説明

グリコサミノグリカン(GAG)模倣物

本願発明は、GAGの構造を模倣するように設計された化合物、これら化合物の調製方法、これら化合物を含む組成物、そして、哺乳動物での抗血管形成、抗腫瘍転移、抗炎症、抗凝固作用、抗血栓症および/または抗微生物的処置のためのこれら化合物と、これら化合物を含む組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明の対象とするところは、特定の炭水化物の構造を模倣する化合物の技術分野に属する。 具体的には、本願発明は、グリコサミノグリカン(GAG)模倣物の技術分野に属する。
【0002】
詳細には、本願発明は、GAGの構造を模倣するようにデザインされた少なくとも一つの反応性官能基を含む化合物に関する。 また、本願発明は、これら化合物と、これら化合物を含む組成物の調製方法、それに、哺乳動物での抗血管形成、抗腫瘍転移、抗炎症、抗凝固作用および/または抗微生物的処置のためのこれら化合物と、それを含む組成物の使用に関する。 また、本願発明は、これら因子の影響を受けやすい状態にある哺乳動物の処置における、これら化合物とそれを含む組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
グリコサミノグリカン(GAG)は、大抵の動物細胞において生産されており、また、タンパク質核に付着している場合が多い線状のポリアニオン性ポリ多糖である[1、2]。 GAGは(プロテオグリカンのように)生産量が多く、細胞によって細胞表面に押し出され、そして、細胞外マトリックス(ECM)に移行する[3]。 GAGの中でも、特に、ヘパラン硫酸(HS)ファミリーに属するGAG(HS-GAG)は、無数の生理学的プロセスを媒介する。 例えば、HS-GAGは、細胞の成長および発達、血管形成、凝固作用、腫瘍転移、細胞接着、成長因子の活性化、サイトカインおよびケモカインの結合、そして、細菌やウィルスによる感染において重要な役割を果たす[4〜6]。 近年、GAGと相互作用するタンパク質のリストへの掲載点数が劇的に増大しており、このリストには今も該当タンパク質が追加されている。 細胞外GAGに特有の配列が、重要なタンパク質に特異的に結合し、それにより、基礎的な生物学的プロセスに影響が及んでいることが、最近になって明らかになっている。
【0004】
GAG結合性タンパク質に結合することができ、また、その生物学的活性、例えば、様々な五糖によるAT-IIIの活性化[7、8]や、多硫酸化糖鎖による繊維芽細胞増殖因子の活性化[9]などの活性を調節することが可能で、特定のGAGの構造を模倣し、「GAG模倣物」とも称される分子が知られている。 同様に、GAG模倣物が、GAGとその標的タンパク質との間の結合を解離し、そうすることで、タンパク質の生物学的機能または疾病機能を阻害することが可能であることも知られている。 例えば、標的HS結合性血管形成増進因子に関連して開発された抗癌剤には、ポリスルホン化化合物[10]、スラミンおよび関連するスラジスタ[11]、それに、硫酸化物[12、13]が含まれている。
【0005】
本願発明は、GAG結合性タンパク質に結合し、また、その作用調節を果たす、新規の小分子GAG模倣物に関するものである。 これら化合物には、標的タンパク質のGAG結合部位での正電荷を帯びた残基と相互作用するために、少なくとも一つの負電荷を帯びた官能基(好ましくは、スルホ基)が含まれており、また、前述した結合部位の内部および近傍のその他のタンパク質残基との相互作用を促す一つまたはそれ以上の置換基をも含む。 本願明細書に記載の化合物の重要かつ独特の特徴点は、スルホ基をほとんど有していないことと、硫酸化オリゴ糖などの前述したポリ硫酸化GAG模倣物よりも分子量が小さいことである[12、13]。 その他の重要な特徴点は、それらの化学構造が、スルホ基と、環構造周囲での予め定められた特徴的方向性に従って位置するその他の置換基とを有する環状骨格(例えば、単糖)に基づいたものであるため、キシレフスキーによって報告された無秩序な電荷を帯びた単純GAG模倣物[14]とは、かけはなれた構造となっている。 HS結合性の血管形成増進因子への本願明細書に記載の化合物の結合は、表面プラスモン共鳴(SPR)溶液アフィニティーアッセイを利用して検証する。 また、HSが媒介する細胞の感染や、単純ヘルペスウィルスの細胞間の伝播を阻害するための化合物の選抜も行われている。
【0006】
本願発明の一態様は、GAG模倣物の多様な構成をもたらすウギ反応[15、16]の利用に関するものである。 電荷を帯びた各化学構造が、相互に、または、その他の官能基と結合する様々な態様に加えて、GAGの多様な構造を模倣する本願発明の要旨についても説明を行う。 当業者にとって自明のことではあるが、環状骨格に対する機能性付与の手段は、ウギ反応に限定されるものではない。 例えば、アルキル化、アシル化および付加環化などを含めた多くの反応系が用いられている。
【発明の開示】
【0007】
本願発明の目的は、電荷を帯びた化合物、すなわち、GAG模倣物としての有用性を有する新規の化合物を提供することにある。
【0008】
本願発明のさらなる目的は、これら化合物のための効率的な合成径路を提供することにある。
【0009】
本願発明の第一の態様によれば、以下の式、すなわち;
【0010】
【化3】

式中、nは、0から2の整数であり、
Zは、N、N(O)、O、S、S(O)、S(O)2、P、P(O)、P(O)2、Si、Si(O)またはSi(O)2であり、
独立的な各Xは、C、C(O)、N、N(O)、O、S、S(O)、S(O)2、P、P(O)、P(O)2、Si、Si(O)またはSi(O)2、または化学結合であり、および
独立的なR1〜R6の各々は、化学結合、あるいは、水素;ハロゲン;直鎖、環状、分枝、置換、ヘテロ環状、ヘテロ原子置換または未置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリール;-O-P-(S)(OH)2で表されるリン酸塩、チオリン酸塩のようなホスホリル基;-O-P-(O)(OR)2で表されるリン酸エステル;-O-P-(S)(OR)2で表されるチオリン酸エステル;-O-P-(O)OHRで表されるホスホン酸塩;-O-P-(S)OHRで表されるチオホスホン酸塩;-O-P-(O)OR12で表される置換ホスホン酸塩;-O-P-(S)OR12で表される置換チオホスホン酸塩;-O-P-(S)(OH)(SH);および、環状リン酸塩;-O-P-(OR)-NR12で表されるフォスフォアミダイト;-O-P-(O)(OR)-NR12で表されるフォスフォアミダイトなどのリン含有化合物;-O-S-(O)(OH)、-SH、-SR、-S(→O)-R、-S(O)2R、RO-S(O)2-、-O-SO2NH2、-O-SO212、または-NHSO2NH2で表されるスルファミドのようなイオウ含有基;-NHR、-NR12、-NHAc、-NHCOR、-NH-O-COR、-NHSO3、-NHSO2R、-N(SO2R)2などのアミノ基、および/または、-NH-C(=NH)NH2などのアミドノ基、および/または、-NH-CO-NR12などのウレイド基、または-H-C(S)-NH2などのチオウレイド基;化学式Iで表されるその他の単位構造、すなわち、式中、前述したZ、XおよびR1〜R6が、任意の位置で結合してなる単位構造;または、以下の式、すなわち;
【0011】
【化4】

