説明

ケイ素結合線状ポリマーを含有するオルモシルエーロゲル

本発明は、様々な用途のための強化エーロゲルモノリス及びまたそれらの繊維強化複合物を提供する。これらのモノリス及び複合物を製造するための組成物及び方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2004年1月6日に出願された米国特許仮出願60/534,803(この出願はこれによりあたかも完全に記述されているかのようにそっくりそのまま組み込まれる)の優先権の恩恵を主張する。
【0002】
発明の分野
本明細書に記載された本発明は、溶媒入りのナノ構造ゲルモノリス及び可撓性ブランケット複合シート材料を生成させることに関する。これらの材料は、超臨界溶媒抽出(超臨界流体乾燥)のような方法によってすべての移動相溶媒が抽出された後にナノ細孔質エーロゲル体になる。かかる複合物及びエーロゲル体に関する処方物及び製造方法が、それらの改善機械的性質に基づいてそれらを用いる方法と共に提供される。
【背景技術】
【0003】
エーロゲルは、それらの構造すなわち低密度の開放気泡構造、大きい表面積(しばしば、900m2/g又はそれ以上)及びサブナノメートル規模の細孔サイズに基づいて、あるクラスの材料を表現する。超臨界及び亜臨界流体抽出技術は、該材料の脆いセルから流体を抽出するために普通に用いられる。様々な種々のエーロゲル組成物が知られており、そしてそれらは無機、有機及び無機/有機ハイブリッドであり得る(N.Huesing及びU.Schubert,Angew. Chem. Int. Ed.,1998,37,22〜45参照)。無機エーロゲルは一般に金属アルコキシドを基剤とし、そしてシリカ、炭化物及びアルミナのような物質を包含する。有機エーロゲルは、ウレタンエーロゲル、レゾルシノールホルムアルデヒドエーロゲル及びポリイミドエーロゲルを包含するが、しかしそれらに限定されない。有機/無機ハイブリッドエーロゲルは、主として、有機変性シリケート(organically modified silicaすなわち「ormosil(オルモシル)」)であった。有機成分は、シリカ網状構造に共有結合されている。換言すると、無機/有機ハイブリッドエーロゲルにおいて、有機相と無機相は互いに化学的に結合されている。
【0004】
低密度エーロゲル材料(0.01〜0.3g/cc)は、広範には、100°F及び大気圧において10mW/m・K以下の熱伝導率を有する最良硬質発泡体より良好な最良固体断熱体であると考えられる。エーロゲルは、主として伝導(低密度,固体ナノ構造を通じての熱移動のためのくねり路)、対流(非常に小さい細孔サイズが対流を最小にする)及び輻射(IR吸収性又は散乱性ドーパントは、エーロゲルマトリックスの全体にわたって容易に分散される)を最小にすることにより、断熱体として機能する。処方物に依存して、それらは極低温から550℃及びそれ以上にて良好に機能し得る。エーロゲル材料はまた、それらを豊富に有用にする数多くの他の興味深い音響学的、光学的、機械的及び化学的性質を示す。本発明において記載された方法はゲル形成において進歩をなし、しかしてこれらのエーロゲル材料の生成及び改善性質を容易にする。
【0005】
コア絶縁材が有意な圧縮力を受ける用途における多数の断熱問題を解決するために、低密度絶縁材料が開発されてきた。たとえば、シンタクチックフォーム(典型的には、非常に剛性で耐圧縮性の材料である)を作製するために、ポリマー物質が中空ガラス微小球と配合されてきた。シンタクチック材料は、水中の油及びガス用パイプライン並びに支持装置のための絶縁体として周知である。シンタクチック材料は、可撓性エーロゲル複合物(繊維により強化されたエーロゲルマトリックス)と比較して、比較的可撓性でなく且つ高い熱伝導率を有する。エーロゲルは、可撓性ゲル前駆体から形成され得る。1つ又はそれ以上の軸線に沿って機械的に圧縮される場合にそれらの軸線のいずれかに沿って圧縮的に強い物体を与える予備成形物を提供するために、可撓性繊維強化エーロゲルを含めて様々な可撓性層が容易に結合されそして造形され得る。この態様で圧縮されるエーロゲル体は、シンタクチックフォームよりはるかに良好な断熱値を示す。密度、熱伝導率及びダスト度のようなこれらの材料の性能を改善する方法は、水中の油及びガス用パイプラインにおいて外部絶縁材として、これらの材料の大規模使用を容易にする。
【0006】
シリカエーロゲルモノリスは、建物における二重ガラス窓のような絶縁性透明材としての用途がある。これらのゲル材料は、それらが繊維強化材の不存在下で挿入溶媒(ゲル溶媒)を有するセラミック又は架橋ポリマーマトリックス材料で構成されている場合、通常剛性及び非可撓性である故、これらの材料は大いなる注意でもって取り扱われる必要がある。
【0007】
ポリマー鎖の拡散及び引き続く固体網状構造の成長はゲル化点後に粘性ゲル構造内で有意に遅くなるけれども、最良の熱的及び機械的性質を有するエーロゲルを得るために、ゲル化後のある期間元のゲル液(母液)の維持が必須である。ゲルが撹乱なしに「熟成」するこの期間は、「シネレシス」と呼ばれる。シネレシス条件(時間、温度、pH、固体濃度)は、エーロゲル生成物の品質にとって重要である。
【0008】
特許及び科学文献に記載されたゾル−ゲル化学によって形成されるゲルモノリス及び/又は繊維強化複合ゲルの生成のための慣用方法は、回分キャスティングを必ず伴う。回分キャスティングは、本明細書において、全容量のゾルを触媒してその容量の全体にわたって同時にゲル化を誘発すると定義される。ゲル形成技法は、当業者によく知られている。それらの例は、ゲル化が起こる点に希薄金属酸化物ゾルのpH及び/又は温度を調整することを包含する(R.K.Iler,Colloid Chemistry of Silica and Silicates,1954,第6章;R.K.Iler,The Chemistry of Silica,1979,第5章;C.J.Brinker及びG.W.Scherer,Sol-Gel Science,1990,第2章及び第3章)。無機エーロゲルを形成させるための適当な物質は、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、バナジウム、等のような酸化物を形成し得る金属のほとんどの酸化物である。特に好ましいものは、容易な入手性及び低コストの故に主として加水分解シリケートエステルのアルコール溶液から形成されたゲル(アルコゲル)である。
【0009】
有機エーロゲルがメラミンホルムアルデヒド、レゾルシノールホルムアルデヒド、等から作られ得るということも、当業者によく知られている(たとえば、N.Huesing及びU.Schubert,Angew. Chem. Int. Ed.,1998,37,22〜45参照)。
【0010】
繊維強化エーロゲル複合物の入手性が、エーロゲル材料についての数多くの用途分野を開拓した。何故なら、あらゆるタイプの熱及び音響の絶縁用途において広範に用いられ得るエーロゲル複合材料の大形片がこの方法により成功的に製造されたからである。けれども、透明エーロゲル複合物を生成させることは、これらの材料における巨視的規模の相分離の存在に因り、固有的に不可能である。二重ガラス窓における絶縁性透明材のようなその他の絶縁用途のために、より強い透明エーロゲルモノリスを生成させるべき別の強化方法が必要とされる。過去20年間において、数多くの研究者が、シリカのモノリスの形成中に亀裂するその傾向を低減するために、シリカ網状構造に直接的に結合される第2ポリマー相の組込みによりシリカの機械的性質を改善しようとしてきた。これらは、数多くのオルモシルタイプの無機有機ハイブリッド材料の形成に通じた。最も注目に値する例のいくつかは、次のとおりである。
【0011】
H.Schmidt,J. Non-Cryst. Solid,73,681,1985は、PMMA又はエポキシを基剤としたポリマーの組込みにより、シリカキセロゲルの機械的性質の増加的改善を報告した。
【0012】
