説明

グループ通話制御サーバ

【課題】 コーデック変換やミキシングの手段を備えていない固定端末でも、複数のグループ通話をモニタリングすることができ、利便性を向上させることができるグループ通話制御サーバを提供する。
【解決手段】 モニタリング手段(MF102)が、固定端末600からのグループ通話のモニタリングの要求があると、固定端末でのコーデックの情報を付してグループ通話手段(PTCF103)にグループ通話からの音声データの転送を要求し、PTCFが、当該要求中の固定端末のコーデックの情報をコーデック変換手段(TCF101)に出力すると共に、グループ通話中の音声データをTCFに転送し、TCFが転送された音声データを固定端末のコーデックにコーデック変換してPTCFに転送し、PTCFが、コーデック変換された音声データをMFに転送し、MFが音声データを合成して固定端末に出力するグループ通話制御サーバとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線携帯端末を用いたグループ通話を実現するグループ通話制御サーバに係り、特にグループ通話を行っている端末とは別のコーデックを使用している固定端末から、容易にグループ通話のモニタリングを行うことができるグループ通話サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IP網上において、複数の無線携帯端末間で半二重多対多の同報通信によるグループ通話を行う方式として、PoC(Push-to-Talk over Cellular)を用いたものがある。
PoCでは、端末からボタンを押下して送話すると同時に複数の端末に送信され、複数の端末が音声を受信するようになっている。ボタンを押下して送話する方法をプレストークという。
また、IP電話における通話プロトコルとしてはSIP(Session Initiation Protocol)が用いられている。
【0003】
PoCを用いてグループ通話を行うシステムでは、グループ通話の制御サーバが、端末からの要求に応じてグループ通話を開始し、通話中、端末から送信の要求があった場合に、許可可能か否かを判断して当該端末に送信権を許可したり、端末から送信権の解放要求があった場合に送信権を解放するといった送信権の制御を行うようになっている。
【0004】
また、統制局等の固定端末において、任意のグループ通話のセッションから音声通話を受信するモニタリングを行うことがある。
固定端末でグループ通話のモニタリングを行うシステムについて図4を用いて説明する。図4は、グループ通話システムにおいて、固定端末でグループ通話のモニタリングを行う場合の一例を示す模式説明図である。
図4に示すように、ここでは、利用者が携帯する複数の移動局(Mobile Station;MS)1と、各移動局1を収容する複数の基地局(Base Station;BS)2と、モニタリングを行う固定端末3とを備えたグループ通話システムを示している。
【0005】
そして、グループ通話の制御を行うグループ通話制御サーバの処理手段として、PNP(Private Network Client Proxy)4と、PTPF(Press-Talk Server Participating Function)5と、PTCF(Press-Talk Server Controlling Function)6とを備えている。
尚、PNP4と、PTPF5は、アクセスゲートウェイ(Access Gate Way;AGW)で実現される処理手段である。
【0006】
PNP4は、位置登録された移動局1に対応して作成されるプロキシモジュールであり、SIPによる位置登録、個別通話、グループ通話のためのセッション制御を開始する。また、メディアフローの制御(帯域割り当て、フィルタリング、QoSマーキング)を行う。
PTPF5は、プレストークの制御を行うプレストークサーバであり、移動局1毎の設定情報を記憶しており、設定情報(着信優先度、応答モードが自動か手動か等)に基づいて、プレストーク通信の接続制御を行う。
【0007】
また、PTCF6は、プレストークによるグループ通話を制御するものであり、グループメンバの呼び出し、送信権の管理、PT(Press Talk)音声パケットの複製と転送を行う。
【0008】
そして、図4に示すように複数の移動局1間でグループ通話を行っている場合に、固定端末3からモニタリングを行う場合、固定端末3からPTCF6に対して、INVITEメッセージを送信して通話セッションに参加する。これにより、PTCF6は、PTPF5,PNP4を介して固定端末3にも音声データを転送することが可能となる。
【0009】
[先行技術文献]
尚、通話中の音声をモニタすることに関する先行技術としては、特開2005−348163「IP網における音声モニタ方法及び装置」(出願人:日本電信電話株式会社、発明者:村山政義)がある(特許文献1)。
