説明

ケモカインレセプターの阻害剤として有用なビピペリジニル誘導体

多くの実施形態において、本発明は、CCR5レセプターの阻害剤としての新規種類のビピペリジニル化合物、そのような化合物を調製する方法、一つ以上のこのような化合物を含む薬学的組成物、一つ以上のこのような化合物を含む薬学的処方物を調製する方法、およびこのような化合物または薬学的組成物を使用してCCR5に関連する一つ以上の疾患を処置、予防、阻害または軽減する方法を提供する。本発明はまた、本発明の化合物と、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の処置において有用な一つ以上の抗ウイルス剤または他の薬剤との組み合わせの使用に関する。本発明はさらに、固形臓器移植拒絶、対宿主性移植片病、関節炎、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、喘息、アレルギーまたは多発性硬化症の処置における、単独でまたは別の薬剤と組み合わせての、本発明の化合物の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ケモカインセプター(特に、CCR5レセプター)の選択的阻害剤として有用なビピペリジニル化合物、本発明の化合物を含む薬学的組成物、および本発明の化合物を使用する処置の方法に関する。本発明はまた、本発明の化合物と、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の処置において有用な一つ以上の抗ウイルス剤または他の薬剤との組み合わせの使用に関する。本発明はさらに、固形臓器移植拒絶、対宿主性移植片病、関節炎、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、喘息、アレルギーまたは多発性硬化症の処置における、単独でまたは別の薬剤と組み合わせての、本発明の化合物の使用に関する。本出願は、2003年11月3日に出願された米国仮特許出願番号第60/516,954号からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
HIVは、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因物質であり、このHIVによりにより引き起こされた全世界的な健康危機には、疑問の余地がない。薬物治療における最近の進歩は、AIDSの進行を遅くすることに成功しているものの、依然として、このウイルスを制御するより安全、より効率的、より安価な方法を発見する必要がある。
【0003】
CCR5(CCケモカインレセプター5)遺伝子は、HIV感染に抵抗する役割を果たすことが報告されている。HIV感染は、細胞レセプターCD4と二次ケモカインコレセプター分子との相互作用によって、このウイルスが標的細胞膜に付着することにより開始し、血液および他の組織を介した感染細胞の複製および蔓延により、進行する。種々のケモカインレセプターが存在するが、マクロファージ向性HIVについては、感染の初期段階においてインビボで複製する重要な病原体株であると考えられ、その細胞へのHIVの侵入に必要とされる主なケモカインレセプターは、CCR5である。従って、そのウイルスレセプターCCR5とHIVとの間の相互作用を妨害すると、HIVの細胞への侵入を阻止できる。本発明は、CCR5アンタゴニストである低分子に関する。
【0004】
CCR5レセプターは、炎症性疾患(例えば、関節炎、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、乾癬、喘息およびアレルギー)での細胞移動を媒介することが報告されている。このようなレセプターの阻害剤は、このような疾患の処置に有用であるとともに、他の炎症性疾患または状態(例えば、炎症性腸疾患、多発性硬化症、固形臓器移植拒絶および対宿主性移植片病)の処置にも有用であると期待されている。
【0005】
認知障害(例えば、アルツハイマー病)の処置で有用なムスカリン性アンタゴニストである他のピペリジン誘導体は、特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4;および特許文献5で開示されている。
【0006】
CCR5レセプターアンタゴニストとして有用な化合物は、特許文献6;特許文献7および特許文献8、特許文献9および特許文献10、ならびに係属中の特許出願である特許文献11(2002年8月28日出願);特許文献12(2003年7月29日出願)および特許文献13(2003年7月29日出願)に開示される。
【0007】
2002年10月17日に公開された特許文献14(R.Albertら)は、ケモカインレセプターインヒビターとして有用な特定のビピペリジニル誘導体を開示する。
【0008】
A−M.Vandammeらの非特許文献1は、ヒトにおけるHIV−1感染の現在の臨床的な処置を開示しており、これは、少なくとも3つの薬剤の組み合わせ、すなわち、いわゆるHighly Active Antiretroviral Therapy(「HAART」)を含む。HAARTは、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(「NRTI」)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(「NNRTI」)およびHIVプロテアーゼ阻害剤(「PI」)の種々の組み合わせを含む。協力的で薬物の経験が少ない患者では、HAARTは、死亡率およびHIV−1のAIDSへの進行を減らすのに有効である。しかしながら、これらの多剤治療は、HIV−1を排除せず、通常、長期的な処置の結果、多剤耐性が生じる。HIV−1の良好な処置を提供するために、新たな薬剤治療を開発することが優先される。
【特許文献1】米国特許第5,883,096号明細書
【特許文献2】米国特許第6,037,352号明細書
【特許文献3】米国特許第5,889,006号明細書
【特許文献4】米国特許第5,952,349号明細書
【特許文献5】米国特許第5,977,138号明細書
【特許文献6】米国特許第6,387,930号明細書
【特許文献7】米国特許第6,602,885号明細書
【特許文献8】米国特許第6,391,865号明細書
【特許文献9】国際公開第2000/66558号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2003/69252号パンフレット
【特許文献11】米国特許出願公開第10/229,466号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第10/629,466号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第10/628,933号明細書
【特許文献14】国際公開第2002/081449号パンフレット
【非特許文献1】A−M.Vandammeら、Antiviral Chemistry & Chemotherapy,9(1998)187〜203
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、CCR5レセプターのアンタゴニストとしての新規種類の化合物、このような化合物を調製する方法、一つ以上のこのような化合物を含有する薬学的組成物、およびCCR5レセプターに関連する一つ以上の疾患を処置、予防または軽減する方法を提供する。
【0010】
本発明の一局面は、式I:
【0011】
【化21】

に示される一般構造を有する化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステルに関し;ここで、
pは、1〜4の数字であり;
qは、0〜4の数字であり;
Mは、Rで置換され、必要に応じてR18で置換されたアリール、またはRで置換され、必要に応じてR18で置換されたヘテロアリール、またはN(アルキル)ピリドンであり、ただしMがN(アルキル)ピリドンの場合、pは0〜4であり、上記p部分は、同じであるかまたは異なり、各p部分は、上記R部分およびR18部分から独立して選択され;
は、以下:
−アルキル−C(O)−ヘテロシクリル、
−アルキル−CN、
−アルキル−N(C=O)−アルキル−N(R)、
−アルキル−N(C=O)−アルキル(アリール)−N(R)、
−アルキル−N(C=O)−ヘテロシクリル、
−アルキル−N(C=O)−ヘテロアルキル、
−アルキル−N(C=O)−アルキル(ヒドロキシ)(アリール)、
−アルキル−N(C=O)−C(=O)(アリール)、
−アルキル−N(C=O)−C(=O)(アルキル)、
−アルキル−N(C=O)−C(=O)(ヘテロアリール)、
−ヘテロシクリル、
−アルコキシ−C(O)X、
−アルキル−SO−アルキル−N(R);
−ハロアルキル−C(O)OR
−ハロアルキル−C(O)−N(R)、
−アルキル−S(O)R
−S(O)(ヒドロキシアルキル)、
−アルキル−C(O)R
−アルキル−C(R)(=N−OR)、
−N(C=O)−アルキル−N(CHR)、および
−S(O)(ヘテロシクリル)
からなる群より選択され;
は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルケトン、アリールケトン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルコキシアルキル、またはアミドからなる群より選択され;
は、アリール、6員のヘテロアリール、フルオレニル;およびジフェニルメチル、6員のヘテロアリール−N−オキシド、
【0012】
【化22】

からなる群より選択され、ここで、上記アリール、フルオレニル、ジフェニルおよびヘテロアリールの各々は、非置換であるか、または必要に応じて独立して、同じであっても異なっていてもよい1〜4個の置換基により置換され、各置換基は、独立して、R11、R12、R13、R14およびR15からなる群より選択され;
は、以下のH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルオキシ、S(O)アルキル、S(O)シクロアルキル、S(O)アリールアルキル、S(O)アリール、C(O)アルキル、C(O)アリール、C(O)アリールアルキル、C(O)シクロアルキルおよびC(O)NRからなる群より選択され;
およびRは、同じであっても異なっていてもよく、各々が独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールからなる群より選択され;
Xは、ヘテロシクリル、NR、−O(アルキル)、−O(シクロアルキル)または−OHであり;
、R10およびZは、同じであっても異なっていてもよく、各々が独立して、水素、アルキルおよび−ハロアルキルからなる群より選択され;
11およびR12は、同じであっても異なっていてもよく、各々が独立して、アルキル、−ハロアルキル、ハロゲン、−NR1920、−OH、−CF、−OCH、−O−アシル、および−OCFからなる群より選択され;
13は、水素、H、R11、フェニル、−NO、−CN、−CHF、−CHF、−CHO、−CH=N(OR19)、ピリジル−N−オキシド、ピリミジニル、ピラジニル、−N(R20)C(O)N(R2021)、−N(H)C(O)N(H)(クロロアルキル)、−N(H)C(O)N(H)(シクロアルキルアルキル)、−N(H)C(O)アルキル、−N(H)C(O)CF、−N(H)S(O)N(アルキル)、−N(H)S(O)アルキル、−N(H)S(O)シクロアルキル、−N(SOCF、−N(H)C(O)Oアルキル、−シクロアルキル、−SR22、−S(O)R22、−S(O)R22、−S(O)N(H)(アルキル)、−O−S(O)アルキル、−O−S(O)CF、ヒドロキシアルキル、−C(O)N(R1920)、−C(O)N(CHCH−O−CH、−OC(O)N(H)(アルキル)、−C(O)OR19、−Si(CHおよび−B(OC(CHからなる群より選択され;
14は、アルキル、−ハロアルキル−NHおよびR15−置換フェニルからなる群より選択され;
15は、同じであっても異なっていてもよい1〜3個の置換基であり、各々が独立して、水素、−アルキル、−ハロアルキル、−CF、−CO、−CN、アルコキシおよびハロゲンからなる群より選択され;
16およびR17は、各々同じであっても異なっていてもよく、各々が独立して、水素およびアルキルからなる群より選択されるか、またはR16およびR17は一緒になって、C−Cアルキレン基であり、そしてR16およびR17が結合する炭素原子と一緒に、3〜6個の炭素原子のスピロ環を形成し;
19、R20およびR21は、各々同じであっても異なっていてもよく、そして各々が独立して、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびシクロアルキルからなる群より選択され;
22は、アルキル、−ハロアルキル、(C−C)ヒドロキシアルキル、アルキレン、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキル−からなる群より選択され;
18は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アミド、CF、OCF、アリール、ヘテロアリール、−YR23、−C(=O)(C−Cシクロアルキル)、−C(=O)(C−Cヘテロシクリル)、−(C−C)アルキル−N(R24)SO25、−(C−C)アルキル−C(O)NR2624、−CN、−COH、−CO25、(R27)アリール(C−C)アルキル−、(R27)ヘテロアリール(C−C)アルキル−、−C(=O)−(C−C)アルキル、(R27)アリール−C(=O)−、−C(=O)NR2425、−C(=O)NH、−C(=O)N(H)OH、−(C−C)アルキル−N(R24)C(=O)R25、−(C−C)アルキル−N(R24)CO25、−(C−C)アルキル−N(R24)C(=O)NR2425、−(C−C)アルキル−NR2425、−(C−C)アルキル−NH、−(C−C)アルキルSONR2425および−SONR2425からなる群より選択され、ここで、1個より多いR18が存在する場合は、R18は、同じであっても異なっていてもよく、そして独立して選択され;
23は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、ハロアルキルおよびシクロアルキルからなる群より選択され;
26およびR24は、各々同じであっても異なっていてもよく、そして各々独立して、H、(C−C)アルキルおよび(C−C)シクロアルキルからなる群より選択され;
25は、(C−C)アルキル、−(C−C)ハロアルキル、−(C−C)ヒドロキシアルキル、−(C−C)アルキレン、−(C−C)シクロアルキル、−アリールおよび−アリール(C−C)アルキルからなる群より選択され;
27は、H、ハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、−CF、−OCF、CHC(O)−、−CN、CHSO−、CFSO−および−NHからなる群より選択される1個、2個または3個の置換基であり、ここで1個より多いR27が存在する場合は、R27は、同じであっても異なっていてもよく、そして独立して選択され;
Yは、S(O)、S、S(O)、OまたはCHであり;そして
Aは、H、アルキル、およびアルケニルからなる群より選択される。
【0013】
用語「スピロ環」とは、例えば以下:
【0014】
【化23】

