説明

クロック異常検出回路

【課題】クロック異常を検出する精度を向上させる技術を提供する。
【解決手段】被検査クロックを遅延させる第1の遅延回路の出力と第2の遅延回路の出力よりLow期間を決める。定められたLow期間に信号変化をカウントする。被検査クロックとカウント値により異常検出する。第1の遅延回路の出力と第2の遅延回路の出力よりHigh期間を決める。定められたHigh期間に信号変化をカウントする。被検査クロックとカウント値により異常検出する。Low期間の異常とHigh期間の異常を統合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック異常検出回路に関し、特に、半導体集積回路のクロック信号等におけるノイズや異常信号を検出するクロック異常検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
現在普及している半導体集積回路の多くは、基準クロックに対して同期して動作するように設計されている。その基準クロックに発生するノイズなどに起因する異常は、半導体集積回路の誤動作を引き起こすことがある。半導体集積回路の誤動作を抑制するため、基準クロックに発生するノイズ等の異常を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1には、基準クロック信号の異常を検出するクロック異常検出システムに関する技術が記載されている。そのクロック異常検出システムは、多段接続された複数の遅延素子により、集積回路を動作させるための基準クロック信号を遅延させ、各段ごとに遅延信号を出力する遅延信号出力部と、前記遅延信号出力部から出力された遅延信号の中から、前記基準クロック信号に同期する遅延信号を複数検出する同期信号検出部と、前記同期信号検出部により検出された複数の遅延信号に基づいて、前記基準クロック信号の1周期に係る遅延素子の段数を算出する遅延段数演算部とを備えている。そして、遅延素子の段数の値に基づいて、基準クロック信号の異常を検出している。
【0004】
図1は、特許文献1のクロック異常検出システムの全体構成を示すブロック図である。クロック異常検出システム200は、集積回路ブロック201と、異常検出部110と、記憶部111とを備えている。集積回路ブロック201は、異常検出部110に接続されている。また、集積回路ブロック201は、クロック周期検出回路101と、CPU_I/F105と、ユーザー・ロジック106とを備えている。クロック周期検出回路101は、CPU_I/F105を介して異常検出部110に接続されている。また、クロック周期検出回路101は、遅延信号出力部102と、同期信号検出部103と、遅延段数演算部104とを備えている。
【0005】
図2は、上述の遅延信号出力部102の回路構成を示すブロック図である。遅延信号出力部102は、m個のディレイセル(遅延素子)DC1〜DCmと、複数のインバータINVとを備えている。これらのディレイセルDC1〜DCmは、直列に多段(m段)接続されている。ディレイセルDC1〜DCmは、各々に入力された信号を、所定遅延量(例えば、X[psオーダー])だけ遅延させて出力する。すなわち、ディレイセルDC1〜DCmは、それぞれ、基準クロック信号CLKを所定遅延量の整数倍(1〜m倍)だけ遅延させて出力する。したがって、特許文献1に記載のクロック異常検出システムにおける遅延信号出力部102は、mビット幅の遅延信号D1〜Dmを出力する。
【0006】
図3は、上述の同期信号検出部103の回路構成を示すブロック図である。同期信号検出部103は、遅延信号出力部102から出力された遅延信号D1〜Dmの値(“High”又は“Low”)を保持するフリップフロップFF1〜FFmと、NAND回路N1〜Nmとを備えている。
【0007】
フリップフロップFFk(k=1、2、・・・、m−1)の出力端子Qと、隣接する後段のフリップフロップFFk+1の反転出力端子QBは、NAND回路Nkの入力段に接続されている。フリップフロップFF1〜FFmの各々のデータ入力端子Dには、それぞれ、遅延信号出力部102からの遅延信号D1〜Dmが入力される。フリップフロップFF1〜FFmの各々のクロック入力端子には、共通に基準クロック信号CLKが入力される。
【0008】
フリップフロップFF1〜FFmは、基準クロック信号CLKに同期して、それぞれ、入力された遅延信号D1〜Dmの値(“High”又は“Low”)を保持し、保持した値を出力端子Qから出力する。また、フリップフロップFF1〜FFmは、この保持した値を反転させた値を、反転出力端子QBから出力する。
【0009】
NAND回路N1〜Nm−1は、それぞれ、フリップフロップFF1〜FFm−1の出力端子Qから出力された値と、次段のフリップフロップFF2〜FFmの反転出力端子QBから出力された値の否定論理積を演算して出力する。NAND回路N1〜Nmの出力のうち、遅延信号が基準クロック信号CLKの立ち上がりエッジに同期したフリップフロップに対応するNAND回路の出力のみがLowとなる。これにより、基準クロックに同期した段数のフリップフロップの出力が検出可能となる。遅延段数演算部104は、Lowを出力したNAND回路の段数に基づいて、基準クロック信号CLKの1周期分の遅延に対応するディレイセルの段数(遅延段数)を算出する。
【0010】
特許文献1に記載のクロック異常検出システム200は、クロック周期検出回路101にて算出されたディレイセルの段数の情報を、CPU110aを備える異常検出部110に、CPU_I/F105を介して供給する。異常検出部110は、クロック周期検出回路101から供給された情報を、記憶部111に格納する。異常検出部110は、そのディレイセルの段数の情報に基づいて、過去に記憶された段数との差分を求め、その差分により基準クロックに対する異常判定を実行している。
【0011】
また、特許文献2には、被検査クロックを一定時間分遅延させる遅延手段と、その遅延手段の出力信号エッジで被検査クロックの一定時間後の状態を格納するクロック状態格納手段とを有し、クロック状態格納手段の出力から被検査クロックの異常を検出する技術が記載されている。
【0012】
また、特許文献3には、入力クロック信号を2分周する分周手段と、この分周出力を入力クロック信号の略1/2周期分遅延する遅延手段と、この遅延出力で分周出力をサンプリングするサンプリング手段とを含み、このサンプリング出力により入力クロック信号の異常検出を行なう技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−362509号公報
【特許文献2】特開2004−252834号公報
【特許文献3】特開2002−26704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の技術では、ある立ち上がりエッジから次の立ち上がりエッジまでの期間に、遅延素子何個分の信号が出力されるかにより、被検査クロックの周期を求め、被検査クロックの異常を検出している。しかし、遅延素子の遅延値が、算出する周期の分解能となる回路構成のため、分解能、すなわち遅延素子の遅延値以下の期間に立ち上がりエッジが2回発生するようなクロックの異常を検出できないという問題がある。
