説明

クロスプライ複合材料の防弾用品

多層の複合ファブリックであって、本複合ファブリックは、第一のファブリックを含み、ここで第一のファブリックは、第一および第二の一方向に配向した不織繊維層を含む。これら繊維層はいずれも樹脂マトリックス中に存在し、繊維はそれぞれ高強力繊維を含む。この2つの繊維層中の繊維は、互いに所定角度で配置されている。本複合ファブリックは、第二のファブリックを含み、ここで第二のファブリックは多方向に配向した繊維を含み、この繊維は任意に樹脂マトリックス中に存在する。また第二のファブリックも、高強力繊維を含む。第一および第二のファブリックを一緒に結合させて、改善された防弾特性を有する複合ファブリックを形成する。第一のファブリックの一方または両方の外面に、プラスチックフィルムを接着させてもよく、これらは、2つのファブリック間の結合剤として役立つ可能性がある。さらに、複合ファブリックの製造方法も説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防弾用途およびその他の用途に有用な複合材料、および、それらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野において、防弾製品はよく知られている。これらは、フレキシブルなタイプのものもあるし、または、硬いタイプのものもある。これらの製品の多くは高強力繊維をベースとしており、例えば防弾チョッキなどの防護服のような用途で用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
普及型の防弾製品の1つは、高強力ポリエチレン繊維、または、アラミド繊維のような一方向に配向した高強力繊維で作製されたものである。このような製品は望ましい防弾特性を有するが、高い特性の製品を継続的に提供する必要がある。
【0004】
従って、改善された防弾特性を有する防弾製品を提供することが望ましいといえる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
(a)第一の繊維層と第二の繊維層とを含む第一のファブリック、ここで前記第一の繊維層は第一の樹脂マトリックス中に一方向に配向した不織繊維を含み、前記繊維は高強力繊維を含み、前記第一の繊維層は第一の表面と第二の表面とを含み、前記第二の繊維層は第二の樹脂マトリックス中に一方向に配向した不織繊維を含み、前記繊維は高強力繊維を含み、前記第二の繊維層は第一の表面と第二の表面とを含み、前記第二の繊維層の前記第一の表面は、前記第一の繊維層の前記第二の表面に隣接しており、前記第二の繊維層中の前記繊維は、前記第一の繊維層の一方向に配向した繊維の方向に対して所定角度で配置されている;および
(b)多方向に配向した繊維を含む第二のファブリック、ここで前記繊維は任意に第三の樹脂マトリックス中に存在し、前記第二のファブリックは高強力繊維を含み、前記第二のファブリックは第一の表面と第二の表面とを有し、前記第二のファブリックの前記第一の表面は、前記第二の繊維層の前記第二の表面に隣接しており、前記第二のファブリックを前記第一のファブリックに直接的または間接的に結合させることによって、複合ファブリックが形成される;
を含む、多層の複合ファブリックが提供される。
【0006】
さらに本発明によれば、
(a)第一の繊維層と第二の繊維層とを含む第一のファブリック、ここで前記第一の繊維層は第一の樹脂マトリックス中に一方向に配向した不織繊維を含み、前記繊維は高強力繊維を含み、前記第一の繊維層は第一の表面と第二の表面とを含み、前記第二の繊維層は第二の樹脂マトリックス中に一方向に配向した不織繊維を含み、前記繊維は高強力繊維を含み、前記第二の繊維層は第一の表面と第二の表面とを含み、前記第二の繊維層の前記第一の表面は、前記第一の繊維層の前記第二の表面に隣接しており、前記第二の繊維層中の前記繊維は、前記第一の繊維層の一方向に配向した繊維の方向に対して所定角度で配置されている;
(b)任意に、前記第一のファブリックの前記第一の繊維層の前記第一の表面に結合する第一のプラスチックフィルム;
(c)前記第一のファブリックの前記第二の繊維層の前記第二の表面に結合する第二のプラスチックフィルム;および、
(d)多方向に配向した繊維を含む第二のファブリック、ここで前記繊維は任意に第三の樹脂マトリックス中に存在し、前記第二のファブリックは高強力繊維を含み、前記第二のファブリックは第一の表面と第二の表面とを有し、前記第二のファブリックの前記第一の表面は、前記第二のプラスチックフィルムに結合している;
を含む多層の複合ファブリックが提供される。
【0007】
さらに本発明によれば、
(a)第一の樹脂マトリックス中に一方向に配向した不織繊維を含む第一の繊維層を供給すること、ここで前記繊維は高強力繊維を含み、前記第一の繊維層は第一の表面と第二の表面とを含む;
(b)第二の樹脂マトリックス中に一方向に配向した不織繊維を含む第二の繊維層を供給すること、ここで前記繊維は高強力繊維を含み、前記第二の繊維層は第一の表面と第二の表面とを含む;
(c)前記第一および第二の繊維層を互いに結合させて、前記第二の繊維層の前記第一の表面が、前記第一の繊維層の前記第二の表面に隣接しており、前記第二の繊維層中の前記繊維が、前記第一の繊維層の一方向に配向した繊維の方向に対して所定角度で配置されるようにすること;
(d)任意に、前記第一の繊維層の前記第一の表面に第一のプラスチックフィルムを適用すること;
(e)前記第二の繊維層の前記第二の表面に、第二のプラスチックフィルムを適用すること;
(f)多方向に配向した繊維を含む第二のファブリックを供給すること、ここで前記繊維は任意に第三の樹脂マトリックス中に存在し、前記第二のファブリックは高強力繊維を含み、前記第二のファブリックは第一の表面と第二の表面とを有する;および、
(g)前記第二のプラスチックフィルムに、前記第二のファブリックの前記第一の表面を結合させることによって、複合ファブリックを形成すること、
を含む、複合ファブリック構造の形成方法が提供される。
【0008】
本発明は、第一のファブリックを提供するものであり、第一のファブリックは、互いに所定角度で配置された(一般的には「クロスプライの(cross plied)」と称される)2つの一方向に配向した繊維の繊維層を含む。第一のファブリックを、多方向に配向した繊維を含む第二のファブリックに結合させる。加えて、複合材料の構造中に、例えばプラスチックフィルムのような層が、第一のファブリックの表面の片面に存在していてもよいし、または、その両面に存在していてもよい。プラスチックフィルムが第二の繊維層の底部表面に存在する場合、そのプラスチックフィルムにより、第一のファブリックと第二のファブリックとを一緒に結合する。例えば防弾製品のような望ましい製品を形成するために、その他の層を用いてもよく、さらに、複数の本複合ファブリックの層を用いてもよい。
【0009】
驚くべきことに、このような複合材料の構造は、第一および第二のファブリックが一緒に結合していない類似の構造と比較して改善された防弾性能を有することが発見された。加えて、驚くべきことに、2つのファブリック層を一緒に結合することによって、裏面の変形を減少できることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、少なくとも第一のファブリック層と第二のファブリック層とから形成される多層の複合ファブリックを含む。第一および第二のファブリック層の両方に含まれる繊維は高強力繊維を含み、さらに、これらの層を、直接的または間接的に一緒に結合させる。
【0011】
