説明

クロック再生装置

【課題】安定した高速動作が可能なクロック再生装置を提供する。
【解決手段】クロック再生装置1は、受信データD1からデータ受信用の再生クロックCK1を得るものであって、受信データD1のレベルが所定のレベルである場合に、受信データD1に同期した所定周波数の信号S1を出力する発振器21と、発振器21に直列に接続され、信号S1のレベルが所定のレベルである場合に、信号S1に同期した所定周波数の信号S1を再生クロックCK1として出力する発振器22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信データからデータ受信用の再生クロックを得るクロック再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来のクロック再生装置の構成を示すブロック図である。図5に示す通り、従来のクロック再生装置100は、受信データD101がリセット端(Reset)に入力される発振器101と、発振器101に対して並列に設けられ、受信データD101の論理をインバータ回路103で反転したデータがリセット端に入力される発振器102とを備える。発振器101は、受信データD101が「H(ハイ)」レベルの場合には出力端から所定の周波数の信号を出力し、「L(ロー)」レベルの場合には発振を停止する。これに対し、発振器102は、受信データD101が「H」レベルの場合には発振を停止し、「L」レベルの場合には出力端から所定の周波数の信号を出力する。
【0003】
発振器101,102の出力端は、論理和回路(以下、OR回路という)104の入力端にそれぞれ接続されている。OR回路104は、発振器101,102の出力端から出力される信号の論理和を演算する。この演算結果が受信データD101と同期した再生クロックCK101になる。また、受信データD101はDフリップフロップ(DFF)105のD入力端に入力され、再生クロックCK101はDフリップフロップ105のクロック端に入力されている。このDフリップフロップ105の出力が再生データD102となる。周波数制御部106は、発振器102,102の各々の出力端から出力される信号と参照クロックRC101とを入力としており、これらの入力信号に基づいて発振器101,102の発振周波数を制御する。具体的には、発振器101,102の各々から出力される信号の周波数を一致させる制御を行う。
【0004】
次に、従来のクロック再生装置100の動作について説明する。尚、ここでは、発振器101,102から出力される信号の周波数は一致しているものとし、周波数制御部106の制御の詳細については説明を省略する。クロック再生装置100に入力された受信データD101は、発振器101のリセット端に入力されるとともに、その論理を反転したデータが発振器102のリセット端に入力される。受信データD101が「H」レベルの場合には、発振器101から所定の周波数を有する信号が出力されるが、発振器102は発振を停止する。発振器101から出力された信号は、OR回路104を介して再生クロックCK101として出力される。
【0005】
他方、受信データD101が「L」レベルの場合には、発振器102から所定の周波数を有する信号が出力されるが、発振器101は発振を停止する。発振器102から出力された信号は、OR回路104を介して再生クロックCK101として出力される。尚、受信データD101及び再生クロックCK101はDフリップフロップ105に入力されて再生データD102が出力される。以上の通り、従来のクロック再生装置100は、受信データD101のレベルに応じて発振器101,102が選択的に動作することにより、連続する再生クロックCK101を得ている。
【0006】
尚、従来のクロック再生装置100の詳細については、例えば以下の非特許文献1を参照されたい。
【非特許文献1】ユウスケ・オオタ(Yusuke Ota),ロバート・ジー・シュワルツ(Robert G. Swartz),ヴァンス・ディー・アーチャー(Vance D. Archer),スティーブン・ケィ・コロッキ(Steven K. Korotky),ミハイ・バヌ(Mihai Banu),アルフレッド・イー・ダンロップ(Alfred E. Dunlop),「ハイスピード・バーストモード・パケットケイパブル・オプティカル・レシーバ・アンド・インスタンティニアス・クロック・リカバリー・フォー・オプティカル・バス・オペレーション(High-Speed, Burst-Mode, Packet-Capable optical Receiver and Instantaneous Clock Recovery for Optical Bus Operation)」,ジャーナル・オブ・ライトウェーヴ・テクノロジー(Journal of Lightwave Technology),1994年2月,Vol.12,No.2,p.325
