説明

ケーブルテレビによるタクシー利用システム

【課題】 ケーブルテレビによるデジタルテレビジョン放送の双方向機能を利用して、タクシー利用者にとってより一層の利便性の向上を可能にするタクシー利用システムを提供する。
【解決手段】 タクシーの利用を希望するタクシー利用者によって視聴側端末装置に入力された情報に基づいて、視聴側端末装置と、局側情報管理装置と、配車センター側情報管理装置との間でタクシーの利用に関する情報を交換し、タクシーの利用に関する情報に基づいて、配車センター側情報管理装置は、タクシーの配車の手配を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルテレビによるタクシー利用システムに関し、特に、ケーブルテレビにおけるデジタルテレビの双方向機能を利用してタクシー利用者の利便性を向上させるとともに、顧客の獲得に有利なケーブルテレビによるタクシー利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タクシー業界では、既存のサービスの質の向上を図るとともに、タクシー利用者の利便性を向上させる新たなサービスを提供することによって、新規顧客を獲得するべく、激しい競争が繰り広げられている。
【0003】
ところで、現在、多くのタクシー会社は、複数の会社が集まって協同組合を形成し、この協同組合によって無線タクシーの配車等の業務の運営を行っている。この無線タクシーにおいては、従来、固定電話、携帯電話、インターネット等の既存の通信ネットワークを利用して、タクシー利用者がタクシー配車センターに連絡することによって、タクシーの配車が行われるシステムが提案されている(非特許文献1参照)。そして、こうした既存の通信ネットワーク以外の新たなルートを開拓し、タクシー利用者のさらなる利便性の向上を図り、新たなタクシー利用者を獲得できるビジネスモデルが模索されている。
【0004】
一方、現在、実用化が進められているデジタルテレビジョン放送では、視聴者と放送局との間で双方向で情報を交換できる機能、すなわち、双方向機能を利用して新しいサービスを視聴者に提供する各種の試みが提案されている。特に、ケーブルテレビでは、デジタル有線テレビジョン方式(64QAM)の特性を活かして、BSデジタル放送並みの高品質・高機能な画像および音声による放送サービスに加え、地域密着のデータ放送が可能になるなど、各種のサービスを提供することが可能となる。中でも、双方向機能を利用して、セットトップボックス(STB)と呼ばれる端末を介して、ケーブルテレビの回線またはその他の回線を通じて、直接、テレビ視聴者と双方向でデータを交換して、新たなサービスを提供することにより、さらなる視聴者を獲得するチャンスが生まれることが期待されている。このケーブルテレビを介するデジタルテレビジョン放送では、視聴者の所在地、氏名等の情報が、予めケーブルテレビ局に蓄積されている。したがって、この蓄積データを利用してタクシー利用を希望する視聴者の求めに応じてタクシー配車を円滑に行えるタクシー利用システムを構築すれば、ケーブルテレビの視聴者は、テレビの前に居ながら、タクシーの配車予約を行えるため、利便性が向上する。このように、前記タクシー利用に関する新たなサービスを視聴者に提供することによって、ケーブルテレビ放送局は、新たな顧客の獲得・囲い込みを図ることができる。
【0005】
また、無線タクシーを運営するタクシー協同組合にとっても、従来の固定電話等を介した通信ネットワークに加えて、新たなルートが開拓されることになり、タクシー利用者の利便性の向上を図るとともに、新たな顧客の獲得を図るチャンスが生まれる。また、デジタルテレビジョンの双方向機能を利用してタクシー利用者と情報を交換して、利用者のニーズに合致した従来にないきめ細かなサービスあるいは新規なサービスを提供できれば、タクシー利用者の利便性の向上を図ることができる。さらに、タクシー配車に関するシステムの自動化、省力化を通じて、配車センターにおけるコストの削減が期待される。
【非特許文献1】インターネットURL:http://www.mars−japan.com/gyoumu/top.html(2005年1月12日閲覧)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、ケーブルテレビによるデジタルテレビジョン放送の双方向機能を利用して、タクシー利用者にとってより一層の利便性向上を可能にするタクシー利用システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に係るケーブルテレビによるタクシー利用システムは、ケーブルテレビによるデジタル放送を視聴するとともに、視聴者側から情報を入力できる視聴側端末装置と、ケーブルテレビ局に配置され、前記視聴側端末装置とデジタル放送の双方向機能を利用して情報を交換する局側情報管理装置と、タクシー配車センターに配置され、前記局側情報管理装置と情報を交換する配車センター側情報管理装置とを備え、タクシーの利用を希望するタクシー利用者によって前記視聴側端末装置に入力された情報に基づいて、前記視聴側端末装置と、前記局側情報管理装置と、前記配車センター側情報管理装置との間でタクシーの利用に関する情報を交換し、前記タクシーの利用に関する情報に基づいて、前記配車センター側情報管理装置は、タクシーの配車の手配を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明において、「タクシー利用者」とは、各種の目的にタクシーを利用するためにタクシーの配車の手配を希望する者を言う。具体的には、タクシーに乗車して目的地に移動するため、タクシーの配車を希望する視聴者本人、あるいは視聴者本人ではないが、タクシーの配車を希望する者、また、視聴者宅ではなく、他の場所へのタクシーの配車を希望する者、例えば、タクシーを利用して視聴者宅または他の場所に所在する招待客、父母、親族、家族等の送迎の手配を希望する者、さらには、視聴側端末装置ではなく、携帯可能な情報端末を利用して、所定の場所へのタクシーの配車の手配を希望する者等の各種の目的、場所においてタクシーの配車の手配を希望する者が含まれる。