Mackenzie等,J. Non-Crystalline Solid 147&148(1992),271〜279、J. Mater. Science,27,(1992),4415〜4420、Mark等,Macromolecules,(1984),11,2613〜2616、Macromolecules,20,(1987),1322〜1330、O.Foussaier,M.Menetrier,J.Videau,E.Duguet,Mater. Lett. 42,305,2000は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)線状ポリマーの組込みにより、シリカキセロゲルの引張り特性の改善を報告した。
【0013】
H.Huang,G.L.Wilkes及びJ.G.Carlson,Polymer,30,1989,2001〜2012は、シロキサン網状構造中におけるポリウレタン線状ポリマーの組込みにより、シリカキセロゲルの引張り特性の改善を報告した。
【0014】
PDMSのような線状ポリマーは硬質シリカエーロゲルの可撓性を増加するように思われる、ということが主張されている(S.J.Kramer,F.Rubio-Alonso及びJ.D.Mackenzie,MRS Proc. Vol.435,295〜300,1996)。
【0015】
エーロゲルとキセロゲルを識別するために、エーロゲルはそれらの低密度、高細孔容積及びナノメートル細孔サイズにより特徴づけられる独特のクラスの材料であるということが指摘される。エーロゲルの高細孔容積及びナノメートル細孔サイズの故、それらは典型的には高表面積及び低熱伝導率を有する。高多孔度は低固体熱伝導率に通じ、そしてナノメートル細孔サイズは気体熱伝導の部分抑制を引き起こす(何故ならセルは気体の平均自由路より小さいからである)。エーロゲルのこの構造モルホロジーは、断熱用途において主要な利点である。たとえば、シリカエーロゲルについて、熱伝導率は、周囲条件において、20mW/m・K未満(J.Fricke及びT.Tillotson,Thin Solid Films,297(1997)212〜223)そして時には10〜12mW/m・Kくらい低いと測定されている。有機エーロゲル(レゾルシノール−ホルムアルデヒドで構成されたもののような)について、8〜10mW/m・Kくらい低い熱伝導率が測定されている(R.W.Pekala及びL.W.Hrubesh,US5731360)。これは、エーロゲルより高い密度を有しそして誘電体被膜のような被膜として用いられるキセロゲルとは著しく対照的である。
【0016】
多く様々な無機及びハイブリッド無機−有機のキセロゲル、エーロゲル及びナノ複合材料を合成するために、ゾル−ゲル法が用いられてきた。シリカ系エーロゲルの合成のための関連前駆体物質は、ケイ酸ナトリウム、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)、モノマー状アルキルアルコキシシラン、ビストリアルコキシアルキル又はアリールシラン、多面体状シルセスキオキサン、等を包含するが、しかしそれらに限定されない。生じるゲルすなわちキセロゲル(J.D.Mackenzie,Y.J.Chung及びY.Hu,J. Non-Crystalline Solid 147&148(1992),271〜279;並びにY.Hu及びJ.D.Mackenzie,J. Master. Science,27,(1992)参照)及びエーロゲル(S.J.Kramer,F.Rubio-Alonso及びJ.D.Mackenzie,MRS Proc. Vol.435,295〜300,1996参照)の機械的性質を改善するために、様々なポリマーがシリカゲル中に組み込まれてきた。湿潤ゲルの構造を変化させないか又は最小変化しか引き起こさない態様でゲルが乾燥される場合、エーロゲルが得られる。これは、典型的には、溶媒又は溶媒の混合物(乾燥過程を助けるために共溶媒が用いられるならば)の臨界点より上にてゲルから溶媒相を除去することにより成し遂げられる。
【0017】
湿潤ゲルは、しばしば、細孔液体相が試料体積の98%くらいの多量を占め得る共連続固体及び細孔液体相から成る物質フラクタル特徴を有する構造を示す。エーロゲルは元のゲルの構造と非常に類似している構造を有し、何故ならゲル構造を崩壊させる毛管力を最小にするか又は排除する超臨界法によりそれらが乾燥されるからである。対照的に、キセロゲルの構造は、蒸発乾燥過程中に固体網状構造に作用する毛管力に因り、乾燥中に有意に変化される。蒸発中に固体網状構造にかけられる毛管圧の大きさは細孔寸法(たとえば細孔半径)に反比例し、そしてかくして細孔特徴がナノメートル(10-9メートル)範囲にある場合には極めて大きくあり得る。蒸発乾燥中に発生したこれらの表面張力は、キセロゲルの製造中に、粒子の配位数が増加するのでゲル網状構造が折り重なる又は縮合するようにする。
【0018】
別の言い方をすると、キセロゲルは、湿潤ゲルの慣用の乾燥ですなわち温度増加又は圧力減少により、当初の一様なゲル体の同時の大きい収縮(及びたいてい破壊)を伴って形成される。細孔液体の蒸発時のゲル体のこの大きい収縮は、細孔壁に作用する毛管力により、液体がゲル体中に入り込むので引き起こされる。これは、湿潤ゲルの高多孔質の無機網状構造であるフィリグラン(filigrane)の崩壊をもたらすことになる。ゲル網状構造が表面張力によって引き起こされる圧縮力に抗するのに十分強くなる時、構造の崩壊は止まる。
【0019】
生じたキセロゲルは、典型的には、密充填球状構造を有し且つTEMにより観察され得る比較的大きい細孔を有さない(それらは空間充填型であることを示唆している)。かくして、乾燥キセロゲル構造(骨格相及び細孔相の両方を含む)は、元の湿潤ゲルの構造の収縮した且つゆがんだ変型である。乾燥手法の相違の故、キセロゲルとエーロゲルは非常に異なった構造及び材料特性を有する。たとえば、典型的なSi原子と直接的に結合された反応性基の数は、エーロゲル構造(超臨界的に乾燥された)において、同じ出発処方物でもって作られたしかし蒸発的に乾燥された対応するキセロゲル構造においてよりも平均して有意に大きい。別の言い方をすると、キセロゲルを製造するために一般的に用いられる溶液又は混合物は、単に乾燥条件を変えることによりエーロゲルを製造するためには用いられ得ず、何故なら生じた生成物はエーロゲルの密度を自動的には有さないからである。かくして、キセロゲルとエーロゲルの間には、それらの表面積、反応性、細孔容積、熱伝導率、圧縮性、機械的強度、モジュラス及び数多くの他の性質に大いに影響を及ぼす根本的な組成上の相違がある。
【0020】
かくして、キセロゲルと比較して、エーロゲルは、膨張構造(しばしば、湿潤ゲルの構造により密接に類似する)である。エーロゲルのTEM顕微鏡写真は、しばしば、大きい間隙キャビティを束ねたクラスターの希薄な集まりを現わす。窒素収着による多孔度測定もまた、対応するキセロゲルと比較してナノメートルサイズレベルにおける構造的相違を現わし、しかしてエーロゲルはしばしば2倍を超える細孔容積を含有し、そして平均細孔サイズは高い相対圧(>0.9)において起こるより多量の吸着から明らかなようにかなり大きい。C.J.Brinker及びG.W.Scherer,Sol-Gel Science,1990,第9章が参照される。エーロゲルとキセロゲルの間の構造的相違に因り、これらの2つのクラスの材料の物理的性質(誘電率、熱伝導率、等のような)において有意な相違がある。それ故そして同一の元素組成を有するとしても、エーロゲルとその対応するキセロゲルは、グラニュー糖と綿菓子(これらの両方共同じ糖分子で構成されている)にいくぶん類似した全く異なる材料である。
【0021】