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年においては、通信の高速化及び大容量化を実現するために、バックボーン回線にはSONET/SDH(Synchronous Optical NETwork/Synchronous Digital Hierarchy)等の高速な光通信回線が用いられている。また、企業内等に敷設されるLAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)としてはEthernet(登録商標)が用いられることが多いが、近年においては通信速度が1Gbps(bit Per second)以上のものも普及しつつある。このような高速な通信回線においては、高いビットレートのデータに対しても安定して再生クロックを得ることができるクロック再生装置が必要になる。
【0008】
しかしながら、上述した従来のクロック再生装置100は、並列に設けられた発振器101,102を受信データD101のレベルに応じて選択的に動作させる構成であるため、発振器101,102の相対的な遅延時間の差が生ずると高速動作時の安定性に問題が生ずる。具体的には、発振器101,102の相対的な遅延時間の差があると、発振器101,102の選択を切り替える時に双方から信号が出力される状況が生じてしまう。かかる状況においては、発振器101,102の各々から出力される信号がOR回路104で演算されることにより再生クロックCK101が部分的に長周期となり、再生データD102にエラーが生ずる等の問題がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、安定した高速動作が可能なクロック再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のクロック再生装置は、受信データ(D1)からデータ受信用の再生クロック(CK1)を得るクロック再生装置(1)において、前記受信データのレベルが所定のレベルである場合に、前記受信データに同期した所定周波数の第1信号(S1)を出力する第1発振器(21)と、前記第1発振器に直列に接続され、前記第1信号のレベルが所定のレベルである場合に、前記第1信号に同期した所定周波数の第2信号(S2)を前記再生クロックとして出力する第2発振器(22)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、受信データのレベルが所定のレベルである場合には、受信データに同期した所定周波数の第1信号が第1発振器から出力され、この第1信号のレベルが所定のレベルである場合には、第1信号に同期した所定周波数の第2信号が再生クロックとして第2発振器から出力される。
また、本発明のクロック再生装置は、前記第2発振器が出力する前記第2信号の周波数が、前記第1発振器が出力する前記第1信号の周波数と等しい周波数に設定されていることを特徴としている。
また、本発明のクロック再生装置は、前記第1発振器の前段に設けられ、前記受信データを所定の分周比で分周する分周器(11)と、前記第2発振器の後段に設けられ、前記第2発振器から出力された前記第2信号を前記分周器の分周比に応じた逓倍比で逓倍する逓倍器(13)とを備えることを特徴としている。
また、本発明のクロック再生装置は、前記第1発振器が出力する前記第1信号の周波数及び前記第2発振器が出力する前記第2信号の周波数は、少なくとも前記受信データの周波数を前記分周器の分周比で除算して得られる周波数以上に設定されることを特徴としている。
また、本発明のクロック再生装置は、前記第1,第2発振器が、何れもリセット付きリングオシレータであり、前記第1発振器は、前記受信データがリセット端に入力され、前記第2発振器は、前記第1発振器の反転出力端から出力される信号がリセット端に入力されることを特徴としている。
