説明

ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための化粧用セット

本発明は、ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための化粧用セットにおいて、― 少なくとも1の固体化粧料組成物を含む1の容器、該組成物は少なくとも1の液状脂肪相、少なくとも1のワックス、及び該組成物の合計重量に対して少なくとも5重量%の顔料を含み、30℃超の融点を有する、及び― 該組成物を施与するための施与デバイス(8)、該施与デバイスには、ケラチン物質とかみ合ったその動きに反応して少なくとも1の軸(X)又は回転中心の周りを回転できる施与表面を含む施与部材(10)がいる、
を少なくとも含む前記化粧用セットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための新規な方法を提案すること、より特に固体組成物をケラチン物質、特に皮膚又は口唇、より特に皮膚、に施与することに向けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
一般的に、皮膚、より特に顔をケアする及び/又はメイクアップすることに専用の化粧料組成物は、以下の方法に従って施与される:組成物の1以上の点状の堆積物が顔の1以上の局所的な領域に置かれ、これ又はこれらの堆積物は一般的に指で又はスポンジで延ばされて、顔の表面全体を覆う。
【0003】
以下の理由から、このタイプのメイクアップ及び/又はケア組成物を施与するための新規な方法を利用可能にすることが有利である。
【0004】
第一に、この慣用の塗布方法は、顔の領域全体にわたって均一である、施与されたフィルムの厚さを保証することができない。一般的に、組成物が点状に置かれた領域はメイクアップフィルムのより厚い厚さの恩恵を受ける。第二に、上記の領域から最も遠い顔の領域は、より薄い厚さのメイクアップフィルムで被覆される。堆積物のこの不均一さは一般的にメイクアップ効果において明らかになる。明白な理由から、それはユーザーにより評価されない。特に、メイクアップ効果の観点から「自然な」表現の発現と両立しない。
【0005】
均一な堆積物を得ることは顔料を取り込んだメイクアップ組成物の文脈においてなおさら本質的である。実際、良好な色の性質を得るために、製品自身の視覚面及びそれを使用した後のメイクアップの結果の両方において、第一にメイクアップ組成物における顔料の完全な分散を及び第二に、施与の間の堆積物の均一性を担保できることが欠かせない。
【0006】
さらに、この施与方法は、指で延ばす場合には特に、清潔又は衛生にさえ関する問題を起こし得る。
【0007】
最後に、ユーザーは常に、実施の観点から革新的である新規な施与技術を、施与のときに生まれる感覚(sensory sensation)の観点からさえ、該技術が形成するメイクアップ堆積物のタイプにより与えられる視覚的効果を模索している。
【0008】
本発明は正に、上記に概略が述べられた種々の期待を有利に満たすことに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、その特徴の一つに従うと、本発明は、ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための化粧用セットにおいて、
― 少なくとも1の固体化粧料組成物、特にキャスト製品の形の組成物を含む1の容器、該組成物は少なくとも1の液状脂肪相及び少なくとも1のワックスを含み、30℃超の融点を有する、及び
― ケラチン物質とかみ合った動きに反応して少なくとも1の軸又は回転中心の周りを回転できる施与表面を含む施与部材を備えられた、該組成物を施与するための施与デバイス
を少なくとも含む前記化粧用セットに関する。
【0010】
一つの特に有利な実施態様に従うと、本発明は、より具体的には、ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための化粧用セットにおいて、
― 少なくとも1の固体化粧料組成物、特にキャスト製品の形の組成物を含む1の容器、該組成物は少なくとも1の液状脂肪相、少なくとも1のワックス、及び該組成物の合計重量に対して少なくとも5重量%の顔料を含み、30℃超の融点を有する、及び
― ケラチン物質とかみ合った動きに反応して少なくとも1の軸又は回転中心の周りを回転できる施与表面を含む施与部材を備えられた、該組成物を施与するための施与デバイス
を少なくとも含む前記化粧用セットに関する。
【0011】
本発明の目的のために、用語「固体」は、保存の間、その形を保つ高い粘性を有する組成物を意味する。「流動性」の組成物と反対に、それは、その自重下で流動しない。固体は、以下に定義される硬さを有利に特徴とする。
【0012】
用語「キャストされた製品」は、実施の間、その成分の少なくとも1の固化によりその凝集性が担保される製品の塊を意味する。該組成物は型においてホットキャストされてもよく、固化はその冷却から生じる。
【0013】
以下において述べられるように、これらの製品は一方では、一般的に特に顔料、そして任意的にフィラーを含む粉末相を含み、他方では完成された製品に柔らかさ及び軟化性を与え、ケラチン物質特に皮膚又は口唇への接着を促進することを意図された脂肪物質を含む脂肪相をバインダーとして含む。
【0014】
施与デバイスに関しては、施与部材の一つの変形に制限されない。
【0015】
添付の図面から分かるように、処理されるべきケラチン物質、一般的には皮膚、と接触しているこの表面の動きに応答しての、少なくとも1の軸又は回転の中心についての施与表面の回転と両立するならば、複数の実施態様の変形が想定され得る。
【0016】
ケラチン物質上において施与表面の動きに応答して回転するこの能力は、メイクアップの目的のために取り出されるべき固体組成物上でのこの施与表面の動きの間にもまた確認されることが理解される。
【0017】
以下において提案される種々の実施態様の変形に関して、ケラチン物質上及び該組成物上でのこれらの動きは、図1〜5において示された変形の場合において真実であるように、一般的には組成物の表面において、次にケラチン物質の表面においての時間的な順序で逐次的に発現され得るだけでなく、図6において示された変形の場合において真実であるように、同時に発現される。図6においてケラチン物質上での施与表面の動きは固体組成物上でその動きを開始し、その後2つの動きが一緒に発現される。
【0018】
施与部材は、ロール、ボール又は平行な回転軸を有する2つのロールの回りに配置された細い帯により定義され得る。
【0019】
施与部材は、第一に、関連付られた容器に存在する組成物のいくらかを取り出すことにささげられ、第二に、このようにして取り出された組成物をケラチン物質の表面の上に施与することにささげられる。
【0020】
第一の段階において、組成物の表面上における、施与部材の、より特にロールの、外側の表面の通過は、組成物の回転をもたらす。そうすると、施与部材は、摩擦及び/又は圧力により、組成物で含浸又は被覆される。
【0021】
第二の段階において、ケラチン物質、特に顔の皮膚の表面における施与部材、より特にロール、の外表面の断続的な通過は、それを回転させ、該表面にある組成物を広げる。
【0022】
一つの実施態様の変形において、施与部材には、取り出し及び/又は施与の間にもし必要であればその自由回転をブロックする又は該回転にブレーキをかけることを可能にする取り外し可能なブレーキを備えられていてもよい。
【0023】
施与部材の外表面は少なくとも表面においては、化粧料組成物を取り出し、皮膚への組成物の断続的な施与までそれを保持するのに適切である物質から形成されている。
【0024】
例えば、ケラチン物質と接触することにささげられている施与表面は、特に、開放型又は閉鎖型のセルを有する発泡体であってもよく、任意的にはフロック加工されていてもよく、フロッキング、エラストマー、焼結された物質、織られた物質又は不織物質であってもよい。
【0025】
施与部材の外表面は、滑らかであってもなくてもよい。即ち、この施与部材は、組み合わされたマッサージ効果を与えるのに有利であるところの、一般的には外へ向けて湾曲しており、丸みをつけられているレリーフを表面に有していることが有利である。
【0026】
一つの好ましい変形に従うと、その外観は塗料を施与するために使用されるアプリケーターのように、施与ロールの外観に似ている。化粧目的のために使用されるそのようなアプリケーターは、書類、フランス国特許第985064号公報(口唇メイクアップパウダー)、フランス国特許第1524192号公報(パウダー)、フランス国特許第1281338号公報(コンパクト製品)及びフランス国特許第2848790号公報(固体又は流動性の化粧料製品)に特に記載されている。
【0027】
即ち、施与部材は、有利に空洞又は非空洞のロールの形であり、該ロールは回転軸の周りを回転する。回転のこの軸は有利には、装置の縦方向の軸に垂直に配置される。
【0028】
施与部材がロールであるとき、製品は長方形であって、ロールの長さより長い寸法、例えばロールの長さの1.01〜1.2倍の幅を有する取り出し表面を有していてもよい。製品を含むハウジングの底は、製品を含むハウジングの長さ全体に沿って施与部材を回転させることにより完全に空になるまで製品の取り出しを容易にするように丸みをつけられた凹型であってもよい。
【0029】
施与部材は、使用又は貯蔵の間、組成物を含む容器に一体的に接続されていてもいなくてもよい。
【0030】
容器は、ケラチン物質への製品の施与の間、施与部材に完全に接続されてもされなくてもよい。
【0031】
一つの好ましい実施態様に従うと、施与デバイスおよび容器は同じ調節(conditioning)において、例えば該製品を含みかつアプリケーターを受け入れるハウジングを含むベース及び該ベースに対して移動可能であり、例えばその上で連結されている蓋を備えられた同じケースにおいて、
組み合わされる。
【0032】
下記の実施例から分かるように、ケラチン物質、より特に皮膚の表面に対して固体組成物を施与するために回転部材の使用は、慣用のアプリケーター、例えばスポンジ又はパウダーパフで得られるメイクアップ効果と異なるメイクアップ効果を得ることを可能にする。特に、本発明に従って得られるメイクアップ効果は堆積物の均一さの観点において有意に改善されていることが分かる。得られるフィルムは非常に薄く、均一であり得、跡がなく、控え目であるか又は自然でさえあるメイクアップ効果を与え得る。
【0033】
そのような施与デバイスは特に、顔料を取り込んでいる組成物の文脈において、メイクアップの色効果の良好な均一性を得ることを可能にする。
【0034】
施与の間、施与部材は皮膚の上で滑ることなく回転することができる。いくつかの連続する通過は、例えば所望される色の強度に依存して同じ場所において行われ得る。いくつかの断続的な通過の間に、ユーザーは回転の方向を少し変化させて、製品の堆積物の端から消えていくことができる。
【0035】
さらに、ケラチン物質、より特に皮膚の表面において固体組成物を堆積するための本発明に従う施与部材の使用は、皮膚上で幸福な感覚と共にマッサージ効果を得ることを可能にする。
【0036】
即ち、本発明に従う施与方法の使用は、第一に容易であり、第二にユーザーに楽しい感覚を与える性質を有する。