この先行技術は、PSTN網とIP網をつなぐ音声ゲートウェイ装置において、通話中の音声を通話状態に影響を与えることなくモニタするために、音声ゲートウェイ装置の音声劣化ポイントであるCODEC処理部の前後に音声モニタ抽出ポイントを設け、該モニタポイントから通話中の音声をIPパケットにコピーして音声モニタ装置に送る機能部を備えたものである。
【0010】
【特許文献1】特開2005−348163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来のグループ通話システムにおけるモニタリングでは、グループ通話中の移動局が使用しているコーデックと固定端末が使用するコーデックと異なる場合には、固定端末においてコーデック変換を行わなければならず、また、複数のグループ通話のモニタリングを行う場合には、各グループ通話からの音声データを受信して、固定端末においてミキシングを行わなければならず、コーデック変換やミキシングの手段を設けた専用端末でなければグループ通話のモニタリングができず、不便であるという問題点があった。
【0012】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、コーデック変換やミキシングの手段を備えた専用端末以外の固定端末でも、複数のグループ通話をモニタリングすることができ、利便性を向上させることができるグループ通話制御サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ネットワーク中のグループ通話を制御すると共に、固定端末からのグループ通話の音声データのモニタリングを実現するグループ通話制御サーバであって、グループ通話における音声データの転送を行うグループ通話手段と、音声データのコーデック変換を行うコーデック変換手段と、グループ通話手段から転送された音声データを固定端末に出力するモニタリング手段とを備え、モニタリング手段が、固定端末から1又は複数のグループ通話のモニタリングの要求があると、固定端末において用いられるコーデックの情報を付してグループ通話手段に各グループ通話からの音声データの転送を要求し、グループ通話手段が、モニタリング手段からの要求に含まれる固定端末のコーデックの情報をコーデック変換手段に出力し、各グループ通話における音声データを受信すると、コーデック変換手段に転送し、コーデック変換手段が、グループ通話手段から転送された音声データを前記グループ通話手段から出力された固定端末のコーデックの情報に基づいてコーデック変換してグループ通話手段に転送し、グループ通話手段が、コーデック変換された音声データを前記モニタリング手段に転送し、モニタリング手段が、グループ通話手段から複数のグループ通話の音声データが転送された場合には、音声データを合成して固定端末に出力することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ネットワーク中のグループ通話を制御すると共に、固定端末からのグループ通話の音声データのモニタリングを実現するグループ通話制御サーバであって、グループ通話における音声データの転送を行うグループ通話手段と、音声データのコーデック変換を行うコーデック変換手段と、グループ通話手段から転送された音声データを固定端末に出力するモニタリング手段とを備え、モニタリング手段が、固定端末から1又は複数のグループ通話のモニタリングの要求があると、固定端末において用いられるコーデックの情報を付してグループ通話手段に各グループ通話からの音声データの転送を要求し、グループ通話手段が、モニタリング手段からの要求に含まれる固定端末のコーデックの情報をコーデック変換手段に出力し、各グループ通話における音声データを受信すると、コーデック変換手段に転送し、コーデック変換手段が、グループ通話手段から転送された音声データを前記グループ通話手段から出力された固定端末のコーデックの情報に基づいてコーデック変換してグループ通話手段に転送し、グループ通話手段が、コーデック変換された音声データを前記モニタリング手段に転送し、モニタリング手段が、グループ通話手段から複数のグループ通話の音声データが転送された場合には、音声データを合成して固定端末に出力するグループ通話制御サーバとしているので、固定端末にコーデック変換の手段や音声合成の手段を備えていなくても、複数のグループ通話のモニタリングを容易に行うことができ、利便性を向上させることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[発明の概要]
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係るグループ通話制御サーバは、音声データのコーデック変換を行うTCF(Transcoding Function)と、複数のグループ通話の音声データを受信してミキシングするMF(Monitoring Function)とを備え、AGWが、固定端末からモニタ要求を受けると、固定端末におけるコーデック情報を付してグループ通話への参加要求をMFに送信し、MFがPTCFに参加要求を転送し、PTCFがMFからの要求に含まれる固定端末のコーデック情報を付したコーデック変換指示をTCFに送信すると共に、グループ通話中の音声データをTCFに転送し、TCFはPTCFから音声データを受信すると、固定端末用のコーデック変換を行ってPTCFに転送し、PTCFは、MFにコーデック変換された音声データを送信するものであり、固定端末はMFを介して自己用にコーデック変換されたグループ通話の音声データを受信でき、更に、MFは、複数のグループ通話の音声データを受信した場合には、それらをミキシングして固定端末に出力することにより、固定端末では複数のグループ通話のモニタリングを同時に行うことができ、固定端末にコーデック変換やミキシングの手段を設ける必要がなくなり、利便性を向上させることができるものである。