本明細書における文献の引用は、いずれのものも適切な先行技術であるという自認とは意図されていない。文献の日付についての記述又は内容についての表現はすべて本出願人に入手され得る情報に基づいており、そして当該文献の日付又は内容の正確さについていかなる自認も構成しない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、溶媒入りのナノ構造ゲルモノリス及びそれから繊維強化によって生成される可撓性ブランケット複合シート材料を生成させる方法を提供する。該複合シートは、超臨界溶媒抽出(超臨界流体乾燥)を用いてすべての移動相溶媒が抽出された後にもたらされることになる。本新規有機変性シリカ(時には「オルモシル」と称される)処方物は、生じるエーロゲルモノリス及びエーロゲル複合物における様々な物理的及び機械的性質の改善に通じ得る。
【0023】
本発明において記載されたオルモシルマトリックス材料は、最良にはゾル−ゲル加工から誘導され、しかして好ましくは非常に小さい細孔(1メートルの10億分の1のオーダー)を有する構造を画定するポリマー(無機、有機又は無機/有機ハイブリッド)で構成される。ポリマーのゲル化点前に添加される繊維材料が、本発明に記載されたマトリックス材料を強化する。好ましい繊維強化材は好ましくは嵩高性の繊維構造体(バット又はウェブ)であるが、しかしまた個々のランダムに配向された短微小繊維及び織又は不織繊維を包含し得る。一層特には、好ましい繊維強化材は、有機(たとえば、熱可塑性ポリエステル、高強度カーボン、アラミド、高強度配向ポリエチレン)、耐寒性無機(様々な金属酸化物ガラス(E−ガラスのような))又は耐火性(たとえば、シリカ、アルミナ、リン酸アルミニウム、アルミノケイ酸塩、等)繊維のいずれかを基材とする。
【0024】
かくして、第1側面において、本発明は、エーロゲルの構造内に強化成分として線状ポリマーを含有するオルモシルエーロゲルを提供する。好ましい具体的態様は、ポリマーが無機構造に共有結合されていることである。かくして、本発明は、線状ポリマー強化概念に基づく。生じるオルモシルの機械的性質を改善するために、多数の種々の線状ポリマーがシリカ網状構造中に組み込まれた。シリカエーロゲルより伸展性の透明モノリスが生成された。それらは、湿潤ゲルの取扱い及び抽出中の亀裂傾向に抗するのに十分に強い。これらのオルモシル材料の弾性の改善はまた可撓性を改善し、そしてその繊維強化複合物におけるそのダスト度を低減する。かくして、本発明において記載された処方物はゲルモノリスの可撓性を改善し、しかしてこれはエーロゲル生成中のモノリスの取扱いの改善に通じる。
【0025】
かくして、本発明は、生じるエーロゲルモノリスの引張り特性を改善するために、シリカ網状構造中へのナノ強化成分の組込みを規定する。これにより、シリカの脆性によって引き起こされる亀裂の可能性が低減される。シリカエーロゲルの弾性の改善はまた、繊維強化複合エーロゲル中の繊維から分離するその傾向を低減し、しかしてこれはエーロゲル複合材料のダスト度の低減に通じる。
【0026】
別の側面において、本発明は、ゾル−ゲル法によってのトリアルコキシシリルエンドキャップド線状ポリマーと加水分解テトラアルコキシシラン(しかしこれに限定されない)のようなシリカ前駆体との共縮合方法を提供する。かくして、可撓性線状ポリマー鎖は、図1に図示されているように、硬質シリカ網状構造中に共有結合される。有機ポリマー相の導入は、生じるオルモシルゲルにおける相分離に通じない。たいていのオルモシル材料と異なり、低ポリマー含有率(<20%)を有するこのオルモシルゲルは、CO2超臨界抽出後に光学的に透明なままである。本発明により提供されるオルモシルゲルファミリーの改善可撓性は、製造過程中のそれらのモノリス対応物を取り扱う容易性を改善し、またCO2抽出中の亀裂傾向を低減する。
【0027】
更なる側面において、本発明はまた、線状ポリマー結合オルモシルの繊維強化可撓性複合物を作製する方法を提供する。ケイ素結合線状ポリマーの導入は更に、生じるエーロゲル複合物の可撓性を増加する。シリカ材料の脆性により引き起こされるシリカエーロゲル複合物のダスト度もまた、低熱伝導率及び低密度のようなエーロゲル材料の他の固有の性質を犠牲にすることなく、この場合において有意に低減され得る。
【0028】
かくして、本発明は、有機変性シリカ(オルモシル)エーロゲル組成物であって、線状ポリマー(又は線状ポリマー鎖)で強化されたオルモシルエーロゲルを含む組成物を提供する。かかる組成物は、線状ポリマーが一端又は両端においてエーロゲルのシリカ網状構造に、該ポリマーの炭素原子と該網状構造のケイ素原子との間のC−Si結合によって共有結合されている。ポリマーは両端において網状構造の1つのケイ素含有分子に共有結合され得そしてかくして分子内にて連結され得、あるいは二つの端において網状構造の2つの別個のケイ素含有分子に共有結合され得そしてかくして分子間にて連結され得る。本発明は、無論、分子内にて及び分子間にて連結されたポリマーの両方を有する組成物を包含する。本発明のエーロゲルは、好ましくは、約0.01から約0.3g/cc好ましくは約0.02又は約0.05又は約0.1又は約0.15又は約0.2又は約0.25g/ccの密度を有する。
【0029】
線状ポリマー鎖はトリアルコキシシリル末端であり、そしてポリエーテルファミリーのメンバーであり得あるいはトリアルコキシシリル末端のポリジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリオキシプロピレン又はポリオキシプロピレン−コポリオキシエチレンから選択され得る。別の言い方をすると、連結線状ポリマーは、トリアルコキシシリル末端ポリジメチルシロキサン、トリアルコキシシリル末端ポリオキシアルキレン、トリアルコキシシリル末端ポリウレタン、トリアルコキシシリル末端ポリブタジエン、トリアルコキシシリル末端ポリオキシプロピレン、トリアルコキシシリル末端ポリオキシプロピレン−コポリオキシエチレン、又はポリエーテルファミリーのトリアルコキシシリル末端のメンバーから作られ得る。
【0030】
末端トリアルコキシシリル部分中のアルコキシ基は、約4個より少ない炭素を含有する。かくして、末端トリアルコキシシリル部分中のアルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシから選択される。
【0031】
鎖長は、約200から約1,000,000又は約300から約10,000又は約400から約9000又は約500から約8000又は約600から約7000又は約700から約6000又は約800から約5000又は約900から約4000又は約1000から約3000又は約2000の範囲の平均分子量を有する。ポリマー鎖の重量百分率は、約1から約49若しくは50%、約3から約30%、約5から約25%、約7から約20%、約9から約15%、又は約10から約13%(w/w)の範囲にあり得る。好ましい具体的態様は、約1から50%未満、約1から約45%、約1から40%、約1から約35%、約1から約30%、約1から約25%、約1から約20%、約1から約15%、約1から約10%又は約1から約5%のような50%未満を有する。
【0032】
本発明はまた、本発明のエーロゲル組成物を製造する方法であって、周囲温度及び本明細書に記載された条件にてトリアルコキシシリル末端線状ポリマーをシリカ前駆体と反応させることによる方法を提供する。好ましくは、トリアルコキシシリル末端線状ポリマーは、周囲温度にて適当な溶媒中で3−イソシアナトプロピルトリエトキシルシランをアミノ(NH)末端線状ポリマーと反応させることを含む方法により製造される。OH又はNH部分がない溶媒が好ましい。溶媒の例は、THF、エーテルジオキサン、等を包含する。無水アルコールは、生じる生成物が短期間にて用いられることになっている限られた場合において用いられ得る。3−イソシアナトプロピルトリエトキシルシランの濃度は少なくとも約1%w/wであるが、しかし好ましくは約50%w/wより高い(これは周囲温度にて速い反応を可能にする)。好ましいアミン末端線状ポリマーは、アミン末端ポリオキシエチレン−コ−ポリオキシプロピレン、アミン末端ポリオキシエチレン及びアミン末端ポリオキシプロピレンを包含する。