【0037】
本発明に従う組成物は、皮膚、特に顔及び/又は体のためのメイクアップ及び/又はケア組成物であり得、メイクアップルージュ、アイシャドウ、フェースパウダー、ファンデーション、コンシーラー製品、口紅、ボディメイクアップ製品、体又は顔をケアする製品又は日焼け止め製品を構成し得る。
【0038】
より特に、しかし、排他的ではなく、本発明はファンデーション組成物、特にキャストファンデーションに関する。
【0039】
別の特徴に従うと、本発明はケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための方法において、
― ケラチン物質とのかみ合った施与表面の動きに応答して、以下において定義される軸又は回転の中心の周りを回転することのできる施与表面を含む施与部材を使用して、ある量の固体組成物、特にホットキャスト製品の形のもの、が取り出される、そして
― このようにして取り出された組成物は、該施与部材を使用して該ケラチン物質に施与され、該組成物は少なくとも1の液状脂肪相及び少なくとも1のワックスを含み、30℃超の融点を有する
ところの前記方法に関する。
【0040】
特に、本発明は、ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための方法において、
― ケラチン物質とのかみ合った施与表面の動きに応答して、以下において定義される軸又は回転の中心の周りを回転することのできる施与表面を含む施与部材を使用して、ある量の固体組成物、特にホットキャスト製品の形のもの、が取り出される、そして
― このようにして取り出された組成物は、該施与部材を使用して該ケラチン物質に施与され、該組成物は少なくとも1の液状脂肪相、少なくとも1のワックス及び組成物の合計重量に対して5重量%の顔料を含み、30℃超の融点を有する
ところの前記方法に関する。
【0041】
施与デバイス及び本発明を実施するための化粧用セットの例
使用され得る施与デバイスの、とりわけいくつかの実施例が図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に従うパッケージと施与デバイスの例を遠近法で模式的に示す。
【図2】ケースを開けた、図1のデバイスを示す。
【図3】施与デバイスがはずされた図1のデバイスを示す。
【図4】施与部材の実施態様の変形の模式的な平面図
【図5】施与デバイスの2つの他の変形の部分的かつ模式的な縦方向の断面図を示す。
【図6】施与デバイスの2つの他の変形の部分的かつ模式的な縦方向の断面図を示す。
【符号の説明】
【0043】
1:施与デバイス
2:ケース
3:ベース
4:蓋
5:窓
6:ハウジング
7:ハウジング
8:施与デバイス
9:ハンドル
10:施与部材
14:底
16:スロープ
18:へこみ
20:留め金
25:ロール
26:ロール
31:皿
32:スプリング
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1,2及び/又は3に示されたコンディショニング及び施与デバイス1は、ベースとベースに対して可動性のある蓋4とを含むケース2を含む。この蓋4は、それが閉じられているときにケースの中身を見ることができるように透明な窓5を含む。
ベース3は製品Pのケーキを受け入れるハウジング6及び施与デイバス8を収納するハウジング7を含み、施与デバイス8は、製品Pを取り出し、それをヒトのケラチン物質に施与する働きをする。
【0045】
施与デバイス8は、ハンドル9及びハンドル9に対して、例えば示されているように、ハンドルの長手方向の軸に垂直に向けられ得る回転の軸Xについて回転することのできる施与部材10を含む。
【0046】
施与部材10は、ロールの形であり得、その施与表面は、軸Xの周りを回転している円筒であり得る。
【0047】
施与表面は製品を保持でき、それを施与できる任意の物質、例えばエラストマー状の物質又は開放型又は閉鎖型のセルを有する発泡体又はフロック加工された膜により定義され得る。施与表面を定義する物質は圧縮可能であり得る。
【0048】
施与部材10の長さは、製品ケーキの幅wに実質的に相当し得る。この製品ケーキは、示されているように長方形の形状を有し得る。
【0049】
施与デバイス8を受け入れるハウジング7は、格子14を備えられた底14を有し得、ユーザーがそれを保持し易いように、ハンドル9が少し上向きに傾けられ、かつケースの側面に向かっているように保つスロープ16を有していてもよい。へこみ18は、ハンドル9をつかむための指のかみ合わせを容易にするようにハウジング7の中へと出ていてもよい。
【0050】
製品Pが注ぎ込まれるハウジング6は、平行な配管がされた形(parallelepiped shape)であり得、又は製品を取り出すために製品ケーキの表面の上に施与デバイス8が移動されたとき、回転の軸Xに平行な母線を有する円筒状の一部である丸みをつけられた凹んだ底を有し得る。これは製品が蓄積し、取り出されないおそれのある隅の存在を避け得る。
【0051】
ケースは任意のタイプでよい、留め金20を含み得る。
【0052】
施与デバイス8を使用するために、ユーザーは、施与部材10を製品ケーキPの表面の上で転がすことによって、製品ケーキの表面の上で1回以上それを動かし、それから、該製品が堆積されるべき領域の上で1回以上それを通過させることにより、処理されるべきケラチン物質、例えば皮膚、にそれを施与することができる。
【0053】
皮膚の上での動きの間、施与部材10は滑ることなく回転することができる。
【0054】
本発明は、回転の軸について回転しているロールの形である施与部材に制限されない。
【0055】
例えば、図4に示されるように、施与部材10は、籠(示されていない)に保持され、ハンドル9に一体的に接続されていてもよい施与ボール10の形であってもよい。図4の実施例において、施与部材10はその籠の中で全ての軸について回転し得る。
【0056】
図5に示される一つの変形において、施与部材10は、平行な回転軸を有する2つのロール25及び26について回転することのできる施与細帯によってもまた定義され得る。施与のために働く細帯10の一部は、施与デバイス10がそれと接触して動かされて製品を施与するとき、皮膚と接触して動くことができる。
【0057】
一つの変形(示されていない)において、ロール25及び26の回転の軸は、製品を施与するためにケラチン物質と接触してくる細帯10の一部は、一つのロールとのみ接触しているのではなく、2つのロールの間で接触している。
【0058】
図6に示された変形において、製品Pは、製品の施与の間、施与デバイス8に一体的に接続されたままであるケースに格納されている。製品Pは、例えば皿31に一体的に接着されたケーキの形であり、該皿は例えば示されているようなコイルタイプのスプリング32により施与部材10にもたれかけられている。図6の実施例において、施与部材10は製品を一方で製品を取り出す間に他方で施与することができる。
【0059】
示されていない変形において、施与デバイス8には、ハンドルに対する施与部材10の回転にブレーキをかける又は不動にすることさえを可能にするブレーキを備えられていてもよい。
【0060】
組成物
上記のように、本発明に従う組成物は固体組成物である。
【0061】
硬度の測定は、Rheo社により販売されているTA−XT2テクスチャー分析機を使用して行われる。
【0062】
硬度は直径が3mmのステンレススチールの円筒が1mm/秒の速度において、2mmの深さまで20℃において浸透する間に測定された圧縮力(グラム)に関連される。
【0063】
キャスト製品の場合、組成物は好ましくは60g以上、特に60〜1000g、好ましくは60〜600g、より優先的には60〜350gの硬度を有することが好ましい。
【0064】
一つの特定の実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、有利には、350g以下、特に300g以下、より特に250g以下、特に60〜250gの硬度を有する。
【0065】
有利には、本発明に従う固体組成物は、上記の施与部材を使用して容易に取り出される。
【0066】
固体組成物は無水の形又は固体エマルジョンの形であり得る。
【0067】
固体エマルジョンは、標準的なエマルジョンと反対に、室温において自重下で流動せず、特に液状脂肪相におけるワックスの存在を特徴とすることに留意されたい。
【0068】
本発明に従う組成物は、有利には無水の組成物であり、すなわち、2%未満、又は0.5%未満さえの水を含む組成物、特に水を含まない組成物であり、水は組成物の製造の間に添加されないが、混合された成分により与えられる残余の水に相当する。
【0069】
1つの特定の実施態様に従うと、本発明に従う組成物は無水のキャスト製品の形をとる。
【0070】
即ち、本発明に従う化粧料組成物は、キャスト製品の形における組成物において特に、液状脂肪相及び少なくとも1のワックスを含み、好ましくは、固体エマルジョンの形においてキャストされた製品の場合特に、少なくとも5重量%の割合で水性相をもまた含む。
【0071】
本発明に従う組成物は、−0.2〜1W/gの範囲の放出されたエネルギーのDSCにより特に測定されて、30〜120℃、特に40〜100℃の範囲の融点を有することが有利であり得る。
【0072】
示差走査熱量計(DSC)によるこの特徴は、DSC QlOO V9.4 BUILD287マシーンにより実行され得る。測定は、−20℃〜120℃の温度傾斜において、3つの溶融サイクルに亘って行われ、第一の2つのサイクルについては10℃/分の加熱速度、及び10℃/分の冷却速度を有する120〜−20℃の結晶化であり、第3のサイクルについては5℃/分の冷却速度である。同定されるべき組成物の試料は6mgである。
【0073】
第3のサイクルにおいて、空のルツボ及び試料を含むルツボにより吸収されるエネルギーの差の変化が温度の関数として測定される。融点は、温度の関数として吸収されるエネルギーの差の変化を表わす曲線のピークの頂点に相当する温度の値である。
【0074】
脂肪相
本発明に従う組成物は少なくとも1の液状脂肪相及び少なくとも1のワックスを含む。
【0075】
特に、本発明の組成物は以下に挙げられる少なくとも1のオイルを含む。
【0076】
用語「オイル」は、室温(20〜25℃)及び大気圧において液状である任意の脂肪物質を意味する。
【0077】
有利に、本発明の組成物は少なくとも1の極性オイルを含む。
【0078】
本発明の目的のために、用語「極性オイル」は25℃におけるその溶解度パラメーターδaが0(J/cm1/2以外であるオイルを意味する。
【0079】
極性オイルは、揮発性又は非揮発性の炭化水素をベースとするシリコーンオイル及び/又はフルオロオイルであってもよい。
【0080】
特に、極性オイルは本組成物中に、該組成物の合計重量に対して5重量%〜50重量%、好ましくは7重量%〜30重量%、特に10重量%〜27重量%の範囲の含有量で存在し得る。
【0081】
当業者は以下に記載される揮発性及び非揮発性のオイルのリストから、本発明において使用され得るオイルをどのように選択するか知っている。
【0082】
キャスト製品の場合、液状脂肪相の含有量は、該組成物の合計重量に対して、10重量%〜80重量%、好ましくは20重量%〜60重量%、特に25重量%〜50重量%の範囲であり得る。
