説明

グレイスケールマスク作製法とそれを用いた3次元微細加工方法

【課題】 PC用CADソフトとプリンタを用いてグレイスケールマスクを作製する方法と、そのマスクと感光性ガラスとを用いて3次元微細加工を行う方法。
【解決手段】 インクジェットプリンター等を用いて、黒画素の粗密で表現された濃淡パターンとして透明シート等上に原画を印刷し、その原画を縮小投影光学系を用いて、原画の各画素の像がぼけて隣接する画素の像と平均化されて解像できない倍率で写真感材に複写することにより作製されたグレイスケールマスク20を、露光量に応じてエッチング量が異なる感光性ガラス21に接触させ、グレイスケールマスク20を介して感光性ガラス21が感度を有する光23を照射し、その後、感光性ガラス21を所定のエッチング溶液でエッチングすることにより感光性ガラス21の表面に3次元微細加工を施す。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グレイスケールマスク作製法とそれを用いた3次元微細加工方法に関し、特に、マスクパターンとして連続的な濃度分布を有するグレイスケールマスクの作製法とそれを用いた3次元微細加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子ビーム描画装置やレーザー直接描画装置とHEBS glass(High−Energy−Beam−Sensitive glass)を用いたグレイスケールマスクが提案され、各種のマイクロレンズやマイクロプリズムが作製されている(Applied Optics,Vol.36,No.20,1997,pp.4675−4680;Applied Optics,Vol.37,No.32,1998,pp.7568−7576)。これらの装置とガラスは高価であり、さらに、通常の電子ビーム描画装置には集積回路用のCADで設計されたGDS2フォーマットファイルを用いるため、グレイスケールをラインの組み合わせで表現する必要があった。また、従来は、グレイスケールマスクのパターンをレジストに転写してそれを反応性イオンエッチング技術を用いてガラスに転写していたため、工程が複雑でコストも高かった。また、感光性ガラスに上記のようなライン等を組み合わせで表現したグレイスケールマスクを介して直接露光することにより3次元加工することも提案されているが(0−7803−4412−X/98,1998 IEEE,pp.207−210)、このようなグレイスケールマスクを作製することは容易ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、特別の描画装置や描画ソフトを用いずに市販のパーソナルコンピュータ用のCADソフトとプリンタを用いて3次元微細加工用のグレイスケールマスクを作製する方法と、そのグレイスケールマスクと感光性ガラスとを組み合わせて簡便かつ安価に3次元微細加工を行う方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明のグレイスケールマスク作製法は、3次元微細加工用のグレイスケールマスクにおいて、インクジェットプリンターあるいはレーザプリンター等を用いて、黒又は不透明画素の粗密で表現された濃淡パターンとして透明シートあるいは白色シート上に原画を印刷し、その出力された黒又は不透明画素の粗密で表現された原画を縮小投影光学系を用いて、原画の各画素の像がぼけて隣接する画素の像と平均化されて解像できない倍率で写真感材に複写することにより作製することを特徴とする方法である。
【0005】この場合、縮小投影光学系により、原画の各画素の像が幾何光学的に0.5μm以下に縮小される倍率で写真感材上に投影するようにすることが望ましい。
【0006】なお、本発明はこのようにして作製されたグレイスケールマスクを含むものである。
【0007】本発明の3次元微細加工方法は、以上の作製法で作製されたグレイスケールマスクを、露光量に応じてエッチング量が異なる感光性ガラスに接触させ、前記グレイスケールマスクを介して前記感光性ガラスが感度を有する光を照射し、その後、前記感光性ガラスを所定のエッチング溶液でエッチングすることにより前記感光性ガラスの表面に3次元微細加工を施すことを特徴とする方法である。
【0008】本発明のもう1つの3次元微細加工方法は、以上の作製法で作製されたグレイスケールマスクを、露光量に応じてエッチング量が異なるフォトレジストの層を塗布した基板表面に接触させ、前記グレイスケールマスクを介して前記フォトレジストが感度を有する光を前記フォトレジストの層に照射し、その後、前記フォトレジストの層を所定のエッチング溶液でエッチングし、次いで、その残ったフォトレジストのパターンを介して反応性イオンエッチングによりドライエッチングすることにより前記基板の表面に3次元微細加工を施すことを特徴とする方法である。