の例のような部分をいう。
【0015】
示された部分である−(R27)アリールおよび−(R27)ヘテロアリールは、(R27)がそれぞれアリールおよびヘテロアリール上の置換基(単数または複数)を示すことを意味する。
【0016】
式Iの化合物は、CCR5阻害剤として、そしてCCR5およびヒト免疫不全ウイルスに関連する疾患の処置および予防において、有用であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
一実施形態において、本発明は、構造式Iで示されるビピペリジニル化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステルを開示する。ここで、種々の部分は上記の通りである。
【0018】
一実施形態において、Mは置換アリールである。
【0019】
別の実施形態において、Mは置換ヘテロアリールである。
【0020】
別の実施形態において、Rは、以下:
−(C−C)アルキル−C(O)−ヘテロシクリル、
−(C−C)アルキル−CN、
−(C−C)アルキル−N(C=O)−(C−C)アルキル−N(R)、
−(C−C)アルキル−N(C=O)−(C−C)アルキル(アリール)−N(R)、
−(C−C)アルキル−N(C=O)−ヘテロシクリル、
−(C−C)アルキル−N(C=O)−ヘテロアルキル、
−(C−C)アルキル−N(C=O)ヘテロアルキル、
−(C−C)アルキル−N(C=O)−(C−C)アルキル(ヒドロキシ)(アリール)、
−(C−C)アルキル−N(C=O)−C(=O)(アリール)、
−(C−C)アルコキシ−C(O)X、
−(C−C)アルキル−SO−(C−C)アルキル−N(R);
−ハロ(C−C)アルキル−C(O)OR
−ハロ(C−C)アルキル−C(O)−N(R)、
−(C−C)アルキル−S(O)R
−S(O)(ヒドロキシ(C−C)アルキル)、
−(C−C)アルキル−C(O)R
−(C−C)アルキル−C(R)(=N−OR)、
−N(C=O)−(C−C)アルキル−N(CR)、および
−S(O)(ヘテロシクリル)からなる群より選択される。
【0021】
別の実施形態において、Mはアリールである。
【0022】
別の実施形態において、Mは、1つのR部分で置換されたフェニルである。
【0023】
別の実施形態において、pは1〜3の数字である。
【0024】
別の実施形態において、pは1である。
【0025】
別の実施形態において、Mは、1つのR部分で置換されたジデヒドロピペリドンである。
【0026】
別の実施形態において、qは0である。
【0027】
別の実施形態において、Rは、以下:
−CH−N(C=O)−モルホリン、
−CH(CH)−N(C=O)−モルホリン、
−C(CH−C(=O)−ピロリジン、
−C(CH−C(=O)−ピペリジン、
−ピロリジノン、
−ピペリジノン、および
−オキサゾリジノンからなる群より選択される。
【0028】
別の実施形態において、Rはフェニルである。
【0029】
別の実施形態において、Rはフェネチルである。
【0030】
別の実施形態において、Rは、置換フェニルまたは置換ピリミジンである。
【0031】
別の実施形態において、Rは、同じであっても異なっていてもよく、アルキル、尿素、アミンおよびスルホンアミドからなる群より選択される1つ以上の部分で置換されたフェニルである。
【0032】
別の実施形態において、Rは、アルキル、ヒドロキシアルキル、SOアルキルまたはC(O)NRである。
【0033】
別の実施形態において、Aはメチルである。
【0034】
別の実施形態において、ZはHである。
【0035】
別の実施形態において、Mはフェニルであり;Rは、−(CH)−C(O)−ヘテロシクリル、−(CH)CN、−(CH)−N(C=O)−ヘテロシクリル、−(CH)−N(C=O)−CH−ヘテロシクリル、−(CH)−SO−CH−NR、または−(CH)−C(R)(=N−OR)であり;Rは置換ピリミジンであり、Xはヘテロシクリルであり、かつAはメチルである。
【0036】
別の実施形態において、qは0である。
【0037】
別の実施形態において、YはS(O)である。
【0038】
上で使用される場合、そして本開示を通して、以下の用語は、別に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである。
【0039】
「患者」は、ヒトおよび動物の両方を包含する。
【0040】
「哺乳動物」は、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0041】
「アルキル」とは、脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖または分枝であり得、その鎖の中に、約1個〜約20個の炭素原子を含有する。好ましいアルキル基は、その鎖の中に、約1個〜約12個の炭素原子を含有する。より好ましいアルキル基は、その鎖の中に、約1個〜約6個の炭素原子を含有する。分枝状とは、直鎖状のアルキル鎖に、1個またはそれ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が結合されることを意味する。「低級アルキル」とは、その鎖内に、約1個〜約6個の炭素原子を有する基を意味し、直鎖であっても分枝であってもよい。アルキル基は、非置換であっても一つ以上の置換基により必要に応じて置換されていてもよく、この置換基は同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、N(アルキル)、カルボキシ、および−C(O)O−アルキルからなる群より独立して選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、およびt−ブチルが挙げられる。
【0042】
「アルキニル」は、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含み、そして直鎖状であっても分枝状であってもよく、そしてその鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、その鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有し;そしてより好ましくは、その鎖中に約2〜約4個の炭素原子を有する。分枝状とは、一つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピル)が、直鎖アルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」は、直鎖状であっても分枝状であってもよい鎖中の約2〜約6個の炭素原子を意味する。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニル、および3−メチルブチニルが挙げられる。アルキニル基は、非置換であっても、一つ以上の置換基により必要に応じて置換されていてもよく、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、アルキル、アリール、およびシクロアルキルからなる群より独立して選択される。
【0043】
「アリール」とは、約6個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6個〜約10個の炭素原子を含む、芳香族の単環式または多環式の環系を意味する。アリール基は、一つ以上の「環系置換基」で必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、本明細書中で定義されるとおりである。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0044】
「ヘテロアリール」は、約5個〜約14個の環原子、好ましくは約5個〜約10個の環原子を含む、芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、ここで、これらの環原子のうちの一つ以上は、単独でかまたは組み合わせて、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)である。好ましいヘテロアリールは、約5個〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、一つ以上の「環系置換基」で必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、本明細書中で定義されるとおりである。ヘテロアリールの語根の前に付く接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも一つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、(N置換ピリドンを含む)ピリドン、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシインドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。用語「ヘテロアリール」はまた、例えば、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなどのような、部分的に飽和したヘテロアリール部分もいう。
【0045】
「アラルキル」または「アリールアルキル」は、アリール−アルキル基を意味し、この中で、アリールおよびアルキルは先に定義された通りである。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチル、およびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介する。
【0046】
「アルキルアリール」は、アルキル−アリール基を意味し、この中でアルキルおよびアリールは、先に定義された通りである。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。親部分への結合は、アリールを介する。
【0047】
「シクロアルキル」は、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは約5個〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族の、単環式または多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5個〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、必要に応じて、一つ以上の「環系置換基」で置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、上記で定義されるとおりである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなど、および例えば、インダニル、テトラヒドロナフチニルなどのような部分的に飽和した種類が挙げられる。
【0048】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましいのは、フッ素、塩素および臭素である。
【0049】
「環系置換基」とは、芳香族または非芳香族環系に結合した置換基を意味し、例えば、その環系上の利用可能な水素と置き換わる。環系置換基は、同じであっても異なってもよく、各々は、別個に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−および−SONYからなる群から選択され、ここで、YおよびYは、同じであっても異なってもよく、各々は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、およびアラルキルからなる群より独立して選択される。「環系置換基」はまた、環系の二つの隣接する炭素原子の二つの利用可能な水素(各炭素上の一つのH)を同時に置き換える、単一の部分も意味する。このような部分の例としては、例えば、このような部分:
【0050】
【化24】

を形成する、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−C(CH−などが挙げられる。
【0051】
「ヘテロシクリル」は、約3個〜約10個の環原子、好ましくは約5個〜約10個の環原子を含む、非芳香族の飽和単環式環系または飽和多環式環系を意味し、ここで、この環系中の1つ以上の原子が、単独でかまたは組み合わせて、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)である。この環系中には、隣接する酸素原子および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5個〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクリルの語根の前に付く接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも一つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環の任意の−NHは、例えば、−N(Boc)基、−N(CBz)基、−N(Tos)基などのように保護されて存在し得る;このような保護はまた、本発明の一部と考えられる。ヘテロシクリルは、必要に応じて、一以上の「環系置換基」により置換され得、この置換基は、同一であっても異なってもよく、そして本明細書中に定義されるとおりである。ヘテロシクリルの窒素原子または硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシド、もしくはS,S−ジオキシドまで酸化され得る。適切な単環式のヘテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ラクタム、ラクトンなどが挙げられる。
【0052】
本発明のヘテロ原子含有環系において、N、O、またはSに隣接する炭素原子上にヒドロキシル基はなく、そして別のヘテロ原子に隣接する炭素上にもN基、またはS基はないことが、注意されるべきである。このため、例えば、以下の環:
【0053】
【化25】

