説明

クレーン

【課題】吊具(スプレッダ)や吊荷(コンテナ)の振れを短時間で取る(抑える)ことができ、吊具や吊荷の位置決めを容易かつ迅速に行うことができて、クレーンの操作性を向上させることができるとともに、荷役時間の短縮化を図ることができるクレーンを提供すること。
【解決手段】複数の吊荷を吊上げる吊具を備えるクレーンにおいて、吊荷間の相対位置を変えることのできるアクチュエータを設け、目標位置とのずれに応じて、前記アクチュエータを駆動することにより、吊荷又は吊具の吊荷吊上げ部の一つを目標位置に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンに関し、特に、岸壁に接岸した船舶から、搭載されたコンテナ等の貨物を陸上へ荷降し、もしくは陸上のコンテナを船舶に積載するため、岸壁に沿って走行するとともに、陸上と船舶の艙口上の間を往復動するコンテナクレーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンテナクレーンとしては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【特許文献1】特開2003−252568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、上記特許文献1に開示されているコンテナクレーンには、吊具(スプレッダ)や吊荷(コンテナ等の貨物)の振れを取る(抑える)ための吊具振れ止め装置が設けられている。
しかしながら、このような吊具振れ止め装置は、トロリや巻上ロープを動かすことにより吊具や吊荷の振れを取ろうと(抑制しようと)するものである。そのため、トロリや巻上ロープの動きが吊具に伝わるのに振れの周期に相当する時間遅れが発生し、応答速度が遅くなり、振れ止めに要する時間が長くなってしまうといった問題点があった。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、吊具や吊荷の振れを短時間で取る(抑える)ことができ、吊具や吊荷の位置決めを容易かつ迅速に行うことができて、クレーンの操作性を向上させることができるとともに、荷役時間の短縮化を図ることができるクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係るクレーンは、目標位置と吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分との位置ずれを検出する検出装置と複数の吊荷を吊り上げることができる吊具に吊荷間の相対距離を変えることのできるアクチュエータと、前記位置ずれに応じて前記アクチュエータの制御を行う制御装置とを設けたクレーンであって、前記制御装置が、目標位置と吊荷又は吊具の吊荷吊上げ部分との位置ずれ量によって、前記アクチュエータを駆動することで吊具の残りの部分及び残りの吊荷の慣性を使って、前記吊具に吊り上げられた1つの吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分を目標位置の上に位置合わせする制御プログラムを備えている。
即ち、クレーンで吊上げられた吊具、吊荷については重力とワイヤー張力が略相殺される為、外力無しに近い状態となっていることより、外力無しの条件で2つの物体の間のアクチュエータを駆動した時に図13(a)および(b)に示すとおり、一方の位置、速度を制御することができることを利用し、複数の吊荷を一度に吊上げる為の吊具の内、一つの吊荷又は吊具の吊荷吊上げ部分を吊具内のアクチュエータを使用して、目標位置上に停止する。
【0006】
上記クレーンにおいて、前記制御装置が、目的位置の高さを検出する装置または高さデータを受信する装置と、巻高さを検出する検出器とを備え、吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分を目的位置上に停止した状態で目的位置高さまで巻き下げることにより着床または荷を把持する自動着床制御プログラムを備えているとさらに好適である。
【0007】
また、上記クレーンにおいて、前記自動着床制御プログラムが、吊具の振れや位置ずれが大きく、前記自動制御プログラムにしたがって前記アクチュエータを駆動中に、振れ周期の一部で前記アクチュエータのストロークに余裕が無くなり、吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分を着床まで目標位置上に停止させておくことが出来ない場合には着床の為の巻下げ運転を停止し、振れ周期によってアクチュエータストローク内に戻ったときに前記自動制御プログラムにしたがって吊荷又は吊具の吊荷吊上げ部分を目標位置上に停止し、着床の為のクレーンの巻下げ運転を行うことにより、吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分が目標位置に停止状態で着床させるように組まれているとさらに好適である。
【0008】
さらに、上記クレーンにおいて、前記自動着床制御プログラムが、1つの吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分を着床後、吊具の吊荷吊上げ部分の場合は吊荷を把持した後、前記吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分の摩擦力または把持力を支点として、前記摩擦力または把持力を超えないように駆動力を制限した上で前記アクチュエータを駆動して残りの吊荷または吊具の残りの吊荷吊上げ部分を目標位置上に位置合わせするように組まれているとさらに好適である。
【0009】
さらにまた、上記クレーンにおいて、前記吊具が、吊荷を2個短軸方向に並べて吊上げる事ができる第1のスプレッダおよび第2のスプレッダを備えたタンデムスプレッダであるとさらに好適である。
【0010】
さらにまた、上記クレーンにおいて、前記第1のスプレッダおよび/または前記第2のスプレッダに、目標位置を撮影する撮影手段がそれぞれ設けられており、この撮影手段で撮影された画像データが、制御装置に出力されて処理された後、前記アクチュエータに出力されるように構成されているとさらに好適である。
【0011】
このようなクレーンによれば、アクチュエータを作動させ、このアクチュエータのロッドを伸縮させることにより、例えば、第1のスプレッダまたは第2のスプレッダのいずれか一方のスプレッダを、他方のスプレッダの慣性を利用して(他方のスプレッダを支点として)、目標位置(搭載位置)の上に停止させることができる。
即ち、図13(a)および(b)に示すとおり、吊具全体の目標点に対するずれ及び速度を吊具の他の部分に集めることで、一方のスプレッダを目標位置上に停止することができる。
これにより、一方のスプレッダの位置決めを容易かつ迅速に行うことができ、クレーンの操作性を向上させることができるとともに、荷役時間の短縮化を図ることができる。
また、非熟練のオペレータでもスプレッダの位置決めを容易かつ迅速に行うことができるので、オペレータの熟練の差により生じる荷役時間の差を低減させることができる。