で表現される官能基に基づいた化学構造であって、式中、Yは、化学結合、または、直鎖、環状、分枝、置換、ヘテロ環状、ヘテロ原子置換または未置換のアルキル;直鎖、環状、分枝、置換、ヘテロ環状、ヘテロ原子置換または未置換のアシル;および、アリール、置換アリール、ヘテロアリール;および、独立的なR7〜R11の各々は、少なくとも一つの化学式Iに記載の化学構造、または、化学式IIに記載の化学構造、すなわち、Zが酸素で、かつXが酸素または化学結合である場合に、R1〜R5のすべてが、水素またはCH2OHでなく、また、Zが窒素で、かつXが酸素または化学結合である場合に、R1〜R6のすべてが、水素でないとの条件を満足する化学式IIに記載の化学構造からなるグループから選択される式で表される化合物が提供される。
【0012】
本願発明の第二の態様によれば、哺乳動物における、血管形成、腫瘍転移、炎症、凝固作用、血栓症および/または微生物感染に起因する疾患の予防または治療のための薬学的または獣医学的組成物、すなわち、第一の態様に記載の少なくとも一つの化合物と共に、少なくとも一つの前記化合物のための薬学的または獣医学的に許容可能な担体または希釈剤を含む組成物が提供される。
【0013】
本願発明の第三の態様によれば、哺乳動物における、血管形成、腫瘍転移、炎症、凝固作用、血栓症および/または微生物感染に起因する疾患の予防または治療のための薬剤を製造するための第一の態様に記載の化合物の用途が提供される。
【0014】
本願発明の第四の態様によれば、哺乳動物における、血管形成、腫瘍転移、炎症、凝固作用、血栓症および/または微生物感染に起因する疾患を予防または治療するための方法であって、第一の態様に記載の少なくとも一つの化合物または少なくとも一つの当該化合物を含む組成物の有効量を当該哺乳動物に投与する、ことを含む方法が提供される。
【0015】
本願発明のその他の態様によれば、第一の態様に記載の化合物を合成するためのプロセスが提供される。
【0016】
さらに、第一の態様に記載の化合物に関しては、特に断りが無い限りは、当該技術分野での通常の認識に従って、アルキル基、アリール基、および、その他の置換基が用いられる。 例えば、アルキル基やアリール基は、通常であれば、1〜10個の炭素原子を保有している。 加えて、R1〜R5の内の二つの官能基を互いに結合して二環式の化学構造を形成することもでき、あるいは、式Iで表される環状構造が二重結合を有すること、すなわち、XR1〜XR5の内の隣接する二つの官能基を結合することもできる。
【0017】
本願発明の好ましい化合物は、以下の表1〜表4に記載の構造式を有している。
【0018】
本願発明の理解を促しつつ、実際の応用に供するために、一つまたはそれ以上の好適な実施態様を例示目的で開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本願明細書において、以下の略語を用いている。
【0020】
GAG グリコサミノグリカン
HS ヘパラン硫酸
FGF 繊維芽細胞増殖因子
aFGF 酸性繊維芽細胞増殖因子(またはFGF-1)
bFGF 塩基性繊維芽細胞増殖因子(またはFGF-2)
VEGF 血管内皮増殖因子
SPR 表面プラスモン共鳴
HSV 単純ヘルペスウィルス
本願発明者らは、GAG模倣性を有する多数の化合物が、以下の実施例において示した多様な手順でもってして合成できることを知見するに至ったのである。 これら化合物は、哺乳動物における、血管形成、腫瘍転移、炎症、微生物感染、凝固作用または血栓症に起因する疾患の予防または治療に際して有効に利用できる。 これら化合物の作用に起因する有用性は、疾患プロセスに対応するGAG結合性タンパク質の活性の調整にも及ぶ。
【0021】
上述したように、本願発明のGAG模倣物は、ウギ反応を含めた多様な径路でもってして合成することができ、通常、その合成過程には、スルホン化の工程が含まれる。
【0022】
上述した本願発明の第一の態様での好適な化合物として、構造式IおよびIIで規定される化合物と、以下の表1〜表4に記載の化合物がある。
【0023】
上述したように、本願発明の化合物は、哺乳動物における、血管形成、腫瘍転移、炎症、微生物感染、凝固作用または血栓症に起因する疾患の予防または治療に際して有効に利用できる。 これら化合物は、特に、ヒトでの前述した疾患の治療において有効に利用できる。 一般的に、これら化合物は、以下に詳述する薬学的組成物の構成成分として投与される。
【0024】
経口投与用の薬学的組成物は、錠剤、カプセル、粉体または液状の形態とすることができる。 錠剤には、ゼラチンなどの固形担体や、補助剤または不活性希釈剤を含有させることができる。 液状の薬学的組成物には、通常、水、石油、動物性油脂または植物性油脂、鉱油または合成油などの液状担体を含有させることができる。 生理食塩水の他に、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコール類も含有させることができる。 これら組成物や調製物は、本願発明の化合物を、通常、少なくとも約0.1重量%で含む。
【0025】
非経口投与として、以下の径路、すなわち、静脈内、皮膚または鼻腔、筋肉内、眼内、上皮、腹膜内を介した投与、それに、局所投与がある。 局所投与として、皮膚、眼、直腸、鼻への投与の他に、吸入手段やエアゾール手段を用いた投与がある。 静脈、皮膚または皮下への注射、あるいは処置が必要な部位への注射を行うために、活性成分を、発熱物質を含まず、かつ好適なpH、等張性および安定性を有する、非経口的に許容可能な水性溶液の形態とすることができる。 当業者であれば、例えば、本願発明の化合物またはその誘導体を用いて、好適な溶液を調製することができるであろう。
【0026】
少なくとも一つの化合物と担体または希釈剤の他に、本願発明の組成物に、薬学的または獣医学的に許容可能な賦形剤、緩衝剤、安定剤、等張化剤、防腐剤または抗酸化剤、あるいは当業者に周知のその他の物質をさらに含有させることができる。 当業者であれば、これら物質が、非毒性で、かつ化合物が奏する効果に対して相互作用を及ぼさないことは容易に理解されるであろう。 添加物に要求される性質は、組成物の投与径路、すなわち、組成物が、経口投与または非経口投与のいずれで投与されるかで変化する。 水性組成物のpHを、生理学的pHの近似値、あるいは、約5.0〜約8.0の範囲に維持させるために、通常、水性組成物は緩衝剤を含んでいる。
【0027】
少なくとも一つの化合物の他に、本願発明の組成物に、活性成分をさらに含有させることができる。 これら成分は、主として、抗血管形成、抗腫瘍転移、抗炎症、抗凝固作用、抗微生物剤としての効果に関して選抜されるものであるが、関連する状態に対する効果に基づいて選抜することもできる。
【0028】
本願発明の薬学的または獣医学的組成物は、個々の疾患の状態を考慮して必要とされる予防的有効量または治療的有効量でもってして、患者に投与される。 組成物に取り込まれた形態で投与される少なくとも一つの化合物の実際用量は、治療または予防処置を行おうとする疾患の本質および重篤度によって定まる。 服用量などの決定を含めた処方の作成は、患者を処置している医師や獣医師が行う事項である。 しかしながら、組成物をヒトに投与する場合には、通常、約0.01〜約100mg/体重kg、好ましくは、約0.1〜約10mg/体重kgの化合物が投与される。
【0029】
これら化合物は、薬学的または獣医学的に許容可能なその誘導体として、組成物に取り込むことができる。 本願明細書に記載の化合物の「誘導体」としては、塩類、マンガンイオン(Mn2+)や亜鉛イオン(Zn2+)などの金属イオンを有する配位複合体、in vivoで加水分解可能なエステルなどのエステル類、遊離酸または遊離塩基、水和物またはプロドラッグなどがある。 リン酸塩や硫酸塩のような酸性基を有する化合物は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属、そして、トリエチルアミンやトリス(2-ヒドロキシエチル)アミンと共に塩類を形成することができる。 アミンなどの塩基性基を有する化合物も、塩酸、リン酸または硫酸などの無機酸、あるいは、酢酸、クエン酸、安息香酸、フマル酸または酒石酸などの有機酸との間で塩類を形成することができる。 酸性基と塩基性基の双方を有する化合物は、塩類を内包することができる。
【0030】
当該技術分野で周知の技術を用いて、化合物内部の水酸基またはカルボン酸基と、好適なカルボン酸またはアルコール反応性要素との間でエステル類を形成することができる。
【0031】
本願発明のプロドラッグ誘導体は、in vivoまたはin vitroにて、親化合物に改変することができる。 親化合物の少なくとも一つの生物学的活性は、通常、プロドラッグ形態になると抑制されることがあり、また、プロドラッグを、親化合物またはその代謝産物へ変換することで活性化することもできる。 これらプロドラッグの例として、ホスホリパーゼ活性を有する酵素を用いた開裂を受けて化合物の遊離体の放出を誘導する置換基を付与する一つまたはそれ以上の脂質部位を有する糖脂質誘導体がある。 本願発明の化合物のプロドラッグでは、活性化合物を放出するためにin vivoで除去されたり、あるいは、薬剤の消失を阻害する役割を果たす保護基を用いることができる。 好適な保護基は、当業者に周知であり、アセテート基などが利用可能である。
【0032】
上述したように、本願発明の化合物は、哺乳動物における、血管形成、腫瘍転移、炎症、凝固作用、血栓症および/または微生物感染に起因する疾患の予防または治療のための薬剤の製造に際して有効に利用できる。 かような薬剤の製造プロセスは、当業者に周知であり、上述した薬学的組成物を製造するために用いたプロセスなどが利用可能である。
【0033】
本願発明に属する化合物は、成長因子に結合することが認められている。 特に、これら化合物が、aFGF、bFGFおよびVEGFに対して親和性を示すことが確認されている。 よって、これら化合物は、ヒトを含めた哺乳動物での処置における抗血管形成剤、抗腫瘍転移剤および/または抗炎症剤としての用途に供することができる。 これら化合物の用途として、固形腫瘍の成長が関与する血管形成などの血管形成依存性疾患および増殖性網膜症の治療や、慢性関節リウマチなどの炎症性疾患および炎症性状態の治療などがある。 これら化合物も、成長因子を活性化せしめ、また、心臓血管を処置する際に使用することもできる。
【0034】
また、上述したように、本願発明の化合物は、抗凝固剤または抗血栓剤への用途にも供することができる。 従って、これら化合物は、深層静脈血栓症、肺塞栓症、血栓症脳卒中、末梢動脈血栓症、不安定アンギナおよび心筋梗塞などの知名度の大きな疾患をはじめとした、多くの血栓症や心臓血管疾患の予防および処置の双方において使用することができる。 電荷を帯びたアミノ酸化合物を含む組成物は、経口的に薬剤送達できるため、これら化合物を、重篤な副作用を呈する経口投与用抗凝固剤であるワルファリンの代替物として利用することは、実用的であるといえる。
【0035】
さらに、本願発明の化合物がウィルス感染を阻害することが知見されるに至っているので、これら化合物は、多くのウィルス感染の予防または処置のために用いる抗ウィルス剤にも利用することができる。
【0036】
本願発明の化合物は、HSを付着/侵入レセプターとして利用する病原体[6]、例えば、HSV、HIV、デングウィルス、黄熱ウィルス、サイトメガロウィルスおよびC型肝炎ウィルスに起因する感染症の治療または予防において、特に好適に利用できる。 同様に、本願発明の化合物は、HSを付着/侵入レセプターとして利用する非ウィルス性微生物病原体、例えば、プラズモディウム(マラリア)に起因する感染症の治療または予防においても、好適に利用できる。 本願発明の化合物が、HSV-1およびHSV-2の細胞間の伝播を阻害することは、特筆すべき事項である。
【0037】
本願発明の概説に続いて、本願明細書に添付した表をも参照しつつ、本願発明の化合物、その合成法、およびその生物学的活性を以下に例示するが、本願発明は、これら開示によって限定されない。
【0038】
一般的手順
ジオール類のアルキル化および脱保護のための一般的手順
ジオール(1当量)を含むDMFを、予洗した(ヘキサン) 水素化ナトリウム(5当量)を含むDMFの冷却攪拌懸濁液に滴下して加えた。 一旦、添加を取り止めて、攪拌を継続した(0℃→室温、20分間)。 得られた混合物を冷却して(0℃、5分間)、攪拌を継続しながら、ハロゲン化アルキル(2当量)を滴下して加えた(0℃→室温、終夜)。 この混合物を再度冷却した後に、攪拌を継続しながら(5分間)、メタノール(5ml)を加えた。 溶媒を蒸発させて、残渣を分析(酢酸エチル)およびフラッシュクロマトグラフィーに供し、次いで、均質度(TLC)を確認した。 この残渣を、共濃縮させた(2×10mlのシアン化メチル)。 粗混合物(50mg)とp-TsOH・H2O(50mg)とを含むメタノール/シアン化メチル(1:1)を、還流下で加熱した(1時間)。 得られた混合物を冷却して(室温)、溶媒を蒸発させる以前に、トリエチルアミン(100μl)を加えた。 この残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に適用して、ジオールを得た。
【0039】
アルコール類のスルホン化のための一般的手順
アルコールとSO3トリメチルアミン(2当量/水酸基)との混合物を含むDMFを、加熱した(60℃、終夜)。 冷却した(室温の)反応混合物をメタノールで処理し、次いで、炭酸ナトリウム(10%w/w)を加えて、塩基性(pH>10)に調整した。 この混合物を濾過し、そして、濾過物を(水を用いて)濃縮および共濃縮した。 硫酸化物の脱アセチル化が必要な場合には、粗産物を水に溶解して、1Mの水酸化ナトリウム(2当量/アシル基)を加えた。 保護要素の除去が完了次第に、産物を次段階の処理に移した。 粗製の硫酸化物を含む水を、サイズ排除クロマトグラフィーに適用した。 純粋画分が(水を用いて)濃縮および共濃縮され、そして、(水を用いて)凍結乾燥することで、硫酸化物が取得できた。 必要に応じて、凍結乾燥を終えた後に、産物をイオン交換樹脂カラム(AG(登録商標)-50W-X8、ナトリウムイオンタイプ、1×4cm、脱イオン水、15ml)に通して、産物を均一にナトリウム塩の形態にした。 回収された溶液は、濃縮および凍結乾燥されて、無色ガラス状または白色泡沫状の最終産物が取得された。
【0040】
サイズ排除クロマトグラフィー
2.8ml/分の流速で0.1M NH4HCO3が流される5×100cmのカラムを装備したBio-Gel P-2を用いてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を行い、そして、2.8分(7.8ml)の画分を回収した。 これら画分に関して、TLC(炭化)によって炭水化物を、 および/またはジメチルメチレンブルー試験によって電荷を帯びた分子を、そして、キャピラリー電気泳動(CE)によって純度を分析して、これらの内で、塩類を含んでいないと考えられるものを、回収および凍結乾燥した。
【0041】
不完全硫酸化副産物または塩類不純物(通常は少量でしか存在しないが、頻繁に検出される)が存在する場合には、LH20 SEC工程(2×95cm、脱イオン水、1.2ml/分、ヴァイアル当たり3.5分)を適用して、それらを完全に除去した。
【0042】
ジメチルメチレンブルー試験
ジメチルメチレンブルー(DMB)試薬を、3.04gのグリシンと2.37gの塩化ナトリウムとを含む1リットルの脱イオン水に、16mgのDMBを溶解させて調製した。 0.1Mの塩酸(95ml)を添加して、pHを3.0に調整した。 ストック溶液を、褐色ビンに入れて、室温下で保存した(この溶液は、このような条件下において、少なくとも3ヶ月間は安定であった)。 96-ウェルのマイクロタイタープレートの各ウェルに、10μlの画分溶液を置いた。 55μlのDMBストック溶液を、試料が置かれた各ウェルに加えた。 青色からピンク色への即座の色彩変化は、電荷を帯びた分子、すなわち、硫酸化産物画分の存在を示すものであった。
【0043】
NISグリコシル化のための一般的手順
グリコシル受容体(1当量)、チオグリコシド供与体(1.1当量)、500mgの新たに活性化した紛状3Å分子篩、および10mlの乾燥DCMを、1.3当量のNISおよび1滴のトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を添加する以前に、−20℃で、20分間かけて攪拌した。
【0044】
400μlのトリエチルアミンが加えられる以前に、反応の完了がTLCによって確認されるまで(〜1時間)、−20℃で、攪拌を継続した。 シリカゲルを用いた濃縮(真空下)とフラッシュクロマトグラフィーによって、グリコシル化産物が得られた。
【0045】
ウギの四成分反応のための一般的手順
酸(1当量)、アミン(1当量)、カルボニル化合物(1当量)およびイソシアニド(1当量)を含むメタノール、メタノール-THF(可変比率)またはクロロホルムの溶液を、反応用ヴァイアルに移した(最終濃度:0.1-0.5M)。 D-グルコン酸を酸として用いる場合、固形の状態で添加した。 ビス-酸、ビス-アミン、ビス-アルデヒドまたはビス-イソシアニドの場合には、0.5当量の量とした。 この混合物を、室温下で、1時間〜5日間、攪拌または震とうした。 反応の進行度を、TLCによってモニターした。 この混合物を濃縮して得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィーによって精製するか、あるいは、高真空度条件下で完全に乾燥せしめ、次いで、直接的過剰アセチル化した後に、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0046】
水酸基のアセチル化のための一般的手順
対応するアルコールを、DMAP(0.42モル%)を含むDCM-ピリジン(15:1v/v、0.15M)に溶解した。 無水酢酸(水酸基当たり2当量)を加えて、得られた混合物を、終夜、室温下で攪拌した。 この混合物を氷冷した0.5M塩酸に注ぎ、次いで、クロロホルムで抽出した。 有機相を分離して、塩性溶液である冷0.5M塩酸(×2)で洗浄して、乾燥した(硫酸マグネシウム)。 得られた溶液を、濾過および濃縮した。 残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチルの勾配溶出)で精製して、純品を得た。
【0047】
ゼンプレーニの脱アセチル化/脱ベンゾイル化のための一般的手順
アセテート/ベンゾアートを含む無水メタノール(0.1M)の溶液を、メトキシドナトリウムを含むメタノール(1.35M、0.2-0.6当量)の溶液で処理した。 この混合物を、室温下で、1〜3時間、(TLCによってモニターしながら)攪拌した。 酸性樹脂AG(登録商標)-50W-X8(水素イオン形態)を加えて、pHを6〜7に調整し、そして、得られた混合物を濾過して、また、樹脂をメタノールで洗浄した。 回収した濾過物と洗浄物とを真空下で濃縮して、完全に乾燥せしめることによって、ポリオール産物を得た。
【0048】
水素化分解を介したベンジルエーテルの脱保護のための一般的手順
ベンジルエーテル保護化合物(0.03mmol)を含むメタノールまたはエタノール(2ml)の溶液に、5%パラジウム/炭素または木炭(30mgまたは過剰量)に担持した20%水酸化パラジウムを加えた。 この混合物を、ミニクレーブ(ビューヒ AG、ウスター/スイス)に入れて、水素雰囲気下(50psi)で、2〜10時間、攪拌を続けた。 あるいは、この混合物に、1時間、水素ガスを導入し、そして、1気圧の水素下で、室温下で、1〜5日間、攪拌を続けた。 この反応は、TLC(酢酸エチルまたはシアン化メチル-水 10:1)によってモニターした。 この混合物を濾過して、次いで、メタノールまたはエタノールで洗浄した。 この濾過物を、濃縮および高真空度での乾燥に供して、1H NMRで確認してから凍結乾燥行い、そして、スルホン化のために直接に使用した。
【0049】
水酸基のメチル化
乾燥したポリオールを、アルゴンガス存在下で、無水DMF(0.04M)に溶解して、室温下で、1時間、水素化ナトリウム(鉱油を媒体とする60%懸濁液、水酸基当たり1.2当量)と共に攪拌した。 ヨードメタン(水酸基当たり1.2当量)を加えて、終夜にわたって攪拌を行った。 メタノールを添加して、この混合物をシリカを用いて濃縮せしめ、そして、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0050】
ウイスゲンの付加環化反応のための一般的手順
硫酸化糖アジドを、水(0.75M)に溶解し、次いで、アセチレンを含むt-ブタノール(0.9M、1当量)の溶液を添加した。 この混合物に、硫酸銅(II)の溶液(水を媒体とする0.3Mの溶液、5モル%)、そして、アスコルビン酸ナトリウムの溶液(水を媒体とする1Mの溶液、20モル%)を加えた。 混合物を、終夜、室温下で震とうし、そして、カラムクロマトグラフィー(1×18cm、50:2:1、20:2:1〜10:2:1の酢酸エチル-メタノール-水の勾配溶出)で精製して、対応するトリアゾール産物を得る。
【実施例】
【0051】
実施例1:PG2038
工程a:メチル3,4,6-トリ-O-アセチル-2-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-2,3,6-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノシド
メチル2,3,6-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノシド[17](150mg, 322μmol)、メチル3,4,6-トリ-O-アセチル-2-O-ベンジル-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド[18](151mg, 354μmol)、および200mgの3Å分子篩を、95mg(422μmol)のNISを用いて、一般的なNISグリコシル化を行った。 フラッシュクロマトグラフィー(20:80〜25:75の酢酸エチル:ヘキサンの勾配溶出)によって、274mgの部分的に脱アセチル化された物質が得られた。 この混合物に対して、10mlのDCM、200μlの無水酢酸、200μlのトリエチルアミンおよび2mgのDMAPを加えて、得られた溶液を1時間攪拌した後に濃縮させて、そして、フラッシュクロマトグラフィー(25:75〜30:70の酢酸エチル:ヘキサンの勾配溶出)によって、無色ガラス状の標記化合物の180mg(66%)を得た。 1H n.m.r. (400 MHz, CDC13)δ: 7.05-7.35 (m, 20H, 4×Ph), 5.74 (d, 1H, J1,2= 4.0, H1II), 5.29 (dd, J3,4=3.2, J4,5=1.2, H4II), 5.23 (dd, 1H, J2,3=10.8, H3II), 4.92 (d, 1H, Jgem=12.0, PhCH2), 4.85 (d, 1H, Jgem=10.8, PhCH2), 4.55-4.69 (m, 4H, PhCH2), 4.42 (AB, 1H, Jgem=12.0, PhCH2), 4.40 (AB, 1H, PhCH2), 4.32 (d, 1H, J1,2=7.6, H1I), 4.10 (dt, 1H, J5,6=6.8, H5II), 3.88-3.96 (m, H, H5I+H6I), 3.82 (dd, 1H, Jgem=11.1, H6II), 3.70-3.76 (m, 4H, H2×H6I+H2II+H3I), 3.56 (s, 3H, OMe), 3.5-3.6 (m, 1H, H4I), 3.45 (dd, 1H, J2,3=9.0, H2I), 2.02 (s, 3H, Ac), 1.93 (s, 3H, Ac), 1.88 (s, 3H, Ac). 13C n.m.r. (100 MHz, CDCl3)δ: 170.17, 170.06, 169.87, 138.82, 138.20, 138.13, 137.68, 128.33, 128.25, 128.19, 128.04, 127.61, 127.57, 127.49, 127.46, 127.01, 126.39, 104.42, 97.12, 84.49, 82.26, 74.46, 74.27, 73.69, 73.31, 73.28, 73.02, 69.47, 69.17, 68.35, 66.60, 61.62, 56.96, 20.69, 20.63, 20.58。
【0052】
工程b:メチル3,4,6-トリ-O-アセチル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-β-D-グルコピラノシド
パールマンの触媒(20mg)と20μlの酢酸を、90mgのメチル3,4,6-トリ-O-アセチル-2-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-2,3,6-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノシドを含む10mlのメタノール溶液に加えた。 3真空度で、水素ガスを送り込み、そして、懸濁液を3日間かけて攪拌した。 濾過ならびにトルエンを用いた濃縮および共濃縮を終えた後に、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(100:0〜100:3の酢酸エチル:メタンの勾配溶出)に適用して、標記化合物の47mg(91%)を得た。 1H n.m.r. (400 MHz, CDC13)δ: 5.39 (br d, J3,4=3.0, H4II), 5.32 (d, 1H, J1,2=3.8, H1II), 5.10 (dd, 1H, J2,3=10.6, H3II), 4.38 (br t, 1H, J5,6=6.8, H5II), 4.20 (d, 1H, J1,2=7.8, H1I), 4.09 (app d (ABX), 2H, J5,6=6.5, H6II), 4.00 (dd, 1H, H2II), 3.92 (dd, 1H, J5,6A=1.7, Jgem=12.2, H6AI), 3.80 (dd, 1H, J5,6B=4.8, H6BI), 3.62 (dis t, 1H, J2.33,4=9.1, H3I), 3.56 (part obs t, 1H, J3.44,5=9.3, H4I), 3.53 (s, 3H, OMe), 3.42 (ddd, 1H, J4,5=9.4, H5I), 3.22 (dd, 1H, J2,3=9.1, H2I), 2.10 (s, 3H, AcO), 2.05 (s, 3H, AcO), 2.00 (s, 3H, AcO)。
【0053】
工程c:メチル2-O-スルホ-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホ-β-D-グルコピラノシド、テトラナトリウム塩(PG2038)
上記の二糖(32.2mg、0.667mmol)を、標準的なスルホン化および脱アセチル化のためのプロセスに適用して、白色泡沫状の標記化合物(4.0mg、7.8%、96%の純度、CE:7.18分)を得た。 1H NMR (D2O, 400MHz): 5.473 (d, 1H, J1II-2II=3.6, H1II), 4.833 (d, 1H, JII-2I=2.8, H1I), 4.60 (水と重複した、H3I), 4.551 (m, 1H, H2I), 4.306 (dd, J2II-3II=10.2, H2II), 4.17-4.06 (m, 4H, H4I, H5IおよびH6I), 3.902 (d, 1H, J3II-4II=3.6, H4II), 3.867 (dd, 1H, H3II), 3.616 (dd, 1H, J6axII-6eqII=12.0, J5II-6axII=7.2, H6axII), 3.564 (dd, 1H, J5II-6eqII=5.2, H6eqII), 3.363 (dd, 1H, H5II), 3.343 (s, 3H, CH30)。
【0054】
実施例2:PG2046およびPG2047
工程a:2-アジド-3,4,6-トリ-O-ベンゾイル-2-デオキシ-α-D-グルコピラノシル-(1→4)-1,6-無水-2-デオキシ-3-O-ベンジル-β-D-グルコピラノース
3,4,6-トリ-O-アセチル-2-アジド-2-デオキシ-D-グルコピラノシルトリクロロアセチミデート[19](201mg、0.453mmol)および6-アンヒドロ-2-アジド-3-O-ベンジル-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース[20] (84mg、0.302mmol)を含む1,2-DCE(5ml)の溶液を、活性化した分子篩い(300mgの粉体)の存在下で、かつアルゴン雰囲気下で(室温で、30分間)、攪拌を行った。 この混合物を、攪拌しながら(10分間)冷却して(−20℃)、次いで、TBDMSOTf(21μl、0.091mmol)を滴下して添加し、そして、攪拌をさらに継続した(−20℃、10分間)。 トリエチルアミン(100μl)を加え、得られた混合物を濾過し、次いで、濃縮せしめた。 残渣を、水性検査液(酢酸エチル)に加えて、フラッシュクロマトグラフィー(10〜40%の酢酸エチル/ヘキサン)を行うことで、淡黄色の油状物(130mg)を得た。 この残渣を共濃縮し(2×10mlのシアン化メチル)、そして、ゼンプレーニの方法に従って脱アセチル化した。 この産物を、水性試料分析(酢酸エチル)に加えて、透明質の油状物(98mg)を得た。 この残渣を、共濃縮した(2×10mlのシアン化メチル)。 塩化ベンゾイル(210μl、1.81mmol)を、粗製産物(最大で0.302mmol)とピリジン(2ml)を含む1,2-DCE(3ml)の溶液に加えて、これらを合わせて得た混合物を攪拌した(室温、終夜)。 この混合物を冷却して(0℃)、溶媒を蒸発および共蒸発(トルエン)する以前に、攪拌を継続しながら(0℃→室温、2分間)、メタノール(2ml)を加えた。 残渣を、水性検査液(酢酸エチル)に加えて、フラッシュクロマトグラフィー(10〜30%の酢酸エチル/ヘキサン)を行うことで、二つの化合物を得た。
【0055】
まず、標記化合物は、透明質泡沫であった(101mg、46%、3工程)。 1H NMR (400 MHz, CDC13)δ: 3.11 (s, 1H; H-2I), 3.41 (dd, 1H, J1,2 3.7 J2,3 10.7 Hz; H-6I), 3.61 (s, H; H-3I), 3.39 (s, 1H; H-4I), 4.05 (d, 1H, J6.6 7.3 Hz; H-6I), 4.41-4.49 (m, 2H; H-6II), 4.55, 4.68 (AB 四重線, JA,B 11.9 Hz; CH2Ph), 4.79 (ddd, 1H, J4,5 10.3, J5,6 2.9, 5.9 Hz; H-5II), 4.91 (br d, 1H J5,6 5.5 Hz; H-5I), 5.08 (d, 1H, J1,2 3.6 Hz; H-1II), 5.51 (dd, 1H, J3,4 9.5, J4,5 10.2 H-4II), 5.60 (s, 1H, H-1I), 6.10 (dd, 1H J2,3 10.7, J3,4 9.3 Hz; H-3II), 7.29-7.55, 7.89-8.03 (2 m, 20H; ArH). 13C NMR (100 MHz, CDC13)δ: 58.74, 61.47, 63.64, 69.19, 69.49, 70.52, 73.17, 74.62, 78.12, 79.57 (11 C; C-2I-6I, C2II-6II, CH2Ph), 100.71, 101.16 (2 C ; C-1I, C-1II), 128.10, 128.42, 128.57, 128.61, 128.64, 128.81, 128.88, 129.15, 129.86, 129.90, 130.06, 130.17, 133.43, 133.53, 133.74, 137.48 (Ar), 165.61, 165.62, 166.26 (3 C; C=O)。
【0056】
次に、2-アジド-3,4,6-トリ-O-ベンゾイル-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシル-(1→4)-1,6-無水-2-デオキシ-3-O-ベンジル-β-D-グルコピラノースは、透明質の油状物であった(27mg、12%、3工程)。 1H NMR (400 MHz, CDC13)δ: 3.19 (s, 1H; H-2I), 3.74 (dd, 1H, J5,6 6.2 J6,6 7.1Hz; H-6I), 3.79-3.88 (m, 2H; H-2II, H-3I), 3.88 (ddd, J4,5 9.2, J5,6 3.1, 4.7 Hz; H-5II), 3.95 (br s, 1H; H-4I), 4.10 (d, 1H, J6,6 7.3 Hz; H-6I), 4.34 (dd, 1H; J5,6 4.9, J6,6 12.2 Hz; H-6II), 4.50 (dd, 1H, J5,6 3.1, J6,6 12.3Hz, H-6II), 4.52, 4.59 (AB 四重線, JA,B 12.0 Hz; CH2Ph), 4.65 (d, 1H, Jl,2 7.9 Hz; H-1II), 4.69 (br d, 1H, J5,6 5.5 Hz; H-5I), 5.44 (t, 1H, J2,3=3,4 9.7Hz; H-3II), 5.49 (br s, 1H; H-1I), 5.51 (t, qH, J3,4=4,5 9.6 Hz; H-4II), 7.23-7.50, 7.84-7.96 (2m, 20H; ArH)。
【0057】
工程b:2-デオキシ-2-スルファミド-α-D-グルコピラノシル-(1→4)-1,6-無水-2-デオキシ-2-スルファミド-3-O-ベンジル-β-D-グルコピラノース、二ナトリウム塩(PG2046)
2-アジド-3,4,6-トリ-O-ベンゾイル-2-デオキシ-α-D-グルコピラノシル-(1→4)-1,6-無水-2-アジド-2-デオキシ-3-O-ベンジル-β-D-グルコピラノース(127μmol)、パールマンの触媒(11mg)、および蟻酸アンモニウム(300mg)の混合物を含む2:1のメタノール:酢酸エチル(7mL)を、TLCが終了するまで、アルゴン雰囲気下で、65℃で、加熱した。 この混合物を、室温にまで冷却してから濾過(0.2μm)して、濃縮せしめた。 粗製のアミンを、SPE(メタノール:水=5:95で平衡化し、そして、メタノール:水=5:95〜100:0の勾配で溶出した300mgのC18水系カートリッジ)で精製して、53mgのジアミン(58%)を得た。 追加の精製を行わずに、DMF(5ml)、SO3・Me3N(41mg、295μmol)およびNaHCO3(40mg、475μmol)を、このジアミンに添加した。 この混合物を、1時間、60℃で加熱し、そして、室温にまで冷却してから、氷と炭酸ナトリウム(飽和、水性)を用いて急冷した。 この懸濁液を、−18℃で、一晩、保存してから、試料を濾過した。 この濾過物を、濃縮乾燥した。 水(1ml)と水酸化ナトリウム(250μl、1M)を加えて、得られた溶液を、一晩、攪拌してから、SECカラム(一般的手順)に直接に適用して、22mgの標記化合物を得た(三工程で28%)。 1H NMR (400 MHz, D20, 抑制した溶媒)δ: 7.35-7.21 (m, 5H, ArH), 5.43 (br s, 1H, H1I), 5.18 (d, 1H, J1-2=3.6, HII), 4.72-4.691(m, 1H, H5I), 4.54-4.521 (m, 2H, ArCH2), 4.05 (d, 1H, Jgem=7.9, H6AI), 3.85 (br s, 1H, H3I), 3.76-3.58 (m, 5H), 3.51 (dd, 1H, J2-3=10.4, J3-4=9.1, H3II), 3.34 (t, 1H, J3-43-5= 9.2, H4II), 3.23 (br s, 1H, H2I), 3.12 (dd, 1H, H2II). 13C NMR (100 MHz, CDCl3)δ: 133.3, 124.8, 124.6, 124.4, 96.9, 95.1, 72.7, 71.5, 70.8, 68.3, 68.2, 67.2, 66.0, 61.0, 56.6, 54.0, 49.8.
【0058】
工程c:2-デオキシ-2-スルファミド-α-D-グルコピラノシル-(1→4)-1,6-無水-2-デオキシ-2-スルファミド-β-D-グルコピラノース、二ナトリウム塩(PG2047)
2-デオキシ-2-スルファミド-α-D-グルコピラノシル-(1→4)-1,6-無水-2-デオキシ-2-スルファミド-3-O-ベンジル-β-D-グルコピラノース、二ナトリウム塩(12.9mg、20.8μmol)およびパールマンの触媒(5mg)を含む精製水(2ml)に対して、50psiの水素ガスを、一晩、通気した。 この混合物を濾過してから、凍結乾燥することで、10.7mgの標記化合物を得た(98%)。 1H NMR (400 MHz, D20)δ: 5.47 (br s, 1H, H1I), 5.20 (d,1H, J1-2=3.5, H1II), 4.68 (br d, 1H, J5-4=5.5, H5), 4.07 (d, 1H, Jgem=7.6, H6AI), 3.98 (br s, 1H, H3I), 3.75-3.64 (m, 4H), 3.52 (t, 1H, J2-33-4=9.3, H3II), 3.34 (t, 1H, J3-44-5=9.3, H4II), 3.13 (obs. dd2, 1H, H2II), 3.11 (br s, 1H, H2I).
1 溶媒抑制シグナルによる影響が認められた。
【0059】
2 H2Iの影響で、部分的に判然としていない。
【0060】
実施例3:PG2039およびPG2037
工程a:メチル 3,4-ジ-O-アセチル-2,6-ジ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-2,3,6-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノシド
メチル2,3,6-メチル-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノシド(287mg;618μmol)、302mg(618μmol)のエチル3,4-ジ-O-アセチル-2,6-O-ジベンジル-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド[21]、および700mgの3Åの分子篩を、181mg(803μmol、1.3当量)のNISを用いて、一般的なNISグリコシル化を行った。 フラッシュクロマトグラフィー(2.5×20cm、1:5〜1:3の酢酸エチル:ヘキサンの勾配溶出)によって、標記化合物が、透明質のガムとして生成した(176mg、32%)。 1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 7.40-7.12 (m, 25H, Ph), 5.818 (d, 1H, JIII-2II=3.6, H1II), 5.481 (d, 1H, J4II-3II=3.2, H4II), 5.309 (dd, 1H, J3II-2II=10.8, J3II-4II=3.2, H3II), 4.980 (d, 1H, Jgem=11.6, a-PhCH2), 4.904 (d, 1H, Jgem=11.2, b-PhCH2), 4.748 (d, 1H, Jgem=11.6, a-PhCH2), 4.67-4.57 (m, 3H, b-PhCH2 および c-PhCH2), 4.479 (d, 1H, Jgem=12.8, d-PhCH2), 4.443 (d, 1H, Jgem=12.8, d-PhCH2), 4.415 (d, 1H, Jgem=11.6, e-PhCH2), 4.360 (d, 1H, JII-2I=8.0, H1I), 4.201 (d, Jgem=12.6, e-PhCH2), 4.153 (t, J5II-6axII=7.2, J5II-6eqII=6.0, H5II), 4.072 (t, 1H, J4I-3I=9.0, J4I-5I=9.0, H4I), 3.858 (dd, 1H, J2II-3II=10.8, J2II-1II=3.6, H2II), 3.82-3.76 (m, 3H, H3I, H6axI および H6 eqI), 3.597 (s, 3H, OMe), 3.62-3.57 (m,1H, H5I), 3.507 (t, 1H, J2I-3I=8.4, J2I-II=8.0, H2I), 3.347 (dd, J6eqII-6axII=9.2, J6eqII-5II=6.0, H6eqII), 3.291 (dd, 1H, J6axII-6eqII=9.2, J6axII-5II=7.2, H6axII), 1.958 (s, 3H, OAc), 1.930 (s, 3H, OAc). 13C NMR (100 MHz, CDCl3, 100 MHz): 169.94 (CO), 169.78 (CO), 138.88, 138.35, 138.24, 137.73 および 137.64 (5x ipso-Ph), 128.25, 128.22, 128.21,128.15, 128.12, 128.00, 127.80, 127.57, 127.52, 127.46, 127.41, 127.37, 126.93, 126.37, 104.40, 97.16, 84.63, 82.31, 74.42, 74.30, 73.70, 73.25, 73.16, 73.14, 72.98, 69.73, 69.07, 68.89, 67.64, 67.50, 56.86, 20.71, 20.55.
【0061】
工程b:メチル 3,4-ジ-O-アセチル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-β-D-グルコピラノシド
