販にて入手することのできるような、医薬用グレードの植物抽出物である。使用してもよい他のクルクミノイドは、デメトキシクルクミン(図4C)、ビスデメトキシクルクミン(図4D)、シス-トランスクルクミン (図4E)、およびシクロクルクミン(図4F)を含む。使用するクルクミノイドは、Curcuma longa Lより容易に得ることができる。医薬用グレードのクルクミノイド抽出物は、約70パーセントより高いクルクミノイド含有量を有することと規格化されている。医薬用グレードの植物抽出物は、安全性および効能についてアッセイすることができる。本発明の態様において使用する場合、抽出物は約1〜99重量パーセントのクルクミノイド含有量を有する。最小のクルクミノイド含有量は、一般に約70重量パーセントであり、例えば少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれより多いことができる。あるいはクルクミノイドは、化学合成において公知の標準的な技術を用いて合成し得る。
【0101】
ホップから単離されたまたは由来する画分、例えばRIAA、IAA、THIAA、またはHHIAAおよびクルクミノイドを含有する組成物において、この組成物は、1日当たり約0.5〜約5000mgのクルクミノイドを送達するように製剤化することができる。特に、有効な1日の用量を、1日当たり約5〜約2000mgのクルクミノイド、例えば約10〜約1500mg、約20〜約1000mg、約50〜約500mg、または約100〜約200mgを送達するように製剤化することができる。本発明の態様において、当該組成物は、1日に1回または2回投与するように有効な1日の用量を提供するように、製剤化することができる。1つの態様において組成物は、1日に1回または2回投与するように、約200mgのクルクミノイド、および約300mgのホップから単離されたまたは由来する画分を含有することができる。特定の態様において組成物は、約200mgのクルクミノイド、および約300mgのRIAAを含有することができる。加えて本発明の組成物は特定の態様において、約200mgのクルクミノイド、および約300mgのIAAを含有することができる。また、本発明の組成物は、約200mgのクルクミノイド、および約300mgのTHIAAまたはHHIAAを含有することができる。
【0102】
ホップから単離されたまたは由来する画分、およびメチルキサンチン、例えばカフェインまたはテオフィリンを含有する組成物において、本発明の組成物は、1日当たり約0.5〜約5000mgのメチルキサンチンを送達するように製剤化することができる。特に、有効な1日の用量を、1日当たり約5〜約2000mgのメチルキサンチン、例えば約10〜約1500mg、約20〜約1000mg、約50〜約500mg、または約100〜約200mgを送達するように製剤化することができる。例えば当該組成物は、1日に1回または2回投与される有効な1日の用量を提供するように、製剤化することができる。特定の態様において組成物は、1日に1回または2回投与するように、約100mgのメチルキサンチン、例えばカフェインまたはカフェインの誘導体、例えばテオフィリン、および約300mgのRIAAを含有することができる。
【0103】
AGS細胞株を用いてのアッセイ
COX-2の発見は、COX-1により作られる胃および腎臓内の保護的プロスタグランジン類(PGs)を排除せずに炎症を低減する、薬剤のデザインを可能にした。本明細書において開示するように、in vitroの動物細胞を用いて、細胞保護的な作用を有し、消化器粘膜の完全性を維持する役割を担うPGE2を用いたCOX-2およびCOX-1の阻害活性をエンドポイントとして利用して評価して、本発明の組成物を評価することができる。第2に異なる細胞タイプを使用して、結果を確認する。スクリーニング法を使用して、COX-2への特異的な活性を有し、COX-1を限定的に阻害する組成物を示すことができる。本発明の態様の組成物は、2つの細胞のタイプ: 1) 1つまたはそれより多くの成分を包含する組成物に関する至適な量および比率を決定および同定するための、ヒト肺細胞またはその他の細胞株;および2)
創傷の治癒(例えば潰瘍)に必要であるCOX-1の阻害に典型的に関連する毒性を評価するための、ヒト胃上皮細胞(AGS細胞株)、消化管細胞株、およびモデルシステム、において検査することができる。それ故、COX-2またはCOX-2の誘導を阻害することのできる本発明の態様の組成物は、AGS細胞において活性の低いまたは活性を有していなく、そしてヒト肺細胞またはその他の細胞株において良好な活性を有する組成物を選択することにより、スクリーニングすることができる。
【0104】
本発明において開示するように、様々なアッセイを、ホップから単離されたまたは由来する1つまたはそれより多くの画分の有効性を示すために利用することができる(実施例を参照のこと)。ホップから単離されたまたは由来する画分は、本明細書において開示するように、本明細書において例示する方法を含む当業者に周知の様々なアッセイを用いて、炎症の低減における活性について評価することができることを、当業者は理解するだろう。
【0105】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図しており、その範囲を限定する意図はない。
【実施例】
【0106】
実施例1
AGS胃粘膜細胞はシクロオキシゲナーゼ-1およびシクロオキシゲナーゼ-2の双方を恒常的に発現する
概要-本実施例は、COX-1およびCOX-2の構成性発現を有するAGSヒト胃粘膜細胞株が、シクロオキシゲナーゼ阻害化合物の消化器への毒性を評価するためのモデルであることを実証する。
【0107】
本実施例に使用する装置は以下を含む:OHAS Model #E01140分析天秤、Forma Model #F1214安全キャビネット(biosafety cabinet)(Marietta, Ohio)、0.1〜100μLを送達するための多様なピペット(VWR, Rochester, NY)、細胞の手動カウンター(VWR, Catalog #23609-102, Rochester, NY)、Forma Model #F3210 CO2インキュベーター(Marietta, Ohio)、血球計(Hausser Model #1492, Horsham, PA)、Leica Model #DM IL 倒立顕微鏡(Wetzlar, Germany)、PURELAB Plus Water Polishing System (水洗浄システム)(U.S. Filter, Lowell, MA)、4℃冷蔵庫(Forma Model #F3775, Marietta, Ohio)、ボルテックス攪拌器(VWR Catalog # 33994-306, Rochester, NY)、および37℃水浴(Shel Lab Model #1203, Cornelius, OR)。
【0108】
(化学薬品および試薬)-プロスタグランジンE2 EIAキットモノクローナルは、Cayman Chemical(Ann Arbor, MI)より購入した。抗COX-1および抗COX-2のウサギポリクローナル抗血清は、Upstate Biotechnology (Lake Placid, NY)より入手した;ロバ抗ヤギIgG-HRPは、Santa Cruz Biotchnology (Santa Cruz、CA)より調達した。加熱不活性化したウシ胎児
血清(FBS-HI Cat. #35-011CV)、およびダルベッコ変法イーグル培地 (DMEM Cat# 10-013CV)はMediatech (Herndon, VA)より購入した。すべての標準的な試薬はSigma (St. Louis,
MO)より入手し、市販により入手可能な最も高純度のものとした。
【0109】
(細胞培養)-ヒト胃粘膜細胞株AGSは、American Type Culture Collection (ATCC number CRL-1739; Manassas, VA)より入手し、供給元の指示に従って継代培養した。細胞は、37℃、5%CO2にて、50ユニット ペニシリン/mL、50μg ストレプトマイシン/mL、5% ピルビン酸ナトリウム、および5% L-グルタミンを含む10% FBS含有RPMI 1640中でルーチン培養した。指数関数的に増殖する細胞を6ウェルプレートに蒔き、集密化するまで増殖させた。培地上清の20μLアリコートを、PGE2含有量を決定するためサンプル採取した。その後細胞をPBSで洗浄し、イムノブロット法のため掻きとり、溶解させた。
【0110】