【0009】本発明においては、インクジェットプリンターあるいはレーザプリンター等を用いて、黒又は不透明画素の粗密で表現された濃淡パターンとして透明シートあるいは白色シート上に原画を印刷し、その出力された黒又は不透明画素の粗密で表現された原画を縮小投影光学系を用いて、原画の各画素の像がぼけて隣接する画素の像と平均化されて解像できない倍率で写真感材に複写することにより3次元微細加工用のグレイスケールマスクを作製するので、従来法に比べて、簡便かつ安価にグレイスケールマスクが設計、製作できる。このグレイスケールマスクと感光性ガラスを組み合わせることにより、深さ数mm、精度数10μm程度の3次元ガラス構造体を1回の露光、エッチングにより製作することができる。また、本発明のグレイスケールマスクは、従来のフォトレジストを用い、反応性イオンエッチング技術を用いてシリコン基板等の3次元微細加工方法にも適用することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のグレイスケールマスク作製法とそれを用いた3次元微細加工方法の原理とその実施例について説明する。
【0011】従来の微細加工用のグレイスケールマスクは、前記したように、集積回路用のCADで設計されたGDS2フォーマットファイルを用いるため、グレイスケールをラインの組み合わせで表現する必要があった。これに対して、本発明では、市販のパーソナルコンピュータ用の種々のCADソフトのグラデーション機能に着目し、これを用いて濃度が連続分布するグレイスケールマスクを作製するものである。
【0012】図1は、本発明のグレイスケールマスク作製法の基本原理を説明するための模式図であるが、パーソナルコンピュータのインクジェットプリンター(バブルジェット(登録商標)プリンターも含む)あるいはレーザプリンターから出力される種々のCADソフトによる濃度表現は、図1(a1)〜(c1)に示すように、微細な離散的な黒画素Pの粗密を用いて濃淡を表している。すなわち、図1(a1)の場合は濃度(グレイバリュー)が略100%、(b1)はその半分の略50%、(c1)はその半分の略25%の場合である。
【0013】このような黒あるいは不透明画素Pの粗密を局所で平均化することにより、図1(a2)〜(c2)に示すように、局所面内の濃度が連続したものとなる。図1(a2)、(b2)、(c2)はそれぞれ(a1)、(b1)、(c1)に対応する濃度である。
【0014】そのために、本発明では、作製したいグレイスケールマスクを拡大した形状で、インクジェットプリンターあるいはレーザプリンター等を用いて、黒(不透明)画素の粗密で表現されたパターンとして透明シートあるいは白色シート上に印刷し、その出力された黒(不透明)画素の粗密で表現されたグレイスケールマスクパターンを結像光学系を用いて印刷のときの拡大をキャンセルする縮小倍率で投影して高分解写真フィルム等の上に焼き付ける。
【0015】図2はそのための配置であり、縮小投影可能な投影レンズ系1と、高分解写真フィルム11を載置可能な架台3と、上記の黒(不透明)画素の粗密で表現されたグレイスケールマスクパターン(原画)10を照明する照明装置2とを備えた複写装置を用い、図2のような配置で、照明装置2によりグレイスケールマスクパターン10を裏面から照明し、投影レンズ系1で架台3上に載置された高分解写真フィルム11に、グレイスケールマスクパターン10を例えば20分の1に縮小投影する。
【0016】グレイスケールマスクパターン10上の画素Pは、その径が10μm程度なので、投影レンズ系1で上記のように20分の1に縮小されると、画素Pは約0.5μmとなるが、実際には、投影レンズ系1の縮小限界に基づく収差や回折の影響により、画素Pはぼけて写真フィルム11上で平均化された状態になり、高分解写真フィルム11を現像して得られるマスクには、濃度が平均化されて連続分布するグレイスケールマスクとなる。
【0017】ここで、投影レンズ系1の縮小倍率としては、画素Pの径が幾何光学的に写真フィルム11上で波長オーダーの0.5μm以下になる倍率が望ましく、それよりもより小さく縮小するようにしてもよい。