さらに、吊具を安全かつ確実に着床させることができ、荷役作業を行う地上作業員あるいは船上作業員の安全を確保することができるとともに、吊具あるいは吊具の把持するコンテナが、他のコンテナに衝突してしまうことを防止することができる。
【0012】
本発明に係るクレーンの一形態は、水平ガーダの延在方向に沿って往復移動するトロリから上下移動可能に吊り下げられ、前記水平ガーダの延在方向または前記水平ガーダの延在方向と直交する方向に沿って並べて配置された第1のスプレッダおよび第2のスプレッダを有するツインスプレッダを備えたクレーンであって、前記第1のスプレッダと前記第2のスプレッダとが、前記水平ガーダの延在方向に沿って伸縮するロッドを備えたアクチュエータまたは前記水平ガーダの延在方向と直交する方向に沿って伸縮するロッドを備えたアクチュエータを介して連結されている。
【0013】
このようなクレーンによれば、アクチュエータを作動させ、このアクチュエータのロッドを伸縮させることにより、第1のスプレッダまたは第2のスプレッダのいずれか一方のスプレッダを、他方のスプレッダの慣性を利用して(他方のスプレッダを支点として)、目標位置(搭載位置)の上に停止させることができる。
これにより、スプレッダの位置決めを容易かつ迅速に行うことができ、クレーンの操作性を向上させることができるとともに、荷役時間の短縮化を図ることができる。
また、非熟練のオペレータでもスプレッダの位置決めを容易かつ迅速に行うことができるので、オペレータの熟練の差により生じる荷役時間の差を低減させることができる。
【0014】
本発明に係るクレーンの一形態は、水平ガーダの延在方向に沿ってトロリとともに往復移動するヘッドブロックから吊り下げられ、前記水平ガーダの延在方向または前記水平ガーダの延在方向と直交する方向に沿って並べて配置された第1のスプレッダおよび第2のスプレッダを有するタンデムスプレッダを備えたクレーンであって、前記第1のスプレッダと前記ヘッドブロック、および前記第2のスプレッダと前記ヘッドブロックがそれぞれ、前記水平ガーダの延在方向に沿って伸縮するロッドを備えたアクチュエータまたは前記水平ガーダの延在方向と直交する方向に沿って伸縮するロッドを備えたアクチュエータを介して連結されている。
【0015】
このようなクレーンによれば、アクチュエータを作動させ、このアクチュエータのロッドを伸縮させることにより、第1のスプレッダおよび/または第2のスプレッダを、ヘッドブロックの慣性を利用して(ヘッドブロックを支点として)、目標位置(搭載位置)の上に停止させることができる。
これにより、スプレッダの位置決めを容易かつ迅速に行うことができ、クレーンの操作性を向上させることができるとともに、荷役時間の短縮化を図ることができる。
また、非熟練のオペレータでもスプレッダの位置決めを容易かつ迅速に行うことができるので、オペレータの熟練の差により生じる荷役時間の差を低減させることができる。
【0016】
上記クレーンにおいて、前記アクチュエータのロッドが伸縮する方向と直交する方向に沿って伸縮するロッドを備えた第2のアクチュエータが設けられているとともに、この第2のアクチュエータの一端部が前記第1のスプレッダに連結され、他端部が前記第2のスプレッダに連結されているとさらに好適である。
【0017】
このようなクレーンによれば、前記アクチュエータのロッドが伸縮する方向と直交する方向に、例えば、第1のスプレッダおよび/または第2のスプレッダが振れていたとしても、第1のスプレッダまたは第2のスプレッダのいずれか一方のスプレッダを、他方のスプレッダまたはヘッドブロックの慣性を利用して(他方のスプレッダまたはヘッドブロックを支点として)、目標とするコンテナの直上に停止させることができ、クレーンの操作性および応答性をさらに向上させることができ、荷役時間をさらに短縮することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、吊具(スプレッダ)や吊荷(コンテナ等の貨物)の振れを短時間で取る(抑える)ことができ、吊具や吊荷の位置決めを容易かつ迅速に行うことができて、クレーンの操作性を向上させることができるとともに、荷役時間の短縮化を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係るクレーン(以下、「コンテナクレーン」という。)の第1実施形態を、図1および図2を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るコンテナクレーンの正面図、図2は、図1に示すタンデムスプレッダの正面図である。
【0020】
コンテナクレーン1は、岸壁に接岸した船舶(図示せず)から、搭載されたコンテナ等の貨物(以下、「コンテナ」という。)を陸上へ荷降し、もしくは陸上のコンテナを船舶に積載するため、岸壁に沿って走行するとともに、陸上と船舶の艙口上の間を往復動するクレーンである。
図1に示すように、コンテナクレーン1は、岸壁の基礎面Gに配置されたレールR上に立設され、複数の走行車輪2と、脚部3と、水平ガーダ4とを主たる要素として構成されている。
【0021】
複数の走行車輪2は、脚部3の下端に設けられている。また、脚部3には、他の脚部3および水平ガーダ4を支持するブレース材5が、適当な位置に複数配置されている。
【0022】
水平ガーダ4は、岸壁の基礎面Gと平行方向に配置されている。この水平ガーダ4上には、走行架台6が設けられており、この走行架台6上をその幅(長手)方向にトロリ7が走行するようになっている。また、この水平ガーダ4上には、このトロリ7を走行させる駆動装置を備えた機械室8が設けられている。
【0023】
トロリ7には、吊荷としてのコンテナ(図示せず)の荷役を行うタンデムスプレッダ9が、巻上ロープ10を介して吊下げられている。
また、水平ガーダ4の一端部(陸側の端部)4aには、巻上ロープ10を介してタンデムスプレッダ9(またはコンテナ)の傾きを駆動する吊具傾転装置11が設けられている。
【0024】
図2に示すように、タンデムスプレッダ9は、陸側スプレッダ(第1のスプレッダ)12と、海側スプレッダ(第2のスプレッダ)13と、ヘッドブロック14と、アクチュエータ15とを主たる要素として構成されている。
陸側スプレッダ12および海側スプレッダ13はそれぞれ、吊下ロープ16を介してヘッドブロック14から吊り下げられており、陸側スプレッダ12および海側スプレッダ13の四隅の下部には、コンテナを補着する機構17がそれぞれ設けられている。
【0025】
ヘッドブロック14の上部には、昇降シーブ18が設けられているとともに、各昇降シーブ18には、巻上ロープ10が巻回されている。
陸側スプレッダ12の上面にはアーム12aが設けられており、海側スプレッダ13の上面にはアーム13aが設けられているとともに、アクチュエータ15の一端部は、ピン12bを介してアーム12aと連結されており、アクチュエータ15の他端部は、ピン13bを介してアーム13aと連結されている。そして、陸側スプレッダ12と海側スプレッダ13との間の間隔調整は、アクチュエータ15を作動させ、このアクチュエータ15のロッド15aを伸縮させることにより行われる。
