説明

ケイ皮酸アスコルバート

本発明は、特定のケイ皮酸アスコルバート、及び皮膚に接着する紫外線遮蔽剤としてのその使用、及びその調製方法、及びこれらの化合物を含む製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のケイ皮酸アスコルバート、及び皮膚に接着する紫外線遮蔽剤としてのその使用、及びその調製方法、及びこれらの化合物を含む製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚はある種の老化プロセスを経るが、その一部は内在性プロセス(時間老化(chronoageing))に起因し、また一部は外因性の要因(環境、例えば光老化)に起因する。
【0003】
外因性の要因としては、具体的には、日光又は同等のスペクトルを有する人工の放射源、及び未定義の反応性の光分解生成物などの、フリーラジカル又はイオン性であってもよい放射物に起因して生成し得る化合物が挙げられる。
【0004】
紫外線放射を吸収しフリーラジカルを捕捉する、様々な有機及び無機の紫外線遮蔽剤及び抗酸化剤が知られている。したがって、それらはヒトの皮膚を保護することができる。これらの化合物は紫外線の熱への変換を触媒する。
【0005】
しかし、皮膚接着が弱いために、保護の持続は限られており、これは具体的には従来の紫外線遮蔽剤が例えば汗又は水によって非常に容易に洗い流され得るからである。
【0006】
紫外線遮蔽剤又はセルフタンニング物質を、反応性部位を介して表皮の角質層に共有結合できるように誘導体化し、そして皮膚を紫外線遮蔽剤又はセルフタンニング剤で機能化させることは、例えばWO 2006/018104で既知の方策である。皮膚の外側の層にあるタンパク質及びアミノ酸に効果的に結合するためには、対応する紫外線遮蔽剤誘導体又は他の活性化合物の誘導体、例えば薬理活性、抗菌活性、殺菌活性、除草活性、殺虫活性、又は美容活性の化合物、X線造影剤、又は色素などが、それらの結合可能部位の最大限の反応性を有することが必要である。
【0007】
WO 2008/017346は、例えば皮膚に接着する紫外線遮蔽剤として使用することができるアスコルビン酸誘導体を開示している。
【0008】
しかし、タンパク質含有マトリックスを機能化することができる、又は言い換えれば遊離のNH、NH、SH、又はOH基を含有する物質と会合でき、場合によってそれらと共有結合を形成できる、紫外線防護のための皮膚許容の化合物(具体的にはケイ皮酸に基づく)が、適切な方法で化粧用製剤又は薬理製剤中に組み込まれ得ること、及び、具体的には、可逆的光化学反応及びさらに不可逆的光化学反応の両方に関して、構造がケイ皮酸に基づいている今までに既知の紫外線遮蔽剤よりも安定であることに対して、継続した需要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】WO 2006/018104
【非特許文献2】WO 2008/017346
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、それに応じて、この需要を満たすことができる代替の皮膚許容の化合物を見いだすことであった。
【0011】
驚くべきことに、式Iの特定のケイ皮酸アスコルバートが、特定の程度までこの目的を実現することが今回分かった。本発明によれば、D−及びL−アスコルビン酸の両方又はそれらの混合物を誘導体化して式Iの化合物を得ることができる。
【0012】
したがって第1に、本発明は、式I
【0013】
【化1】

【0014】
の化合物に関し、式中、
は、H又は1〜20個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を表し、
〜Rは、それぞれ互いに独立に、H、1〜20個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコキシ基、ヒドロキシル、1〜20個のC原子を有するフッ素化された直鎖又は分岐鎖アルコキシ基、又はアルキルカルボニルオキシを表し、
アルキルカルボニルオキシはアルキル−C(=O)−Oを表し、式中、アルキルは1〜10個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を表す。
【0015】
本発明によれば、アスコルビン酸部分の2位及び/又は3位で置換された形であってもよい、式Iの化合物の誘導体を使用することも可能である。適切な手段によって、式Iの化合物のこれらの保護されたヒドロキシル基は、皮膚へ塗布した後に脱保護することができ、したがって皮膚への接着に利用可能である。式Iの化合物のアスコルビン酸部分の2位及び/又は3位における修飾されたヒドロキシル基の例は、−O−アルキル、−OC(O)−アルキル、−OPOM、又はO−グリコシルであり、式中、アルキルは1〜20個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を表し、Mはアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はHを表す。
【0016】
上記でO−グリコシルと呼ばれる、アスコルビン酸の2位又は3位における炭水化物の結合は、例えばリボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、又はタガトースなどの単糖類について起こり得る。このリストは両方の異性体、すなわちそれぞれの場合でD体又はL体を含む。
【0017】
グルコース、ガラクトース、又はフルクトースを使用するのが好ましく、さらにとりわけグルコースが好ましい。
【0018】
しかし原則として、サッカロース(又はスクロースとしても知られる)、ラクトース、トレハロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、又はメリビオースなどの二糖類も好適である。このリストはα型及びさらにβ型の両方を含む。
【0019】
二糖類の群からは、サッカロース又はラクトースを使用するのが好ましく、とりわけサッカロースが好ましい。
【0020】
EP 664290は、類似のケイ皮酸アスコルバート、例えばジシンナモイル2O,6O−アスコルバートを開示している。これらの化合物はとりわけ、一般構造式
【0021】
【化2】

【0022】
によって表されるモノシンナモイル6−O−アスコルバートを用いて合成することができ、式中、R1〜R3は互いに独立に、H、アルコキシ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、又はフルオロアルコキシを表し得る。しかし、EP 664290はこのタイプのモノシンナモイル6−O−アスコルバートのいかなる例も開示していない。
【0023】
JP 2009-035509は、
【0024】
【化3】

【0025】
の構造であるモノシンナモイル6−O−アスコルバートの酵素的合成を記載しており、式中、R1及びR2は互いに独立に、H、ヒドロキシル又は低級アルコキシを表し得る。
【0026】
WO 2008/017346は同様に、類似する広い一般式のモノシンナモイル6−O−アスコルバートを記載しているが、4−メトキシシンナモイル6−O−アスコルバートは個別の化合物として開示されている。
【0027】
本発明による式Iの化合物は、オルト位の置換基OAのためにこれまでに知られているすべてのモノシンナモイル6−O−アスコルバートとは原則的に異なっており、この置換基は特に本発明による化合物の利点に関与している。
【0028】
本発明による式Iの物質は特に、可逆的光化学反応に関して既知のケイ皮酸誘導体を上回る利点を示す。
【0029】
既知のケイ皮酸誘導体においては、例えばトランス、シス光異性化が可逆的光化学反応として知られている。熱力学的により安定なトランス異性体は、紫外光によってシス異性体(=光異性体(photoisomer))と共にいわゆる光化学平衡(photostationary equilibrium)に置くことができる。
【0030】
したがって、光防護の専門家は例えば、世界中で使用されている化粧用紫外線遮蔽剤のエチルヘキシルメトキシシンナマートEHMC(例えばEusolex(登録商標)2292)が、その合成形態においては純粋なトランス異性体の形態であることを知っている。溶液中又は化粧品中での紫外線照射により、マトリックス環境及び紫外線源のスペクトル特性に応じて光化学平衡が成立し、ここではトランス異性体の比率は現在一般に40〜60%である。同時に、60〜40%のシス異性体(=光異性体)が生成する。この状況は従来技術によるモノシンナモイル6−O−アスコルバートについても期待でき、代表的な方法で確認されており、3,4−ジメトキシシンナモイル6−0−アスコルバート(S)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル(3−(3,4−ジメトキシフェニル)アクリラート)の例について例5及び6に記載されている。
【0031】
シス光異性体に特有であるのは、その吸収能がトランス異性体と比較して低くなることである。シス−EHMCにおいて、吸収極大における比吸光度は大幅に低下する(ε=13,500、λmax(MeOH)[nm]=304)。対照的に、トランス−EHMCの比吸光度は著しく高い(ε=24,550、λmax(MeOH)[nm]=309)。[この点においては、M. Kohnlein:「Untersuchungen zum photochemischen Verhalten des UVB-Filters Octyl-methoxycinnamat in Modellsystemen, Sonnenschutzmitteln sowie auf der Haut」[Investigations of the Photochemical Behaviour of the UVB Filter Octyl Methoxycinnamate in Model Systems, Sunscreens and on the Skin];Thesis, University of Hohenheim 2000; ISBN 3-8265-8234-9を参照のこと]。
【0032】
したがって化粧品化学者にとって、光異性体の生成ができるだけ少ないのが望ましく、これはその比吸収容量がトランス異性体と比較して大幅に低下するからであり、そのため2つの異性体の全体の吸収能が照射条件下で弱まるからである。
【0033】
本発明による式Iの物質は、可逆的光化学反応に関して光挙動(photobehaviour)が大幅に改善されており、このことは紫外線防護での実用のための製剤における安定性に関して、本発明による化合物のかなりの利点をもたらす。
【0034】
式Iの化合物において、1〜20個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基は、例えばメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、又はn−ラウリルを表す。1〜4個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を使用するのが好ましい。
【0035】
式Iの化合物において、1〜20個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコキシ基は、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−エチルヘキシルオキシ、n−ドデシルオキシ、又はn−ラウリルオキシを表す。アルコキシ基は好ましくは1〜6個のC原子、特に好ましくは1〜4個のC原子を有する。アルコキシ基はさらにとりわけ好ましくはメトキシである。
【0036】
フッ素化された直鎖又は分岐鎖アルコキシ基は、単にH原子の一部又はすべてがFで置換されて表されるアルコキシ基、例えばトリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、トリフルオロメチルエトキシ、ヘプタフルオロプロポキシ、又はノナフルオロブトキシに相当する。
【0037】
式IのAは、好ましくは1〜20個の原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、特に好ましくは1〜4個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、さらにとりわけ好ましくはメチルを表す。
【0038】
式IのRは、好ましくはH、ヒドロキシル、又は1〜20個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコキシ基を表す。Rは特に好ましくはヒドロキシル又は1〜4個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコキシ基である。Rはさらにとりわけ好ましくは1〜4個のC原子を有するアルコキシ基である。
【0039】
、R、及びRは、それぞれ互いに独立に、好ましくはH、ヒドロキシル、又は1〜20個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコキシ基である。
【0040】
式Iの化合物の好ましい実施形態において、R、R、又はRから選択される少なくとも1つのさらなる置換基は、ヒドロキシル又は1〜20個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、好ましくは1〜4個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を表す。
【0041】
全体として、上記のようなC原子を有する少なくとも2つの直鎖又は分岐鎖アルコキシ基がベンゼン環上に存在するのが好ましい。上記のようなC原子を有する3つの直鎖又は分岐鎖アルコキシ基がベンゼン環上に存在するのが特に好ましい。
【0042】
式Iの特に好ましい化合物は、
2,4−ジメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート、
2,4,6−トリメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート、
2,3,4−トリメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート、
2,4,5−トリメトキシシンナモイル6−O−アスコルバートである。
【0043】
紫外線吸収がUVB領域にある(定義によれば、紫外線吸収極大が290nm〜320nmである)既知のケイ皮酸誘導体4−メトキシシンナモイル6−O−アスコルバートとは対照的に、本発明による紫外線遮蔽剤がUVA領域においてかなりの程度で吸収するのが好ましい。理想的な場合では、紫外線吸収極大は320nm〜400nmの範囲である。本発明による式Iの化合物、又は好ましいものとして記載される上記のような化合物は、特に、皮膚及び/又は髪に接着するUVA遮蔽剤である。
【0044】
したがって本発明はさらに、皮膚に接着する紫外線遮蔽剤としての、特に皮膚に接着するUVA遮蔽剤としての、上記のような本発明による式Iの化合物の使用にも関する。
【0045】
式Iの化合物は、一般にエステル化によって調製することができる。
【0046】
したがって本発明はさらに、アスコルビン酸を式II
【0047】
【化4】