【0015】
例えば、上述の遅延信号出力部102は、基準クロック信号をディレイセルにより遅延させて遅延信号を生成し、その遅延信号を同期信号検出部103に供給している。同期信号検出部103は、基準クロックの立ち上がりタイミングに同期して、その遅延信号を保持している。
【0016】
そのため、基準クロックの立ち上がりでデータを保持したあと、遅延信号出力部102の出力値に変化が生じる時間、つまり、ディレイセルによる遅延時間内に、ノイズにより基準クロック(以降、本発明を述べる際に被検査クロックと称す)の立ち上がりで発生するようなクロック異常が生じた場合、同期信号検出部103の保持回路の値は変化せずクロックの異常を検出することが困難となる。
【0017】
本発明が解決しようとする課題は、クロック異常を検出する精度を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以下に、[発明を実施するための形態]で使用される番号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0019】
上記の課題を解決するために、半導体集積回路のクロック信号異常検出回路を以下のように構成する。そのクロック信号異常検出回路は、被検査クロックを遅延させる第1と第2の遅延回路と、第1の遅延回路の出力と第2の遅延回路の出力より検出期間を決める第1の検出期間設定部と、第1の検出期間設定部で定められた期間に信号変化をカウントする第1のカウント部と、被検査クロックと第1のカウント部の出力により異常検出する第1の異常検出部と、第1の遅延回路の出力と第2の遅延回路の出力より検出期間を決める第2の検出期間設定部と、第2の検出期間設定部で定められた期間に信号変化をカウントする第2のカウント部と、被検査クロックと第2のカウント部の出力により異常検出する第2の異常検出部と、第1の異常検出部の出力と第2の異常検出部の出力を統合する検出結果統合部とを具備することを特徴とする。
【0020】
また、上記の課題を解決するための手段を、上記とは異なるように表現すると、以下のような記載になる。上記の課題を解決するために、第1遅延量で被検査クロックを遅延させて第1遅延クロックを生成する第1遅延回路と、第1遅延量と異なる第2遅延量で被検査クロックを遅延させて第2遅延クロックを生成する第2遅延回路と、被検査クロックがHighレベルであるべき第1検出期間を決める第1検出期間設定部と、第1検出期間の被検査クロックの信号変化をカウントして第1カウント値を生成する第1カウント部と、被検査クロックと第1カウント値とに基づいて第1異常検出信号を生成する第1異常検出部と、被検査クロックLowレベルであるべき第2検出期間を決める第2検出期間設定部と、第2検出期間の被検査クロックの信号変化をカウントして第2カウント値を生成する第2カウント部と、被検査クロックと第2カウント値とに基づいて第2異常検出信号を生成する第2異常検出部と、第1異常検出信号と第2異常検出信号とに基づいて、被検査クロックの最終的な異常の有無を示す異常検出信号を生成する検出結果統合部とを具備するクロック異常検出回路を構成する。
【0021】
ここにおいて、第1遅延量は、被検査クロックの半周期未満の遅延であり、第2遅延量は、被検査クロックの半周期以上、且つ、1周期未満の遅延であることが必要である。より具体的には、被検査クロックの半周期よりちょっと小さい遅延であり、第2遅延量は、被検査クロックの半周期よりちょっと大きい遅延であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、精度良くクロック異常を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、従来のクロック異常検出システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、従来のクロック異常検出システムの遅延信号出力部102の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、従来のクロック異常検出システムの同期信号検出部103の回路構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1実施形態のクロック異常検出回路10の構成を例示するブロック図である。
【図5】図5は、第1実施形態のクロック異常検出回路10の動作を例示するタイミングチャートである。
【図6】図6は、第1実施形態のクロック異常検出回路10の動作を例示するタイミングチャートである。
【図7】図7は、第1実施形態のクロック異常検出回路10の動作を例示するタイミングチャートである。
【図8】図8は、第2実施形態のクロック異常検出回路10の構成を例示するブロック図である。
【図9】図9は、第2実施形態のクロック異常検出回路10の動作を例示するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実施の形態を説明するための図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
図4は、第1実施形態のクロック異常検出回路10の構成を例示するブロック図である。クロック異常検出回路10は、クロック回路1と、第1遅延回路2と、第2遅延回路3と、ハイレベル側カウント部51と、ロウレベル側カウント部52と、ハイレベル側検出期間設定部61と、ロウレベル側検出期間設定部62と、ハイレベル側異常検出部71と、ロウレベル側異常検出部72と、検出結果統合部15とを備えている。
【0026】
クロック回路1は、被検査クロックCLOCKを生成する。第1遅延回路2は、第1遅延被検査クロックDL1を生成する。本実施形態の第1遅延被検査クロックDL1は、被検査クロックCLOCKを半周期未満遅延させた遅延被検査クロックである。第2遅延回路3は、第2遅延被検査クロックDL2を生成する。本実施形態の第2遅延被検査クロックDL2は、被検査クロックCLOCKが半周期以上、1周期未満遅延させた遅延被検査クロックである。
【0027】
ハイレベル側カウント部51は、被検査クロックCLOCKがLowレベルであるべき期間の、信号変化をカウントする。ロウレベル側カウント部52は、被検査クロックCLOCKがHighレベルであるべき期間の、信号変化をカウントする。
【0028】
ハイレベル側検出期間設定部61は、被検査クロックCLOCKがLowレベルであるべき期間を特定する。本実施形態のハイレベル側検出期間設定部61は、2入力OR回路を備えている。ロウレベル側検出期間設定部62は、被検査クロックCLOCKがHighレベルであるべき期間を特定する。本実施形態のロウレベル側検出期間設定部62は、2入力NAND回路を備えている。
【0029】