更に、本発明のクロック再生装置は、前記第2発振器から出力される前記第2信号と外部から入力される参照クロックとに基づいて、前記第1,第2発振器の各々から出力される信号の周波数を制御する周波数制御部(23)を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、受信データのレベルが所定のレベルである場合に、受信データに同期した所定周波数の第1信号を第1発振器から出力し、この第1信号のレベルが所定のレベルである場合に、第1信号に同期した所定周波数の第2信号を再生クロックとして第2発振器から出力しているため、仮に第1発振器と第2発振器との間に相対的な遅延時間の差があったとしても安定した高速動作が可能であるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態によるクロック再生装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態によるクロック再生装置の構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態のクロック再生装置1は、分周器11、再生クロック生成部12、逓倍器13、及びDフリップフロップ(DFF)14を備えており、入力される受信データD1から再生クロックCK1を得るとともに再生データD2を得るものである。本実施形態のクロック再生装置1は、受信データD1の速度が低速(例えば、数Mbps)であっても高速(例えば、数十Gbps)であっても対応可能であるが、ここでは、受信データD1の速度が10Gbpsである場合を例に挙げて説明する。
【0013】
分周器11は、再生クロック生成部12の前段に設けられており、受信データD1を所定の分周比N(Nは1以上の整数)で分周する。尚、本実施形態では、説明を簡単にするために、分周器11の分周比Nは「1」に設定されているとする。再生クロック生成部12は、発振器21(第1発振器)、発振器22(第2発振器)、及び周波数制御部23を備えており、分周器11を介した受信データD1から再生クロックを生成する。
【0014】
発振器21は、受信データD1のレベルが所定のレベルである場合に、受信データD1に同期した所定周波数の信号S1(第1信号)を出力する。発振器22は、発振器21に直列に接続されており、発振器21から出力される信号S1のレベルが所定のレベルである場合に、その信号S1に同期した所定周波数の信号S2(第2信号)を出力する。尚、この信号S2が逓倍器13で逓倍されることにより再生クロックCK1となる。
【0015】
次に、発振器21,22について詳細に説明する。図2は、発振器21,22の構成を示す回路図である。図2に示す通り、発振器21,22は、論理積回路(以下、AND回路という)31、バッファ回路32、奇数個のインバータ回路33a〜33n、及びインバータ回路34を備える。AND回路31の一方の入力端T1は発振器21,22のリセット端(Reset)に相当する。このAND回路31の出力端にはバッファ回路32が接続されており、バッファ回路32の出力端にはインバータ回路33a〜33nが縦続接続されている。インバータ回路33a〜33nのうちの最終段のインバータ回路33nの出力端がAND回路31の他方の入力端に接続されている。これにより、リセット付きリングオシレータが構成されている。
【0016】
また、インバータ回路33nの出力端は端子T2とインバータ回路34の入力端とに接続されており、インバータ回路34の出力端は端子T3に接続されている。ここで、図2に示す端子T2は発振器21,22の出力端(非反転出力端)Qに相当し、端子T3は反転出力端Q ̄に相当する。尚、本明細書では、表記の都合上、記号「Q」の上部に記号「 ̄」付されたものを記号「Q ̄」で表す。更に、リングオシレータの一部を構成するバッファ回路32及びインバータ回路33a〜33nは端子T2に接続されている。この端子T2は、周波数制御部23からの周波数制御信号が入力される発振器21,22の周波数制御信号入力端Cに相当するものである。
【0017】
上記構成の発振器21,22において、端子T1に「H(ハイ)」レベルの信号が入力されると、AND回路31が開状態になってインバータ回路33nの出力端とバッファ回路32の入力端とが電気的に接続されてリングオシレータが発振状態になる。これにより、インバータ回路33a〜33nの段数に応じた周波数を有する信号が端子T2から出力され、その論理を反転した信号が端子T3から出力される。これに対し、端子T1に「L(ロー)」レベルの信号が入力されると、AND回路31が閉状態になってインバータ回路33nの出力端とバッファ回路32の入力端とが電気的に分離されてリングオシレータの発振が停止する。
【0018】
発振器22が出力する信号S2の周波数は、発振器21が出力する信号S1の周波数と等しい周波数に設定されている。尚、ここでいう「等しい周波数」とは、信号S1,S2の周波数が完全一致する場合のみを意味するのではく、回路誤差等に起因する多少の誤差は許容される意である。また、発振器21が出力する信号S1及び発振器22が出力する信号S2の周波数は、少なくとも受信データD1の周波数を分周器11の分周比で除算して得られる周波数以上に設定される。受信データD1の周波数(速度)が10Gbpsであり、分周器11の分周比が「1」である場合には、信号S1及び信号S2の周波数は10GHz以上に設定される。また、受信データD1の周波数(速度)が10Gbpsであって、分周器11の分周比が「2」に設定された場合には、信号S1,S2の周波数は5GHz以上に設定される。