【0048】
の化合物(式中、Rは、OH、ハロゲン、又は活性エステルを表し、ハロゲンは、Cl、Br、又はIを表し、置換基A、R〜Rは上記で定義される意味を有する)を用いてエステル化することを特徴とする、上記のような本発明による式Iの化合物の調製方法に関する。
【0049】
アスコルビン酸は市販されている。式IIの化合物は場合によっては市販されているか、又は例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準作業に記載されている方法によって、既知であり前記反応に適した反応条件下で正確であるように合成することができる。ここでそれ自体が既知である変形形態を利用することもでき、これはここでさらに詳細に述べてはいない。
【0050】
アスコルビン酸を用いた式IIの化合物(式IIにおいてR=OH)の直接的エステル化は、例えば濃硫酸の存在下及び好ましくは不活性ガス条件下で行われる。成分の混合物は<5℃の温度で有利に調製される。実際の反応温度は10〜60℃、好ましくは15〜30℃である。反応は特に好ましくは室温で行われる。
【0051】
R=OHでの上記で定義される式IIの遊離酸の代わりに、式IIの誘導体、好ましくは前もって活性化された酸又は酸ハロゲン化物(R=ハロゲン、好ましくはCl)、対称無水物又は混合無水物又は活性エステルを使用することも可能である。典型的なアシル化反応においてカルボキシル基を活性化させるためのこのタイプのラジカルは、文献(例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準作業)に記載されている。活性化エステルは、例えばHOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)又はN−ヒドロキシスクシンイミドの付加によって、R=OHである式Iの化合物からin situで有利に生成する。
【0052】
反応は一般に、式IIのハロゲン化物を用いて酸結合剤(好ましくはトリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、又はキノリンなどの有機塩基)の存在下で不活性溶媒中にて行われる。
【0053】
アルカリ又はアルカリ土類金属、好ましくはカリウム、ナトリウム、カルシウム、又はセシウムの水酸化物、炭酸塩、又は重炭酸塩、又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属の別の弱酸の塩の添加も有利である場合がある。
【0054】
例えばリパーゼによる酵素的エステル化も好適である。
【0055】
合成によって、直接的エステル化はアスコルビン酸C−6エステル及びアスコルビン酸C−5エステルの混合物をもたらし、アスコルビン酸C−6エステル、すなわち式Iの化合物が一般に優勢である。これらの混合物を本発明による製剤中に直接加えることもできる。これらの混合物は当然当業者に既知である方法によって分離でき、式Iの純粋な化合物の単離を可能にする。しかし、対応するアスコルビン酸C−5エステルの比率によっては、本発明に従った施用のための単離は不要である。
【0056】
アスコルビン酸の2位及び3位の遊離のヒドロキシル基は、必要と思われるならば、場合により実際のエステル化の前に保護基を用いてブロックすることもできる。
【0057】
式Iの化合物のアスコルビン酸C−5エステルは、次式I−1:
【0058】
【化5】

【0059】
によって調製することができ、式中、置換基A、R〜Rは上記に示される意味の1つを有する。考えられる置換基及び生成物の分解に関して、式Iの化合物について記載したのと同じ注釈が式I−1の化合物に適用される。
【0060】
本発明による物質をタンパク質又はタンパク質含有若しくはアミノ酸含有マトリックス(皮膚の角質層など)に接着させるために、アスコルビン酸部分がアスコルビン酸のメイラード反応(Maillard reaction)に類似の分解反応を経ることが有利である。この分解は典型的で場合により連続的な反応を特徴とする。出発物質が相応に受けることができるこのタイプの典型的な反応としては、例えば脱水素化、脱水、水和、加水分解、酸化、異性化、及び/又は脱離(例えば水及び/又は二酸化炭素の)を挙げることができる。特に、対応するデヒドロアスコルバートへの酸化は、ここでは一次ステップであると想定することができる。
【0061】
メイラード反応に類似のメカニズムを経て仮定することができる例示的な構造(一次メイラード生成物)を以下に挙げる。例示的な構造は、角質層のタンパク質に接着できる中間体と見なすことができる。
【0062】
記載の例示的な構造の生成は同時に、出発物質の活性化ととらえることができるが、なぜならこれがタンパク質との反応に関して化学反応性を高めることができるからである。
【0063】
したがって、用途に応じて、向上したタンパク質接着反応を得るためにこれらの構造を出発物質から科学反応によって特異的に生成させることを狙いとしてもよい。ここでの分解反応は好ましくは酸化によって開始する。酸化は酸素/空気へさらすことによって開始させるか、又は例えば適切な照射線(例えば紫外線又は日光など)の存在下での光酸化によっても生じさせることができる。しかし、酸化は特定の酸化剤の使用によっても生じさせることができる。例として適切な酸化剤は、例えば過酸化物(過酸化水素又はヒドロペルオキシドなど)、オゾン、フリーラジカル、反応性酸素種、又は無機酸化剤(鉄(III)/(II)又は銅(II)/(I)塩など)である。
【0064】
酸化剤による前記活性化は、例えば酸化剤を含む製剤と出発物質を含む第2の製剤とを、皮膚又は髪へ塗布する直前に互いに混合することによって、又は例えば時間差で最初に出発物質を含む第2の製剤で皮膚を処理し、続いて酸化剤を含む第1の製剤を塗布することによって、実現することができる。
【0065】
塗布後の大気中酸素による酸化反応は、塗布層ができるだけ薄く塗布される場合、高転化で起こる。しかし、本発明による物質が適用される製剤又は溶媒も、ここでは高い影響力を有する。具体的には、水、グリコール、及びグリコール誘導体(例えばグリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール)などの極性プロトン性溶媒は、皮膚への接着を促進する。さらに、皮膚への接着を加速するために、塗布後に物質の環境をアルカリ性にすることが役立つ場合もある。さらに、出発物質を塗布する前であってもさらなる製剤を加えることによって、塗布領域又は出発物質を含む製剤のいずれかをアルカリ性にすることが考えられる。「アルカリ性にする」という表現は一般に、特異的にアスコルビン酸誘導体の酸化感受性及びそれに伴うタンパク質接着能力を高めるために(例えばNaOH又は他の化学塩基で処理することにより)、一般にできる限り低くなっている製剤中のアスコルビン酸誘導体の周囲pHを、用途に特化してその場限りの塩基で上昇させることを意味すると解釈される。
【0066】
表に示されるいわゆる一次メイラード生成物は、出発物質のように、皮膚及び髪に接着する個別の紫外線遮蔽剤と見なすことができ、出発物質、すなわち例えば式Iの化合物又はそのシス異性体又はその5−O−アスコルバートと組み合わせることができる。
【0067】
【表1】




【0068】
式中、R1〜R5は上記のように、互いに独立にH、アルコキシ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、又はフルオロアルコキシを表し、本発明による出発物質については、上記のようにR5=OAである。上記の説明は同様に対応して置換基R1〜R5の定義にあてはまる。
【0069】
【化6】