【0033】
加えて、本発明は、トリアルコキシシリル末端線状ポリマーを製造する方法であって、非反応性溶媒中で3−グリシドキシプロピルトリエトキシルシランをNH末端線状ポリマーと反応させることによる方法を提供する。OH又はNH部分がない炭化水素溶媒が、反応用の好ましい溶媒である。NH末端線状ポリマーは、好ましくは、アミン末端ポリオキシエチレン−コ−ポリオキシプロピレン、アミン末端ポリオキシエチレン又はアミン末端ポリオキシプロピレンのようなアミン末端ポリエーテルである。
【0034】
更に、本発明は、トリアルコキシシリル末端線状ポリマーを製造する方法であって、適当な溶媒中で3−イソシアナトプロピルトリエトキシルシランをOH末端線状ポリマーと反応させることによる方法を提供する。OH又はNH部分がない炭化水素溶媒が、反応用の好ましい溶媒である。OH末端線状ポリマーは、ジヒドロキシル末端ポリブタジエン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールであり得るが、しかしそれらに限定されない。3−イソシアナトプロピルトリエトキシルシランの濃度は少なくとも約1%w/wであるが、しかし好ましくは約50%w/wより高い(これは周囲温度にて速い反応を可能にする)。好ましいヒドロキシ末端線状ポリマーは、ジヒドロキシル末端ポリブタジエン、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールを包含する。
【0035】
本発明は更に、トリアルコキシシリル末端線状ポリマーを製造する方法であって、非反応性溶媒中でアミノプロピルトリエトキシルシラン又はアミノプロピルトリメトキシルシランをイソシアネート末端線状ポリマーと反応させることによる方法を提供する。OH又はNH部分がない炭化水素溶媒が、反応用の好ましい溶媒である。イソシアネート末端線状ポリマーは、ポリヘキサメチレンジイソシアネート及びポリメチルジフェニルジイソシアネートであり得るが、しかしそれらに限定されない。
【0036】
更に加えて、本発明は、トリアルコキシシリル末端線状ポリマーを加水分解テトラメトキシシラン(しかしこれに限定されない)のようなシリカ前駆体と共縮合させる方法を提供する。該方法は、有利には、下記に記載されるように透明な又は半透明な(不完全に透明な)エーロゲルを製造するために用いられ得る。約1から約20wt%(好ましくは約5から約10%)充填量の線状ポリマーを有する透明オルモシルゲルモノリスが、図1に図示されたスキームに従って、縮合触媒の添加後に形成された。触媒は、非制限的例としてNH4OH、NH4F、HF又はHClであり得る。モノリスは、CO2超臨界抽出後に透明なままである。シリカ前駆体の非制限的例は、アルコキシシラン及び部分加水分解アルコキシシランを包含する。アルコキシシランは、非制限的例としてテトラエトキシルシラン、テトラメトキシシラン及びテトラ−n−プロポキシシランから選択され得る。部分加水分解アルコキシシランは、シルボンド(Silbond)H5、シルボンド(Silbond)40及びそのファミリー製品;ダイナシル(Dynasil)40及びそのファミリー製品を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0037】
高度に透明な材料は、0.5と1.5cmの間の厚さについて可視スペクトルにおいて90%まで又はそれ以上の透過度を有する。本組成物は、生じるエーロゲルの光学的品質を減少することなく、本明細書に記載された線状ポリマーを含む。好ましくは、線状ポリマーのwt%は、組成物中約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満又は約5%未満であるべきである。生じた高度に透明なモノリスは、20%圧縮下で95%まで又はそれ以上(又は約90%まで若しくはそれ以上又は約85%まで若しくはそれ以上)の高回復ヒズミを有し得る。本発明により記載されたゲル組成物の改善された圧縮及び曲げレジリエンスは、同じ加工条件下で生成された純シリカエーロゲルと比較して、より大形の亀裂がないモノリシック構造体の作製を可能にする。この改善は、窓ガラス間の絶縁窓インサート、等のような亀裂がない透明材を生成させるために有意な利点を呈する。好ましくは、本発明のかかるエーロゲルは、周囲条件下で約10と約16mW/m・Kの間の熱伝導率を有する。
【0038】
典型的なシリカエーロゲルにおいて、シリカ網状構造は、通常の機械的取扱い条件に曝される場合、小さい程度しか崩壊(生じたエーロゲル生成物をダストにする)し得ない。かくして、本発明は更に、シリカエーロゲルと比較して、機械的取扱い条件下でダスト度がより小さいゲル組成物を提供する。ポリマーグラフト化シリカエーロゲル材料はまた、低ダスト特性及び約10から約16mW/m・Kの間(約11、約12、約13、約14及び約15mW/m・Kを含めて)の熱伝導率でもって繊維強化され得る。
【0039】
本発明の一つ又はそれ以上の具体的態様の詳細が、添付図面及び下記の説明に示される。本発明の他の特徴、目的及び利点は、かかる図面及び詳細な説明から並びに請求項から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明において用いるための線状ポリマーは、トリアルコキシルシリル末端のポリジメトシロキサン、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアルコール、ポリブタジエン、等を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0041】
線状ポリマーをトリアルコキシシリル官能基で終端するすなわちエンドキャッピングするために、多数のやり方がある。非制限的例として、SiH末端ポリジメチシロキサンはPt触媒の存在下でビニルトリアルコキシシランと反応してトリアルコキシシリル末端ポリジメチシロキサンを形成し得、同様にSi−ビニル末端ポリジメチシロキサンはPt触媒の存在下でトリクロロシランと反応してトリアルコキシシリル末端ポリジメチシロキサンを形成し得る。
【0042】
線状ポリマー鎖は、本発明の一部としてポリ尿素連結部の形成を通じてトリアルコキシシリル官能基でエンドキャッピングされ得る。ポリヘキサメチレンジイソシアネート(PHDI)が3−アミノプロピルトリメトキシルシラン又は3−アミノプロピルトリエトキシシランと反応されて、トリアルコキシシリル末端ポリヘキサメチレンを形成した。ポリメチルジフェニルジイソシアネート(PMDI)が3−アミノプロピルトリメトキシルシラン又は3−アミノプロピルトリエトキシシランと反応されて、トリアルコキシシリル末端ポリメチルジフェニレンを形成した。
【0043】
ポリオールファミリーのもののようなOH末端ポリマー鎖は、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランとの反応によってトリアルコキシシランによりエンドキャッピングされ得る。ポリオールファミリーは、ジヒドロキシル末端ポリブタジエン、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールを包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0044】