【0083】
オイルは、1重量%〜100重量%、好ましくは10重量%〜98重量%、優先的には25重量%〜95重量%の範囲の含有量で液状脂肪相に存在し得る。
【0084】
オイルは特に炭化水素をベースとするシリコーン及びフルオロオイルから選択され得る。
【0085】
本願発明の目的のために、
用語「シリコーンオイル」は少なくとも1のケイ素原子、特に少なくとも1のSi−O基を含むオイルを意味し、
用語「フルオロオイル」は、少なくとも1のフッ素原子を含むオイルを意味し、及び
用語「炭化水素をベースとするオイル」は、主に水素原子及び炭素原子を含むオイルを意味する。
【0086】
オイルは、任意的に酸素、窒素、イオウ、及び/又はリン原子を例えばヒドロキシル基又は酸基の形で含んでいてもよい。
【0087】
それらは動物、植物、鉱物又は合成起源であってもよい。
【0088】
オイルは揮発性又は非揮発性であり得る。
【0089】
本発明の目的のために、用語「揮発性オイル」とは、皮膚と接触したとき室温及び大気圧において1時間未満内に蒸発することのできる任意のオイル(又は非水性媒体)を意味する。揮発性オイルは、特に室温及び大気圧においてゼロではない蒸気圧を有し、特に0.13Pa〜40,000Pa(10−3〜300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Pa〜13,000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、優先的に1.3Pa〜1,300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する室温において液状である、揮発性の化粧料オイルである。
【0090】
本発明の目的のために用語「非揮発性オイル」とは、0.13Pa未満の蒸気圧を有するオイルを意味する。
【0091】
揮発性オイル
揮発性オイルは、8〜16の炭素原子を含む炭化水素をベースとするオイル、特にC〜C16の分岐状アルカン(イソパラフィンとしてもまた公知である)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルヘプタンとしてもまた公知である)、イソドデカン、及びイソヘキサデカン、例えばイソパール(商標)及びパーメチル(商標)の商標名で販売されているオイルから選択され得る。
【0092】
使用され得る揮発性オイルは揮発性オイルもまた含み、例えば揮発性の直鎖又は環状のシリコーンオイル特に8センチストークス(cSt)(8×10―6/秒)以下の粘度を有するもの、及び特に2〜10、特に2〜7の珪素原子を含むものが使用され得、これらのシリコーンは任意的に1〜10の炭素原子を含むアルキル又はアルコキシ基を含んでいてもよい。5及び6cStの粘度を有するジメチコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサン及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0093】
揮発性フルオロオイル例えばノナフルオロメトキシブタン、又はパーフルオロメチルシクロペンタン及びそれらの混合物もまた使用され得る。
【0094】
有利には、揮発性オイルは組成物の合計重量に対して0.1重量%〜50重量%、好ましくは1重量%〜30重量%の範囲、優先的には5重量%〜25重量%の範囲の含有量で存在し得る。
【0095】
非揮発性オイル
非揮発性オイルは特に非揮発性の炭化水素をベースとするオイル、フルオロオイル及び/又はシリコーンオイルから選択され得る。
【0096】
特に挙げられ得る非揮発性の炭化水素をベースとするオイルは以下を含む:
― 動物起源の炭化水素をベースとするオイル、例えばペルヒドロスクワレン;
― 植物起源の炭化水素をベースとするオイル、例えばフィトステアリルエステル、例えばフィトステアリルオレエート、フィトステアリルイソステアレート及びラウロイル/オクチルドデシル/フィトステアリルグルタメート(味の素株式会社、Eldew PS203)、グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド(特には該脂肪酸がC〜C36、特にはC18〜C36の鎖長を有し得、これらの油は直鎖又は分枝状、及び飽和又は不飽和であることも可能である);
これらの油は特には、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、シアオイル、アルファルファオイル、ポピーオイル、かぼちゃ油、キビオイル、オオムギオイル、キノア油、ライ油、キャンドルナッツオイル、パッションフラワーオイル、シアバターオイル、アロエオイル、スイートアーモンドオイル、ピーチストーンオイル、グランドナッツオイル、アーガンオイル、アボカドオイル、バオバブオイル、ルリチシャオイル、ブロッコリーオイル、カレンデュラオイル、つばき油、キャノーラ油、人参油、サフラワーオイル、大麻油、菜種油、綿実油、ココナッツ油、マローシード油、小麦胚芽油、ホホバオイル、百合油、マカダミアオイル、コーンオイル、メドウフォーム油、セントジョンのワートオイル、モノイオイル、ヘーゼルナッツオイル、アプリコット核オイル、くるみ油、オリーブオイル、月見草油、パームオイル、クロスグリ種子油、キウイ種子油、グレープシードオイル、ピスタチオオイル、かぼちゃオイル、キノアオイル、マスクローズオイル、ごま油、大豆油、ひまわり油、ひまし油、スイカ油、及びそれらの混合物、又はカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社により販売されているもの又はDynamit Nobel社によりmiglyol810(商標)、812(商標)及び818(商標)の名称下で販売されているもの;
− 鉱物又は合成起源の直鎖又は分岐状の炭化水素、例えば液状パラフィン及びその誘導体、石油ゼリー、ポリデセン、ポリブテン、水素化ポリイソブテン例えばパーレアム、及びスクワラン;
− 10〜40の炭素原子を含む合成エーテル、
− 合成エステル、例えば式RCOORのオイル、ここでRは1〜40の炭素原子を含む直鎖又は分岐の脂肪酸残基を表し、Rは炭化水素をベースとする鎖、特に1〜40の炭素原子を含む分岐状である炭化水素をベースとする鎖を表し、ただしR+R≧10である。該エステルはアルコールと脂肪酸とのエステル、例えばオクタン酸セトステアリル、イソプロピルアルコールエステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタン酸エステル、特にヘプタン酸イソステアリル、アルコール又はポリアルコールのオクタン酸エステル、デカン酸エステル、又はリシノール酸エステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシル、4−ジヘプタン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、安息香酸アルキルエステル、ジヘプタン酸ポリエチレングリコール、2−ジエチルヘキサン酸プロピレングリコール、及びそれらの混合物、安息香酸C12〜C15アルキルエステル、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル、例えばネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸トリイソデシル、ネオペンタン酸イソステアリル又はネオペンタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸エステル、例えばイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、及びイソノナン酸オクチル、及びヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、及びリンゴ酸ジイソステアリル;
− ポリオールエステル又はペンタエリスリトールエステル、例えばテトラヒドロキシステアリン酸/テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル;
− ジオールダイマーと二酸ダイマーとのエステル、例えば日本精化株式会社により販売されており、米国特許出願公開第2004/175338号明細書に記載されているLusplan DD−DA5(商標)及びLusplan DD−DA7(商標);
− ジオールダイマーと二酸ダイマーとのコポリマー及びそのエステル、例えばジリノレイルジオールダイマー/ジリノールダイマーのコポリマー及びそのエステル、例えばPlandool−G;
− ポリオールと二酸ダイマーとのコポリマー及びそのエステル、例えばHailuscent ISDA,又はジリノール酸/ブタンジオールのコポリマー
− 分岐状及び/又は不飽和の炭素をベースとする、12〜26の炭素原子を含む鎖を有する、室温において液状である脂肪族アルコール、例えば2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノール及び2−ウンデシルペンタデカノール;
− C12〜C22の高級脂肪酸例えばオレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸及びそれらの混合物;及び
− ジアルキルカーボネート、2つのアルキル鎖は、同じであっても異なっていてもよく、例えばCognisによりCetiolCC(商標)の名前で販売されているジカプリルイルカーボネート;
− 高分子量のオイル、特に約400〜約10000g/モル、特に約650〜約10000g/モル、特に約750〜約7500g/モル、より特に約1000〜約5000g/モルの範囲のモル分子量を有するオイル。本発明において使用され得る高分子量のオイルとして、特に以下から選択されるオイルが挙げられ得る。
親油性ポリマー、
35〜70の範囲の総炭素数を有する直鎖状脂肪酸エステル、
ヒドロキシル化エステル、
芳香族エステル、
分岐状脂肪族アルコール又は脂肪酸のC24〜C28のエステル、
シリコーンオイル、
植物起源のオイル、
それらの混合物;
− 任意的に部分的に炭化水素をベースとする及び/又はシリコーンをベースとするフルオロオイル、例えばフルオロシリコーンオイル、フルオロポリエーテル、及び欧州特許出願公開第847752号明細書に記載のフルオロシリコーン
− シリコーンオイル例えば直鎖状又は環状の非揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS);ペンダント状又はシリコーン鎖の末端にアルキル、アルコキシ又はフェニル基を含むポリジメチルシロキサン、これらの基は2〜24の炭素原子を含む;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン及び2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、
− 及びそれらの混合物。
【0097】
有利には、非揮発性のオイルは本発明の組成物中において、該組成物の合計重量に対して0.1重量%〜50重量%、好ましくは1重量%〜30重量%、優先的には5重量%〜25重量%の範囲の含有量において存在し得る。