【0070】
例としてここで示される出発物質の一次分解生成物は、タンパク質(例えば皮膚及び髪の)と反応する前にさらなる化学変化を経てもよい。これらの変化は例として、脱水素化、脱水、加水分解、酸化、異性化、水和、及び/又は脱離(例えば水及び/又は二酸化炭素の)として説明できる。類似の考察を対応する異性体のアスコルビン酸5O−エステルに適用できる。
【0071】
本発明による式Iの物質、及び例えば4−メトキシシンナモイル6−O−アスコルバートもまた、その高い皮膚接着能に加えて、さらにそれらが環境中で容易に生分解可能であるという事実によって特色づけられる。
【0072】
本発明による物質、及び例えば同様に4−メトキシシンナモイル6−O−アスコルバートのさらなる利点は、それらの抗微生物効果に見ることができる。さらに、これらの物質は皮膚バリアを改善するのに適している。それらは創傷治癒作用を有することがあり、場合によっては脂肪沈着及び様々な形態の座瘡に対して作用することがある。それらの老化防止作用は、それらの紫外線遮蔽作用に起因するだけでなく、アスコルビン酸について上記で説明したような作用の様式にも立ち戻る。いわゆるマトリックスメタロプロテアーゼの阻害(さらなる老化防止効果)に加えて、記載の物質は皮膚の色又は髪の色にも影響し得る。特にジシドロキシアセトン又はエリトルロース(erythrulose)などの古典的なセルフタンニング物質との組合せにおいて(しかしそれらが存在しない場合も)、日焼けの増強、日焼けの持続、又は日焼けの画像の赤含有量の増加など、所望の効果を得ることができる。アスコルビン酸の皮膚美白作用も知られているため、ここで記載の物質によって、場合により既知の皮膚美白剤との相乗的な組合せにおいて、皮膚美白作用も得ることができる。
【0073】
本発明による式Iの物質は、それらの抗酸化特性に起因して、製剤中の敏感な処方成分(色素、香料成分、又はビタミンなど)の酸化による劣化を防ぐ製品保護成分として際だって適している。
【0074】
それらは例として以下に記載の香料と合わせることができるか、又は香料を安定化させ得る:
「S. Arctander, Perfume and Flavor Materials, Vol. I及びII, Montclair, N.J., 1969, Selbstverlag」又は「K. Bauer, D. Garbe and H. Surburg, Common Fragrance and Flavor Materials, 第4版, Wiley-VCH, Weinheim 2001」に記載のすべての香料。US7354893 B2に記載のすべての香料。
【0075】
したがって本発明はさらに、敏感な製剤成分の製品保護のための上記のような式Iの化合物の使用にも関する。
【0076】
本発明による物質は微粒子の投与形態として提供できる。ここで平均粒径は0.001〜0.1μm、好ましくは0.1〜5μmであってもよい。d50値(レーザー回折)が100nm〜1μmである分散が特に好ましい。活性化合物は単独で、又は例えばソルビトール又はマンニトールなどの担体物質と混合して提供できる。この投与形態では、物質は局所施用におけるデポー作用を発現させ、活性化合物を皮膚へ少しずつ放出することができる。これは濾胞性、経細胞、又は細胞間(角質細胞)の浸透経路によって起こる。本発明による物質はさらに、医薬又は化粧品工業で典型的な油/皮膚軟化剤との油性混合物の形態で提供できる。この場合、分散補助剤を使用する。
【0077】
本発明はさらに、上記の若しくは好ましいものとして示した式Iの化合物、又は個別に挙げた化合物と共に、少なくとも1つの式Iの化合物を含む製剤に関する。
【0078】
ここでの製剤は通常は局所施用できる製剤、例えば化粧用処方物又は皮膚科処方物又は医薬品である。この場合、製剤は美容上又は皮膚科学的に適切な担体、及び所望の特性プロファイルに応じて場合によりさらなる適切な成分を含む。医薬製剤の場合、この場合の製剤は薬学的に耐容性の担体及び場合によりさらなる薬学活性化合物を含む。
【0079】
本発明の意味において「局所施用できる」とは、製剤を外部から及び局部的に塗布すること、すなわち製剤が例えば皮膚へ塗布するのに適切でなければならないことを意味する。
【0080】
好ましい製剤は化粧用製剤である。
【0081】
本発明の意味において、組成物又は処方物という用語も、製剤という用語に加えて同意語として使用される。
【0082】
製剤は、前記必要物又は任意選択の成分を含有する又は含むか、本質的にそれらから成るか、又はそれらから成っていてもよい。製剤中で使用できるすべての化合物又は成分は、既知であり市販されているか、又は既知の方法によって合成できる。
【0083】
実施形態のさらなる好ましい組合せを特許請求の範囲に開示する。
【0084】
本発明はまた、少なくとも1つの式Iの化合物を担体及び場合によりさらなる活性化合物又は補助剤と混合する、上記のような製剤の調製方法にも関する。適切な担体物質及び活性化合物又は補助剤を、次の部で詳細に説明する。
【0085】
好ましい実施形態において、好ましいものとして定義される又は示される置換基を有する少なくとも1つの式Iの化合物、又は好ましい個別の化合物は、典型的には本発明による製剤中で0.05〜10重量%の量で、好ましくは0.1〜5重量%の量で、特に好ましくは0.5〜2重量%の量で使用される。当業者は、製剤の意図する作用に応じて対応する量を選択するのに、全く困難に直面しない。
【0086】
本発明にしたがって少なくとも1つの式Iの化合物を含む記載の製剤中に、着色顔料がさらに存在してもよく、顔料の層構造は限定されない。
【0087】
着色顔料は0.5〜5重量%の使用において好ましくは皮膚色であるか又は茶色がかっているべきである。対応する顔料の選択は当業者によく知られている。
【0088】
式Iの化合物及び任意の他の成分の他に、好ましい製剤はさらに、UVA領域及び/又はUVB領域及び/又は赤外及び/又は可視の領域で効果的である有機紫外線遮蔽剤(吸収剤)、いわゆる親水性又は親油性の日焼け防止遮蔽剤を含む。これらの物質は、具体的には出願WO 93/04665に記載されるケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、カンファー誘導体、トリアジン誘導体、β,β−ジフェニルアクリラート誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体、及びポリマー遮蔽剤、及びシリコーン遮蔽剤から選択できる。有機遮蔽剤のさらなる例は、特許出願EP-A 0 487 404に示されている。前記紫外線遮蔽剤は通常、INCIの命名にしたがって下記で命名される。
【0089】
組合せに特に適しているのは、
パラ−アミノ安息香酸及びその誘導体:PABA、エチルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシルジメチルPABA(例えば「Escalol 507」の名称でISPにより販売される)、グリセリルPABA、PEG−25 PABA(例えば「Uvinul P25」の名称でBASFにより販売される)である。
【0090】
サリチラート:Merckにより「Eusolex HMS」の名称で販売されるホモサラート;エチルヘキシルサリチラート(例えばHaarmann and Reimerにより「Neo Heliopan OS」の名称で販売される)、ジプロピレングリコールサリチラート(例えばScherにより「Dipsal」の名称で販売される)、TEAサリチラート(例えばHaarmann and Reimerにより「Neo Heliopan TS」の名称で販売される)。
【0091】
β,β−ジフェニルアクリラート誘導体:オクトクリレン(例えばMerckにより「Eusolex OCR」の名称で販売されるもの、BASFによる「Uvinul N539」)、エトクリレン(例えばBASFにより「Uvinul N35」の名称で販売される)。
【0092】
ベンゾフェノン誘導体:ベンゾフェノン−1(例えば「Uvinul 400」の名称で販売される)、ベンゾフェノン−2(例えば「Uvinul D50」の名称で販売される);ベンゾフェノン−3又はオキシベンゾン(例えば「Uvinul M40」の名称で販売される;ベンゾフェノン−4(例えば「Uvinul MS40」の名称で販売される);ベンゾフェノン−9(例えばBASFにより「Uvinul DS−49」の名称で販売される)、ベンゾフェノン−5、ベンゾフェノン−6(例えばNorquayにより「Helisorb 11」の名称で販売される)、ベンゾフェノン−8(例えばAmerican Cyanamidにより「Spectra−Sorb UV−24」の名称で販売される)、ベンゾフェノン−12 n−ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート又は2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(Merck, DarmstadtによりEusolex(登録商標)4360の名称で販売される)。
【0093】
ベンジリデンカンファー誘導体:3−ベンジリデンカンファー(例えば「Mexoryl SD」の名称でChimexにより販売される)、4−メチルベンジリデンカンファー(例えばMerckにより「Eusolex 6300」の名称で販売される)、ベンジリデンカンファースルホン酸(例えばChimexにより「Mexoryl SL」の名称で販売される)、カンファーベンザルコニウムメトスルファート(例えばChimexにより「Mexoryl SO」の名称で販売される)、テレフタルイリデンジカンファースルホン酸(例えばChimexにより「Mexoryl SX」の名称で販売される)、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー(Chimexにより「Mexoryl SW」の名称で販売される)。
【0094】
フェニルベンゾイミダゾール誘導体:フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸(例えばMerckにより「Eusolex 232」の名称で販売される)、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(例えばHaarmann and Reimerにより「Neo Heliopan AP」の名称で販売される)。
【0095】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体:ドロメトリゾールトリシロキサン(例えばRhodia Chimieにより「Silatrizole」の名称で販売される)、メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノールの固形のもの(例えばFairmount Chemicalにより「MIXXIM BB/100」の名称で販売される)、又は水性分散液として微粉化された形態のもの(例えばCiba Specialty Chemicalsにより「Tinosorb M」の名称で販売される)。
【0096】
トリアジン誘導体;エチルヘキシルトリアゾン(例えばBASFにより「Uvinul T150」の名称で販売される)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(例えばSigma 3Vにより「Uvasorb HEB」の名称で販売される)、2,4,6−トリス(ジイソブチル4’−アミノベンザルマロナート)−s−トリアジン、又は2,4,6−トリス(ビフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0097】
アントラニリン(Anthraniline)誘導体:メンチルアントラニラート(Menthyl anthranilate)(例えばHaarmann and Reimerにより「Neo Heliopan MA」の名称で販売される)。
【0098】
イミダゾール誘導体:エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオナート。
【0099】
ベンザルマロナート誘導体:ベンザルマロナート官能基を含有するポリオルガノシロキサン、例えばポリシリコーン−15など(例えばHoffmann LaRocheにより「Parsol SLX」の名称で販売される)。
【0100】
4,4−ジアリールブタジエン誘導体:1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン。
【0101】
ベンゾオキサゾール誘導体:2,4−ビス[5−(1−ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール−2−イル(4−フェニル)イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)イミノ−1,3,5−トリアジン(例えばSigma 3VによりUvasorb K2Aの名称で販売される)、及びこれを含む混合物。
【0102】
ピペラジン誘導体、例えば
【0103】
【化7】