【0016】
[実施の形態のシステム構成:図1]
本発明の実施の形態に係るグループ通話制御サーバを含む通信システムの構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るグループ通話制御サーバを備えたグループ通話システム(本システム)の構成ブロック図である。
図1に示すように、本システムは、移動局(MS;Mobile Station)401,501,511と、基地局(BS;Base Station)400,500と、グループ通話制御サーバ10と、固定端末600とを備え、BS400,500とグループ通話制御サーバ10とは、Ethernet(登録商標)等のWAN(Wide Area Network)とルータ及びレイヤ2(L2)スイッチを介して接続されている。
固定端末600は、グループ通話制御サーバ10のAGW300にISDN回線やIP回線で接続されている。
【0017】
基地局400の配下にある移動局401は、音声コーデックとしてコーデックC1を使用しており、基地局500の配下にある移動局501,511はコーデックC2を使用している。
また、固定端末600は、音声コーデックとしてコーデックC3を使用している。
各コーデック情報は、予めAGW300のPNPに設定されている。
【0018】
[グループ通話制御サーバ10]
ここで、本システムの特徴部分であるグループ通話制御サーバ(本サーバ)10について具体的に説明する。
グループ通話制御サーバ10は、本システムにおける呼制御や回線接続制御及びグループ通話制御を行うものであり、本システムの特徴として、固定端末600におけるグループ通話のモニタリングをサポートするものである。
【0019】
そして、グループ通話制御サーバ10は、処理手段として、TCF(Transcoding Function)101、MF(Monitoring Function)102、PTCF(Press-Talk Server Controlling Function)103、prCSCF(Private Call Session Control Function)200を備え、更にアクセスゲートウェイ300を備えている。
尚、TCF101は請求項に記載した「コーデック変換手段」に相当し、PTCF103は「グループ通話手段」に相当し、MF102は「モニタリング手段」に相当している。
【0020】
グループ通話制御サーバ10は、コンピュータで構成され、図示は省略するが、ハードウェアの主要な構成手段として、CPU等から成る制御部と、ハードディスク等から成る記憶部と、制御部のワークメモリとして機能する主メモリと、データのやりとりを行うインタフェース部とを備えている。
そして、制御部が、記憶部に記憶されているプログラムを主メモリに展開して起動し、プログラムに従って処理を行うことによって、上記各処理手段が実現されてそれぞれの機能が実行されるものである。
【0021】
[各処理手段について]
TCF101は、グループ通話内の音声コーデック変換を行うものであり、PTCF103からの要求に基づいてコーデック変換を行う。特に、本システムにおいては、グループ通話開始後、PTCF103からreINVITEリクエストにより、モニタリング用の固定端末600のコーデックの情報を受信すると、グループ通話のコーデック変換に加えて、当該固定端末600用のコーデック変換も行う。
【0022】
図1の例では、移動局401,501,511がグループ通話を行っており、固定端末600がそれをモニタリングをする場合を示している。
TCF101は、グループ通話においてはコーデックC1,C2間の相互のコーデック変換を行っているが、PTCF103からC3でのコーデック変換を要求するreINVITEリクエストがあると、固定端末600用のコーデックC3への変換も行って、コーデック変換された音声データを出力する。
【0023】
MF102は、固定端末600からのモニタ要求に伴うINVITEリクエストをPNPを介して受信すると、PTPFを介してPTCF103に出力して、グループ通話セッションへの参加を要求すると共に、PTPFを介してPTCF103からコーデック変換されたグループ通話の音声データを受信すると、PNP303を介して固定端末600に出力する。
その際、MF102は、PTCF103から複数のグループ通話の音声データを受信した場合には、それらの音声データをミキシングして、固定端末600に出力する。
【0024】