(タンパク質アッセイ)-細胞溶解液のタンパク質濃度を、NanoOrange Protein Quantitation Kitを使用し、製造業者により供給された方法に従って、スタンダードとしてウシ血清アルブミン(Molecular Probes, Eugene, OE)を用いて決定した。蛍光は、Packard FluoroCount, Model BF 10000 蛍光光度計を使用し、485nmに設定した励起フィルターおよび570nmに設定した発光フィルターにて、Packard PlateReader バージョン3.0ソフトウエアを使用して決定した。Packard PlateReaderと共に提供されたI-Smart プログラムを使用して、タンパク質濃度を算出した。
【0111】
(イムノブロット法)‐COX-1およびCOX-2のウェスタンブロット法は、PAGErTM Gold Precast Gels (Bio Whittaker Molecular Application(Rockland, ME))を用いて行った。およそ60μgのタンパク質を含有するAGS 細胞溶解液を、総容積 30μLのゲルのウェルにLaemmliサンプルバッファーと共に乗せた。垂直方向のミニゲル電気泳動用チャンバーは、Savant Instruments Inc. (Holbrook, NY)、モデルMV 120により作製した。ゲルはブロモフェノールブルー染色がゲル底部に達するまで、室温で40 mA/プレート(一定電流)にて約1時間、泳動させた。その後ゲルをポリビニル蛍光転移膜(Pall Corporation, Ann Arbor, MI)上に、一晩、500mA、4℃でブロットさせた。Precision Protein Standard分子量マーカー、unstained(未着色)、broad range(広域)(Biorad, Herculse, CA)を使用した。BioWest(登録商標)長時間化学発光基質、非アイソトープ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ基質のウェスタンブロット検出用キット(BioImaging Systems, Upland, CA)をタンパク質の可視化のために使用した。ウェスタンブロットの画像は、UVP Epi Chemi II Darkroom ((BioImaging Systems)を用いて得て、LabWorks(登録商標)Image Acquisition and Analysis Software (BioImaging Systems)により分析し、増幅した。
【0112】
(PGE2アッセイ)-PGE2の定量のための市販の非放射性の方法 (Caymen Chemical, Ann Arbor, MI)を利用し、製造業者の推奨する方法を変更を加えずに使用した。手短には、PGE2スタンダードサンプルの段階希釈を含む培地 25μLを、適当な量のアセチルコリンエステラーゼ標識トレーサーおよびPGE2抗血清と共に混合し、室温で18時間インキュベーションした。ウェルを空にしてバッファーですすいだ後、アセチルコリンエステラーゼの基質を含有するエルマン試薬 200μLを加えた。反応は、緩やかな振盪機上で、室温で1時間行い、415nmの吸光度を決定した。PGE2濃度は、105細胞当たりのピコグラムとして表した。
【0113】
結果-AGS細胞株はCOX-1およびCOX-2双方を構成性発現しており、COX-1の発現はCOX-2の発現より約4倍多い。18時間にわたるAGS細胞におけるPGE2合成は、660pg/105細胞であった。したがって本実施例は、COX-1およびCOX-2の構成性発現を有するAGSヒト胃粘膜細胞株が、シクロオキシゲナーゼ阻害化合物の消化器への毒性を評価するためのモデルとして使用できることを実証している。
【0114】
過去において古典的なCOX-2の仮説は、消化器粘膜におけるCOX-2の発現の役割を過小評
価してきた。正常な胃粘膜においてCOX-1が主なCOXアイソザイムであるが、本実施例および文献において実証されたように、検出可能な量のCOX-2mRNAおよびタンパク質の双方が、動物およびヒト双方における胃粘膜の特定の場所で構成性発現され、かつ誘導可能であるという証拠が増加している (Halter et al. Gut 49: 443-453 (2001))。ラットにおける最近の試験は、COX-1またはCOX-2の選択的阻害が潰瘍発生性ではないのに対して、COX-1およびCOX-2双方の複合的阻害は、NSAID(例えばインドメタシン)の効果に匹敵する胃および小腸における重症の病変を誘導することを示した。この観察結果は、消化器粘膜の完全性の維持に対するCOX-2の重要な寄与を示唆する。
【0115】
実施例2
刺激および無刺激のネズミマクロファージにおける、ホップ(Humulus lupulus)化合物および誘導体によるPGE2合成の阻害
概要-本実施例は、RAW 264.7ネズミマクロファージモデルにおいて、ホップ画分および誘導体がCOX-1のPGE2合成を上回って優先的にCOX-2のPGE2合成を阻害することを例証する。
【0116】
(化学薬品および試薬)-細菌のリポ多糖(LPS; B E. coli 055: B5)はSigma (St. Louis,
MO)より入手した。ホップ画分である(1)アルファホップ(1%アルファ酸;AA)、(2)アロマホップ OE (10%ベータ酸および2%異性体化アルファ酸)、(3)イソホップ(異性体化アルファ酸;IAA))、(4)ベータ酸溶液(ベータ酸;BA)、(5)ヘキサホップゴールド(ヘキサヒドロ異性体化アルファ酸;HHIAA)、(6)レジホップ(redihop)(還元異性体化-アルファ酸;RIAA)、(7)テトラホップ(テトラヒドロ-イソ-アルファ酸;THIAA)および(8)ホップ粕は、Betatech Hops Products (Washington, D.C., U.S.A.)より入手した。ホップ粕は等容量の無水エタノールで2回抽出した。エタノールは、濃厚な褐色の残渣しか残らなくなるまで40℃で加熱することにより除去した。この残渣をRAW 264.7 細胞における検査用のDMSOに溶解させた。他に記述してなければ、すべての標準的な試薬はSigma (St. Louis, MO)より入手し、市販により入手可能な最も高純度のものとした。他の化学薬品および装置はすべて、実施例1に記載のとおりとした。
【0117】
(細胞培養)-American Type Culture Collection (Catalog #TIB-71, Manassas, VA)より入手したRAW 264.7細胞は、ダルベッコ変法イーグル培地 (DMEM, Mediatech , Herndon, VA)中で増殖させ、対数増殖期に維持した。DMEM増殖培地は、DMEM 500mLのビンに、加熱不活性化したFBS 50mL およびペニシリン/ストレプトマイシン 5mLを加えることにより作成し、4℃で保存した。増殖培地は、使用前に水浴中で37℃に温めた。
【0118】
実験第1日、午前中に、対数増殖期のRAW 264.7細胞を96ウェル組織培養プレートにおいて1ウェル当たり0.2 mLの増殖培地中に1ウェル当たり8×104 細胞にて蒔いた。その日の最後に(プレーティング後6〜8時間)、各ウェルから増殖培地100μLを抜き取り、新鮮な培地100μLに置換した。
【0119】
RAW 264.7細胞におけるCOX-2の発現を誘導するために使用する、LPSの1.0mg/mLストック溶液は、1mL DMSO中に1.0mg LPSを溶かすことにより調製した。これを溶解するまでボルテックスで攪拌し、4℃で保存した。使用前、室温にてまたは37℃水浴中で融解させた。
【0120】
実験第2日、検査材料はDMSO中の1000倍ストックとして調製した。1.7 mLミクロチューブ(microfuge tube)中に、FBSを含まないDMEM 1mLを、0.05、0.10、0.5、および1.0μg/mLの検査濃度用に加えた。検査材料の1000倍DMSOストック 2μLを、FBSを含まない培地 1mLに加えた。チューブには検査材料の最終濃度の2倍濃度を含有するものとし、これをインキュベーター中に10分間置き、37℃に平衡化させた。
【0121】
COX-2に伴うPGE2合成に関して、第1日に調製した細胞プレートの各ウェルから培地 100μLを抜き取り、平衡化した最終濃度の2倍の検査化合物 100μLと置換した。その後細胞を90分間インキュベーションした。LPS 20μLを、刺激する細胞の各ウェルに加えて、最終濃度 10ng LPS/mLとし、細胞を4時間インキュベーションした。LPSの刺激後、細胞の外観を観察し、細胞の生存度を3-(4,5‐ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)に基づいた比色分析(Sigma, St. Louis, MO)により評価した。MTT溶液は、PGE2決定のためのサンプル採取後ウェルに直接加えた。各ウェルの吸光度を、ELISAプレートリーダーを用いて580nmで読んだ。いずれの化合物についても、検査した最も高濃度でも毒性は観察されなかった。各ウェルからの培地上清25μLを、培地中に放出されたPGE2を決定するための清浄なミクロチューブに移した。PGE2は、先に実施例1に記載したようにアッセイし、報告した。