【0026】
なお、本実施形態に係るコンテナクレーン1では、吊具傾転装置11により、ヘッドブロック14の長手(長さ)方向の傾転調整(トリム調整)、幅(左右)方向の傾転調整(リスト調整)を行うことができるように構成されている。
【0027】
つぎに、岸壁に接岸した船舶に搭載されたコンテナを(受け)取りに行く際のコンテナクレーン1の運転(操作)方法について説明する。
まず、陸側スプレッダ12または海側スプレッダ13のいずれか一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)が、目標とするコンテナ(目標位置(目標点))の直上または干渉を避けてアクチュエータのストローク内の範囲でずらして、かつ、例えば、コンテナの上面から100cmのところに位置する(来る)ように、トロリ7を走行させる駆動装置を駆動し、トロリ7を水平ガーダ4の長手方向に沿って移動させるとともに、巻上げドラム(図示せず)を駆動し、巻上ロープ10を巻下げて、タンデムスプレッダ9全体を降下させる。
【0028】
つづいて、アクチュエータ15を作動させ、このアクチュエータ15のロッド15aを伸縮させることにより、陸側スプレッダ12または海側スプレッダ13のいずれか一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)を、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)の慣性を利用して(他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)を支点として)、目標とするコンテナの直上に停止させる。そして、この状態で巻上げドラム(図示せず)を再び駆動し、巻上ロープ10をさらに巻下げて、タンデムスプレッダ9全体をさらに降下させ、一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)と、目標とするコンテナとが、コンテナを補着する機構17を介して連結される。
なお、ここでは説明の為に巻下を100cmの高さで一時停止する動作としているが、巻き下げ運転を継続して行うことは可能である。
【0029】
そして、一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)が、目標とするコンテナを把持したら(掴んだら:着床したら)、今度は、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)が、着床したコンテナを把持している一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)の把持力及びコンテナの摩擦力を利用して(一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)を支点として)、目標とするコンテナの直上に停止するように(すなわち、着床許容内に入るように)、アクチュエータ15を作動させ、このアクチュエータ15のロッド15aを伸縮させて、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)と、目標とするコンテナとが、コンテナを補着する機構17を介して連結される。
なお、このとき、吊具傾転装置11を用いてリスト調整を行い、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)が、一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)よりも上方に位置するように(すなわち、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)のコンテナを補着する機構17と、コンテナの上面とが干渉しないように)操作されるとさらに好適である。
【0030】
つぎに、岸壁に接岸した船舶に、コンテナを搭載しに行く(置きに行く)際のコンテナクレーン1の運転(操作)方法について説明する。
まず、陸側スプレッダ12または海側スプレッダ13のいずれか一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)が、目標とするコンテナ(目標位置(目標点))の直上で、かつ、例えば、コンテナの上面から100cmのところに位置する(来る)ように、トロリ7を走行させる駆動装置を駆動し、トロリ7を水平ガーダ4の長手方向に沿って移動させるとともに、巻上げドラム(図示せず)を駆動し、巻上ロープ10を巻下げて、タンデムスプレッダ9全体を降下させる。
【0031】
つづいて、アクチュエータ15を作動させ、このアクチュエータ15のロッド15aを伸縮させることにより、陸側スプレッダ12または海側スプレッダ13のいずれか一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)を、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)の慣性を利用して(他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)を支点として)、目標位置(搭載位置)の直上に停止させる。そして、この状態で巻上げドラム(図示せず)を再び駆動し、巻上ロープ10をさらに巻下げて、タンデムスプレッダ9全体をさらに降下させ、一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)が把持する(掴む)コンテナを、目標位置(搭載位置)に着床させる。
なお、ここでは説明の為に巻下を100cmの高さで一時停止する動作としているが、巻き下げ運転を継続して行うことは可能である。
【0032】
一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)把持する(掴む)コンテナが、目標位置(搭載位置)に着床したら、今度は、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)が、着床したコンテナを把持している一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)の把持力及びコンテナの摩擦力を利用して(一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)を支点として)、目標位置(搭載位置)の直上に停止するように(すなわち、着床許容内に入るように)、アクチュエータ15を作動させ、このアクチュエータ15のロッド15aを伸縮させて、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)が把持する(掴む)コンテナを、目標位置(搭載位置)に着床させる。