アミン末端ポリエーテルが、本明細書において非制限的例として用いられた。このクラスの線状ポリマーは、Huntsman CorporationからJeffamine(登録商標)シリーズの製品の商品名下で商業的に入手できる。これらのポリエーテルの一般構造は、図2に図示されている。アミン基は、ポリエーテル鎖の両端に位置している。多数のアミンで置換されたポリエーテルジェファミン(Jeffamine)Tシリーズにおいて、ポリエーテル鎖の両端においてエンドキャッピングされるだけでなく、追加のアミン基がポリエーテル鎖上に側基としてグラフトする。これらのアミン末端ポリエーテルの平均分子量は、約100から約1,000,000である。本発明において用いるための好ましい分子量は、約50から約10,000の範囲にある(約100、約500、約1000、約2000、約4000及び約8000の分子量もまた用いられ得るけれども)。2000及び4000の重量平均分子量を有するアミン末端ポリオキシプロピレン(Jeffamine(登録商標)D2000及びJeffamine(登録商標)XTJ−510)並びに600の重量平均分子量を有するアミン末端ポリオキシエチレン−コ−ポリオキシプロピレン(Jeffamine(登録商標)XTJ500)が、下記の例のいくつかにおいて例示されている製造のために用いられた。
【0045】
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3−イソシアナトプロピルトリエトキシルシランは、終端するアミン基をトリエトキシシリル部分に変換するために本発明において用いられる。3−イソシアナトプロピルトリエトキシルシランが、本明細書における例の多くのものの生成のために用いられた。この場合において、可変長のポリエーテル鎖がゾル−ゲルの活性トリエトキシシリル基にグラフトされるのを確実にするために、尿素橋が形成された。3−イソシアナトプロピルトリエトキシルシランとアミン末端ポリエーテルの間の反応は、図3に図示されている。OH又はNHがない無水エーテル、THF、ヘキサン、ジオキサン、トルエン、ペンタン、ベンゼン(好ましい溶媒としてTHF及びジオキサン)が、この反応のために本明細書において記載されたように用いられた。
【0046】
上記の尿素形成は、室温にて1時間以内で行われた。この反応の完了は、2274cm-1におけるイソシアネート帯の消失としてIR分光法により検出可能である。
【0047】
周囲温度における速い反応を確実にするために、THF溶液中の反応体濃度は、約5から約95%の間、好ましくは約40から約70%、約50から約60%、又は約55%の範囲にあるべきである。
【0048】
一般に、オルモシル(有機変性シリカ)エーロゲルの形成のための主要な合成経路は、オルガノトリアルコキシシランと一緒に適切なケイ素アルコキシドの加水分解及び縮合である。最も適当なケイ素アルコキシドは、各アルキル基において約1から約6個の炭素原子好ましくは1から約3個の炭素原子を有するものである。かかる化合物の特定の例は、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)及びテトラ−n−プロポキシシランを包含する。これらの物質はまた、ポリジエトキシシロキサンのようなポリケイ酸エステルのポリマーとして、低pHにおいて部分加水分解され且つ安定化され得る。これらの物質はアルコール溶液にて商業的に入手でき、しかしてたとえばSilbond(登録商標)40、Silbond(登録商標)25、Silbond(登録商標)H5である。より高分子量のシリコーン樹脂もまた、本オルモシル処方物に用いられ得る。かかるシリコーン樹脂は、ダウ・コーニング・フォックス(Dow Corning Fox)シリーズ、ダウ・コーニング(Dow Corning)Z6075、ダウ・コーニング(Dow Corning)MQ、等を包含するが、しかしそれらに限定されない。高反応性のトリアルコキシシリル末端基の存在に因り、シリカ前駆体とのこれらの線状ポリマーの共縮合は非常に効果的であった(シリカ網状構造中へのこれらの線状ポリマーの組込みを助けるために、熱及び他の形態の放射線のような追加的エネルギーは必要とされない)。
【0049】
ゾル−ゲル法を用いて形成されるゲル材料は、広く様々な金属酸化物又は他のポリマー形成性化学種から誘導され得る、ということが当業者に理解される。ゲル生成物の物理的及び機械的性質に影響を及ぼす固体(IR不透明剤、焼結遅延剤、微小繊維)でゾルがドープされ得る、ということも周知である。かかるドーパントの適当な量は、本発明のキャスティング方法を用いる場合、一般に完成複合物の約1から約40wt%好ましくは約2から30%の範囲にある。
【0050】
オルモシルエーロゲルの形成過程における可変パラメーターは、アルコキシドのタイプ、溶液のpH及びアルコキシド/アルコール/水の比率、並びにオルガノトリアルコキシシラン/シリカ前駆体のモル比を包含する。パラメーターの制御は、「ゾル」状態から「ゲル」状態への遷移の全体にわたって、マトリックス化学種の成長及び凝集の制御を可能にし得る。生じるエーロゲルの性質はオルガノトリアルコキシシラン/シリカ前駆体のモル比により強く影響されるけれども、ゲルの形成を可能にするいかなるモル比も本発明において用いられ得る。
【0051】
一般に、溶媒は低級アルコールすなわち1から6個(好ましくは2から4個)の炭素原子を有するアルコールであるけれども、当該技術において知られているような他の等価の溶媒は用いられ得る。他の有用な液体の例は、エチルアセテート、エチルアセトアセテート、アセトン、ジクロロメタン、等を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0052】
便宜上、本発明により利用される前駆体を作製する仕方を例示するために、オルモシルゲル及び複合物を形成させるアルコゲル経路が、代表的具体的態様として下記に与えられる。これは、シリカ網状構造中へのいずれかの特定タイプの線状ポリマーの組込みに本発明を限定するようには意図されていない。本発明は、他の同様な概念の構造を有する他のオルモシルに適用可能である。
【0053】
本発明の方法を用いて製造されるべきゲル材料の同定後、適当なシリカアルコキシド/トリエトキシルシリルグラフト化ポリエーテル線状アルコール溶液が調製される。シリカエーロゲル形成性溶液の調製は、当該技術においてよく知られている。たとえば、S.J.Teichner等,無機酸化物エーロゲル,Advances in Colloid and Interface Science,Vol.5,1976,pp245〜273、並びにL.D.LeMay等,低密度微孔質材料,MRS Bulletin,Vol.15,1990,p19が参照される。オルモシルゲルモノリスを生成させるために、典型的には、好ましい成分はテトラメトキシシラン(TMOS)、トリエトキシシリルグラフト化線状ポリエーテル(TESGP)、水及びメタノール(MeOH)である。TMOS対水の好ましい比率は約0.2から約10:1であり、TMOS対MeOHの好ましい比率は約0.02から約0.5:1であり、そして好ましいTMOS/TESGP比率は約1から約10/1である。諸成分の溶液の自然pHは約5である。より低いpHの溶液を得るためにいかなる酸も用いられ得るけれども、HCl、H2SO4又はHFが好ましい酸である。より高いpHを発生させるためには、NH4OHが好ましい塩基である。
【0054】
約1から約20wt%の充填量の線状ポリエーテルを有する透明オルモシルゲルモノリスが、縮合触媒の添加後に形成された。触媒は、非制限的例としてNH4OH、NH4F、HF又はHClであり得る。モノリスは、CO2超臨界抽出後に透明なままである。生じるオルモシルエーロゲルモノリスは、約0.05から約0.30の密度範囲及び約12から約16mW/m・Kの熱伝導率範囲を有する。透明で亀裂がないオルモシルエーロゲルモノリスの最大寸法は、11.5×11.5×0.5(インチ)であった(多数のより小さい体積も亀裂がなかった)。高度に透明な材料は、0.5と1.5cmの間の厚さについて可視スペクトルにおいて90%まで又はそれ以上の透過度を有する。
【0055】
繊維強化材を含有するオルモシルエーロゲル複合物用に、予備重合されたシリカ前駆体(たとえば、Silbond(登録商標)40及びそのファミリー)が、シリカ前駆体として好ましい。その他の変動因子の効果は、オルモシルモノリスの製造におけるものと同様である。
【0056】