において、2および5と印を付けた炭素に対して直接結合した−OHは存在しない。
【0054】
互変異性形態(例えば、以下の部分:
【0055】
【化26】

など)は、本発明の特定の実施形態において、等価であるとみなされることもまた注意されるべきである。
【0056】
「アルキニルアルキル」とは、アルキニル−アルキル−基を意味し、ここで、アルキニルおよびアルキルは、先に記載したとおりである。好ましいアルキニルアルキルは、低級アルキニル基および低級アルキル基を含む。親部分への結合は、アルキルを介してである。適切なアルキニルアルキル基の非限定的な例としては、プロパルギルメチルが挙げられる。
【0057】
「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリール−アルキル−基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルキルは、先に記載したとおりである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介してである。
【0058】
「ヒドロキシアルキル」とは、HO−アルキル−基を意味し、ここで、アルキルは、先に記載したとおりである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0059】
「アシル」とは、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、もしくはシクロアルキル−C(O)−基を意味し、ここで、種々の基は、先に記載したとおりである。親部分への結合は、カルボニルを介してである。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、およびプロパノイルが挙げられる。
【0060】
「アロイル」とは、アリール−C(O)−基を意味し、ここで、アリール基は、先に記載したとおりである。親部分への結合は、カルボニルを介してである。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルおよび1−ナフトイルが挙げられる。
【0061】
「アルコキシ」とは、アルキル−O−基を意味し、ここで、アルキル基は、先に記載したとおりである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0062】
「アリールオキシ」とは、アリール−O−基を意味し、ここで、アリール基は、先に記載したとおりである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0063】
「アラルキルオキシ」とは、アラルキル−O−基を意味し、ここで、アラルキル基は、先に記載したとおりである。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例としては、ベンジルオキシおよび1−ナフタレンメトキシもしくは2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0064】
「アルキルチオ」とは、アルキル−S−基を意味し、ここで、アルキル基は、先に記載したとおりである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介してである。
【0065】
「アリールチオ」とは、アリール−S−基を意味し、ここで、アリール基は、先に記載したとおりである。適切なアリールチオ基の非限定的な例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介してである。
【0066】
「アラルキルチオ」とは、アラルキル−S−基を意味し、ここで、アラルキル基は、先に記載したとおりである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例は、ベンジルチオである。親部分への結合は、硫黄を介してである。
【0067】
「アルコキシカルボニル」とは、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0068】
「アリールオキシカルボニル」とは、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0069】
「アラルコキシカルボニル」とは、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0070】
「アルキルスルホニル」とは、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、そのアルキル基が低級アルキルである基である。親部分への結合は、スルホニルを介してである。
【0071】
「アリールスルホニル」とは、アリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合は、スルホニルを介してである。
【0072】
用語「置換(置換された)」とは、存在する状況下で指定された原子の標準の原子価が限度を超えないように、そしてその置換が安定な化合物を生じるように、指定された原子上の1個以上の水素が、示された基から選択されたもので置換されていることを意味する。置換基および/もしくは可変部の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。「安定な化合物」もしくは「安定な構造」とは、反応混合物から有用な程度の純度への単離および有効な治療剤への処方に耐える十分に強い化合物を意味する。
【0073】
用語「必要に応じて置換された」とは、特定の基、ラジカル、もしくは部分による任意の置換を意味する。
【0074】
化合物に関する用語「単離された」または「単離された形態で」とは、合成プロセスもしくは天然供給源、またはそれらの組み合わせから単離された後の、その化合物の物理的状態を指す。化合物に関する用語「精製された」または「精製された形態の」または「単離および精製された形態の」とは、本明細書中で記載されるかもしくは当業者に周知である標準的な分析技術によって特徴付け可能な十分な純度で、本明細書中で記載されるかもしくは当業者に周知である精製プロセスから得られた後の、その化合物の物理的状態を指す。
【0075】
本明細書中の本文、スキーム、実施例および表における満たされていない原子価を有する任意の炭素およびヘテロ原子が、水素原子を有してその原子価を満たすと仮定されることは、また注意されるべきである。
【0076】
化合物の官能基が、「保護された」といわれる場合、これは、この基が改変形態であって、この化合物が反応に供される場合、保護された部位での所望されない副反応を排除することを意味する。適切な保護基は、当業者によって、かつ標準的な教科書(例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991),Wiley,New Yorkなど)を参照することによって、認識される。
【0077】
任意の構造体または式Iにおいて、任意の可変部(例えば、アリール、複素環、Rなど)が一回より多く生じる場合、各出現におけるその定義は、他の全ての出現におけるその定義から独立している。
【0078】
本明細書で使用される場合、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含有する生成物、および特定の成分の特定の量での組み合わせから直接的もしくは間接的に生じる任意の生成物を含むことを意図される。
【0079】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で検討される。本明細書中で使用される場合、用語「プロドラッグ」とは、薬物前駆体である化合物を意味し、この化合物は、被験体への投与の際に、代謝プロセスもしくは化学的プロセスによって化学的変換を受け、式Iの化合物あるいはそれらの塩および/または溶媒和物をもたらす。プロドラッグについての議論は、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)14 of the A.C.S.Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design(1987)Edward B.Roche(編)American Pharmaceutical Association and Pergamon Press(この両方は、本明細書中で参考として援用される)によって提供される。
【0080】
「溶媒和物」とは、本発明の化合物と1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、イオン結合および共有結合(水素結合を含む)の変動の程度に関与する。特定の例において、溶媒和物は、例えば、一つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれる場合、単離され得る。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能な溶媒和物の両方を含む。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」とは、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0081】
「有効量」もしくは「治療的有効量」とは、上記疾患を阻害するのに有効な、したがって、所望の治療効果、回復効果、阻害効果、および予防効果をもたらすのに有効な、本発明の化合物もしくは組成物の量を記載することを意味する。
【0082】
式Iの化合物は、塩を形成し得、これらの塩もまた本発明の範囲内である。本明細書中における式Iの化合物への参照は、他に指示されない限り、それらの塩への参照を含むことが理解される。本明細書中で使用される場合、用語「塩」とは、無機酸および/または有機酸とともに形成された酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基とともに形成された塩基性塩を意味する。さらに、式Iの化合物が塩基性部分(例えば、限定ではないが、ピリジンもしくはイミダゾール)および酸性部分(例えば、限定ではないが、カルボン酸)の両方を含む場合、両性イオン(「内部塩」)が形成され得、本明細書で使用される用語「塩」に含まれる。他の塩もまた有用であるが、薬学的に受容可能な(すなわち、無毒性の、生理学的に受容可能な)塩が好ましい。式Iの化合物の塩は、例えば、塩が沈殿するような媒体中での式Iの化合物と所定量(例えば、当量)の酸もしくは塩基との反応によって、または水性媒体中での式Iの化合物と所定量(例えば、当量)の酸もしくは塩基との反応およびその後の凍結乾燥によって、形成され得る。
【0083】
例示的な酸付加塩としては、アセテート、アスコルベート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフェート、ボレート、ブチレート、シトレート、カンフォレート、カンファースルホネート(camphorsulfonates)、フマレート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、ナフタレンスルホネート、ニトレート、オキサレート、ホスフェート、プロピオネート、サリチレート、スクシネート、サルフェート、タータレート、チオシアネート、トルエンスルホネート(トシレートとしても公知)などが挙げられる。さらに、塩基性薬学的化合物からの薬学的に有用な塩の形成のために適切であると一般に考えられる酸が、例えば、P.Stahlら、Camille G.(編)Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties、Selection and Use.(2002)Zurich:Wiley−VCH;S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould、International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996)、Academic Press、New Yorkによって;およびThe Orange Book(Food & Drug Administration、Washington、D.C.、ウェブサイト上)において議論される。これらの開示は、本明細書中で参考として援用される。
【0084】
例示的な塩基性塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩、およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)(例えば、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン)を有する塩、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)を有する塩などが挙げられる。塩基性窒素含有群は、低級アルキルハロゲン化物(例えば、メチル、エチル、およびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物)、ジアルキルスルフェート(例えば、ジメチル、ジエチル、およびジブチルスルフェート)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、およびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物)、アラルキルハライド(例えば、ベンジルブロミドおよびフェネチルブロミド)、などのような薬剤によって、四級化され得る。
【0085】
全てのこのような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内の薬学的に受容可能な塩であることを意図され、そして全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のための対応する化合物の遊離形態と等価であると考えられる。
【0086】
本発明の一つ以上の化合物はまた、溶媒和物として存在し得るかまたは溶媒和物に必要に応じて変換され得る。溶媒和物の調製は、一般に公知である。例えば、M.Cairaら、J.Pharmaceutical Sci.,93(3),601−611(2004)は、酢酸エチル中および水からの抗真菌性フルコナゾールの溶媒和物の調製について記載する。溶媒和物、半溶媒和物、水和物などの同様の調製は、E.C.van Tonderら,AAPS PharmSciTech.,5(1),第12章(2004);およびA.L.Binghamら,Chem.Commun.,603〜604(2001)に記載される。代表的な、非限定的なプロセスは、本発明の化合物を、所望される量の所望される溶媒(有機溶媒または水またはこれらの混合物)に周囲の温度よりも高い温度にて溶解する工程、およびこの溶液を結晶(この結晶は次いで、標準的な方法で単離される)を形成するのに十分な速度で冷却する工程を包含する。例えばI.R.分光法のような分析技術が、溶媒和物(または水和物)としての結晶における溶媒(または水)の存在を示す。
【0087】
式Iの化合物ならびにその塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグは、その互変異性体形態で(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在し得る。全てのこのような互変異性体形態は、本発明の一部として本明細書中で企図される。
【0088】
本発明の化合物(この化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびにこのプロドラッグの塩および溶媒和物を含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(例えば、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在し得るもの(エナンチオマー形態(これは、不斉炭素の非存在下でさえ存在し得る)、回転異性体形態、アトロプ異性体およびジアステレオマー形態を含む))は、本発明の範囲内であると企図され、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジル)である。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まないかもしれないか、または例えば、ラセミ化合物として混合され得るか、あるいは他の全ての立体異性体または他の選択された立体異性体と、混合され得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって規定されるような、S配置またはR配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ化合物またはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグに対して等しく適用されることが意図される。
【0089】
式Iの化合物の多形の形態、ならびに式Iの化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグは、本発明に包含されることを意図される。
【0090】
式Iの化合物は、CCR5阻害剤として有用であり得、そしてCCR5およびヒト免疫不全ウイルスに関連する疾患の処置および予防において有用であり得る。これは、例えば、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)、固形臓器移植拒絶、対宿主性移植片病、関節炎、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、喘息、アレルギーまたは多発性硬化症のような疾患の処置、予防および/または軽減のために、有用であり得る。従って、本発明の一局面は、HIVの処置のための、一つ以上の式Iの化合物を含む薬学的組成物に関する。