なお、このとき、吊具傾転装置11を用いてリスト調整を行い、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)が、一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)よりも上方に位置するように(すなわち、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)のコンテナを補着する機構17と、コンテナの上面とが干渉しないように)操作されるとさらに好適である。
また、陸側でトレーラー上にコンテナを搭載しに行く(置きに行く)際、及び、トレーラーに搭載されたコンテナを(受け)取りに行く際のコンテナクレーンの運転(操作)方法についても上記と略同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0033】
本実施形態に係るコンテナクレーン1によれば、アクチュエータ15を作動させ、このアクチュエータ15のロッド15aを伸縮させることにより、陸側スプレッダ12または海側スプレッダ13のいずれか一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)を、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)の慣性を利用して(他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)を支点として)、目標位置(搭載位置)の上に停止させることができる。
これにより、スプレッダ12,13の位置決めを容易かつ迅速に行うことができ、コンテナクレーン1の操作性を向上させることができるとともに、荷役時間の短縮化を図ることができる。
また、非熟練のオペレータでもスプレッダ12,13の位置決めを容易かつ迅速に行うことができるので、オペレータの熟練の差により生じる荷役時間の差を低減させることができる。
【0034】
本発明に係るコンテナクレーンの第2実施形態を、図3ないし図6を用いて説明する。
図3は本実施形態に係るタンデムスプレッダの正面図、図4は本実施形態に係るタンデムスプレッダの平面図、図5および図6はそれぞれ、岸壁に接岸した船舶に搭載されたコンテナを(受け)取りに行く際のコンテナクレーンの運転(操作)方法を説明するためのフローチャートである。
【0035】
本実施形態に係るコンテナクレーン20は、タンデムスプレッダ9の代わりにタンデムスプレッダ21が設けられているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0036】
図3および図4に示すように、タンデムスプレッダ21は、陸側スプレッダ(第1のスプレッダ)22と、海側スプレッダ(第2のスプレッダ)23と、アクチュエータ24とを主たる要素として構成されている。
陸側スプレッダ22および海側スプレッダ23の上部にはそれぞれ、昇降シーブ18が設けられているとともに、各昇降シーブ18には、巻上ロープ10が巻回されている。また、陸側スプレッダ22および海側スプレッダ23の四隅の下部には、コンテナを補着する機構17がそれぞれ設けられている。さらに、陸側スプレッダ22の一側面(本実施形態では陸側の側面)には、目標位置(搭載位置)等を撮影するためのカメラ(撮影手段)25が取り付けられており、海側スプレッダ23の一側面(本実施形態では海側の側面)には、目標位置(搭載位置)等を撮影するためのカメラ(撮影手段)26が取り付けられている。そして、これらカメラ25,26で撮影された画像データは、図示しない制御器(制御装置)に出力されて処理された後、アクチュエータ24にそれぞれ出力されるようになっている。
【0037】
陸側スプレッダ22の上面にはアーム22aが設けられており、海側スプレッダ23の上面にはアーム23aが設けられているとともに、アクチュエータ24の一端部は、ピン22bを介してアーム22aと連結されており、アクチュエータ24の他端部は、ピン23bを介してアーム23aと連結されている。そして、陸側スプレッダ22と海側スプレッダ23との間の間隔調整は、アクチュエータ24を作動させ、このアクチュエータ24のロッド24aを伸縮させることにより行われる。
なお、図3は、吊具傾転装置11を用いてリスト調整を行い、陸側スプレッダ22が、海側スプレッダ23よりも上方に位置するように(すなわち、海側スプレッダ23が着床時にも陸側スプレッダ22のコンテナを補着する機構17と、コンテナの上面とが干渉しないように)操作された状態を示している。
【0038】
つぎに、岸壁に接岸した船舶に搭載されたコンテナを(受け)取りに行く際のコンテナクレーン20の運転(操作)方法について、図5および図6を用いて説明する。
まず、陸側スプレッダ22または海側スプレッダ23のいずれか一方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ23)が、目標とするコンテナ(目標位置(目標点))の直上で、かつ、例えば、コンテナの上面から100cmのところに位置する(来る)ように、トロリ7を走行させる駆動装置を駆動し、トロリ7を水平ガーダ4の長手方向に沿って移動させるとともに、巻上げドラム(図示せず)を駆動し、巻上ロープ10を巻下げて、タンデムスプレッダ9全体を降下させる。
【0039】
つづいて、図5に示すように、カメラ26で撮影された画像データにより、海側スプレッダ23と、目標とするコンテナ(目標位置(目標点))とのずれ量に基づいて、このずれ量が減少する方向に、すなわち、海側スプレッダ23が、陸側スプレッダ22の慣性を利用して(陸側スプレッダ22を支点として)、目標とするコンテナの直上に停止するように(すなわち、着床許容内に入るように)、アクチュエータ24が作動(動作)させられる。そして、この状態で吊具傾転装置11を用いてリスト調整を行い、陸側スプレッダ22が、海側スプレッダ23よりも上方に位置するように(すなわち、陸側スプレッダ22のコンテナを補着する機構17と、コンテナの上面とが干渉しないように)操作して、海側スプレッダ23と、目標とするコンテナとが、コンテナを補着する機構17を介して連結されるようにする。
【0040】
一方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ23)が、目標とするコンテナを把持したら(掴んだら:着床したら)、図6に示すように、今度は、カメラ25で撮影された画像データにより、陸側スプレッダ22と、目標とするコンテナ(目標位置(目標点))とのずれ量に基づいて、このずれ量が減少する方向に、すなわち、陸側スプレッダ22が、海側スプレッダ23の把持力及びコンテナの摩擦力を利用して(海側スプレッダ23を支点として)、目標とするコンテナの直上に停止するように(すなわち、着床許容内に入るように)、アクチュエータ24が作動(動作)させられる。そして、この状態で吊具傾転装置11を用いてリスト調整を行い、陸側スプレッダ22が、海側スプレッダ23と略同じ高さになるように操作して、陸側スプレッダ22と、目標とするコンテナとが、コンテナを補着する機構17を介して連結されるようにする。
【0041】