本発明の目的において、繊維は細長い物体であって、その長さの寸法は、その幅および厚さの横断寸法よりも十分長い。従って、用語「繊維」は、モノフィラメント、マルチフィラメント、リボン、ストリップ、ステープル、および規則的または不規則な断面を有するチョップド繊維、カット繊維または不連続繊維などのその他の形態を含む。用語「繊維」は、前述のもののいずれか複数か、または、それらの組み合わせを含む。ヤーンとは、多数の繊維またはフィラメントで構成される連続的なストランドである。また繊維は、スプリットフィルム、または、テープの形態であってもよい。
【0012】
本明細書において、有用な繊維の断面は広範に変更し得る。この断面は、円形、扁平、または、長方形の断面を有していてもよい。またこの断面は、不規則な、または、規則的な多葉形の断面を有していてもよく、ここでこの多葉形の断面とは、繊維の長さ方向または長軸から突き出た1個またはそれ以上の規則的な、または、不規則な葉を有するものである。好ましくは、繊維が、実質的に円形、扁平、または、長方形の断面を有することであり、最も好ましくは円形の断面である。
【0013】
本明細書で用いられる用語「高強力繊維」は、約7g/dに等しい、または、それよりも大きい強力を有する繊維を意味する。好ましくは、このような繊維は、ASTM D2256で測定した場合、少なくとも約150g/dの初期引張係数、および、少なくとも約8J/gの破断エネルギーを有する。本明細書で用いられる用語「初期引張係数」、「引張係数」および「弾性率」は、ヤーンに関してはASTM2256、および、エラストマーまたはマトリックス材料に関してはASTM D638で測定した場合の弾性係数を意味する。
【0014】
好ましくは、高強力繊維は、約10g/dに等しいかそれよりも大きい強力、より好ましくは、約16g/dに等しいかそれよりも大きい強力、さらにより好ましくは、約22g/dに等しいかそれよりも大きい強力、および、最も好ましくは、約28g/dに等しいかそれよりも大きい強力を有する。
【0015】
本発明のヤーンおよびファブリックにおいて有用な高強力繊維としては、高配向の高分子量ポリオレフィン繊維が挙げられ、具体的には、高弾性(または高強力)ポリエチレン繊維、および、高弾性ポリプロピレン繊維、アラミド繊維、ポリベンズオキサゾール(PBO)やポリベンゾチアゾール (PBT)などのポリベンザゾール繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、液晶コポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、玄武岩、またはその他の鉱物繊維、剛直性棒状高分子繊維(rigid rod polymer fiber)、ならびにそれらの混合物およびブレンドが挙げられる。本発明において有用な好ましい高強力繊維としては、ポリオレフィン繊維(より好ましくは、高強力ポリエチレン繊維)、アラミド繊維、ポリベンザゾール繊維、グラファイト繊維、ならびにそれらの混合物およびブレンドが挙げられる。最も好ましくは、高強力ポリエチレン繊維、および/または、アラミド繊維である。
【0016】
米国特許第4,457,985号は、このような高分子量ポリエチレン繊維および高分子量ポリプロピレン繊維を概略的に考察しており、この特許の開示は、本明細書と矛盾しない範囲内で参照により本明細書中に包含される。ポリエチレンの場合、適切な繊維は、少なくとも約150,000、好ましくは少なくとも約100万、および、より好ましくは約200万〜約500万の重量平均分子量を有するものである。このような高分子量ポリエチレン繊維は、溶液中で紡糸したものでもよいし(米国特許第4,137,394号、および、米国特許第4,356,138号を参照)、または、溶液からフィラメントを紡糸してゲル構造を形成したものであってもよいし(米国特許第4,413,110号,ドイツ特許第3,004,699号、および、英国特許第2051667号を参照)、または、このようなポリエチレン繊維は、圧延および延伸工程によって生産されたものでもよい(米国特許第5,702,657号を参照)。本明細書で用いられるポリエチレンという用語は、大部分が直鎖状のポリエチレン材料を意味し、これらは、修飾単位が主鎖の炭素原子100個あたり約5個以下であれば少量の分岐鎖または共重合用モノマーを含んでいてもよく、さらに、約50重量パーセントより多くない1種またはそれ以上の高分子量の添加剤、例えばアルケン−1−ポリマー、具体的には低密度ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリブチレン、一次モノマーとしてモノオレフィンを含有するコポリマー、酸化ポリオレフィン、グラフトポリオレフィンコポリマーおよびポルオキシメチレン、または、一般的に包含される抗酸化剤、潤滑剤、紫外線スクリーン剤、着色剤などの低分子量の添加剤と混合されていてもよい。
【0017】
好ましくは高強力ポリエチレン繊維(また、伸び切り鎖または高分子量ポリエチレン繊維とも称される)であり、これらは、例えば、ハネウェル・インターナショナル社(Honeywell International Inc.,モリスタウン,ニュージャージー州,米国)よりスペクトラ(SPECTRA(登録商標))繊維およびヤーンという商標で販売されている。
【0018】
形成技術、延伸倍率および温度、ならびにその他の条件によって、これらの繊維に様々な特性を付与することができる。ポリエチレン繊維の強力は、少なくとも約7g/d、好ましくは少なくとも約15g/d、より好ましくは少なくとも約20g/d、さらにより好ましくは少なくとも約25g/d、および、最も好ましくは少なくとも約30g/dである。同様に、繊維の初期引張係数は、インストロン(Instron)の引張試験機で測定した場合、好ましくは少なくとも約300g/d、より好ましくは少なくとも約500g/d、さらにより好ましくは少なくとも約1,000g/d、および、最も好ましくは少なくとも約1,200g/dである。これらの初期引張係数および強力に関する最高値は、一般的に、溶液成長法またはゲル紡糸法を用いることによってのみ得ることができる。フィラメントの多くは、それらを形成したポリマーの融点よりも高い融点を有する。従って、例えば、約150,000、約100万、および、約200万の分子量を有する高分子量ポリエチレンは、一般的に、バルクで138℃の融点を有する。これらの材料から作製された高配向ポリエチレンフィラメントは、約7℃〜約13℃高い融点を有する。従って、融点のわずかな上昇は、バルクのポリマーと比較して、結晶の完全性、および、フィラメントのより高い結晶配向を反映する。
【0019】
好ましくは、用いられるポリエチレンは、炭素原子1000個あたり約1個未満のメチル基、より好ましくは、炭素原子1000個あたり約0.5個未満のメチル基、および、約1重量パーセント未満のその他の成分を有するポリエチレンである。
【0020】
同様に、少なくとも約200,000、好ましくは少なくとも約100万、および、より好ましくは少なくとも約200万の重量平均分子量を有する高配向の高分子量ポリプロピレン繊維を用いてもよい。このような伸び切り鎖ポリプロピレンは、上述した様々な参考文献で規定された技術によって、特に、米国特許第4,413,110号の技術によって、適度に配向したフィラメントに形成することができる。ポリプロピレンは、ポリエチレンよりもかなり結晶性が低い材料であり、ペンダントメチル基を含有するため、ポリプロピレンで達成可能な強力の値は、一般的に、ポリエチレンの場合のそれに対応する値よりも実質的に低い。従って、適切な強力は、好ましくは少なくとも約8g/d、より好ましくは少なくとも約11g/dである。ポリプロピレンの初期引張係数は、好ましくは少なくとも約160g/d、より好ましくは少なくとも約200g/dである。一般的には、ポリプロピレンの融点を、ポリプロピレンフィラメントが、好ましくは少なくとも168℃、より好ましくは少なくとも170℃の主融点を有するように、配向工程によって数度上昇させる。上記で説明したパラメーターに関する特に好ましい範囲によって、最終製品に改善された性能を有利に提供することができる。上述のパラメーター(弾性率および強力)に関する好ましい範囲と共に少なくとも約200,000の重量平均分子量を有する繊維を用いることによって、最終製品に有利に改善された性能を提供することができる。