【0009】
この請求項1に係るタクシー利用システムでは、タクシーの利用を希望するタクシー利用者と、配車センター側情報管理装置との間で、視聴側端末装置および局側情報管理装置を介して、タクシーの利用に関する情報と、タクシーの配車に関する情報とを迅速に双方向で交換することができる。これによって、タクシー利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0010】
また、請求項2に係るケーブルテレビによるタクシー利用システムにおいては、前記視聴側端末装置は、前記タクシー利用に関する情報を入力するための入力画面を表示する視聴側表示部と、前記入力されたタクシー利用に関する情報を含む信号を前記局側情報管理装置に送信する視聴側送信手段と、前記局側情報管理装置から送信される情報を含む信号を受信する視聴側受信手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
このタクシー利用システムでは、視聴側表示部に表示された入力画面においてタクシー利用者によってタクシー利用に関する情報が入力され、入力されたタクシー利用に関する情報は、視聴側送信手段によって局側情報管理装置に送信され、これによって、局側情報管理装置は、前記タクシー利用に関する情報に所定の情報を付加して、前記配車センター側情報管理装置にタクシー配車要請情報を迅速に伝達することができる。
【0012】
また、請求項3に係るケーブルテレビによるタクシー利用システムは、前記視聴側表示部は、タクシー乗車の乗車地および乗車目的地を含むタクシー利用に関する情報を入力するための前記入力画面を表示することを特徴とする。
【0013】
このタクシー利用システムでは、タクシー乗車の乗車地および乗車目的地を含むタクシー利用に関する情報を入力するための入力画面が表示され、前記タクシー利用を希望するタクシー利用者は、この入力画面を参照しながら所要の情報を入力することによって、タクシー利用に関する情報が生成される。
【0014】
さらに、請求項4に係るケーブルテレビによるタクシー利用システムは、前記局側情報管理装置は、前記視聴側送信手段から送信される前記タクシー利用に関する情報を含む信号を受信する局側受信手段A1と、前記タクシー利用に関する情報に所定の情報を付加してタクシー要請情報を生成する局側情報制御手段と、前記配車センター側情報管理装置に前記タクシー要請情報を含む信号を送信する局側送信手段B2と、前記配車センター側情報管理装置からのタクシーの配車に関する情報を含む信号を受信する局側受信手段B1と、かつ前記視聴側端末装置に前記タクシーの配車に関する情報を含む信号を送信する局側送信手段A2とを備えることを特徴とする。
【0015】
このタクシー利用システムでは、局側受信手段A1によって受信されたタクシー利用に関する情報に所定の情報を付加してタクシー要請情報が生成され、生成されたタクシー要請情報は、配車センター側情報管理装置に送信される。このタクシー要請情報に基づいて、配車センター側情報管理装置は、タクシーの配車の手配を迅速に行うことができる。
【0016】
請求項5に係るケーブルテレビによるタクシー利用システムは、前記局側情報管理装置は、前記視聴側端末装置の所在地、および視聴者に関するデータを記憶した視聴者データベースを備え、前記タクシー利用に関する情報を含む信号の受信に応じてタクシーの配車に有用な情報を前記視聴者データベースから検索し、検索された前記タクシーの配車に有用な情報を前記タクシー利用に関する情報に付加して前記タクシー要請情報を生成することを特徴とする。
【0017】
このタクシー利用システムでは、局側情報管理装置は、タクシー利用に関する情報に応じて、前記視聴者データベースを検索し、前記視聴側端末装置の所在地および視聴者に関するデータを含む、タクシーの配車に有用な情報をタクシー利用に関する情報に付加してタクシー要請情報を生成し、前記配車センター側情報管理装置に送信することができる。これによって、配車センター側情報管理装置は、タクシーの利用を希望するタクシー利用者の所在地、乗車地等の情報を得ることができ、迅速なタクシーの手配を行うことができる。
【0018】
請求項6に係るケーブルテレビによるタクシー利用システムは、前記配車センター側情報管理装置は、前記局側情報管理装置から送信される前記タクシー要請情報を含む信号を受信するセンター側受信手段と、前記タクシー要請情報に基づいてタクシーの配車に関する情報を生成するセンター側制御手段と、タクシー車両に搭載されたタクシー側端末装置と無線交信するセンター側無線交信手段と、前記局側受信手段にタクシー配車に関する情報を含む信号を送信するセンター側送信手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
このタクシー利用システムでは、配車センター側情報管理装置は、前記タクシー要請情報に応じて、各タクシー車両と無線交信して、迅速なタクシーの配車手配を可能とすることができる。
【0020】
請求項7に係るケーブルテレビによるタクシー利用システムは、前記センター側制御手段は、タクシー車両の動態および運行状況を把握して、前記タクシー要請情報に応じて、配車可能なタクシー車両を検索して、その配車可能なタクシー車両の前記タクシー側端末装置と前記センター側無線交信手段を介して無線交信して配車するタクシー車両を決定した後、前記局側情報管理装置を介して、前記視聴側端末装置にタクシー配車に関する情報を含む信号を送信することを特徴とする。