【0018】このように、本発明においては、インクジェットプリンターあるいはレーザプリンター等を用いて、作製しようとするグレイスケールマスクを拡大した形状で黒(不透明)画素の粗密で表現されたパターンとして透明シートあるいは白色シート上に印刷し、その出力された黒(不透明)画素の粗密で表現されたグレイスケールマスクパターン(原画)10を縮小投影光学系1を用いて、各画素がぼけて写真感材上で隣接する画素と平均化されて解像できない状態で複写することによりグレイスケールマスクを作製するものである。
【0019】さて、本発明においては、このようにして作製したグレイスケールマスクを用いて感光性ガラスにコンタクト露光をすることにより、グレイスケールマスクの濃度分布を感光性ガラスの表面からのエッチング量に変換することにより、感光性ガラスを3次元微細加工するようにする。
【0020】まず、感光性ガラスの特性について説明する。感光性ガラスとして、(株)住田光学ガラス製 PSG−1を用いた。この感光性ガラスは、SiO2 −LiO2 −Al2 3 系のガラスに感光剤として少量のAu,Ag,Cu等の金属イオン、増感剤としてGeO2 等を少量含んだものである。この感光性ガラスに紫外線等を露光した後に、熱処理をすることで、露光部分にLi2 O−2SiO2 (メタケイ酸リチウム)が析出することにより、フッ酸(HF)水溶液に対するエッチングレートが、未露光部分のガラスに比べて約50倍になる。
【0021】このような感光性ガラスに、上記の本発明によるグレイスケールマスクを用いてコンタクト露光すると、グレイスケールマスクに濃度分布がついている上に、感光性ガラスが透明性を持っているために、感光性ガラスに露光時にも露光量の平均化が起こり、グレイスケールマスクに残っている画素像の粗密は平均化され、紫外線露光量の分布として感光性ガラスに転写されることになる。したがって、本発明によるグレイスケールマスクと感光性ガラスの特性とを組み合わせることにより、任意の3次元形状の化学切削(エッチング)を行うことができる。
【0022】図3に、グレイスケールマスクパターン(原画)10描画時のCADソフトのグレイスケール階調(グレイバリュー)と上記感光性ガラスにおける切削量(エッチング深さ)の関係を実験的に求めた結果を示す。露光には、ミカサ社の半導体アライナーMA10を用いて、紫外線を90分照射した。その後、熱処理を513℃で60分、548℃で90分行うと、露光部はメタケイ酸リチウムが析出することにより薄く白濁して、未露光部は透明のままである。グレイスケールマスクを用いて露光量を変化させると、白濁部の白濁度はグレイスケールの濃度(グレイバリュー)と一致し、メタケイ酸リチウムの析出濃度がグレイスケールにより制御されていることが確認できた。露光時間を増すと白濁度は大きくなるが、最適値を越えると露光部は黄色くなり、未露光部も白濁することから、最適値以下で露光することが必要であることが分かる。この状態のガラスを、温度30℃の5wt%HF水溶液に入れ、エッチング時間を40分、80分、120分と変化させ切削量(エッチング深さ)を測定したのが図3である。
【0023】この図3より、グレイスケール階調10%〜30%では実用的な切削量は得られず、表面荒れも見られることから、この範囲では実用的な切削量調整は行えなかった。グレイスケール階調30%〜80%においてグレイスケール階調に略比例した切削量が得られ、切削量はグレイスケール階調とエッチング時間の関数で制御可能であった。露光量90分、階調80%、エッチング時間120分で、エッチング深さ1mmが得られた。また、グレイスケール階調80%以上では、切削量は飽和傾向にあるため、実際の3次元形状の作製には、グレイスケール階調30%〜80%を用いて深さの比率を決定して、絶対的な深さはエッチング時間や露光時間で調整する手法が適切である。
【0024】図4、図5に、本発明によるグレイスケールマスク20を用い、感光性ガラス板21にこのグレイスケールマスク20を通してコンタクト露光することにより、感光性ガラス板21の表面に3次元微細加工する例を示す。図4の場合は、グレイスケールマスク20として濃度が図の左で低く右で高い傾斜濃度領域201、202 を持つグレイスケールマスク20を用い、同図(a)に示すように、感光性ガラス板21の上に載せ、その上にカバーガラス22を載せて、カバーガラス22側から紫外線23を照射する。その後、同図(b)に示すように、カバーガラス22とグレイスケールマスク20を外して、所定の熱処理を行う。次いで、同図(c)に示すように、所定濃度のフッ酸(HF)水溶液で所定時間エッチングすることにより、グレイスケールマスク20の透過率の傾斜に応じた深さ方向の傾斜領域211 ’、212 ’を持った3次元表面を有する感光性ガラス板21’が得られる。必要に応じて、その表面に平滑化のためのコーティング等を施すことにより、マイクロレンズ、マイクロプリズム、生物工学用マイクロチャンネル等に最適なガラス製品が得られる。あるいは、この3次元表面を有する感光性ガラス板21’表面にメッキ及び電着を施して型取りすることにより、それらのプラスチック成形型を作製することもできる。