【0104】
の化合物など。
【0105】
リストアップした化合物は単に例として見なすべきである。当然他の紫外線遮蔽剤を使用することも可能である。
【0106】
適切な有機紫外線防護物質は、好ましくは次のリストから選択できる:エチルヘキシルサリチラート、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−5、n−ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート、4−メチルベンジリデンカンファー、テレフタルイリデンカンファースルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン−15、1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン、2,4−ビス[5−(1−ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール−2−イル(4−フェニル)−イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)イミノ−1,3,5−トリアジン、及びその混合物。
【0107】
これらの有機紫外線遮蔽剤は、一般に処方物中に0.01重量パーセント〜20重量パーセント、好ましくは1重量%〜10重量%の量で組み込まれる。
【0108】
式Iの化合物及び上記のような任意の他の有機紫外線遮蔽剤に加えて、好ましい製剤はさらなる無機紫外線遮蔽剤、いわゆる微粒子状紫外線遮蔽剤を含む。
【0109】
微粒子状紫外線遮蔽剤とのこれらの組合せは、粉末として、及びさらに以下のタイプの分散液又はペーストとしての両方において可能である。
【0110】
ここでの両方において、二酸化チタンの群に由来するもの、例えばコーティングされた二酸化チタン(例えばEusolex(登録商標)T−2000、Eusolex(登録商標)T−AQUA、Eusolex(登録商標)T−AVO、Eusolex(登録商標)T−OLEO)など、酸化亜鉛(例えばSachtotec(登録商標))、酸化鉄、又はさらに酸化セリウム、及び/又は酸化ジルコニウムが好ましい。
【0111】
さらに、顔料二酸化チタン又は酸化亜鉛(例えば Hombitec(登録商標)COS)との組合せも可能であり、これらの顔料の粒径は200nm以上である。
【0112】
さらに、製剤は例えばCosmetics & Toiletries、1990年2月、Vol. 105、53〜64頁に記載の従来の方法による後処理がなされた無機紫外線遮蔽剤を含むのが好ましいことがある。ここで1つ又は複数の次の後処理成分を選択できる:アミノ酸、蜜ろう、脂肪酸、脂肪酸アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、リン脂質、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄、又はアルミニウム塩、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(特にコラーゲン又はエラスチン)、アルカノールアミン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、さらなる金属酸化物、リン酸塩(ヘキサメタリン酸ナトリウムなど)、又はグリセリン。
【0113】
ここで好ましく使用される微粒子状紫外線遮蔽剤は以下のものである:
− 未処理二酸化チタン、例えばTayca製の製品Micro−titanium Dioxide MT 500 B;Degussa製の二酸化チタンP25など、
− 酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素で後処理された後処理済みの微粉化二酸化チタン、例えばTayca製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 SA」;又はUniqema製の製品「Tioveil Fin」など、
− 酸化アルミニウム及び/又はステアリン酸/ラウリン酸アルミニウムで後処理した後処理済みの微粉化二酸化チタン、例えばTayca製のMicrotitanium Dioxide MT 100 T、Merck製のEusolex T−2000など、
− 酸化鉄及び/又はステアリン酸鉄で後処理した後処理済みの微粉化二酸化チタン、例えばTayca製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 F」など、
− 二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及びシリコーンで後処理した後処理済みの微粉化二酸化チタン、例えばTayca製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 SAS」など、
− ヘキサメタリン酸ナトリウムで後処理した後処理済みの微粉化二酸化チタン、例えばTayca製の製品「Microtitanium Dioxide MT 150 W」など。
【0114】
組合せにおいて使用される処理済み微粉化二酸化チタンは、以下によっても後処理してもよい:
− オクチルトリメトキシシラン;例えばDegussa製の製品Tego Sun T 805など、
− 二酸化ケイ素;例えばDSM製の製品Parsol T−Xなど、
− 酸化アルミニウム及びステアリン酸;例えばKemira製の製品UV−Titan M160など、
− アルミニウム及びグリセリン;例えばKemira製の製品UV−Titanなど、
− アルミニウム及びシリコーン油、例えばKemira製の製品UV−Titan M262など、
− ヘキサメタリン酸ナトリウム及びポリビニルピロリドン、
− ポリジメチルシロキサン、例えばCardre製の製品70250 Cardre UF TiO2SI3など、
− ポリジメチル水素シロキサン、例えばColor Techniques製の製品Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobicなど。
【0115】
さらに以下の製品との組合せも有利である:
− 未処理酸化亜鉛、例えばBASF(Sunsmart)製の製品Z−Cote、Elementis製のNanoxなど
− 後処理済み酸化亜鉛、例えば以下の製品など:
o Toshibi製の「Zinc Oxide CS−5」(ポリメチル水素シロキサンで後処理したZnO)
o Nanophase Technologies製のNanogard Zinc Oxide FN
o Shin−Etsu製の「SPD−Z1」(シクロジメチルシロキサン中に分散させたシリコーングラフトアクリルポリマーで後処理したZnO)
o ISP製の「Escalol Z100」(エチルヘキシルメトキシシンナマート/PVP−ヘキサデセン/メチコンコポリマー混合物中に分散させた、酸化アルミニウムで後処理したZnO)
o Fuji Pigment製の「Fuji ZNO−SMS−10」(二酸化ケイ素及びポリメチルシルセスキオキサンで後処理したZnO)
o 未処理の酸化セリウム微粒子顔料(micropigment)、例えばRhone Poulenc製の「Colloidal Cerium Oxide」の名称を有する
o Arnaud製のNanogarの名称を有する、未処理及び/又は後処理済みの酸化鉄。
【0116】
例えば、様々な金属酸化物の混合物、例えば後処理有り及び無しの二酸化チタン及び酸化セリウムなど(例えばIkeda製の製品Sunveil Aなど)を使用することも可能である。さらに、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、及びシリコーンで後処理した二酸化チタン、酸化亜鉛の混合物(例えばKemira製の製品UV−Titan M261など)を、本発明による紫外線防護剤と組み合わせて使用することも可能である。
【0117】
これらの無機紫外線遮蔽剤は一般に、製剤中に0.1重量パーセント〜25重量%、好ましくは2重量%〜10重量%の量で組み込まれる。
【0118】
紫外線遮蔽作用を有する前記化合物の1つ又は複数を組み合わせることにより、紫外線照射の有害性に対する保護作用を最適化できる。
【0119】
すべての前記紫外線遮蔽剤は、カプセル化した形態でも使用できる。特に、有機紫外線遮蔽剤をカプセル化した形態で使用するのが有利である。詳細には、以下の利点が生じる:
− カプセル壁の親水性を、紫外線遮蔽剤の溶解性とは無関係に設定できる。したがって、例えば疎水性紫外線遮蔽剤を純粋な水性製剤中に組み込むことも可能である。さらに、不快と見なされることが多い、疎水性紫外線遮蔽剤を含む製剤を塗布する際の油っぽい印象が抑えられる。
− ある種の紫外線遮蔽剤(具体的にはジベンゾイルメタン誘導体)は、化粧用製剤中で低い光安定性しか示さない。これらの遮蔽剤、又はこれらの遮蔽剤の光安定性を損なう化合物(例えばケイ皮酸誘導体など)をカプセル化することで、製剤全体の光安定性を高めることができる。
− ヒトの皮膚へ直接塗布する際の有機紫外線遮蔽剤による皮膚浸透及びそれに伴う炎症の可能性は、文献で繰り返し論じられている。ここで提案される、対応する物質のカプセル化は、この効果を抑制する。
− 一般に、個々の紫外線遮蔽剤又は他の成分をカプセル化することで、個々の製剤成分が互いに相互作用することによって引き起こされる製剤の問題、例えば結晶化プロセス、沈殿、及び凝集などを避けることが可能になる。これは相互作用が抑制されるためである。
【0120】
したがって、1つ又は複数の上記の紫外線遮蔽剤がカプセル化した形態であることが好ましい。ここで、カプセルは肉眼で観察できないほど小さいことが有利である。上記の効果を実現するために、カプセルが十分に安定であり、カプセル化された活性化合物(紫外線遮蔽剤)が環境中にわずかな程度しか放出されないか、又は全く放出されないことがさらに必要である。
【0121】
好適なカプセルは無機又は有機ポリマーの壁を有していてもよい。例えば、US 6,242,099 B1は、キチン、キチン誘導体、又はポリヒドロキシ化ポリアミンの壁を有する好適なカプセルの製造を記載している。カプセル壁はPMMAから成っていてもよい。特に好ましく使用されるカプセルは、WO 00/09652、WO 00/72806、及びWO 00/71084の出願に記載されるようなゾルゲル法によって得ることができる壁を有する。結果としてここでは壁がシリカゲルから作られるカプセルが好ましい(シリカ;未定義のケイ素酸化物水酸化物(undefined silicon oxide hydroxide))。対応するカプセルの製造は、例えば引用の特許出願で当業者に知られており、その内容は本出願の主題にも明らかに含まれる。
【0122】
カプセルは好ましくは、カプセル化した紫外線遮蔽剤が製剤中に上記で示した重量パーセント比で存在することを確実にする量で、本発明にしたがって使用しようとする製剤中に存在する。
【0123】
好ましい製剤は同様に、好ましくはアスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、又はアスコルビルパルミタートの群からの、少なくとも1つのさらなるアスコルビン酸誘導体を含んでいてもよい。
【0124】
好ましい製剤は、例えば抗酸化剤、老化防止活性化合物、抗脂肪沈着活性化合物、セルフタンニング物質、皮膚美白活性化合物、又はビタミンから選択される、少なくとも1つのさらなる美容活性化合物も含んでいてもよい。
【0125】
酸化ストレスに対する、又はフリーラジカルの影響に対する製剤の保護作用は、製剤が1つ又は複数の抗酸化剤を含む場合に改善させることができ、当業者は迅速に又は時間差で適切に作用する抗酸化剤を選択するのに全く困難に直面することはない。
【0126】
抗酸化剤として使用できる、専門の文献で知られている実証済みの多くの物質がある。例えばアミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)及びその誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシン、及びその誘導体(例えばアンセリン)などのペプチド、カロチノイド、カロテン(例えばα−カロテン、β−カロテン、リコピン)及びその誘導体、クロロゲン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、オーロチオグルコース、プロピルチオウラシル、及び他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、並びにそのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル、及びラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリル、及びグリセリルエステル)、及びその塩、ジラウリルチオジプロピオナート、ジステアリルチオジプロピオナート、チオジプロピオン酸、及びその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド、及び塩)、及び非常に低い耐性用量(例えばpmol〜μmol/kg)のスルホキシイミン化合物(例えばブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ、ヘキサ、及びヘプタチオニンスルホキシイミン)、並びにさらに(金属)キレート剤(例えばα−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTA、及びその誘導体、不飽和脂肪酸及びその誘導体、ビタミンC及び誘導体(例えばアスコルビルパルミタート、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルアセタート)、トコフェロール及び誘導体(例えばビタミンEアセタート)、ビタミンA及び誘導体(例えばビタミンAパルミタート)、及びベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾアート、ルチン酸(rutinic acid)及びその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、ケルセチン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、亜鉛及びその誘導体(例えばZnO、ZnSO)、セレン及びその誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベン及びその誘導体(例えばスチルベンオキシド、trans−スチルベンオキシド)である。
【0127】
EDTA(特にEDTA二ナトリウム)もキレート剤であり、好ましくは、本発明による式Iの化合物との組合せにおいて、又は同様に4−メトキシシンナモイル6O−アスコルバートとの組合せにおいて、製剤中の式Iの化合物又は4−メトキシシンナモイル6O−アスコルバートを安定化させる、及び/又は化粧処方物の変色を低減又は防止する特性を有する。EDTAはエチレンジアミン四酢酸を表す。
【0128】
この特性を有する他の適切なキレート剤は、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸五ナトリウムである。しかし、ポリアミン又はα−ヒドロキシ脂肪酸の群に属するキレート剤も好適である。
【0129】
適切な抗酸化剤はさらに、式A又はBの化合物
【0130】
【化8】