【0098】
有利には、本発明に従う組成物は少なくとも極性オイル、特にエステルオイルタイプを含む。より特に該エステルオイルはモノエステルである。
【0099】
エステルオイルは、好ましくは式RCOORのモノエステルから選択される。該式においてRは4〜40の炭素原子、好ましくは4〜30の炭素原子、優先的には7〜20の炭素原子を含む直鎖又は分岐状の炭化水素をベースとする鎖を表わし、Rは、3〜40の炭素原子、好ましくは10〜30の炭素原子、優先的には16〜26の炭素原子を含む分岐状の炭化水素をベースとする鎖を表わす。
【0100】
使用に最も特に適するエステルオイルは、ネオペンタン酸イソデシル;オクタン酸イソセチル;イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル;イソノナン酸トリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2−ヘキシルデシル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル;パルミチン酸イソプロピル;パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸イソオクチル;パルミチン酸イソセチル;パルミチン酸イソデシル;パルミチン酸イソステアリル;パルミチン酸2−オクチルデシル;イソステアリン酸イソプロピル;ステアリン酸2−オクチルドデシル;イソステアリン酸イソステアリル;エルカ酸2−オクチルドデシル;及びそれらの混合物を含む。
【0101】
より好ましくは、ネオペンタン酸イソデシル;オクタン酸イソセチル;イソノナン酸イソノニル;イソステアリン酸イソステアリル及びそれらの混合物から選択されたエステルオイルが使用される。
【0102】
極性オイル、特にエステルオイルタイプのもの、は本発明に従う組成物中に、該組成物の合計重量に対して5重量%〜50重量%、好ましくは7重量%〜30重量%、優先的には10重量%〜27重量%の範囲の含有量で存在し得る。
【0103】
有利には、本発明に従う組成物は少なくとも1のエステルオイルであって、該エステルオイルは、該組成物の合計重量に対して20重量%以上、特に20重量%〜45重量%、好ましくは20重量%〜40重量%、より優先的には25重量%〜35重量%の合計含有量で存在する。
【0104】
一つの特に好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は少なくともイソノナン酸イソノニル及び/又はパルミチン酸2−エチルヘキシル、好ましくは少なくともイソノナン酸イソノニルを含む。
【0105】
有利には、イソノナン酸イソノニルは、組成物の合計重量に対して5重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜40重量%、より優先的には20重量%〜35重量%、特に25重量%〜30重量%の合計含有量で存在する。
【0106】
さらに別の実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、1以上、特に1〜2、好ましくは1〜1.5の範囲であるエステルオイル/顔料の重量比で、1以上のエステルオイル及び1以上の顔料を含む。
【0107】
特に、前述の少なくとも1のエステルオイルより特に少なくともイソノナン酸イソノニルの存在は、本発明に従う固体組成物における顔料の分散を改善することを可能にする。本発明に従う化粧用メイクアップ及び/又はケアセットの特定の施与デバイスと組み合わされたそのような組成物の使用は、特に色効果の観点において均一なメイクアップ効果を得ることを有利に可能にする。
【0108】
シリコーン樹脂
少なくとも1のオイル以外に、脂肪相は少なくとも1のシリコーン樹脂を有利に含む。
【0109】
シリコーン樹脂は、式(R)SiOCH及びSi(OCH、ここでRは1〜6の炭素原子を含むアルキル基を示す、のシロキサン混合物の加水分解及び重縮合の生成物である。
【0110】
これらのシリコーン樹脂は、公知であるか、又は公知の方法に従って製造され得る。使用され得る市販のシリコーン樹脂の中で、例えばDC593(ダウコーニング)又はSS4230(ジェネラルエレクトリック)の名前で販売されているものが挙げられ得る。
【0111】
シリコーン樹脂は、組成物の合計重量に対して、0.1重量%〜40重量%、特に2重量%〜30重量%の範囲の含有量で存在し得る。
【0112】
ワックス
本発明に従う組成物は、少なくとも1のワックス、特に液状脂肪相を構造化するための剤を含む。
【0113】
本発明の目的のために、用語「ワックス」は、環境温度(25℃)で固体であり、可逆な固体/液体の状態変化を有し、且つ、30℃以上、200℃まででありうる、特には120℃までの融点を有する親油性化合物である。
【0114】
特に、本発明における使用に適切であるワックスは、45℃以上の融点を有し、特には55℃以上の融点を有しうる。
【0115】
ワックスを液体状態(融解している)にすることにより、存在し得るオイルと混和性にすること、顕微鏡的に均一な混合物を形成することが可能であるが、該混合物の温度を環境温度まで下げると、該混合物の該オイル中の該ワックスの再結晶化が得られる。
【0116】
本発明の目的の為に、融点は、ISO標準11357−3;1999に記載されたとおりの熱分析(DSC)により観察される最大の吸熱ピークの温度に相当する。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、TA Instruments社により名称MDSC 2920で販売される熱量計を用いて測定されることができる。
【0117】
測定のプロトコルは以下の通りである。
【0118】
ルツボに入れられた5mgの生成物の試料は、加熱速度10℃/分において−20℃から100℃の範囲の第一昇温に付され、次に10℃/分の冷却速度で100℃〜−20℃に冷却され、最終的に5℃/分の加熱速度において−20℃〜100℃の範囲の第2昇温に付される。第2昇温の間に、空のルツボ及び試料のワックスを含むルツボにより吸収されるエネルギーの差の変化が温度の関数として測定される。化合物の融点は、温度の関数としての吸収されたエネルギーの差の変化を表す曲線のピークの頂上に対応する温度値である。
【0119】
ワックスは、特に0.05MPa〜15MPaの範囲の、好ましくは6MPa〜15MPa、又は6.5MPa〜15MPaさえの範囲の硬度を有し得る。硬度は、0.1mm/秒の測定速度において移動し、0.3mmの浸透深さまでワックスに浸透する直径2mmのステンレススチールのシリンダーが装備されている、Rheo社によりTA−XT2i(商標)の商品名の下に販売されているテクスチュロメーターを用いて20℃において測定された圧縮力を測定することにより決定される。
【0120】
本発明に従う組成物は有利には、異なる極性を有する少なくとも2のワックスを含む。
【0121】
有利には、これらのワックスの一つは、特に以下で定義される非極性のワックスであり、かつ50〜100℃の範囲の融点を有し得、他のワックスは特に以下で定義される極性のワックスであり、かつ40〜100℃の範囲の融点を有し得る。
【0122】
一つの実施態様の変形に従うと、これら2つのタイプのワックスは同じ融点を有する。
【0123】
極性ワックス
本発明の目的のために、用語「極性な」は、25℃における溶解度パラメーターδaが0(J/cm1/2以外であるワックスを意味する。
【0124】
特に用語「極性な」は、その化学構造が炭素及び水素原子から基本的に形成又は構成さえされており、少なくとも1の強く電気的に陰性のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、又はリン原子を含むワックスを意味する。
【0125】
3次元ハンセン溶解度空間における溶解度パラメーターの定義及び計算は、ハンセンによる3次元溶解度空間における溶媒の定義は、論文、C.M.Hansen、「3次元溶解度パラメーター」、J. Paint Technol.,第39巻、105頁、1967年に記載されている。
【0126】
このハンセン空間に従うと:
― δは、分子衝突の間に誘起される双極子の形成により誘導されるロンドン分散力を特徴付け、
― δは、永久双極子間のデバイ相互作用の力及び誘起された双極子と永久双極子の間のKeesomの相互作用力を特徴付け、
― δは、特定の相互作用力(例えば水素結合、酸/塩基、供与体/受容体など)を特徴付け、
― δは、式δ=(δ+δ1/2により決定される。
【0127】
パラメーターδ、δ、δ、及びδは(J/cm1/2で表わされる。
【0128】
本発明に従う組成物において使用され得る極性なワックスは室温において固体であり、動物、植物、鉱物及び/又は合成起源のワックス及びそれらの混合物から選択される。
【0129】
ワックスは、特に炭化水素をベースとするかあるいはシリコーンワックスであり得る。
【0130】
用語「シリコーンワックス」は、少なくとも1のケイ素原子、特にSi−O基を含むオイルを意味する。
【0131】
用語「炭化水素をベースとするワックス」は、炭素及び水素原子及び任意的に酸素及び窒素原子から基本的に形成又は構成さえされているワックスであってケイ素原子又はフッ素原子を含まないワックスを意味する。アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミド基を含んでいてもよい。
【0132】
シリコーンワックス
これらのワックスの例として、置換された直鎖のポリシロキサン、例えばポリエーテルシリコーンワックス、16〜45の炭素原子を含むアルキル又はアルコキシジメチコーン、及びアルキルメチコーン、例えばダウコーニングによりAMSC30の商品名で販売されているC30〜C45のアルキルメチコーンが挙げられ得る。
【0133】
本発明に従う組成物は、置換されたポリシロキサン、好ましくは低い融点を有するもの、例えば、それぞれm及びnのモル割合で、式(II)及び(III)の単位から(末端基を除いて)基本的に構成されている置換された直鎖ポリシロキサンを特に含み得る。
【0134】

【0135】
ここで
― 各置換基Rは上で定義された通りであり、
― 各R’は独立して直鎖又は分岐状、飽和又は不飽和の6〜30の炭素原子を含むアルキル又は基−X−R’’、ここで各Xは互いに独立して
−O−,
−(CH−O−CO−,
−(CH−CO−O−,
を表わし、a及びbは独立して0〜6の範囲の数を表し、
及び各R’’は独立して6〜30の炭素原子を含む任意的に不飽和のアルキル基を表わし、
― mは0〜400、特に0〜100の範囲の数であり、
― nは1〜200、特に1〜100の範囲の数であり、合計(m+n)は400未満、特に100以下である。
【0136】
これらのシリコーンワックスは公知であるか又は公知の方法に従って製造され得る。このタイプの市販のシリコーンワックスの中で、特にAbilwax9800,9801又は9810(ゴールドシュミット),KF910及びKF7002(信越)又は176−1118−3及び176−11481(ジェネラルエレクトリック)の名前で販売されているものが挙げられ得る。
【0137】
使用され得るシリコーンワックスは式(IV)の化合物からもまた選択され得る。