なお、岸壁に接岸した船舶に、コンテナを搭載しに行く(置きに行く)際のコンテナクレーン20の運転(操作)方法については、上述した岸壁に接岸した船舶に搭載されたコンテナを(受け)取りに行く際のコンテナクレーン20の運転(操作)方法と略同じであるので、ここではその説明を省略する。
また、陸側でトレーラー上にコンテナを搭載しに行く(置きに行く)際、及び、トレーラーに搭載されたコンテナを(受け)取りに行く際のコンテナクレーンの運転(操作)方法についても上記と略同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0042】
本実施形態に係るコンテナクレーン20によれば、スプレッダ22,23の位置決めが自動的に行われることとなるので、コンテナクレーン1の操作性をさらに向上させることができ、荷役時間をさらに短縮することができる。
その他の作用効果については、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0043】
本発明に係るコンテナクレーンの第3実施形態を、図7ないし図9を用いて説明する。
図7および図9はそれぞれ、本実施形態に係るタンデムスプレッダの正面図、図8は本実施形態に係るタンデムスプレッダの平面図である。
【0044】
本実施形態に係るコンテナクレーン30は、タンデムスプレッダ21の代わりにタンデムスプレッダ31が設けられているという点で上述した第2実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第2実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0045】
図7ないし図9に示すように、タンデムスプレッダ31は、陸側スプレッダ(第1のスプレッダ)12と、海側スプレッダ(第2のスプレッダ)13と、ヘッドブロック14と、アクチュエータ32,33とを主たる要素として構成されている。
陸側スプレッダ12および海側スプレッダ13はそれぞれ、吊下ロープ16を介してヘッドブロック14から吊り下げられており、陸側スプレッダ12および海側スプレッダ13の四隅の下部には、コンテナを補着する機構17がそれぞれ設けられている。また、陸側スプレッダ12の一側面(本実施形態では陸側の側面)には、目標位置(搭載位置)等を撮影するためのカメラ(図示せず)が取り付けられており、海側スプレッダ13の一側面(本実施形態では海側の側面)には、目標位置(搭載位置)等を撮影するためのカメラ(図示せず)が取り付けられている。そして、これらカメラで撮影された画像データは、図示しない制御器に出力されて処理された後、アクチュエータ32,33にそれぞれ出力されるようになっている。
【0046】
ヘッドブロック14の上部には、昇降シーブ18が設けられているとともに、各昇降シーブ18には、巻上ロープ10が巻回されている。
陸側スプレッダ12の上面にはアーム12aが設けられており、海側スプレッダ13の上面にはアーム13aが設けられている。また、ヘッドブロック14の下面にはアーム14a,14bが設けられている。陸側スプレッダ12を作動(動作)させるアクチュエータ32の一端部は、ピン34を介してアーム12aと連結されており、アクチュエータ32の他端部は、ピン35を介してアーム14aと連結されている。一方、海側スプレッダ13を作動(動作)させるアクチュエータ33の一端部は、ピン36を介してアーム13aと連結されており、アクチュエータ33の他端部は、ピン37を介してアーム14bと連結されている。そして、陸側スプレッダ12の高さ調整、海側スプレッダ13の高さ調整、および陸側スプレッダ12と海側スプレッダ13との間の間隔調整は、アクチュエータ32および/またはアクチュエータ33を作動させ、これらアクチュエータ32,33のロッド32a,33aを伸縮させることにより行われる。
【0047】
なお、図9は、アクチュエータ32のロッド32aを伸ばし、アクチュエータ33のロッド33aを縮めた状態として、陸側スプレッダ12が、海側スプレッダ13よりも上方に位置するように(すなわち、陸側スプレッダ12のコンテナを補着する機構17と、コンテナの上面とが干渉しないように)操作された状態を示している。
【0048】
つぎに、岸壁に接岸した船舶に搭載されたコンテナを(受け)取りに行く際のコンテナクレーン30の運転(操作)方法について説明する。
まず、陸側スプレッダ12または海側スプレッダ13のいずれか一方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)が、目標とするコンテナ(目標位置(目標点))の直上で、かつ、例えば、コンテナの上面から100cmのところに位置する(来る)ように、トロリ7を走行させる駆動装置を駆動し、トロリ7を水平ガーダ4の長手方向に沿って移動させるとともに、巻上げドラム(図示せず)を駆動し、巻上ロープ10を巻下げて、タンデムスプレッダ9全体を降下させる。
【0049】
つづいて、海側スプレッダ13に取り付けられたカメラで撮影された画像データにより、海側スプレッダ13と、目標とするコンテナ(目標位置(目標点))とのずれ量に基づいて、このずれ量が減少する方向に、すなわち、海側スプレッダ13が、ヘッドブロック14の慣性を利用して(ヘッドブロック14を支点として)、目標とするコンテナの直上に停止するように(すなわち、着床許容内に入るように)、アクチュエータ33が作動(動作)させられる。そして、この状態でアクチュエータ32のロッド32aを、例えば、最大限(一杯に)伸ばして、陸側スプレッダ12が、海側スプレッダ13よりも上方に位置するように(すなわち、陸側スプレッダ12のコンテナを補着する機構17と、コンテナの上面とが干渉しないように)操作して、海側スプレッダ13と、目標とするコンテナとが、コンテナを補着する機構17を介して連結されるようにする。
なお、ここでは説明の為に巻下を100cmの高さで一時停止する動作としているが、巻き下げ運転を継続して行うことは可能である。
【0050】
一方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)が、目標とするコンテナを把持したら(掴んだら:着床したら)、今度は、陸側スプレッダ12に取り付けられたカメラで撮影された画像データにより、陸側スプレッダ12と、目標とするコンテナ(目標位置(目標点))とのずれ量に基づいて、このずれ量が減少する方向に、すなわち、陸側スプレッダ12が着床したコンテナを把持している海側スプレッダ13の把持力及びコンテナの摩擦力を利用して(海側スプレッダ13支点として)、目標とするコンテナの直上に停止するように(すなわち、着床許容内に入るように)、アクチュエータ32が作動(動作)させられる。そして、この状態でアクチュエータ32のロッド32aを、例えば、最大限(一杯に)縮めて、陸側スプレッダ12が、海側スプレッダ13と略同じ高さになるように操作して、陸側スプレッダ12と、目標とするコンテナとが、コンテナを補着する機構17を介して連結されるようにする。
【0051】