【0021】
このタクシー利用システムでは、前記配車センター側情報管理装置のセンター側制御手段は、タクシーの動態および運行状況を把握して、前記タクシー要請情報に応じて、前記タクシー利用を希望する視聴者に配車可能なタクシーを検索して、その配車可能なタクシーの前記タクシー側端末装置と無線交信して、配車するタクシーを決定した後、前記局側情報管理装置を介して、前記視聴側端末装置にタクシー配車に関する情報を送信し、これによって、前記視聴側表示部に前記タクシー配車に関する情報が表示される。したがって、前記タクシー利用を希望するタクシー利用者は、テレビの前に居ながらにしてタクシーの利用予約を行うとともに、タクシーの配車の手配状況を把握することが可能になる。
【0022】
請求項8に係るケーブルテレビによるタクシー利用システムは、前記タクシー配車に関する情報は、タクシー配車要請の確認メッセージ、配車されるタクシーの識別番号、タクシー乗車地へのタクシーの到着予定時刻、および目的地までの乗車運賃から選ばれる少なくとも1つの情報を含むことを特徴とする。
【0023】
このタクシー利用システムでは、タクシー配車要請の確認メッセージ、配車されるタクシーの識別番号、およびタクシー乗車地へのタクシーの到着予定時刻、および目的地までの乗車運賃から選ばれる少なくとも1つの情報を含むタクシー配車に関する情報が、視聴側端末装置の視聴側表示部に表示されることによって、視聴者(タクシー利用者)は、テレビの前に居ながらにして、容易かつ迅速にタクシーの利用予約およびタクシーの配車手配の完了を確認することが可能となる。
【0024】
請求項9に係るケーブルテレビによるタクシー利用システムは、タクシーの利用を希望するタクシー利用者によって携帯可能な情報端末に入力された情報に基づいて、前記携帯可能な情報端末と、前記局側情報管理装置または配車センター側情報管理装置との間でタクシーの利用に関する情報を交換し、前記タクシーの利用に関する情報に基づいて、前記配車センター側情報管理装置は、タクシーの配車の手配を行うことを特徴とする。
【0025】
このタクシー利用システムでは、タクシーの利用を希望するタクシー利用者は、ケーブルテレビの視聴側端末装置だけでなく、携帯可能な情報端末を利用して、前記局側情報管理装置または配車センター側情報管理装置とタクシー利用に関する情報を交換することによって、視聴側端末装置のある場所だけでなく、広範囲な地域からタクシー利用に関する情報を前記局側情報管理装置または配車センター側情報管理装置に送信して、タクシーの配車を受けることができるため、タクシーの利便性の向上を図ることができる。
【0026】
請求項10に係るケーブルテレビによるタクシー利用システムは、前記局側情報管理装置は、前記配車センター側情報管理装置からタクシーの乗車運賃に関する情報を通知され、前記乗車運賃を前記視聴者に請求して前記乗車運賃の決済を行なうことを特徴とする。
【0027】
このタクシー利用システムでは、前記配車センター側情報管理装置からタクシーの乗車運賃に関する情報を通知された前記局側情報管理装置が、乗車運賃を前記視聴者に請求してその決済が行われるため、タクシーの乗客は、タクシーの降車時に、乗車運賃を支払う必要がない。そのため、招待客や見舞い客、父母等の送迎に際して、タクシーチケット等を利用しなくても、タクシー利用者が、後日、乗車運賃の決済を行うことができるため、タクシーの利便性の向上を図ることができる。
【0028】
請求項11に係るケーブルテレビによるタクシー利用システムは、前記タクシー利用に関する情報は、配車されるタクシー車両の運転者、タクシー車両の車種、およびタクシー利用者が希望するサービスに関する情報を含むことを特徴とする。
【0029】
このタクシー利用システムでは、配車されるタクシー車両の運転者、タクシー車両の車種、およびタクシー利用者が希望するサービスに関する情報を利用して、タクシー利用者のニーズに合致したきめ細かなサービスを行うことができる。例えば、介護サービスを必要とする乗客、嵩張る荷物を所持するためワゴン型タクシー車両(ワゴンタクシー)を必要とする乗客、外国人乗客、女性運転者を希望する乗客等の各種の乗客のニーズに応じて、適切なタクシーの配車を行うことができ、タクシー利用者の利便性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のタクシー利用システムは、タクシーの利用を希望するタクシー利用者が、タクシーの利用予約をテレビの前に居ながらにして簡便に行うことができるため、タクシー利用者の利便性の向上を図ることができる。
【0031】
また、ケーブルテレビ局においては、ケーブルテレビを通じてタクシーの手配ができる、という新たなサービスを視聴者に提供することができるため、ケーブルテレビの利用価値を向上させることができ、これによって、新規顧客の開拓を図ることができる。
【0032】
さらに、無線タクシー協同組合においては、タクシーの利用予約を容易かつ迅速に受けることができるとともに、迅速かつ正確なタクシーの配車を提供することによって、無線タクシーの利便性を向上させ、無線タクシーへの新規顧客の獲得・囲い込みを可能にすることができる。
【0033】
ここで、視聴側端末装置は、その所在地等が既に局側情報管理装置に認識されているため、視聴側端末装置からタクシー利用に関する情報を送信するタクシー利用者は、煩瑣な本人認証手続を取る必要がなく、迅速かつ簡便にタクシーの利用を予約することができる。また、ここで、携帯電話やインターネットを介し情報端末を用いる場合にも、予め登録されたID、パスワード等を用いて本人認証手続を行うようにすれば、迅速かつ簡便にタクシーの利用を予約することができる。