【0131】
であって、式中、
は−C(O)CH、−CO、−C(O)NH、及び−C(O)N(Rの群から選択でき、
XはO又はNHを表し、
は1〜30個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルを表し、
は1〜20個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルを表し、
は、それぞれの場合において互いに独立にH又は1〜8個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキルを表し、
は、H、1〜8個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、又は1〜8個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルコキシを表し、
は1〜8個のC原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキルを表し、
式A又はBの化合物、好ましくは2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロン酸及び/又は2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジル)マロン酸の誘導体、特に好ましくはビス(2−エチルヘキシル)2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロナート(例えばOxynex(登録商標)ST Liquid)及び/又はビス(2−エチルヘキシル)2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジル)マロナート(例えばRonaCare(登録商標)AP)である。
【0132】
抗酸化剤の混合物は、同様に本発明による化粧用製剤において使用するのに適している。既知であり市販の混合物は、例えば、活性化合物としてレシチン、L−(+)−アスコルビルパルミタート、及びクエン酸を含む混合物、天然トコフェロール、L−(+)−アスコルビルパルミタート、L−(+)−アスコルビン酸、及びクエン酸を含む混合物(例えばOxynex(登録商標)K LIQUID)、天然物源からのトコフェロール抽出物、L−(+)−アスコルビルパルミタート、L−(+)−アスコルビン酸、及びクエン酸を含む混合物(例えばOxynex(登録商標)L LIQUID)、DL−α−トコフェロール、L−(+)−アスコルビルパルミタート、クエン酸、及びレシチンを含む混合物(例えばOxynex(登録商標)LM)、又はブチルヒドロキシトルエン(BHT)、L−(+)−アスコルビルパルミタート、及びクエン酸を含む混合物(例えばOxynex(登録商標)2004)である。このタイプの抗酸化剤は通常、本発明による化合物を含むそのような組成物中で、1000:1〜1:1000の範囲の重量パーセント比、好ましくは100:1から1:100の重量パーセント比で使用される。
【0133】
本発明にしたがって使用できるフェノールのうち、ポリフェノール(その一部は天然由来である)は薬学分野、美容分野、又は栄養学分野での応用において特に興味深い。例えば主に植物色素として知られるフラボノイド又はビオフラボノイドは、多くの場合抗酸化の潜在能力を有する。K. Lemanska, H. Szymusiak, B. Tyrakowska, R. Zielinski, I.M.C.M. Rietjens; Current Topics in Biophysics 2000, 24(2), 101-108は、モノ及びジヒドロキシフラボンの置換パターンの効果に関する。その中で、ケト官能基に隣接するOH基又は3’,4’位又は6,7位又は7,8位のOH基を含有するジヒドロキシフラボンが抗酸化特性を有し、一方他のモノ及びジヒドロキシフラボンは抗酸化特性を有していない場合があることが認められている。
【0134】
ケルセチン(シアニダノール、シアニデノロン1522、メレチン、ソホレチン(sophoretin)、エリシン(ericin)、3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラボン)は、特に効果的な抗酸化剤として挙げられることが多い(例えばC.A. Rice-Evans, N.J. Miller, G. Paganga, Trends in Plant Science 1997, 2(4), 152-159)。K. Lemanska, H. Szymusiak, B. Tyrakowska, R. Zielinski, A.E.M.F. Soffers and I.M.C.M. Rietjens, Free Radical Biology & Medicine 2001, 31(7), 869-881ではヒドロキシフラボンの抗酸化作用のpH依存性を調べている。ケセルチンは全体のpH範囲にわたって、調べた構造の中で最も高い活性を示す。
【0135】
とりわけスキンケア製剤における好適な老化防止活性化合物は、好ましくはいわゆる適合溶質である。植物又は微生物の浸透圧調節に関与するこれらの物質は、これらの生物から単離できる。ここでの適合溶質という総称は、独国特許出願DE-A-10133202に記載のオスモライトも包含する。好適なオスモライトは、例えばポリオール、メチルアミン化合物、及びアミノ酸、並びにそれらのそれぞれの前駆体である。独国特許出願DE-A-10133202の意味におけるオスモライトは、例えば、ミオイノシトール、マンニトール、又はソルビトールなどのポリオール、及び/又は1つ又は複数の以下に挙げる浸透圧調節活性物質:タウリン、コリン、ベタイン、ホスホリルコリン、グリセロホスホリルコリン、グルタミン、グリシン、α−アラニン、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、及びプロリンの群からの物質を意味すると見なされる。これらの物質の前駆体は、例えばグルコース、グルコースポリマー、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、無機リン酸塩、タンパク質、ペプチド、及びポリアミノ酸である。前駆体は、例えば代謝ステップによってオスモライトへ変換される化合物である。
【0136】
本発明にしたがって好ましく使用される適合溶質は、ピリミジンカルボン酸(エクトイン及びヒドロキシエクトインなど)、プロリン、ベタイン、グルタミン、環状ジホスホグリセラート、N−アセチルオルニチン、トリメチルアミンN−オキシド、ジミオイノシトールホスファート(DIP)、環状2,3−ジホスホグリセラート(cDPG)、1,1−ジグリセロールホスファート(DGP)、β−マンノシルグリセラート(フィロイン(firoin))、β−マンノシルグリセルアミド(フィロイン−A)、及び/又はジマンノシルジイノシトールホスファート(DMIP)、又は光学異性体、誘導体、例えばこれらの化合物の酸、塩、又はエステル、又はそれらの組合せから成る群から選択される物質である。
【0137】
ピリミジンカルボン酸のうち、ここではエクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)、及びヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)、及びそれらの誘導体を特に挙げるべきである。
【0138】
さらに、本発明による製剤は、少なくとも1つのセルフタンニング剤をさらなる成分として含んでいてもよい。
【0139】
使用できる有利なセルフタンニング剤は、とりわけ:1,3−ジヒドロキシアセトン、グリセロールアルデヒド、ヒドロキシメチルグリオキサル、γ−ジアルデヒド、エリトルロース、6−アルド−D−フルクトース、ニンヒドリン、5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ジュグロン)、又は2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ローソン(lawsone))である。1,3−ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、又はそれらの組合せがさらにとりわけ好ましい。
【0140】
製剤は、1つ又は複数のさらなる皮膚美白活性化合物又は同意語として脱色素活性化合物を含んでいてもよい。皮膚美白活性化合物は、原則として当業者に既知のあらゆる活性化合物であってもよい。皮膚美白活性を有する化合物の例は、ヒドロキノン、コウジ酸、アルブチン、アロエシン(aloesin)、又はルシノール(rucinol)である。
【0141】
使用されることになる製剤は、ビタミンをさらなる成分として含んでいてもよい。ビタミンA、ビタミンAプロピオナート、ビタミンAパルミタート、ビタミンAアセタート、レチノール、ビタミンB、チアミン塩化物塩酸塩(ビタミンB)、リボフラビン(ビタミンB)、ニコチンアミド、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、エルゴカルシフェロール(ビタミンD)、ビタミンE、DL−α−トコフェロール、トコフェロールEアセタート、トコフェロール水素スクシナート、ビタミンK、エスクリン(ビタミンP活性化合物)、チアミン(ビタミンB)、ニコチン酸(ナイアシン)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン(ビタミンB)、パントテン酸、ビオチン、葉酸、及びコバラミン(ビタミンB12)、特に好ましくはビタミンAパルミタート、ビタミンC及びその誘導体、DL−α−トコフェロール、トコフェロールEアセタート、ニコチン酸、パントテン酸、及びビオチンから選択される、ビタミン及びビタミン誘導体が好ましい。化粧品用途において、ビタミンは通常、フラボノイドを含有する予備混合物又は製剤と共に、総重量を基準として0.01〜5.0重量%の範囲で加えられる。栄養生理学用途は、それぞれの推奨されるビタミン必要量に向けられている。
【0142】
記載のレチノイドは、同時に効果的な抗脂肪沈着活性化合物でもある。同様に既知の抗脂肪沈着活性化合物はカフェインである。
【0143】
製剤の前記成分は、当業者に周知である技術を用いて通常の方法で組み込むことができる。
【0144】
適切な製剤は外用におけるものであり、例えばクリーム又はミルク(O/W、W/O、O/W/O、W/O/W)として、ローション又はエマルションとして、油性・アルコール性、油性・水性、又は水性・アルコール性のジェル又は溶液の形態で、皮膚にスプレーすることができる。それらは固形スティックの形態であるか、エアロゾルとして処方されていてもよい。カプセル、糖衣錠、粉末、溶解錠、又は溶液などの投与形態は内用に適している。
【0145】
使用しようとする製剤の施用形態について挙げることができる例は、溶液、懸濁液、エマルション、PITエマルション、ペースト、軟膏、ジェル、クリーム、ローション、粉末、石けん、界面活性剤含有のクレンジング製剤、オイル、エアロゾル、及びスプレーである。
【0146】
好ましい補助剤は、保存料、安定剤、可溶化剤、着色剤、臭気改良剤の群に由来する。
【0147】
軟膏、ペースト、クリーム、及びジェルは、局所施用に適切である従来のビヒクル、例えば動物性及び植物性脂肪、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、及び酸化亜鉛、又はこれらの物質の混合物を含んでいてもよい。
【0148】
粉末及びスプレーは、従来のビヒクル、例えばラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物を含んでいてもよい。スプレーは、従来の容易に揮発しやすい液化高圧ガス、例えばクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタン、又はジメチルエーテルをさらに含んでいてもよい。圧縮空気も好都合に使用できる。
【0149】
溶液及びエマルションは、溶媒、可溶化剤、及び乳化剤などの従来のビヒクル、例えば水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾアート、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、オイル、具体的には綿実油、ピーナッツ油、小麦胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物を含んでいてもよい。
【0150】
好ましい可溶化剤は一般に2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル−D−アラニンメチルエステルである。
【0151】
懸濁液は、液体希釈剤(例えば水、エタノール、又はプロピレングリコール)、懸濁媒体(例えばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、及びポリオキシエチレンソルビタンエステル)、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム(aluminium metahydroxide)、ベントナイト、アガーアガー(agar−agar)、及びトラガカント、又はこれらの物質の混合物などの、従来のビヒクルを含んでいてもよい。
【0152】
石けんは、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオナート、ラノリン、脂肪アルコール、植物油、植物抽出物、グリセロール、糖、又はこれらの物質の混合物などの、従来のビヒクルを含んでいてもよい。
【0153】
界面活性剤を含有するクレンジング製品は、脂肪アルコールスルファート塩、脂肪アルコールエーテルスルファート、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオナート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウラート、サルコシナート、脂肪酸アミドエーテルスルファート、アルキルアミドベタイン、脂肪アルコール、脂肪酸グリセリド脂肪酸ジエタノールアミド、植物油及び合成油、ラノリン誘導体、エトキシ化グリセロール脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物などの、従来のビヒクルを含んでいてもよい。
【0154】
顔及び体用のオイルは、合成油(脂肪酸エステル、脂肪アルコール、シリコーン油など)、天然油(植物油及び油性植物抽出物など)、パラフィン油、ラノリン油、又はこれらの物質の混合物などの、従来のビヒクルを含んでいてもよい。
【0155】
口紅、口唇ケアスティック、パウダー化粧品、エマルション化粧品及びワックス化粧品、及び日焼け止め、日焼け前及び日焼け後用製剤も、さらなる典型的な化粧品応用形態である。
【0156】
好ましい製剤形態としては、具体的にはエマルションも挙げられる。
【0157】
エマルションは有利であり、例えばこのタイプの製剤に通常使用されるような、前記脂肪、油、ワックス、及び他の脂肪性物質、並びに水及び乳化剤を含む。
【0158】
本発明による式Iの化合物、さらに4−メトキシシンナモイル6O−アスコルバートも、極性油成分と共に製剤中に特に好ましく組み込むことができることが分かっている。
【0159】
特に好ましい極性油成分は、例えばアリールアルキルベンゾアート、ジメチルイソソルビド、フタルイミド、脂肪酸エステル、アルキルベンゾアート、トリグリセリド、又はN,N−二置換アミドである。
【0160】
特に好ましいアリールアルキルベンゾアートは、X−Tend(商標) 226の名称でISPより市販されている2−フェニルエチルベンゾアートである。
【0161】
特に好ましいフタルイミドは、例えばn−ブチルフタルイミド、イソプロピルフタルイミド、又はブチルフタルイミド及びイソプロピルフタルイミドの混合物である。具体的な混合物は、例えばPhoenix Chemicals製の市販品Pelemol(登録商標)BIPとして入手可能である。
【0162】
好ましい脂肪酸エステルは、例えばCOSMACOL(登録商標)ETLPとしてSasolより入手可能なジミリスチルタルトラート、COSMACOL(登録商標)ECLとしてSasolより入手可能な、それぞれ14個又は15個のC原子を有するアルキル基を含有するクエン酸エステル、COSMACOL(登録商標)ECIとしてSasolより入手可能な、それぞれ12個又は13個のC原子を有するアルキル基を含有するクエン酸エステル、COSMACOL(登録商標)ELIとして入手可能な、それぞれ12個〜13個のC原子を有するアルキル基を含有する乳酸エステル、COSMACOL(登録商標)ESIとして入手可能なトリデシルサリチラート、COSMACOL(登録商標)EOIとしてSasolより入手可能な、それぞれ12〜13個のC原子を有するアルキル基を含有するエチルヘキサン酸のエステル、COSMACOL(登録商標)EMIとして入手可能な、それぞれ12〜13個のC原子を有するアルキル基を含有するマレイン酸エステル、COSMACOL(登録商標)ETIとしてSasolより入手可能な、それぞれ12〜13個のC原子を有するアルキル基を含有する酒石酸エステルである。
【0163】
好ましいアルキルベンゾアートは、それぞれ12〜15個のC原子を有するアルキル基を含有する安息香酸エステルである。市販品はCOSMACOL(登録商標)EBIとしてSasolより、又はFinsolv(登録商標)TNとしてFinetexより入手可能である。
【0164】