なお、岸壁に接岸した船舶に、コンテナを搭載しに行く(置きに行く)際のコンテナクレーン30の運転(操作)方法については、上述した岸壁に接岸した船舶に搭載されたコンテナを(受け)取りに行く際のコンテナクレーン30の運転(操作)方法と略同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0052】
本実施形態に係るコンテナクレーン30によれば、一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)が、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)よりも上方に位置するように(すなわち、陸側スプレッダ12のコンテナを補着する機構17と、コンテナの上面とが干渉しないように)操作するのに、吊具傾転装置11を用いる必要がなくなる。
これにより、コンテナクレーン1の操作性および応答性を向上させることができ、荷役時間をさらに短縮することができる。
その他の作用効果については、上述した第2実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0053】
本発明に係るコンテナクレーンの第4実施形態を、図10を用いて説明する。図10は本実施形態に係るタンデムスプレッダの正面図である。
【0054】
本実施形態に係るコンテナクレーン40は、タンデムスプレッダ9の代わりにタンデムスプレッダ41が設けられているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0055】
図10に示すように、タンデムスプレッダ41は、陸側スプレッダ(第1のスプレッダ)42と、海側スプレッダ(第2のスプレッダ)43と、ヘッドブロック44と、アクチュエータ45,46とを主たる要素として構成されている。
陸側スプレッダ42および海側スプレッダ43はそれぞれ、図示しないガイドレールおよびガイドローラを介してヘッドブロック44から吊り下げられており、ヘッドブロック44に対し、水平ガーダ4の長手方向に沿って往復(スライド)移動可能に構成されている。また、陸側スプレッダ42および海側スプレッダ43の四隅の下部には、コンテナを補着する機構17がそれぞれ設けられている。
【0056】
ヘッドブロック44の上部には、昇降シーブ18が設けられているとともに、各昇降シーブ18には、巻上ロープ10が巻回されている。
陸側スプレッダ42の上面にはアーム42aが設けられており、海側スプレッダ43の上面にはアーム43aが設けられている。陸側スプレッダ42を作動(動作)させるアクチュエータ45の一端部は、ピン47を介してアーム42aと連結されており、アクチュエータ45の他端部は、ピン48を介してヘッドブロック44の側面(水平ガーダ4の長手方向と平行となる面)と連結されている。一方、海側スプレッダ43を作動(動作)させるアクチュエータ46の一端部は、ピン49を介してアーム43aと連結されており、アクチュエータ46の他端部は、ピン50を介してヘッドブロック44の側面(水平ガーダ4の長手方向と平行となる面)と連結されている。陸側スプレッダ42と海側スプレッダ43との間の間隔調整は、アクチュエータ45および/またはアクチュエータ46を作動させ、これらアクチュエータ45,46のロッド45a,46aを伸縮させることにより行われる。
【0057】
つぎに、岸壁に接岸した船舶に搭載されたコンテナを(受け)取りに行く際のコンテナクレーン40の運転(操作)方法について説明する。
まず、陸側スプレッダ42または海側スプレッダ43のいずれか一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ42)が、目標とするコンテナ(目標位置(目標点))の直上で、かつ、例えば、コンテナの上面から100cmのところに位置する(来る)ように、トロリ7を走行させる駆動装置を駆動し、トロリ7を水平ガーダ4の長手方向に沿って移動させるとともに、巻上げドラム(図示せず)を駆動し、巻上ロープ10を巻下げて、タンデムスプレッダ41全体を降下させる。
【0058】
つづいて、アクチュエータ45を作動させ、このアクチュエータ45のロッド45aを伸縮させることにより、陸側スプレッダ42または海側スプレッダ43のいずれか一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ42)を、ヘッドブロック44の慣性を利用して(ヘッドブロック44を支点として)、目標とするコンテナの直上に停止させる。そして、この状態で巻上げドラム(図示せず)を再び駆動し、巻上ロープ10をさらに巻下げて、タンデムスプレッダ41全体をさらに降下させ、一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ42)と、目標とするコンテナとが、コンテナを補着する機構17を介して連結される。
なお、ここでは説明の為に巻下を100cmの高さで一時停止する動作としているが、巻き下げ運転を継続して行うことは可能である。
【0059】
そして、一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ42)が、目標とするコンテナを把持したら(掴んだら:着床したら)、今度は、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ43)が、着床済みの一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ42)の把持力及びコンテナの摩擦力を利用して(陸側スプレッダ42を支点として)、目標とするコンテナの直上に停止するように(すなわち、着床許容内に入るように)、アクチュエータ46を作動させ、このアクチュエータ46のロッド46aを伸縮させて、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ43)と、目標とするコンテナとが、コンテナを補着する機構17を介して連結される。
なお、このとき、吊具傾転装置11を用いてリスト調整を行い、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ43)が、一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ12)よりも上方に位置するように(すなわち、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ13)のコンテナを補着する機構17と、コンテナの上面とが干渉しないように)操作されるとさらに好適である。
【0060】
なお、岸壁に接岸した船舶に、コンテナを搭載しに行く(置きに行く)際のコンテナクレーン40の運転(操作)方法については、上述した岸壁に接岸した船舶に搭載されたコンテナを(受け)取りに行く際のコンテナクレーン40の運転(操作)方法と略同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0061】