標準的な脱ベンジル化の方法によって、メチル 3,4-ジ-O-アセチル-2,6-ジ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-2,3,6-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノシドの保護を解除して、透明質粉末の標記化合物を得た(42mg、97%)。 1H NMR (D20, 400 MHz) δ: 5.394 (d, 1H, J1II-2II=3.6, H1II), 5.294 (d, 1H, J4II-3II=3.2, H4II), 4.953 (dd, 1H, J3II-2II=10.4, J3II-4II=3.2, H3II), 4.229 (d, 1H, JII-2I=8.4, H1I), 4.080 (t, 1H, J5II-6axII=6.4, J5II-6eqII=6.0, H5II), 3.965 (dd, 1H, J2II-3II=10.4, J2II-1II=3.6, H2II), 3.803 (dd, 1H, J6eq1-6eqI=12.0, J6eqI-5I=1.6, H6eqI), 3.67-3.59 (m, 2H, H6axI および H3I), 3.54-3.40 (m, 4H, H4I, H5I および H6II), 3.407 (s, 3H, OMe), 3.134 (dd, 1H, J2I-3I=9.2, J2I-II=8.4, H2I), 2.012 (s, 3H, OAc), 1.909 (s, 3H, OAc). 13C NMR (D20, 100 MHz): 173.57, 173.47, 103.20, 99.71, 77.12, 76.30, 74.57, 73.09, 70.89, 69.94, 69.04, 66.45, 60.82, 60.18, 57.31, 20.34, 20.09.
【0062】
工程c:メチル 2,6-ジ-O-スルホ-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホ-β-D-グルコピラノシド、五ナトリウム塩(PG2039)
標準的なスルホン化/脱アセチル化によって、42mg(95.4μmol)のメチル 3,4-ジ-O-アセチル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-β-D-グルコピラノシドから、白色粉末の標記化合物を得た(14.8mg、18%、CE:6.12分)。 1H NMR (D20, 400 MHz): 5.404 (d, 1H, J1II-2II=3.6, H1II), 4.756 (d, 1H, J1I-2I=3.6, H1I), 4.60 (水と重複, 1H, H3I), 4.448 (dd, 1H, J2I-3I=3.2, H2I), 4.296 (dd, 1H, J2II-3II=10.0, H2II), 4.23-4.00 (m, 7H, H6I, H5I, H6II, H4I および H5II), 3.958 (dd, 1H, J3II-4II=3.6, J4II-5II=0.8, H4II), 3.930 (dd, 1H, H3II), 3.367 (s, 3H, CH30).
【0063】
工程d:メチル 2,6-ジ-O-ベンジル-3,4-ジ-O-メチル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-2,3,6-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノシド
標準的な脱アセチル化およびメチル化によって、メチル 3,4-ジ-O-アセチル-2,6-ジ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-2,3,6-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノシド(72mg、80.8μmol)から、透明質ガムの標記化合物を得た(62.7mg, 93%)。 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 7.35-7.08 (m, 25H, Ph), 5.717 (d, 1H, J1II-2II, 3.6, H1II), 4.856 (d, Jgem=11.2, a-PhCH2), 4.843 (d, 1H, Jgem=10.8, b-PhCH2), 4.695 (d, 2H, Jgem=12.0, a-PhCH2 および c-PhCH2), 4.631 (d, 1H, Jgem=12.4, d-PhCH2), 4.571 (d, 1H, Jgem=10.8, b-PhCH2), 4.500 (d, 1H, Jgem=12.4, d-PhCH2), 4.450 (d, 1H, Jgem=11.6, c-PhCH2), 4.433 (d, 1H, Jgem=11.2, e-PhCH2), 4.359 (d, 1H, Jgem=11.2, e-PhCH2), 4.303 (d, 1H, J1I-2I=7.6, H1I), 3.949 (t, 1H, J4I-3I=9.0, J4I-5I=9.0, H4I), 3.871 (dd, 1H, J5II-6axII=7.2, J5II-6eqII=6.4, H5II), 3.791 (dd, 1H, J2II-3II=10.4, J2II-1II=3.6, H2II), 3.77-3.68 (m, 4H, H4II, H3I, H6axI および H6eqI)), 3.59-3.53 (m, 2H, H5I および H6II), 3.551 (s, 3H, OMe), 3.51-3.40 (m, 3H, H3II, H6II および H2I), 3.492 (s, 3H, OMe), 3.433 (s, 3H, OMe).
【0064】
工程e:メチル 3,4-ジ-O-メチル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-β-D-グルコピラノシド
標準的な脱ベンジル化によって、メチル 2,6-ジ-O-ベンジル-3,4-ジ-O-メチル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-2,3,6-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノシド(62.7mg、75.1μmol)から、透明質ガムの標記化合物を得た(28mg, 97%)。 1H NMR (D2O, 400 MHz): 5.232 (d, 1H, J1II-2II=4.4, H1II), 4.217 (d, 1H, J1I-2I=8.0, H1I), 3.83-3.75 (m, 3H, H4II, H5II および H6I), 3.682 (dd, 1H, J2II-3II=10.4, J2II-1II=4.4, H2II), 3.64-3.52 (m, 4H, H6, H3II および H6II), 3.47-3.38 (m, 3H, H4I, H5I および H3II), 3.400 (s, 3H, OMe), 3.340 (s, 6H, 2xOMe), 3.117 (dd, 1H, J2I-3I=9.6, J2I-1I=8.0, H2I). 13C NMR (D2O, 100 MHz): 103.20, 99.64, 79.35, 76.92, 76.34, 75.35, 74.65, 73.06, 72.03, 68.00, 61.02, 60.89, 60.86, 57.30, 56.94.
【0065】
工程f:メチル 3,4-ジ-O-メチル-2,6-ジ-O-スルホ-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホ-β-D-グルコピラノシド、五ナトリウム塩(PG2037)
標準的なスルホン化によって、メチル 3,4-ジ-O-メチル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-β-D-グルコピラノシド(28mg、72.8μmol)から、標記化合物を得た(3.2mg, 4.9%)。 1H NMR (400 MHz, D2O): 5.357 (d, 1H, J1II-2II=3.2, H1II), 4.766 (d, 1H, JII-2I=3.6, H1I), 4.60 (水と重複, 1H, H3I), 4.455 (dd, 1H, J2I-3I=2.8, H2I), 4.304 (dd, 1H, J2II-3II=10.0, H2II), 4.22-3.99 (m, 5H, H5I, H4I および H5II), 4.002 (d, 2H, J5II-6II=6.8, H6II), 3.886 (d, 1H, J3II-4II=3.2, H4II), 3.667 (dd, 1H, H3II), 3.398 (s, 3H, CH30), 3.367 (s, 3H, CH30), 3.356 (s, 3H, CH30).
【0066】
実施例4:PG2053およびPG2042
メチル 4-アリール-2,3-ジ-O-スルホ-α-L-ラムノシド、二ナトリウム塩(PG2053)
標記化合物を、一般的なアルキル化(臭化アリール利用)および脱保護工程、そして、これらに続く一般的なスルホン化を介して、ラムノピラノシド[22]から透明質の粉末として得た。 CE tm=10.48分. 1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.19 (d, 3H, J5,6=6.4 Hz; H-6), 3.26 (s, 3H; OMe); 3.29-3.40 (m, 1H; H-4), 3.59-3.67 (m, 1H; H-5), 4.00-4.05, 4.18-4.22 (2m, 2H; OCH2), 4.41-4.42 (m, 1H; H-3), 4.63-4.64 (m, 2H; H-2), 4.83 (s, 1H; 5.07-5.21 (m, 2H; =CH2), 5.76-5.88 (m, 1H; =CH).
少量(1当量)のSO3・トリメチルアミンを用いた場合には、メチル4-O-アリール-2-O-スルホ-α-L-ラムノシド、ナトリウム塩(PG2042)だけが得られた。 CE tm> 25.00分. 1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.19 (d, 3H, J5,6 6.4 Hz; H-6), 3.16 (t, 1H, J3,4 3.1, J4,5 9.7 Hz; H-4), 3.25 (s, 3H; OMe), 3.54-3.58 (m, 1H; H-5), 3.76 (dd, 1H, J2,3 9.7 Hz; H-3), 4.03-4.18 (m, 2H; OCH2), 4.34-4.35 (m, 1H; H-2), 4.80 (s, 1H; H-1), 5.08-5.22 (m, 2H; =CH2), 5.78-5.88 (m, 1H; =CH).
【0067】
実施例5:PG2024
メチル 4-O-ベンジル-2,3-ジ-O-スルホ-α-L-ラムノシド、二ナトリウム塩(PG2024)
標記化合物を、一般的なアルキル化(臭化ベンジル利用)および脱保護工程、そして、これらに続く一般的なスルホン化を介して、メチル 2,3-O-イソプロピリデン-α-L-ラムノピラノシドから透明質の粉末として得た。 CE tm=10.82分. 1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.00 (d, 3H, J5,6 6.8Hz; H-6), 3.23 (s, 3H ; OMe); 3.78-3.80 (m, 1H; H-4), 3.88-3.94 (m, 1H; H-5), 4.41-4.43 (m, 1H; H-2), 4.52-4.56 (m, 2H; H-3), 4.54, 4.78 (AB 四重線, JA,B 12.0 Hz; CH2Ph), 4.90 (dd, 1H, J1,2 1.2 Hz; H-1), 7.20-7.36 (m, 5H; ArH).
【0068】
実施例6:PG2054
工程a:メチル 4-O-ベンジル-α-L-ラムノシド
メチル 2,3-O-イソプロピリデン-α-L-ラムノピラノシド(200mg、920μmol)、塩化ベンゾイル(193mg、1.38mmol)およびトリエチルアミン(364μl、2.76mmol)を含むDCM(10ml)の溶液を、終夜、攪拌した。 得られた懸濁液(トリエチルアミン・塩酸沈殿物)を、DCM(50ml)で希釈し、炭酸水素ナトリウム(飽和溶液)、水、そして、塩性溶液で洗浄してから、乾燥(硫酸マグネシウム)および濃縮させた。 残渣を、50mlの1:1のシアン化メチル:水の混液に溶解して、そして、p-TsOH(10mg)を加えた。 得られた溶液を、反応が完了するまで攪拌し(TCL、〜4時間)、濃縮させてから、フラッシュクロマトグラフィー(1:1の酢酸エチル:ヘキサン)を行うことで、透明質固体の165mgの標記化合物を得た(二工程で64%)。 1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 8.03-8.00 (m, 2H, Hオルト), 7.55 (tt, 1H, JHp-Hm=7.5, JHp-Ho=1.3, Hハ゜ラ), 7.43-7.39 (m, 2H, Hメタ), 5.09 (dis t, 1H, J4-34-5=9.3, H4), 4.73 (br s, 1H, H1), 4.01-3.97 (m, 2H, H2+H3), 3.91 (dq, 1H, J4-5=9.7, J5-6=6.4, H5), 3.53-3.46 (br s, 2H, OH), 3.38 (s, 3H, OMe), 1.25 (d, 3H, H6). 13C NMR (100 MHz, CDCl3)δ: 167.1, 133.3, 129.8, 129.5, 128.3, 100.6, 75.7, 70.8, 70.1, 65.7, 55.0, 17.4.
【0069】
工程b:メチル 4-O-ベンゾイル-2,3-ジ-O-スルホ-α-L-ラムノシド、二ナトリウム塩(PG2054)
標記化合物を、一般的なスルホン化を介して、メチル 4-O-ベンゾイル-α-L-ラムノシドから透明質の粉末として得た。 CE tm=11.14分. 1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.14 (d, 3H, J5,6 6.3Hz; H-6), 3.33 (s, 3H; OMe), 3.99-4.07 (m, 1H; H-5), 4.66-4.73 (m, 2H; H-2, -3), 4.95 (d, 1H, J1,2 1.4 Hz; H-1), 5.04 (t, 1H, J3,4=4,5 9.6Hz; H-4), 7.35-7.41, 7.53-7.55, 7.92-7.93 (3m, 5H; Ph).
【0070】
実施例7:PG2041
工程a:4,6-O-ベンジリデン-1,2-ジヒドロ-D-グルカル
トリ-O-アセチル-D-グルカル(1.7g, 6.25mmol)、酢酸(50μl)およびPd(OH)2/C(100mg)の混合物を含むメタノール(15ml)を、水素ガス存在下(1気圧)で、終夜、勢いよく攪拌した。 この混合物を濾過し、溶媒を蒸発させて、得られた残渣に対してフラッシュクロマトグラフィー(10〜50%の酢酸エチル/ヘキサン)を行うことで、透明質油状のトリ-O-アセチル-1,2-ジヒドロ-D-グルカルが得られた。 この残渣を、共濃縮して(2×10mlのシアン化メチル)、ゼンプレンの脱アセチル化法を行ったところ、透明質油状の1,2-ジヒドロ-D-グルカルが得られた(825mg, 89%)。 この残渣を、共濃縮して(2×10mlのシアン化メチル)。
【0071】
1,2-ジヒドロ-D-グルカル(495mg, 3.34mmol)およびα、α-ジメトキシトルエン(735μl, 5.01mmol)を含むDMF(5ml)の溶液に、p-TsOH.H2O(50mg)を加えて、その混合物を攪拌した(60℃、1時間)。 トリエチルアミン(100μl)を注ぎ、そして、溶媒を蒸発させた。 残渣に対してフラッシュクロマトグラフィー(0〜5% メタノール/クロロホルム)を行ったところ、透明質針状の標記化合物が得られた(503mg, 64%)。 1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 1.72-2.01 (m, 2H; H-2), 3.27-3.33 (m, 1H; H-5), 3.41 (dd, J3,4 8.8, J5,6 9.1Hz; H-4), 3.49-3.56 (m, 1H; H-3), 3.67 (t, 1H, J5,6=6,6 10.3Hz; H-6), 3.81-3.87, 3.93-3.98 (2m, 2H; H-1), 4.25 (dd, 1H; J5,6 4.9Hz; H-6), 5.53 (s, 1H; CHPh), 7.23-7.52 (m, 5H, CHPh). 13C NMR (100 MHz, CDCl3)δ: 33.47 (C-2); 66.46, 69.07, 69.64, 71.32 (4C; C-1,-4,-5,-6), 84.14, (C-3), 102.16 (CHPh), 126.43, 128.55, 129.34, 137.50 (4C;Ph).
【0072】
工程b:3-O-ベンジル-4,6-ジ-O-スルホ-1,2-ジヒドロ-D-グルカル、二ナトリウム塩(PG2041)
4,6-O-ベンジリデン-1,2-ジヒドロ-D-グルカルに対して、アルキル化(臭化ベンジル利用)、脱保護工程、そして、一般的なスルホン化を行うことで、標記化合物が、透明質の粉末として得られた。 CE tm=15.40分. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.48-1.53, 1.97-2.03 (2m, 2H; H-2), 3.30-3.71 (m, 1H; H-1), 3.52-3.57 (m, 1H; H-5), 3.60-3.66 (m, 1H; H-3), 3.78-3.83 (m, 1H; H-1), 3.97 (dd, 1H, J5,6 8.0, J6,6 11.4Hz; H-6), 3.98 (t, 1H, J3,4=4,5 8.9Hz; H-4), 4.34 (dd, 1H, J5,6 2.3Hz; H-6), 4.52-4.67 (m, 2H; CH2Ph), 7.21-7.36 (m, 5H; Ph).
【0073】
実施例8:PG2030
工程a:1,6-無水-3-O-メチル-β-D-グルコピラノース
p-トルエンスルホニルクロリド(790mg, 4.14mmol)を、3-O-メチル-β-D-グルコピラノース(804mg, 4.14mmol)の冷却(0℃)懸濁液を含むピリミジン(10ml)に加えて、得られた混合物を、攪拌した(0℃→室温、1.5時間)。 無水酢酸 (1.5ml, 15mmol)とN,N-ジメチルアミノピリジン(50mg)を加えて、さらに攪拌を継続した(室温, 4時間)。 この混合物を冷却して(0℃)、メタノール(3ml)を加えた後に、溶媒の蒸発を行うまで、攪拌を続けた(10分)。 残留した油状物を、(酢酸エチルで)溶解し、そして、このものを分析に供したところ、トシラートが、淡黄色の油状物(1.93g)として得られた。 粗製のトシラート(1.93g)および水酸化ナトリウム(1.0Mの20ml, 20mmol)の混合物を含むエタノール(20ml)を、加熱した(80℃、1時間)。 この混合物を酢酸で中和し、そして、溶媒の蒸発と共蒸発(トルエン)を行った。 粗製の残渣を、ピリジン(50mg)、無水酢酸(5ml)およびN,N-ジメチルアミノピリジン(50mg)で処理して、得られた混合物を攪拌した(室温、終夜)。 この混合物を、氷水(10ml)で処理して、攪拌を継続してから(室温で3時間)、分析に供した(酢酸エチル)。 得られた残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(20〜50%の酢酸エチル/ヘキサン)に供したところ、2,4-ジ-O-アセチル-1,6-無水-3-O-メチル-β-D-グルコピラノース(a)と1,2,4-トリ-O-アセチル-3-O-メチル-6-O-トシル-α-D-グルコピラノース(b)と(3:1の比率で)を含む分離不可能な混合物が、淡黄色の油状物(466mg)として得られた。 この比率は、1H NMRスペクトルから読み取れるH-1および3-OMeの分布に基づいて決定された。 部分的1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.32 (s, 3H ; OMe b), 3.45 (s, 3H; OMe a); 5.22 (br s, 1H; H-1 b), 5.42 (br s, 1H; H-1 a)。 二つの化合物(456mg)の混合物を、脱アセチル化処理し、そして、得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜5%のメタノール/酢酸エチル)に供したところ、標記化合物が、透明質の油状物(162mg、三工程で33%)として得られた。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.27-3.30 (m, 1H; H-3), 3.38 (s, 3H; OMe), 3.57-3.59 (m, 1H; H-2), 3.63-3.65 (m, 1H; H-4), 3.70 (dd, 1H, J5,6=5.6, J6,6=7.2 Hz; H-6), 4.06 (d, 1H, J6,6=7.2Hz; H-6), 4.48-4.51 (m, 1H; H-5), 4.39 (br s, 1H;H-1).
【0074】
工程b:1,6-無水-4-O-ベンジル-3-O-メチル-β-D-グルコピラノース