【0091】
本発明のなお別の局面は、ヒト免疫不全ウイルスを処置する方法に関連し、この方法は、そのような処置が必要な患者に、治療有効量の一つ以上の式Iの化合物を投与する工程を包含する。本発明のさらなる局面は、固形臓器移植拒絶、対宿主性移植片病、関節炎、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、喘息、アレルギーまたは多発性硬化症を処置する方法に関し、そのような処置が必要な患者に、治療有効量の一つ以上の式Iの化合物を投与する工程を包含する。
【0092】
本発明のなお別の局面は、ヒト免疫不全ウイルスを処置する方法に関連し、この方法は、そのような処置が必要な患者に、治療有効量の一つ以上の式Iの化合物を、その処置において有用な一つ以上の抗ウイルス剤または他の薬剤と組み合わせて投与する工程を包含する。本発明のさらなる局面は、固形臓器移植拒絶、対宿主性移植片病、関節炎、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、喘息、またはアレルギーを処置する方法に関連し、この方法は、そのような処置が必要な患者に、一つ以上の式Iの化合物を、その処置において有用な一つ以上の抗ウイルス剤または他の薬剤と組み合わせて投与する工程を包含する。この組み合わせの構成成分であるCCR5および抗ウイルス剤または他の薬剤は、単回投薬において投与されてもよいし、別々に投与されてもよい。活性物質の別々の投薬形態を含むキットもまた、企図される。
【0093】
このような組み合わせの薬剤の非限定的な例としては、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤およびヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(「NRTI」)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(「NNRTI」)、プロテアーゼ阻害剤(「PI」)、他の抗ウイルス剤、抗HIV治療剤などが挙げられる。
【0094】
本明細書中で使用する場合、用語「ヌクレオシドおよびヌクレオチド逆転写酵素阻害剤は、ヌクレオシドおよびヌクレオチドおよびそれらのアナログであって、HIV−1逆転写酵素(ウイルス性ゲノムHIV−1 RNAのプロウイルス性HIV−1 DNAへの転化を触媒する酵素)の活性を阻害するものを意味する。
【0095】
代表的で適切なNRTI類には、ジドブジン(AZT)(これは、Glaxo−Wellcome Inc.,Research Triangle,NC 27709から、RETROVIRの商品名で入手できる);ジダノシン(ddl)(これは、Bristol−Myers Squibb Co.,Princeton,NJ 08543から、VIDEXの商品名で入手できる);ザルシタビン(zalcitabine(ddC))(これは、Roche Pharmaceuticals,Nutley,NJ 07110から、HIVIDの商品名で入手できる);スタブジン(stavudine(d4T))(これは、Bristol−Myers Squibb Co.,Princeton,NJ 08543から、ZERITの商品名で入手できる);ラミブジン(lamivudine(3TC))(これは、Glaxo−Wellcome Research Triangle,NC 27709から、EPIVIRの商品名で入手できる);アバカビル(abacavir(1592U89))(これは、WO96/30025で開示されており、そしてGlaxo−Wellcome Research Triangle,NC 27709から、ZIAGENの商品名で入手できる);アデホビルジピボキシル(adefovir dipivoxil)[ビス(POM)−PMEA](これは、Gilead Sciences,Foster City,CA 94404から、PREVONの商品名で入手できる);ロブカビル(lobucavir)(BMS−180194)(これは、Bristol−Myers Squibb,Princeton,NJ 08543が開発中であり欧州特許第0358154号および欧州特許第0736533号で開示されたヌクレオシド逆転写酵素阻害剤である);BCH−10652(これは、Biochem Pharma,Laval,Quebec H7V,4A7,Canadaが開発中の逆転写酵素阻害剤であり、BCH−10618およびBCH−10619のラセミ混合物の形状である);エミトリシタビン(emitricitabine)[(−)−FTC](これは、Emory Univ.の米国特許第5,814,639号に基づいて、Emory Universityからライセンス提供され、そしてTriangle Pharmaceuticals,Durham,NC 27707が開発中である);β−L−FD4(これはまた、β−L−D4Cと呼ばれ、そしてβ−L−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロ−シチジンと命名されており、Yale UniversityからVion Pharmaceuticals,New Haven CT 06511にライセンス提供された);DAPD(これは、プリンヌクレオシドである(−)−β−D−2,6−ジアミノプリンジオキソランであり、欧州特許第0656778号で開示されており、そしてEmory Universityおよびthe University of GeorgiaからTriangle Pharmaceuticals,Durham,NC 27707にライセンス提供された);およびロデノシン(lodenosine)(FddA)、(これは、酸安定性プリンベース逆転写酵素阻害剤である9−(2,3−ジデオキシ−2−フルオロ−b−D−スレオペントフラノシル)アデニンであり、NIHにより発見され、そしてU.S.Bioscience Inc.,West Conshohoken,PA.19428が開発した)が挙げられる。
【0096】
本明細書中で使用される場合、用語「非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤」は、HIV−1逆転写酵素の活性を阻害する非ヌクレオシドを意味する。
【0097】
代表的で適切なNNRTIには、ネビラピン(nevirapine)(BI−RG−587)(これは、Boehringer Ingelheim(Roxane Laboratories,Columbus,OH 43216の業者)から、VIRAMUNEの商品名で入手できる);デラビリジン(BHAP、U−90152)(これは、Pharmacia & Upjohn Co.,Bridgewater NJ 08807からRESCRIPTORの商品名で入手できる);エファビレンツ(efavirenz)(DMP−266)(これは、WO94/03440で開示されたベンゾキサジン−2−オンであり、そしてDupont Pharmaceutical Co.,Wilmington,DE 19880−0723から、SUSTIVAの商品名で入手できる);PNU−142721、フロピリジンチオピリミド(これは、Pharmacia and Upjohn,Bridgewater NJ 08807が開発中である);AG−1549(以前は、Shionogi #S−1153である);5−(3,5−ジクロロフェニル)−チオ−4−イソプロピル−1−(4−ピリジル)メチル−1H−イミダゾール−2−イルメチルカーボネート(これは、WO96/10019で開示されており、そしてAgouron Pharmaceuticals,Inc.,LaJolla CA 92037−1020が臨床開発中である);MKC−442(1−(エトキシメチル)−5−(1−メチルエチル)−6−(フェニルメチル)−(2,4−(1H,3H)−ピリミジンジオン)(これは、三菱化学社が発見し、そしてTriangle Pharmaceuticals,Durham,NC 27707が開発中である);および(+)−カラノリド(calanolide)A(NSC−675451)および(+)−カラノリドB、クマリン誘導体(これは、NIHの米国特許第5,489,697号で開示されており、そしてMed Chem Researchにライセンス提供されたが、この会社は、経口投与製品として、Vita−Investと共に、(+)カラノリドAを共同開発している)が挙げられる。
【0098】
本明細書中で使用する「プロテアーゼ阻害剤」とは、HIV−1プロテアーゼ(すなわち、ウイルス性ポリタンパク質前駆体(例えば、ウイルス性GAGおよびGAG Polポリタンパク質)をタンパク質分解性開裂して感染性HIV−1で見られる個々の機能性タンパク質にするために必要とされる酵素)の阻害剤を意味する。HIVプロテアーゼ阻害剤としては、ペプチド模倣(peptidomimetic)構造、高分子量(7600ダルトン)および実質的なペプチド特性を有する化合物(例えば、CRIXIVAN(これは、Merckから入手できる))ならびに非ペプチド性プロテアーゼ阻害剤(例えば、VIRACEPT(これは、Agouronから入手できる))が挙げられる。
【0099】
代表的で適切なPIには、サキナビル(Ro 31−8959)(これは、Roche Pharmaceuticals,Nutley,NJ 07110−1199から、INVIRASEの商品名で硬質ゲルカプセルとして入手でき、また、FORTOVASEの商品名で軟質ゲルカプセルとして入手できる);リトナビル(ritonavir)(ABT−538)(これは、Abbott Laboratories,Abbott Park,IL 60064から、NORVIRの商品名で入手できる);インジナビル(indinavir)(MK−639)(これは、Merck & Co.,Inc.,West Point,PA 19486−0004から、CRIXIVANの商品名で入手できる);ネルフナビル(nelfnavir)(AG−1343)(これは、Agouron Pharmaceuticals,Inc.,LaJolla,CA 92037−1020から、VIRACEPTの商品名で入手できる);アンプレナビル(amprenavir)(141W94)(これは、非ペプチドプロテアーゼ阻害剤であり、AGENERASEの商品名で、Vertex Pharmaceuticals,Inc.,Cambridge,MA 02139−4211が開発中であり、そして拡張アクセスプログラムの下で、Glaxo−Wellcome,Research Triangle,NCから入手できる);ラジナビル(lasinavir)(BMS−234475)(これは、Bristol−Myers Squibb,Princeton,NJ 08543から入手できる(最初は、Novartis,Basel,Switzerland(CGP−61755)が発見した));DMP−450(Dupontが発見した環状尿素であり、これは、Triangle Pharmaceuticalsが開発中である);BMS−2322623,(これは、Bristol−Myers Squibb,Princeton,NJ 08543が第二世代HIV−1 PIとして開発中であるアザペプチド(azapeptide)である);ABT−378(これは、Abbott,Abbott Park,IL 60064が開発中である);およびAG−1549(これは、塩野義が発見し(Shionogi #S−1153)、そしてAgouron Pharmaceuticals,Inc.,LaJolla CA 92037−1020が開発中である経口活性イミダゾールカーバメートである)が挙げられる。
【0100】
他の抗ウイルス剤としては、ヒドロキシ尿素、リバビリン、IL−2、IL−12、ペンタフシド(pentafuside)およびYissum Project No.11607が挙げられる。ヒドロキシ尿素(Droxia)は、リボヌクレオチド三リン酸還元酵素阻害剤であり、その酵素は、T細胞の活性化に関与しており、NCIで発見され、Bristol−Myers Squibbが開発中である;前臨床研究では、それは、ジダノシンの活性に対する相乗効果を有することが明らかとなり、また、スタブジンと共に研究されている。IL−2は、Ajinomotoの欧州特許第0142268号,Takedaの欧州特許第0176299号およびChironの米国特許第RE33653号、同第4530787号、同第4569790号、同第4604377号、同第4748234号、同第4752585号および同第4949314号で開示されており、水で再構成し希釈してIV注入またはsc投与するための凍結乾燥粉末として、Chiron Corp.,Emeryville,CA 94608−2997から、PROLEUKIN(アルデスロイキン(aldesleukin))の商品名で入手できる;約百万〜約2千万IU/日の用量でのscが好ましく;約1千5百万IU/日の用量でのscは、さらに好ましい。IL−12は、WO96/25171で開示されており、Roche Pharmaceuticals,Nutley,NJ 07110−1199およびAmerican Home Products,Madison,NJ 07940から入手できる;scで、約0.5μg/kg/日〜約10μg/kg/日の用量が好ましい。ペンタフシド(DP−178、T−20)は、36アミノ酸の合成ペプチドであり、米国特許第5,464,933号で開示されており、Duke UniversityからTrimeris(Duke Universityと協力してペンタフルシドを開発中である)にライセンス提供された;ペンタフシドは、標的膜へのHIV−1の融合を阻害することにより、作用する。ペンタフシド(3〜100mg/日)は、3剤併用治療に不応性のHIV−1陽性患者に対して、連続sc注入として、またはエファビレンツおよび2PIと一緒の注射として、与えられ;100mg/日で使用するのが好ましい。Yissum Project No.11607は、Yissum Research Development Co.,Jerusalem 91042,Israelが前臨床開発中のHIV−1 Vifタンパク質に基づいた合成タンパク質である。リバビリン、1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド(これは、ICN Pharmaceuticals,Inc.,Costa Mesa,CAから入手できる);その製造および処方は、米国特許第4,211,771号で記載されている。
【0101】
本明細書中で使用する「抗HIV−1治療」との用語は、ヒトにおいて、単独で、または多剤併用治療(特に、HAARTと呼ばれる3剤および4剤併用治療)の一部として、HIV−1感染を処置するのに有用であることが分かっている任意の抗HIV−1薬剤を意味する。代表的で適切な公知の抗HIV−1治療としては、多剤併用治療(例えば、(i)2剤のNRTI、1剤のPI、第2PIおよび1剤のNNRTIから選択された少なくとも3剤の抗HIV−1薬剤;ならびに(ii)NNRTIおよびPIから選択された少なくとも2剤の抗HIV−1薬剤)が挙げられるが、これらに限定されない。代表的で適切なHAART−多剤併用治療としては、以下が挙げられる:
(a)3剤併用治療(例えば、2剤のNRTIおよび1剤のPI);または(b)2剤のNRTIおよび1剤のNNRTI;および(c)4剤併用治療(例えば、2剤のNRTI、1剤のPIおよび第2PIまたは1剤のNNRTI)が挙げられる。処置未経験患者では、3剤併用治療で抗HIV−1処置を開始するのが好ましい;2剤のNRTIおよび1剤のPIの使用は、PIに対する耐性がないなら、好ましい。薬物のコンプライアンスが必須である。そのCD4およびHIV−1−RNA血漿レベルは、3〜6ヶ月ごとにモニターすべきである。ウイルスの負荷がプラトーになるなら、第四の薬剤(例えば、1剤のPIまたは1剤のNNRTI)を添加できる。以下の表(ここでは、代表的な治療がさらに記載されている)を参照:
(抗HIV−1多剤併用治療)
(A.3剤併用治療)
1.2剤のNRTI+1剤のPI
2.2剤のNRTI+1剤のNNRTI
(B.4剤併用治療
2剤のNRTI+1剤のPI+第2PIまたは1剤のNNRTI
(C.代替治療
2剤のNTRI
1剤のNTRI+1剤のPI
2剤のPI+1剤のNRTIまたはNNRTI
1剤のPI+1剤のNRTI+1剤のNNRTI
(表の脚注)
1.以下の1剤:ジドブジン+ラミブジン;ジドブジン+ジダノシン;スタブジン+ラミブジン;スタブジン+ジダノシン;ジドブジン+ザルシタビン。
2.インジナビル、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビルまたはサキナビルの軟質ゲルカプセル。
3.ネビラピンまたはデラビルジン(delavirdine)。
4.A−M.VandamneらのAntiviral Chemistry & Chemotherapy 9:187、193〜197ページおよび図1+2を参照。
5.代替レジメンは、従順性に問題があったり毒性のために推奨レジメンを服用できない患者、および推奨レジメンが失敗したり再発する患者のためにある。2つのヌクレオシド組み合わせにすると、多数の患者において、HIV耐性が生じたり、臨床的に失敗したりすることがある。
6.サキナビルおよびリトナビル(各400mg片)を使って、殆どのデータが得られた。
7.ジドブジン、スタブジンまたはジダノシン。
【0102】
本発明の別の実施形態を、表1における以下の化合物として開示する。表1はまた、化合物に対する質量スペクトルデータ(HRMS)も提供する。
【0103】
【表1−1】