本明細書において用いられる場合、嵩高性バットは、嵩特性及びいくらかのレジリエンス(完全な嵩回復でもって又は完全な嵩回復なしに)を示す繊維材料と定義される。用いられ得る嵩高性バットの非制限的例は、米国特許出願公開明細書US2002/0094426に記載されている。本発明の好ましい具体的態様において、本発明において用いるためのバットは、同じ材料の非強化エーロゲル体と比較してそれが強化複合物の熱的性質を有意には変えないように十分に少数の個々のフィラメント(又は繊維)を含有するならば「嵩高性」である。一般にそしてかかるバットを含む最終エーロゲル複合物の横断面を見ると、繊維の横断面積は、その横断面の総表面積の約10%未満好ましくは約8%未満そして最も好ましくは約5%未満である。
【0057】
好ましい形態は、この材料の軟質ウェブである。嵩高性バット強化材料の使用は、エーロゲルの熱的性能の実質的劣化を回避する一方、無支持エーロゲルの体積を最小にする。バットは、好ましくは、掛け布団を裏打ちするために又は詰め物をする若しくは包装するために又は断熱のブランケットとして普通に用いられる繊維材料の層又はシートを指す。
【0058】
いくらかの引張り強さを有するバット材料は、コンベヤーキャスティングシステムへの導入のために有利であるが、しかし必要とされない。調製されたゾル流での浸透の前にデリケートなバット材料をコンベヤー領域に導入するべき過程において、充填材移送機構が利用され得る。
【0059】
嵩高性バット及びx−y配向引張り強化性層の両方を形成させるための適当な繊維材料は、いかなる繊維形成性物質も包含する。特に適当な物質は、次のものを包含する。すなわち、繊維ガラス、石英、ポリエステル(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリフェニレンベンゾ−ビスオキサゾール(PBO)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリーレート、ポリアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ−メタフェニレンジアミン(ノメックス(Nomex))、ポリ−パラフェニレンテレフタルアミド(ケブラー(Kevlar))、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)たとえばSpectraTM、ノボロイド樹脂(カイノール(Kynol))、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN/カーボン及び炭素繊維。
【0060】
今や本発明を一般的に記載したので、例示として与えられそして特記されていなければ本発明を限定するようには意図されていない次の例を参照することによって、本発明は一層容易に理解されるであろう。
【実施例】
【0061】
本発明の更なる詳細及び説明は次の非制限的な特定例において見出され得、しかしてこれらの例は、本発明によるケイ素結合線状ポリマー含有オルモシルエーロゲルモノリス及び繊維強化エーロゲル複合物の製造並びにそれらから生じた試験結果を記載する。別段特記されていなければ、部及びパーセントはすべて質量による。
【0062】
当業者が本発明を一層容易に理解し得るように、次の非制限的例が与えられている。これらの例において、質量はグラム(g)として表されている。分子量は、製造業者(Huntsman Corporation)により提供された重量平均分子量(Mw)として報告されている。
【0063】
実施例1
この例は、トリエトキシシリル末端ポリエーテルの形成を例示する。46.0gの3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランを400gのアミン末端ポリオキシプロピレンジオール(Jeffamine(登録商標)XTJ510,Mw=4000,Hutsman Corporationから商業的に入手できる)と400mlの無水THFとの混合物に添加した後、周囲温度にて激しく撹拌した。この反応の完了は、IR分光法により監視され得る。3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランのイソシアネート基の振動に帰属される2274cm-1における強い且つ狭い帯が反応の終わりに(おおよそ1時間)消失した、ということが観察された。実施例1は、線状ポリマーの給源のための模範として役立つ。
【0064】
実施例2
この例は、トリエトキシシリル末端ポリオキシプロピレンの形成を例示する。49.47gの3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(Aldrich)を200gのアミン末端ポリオキシプロピレンジオール(Jeffamine(登録商標)D2000,Mw=2000,Hutsman Corporationから商業的に入手できる)と200mlの無水THFとの混合物に添加した後、周囲温度にて激しく撹拌した。この反応の完了は、IR分光法により監視され得る。3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランのイソシアネート基の振動に帰属される2274cm-1における強い且つ狭い帯が反応の終わりに(0.5時間未満)消失した、ということが観察された。実施例2は、線状ポリマーの給源のための模範として役立つ。
【0065】
実施例3
この例は、5wt%充填量のポリオキシプロピレン(Mw2000)を有するポリオキシプロピレン変性シリカエーロゲルモノリスの形成を例示する。25gの水を52.7gのテトラメチルオルトシリケート(TMOS)、1.7gの実施例2からのポリマー及び350mlのメタノールの混合物に添加した後、周囲温度にて1時間混合した。この結合物を、0.6gのホルムアミド及び6.0gのアンモニアメタノール溶液(15.4wt%のアンモニア)の添加によりゲル化した。生じたゲルを最初にアンモニアエタノール溶液(4.85wt%)中で周囲温度にて熟成した後、ヘキサメチルジシラザン(5%v/v)溶液中で周囲温度にて3日間熟成した。これらのゲルは、CO2超臨界抽出後に高度に透明なままであった。生じたエーロゲルモノリスの平均熱伝導率は周囲条件下で13.1mW/m・Kであり、そしてこれらのモノリスの平均密度は0.07g/cm3であった。
【0066】
実施例4
全体の手順は、ホルムアミドの添加を省いたこと以外は、実施例3と同一であった。生じたエーロゲルモノリスは、CO2超臨界抽出後に高度に透明なままであった。生じたエーロゲルモノリスの平均熱伝導率は周囲条件下で14.2mW/m・Kであり、そしてこれらのモノリスの平均密度は0.07g/cm3であった。
【0067】
実施例5
この例は、10wt%充填量のポリオキシプロピレン(Mw2000)を有するポリオキシプロピレン変性シリカエーロゲルモノリスの形成を例示する。23.65gの水を50.0gのテトラメチルオルトシリケート(TMOS)、3.4gの実施例2からのポリマー及び355mlのメタノールの混合物に添加した後、周囲温度にて1時間混合した。この結合物を、7.5gのアンモニアメタノール溶液(15.4wt%のアンモニア)の添加によりゲル化した。生じたゲルを最初にアンモニアエタノール溶液(4.85wt%)中で周囲温度にて熟成した後、ヘキサメチルジシラザン(5%v/v)のエタノール溶液の溶液中で周囲温度にて3日間熟成した。生じたエーロゲルモノリスは、CO2超臨界抽出後に高度に透明なままであった。生じたエーロゲルモノリスの平均熱伝導率は周囲条件下で13.4mW/m・Kであり、そしてこれらのモノリスの平均密度は0.07g/cm3であった。窒素収着測定は、この例のエーロゲルモノリスが633m2/gのBET表面積及び3.31cm3/gの総細孔容積を有することを示す。図4に実証されているようにこの例の透明で亀裂がないオルモシルエーロゲルモノリスの寸法は、11.5×11.5×0.5インチであった。三点曲げ試験は、この例のエーロゲルモノリスについて、10.6%の破断点曲げヒズミを示す。正規/半球透過のスペクトルからのこの例の1.1cm厚エーロゲルに関しての光透過度測定は、74.7%の透過度を示す。