【0122】
COX-1に伴うPGE2合成に関して、第1日に調製した細胞プレートの各ウェルから培地 100μLを抜き取り、平衡化した最終濃度の2倍の検査化合物 100μLと置換した。その後細胞を90分間インキュベーションした。次にLPSによる刺激の代わりに、細胞を100μM アラキドン酸と共に15分間インキュベーションした。各ウェルからの培地上清25μLを、培地中に放出されたPGE2を決定するための清浄なミクロチューブに移した。細胞の外観を観察し、細胞の生存度を上に記載したように決定した。いずれの化合物についても、検査した最も高濃度でも毒性は観察されなかった。各ウェルからの培地上清25μLを、培地中に放出されたPGE2を決定するための清浄なミクロチューブに移した。PGE2は、先に実施例1に記載したように決定し、報告した。COX-1およびCOX-2の双方からのPGE2合成に関する50%抑制濃度(IC50)は、以下のように算出した。
【0123】
PGE2合成に関する50%抑制濃度(IC50)は、CalcuSyn (BIOSOFT, Ferguson, MO)を用いて算出した。この統計学的パッケージは、Chou and Talaly, Adv. Enzyme Regul. 22: 27-55. (1984) により記載されたmedian effect(半数効果、50%効果)法を用いて多剤の用量-効果の算出を行う。上記文献を本明細書に参照として援用する。
【0124】
手短には、この分析は最もシンプルな可能な式:fa/fu=(C/Cm)mにおいて“用量”および“効果”を相関させる。式中、Cは化合物の濃度または用量であり、Cmは、効力を示す有効な用量の中央値である。Cmは、median-effectプロットのx切片から決定される。検査材料の濃度により影響を受ける分画はfaであり、濃度により影響を受けない分画はfuである(fu=1-fa)。指数部mは、用量-効果曲線のシグモイド性(sigmoidicity)または形を示すパラメータである。このパラメータは、median-effectプロットの傾きにより見積もられる。
【0125】
median-effectプロットは、x=log(C) 対 y=log(fa/fu)のグラフであり、Chouのmedian-effect式の対数の形を基本とする。median-effect式に対するデータの適合度は、median-effectプロットの線形相関の相関係数rにより表される。通常、酵素または受容体系からの実験データはr>0.96、組織培養からはr>0.90、動物系からはr>0.85を有する。本明細書に報告した、細胞に基づく試験において、すべての線形相関の相関係数は0.90より大きかった。実験は異なる3日間にて3回繰り返した。各用量の阻害のパーセントは、3回の独立した実験全体の平均とし、この値を使用して報告した50%抑制濃度を算出した。
【0126】
【表3】
【0127】
表3に見られるようにすべてのホップ画分および誘導体は、この標的マクロファージモデルにおいてCOX-1を上回ってCOX-2を選択的に阻害した。このことは新規のそして予想外の発見であった。ホップ誘導体であるIAAおよびRIAAに関するCOX-2の選択性の程度、それぞれ144倍および87倍は、予想外であった。このRAW 264.7細胞モデルにおいて、属Aの化合物は属Bの化合物より高いCOX-2選択性を示し、それぞれ平均して116倍 対 16倍の、より高いCOX-2選択性を示した。アルファ酸、ベータ酸、およびホップ粕もまた、COX-1/COX-2比、それぞれ30、54および24を有する高い選択的COX-2阻害剤であった。低い50%抑制濃度と組み合わせてのこのような高いCOX-2選択性は、他の供給源由来の天然生成物についてはこれまでに報告されていない。アロマホップは、COX-1/COX-2比 2.6を有する、最も低いCOX-2選択性であった。
【0128】
実施例3
ヒト大動脈内皮細胞における還元異性体化アルファ酸およびクルクミン抽出物の組み合わせにより得られるPGE2阻害の相乗性
概要-本実施例は、腫瘍壊死因子α(TNF-α)-刺激ヒト大動脈内皮細胞の炎症モデルにおけるプロスタグランジンE2 (PGE2)の阻害への、還元異性体化アルファ酸(RIAA)およびクルクミンの組み合わせの効果を実証する。
【0129】
本実験に使用した標準的な装置は、実施例1に記載している。化学薬品および試薬は、以下のように入手した。TNF-αはSigma (St. Louis, MO)より得た。プロスタグランジンE2モノクローナル抗体キットは、Cayman Chemical (Ann Arbor, MI)より購入した。加熱不活性化したウシ胎児血清(FBS-HI Cat. #35-011CV)およびダルベッコ変法イーグル培地(DMEM Cat. #10-1013CV)は、Mediatech (Herndon, VA)より購入した。他に記述してなければ、すべての標準的な試薬はSigma (St. Louis, MO)より入手し、市販により入手可能な最も高純度のものとした。検査物質は、Betatech Hops Products (Washington, DC)より入手したRIAA (レジホップ(rho-イソ-アルファ酸(RIAA)、29.5-30.5%、<0.2% イソ-アルフ
ァ酸))、およびクルクミン抽出物(06656)(Metagenics, Gig Harbor, WA)を含んだ。クルクミンの他の市販の供給元は、Nutriscience Innovations (Fairfield CT)を含む。
【0130】
(細胞培養および検査材料による処理)-ヒト大動脈内皮細胞(HAEC)は、Cambrexより入手し(Catalog #CC-2525, Walkersville, MD)、供給元の指示に従って継代培養した。実験用にHAECは、EGM-2増殖培地(Cambrex #cc-4176; ウシ胎児血清(FBS)、ヒドロコルチゾン、hFGF-B、VEGF、R3-IGF-1、アスコルビン酸、hEGF、GA-1000(ゲンタマイシン/アンホテリシンB)およびヘパリンを含有する)を含有するT75フラスコ中で、37℃、加湿した95% 空気/5% CO2雰囲気下で増殖させる。細胞が集密化する前に、新鮮なトリプシン溶液で処理することにより、マイクロタイタープレートでの検査用に調製し、カウントした。1ウェル当たり200μL EGM-2増殖培地を加えた96ウェルプレート中に、およそ105細胞/ウェルを分注した。細胞は、検査材料およびTNF-αによる処理前に、80%の集密度に達するまで放置した。
【0131】
実験の日に、EGM-2増殖培地を吸引し、検査材料を含有する200μL EGM-2を代わりに加えた。検査材料を含有するEGM-2増殖培地は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中の250倍ストック検査材料 4μLをEGM-2 1mLに加えることにより調製した。したがって各ウェルは、同量のDMSOを含有した。コントロールウェルには、増殖培地のみの中にDMSOを加えた。検査材料の最終濃度は、5、1、0.1および0.01μg/mLとした。検査材料は、100ng/ml TNF-αでの刺激の前に加えた。
【0132】
表4は、検査材料、続いてTNF-α刺激にて処理したHAECに関する用量マトリックスを示す。
【0133】
【表4】
HAECのTNF-α処理に関するポジティブコントロールが細胞を刺激していなかった実験は、除外した。
【0134】
(PGE2の決定)-PGE2定量用の市販の非放射性の方法 (Caymen Chemical, Ann Arbor, MI)をPGE2の決定のために利用し、製造業者の推奨する方法を変更を加えずに使用した。手短には、培地上清 50μLを適当な量のアセチルコリンエステラーゼ標識したトレーサーおよびPGE2抗血清で希釈し、室温で18時間インキュベーションした。その後PGE2アッセイマイクロプレートのウェルを空にして洗浄バッファーですすいだ後、アセチルコリンエステラーゼの基質を含有するエルマン試薬 200μLを加えた。反応は、緩やかな振盪機上で、室温で1時間維持し、Bio-tek Instruments (Model #Elx800, Winooski, VT)酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)プレートリーダーにて、415nmの吸光度を決定した。このアッセイに関する製造業者の規格は、<10%のアッセイ内変動係数、1%未満のPGD2およびPGF2αとの交差反応性、および10-1000pg mL-1の範囲にわたる直線性を含む。PGE2濃度は、以下に記載するように105細胞当たりのpgPGE2としてコンピュータにより算出した。