【0104】
【表1−2】

【0105】
【表1−3】

【0106】
【表1−4】

【0107】
【表1−5】

【0108】
【表1−6】

【0109】
【表1−7】

【0110】
【表1−8】

【0111】
【表1−9】

【0112】
【表1−10】

【0113】
【表1−11】

【0114】
【表1−12】

本発明のなお別の実施形態を、表2における以下の化合物として開示する。表2はさらに、ルシフェラーゼ複製アッセイにより測定された、そこに列挙される化合物に対する活性データ(ナノモラー(nM)濃度でのIC50)を提供する。ルシフェラーゼ複製アッセイは、本明細書の後の章において詳述される。
【0115】
【表2−1】

【0116】
【表2−2】

【0117】
【表2−3】

【0118】
【表2−4】

本発明の化合物(本明細書中では、本発明化合物とも呼ばれる)は、CCR5アンタゴニストとして、特に有用である。
【0119】
本発明の化合物は、当該分野において公知な手順または以下の実施例に記載される方法によって作製され得る。以下の調製スキームおよび実施例は、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。本発明の範囲内の代替の機構経路およびアナログの構造は、当業者に明らかであり得る。
【0120】
以下の溶媒および試薬は、本明細書中にて、以下で示す略語で呼ばれ得る:テトラヒドロフラン(THF);エタノール(EtOH);メタノール(MeOH);酢酸(HOAcまたはAcOH);酢酸エチル(EtOAc);N,N−ジメチルホルムアミド(DMF);トリフルオロ酢酸(TFA);無水トリフルオロ酢酸(TFAA);1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(HOBT);m−クロロ過安息香酸(MCPBA);トリエチルアミン(EtN);ジエチルエーテル(EtO);tert−ブトキシカルボニル(BOC);1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU);ジメチルスルホキシド(DMSO);p−トルエンスルホン酸(p−TSA);カリウムビス(トリメチルシリル)−アミド(KHMDA);4−ジメチルアミノピリジン(DMAP);N,N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA);Alloc:アリルオキシカルバメート;MeCN:アセトニトリルおよび1−(3−ジメチル−アミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)。RTは、室温である。
【0121】
【化27】

【実施例】
【0122】
(実施例1)
【0123】
【化28】

(工程1)
1:1のEtOAc/HO(120mL)中の4−ニトロベンジルアミン塩酸塩1(7.5g、40mmol)の溶液に、KCO(16.5g、119mmol)およびアリルクロロホルメート(5.07mL、47.8mmol)を加えた。生じた二相性の溶液を、室温にて16時間激しく攪拌した。水層を、EtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮して15.3gの粗生成物を得た。この粗生成物を、さらなる精製なしで使用した。
【0124】
(工程2)
0℃のEtOH(70mL)中のアセチル酢酸銅(II)のスラリー(2.54g、9.7mmol)に、水素化ホウ素ナトリウム(4.71g、124.4mmol)をゆっくり加えた。生じたスラリーを、0℃で30分間攪拌した。EtOH(70mL)中の工程1からのニトロ化合物(9.2g、38.9mmol)のスラリーを加え、生じた溶液を0℃で攪拌して16時間にわたって室温までゆっくりと加温した。水(20mL)を、その溶液にゆっくりと加えた。次いでその溶液を、Celiteを通して濾過し、濃縮した。その粗生成物を、水とCHClとの間に分配させた。水層を、CHCl(3×)で抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮して黒い油状物として6.8gを得た。この生成物を、さらなる精製なしで使用した。
【0125】
(工程3)
1,2−ジクロロエタン(40mL)中の工程2からのアニリン(2.36g、11.4mmol)の溶液に、ケトン3(3.4g、11.4mmol、この化合物の調製は、2003年3月13日に公開されたPCT公報WO2003/020716に開示される)および酢酸(1.32mL、22.8mmol)を加え、続いてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(7.27g、34.3mmol)を加えた。生じた混合物を、室温で48時間攪拌した。水酸化ナトリウム(1M、40mL)を加え、その混合物を室温で30分間攪拌した。水層を、CHCl(3×)で抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(2:1 ヘキサン/アセトン)により精製し、黄色の油状物として4.0g(72%)を得た。
【0126】
(工程4)
DMF(30mL)中の工程3からのアニリン(4.0g、8.2mmol)の溶液に、臭化ベンジル(2.93mL、24.6mmol)、CsCO(8.0g、24.6mmol)およびKI(544mg、3.28mmol)を加えた。この混合物を、16時間80℃に加熱した。その溶液を室温まで冷却し、水とEtOAcとの間に分配させた。水層を、EtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮して4.7gのオレンジ色の油状物を得た。この生成物を、さらなる精製なしで使用した。
【0127】
(工程5)
CHCl中の(工程4からの)Bocカルバメート溶液(20mL)に、1,3ジメトキシベンゼン(5mL)、続いてTFA(20mL)を加えた。その溶液を、室温で4時間攪拌した。その溶液を濃縮した。粗油状物を、1M HCIとEtOとの間に分配させた。水層を、EtO(2×)で抽出した。次いで水層を、3N NaOHでpH 10に調整した。その水層を、CHCl(4×)で抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮して黄色の油状物として2.95gを得た。この生成物を、さらなる精製なしで使用した。
【0128】
(工程6)
工程5からのアミン(2.95g、6.2mmol)の溶液にEDCI(1.79g、9.3mmol)、ピリミジン酸5(1.41g、9.3mmol、米国特許第6,391,865号に記載される)、HOBt(1.26g、9.3mmol)およびiPrNEt(5.4mL、31mmol)を加えた。生じた溶液を、室温で16時間攪拌した。その溶液を濃縮した。粗油状物を、1M NaOHとEtOAcとの間に分配させた。水層を、EtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。その粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(勾配2:1〜4:1 アセトン/ヘキサン)により精製し、黄色の発泡体としてアミド6を2.0g(3工程にわたって40%)得た。
【0129】
(工程7)
5:1のMeCN/水(60mL)中の(工程6からの)アリルカルバメート6(1.05g、1.7mmol)の溶液に、ジエチルアミン(3.5mL、34mmol)、3,3’,3”−ホスフィニジントリス(ベンゼン−スルホン酸三ナトリウム塩(7)(39mg、0.068mmol、Aldrich Chemical Company、Milwaukee、Wisconsinから入手可能)および酢酸パラジウム(II)(7.6mg、0.034mmol)を加えた。その混合物を、室温にて5時間攪拌させた。この溶液を濃縮し、黄色の油状物として900mgのアミン8を得た。このアミンを、さらなる精製なしで使用した。
【0130】
(工程8)
MeCN(1mL)中の工程7からのアミン8(130mg、0.25mmol)の溶液に、EDCI(72mg、0.37mmol)、N−Bocサルコシン(70mg、0.37mmol)、HOBt(51mg、0.37mmol)およびiPrNEt(0.217mL、1.25mmol)を加えた。生じた溶液を、室温で16時間攪拌した。この溶液を濃縮した。その粗油状物を、1M NaOHとEtOAcとの間に分配させた。水層を、EtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。その粗生成物を、分取TLC(1:1 アセトン/ヘキサン)により精製し、白色の発泡体として95mgを得た(55%)。
【0131】
(工程9)
MeOH(2mL)中の工程8からのt−ブチルカルバメート(75mg)の溶液に、4NのHCl(2mL、ジオキサン中)を加えた。この溶液を、室温にて3時間攪拌した。この溶液を濃縮し、HCl塩としてアミンを得た。HRMS C3548に対する計算値(MH):598.3869;検出値:598.3856。
【0132】
(実施例2)
【0133】
【化29】

(工程1)
0℃のCHCl(2mL)中のアミン8(140mg、0.27mmol)の溶液に、EtN(0.036mL、0.27mmol)および4−クロロブチリルクロライド(0.030mL、0.27mmol)を加えた。この溶液を、0℃で30分間攪拌し、次いでさらに1時間室温で攪拌した。この溶液を、CHClで希釈し、NaHCOで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。その粗生成物を、乾燥THF(2mL)中に再溶解した。この溶液にNaH(22mg、0.56mmol)を加え、この溶液を6時間加熱して還流した。この溶液を室温まで冷却し、水をゆっくり加えた。水層を、EtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。粗生成物を、分取TLC(1:1 アセトン/ヘキサン)により精製し、白色の発泡体として32mgを得た(20%)。この生成物のHCI塩を、4NのHCI(ジオキサン)を加え、続いてエバポレーションして形成させた。HRMS C3647に対する計算値(MH):595.3761;検出値:595.3754
(実施例3)
【0134】
【化30】

(工程1)
CHC1(300mL)中の(S)−マンデル酸エチル(10.0g、55mmol)の溶液に、DMAP(670mg、5.5mmol)、無水酢酸(5.77mL、61mmol)およびiPrNEt(10.6mL、61mmol)を加えた。この溶液を、室温で16時間攪拌した。その溶液を、CHClで希釈し、NHCl(水溶液)で洗浄した。有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮して透明の油状物として12.0gを得た。この生成物を、さらなる精製なしで使用した。
【0135】
(工程2)
0℃の無水酢酸(65mL)中の工程1からのアレーン(12g、54.1mmol)の溶液に、硝酸(13mL)および硫酸(15mL)の混合物を滴下した。この溶液を、0℃で4時間攪拌した。その溶液を、ゆっくりと水に加え、EtOAcで抽出した。有機層を、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。その有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。その粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(勾配 100:0〜7:3 ヘキサン/EtOAc)により精製し、3:1(パラ:メタ)のニトロ位置異性体の分離不可能な混合物として所望のニトロ生成物(9.5g)を得た。
【0136】
(工程3)
EtOH(100mL)中の工程2からのニトロ化合物(9.5g、35.6mmol)の溶液に、HSO(20滴)を加えた。生じた溶液を、16時間加熱して還流した。その溶液を濃縮した。粗生成物を、水とEtOAcとの間に分配させた。水層を、EtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮して、黄色の油状物として6.6gのアルコールを得た。所望のパラニトロ化合物を、ヘキサン/ジエチルエーテルからの再結晶化により単離した。
【0137】
(工程4)
DMF(10mL)中の工程3からのアルコール(3.6g、16mmol)の溶液に、t−ブチルジメチルシリルクロライド(4.8g、32mmol)およびイミダゾール(4.4g、64mmol)を加えた。この溶液を、室温で16時間攪拌した。その溶液を水で希釈し、EtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。その粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(勾配 100:0〜85:15 ヘキサン:EtOAc)により精製し、透明の油状物として5.0g(92%)のシリルエーテルを得た。
【0138】
(工程5)
0℃のEtOH(80mL)中のアセチル酢酸銅(II)(962mg、3.67mmol)のスラリーに、ゆっくりと水素化ホウ素ナトリウム(1.67g、44.1mmol)を加えた。生じたスラリーを、0℃で30分間攪拌した。EtOH(80mL)中の工程4からのニトロ化合物(5.0g、14.7mmol)のスラリーを加え、生じた溶液を0℃で攪拌し、2.5時間ゆっくりと室温まで加温した。水(10mL)をゆっくりとその溶液に加えた。次いでその溶液を、Celiteを通して濾過し、濃縮した。粗生成物を、水とCHClとの間に分配させた。水層を、CHCl(3×)で抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮して、黒い油状物として4.24gのアニリンを得た。この生成物を、さらなる精製なしで使用した。
【0139】
(工程6)
1,2−ジクロロエタン(75mL)中の工程5からのアニリン(4.24g、13.7mmol)を、実施例1の工程3に記載された条件下で、ケトン3(4.07g、13.7mmol)および酢酸(1.34mL、23.3mmol)で、続いてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(7.26g、34.3mmol)で処理した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(勾配 9:1〜1:3 ヘキサン/EtOAc)により精製し、黄色の油状物として4.2g(52%)のアニリンを得た。
【0140】
(工程7)
DMF(50mL)中の工程6からのアニリン(4.2g、7.1mmol)の溶液に、臭化ベンジル(2.56mL、21.4mmol)、CsCO(6.97g、21.4mmol)およびヨウ化カリウム(236mg、1.42mmol)を加えた。この混合物を、16時間、75℃に加熱した。この溶液を室温まで冷却し、水とEtOAcとの間に分配させた。水層を、EtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。粗油状物を、フラッシュクロマトグラフィー(勾配 100:0〜65:35 ヘキサン/EtOAc)により精製し、透明の油状物として2.2g(45%)を得た。
【0141】
(工程8)
EtOH (50mL)中の工程7からのカルバメート(2.1g、3.1mmol)の溶液に、4NのHCI(20mL、ジオキサン中)を加えた。この溶液を、室温にて3時間攪拌した。この溶液を濃縮した。この油状物を、MeCN(10mL)中に再溶解した。この溶液に、ピリミジン酸5(705mg、4.6mmol)、EDCI(883mg、4.6mmol)、HOBt(621mg、4.6mmol)およびiPrNEt(5.4mL、31.0mmol)を加えた。この溶液を、室温にて16時間攪拌した。その溶液を濃縮し、EtOAcとNaHCO(水溶液)との間に分配させた。水層を、EtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。粗油状物を、フラッシュクロマトグラフィー(1:1 アセトン/ヘキサン)により精製し、1.5gのアミドを得た。
【0142】
(工程9)
EtOH (30mL)中の工程8からのエチルエステル(1.0g、1.7mmol)の溶液に、2M LiOH(1.7mL、3.4mmol)を加えた。その溶液を、室温で6時間攪拌した。この溶液を濃縮し、カルボン酸のリチウム塩を得た。
【0143】
(工程10)
MeCN(1mL)中の工程9からのカルボン酸塩(95mg、0.16mmol)の溶液に、シクロブチルアミン(0.041mL、0.48 mmol)、EDCI(92mg、0.48mmol)、HOBt(66mg、0.48mmol)およびiPrNEt(0.084mL、0.48mmol)を加えた。この溶液を、室温で16時間攪拌した。この溶液を濃縮し、EtOAcと1MのNaOH(水溶液)との間に分配した。水層を、EtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。粗生成物を、分取TLC(2:1 アセトン/ヘキサン)により精製し、透明の油状物として18mg(18%)を得た。この生成物のHCI塩を、4NのHCI(ジオキサン)を加え、続いてエバポレーションすることにより形成させた。HRMS C3749に対する計算値(MH):625.3866;検出値:625.3827。
【0144】
(実施例4)
【0145】
【化31】