【0025】図5の場合は、グレイスケールマスク20として濃度が中程度の領域203 、濃度が比較的高い領域204 、濃度が比較的低い領域205 を持つグレイスケールマスク20を用い、同図(a)に示すように、感光性ガラス板21の上に載せ、その上にカバーガラス22を載せて、カバーガラス22側から紫外線23を照射する。その後、同図(b)に示すように、カバーガラス22とグレイスケールマスク20を外して、所定の熱処理を行う。次いで、同図(c)に示すように、所定濃度のフッ酸(HF)水溶液で所定時間エッチングすることにより、グレイスケールマスク20の透過率の透過率差に応じた深さの異なる領域213 ’、214 、215 ’を持った3次元表面を有する感光性ガラス板21’が得られる。同様に、必要に応じて、その表面に平滑化のためのコーティング等を施すことにより、マイクロレンズ、マイクロプリズム、生物工学用マイクロチャンネル等に最適なガラス製品が得られる。あるいは、この3次元表面を有する感光性ガラス板21’表面にメッキ及び電着を施して型取りすることにより、それらのプラスチック成形型を作製することもできる。
【0026】以上は、本発明によるグレイスケールマスクを用いて、感光性ガラスに3次元微細加工する例であったが、感光性ガラス以外の材料に本発明によるグレイスケールマスクを転写する場合は、従来技術と同様に、グレイスケールマスクのパターンをフォトレジストに転写して、それを反応性イオンエッチング技術を用いて削ることで、シリコン等の材料へ転写することが可能である。その例を図6に示す。この場合は、まず図(a)に示すように、シリコン基板24上に、フォトレジスト層25をスピンコート等により塗布し、その上に本発明によるグレイスケールマスク20の上に載せる。この例では、グレイスケールマスク20として、濃度が図の左で高く右で低い傾斜濃度領域206 の繰り返しパターンからなるグレイスケールマスク20を用いている。そして、その上側から紫外線23を照射する。その後、同図(b)に示すように、グレイスケールマスク20を外して、フォトレジスト層25をエッチングする。フォトレジスト層25は露光量に比例してエッチング量が増えるものを用いているので、エッチング後のレジストパターン25’は、グレイスケールマスク20の濃度の傾斜に応じた深さ方向の傾斜領域256 ’の繰り返しパターンからなるものとなる。その後、そのレジストパターン25’を介してシリコン基板24を反応性イオンエッチングによりドライエッチングすると、同図(c)に示すように、グレイスケールマスク20の濃度の傾斜に応じた深さ方向の傾斜領域246 の繰り返しパターンからなる3次元表面を有するシリコン基板24が得られる。
【0027】以上、本発明のグレイスケールマスク作製法とそれを用いた3次元微細加工方法を説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限定されず種々の変形が可能である。また、本発明によるグレイスケールマスク及びそれを用いた3次元微細加工方法は、マイクロ光学製品やバイオ工学におけるマイクロ製品に限らず、種々の分野のマイクロ製品の加工に適用できる。
【0028】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明のグレイスケールマスク作製法とそれを用いた3次元微細加工方法によると、インクジェットプリンターあるいはレーザプリンター等を用いて、黒又は不透明画素の粗密で表現された濃淡パターンとして透明シートあるいは白色シート上に原画を印刷し、その出力された黒又は不透明画素の粗密で表現された原画を縮小投影光学系を用いて、原画の各画素の像がぼけて隣接する画素の像と平均化されて解像できない倍率で写真感材に複写することにより3次元微細加工用のグレイスケールマスクを作製するので、従来法に比べて、簡便かつ安価にグレイスケールマスクが設計、製作できる。このグレイスケールマスクと感光性ガラスを組み合わせることにより、深さ数mm、精度数10μm程度の3次元ガラス構造体を1回の露光、エッチングにより製作することができる。また、本発明のグレイスケールマスクは、従来のフォトレジストを用い、反応性イオンエッチング技術を用いてシリコン基板等の3次元微細加工方法にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のグレイスケールマスク作製法の基本原理を説明するための模式図である。