【0021】
伸び切り鎖ポリエチレン繊維の場合、ゲル紡糸したポリエチレン繊維の製造および延伸が、例えば、米国特許第4,413,110号;4,430,383号;4,436,689号;4,536,536号;4,545,950号;4,551,296号;4,612,148号;4,617,233号;4,663,101号;5,032,338号;5,246,657号;5,286,435号;5,342,567号;5,578,374号;5,736,244号;5,741,451号;5,958,582号;5,972,498号;6,448,359号;6,969,553号、および、米国特許出願公開公報第2005/0093200号などの様々な公報で説明されており、これらの開示は、本明細書と矛盾しない範囲内で参照により明確に本明細書中に包含される。
【0022】
アラミド繊維の場合、例えば米国特許第3,671,542号(これは、本明細書と矛盾しない範囲内で参照により本明細書中に包含される)で、芳香族ポリアミドから形成された適切な繊維が説明されている。好ましいアラミド繊維は、少なくとも約20g/dの強力、少なくとも約400g/dの初期引張係数、および、少なくとも約8J/gの破断エネルギーを有し、特に好ましいアラミド繊維は、少なくとも約20g/dの強力、および、少なくとも約20J/gの破断エネルギーを有する。最も好ましいアラミド繊維は、少なくとも約23g/dの強力、少なくとも約500g/dの弾性率、および、少なくとも約30J/gの破断エネルギーを有する。例えば、防弾性の複合材料の形成において、中程度に高い係数および強力値を有するポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)フィラメントが特に有用である。一例としては、1000デニールを有する帝人(Teijin)製のトワロン(Twaron(登録商標))T2000が挙げられる。その他の例としては、デュポン(Du Pont)製の、初期引張係数および強力の値としてそれぞれ500g/dおよび22g/dを有するケブラー(Kevlar(登録商標))29、加えてケブラー(Kevlar(登録商標))129およびKM2(400、640および840デニールのものが利用可能)が挙げられる。またその他の製造元のアラミド繊維も、本発明で用いることができる。さらに、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)のコポリマーも使用可能であり、例えばコ−ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド)が使用可能である。さらに、ノーメックス(Nomex(登録商標))という商標名でデュポン(Du Pont)から販売されているポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)繊維も本発明の実施において有用である。
【0023】
Kwonらの米国特許第4,440,711号(この開示は、本明細書に関して矛盾しない範囲内で参照により本明細書中に包含される)では、高い引張係数を有する高分子量ポリビニルアルコール(PV−OH)繊維が説明されている。高分子量PV−OH繊維は、少なくとも約200,000の重量平均分子量を有する。特に有用なPV−OH繊維は、少なくとも約300g/dの弾性率、好ましくは少なくとも約10g/d、より好ましくは少なくとも約14g/d、および、最も好ましくは少なくとも約17g/dの強力、および、少なくとも約8J/gの破断エネルギーを有する。このような特性を有するPV−OH繊維は、例えば米国特許第4,599,267号で開示された方法によって生産することができる。
【0024】
ポリアクリロニトリル(PAN)の場合、PAN繊維は、少なくとも約400,000の重量平均分子量を有する。特に有用なPAN繊維は、好ましくは少なくとも約10g/dの強力、および、少なくとも約8J/gの破断エネルギーを有する。少なくとも約400,000の分子量、少なくとも約15〜20g/dの強力、および、少なくとも約8J/gの破断エネルギーを有するPAN繊維が最も有用であり;このような繊維は、例えば米国特許第4,535,027号で開示されている。
【0025】
本発明の実施に適した液晶コポリエステル繊維は、例えば、米国特許第3,975,487号;4,118,372号、および、4,161,470号で開示されている。クラレ・アメリカ社(Kuraray America Inc.)から、液晶コポリエステル繊維がベクトラン(Vectran(登録商標))繊維という名称で販売されている。
【0026】
本発明の実施に適したポリベンザゾール繊維は、例えば、米国特許第5,286,833号、5,296,185号、5,356,584号、5,534,205号、および、6,040,050号で開示されている。東洋紡績株式会社(Toyobo Co.)から、ポリベンザゾール繊維がザイロン(Zylon(登録商標))繊維という名称で販売されている。
【0027】
剛直性棒状繊維(rigid rod fiber)は、例えば、米国特許第5,674,969号、5,939,553号、5,945,537号、および、6,040,478号で開示されている。マゼラン・システムズ・インターナショナル(Magellan Systems International)から、このような繊維がM5(登録商標)繊維という名称で販売されている。
【0028】
好ましくは、第一のファブリック層中の繊維は、高強力ポリオレフィン繊維(より好ましくは、高強力ポリエチレン繊維)、アラミド繊維、PBO繊維、グラファイト繊維、および、それらのブレンドからなる群より選択される。同様に、第二のファブリック層中の繊維は、同じ繊維群から選択される。
【0029】
本発明のファブリック層は、好ましくは、全て、または、実質的に全て高強力繊維から形成される。あるいは、ファブリック層中の繊維の少なくとも約50重量%が高強力繊維であり、より好ましくは、ファブリック層中の繊維の少なくとも約75重量%が高強力繊維である。
【0030】
第一のファブリックは、高強力の一方向に配向した繊維の不織布の形態である。第一のファブリックは、複数の繊維層を有し、繊維層はそれぞれ、一方向に配向した繊維を含む。既に知られている通り、このような配置において、各層の一方向に配向した繊維は共通の繊維方向に沿って互いに平行に並べられる。一方向に配向した繊維の層は、製品にある程度の横方向の安定性を提供する少量の材料を含んでいてもよく;このような材料は、繊維、ヤーンまたは粘着性のヤーン(これらはいずれも高強力材料ではない)、または、樹脂、接着剤、フィルムなどの形態であってもよく、これらは、一方向に配向した繊維の層の長さ方向に沿って配置されるが、それらと交差して伸長させてもよい。このような材料が存在する場合、このような材料は、各繊維層の総重量を基準として、約10%以下、より好ましくは約5%以下で含ませることができる。
【0031】