(工程1)
アリルアルコール(50mL)中の4−アミノフェニル酢酸(10g、66.2mmol)の溶液に、HSO(4.1mL、79.3mmol)を加えた。この溶液を3日間加熱して還流した。次いでその溶液を濃縮し、NaHCO水溶液とCHClとの間に分配させた。水層を、CHCl(3×)で抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。
【0146】
(工程2)
工程1からのアニリン(5.1g、26.7mmol)を、実施例1の工程3に記載される条件に従って、ケトン3(7.9g、26.7mmol)、酢酸(3.1mL、53.4mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(17g、80.1mmol)で処理した。フラッシュクロマトグラフィー(勾配 2:1〜1:0 EtOAc/ヘキサン)による精製後の生成物(4.3g、34%)を、淡黄色の油状物として得た。
【0147】
(工程3)
DMF(30mL)中の工程2からのアニリン(4.3g、9.1mmol)を、実施例1の工程4に記載される条件下で、臭化ベンジル(3.27mL、27.4mmol)、ヨウ化カリウム(604mg、3.64mmol)およびCsCO(8.9g、27.4mmol)で処理した。フラッシュクロマトグラフィー(1:1 EtOAc/ヘキサン)による精製後の生成物(4.6g)(90%)を、黄色の油状物として得た。
【0148】
(工程4)
−78℃の無水THF(50mL)中の工程3からのアリルエステル(1.16g、2.1mmol)に、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(ヘキサン中に1M、6.2mmol)をゆっくり加えた。この溶液を、−78℃で5分間攪拌した。THF(10mL)中のN−フルオロベンゼンスルホンアミド(1.95g、6.2mmol)の溶液をエノラートの溶液に加え、生じた溶液を、−78℃で20分間攪拌した。水を、冷たい反応混合物に注ぎ込んだ。その混合物を室温まで加温した後に、水層をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。その粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(勾配 100:0〜65:35 ヘキサン/EtOAc)により精製し、オレンジ色の油状物として660mg(53%)を得た。
【0149】
(工程5)
CHCl(6mL)中の工程4からのt−ブチルカルバメート(685mg、1.12mmol)を、実施例1の工程5の条件下で、TFA(3mL)で処理した。後処理後に、粗製物を含まないアミンをMeCN (3mL)中に取り、実施例1の工程6に記載される条件下で、ピリミジン5(136mg、1.54mmol)、EDCl(296mg、1.54mmol)、HOBt(208mg、1.54mmol)およびiPrNEt(0.532mL、3.0mmol)で処理した。フラッシュクロマトグラフィー(勾配 1:9〜2:3 アセトン/ヘキサン)による精製後のアミド生成物(190mg、27%)を、透明な油状物として得た。この生成物のHClを、4NのHCl(ジオキサン)を加え、続いてエバポレーションして形成させた。HRMS C3644に対する計算値(MH):632.3412;実測値:632.3442。
【0150】
(実施例5)
【0151】
【化32】

(工程1)
ベンゼン(8mL)中の4−クロロ−2−ヒドロキシピリジン(500mg、3.86mmol)の溶液に、KCO(1.6g、11.6mmol)、ヨードメタン(2.3mL、11.6mmol)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(144mg、0.39mmol)を加えた。その混合物を、室温で24時間攪拌した。水を加え、混合物をEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。粗生成物を、分取TLC(1:1 ヘキサン/アセトン)により精製し、449mg(81%)の生成物を、結晶固体として得た。
【0152】
(工程2)
CHCl中のケトン3(5.0g、16.9mmol)を、実施例1の工程3に記載される条件下で、ベンジルアミン(1.67mL、15.3mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.89g、18.4mmol)、および酢酸(1.1mL、18.4mmol)で処理した。生成物(5.79g、98%)を、フラッシュクロマトグラフィー(20:1 CHCl/MeOH中の7N NH)後に得た。
【0153】
(工程3)
トルエン(3mL)中の工程2からのアミン(270mg、0.70mmol)に、工程1からの塩化物(100mg、0.70mmol)、酢酸パラジウム(II)(31mg、0.14mmol)、ナトリウムt−ブトキシド(270mg、2.8mmol)およびトリ−t−ブチルホスフィン(110mg、0.56mmol)を加えた。この混合物を、19時間110℃まで加熱した。その混合物を室温まで冷却し、EtOAcで希釈し、そしてCeliteを通して濾過した。その濾液に、1MのNaOHを加えた。水層を、EtOAc(2×)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。粗生成物を、分取TLC(1:1 ヘキサン/アセトン)により精製し、オレンジ色の油状物として生成物(58mg、17%)を得た。
【0154】
(工程4)
MeOH(1mL)中の工程3からのt−ブチルカルバメート(58mg、0.12mmol)を、実施例3の工程8の条件下で、4NのHCl(0.3mL、ジオキサン中)で処理した。その粗HCI塩を、実施例3の工程8の条件下で、ピリミジン酸5(55mg、0.36mmol)、EDCl(46mg、0.24mmol)、HOBt(32mg、0.24mmol)およびiPrNEt(0.84mL、0.48mmol)で処理した。その粗生成物を、分取TLC(95:5 EtOAc/トリエチルアミン)によって精製し、油状物として46mg(66%)を得た。この生成物のHCl塩を、4NのHCl(ジオキサン)を加え、続いてエバポレーションして形成させた。HRMS C3141に対する計算値(MH):529.3291;検出値:529.3269。
【0155】
(実施例6)
【0156】
【化33】