好ましいトリグリセリドは、それぞれ8個〜12個のC原子を有する脂肪酸とのトリグリセリドであり、例えばMiglyol(登録商標)812としてEvonikより入手可能である。
【0165】
N,N−二置換アミドは、例えばEP 1044676又はEP 0928608に記載されている。好ましいN,N−二置換アミドは、例えばIR3535としてMerckより入手可能なN−アセチル−N−ブチルアミノプロピオナート、Eldew(登録商標)SL−205としてAjimotoより入手可能なイソプロピルN−ラウロイルサルコシナート、又はDeet(登録商標)としてShowa Denkoより入手可能なN,N−ジエチルトルアミドである。
【0166】
脂質相は以下の物質の群から有利に選択することができる:
− 鉱油、鉱蝋;
− カプリン酸又はカプリル酸のトリグリセリドなどの油、さらに例えばヒマシ油などの天然油;
− 脂肪、ワックス、及び他の天然及び合成脂肪物質、好ましくは脂肪酸と低炭素数を有するアルコール(例えばイソプロパノール、プロピレングリコール、又はグリセロール)とのエステル、脂肪アルコールと低炭素数を有するアルカン酸又は脂肪酸とのエステル;
− シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、及びそれらの混合形態など。
【0167】
本発明の目的のために、エマルション、オレオゲル(oleogel)、又は水性分散液(hydrodispersion)、又はリポ分散液(lipodispersion)の油相は、3〜30個のC原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和、分岐鎖及び/又は非分岐のアルカンカルボン酸と、3〜30個のC原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和、分岐鎖及び/又は非分岐のアルコールとのエステルの群から、又は、芳香族カルボン酸と、3〜30個のC原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和、分岐鎖及び/又は非分岐のアルコールとのエステルの群から、有利に選択される。次にこのタイプのエステル油は、イソプロピルミリスタート、イソプロピルパルミタート、イソプロピルステアラート、イソプロピルオレアート、n−ブチルステアラート、n−ヘキシルラウラート、n−デシルオレアート、イソオクチルステアラート、イソノニルステアラート、イソノニルイソノナノアート、2−エチルヘキシルパルミタート、2−エチルヘキシルラウラート、2−ヘキシルデシルステアラート、2−オクチルドデシルパルミタート、オレイルオレアート、オレイルエルカート、エルシルオレアート、エルシルエルカート、並びにこのタイプのエステルの合成、半合成、及び天然の混合物(例えばホホバ油)の群から有利に選択することができる。
【0168】
油相はさらに、分岐鎖及び非分岐の炭化水素及び炭化水素ワックス、シリコーン油、ジアルキルエーテルの群、又は、飽和又は不飽和、分岐鎖又は非分岐のアルコール、及び脂肪酸トリグリセリドの群、特に8〜24個、具体的には12〜18個のC原子を有する飽和及び/又は不飽和、分岐鎖及び/又は非分岐のアルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルから有利に選択することができる。脂肪酸トリグリセリドは、例えば合成、半合成、及び天然の油、例えばオリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナッツ油、菜種油、アーモンド油、パーム油、ヤシ油、パーム核油などの群から有利に選択することができる。
【0169】
このタイプの油及びワックス成分の任意の所望の混合物も、本発明の目的のために有利に使用することができる。ワックス、例えばセチルパルミタートを、油相の唯一の脂質成分として使用することも有利である場合がある。
【0170】
使用しようとする製剤の水性相は、場合により低炭素数を有するアルコール、ジオール、又はポリオール、及びそれらのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチル、又はモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル、又はモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル、及び類似の製品、低炭素数を有するさらなるアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセロール、及びとりわけ1つ又は複数の増粘剤(二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖、及びその誘導体、例えばヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの群から、特に好都合にはポリアクリラートの群から、好ましくはいわゆるCarbopolの群、例えばCarbopol 980、981、1382、2984、5984グレードからのポリアクリラートから有利に選択することができる)を、それぞれの場合で個々に又は組合せで含むのが好ましい。
【0171】
具体的には、上記の溶媒の混合物を使用する。アルコール溶媒の場合、水が追加の成分であってもよい。
【0172】
エマルションは有利であり、例えばこのタイプの処方物に通常使用されるような、前記脂肪、油、ワックス、及び他の脂肪物質、並びに水及び乳化剤、を含む。
【0173】
好ましい実施形態において、使用しようとする製剤は親水性界面活性剤を含む。親水性界面活性剤は、好ましくはアルキルグルコシド、アシルラクチラート、ベタイン、及びココナツアンホアセタート(coconut amphoacetate)の群から選択される。
【0174】
天然又は合成の原料及び補助剤、又は本発明にしたがって使用される有効含量の活性化合物によって特色づけられる混合物、例えばPlantaren(登録商標)1200(Henkel KGaA)、Oramix(登録商標)NS 10(Seppic)を使用することは同様に有利である。
【0175】
化粧用及び皮膚科用製剤は様々な形態で存在することができる。したがってそれらは、例えば溶液、水を含まない製剤、油中水(W/O)型又は水中油(O/W)型のエマルション又はマイクロエマルション、多重エマルション(例えば水中油中水(W/O/W)型のもの)、ジェル、固形スティック、軟膏、又はエアロゾルであってもよい。例えばコラーゲンマトリックス及び他の従来のカプセル化材料中にカプセル化した形態で、例えばセルロースカプセル化として、ゼラチン、ワックスマトリックス、又はリポソームによりカプセル化して、エクトインを投与することも有利である。特に、DE-A-4308282に記載のワックスマトリックスが好ましいことが分かっている。エマルションが好ましい。O/Wエマルションが特に好ましい。エマルション、W/Oエマルション、及びO/Wエマルションは、従来法で得ることができる。
【0176】
使用できる乳化剤は、例えば既知のW/O及びO/W乳化剤である。さらなる従来の共乳化剤(co−emulsifier)を好ましいO/Wエマルションにおいて使用するのが有利である。
【0177】
有利に選択される共乳化剤は、例えば主にHLB値が11〜16である、さらにとりわけ有利には、HLB値が14.5〜15.5である物質の群からのO/W乳化剤であるが、ただしO/W乳化剤が飽和基R及びR’を含む限りにおいてである。O/W乳化剤が不飽和基R 及び/又はR'を有する場合、又はイソアルキル誘導体が存在する場合、そのような乳化剤の好ましいHLB値はより低いか又はより高くてもよい。
【0178】
脂肪アルコールエトキシラートは、エトキシ化ステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール(セテアリルアルコール)の群から選択するのが有利である。
【0179】
脂肪酸エトキシラートは以下の群から選択されるのがさらに有利である:
ポリエチレングリコール(20)ステアラート、ポリエチレングリコール(21)ステアラート、ポリエチレングリコール(22)ステアラート、ポリエチレングリコール(23)ステアラート、ポリエチレングリコール(24)ステアラート、ポリエチレングリコール(25)ステアラート、ポリエチレングリコール(12)イソステアラート、ポリエチレングリコール(13)イソステアラート、ポリエチレングリコール(14)イソステアラート、ポリエチレングリコール(15)イソステアラート、ポリエチレングリコール(16)イソステアラート、ポリエチレングリコール(17)イソステアラート、ポリエチレングリコール(18)イソステアラート、ポリエチレングリコール(19)イソステアラート、ポリエチレングリコール(20)イソステアラート、ポリエチレングリコール(21)イソステアラート、ポリエチレングリコール(22)イソステアラート、ポリエチレングリコール(23)イソステアラート、ポリエチレングリコール(24)イソステアラート、ポリエチレングリコール(25)イソステアラート、ポリエチレングリコール(12)オレアート、ポリエチレングリコール(13)オレアート、ポリエチレングリコール(14)オレアート、ポリエチレングリコール(15)オレアート、ポリエチレングリコール(16)オレアート、ポリエチレングリコール(17)オレアート、ポリエチレングリコール(18)オレアート、ポリエチレングリコール(19)オレアート、ポリエチレングリコール(20)オレアート。
【0180】
有利に使用できるエトキシ化アルキルエーテルカルボン酸又はその塩は、ラウレス−11カルボン酸ナトリウムである。有利に使用できるアルキルエーテルスルファートは、ラウレス−14硫酸ナトリウムである。有利に使用できるエトキシ化コレステロール誘導体は、ポリエチレングリコール(30)コレステリルエーテルである。ポリエチレングリコール(25)ソヤステロール(soyasterol)も良好であることが分かっている。有利に使用できるエトキシ化トリグリセリドは、ポリエチレングリコール(60)マツヨイグサグリセリド(evening primrose glycerides)である。
【0181】
ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルは、ポリエチレングリコール(20)グリセリルラウラート、ポリエチレングリコール(21)グリセリルラウラート、ポリエチレングリコール(22)グリセリルラウラート、ポリエチレングリコール(23)グリセリルラウラート、ポリエチレングリコール(6)グリセリルカプラート/カプリナート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルオレアート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルイソステアラート、ポリエチレングリコール(18)グリセリルオレアート/ココアートの群から選択されるのがさらに有利である。
【0182】
同様にソルビタンエステルは、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノラウラート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノステアラート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノイソステアラート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノパルミタート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノオレアートの群から選択されるのが好ましい。
【0183】
以下のものは、任意選択のW/O乳化剤として使用でき、それでありながら本発明によれば有利であり得る:8〜30個の炭素原子を有する脂肪アルコール、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和、分岐鎖及び/又は非分岐のアルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和、分岐鎖及び/又は非分岐のアルカンカルボン酸のジグリセロールエステル、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和、分岐鎖及び/又は非分岐のアルコールのモノグリセロールエーテル、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和、分岐鎖及び/又は非分岐のアルコールのジグリセロールエーテル、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和、分岐鎖及び/又は非分岐のアルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル、並びに、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和、分岐鎖及び/又は非分岐のアルカンカルボン酸のソルビタンエステル。
【0184】
特に有利なW/O乳化剤は、グリセリルモノステアラート、グリセリルモノイソステアラート、グリセリルモノミリスタート、グリセリルモノオレアート、ジグリセリルモノステアラート、ジグリセリルモノイソステアラート、プロピレングリコールモノステアラート、プロピレングリコールモノイソステアラート、プロピレングリコールモノカプリラート、プロピレングリコールモノラウラート、ソルビタンモノイソステアラート、ソルビタンモノラウラート、ソルビタンモノカプリラート、ソルビタンモノイソオレアート、スクロースジステアラート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス−2)、グリセリルモノラウラート、グリセリルモノカプリナート、グリセリルモノカプリラート、又はPEG30ジポリヒドロキシステアラートである。
【0185】
製剤は、このタイプの製剤に通常使用される化粧品補助剤、例えば増粘剤、軟化剤、保湿剤、表面活性剤、乳化剤、保存料、消泡剤、香料、ワックス、ラノリン、高圧ガス、染料及び/又は顔料など、及び化粧品に通常使用される他の成分を含んでいてもよい。
【0186】
使用される分散剤又は可溶化剤は、油、ワックス、又は他の脂肪物質、低級モノアルコール、又は低級ポリオール、又はそれらの混合物であってもよい。特に好ましいモノアルコール又はポリオールとしては、エタノール、i-プロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、及びソルビトールが挙げられる。
【0187】
本発明の好ましい実施形態は、例えば脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリド、ラノリン、天然及び合成の油又はワックス、及び乳化剤を水の存在下で含む、保護クリーム又は乳液の形態のエマルションである。
【0188】
さらなる好ましい実施形態は、天然又は合成の油及びワックス、ラノリン、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリドに基づく油性ローション、あるいはエタノールなどの低級アルコール、又はプロピレングリコールなどのグリコール、及び/又はグリセロールなどのポリオール、及び油、ワックス、及び脂肪酸のトリグリセリドなどの脂肪酸エステルに基づく油性アルコール系ローションである。
【0189】
製剤は、エタノール、プロピレングリコール、又はグリセロールなどの1つ又は複数の低級アルコール又はポリオール、及びケイ質土などの増粘剤を含む、アルコール系ジェルの形態であってもよい。油性アルコール系ジェルは、天然又は合成の油又はワックスも含む。
【0190】
固形スティックは、天然又は合成のワックス及び油、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリン、及び他の脂肪物質から成る。
【0191】
製剤がエアロゾルとして処方される場合、一般にアルカン、フルオロアルカン、及びクロロフルオロアルカンなどの従来の高圧ガス、好ましくはアルカンが使用される。
【0192】
好ましい製剤はpHが3.5〜7の範囲、特に好ましくは4.5〜6.5の範囲である。処方物に使用される水相は緩衝化された形態であることが有利であると分かっている。クエン酸緩衝液(クエン酸/クエン酸ナトリウム)の使用が特に好ましい。
【0193】
さらなるコメントがなくとも、当業者は上記の説明を最も広い範囲で利用できるであろうと想定される。したがって好ましい実施形態及び例は、どのような形であれ全く限定するものではない単に説明的な開示として見なされるべきである。上記及び下記のすべての出願及び出版物の完全な開示内容は、参照により本出願に組み込まれる。例の製剤中の個々の成分の重量パーセント比は明らかにこの記述の開示内容に含まれ、したがって特徴として利用できる。
【0194】
以下に示す本発明による主題の例は、単に説明に役立つものであり、どのような形であれ本発明を狭めるものではない。さらに、記載の本発明は特許請求の範囲全体にわたって実施できる。本製剤において使用できるすべての化合物又は成分は、既知であり市販されているか、又は既知の方法によって合成できる。概して、使用される原料のINCI名を示す(INCI名は定義によって英語で示す)。
合成例:
例1:酵素的エステル化による(S)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル3−(2,4−ジメトキシフェニル)アクリラート
【0195】
【化9】