1,6-無水-3-O-メチル-β-D-グルコピラノース(155mg, 0.88mmol)とジブチル錫オキサイド(241mg, 0.97mmol)との混合物を含むトルエン(18ml)を、溶液の体積が当初の半分になるまで、還流下で加熱した(水を共沸的に除去した)。 この混合物を冷却し(80℃)、次いで、ベンジルブロマイド(104μl, 0.88mmol)と臭化テトラブチルアンモニウム(567mg, 1.76mmol)を加えて、攪拌を継続した(終夜)。 この混合物を、攪拌を続けながら(10分間)、メタノール(2ml)と水(1ml)で処理してから、溶媒の蒸発を行った。 この残渣についての分析(酢酸エチル)を行い、そして、フラッシュクロマトグラフィー(20〜60%の酢酸エチル/ヘキサン)に供したところ、二つの化合物が得られた。
【0075】
まず、標記化合物は、透明質の油状物(94mg、40%)として得られた。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.58 (d, 1H, J2,OH 6.4Hz; OH), 3.32-3.43 (m, 5H; H-3, H-4, OMe), 3.52-3.57 (m, 1H; H-2), 3.68-3.72, 4.01-4.04 (2m, 2H; H-6), 4.55-4.58 (m, 1H; H-5), 4.64 (s, 2H; CH2Ph), 5.39-5.40 (m, 1H; H-1), 7.28-7.36 (m, 5H; ArH).
次いで、1,6-無水-2-O-ベンジル-3-O-メチル-β-D-グルコピラノースは、透明質の油状物(91mg、39%)として得られた。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.90 (br s, 1H; OH), 3.31-3.34 (m, 4H; H-2, OMe), 3.36-3.38 (m, 1H; H-3), 3.58 (br s, 1H; H-4), 3.68 (dd, 1H, J5,6 6.0Hz, J6,6 7.2 Hz; H-6), 4.08 (dd, 1H J5,6 0.8Hz, J6,6 7.2 Hz; H-6), 4.47-4.49 (m, 1H; H-5), 4.56, 4.62 (AB 四重線, JA,B 12.0Hz; CH2Ph), 5.40-5.41 (m, 1H; H-1), 7.26-7.36 (m, 5H; ArH).
【0076】
工程c:1,6-無水-4-O-ベンジル-3-O-メチル-2-O-スルホ-β-D-グルコピラノース、ナトリウム塩(PG2030)
1,6-無水-4-O-ベンジル-3-O-メチル-β-D-グルコピラノース(82mg, 0.32mmol)を、常法に従ってスルホン化し、次いで、フラッシュクロマトグラフィー(50/2/1→10/2/1の酢酸エチル/メタノール/水)、そして、SECに供したところ、標記化合物が、淡黄色粉末(70mg, 60%)として得られた。 CE tm=5.62分. 1H NMR (400 MHz, D2O) δ 3.19 (s, 3 H; OCH3); 3.43-3.45 (m, 1H ; H-4), 3.52-3.53 (m, 1H; H-3), 3.57 (dd, 1H, J5,6=5.9Hz, J6,6=7.8Hz; H-6), 3.82 (dd, 1H, J5,6=1.1Hz, J6,6=7.8Hz; H-6), 3.97-3.99 (m, 1H; H-5), 4.59-4.61 (m, 3H;H-2, CH2Ph), 5.41 (br s, 1H; H-1), 7.22-7.34 (m, 5H; ArH).
【0077】
実施例9:PG2012およびPG2013
工程a:N-ベンジル-N-(シクロヘキシルアセタミド)-1,2,3,4-テトラ-O-アセチル-D-グルクロナミド
ウギ反応のための一般的手順を終えた後に、D-グルコン酸(0.950g、4.89mmol)と、以下の三つの試薬、すなわち、ベンジルアミン(2Mのメタノール溶液、2.45ml、4.89mmol)、ホルムアルデヒド(2Mのメタノール溶液、2.45ml、4.89mmol)およびシクロヘキシルイソシアニド(1Mのメタノール溶液、2.45ml、4.89mmol)の各溶液とを、反応用容器内に入れ、次いで、この混合物を、室温下で、19時間攪拌した。 揮発性成分を減圧下で除去して、加圧下で乾燥せしめたところ、黄色泡沫状のN-ベンジル-N-(シクロヘキシルアセタミド)-D-グルクロナミドが得られた。
【0078】
アセチル化のための一般的手順を終えた後に、上記した粗製のウギ反応産物を、過アセチル化して、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチルが2:1〜1:1の勾配溶出)に供したところ、標記化合物が、1.929g、66%の淡黄色泡沫として得られた(二工程、Rf=0.37、ヘキサン:酢酸エチルは1:1)。 アノマーとロータマーが存在していたため、1H NMR (CDCl3, 400 MHz)は非常に複雑なものとなった。 55℃に加温した後でも、スペクトルの簡略化には至らなかった。 しかしながら、100℃のピリジン-d6でのロータマーの各セットは、より簡略な構造を呈していたため、二つのアノマーを明確に観察することができた(α:β=69:31)。 1H NMR (CDCl3, 400 MHz, 25℃): 7.41-7.14 (m,5H, Ph), 6.337 (d, 0.39H, J=3.6), 6.300 (d, 0.29H, J=3.6), 5.969 (br d, 0.52H, J=8), 5.823 (br d, 0.09H, J=8.4), 5.66-5.41 (m, 2.25H), 5.28-5.09 (m, 1.3H), 4.92-4.58 (m, 2.25H), 4.411 (d, J=10) および 4.395 (d, J=14, 0.55H), 4.271 (d, 0.11H, J=9.6), 4.219 (d, 0.09H, J=17.2), 4.125 (d, 0.17H, J=14), 4.098 (d, 0.17H, J=14.4), 3.994 (d, J=15.2) および 3.963 (d, J=14.8, 0.89H), 3.82-3.59 (m, 2.04H), 2.190, 2.111, 2.038, 2.033, 2.025, 2.023, 2.016, 2.014, 2.008, 1.998, 1.983, 1.944 および1.927 (すべて一重線, 12H, Ac), 1.89-1.55 (m, シクロヘキシル-CH2), 1.41-0.83 (m, 5H, シクロヘキシル-CH2). 1H NMR (CDCl3, 400 MHz, 55℃): 7.38-7.16 (m, 5H, Ph), 6.336 (d, J= 3.2,) および 6.153 (d, J= 3.2, 0.7H), 5.939 (br d, 0.6H, J=6.8), 5.721 (br d, 0.2H, J=7.2), 5.65-5.55 (m, 1.3H), 5.52-5.41 (m, 1H,), 5.28-5. 10 (m, 1.4H), 4.85-4.58 (m, 2.4H), 4.48-4.40 (m, 0.6H), 4.318 (d, 0.1H, J=9.2), 4.205 (d, 0.1H, J=17.6), 4.02-3.93 (m, 0.9H), 3.84-3.62 (m, 2.2H), 2.179, 2.090, 2.021, 2.012, 2.001, 1.989, 1.983, 1.975, 1.968, 1.959 および 1.935 (すべて一重線, 12H, Ac), 1.88-1.56 (m, 5H, シクロヘキシル-CH2), 1.42-0.88 (m, 5H, シクロヘキシル-CH2). 1H NMR (ピリジン-d6, 400 MHz, δ7.22, 100℃)は、一般的な糖プロトンしか示さず、(アセテート一重線以外の)残りのシグナルは複雑で、かつ大きな塊状のシグナルが示された。 α-アノマー;6.672 (d, J=3.6, glu-H1), 5.456 (dd, J=9.6, 3.6, glu-H2);β-アノマー;6.206 (d, J=8.0, glu-H1), 5.741 (t, J=9.2, glu-H4 または H5), 5.515 (dd, J=8.8, 8.0, glu-H2).
【0079】
工程b:N-ベンジル-N-(シクロヘキシルアセタミド)-1,2,3,4-テトラ-O-スルホ-α-D-グルクロナミド、四ナトリウム塩(PG2012)およびN-ベンジル-N-(シクロヘキシルアセタミド)-1,2,3-トリ-O-スルホ-α-D-グルクロナミド、三ナトリウム塩(PG2013)
脱アセチル化のための一般的な手順によって、上記した四酢酸塩(0.441g、0.747mmol)を脱アセチル化して、淡黄色ガラス質のN-ベンジル-N-(シクロヘキシルアセタミド)-D-グルクロナミドが得られた(0.316g、100%)。
【0080】
スルホン化のための一般的な手順によって、上記したテトロール(0.257g, 0.608mmol)をスルホン化した(三酸化イオウ・ピリジン複合体を用いて、19時間)。 この残渣を、トルエンを用いて共濃縮させ、次いで、フラッシュクロマトグラフィー [2.5×20cm、酢酸エチル、シアン化メチル、シアン化メチル-トリエチルアミン(10:1)、シアン化メチル-トリエチルアミン-水(110:2:11)]を用いて溶出した。 これら画分を、TLCとCEによって、二つに分割した。 極性の小さい試料を、フラッシュクロマトグラフィー、LH20(×2)およびイオン交換クロマトグラフィーによって再度精製したところ、凍結乾燥を終えた後に、白色綿毛様粉末のPG2013のトリ硫酸塩が得られた(19.3mg, 4.4%)。 1H NMR (D2O, 400 MHz): 56:44の比率で二つのロータマー. メジャー・ロータマー, δ 7.36-7.11 (m, 5H, Ph), 5.946 (d, 1H, J=3.2, H1), 4.894 (d, 1H, J=9.6, H5), 4.748 (d, 1H, J=16, a-CH2), 4.685 (d, 1H, J=16, a-CH2), 4.502 (t, 1H, J=10.4, 9.6, H3), 4.306 (dd, 1H, J=9.6, 3.6, H2), 4.005 (t, 1H, J= 9.6, 8.8, H4), 3.869 (s, 2H, b-CH2), 3.42-3.32 (m, 1H, シクロヘキシル-CHN), 1.64-1.36 (m, シクロヘキシル-CH2), 1.20-0.92 (m, シクロヘキシル-CH2); マイナー・ロータマー, 7.36-7.11 (n, 5H, Ph), 5.905 (d, 1H, J=3.2, H1), 4.578 (d, 1H, J=10, H5), 4.523 (s, 2H, c-CH2), 4.478 (t, J=10.4, 9.6, H3), 4.321 (d, 1H, J=17.6, d-CH2), 4.281 (dd, 1H, J=9.6, 3.2, H2), 4.039 (t, 1H, J=9.6, 9.2, H4), 3.900 (d, 1H, J=17.6, d-CH2), 3.42-3. 32 (m, 1H, シクロヘキシル-CHN), 1.64-1.36 (m, 5H, シクロヘキシル-CH2), 1.20-0.92 (m, 5H, シクロヘキシル-CH2). 13C NMR (D2O, 100MHz, 参照値なし): 二つのロータマーに起因して各シグナルは二通りある. 169.96 (アミト゛-CON), 169.75 (アミト゛-CON), 168.91 (アミト゛-CON), 168.85 (アミト゛-CON), 135.45 (ipso-Ph), 135.20 (ipso-Ph), 129.16, 129.07, 128.47, 128.32, 128.20 および 128.13(メタ-、オルト-およびハ゜ラ-Ph), 95.67 および 95.65 (glu-C1), 77.84 および 77.75 (glu-C3), 73.76 および 73.71 (glu-C2), 70.66 および 70.18 (glu-C4), 69.23 および 68.70 (glu-C5), 52.87 (a-CH2), 51.12 (c-CH2), 50.32 (d-CH2), 50.02 (b-CH2), 49.25 および 49.00 (シクロヘキシル-CHN), 31.89 および 31.86, 25.08 および 25.05, 24.47 および 24.38 (シクロヘキシル-CH2). ES-LRMS(+ve, m/z): C21H27N2Na3O16S3は、728.02と考えられるが、実際は、751 (M+Na+), 729 (M+H+)であり;ES-HRMS(+ve, m/z): M+Na+, C21H27N2Na4O16S3は、751.0113と考えられるが、実際は、750.1087;M+H+であり;C21H28N2Na3O16S3は、729.0294と考えられるが、実際は、729.0242であった。
【0081】
極性部分を、LH20(×2)カラムおよびイオン交換カラムによって精製したところ、凍結乾燥を終えた後に、灰色粉末のテトラ硫酸塩PG2012が得られた(7.6mg, 1.5%)。 1H NMR (D2O, 400 MHz): 70:30のモル比で二つのロータマー. メジャー・ロータマー, δ 7.34-7.16 (m, 5H, Ph), 5.954 (d, 1H, J=3.6, H1), 5.235 (d, 1H, J=9.6, H5), 4.904 (d, 1H, J=15.6, a-CH2), 4.67-4.57 (水と重複, 1H, H3), 4.536 (t, 1H, J=9.6, 8.8, H4), 4.466 (d, 1H, J=15.6, a-CH2), 4.394 (dd, 1H, J=9.8, 3.4, H2), 3.927 (d, 1H, J= 16.8, b-CH2), 3.749 (d, 1H, J=16.8, b-CH2), 3.30-3.20 (m, 1H, シクロヘキシル-CHN), 1.65-1.35 (m, 5H, シクロヘキシル-CH2), 1.18-0.92 (m, 5H, シクロヘキシル-CH2); マイナー・ロータマー, 7.34-7.16 (m, 5H, Ph), 5.912 (d, 1H, J=3.4, H1), 4.77-4.72 (m, 2H, H5 および H3 または H4), 4.689 (d, 1H, J=15.2, c-CH2), 4.67-4.56 (水と重複, 1H, H4 または H3), 4.373 (dd, 1H, J=9.8, 3.4, H2), 4.256 (d, 1H, J=18.4, d-CH2), 4.215 (d, 1H, J=15.2, c-CH2), 3.936 (d, 1H, J=18.4, d-CH2), 3.36-3.26 (m, 1H, シクロヘキシル-CHN), 1.65-1.35 (m, 5H, シクロヘキシル-CH2), 1.18-0.92 (m, 5H, シクロヘキシル-CH2). 13C NMR (D2O, 100 MHz, 参照値なし): メジャー・ロータマー, 172.35 (アミト゛-CON), 171.69 (アミト゛-CON), 137.22 (ipso-Ph), 131.71 および 131.58 (メタ- および オルト-Ph), 131.11 (ハ゜ラ-Ph), 97.68 (glu-C1), 78.08 (glu-C4), 77.60 (glu-C3), 76.43 (glu-C2), 70.10 (glu-C5), 55.81 (a-CH2), 53.17 (b-CH2), 51.77 (シクロヘキシル-CHN), 34.17 (シクロヘキシル-CH2), 27.56 (シクロヘキシル-CH2), 27.13 (シクロヘキシル-CH2); マイナー・ロータマー (一般的なピークのみが出現), 97.65 (glu-C1), 78.22 (glu-C4), 77.77 (glu-C3), 76.33 (glu-C2), 71.01 (glu-C5), 53.26 (d-CH2), 53.79 (c-CH2), 52.10 (シクロヘキシル-CHN), 34.28 (シクロヘキシル-CH2), 27.52 (シクロヘキシル-CH2), 27.08 (シクロヘキシル-CH2). ES-MS (+ve, m/z): C21H26N2Na4O19S4は、829.96と考えられるが、実際は、853(M+Na+), 831 (M+H+)であった。 ES-HRMS (+ve, m/z):M+Na+, C21H26N2Na5O19S4は、852.9501と考えられるが、実際は、852.9334であり; M+H+, C21H27N2Na4O19S4は、830.9682と考えられるが、実際は、830.9635であった。
【0082】
実施例10:PG2064
工程a:2-(N-アセチル-N-シクロヘキシル)アミノ-N-(メチル-2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-デオキシ-α-D-マンノピラノース-6-イル)アセタミド
ウギ反応のための一般的手順を終えた後に、四つの試薬、すなわち、酢酸(2Mのメタノール溶液、60μl、119μmol)、シクロヘキシルアミン(2Mのメタノール溶液、60μl、119μmol)、ホルムアルデヒド(2Mのメタノール溶液、60μl、119μmol)、およびメチル 2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-デオキシ-6-イソシアノ-α-D-マンノピラノシド(0.721Mのクロロホルム、150μl、108μmol)の各溶液を、4ml容の反応用容器内に入れ、次いで、この混合物を、60℃で、19時間攪拌した。 揮発性成分を減圧下で除去して、フラッシュクロマトグラフィー(4:1〜1:4のヘキサン:酢酸エチルを用いた勾配溶出)で精製したところ、42mg、60%(Rf=0.49, 酢酸エチル)にて、標記化合物を、透明質のガムとして得た。 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 72:28の比率の二つのロータマー、δ 7.38-7.26 (m, 15H, 3×C6H5), 6.933 (t, 72%×1H, J=4.4, メジャー・ロータマー内のNH), 6.357 (t, 28%×1H, J=5.8, マイナー・ロータマー内のNH), 4.91-4.41 (m, 7H, 糖-H1 および 3×PhCH2), 4.04-3.42 (m, 9H, 糖-H2-6, NCH2CO および シクロヘキシル-CH), 3.305 (s, 72%×3H, メジャー・ロータマー内のCH30), 3.266 (s, 28%×3H, マイナー・ロータマー内のCH30), 2.067 (s, 72%×3H, メジャー・ロータマー内のCH3CO), 2.012 (s, 28%×3H, メジャー・ロータマー内のCH3CO), 1.85-1.00 (m, 10H, シクロヘキシル-CH2).
【0083】
工程b:2-(N-アセチル-N-シクロヘキシル)アミノ-N-(メチル 6-デオキシ-2,3,4-トリ-O-スルホ-α-D-マンノピラノース-6-イル)アセタミド、三ナトリウム塩(PG2064)
ベンジルエーテルの脱保護のための一般的手順を終えた後に、上記トリベンジルエーテル(42mg, 0.065mmol)、活性化木炭に担持した20%パラジウム(22mg)の混合物を含むメタノール(2ml)を、水素雰囲気下、50psiで、10時間かけて攪拌した。 こうすることで、透明質ガムのトリオール中間産物が得られた。 スルホン化のための一般的手順によって、このトリオールは、スルホン化され(60℃、19時間で、三酸化イオウ錯体が得られ)、そして、粗製の産物を濃縮させた。 残渣を、連続式SEC(Bio Gel P-2と、それに続くLH20)によって精製した。 精製物を、イオン交換カラムに通してナトリウム塩に転化したところ、凍結乾燥を終えた後に、白色綿毛様粉末の標記化合物が得られた(二工程、3.1mg, 7.0%)。 1H NMR (D2O, 2.05のアセトンの状態参照値, 400 MHz): 63:37の比率の二つのロータマー、δ 4.844 (s, 1H, 糖-H1), 4.678 (s, 1H, 糖-H2), 4.51-4.45 (m, 1H, 糖-H3), 4.240 (t, 37%×1H, J=9.6, マイナー・ロータマー内の糖-H4), 4.214 (t, 63%×1H, J=9.6, メジャー・ロータマー内の糖-H4), 3.980 (s, 37%×2H, マイナー・ロータマー内のCOCH2N), 3.825 (s, 63%×2H, メジャー・ロータマー内のCOCH2N), 3.78-3.59 (m, 3H, 糖-H5, 一つの糖-H6 および シクロヘキシル-CH), 3.31-3.17 (m, 4H, 一つの糖-H6 および CH3O [3.253, s, 3H]), 2.060 (s, 67%×3H, メジャー・ロータマー内のCH3CO), 1.900 (s, 33%×3H, マイナー・ロータマー内のCH3CO), 1.70-0.88 (m, 10H, シクロヘキシル-CH2).
【0084】
実施例11:PG2068
工程a