PTCF103は、従来のグループ通話システムにおけるPTCFと同様に、グループ通話において、グループメンバの呼び出し、送信権の管理、PT(Press Talk)音声パケットの複製と転送を行う。
更に、本システムの特徴として、MF102からINVITEリクエストがあった場合、当該INVITEリクエストに付されたコーデックの情報を読み取り、グループ通話において用いられているコーデックと異なる場合には、TCP101に対してreINVITEリクエストを送信して、固定端末用のコーデック変換も行うよう設定する。
そして、TCP101からコーデック変換された音声データを受信すると、変換されたコーデックに対応する移動局又は固定端末宛に転送する。
【0025】
prCSCF200は、SIPセッションにより、呼接続、呼の状態管理、呼切断等の基本的な制御を行う制御部である。prCSCF200は、位置登録された移動局や固定端末に対応するPNPのアドレスを記憶している。
また、prCSCF200は、PNP−MF間、PNP−PTPF間、PTPF−PTCF間、PTCF−TCF間のSIPメッセージ交換を仲介する。
【0026】
[AGW300]
AGW300は、通信に伴うセッションの制御を行うゲートウェイであり、個別通話やグループ通信の制御を行う。AGW3は、更に、処理手段として、PNP301,302,303と、PTPF311,312,313とを備えている。
尚、AGW300も上述したグループ通話サーバ10と同様にコンピュータで構成され、AGWにおける各処理手段も同様に、プログラムを制御部が読み込んで起動することにより実現されるものである。
【0027】
PNP301とPTPF311は移動局401に対応し、PNP302とPTPF312は移動局501及び502に対応し、PNP303とPTPF313は固定端末600に対応し、各々の端末に対応したセッションの制御を行う。
【0028】
PNPは、従来と同様に、SIPによるグループ通話のためのセッション制御を開始する。つまり、PNPは、BSからグループ呼設定要求があると、SIPのINVITEリクエストに変換し、prCSCF200に送信する。その際、SDP(Session Description Protocol)に端末のコーデックを指定する。
また、本システムの特徴として、固定端末600に対応するPNP303は、固定端末600からグループ通話のモニタリング要求を受信すると、SIPのINVITEリクエストに変換し、コーデック情報として固定端末の音声コーデックであるコーデックC3を指定して、MF102に送信する。コーデックの情報は予めAGW300に設定されている。
【0029】
PTPFは、従来と同様に、端末毎の、着信優先度、応答モード等の設定情報やステータスに基づいて、プレストークの制御を行う。
【0030】
固定端末600は、統括局等に設けられている固定電話機であり、コーデック変換手段やミキシング手段は設けられていないが、本システムではこのような一般的な固定端末であっても複数のグループ通話のモニタリングを行うことができるものである。
【0031】
[グループ通話のシーケンス:図2]
次に、本サーバを用いたシステムにおけるグループ通話開始時のシーケンスについて図2を用いて説明する。図2は、本サーバを用いたグループ通話のシーケンスを示す説明図である。
尚、PNP−PTPF間、PTPF−PTCF間、PTCF−TCF間はprCSCF200を介してSIPメッセージを送受信するが、ここでは、図を簡単にするために省略している。また、INVITEに対する100Tryingは省略している。
【0032】
図2に示すように、まず、移動局(MS)401から、MS501,511を含むグループについてグループ通話の要求があると、MS401を収容する基地局(BS)400は、AGW300のPNP301にグループ呼設定要求を送信する(S11)。
【0033】
PNP301は、当該グループ呼設定要求をSIPのINVITEリクエストに変換し、SDPに移動局401のコーデックC1を指定して、prCSCF200を介してPTPF311に送信する(S12)。
【0034】
PTPF311は、INVITEリクエストを受信すると、PNP301のステータスを判断し、グループ通話開始可能であると判断すると、コーデックC1を指定したINVITEリクエストをPTCF103に送信する(S13)。
【0035】
PTCF103は、受信したINVITEリクエストに基づいて、呼び出し元のコーデックがC1であることを認識する。更に、PTCF103は、INVITEリクエストで指定されたグループに対する呼び出しメンバであるMS501と、MS511を特定し、グループメンバ情報及びTCF101でコーデック変換を行うことができるコーデック情報(C1,C2,C3)を設定したINVITEリクエストをprCSCF200を介してPTPF312に送信する(S14)。
【0036】
PTPF312は、受信したINVITEリクエストに含まれているメンバのステータス、着信優先同等のメンバ固有情報を調べ、呼び出し可能なメンバが存在する場合、コーデックC1,C2,C3を指定したINVITEリクエストを、対応するPNP302に送信する(S15)。
