説明

ケイ素含有微細パターン形成用組成物

【課題】ドライエッチング耐性の高い微細パターンを形成させるための組成物の提供。
【解決手段】シラザン結合を有する繰り返し単位を含んでなる樹脂と、溶剤とを含んでなる微細パターン形成用組成物とそれを用いた微細パターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体等の製造プロセスにおいて、レジストパターンを形成させる際、既に形成されたレジストパターンのピッチサイズまたはパターン開口サイズを縮小することにより、より微細なパターンを形成させることができる、ケイ素含有微細パターン形成用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な光リソグラフィー技術を用いて、より微細なパターンを形成するためには、露光装置の改良が必要である。特に、ピッチサイズが60nm以下のパターンを光リソグラフィー技術で形成させるためには、近年開発された液浸光リソグラフィーなどの特別な装置が必要であり、莫大な投資が必要となる。
【0003】
このため、そのような高価な装置を用いることなく微細なパターンを得るための様々な技術が検討されている。その中で最も実用的な方法は、水溶性の樹脂および必要に応じて添加剤を含む組成物を用いて、形成済みのレジストパターン上に被覆層を形成させることにより、レジストパターンを微細化させるものである。この技術は、露光波長に関係なく光リソグラフィーの限界を超えた微細パターンの形成が可能である。このような技術は、まだ歴史が浅く、約10年前から実施されているものである。
例えば、
(1)レジストパターンを形成させた後、ミキシング生成用レジストを塗布し、ベークを行ってミキシング層を形成させ、微細パターン寸法に現像を行い、パターンを形成させる方法(特許文献1)、
(2)ポジ型フォトレジストのパターンを基板上に形成させ、次いで電磁放射線を一様に照射した後に、水性塗料を均一に塗布すること、およびポジ型フォトレジストをアルカリ性の水溶液によって溶解剥離(リフトオフ)することによって水性塗料の微細なパターンを形成させる方法(特許文献2)、
(3)露光により酸を発生する材料を含むレジストパターンの上を、酸の存在下で架橋する材料を含むレジストで覆い、加熱または露光によりレジストパターン中に酸を発生させ、界面に生じた架橋層をレジストパターンの被覆層として形成させ、レジストパターンを太らせ、レジストパターンのホール径または分離幅の縮小が達成される方法(特許文献3)、
(4)少なくとも1個のイミノ基の水素原子がヒドロキシアルキル基で置換されたグリコールラウリルの中から選ばれた完全水溶性架橋剤、および水溶性樹脂を水系媒体に溶解して、微細パターン形成材料とすると共に、基板上に酸発生剤を含む化学増幅型レジストを用いてレジストパターンを形成させたのち、この上に前記微細パターン形成材料からなる塗膜を設け、加熱処理してレジストパターンと塗膜との界面に水不溶性の反応層を形成させ、次いで水系溶剤により塗膜の非反応部分を除去することにより、微細パターンを形成させる方法(特許文献4)、
(5)レジストパターンの表層部に酸の存在により架橋する架橋剤と膨潤促進剤とを含む薬液を浸透させて表層部を膨潤させ、レジストパターンの膨潤した表層部に架橋膜を形成させて第2のレジストパターンを形成させる方法(特許文献5)、
(6)酸成分を含む第1の上層膜でレジストパターンを覆い、さらにその上に塩基性成分を含む第2の上層膜を形成させた後、熱処理により酸成分を第1のレジストパターン中に、塩基性成分を第1の上層膜中にそれぞれ拡散させて、レジストパターン中に溶解化層を形成させながら第1の上層膜と第2の上層膜との界面近傍で酸成分を塩基性成分により中和させて、溶解化層を除去してパターン幅を縮小させる方法(特許文献6)、
(7)基板上に形成されたレジストパターンの全面又は一部に、(メタ)アクリル酸モノマーと水溶性ビニルモノマーとからなる共重合体を含むレジストパターン微細化用被覆形成剤を塗布し、さらに加熱することによって、レジストパターンを熱収縮させてパターンを微細化させる方法(特許文献7)、
(8)界面活性剤含有液を塗布した後、樹脂および界面活性剤を含有するレジストパターン厚肉化材料を塗布するレジストパターンの形成方法(特許文献8)
などが提案されている。さらには、AZエレクトロニックマテリアルズ社からは、AZ RELACS(登録商標)としてレジストパターン微細化組成物が販売されている。
【0004】