ウギ反応のための一般的手順を終えた後に、モノメチルコハク酸塩(15.7mg, 0.119mmol)と、三つの試薬、すなわち、エチルアミン(2Mのメタノール溶液、60μl、119μmol)、ホルムアルデヒド(2Mのメタノール溶液、60μl、119μmol)、およびメチル 2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-デオキシ-6-イソシアノ-α-D-マンノピラノシド(0.721Mのクロロホルム、150μl、108μmol)の各溶液とを、2ml容の反応用容器内に入れ、次いで、この混合物を、室温下で、19時間攪拌した。 揮発性成分を減圧下で除去して、フラッシュクロマトグラフィー(1:1〜1:4のヘキサン:酢酸エチルを用いた勾配溶出と、それに続く、酢酸エチルを用いた溶出)で精製したところ、透明質のガム状の精製物が得られた(46.8mg、65%)。 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 73:27の比率の二つのロータマー. δ 7.38-7.25 (m, 15H, Ph), 6.598 (t, 73%×1H, J=6, NH), 6.529 (t, 27%×1H, J= 6, NH), 4.93-4.61 (m, 7H, 糖-H1 および 3×PhCH2), 4.14-3.24 (m, 16H, 糖6 ×H, NCH2CO, 2×CH3O [3.660 および 3.301にて一重線, 73%; 3.648 および 3.276, 27%] および エチル-CH2), 2.70-2.42 (m, 4H, COCH2CH2CO), 1.138 (t, 73%×3H, J=7, エチル-CH3), 1.014 (t, 27%×3H, J= 7, エチル-CH3). 13C (100 MHz, CDC13, δ 77.0) : メジャー・ロータマー, 173.32, 171.73, 168.94, 138.20, 138.17, 138.09, 128.22, 128.18, 128.10, 127.76, 127.63, 127.49, 127.46, 98.94, 79.97, 75.38, 75.01, 74.84, 73.01, 72.01, 70.10, 54.63, 51.63, 49.84, 43.59, 39.63, 28.99, 27.24, 13.45. マイナー・ロータマー (重複が認められないピークのみ), 173.26, 171.54, 168.01, 128.27, 127.69, 127.55, 98.98, 79.85, 75.14, 74.40, 72.86, 71.92, 69.97, 54.74, 50.91, 49.72, 42.10, 28.90, 27.83, 12.29.
【0085】
工程b(PG2068)
ベンジルエーテルの脱保護のための一般的手順を終えた後に、上記トリベンジルエーテル(46.8mg, 0.0706mmol)、活性化木炭に担持した20%パラジウム(30mg)の混合物を含むメタノール(3ml)を、水素雰囲気下、50psiで、2時間かけて攪拌した。 こうすることで、透明質ガムのトリオール中間産物が得られた。 スルホン化のための一般的手順によって、このトリオールを、スルホン化した(60℃、19時間で、三酸化イオウ錯体が得られた)。 残渣を、1Mの水酸化ナトリウム(3ml、0.16M)に溶解した。 この混合物を、室温下で、終夜、攪拌し、そして、減圧下で濃縮した。 残渣を、連続式SEC(Bio Gel P-2と、それに続くLH20)によって精製した。 この精製物を、イオン交換カラムに通してナトリウム塩に転化したところ、白色粉末のPG2068が得られた(二工程、4.9mg, 9.8%)。 1H NMR (D2O, 2.05のアセトンの状態参照値, 400 MHz): 70:30の比率の二つのロータマー、δ 4.86-4.84 (m, 1H, 糖-H1), 4.69-4.67 (m, 1H, 糖-H2), 4.50-4.46 (m, 1H, 糖-H3), 4.28-4.19 (m, 1H, 糖-H4), 4.072 (s, 30%×2H, マイナー・ロータマー内のCOCH2Nの2H), 3.987 (d, 35%×2H, J=16.8, メジャー・ロータマーのCOCH2Nの1H), 3.815 (d, 35%×2H, J=16.8, メジャー・ロータマーのCOCH2Nの1H), 3.79-3.69 (m, 2H, 糖-H5 および 一つの糖-H6), 3.44-3.18 (m, 6H, 一つの糖-H6, エチル-CH2 および CH30 [3.245, s, 3H] ), 2.633 (t, J=6.8) および 2.45-2.37 (m, 全量4H, COCH2CH2CO2), 1.054 (t, 70%×3H, J=7.2, CH30), 0.906 (t, 30%×3H, J=7.2, CH30).
【0086】
実施例12:PG2075
工程a
3-クロロフェニル酢酸(223mg, 1.307mmol)を、シアン化メチル(3ml)に溶解した。 アンモニア溶液(28%, 0.26ml, 3.8mmol)を加えた。 この混合物を、しばらく攪拌した後に、真空中で濃縮させた。 残渣を、シアン化メチル(3ml)に懸濁させて、次いで、濾過して得た白色固体を、シアン化メチルで洗浄し、そして、凍結乾燥したところ、3-クロロフェニル酢酸アンモニウムが得られた(0.195g, 80%)。
【0087】
ウギ反応のための一般的手順を終えた後に、上記したアンモニウム塩(22.5mg, 0.120mmol)と、二つの試薬、すなわち、ホルムアルデヒド(2Mのメタノール溶液、60μl、119μmol)、およびメチル 2-イソシアノエチル 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-マンノピラノシド(0.762Mのクロロホルム、157μl、120μmol)の各溶液とを、2ml容の反応用容器内に入れ、次いで、この混合物を、室温下で、19時間攪拌した。
【0088】
揮発性成分を減圧下で除去して、フラッシュクロマトグラフィーで精製したところ、透明質のガム状の精製物が得られた(34.8mg、37%)。 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 7.39-7.06 (m, 24H, 4×C6H5 および 1×C6H4), 6.731 (t, 1H, J=6.0, NH), 4. (d, 1H, J=10.8, a-CH2), 4.844 (d, 1H, J=2.0, 糖-H1), 4.770 (d, 1H, J=12.4, b-CH2), 4.723 (d, 1H, J=12.4, b-CH2), 4.640 (s, 2H, c-CH2), 4.589 (d, 1H, J=11.6, d-CH2), 4.535 (d, 1H, J=11.6, d-CH2), 4.505 (d, 1H, J=10.8, a-CH2), 4.446 (d, 1H, J=14.8, e-CH2), 4.362 (d, 1H, J=14.8, e-CH2), 3.90-3.51 (m, 12H), 3.38-3.29 (m, 1H). 13C (100 MHz, CDC13, δ77.0) : 169.67, 166.81, 138.27, 138.11, 137.70, 135.16, 134.31, 129.82, 129.40, 128.34, 128.31, 128.01, 127.85, 127.78, 127.70, 127.68, 127.60, 127.53, 127.46, 98.90, 79.96, 75.08, 75.04, 74.71, 73.58, 72.73, 72.19, 72.13, 69.78, 68.49, 63.17, 40.25, 39.27.
【0089】
工程b(PG2075)
ベンジルエーテルの脱保護のための一般的手順を終えた後に、上記テトラベンジルエーテル(34.8mg, 0.0439mmol)、活性化木炭に担持した20%パラジウム(26mg)の混合物を含むメタノール(2ml)を、水素雰囲気下、50psiで、2時間かけて攪拌した。 こうすることで、透明質ガムのテトロール中間産物が得られた。 スルホン化のための一般的手順によって、このテトロールは、スルホン化された。 残渣を、SEC(Bio Gel P-2)によって精製した。 この精製物を、イオン交換カラムに通してナトリウム塩に転化したところ、凍結乾燥を終えた後に、白色綿毛様粉末のPG2075が得られた(二工程、10.6mg, 28%)。 1H NMR (D2O, 2.05のアセトンの状態参照値, 400 MHz): δ 7.30-7.11 (m, 4H, Ar), 5.00-4.97 (m, 1H, 糖-H1), 4.72-4.28 (m, 3H, 糖-H2, H3 および H4), 4.21-3.30 (m, 11H, 糖-H5, H6 および 4×CH2).
【0090】
実施例13:PG2014
工程a
ウギ反応のための一般的手順を終えた後に、2-(ベンジル 3,4,6-トリ-O-ベンジル-α-D-マンノピラノシド-2-イル)酢酸(50mg, 0.0835mmol)と、三つの試薬、すなわち、ベンジルアミン(2Mのメタノール溶液、41.8μl、0.0835mmol)、ホルムアルデヒド(2Mのメタノール溶液、41.8μl、0.0835mmol)、および2-イソシアノエチル 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-マンノピラノシド(0.415Mのメタノール溶液、201.4μl、0.0835mmol)の各溶液とを、2ml容の反応用容器内に入れ、次いで、この混合物を、室温下で、19時間攪拌した。 透明質のガム状の精製物が得られた(38.9mg、36%)。
【0091】
1H NMR (400 MHz): CO-NHのアミド単結合周囲の66:34の比率の二つのロータマー、δ 7.40-7.05 (m, 45H, 9×C6H5), 6.66 (t, 0.66H, J=5.6, CONH-メジャー・ロータマー) および 6.40 (t, 0.34H, J=5.4, CONH-マイナー・ロータマー), 5.104 (d, 0.66H, J=1.2, H1I-メジャー・ロータマー) および 5.046 (s, 0.34H, H1I-マイナー・ロータマー), 4.86-4.20 (m, 21H), 3.97-3.48 (m, 16H), 3.36 (q, 0.66H, J=5.6, メジャー・ロータマー) および 3.26 (q, 0.34H, J=5.6, マイナー・ロータマー).
【0092】
工程b(PG2014)
ベンジルエーテルの脱保護のための一般的手順を終えた後に、上記オクタベンジルエーテル(35mg, 0.0267mmol)、活性化木炭に担持した20%パラジウム(10mg)の混合物を含むエタノール(4ml)を、水素雰囲気下、50psiで、2時間かけて攪拌した。 こうすることで、透明質ガムのテトロール中間産物が得られた。 スルホン化のための一般的手順によって、このオクトールは、スルホン化された(60℃、19時間で、三酸化イオウ錯体が得られた)。 残渣を、SEC(Bio Gel P-2)によって精製した。 この精製物を、イオン交換カラムに通してナトリウム塩に転化したところ、白色粉末のPG2014が得られた(二工程、16.6mg, 44%)。 1H NMR (D2O, 400 MHz, 二つのロータマーが故に複雑化した): δ 7.32-7.14 (m, 5H, Ph), 5.80-5.66 (m, 0.5H), 5.44-5.39 (m, 0.5H), 5.04-4.96 (m, 1.5H), 4.80-4.20 (m, 9H, 水と重複した), 4.18-3.78 (m, 7.5H), 3.76-3.46 (m, 1.5H), 3.42-2.98 (m, 3.5H).
【0093】
実施例14:PG2016
工程a
ウギ反応のための一般的手順を終えた後に、トランス-1,4-ジアミノシクロヘキサン(6.3mg, 0.055mmol)と、三つの試薬、すなわち、2-(メチル 2,3,4-トリ-O-ベンジル-α-D-マンノピラノシド-6-イル)酢酸(0.91Mのメタノール溶液、121μl、0.11mmol)、ホルムアルデヒド(2Mのメタノール溶液、55μl、0.11mmol)、およびシクロヘキシルイソシアニド(1Mのメタノール溶液、110μl、0.11mmol)の各溶液とを、2ml容の反応用容器内に入れ、次いで、この混合物を、室温下で、5日間攪拌した。 揮発性成分を減圧下で除去して、フラッシュクロマトグラフィー(2:1〜1:4のヘキサン:酢酸エチルを用いた勾配溶出)で精製したところ、33.0mg、43%で、透明質のガム状の精製物が得られた(Rf=0.24, DCM-メタノール=95:5またはRf=0.48, シアン化メチル-酢酸エチル=1:1)。 1H NMR (D2O, 400 MHz, 複数のロータマーが故に非常に複雑化した): δ 7.50-7.20 (m, 30H, Ph), 6.62 (br s, 6.48 (br s, 1.1H), 6.48 (br, s, 0.38H), 5.96 (br d, 0.26H, J=8), 5.79 (br d, 0.26H, J=10), 4.92-4.85 (m, 2H), 4.78-4.56 (m, 12H), 4.28-4.22 (m, 2.8H), 4.35-4.06 (m, 1.6H), 3.94-3.56 (m, 19.6H), 3.28 (s, 6H, OMe), 1.88-1.42 (m, 16H), 1.36-1.00 (m, 12H).
【0094】
工程b(PG2016)
ベンジルエーテルの脱保護のための一般的手順を終えた後に、上記ヘキサベンジルエーテル(33mg, 0.0235mmol)、活性化木炭に担持した20%パラジウム(65mg)の混合物を含むエタノール(2.8ml)を、水素雰囲気下、1気圧で、5日間かけて攪拌した。 こうすることで、透明質ガムのテトロール中間産物が得られた。 スルホン化のための一般的手順によって、このヘキソールは、スルホン化された。 残渣を、連続式カラムクロマトグラフィー(Bio Gel P-2と、それに続くイオン交換カラムを利用したSEC)によって精製したところ、白色粉末ののPG2016が得られた(12.2mg、35%)。 1H NMR (D2O, 400 MHz): δ 4.97-4.92 (m, 2H, man-H1), 4.77-4.75 (m, 2H, man-H2), 4.58-4.52 (m, 2H, man-H3), 4.46-4.08 (m, 6H, 4.46-4.36でのman-H4、それに、OCH2COを含む), 3.98-3.80 (m, 8H, man-H5, man-H6 および 3.80-3.32 (m, 6H, 3.80-3.64でのman-H6、それに、シクロヘキシル-CH2を含む), 3.318 (s, 6H, OMe), 1.82-1.34 (m, 18H, シクロヘキシル-CH2), 1.26-1.00 (m, 10H, シクロヘキシル-CH2). ES-MS (+ve, m/z): C40H62N4Na6O34S6は、1472.10と考えられるが、実際は、1495 (M+Na+), 1473 (M+H+)であった。 ES-HRMS (+ve, m/z): M+Na+, C40H62N4Na7O34S6は、1495.0853と考えられるが、実際は、1495.0957であり、また、M+H+, C40H63N4Na6O34S6は、1473.1034と考えられるが、実際は、1473.1082であった。
【0095】
実施例15:PG2015
工程a
ウギ反応のための一般的手順を終えた後に、3,3-ジメチルグルタル酸(7.1mg, 0.0443mmol)と、三つの試薬、すなわち、3-アミノプロピル 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-マンノピラノシド(0.642Mのメタノール溶液、138μl、0.0886mmol)、ホルムアルデヒド(2Mのメタノール溶液、44.3μl、0.0886mmol)、およびシクロヘキシルイソシアニド(1Mのメタノール溶液、88.6μl、0.0886mmol)の各溶液とを、2ml容の反応用容器内に入れ、次いで、この混合物を、室温下で、5日間攪拌した。 揮発性成分を減圧下で除去して、フラッシュクロマトグラフィー(2:1〜1:4のヘキサン:酢酸エチルを用いた勾配溶出)で精製したところ、32.3mg、46%で、透明質のガム状の精製物が得られた(Rf=0.45, ヘキサン-酢酸エチル=1:3)。 1H NMR (CDCl3, 400 MHz, 複数のロータマーが故に非常に複雑化した): δ 7.38-7.21 (m, 40H, Ph), 7.003 (d, 0.41H, J=7.7), 6.930 (br s, 0.21H), 6.726 (d, 0.4H, J=8.4), 6.597 (d, 0.73H, J=8.8), 6.487 (br s, 0.25H), 4.85-4.78 (m, 4H), 4.76-4.59 (m, 10H), 4.54-4.45 (m, 4H), 4.00-3.62 (m, 20H), 3.46-3.14 (m, 6H), 2.52-2.22 (m, 4H), 1.90-1.52 (m, 15H), 1.34-1.00 (m, 15H).
【0096】
工程b(PG2015)
ベンジルエーテルの脱保護のための一般的手順を終えた後に、上記ヘキサベンジルエーテル(32.3mg, 0.0202mmol)、活性化木炭に担持した20%パラジウム(41mg)の混合物を含むエタノール(2.8ml)を、水素雰囲気下、1気圧で、5日間かけて攪拌した。 こうすることで、透明質ガムのオクトール中間産物が得られた。 スルホン化のための一般的手順によって、このオクトールは、スルホン化された。 残渣を、SEC(Bio Gel P-2)によって精製したところ、白色粉末ののPG2015が得られた(12.6mg、37%)。 1H NMR (D2O, 400 MHz): δ 5.020 (d, 2H, J=1.6, man-H1), 4.759 (br s, 2H, man-H2), 4.66-4.56 (m, 2H, man-H3, 水と重複した), 4.46-4.41 (m, 2H, man-H6), 4.265 (t, 2H, J=9.6, 9.2, man-H4), 4.10-3.96 (m, 4H, man-H5 および man-H6), 4.05-3.14 (m, 14H, NCH2CO, シクロヘキシル-CH および NCH2CH2CH2O), 2.50-2.11 (m, 4H, CCH2CO), 1.84-1.42 (m, 14H, シクロヘキシル-CH2 および NCH2CH2CH2O), 1.24-0.93 (m, 16H, シクロヘキシル-CH2 および Me). ES-MS (+ve, m/z): C41H93N11O37S7(7×SO3NH4)は、1556と考えられるが、実際は、1578 (M+Na+), 1556 (M+H+)であった。 ES-HRMS (+ve, m/z): M+H+, C41H93N11O37S7は、1556.3857と考えられるが、実際は、1556.3783であった。
【0097】
実施例16:PG2155
エチル 2,6-ジ-O-ベンジル-3,4-ジ-O-スルホ-β-D-ガラクトピラノシド、二ナトリウム塩(PG2155)
一般的なスルホン化の方法を利用して、ガラクトピラノシド[23]から透明質粉末の標記化合物を得た。 1H NMR (400 MHz, D2O): δ 1.10 (dd, 3H; CH2CH3), 2.49-2.66 (m, 2H, CH2CH3) ; 3.59 (dd, 1H, J1,22,3 9.7Hz; H-2); 3.65 (dd, 1H, J5,6a 3.3, J6a,6b 11.0Hz; H-6a); 3.68 (dd, 1H, J5,6b 4.0Hz; H-6b); 3.83 (m, 1H; H-5); 4.36 (dd, 1H, J3,4 3.0Hz; H-3); 4.46 (s, 2H; CH2Ph) ; 4.48 (d, 1H; H-1); 4.60, 4.75 (AB四重線, J 10.3Hz; CH2Ph); 4.85 (dd, 1H; J4,5 0.0Hz; H-4); 7.22-7.29, 7.37-7.39 (2m, 10H; ArH).
【0098】
実施例17:PG2163
工程a:メチル 4-O-アリール-6-アジド-6-デオキシ-2,3-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-マンノピラノシド
メチル 6-アジド-6-デオキシ-α-D-マンノピラノシド(311mg, 1.419mmol)を含む2,2-ジメトキシプロパン(4.7ml, 0.3M)の溶液を、(±)-カンファー-10-スルホン酸(16mg, 0.0709mmol, 5モル%)で処理した。 この混合物を、室温で、1時間攪拌した。
【0099】