本実施形態に係るコンテナクレーン40によれば、アクチュエータを作動させ、このアクチュエータのロッドを伸縮させることにより、陸側スプレッダ42または海側スプレッダ43のいずれか一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ42)を、ヘッドブロック44の慣性を利用して(ヘッドブロック44を支点として)、目標位置(搭載位置)の上に停止させることができる。
これにより、スプレッダ42,43の位置決めを容易かつ迅速に行うことができ、コンテナクレーン40の操作性を向上させることができるとともに、荷役時間の短縮化を図ることができる。
また、非熟練のオペレータでもスプレッダ42,43の位置決めを容易かつ迅速に行うことができるので、オペレータの熟練の差により生じる荷役時間の差を低減させることができる。
【0062】
なお、本発明は上述した実施形態のものに限定されるものではなく、上述した第2実施形態のところで説明したタンデムスプレッダ21が、陸側スプレッダ22または海側スプレッダ23のいずれか一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ22)を、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ23)の慣性を利用して(他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ23)を支点として)、レールRの延在方向と平行となる方向(コンテナクレーン20の走行方向)に沿って往復移動させる走行方向移動手段60を備えているとさらに好適である。
【0063】
走行方向移動手段60は、フレーム61と、アクチュエータ(第2のアクチュエータ)62とを主たる要素として構成されている。
フレーム61は、陸側スプレッダ22の上面にその一端部が固定され、陸側スプレッダ22の上面から海側スプレッダ23の上方に向けて延びるとともに、その他端部にアーム61aを有する部材である。
アクチュエータ62の一端部は、ピン63を介してアーム61aと連結されており、アクチュエータ62の他端部は、ピン64を介して海側スプレッダ23の上面に設けられたアーム65と連結されている。
【0064】
これにより、レールRの延在方向と平行となる方向にタンデムスプレッダ21が振れていたとしても、陸側スプレッダ22または海側スプレッダ23のいずれか一方のスプレッダ(例えば、陸側スプレッダ22)を、他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ23)の慣性を利用して(他方のスプレッダ(例えば、海側スプレッダ23)を支点として)、目標とするコンテナの直上に停止させることができ、コンテナクレーン20の操作性および応答性をさらに向上させることができ、荷役時間をさらに短縮することができる。
【0065】
また、上述した実施形態において、アクチュエータの作動中に、アクチュエータのストロークの余裕が少なくなり、振れの周期の一部で、陸側スプレッダまたは海側スプレッダのいずれか一方のスプレッダを、目標とするコンテナの直上に停止させることができなくなるような場合には、アクチュエータのストロークに余裕が無く着床の時間内にずれが発生する可能性が有る間は、陸側スプレッダまたは海側スプレッダのいずれか一方のスプレッダの着床を見合わせ、その後、振れの周期の一部で、アクチュエータのストロークの余裕が多くなって、陸側スプレッダまたは海側スプレッダのいずれか一方のスプレッダを、目標とするコンテナの直上に停止させることができる間に、巻上ロープを巻下げて着床させる自動着床制御プログラム(例えば、図12に示すような制御プログラム)が上述した制御器に組み込まれているとさらに好適である。
【0066】
これにより、スプレッダを安全かつ確実に着床させることができ、荷役作業を行う地上作業員あるいは船上作業員の安全を確保することができるとともに、スプレッダあるいはスプレッダの把持するコンテナが、他のコンテナに衝突してしまうことを防止することができる。
【0067】
さらに、アクチュエータの作動中に、アクチュエータのストロークの余裕が少なくなり、振れの周期の一部で、陸側スプレッダまたは海側スプレッダのいずれか一方のスプレッダを、目標とするコンテナの直上に停止させることができなくなるような場合(あるいは、振れの周期の一部で、陸側スプレッダまたは海側スプレッダのいずれか一方のスプレッダが、目標とするコンテナの直上から大きくずれてしまうような場合)に、オペレータや荷役作業を行う地上作業員あるいは船上作業員に対して、音声や警報音等で注意を促す注意喚起機能が設けられているとさらに好適である。
これにより、スプレッダをより安全に着床させることができ、荷役作業を行う地上作業員あるいは船上作業員の安全をより確保することができる。
【0068】
さらにまた、上述した実施形態では、水平ガーダ4の長手方向と平行となる方向に沿って、アクチュエータ15,24,32,33,45,46を2本ずつ設けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、いずれか一方のアクチュエータをリンク機構とすることもできる。
【0069】
なお、何れの例においても並行に配置した2本のアクチュエータ(図4の24、図8の32,33、図11の24等)を独立に駆動することにより、コンテナ、スプレッダの旋回振れに対応することができる。
【0070】
さらにまた、上述した実施形態では、水平ガーダ4の延在方向に沿って並べて配置された陸側スプレッダおよび海側スプレッダを有するタンデムスプレッダを備えたコンテナクレーンについて説明したが、本発明はこのようなものに限定されるものではなく、複数の吊荷を吊上げる吊具を備えたクレーンには適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係るコンテナクレーンの第1実施形態を示す正面図である。
【図2】図1に示すタンデムスプレッダの正面図である。
【図3】本発明に係るコンテナクレーンの第2実施形態を示す図であって、タンデムスプレッダの正面図である。
【図4】図3に示すタンデムスプレッダの平面図である。
【図5】岸壁に接岸した船舶に搭載されたコンテナを(受け)取りに行く際のコンテナクレーンの運転(操作)方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】岸壁に接岸した船舶に搭載されたコンテナを(受け)取りに行く際のコンテナクレーンの運転(操作)方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明に係るコンテナクレーンの第3実施形態を示す図であって、タンデムスプレッダの正面図である。
【図8】図7に示すタンデムスプレッダの平面図である。
【図9】本発明に係るコンテナクレーンの第3実施形態を示す図であって、タンデムスプレッダの正面図である。
【図10】本発明に係るコンテナクレーンの第4実施形態を示す図であって、タンデムスプレッダの正面図である。
【図11】本発明に係るコンテナクレーンの他の実施形態を示す図であって、タンデムスプレッダの平面図である。