【0135】
PGE2アッセイに関連する算出として、PGE2合成に関する50%抑制濃度(IC50)を、CalcuSyn (BIOSOFT, Ferguson, MO)を用いて算出した。この統計学的パッケージは、Chou and Talaly (Adv. Enzyme Regul. 22: 27-55. (1984))により記載されたmedian effect法を用いて多剤の用量-効果の算出を行う。
【0136】
手短には、この分析は最もシンプルな可能な式:fa/fu=(C/Cm)mにおいて“用量”および“効果”を相関させる。式中、Cは化合物の濃度または用量であり、Cmは、効力を示す有効な用量の中央値である。Cmは、median-effectプロットのx切片から決定される。検査材料の濃度により影響を受ける分画はfaであり、濃度により影響を受けない分画はfuである(fu=1-fa)。指数部mは、用量-効果曲線のシグモイド性または形を示すパラメータである。このパラメータは、median-effectプロットの傾きにより見積もられる。
【0137】
Median-effectプロットは、x=log(C) 対 y=log(fa/fu)のグラフであり、Chouのmedian-effect式の対数の形を基本とする。median-effect式に対するデータの適合度は、median-effectプロットの線形相関の相関係数rにより表される。通常、酵素または受容体系からの実験データはr>0.96、組織培養からはr>0.90、動物系からはr>0.85を有する。本明細書に報告した、細胞に基づく試験において、すべての線形相関の相関係数は0.90より高かった。最も確かな結果を得るため、実験は異なる3日間にて最低3回繰り返す。各用量の阻害のパーセントは、3回の独立した実験全体の平均とし、この値を使用して報告した50%抑制濃度を算出する。
【0138】
検査化合物の相乗作用はcombination index (CI)パラメータを用いて定量した。Chou-TalalyのCIは、多剤の用量-効果を基本としており、酵素の動力学的モデル(Chou and Talaly, J. Biol. Chem. 252: 6438-6422 (1977))から導かれている。この等式は相乗作用または拮抗作用よりむしろ相加的効果のみを決定する。本明細書において相乗作用は、Chou
and Talaly、上記、1977により提案されたような予想される相加的効果より高い効果として、そして拮抗作用は予想される相加的効果より低い効果として定義する。相加的効果としてCI=1と表記することを使用して、同じ作用様式を有する相互に排他的な化合物に関して、または全体として独立した作用様式を有する相互に非排他的な薬剤に関して、以下の関係が得られる:CI<1、=1、および>1は、それぞれ相乗作用、相加作用、および拮抗作用を示す。
【0139】
(細胞の生存度)-細胞の生存度は、PGE2アッセイ用に培地からサンプル採取する前、またはサンプル採取した直後に目視により評価した。細胞の致死率は、観察時に記録した。
統計的方法のため最低4つの濃度(表4)を使用して、CalcuSyn (BIOSOFT, Ferguson, MO)を用いて用量-応答曲線、および50%抑制濃度(IC50)とその95%信頼区間をコンピュータにより算出した。この統計学的パッケージは、Chou and Talaly(上記、1984)により記載されたmedian effect法を用いて、多剤の用量-効果の算出を行う。すべての用量-応答デー
タから50%抑制濃度を得た。2つのデータ変換を正当な理由がある場合に適用した。最初の変換は、低い用量でのPGE2産生がTNF-α刺激コントロールでのPGE2産生を上回っている場合に、最も低い検査濃度から得られた最も高いPGE2産生から、阻害のパーセントをコンピュータで計算することをから成る。この方法は、プレートを通しての応答の変動および勾配について調節する。第2のデータ変換は、段階的用量での応答における変動について調整した。ウェル間での過去の変動を用いてのMonte Carloシミュレーションは、4ポイントの用量-応答曲線において1濃度当たりダブルのウェルを使用する場合、用量-応答曲線は40%しか段階的には現れない、と予測した。それ故、応答が段階的に現れない状態については、IC50を算出する前に濃度による応答の選別を行った。
【0140】
(結果)-本試験においてRIAAに関して得られたIC500.81μg/mL (95%信頼限界(CL) 0.19-3.4)は、他の炎症モデル、例えばLPS-RAW 264.7モデルを用いての、RIAAの以前の結果と一致した。クルクミンは、様々な炎症モデルについて文献で報告された値と一致する、50%抑制濃度 1.4μg/mL (95%CL 0.75 -2.7)を示した。クルクミンに関して報告された50%抑制濃度の例は、マウス表皮における12-O-テトラデカノイルフォルボル(phorbol)-13-アセテート(TPA)-誘導シクロオキシゲナーゼ活性の阻害に関する1.8〜3.6μg/mL(5〜10μM)(Huang et al., Cancer Res. 51:813-819 (1991));ヒト消化器上皮細胞におけるフォルボル12-ミリステート13-アセテート(PMA)-誘導シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)を介してのPGE2生合成の、5μM クルクミンでの63%阻害(Zhang et al., F., Carcinogenesis 20: 445-451 (1999));および未処理のHT-29ヒト大腸癌細胞における3.6μg/mLでのCOX-2タンパク質の発現のおよそ80%阻害(Goel et al., Cancer Letters 172:111-118 (2001))を含む。COX-1およびCOX-2の直接的阻害の研究は、PGE2阻害に関するむしろ高いIC50値、および低いCOX-2選択性、それぞれおよそ70μg/mL、および2.1倍を示す(Ramsewak et al., Phytomedicine 7: 303-308 (2000))。
【0141】
TNF-αに刺激されたHAECに関するRIAA、クルクミン、およびRIAA:クルクミンの組み合わせについての50%抑制濃度を、各組み合わせについてコンピュータにより算出された相乗作用の領域と共に、表5に示す。相乗作用は、用量-応答曲線の異なる区域ではあるものの、すべてのRIAA:クルクミンの組み合わせについて認められた。相乗作用の領域は、用量応答曲線の低用量領域および高用量領域の双方で、そしてRIAA>クルクミンの組み合わせでも、またRIAA<クルクミンの場合にも(例えばRIAA:クルクミン 100:1〜1:100まで)見られた。したがって、投与される製剤中の成分の比率にかかわりなく、RIAAおよびクルクミン双方の広範囲な用量にわたりin vivoで相乗作用が起こることを期待することは、妥当である。
【0142】
【表5】
HEACは、TNF-αの刺激60分前に検査材料にて処理し、一晩インキュベーションした。TNF-αの刺激の18時間後に、PGE2決定のため培地上清をサンプル採取した。50%抑制濃度は、3回の独立した実験にわたる最低4つの濃度からコンピュータにより算出した。CIは上に記載したようにコンピュータにより算出した。
【0143】
図6は、コンピュータにより算出したCombination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【0144】
これらの結果は、RIAAおよびクルクミン抽出物がTNF-αで刺激されたHAECにおけるPGE2の生合成の効力ある阻害剤であることを示す。PGE2の生合成の阻害に関するRIAAおよびクルクミン間の相乗作用は、RIAA:クルクミン比 100:1、10:1、3:2で観察された。100:1および10:1の組み合わせに関して、この相乗作用は用量-応答曲線の高用量領域で起こっており、それぞれ3.4および30μg/mLより高いRIAAの濃度を意味する。特に有効な相乗作用は、RIAA:クルクミン 3:2の比率で観察され、この場合は0.36μg/m未満 RIAA濃度に対して、CIが1より低かった。検査したRIAA:クルクミンの組み合わせに関して、拮抗作用は相乗作用より高頻度で観察された。最も顕著な拮抗作用は、4.6μg/mLにまでIC50が有意に増加し、IC50、IC75およびIC90の平均CIが15であった40% RIAAで認められた。