【0068】
実施例6
この例は、10wt%充填量のポリオキシプロピレン(Mw4000)を有するポリオキシプロピレン変性シリカエーロゲルモノリスの形成を例示する。23.65gの水を50.0gのテトラメチルオルトシリケート(TMOS)、3.76gの実施例1からのポリマー及び355mlのメタノールの混合物に添加した後、周囲温度にて1時間混合した。この結合物を、7.5gのアンモニアメタノール溶液(15.4wt%のアンモニア)の添加によりゲル化した。生じたゲルを最初にアンモニアエタノール溶液(4.85wt%)中で周囲温度にて熟成した後、ヘキサメチルジシラザン(5%v/v)のエタノール溶液中で周囲温度にて3日間熟成した。生じたエーロゲルモノリスは、CO2超臨界抽出後に高度に透明なままである。生じたエーロゲルモノリスの平均熱伝導率は周囲条件下で15.2mW/m・Kであり、そしてこれらのモノリスの平均密度は0.07g/cm3であった。窒素収着測定は、この例のエーロゲルモノリスが582m2/gのBET表面積及び3.07cm3/gの総細孔容積を有することを示す。三点曲げ試験は、この例のエーロゲルモノリスについて、10.6%の破断点曲げヒズミを示す。正規/半球透過のスペクトルからのこの例の0.5cm厚エーロゲルモノリスに関しての光透過度測定は、90.1%の透過度を示す。
【0069】
実施例7
この例は、5wt%充填量のポリオキシプロピレン(Mw4000)を有するポリオキシプロピレン変性シリカエーロゲルモノリスの形成を例示する。25.0gの水を52.7gのテトラメチルオルトシリケート、1.88gの実施例1からのポリマー及び355mlのメタノールの混合物に添加した後、周囲温度にて1時間混合した。この結合物を、6.0gのアンモニアメタノール溶液(15.4wt%のアンモニア)の添加によりゲル化した。生じたゲルを最初にアンモニアエタノール溶液(4.85wt%)中で周囲温度にて熟成した後、ヘキサメトジシラザン(5%v/v)のエタノール溶液の溶液中で周囲温度にて3日間熟成した。生じたエーロゲルモノリスは、CO2超臨界抽出後に高度に透明なままであった。生じたエーロゲルモノリスの平均熱伝導率は周囲条件下で14.5mW/m・Kであり、そしてこれらのモノリスの平均密度は0.07g/cm3であった。
【0070】
実施例8
この例は、トリエトキシシリル末端ポリオキシエテレン−コ−ポリオキシプロピレン樹脂の形成を例示する。40.8gの3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランを50.0gのアミン末端ポリオキシエテレン−コ−ポリオキシプロピレンジオール(Jeffamine(登録商標)XTJ500,Mw=600,Hutsman Corporationから商業的に入手できる)と60mlの無水THFとの混合物に添加した後、周囲温度にて激しく撹拌した。この反応の完了は、IR分光法により監視され得る。3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランのイソシアネート基の振動に帰属される2274cm-1における強い且つ狭い帯が反応の終わりに(おおよそ1時間)消失した、ということが観察された。実施例8は、線状ポリマーの模範的給源として役立つ。
【0071】
実施例9
この例は、10wt%充填量のポリオキシエチレン−コ−ポリオキシプロピレン(Mw600)を有するポリオキシエチレン−コ−ポリオキシプロピレン変性シリカエーロゲル繊維強化複合物の形成を例示する。9.6gの0.1M水性HClを20.0gのSilbond(登録商標)40、1.43gの実施例8からのポリマー樹脂及び150mlのエタノールの混合物に添加した後、周囲温度にて2時間混合した。この結合物を3.0gのアンモニアエタノール溶液(15.4wt%のアンモニア)と混合し、そしてゲル化前に(この例では6分)3MのG80ポリエステルバット繊維シート中に浸透させた。生じたゲルを、最初にアンモニアエタノール溶液(4.85wt%)中で周囲温度にてそして引き続いてヘキサメチルジシラザン(5%v/v)のエタノール溶液の溶液中で周囲温度にて1日間熟成した。この繊維強化エーロゲルクーポンの平均熱伝導率は周囲条件下で13.1mW/m・Kであり、そしてこれらのクーポンの平均密度は0.08g/cm3であった。
【0072】
実施例10
この例は、20wt%充填量のポリオキシエテレン−コ−ポリオキシプロピレン(Mw600)を有するポリオキシエテレン−コ−ポリオキシプロピレン変性シリカエーロゲル繊維強化複合物の形成を例示する。9.6gの0.1M水性HClを20.0gのSilbond(登録商標)40、3.21gの実施例2からのポリマー及び165mlのエタノールの混合物に添加した後、周囲温度にて2時間混合した。この混合物を3.0gのアンモニアエタノール溶液(15.4wt%のアンモニア)と混合し、そしてゲル化前に(この例では8分)3MのG80ポリエステル繊維バットシート中に浸透させた。生じたゲルを最初にアンモニアエタノール溶液(4.85wt%)中で周囲温度にて1日間熟成した後、ヘキサメチルジシラザン(5%v/v)のエタノール溶液の溶液中で周囲温度にて1日間熟成した。この繊維強化エーロゲルクーポンの平均熱伝導率は周囲条件下で16.1mW/m・Kであり、そしてこれらのクーポンの平均密度は0.09g/cm3であった。
【0073】
実施例11
この例は、20wt%充填量のポリオキシエテレン−コ−ポリオキシプロピレン(Mw600)を有するポリオキシエテレン−コ−ポリオキシプロピレン変性シリカエーロゲル繊維強化複合物の形成を例示する。19.2グラムの0.1M水性HClを40.0gのDynasil(登録商標)40、6.42gの実施例8からのポリマー及び132.5mlのエタノールの混合物に添加した後、周囲温度にて2時間混合した。ゲル化を触媒するべき3.0gのアンモニアエタノール溶液(15.4wt%のアンモニア)の添加後、この混合物を3MのG80ポリエステル繊維バットシート中に浸透させた(ゲル化前に)。生じたゲルを最初にアンモニアエタノール溶液(4.85wt%)中で周囲温度にて1日間熟成した後、ヘキサメチルジシラザン(5%v/v)のエタノール溶液中で周囲温度にて1日間熟成した。この繊維強化エーロゲルクーポンの平均熱伝導率は周囲条件下で12.0mW/m・Kであり、そしてこれらのクーポンの平均密度は0.08g/cm3であった。
【0074】
実施例12
この例はポリエーテルポリオールからのトリエトキシシリル末端ポリエーテルの形成を例示し、しかして40gの3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(Aldrich)を200gのポリエーテルポリオール(Arcol(登録商標)R−2744,Mn=2200,Lyondell Corporationから商業的に入手できる)、100mlの無水THF及び0.05gのジブブチルチムジラウレートの混合物に添加した。この混合物を85から95℃にて8時間溶融した。この反応の完了は、IR分光法により監視され得る。3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランのイソシアネート基の振動に帰属される2274cm-1における強い且つ狭い帯が反応の終わりに消失した、ということが観察された。実施例12は、線状ポリマーの模範的給源として役立つ。
【0075】
実施例13
この例は、20wt%充填量のポリエーテル(Mw2200)を有するポリエーテル変性シリカエーロゲル繊維強化複合物の形成を例示する。17.2gの水を72.0gのSilbond(登録商標)H5、4.94gの実施例12からのポリマー及び125gのエタノールの混合物に添加した後、周囲温度にて1時間混合した。3.5gのアンモニア水(28〜30wt%のNH3,Aldrich)及び75gのエタノールの添加後、この混合物をゲル化前に(この例では4.5分)3MのG80ポリエステルバット繊維シート中に浸透させた。生じたゲルをCO2超臨界抽出前に、ヘキサメチルジシラザン(5%v/v)のエタノール溶液中で周囲温度にて1日間熟成した。この繊維強化エーロゲルクーポンの平均熱伝導率は周囲条件下で13.7mW/m・Kであり、そしてこれらのクーポンの平均密度は0.10g/cm3であった。