ハイレベル側異常検出部71は、被検査クロックCLOCKがLowレベルであるべき期間の異常を検出する。ロウレベル側異常検出部72は、被検査クロックCLOCKがHighレベルであるべき期間の異常を検出する。検出結果統合部15は、Highレベルである期間とLowレベルである期間との各々に対し、被検査クロックCLOCKに異常が発生しているか否かを検出する。
【0030】
図4を参照すると、クロック回路1は、ハイレベル側カウント部51と、第1遅延回路2と、第2遅延回路3と、ハイレベル側異常検出部71と、ロウレベル側カウント部52と、ロウレベル側異常検出部72とに接続されている。クロック回路1は、それらの回路ブロックに、被検査クロックCLOCKを供給している。
【0031】
第1遅延回路2の出力端は、ハイレベル側検出期間設定部61の第1の入力端に接続されている。ハイレベル側検出期間設定部61の第1の入力端には、第1遅延回路2から出力される第1遅延被検査クロックDL1が供給されている。また、第1遅延回路2の出力端は、ロウレベル側検出期間設定部62の第1の入力端に接続されている。ロウレベル側検出期間設定部62の第1の入力端には、第1遅延回路2から出力される第1遅延被検査クロックDL1が供給されている。
【0032】
第2遅延回路3の出力端は、ハイレベル側検出期間設定部61の第2の入力端に接続されている。ハイレベル側検出期間設定部61の第2の入力端には、第2遅延回路3から出力される第2遅延被検査クロックDL2が供給されている。また、第2遅延回路3は、ロウレベル側検出期間設定部62の第2の入力端に接続されている。ロウレベル側検出期間設定部62の第2の入力端には、第2遅延回路3から出力される遅延信号DL2が供給されている。
【0033】
ハイレベル側検出期間設定部61の出力端は、ハイレベル側カウント部51の第2の入力端に接続されている。ハイレベル側カウント部51は、フリップフロップ51aとカウンタ51bとを備えている。フリップフロップ51aとカウンタ51bのクロック入力端には、クロック回路1が生成する被検査クロックCLOCKが供給される。フリップフロップ51aの出力端は、カウンタ51bのEN端子に接続され、そのEN端子にフリップフロップ51aの出力が供給されている。フリップフロップ51aのリセット端子とカウンタ51bのリセット端子には、ハイレベル側検出期間設定部61の2入力ORの出力端が接続され、そのリセット端子には、ハイレベル側検出期間設定部61の出力であるHighノイズ検出期間設定信号CLRHが供給されている。
【0034】
ハイレベル側カウント部51の出力端は、ハイレベル側異常検出部71の第1の入力端に接続されている。ハイレベル側異常検出部71は、比較器71aとフリップフロップ71bとを備えている。カウンタ51bの出力端は、比較器71aの第1の入力端に接続されている。カウンタ51bは、第1エッジ数CNTHを比較器71aに供給している。比較器71aの他方の入力端には、基準となる電位を設定する。比較器71aの出力端は、フリップフロップ71bのデータ入力端に接続され、第1比較結果CMPHが供給されている。フリップフロップ71bのクロック入力端には、クロック回路1から供給される被検査クロックCLOCKが入力される。
【0035】
ロウレベル側検出期間設定部62の出力端は、ロウレベル側カウント部52の第2の入力端に接続されている。ロウレベル側カウント部52は、上述したハイレベル側カウント部51と同様な構成である。ロウレベル側カウント部52は、フリップフロップ52aと、カウンタ52bとを備えている。ロウレベル側カウント部52の第1の入力端には、クロック回路1から出力される被検査クロックCLOCKが供給されている。ロウレベル側カウント部52の第2の入力端には、ロウレベル側検出期間設定部62として機能する2入力NANDの出力端が接続され、Lowノイズ検出期間設定信号CLRLが供給されている。
【0036】
ロウレベル側カウント部52の出力端は、ロウレベル側異常検出部72の第1の入力端に接続されている。ロウレベル側異常検出部72は、上述したハイレベル側異常検出部71と同様な構成である。ロウレベル側異常検出部72は、比較器72aと、フリップフロップ72bとを備えている。カウンタ52bの出力である第2エッジ数CNTLが、比較器72aの第1の入力端に供給されている。比較器72aの他方の入力端には、基準となる電位が設定されている。比較器72aの出力端は、フリップフロップ72bのデータ入力端に接続され、第2比較結果CMPLが供給されている。フリップフロップ72bのクロック入力端には、クロック回路1から供給される被検査クロックCLOCKが入力されている。
【0037】
ハイレベル側異常検出部71のフリップフロップ71bの出力端は、検出結果統合部15の第1の入力端に接続されている。ロウレベル側異常検出部72のフリップフロップ72bの出力端は、検出結果統合部15の第2の入力端に接続されている。検出結果統合部15は、2入力ORで構成されている。ハイレベル側異常検出部71の出力であるHighノイズ異常検出結果ABNHは、検出結果統合部15の第1の入力端に供給されている。ロウレベル側異常検出部72の出力であるLowノイズ異常検出結果ABNLは、検出結果統合部15の第2の入力端に供給されている。検出結果統合部15は、Highノイズ異常検出結果ABNHとLowノイズ異常検出結果ABNLとに基づいて、クロック異常検出回路出力信号ABNを生成する。クロック異常検出回路10は、検出結果統合部15の出力(2入力ORの出力)であるクロック異常検出回路出力信号ABNを、最終的な異常検出信号として外部に出力する。
【0038】
以下に、クロック異常検出回路10の具体的な動作について、信号名を用いて詳細に説明をする。第1遅延回路2は、被検査クロックCLOCKを半周期未満遅延させた被検査クロック(第1遅延被検査クロックDL1)を生成し、ハイレベル側検出期間設定部61と、ロウレベル側検出期間設定部62とに供給している。第2遅延回路3は、被検査クロックCLOCKを半周期以上1周期未満遅延させた被検査クロック(第2遅延被検査クロックDL2)を生成し、ハイレベル側検出期間設定部61と、ロウレベル側検出期間設定部62とに供給している。
【0039】
ハイレベル側検出期間設定部61は、第1遅延回路2から供給された第1遅延被検査クロックDL1と、第2遅延回路3から供給された第2遅延被検査クロックDL2とを入力とし、どの期間のHighノイズを検出するかを示すHighノイズ検出期間設定信号CLRHを、ハイレベル側カウント部51のフリップフロップ51aとカウンタ51bに供給する。
【0040】
ロウレベル側検出期間設定部62は、第1遅延回路2から供給された第1遅延被検査クロックDL1と、第2遅延回路3から供給された第2遅延被検査クロックDL2とを入力とし、どの期間のLowノイズを検出するかを示すLowノイズ検出期間設定信号CLRLを、ロウレベル側カウント部52のフリップフロップ52aとカウンタ52bに供給する。
【0041】