【0145】
実施例4
RAW 264.7細胞における、還元異性体化アルファ酸およびカフェインの組み合わせにより得られるPGE2阻害の相乗作用
本実施例は、リポ多糖(LPS)により刺激されたRAW 264.7炎症モデルにおいて、PGE2産生の阻害におけるRIAAおよびカフェインの組み合わせの効果について記載する。
【0146】
これらの実験で使用する標準的な装置は、実施例1で記載している。化学薬品および試薬は以下のように入手した。細菌のリポ多糖(LPS; B E. coli 055:B5)はSigma (St. Louis, MO)より得た。プロスタグランジンE2モノクローナル抗体キットは、Cayman Chemical (Ann Arbor, MI)より購入した。加熱不活性化したウシ胎児血清(FBS-HI Cat. #35-011CV)、およびダルベッコ変法イーグル培地 (DMEM Cat# 10-1013CV)はMediatech (Herndon, VA)より購入した。他に記述してなければ、すべての標準的な試薬はSigma (St. Louis, MO)
より入手し、市販により入手可能な最も高純度のものとした。検査物質には、Betatech Hops Productsより入手したRIAA (レジホップ(rho-イソ-アルファ酸(RIAA)、29.5-30.5%、<0.2% イソ-アルファ酸) (Washington, DC)、およびカフェイン(Sigma, St. Louis, MO)を含んだ。
【0147】
(細胞培養、および検査材料による処理)- RAW 264.7細胞(ATTC #TIB-71)は、American Type Culture Collection (Manassas, VA)より入手し、供給元の指示に従って継代培養した。検査用の調製において細胞は、ペニシリン/ストレプトマイシンを含む10% FBS-HIを含む増殖DMEM培地で増殖させ、実験開始前、対数増殖期に維持した。実験の第2日に、1ウェル当たり200μL 増殖培地を含む96ウェル組織培養プレートにおいて1ウェル当たり8×104細胞にて細胞を蒔いた。
【0148】
一晩37℃、5% CO2でインキュベーション後、増殖培地を吸引し、FBSまたはペニシリン/ストレプトマイシンを含まないDMEM 200μLで置換した。検査材料はDMSO中に250倍ストック溶液として溶解させた。この250倍ストック検査材料調製液 4μLをDMEM 1mLに加え、この溶液の200μLを、検査材料の各用量についてダブルでウェルに加えた。検査材料の最終濃度は10、1、0.1および0.01μg/mLとした。検査化合物を加えた後60分に、COX-2発現を刺激するため、LPSを1.0μg/mLの濃度で加えた。表6は、検査材料およびLPS刺激により処理したRAW 264.7細胞に関する用量マトリックスを示す。LPSの刺激が有効ではなかった、またはRIAAの結果が過去の値と有意に異なっていた実験のデータは、50%抑制阻害濃度およびRIAA:カフェインの相乗作用の決定から除外した。
【0149】
【表6】
PGE2のアッセイは、本質的には実施例3に記載したように行った。
【0150】
(細胞の生存度)-細胞の生存度は、PGE2アッセイ用に培地からサンプル採取する前、またはサンプル採取した直後に目視により評価した。細胞の致死率は、観察時に記録した。
低い用量でのPGE2産生が、LPS刺激によるコントロールのPGE2産生を上回っている場合
に、最初の変換が、最も低い検査濃度から得られた最も高いPGE2産生から、阻害のパーセントをコンピュータで計算することから成ることを除いて、統計的方法は、本質的には実施例3に記載のように行った。
【0151】
結果-本研究においてRIAAに関して得られたIC501.3μg/mL (95%信頼限界(CL) 0.41-3.9μg/mL)は、LPS-RAW 264.7の一晩のプロトコルを用いての本研究室におけるRIAAの以前の結果と一致した。本研究におけるカフェインに関するPGE2の50%抑制濃度 25μg/mL (95%CL 4.6-138)は、文献(Fiebich et al., Neuropharmacology 39: 2205-2213 (2000))において最近報告された 8.2μg/mLの値と一致した。RIAA、カフェイン、およびRIAA:カフェインの組み合わせのIC50およびCI値を表7に示す。
【0152】
LPSに刺激されたRAW 264.7細胞に関するRIAA、カフェイン、およびRIAA:カフェインの組み合わせについての50%抑制濃度を、各組み合わせについてコンピュータにより算出した相乗作用の領域と共に、表7に示す。相乗作用は、用量-応答曲線の異なる区域ではあるものの、すべてのRIAA:カフェインの組み合わせについて認められた。相乗作用の領域は、RIAA:カフェインの組み合わせが100:1〜3:2については用量応答曲線の高用量部分で、そして1:1およびそれより高い組み合わせについては用量応答曲線の全領域を通して見られた。したがって、投与される製剤中の成分比率にかかわりなく、RIAAおよびカフェインの双方の広範囲な用量にわたりin vivoで相乗作用が起こることを期待することは、妥当である。
【0153】
【表7】
RAW 264.7細胞は、LPSの刺激の60分前に検査材料にて処理し、一晩インキュベーションした。LPSの刺激18時間後に、PGE2決定のため培地上清をサンプル採取した。50%抑制濃度は、2回の独立した実験にわたる最低4つの濃度からコンピュータにより算出した。CIは上に記載したようにコンピュータにより算出した。
【0154】
図7は、コンピュータにより算出したCombination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【0155】
これらの結果は、LPSに刺激されたRAW 264.7炎症モデルにおいて、用量-応答曲線の一部の部分で、RIAA:カフェイン 100:1〜1:100のRIAAおよびカフェインの組み合わせがPGE2産生の阻害における相乗作用を呈したことを示す。RIAAの濃度が60%に等しいかまたはそれより低い場合に、相乗作用は特に有効であることが観察された。
【0156】
本出願を通して、様々な公開文献を参照してきた。本発明の属する技術分野の状態をより完全に記載するため、これら公開文献のそれらの全内容における開示を、本明細書により本出願における参照として援用する。本発明は上に提供した実施例を参照して記載してきたが、本発明の精神から離れることなく様々な修飾を行うことができることは、理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】図1は、シクロオキシゲナーゼ-2の誘導、およびシクロオキシゲナーゼ酵素によるアラキドン酸からプロスタグランジンおよびその他のエイコサノイドへの代謝を示す。非ステロイド抗炎症薬の作用は、シクロオキシゲナーゼ酵素の直接阻害による。
【図2】図2は、ホップから得ることのできる画分および化合物の概略を示す。
【図3】図3は、ホップから単離されたまたは由来する画分の例を図示する。図3Aは、アルファ酸属(AA)、および代表的な種であるフムロン(R= -CH2CH(CH3)2)、コフムロン(R= -CH(CH3)2)、およびアドフムロン(R= -CH(CH3)CH2CH3)を示す;図3Bは、イソアルファ酸属(IAA)、および代表的な種であるイソフムロン(R= -CH2CH(CH3)2)、イソコフムロン(R= -CH(CH3)2)、およびイソアドフムロン(R= -CH(CH3)CH2CH3)を示す;図3Cは、還元異性体化イソアルファ酸属(RIAA)、および代表的な種であるジヒドロ-イソフムロン(R= -CH2CH(CH3)2)、ジヒドロ-イソコフムロン(R= -CH(CH3)2)、およびジヒドロ-アドフムロン(R= -CH(CH3)CH2CH3)を示す;図3Dは、テトラ-ヒドロイソアルファ酸属(THIAA)、および代表的な種であるテトラ-ヒドロ-イソフムロン(R= -CH2CH(CH3)2)、テトラ-ヒドロ-イソコフムロン(R= -CH(CH3)2)、およびテトラ-ヒドロ-アドフムロン(R= -CH(CH3)CH2CH3)を示す;図3Eは、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸(HHIAA)属を、代表的な種であるヘキサ-ヒドロ-イソフムロン(R= -CH2CH(CH3)2)、ヘキサ-ヒドロ-イソコフムロン(R= -CH(CH3)2)、およびヘキサ-ヒドロ-アドフムロン(R= -CH(CH3)CH2CH3)と共に示す。