第一のファブリックは、様々な方法で構築することができる。第一のファブリックを形成する繊維層のそれぞれは、好ましくは、クリールから高強力フィラメントのヤーンの束を供給することによって形成され、それらをガイドを介してコリメーティングコーム(collimating comb)に導入する。コリメーティングコームによって、フィラメントは、同じ平面に実質的に一方向で並べられる。続いてこれら繊維を、1またはそれ以上のスプレッダーバー(これらは、コーティング装置中に含まれていてもよい)に導入してもよいし、または、コーティング装置の前に、または、その後に配置してもよい。
【0032】
第一のファブリックの繊維層は、マトリックス樹脂組成物でコーティングされる。本明細書で用いられる用語「コーティング」は、繊維のネットワークを説明するものとして広義に用いられ、個々の繊維がいずれも、繊維を取り囲むマトリックス組成物の連続した層を有するか、または、繊維表面にマトリックス組成物の不連続の層を有する状態である。前者の場合、繊維が完全にマトリックス組成物中に埋め込まれた状態であると言える。コーティングおよび含浸という用語は、本明細書において同義的に用いられる。第一のファブリックの繊維層のそれぞれのマトリックス樹脂は、容易に層が相互に結合するように、同じ、または、類似した化学構造を有していることが好ましい。
【0033】
それぞれの繊維層を形成する典型的な方法は、例えば、米国特許第5,552,208号、および、6,642,159号(これらの開示は、本明細書と矛盾しない範囲内でこの参照により明確に本明細書中に包含される)で説明されている。
【0034】
第一のファブリックの少なくとも2つの繊維層は、層の配向角度が異なるように組み合わされる。これらの繊維層は、当技術分野でよく知られている方式でクロスプライしてもよい。例えば、第一の繊維層中の繊維を、第二の繊維層中の繊維から好ましくは90°の角度で伸長させる。様々な繊維層中の繊維の回転角度は、どのような角度を選択してもよく、例えば0°/90°、0°/90°/0°/90°、または、0°/45°/90°/45°/0°またはその他の角度が挙げられる。このようにして回転させた一方向のアライメントは、例えば、米国特許第4,623,574号;4,737,402号;4,748,064号;および、4,916,000号で説明されている。
【0035】
第一のファブリックの第一および第二の繊維層は、あらゆる望ましい技術で一緒に結合させることができる。例えば、2つの層のマトリックス樹脂または樹脂群を結合剤として用いてもよい。あるいは、2つの繊維層を、接着剤、プラスチックフィルムまたはその他のあらゆる適切な手段によって結合させてもよい。
【0036】
好ましい一実施態様において、2つの繊維層を、0°/90°の配置で、または、ほぼ0°/90°の配置でクロスプライし、続いて固めることによって、第一のファブリック層を形成する。2つの繊維のネットワーク層は、好ましくは、一方の繊維層を他方のネットワークの幅に沿って0°/90°の配向で連続的に配置できる長さに切断することによって連続的にクロスプライすることができる。繊維層を連続的にクロスプライするための器具はよく知られており、このようなものは、例えば米国特許第5,173,138号、および、5,766,725号で説明されている。続いて、得られた連続的な2プライの第一のファブリックをロールに巻き取ることができ、ここで好ましくは、それぞれ隣接する2つのプライ構造の間に分離材の層を挟んで巻き取ることができる。
【0037】
第一の繊維層および第二の繊維層の高強力繊維は、同じ繊維であってもよいし、または、化学的に異なる繊維であってもよい。各繊維層の高強力繊維を同じにすることで製造を簡易化することができるが、いくつかの構造においては、繊維材料それぞれの異なる特性が組み合わさるように、各繊維層中の繊維を異なるものにすることが望ましい場合がある。第一のファブリック構造の例としては、両方の繊維層に含まれる繊維として高強力ポリエチレン繊維を用いたもの、両方の繊維層に含まれる繊維としてアラミド繊維を用いたもの、第一の繊維層に含まれる繊維として高強力ポリエチレン繊維を用い、第二の繊維層に含まれる繊維としてアラミド繊維を用いたもの、第一の繊維層に含まれる繊維としてアラミド繊維を用い、第二の繊維層に含まれる繊維として高強力ポリエチレン繊維を用いたものが挙げられ、加えて、上述の高強力繊維のいずれかを用いたその他の構造も挙げられる。
【0038】
上述したように、第一のファブリックは、2つより多い繊維層から形成されていてもよく、第一のファブリック中にあらゆる望ましい数の繊維層を用いることができる。例えば、第一のファブリックは、4プライ構造であってもよく、この場合、隣接する繊維層は、互いに好ましくは90°で配向している。
【0039】
第二のファブリックに関して、第二のファブリック層は、マトリックス樹脂でコーティングされていないことが好ましい。あるいは、第二のファブリックはマトリックス樹脂でコーティングされていてもよく、好ましくは、第一のファブリックの繊維層中と同じ、または、類似の化学構造を有するマトリックス樹脂でコーティングされていてもよい。
【0040】
マトリックス樹脂組成物は、第一のファブリック層を形成する繊維層の繊維上に、溶液、分散液、または、エマルジョンまたは同種のものとして塗布することができる。マトリックス樹脂は、あらゆる望ましい技術によって塗布することができ、例えば、噴霧、浸漬、ローラーコーティング、ホットメルトコーティングまたは同種の技術によって塗布することができる。続いて、このようにしてコーティングされた単一のファブリック層または複数のファブリック層は、乾燥させるためにオーブンを通過させて、それらをマトリックス樹脂組成物中の水分またはその他の溶媒を蒸発させるのに十分な熱に晒してもよい。
【0041】
また第二のファブリック層は、高強力繊維からも形成されるが、このような繊維は、ファブリック中で複数の方向で配向している。すなわち、第二のファブリック中の繊維は、多方向に配向している。これは、ファブリックにある程度の横方向の強度を提供するために、ファブリックの主な方向から第二の方向で伸長するのに十分な繊維が存在していることを意味する。用語「多方向に配向した繊維」は、「一方向に配向した繊維」とは異なる。
【0042】
第二のファブリックは、織られたファブリック、ニットのファブリック、編組したファブリック、フェルト化したファブリック、紙状のファブリックなどの形態であってもよい。好ましくは、第二のファブリックは、織られたファブリックの形態である。この第二のファブリック層は、防弾用織物製品と称する場合もある。
【0043】
上述したように、第二のファブリック層中の高強力繊維は、第一のファブリック層に関して上述したものと同じ繊維群から選択される。好ましくは、第二のファブリック層中の繊維はまた、高強力ポリオレフィン繊維(より好ましくは、高強力ポリエチレン繊維)、アラミド繊維、PBO繊維、グラファイト繊維、および、それらのブレンドからなる群からも選択される。最も好ましくは、このような繊維は、高強力ポリエチレン繊維、および/または、アラミド繊維である。
【0044】
織られたファブリックが用いられる場合、どのような織り方のパターンを有する織られたファブリックでもよく、例えば、平織、バスケット織、綾織、繻子織、三次元織、および、それらの数種のバリエーションのいずれかのパターンを有する織られたファブリックが挙げられる。好ましくは平織およびバスケット織のファブリックであり、より好ましくは、縦糸と横糸の数が等しいファブリックである。一実施態様において、上述したように、このような織られたファブリックは樹脂マトリックスを含まない。その他の実施態様において、このような織られたファブリックは、第一のファブリックに結合させる前に、樹脂マトリックスを含んでいてもよい。