【0019】
図1を参照すると、分周器11の出力端は発振器21のリセット端に接続され、発振器21の反転出力端Q ̄は発振器22のリセット端に接続されている。つまり、発振器21は、分周器11を介した受信データD1によって発振状態が制御され、発振器22は、発振器21から出力される信号S1によって発振状態が制御される。また、発振器22の非反転出力端Qから出力される信号が信号S2とされている。
【0020】
周波数制御部23は、発振器23の非反転出力端Qから出力される信号S2と、外部からの参照クロックRC1とを入力としており、これらの入力信号に基づいて発振器21,22の発振周波数を制御する。具体的には、発振器21,22の各々から出力される信号S1,S2の周波数を一致させる制御を行う。かかる制御を行うことで、温度変動によって発振器21,22の発振周波数が変わった場合でも、信号S1,S2の周波数を一致させることができる。
【0021】
逓倍器13は、発振器22の後段に設けられており、発振器22から出力された信号S2を分周器11の分周比Nに応じた逓倍比M(Mは1以上の整数)で逓倍する。具体的には、分周器11の分周比Nが「1」である場合には、逓倍器13の逓倍比Mは「1」に設定される。また、分周器11の分周比Nが「2」である場合には、逓倍器13の逓倍比Mは「2」に設定される。即ち、受信データD1の周波数(速度)が分周器11で1/Nにされた場合には、発振器22から出力される信号S2の周波数はM倍にされる。尚、本実施形態では、説明を簡単にするために、逓倍器13の逓倍比Mは「1」に設定されているとする。
【0022】
発振器22から出力される信号S2が逓倍器13で逓倍されることにより再生クロックCK1となる。また、受信データD1はDフリップフロップ14のD入力端に入力され、再生クロックCK1はDフリップフロップ14のクロック端に入力されている。このDフリップフロップ14の出力が再生データD2となる。
【0023】
次に、本実施形態のクロック再生装置1の動作について説明する。図3は、本発明の一実施形態によるクロック再生装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。尚、図3に示す信号S0は、発振器21の非反転出力端Qから出力される信号を示している。図3に示す受信データD1(周波数(速度)が10Gbpsの信号)が入力されると、この受信データD1は分周器11を介して再生クロック生成部12に設けられた発振器21のリセット端に入力される。尚、本実施形態では、分周器11の分周比Nが「1」に設定されているため、図3に示す受信データD1がそのまま発振器21のリセット端に入力される。
【0024】
発振器21のリセット端に入力される受信データD1が「H」レベルである場合には、図2に示すAND回路31が開状態になってインバータ回路33nの出力端とバッファ回路32の入力端とが電気的に接続されてリングオシレータが発振状態になる。これにより、インバータ回路33a〜33nの段数に応じた周波数(本実施形態では、10GHz)を有する信号S0が非反転出力端Qから出力されるとともに、その論理を反転した信号S1が反転出力端Q ̄から出力される。
【0025】
図3に示す例において、受信データD1は時刻t1〜t4の各々において立ち上がっており、時刻t1,t4の立ち上がりでは1周期の期間、時刻t2,t3の立ち上がりでは2周期の期間だけ「H」レベルが維持されている。このため、発振器21の非反転出力端Qからは、時刻t1,t4の立ち上がりから1周期の期間、時刻t2,t3の立ち上がりから2周期の期間の各々において、周波数が10GHzである信号S0が出力される。尚、この信号S0は、図3に示す通り、時刻t1〜t4の各々において受信データD1に同期した正のパルス状の信号である。
【0026】
一方、発振器21のリセット端に入力される受信データD1が「L」レベルである場合には、図2に示すAND回路31が閉状態になってインバータ回路33nの出力端とバッファ回路32の入力端とが電気的に分離されてリングオシレータは発振停止状態になる。このため、発振器21の非反転出力端Qから信号S0は出力されない(信号S0のレベルは「L」に維持される)。
【0027】