【図4A−F】図4A-Fは、クルクミノイド属(A)、および具体例としてのクルクミノイド:クルクミン(B)、デメトキシクルクミン(C)、ビスデメトキシクルクミン(D)、クルクミンのシス-トランス幾何異性体(E)、およびシクロクルクミン(F)、の一般的化学構造を図示する。
【図5A−N】図5A-Nは、具体例としてのメチルキサンチン:カフェイン(A);テオフィリン(B);1-プロパラギル3,7-ジメチルキサンチン(C);7-プロパラギル1,3-ジメチルキサンチン(D);3-プロパラギル1,7-ジメチルキサンチン(E);1,3,7-トリプロパラギルキサンチン(F);3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)(G);1,3,7-トリプロピルキサンチン(H);7-ベンジル-IBMX(I);1-プロピル3,7-ジメチルキサンチン(J);1,3-ジプロピル7-メチルキサンチン(K);1,3-ジプロピル7-プロパラギルキサンチン(L);3,7-ジメチル1-プロピルキサンチン(M);および7-アリル1,3-ジメチルキサンチン(N)、の構造を示す。
【図6A】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6B】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6C】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6D】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6E】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6F】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6G】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図6H】図6は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:クルクミン比 100:1 (図6A)、10:1 (図6B)、3:1 (図6C)、3:2 (図6D)、1:1 (図6E)、2:3 (図6F)、1:10 (図6G)、1:100 (図6H)について、グラフで表したものを示す。
【図7A】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7B】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7C】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7D】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7E】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7F】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7G】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【図7H】図7は、コンピュータにより、Combination Indexパラメータ 対 還元異性体化アルファ酸(RIAA)の濃度を、RIAA:カフェイン比 100:1 (図7A)、10:1 (図7B)、3:1 (図7C)、3:2 (図7D)、1:1 (図7E)、2:3 (図7F)、1:10 (図7G)、1:100 (図7H)について、グラフで表したものを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホップから単離されたまたは由来する画分、およびメチルキサンチンを包含する組成物。
【請求項2】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分が、アルファ酸、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、ベータ酸、およびホップ粕から選択される、請求項1の組成物。
【請求項3】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分が、以下の式を有する上属の化合物:
【化1】
[式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルであり;
式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択され;
そして式中R、T、X、およびZは独立して、H、F、Cl、Br、I、およびπ軌道から成る群より選択されるが、ただしR、T、X、またはZの1つがπ軌道である場合には、隣接するR、T、X、またはZもまたπ軌道であり、それにより二重結合を形成する]
を包含する、請求項1の組成物。
【請求項4】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分が、以下の式を有する属Aの化合物:
【化2】
[式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルであり;
そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される]
を包含する、請求項1の組成物。
【請求項5】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分が、以下の式を有する属Bの化合物:
【化3】
[式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルであり;
そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される]
を包含する、請求項1の組成物。
【請求項6】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分が、フムロン、コフムロン、アドフムロン、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロ-アドフムロン、テトラヒドロ-イソフムロン、テトラヒドロ-イソコフムロン、テトラヒドロ-アドフムロン、ヘキサヒドロ-イソフムロン、ヘキサヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサヒドロ-アドフムロンから成る群より選択される化合物を包含する、請求項1の組成物。
【請求項7】
前記メチルキサンチンが、カフェイン;テオブロミン;テオフィリン;アミノフィリン;ドキソフィリン;ペントキシフィリン;8-オキソペントキシフィリン;8-オキソリソフィリン;リソフィリン;1-プロパラギル3,7-ジメチルキサンチン;7-プロパラギル1,3-ジメチルキサンチン;3-プロパラギル1,7-ジメチルキサンチン;1,3,7-トリプロパラギルキサンチン;3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX);1,3,7-トリプロピルキサンチン;7-ベンジル-IBMX;1-プロピル3,7-ジメチルキサンチン;1,3-ジプロピル7-メチルキサンチン;1,3-ジプロピル7-プロパラギルキサンチン;3,7-ジメチル1-プロピルキサンチン;および7-アリル1,3-ジメチルキサンチンより選択される、請求項1の組成物。
【請求項8】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分、およびメチルキサンチンが、約100:1〜約1:100の比率である、請求項1の組成物。