【0076】
本明細書において引用された参考文献はすべて、先に特定的に組み込まれていようといまいと、これにより参照することによってそっくりそのまま組み込まれる。本明細書において用いられる場合、「無冠詞」及び「いずれか」の表現は各々、単数形及び複数形の両方を包含するよう意図されている。
【0077】
今や本発明を十分に記載したので、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく且つ過度の実験をすることなく、本発明は広範囲の等価のパラメーター、濃度及び条件内で遂行され得る、ということが当業者により認識されるであろう。本発明はその特定の具体的態様に関連して記載されてきたけれども、本発明は更なる改変が可能であるということが理解されるであろう。本願は、一般に本発明の原理に従うところのそして本発明が属する技術内で知られた又は慣用の実施内に入るような及び前記に記述された必須の特徴に適用され得るような本開示からの逸脱を包含するところの、本発明のいかなる変型、使用又は改作もカバーするよう意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】トリアルコキシシリル末端線状ポリマーとテトラアルコキシシランの共縮合のための反応スキームである。
【図2】アミン末端ポリエーテルのジェファミン(Jeffamine)ファミリーの一般構造を示す図である。
【図3】トリアルコキシシリル末端ポリオキシプロピレンの形成のための反応スキームを示す図である。
【図4】実施例5によるエーロゲルモノリスの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機変性シリカ(オルモシル)エーロゲル組成物であって、該組成物が線状ポリマーを含み、しかも該線状ポリマーが一端又は両端においてシリカ網状構造に、該ポリマーの炭素原子と該網状構造のケイ素原子との間のC−Si結合によって共有結合されている組成物。
【請求項2】
ポリマーが両端において網状構造の1つのケイ素含有分子に共有結合されているか又は二つの端において網状構造の2つの別個のケイ素含有分子に共有結合されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリマーの重量百分率が、約1から50%w/w未満又は約3から約30%w/wの範囲にある、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
線状ポリマーが、トリアルコキシシリル末端ポリジメチルシロキサン、トリアルコキシシリル末端ポリオキシアルキレン、トリアルコキシシリル末端ポリウレタン、トリアルコキシシリル末端ポリブタジエン、トリアルコキシシリル末端ポリオキシプロピレン、トリアルコキシシリル末端ポリオキシプロピレン−コポリオキシエチレン、又はポリエーテルファミリーのトリアルコキシシリル末端のメンバーから作られる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
末端トリアルコキシシリル部分中のアルコキシ基が、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシから選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
線状ポリマーの鎖長が、約200から約1,000,000又は約300から約10,000の範囲の平均分子量を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
トリアルコキシシリル末端線状ポリマーを製造する方法であって、3−イソシアナトプロピルトリエトキシルシラン又はグリシドキシプロピルトリエトキシシランをアミン末端線状ポリマーと反応させることを含む方法。
【請求項8】
3−イソシアナトプロピルトリエトキシルシランの濃度が、少なくとも1%w/wである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アミン末端線状ポリマーが、アミン末端ポリオキシエチレン−コ−ポリオキシプロピレン、アミン末端ポリオキシエチレン及びアミン末端ポリオキシプロピレンから選択される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載のエーロゲル組成物を製造する方法であって、周囲温度にてトリアルコキシシリル末端線状ポリマーをシリカ前駆体と反応させることを含む方法。
【請求項11】
トリアルコキシシリル末端線状ポリマーが、反応性NH及びOH部分がない溶媒のような適当な溶媒中で3−イソシアナトプロピルトリエトキシルシランをヒドロキシ末端線状ポリマーと反応させることを含む方法により製造される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ヒドロキシ末端線状ポリマーが、ジヒドロキシル末端ポリブタジエン、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
トリアルコキシシリル末端線状ポリマーを製造する方法であって、アミノプロピルトリエトキシルシラン又はアミノプロピルトリメトキシルシランをイソシアネート末端線状ポリマーと反応させることを含む方法。
【請求項14】
イソシアネート末端線状ポリマーが、ポリヘキサメチレンジイソシアネート又はポリメチルジフェニルジイソシアネートである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ゲル組成物であって、30%未満の線状ポリマーを含み且つ組成物のセンチメートル当たり可視スペクトルにおいて少なくとも10%の透過度又は透明度を有するオルモシル構造に通じるゲル組成物。
【請求項16】
20%又はそれ以下の圧縮ヒズミ下で95%を超える回復ヒズミを有する透明エーロゲルを生成する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
繊維強化材を更に含む、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
約10と約16mW/m・Kの間の熱伝導率を有する強化エーロゲル複合物を生成する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
亀裂がない透明エーロゲルを生成する、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項20】
エーロゲルが、周囲条件下で約10と約16mW/m・Kの間の熱伝導率を有する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
粒子形態の請求項1に記載の組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−524739(P2007−524739A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547625(P2006−547625)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/000295
【国際公開番号】WO2005/068361
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(506229844)アスペン エアロゲルズ,インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】