ハイレベル側カウント部51は、フリップフロップ51aとカウンタ51bとを備えている。フリップフロップ51aは、Highノイズ検出期間設定信号CLRHで設定された検出期間において、被検査クロックCLOCKの一つ目の立下りエッジで、立ち上がりエッジカウント期間設定信号FFOUTHをHighにする。フリップフロップ51aは、その立ち上がりエッジカウント期間設定信号FFOUTHを、イネーブル信号としてカウンタ51bに供給する。
【0042】
カウンタ51bは、フリップフロップ51aから供給されたイネーブル信号(立ち上がりエッジカウント期間設定信号FFOUTH)がHighである場合に、Highノイズ検出期間設定信号CLRHがHighである期間の被検査クロックCLOCKの立ち上がりエッジをカウントする。カウンタ51bは、カウントした立ち上がりエッジ数CNTHを、ハイレベル側異常検出部71の比較器71aに供給する。
【0043】
ロウレベル側カウント部52は、フリップフロップ52aとカウンタ52bとを備えている。フリップフロップ52aは、Lowノイズ検出期間設定信号CLRLで設定された検出期間において、被検査クロックCLOCKの一つ目の立ち上がりエッジで、立下りエッジカウント期間設定信号FFOUTLをHighにする。フリップフロップ52aは、その立ち下がりエッジカウント期間設定信号FFOUTLを、イネーブル信号としてカウンタ52bに供給する。
【0044】
カウンタ52bは、フリップフロップ52aから供給されたイネーブル信号(立下りエッジカウント期間設定信号FFOUTL)がHighである場合に、Lowノイズ検出期間設定信号CLRLがHighである期間の被検査クロックCLOCKの立下りエッジをカウントする。カウンタ52bは、カウントした立下りエッジ数CNTLを、ロウレベル側異常検出部72の比較器72aに供給する。
【0045】
ハイレベル側異常検出部71は、比較器71aとフリップフロップ71bとを備えている。ハイレベル側異常検出部71は、ハイレベル側カウント部51の出力信号に応答して、Highノイズ異常検出結果ABNHを生成する。Highノイズ異常検出結果ABNHは、被検査クロックCLOCKのLowであるべき期間にHighノイズがあるかどうかを示す。ハイレベル側異常検出部71は、そのHighノイズ異常検出結果ABNHを、検出結果統合部15に供給する。
【0046】
比較器71aは、ハイレベル側カウント部51から供給される立ち上がりエッジ数CNTHと、期待値0とを比較する。比較器71aは、第1エッジ数CNTHと期待値0とが一致したら、立ち上がりエッジ数CNTHの値と期待値0との比較結果である第1比較結果CMPHをLowにする。比較器71aは、その第1比較結果CMPHを、フリップフロップ71bに供給する。また、比較器71aは、第1エッジ数CNTHと期待値0とが一致しなかったら、第1比較結果CMPHをHighにしてフリップフロップ71bに供給する。
【0047】
フリップフロップ71bは、比較器71aの出力である第1比較結果CMPHを入力とし、被検査クロックCLOCKの立ち上がりエッジでサンプリングを行う。フリップフロップ71bは、サンプリングされたHighノイズ異常検出結果ABNHを、異常検出結果として、検出結果統合部15に供給する。
【0048】
ロウレベル側異常検出部72は、比較器72aとフリップフロップ72bとを備えている。ロウレベル側異常検出部72は、ロウレベル側カウント部52の出力信号に応答して、Lowノイズ異常検出結果ABNLを生成する。Lowノイズ異常検出結果ABNLは、被検査クロックCLOCKのHighであるべき期間にLowノイズがあるかどうかを示す。ロウレベル側異常検出部72は、Lowノイズ異常検出結果ABNLを、検出結果統合部15に供給する。
【0049】
比較器72aは、ロウレベル側カウント部52から供給される立下りエッジ数CNTLと期待値0とを比較する。比較器72aは、第2エッジ数CNTLと期待値0とが一致したら、立下りエッジ数CNTLの値と期待値0との比較結果である第2比較結果CMPLをLowにする。比較器72aは、その第2比較結果CMPLをフリップフロップ72bに供給する。比較器72aは、第2エッジ数CNTLと期待値0とが一致しなかったら、第2比較結果CMPLをHighにしてフリップフロップ72bに供給する。
【0050】
フリップフロップ72bは、比較器72aの出力である第2比較結果CMPLを入力とし、被検査クロックCLOCKの立下りエッジでサンプリングを行う。フリップフロップ72bは、サンプリングされたLowノイズ異常検出結果ABNLを、異常検出結果として、検出結果統合部15に供給する。
【0051】
検出結果統合部15は、ハイレベル側異常検出部71とロウレベル側異常検出部72との両方からの検出結果の論理和を取りまとめて一つの信号(クロック異常検出回路出力信号ABN)にする。
【0052】
図5〜7は、本実施形態のクロック異常検出回路10の動作を例示するタイミングチャートである。以下では、本実施形態の理解を容易にするために、被検査クロックCLOCKにノイズ異常が発生してない場合の動作に関して、先に説明する。図5は、被検査クロックCLOCKにノイズ異常が発生してない場合のタイミングチャートである。
【0053】
図5を参照して、Low期間のノイズを検出する動作、およびHigh期間のノイズを検出する動作の説明を行う。ハイレベル側検出期間設定部61の供給するHighノイズ検出期間設定信号CLRHによって、ノイズの検出期間が設定される。Highノイズ検出期間設定信号CLRHのHighからLowへの変化時に、ハイレベル側カウント部51のフリップフロップ51aとカウンタ51bはクリアされる。Highノイズ検出期間設定信号CLRHがLow期間は立ち上がりエッジをカウントしない。
【0054】
ハイレベル側カウント部51は、Highノイズ検出期間設定信号CLRHに基づいて立ち上がりエッジ数をカウントする期間を設定する。カウンタ51bは、立ち上がりエッジカウント期間設定信号FFOUTHがHighであれば、被検査クロックCLOCKにある立ち上がりエッジをカウントし、立ち上がりエッジカウント期間設定信号FFOUTHがLowであれば、被検査クロックCLOCKにある立ち上がりエッジをカウントしない。
【0055】
Highノイズ検出期間設定信号CLRHがHighである期間に、被検査クロックCLOCKの1つ目の立下りエッジ、すなわち、被検査クロックCLOCKのLowであるべき期間の境界である立下りエッジで、立ち上がりエッジカウント期間設定信号FFOUTHをHighにする。立ち上がりエッジカウント期間設定信号FFOUTHをHighレベルにしてから被検査クロックCLOCKにある立ち上がりエッジをカウントする。カウントされたエッジ数は、第1エッジ数CNTHとしてハイレベル側異常検出部71に供給される。
【0056】