【0045】
織られたファブリックのヤーンは、撚り合わせたり、重ね合わせたり、または、絡み合わせたりすることもできる。第二のファブリックは、縦糸方向と横糸方向とで、またはその他の方向で異なる繊維を含むヤーンで織られたものでもよい。例えば、織られたファブリックは、縦糸方向にアラミド繊維、および、横糸方向に高強力ポリエチレン繊維を用いて形成してもよいし、または、逆もまた同様である。
【0046】
あるいは、上述したように、第二のファブリックは、ニットのファブリックの形態であってもよい。ニット構造は、ループをかみ合わせて構成される構造であり、その4つの主要なタイプは、トリコット、ラッシェル、ネット、および、配向構造である。最初の3つのカテゴリーのニットは、ループ構造という性質のために、繊維の強度の利点を十分に生かせないため適切ではない。しかしながら、配向したニット構造では、細いデニールでの編み目で所定位置に固定された、直線状に配置されたヤーンが用いられる。このようなヤーンは、完全に直線状であり、織られたファブリック中でヤーンが絡み合う作用のために見出される捲縮作用を起こさない。このようにして配置されたヤーンは、設定された必要条件に応じて、一軸、二軸または多軸方向に配向させることができる。耐荷重性のヤーンに載せて用いられる特殊な編み機は、そのヤーンを貫通しないようにすることが好ましい。
【0047】
あるいは、第二のファブリックは、不織布から形成してもよく、例えば、フェルト(例えばニードルパンチフェルト)の形態のファブリックから形成してもよい。フェルトは、ランダムに配向した繊維の不織のネットワークであり、好ましくは、このような繊維の少なくとも1種は不連続繊維であり、好ましくは、約0.25インチ(0.64cm)〜約10インチ(25cm)の範囲の長さを有するステープルファイバーである。これらのフェルトは、当技術分野でよく知られている数種の技術で形成することができ、例えば、カーディングまたは流体を用いた撚り方、メルトブローおよびスピンによる撚り方によって形成することができる。このような繊維のネットワークは、例えばニードルパンチング、ステッチボンディング、水流絡合、空気絡合、スパンボンド、スパンレースまたは同種の技術によって機械で固めたり、例えば接着剤を用いて化学的に固めたり、または、点接着させるための繊維、または、より低い融点を有する混合繊維を用いて熱的に固めたりする。
【0048】
あるいは、第二のファブリックは、紙状のファブリックの形態であってもよく、これは、例えば高強力繊維を含有する液体をパルプ化することによって形成することができる。
その他の実施態様において、第二のファブリックは、多層の複合ファブリックの形態であってもよく、例えば第三の層を含むファブリックであり、このような第三の層は、一方向に配向したファブリック、または、多方向に配向したファブリックであり得る。このような第三の層も、好ましくは、高強力繊維から形成される。
【0049】
様々な繊維層において有用なヤーンは、あらゆる適切なデニールを有するものでよく、層ごとに同一のデニールでもよいし、または異なるデニールでもよい。例えば、約50〜約3000デニールを有するヤーンでもよい。これらは、防弾効力や、その他の望ましい特性およびコストの考察によって選択される。織られたファブリックに関して、ヤーンが細ければ細いほど、製造および織り方により多大な費用を要するが、単位重量あたりより大きい防弾効力を発生させることができる。好ましくは、約200デニール〜約3000デニールのヤーンである。より好ましくは、約400デニール〜約2000デニールのヤーンである。最も好ましくは、約500デニール〜約1600デニールのヤーンである。
【0050】
第一および第二のファブリック、または、追加のファブリック(存在する場合)の繊維層のためのマトリックス樹脂は、望ましい特徴を有する多種多様の熱可塑性プラスチック、熱硬化性、または、エラストマー材料から形成することができる。一実施態様において、このようなマトリックスで用いられるエラストマー材料は、ASTM D638で測定した場合、約6,000psi(41.4MPa)に等しい、または、それ未満の初期引張係数(弾性係数)を有する。より好ましくは、上記エラストマーは、約2,400psi(16.5MPa)に等しい、または、それ未満の初期引張係数を有する。最も好ましくは、上記エラストマー材料は、約1,200psi(8.23MPa)に等しい、または、それ未満の初期引張係数を有する。これらの樹脂性の材料は、典型的には、熱可塑性プラスチックの性質を有する。
【0051】
あるいは、硬化した場合に、少なくとも約1×10psi(690MPa)程度の高い引張係数を有するマトリックス樹脂を選択してもよい。このような材料の例は、例えば、米国特許第6,642,159号(この開示は、本明細書と矛盾しない範囲内で参照により明確に本明細書中に包含される)で開示されている。
【0052】
複合材料の層中の樹脂マトリックス材料と繊維との比率は、最終用途に応じて広範に様々であってよい。樹脂マトリックス材料は、繊維および樹脂マトリックスの総重量を基準として、好ましくは約1〜約98重量パーセント、より好ましくは約5〜約95重量パーセント、および、さらにより好ましくは約5〜約40重量パーセント、および、最も好ましくは約10〜約25重量パーセントを構成する。
【0053】
樹脂マトリックスとして、多種多様のエラストマー材料が利用可能である。例えば、以下の材料のいずれかが用いられる可能性がある:ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、ポリスルフィドポリマー、ポリウレタンエラストマー、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリクロロプレン、可塑化ポリ塩化ビニル(フタル酸ジオクチルまたはその他の当技術分野で公知の可塑剤を使用)、ブタジエンアクリロニトリルエラストマー、ポリ(イソブチレン−コ−イソプレン)、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、フルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、熱可塑性プラスチックのエラストマー、および、エチレンのコポリマー。熱硬化性樹脂の例としては、例えばメチルエチルケトン、アセトン、エタノール、メタノール イソプロピルアルコール、シクロヘキサン、エチルアセトンおよびそれらの組み合わせのような炭素−炭素飽和溶媒中で可溶性のものが挙げられる。熱硬化性樹脂のなかでも特に、ビニルエステル、スチレンブタジエンブロックコポリマー、フタル酸ジアリル、フェノールホルムアルデヒド、ポリビニルブチラール、および、上述の米国特許第6,642,159号で開示されたようなそれらの混合物が挙げられる。ポリエチレン繊維のファブリックにとって好ましい熱硬化性樹脂は、少なくとも1種のビニルエステル、フタル酸ジアリルを含み、さらに、任意に、ビニルエステル樹脂を硬化するための触媒を含む場合がある。
【0054】