【0037】
PNP302は、受信したINVITEリクエストに含まれているメンバと、コーデック情報を参照して、呼び出しメンバが使用できるコーデック情報が存在する場合、BS500に対してグループ呼設定を行ってメンバを呼び出す。ここでは、呼び出しメンバのMS501,511が使用するコーデックC2がINVITEリクエストに含まれているので、PNP302はBS500にグループ呼設定を送信する(S16)。
BS500は、グループ呼設定を受信して、MS501,511の呼出を行う。
【0038】
そして、PNP302は、BS500から呼設定受け付けを受信すると(S17)、MS501,511の呼び出しに成功したことを示す200OKレスポンスをPTPF312へ送信する。その際、SDPにMS501,511が使用するコーデックC2を指定する(S18)。
【0039】
PTPF312は、当該200OKレスポンスをprCSCF200を介してPTCF103に送信する(S19)。
PTCF103は、200OKレスポンスを受信すると、呼び出し元のMS401が使用しているコーデックC1と、呼び出されたMS501,511が使用するコーデックC2とが異なると判断し、TCF101に対してコーデック変換を要求するINVITEリクエストを送信する(S20)。すなわち、PTCF103は、TCP101に、SDPにコーデックC1,C2を指定したINVITEリクエストを送信する。
【0040】
TCP101は、PTCF103に、SDPにコーデックC1,C2を指定した200OKレスポンスを送信する(S21)。これにより、TCP101は、受信した音声データがコーデックC1であればC2に変換し、コーデックC2であればC1に変換する処理を行う。
【0041】
PTCF103は、PCT101からの200OKレスポンスを受信すると、TCF101と、PTPF312,PNP301に200OKレスポンス(ACK)を送信する(S22,S23,S24)。
【0042】
更に、PTCF103は、コーデック変換予約が完了したと判断して、SDPにコーデックC1を指定した200OKレスポンスをPTPF311に送信する(S25)。
PTPF311は、200OKレスポンスを受信すると、グループ通話の呼出が成功したと判断して、PNP301に200OKレスポンスを転送する(S26)。
そして、PNP301は、prCSCF200を介して200OKレスポンスを受信すると、呼設定受付を送信する(S27)。
これにより、MS401,501,511でのグループ通話が開始され、通話可能状態となる。
【0043】
通話可能状態において、MS401の音声データ(コーデックC1)が、BS400、PNP301、PTPF311を経由してPTCF103に送信される(S30〜S32)。
PTCF103は、受信した音声データをコーデック変換のためにTCF101に転送する(S33)。
TCF101は、受信した音声データをコーデックC2に変換し、再びPTCF103に転送する(S34)。
PTCF103は、受信した音声データ(コーデックC2)を、PTPF312、PNP302、BS500を経由してMS501,MS502に転送する(S35〜S37)。
【0044】
同様に、MS501,MS502からの音声データ(コーデックC2)は、BS500、PNP302、PTPF312を経由してPTCF103に送信され(S38〜S40)、PTCF103からTCF101に転送されて(S41)、TCF101でコーデックC1に変換されてPTCF103に再び転送され(S42)、PTCF103から音声データ(コーデックC1)がPTPF311、PNP301、BS400を経由してMS401に転送される(S43〜S45)。
このようにして、本システムにおけるグループ通話が行われる。
【0045】
[モニタリングのシーケンス:図3]
次に、本システムの特徴部分である固定端末からのグループ通話のモニタリングについて図3を用いて説明する。図3は、固定端末からのグループ通話のモニタリングのシーケンスを示す説明図である。
尚、PNP−MF間、PNP−PTPF間、PTPF−PTCF間、PTCF−TCF間はprCSCF200を介してSIPメッセージを送受信するが、ここでは、図を簡単にするために省略している。また、INVITEに対する100Tryingは省略している。
【0046】
図2に示したシーケンスでMS401,MS501,MS502のグループ通話が行われているものとする。上述したように、BS400−PNP301−PTCF103間はコーデックC1の音声データが送受信され、BS500−PNP302−PTCF103間はコーデックC2の音声データが送受信される。PTCF103とTCF101との間ではコーデック変換に伴い、コーデックC1,C2の音声データが送受信されている。
【0047】