(工程1)
DMF(10mL)中の4−アミノベンジルアルコール(1.23g、10mmol)の溶液を、実施例3の工程4に記載されるように、t−ブチルジメチルシリルクロライド(1.5g、10mmol)およびイミダゾール(820mg、12mmol)で処理した。その粗生成物(1.98g)を、さらなる精製なしで使用した。
【0157】
(工程2)
CHCl(30mL)中の工程1からのアニリン(1.98g、8.35mmol)を、実施例1の工程3に記載される条件下で、ケトン3(2.47g、8.35mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.52g、16.7mmol)および酢酸(1.0mL、16.7mmol)で処理した。その生成物(1.7g、39%)を、フラッシュクロマトグラフィー(7:3 ヘキサン/アセトン)による精製後に得た。
【0158】
(工程3)
DMF(15mL)中の工程2からのアニリン(1.7g、3.29mmol)を、実施例1の工程4に記載される条件下で、臭化ベンジル(0.59mL、4.93 mmol)、CsCO(2.14g、6.58mmol)およびヨウ化カリウム(10mg)で処理した。その生成物(1.84g、92%)を、フラッシュクロマトグラフィー(7:3 ヘキサン/アセトン)による精製後に得た。
【0159】
(工程4)
2:5 CHCl/MeOH(7mL)中の工程3からのt−ブチルカルバメート(500mg、0.82mmol)を、実施例3の工程8の条件下で、追加の4N HCI(6mL、ジオキサン中)を加えて処理した。CHCl(3mL)中の遊離アミンを、実施例1の工程6に記載される条件下で、ピリミジン5(105mg)、HOBt(123mg)、EDCl(175mg)、およびiPrNEt(147mg)で処理した。その生成物を、分取TLCによる精製後に得た。
【0160】
(工程5)
ジオキサン(3mL)中の工程4からのベンジルアルコール(50mg、0.09mmol)を、水(5滴)、4N HCl(水溶液)(0.1mL)、およびメタンスルフィン酸ナトリウム塩(51mg、0.43mmol)で処理した。この溶液を、55℃で4時間攪拌した。その混合物を、NaHCO(水溶液)で処理し、EtOAcで抽出した。その有機層をNaSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。粗生成物を、分取TLC(9:1 CHCl/MeOH)により精製し、生成物(30mg、57%)を得た。この生成物のHCl塩を、4N HCl(ジオキサン)を加え、続いてエバポレーションして形成させた。HRMS C3344Sに対する計算値(MH):590.3165;検出値:590.3187。
【0161】
本発明で記載した化合物から薬学的組成物を調製するためには、不活性で薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固体形状の調製物としては、散剤、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシュ剤および座剤が挙げられる。これらの散剤および錠剤は、約5%〜約95%の活性成分から構成され得る。適切な固体キャリアは、当該技術分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ショ糖またはラクトースがある。錠剤、散剤、カシュ剤およびカプセルは、経口投与に適当な固形投薬形態として、使用できる。薬学的に受容可能なキャリアおよび種々の組成物の製造方法の例は、A.Gennaro(編),Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版、(1990),Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvaniaで見られ得る。
【0162】
液体形状調製物には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。この一例として、非経口注射用の水もしくは水−プロピレングリコール溶液または経口溶液、経口懸濁液および経口乳濁液用の甘味料および乳白剤の添加が挙げられるが、これらに限定されない。液体形状調製物はまた、経鼻投与用の溶液も含み得る。
【0163】
吸入に適切なエアロゾル調製物には、溶液および粉末形状固形物が挙げられ得、これらは、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、不活性圧縮気体(例えば、窒素))と組合せられ得る。
【0164】
また、固体形状調製物も含まれ、これらは、使用直前に、経口投与または非経口投与のいずれかのための液体形状調製物に転化することが意図されている。このような液体形状としては、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。
【0165】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能でもあり得る。これらの経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/または乳濁液の形態をとることができ、また、この目的で当該分野で通例のマトリックス型またはレザバ型の経皮パッチに含有できる。
【0166】
本発明の化合物はまた、経口投与、静脈内投与、鼻内投与または皮下投与され得る。
【0167】
好ましくは、本発明の化合物は、経口投与される。
【0168】
好ましくは、この製薬調製物は、単位投薬形態である。このような形状では、この調製物は、適当な大きさの単位用量(これは、治療有効量の式Iの化合物を含有する)に細分される。
【0169】
単位用量の調製物中での活性化合物の量は、特定の用途に従って、約10mg〜約500mg、好ましくは、約25mg〜約300mg、さらに好ましくは、約50mg〜約250mg、最も好ましくは、約55mg〜約200mgで、変えられ得るかまたは調節され得る。
【0170】
使用する本発明の化合物の実際の投薬量は、患者の要件および処置する状態の重症度に依存して、変えられ得る。特定の状況に適切な投薬レジメンの決定は、当業者の範囲内である。便宜上、1日の投薬量全体は、必要な日にわたって、分割して少しずつ投与され得る。
【0171】
本発明の化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩を投与する量および頻度は、患者の年齢、状態および体格ならびに処置する症状の重症度のような因子を考慮して、担当医の判断に従って、調節される。経口投与に代表的な推奨1日投薬レジメンは、2回〜4回に分割した用量で、約100mg/日〜約300mg/日の範囲、好ましくは、約150mg/日〜約250mg/日の範囲、さらに好ましくは、約200mg/日であり得る。
【0172】
本発明の化合物と併用されるNRTI、NNRTI、PIおよび他の薬剤の用量および投薬レジメンは、患者の年齢、性別および状態ならびに処置する状態の重症度を考慮して、添付文書にある認可用量および投薬レジメンの観点から、またはそのプロトコルに記載されているように、担当医により決定される。
【0173】
好ましい実施形態において、本発明の化合物は、ヒト免疫不全ウイルスの処置が必要な患者に、好ましくは一つ以上の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、式Iを有する治療有効量の一つ以上の化合物を投与することにより、ヒト免疫不全ウイルスを処置するために使用され得る。抗HIV−1治療で有用な一つ以上(好ましくは、1〜4剤)の抗ウイルス剤が、本発明の化合物と組み合わせて使用され得る。この抗ウイルス剤(単数または複数)は、単一の投薬形態において、一つ以上の本発明の化合物と併用され得る。一つ以上の本発明の化合物および抗ウイルス剤(単数または複数)は、任意の順序(例えば、連続的、同時(concurrently)、同時(simultaneously)など)で投与され得る。このような併用治療における種々の活性物質の量は、異なる量(投薬量)であっても、同一の量(投薬量)であってもよい。この種々の活性物質はまた、同一の投薬形態において、一定量(例えば、単一の錠剤に存在する10mgの請求項1に記載の化合物および10mgの抗ウイルス剤)で存在し得る。このような「単一の錠剤」の例は、例えば、抗コレステロール医薬であるVYTORIN(登録商標)(Merck Schering−Plough Pharmaceuticals,Kenilworth,New Jerseyから入手可能)である。
【0174】
本発明の化合物と併用することが考慮される抗ウイルス剤としては、ヌクレオシドおよびヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、プロテアアーゼ阻害剤およびこれらの分類に入らない以下で挙げる他の抗ウイルス剤が挙げられる。抗ウイルス剤の具体的な例としては、ジドブジン、ラミブジン、ザルシタビン、ジダノシン、スタブジン、アバカビル、アデフォビル、ジピボキシル、ロブカビル、BCH−10652、エミトリシタビン、β−L−FD4、DAPD、ロデノシン、ネビラピン、デラビリジン、エファビレンツ、PNU−142721、AG−1549、MKC−442、(+)−カラノリドAおよびB、サキナビル、インジナビル、リトナビル、ネルフィナビル、ラシナビル、DMP−450、BMS−2322623、ABT−378、アンプレナビル、ヒドロキシ尿素、リバビリン、IL−2、IL−12、ペンタフシド、Yissum No.11607およびAG−1549が挙げられるが、これらに限定されない。特に、HAARTとして公知の配合は、本発明の化合物と併用することが企図される。
【0175】
1剤より多い活性剤との併用治療(この場合、これらの活性剤は、別々の投薬処方物中にある)について、これらの活性剤は、別々にまたは組み合わせて投与され得る。さらに、1要素の投与は、他の薬剤の投与の前、同時または後になされ得る。
【0176】
本発明の別の局面は、固形臓器移植拒絶、対宿主性移植片病、関節炎、関節リウマチ、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、喘息、アレルギーまたは多発性硬化症を処置する方法を提供し、この方法は、このような処置が必要な患者に、好ましくは、一つ以上の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、治療有効量の式Iの一つ以上の化合物を投与する工程を包含する。別の実施形態において、固形臓器移植拒絶、対宿主性移植片病、関節リウマチ、炎症性腸疾患、または多発性硬化症を処置するための方法は、式Iの一つ以上の化合物と組み合わせて、これらの疾患の処置に有用な一つ以上の他の薬剤を投与する工程を、さらに包含する。
【0177】
関節リウマチ、移植および対宿主性移植片病、炎症性腸疾患および多発性硬化症の処置において公知の薬剤であって本発明の化合物と組合せて投与し得る薬剤としては、以下が挙げられる:
固形臓器移植拒絶および対宿主性移植片病:免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンおよびインターロイキン−10(IL−10)、タクロリムス、抗リンパ球グロブリン、OKT−3抗体およびステロイド);
炎症性腸疾患:IL−10(米国特許第5,368,854号を参照)、ステロイドおよびアズルフィジン;
関節リウマチ:メトトレキサート、アザチオプリン、シクロホスファミド、ステロイドおよびミコフェノール酸モフェチル;
多発性硬化症:インターフェロンβ、インターフェロンαおよびステロイド。
【0178】
本発明の別の局面は、別個の容器にヒト免疫不全ウイルスを処置するために併用するための単一パッケージ薬学的組成物を含むキットに関する。一方の容器では、薬学的組成物は、一つ以上の薬学的に受容可能なキャリア中に一つ以上の式Iの化合物を含有し、そして別の容器では、一つ以上の薬学的組成物は、一つ以上の薬学的に受容可能なキャリア中に、ヒト免疫不全ウイルスの処置において有用な一つ以上の抗ウイルス剤もしくは他の薬剤の有効量を含有する。
【0179】
本発明のHIV−1治療の目標は、HIV−1−RNAウイルスの負荷を検出可能限界未満に低減することにある。本発明の文脈における「HIV−1−RNAの検出可能限界」とは、定量的な多サイクル逆転写酵素PCR手順で測定したとき、患者の血漿1mlあたり、約200未満から約50未満のコピー数のHIV−1−RNAが存在することを意味する。HIV−1−RNAは、好ましくは、本発明では、Amplicor−1 Monitor 1.5(これは、Roche Diagnsoticsから入手できる)またはNuclisens HIV−1 QT−1の手順により、測定される。
【0180】
CCR5アンタゴニスト活性およびHIV複製阻害活性を測定するために有用なアッセイは、出願番号IN01481Kの特許出願に詳細に記載される。以下のアッセイを、本発明の化合物のCCR5アンタゴニスト活性およびHIV複製阻害活性の測定に使用した。
【0181】
(走化性アッセイ)
この走化性アッセイは、試験化合物のアゴニスト対アンタゴニスト特性を特徴付ける機能アッセイである。このアッセイは、ヒトCCR5(BaF−550)を発現する非接着性マウス細胞株の、試験化合物または天然リガンド(すなわち、RANTES、MIP−1β)のいずれかに応答して膜を横切って移動する能力を測定する。細胞は、浸透性膜を横切って、アゴニスト活性を備えた化合物に向かって移動する。アンタゴニストである化合物は、走化性を誘発できないだけでなく、公知のCCR5リガンドに応答した細胞移動を阻害し得る。本発明の化合物の活性もまた、この走化性アッセイで測定され得る。
【0182】
(走化性アッセイの手順)
Ba/F3−hCCR5クローン550(a.k.a.B550)細胞を、1μg/Lで10%ウシ胎仔血清(FBS)、1× Pen−Strep、1× Glutamax、1× HEPES、1× 2−メルカプトエタノール、およびmIL−3を補充したRPMI−1640で培養した。全ての組織培養試薬は、他に特定されない限り、Invitrogen(Carlsbad、California)から入手した。FBSは、Gemini Bio−Products、Woodland、Californiaから入手した。マウスIL−3は、R and D Systems、Minneapolis、Minnesotaから入手した。
【0183】
ヒトMlP−1β(hMIP−1β)をR and D Systemsから購入し、このアッセイにおいて最終濃度1nMで使用した。この化合物をDMSOにおいて再構築し、0.1nM〜1000nM(最終濃度)の走化性アッセイ培地に希釈した。
【0184】
アッセイのために、細胞を2回純粋なRPMI 1640培地において洗浄し、次いで適切な濃度のアッセイ培地に再懸濁した。そのアッセイ培地は、RPMI 1640中の10%Ba/F3培地からなる。アッセイのための最終細胞密度は、1ml当たり約2.5×10細胞であった。走化を、5μmのフィルター孔サイズを有する96ウェルのChemoTx system(登録商標)(NeuroProbe,Inc.,Gaithersburg、Maryland、カタログ番号:101−5)を使用して実施した。
【0185】
上記化合物を、製造者の指示に従って、アンタゴニスト走化性の設定において使用した。簡潔に述べると、各化合物をhMIP−1βと混合し、その混合物の約29μlを、96ウェルChemoTx system(登録商標)のウェルの底に入れた。フィルタースクリーンを上に置き、適切な濃度の化合物と混合した25μlの細胞をそのフィルター上に載せた。その組み立てられたプレートを、加湿チャンバ内で、37℃にて2時間インキュベートした。インキュベーション後、その細胞をこすり落とし、そのプレートシステムをIEC Centra−8R遠心分離機において、1000rpmで5分間遠心分離した。そのフィルタースクリーンを取り除き、ChemoTxプレートを、漏斗プレートと共に、96ウェルプレート上に裏返した。このプレートシステムを、1000rpmで5分間遠心分離した。ウェル内の容量を培地で100μlにし、このプレートを約20分間放置した。遊走する細胞数を、製造者の指示に従って、Promega(Madison、Wisconsin)のCell Titer Glo Luminescent AssayおよびTROPIX TR717 Microplate Luminometer(PE Applied Biosystems、Boston、Massachusetts)を用いて測定した。
【0186】
(ルシフェラーゼ複製アッセイ)
gp 120 V−3ループがHIV−1 ADA、YU−2またはHxBのBgl II断片(ADA−Luc−FL、YU−2−Luc−FLおよびHxB−Luc−FL)で置き換えられたHIV−1 pNL−4−Lucの全長ゲノムをコードするプラスミドは、Dr.Susan Pontow(Washington University,St.Louis MO)から得られた。Superfect(Qiagen)またはMirusトランスフェクション試薬を使用して、プラスミドを293T細胞にトランスフェクションすることにより、複製能力があるルシフェラーゼレポータウイルスストックを作成した。トランスフェクションの48時間後、ウイルスストックを集め、そしてU−87−CCR5またはCXCR4細胞におけるルシフェラーゼ産生について、滴定した。U87−CD4−CCR5細胞(10/ウェル)を96ウェル細胞培養プレートにプレートし、そして一晩インキュベートする。培地を除去し、そして50μlの新しい培養培地(DMEM、10%FCS)および培養培地で希釈した50μlの化合物で置き換えた。細胞を、化合物と共に、37℃で、1時間インキュベートした。得られた上澄み液を除去し、そして20μlの培地(これは、化合物を含有する)で置き換え、そして37℃で、3〜4時間にわたって、等量の希釈または非希釈ウイルスストックに感染させた。これらの細胞をDMEMで1回洗浄し、そして化合物を含有する培地200μlを加えた。これらの培養物を3日間インキュベートし、それらの細胞をルシフェラーゼ溶解緩衝液(Promega,Madison,WI)で溶解し、そしてImmulonプレート(Dynex Technologies,Chantilly VA)に移した。溶解物に、等量のルシフェラーゼ基質(Promega,Madison WI)を加え、それらのプレートを、直ちに、Wallac Luminometerで読んだ。GraphPad PRISMソフトウェアを使用して、50%および90%の阻害濃度を決定した。
【0187】
本発明は上記に記載の特定の実施形態と組み合わせて記載されているが、その多くの代替、改変および変更が当業者に明らかである。このような代替、改変および変更の全ては、本発明の意図および範囲内であると解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