これらの方法は、概ね光リソグラフィーの分解限界を超えた微細パターンを簡単に形成することができる。しかし、パターンのサイズが50nm以下の超微細パターンの形成には欠陥などが発生しやすいため、改良の余地があった。特に、昨今レジストの感度を高くするために、膜厚を薄くする傾向があるが、下地基板のエッチング時の最低限の膜厚が不足する場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−166717号公報
【特許文献2】特開平7−191214号公報
【特許文献3】特開平10−73927号公報
【特許文献4】特開2000−267268号公報
【特許文献5】特開2001−100428号公報
【特許文献6】特開2002−6512号公報
【特許文献7】特開2003−84459号公報
【特許文献8】特開2004−191465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑みて、非常に微細なパターンを形成させる際に、最終的に得られるパターンのドライエッチング耐性を改良することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による微細パターン形成用組成物は、フォトリソグラフィー法により形成された、ピッチサイズが60nm以下のレジストパターン表面に直接塗布して、前記レジストパターンのサイズを縮小するための微細パターン形成用組成物であって、シラザン結合を有する繰り返し単位を含んでなる樹脂と、前記樹脂を溶解し、かつレジストパターンを溶解しない溶剤とを含んでなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドライエッチング耐性の高い、微細なパターンを形成させるための組成物が提供される。
【0009】
また、本発明による微細パターン形成用組成物は、微細化しようとするレジストパターン材料として任意のものを選択することができ、多種多様なレジストパターンに対して、ドライエッチング耐性の高い、微細化されたパターンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による微細パターン形成方法を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
微細パターン形成用組成物
本発明による微細パターン形成用組成物は、シラザン結合を有する繰り返し単位を含んでなる樹脂を含んでなるものである。ここでシラザン結合とはSi−N結合を意味し、他の単位と結合するための結合手を有し、残余の結合手は任意の置換基で置換されている。
一般には、置換基は水素や炭化水素基であるが、ケイ素を含有する基や、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの官能基で置換されていてもよい。また、繰り返し単位の結合手は2以上であり、結合手が3以上である場合には、樹脂は2次元または3次元の構造をとり得る。
【0012】
このような繰り返し単位の好ましい例として、下記式(I)で表されるものを挙げることができる。
【化1】

式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、および炭素数1〜6の飽和炭化水素基を有するシラザン基からなる群から選択される基である。
飽和炭化水素基は、線状、分岐鎖状、または環状のいずれであってもよい。
【0013】
上記の式(I)で表される樹脂は、一般にポリシラザンと呼ばれるものである。このポリシラザンは、R〜Rは、そのいずれかが式(I)で表されるようなシラザン基であると、2次元または3次元構造をとることができる。また、上記式(I)で表される繰り返し単位は、2種類以上を組み合わせることもできる。
【0014】
このような樹脂のうち、ケイ素、窒素、および水素だけからなるペルヒドロポリシラザンは好ましいものの一つである。そのうちの一つは、式(I)においてR〜Rのすべてが水素であるものである。また、ほかのペルヒドロポリシラザンは、繰り返し単位として、
−(SiHNH)−と−(SiHN)<とを有し、末端が水素または−SiHであるものである。このペルヒドロポリシラザンは、繰り返し単位の配合比で種々の構造を取り得るが、例えば以下のような構造が例示できる。
【化2】

【0015】
このような樹脂の分子量は、適用するレジストの種類や、目的とするパターンの種類などに応じて、任意に選択されるが、重量平均分子量で500〜100,000であることが好ましく、600〜10,000であることがより好ましい。
【0016】
本発明による微細パターン形成用組成物は、溶剤を含んでなる。この溶剤は、前記樹脂を溶解し得るものである必要がある。すなわち、レジストパターン上に組成物を塗布する際には、組成物が均一であることが好ましいからである。したがって、溶剤に対する樹脂の溶解度は、組成物が均一となる程度に溶解すればよい。一方、レジストパターン上に塗布した際に、溶剤がパターンを溶解してしまうと、パターンの微細化の前にパターンが破壊されてしまうため、レジストパターンを溶解しないものである必要がある。さらには、前記樹脂とは反応しないものであることが好ましい。