ポリエチレン繊維のファブリックにとって1つの好ましい材料群は、共役ジエンおよびビニル芳香族コポリマーのブロックコポリマーである。好ましい共役ジエンエラストマーは、ブタジエン、および、イソプレンである。好ましい共役芳香族モノマーは、スチレン、ビニルトルエン、および、t−ブチルスチレンである。ポリイソプレンおよび/またはポリブタジエンが取り込まれたブロックコポリマーを水素化して、飽和炭化水素エラストマーセグメントを有する熱可塑性プラスチックのエラストマーを生産してもよい。このようなポリマーは、R−(BA)型(x=3〜150)の単純なトリブロックコポリマーであり得る;ここで、Aは、ポリビニル芳香族モノマー由来のブロックであり、Bは、共役ジエンエラストマー、または、A−B−A型のエラストマー由来のブロックである。好ましい樹脂マトリックスは、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーであり、例えば、クレイトン(Kraton(登録商標))D1107スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーであり、クレイトン・ポリマー社(Kraton Polymer LLC)より入手可能である。
【0055】
アラミド繊維にとって1つの好ましいマトリックス樹脂は、ポリウレタン樹脂であり、例えば水性のポリウレタン樹脂である。
好ましい一実施態様において、マトリックス樹脂は、複合ファブリックが柔軟になるように選択され、ソフトアーマー製品などの用途において有用である。
【0056】
第二のファブリックは、好ましくは第一のファブリックの各層を互いに結合させた後に、第一のファブリックに結合させる。第一のファブリックを第二のファブリックに結合させるあらゆる適切な手段が使用できる。例えば、第二のファブリックを第一のファブリックの繊維層の片面に直接接着させる場合、その繊維層のマトリックス樹脂を、2つのファブリックを一緒に結合させる材料として用いてもよい。これは、適切な加熱および/または加圧下で達成することができる。あるいは、第一および第二のファブリックは、別々の接着層によって結合させてもよく、このような接着層は、第一のファブリックで用いられているマトリックス樹脂に類似していてもよいし、または、類似していなくてもよい。このような接着剤は、噴霧、浸漬、ローラーコーティング、フィルムとしての適用、押出しコーティング、または、その他のあらゆる適切な技術で塗布することができる。ここでも、2つのファブリック層を一緒に結合させるのに加熱および/または加圧を用いてもよい。さらに、第二のファブリックがマトリックス樹脂を含む場合、その樹脂は、2つのファブリック層を接着させる媒体であってもよい。また、その他の接着技術も使用できる。
【0057】
複合材料の構造に、様々な理由で1またはそれ以上のプラスチックフィルムが含まれることもあり、例えば、隣接する異なる複合材料の層が互いにスライドするようにプラスチックフィルムを含んでも良い。それにより、本体の形状への成形を簡単にし、さらに、装着を簡単にすることができ、加えてその他の望ましい特性も付与することができる。これらのプラスチックフィルムは、典型的には、第一のファブリック表面の一方に接着させてもよいし、または両方に接着させてもよい。あらゆる適切なプラスチックフィルムが使用でき、例えば、ポリオレフィンで作製されたフィルムが使用できる。このようなフィルムの例は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)フィルム、ポリエステル フィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどである。これらのフィルムは、あらゆる望ましい厚さを有していてもよい。典型的な厚さは、約0.1〜約1.2ミル(2.5〜30μm)の範囲であり、より好ましくは約0.2〜約1ミル(5〜25μm)、および、最も好ましくは約0.2〜約0.5ミル(5〜12.5μm)の範囲である。最も好ましくは、LLDPEのフィルムである。
【0058】
例えば、一緒に結合させてクロスプライさせた2つの一方向に配向した高強力繊維層は、片面に、または、好ましくは両面に適用されたプラスチックフィルムを有していてもよい。この場合、内部のプラスチックフィルムは第二のファブリックと接触しており、第一および第二のファブリックを一緒に結合させる材料として用いられる。これは、加熱および/または加圧下で達成できる。外部のプラスチックフィルムは、複数の複合ファブリックが一緒に積み重ねられる場合にそれらが互いにスライドできるように、ある程度のスリップ性を有する構造を提供する。またプラスチックフィルムは、必要に応じて、第二のファブリックの露出した外面に適用してもよい。
【0059】
第一のファブリックと第二のファブリックとを一緒に結合させた後、それらを望ましい形状に切断してもよいし、または、さらなる加工のためにロールに巻き取ってもよい。
本複合ファブリック構造の多数の層から物品を形成することができ、このような物品は、2つのファブリック層の構造、3層のファブリック構造、4層のファブリック構造、または、追加の層を有する構造のいずれでもよい。このような物品中に存在する本複合ファブリック構造の層の数は、例えば用途のタイプ、望ましい重量などの様々な要因に応じて様々である。例えば、チョッキのような防弾用物品の場合、2つのファブリックの複合材料の構造の層の数は、約2〜約60の範囲であってよく、より好ましくは約8〜約50、および、最も好ましくは約10〜約40である。このような層は、従来通りに数種の層を一緒に結合させないで、例えば端部に沿って縫い合わせるだけで組み合わせてもよい。このような物品を形成するために、本複合ファブリックを望ましい形状に切断してもよい。
【0060】
本複合ファブリックの様々な立体配置は、望ましい用途、銃撃の脅威、および、難燃性、耐久性および撥水性などの望ましい特性に基づいて作製することができる。例えば、第二の多方向に配向したファブリック層の両方、および、第一の一方向のファブリック層の両方の繊維層には、アラミド材料を使用してもよいし、または、このようなファブリック層の両面に高強力ポリエチレン繊維を使用してもよい。あるいは、高強力ポリエチレン繊維とアラミド繊維とをあらゆる望ましい組み合わせで組み合わせてもよく、例えば、第一のファブリックがアラミド織物であり、且つ、第二のファブリックが高強力ポリエチレンファブリックであってもよいし、または、第一のファブリックが高強力ポリエチレンファブリックであり、且つ、第二のファブリックがアラミド織物であってもよい。その他の実施態様において、グラファイト製の第一のファブリックを、高強力ポリエチレン繊維で織られた第二のファブリックに接着させてもよいし、または、PBO製の第一のファブリックを、アラミドで織られた第二のファブリックに接着させてもよい。これらの材料は、どのような望ましい立体配置で配置させてもよい。高強力繊維のその他の組み合わせを用いても良い。
【0061】
上述したように、本複合ファブリック中に追加のファブリック層が存在していてもよく、このような層は、一方向に配向したファブリックでもよいし、または、多方向に配向したファブリックでもよい。
【0062】
本発明の好ましい複合ファブリックの一つを形成するために、好ましい方法は、それぞれ樹脂マトリックス中に一方向に配向した不織繊維を含む第一および第二の繊維層を供給すること(各層の繊維は高強力繊維を含む)を含む。上記繊維は、化学的に同一のタイプのものでもよいし、または異なるタイプのものでもよい。第二の繊維層の第一の表面を、第一の繊維層の第二の表面に結合させ、これらの層を、第二の繊維層中の繊維が、第一の層の一方向に配向した繊維の方向に対して所定角度で配置されるようにクロスプライする。
【0063】
プラスチックフィルムは、第一および第二の繊維層の両方の外面(すなわち、第一の層の第一の表面、および、第二の層の第二の表面)に適用してもよいし、または、第二の繊維層の外面だけに適用してもよい。多方向に配向した高強力繊維を含む第二のファブリックを、プラスチックフィルムを接触させることによって第一のファブリックに結合させる。結果として、複合ファブリックが形成される。第二のファブリックは、同様に樹脂マトリックス(第三の樹脂マトリックス)を含んでいてもよい。