ハイレベル側異常検出部71において、立ち上がりエッジ数信号CNTHと期待値を比較し、比較結果を第1比較結果CMPHとしてフリップフロップ71bに供給する。図5に例示されているタイミングチャートの場合は、ノイズがない場合である。立ち上がりエッジ数信号CNTHは、被検査クロックCLOCKの正常な立ち上がりエッジまで“0”であり、期待値0と一致するので、第1比較結果CMPHがLowである。被検査クロックCLOCKの正常な立ち上がりエッジで、立ち上がりエッジ数信号CNTHの値は“1”になり、期待値0と不一致するので、第1比較結果CMPHがHighになる。被検査クロックCLOCKの正常な立ち上がりエッジで、第1比較結果CMPHの値のLowをサンプリングする。
【0057】
フリップフロップ71bは、被検査クロックCLOCKの立ち上がりエッジで、第1比較結果CMPHをサンプリングする。サンプリングされた第1比較結果CMPHの値であるLowレベルを、Highノイズ異常検出結果ABNHとして検出結果統合部15に供給する。図5に示されているように、Highノイズ異常検出結果ABNHがLowになっている。
【0058】
次に、High期間のノイズを検出する動作について説明を行う。ロウレベル側検出期間設定部62の供給する信号(Lowノイズ検出期間設定信号CLRL)によって、ノイズの検出期間が設定される。Lowノイズ検出期間設定信号CLRLのHighからLowへの変化を受けて、ロウレベル側カウント部52のフリップフロップ52aとカウンタ52bはクリアされる。Lowノイズ検出期間設定信号CLRLがLowの期間は、立下りエッジをカウントしない。
【0059】
ロウレベル側カウント部52は、Lowノイズ検出期間設定信号CLRLに基づいて立下りエッジ数をカウントする期間を設定する。カウンタ52bは、立下りエッジカウント期間設定信号FFOUTLがHighであれば、被検査クロックCLOCKにある立下りエッジをカウントし、立下りエッジカウント期間設定信号FFOUTLがLowであれば、被検査クロックCLOCKにある立下りエッジをカウントしない。
【0060】
Lowノイズ検出期間設定信号CLRLがHighである期間に、被検査クロックCLOCKの1つ目の立ち上がりエッジで、すなわち、被検査クロックCLOCKのHighであるべき期間の境界である立ち上がりエッジで、立下りエッジカウント期間設定信号FFOUTLをHighにする。立下りエッジカウント期間設定信号FFOUTLをHighレベルにしてから被検査クロックCLOCKにある立下りエッジをカウントする。カウントされたエッジ数は、第2エッジ数CNTLとしてロウレベル側異常検出部72に供給される。
【0061】
ロウレベル側異常検出部72において、立下りエッジ数信号CNTLと期待値を比較し、比較結果を第2比較結果CMPLとしてフリップフロップ72bに供給する。図5に例示されているタイミングチャートの場合は、被検査クロックCLOCKの正常な立下りエッジまで立下りエッジ数信号CNTLの値が“0”であり、期待値0と一致するので、第2比較結果CMPLがLowである。被検査クロックCLOCKの正常な立下りエッジで、立下りエッジ数信号CNTLの値が“1”になり、期待値0と不一致するので、第2比較結果CMPLがHighになる。被検査クロックCLOCKの正常な立下りエッジで、第2比較結果CMPLの値のLowをサンプリングする。
【0062】
フリップフロップ72bにおいて、被検査クロックCLOCKの立下りエッジで、第2比較結果CMPLをサンプリングする。サンプリングされた第2比較結果CMPLの値であるLowレベルを、Lowノイズ異常検出結果ABNLとして供給する。図5に例示されているタイミングチャートの場合には、ノイズがないので、Lowノイズ異常検出結果ABNLがLowになっている。
【0063】
検出結果統合部15は、Highノイズ異常検出結果ABNHとLowノイズ異常検出結果ABNLをORゲートの入力として受け取る。Highノイズ異常検出結果ABNHとLowノイズ異常検出結果ABNLの何れかがHighであれば、クロック異常検出回路出力信号ABNがHighになる。図5に例示されているタイミングチャートの場合には、Lowであるべき期間にHighノイズが発生していない。また、Highであるべき期間にLowノイズが発生していない。したがって、Highノイズ異常検出結果ABNHとLowノイズ異常検出結果ABNLが、それぞれLowになるので、クロック異常検出回路出力信号ABNがLowになる。Lowレベルのクロック異常検出回路出力信号ABNは、被検査クロックCLOCKにノイズが無いことを示している。
【0064】
図6は、被検査クロックCLOCKがLowであるべき期間に、ノイズが発生した場合の動作を例示するタイミングチャートである。図6を参照してLow期間のノイズを検出する動作について説明を行う。
【0065】
Highノイズ検出期間設定信号CLRHがHighである期間に、被検査クロックCLOCKの1つ目の立下りエッジから被検査クロックCLOCKの立ち上がりエッジをカウントする。ノイズの立ち上がりエッジで立ち上がりエッジ数CNTHが“1”になり、被検査クロックCLOCKの正常な立ち上がりエッジで立ち上がりエッジ数CNTHが“2”になり、第1比較結果CMPHがHighになる。被検査クロックCLOCKの立ち上がりエッジでサンプリングされた第1比較結果CMPHをHighノイズ異常検出結果ABNHとして供給する。なお、図6に例示するタイミングチャートでは、Highであるべき期間にLowノイズがないので、この期間における動作は、上述の図5の場合と同じである。
【0066】
検出結果統合部15では、Highノイズ異常検出結果ABNHとLowノイズ異常検出結果ABNLをORゲートの入力として受け取る。Highノイズ異常検出結果ABNHとLowノイズ異常検出結果ABNLの何れがHighであれば、クロック異常検出回路出力信号ABNがHighになる。図6に例示するタイミングチャートでは、ノイズがあるためHighノイズ異常検出結果ABNHがHighになる。これによって、クロック異常検出回路出力信号ABNがHighになり、被検査クロックCLOCKにノイズがあると判断することができる。
【0067】
図7は、被検査クロックCLOCKがHighであるべき期間に、ノイズが発生した場合の動作を例示するタイミングチャートである。なお、Low期間のノイズを検出する動作は、その期間にHighノイズがないので、上述の図5の動作と同じである。
【0068】
図7を参照して、High期間のノイズを検出する動作の説明を行う。Lowノイズ検出期間設定信号CLRLがHighである期間に、被検査クロックCLOCKの1つ目の立ち上がりから被検査クロックCLOCKの立下りエッジをカウントする。ノイズの立下りエッジで、立下りエッジ数CNTLが“1”になり、被検査クロックCLOCKの正常な立下りエッジで立下りエッジ数CNTLが“2”になり、第2比較結果CMPLがHighになる。そして、被検査クロックCLOCKの立下りエッジでサンプリングされた第2比較結果CMPLをLowノイズ異常検出結果ABNLとして供給する。図7に例示されるタイミングチャートでは、その期間にノイズがあるため、Lowノイズ異常検出結果ABNLがHighになる。したがって、クロック異常検出回路出力信号ABNがHighになり、被検査クロックCLOCKにノイズがあると判断することができる。