−Si(CH−O−[Si(R)−O−]−Si(CH−R (IV)
ここで、
Rは上で定義された通りであり、
は1〜30の炭素原子を含むアルキル基、6〜30の炭素原子を含むアルコキシ基、又は下記式の基を表わす。
【0138】

【0139】
は1〜30の炭素原子を含むアルキル基、6〜30の炭素原子を含むアルコキシ基、又は下記式の基を表わす。
【0140】

【0141】
a及びbは0〜6の数を表し、
R’’は6〜30の炭素原子を含むアルキルであり、
zは1〜100の範囲の数である。
【0142】
公知である製品であるか又は公知の方法に従って製造され得る式(IV)のシリコーンワックスの中で、特に以下の市販製品、Abilwax2428,2434及び2440(ゴールドシュミット)又はVP1622及びVP1621(ワッカー)が挙げられ得る。
【0143】
そのようなワックスは特に本発明に従うキャスト製品の形の組成物中に、該組成物の合計重量に対して1重量%〜15重量%、好ましくは2重量%〜10重量%、優先的には2重量%〜5重量%の範囲の含有量で存在し得る。
【0144】
炭化水素をベースとするワックス
好ましくは、極性ワックスは炭化水素をベースとする。
【0145】
本発明における使用に適切である炭化水素をベースとするワックスの例として、蜜ロウ、ラノリンワックス、コメヌカワックス、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、セラックワックス、モンタンロウ、オレンジワックス、レモンワックス、ローレルワックス、水素化ホホバ油及びオリーブオイルが挙げられ得る。
【0146】
一つの特定の様式に従うと、カルナウバロウが使用される。
【0147】
一つの好ましい実施態様に従うと、極性ワックスはエステルワックスである。
【0148】
本発明に従うと、用語「エステルワックス」は、少なくとも1のエステル官能基を有するワックスを意味する。
【0149】
エステルワックスとして、以下を使用することが特に可能である。
― エステルワックス、例えば
i)式RCOORのワックス、ここでR及びRは直鎖、分岐状又は環状の脂肪族鎖を表わし、ここで原子の数は10〜50の範囲であり、ヘテロ原子、例えばO,N又はPを含み得、その融点は25〜120℃の範囲である。特に、単独又は混合物としてのC20〜C40のアルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(アルキル基は20〜40の炭素原子を含む)、又はC2040のアルキルステアレートがエステルワックスとして使用され得る。そのようなワックスは特にKoster Keunen社によりKester Wax K 82 P(商標)、ヒドロキシポリエステルK 82 P(商標)、Kester Wax K 80P(商標)及びKester Wax K82Hの名前で特に販売されている。
【0150】
ポリエチレングリコールとモンタン酸(オクタコサン酸)とのエステル、例えばクラリアント社により販売されているワックスLicowaxKPSフレークス(INCI名:グリコールモンタネート)を使用することも可能である。
ii)Heterene社によりHest2T−4S(商標)の名前で販売されているジ(1,1,1−トリメチロールプロパン)テトラステアレート、
iii)一般式R−(−OCO−R−COO−R)の二酸のジエステルのワックス、ここでR及びRは、同じであるか又は異なり、好ましくは同じであり、C〜C30のアルキル基を表わし(4〜30の炭素原子を含むアルキル基)、Rは、直鎖又は分岐状のC〜C30の脂肪族基を表わし(4〜30の炭素原子を含むアルキル基)、該脂肪族基は1以上の不飽和を含んでいてもいなくてもよく、好ましくは直鎖かつ不飽和である、
iv)セチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水素化により得られるワックス、Sophim社によりPhytowax ricin 16L64(商標)及び22L73(商標)の名前で販売されているもの。そのようなワックスはフランス国特許出願第2792190号公報に記載されている。
【0151】
別の実施態様に従うと、極性ワックスは、アルコールワックスであり得る。本発明に従うと、用語「アルコールワックス」は、少なくとも1のアルコール官能基を含むワックス、即ち、少なくとも1の遊離のヒドロキシ(OH)基を含むワックスを意味する。
【0152】
挙げられ得るアルコールワックスの例は、直鎖の長鎖(C30〜C50)の脂肪族アルコールと、同じ炭素数を含む炭化水素との混合物(80/20)、例えばニューフェーズテクノロジーズ製のワックス、Performacol550−Lアルコールである。
【0153】
一つの特定の様式に従うと、直鎖の長鎖(C30〜C50)の脂肪族アルコールと、同じ炭素数を含む炭化水素との混合物(80/20)、例えばニューフェーズテクノロジーズ製のワックス、Performacol 550−Lアルコールが使用される。
【0154】
好ましくは、本組成物は、組成物の合計重量に対して0.1重量%〜50重量%、よりよくは1重量%〜30重量%、特に組成物の合計重量に対して1重量%〜20重量%の範囲の含有量の極性ワックス、特に炭化水素をベースとする極性ワックス、より特に炭化水素をベースとするエステルワックスを含み得る。
【0155】
非極性ワックス
本発明の目的のために、用語「非極性ワックス」は、下記において定義される25℃におけるその溶解度パラメーターδが0(J/cm1/2に等しいワックスを意味する。非極性ワックスは、特に、炭素原子及び水素原子だけから構成され、ヘテロ原子、例えばN,O及びPを含まない炭化水素をベースとするワックスである。
【0156】
特に、用語「非極性ワックス」は、非極性ワックスではない他のタイプのワックスをもまた含む混合物よりむしろ、非極性ワックスだけから構成されたワックスを意味する。
【0157】
本発明における使用に適切である非極性ワックスの例として、特に炭化水素をベースとするワックス、例えばマイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、及びポリエチレンワックスが挙げられ得る。
【0158】
挙げられ得るポリエチレンワックスはニューフェーズテクノロジーズ社により販売されているパーフォーマレン500−Lポリエチレン及びパーフォーマレン400ポリエチレンを含む。
【0159】
挙げられ得るオゾケライトは、オゾケライトワックスSP1020Pである。
【0160】
使用され得るマイクロクリスタリンワックスとして、Sonneborn社により販売されているマルチワックスW445(商標)及びパラメルト社により販売されているマイクロワックスHW(商標)及びベースワックス30540(商標)が挙げられ得る。
【0161】
本発明に従う組成物において使用され得るマイクロワックスとして、ポリエチレンマイクロワックス、例えばマイクロパウダーズ社によりマイクロポリ200(商標),220(商標),220L(商標)及び250S(商標)の名前で販売されているものが挙げられ得る。
【0162】
一つの特定の様式に従うと、ポリエチレンワックスが使用される。
【0163】
別の様式に従うと、マイクロクリスタリンワックスが使用される。
【0164】
一つの特定の実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、炭化水素をベースとする非極性ワックス及び炭化水素をベースとする極性ワックスを含む。
【0165】
特に、本組成物は、蜜ロウ、コメヌカワックス、カルナウバロウ、水素化ホホバ油、アルコールワックスから選択される少なくとも1の炭化水素をベースとする極性ワックス及びポリエチレンワックス及びマイクロクリスタリンワックス及びそれらの混合物から選択される炭化水素をベースとする非極性ワックスを含む。
【0166】
1つの好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は少なくとも1のアルコールワックス及び1のポリエチレンワックスを含む。
【0167】
別の好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1のカルナウバロウ及び少なくとも1のマイクロクリスタリンワックスを含む。
【0168】
さらに別の好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1の水素化されたホホバ油(水素化ホホバワックスとも呼ばれる)及びポリエチレンワックスを含む。
【0169】
好ましくは、本組成物は、組成物の合計重量に対して0.1重量%〜50重量%、よりよくは1重量%〜30重量%又は3重量%〜20重量%のワックスを含み得る。
【0170】
有利には、本発明に従う組成物は、組成物の合計重量に対して4重量%〜15重量%のワックス、好ましくは組成物の合計重量に対して5重量%〜10重量%、特に7重量%〜8重量%のワックスを含む。
【0171】
一つの特に好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は以下に定義されるハードワックス少なくとも1を含む。
【0172】
本発明の目的のために、用語「ハード」ワックスは、6MPa以上、特に6.5MPa以上、特に6MPa〜30MPaの範囲、又は6.5MPa〜30MPaさえの範囲、特に6MPa〜15MPa又は6.5MPa〜15MPaさえの範囲の硬度を有するワックスを意味する。
【0173】
特に挙げられ得る本発明に従うハードワックスの例は、カルナウバロウ、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、キャンデリラロウ、水素化ホホバ油(水素化ホホバワックスとも呼ばれる)、コメヌカワックス、オゾケライト、イボタロウ、セラックワックス、スマックワックス、オウリキュリーワックス、及びセレシンを含む。
【0174】
Sophim社によりPhytowax Olive 18L57の名前で販売されているステアリルアルコールでエステル化されたオリーブオイルの水素化から誘導されるワックス、又はPhytowax Ricin 16L64及び22L73の名前で販売されているセチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水素化から得られるワックスを使用することもまた可能である。そのようなワックスはフランス国特許出願第2792190号公報に記載されている。
【0175】
好ましくは、本発明に従う組成物は1以上のハードワックスを組成物の合計重量に対して3重量%以上の含有量で、特に4重量%以上、特に5重量%〜10重量%、好ましくは7重量%〜8重量%の含有量で含む。
【0176】
一つの特定の実施態様に従うと、本発明に従う組成物は少なくとも2の「ハード」ワックス、好ましくは異なる極性をもつもの、を含む。
【0177】
特に、本発明に従う組成物は少なくとも1の非極性ワックス及び1の極性ハードワックスを含む。
【0178】
ペースト状化合物
本発明に従う組成物は、少なくとも1のペースト状化合物をもまた含み得る。
【0179】
ペースト状化合物の存在は、本発明の組成物の堆積の間に改善された心地よさを有利に与えることを可能にし得る。
【0180】