TLCは、標記化合物への完全な転化を示した(Rf=0.40, 酢酸エチル-ヘキサン=17:83)。 この混合物に、飽和炭酸ナトリウム(水性溶液)を加えて塩基性とし、次いで、真空下で濃縮させた。 残渣を、酢酸エチル(30ml)を用いて抽出して、酢酸エチル抽出溶液を塩水で洗浄して、そして、乾燥させた(硫酸マグネシウム)。 濾過と濃縮を経て生成したガム質を、トルエンを用いて、一度、共濃縮させた。 最終的に得られた透明質のガムを無水DMF(3.5ml, 0.4M)に溶解させ、そして、水素化ナトリウム(60%鉱油分散液、163mg, 4.257mmol, 3当量)と共に、1時間攪拌した。 臭化アリール(360μl, 4.257mmol, 3当量)を加え、そして、得られた混合物を、室温下で、6時間攪拌し、メタノール(1ml)で処理し、そして、乾燥するまで濃縮させた。 残渣を、シリカカラムクロマトグラフィー(2.5×18cm、1:10〜1:6の酢酸エチル:ヘキサンで溶出)によって精製したところ、透明質ガムの標記化合物が得られた(二工程で、0.281mg, 66%)。
【0100】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 5.85 (m, 1H, アリール-2'), 5.23 (ddd, 1H, J2-3'trans=17.2, J3'-gem=3.6, J1'-3'= 1.6, H3'trans), 5.17-5.13 (m, 1H, H3'cis), 4.89 (s, 1H, H1), 4.35 (dddd, 1H, J1'gem=12.4, J1'-2'=5.2, J=1.6, H1'), 4.16 (dd, 1H, J2-3=5.6, J3-4=7.2, H3), 4.09 (d, 1H, H2), 4.05 (dddd, 1H, H1'), 3.67 (ddd, J4-5=10.4, J5-6ax=6.8, J5-6eq=2.4, H5), 3.48 (dd, 1H, J6ax-6eq=13.2, H6eq), 3.40 (dd, 1H, J6ax-6eq=13.2, J5-6ax=6.8, H6ax), 3.33 (dd, 1H, H5), 1.50 (s, 3H, Me), 1.30 (s, 3H, Me). 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): 134.4, 117.1, 109.2, 98.0, 78.2, 76.2, 75.6, 71.5, 68.0, 54.9, 51.6, 27.8, 26.1.
【0101】
工程b:メチル 4-O-アリール-6-アジド-6-デオキシ-α-D-マンノピラノシド
メチル 4-O-アリール-6-アジド-6-デオキシ-2,3-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-マンノピラノシド(56mg, 0.187mmol)を、シアン化メチル-メタノール-水(それぞれ、3ml, 3mlおよび0.2ml)に溶解し、そして、p-トルエンスルホン酸モノ水和物(7mg, 0.0374mmol, 20モル%)で処理した。 この混合物を、室温下で、5時間攪拌した後に、トリエチルアミン(0.4ml)を加えた。 こうして得られた混合物を濃縮させて、そして、残渣を、カラムクロマトグラフィー(1×18cmのシリカ、1:6〜2:1の酢酸エチル:ヘキサンで溶出)で精製したところ、透明質の蝋状固形物が得られた(34.8mg, 72%)。 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 5.91 (m, 1H, アリール-H2'), 5.28 (ddd, J2'-3'trans=16.8, J3'trans-3'cIs=3.0, J1'-3'=1.6, アリール-H3'trans), 5.20 (ddd, J2'-3'cIs=10.0, J3'trans-3'cIs=3.0, J1'-3'=1.6, アリール-H3'cIs), 4.72 (ddd, 1H, J1-2=2.0, H1), 4.28 (dddd, 1H, Jgem=12.4, J1'-2'=5.6, J=1.6, アリール-1'), 4.13 (dddd, 1H, アリール-1'), 3.92 (dd, 1H, J2-3=3.6, H2), 3.88 (dd, 1H, J3-4=9.6, H3), 3.70 (ddd, 1H, J4-5=9.6, J5-6ax=5.6, J5-6eq=2.8, H5), 3.54-3.44 (m, 3H, H4, H6ax および H6eq), 3.39 (s, 3H, MeO), 2.62 (br s, 2H, OH).
【0102】
工程c:メチル 4-O-アリール-6-アジド-2-O-ベンジル-6-デオキシ-2,3-ジ-O-スルホネート-α-D-マンノピラノシド 二ナトリウム塩(PG2163)
メチル 4-O-アリール-6-アジド-6-デオキシ-α-D-マンノピラノシドを、標準的な手順に従ってスルホン化したところ、55mg(89%)の標記化合物が、白色粉末として取得できた。 Rf=0.20(シアン化メチル:メタノール:水=10:2:1)。 1H NMR (D2O, 400 MHz): 5.88-5.76 (m, 1H, アリール-2'), 5.20 (d, 1H, J2'-3'trans=17.2, アリール-3'trans), 5.12 (d, 1H, J2'-3'cis=10.00, アリール-3'cis), 4.91 (s, 1H, H1), 4.65 (br s, 1H, J2-3=3.2, H2), 4.48 (dd, 1H, J2-=3.2, J3-4=9.2, H3), 4.21 (dd, 1H, Jgem=11.6, J1'-2'=5.6, アリール-1'), 4.00 (dd, 1H, J1'-2'=6.4, アリール-1'), 3.71-3.67 (m, 1H, H5), 3.58 (dd, 1H, J6eq-6ax=13.6, J5-6eq=2.0, H6eq), 3.58 (dd, 1H, J4-5=9.6, H4), 3.46 (dd, 1H, J6eq-6ax=13.6, J5-6ax=5.6, H6ax), 3.30 (s, 3H, MeO). 13C NMR (D2O, 100 MHz, 49.05ppmの内在メタノール): 133.9, 119.2, 98.4, 76.1, 75.3, 74.2, 73.1, 70.7, 55.4, 50.8.
【0103】
実施例18:PG2160、PG2161およびPG2173
工程a:メチル 6-アジド-6-デオキシ-2,3-ジ-O-ベンジリデン-α-D-マンノピラノシド
メチル 6-アジド-6-デオキシ-α-D-マンノピラノシド(1.011g, 4.61mmol)を、無水DMF(9ml)とアセトニトリル(9ml)に溶解した。 ベンズアルデヒドジメチルアセタール(1.38ml, 9.22mmol, 2当量)と(±)-カンファー-10-スルホン酸(214mg, 0.922mmol, 20モル%)を、この順序で加えた。 得られた混合物を、屋内にて、60℃(外部温度)で終夜攪拌し、次いで、揮発性成分を回転式濃縮装置で除去した。 残渣を、シリカゲルに通し、そして、カラム(2.5×20cmのシリカ、10:1、9:1、7:1、5:1、4:1、3:1〜2:1のヘキサン:酢酸エチルの勾配溶出)によって精製した。 これら画分を回収して、二つのグループに分けた。 極性の小さなグループ(Rf=0.55および0.51, 3:1のヘキサン:酢酸エチル)は、4-アセタールの混合物であり、また、極性を有するグループは、主に4-OH 産物であった。 これら混合物を合わせてから、濃縮に供した。 残渣を、ジクロロメタン(50ml)に再度溶解し、次いで、1M塩化アンモニウム溶液(50ml)と共に攪拌した。 極性の小さな産物は徐々に消失して、極性産物へと転化していった。 しかしながら、40分を過ぎると、新たな転化は認められなかった。 そのため、ジクロロメタン相を分離し、そして、0.5M 塩酸溶液(50ml)と共にさらに20分間かけて攪拌した。 その後、TLCでの変化は認められなかった。 DCM相を分離し、そして、塩性溶液-1M水酸化ナトリウムで洗浄してから、乾燥(硫酸マグネシウム)させた。 乾燥させたDCM濃縮液を、濾過および濃縮させて、得られた残渣を、上記したシリカカラムで精製したところ、透明ガム質の固形状の標記化合物を得た(0.543g, Rf=0.29, 酢酸エチル-ヘキサン=1:3)。 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 1:1の比率で二つのベンジリデンエピマーが存在。 7.49-7.36 (m, 5H, C6H5), 6.126 および 5.902 (2xs, 1H, ヘ゛ンシ゛リテ゛ン-CH), 5.066 および 4.987 (2xs, 1H, 糖-H1), 4.396 (dd, 0.5H, J=6.4, 5.6, 糖-H3), 4.248 (dd, 0.5H, J=6.4, 6.0, 糖-H3), 4.214 (dd, 0.5H, J=6.0, 糖-H2), 4.102 (dd, 0.5H, J=4.8, 糖-H2), 3.86-3.38 (m, 4H), 3.466 および 3.424 (2xs, 3H, CH30), 2.984 (br s, 1H, OH). 13C NMR (CDCl3, 100 MHz): 138.01, 136.41, 129.38, 128.99, 128.24, 128.12, 126.41, 125.86, 103.85, 102.60, 97.74, 97.53, 79.36, 77.75, 77.47, 74.81, 70.00, 68.91, 68.42, 66.97, 54.78, 51.18 および 51.10.
【0104】
工程b:メチル 6-アジド-3-O-ベンジル-6-デオキシ-α-D-マンノピラノシドおよびメチル 6-アジド-2-O-ベンジル-6-デオキシ-α-D-マンノピラノシド
メチル 6-アジド-6-デオキシ-2,3-ジ-O-ベンジリデン-α-D-マンノピラノシド(240mg, 0.781mmol)を含むDMF(7.8ml, 0.1M)の溶液を、水素化シアノ硼素ナトリウム(589mg, 9.37 mmol, 12当量)および3Å分子篩(1g)で処理した。 この混合物を、室温下で、20分間攪拌し、そして、70℃で、TFA(0.361ml, 4.686 mmol, 6当量)を徐々に添加した。 添加を終えた後に、この混合物を、70℃で、6時間攪拌し、0℃にまで冷却してから、固形の炭酸ナトリウムを加えて塩基性に調整した。 この冷却混合物を濾過し、得られた塊状物を酢酸エチルで洗浄した。 濾過と洗浄を終えた産物を、飽和炭酸ナトリウムで、一度、抽出を行った。 この抽出物を、カラムクロマトグラフィー(2.5×10cmのシリカ、1:4〜1:1のヘキサン:酢酸エチルで溶出)で精製して、濃縮を行ったところ、ガム質のメチル 6-アジド-3-O-ベンジル-6-デオキシ-α-D-マンノピラノシド(透明質ガム, 64mg, 26%, Rf=0.45, 1:1の酢酸エチル:ヘキサン) 、すなわち、1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 7.41-7.32 (m, 5H, Ph), 4.78 (d, 1H, J1-2=1.6, H1), 4.70 (d, 1H, Jgem=12.0, CH2), 4.56 (d, 1H, CH2), 4.02 (dd, 1H, J2-3=3.2, H2), 3.78 (dd, 1H, J3-4=8.4, J4-5=10.0, H4), 3.73 (ddd, 1H, J5-6ax=6.0, J5-6eq=3.2, H5), 3.64 (dd, 1H, H3), 3.52 (dd, 1H, J6ax-6eq=13.2, H6eq), 3.47 (dd, 1H, J6ax-6eq=13.2, J5-6ax=6.0, H6ax), 3.40 (s, 3H, MeO), 2.21 (br s, 2H, 2xOH) および メチル 6-アジド-2-O-ベンジル-6-デオキシ-α-D-マンノピラノシド(透明質の蝋状固形物, 62mg, 26%, Rf=0.27, 1:1の酢酸エチル:ヘキサン)、すなわち、1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 7.38-7.28 (m, 5H, Ph), 4.78 (s, 1H, H1), 4.71 (d, 1H, J=11.6, CH2), 4.53 (d, 1H, J=11.6, CH2), 3.75-3.61 (m, 4H, H2, H3, H4 および H5), 3.53 (dd, 1H, J=13.2, 1.5, H6eq), 3.46-3.40 (dm, 1H, J=13.2, H6ax), 3.38 (s, 3H, MeO), 2.83 (br s, 2H, 2xOH)が得られた。
【0105】
工程c:メチル 6-アジド-2-O-ベンジル-6-デオキシ-2,3-ジ-O-スルホネート-α-D-マンノピラノシド、二ナトリウム塩(PG2160)
メチル 6-アジド-2-O-ベンジル-6-デオキシ-α-D-マンノピラノシドを、スルホン化のための一般的手順によってスルホン化したところ、59%で、64mgの白色粉末の標記化合物が得られた。 1H NMR (D2O, 400 MHz): 7.38-7.26 (m, 5H, Ph), 4.72 (d, 1H, Jgem=12.0, CH2Ph), 4.59 (d, 1H, J1-2=2.0, H1), 4.58 (d, 1H, CH2Ph), 4.49 (d, 1H, J2-3=2.8, J3-4=9.6, H3), 4.44 (dd, 1H, J4-5=9.6, H4), 4.07 (dd, 1H, H2), 3.78 (ddd, J5-6ax=5.6, J5-6eq=2.4, H5), 3.62 (dd, 1H, J6ax-6eq=13.2, H6eq), 3.51 (dd, 1H, J6ax-6eq=13.2, J5-6ax=5.6, H6ax), 3.22 (s, 3H, MeO).
【0106】
工程d:メチル 6-アジド-3-O-ベンジル-6-デオキシ-2,4-ジ-O-スルホネート-α-D-マンノピラノシド、二ナトリウム塩(PG2161)
メチル 6-アジド-3-O-ベンジル-6-デオキシ-α-D-マンノピラノシド(64mg)を、スルホン化のための一般的手順によってスルホン化したところ、66%で、58mgの白色粉末の標記化合物が得られた。 1H NMR (D2O, 400 MHz): 7.42-7.21 (m, 5H, Ph), 4.92 (d, 1H, J1-2=2.4, H1), 4.67 (d, 1H, Jgem=12.4, CH2Ph), 4.60 (d, 1H, CH2Ph), 4.56 (dd, 1H, J2-3=3.2, H2), 4.35 (dd, J3-4=9.6, J4-5=9.6, H4), 3.80 (dd, 1H, H3), 3.75 (ddd, J5-6ax=6.0, J5-6eq=2.8, H5), 3.66 (dd, 1H, J6ax-6eq=13.4, H6eq), 3.54 (dd, 1H, J6ax-6eq=13.4, J5-6ax=6.0, H6ax), 3.29 (s, 3H, MeO).
【0107】
工程e:メチル 6-[1'-(4-フェニル)トリアゾリル]-2-O-ベンジル-6-デオキシ-2,3-ジ-O-スルホネート-α-D-マンノピラノシド、二ナトリウム塩(PG2173)
メチル 6-アジド-2-O-ベンジル-6-デオキシ-2,3-ジ-O-スルホネート-α-D-マンノピラノシド、二ナトリウム塩を、フェニルアセチレンを用いたウイスゲンの反応手順に供したところ、67%で、6.8mgの白色粉末の標記化合物が得られ、酢酸エチル-メタノール-水=10:2:1でのRfは、0.34であった。 1H NMR (D2O, 400 MHz): 8.26 (s, 1H, トリアソ゛ール), 7.64-7.60 (m, 2H), 7.37-7.15 (m, 8H), 4.89 (dd, 1H, J=14.4, 2.8, H3), 4.67 (d, 1H, J=12.0, PhCH2), 4.57-4.39 (m, 5H, PhCH2, H 1, H4 および H6eq および H6ax), 4.04 (dd, 1H, J=2.8, 2.0, H2), 3.99 (ddd, 1H, J=9.2, 8.8, 2.4, H5), 2.83 (s, 3H, MeO).
【0108】
実施例19:PG2170
アリール 6-アジド-2,3-O-ジスルホネート-6-デオキシ-4-O-(1-ナフチルメチル)-α-D-マンノピラノシド、二ナトリウム塩(10%の2-ナフチルメチル異性体を含有)(PG2170)
アリール 6-アジド-6-デオキシ-α-D-マンノピラノシドからPG2163を調製する手順と同様にして、87%で、87.5mgの白色粉末の標記化合物が得られ、酢酸エチル-メタノール-水=10:2:1でのRfは、0.28(メジャー)と0.22(マイナー)であった。 1H NMR (D2O, 400 MHz): 7.87 (d, 1H, J=8.4, ナフチル), 7.65-7.54 (m, 2H, ナフチル), 7.33-7.19 (m, 4H, ナフチル), 5.68 (ddt, Jアリール2'-3'trans=22.0, Jアリール2'-3'cis=10.8, Jアリール1'-2'=6.0, アリール-2'), 5.23 (AB四重線, 2H, Jgem=12.0, ナフチル-CH2), 5.17-5.02 (m, 3H, アリール-3' および H1), 4.74 (dd, 1H, J1-2=2.0, J2-3=3.2, H2), 4.64 (d, 1H, J3-4=9.6, H3), 3.90 (dd, 1H, Jアリール1'gem=13.2, J=6.0, アリール1'), 3.81 (dd, 1H, アリール-1'), 3.64 (t, 1H, J4-5=9.6, H4), 3.39 (ddd, 1H, J5-6eq=2.0, J5-6ax=5.2, H5), 2.78 (dd, 1H, J6eq-6ax=13.6, H6eq), 2.68 (dd, 1H, J5-6ax=5.2, J6eq-6ax=13.6, H6ax). 異性体の一つである2-ナフチルメチル誘導体での典型的なシグナルは、4.84 (AB四重線, 2H, Jgem=11.2, ナフチル-CH2), 3.52 (ddd, J4-5=10.0, J5-6eq=2.4, J5-6ax=6.0, H5), 3.07 (dd, 1H, J6eq-6ax=13.6, H6eq), 2.96 (dd, 1H, J6eq-6ax=13.6, J5-ax=6.0, H6ax)である。 この異性体は、工程aで用いた1-および2-ブロモメチルナフタレンの9:1の混合物として市販されている。
【0109】
上記実施例1〜19において詳述した手順に好適な修正を加えた合成法を利用して、その他の化合物も合成されている。 本願発明の化合物の生物学的試験の結果を示した以下の表に、それら化合物が例示されている。
【0110】
実施例20
化合物生物学的試験
方 法
1.成長因子結合性
溶液の親和性を利用する表面プラズモン共鳴装置(SPR)を用いて、成長因子に関与するリガンドの結合性を分析した。 この分析法の原理では、検知素子表面に固定されたヘパリンが、成長因子とリガンドを含む平衡化溶液内の遊離成長因子と結合成長因子を識別する作用が利用されている。 この溶液が注入されて、固定化されたヘパリンに遊離成長因子が結合すると、SPR応答値が増大し、そして、濃度が決定される。 リガンド濃度の作用によってもたらされる遊離成長因子の濃度の低下は、解離定数、Kd値の算出を可能にする。 ヘパリン結合部位が相互作用性に関与している場合においてのみ、成長因子へのリガンドの結合が認められることは重要事項であり、それが故に、タンパク質のその他の部位への非特異的な結合を分析する必要性は解消される。 すべてのタンパク質:リガンドの相互作用において、1:1の化学量論的関係があるものと考えられる。
【0111】
ストレプトアビジンで被覆された検知素子へのビオチン化したBSA-ヘパリンの固定化を利用して、ヘパリンで被覆された検知素子を調製する方法が開示されている[24]。 アジピン酸ジヒドラジドまたは1,4-ジアミノブタンのいずれかを用いたアルデヒド結合を利用して、ヘパリンを固定化することができる。 各Kd値を決定するために、特定濃度のタンパク質と多様な濃度のリガンドとを含む緩衝液から溶液を調製した。 FGF-1とVEGFへのリガンドの結合性は、HBS-EP緩衝剤 (10mM HEPES, pH 7.4, 150mM 塩化ナトリウム, 3.0 mM EDTA および 0.005%(v/v)ポリソルベート20)で、また、FGF-2へのリガンドの結合性は、0.3M 塩化ナトリウムを含むHBS-EP緩衝剤で分析を行った[24]。 注入に先駆けて、タンパク質の安定性を最大限に高めるために、4℃で試料を保存した。 各混合物の分析において、50〜200μlの溶液を5〜40μl/分の速度で注入し、そして、相対的結合応答値を測定した。 すべての表面結合性試験を、25℃にて行った。 40μlの4M塩化ナトリウムを40μl/分の速度で注入し、次いで、40μlの緩衝液を40μl/分の速度で注入することによって、表面が再生された。
【0112】
センサーグラムデータを、BIAevaluationソフトウェア(BIAcore)を用いて解析した。
【0113】
特異的結合性に関する曲線を得るために、センサーグラム実験値からセンサーグラム初期値を控除し、そして、ベースラインを、ゼロからすべての曲線に対して順次に補正を行った。 各注入試験での相対的結合応答値を、以下の数式、すなわち、
【0114】
【数1】