このようにグループ通話が行われている状態において、固定端末600からモニタ要求があると(S51)、PNP303は、固定端末600からのモニタ要求をSIPのINVITEリクエストに変換し、SDPに固定端末600のコーデックC3を指定して、prCSCF200を介してMF102に送信する(S52)。尚、固定端末600からのモニタ要求には、モニタするグループ通話を特定するグループ番号等が1つ又は複数含まれている。
【0048】
MF102は、prCSCF200を介して固定端末600のコーデックC3を指定したINVITEリクエストを、PTPF313に転送する(S53)。すなわち、これによりMF102は、固定端末600によって特定されたグループ通話のセッションに参加して、各グループ通話の音声データを転送してもらうことを要求するものである。
【0049】
PTPF313は、INVITEリクエストを受信すると、特定されたMS401,MS501,MS502のグループ通話が行われていることを確認して、固定端末600のコーデックC3を指定したINVITEリクエストをprCSCF200を介してPTCF103に送信する(S54)。
【0050】
PTCF103は、固定端末600のコーデックC3がグループ通話において設定されていないと判断して、TCF101に対して、当該グループ通話のコーデック変換において、C3でのコーデック変換も行うことを要求するreINVITEリクエストを送信する。その際、SDPにコーデックC1,C2,C3を指定する(S55)。
【0051】
TCF101は、prCSCF200を介して当該reINVITEリクエストを受信すると、PTCF103に、SDPにコーデックC1,C2,C3を指定した200OKレスポンスを送信する(S56)。
これにより、TCF102は、当該グループ通話で設定されているコーデックC1,C2のコーデック変換に加えて、固定端末600用のコーデックC3への変換も行うものである。すなわち、コーデックC1の音声データはコーデックC2,C3に変換し、コーデックC2の音声データはコーデックC1,C3に変換するものである。
【0052】
PTCF103は、200OKレスポンスを受信すると、固定端末600用のコーデック変換予約が完了したと判断してTCP101にACKを返送する(S57)。
そして、PTCF103は、SDPにコーデックC3を指定した200OKレスポンスをPTPF313に送信する(S58)。
PTPF313は、200OKレスポンスを受信すると、グループ通信への参加が成功したと判断して、MF102に200OKレスポンスを転送する(S59)。
【0053】
MF102は、200OKレスポンスを受信すると、モニタが正常に開始できることを認識して、PTPF313,PTCF103にACKを返送すると共に(S62,S63)、PNP303に200OKレスポンスを転送する(S60)。
PNP303は、200OKレスポンスを受信すると、固定端末600にモニタ応答を送信し(S61)、MF102にACKを返送する(S64)。
【0054】
これにより、本サーバでは、グループ通話の音声データを固定端末600用のコーデックC3に変換してMF102を介して固定端末600に転送することが可能となり、固定端末600がコーデック変換手段を備えていなくても正常にモニタリングを行うことができるものである。
【0055】
そして、グループ通話においてMS401の音声データ(コーデックC1)がPNP301,PTCF103を経由してTCF101に転送されると(S65,S66,S67)、TCF101は、MS501,511用のコーデックC2と、固定端末600用のコーデックC3とに変換して、PTCF103に転送する(S68,S69)。
【0056】
そして、PTCF103は、従来と同様に、音声データ(コーデックC2)をPNP302に転送し(S70)、PNP302はBS500に音声データ(コーデックC2)を転送する(S71)。これにより、MS501,511はMS401からの音声を正常に受信できるものである。
【0057】
また、本サーバの特徴として、PTPF103は、音声データ(コーデックC3)をPTPF313を介してMF102に転送し(S72,S73)、MF102は、受信した音声データ(コーデックC3)をPNP303に転送し(S74)、PNP303は固定端末600に音声データ(コーデックC3)を転送する(S75)。これにより、固定端末600はMS401からの音声を正常に受信できるものである。
尚、MS501,511からの音声データ(コーデックC2)は、同様にしてコーデックC3に変換されて、MF102に転送され、固定端末600に受信されるようになっている。
【0058】
更に、本システムでは、固定端末600から複数のグループ通話のモニタリングが指定された場合には、S53〜S64の処理をそれぞれのグループ通話について行って、MF102がそれぞれのグループ通話に対して参加し、PTCF103から各グループ通話の音声データの転送を受けるようにしている。
そして、MF102は、複数のグループ通話の音声データを同時に受信している場合には、それらの受信音声を合成し、PNP303を介して固定端末600に出力するようにしている。
これにより、本システムにおいては、固定端末600は、音声合成機能を備えていなくても複数グループ通話の音声を同時にモニタリングすることができるものである。