尚、発振器21の反転出力端Q ̄からは、非反転出力端Qから出力される信号S0の論理を反転した信号S1が出力される。つまり、受信データD1が「H」レベルである場合には、時刻t1〜t4の各々において受信データD1に同期した周波数が10GHzの負のパルス状の信号であって、受信データD1が「L」レベルである場合にはレベルが「H」レベルに維持される信号S1が出力される。
【0028】
発振器21の反転出力端Q ̄から出力された信号S1は、発振器22のリセット端に入力される。発振器22のリセット端に入力される信号S1が「L」レベルである場合には、図2に示すAND回路31が閉状態になってインバータ回路33nの出力端とバッファ回路32の入力端とが電気的に分離されてリングオシレータは発振停止状態になる。このため、信号S1が「H」レベルから「L」レベルに立ち下がると、この立ち下がりに同期して信号S2は「L」レベルになる。
【0029】
図3に示す例において、信号S1は時刻t1〜t4の各々において立ち下がっており、また時刻t2,t3から信号S1の1周期分の時間が経過した時点においても立ち下がっている。このため、発振器21の非反転出力端Qから出力される信号S2は、これらの立ち下がりの各々の時点において「H」レベルから「L」レベルに立ち下がる。
【0030】
一方、発振器22のリセット端に入力される信号S1が「H」レベルである場合には、図2に示すAND回路31が開状態になってインバータ回路33nの出力端とバッファ回路32の入力端とが電気的に接続されてリングオシレータが発振状態になる。これにより、インバータ回路33a〜33nの段数に応じた周波数(本実施形態では、10GHz)を有する信号S2が非反転出力端Qから出力される。
【0031】
図3に示す例において、発振器22のリセット端に入力される信号S1が「L」レベルから「H」レベルに立ち上がる度に発振器22が備えるリングオシレータが発振状態になり、非反転出力端Qから出力される信号S2は、これらの立ち上がりの各々の時点において「L」レベルから「H」レベルに立ち上がる。信号S1のレベルが「H」レベルに維持される間はリングオシレータが発振状態にあるため、発振器22の非反転出力端Qからは周波数が10GHzの信号S2が継続して出力される。
【0032】
このようにして、発振器22の非反転出力端Qからは、信号S1の立ち上がり及び立ち下がりにそれぞれ同期し、周波数が10GHzであって連続する信号S2が出力される。この信号S2は、逓倍器13を介して再生クロックCK1として出力される。尚、本実施形態では、逓倍器13の逓倍Mが「1」に設定されているため、図3に示す信号S2がそのまま再生クロックCK1として出力される。また、受信データD1は、Dフリップフロップ14のD入力端に入力され、再生クロックCK1はDフリップフロップ14のクロック端に入力される。再生クロックCK1が入力される度にD入力端に入力される受信データD1が出力され、これにより再生データD2が得られる。
【0033】
次に、非同期のパケットデータが受信データD1として入力された場合の動作について説明する。図4は、非同期のパケットデータ入力された場合に得られる再生クロックの一例を示す図である。いま、図4に示す通り、時刻t11以前はパケットデータPD1が受信データD1として入力され、時刻t11から所定の時間経過した時刻t12においてパケットデータPD1とは非同期の新たなパケットPD2が受信データD1として入力されるとする。
【0034】
パケットデータPD1が入力されている時刻t11以前において、クロック再生装置1によって得られる再生クロックCK1はパケットデータPD1に同期したものである。パケットデータPD1が時刻t11において終了すると、時刻t11〜t12の期間においては、パケットデータPD1の終了時点(時刻t11)に同期した一定周波数(10GHz)の再生クロックCK1が得られる。
【0035】
時刻t12において新たなパケットデータPD2が入力されると、クロック再生装置1はパケットデータPD2に同期した再生クロックCK1を出力する。以上の通り、本実施形態のクロック再生装置1は、受信データD1として入力されるデータが非同期のデータであっても、そのデータの各々に同期した連続する再生クロックCK1を得ることができる。
【0036】
以上の通り、本実施形態のクロック再生装置1は、入力される信号のレベルが「H」レベルである場合に入力される信号に同期した所定周波数の信号を出力する発振器21,22を直列接続した構成である。このため、仮に発振器21,22間に相対的な遅延時間の差があったとしても、図5に示す従来のクロック再生装置100のような不具合は生じない。よって、入力される受信データD1が高速であってもその受信データD1に応じた連続した再生クロックCK1を得ることができ、安定した高速動作が可能である。