【0034】
また、ケーブルテレビ局の局側情報管理装置は、視聴側端末装置の所在地を容易に把握することができるので、その所在地等のタクシーの配車に有用な情報が付加されたタクシー要請情報を配車センター側情報管理装置に送信することができる。そして、タクシー要請情報を受信した配車センター側情報管理装置は、GPS等によって容易にタクシー利用者(視聴者)の所在地を特定し、配車可能なタクシーを検索することができ、配車手配を正確かつ迅速に行うことができる。また、迅速なタクシーの配車サービスを享受できるため、タクシー利用者(視聴者)の利便性の向上を図ることができるとともに、サービス内容についてもきめ細かな対応が可能となり、サービスの質の向上を図ることができる。例えば、乗車日時、乗車人数、到着時刻、利用目的等に応じて最適なサービスを提供することが可能となる。具体的には、介護サービスが必要な場合には、介護サービスに熟達した運転手、例えば、介護士の資格を有する運転手が乗務する無線タクシーを配車する、あるいは介護サービスに適した設備を備えるタクシー、例えば、寝台を備えるタクシー車両を配車することができる。さらに、車椅子を利用する障害者に対しては、リフトを備え、車椅子のまま乗車可能なタクシー車両を配車する等の適切な対応を行うことができる。こうしたタクシーの利用目的等に応じて、きめ細かなサービスを展開することにより、無線タクシーのリピーターの増加を促し、顧客の獲得、囲い込みを図ることができる。さらに、必要であれば、配車センター側情報管理装置は、双方向機能を利用して、タクシー利用者(視聴者)に必要な情報を問い合わせることも可能であり、タクシー利用者の利便性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して、本発明のケーブルテレビによるタクシー利用システムの実施形態について説明する。
【0036】
図1は、本発明に係るタクシー利用システムの一実施形態の構成を示す概念図である。
この図1に示すタクシー利用システム1は、ケーブルテレビの視聴者Aが操作する視聴側端末装置2と、ケーブルテレビ局5に配置され、前記視聴側端末装置2とデジタル放送を介して双方向で情報を交換する局側情報管理装置3と、タクシー配車センター6に配置され、前記局側情報管理装置3と情報を交換する配車センター側情報管理装置4とを備える。
【0037】
前記視聴側端末装置2は、視聴者Aがタクシー利用に関する情報を入力する入力画面D(図2(a)参照)を表示する視聴側表示部21と、前記視聴者Aによって入力画面Dに入力されるタクシー利用に関する情報を含む信号を送信する視聴側送信手段22と、前記局側情報管理装置3から送信される信号を受信する視聴側受信手段23とを備える。この視聴側端末装置2は、例えば、ケーブルテレビ局5から送信されるデジタルテレビジョン信号を受信して、デジタル放送の画像を視聴側表示部21に表示できるものであれば、いずれのものでもよく、特に限定されない。そして、ケーブルテレビ放送用のケーブル回線を通じて送信されるデジタルテレビジョン信号を受信して、その信号に付随するスクランブル信号を解除したり、あるいはエンコードされた信号をデコードしてデジタルテレビジョン放送の視聴を可能とする端末、いわゆるセットトップボックスSTを備えるものである。本実施形態では、前記セットトップボックスSTが、視聴側送信手段22および視聴側受信手段23とを兼ねる機能を有する。以下の説明においては、このセットトップボックスSTの送信機能を有する部分を視聴側送信手段22と、受信機能を有する部分を視聴側受信手段23とに分けて記載する。
【0038】
前記視聴側表示部21は、図2に示すとおり、タクシー乗車の乗車地(出発地)および乗車目的地、ならびに乗車日時を含むタクシー利用に関する情報を前記視聴者が入力するための入力画面Dを表示する。この視聴側表示部21は、入力画面Dを表示できるものであれば、特に限定されず、例えば、CRT、液晶表示装置、プラズマ表示装置等の画面上に所要の文字情報、画像情報等を表示できるものであればよい。
【0039】
前記視聴側送信手段22は、ケーブルテレビ用回線(同軸ケーブル、光ケーブル等によって敷設された回線)、電話回線、インターネット回線等の有線回線または無線回線を通じて、タクシー利用に関する情報を含む信号を局側情報管理装置3に送信するためのものである。
【0040】
この視聴側端末装置2においては、タクシー利用を希望する視聴者(タクシー利用者)Aが、視聴側表示部21に表示される入力画面Dから所要の項目を選択することによって、タクシー利用に関する情報を入力できる入力手段を備える。入力手段としては、例えば、ケーブルを介して、または赤外線、電波等によって視聴側端末装置2と通信する機能を有するキーボード、リモコン、マウスなどを用いることができる。この入力手段は、ケーブルテレビの受像機に付属するリモコン等を利用することができ、また、専用の入力機器を用いることにしてもよい。この入力手段として、図3に示すリモコン装置37が挙げられる。
【0041】
また、視聴側受信手段23は、ケーブルテレビ用回線を通じて、局側情報管理装置3を介して、配車センター側情報管理装置4から送信されるタクシー配車に関する情報を含む信号を受信するものである。この視聴側受信手段23は、セットトップボックスの受信機能に該当する。
【0042】