【図12】本発明に係るコンテナクレーンの別の実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図13】(a)および(b)はそれぞれ、本発明の位置決め方法の原理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0072】
1 コンテナクレーン
4 水平ガーダ
7 トロリ
9 タンデムスプレッダ
12 陸側スプレッダ(第1のスプレッダ)
13 海側スプレッダ(第2のスプレッダ)
14 ヘッドブロック
15 アクチュエータ
15a ロッド
20 コンテナクレーン
21 タンデムスプレッダ
22 陸側スプレッダ(第1のスプレッダ)
23 海側スプレッダ(第2のスプレッダ)
24 アクチュエータ
24a ロッド
25 カメラ(撮影手段)
26 カメラ(撮影手段)
30 コンテナクレーン
31 タンデムスプレッダ
32 アクチュエータ
32a ロッド
33 アクチュエータ
33a ロッド
40 コンテナクレーン
41 タンデムスプレッダ
42 陸側スプレッダ(第1のスプレッダ)
43 海側スプレッダ(第2のスプレッダ)
44 ヘッドブロック
45 アクチュエータ
45a ロッド
46 アクチュエータ
46a ロッド
62 アクチュエータ(第2のアクチュエータ)
62a ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標位置と吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分との位置ずれを検出する検出装置と複数の吊荷を吊り上げることができる吊具に吊荷間の相対距離を変えることのできるアクチュエータと、前記位置ずれに応じて前記アクチュエータの制御を行う制御装置とを設けたクレーンであって、
前記制御装置が、目標位置と吊荷又は吊具の吊荷吊上げ部分との位置ずれ量によって、前記アクチュエータを駆動することで吊具の残りの部分及び残りの吊荷の慣性を使って、前記吊具に吊り上げられた1つの吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分を目標位置の上に位置合わせする制御プログラムを備えていることを特徴とするクレーン。
【請求項2】
前記制御装置が、目的位置の高さを検出する装置または高さデータを受信する装置と、巻高さを検出する検出器とを備え、吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分を目的位置上に停止した状態で目的位置高さまで巻き下げることにより着床または荷を把持する自動着床制御プログラムを備えていることを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記自動着床制御プログラムが、吊具の振れや位置ずれが大きく、前記自動制御プログラムにしたがって前記アクチュエータを駆動中に、振れ周期の一部で前記アクチュエータのストロークに余裕が無くなり、吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分を着床まで目標位置上に停止させておくことが出来ない場合には着床の為の巻下げ運転を停止し、振れ周期によってアクチュエータストローク内に戻ったときに前記自動制御プログラムにしたがって吊荷又は吊具の吊荷吊上げ部分を目標位置上に停止し、着床の為のクレーンの巻下げ運転を行うことにより、吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分が目標位置に停止状態で着床させるように組まれていることを特徴とする請求項2に記載のクレーン。
【請求項4】
前記自動着床制御プログラムが、1つの吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分を着床後、吊具の吊荷吊上げ部分の場合は吊荷を把持した後、前記吊荷または吊具の吊荷吊上げ部分の摩擦力または把持力を支点として、前記摩擦力または把持力を超えないように駆動力を制限した上で前記アクチュエータを駆動して残りの吊荷または吊具の残りの吊荷吊上げ部分を目標位置上に位置合わせするように組まれていることを特徴とする請求項2または3に記載のクレーン。
【請求項5】
前記吊具が、吊荷を2個短軸方向に並べて吊上げる事ができる第1のスプレッダおよび第2のスプレッダを備えたタンデムスプレッダであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のクレーン。
【請求項6】
前記第1のスプレッダおよび/または前記第2のスプレッダに、目標位置を撮影する撮影手段がそれぞれ設けられており、この撮影手段で撮影された画像データが、制御装置に出力されて処理された後、前記アクチュエータに出力されるように構成されていることを特徴とする請求項5記載のクレーン。
【請求項7】
水平ガーダの延在方向に沿って往復移動するトロリから上下移動可能に吊り下げられ、前記水平ガーダの延在方向または前記水平ガーダの延在方向と直交する方向に沿って並べて配置された第1のスプレッダおよび第2のスプレッダを有するタンデムスプレッダを備えたクレーンであって、
前記第1のスプレッダと前記第2のスプレッダとが、前記水平ガーダの延在方向に沿って伸縮するロッドを備えたアクチュエータまたは前記水平ガーダの延在方向と直交する方向に沿って伸縮するロッドを備えたアクチュエータを介して連結されていることを特徴とするクレーン。
【請求項8】
水平ガーダの延在方向に沿ってトロリとともに往復移動するヘッドブロックから吊り下げられ、前記水平ガーダの延在方向または前記水平ガーダの延在方向と直交する方向に沿って並べて配置された第1のスプレッダおよび第2のスプレッダを有するタンデムスプレッダを備えたクレーンであって、
前記第1のスプレッダと前記ヘッドブロック、および前記第2のスプレッダと前記ヘッドブロックがそれぞれ、前記水平ガーダの延在方向に沿って伸縮するロッドを備えたアクチュエータまたは前記水平ガーダの延在方向と直交する方向に沿って伸縮するロッドを備えたアクチュエータを介して連結されていることを特徴とするクレーン。
【請求項9】
前記アクチュエータのロッドが伸縮する方向と直交する方向に沿って伸縮するロッドを備えた第2のアクチュエータが設けられているとともに、この第2のアクチュエータの一端部が前記第1のスプレッダに連結され、他端部が前記第2のスプレッダに連結されていることを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載のクレーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−156094(P2008−156094A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349573(P2006−349573)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】