【0064】
本発明の複合ファブリックは多種多様の用途で用いることができ、例えば、防弾製品、構造材製品、自動車部品、および、航空宇宙産業などで用いることができる。好ましい用途は、ソフトまたはハードアーマー製品、例えば防弾性を有する防護服(チョッキなど)、自動車のパネルなどである。
【0065】
本発明をより十分に理解するために、以下に非限定的な実施例を示す。本発明の原理を説明するために記載されている具体的な技術、条件、材料、比率および報告されたデータは典型例であり、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0066】
実施例1
一方向に配向したアラミド繊維の層、および、アラミド織布から複合材料を形成した。この一方向に配向した不織布は、一方向に配向したアラミド繊維層のクロスプライ構造の形態(0°/90°でクロスプライさせた)であった。それぞれの一方向に配向したアラミド層を、200psi(1.4MPa)の引張係数を有するスチレン−イソプレン−スチレンエラストマー(クレイトン(登録商標)D1107)でコーティングした。繊維層の外層に、低密度ポリエチレンのライナーフィルムを接着した。コーティングの重量は、16±2%であった。繊維層をクロスプライした後、上記材料の両面上にポリエチレンフィルムを加熱および加圧下で積層した。各フィルムの重量は7g/mであり、7ミクロンの厚さを有していた。この材料の総面密度は、124g/mであり、厚さは、0.004インチ(0.01cm)であった。
【0067】
織られたファブリックとして、1インチあたり29×29本の経糸(1cmあたり11.4×11.4本の経糸)を有し、重量が4.5オンス/平方ヤード(152.6g/m)の平織のアラミド織物を用いた。アラミド織布に樹脂は塗布しなかった。
【0068】
全てのサンプルは、18×18インチ(45.7×45.7cm)であった。
2つの一方向に配向した繊維の層を用い、上記のアラミド織布を挟んだ。これらの層を、鋳型中で240°F(116℃)で10分間予熱することによって加熱および加圧下で成形し、500psi(3.5MPa)の成形圧力を10分間かけ、160°F(71℃)の温度が達成されるまでプレス中で10分間冷却し、続いて鋳型からサンプルを取り出して、そのまま室温に冷却させた。低密度ポリエチレンフィルムにより、全ての層を一緒に結合させた。
【0069】
この複合ファブリックを12層用いて防弾性を試験するためにサンプルを製造した。このようにして組み合わせた構造は、0.98psf(4.81kg/m)の理論上の面密度、および、2.19ポンド(0.99kg)の重量を有していた。このサンプルを、MIL−STD−662Eに従って、MIL−P−46593Aに適合させた17グレインの破片模擬弾(FSP)を用いて防弾性に関して試験した。以下の表1に結果を示す。
【0070】
試験方法MIL−STD−662Eによって、弾丸の破片からの保護に関して複合材料を試験し、用いられた破片はMIL−P−46593Aに適合させた。これらの破片は、17グレイン、22口径、FSPの硬化した破片模擬弾であった。複合材料サンプルの保護力の尺度の1つは、模擬弾の50%が阻止される衝突速度を示すことによって現わされる。この速度は、フィート/秒単位で表され、V50と呼ばれる。
【0071】
実施例2(比較例)
39層の実施例1で用いられた一方向に配向したアラミド不織布からサンプルを形成した。理論上の面密度は、0.99psf(4.85kg/m)であり、重量は、2.22ポンド(1.01kg)であった。以下の表1に防弾性の結果も示す。
【0072】
実施例3(比較例)
32層の実施例1で用いられたアラミド織布の層からサンプルを形成した。理論上の面密度は、1.00psf(4.90kg/m)であり、重量は、2.28ポンド(1.04kg)であった。以下の表1に防弾性の結果も示す。
【0073】
実施例4(比較例)
実施例1で用いられたアラミド織物と共に、実施例1で用いられた一方向に配向したアラミド不織布からサンプルを形成した。アラミド織物を、不織布の層の間に挟んだが、それらに結合はさせなかった。合計で12層を組み合わせた3層状の構造を用いた。理論上の面密度は、0.98psf(4.81kg/m)であり、重量は、2.22ポンド(1.01kg)であった。以下の表1に防弾性の結果も示す。
【0074】
【表1】

【0075】
実施例5
実施例1に記載されたファブリックを12層組み合わせてサンプルを製造した。このサンプルは、0.98psf(4.81kg/m)の理論上の面密度、および、2.20ポンド(1.00kg)の重量を有していた。このサンプルを、MIL−STD−662Eに従って、124グレインのフルメタルジャケット(FMJ)弾(9mm)を用いて防弾性に関して試験した。V50の評価および背面の変形を測定した。以下の表2に防弾性の結果を示す。
【0076】
実施例6(比較例)
39層の実施例5で用いられた一方向に配向したアラミド不織布からサンプルを形成した。理論上の面密度は、0.99psf(4.85kg/m)であり、重量は、2.22ポンド(1.00kg)であった。以下の表2に防弾性の結果も示す。
【0077】
実施例7(比較例)
32層の実施例5で用いられたアラミド織布の層からサンプルを形成した。理論上の面密度は、1.00psf(4.90kg/m)であり、重量は、2.29ポンド(1.04kg)であった。以下の表2に防弾性の結果も示す。
【0078】
実施例8(比較例)
実施例7で用いられたアラミド織物と共に、実施例6で用いられた一方向に配向したアラミド不織布からサンプルを形成した。アラミド織物を不織布の層の間に挟んだが、それらに結合はさせなかった。合計で12層を組み合わせた3層状の構造を用いた。理論上の面密度は、0.98psf(4.81kg/m)であり、重量は、2.22ポンド(1.01kg)であった。以下の表2に防弾性の結果も示す。
【0079】
【表2】

【0080】
これらの結果から、クロスプライの一方向の高強力繊維の不織布を、高強力繊維の織られたファブリックと共にラミネートすることによって、V50に関する防弾性能が、驚くべきことに増加し、さらに裏面の変形が減少することが示された。
【0081】
本発明は、製造が比較的単純であり、優れた防弾性およびその他の望ましい特性を有する複合ファブリックを提供するものである。本ファブリックは、一緒に結合しており、改善された防弾性能が得られる。
【0082】
このようにして本発明をかなり詳細に説明したが、当然ながらこのような詳細を固守する必要はなく、さらなる変化および修飾を当業者に提案することが可能であり、それらはいずれも添付の請求項で定義される本発明の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第一の繊維層と第二の繊維層とを含む第一のファブリック、ここで前記第一の繊維層は第一の樹脂マトリックス中に一方向に配向した不織繊維を含み、前記第一の繊維層の前記不織繊維は高強力繊維を含み、前記第一の繊維層は第一の表面と第二の表面とを含み、前記第二の繊維層は第二の樹脂マトリックス中に一方向に配向した不織繊維を含み、前記第二の繊維層の前記不織繊維は高強力繊維を含み、前記第二の繊維層は第一の表面と第二の表面とを含み、前記第二の繊維層の前記第一の表面は、前記第一の繊維層の前記第二の表面に隣接しており、前記第二の繊維層中の前記繊維は、前記第一の繊維層の一方向に配向した繊維の方向に対して所定角度で配置されている;および