次に、局側情報管理装置3は、ケーブルテレビ局5内に設置され、前記視聴側端末装置2とデジタルテレビジョン放送の双方向機能を利用してタクシー利用に関する情報を含む信号を受信し、また、視聴側端末装置2にタクシー配車に関する情報を含む信号を送信する局側送受信手段31と、前記タクシー利用に関する情報に所定の情報を付加してタクシー要請情報を生成する局側情報制御手段32と、前記配車センター側情報管理装置4にタクシー要請情報を含む信号を送信し、また、配車センター側情報管理装置からのタクシー配車に関する情報を含む信号を受信する局側交信手段33とを備える。ケーブルテレビ局5は、地上波アナログ放送(VHF,UHF)、地上波デジタル放送、BS放送、110°CS放送、124°CS放送、128°CS放送、144°CS放送等の各種の放送媒体が提供する放送番組コンテンツ、あるいは独自制作の番組コンテンツ等をアンテナ、専用または共用の有線回線等を通じて受信し、あるいは他の放送媒体が放送または配信している番組コンテンツを入手して、これを所定の仕様の有線テレビジョン放送方式の信号に変換する。そして、ケーブルテレビ局5は、各放送番組コンテンツ毎に設定したチャンネルで、視聴者Aの視聴側端末装置2とケーブルテレビ局5との間に敷設されたケーブル回線を介して、各放送番組を伝送するテレビ放送局である。特に、2011年にアナログ放送からの切り替えが行われる予定の地上デジタル放送のケーブルテレビによる再放送に際しては、ケーブルテレビ局5は、地上デジタル放送で放送されているままの変調方式で伝送するパススルー方式、地上デジタル放送をデジタル有線テレビジョン放送方式に変換して伝送するトランスモジュレーション方式のいずれかまたは両方の方式を採用して、デジタルテレビジョン放送をケーブルテレビの視聴者に提供することとなる。
【0043】
局側送受信手段31は、局側受信手段A1 311と、局側送信手段A2 312とから構成される。局側受信手段A1 311は、視聴側送信手段22から送信される、タクシー利用に関する情報を含む信号を受信して、受信した信号からタクシー利用に関する情報および前記識別ID等の所定の情報を局側情報制御手段32に出力する役割を有する。このとき、局側送受信手段31は、視聴側送信手段22から受信される信号が、エンコードされている場合には、所要のデコード処理を行って、タクシー利用に関する情報および前記識別ID等の所定の情報を復号して、局側情報制御手段32に出力する機能を備えるものとすることができる。
【0044】
また、局側送信手段A2 312は、後記の配車センター側情報管理装置4の配車センター側送信手段41から伝達されるタクシー配車に関する情報およびその他の情報を含む信号を、視聴側端末装置2の視聴側受信手段23に送信する役割を有するものである。このとき、局側送信手段A2 312から送信される信号は、所定の方法によってエンコードされたものでもよい。
【0045】
また、局側情報制御手段32は、前記タクシー利用に関する情報に所定の情報を付加してタクシー要請情報を生成し、また、必要に応じて、後記の配車センター側情報管理装置4の配車センター側送信手段41から送信されるタクシー配車に関する情報に、所定の情報を付加して、局側送信手段A2 312を介して視聴側端末装置2に伝達するものである。
【0046】
この局側情報制御手段32は、視聴側端末装置2の所在地、およびその他の視聴者に関するデータを格納した視聴者データベースを記憶した記憶手段34を有する。そして、局側情報制御手段32は、タクシー利用に関する情報に含まれる識別ID等に基づいて、視聴者データベースを検索し、タクシー利用を希望する視聴者の住所、電話番号、その他のタクシーの配車に有用な情報を取得し、このタクシーの配車に有用な情報を、タクシー利用に関する情報に付加してタクシー要請情報を生成する。具体的には、図4に示すように、局側情報管理装置3の識別ID、タクシー要請情報の識別コード、タクシー利用に関する情報の受付番号等の情報とともに、視聴側端末装置2から伝達されたタクシー利用に関する情報に含まれる前記識別IDに代えて、視聴者の住所、電話番号等のタクシーの配車に有用な情報を付加してタクシー要請情報を生成する。
【0047】
また、局側交信手段33は、局側送信手段B2 332と局側受信手段B1 331とを備える。局側送信手段B2 332は、電話回線、インターネット回線、無線回線、専用回線等の通信回線を介して、配車センター側情報管理装置4に、タクシー要請情報を含む信号を送信する。また、局側受信手段B1 331は、配車センター側情報管理装置4からタクシー配車に関する情報を含む信号を受信する。受信されたタクシー配車に関する情報を含む信号は、前記局側情報制御手段32に伝達され、局側情報制御手段32は、このタクシー配車に関する情報を、局側送信手段312を介して視聴側端末装置2に送信される。このとき、局側情報制御手段32は、必要に応じて、タクシー配車に関する情報に、各種の情報を付加することができる。
【0048】
次に、配車センター側情報管理装置4は、前記局側情報管理装置3からタクシー要請情報を含む信号を受信するセンター側受信手段41と、前記タクシー要請情報に基づいてタクシーの配車に関する情報を生成するセンター側情報制御手段42と、タクシー車両に搭載されたタクシー側端末装置と無線送信する無線交信手段43と、タクシーの配車に関する情報を含む信号を局側受信手段B1 331に送信するセンター側送信手段44とを備える。
【0049】
センター側受信手段41は、局側交信手段33からタクシー要請情報を含む信号を受信し、受信した信号をセンター側情報制御手段42に伝達する役割を有するものである。このとき、センター側受信手段41は、必要に応じて、局側交信段33から受信したタクシー要請情報を含む信号が、エンコードされている場合には、所要のデコード処理を行って、タクシー要請情報から所定の情報を復号して、センター側情報制御手段42に出力する機能を備えるものとすることができる。
【0050】