【0196】
190mlのアセトン中の10gのL−アスコルビン酸(56.8mmol;1当量)に、最初に10gのモレキュラーシーブ4Å及び100mgのリパーゼ(例えばRhizomucor miehei、Aspergillus oryzae又はCandida cylindracea由来の組み換え体)を導入し、次いで29.6gの3−(2,4−ジメトキシフェニル)アクリル酸(141.9mmol、2.5当量)を加える。37℃で18時間の反応時間後、モレキュラーシーブをろ過して取り除き、混合物を室温まで冷却し、100mlの水をゆっくり加えることによって生成物を沈殿させる。60℃で真空乾燥させて生成物を白色固体として得る。
例2:(R)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル(E)−3−(2,4,6−トリメトキシフェニル)アクリラート(2,4,6−トリメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート)の合成
【0197】
【化10】



【0198】
最初に265mlの濃硫酸をアルゴン置換三つ口フラスコ中に導入し、0℃まで冷却する。133.1g(0.756mol、3当量)のアスコルビン酸及び続いて60gの(E)−3−(2,4,6−トリメトキシフェニル)アクリル酸(0.252mol、1当量)を何回かに分けて加える。次いで73.7mlの発煙硫酸(65%のSOを含む硫酸)を滴下して加える。40℃での4時間の反応時間後、反応溶液を1000gの氷に注ぎ、塩化ナトリウムで飽和させ、メチルエチルケトンで抽出する。合わせた有機相を飽和NaCl溶液で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空で除去する。酢酸エチルから結晶化させることにより、淡黄色固体として生成物を得る。
2,4,6−TMCA[(E)−3−(2,4,6−トリメトキシフェニル)アクリル酸(R)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチルエステル]のH−NMRデータ
【0199】
【化11】



【0200】
H−NMR(500MHz,DMSO)δ 3.83(s,OCH)、3.86(s,2×OCH)、4.03(t,CH,J=1.6Hz)、4.16(m,CH)、4.72(d,CH,J=1.3Hz)、5.34(br,OH)、6.28(s,2×CH)、6.65(d,CH)、7.96(d,CH)、8.39(br,OH)、11.09(br,OH)。
例3:(R)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル(E)−3−(2,3,4−トリメトキシフェニル)アクリラート(2,3,4−トリメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート)の合成
【0201】
【化12】

【0202】
25gの(E)−3−(2,3,4−トリメトキシフェニル)アクリル酸(105mmol;1当量)を、100mlのNMPに25℃で溶解させ、9.1mlの塩化チオニル(126mmol、1.2当量)を0℃で加え、混合物を2時間撹拌する。続いて55.4gのアスコルビン酸(315mmol;3当量)を25〜28℃で加え、混合物をさらに60分間撹拌する。続いて水及びクロロホルムを加え、混合物を抽出及び乾燥させ、溶媒を真空で除去する。残渣をトルエンから再結晶させ、薄ベージュ色固体として生成物を得る。
例4:(R)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル(E)−3−(2,4,5−トリメトキシフェニル)アクリラート(2,4,5−トリメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート)の合成
【0203】
【化13−1】