式中、γは、相対的結合応答値であり、また、γmは、最大の結合応答値である数式を用いて、遊離タンパク質濃度から換算した。 注入前の溶液内に存在する結合平衡状態は、1:1の化学量論的関係にあると考えられる。 従って、
【0115】
【数2】

式中、Pは成長因子タンパク質、Lはリガンド、P・Lはタンパク質:リガンド錯体である平衡状態での平衡式は、
【0116】
【数3】

であり、結合方程式[24]は、
【0117】
【数4】

として表すことができる。
【0118】
ここで示したKd値は、結合方程式を用いて、[P]値と[L]総量値値が描く曲線から導いた数値である。 Kd値を二度取得した場合には、ここに示した数値は、実測値の平均値を用いている。 これら成長因子に強固に結合するGAG模倣物は、in vivoにて生物学的応答を惹起することが知られている[24]。
【0119】
2.抗ウィルス性分析
ウィルス感染阻止および細胞間のウィルス伝播阻止に関するNyberg et al. [25]に記載の方法に従って、二つのタイプの単純ヘルペスウィルス(HSV)、すなわち、HSV-1およびHSV-2に対して、選択した化合物の試験を行った。 6-ウェルクラスタープレートで培養されたアフリカミドリザルの腎臓細胞(GMK AH1)[26]の単層培養物を用いた。 ここで使用したウィルス株は、1型単純ヘルペスウィルス(HSV-1)KOS321株[27] とHSV-2株333[28]であった。
【0120】
双方の分析において、200μmの化合物を試験に供した。
【0121】
(i) HSV感染の分析では、これら化合物をウィルスと共存させ、室温下で、10分間インキュベーションさせ、そして、これら混合物を細胞に加えて、細胞へのウィルスの付着/侵入を許容(阻止)させるだけの目的で、そのまま1時間放置した。 つまり、この分析は、試験に供した化合物の効果、すなわち、ウィルス粒子へ結合する効果の有無、そして、細胞へのウィルスの付着/侵入を阻害する効果の有無を明らかにする。 ウィルスプラーク数の減少によって、阻害効果が確認できる。
【0122】
(ii) HSV伝播とも呼ばれている次の分析は、ウィルスの付着/侵入が試された後の細胞に化合物を加える方式の分析である。 この分析は、試験に供した化合物の効果、すなわち、感染細胞から未感染細胞への伝播(細胞間伝播)を阻害する効果の有無に加えて、細胞に侵入してウィルスの複製を阻害する効果の有無を明らかにする。 ウィルス感染分析で効果が認められず、ウィルス伝播分析で活性が認められた事例は、その化合物が、細胞内に侵入して、ウィルスの複製工程を阻害していることを示唆するものである。 ウィルスプラークの大きさの縮小によって、阻害効果が確認できる。
【0123】
試験結果(表5を参照されたい)は、対照に対する百分率(%)、すなわち、疑似処理した対照(化合物使用せず)に対して、化合物の存在下で形成されたウィルスプラークの数(感染分析)または大きさ(伝播分析)を記載している。
【0124】
結 果
前節に記載した試験の結果を、以下の表1〜表5にまとめた。
【0125】
【化5】

【0126】
【表1】

【0127】
【化6】

【0128】
【表2−1】

【0129】
【表2−2】

【0130】
【表2−3】

【0131】
【表2−4】

【0132】
【表2−5】

【0133】
【表2−6】

【0134】
【表2−7】

【0135】
【化7】

【0136】
【表3−1】

【0137】
【表3−2】

【0138】
【表3−3】

【0139】
【表3−4】

【0140】
【化8】

【0141】
【表4】

【0142】
【表5−1】

【0143】
【表5−2】

表1〜表4に記載の結果は、本願発明が提供する多種多様な化合物が、GAG結合性成長因子に対して顕著な親和性を示し、また、それらの活性に関するモジュレーターとしても機能することを実証するものである。 また、表5に記載の結果は、これら化合物が、in vivo活性を実際に有していることを実証している。
【0144】
前出の実施態様は、本願発明の概要を例示する目的のものでしかなく、当業者であれば、様々な修正や変更を容易に想到できるであろう。 本願発明は、様々な方法で実施および再現することができ、また、前述した以外の実施態様に従っても実施および再現することができる。 本願明細書で使用した用語は、発明の説明のためのものでしかなく、それらに基づいて本願発明を限定的に解釈すべきではない。
【0145】
本願明細書で使用した「含む」という用語、それに「包含する」または「含んでいる」などのその同義語は、そこで言及されている単数または複数の要素を取り込んでいる状態を指すものであって、その用語に関する限定的解釈についての断りが無い限りは、その他の単数または複数の要素を排除することは意図されていない。
【0146】
本願明細書で引用した文献を一覧するが、このことは、オーストラリアでの一般的技術常識に基づいて、本願発明が構成されていることを肯定するものではない。
【0147】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式、すなわち;
【化1】

式中、独立的な各Xは、CH2、C(O)、N、O、S、S(O)、S(O)2または化学結合であり、および
独立的なR1〜R5の各々は、化学結合、あるいは、水素;ハロゲン;アジド;C1〜C8アルキルまたはアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり、かつ、任意に、アルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはアリーロキシ基;-COOH、-S(O)2OH、リン酸塩、カルボン酸塩またはテトラゾリルによってさらに置換されるR基;-S(O)2OH、-S(O)OH、-S(O)R、-S(O)2R、-S(O)2NH2、-S(O)2OR、-S(O)OR;-C(O)R;リン酸塩、カルボン酸塩またはテトラゾリル;未置換または置換済の複素環式化合物、すなわち、アルキルまたはアリール基、そして、前述したR基を有する-CH2NHC(O)R、-CH2N(C(O)R)2、-CH2OR;新規の環状基を形成するために異なるR1〜R5への結合;以下の式、すなわち;
【化2】

で表現される官能基に基づいた化学構造であって、式中、Yは、水素、そして、前述したR基を有するRまたは-C(O)R;少なくとも一つで、かつ二つを超えない独立的なR7〜R11は、化学式Iに記載の構造を有しており;または、「Y」基を介して化学式IIに記載の第二のユニットを含む化学構造を形成し、
さらに、独立的な各ユニットは、R1が-CH3、-S(O)2OHまたは-Hの場合に、R2〜R5の少なくとも一つが-Hまたは-S(O)2OHでなく、また、化学式IIの構造が存在せず、かつR1〜R5のいずれもが無水架橋を形成しない場合に、R1〜R5の二つ以下が、-S(O)2OHであり、また、化学式Iの立体化学が、グルコまたはガラクトでないとの条件下で、R7〜R10によって置換されるとの要件を具備する化学構造、
からなるグループから選択される化合物。
【請求項2】
本願明細書に記載されたPG2024、PG2037、PG2173、PG2198である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
本願明細書の表1〜表4に記載の化合物のいずれかである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
哺乳動物における、凝固作用、血栓症および/または微生物感染に起因する疾患の予防または治療のための薬学的または獣医学的組成物であって、請求項1に記載された少なくとも一つの化合物と共に、少なくとも一つの前記化合物のための薬学的または獣医学的に許容可能な担体または希釈剤を含む組成物。
【請求項5】
薬学的または獣医学的に許容可能な賦形剤、緩衝剤、安定剤、等張化剤、防腐剤または抗酸化剤をさらに含む請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物を、エステル、遊離酸または遊離塩基、水和物またはプロドラッグとして含有する請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
哺乳動物における、血管形成、腫瘍転移、微生物感染に起因する疾患の予防または治療のための薬剤を製造するための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項8】
前記哺乳動物が、ヒトである請求項7に記載の使用。
【請求項9】
哺乳動物における、血管形成、腫瘍転移、炎症、凝固作用、血栓症および/または微生物感染に起因する疾患を予防または治療するための方法であって、請求項1に記載された少なくとも一つの化合物または少なくとも一つの前記化合物を含む組成物の有効量を当該哺乳動物に投与する、ことを含む方法。
【請求項10】
前記哺乳動物が、ヒトである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
血管形成に起因する前記疾患が、増殖性網膜症または固形腫瘍の成長に起因する血管形成である請求項9に記載の方法。
【請求項12】
炎症に起因する前記疾患が、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、移植片拒絶症または慢性喘息に起因する請求項9に記載の方法。
【請求項13】
凝固作用および/または血栓症に起因する前記疾患が、深層静脈血栓症、肺塞栓症、血栓症脳卒中、末梢動脈血栓症、不安定アンギナまたは心筋梗塞に起因する請求項9に記載の方法。
【請求項14】
ウィルス感染に起因する前記疾患が、単純ヘルペスである請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2007−515434(P2007−515434A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545842(P2006−545842)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001800
【国際公開番号】WO2005/061523
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(506215180)プロジェン インダストリーズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】