センター側情報制御手段42は、前記センター側受信手段41から伝達されるタクシー要請情報に応じて、無線交信手段43を通じて、各タクシー車両Tと無線交信して、配車するタクシー車両を決定し、タクシーの配車手配を行う役割を有する。このセンター側情報制御手段42は、タクシー要請情報に含まれるタクシー利用者(視聴者)の住所、電話番号等の情報に基づいて、タクシー利用者(視聴者)の所在地を特定し、配車可能なタクシーを検索する。このタクシーの検索に際しては、タクシーの動態および運行状況を把握して、前記タクシー要請情報が含むタクシーの利用を希望するタクシー利用者(視聴者)の住所(乗車地)、乗車予定日時等の情報に応じて、前記視聴者の住所(乗車地)に最も近くで運行しているタクシー、あるいはタクシーの利用に関する情報に含まれる乗車目的、例えば、乗車人数、乗車日時、到着時刻、利用目的等の利用者が希望するサービスを提供することが可能なタクシーを検索する。このとき、センター側情報制御手段42は、前記タクシー要請情報に含まれるタクシー利用者の住所、電話番号等の情報に基づいて、GPS等によって、タクシー利用者(視聴者)の所在地を特定し、乗車地の地図等に関する情報を、タクシーの配車要請に関する情報に付加して、無線交信手段43を介して、タクシー側端末装置に送信することができる。これによって、正確かつ迅速なタクシーの配車手配を図ることができる。
【0051】
さらに、センター側情報制御手段42は、配車するタクシーが決定した場合には、局側情報管理装置3の局側交信手段33に、センター側送信手段44を介して、タクシー配車に関する情報を含む信号を送信するものである。
【0052】
次に、本実施形態のケーブルテレビによるタクシー利用システムにおけるタクシーの利用予約(配車注文)からタクシーの配車の手配完了までについて、視聴側端末装置2、局側情報管理装置3および配車センター側情報管理装置4の役割について説明する。
【0053】
最初に、視聴側端末装置2における入力手段として、図3に示すリモコン装置37を用いる場合を例に取り、視聴者Aによるタクシー利用に関する情報の入力について説明すると、タクシー利用を希望する視聴者Aは、リモコン装置37に配列されている数字ボタン37a、色付きボタン37b、あるいはカーソル移動キー37cなどを用いて、視聴側表示部21であるテレビ画面上に入力画面Dを表示させ、その入力画面D上のタクシー利用予約に関する項目を選択する。入力画面Dの表示は、GUI(Graphic User Interface:フルスクリーン型、ポップアップ型)などによって視聴側表示部21の画面上で視聴者が、入力手段を用いて項目を選択できるように構成される。例えば、図2に示すように、1.・・・2.タクシー利用予約・・3.・・・・の項目の中から、「2.タクシー配車注文」に該当する数字ボタン「2」を押すと、配車注文に関する入力画面が開かれたことを通知する信号が、視聴側送信手段22を通じて局側情報管理装置3に送信される。この信号が、局側受信手段A1 311によって受信されると、局側情報制御手段32は、記憶手段34に格納された視聴者データベースを検索し、タクシー利用を希望する視聴者の住所、電話番号、その他のタクシーの配車に有用な情報を検索する。該当する視聴者が検索されると、局側情報制御手段32は、視聴者の氏名(○○太郎 様)および電話番号(○○−○○○○−○○○○)を含む配車注文の画面を表示させる信号を視聴側端末装置2に送信する。これによって、視聴側端末装置2の視聴側表示部21に図4に示す配車注文に関する画面が表示される。これによって、視聴者(タクシー利用者)Aは、配車注文を開始することができる。
【0054】
次に、視聴者(タクシー利用者)Aは、配車注文の画面に表示された視聴者の氏名(○○太郎 様)および電話番号(○○−○○○○−○○○○)を確認後、「よろしければ、リモコンの黄ボタンを押して次へ進んでください。」のメッセージにしたがって、リモコンの黄色ボタンを押すと、配車場所選択に関する入力画面を開くことを通知する信号が、視聴側送信手段22を通じて局側情報管理装置3に送信される。この信号が、局側受信手段A1 311によって受信されると、局側情報制御手段32は、図5に示す配車場所選択に関する画面を表示させる信号を視聴側端末装置2に送信する。これによって、視聴側端末装置2の視聴側表示部21に、図5に示す配車場所選択に関する画面が表示される。この図4に示す配車場所選択に関する画面には、視聴者(タクシー利用者)Aの住所(視聴側端末装置2の設置場所)を表示するとともに、乗車地(配車するタクシーの迎え先:お迎え先))を選択する欄55を設け、視聴者(タクシー利用者)Aに乗車地の確認を求める。この欄55には、初期メニューとして「ご自宅」を表示し、乗車地が視聴者(タクシー利用者)Aの住所(視聴側端末装置2の設置場所)である場合には、視聴者(タクシー利用者)Aが、「お迎え先ご確認のうえ、リモコンの黄色ボタンを押して次へ進んでください。」のメッセージにしたがって、リモコンの黄色ボタン(次へ進む)を押すと、配車に関する注文が確定することになる。一方、乗車地が、視聴者(タクシー利用者)Aの住所ではなく、他の場所である場合には、視聴者(タクシー利用者)Aは、プルダウンメニューによって他の乗車地を選択できる。このプルダウンメニューは、予め、局側情報管理装置3に登録された乗車地候補を表示して、その中から視聴者(タクシー利用者)Aが選択できるように構成される。例えば、局側情報管理装置3に設けられた記憶手段34に格納された視聴者データベースに乗車地の候補を登録するように構成できる。この場合、視聴者(タクシー利用者)Aは、視聴者(タクシー利用者)Aの居宅の最寄り駅、父母の居宅、かかりつけの医者または病院、その他の視聴者(タクシー利用者)Aがタクシーの配車を注文する可能性がある場所を乗車地の候補として予め登録しておくことができる。これによって、例えば、最寄り駅からまたは最寄り駅まで招待客、父母等を送迎等の際に、タクシーの配車を注文する場合に便利である。また、降雨時に、最寄り駅まで家族を迎えるためのタクシーを配車する場合にも便利である。