【0069】
本実施形態のクロック異常検出回路10は、被検査クロックを遅延させた2つの遅延クロック(第1遅延被検査クロックDL1、第2遅延被検査クロックDL2)を生成している。そして、検出期間設定部は、被検査クロックがHighであるべき期間を含み、半周期より長く1周期より短い検出期間と、被検査クロックがLowであるべき期間を含み、半周期より長く1周期より短い検出期間を決めている。
【0070】
カウント部は、検出期間にある被検査クロックのノイズのエッジ数をカウントする。異常検出部は、カウント部の供給するカウント値から、被検査クロックの異常検出を行う。ここにおいて、検出期間設定部とカウント部と異常検出部を、被検査クロックのLowであるべき期間の異常を検出対象とする回路用と、被検査クロックのHighであるべき期間の異常を検出対象とする回路用として、それぞれ独立に構築する。検出結果統合部は、両検出対象の異常検出部の検出結果を統合することで、高精度の異常検出を実現している。
【0071】
被検査クロックがLowであるべき期間、及び、被検査クロックがHighであるべき期間を生成し、Lowであるべき期間にある被検査クロックの立ち上がりエッジをカウントし、Highであるべき期間にある被検査クロックの立下りエッジカウントを行ない、任意の場所のノイズによる立ち上がり、及び、立下りエッジの発生が検出可能となり、ノイズが被検査クロック信号のどこに有っても検出可能な効果が得られる。
【0072】
[第2実施形態]
以下に、本発明の第2実施形態について説明を行う。図8は、第2実施形態のクロック異常検出回路10の構成を例示するブロック図である。第2実施形態のクロック異常検出回路10は、被検査クロックCLOCKのHigh期間のノイズ、Low期間のノイズ、およびデューティー異常を検出対象としている。なお、第2実施形態のクロック異常検出回路10において、クロック回路1、第1遅延回路2、第2遅延回路3、ハイレベル側検出期間設定部61、およびロウレベル側検出期間設定部62の構成は、第1実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0073】
図8を参照すると、第2実施形態のクロック異常検出回路10において、ハイレベル側カウント部51は、カウントされた立ち上がりエッジ数CNTHをハイレベル側異常検出部71に供給する。そのハイレベル側カウント部51は、被検査クロックCLOCKの立下りエッジが発生した場合にHighとなる立ち上がりエッジカウント期間設定信号FFOUTHもハイレベル側異常検出部71に供給する。
【0074】
また、第2実施形態のロウレベル側カウント部52は、カウントされた立下りエッジ数CNTLをロウレベル側異常検出部72に供給する。そのロウレベル側カウント部52は、被検査クロックCLOCKの立ち上がりエッジが発生した場合にHighとなる立ち下がりエッジカウント期間設定信号FFOUTLもロウレベル側異常検出部72に供給する。
【0075】
第2実施形態のハイレベル側異常検出部71は、比較器71aと、フリップフロップ71bと、比較器71cと、フリップフロップ71dと、オアゲート71eとを備えている。そのハイレベル側異常検出部71は、カウントされた第1エッジ数CNTHと、立ち上がりエッジカウント期間設定信号FFOUTHと、被検査クロックCLOCKを入力として受け取る。
【0076】
比較器71aは、第1実施形態と同様の構成である。フリップフロップ71bは、比較器71aの出力である第1比較結果CMPHを入力とし、被検査クロックCLOCKの立ち上がりエッジで第1比較結果CMPHのサンプリングを行う。フリップフロップ71bは、サンプリングされた値であるHighノイズ異常検出結果ABNHを、オアゲート71eに供給する。
【0077】
比較器71cは、立ち上がりエッジカウント期間設定信号FFOUTHを入力とし、Low期間が長くなったデューティー異常検出の為の比較結果(以後、第3比較結果CMPDHと称す)をフリップフロップ71dに供給する。フリップフロップ71dは、被検査クロックCLOCKと、第3比較結果CMPDHを入力とし、被検査クロックCLOCKの立ち上がりエッジでサンプリングを行う。フリップフロップ71dは、サンプリングされた値を、オアゲート71eに供給する。フリップフロップ71dの出力は、Highノイズ検出期間設定信号CLRHがHighである期間に、被検査クロックCLOCKの立下りと立ち上がりが順番に1回ずつ発生していない時に、Highとなる。
【0078】
オアゲート71eは、Highノイズ異常検出結果ABNHと、Low期間が長くなったデューティー異常検出結果(以後、第1デューティー異常検出結果ABNDHと称す)を入力として受け取る。オアゲート71eは、ノイズ異常検出結果とデューティー異常検出結果をまとめるように機能する。具体的には、オアゲート71eは、Highノイズ異常検出結果ABNHとLow期間が長くなったデューティー異常検出結果ABNDHとのオア演算をした演算結果(以後、ハイレベル側異常検出部出力信号ABNORHと称す)を供給する。
【0079】
第2実施形態のロウレベル側異常検出部72は、比較器72aと、フリップフロップ72bと、比較器72cと、フリップフロップ72dと、オアゲート72eとを備えている。ロウレベル側異常検出部72は、カウントされた第2エッジ数CNTLと立ち下がりエッジカウント期間設定信号FFOUTLと被検査クロックCLOCKを入力として受け取る。
【0080】
比較器72aは、第1実施形態と同様の構成である。フリップフロップ72bは、比較器72aの出力である第2比較結果CMPLを入力として受け取る。フリップフロップ72bは、被検査クロックCLOCKの立下りエッジで第2比較結果CMPLのサンプリングを行う。フリップフロップ72bは、サンプリングされた値であるLowノイズ異常検出結果ABNLを、オアゲート72eに供給する。
【0081】
比較器72cは、立ち下がりエッジカウント期間設定信号FFOUTLを入力として受け取る。比較器72cは、High期間が長くなったデューティー異常検出の為の比較結果(以後、第4比較結果CMPDLと称す)を、フリップフロップ72dに供給する。フリップフロップ72dは、被検査クロックCLOCKと第4比較結果CMPDLを入力として受け取る。フリップフロップ72dは、被検査クロックCLOCKの立下りエッジでサンプリングを行う。フリップフロップ72dは、サンプリングされた値をオアゲート72eに供給する。フリップフロップ72dの出力は、Lowノイズ検出期間設定信号CLRLがHighである期間に、被検査クロックCLOCKの立ち上がりと立下りが順番に1回ずつ発生していない時にHighとなる。
【0082】