そのような化合物は、ラノリン及びその誘導体;ポリマー又は非ポリマーシリコーン化合物;ポリマー又は非ポリマーのフッ素化合物;ビニルポリマー、特にオレフィンホモポリマー;オレフィンコポリマー;水素化されたジエンホモポリマー及びコポリマー;好ましくはC〜C30アルキル基を含むアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマー又はコポリマーである直鎖又は分岐状のオリゴマー;C〜C30アルキル基を含むビニルエーテルのホモポリマー及びコポリマーであるオリゴマー;1以上のC〜C100,好ましくはC〜C50のジオール間のポリエーテル化から生じる脂溶性ポリエーテル;脂肪酸又は脂肪族アルコールのエステル、及びそれらの混合物から有利に選択され得る。
【0181】
エステルの中で、特に以下の物が挙げられ得る:
― グリセロールオリゴマーのエステル、特にジグリセロールエステル、例えばトリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、アジピン酸とグリセロールの縮合物(グリセロールのヒドロキシル基の一部が脂肪酸、例えばステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸、並びに12−ヒドロキシステアリン酸の混合物と反応している、特にSasol社によりSoftisan649のブランド名で販売されている製品又はビス(ジグリセリル)ポリ(2−アシルアジペート));例えばAlzoによりWaxenol 801のブランド名で販売されているプロピオン酸アラキジル;フィトステロールエステル;脂肪酸のトリグリセリド及びその誘導体、例えば水素化されたココグリセリド;直鎖又は分岐状のC〜C50の二酸又はポリカルボン酸とC〜C50のジオール又はポリオールとの重縮合から生じる非架橋のポリエステル;脂肪族ヒドロキシカルボン酸と脂肪族カルボン酸とのエステル化から生じるエステルの脂肪族エステル;脂肪族ヒドロキシカルボン酸のエステルのポリカルボン酸とのエステル化から生じるポリエステル(該エステルは少なくとも2のヒドロキシル基を含む)、例えば製品Risocast DA−H(商標)及びRisocastDA−L(商標);及びそれらの混合物。
【0182】
ペースト状化合物は、組成物の合計重量に対して、0.1重量%〜30重量%、より好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲の含有量で本発明の組成物中に存在し得る。
【0183】
増粘剤
本発明の組成物は、1以上の増粘剤又はゲル化剤をもまた含み得る。
【0184】
親水性増粘剤又はゲル化剤
本発明に従う固体エマルジョンタイプのキャスト製品の形の組成物は、親水性、即ち水溶性又は水に分散可能な増粘剤又はゲル化剤を含み得る。
【0185】
挙げられ得る親水性ゲル化剤は、特に、水溶性又は水に分散可能な増粘性ポリマーを含む。これらのポリマーは特に以下から選択され得る:変性された又は未変性のカルボキシビニルポリマー、例えばグッドリッチ社によりカーボポルの名前で(CTFA名:カーボマー)販売されている製品;ポリアクリレート及びポリメタクリレート例えばガーディアン社によりLubrajel及びNorgelの名前で、又はHispano Chimica社によりHispagelの名前で販売されている製品;任意的に架橋されていてもよい及び/又は中和されていてもよい2−アクリルアミドー2−メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー、例えばクラリアント社によりHostacerin AMPS(CTFA名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド)の名前で販売されているポリ(2−アクリルアミドー2−メチルプロパンスルホン酸);アクリルアミドとAMPSとの架橋されたアニオン性コポリマーであってW/Oエマルジョンの形であるもの、例えばSepigel 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13〜14イソパラフィン/ラウレス−7)の名前で及びSimulgel 600(CTFA名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)の名前でSEPPIC社により販売されているもの;多糖類バイオポリマー、例えばキサンタンガム、グアーガム、キャロブガム、アカシアガム、スクレログルカン、キチン及びキトサン誘導体、カラギーナン、ゲラン、アルギネート、セルロース例えばマイクロクリスタリンセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース;及びそれらの混合物。
【0186】
親油性増粘剤又はゲル化剤
本発明の組成物、特にキャスト製品において鉱物又は有機タイプの親油性増粘剤又はゲル化剤を使用することもまた可能である。
【0187】
挙げられ得る親油性増粘剤又はゲル化剤の例は、変性された粘土例えば変性されたケイ酸マグネシウム(レオックス製のBentoneゲルVS38)、変性されたヘクトライト例えばC10〜C22脂肪酸塩化アンモニウムで変性されたヘクトライト、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロライドで変性されたヘクトライト例えばエレメンティス社によりBentone 38V(商標)の名前で販売されている製品、レオックス社によりBentone 38 CEの名前で販売されている製品又はエレメンティス社によりBentone Gel V5 5Vの名前で販売されている製品を含む。
【0188】
ポリマー状の有機親油性ゲル化剤は、例えば3次元構造の、部分的に又は全体的に架橋されたエラストマー状のオルガノポリシロキサン、例えば信越社によりKSG6(商標),KSG16(商標)及びKSG18(商標)の名前で販売されているもの、ダウコーニング社によりTrefil E−505C(商標)及びTrefil E−506C(商標)の名前で販売されているもの、グラントインダストリーズ社によるGransil SR−CYC(商標),SR DMF10(商標),SR−DC556(商標),SR5CYC Gel(商標),SR DMF10Gel及びSR DC556Gel(商標)、及びジェネラルエレクトリック社によるSF1204(商標)及びJK113(商標);エチルセルロース、例えばダウケミカル社によりEthocel(商標)の名前で販売されている製品;少なくとも32の炭素原子を含む二酸とアルケンジアミン、特にエチレンジアミンとの縮合から生じるポリアミドタイプの重縮合物(ポリマーは少なくとも12〜30の炭素原子を含む飽和、直鎖の少なくとも1のモノアルコール又はモノアミンでエステル化又はアミド化された少なくとも1の末端カルボン酸基を含む)、特にエチレンジアミン/ステアリルジリノレートのコポリマー、例えばアリゾナケミカル社によりUniclear100VG(商標)の名前で販売されている製品;及び単糖当たり1〜6個、特に2〜4個の水酸基を含み、飽和または不飽和アルキル鎖で置換されているガラクトマンナン、例えばC〜C、特にC〜Cのアルキル鎖でアルキル化されたグアーガム、又はこれらの混合物である。ポリスチレン/ポリイソプレン又はポリスチレン/ポリブタジエン型のジブロック又はトリブロック又は放射タイプのブロックコポリマー、例えばLuvitol HSB(商標)の名称でBASF社より販売されているもの、ポリスチレン/コポリ(エチレン−プロピレン)タイプのもの、例えばKraton(商標)の名称でシェルケミカル社より販売されているもの、又はポリスチレン/コポリ(エチレン‐ブチレン)タイプのもの、イソドデカン中のトリブロック及び放射型(星型)コポリマーの混合物、例えばPenreco社によりVersagel(商標)の名前で販売されているもの、例えばイソドデカン中のブチレン/エチレン/スチレントリブロックコポリマー及びエチレン/プロピレン/スチレン星型コポリマーの混合物(Versagel M5960)。
【0189】
本発明の組成物において使用することができる親水性ゲル化剤の中で、デキストリンの脂肪酸エステル、例えばパルミチン酸デキストリン、特にRheopearl TL(商標)及びRheopearl KL(商標)の名称でチバフラワー社により販売されているもの、水素化された植物油、例えば水素化されたひまし油、脂肪族アルコール、特にC〜C26,より特にC12〜C22の脂肪族アルコール、例えばミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール又はベヘニルアルコールもまた挙げられ得る。
【0190】
一つの実施態様に従うと、本発明の組成物、特にキャスト製品の形の組成物は、組成物の合計重量に対して0.01重量%〜40重量%、特に0.1重量%〜20重量%、より特に0.3重量%〜15重量%の範囲の活性物質含有量で増粘剤を含み得る。
【0191】
フィルム形成性ポリマー
本発明に従う組成物は、少なくとも1のフィルム形成性ポリマー、特にキャスト製品の形の本発明の組成物のためのフィルム形成性ポリマー、をもまた含み得る。
【0192】
用語「ポリマー」は、本明細書において、少なくとも2の繰り返し単位、好ましくは少なくとも3の繰り返し単位を含む化合物を意味する。
【0193】
用語「フィルム形成性」ポリマーは、自分自身で又はフィルム形成助剤の存在下、支持体(support)の上で、特にケラチン物質の上で、巨視的に連続しているフィルムを形成することのできるポリマーを意味する。
【0194】
そのようなポリマー又はポリマー混合物は、組成物の合計重量に対して0.1重量%〜30重量%の範囲、好ましくは0.3重量%〜25重量%の範囲、好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲、優先的には1重量%〜20重量%の範囲、より優先的には2重量%〜15重量%の範囲の含有量で組成物中に存在し得る。
【0195】
一つの実施態様において、フィルム形成性有機ポリマーは、以下を含む群から選択された少なくとも1のポリマーである。
― 有機液状媒体に可溶であるフィルム形成性ポリマー、有機液状媒体が少なくとも1のオイルを含むときは特に脂溶性ポリマー、
― 有機溶媒媒体に分散可能であるフィルム形成性ポリマー、特にポリマー粒子の非水性分散物の形のポリマー、好ましくはシリコーンオイル又は炭化水素をベースとするオイルにおける分散物;一つの実施態様において、非水性ポリマー分散物は少なくとも1の安定化剤で表面が安定化されたポリマー粒子を含む;
― ポリマー粒子の水性分散物の形のフィルム形成性ポリマー、しばしば「ラティス」と呼ばれる;この場合、組成物は水性相を含む;及び
― 水溶性フィルム形成性ポリマー;この場合、組成物は水性相を含む。
【0196】
本発明の組成物において使用され得るフィルム形成性ポリマーの中で、合成ポリマー、ラジカルタイプ又は重縮合タイプ、天然起源のポリマー、及びそれらの混合物が挙げられ得る。特に挙げられ得るフィルム形成性ポリマーは、アクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、シリコーンポリマー、シリコーングラフトアクリルポリマー、ポリアミドポリマー、及びコポリマー及びポリイソプレンを含む。