(b)多方向に配向した繊維を含む第二のファブリック、ここで前記繊維は任意に第三の樹脂マトリックス中に存在し、前記第二のファブリックは高強力繊維を含み、前記第二のファブリックは第一の表面と第二の表面とを有し、前記第二のファブリックの前記第一の表面は、前記第二の繊維層の前記第二の表面に隣接しており、前記第二のファブリックを前記第一のファブリックに直接的または間接的に結合させることによって、複合ファブリックが形成される;
を含む、多層の複合ファブリック。
【請求項2】
前記第二のファブリックが、織られたファブリック、ニットのファブリック、編組したファブリック、フェルト化したファブリック、および、紙状のファブリックからなる群より選択されるファブリックを含む、請求項1に記載の複合ファブリック。
【請求項3】
前記第一および第二のファブリックが、接着剤によって結合される、請求項1に記載の複合ファブリック。
【請求項4】
少なくとも1つのプラスチックフィルムをさらに含み、前記プラスチックフィルムは、前記第一の繊維層と前記第二の繊維層との間に位置しており、前記プラスチックフィルムは、前記第一のファブリックと前記第二のファブリックとを一緒に結合させている、請求項1に記載の複合ファブリック。
【請求項5】
前記第一の繊維層の前記第一の表面に結合したプラスチックフィルムをさらに含む、請求項4に記載の複合ファブリック。
【請求項6】
前記第一のファブリックおよび前記第二のファブリックの前記高強力繊維が、ポリオレフィン繊維、アラミド繊維、ポリベンザゾール繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、液晶コポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、玄武岩、またはその他の鉱物繊維、剛直性棒状高分子繊維(rigid rod polymer fiber)、および、それらのブレンドからなる群より選択される、請求項1に記載の複合ファブリック。
【請求項7】
前記第一のファブリックおよび前記第二のファブリックの前記高強力繊維が、高強力ポリエチレン繊維、アラミド繊維、PBO繊維、グラファイト繊維、および、それらのブレンドからなる群より選択される、請求項1に記載の複合ファブリック。
【請求項8】
前記第一のファブリックおよび前記第二のファブリックの前記高強力繊維が、高強力ポリエチレン繊維、および/または、アラミド繊維を含む、請求項1に記載の複合ファブリック。
【請求項9】
前記第一のファブリックの前記高強力繊維が、前記第二のファブリックの前記高強力繊維と化学的に同一である、請求項8に記載の複合ファブリック。
【請求項10】
前記第二のファブリックが、織られたファブリックの形態である、請求項1に記載の複合ファブリック。
【請求項11】
前記第一のファブリックの前記高強力繊維が、アラミド繊維を含み、前記第二のファブリックの前記高強力繊維が、アラミド繊維を含む、請求項1に記載の複合ファブリック。
【請求項12】
前記第二のファブリックが、織られたファブリックの形態である、請求項11に記載の複合ファブリック。
【請求項13】
前記第一および第二の繊維層が、前記第一の繊維層の繊維方向が前記第二の繊維層の前記繊維の繊維方向に対して約90°の角度であるように配置されている、請求項1に記載の複合ファブリック。
【請求項14】
(a)第一の繊維層と第二の繊維層とを含む第一のファブリック、ここで前記第一の繊維層は第一の樹脂マトリックス中に一方向に配向した不織繊維を含み、前記第一の繊維層の前記不織繊維は高強力繊維を含み、前記第一の繊維層は第一の表面と第二の表面とを含み、前記第二の繊維層は第二の樹脂マトリックス中に一方向に配向した不織繊維を含み、前記第二の繊維層の前記不織繊維は高強力繊維を含み、前記第二の繊維層は第一の表面と第二の表面とを含み、前記第二の繊維層の前記第一の表面は、前記第一の繊維層の前記第二の表面に隣接しており、前記第二の繊維層中の前記繊維は、前記第一の繊維層の一方向に配向した繊維の方向に対して所定角度で配置されている;
(b)任意に、前記第一のファブリックの前記第一の繊維層の前記第一の表面に結合する第一のプラスチックフィルム;
(c)前記第一のファブリックの前記第二の繊維層の前記第二の表面に結合する第二のプラスチックフィルム;および、
(d)多方向に配向した繊維を含む第二のファブリック、ここで前記繊維は任意に第三の樹脂マトリックス中に存在し、前記第二のファブリックは高強力繊維を含み、前記第二のファブリックは第一の表面と第二の表面とを有し、前記第二のファブリックの前記第一の表面は、前記第二のプラスチックフィルムに結合している;
を含む多層の複合ファブリック。
【請求項15】
前記第一のファブリックおよび前記第二のファブリックの前記高強力繊維が、高強力ポリエチレン繊維、および/または、アラミド繊維を含む、請求項14に記載の複合ファブリック。
【請求項16】
前記第一および第二の繊維層が、前記第一の繊維層の繊維方向が前記第二の繊維層の前記繊維の繊維方向に対して約90°の角度であるように配置されている、請求項15に記載の複合ファブリック。
【請求項17】
前記第二のファブリックが、織られたファブリックの形態である、請求項16に記載の複合ファブリック。
【請求項18】
請求項1に記載の多層の複合ファブリックを含む防弾用品。
【請求項19】
約2〜約60層の請求項1に記載の多層の複合ファブリックを含む防弾用品。
【請求項20】
(a)第一の樹脂マトリックス中に一方向に配向した不織繊維を含む第一の繊維層を供給すること、ここで前記第一の繊維層の前記不織繊維は高強力繊維を含み、前記第一の繊維層は第一の表面と第二の表面とを含む;
(b)第二の樹脂マトリックス中に一方向に配向した不織繊維を含む第二の繊維層を供給すること、ここで前記第二の繊維層の前記不織繊維は高強力繊維を含み、前記第二の繊維層は第一の表面と第二の表面とを含む;
(c)前記第一および第二の繊維層を互いに結合させて、前記第二の繊維層の前記第一の表面が、前記第一の繊維層の前記第二の表面に隣接しており、前記第二の繊維層中の前記繊維が、前記第一の繊維層の一方向に配向した繊維の方向に対して所定角度で配置されるようにすること;
(d)任意に、前記第一の繊維層の前記第一の表面に第一のプラスチックフィルムを適用すること;
(e)前記第二の繊維層の前記第二の表面に、第二のプラスチックフィルムを適用すること;
(f)多方向に配向した繊維を含む第二のファブリックを供給すること、ここで前記繊維は任意に第三の樹脂マトリックス中に存在し、前記第二のファブリックは高強力繊維を含み、前記第二のファブリックは第一の表面と第二の表面とを有する;および、
(g)前記第二のプラスチックフィルムに、前記第二のファブリックの前記第一の表面を結合させることによって、複合ファブリックを形成すること、
を含む、複合ファブリック構造の形成方法。
【請求項21】
前記第二のファブリックが、織られたファブリックを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第一のファブリックおよび前記第二のファブリックの前記高強力繊維が、高強力ポリエチレン繊維、および/または、アラミド繊維を含む、請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2010−532720(P2010−532720A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554692(P2009−554692)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/057339
【国際公開番号】WO2008/115913
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】