【0055】
乗車地の候補の登録は、例えば、入力画面D上のユーザ設定の項目を選択して、予めユーザ設定画面(図示せず)に表示される候補地を選ぶか、あるいは電話、FAX、インターネット等の通信手段によって、予めケーブルテレビ局5に連絡して、候補地を設定しておくようにすることができる。これによって、視聴者(タクシー利用者)Aの所望の乗車地を、局側情報管理装置3に設けられた記憶手段34に格納された視聴者データベースに予め登録しておけば、乗車地(配車場所)の選択に際して、視聴者(タクシー利用者)Aの利便性の向上を図ることができる。
【0056】
また、ユーザ設定には、他のサービスを選択する項目を設けることができる。例えば、視聴者(タクシー利用者)Aによるタクシーの利用目的等に応じて所要のサービスを選択できるようにすることができる。具体的には、タクシー乗車の乗車日時、利用を希望するタクシーの車両タイプ(大型、小型、ワゴンタイプ等)、タクシー会社、乗車人数、乗車目的地等の各種の情報、その他、特に必要とするサービス項目を入力できるように設定することができる。さらに、介護サービスが必要な場合には、介護サービスに熟達した運転手、例えば、介護士の資格を有する運転手が乗務する無線タクシーを配車する、あるいは介護サービスに適した設備を備えるタクシー、例えば、寝台を備えるタクシー車両、さらに、車椅子を利用する障害者に対しては、リフトを備え、車椅子のまま乗車可能なタクシー車両を配車する等の項目を選択項目として登録することもできる。また、予め、オプション項目として入力画面D上に表示することもできる。こうしたタクシーの利用目的等に応じて、視聴者(タクシー利用者)Aの希望に沿ったきめ細かなサービスを展開することにより、無線タクシーのリピーターの増加を促し、顧客の獲得、囲い込みを図ることができる。さらに、必要であれば、配車センター側情報管理装置は、双方向機能を利用して、タクシー利用者(視聴者)に必要な情報を問い合わせることも可能であり、これによっても、タクシー利用者の利便性の向上を図ることができる。
【0057】
さらにまた、乗車運賃の支払い方法についても選択できるように構成できる。例えば、入力画面Dに、支払い方法の項目を設け、プルダウンメニューによって、「ケーブルテレビ利用料金と一緒に決済する。」、「降車時に乗車運賃を支払う。」、さらに、いわゆる福祉利用券を利用する等の支払い方法について選択できるようにすることもできる。
【0058】
このようにして、タクシー利用者(視聴者A)による入力によって決定されたタクシーの乗車地等に関する情報は、視聴側送信手段22によってタクシー利用に関する情報を含む信号として局側情報管理装置3に送信される。例えば、視聴側端末装置2が有する固有の識別ID等を付加した情報を含む信号として、一般に、TCP/IPプロトコル等の常用の通信プロトコルを利用して、局側情報管理装置3に送信される。このとき、局側情報管理装置3に送信されるタクシー利用に関する情報を含む信号には、例えば、図6(a)に示すように、識別ID、タクシー利用に関する情報であることを示す識別コードC、さらに、タクシーの乗車地等の順に配列されたデータ形式で、視聴側送信手段22から局側情報管理装置3に送信される。また、必要に応じて、個人情報の保護のため、前記視聴側送信手段22は、タクシー利用に関する情報を含む信号を、その情報に暗号化を施して、局側情報管理装置3に送信することもできる。これによって、個人情報の漏出を防止して、タクシー利用者(視聴者)のプライバシーの保護を図ることができる。さらに、必要であれば、局側情報管理装置3は、デジタルテレビジョン放送の双方向機能を利用して、タクシー利用者(視聴者A)に必要な情報を問い合わせることも可能であり、これによって、タクシー利用者の利便性の向上を図ることもできる。
【0059】
局側情報管理装置3においては、タクシー利用に関する情報を含む信号を局側受信手段A1 311が受信し、受信されたタクシー利用に関する情報は、局側情報制御手段32に入力される。このとき、局側受信手段A1 311は、視聴側送信手段22から受信される信号が、エンコードされている場合には、所要のデコード処理を行って、タクシー利用に関する情報および前記識別ID等の所定の情報を復号して、局側情報制御手段32に出力する。
【0060】
タクシー利用に関する情報が入力された局側情報制御手段32は、前記タクシー利用に関する情報に所定の情報を付加してタクシー要請情報を生成する。そして、生成されたタクシー要請情報を含む信号が、局側送信手段B2 332から、配車センター側情報管理装置4に送信される。このとき、タクシー要請情報は、例えば、図6(b)に示すように、局側情報管理装置4の識別ID、タクシー要請情報の識別ID、さらに、タクシーの乗車地等を含む含むタクシー利用に関する情報の順に配列されたデータ形式で、視聴側送信手段22から局側情報管理装置3に送信することができる。また、局側送信手段B2 332から送信される信号は、所定の方法によってエンコードされたものでもよい。
【0061】