【0017】
本発明において用いることができる溶剤は、上記の条件を満たすものであれば任意のものを選択することができる。また、用いる樹脂の種類や、適用するレジストの材料などに応じて選択できる。このような溶剤としては、(a)エーテル類、例えばジブチルエーテル(DBE)、ジプロピルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、およびアニソールなど、(b)飽和炭化水素、例えばデカリン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−ノナン、i−ノナン、n−デカン、i−デカン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、およびp−メンタンなど、(c)不飽和炭化水素、例えばシクロヘキセン、およびジペンテン(リモネン)など(d)ケトン類、例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)、(e)芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、およびトリエチルベンゼンなど、が挙げられる。これらの中で好ましいのは、(a)エーテル類および(b)飽和炭化水素からなる群から選択される溶剤であり、より具体的にはジブチルエーテル、およびデカリンは樹脂やレジスト材料の種類が変化しても広範に適用可能であり、好ましい溶剤である。これらの溶剤は、必要に応じて2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0018】
本発明による微細パターン形成用組成物は、前記樹脂を前記溶剤に溶解させたものであるが、その濃度は特に限定されない。しかしながら、レジスト表面への塗布性や、所望のパターン収縮量などに応じて適宜調整することができる。一般には、組成物の全重量を基準として、前記樹脂の含有量が0.01〜30%であることが好ましく、0.3〜5%であることがより好ましい。
【0019】
本発明による微細パターン形成用組成物は、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤としては、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤などが挙げられる。
【0020】
微細パターン形成方法
本発明の微細パターンの形成方法は、微細パターン形成用組成物として本発明の微細パターン形成用組成物を用いることを除いて、従来公知の方法が用いられる。したがって、レジストパターンを形成するために用いられるフォトレジスト、およびこれを用いてのレジストの形成方法は従来公知のフォトレジストおよび従来公知のレジスト形成法のいずれのものであってもよい。なお、レジストパターンは、一般的に用いられている任意のものを用いることができる。また、微細パターン形成用組成物によるレジストパターンへの被覆法は従来公知の方法の何れの方法も用いることができる。
【0021】
本発明による微細パターン形成方法を図を用いて説明すると以下の通りである。なお、以下の説明においては、例としてArFレジストによりレジストパターンが形成された場合を説明する。
【0022】
図1(a)〜(f)は、レジストパターンの表面に本発明の微細パターン形成用組成物を用いて、パターンを微細化させる方法を説明するための概念図である。各図においては、基板1、レジストパターン2、微細パターン形成用組成物層3、および不溶化層4を模式断面図として示している。
【0023】
まず、例えば半導体基板などの被加工基板1上に、レジスト(例えばポジ型化学増幅レジスト)を塗布して、通常の方法で露光および現像して、ポジのレジストパターン2を形成させる。ここで、レジストの露光された部分は現像によりほとんど除去されているが、除去された部分の内壁部の特性は、全く露光されていない部分の特性とは異なり、溶媒に対する相溶性が高くなっている。次いで、図1(a)に示すように、このレジストパターン2を覆うように本発明による微細パターン形成用組成物を塗布し、被覆層3を形成させる。この塗布により、組成物中の樹脂5がレジストパターンに物理的に吸着する(図1(b))。