【0059】
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態に係るグループ通話制御サーバによれば、音声データのコーデック変換を行うTCP101と、受信した音声データを合成して出力するMF102とを備え、MF102が、AGW300を介して固定端末600からグループ通話をモニタリングする要求を受けると、固定端末600のコーデック情報を付してINVITEリクエストで当該グループ通話への参加要求をPTCF103に送信し、PTCF103が、グループ通話で用いられているコーデックに加えて、固定端末600用のコーデックでもコーデック変換するようTCF101に要求し、音声データを受信するとTCF101に転送し、TCF101は、要求されたコーデックでコーデック変換を行ってPTCF103に転送し、PTCF103は固定端末600用にコーデック変換された音声データをMF102に転送し、MF102はAGW300を介して固定端末600にコーデック変換された音声データを出力するグループ通話制御サーバとしているので、固定端末600は、コーデック変換の手段を備えていなくても、グループ通話中の音声を正常に受信してモニタリングすることができ、利便性を向上できる効果がある。
【0060】
また、本システムによれば、MF102が、PTCF103から、複数グループのグループ通話の音声データを受信した場合には、それらの音声データを合成して固定端末600宛に出力するグループ通話制御サーバとしているので、固定端末600は、ミキシングの機能がなくても複数のグループ通話中の音声を同時にモニタリングすることができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、グループ通話を行っている端末とは別のコーデックを使用している固定端末から、容易にグループ通話のモニタリングを行うことができるグループ通話サーバに適している。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態に係るグループ通話制御サーバを備えたグループ通話システム(本システム)の構成ブロック図である。
【図2】本サーバを用いたグループ通話のシーケンスを示す説明図である。
【図3】固定端末からのグループ通話のモニタリングのシーケンスを示す説明図である。
【図4】グループ通話システムにおいて、固定端末でグループ通話のモニタリングを行う場合の一例を示す模式説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1…MS(移動局)、 2…BS(基地局)、 3…固定端末、 4…PNP、 5…PTPF、 6…PTCF、 10…グループ通話制御サーバ、 101…TCF、 102…MF、 103…PTCF、 200…prCSCF、 300…AGW(アクセスゲートウェイ)、 301,302,303…PNP、 311,312,313…PTPF、 400,500…BS(基地局)、 401,501,511…MS(移動局)、 600…固定端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク中のグループ通話を制御すると共に、固定端末からのグループ通話の音声データのモニタリングを実現するグループ通話制御サーバであって、
グループ通話における音声データの転送を行うグループ通話手段と、音声データのコーデック変換を行うコーデック変換手段と、前記グループ通話手段から転送された音声データを固定端末に出力するモニタリング手段とを備え、
前記モニタリング手段が、固定端末から1又は複数のグループ通話のモニタリングの要求があると、前記固定端末において用いられるコーデックの情報を付して前記グループ通話手段に前記各グループ通話からの音声データの転送を要求し、
前記グループ通話手段が、前記モニタリング手段からの要求に含まれる前記固定端末のコーデックの情報を前記コーデック変換手段に出力し、前記各グループ通話における音声データを受信すると、前記コーデック変換手段に転送し、
前記コーデック変換手段が、前記グループ通話手段から転送された音声データを前記グループ通話手段から出力された固定端末のコーデックの情報に基づいてコーデック変換して前記グループ通話手段に転送し、
前記グループ通話手段が、前記コーデック変換された音声データを前記モニタリング手段に転送し、
前記モニタリング手段が、前記グループ通話手段から複数のグループ通話の音声データが転送された場合には、前記音声データを合成して前記固定端末に出力することを特徴とするグループ通話制御サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−68087(P2010−68087A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230759(P2008−230759)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】