【請求項9】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分が還元イソアルファ酸であり、前記メチルキサンチンがカフェインである、請求項8の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、約0.5〜10000mgの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項1の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、約50〜7500mgの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項10の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、約0.001〜10重量パーセントの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項1の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、約0.1から1重量パーセントの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項12の組成物。
【請求項14】
前記組成物がさらに医薬的に受容可能な担体を包含する、請求項1の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、経口、局所、非経口、または直腸投与用に製剤化される、請求項1の組成物。
【請求項16】
ホップに由来する画分およびクルクミノイドを包含する組成物。
【請求項17】
前記ホップに由来する画分が、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、およびベータ酸から選択される、請求項16の組成物。
【請求項18】
前記ホップに由来する画分が、以下の式を有する上属の化合物:
【化4】
[式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルであり
式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択され;
そして式中R、T、X、およびZは独立して、H、F、Cl、Br、I、およびπ軌道から成る群より選択されるが、ただしR、T、X、またはZの1つがπ軌道である場合には、隣接するR、T、X、またはZもまたπ軌道であり、それにより二重結合を形成する]
を包含する、請求項16の組成物。
【請求項19】
前記ホップに由来する画分が、以下の式を有する属Aの化合物:
【化5】
[式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルであり;
そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される]
を包含する、請求項16の組成物。
【請求項20】
前記ホップに由来する画分が、以下の式を有する属Bの化合物:
【化6】
[式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルであり;
そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される]
を包含する、請求項16の組成物。
【請求項21】
前記ホップに由来する画分が、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロ-アドフムロン、テトラ-ヒドロ-イソフムロン、テトラヒドロ-イソコフムロン、テトラヒドロ-アドフムロン、ヘキサヒドロ-イソフムロン、ヘキサヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサヒドロ-アドフムロンから成る群より選択される化合物を包含する、請求項16の組成物。
【請求項22】
前記クルクミノイドが、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、シス-トランス-クルクミン、およびシクロクルクミンより選択される、請求項16の組成物。
【請求項23】
前記ホップに由来する画分および前記クルクミノイドが、約100:1〜約1:10の比率である、請求項16の組成物。
【請求項24】
前記比率が約3:2である、請求項23の組成物。
【請求項25】
前記ホップから単離された画分が還元イソアルファ酸であり、前記クルクミノイドがクルクミンである、請求項24の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、約0.5〜10000mgの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項16の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、約50〜7500mgの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項26の組成物。
【請求項28】
前記組成物が、約0.001〜10重量パーセントの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項16の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、約0.1〜1重量パーセントの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項28の組成物。
【請求項30】
前記組成物がさらに医薬的に受容可能な担体を包含する、請求項16の組成物。
【請求項31】
前記組成物が、経口、局所、非経口、または直腸投与用に製剤化される、請求項16の組成物。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか1項の組成物を投与することを包含する、炎症を低減する方法。
【請求項1】
ホップから単離されたまたは由来する画分、およびメチルキサンチンを包含する組成物。
【請求項2】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分が、アルファ酸、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、ベータ酸、およびホップ粕から選択される、請求項1の組成物。
【請求項3】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分が、以下の式を有する上属の化合物:
【化1】
[式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルであり;
式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択され;
そして式中R、T、X、およびZは独立して、H、F、Cl、Br、I、およびπ軌道から成る群より選択されるが、ただしR、T、X、またはZの1つがπ軌道である場合には、隣接するR、T、X、またはZもまたπ軌道であり、それにより二重結合を形成する]
を包含する、請求項1の組成物。
【請求項4】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分が、以下の式を有する属Aの化合物:
【化2】
[式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルであり;
そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される]
を包含する、請求項1の組成物。
【請求項5】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分が、以下の式を有する属Bの化合物:
【化3】
[式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルであり;
そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される]
を包含する、請求項1の組成物。
【請求項6】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分が、フムロン、コフムロン、アドフムロン、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロ-アドフムロン、テトラヒドロ-イソフムロン、テトラヒドロ-イソコフムロン、テトラヒドロ-アドフムロン、ヘキサヒドロ-イソフムロン、ヘキサヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサヒドロ-アドフムロンから成る群より選択される化合物を包含する、請求項1の組成物。
【請求項7】