オアゲート72eは、Lowノイズ異常検出結果ABNLと、High期間が長くなったデューティー異常検出結果(以後、第2デューティー異常検出結果ABNDLと称す)を入力として受け取る。オアゲート72eは、ノイズ異常検出結果とデューティー異常検出結果をまとめるように機能する。具体的にはオアゲート72eは、Lowノイズ異常検出結果ABNLとHigh期間が長くなったデューティー異常検出結果ABNDLのオア演算をした演算結果(以後、ロウレベル側異常検出部出力信号ABNORLと称す)を供給する。
【0083】
第2実施形態の検出結果統合部15は、ハイレベル側異常検出部71の出力信号であるハイレベル側異常検出部出力信号ABNORHと、ロウレベル側異常検出部72の出力信号であるロウレベル側異常検出部出力信号ABNORLを入力として受け取る。その検出結果統合部15は、ハイレベル側異常検出部出力信号ABNORHとロウレベル側異常検出部出力信号ABNORLとに基づいてクロック異常検出回路出力信号ABNを生成して外部に供給する。
【0084】
図9は、第2実施形態のクロック異常検出回路10の動作を例示するタイミングチャートである。図9は、被検査クロックCLOCKのHigh期間が長くなったデューティー異常が発生した時の、クロック異常検出回路10の動作を例示している。
【0085】
第2実施形態のクロック異常検出回路10において、クロック回路1と、第1遅延回路2と、第2遅延回路3と、ハイレベル側検出期間設定部61と、ロウレベル側検出期間設定部62と、ハイレベル側カウント部51と、ロウレベル側カウント部52とは、第1実施形態と同様に動作する。また、第2実施形態において、ハイレベル側異常検出部71の比較器71aとフリップフロップ71bとは、第1実施形態と同様に動作する。また、第2実施形態において、ロウレベル側異常検出部72の比較器72aとフリップフロップ72bとは、第1実施形態と同様に動作する。
【0086】
第2実施形態のクロック異常検出回路10では、比較器71cで立ち上がりエッジカウント期間設定信号FFOUTHを期待値のHighと比較し、第3比較結果CMPDHをフリップフロップ71dに供給する。フリップフロップ71dは、被検査クロックCLOCKの立ち上がりエッジで、第3比較結果CMPDHをサンプリングする。フリップフロップ71dは、サンプリングされた値のLowをオアゲート71eに供給する。オアゲート71eでは、Highノイズ異常検出結果ABNHと第1デューティー異常検出結果ABNDHを、一つの信号であるハイレベル側異常検出部出力信号ABNORHにまとめ、Lowを供給する。
【0087】
比較器72cでは、立下りエッジカウント期間設定信号FFOUTLを期待値のHighと比較し、第4比較結果CMPDLをフリップフロップ72dに入力する。フリップフロップ72dは、被検査クロックCLOCKの立下りエッジで、第4比較結果CMPDLをサンプリングする。フリップフロップ72dは、サンプリングされた値のHighをオアゲート72eに供給する。オアゲート72eでは、Lowノイズ異常検出結果ABNLと第2デューティー異常検出結果ABNDLを一つの信号であるロウレベル側異常検出部出力信号ABNORLにまとめ、Highを供給する。
【0088】
検出結果統合部15は、ハイレベル側異常検出部71の出力信号であるハイレベル側異常検出部出力信号ABNORHと、ロウレベル側異常検出部72の出力信号であるロウレベル側異常検出部出力信号ABNORLを、一つの信号としてクロック異常検出回路出力信号ABNにまとめ、総異常検出信号として異常検出時にHighを出力する。ユーザは、そのクロック異常検出回路出力信号ABNに基づいて、異常ありと判断することが可能となる。
【0089】
第2実施形態のクロック異常検出回路10は、第1実施形態のハイレベル側異常検出部71の構成に対し、さらに比較器71c、フリップフロップ71d、オアゲート71eを追加している。そして、第3比較結果CMPDHをサンプリングすることで、Highノイズのカウント期間に被検査クロックCLOCKの立下りと立ち上がりが順番に発生しているかを確認している。この構成・動作によって、Low期間が長くなった場合のデューティー異常を検出している。
【0090】
また、第2実施形態のクロック異常検出回路10は、第1実施形態のロウレベル側異常検出部72の構成に対し、さらに比較器72c、フリップフロップ72d、オアゲート72eを追加している。そして、被検査クロックCLOCKの立下りエッジで第4比較結果CMPDLをサンプリングすることで、Lowノイズのカウント期間に被検査クロックCLOCKの立ち上がりと立下りが順番に発生しているかを確認している。この構成・動作によって、High期間が長くなった場合のデューティー異常を検出している。
【0091】
そして、検出結果統合部15は、ハイレベル側異常検出部71とロウレベル側異常検出部72の結果を統合している。これにより、第2実施形態のクロック異常検出回路10は、被検査クロックCLOCKのLow期間が長くなった場合のデューティー異常と、High期間が長くなった場合のデューティー異常の両方を検出可能としている。
【0092】
換言すると、第2実施形態のクロック異常検出回路10は、検出期間設定部が、被検査クロックを遅延させた2つの信号から、被検査クロックがHighであるべき期間を含み、半周期より長く1周期より短い検出期間と、被検査クロックがLowであるべき期間を含み、半周期より長く1周期より短い検出期間を決める。そして、カウント部は、検出期間にある被検査クロックのエッジ数をカウントする。異常検出部は、カウント部の供給するカウント値とカウント期間設定信号から、被検査クロックの異常検出を行う。
【0093】
ここで、検出期間設定部とカウント部と異常検出部を、被検査クロックのLowであるべき期間の異常とLow期間が長くなったことを検出対象とする回路用と、被検査クロックのHighであるべき期間の異常とHigh期間が長くなったことを検出対象とする回路用として夫々個別に構成する。
【0094】
両検出対象の異常検出部の検出結果を統合する検出結果統合部を有することで、被検査クロックがLowであるべき期間及び、被検査クロックがHighであるべき期間を生成する。この場合において、Lowであるべき期間にある被検査クロックの立ち上がりエッジのカウント、および被検査クロックの立下りと立ち上がりが順番に1回発生しているかの認識を行う。また、Highであるべき期間にある被検査クロックの立下りエッジのカウント、および被検査クロックの立ち上がりと立下りが順番に1回発生しているかの認識を行う。
【0095】
任意の場所のノイズによる立ち上がりと立下りエッジの発生、及び、High期間が長くなったこと、Low期間が長くなったことにより、ノイズが被検査クロックのどこに有っても検出可能な効果と、被検査クロックのデューティー異常が検出可能な効果が得られる。
【0096】
上述してきたように、本願発明におけるクロック異常検出回路10は、ノイズが被検査クロックのどこに有っても、検出可能である。クロック異常検出回路10は、被検査クロックがLowであるべき期間を生成し、Lowであるべき期間にある被検査クロックの立ち上がりエッジをカウントする。また、被検査クロックがHighであるべき期間を生成し、Highであるべき期間にある被検査クロックの立下りエッジをカウントする。それによって、任意の場所のノイズによる立ち上がり、及び、立下りエッジの発生が検出できる。