【0197】
それらは、より特にポリウレタン及び/又はポリアミドであり得る。
【0198】
これらの追加の化合物の量は、本発明の文脈における所望される効果を害さないように当業者により調節され得る。
【0199】
他のポリマー
本発明に従う組成物は、エラストマー、特にポリグリセロール化シリコーンエラストマーを含んでいてもよい。例えば、特にプラチナ触媒の存在における、ケイ素に結合された少なくとも1の水素原子を含むジオルガノポリシロキサンとエチレン性不飽和基を含むポリグリセロール化合物との架橋付加反応による得られ得るエラストマー状の架橋されたオルガノポリシロキサンが使用され得る。
【0200】
使用され得るポリグリセロール化されたシリコーンエラストマーは、信越社により、名前、KSG−710,KSG−810,KSG−820,KSG−830及びKSG−840で販売されているものを含む。
【0201】
本発明に従う組成物は、追加の乳化シリコーンエラストマーをもまた含み得る。
【0202】
例えば、特に米国特許第5,236,986号、米国特許第5,412,004号,米国特許第5,837,793号及び米国特許第5,811,487号に記載されているポリオキシアルキレン化エラストマーが使用され、該公報の記載は参照することにより本明細書に取り込まれる。
【0203】
使用され得るポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーは信越社により名称KSG−21,KSG−20,KSG−30,KSG−31,KSG−32,KSG−33,KSG−210,KSG−310,KSG−320,KSG−330,KSG−340及びX−226146で及びダウコーニング社により名称DC9010及びDC9011で販売されているものを含む。
【0204】
本発明に従う組成物は、非乳化エラストマーをもまた含み得る。
【0205】
非乳化エラストマーは、JP−A−61−194009、EP−A−242219,EP−A−285886及びEP−A−765656に記載されており、該公報の内容は、参照することにより本明細書に取り込まれる。
【0206】
使用され得る球状の非乳化シリコーンエラストマーは、ダウコーニング社により名称DC9040,DC9041,DC9509,DC9505及びDC9506で販売されているものを含む。
【0207】
球状の非乳化シリコーンエラストマーは、特に米国特許第5,538,793号に記載されているような、シリコーン樹脂、特にシルセスキオサン樹脂で被覆されたラストマー状の架橋されたオルガノポリシロキサン粉末の形であってもよく、該公報の内容は参照することにより本明細書に取り込まれる。そのようなエラストマーは、信越社により名称KSP−100,KSP−101,KSP−102,KSP−103,KSP−104及びKSP−105で販売されている。
【0208】
球状粉末の形の他のエラストマー状の架橋されたオルガノポリシロキサンは、フルオロアルキル基で官能基化されたハイブリッドシリコーン粉末、特に信越社によりKSP−200の名称で販売されているもの;信越社により名称KSP−300で特に販売されているフェニル基で官能基化されているハイブリッドシリコーン粉末であってもよい。
【0209】
本発明に従う組成物におけるエラストマー状の架橋されたオルガノポリシロキサンの含有量は、組成物の合計重量に対して1重量%〜20重量%、好ましくは2重量%〜20重量%の範囲であってもよい。
【0210】
水性相
本発明に従う組成物は、それが固体エマルジョンの形におけるキャスト製品の形であるときは特に、水性相を含み得る。
【0211】
水性相は水を含む。本発明における使用に適切である水は、フローラル水、特にコーンフラワー水及び/又はミネラル水、例えばビッテル水、ルーカス水、又はラロッシュッポゼ水及び/又は温泉水であってもよい。
【0212】
水性相は、(室温、25℃において)水と混和性である有機溶媒、例えば2〜6の炭素原子を含むモノアルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール;特に2〜20の炭素原子、好ましくは2〜10の炭素原子、優先的には2〜6の炭素原子を含むポリオール、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、ジプロピレングリコール、又はジエチレングリコール;グリコールエーテル(特に3〜16の炭素原子を含むもの)、例えばモノ−、ジ−、又はトリプロピレングリコール(C〜C)アルキルエーテル及びモノ−、ジ−、又はトリエチレングリコール(C〜C)アルキルエーテル、及びそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0213】
水性相は安定化剤、例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、又は硫酸マグネシウムをもまた含んでいてもよい。
【0214】
水性相は、水性相と相溶性である、任意の水溶性又は水に分散可能な化合物、例えばゲル化剤、フィルム形成性ポリマー、増粘剤又は界面活性剤、及びそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0215】
特に、固体エマルジョンタイプのキャスト製品の形の本発明の組成物は、該組成物の合計重量に対して5重量%〜25重量%、特に5重量%〜20重量%の範囲の含有量で水性相を含み得る。
【0216】
好ましい様式に従うと、本発明に従う組成物は、無水のタイプのキャスト製品の形である。
【0217】
粉末相
粉末相は、少なくとも1の顔料及び任意的に少なくとも1のフィラーを含む。
【0218】
一つの好ましい様式に従うと、粉末相は、少なくとも1の顔料及び少なくとも1のフィラーを含む。
【0219】
当業者は、無水のキャスト製品及び固体エマルジョンの形におけるキャスト製品から選択される組成物の形の関数として粉末相、脂肪相、水性相の含有量を調節する方法を知っている。
【0220】
フィラー
用語「フィラー」は組成物が製造されるところの温度に拘わらず、組成物の媒体に不溶である、無色又は白色の、任意の形の鉱物又は合成の粒子を意味すると理解されるべきである。
【0221】
フィラーは、結晶系に関わらず、任意の形、即ちプレートレット形、球状の、又は楕円形の鉱物又は有機のものであり得る(例えばラメラ、立方体、六方晶系、斜方晶系等)。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド(ナイロン(登録商標))パウダー、ポリ−β−アラニンパウダー、及びポリエチレンパウダー、テトラフルオロエチレンポリマー(テフロン(登録商標))パウダー、ラウロイルリジン、デンプン、窒化ホウ素、中空ポリマーの微小球、例えば塩化ポリビニリデン/アクリロニトリルのもの、例えばエクスパンセル(Expancel(商標)(ノーベルインダストリー社(Nobel Industrie))、又はアクリル酸コポリマー、シリコーン樹脂ミクロビーズ(例えば、東芝製のトスパール(商標))、エラストマー状ポリオルガノシロキサン粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム又は炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ポリウレタンパウダー、コンポジットフィラー、中空シリカ微小球、ガラス、又はセラミックマイクロカプセル、及び8〜22の炭素原子、特に12〜18の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、又はステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウムが挙げられ得る。
【0222】
一つの好ましい様式に従うと、カオリン、ポリアミド(ナイロン(登録商標))パウダー及びアクリル酸コポリマー及びそれらの混合物から選択された少なくとも1のフィラーが使用される。
【0223】
本発明に従う組成物におけるフィラーの合計含有量は、本発明組成物の合計重量の特に0.01重量%〜40重量%、好ましくは0.1〜30重量%、より良くは1〜20重量%の範囲であり得る。
【0224】
一つの特に好ましい本発明の実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、該組成物の合計重量の1重量%〜10重量%、特に2重量%〜8重量%、特に3重量%〜5重量%のフィラーを含む。
【0225】
顔料
用語「顔料」は、生理学的媒体に不溶であるところの任意の形状の白又は着色された鉱物又は有機粒子を意味すると理解されるべきであり、それは組成物を着色することを意図される。
【0226】
顔料は白色又は着色されており、鉱物性及び/又は有機性であり得る。鉱物顔料の中で、酸化チタン(任意的に表面が処理されていてもよい)、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、また酸化亜鉛、酸化鉄(黒、黄色、又は赤)又は酸化クロム、マンガン紫、群青、クロム水和物、及びフェリックブルー、及び金属パウダー例えばアルミニウムパウダー又は銅パウダーが挙げられ得る。
【0227】
有機顔料の中で、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料及びレーキ、特にコチニールカーミンまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウム又はアルミニウムベースのレーキが挙げられ得る。
【0228】
キャスト製品の場合、それがメイクアップ製品であるとき、組成物の合計重量に対して1重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%、特に5重量%〜30重量%の範囲の含有量が一般的に使用される。
【0229】
前述されたように、本発明に従う組成物は有利に組成物の合計重量の5重量%以上、特に10重量%以上、特に15重量%以上、より特に15重量%〜30重量%の顔料含有量を含む。
【0230】
本発明に従う組成物は、前記の顔料以外の追加の粉末染料を含み得、該染料は特に真珠層及び他の干渉顔料、及びグリッターフレーク及びそれらの混合物から選択され得る。
【0231】
真珠層は、白色真珠層、例えばチタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、着色された真珠層、例えば酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、特にフェリックブルー又は酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、上述のタイプの有機顔料で被覆されたチタンマイカ、及びオキシ塩化ビスマスに基づく真珠層から選ばれ得る。
【0232】
真珠層は、組成物の合計重量に対して、0.1重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜40重量%、優先的には0.1重量%〜30重量%の範囲の含有量で組成物中に存在していてもよい。
【0233】
他の成分