レジスト表面に吸着した樹脂はレジスト中に浸透し、レジスト膜が膨潤される(図1(c))。ここで、レジストを加熱することにより、樹脂の浸透および、樹脂とレジストとの反応が促進される(図1(d))。そして、露光されなかった部分では樹脂とレジストとの反応がほとんど起こらず、不溶化層の厚さは薄くなる。一方、露光された部分、もしくは露光された部分の近傍、例えば、図1におけるレジストパターンの側面では樹脂とレジストとの反応が起こりやすく、不溶化層が厚く形成される。反応が終了すると、不溶化層4が形成される(図1(e))。この不溶化層は、最初のレジスト表面に物理吸着した樹脂がレジストの表面だけでなくレジストの内部まで浸透してから不溶化した層であり、結果的にパターンが収縮される。そして、最後に未反応の微細パターン形成用組成物を、溶剤によりリンス処理して除去し、微細化されたパターンを得ることができる(図1(f))。
【0024】
上記のとおり、レジストパターン2の表面のうち、主としてパターン内壁に不溶化層4が形成されることにより、レジストパターン間の幅が狭まり、レジストパターンのピッチサイズまたはホール開口サイズを実効的に限界解像以下に微細化することが可能となる。
【0025】
上記レジストパターン2を形成させるために用いることのできる感放射線性樹脂組成物は、従来公知、公用の感放射線性樹脂組成物であれば何れのものでもよい。感放射線性樹脂組成物としては、例えば、ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル系樹脂などのアルカリ可溶性樹脂およびキノンジアジド化合物を含むポジ型レジスト、光照射により酸を発生しこの発生した酸の触媒作用を利用してレジストパターンを形成する化学増幅型のポジまたはネガ型レジストなどを挙げることができるが、光照射により酸を発生しこの発生した酸の触媒作用を利用してレジストパターンを形成する化学増幅型のポジ型レジストが好ましい。レジスト材料としては既に多数のものが提案され、また市販もされており、これら公知、公用のレジスト材料は何れのものであってもよい。また、感放射線性樹脂組成物を用いてのレジストパターン形成方法は、塗布方法、露光方法、ベーク方法、現像方法、現像剤、リンス方法などを含め従来知られた何れの方法を用いることもできる。
【0026】
本発明によるパターン形成方法において、本発明の微細パターン形成用組成物を塗布する方法は、例えば感放射線性樹脂組成物を塗布する際に従来から使用されている、スピンコート法、スプレーコート法、浸漬塗布法、ローラーコート法など適宜の方法を用いればよい。塗布された被覆層は、必要に応じプリベークされて、微細パターン形成用組成物層3とされる。微細パターン形成用組成物層の加熱処理の条件は、例えば60〜150℃、好ましくは80〜100℃、の温度、10〜300秒、好ましくは60〜120秒程度であり、レジストパターンと微細パターン形成用組成物層のインターミキシングが起る温度であることが好ましい。形成される微細パターン形成用組成物層の膜厚は、加熱処理の温度と時間、使用する感放射線性樹脂組成物及び水溶性樹脂組成物などにより適宜調整することができる。したがって、レジストパターンをどの程度まで微細化させるか、言い換えればレジストパターンの幅をどの程度広げることが必要とされるかにより、これら諸条件を設定すればよい。しかし、被覆層の厚さはレジストパターンの表面からの厚さで、一般に0.01〜100μmとするのが一般的である。
【0027】
さらに、加熱により形成された不溶化層4を残し、未反応の微細パターン形成用組成物層3を除去するリンス処理のために用いられる溶剤としては、不溶化層に対しては溶解性が低く、微細パターン形成用組成物に対しては溶解性が高いものが選択される。より好ましいのは、微細パターン形成用組成物に用いられている溶剤をリンス処理に用いることが好ましい。
【0028】
本発明を諸例により説明すると以下の通りである。なお、本発明の態様はこれら例のみに限定されるものではない。
【0029】
参考例1 本発明による組成物の未露光レジストにおけるシュリンク確認
AZエレクトロニックマテリアルズ社製ポリシラザンをジブチルエーテル中に約10重量%の濃度で溶解させ、0.05ミクロンのフィルターで濾過して、微細パターン形成用組成物を調製した。
【0030】
一方、ArF用レジスト(AX1120P(登録商標):AZエレクトロニックマテリアルズ社製)、またはKrF用レジスト(DX5250P(登録商標):AZエレクトロニックマテリアルズ社製)をそれぞれシリコンウェハーに塗布し、露光処理を行わず、90℃で60秒間ベークしてテスト用基板を得た。
【0031】
得られたテスト用基板に前記の微細パターン形成用組成物を約120nmの厚さで塗布し、さらに50、70、または90℃で、60または180秒ベークし、さらにジブチルエーテルでリンス処理を行った。微細パターン形成用組成物の塗布前と、リンス処理後とで膜厚を測定したところ、いずれにおいても膜厚の変化は認められなかった。