【0204】
【化13−2】

【0205】
アルゴン置換三つ口フラスコ中で20gの(E)−3−(2,4,5−トリメトキシフェニル)アクリル酸(84mmol;1当量)を100mlのジメチルホルムアミドに溶解させ、11.1gのジイソプロピルカルボジイミド(88.1mmol、1.05当量)を加える。30分後、45mlのジメチルホルムアミド中に溶解させたアスコルビン酸(22.2g、126mmol;1.5当量)を滴下して加える。0℃にて30分後、混合物を室温でさらに6時間撹拌する。反応溶液を蒸発乾燥させ、1:1の酢酸エチル/ヘキサン中に懸濁させろ過し、ヘキサンを加えることにより淡黄色固体として生成物を沈殿させる(λmax=354nm)。
例5:短時間照射による光異性化の調査
本発明による紫外線遮蔽剤クロモフォア又は比較化合物の1−プロパノール/Pelemol BIP(8/2)中2%溶液を、Plexiglas標本スライドの粗い面に塗布する(1μl/cm)。続いて試料に太陽光をシミュレートした紫外線を15分間照射する(Atlas CPS+、設定765Wm−2)。次いでPMMAプレートを50mlのイソプロパノールですすぎ、紫外線/可視光分光光度計で測定する。吸収極大での吸収の減少を、照射なしの値と比較して測定する。
【0206】
調査される化合物:
A)(2,4−ジメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート)
B)比較用の(3,4−ジメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート)。
【0207】
結果:
化合物A)は26%の吸収の減少を示すが、一方化合物B)は吸収の減少が40%である。したがってオルト置換ケイ皮酸誘導体はより小さい吸収の減少を示し、この結果はシス異性体の生成がより少ないことを裏付ける。
例6:短時間照射による光異性化(可逆的光異性化)の調査
本発明による紫外線遮蔽剤クロモフォア又は比較化合物の1−プロパノール/Pelemol BIP(8/2)中2%溶液を、Plexiglas標本スライドの粗い面に塗布する(1μl/cm)。続いて試料に太陽光をシミュレートした紫外線を15分間照射する(Atlas CPS+、設定765Wm−2)。次いでPMMAプレートを50mlのイソプロパノールですすぎ、紫外線/可視光分光光度計で測定する。吸収極大での吸収の減少を、照射なしの値と比較して測定する。
【0208】
調査される化合物:
A)2,4,6−トリメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート
B)比較用のエチルヘキシル4−メトキシシンナマート
結果:
化合物A)は20%の吸収の減少を示すが、一方化合物B)は吸収の減少が37%である。したがってオルト置換ケイ皮酸誘導体は、比較化合物よりも小さい吸収の減少を示す。
【0209】
調製の例:
例1:一般的な処方の注釈
記載のケイ皮酸誘導体のアスコルバートは、エマルションなどの製剤の油相及び製剤の水相の両方に組み込むことができる。油相及び水相への組み込みの組合せも好ましくは可能であり、これは製剤の全体としての有効性に関して相乗効果を生じさせることができる。特に化粧エマルションの水相へ組み込む場合、処方物の全体の紫外線防護作用に関して、水溶性紫外線遮蔽剤(複数可)とさらに存在する油溶性紫外線遮蔽剤との間の相乗効果を得ることができる。油相又は水相への組み込みにおいて、溶解促進剤を使用するのが有利である。例えばここではアルコール成分(例えばエタノール、イソプロパノール)の添加が有利である。処方物の酸性環境によってアスコルバートの十分な安定性を得るために、処方物のpHは好ましくはpH=3〜pH=6であるべきである。例えば、クエン酸緩衝液を使用して水相のpHをpH=5にするのが特に好ましく、なぜならこれは皮膚の自然なpHに相当するからである。一般に記載のアスコルバートは、透明溶液が存在するか又は物質が分散形態であるような方法で、製剤の少なくとも1つの親油性又は親水性の相に組み込むことができる。
例2:W/Oエマルション(重量%による数値データ)
【0210】
【表2】



【0211】
調製:Pelemol(登録商標)BIP、Arlasolv DMI、及び乳化剤を最初に導入する。2,4−ジメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート、2,4,6−トリメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート、2,3,4−トリメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート、2,4,5−トリメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート、及びUvinul(登録商標)A Plusをその中に溶解させる。油相の残りの成分を加え、均一に混合する。クエン酸を用いてpH4〜5に調整され、4−メトキシシンナモイル6−O−アスコルバートを含む水相を、撹拌しながら乳化させる。続いて混合物をホモジナイズする。エマルションは室温で穏やかな条件下で調製できる。存在するシンナモイルアスコルバートは、アスコルビン酸の含量を増加させることにより安定化させることができる。調製は理想的には不活性ガス下で行われる(酸素の排除)。
例3:耐水性日焼け止めスプレー(重量%による数値データ)
【0212】
【表3】




【0213】
調製:相Aの成分を室温で合わせ、透明溶液又は均一な分散液が存在するまで撹拌する。続いて相Bを混合し、撹拌しながら相Bへ加える。最終的に均一な製品が存在するまで撹拌を続ける。Oxynex(登録商標)ST液、RonaCare(登録商標)AP、又はアスコルビルパルミタートなどの抗酸化剤を加えることにより、本発明による物質の安定性を高めることができる。
例4:ポンプヘアスプレー(重量%による数値データ)
【0214】
【表4】




【0215】
調製:透明溶液が存在するまで相Aをあらかじめ溶解させる。相Bを相Aに撹拌しながら加える。相Cを予備混合し、残りに加え、均一な混合物が生成するまで撹拌する。
例5:W/Oエマルション(重量%による数値データ)
【0216】
【表5−1】




【0217】
【表5−2】



【0218】
例6:ヘアケア処方物(重量%による数値データ)
【0219】
【表6−1】




【0220】
【表6−2】




【0221】
例7:ヘアケア処方物(重量%による数値データ)
【0222】
【表7−1】




【0223】
【表7−2】

【0224】
例8:O/Wエマルション(重量%による数値データ)
【0225】
【表8−1】




【0226】
【表8−2】


【0227】
【表8−3】

【0228】
例9:O/Wエマルション(重量%による数値データ)
【0229】
【表9−1】

【0230】
【表9−2】

【0231】
【表9−3】

【0232】
例10:O/Wエマルション(重量%による数値データ)
【0233】
【表10−1】

【0234】
【表10−2】



【0235】
【表10−3】



【0236】
例11:水性分散液(ローション及びスプレー)(重量%による数値データ)
【0237】
【表11−1】



【0238】
【表11−2】

【0239】
【表11−3】

【0240】
例12:水性及び水性/アルコール系処方物(重量%による数値データ)
【0241】
【表12−1】



【0242】
【表12−2】



【0243】
例13:化粧フォーム(重量%による数値データ)
【0244】
【表13−1】



【0245】
【表13−2】

【0246】
例14:化粧フォーム(重量%による数値データ)
【0247】
【表14−1】

【0248】
【表14−2】



【0249】
例15:日焼け止めローション(O/W)(重量%による数値データ)
【0250】
【表15−1】

【0251】
【表15−2】




【0252】
【表15−3】

【0253】
調製:
最初に、本発明による物質をイソプロパノール(あるいはエタノール)中に前もって溶解させるか前もって分散させる。必要であれば、さらなる又は別のアルコール及びグリコール、例えばエタノール、グリセロール、又はデシルアルコールなどを使用する。この予備溶液を相Aの他の成分に加える。続いて相Aを50〜60℃に加熱する。次いで相Bを60℃に加熱し、次いで相Cに撹拌しながら分散させる。強く撹拌しながら相Aを相B/Cに入れる。撹拌しながら冷却し、相Dを40℃で加える。ホモジナイズし、撹拌しながら25℃に冷却する。注:代わりに記載の予備溶液を完成したエマルションに室温で撹拌しながら加えてもよい。本発明による物質は酸化に敏感な基を含有するため、可能な最も不活性な条件下で処方又は作成するのが望ましい。
例16:様々な成分を含む毛髪染料:
成分A:
トコフェロール、リナロオール、ゲラニオール、EDTA二ナトリウム、香料、トルエン−2,5−ジアミンスルファート、アスコルビン酸、変性アルコール、亜硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムココイルイセチオナート、ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジルマロナート、2−メチルレゾルシノール、6−アミノ−m−クレゾール、4−アミノ−2−ヒドロキシトルエン、4−アミノ−m−クレゾール、ラウリル硫酸ナトリウム、アンモニア、ラノリンアルコール、グリコールジステアラート、ラウレス硫酸ナトリウム、グリセリルステアラート、セテアリルアルコール、水。
【0254】
成分B:
水、過酸化水素、セテアリルアルコール、PPG−38−ブテス−37、ペトロラタム、ラウレス−2、セテアリル硫酸ナトリウム、サリチル酸、リン酸二ナトリウム、リン酸、エチドロン酸。
【0255】
成分C:
4−メトキシシンナモイル6−O−アスコルバート(2重量%)及びビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジルマロナート(1重量%)をさらに含む、2,4−ジメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート(2重量%)のエタノール溶液。
【0256】
使用:
髪の着色において、以下の順序を追うのが好ましい:最初に髪を成分Cで前処理し、続いて成分B及びCを混合し髪に塗布する。
【0257】
さらなる利用の変形形態は、2,4−ジメトキシシンナモイル6−O−アスコルバート及び4−メトキシシンナモイル6−O−アスコルバートを直接成分Aに溶け込ませることを提案する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】


[式中、
は、H又は1〜20個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を表し、
〜Rは、それぞれ互いに独立に、H、1〜20個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコキシ基、ヒドロキシル、1〜20個のC原子を有するフッ素化された直鎖又は分岐鎖アルコキシ基、又はアルキルカルボニルオキシを表し、
アルキルカルボニルオキシはアルキル−C(=O)−Oを表し、式中、アルキルは1〜10個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を表す]。
【請求項2】
が、1〜4個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
置換基Rが、ヒドロキシル又は1〜4個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコキシ基を表すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
、R、又はRから選択される少なくとも1つのさらなる置換基が、ヒドロキシル又は1〜20個のC原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1から3の一項又は複数項に記載の化合物。
【請求項5】
アスコルビン酸が、式IIの化合物を用いてエステル化されることを特徴とする、請求項1から4の一項又は複数項に記載の式Iの化合物の調製方法
【化2】


[式中、Rは、OH、ハロゲン、又は活性エステルを表し、ハロゲンは、Cl、Br、又はIを表し、置換基A、R〜Rは請求項1から3の一項に示す意味を有する]。
【請求項6】
請求項1から4の一項又は複数項に記載の少なくとも1つの化合物を含む製剤。
【請求項7】
少なくとも1つの式Iの化合物が、0.05〜10重量%の量で存在することを特徴とする、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
少なくとも1つのさらなる有機紫外線遮蔽剤が存在することを特徴とする、請求項6又は7に記載の製剤。
【請求項9】
少なくとも1つの無機紫外線遮蔽剤が存在することを特徴とする、請求項6から8の一項又は複数項に記載の製剤。
【請求項10】
好ましくはアスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、又はアスコルビルパルミタートの群からの、少なくとも1つのさらなるアスコルビン酸誘導体が存在することを特徴とする、請求項6から9の一項又は複数項に記載の製剤。
【請求項11】
抗酸化剤、老化防止活性化合物、抗脂肪沈着活性化合物、セルフタンニング物質、皮膚美白活性化合物、又はビタミンから選択される、少なくとも1つのさらなる美容活性化合物が存在することを特徴とする、請求項6から10の一項又は複数項に記載の製剤。
【請求項12】
請求項1から4の一項又は複数項に記載の少なくとも1つの化合物を、担体及び場合によりさらなる活性化合物又は補助剤と混合することを特徴とする、請求項6から10の一項又は複数項に記載の製剤の調製方法。
【請求項13】
皮膚及び/又は髪に接着する紫外線遮蔽剤としての、請求項1から4の一項又は複数項に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項14】
敏感な製剤成分の製品保護のための、請求項1から4の一項又は複数項に記載の式Iの化合物の使用。

【公表番号】特表2012−526058(P2012−526058A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508923(P2012−508923)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002242
【国際公開番号】WO2010/127756
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】