【図2】本発明によるグレイスケールマスクを原画から縮小投影光学系を用いて複写する配置の1例を示す図である。
【図3】グレイスケール階調と感光性ガラスにおける切削量の関係を実験的に求めた結果を示す図である。
【図4】本発明により感光性ガラス板の表面に3次元微細加工する例を示す図である。
【図5】本発明により感光性ガラス板の表面に3次元微細加工する別の例を示す図である。
【図6】本発明によりシリコン基板の表面に3次元微細加工する例を示す図である。
【符号の説明】
P…画素
1…投影レンズ系(縮小投影光学系)
2…照明装置
3…架台
11…高分解写真フィルム
10…グレイスケールマスクパターン(原画)
20…グレイスケールマスク
201 、202 …傾斜濃度領域
203 …濃度が中程度の領域
204 …濃度が比較的高い領域
205 …濃度が比較的低い領域
206 …傾斜濃度領域
21…感光性ガラス板
21’…感光性ガラス板
211 ’、212 ’…傾斜領域
213 ’、214 、215 ’…深さの異なる領域
22…カバーガラス
23…紫外線
24…シリコン基板
246 …傾斜領域
25…フォトレジスト層
25’…レジストパターン
256 ’…傾斜領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】 3次元微細加工用のグレイスケールマスクにおいて、インクジェットプリンターあるいはレーザプリンター等を用いて、黒又は不透明画素の粗密で表現された濃淡パターンとして透明シートあるいは白色シート上に原画を印刷し、その出力された黒又は不透明画素の粗密で表現された原画を縮小投影光学系を用いて、原画の各画素の像がぼけて隣接する画素の像と平均化されて解像できない倍率で写真感材に複写することにより作製することを特徴とするグレイスケールマスク作製法。
【請求項2】 前記縮小投影光学系により、前記原画の各画素の像が幾何光学的に0.5μm以下に縮小される倍率で前記写真感材上に投影されることを特徴とする請求項1記載のグレイスケールマスク作製法。
【請求項3】 請求項1又は2記載のグレイスケールマスク作製法で作製されたことを特徴とするグレイスケールマスク。
【請求項4】 インクジェットプリンターあるいはレーザプリンター等を用いて、黒又は不透明画素の粗密で表現された濃淡パターンとして透明シートあるいは白色シート上に原画を印刷し、その出力された黒又は不透明画素の粗密で表現された原画を縮小投影光学系を用いて、原画の各画素の像がぼけて隣接する画素の像と平均化されて解像できない倍率で写真感材に複写することにより作製されたグレイスケールマスクを、露光量に応じてエッチング量が異なる感光性ガラスに接触させ、前記グレイスケールマスクを介して前記感光性ガラスが感度を有する光を照射し、その後、前記感光性ガラスを所定のエッチング溶液でエッチングすることにより前記感光性ガラスの表面に3次元微細加工を施すことを特徴とする3次元微細加工方法。
【請求項5】 インクジェットプリンターあるいはレーザプリンター等を用いて、黒又は不透明画素の粗密で表現された濃淡パターンとして透明シートあるいは白色シート上に原画を印刷し、その出力された黒又は不透明画素の粗密で表現された原画を縮小投影光学系を用いて、原画の各画素の像がぼけて隣接する画素の像と平均化されて解像できない倍率で写真感材に複写することにより作製されたグレイスケールマスクを、露光量に応じてエッチング量が異なるフォトレジストの層を塗布した基板表面に接触させ、前記グレイスケールマスクを介して前記フォトレジストが感度を有する光を前記フォトレジストの層に照射し、その後、前記フォトレジストの層を所定のエッチング溶液でエッチングし、次いで、その残ったフォトレジストのパターンを介して反応性イオンエッチングによりドライエッチングすることにより前記基板の表面に3次元微細加工を施すことを特徴とする3次元微細加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2003−15275(P2003−15275A)
【公開日】平成15年1月15日(2003.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−201852(P2001−201852)
【出願日】平成13年7月3日(2001.7.3)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】