【0032】
実施例1
KrF用レジスト(DX5250P(登録商標):AZエレクトロニックマテリアルズ社製)をシリコンウェハーに塗布し、通常の手法で露光および現像処理を行い、ピッチがそれぞれ1:3および1:5であるトレンチパターンを作製した。さらにそのパターン上に参考例1で調製した微細パターン形成用組成物を塗布してから、90℃で60秒間ベークした。次いで、ベーク後のパターンをジブチルエーテルで60秒間リンス処理した後にスピン乾燥に付してパターンを得た。微細パターン形成用組成物で処理する前と後とのパターンのトレンチ幅を、測長走査型顕微鏡(critical dimension SEM S−9200、株式会社日立製作所製)を用いて測定し、またシュリンク量を算出した。得られた結果は表1に示すとおりであった。
【0033】
【表1】

この結果より、本発明による微細パターン形成用組成物で処理することにより、トレンチ幅が16nm縮小されたことがわかった。
【0034】
実施例2
ArF用レジスト(AX1120P(登録商標):AZエレクトロニックマテリアルズ社製)をシリコンウェハーに塗布し、通常の手法で露光および現像処理を行い、トレンチパターンを作製した。さらにそのパターン上に参考例1で調製し微細パターン形成用組成物を塗布してから、90℃で60秒間ベークした。次いで、ベーク後のパターンをジブチルエーテルで60秒間リンス処理した後にスピン乾燥に付してパターンを得た。微細パターン形成用組成物で処理する前と後とのパターンのトレンチ幅を、測長走査型顕微鏡(S−9200、株式会社日立製作所製)を用いて測定し、またシュリンク量を算出した。トレンチ幅は142nmから127nmに変化し、トレンチ幅が15nm縮小されたことがわかった。
【0035】
実施例3
実施例1で得られた微細パターン形成用組成物で処理されたパターンと、処理前のパターンとをエッチャー(株式会社アルバック製NE−5000)により、酸素プラズマに対する耐性を評価した。本発明による微細パターン形成用組成物で処理されたパターンは残膜が多く、ドライエッチング耐性が優れていることがわかった。
【符号の説明】
【0036】
1 基板
2 レジスト膜
3 微細パターン形成用組成物層
4 不溶化層
5 吸着樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトリソグラフィー法により形成された、ピッチサイズが60nm以下のレジストパターン表面に直接塗布して、前記レジストパターンのサイズを縮小するための微細パターン形成用組成物であって、シラザン結合を有する繰り返し単位を含んでなる樹脂と、前記樹脂を溶解し、かつ前記レジストパターンを溶解しない溶剤とを含んでなることを特徴とする、微細パターン形成用組成物。
【請求項2】
前記のシラザン結合を有する繰り返し単位が、下記式(I)で表されるものである、請求項1に記載の微細パターン形成用組成物。
【化1】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜6の飽和炭化水素基、および炭素数1〜6の飽和炭化水素基を有するシラザン基からなる群から選択される基である。)
【請求項3】
前記樹脂が、シラザン結合を有する繰り返し単位を2種類以上含んでなるものである、請求項1または2に記載の微細パターン形成用組成物。
【請求項4】
前記樹脂の重量平均分子量が500〜100,000である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細パターン形成用組成物。
【請求項5】
前記溶剤が、エーテルおよび飽和炭化水素からなる群から選択される溶剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の微細パターン形成用組成物。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−137778(P2012−137778A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−62646(P2012−62646)
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【分割の表示】特願2007−236974(P2007−236974)の分割
【原出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(312001188)AZエレクトロニックマテリアルズIP株式会社 (14)
【Fターム(参考)】