により表わされる化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステルであって:ここで、
pは、1〜4の数字であり;
qは、0〜4の数字であり;
Mは、Rで置換され、必要に応じてR18で置換されたアリール、またはRで置換され、必要に応じてR18で置換されたヘテロアリール、またはN(アルキル)ピリドンであり、ただしMがN(アルキル)ピリドンの場合、pは0〜4であり、該p部分は、同じであるかまたは異なり、各p部分は、該R部分およびR18部分から独立して選択され;
は、以下:
−アルキル−C(O)−ヘテロシクリル、
−アルキル−CN、
−アルキル−N(C=O)−アルキル−N(R)、
−アルキル−N(C=O)−アルキル(アリール)−N(R)、
−アルキル−N(C=O)−ヘテロシクリル、
−アルキル−N(C=O)−ヘテロアルキル、
−アルキル−N(C=O)−アルキル(ヒドロキシ)(アリール)、
−アルキル−N(C=O)−C(=O)(アリール)、
−アルキル−N(C=O)−C(=O)(アルキル)、
−アルキル−N(C=O)−C(=O)(ヘテロアリール)、
−ヘテロシクリル、
−アルコキシ−C(O)X、
−アルキル−SO−アルキル−N(R);
−ハロアルキル−C(O)OR
−ハロアルキル−C(O)−N(R)、
−アルキル−S(O)R
−S(O)(ヒドロキシアルキル)、
−アルキル−C(O)R
−アルキル−C(R)(=N−OR)、
−N(C=O)−アルキル−N(CHR)、および
−S(O)(ヘテロシクリル)
からなる群より選択され;
は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルケトン、アリールケトン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキルアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルコキシアルキル、またはアミドからなる群より選択され;
は、アリール、6員のヘテロアリール、フルオレニル;およびジフェニルメチル、6員のヘテロアリール−N−オキシド、
【化2】

からなる群より選択され、ここで、該アリール、フルオレニル、ジフェニルおよびヘテロアリールの各々は、非置換であるか、または必要に応じて独立して、同じであっても異なっていてもよい1〜4個の置換基により置換され、各置換基は、独立して、R11、R12、R13、R14およびR15からなる群より選択され;
は、以下のH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルオキシ、S(O)アルキル、S(O)シクロアルキル、S(O)アリールアルキル、S(O)アリール、C(O)アルキル、C(O)アリール、C(O)アリールアルキル、C(O)シクロアルキルおよびC(O)NRからなる群より選択され;
およびRは、同じであっても異なっていてもよく、各々が独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールからなる群より選択され;
Xは、ヘテロシクリル、NR、−O(アルキル)、−O(シクロアルキル)または−OHであり;
、R10およびZは、同じであっても異なっていてもよく、各々が独立して、水素、アルキルおよび−ハロアルキルからなる群より選択され;
11およびR12は、同じであっても異なっていてもよく、各々が独立して、アルキル、−ハロアルキル、ハロゲン、−NR1920、−OH、−CF、−OCH、−O−アシル、および−OCFからなる群より選択され;
13は、水素、H、R11、フェニル、−NO、−CN、−CHF、−CHF、−CHO、−CH=N(OR19)、ピリジル−N−オキシド、ピリミジニル、ピラジニル、−N(R20)C(O)N(R2021)、−N(H)C(O)N(H)(クロロアルキル)、−N(H)C(O)N(H)(シクロアルキルアルキル)、−N(H)C(O)アルキル、−N(H)C(O)CF、−N(H)S(O)N(アルキル)、−N(H)S(O)アルキル、−N(H)S(O)シクロアルキル、−N(SOCF、−N(H)C(O)Oアルキル、−シクロアルキル、−SR22、−S(O)R22、−S(O)R22、−S(O)N(H)(アルキル)、−O−S(O)アルキル、−O−S(O)CF、ヒドロキシアルキル、−C(O)N(R1920)、−C(O)N(CHCH−O−CH、−OC(O)N(H)(アルキル)、−C(O)OR19、−Si(CHおよび−B(OC(CHからなる群より選択され;
14は、アルキル、−ハロアルキル−NHおよびR15−置換フェニルからなる群より選択され;
15は、同じであっても異なっていてもよい1〜3個の置換基であり、各々が独立して、水素、−アルキル、−ハロアルキル、−CF、−CO、−CN、アルコキシおよびハロゲンからなる群より選択され;
16およびR17は、各々同じであっても異なっていてもよく、各々が独立して、水素およびアルキルからなる群より選択されるか、またはR16およびR17は一緒になって、C−Cアルキレン基であり、そしてR16およびR17が結合する炭素原子と一緒に、3〜6個の炭素原子のスピロ環を形成し;
19、R20およびR21は、各々同じであっても異なっていてもよく、そして各々が独立して、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびシクロアルキルからなる群より選択され;
22は、アルキル、−ハロアルキル、(C−C)ヒドロキシアルキル、アルキレン、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキル−からなる群より選択され;
18は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アミド、CF、OCF、アリール、ヘテロアリール、−YR23、−C(=O)(C−Cシクロアルキル)、−C(=O)(C−Cヘテロシクリル)、−(C−C)アルキル−N(R24)SO25、−(C−C)アルキル−C(O)NR2624、−CN、−COH、−CO25、(R27)アリール(C−C)アルキル−、(R27)ヘテロアリール(C−C)アルキル−、−C(=O)−(C−C)アルキル、(R27)アリール−C(=O)−、−C(=O)NR2425、−C(=O)NH、−C(=O)N(H)OH、−(C−C)アルキル−N(R24)C(=O)R25、−(C−C)アルキル−N(R24)CO25、−(C−C)アルキル−N(R24)C(=O)NR2425、−(C−C)アルキル−NR2425、−(C−C)アルキル−NH、−(C−C)アルキルSONR2425および−SONR2425からなる群より選択され、ここで、1個より多いR18が存在する場合は、R18は、同じであっても異なっていてもよく、そして独立して選択され;
23は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、ハロアルキルおよびシクロアルキルからなる群より選択され;
26およびR24は、各々同じであっても異なっていてもよく、そして各々独立して、H、(C−C)アルキルおよび(C−C)シクロアルキルからなる群より選択され;
25は、(C−C)アルキル、−(C−C)ハロアルキル、−(C−C)ヒドロキシアルキル、−(C−C)アルキレン、−(C−C)シクロアルキル、−アリールおよび−アリール(C−C)アルキルからなる群より選択され;
27は、H、ハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、−CF、−OCF、CHC(O)−、−CN、CHSO−、CFSO−および−NHからなる群より選択される1個、2個または3個の置換基であり、ここで1個より多いR27が存在する場合は、R27は、同じであっても異なっていてもよく、そして独立して選択され;
Yは、S(O)、S、S(O)、OまたはCHであり;そして
Aは、H、アルキル、およびアルケニルからなる群より選択される、
化合物。
【請求項2】
Mが置換アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、Rは、以下:
−(C−C)アルキル−C(O)−ヘテロシクリル、
−(C−C)アルキル−CN、
−(C−C)アルキル−N(C=O)−(C−C)アルキル−N(R)、
−(C−C)アルキル−N(C=O)−(C−C)アルキル(アリール)−N(R)、
−(C−C)アルキル−N(C=O)−ヘテロシクリル、
−(C−C)アルキル−N(C=O)ヘテロアルキル、
−(C−C)アルキル−N(C=O)−(C−C)アルキル(ヒドロキシ)(アリール)、
−(C−C)アルキル−N(C=O)−C(=O)(アリール)、
−(C−C)アルコキシ−C(O)X、
−(C−C)アルキル−SO−(C−C)アルキル−N(R);
−ハロ(C−C)アルキル−C(O)OR
−ハロ(C−C)アルキル−C(O)−N(R)、
−(C−C)アルキル−S(O)R
−S(O)(ヒドロキシ(C−C)アルキル)、
−(C−C)アルキル−C(O)R
−(C−C)アルキル−C(R)(=N−OR)、
−N(C=O)−(C−C)アルキル−N(CR)、および
−S(O)(ヘテロシクリル)
からなる群より選択される、化合物。
【請求項4】
がフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がフェネチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、置換フェニルまたは置換ピリミジンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、1つ以上の部分で置換されているフェニルであり、該部分は、同じであっても異なっていてもよく、各々独立して、アルキル、尿素、アミンおよびスルホンアミドからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、アルキル、ヒドロキシアルキル、SOアルキルまたはC(O)NRである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Aがメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
ZがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Mがフェニルであり;Rが、−(CH)−C(O)−ヘテロシクリル、−(CH)CN、−(CH)−N(C=O)−ヘテロシクリル、−(CH)−N(C=O)−CH−ヘテロシクリル、−(CH)−SO−CH−NR、または−(CH)−C(R)(=N−OR)であり;Rが、置換ピリミジンであり、Xがヘテロシクリルであり、かつAがメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Mが、1つのR部分で置換されているジデヒドロピペリドンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
pが1〜3の数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
qが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
YがS(O)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
が、以下:
−CH−N(C=O)−モルホリン、
−CH(CH)−N(C=O)−モルホリン、
−C(CH−C(=O)−ピロリジン、
−C(CH−C(=O)−ピペリジン、
−ピロリジノン、
−ピペリジノン、および
−オキサゾリジノンからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
式:
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩または溶媒和物。
【請求項18】
式:
【化15】

【化16】

【化17】

の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステル。
【請求項19】
式:
【化18】

【化19】

【化20】

の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステル。
【請求項20】
少なくとも一つの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、治療有効量の少なくとも一つの請求項1に記載の化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項21】
ヒト免疫不全ウイルスの処置に有用な一つ以上の抗ウイルス剤をさらに含む、請求項20に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記抗ウイルス剤が、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、およびプロテアーゼ阻害剤からなる群より選択される、請求項21に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記抗ウイルス剤が、ジドブジン、ラミブジン、ザルシタビン、ジダノシン、スタブジン、アバカビル、アデホビルジピボキシル、ロブカビル、BCH−10652、エミトリシタビン、β−L−FD4、DAPD、ロデノシン、ネビラピン、デラビリジン、エファビレンツ、PNU−142721、AG−1549、MKC−442、(+)−カラノリドAおよび(+)−カラノリドB、サキナビル、インジナビル、リトナビル、ネルフィナビル、ラジナビル、DMP−450、BMS−2322623、ABT−378、アンプレナビル、 ヒドロキシ尿素、リバビリン、IL−2、IL−12、ペンタフシド、Yissum No.11607およびAG−1549からなる群より選択される、請求項22に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
前記少なくとも一つの請求項1に記載の化合物および前記一つ以上の抗ウイルス剤が、異なる投薬量または一定の投薬量で存在する、請求項21に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
ヒト免疫不全ウイルスの複製を阻害する方法であって、該方法は、このような処置を必要とする患者に、治療有効量の一つ以上の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項26】
前記投与が、経口投与、静脈内投与または皮下投与である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ヒト免疫不全ウイルスの処置に有用な一つ以上の抗ウイルス剤を投与する工程をさらに包含する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記抗ウイルス剤が、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤からなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ヒト免疫不全ウイルスの複製を阻害する方法であって、該方法は、このような処置が必要な患者に、治療有効量の請求項21に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項30】
ヒト免疫不全ウイルスの複製を阻害する方法であって、該方法は、このような処置が必要な患者に、治療有効量の請求項21に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項31】
少なくとも一つの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、治療有効量の少なくとも一つの請求項18に記載の化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項32】
少なくとも一つの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、治療有効量の少なくとも一つの請求項19に記載の化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項33】
ヒト免疫不全ウイルスの複製を阻害する方法であって、該方法は、このような処置が必要な患者に、治療有効量の請求項31に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項34】
ヒト免疫不全ウイルスの複製を阻害する方法であって、該方法は、このような処置が必要な患者に、治療有効量の請求項32に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項35】
別個の容器に、ヒト免疫不全ウイルスを処置するために併用される単一パッケージの薬学的組成物を含むキットであって、該キットは、一方の容器に、一つ以上の薬学的に受容可能なキャリアに少なくとも一つ以上の請求項1に記載の化合物を含む薬学的組成物を含み、そして別の容器に、一つ以上の薬学的に受容可能なキャリアにヒト免疫不全ウイルスの処置に有用な一つ以上の抗ウイルス剤を含む一つ以上の薬学的組成物を含む、
キット。
【請求項36】
単離および精製された形態の、請求項1に記載の化合物。

【公表番号】特表2007−510653(P2007−510653A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538391(P2006−538391)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/036273
【国際公開番号】WO2005/042517
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】