本組成物は、化粧料において通常使用される他の成分(補助剤)、例えば保存剤、化粧料的活性剤、保湿剤、水溶性又は脂溶性染料、UVスクリーン剤、増粘剤、水、界面活性剤及び香料を含み得る。
【0234】
脂溶性染料、例えばスーダンレッド、DCレッド17、DCグリーン6、β−カロテン、大豆油、スーダンブラウン、DCイエロー11、DC紫2、DCオレンジ5、及びキノリンイエローである。水溶性染料は、例えばビートルーツジュース及びキャラメルである。
【0235】
言うまでもなく、本発明に従う組成物と本質的に関連する有利な性質が想定される添加により悪影響を受けない又は実質的に受けないように、本発明に従う組成物に添加される任意的な添加物を選択するように当業者は配慮する。
【0236】
キャスト生成物の形の組成物は、固体エマルジョンタイプのキャスト製品のための粉末相、脂肪相、及び適切であれば水性相の成分を加熱しながら混合し、次に該混合物を型において冷却させるために放置することにより製造され得る。
【0237】
本発明は発明の分野の非制限的な例として下記に示された実施例において説明される。
【0238】
別に明記されなければ、下の実施例の値は組成物の合計重量に対する重量百分率で表される。
【0239】
実施例1
着色されたファンデーション組成物
【0240】

【0241】
手順
非粒状の成分が95〜100℃に加熱されたオイル循環ジャケット付き加熱皿において秤量された。
【0242】
均一化の後、顔料は媒体中において分散し、次にタルクが添加された。
【0243】
次に、混合物は皿に注がれた。
【0244】
実施例2
ホットキャストファンデーション
【0245】

【0246】
この組成物は、実施例1に記載された手順に従って製造される。カオリンは製造プロトコルの最後に導入される。
【0247】
DSCによる同定のために既に記載されたプロトコルに従って、0.15W/gの放出エネルギーを有するDSCで66℃の融点を有すると同定された。全ては95℃において溶けた。
【0248】
この組成物は普通肌〜コンビネーション肌を有する20〜40歳の23人の女性のパネリストにより評価された。図1〜3において定義されたアプリケーターを用いての施与後のメイクアップ結果の均一性が、スポンジによる施与との比較において評価される。
【0249】
プロトコル
取扱及び施与プロトコルは以下の通りである:
― スポンジは組成物の上を3回通過される。
― 本発明に従うアプリケーターは組成物の上を3回通過される。
― 女性の顔への施与はスポンジで顔の半分に、そして回転式アプリケーターで他の半分に美容師により行われる。
― 前述のプロトコルに従う、メイクアップされたモデルの写真から「メイクアップマーク」の視認性を専門家が採点する。
グレード1=不規則なメイクアップの視認可能なマークなし(均一な施与)、
グレード2=不規則なメイクアップの視認可能なマーク(不均一な施与)。
【0250】
結果
本発明に従うアプリケーターで施与された製品は70%の女性に「視認可能なマークなし」を与える。
【0251】
スポンジで施与された製品は、9%の女性に「視認可能なマークなし」を与える。
【0252】
即ち、スポンジで施与された同じ製品と比較してずっと低位に不規則であるメイクアップが、本発明に従う回転式アプリケーターで施与された製品について実質的に得られる。
【0253】
実施例3
コンパクトな顔色クリーム
【0254】

【0255】
この組成物は、実施例1に記載された手順に従って製造され、ナイロン(登録商標)は、製造プロトコルの最後に導入される。
【0256】
それは、0.3W/gの放出されたエネルギーを有するDSCによる56℃の融点を有する。融点ピークは狭い。90℃においてすべて溶けた。
【0257】
図1〜3に記載された回転式アプリケーター部材を備えられた施与デバイスによるこの組成物の施与が、ファンデーションを使用して、コンビネーション肌を有する25〜50歳の10人の女性のパネリストにおいて評価される。
【0258】
施与領域は顔である。
【0259】
一度行われれば、施与は自由である。
【0260】
施与、感覚(perception)、及びメイクアップの結果が評価される。
【0261】
施与デバイスは良好な取り扱いを許し、非常に扱いやすい:施与は目の輪郭及び鼻の両脇を含む顔のすべての領域において正確である。その上、ファンデーションで指を汚すことのない利点を有する。
【0262】
最後に、ユーザーはこのデバイスで該組成物の施与においてなでつけることにより与えられる軽いマッサージを評価する。
【0263】
メイクアップの結果の観点において、施与されたフィルムは非常に薄く、均一であり、マークがない。メイクアップは控えめかつ自然である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための化粧用セットにおいて、
― 少なくとも1の固体化粧料組成物を含む1の容器、該組成物は少なくとも1の液状脂肪相、少なくとも1のワックス、及び該組成物の合計重量に対して少なくとも5重量%の顔料を含み、30℃超の融点を有する、及び
― 該組成物を施与するための施与デバイス(8)、該施与デバイスには、ケラチン物質とかみ合ったその動きに反応して少なくとも1の軸(X)又は回転中心の周りを回転できる施与表面を含む施与部材(10)が備えられている、
を少なくとも含む前記化粧用セット。
【請求項2】
該組成物が、350g以下、特に300g以下、より特に250g以下、特に60〜250gの範囲の硬度を有する、請求項1に記載のセット。
【請求項3】
該組成物が無水のキャスト製品の形である、請求項1又は2に記載のセット。
【請求項4】
該組成物が固体エマルジョンタイプのキャスト製品の形である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセット。
【請求項5】
該組成物が、5重量%〜50重量%、特に7重量%〜30重量%、特に10重量%〜27重量%の極性オイル、特にエステルオイルタイプの極性オイルを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセット。
【請求項6】
エステルオイルが、ネオペンタン酸イソデシル;オクタン酸イソセチル;イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル;イソノナン酸トリデシル;ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2−ヘキシルデシル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル;パルミチン酸イソプロピル;パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸イソオクチル;パルミチン酸イソセチル;パルミチン酸イソデシル;パルミチン酸イソステアリル;パルミチン酸2−オクチルデシル;イソステアリン酸イソプロピル;ステアリン酸2−オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル;エルカ酸2−オクチルドデシル;及びそれらの混合物から選択されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセット。
【請求項7】
該組成物が、異なる極性の少なくとも2のワックスを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のセット。
【請求項8】
該組成物が、少なくとも1の非極性ワックス、特に50〜100℃の範囲の融点を有するもの、及び少なくとも1の極性ワックス、特に40〜100℃の範囲の融点を有するものを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のセット。
【請求項9】
該組成物が、蜜ロウ、コメヌカワックス、カルナウバワックス、水素化ホホバ油、アルコールワックスから選択された、少なくとも1の炭化水素をベースとする極性ワックス、及びポリエチレンワックス及びマイクロクリスタリンワックス及びそれらの混合物から選択された、炭化水素をベースとする非極性のワックスを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のセット。
【請求項10】
該組成物が、少なくとも1のカルナウバワックス及びマイクロクリスタリンワックスを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のセット。
【請求項11】
該組成物が、少なくとも1のシリコーン樹脂を、その合計重量に対して0.1重量%〜40重量%、特に2重量%〜30重量%の範囲の割合で含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のセット。
【請求項12】
該組成物が、その合計重量に対して、少なくとも0.01重量%〜40重量%、特に0.1〜30重量%、より特に1〜20重量%のフィラーを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のセット。
【請求項13】
施与デバイスがロールである、請求項1〜12のいずれか1項に記載のセット。
【請求項14】
該ロールが、以下のタイプの施与表面、例えば開放型又は閉鎖型のセルを有し、任意的にフロック加工されていてもよい発泡体、フロッキング、エラストマー、焼結された物質、織られた物質又は不織物質の施与表面を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のセット。
【請求項15】
該組成物が、メイクアップルージュ、アイシャドウ、フェースパウダー、ファンデーション、コンシーラー製品、口紅、ボディメイクアップ製品、顔をケアする製品、体をケアする製品又は日焼け止め製品を構成する、請求項1〜14のいずれか1項に記載のセット。
【請求項16】
ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための方法において、
― ケラチン物質とのかみ合った施与表面の動きに応答して、軸又は回転の中心の周りを回転することのできる施与表面を含む施与部材を使用して、ある量の固体組成物が取り出され、そして
― このようにして取り出された組成物が、該施与部材を使用して該ケラチン物質に施与され、該組成物は少なくとも1の液状脂肪相、少なくとも1のワックス、及び該組成物の合計重量に対して少なくとも5重量%の顔料を含み、30℃超の融点を有する、
ところの前記方法。
【請求項17】
該組成物が請求項2〜12及び15のいずれか1項に記載のものである、請求項16に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−526100(P2012−526100A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509143(P2012−509143)
【出願日】平成22年5月4日(2010.5.4)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051948
【国際公開番号】WO2010/128454
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】