【0097】
また、本願発明におけるクロック異常検出回路10は、ノイズの検出とともに、被検査クロックのデューティー異常が検出可能である。クロック異常検出回路10は、Highノイズの検出期間を生成し、Highノイズのカウント期間に被検査クロックの立下りと立ち上がりが順番に発生しているかを確認する。また、Lowノイズのカウント期間を生成し、Lowノイズの検出期間に被検査クロックの立ち上がりと立下りが順番に発生しているかを確認する。それによって、被検査クロックのLow期間が長くなった場合のデューティー異常とHigh期間が長くなった場合のデューティー異常の両方が検出できる。
【0098】
以上、本願発明の実施の形態を具体的に説明した。本願発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。また、上述の複数の実施形態は、その構成・動作に矛盾が生じない範囲において、組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…クロック回路
2…第1遅延回路
3…第2遅延回路
10…クロック異常検出回路
15…検出結果統合部
51…ハイレベル側カウント部
51a…フリップフロップ
51b…カウンタ
52…ロウレベル側カウント部
52a…フリップフロップ
52b…カウンタ
61…ハイレベル側検出期間設定部
62…ロウレベル側検出期間設定部
71…ハイレベル側異常検出部
71a…比較器
71b…フリップフロップ
71c…比較器
71d…フリップフロップ
71e…オアゲート
72…ロウレベル側異常検出部
72a…比較器
72b…フリップフロップ
72c…比較器
72d…フリップフロップ
72e…オアゲート
200…クロック異常検出システム
201…集積回路ブロック
101…クロック周期検出回路
102…遅延信号出力部
103…同期信号検出部
104…遅延段数演算部
105…CPU_I/F
110…異常検出部
110a…CPU
111…記憶部
DC1〜DCm…ディレイセル
D1〜Dm…遅延信号
CLK…基準クロック信号
INV…インバータ
FF1〜FFm…フリップフロップ
N1〜Nm…NAND回路
CLOCK…被検査クロック
DL1…第1遅延被検査クロック
DL2…第2遅延被検査クロック
CLRH… Highノイズ検出期間設定信号
CLRL…Lowノイズ検出期間設定信号
FFOUTH…立ち上がりエッジカウント期間設定信号
FFOUTL…立ち下がりエッジカウント期間設定信号
CNTH…第1エッジ数
CNTL…第2エッジ数
CMPH…第1比較結果
CMPL…第2比較結果
CMPDH…第3比較結果
CMPDL…第4比較結果
ABNH…Highノイズ異常検出結果
ABNL…Lowノイズ異常検出結果
ABNDH…第1デューティー異常検出結果
ABNDL…第2デューティー異常検出結果
ABNORH…ハイレベル側異常検出部出力信号
ABNORL…ロウレベル側異常検出部出力信号
ABN…クロック異常検出回路出力信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路のクロック信号異常検出回路であって、
被検査クロックを遅延させる第1と第2の遅延回路と、
前記第1の遅延回路の出力と前記第2の遅延回路の出力より検出期間を決める第1の検出期間設定部と、
前記第1の検出期間設定部で定められた期間に信号変化をカウントする第1のカウント部と、
前記被検査クロックと前記第1のカウント部の出力により異常検出する第1の異常検出部と、
前記第1の遅延回路の出力と前記第2の遅延回路の出力より検出期間を決める第2の検出期間設定部と、
前記第2の検出期間設定部で定められた期間に信号変化をカウントする第2のカウント部と、
前記被検査クロックと前記第2のカウント部の出力により異常検出する第2の異常検出部と、
前記第1の異常検出部の出力と前記第2の異常検出部の出力を統合する検出結果統合部と
を具備することを特徴とする
クロック異常検出回路。
【請求項2】
請求項1に記載のクロック異常検出回路において、
前記第1の遅延回路は、
前記被検査クロックの半周期未満の遅延で、前記被検査クロックを遅延させ、
前記第2の遅延回路は、
前記被検査クロックの半周期以上、且つ、1周期未満の遅延で前記被検査クロックを遅延させることを特徴とする
クロック異常検出回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載のクロック異常検出回路において、
前記第1の検査期間設定部は、
前記被検査クロックがLowであるべき期間を示し、前記被検査クロックの半周期より長く1周期より短い信号を前記第1のカウンタ部に供給し、
前記第2の検査期間設定部は、
前記被検査クロックがHighであるべき期間を示し、前記被検査クロックの半周期より長く1周期より短い信号を前記第2のカウンタ部に供給することを特徴とする
クロック異常検出回路。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のクロック異常検出回路において、
前記第1のカウンタ部は、
前記被検査クロックの最初の立下りからの前記被検査クロックの立ち上がりエッジをカウントし、
前記第2のカウント部は、
前記被検査クロックの最初の立ち上がりからの前記被検査クロックの立下りエッジをカウントすることを特徴とする
クロック異常検出回路。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のクロック異常検出回路において、
前記第1の異常検出部は、
前記第1のカウント部のカウント値と期待値とを比較して得られた比較結果を、前記被検査クロックの立ち上がりでサンプリングし、
前記第2の異常検出部は、
前記第2のカウント部のカウント値と期待値とを比較して得られた比較結果を、前記被検査クロックの立下りでサンプリングすることを特徴とする
クロック異常検出回路。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のクロック異常検出回路において、
前記第1の異常検出部は、
前記第1のカウント部のカウント期間設定信号と期待値とを比較してえられた比較結果を、前記被検査クロックの立ち上がりでサンプリングし、
前記第2の異常検出部は、
前記第2のカウント部のカウント期間設定信号と期待値とを比較してえられた比較結果を、前記被検査クロックの立下りでサンプリングすることを特徴とする
クロック異常検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−199743(P2011−199743A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66339(P2010−66339)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】