前記メチルキサンチンが、カフェイン;テオブロミン;テオフィリン;アミノフィリン;ドキソフィリン;ペントキシフィリン;8-オキソペントキシフィリン;8-オキソリソフィリン;リソフィリン;1-プロパラギル3,7-ジメチルキサンチン;7-プロパラギル1,3-ジメチルキサンチン;3-プロパラギル1,7-ジメチルキサンチン;1,3,7-トリプロパラギルキサンチン;3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX);1,3,7-トリプロピルキサンチン;7-ベンジル-IBMX;1-プロピル3,7-ジメチルキサンチン;1,3-ジプロピル7-メチルキサンチン;1,3-ジプロピル7-プロパラギルキサンチン;3,7-ジメチル1-プロピルキサンチン;および7-アリル1,3-ジメチルキサンチンより選択される、請求項1の組成物。
【請求項8】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分、およびメチルキサンチンが、約100:1〜約1:100の比率である、請求項1の組成物。
【請求項9】
前記ホップから単離されたまたは由来する画分が還元イソアルファ酸であり、前記メチルキサンチンがカフェインである、請求項8の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、約0.5〜10000mgの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項1の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、約50〜7500mgの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項10の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、約0.001〜10重量パーセントの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項1の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、約0.1から1重量パーセントの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項12の組成物。
【請求項14】
前記組成物がさらに医薬的に受容可能な担体を包含する、請求項1の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、経口、局所、非経口、または直腸投与用に製剤化される、請求項1の組成物。
【請求項16】
ホップに由来する画分およびクルクミノイドを包含する組成物。
【請求項17】
前記ホップに由来する画分が、イソアルファ酸、還元イソアルファ酸、テトラ-ヒドロイソアルファ酸、ヘキサ-ヒドロイソアルファ酸、およびベータ酸から選択される、請求項16の組成物。
【請求項18】
前記ホップに由来する画分が、以下の式を有する上属の化合物:
【化4】
[式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルであり
式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択され;
そして式中R、T、X、およびZは独立して、H、F、Cl、Br、I、およびπ軌道から成る群より選択されるが、ただしR、T、X、またはZの1つがπ軌道である場合には、隣接するR、T、X、またはZもまたπ軌道であり、それにより二重結合を形成する]
を包含する、請求項16の組成物。
【請求項19】
前記ホップに由来する画分が、以下の式を有する属Aの化合物:
【化5】
[式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルであり;
そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される]
を包含する、請求項16の組成物。
【請求項20】
前記ホップに由来する画分が、以下の式を有する属Bの化合物:
【化6】
[式中R’は、カルボニル、ヒドロキシル、OR、およびOCORから成る群より選択され、式中Rはアルキルであり;
そして式中R”は、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、およびCH(CH3)CH2CH3から成る群より選択される]
を包含する、請求項16の組成物。
【請求項21】
前記ホップに由来する画分が、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロ-イソフムロン、ジヒドロ-イソコフムロン、ジヒドロ-アドフムロン、テトラ-ヒドロ-イソフムロン、テトラヒドロ-イソコフムロン、テトラヒドロ-アドフムロン、ヘキサヒドロ-イソフムロン、ヘキサヒドロ-イソコフムロン、およびヘキサヒドロ-アドフムロンから成る群より選択される化合物を包含する、請求項16の組成物。
【請求項22】
前記クルクミノイドが、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、シス-トランス-クルクミン、およびシクロクルクミンより選択される、請求項16の組成物。
【請求項23】
前記ホップに由来する画分および前記クルクミノイドが、約100:1〜約1:10の比率である、請求項16の組成物。
【請求項24】
前記比率が約3:2である、請求項23の組成物。
【請求項25】
前記ホップから単離された画分が還元イソアルファ酸であり、前記クルクミノイドがクルクミンである、請求項24の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、約0.5〜10000mgの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項16の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、約50〜7500mgの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項26の組成物。
【請求項28】
前記組成物が、約0.001〜10重量パーセントの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項16の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、約0.1〜1重量パーセントの、前記ホップから単離されたまたは由来する画分を包含する、請求項28の組成物。
【請求項30】
前記組成物がさらに医薬的に受容可能な担体を包含する、請求項16の組成物。
【請求項31】
前記組成物が、経口、局所、非経口、または直腸投与用に製剤化される、請求項16の組成物。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか1項の組成物を投与することを包含する、炎症を低減する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A−C】
【図4D−F】
【図5A−D】
【図5E−H】
【図5I−N】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図2】
【図3】
【図4A−C】
【図4D−F】
【図5A−D】
【図5E−H】
【図5I−N】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【公表番号】特表2007−525523(P2007−525523A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501015(P2007−501015)
【出願日】平成17年2月26日(2005.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/006147
【国際公開番号】WO2005/084230
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(503465937)メタプロテオミクス, エルエルシー (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月26日(2005.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/006147
【国際公開番号】WO2005/084230
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(503465937)メタプロテオミクス, エルエルシー (19)
【Fターム(参考)】
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