【0037】
また、本実施形態のクロック再生装置1は、発振器21,22を直列接続した簡素な構成を基本構成とするため、小型化及びコストの低減を図ることができるとともに低消費電力を実現することができる。更に、本実施形態のクロック再生装置1は、受信データD1が数十Gbpsと高速な場合のみならず、数Mbpsと低速な場合であっても適用が可能であるため、種々の用途に使用することができる。
【0038】
以上、本発明の一実施形態によるクロック再生装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、発振器21の反転出力端Q ̄から出力される信号S1を発振器22のリセット端に入力させる構成について説明したが、発振器21の非反転出力端Qから出力される信号(S0)を発振器22に入力させる構成であってもよい。かかる構成の場合には、発振器22として、「L」レベルの信号が入力されると発振状態になり、「H」レベルの信号が入力されると発振停止状態になるものを用いる必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態によるクロック再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】発振器21,22の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の一実施形態によるクロック再生装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】非同期のパケットデータ入力された場合に得られる再生クロックの一例を示す図である。
【図5】従来のクロック再生装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
1 クロック再生装置
11 分周器
13 逓倍器
21,22 発振器
23 周波数制御部
CK1 再生クロック
D1 受信データ
S1,S2 信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信データからデータ受信用の再生クロックを得るクロック再生装置において、
前記受信データのレベルが所定のレベルである場合に、前記受信データに同期した所定周波数の第1信号を出力する第1発振器と、
前記第1発振器に直列に接続され、前記第1信号のレベルが所定のレベルである場合に、前記第1信号に同期した所定周波数の第2信号を前記再生クロックとして出力する第2発振器と
を備えることを特徴とするクロック再生装置。
【請求項2】
前記第2発振器が出力する前記第2信号の周波数は、前記第1発振器が出力する前記第1信号の周波数と等しい周波数に設定されていることを特徴とする請求項1記載のクロック再生装置。
【請求項3】
前記第1発振器の前段に設けられ、前記受信データを所定の分周比で分周する分周器と、
前記第2発振器の後段に設けられ、前記第2発振器から出力された前記第2信号を前記分周器の分周比に応じた逓倍比で逓倍する逓倍器と
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のクロック再生装置。
【請求項4】
前記第1発振器が出力する前記第1信号の周波数及び前記第2発振器が出力する前記第2信号の周波数は、少なくとも前記受信データの周波数を前記分周器の分周比で除算して得られる周波数以上に設定されることを特徴とする請求項3記載のクロック再生装置。
【請求項5】
前記第1,第2発振器は、何れもリセット付きリングオシレータであり、
前記第1発振器は、前記受信データがリセット端に入力され、
前記第2発振器は、前記第1発振器の反転出力端から出力される信号がリセット端に入力される
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のクロック再生装置。
【請求項6】
前記第2発振器から出力される前記第2信号と外部から入力される参照クロックとに基づいて、前記第1,第2発振器の各々から出力される信号の周波数を制御する周波数制御部を備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のクロック再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−211742(P2008−211742A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49027(P2007−49027)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】