次に、配車センター側情報管理装置4においては、タクシー要請情報を含む信号をセンター側受信手段41が受信し、受信されたタクシー要請情報は、センター側情報制御手段42に入力される。センター側情報制御手段42は、タクシー要請情報に応じて、無線交信手段43を通じて、各タクシー車両Tと無線交信して、配車するタクシー車両を決定し、タクシーの配車手配を行う。このセンター側情報制御手段42は、タクシー要請情報に含まれるタクシー利用者(視聴者)の乗車地等の情報に基づいて、配車可能なタクシーを検索する。このタクシーの検索に際しては、タクシーの動態および運行状況を把握して、前記タクシー要請情報が含むタクシーの利用を希望する乗車地、乗車予定日時等の情報に応じて、乗車地に最も近くで運行しているタクシー、あるいはタクシーの利用に関する情報に含まれる乗車目的、例えば、乗車人数、乗車日時、到着時刻、利用目的等の利用者が希望するサービスを提供することが可能なタクシーを検索する。このとき、センター側情報制御手段42は、乗車地等の情報に基づいて、GPS等によって、乗車地周辺の地図等に関する情報を、タクシーの配車要請に関する情報に付加して、無線交信手段43を介して、タクシー側端末装置Tに送信することができる。これによって、正確かつ迅速なタクシーの配車手配を図ることができる。タクシー車両Tに搭載されるタクシー側端末装置から、乗務する運転手のタクシーの手配に応ずる回答を含む信号を無線交信手段43が受信し、その信号の受信によって、センター側情報制御手段42は配車手配の決定を行い、タクシー配車に関する情報が生成される。このタクシー配車に関する情報には、配車されるタクシーの識別番号、乗車地へのタクシーの到着予定時刻等が含まれる。さらに、乗車運賃の予定額を、タクシー配車に関する情報に含めてもよい。
【0062】
そして、センター側情報制御手段42は、配車するタクシーが決定した場合には、局側情報管理装置3の局側交信手段33に、センター側送信手段44を介して、前記タクシー配車に関する情報を含む信号を送信する。
【0063】
局側情報管理装置3においては、このタクシー配車に関する情報を含む信号を局側受信手段B1 331が受信し、受信された信号におけるタクシー配車に関する情報に基づいて、局側情報制御手段32は、配車されるタクシーの識別番号、乗車地へのタクシーの到着予定時刻等を示す配車結果の画面を表示する信号を視聴側端末装置2に送信する。これによって、視聴側端末装置2の視聴側表示部21に図7に示す配車結果に関する画面が表示される。
【0064】
次に、視聴者(タクシー利用者)Aは、配車結果の画面に表示された配車されるタクシーの識別番号、乗車地へのタクシーの到着予定時刻等を確認後、「よろしければ、リモコンの黄ボタンを押してください。ご注文が確定します。」のメッセージにしたがって、リモコンの黄色ボタンを押すと、視聴者(タクシー利用者)Aによる配車注文が確定する。そして、配車注文が確定したことを通知する信号が、視聴側送信手段22を通じて局側情報管理装置3に送信される。この信号を局側受信手段A1 311で受信した局側情報管理装置3において、局側情報制御手段32は、局側送信手段B2 332から配車注文の確定を通知する信号を配車センター側情報管理装置4に送信する。センター側受信手段41は、この配車注文の確定を通知する信号を受信して、配車注文の確定をセンター側情報制御手段42に入力する。そして、センター側情報制御手段42は、該当するタクシー車両のタクシー側端末装置に配車注文の確定に関する情報を送信する。これによって、配車されるタクシー車両は、乗車地に移動してタクシー利用者を乗せて乗車目的地まで搬送することができる。
【0065】
目的地に到着した際、乗車運賃は、前記の入力画面で選択された支払い方法に従って決済される。例えば、前記の支払い方法の選択時に、「ケーブルテレビ利用料金と一緒に決済する。」が選択されている場合には、タクシー利用者は、タクシー降車時に乗車運賃を支払わず、後日のケーブルテレビ利用料金の支払い時に合算して決済することができる。また、支払い方法について、「降車時に乗車運賃を支払う。」を選択した場合には、降車時に、乗車運賃の決済を行う。
【0066】
そして、前記の「ケーブルテレビ利用料金と一緒に決済する。」が選択されている場合には、乗車運賃に関する情報が、タクシー車両に搭載されたタクシー側端末装置Tから配車センター側情報管理装置4(無線交信手段43、センター側情報制御手段42、センター側送信手段44)を介して、局側情報管理装置3の局側受信手段B2 332を通じて局側情報制御手段32に送信され、後日のケーブルテレビ利用料金とともに、視聴者(タクシー利用者)Aに課金される。これによって、視聴者(タクシー利用者)Aのタクシー利用に関する利便性を向上させることができる。すなわち、前記配車センター側情報管理装置4からタクシーの乗車運賃に関する情報を通知された前記局側情報管理装置3が、乗車運賃を前記視聴者(タクシー利用者)Aに請求してその決済が行われるため、タクシーの乗客は、タクシーの降車時に、乗車運賃を支払う必要がない。そのため、招待客や見舞い客、父母等の送迎に際して、タクシーチケット等を利用するなどの煩雑な手続をしなくても、タクシー利用者が、後日、乗車運賃の決済を円滑に行うことができる。
【0067】
前記実施形態のタクシー利用システムでは、視聴側端末装置2の設置場所に居る視聴者Aが、視聴側表示部21に表示される入力画面に所定の事項を入力することによって、タクシーの配車注文を行う形態を説明しているが、本発明のタクシー利用システムでは、視聴側端末装置2に限定されず、他の情報端末を利用して、タクシーの配車注文を行うようにすることができる。例えば、携帯可能な情報端末を利用して、局側情報管理装置3または配車センター側情報管理装置4とタクシー利用に関する情報を交換可能にして、タクシーの配車注文を行うようにすることができる。この携帯可能な情報端末を利用するタクシーの配車注文において、後記の本人認証の手続を除く他の情報交換、手続、操作については、前記実施形態と同様であるので、省略する。
【0068】
携帯可能な情報端末の例としては、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用パーソナルコンピュータ等が挙げられる。これらの情報端末は、携帯電話回線、インターネット回線等の情報通信ネットワークを介して、局側情報管理装置3または配車センター側情報管理装置4と交信して、タクシー利用に関する情報を双方向で交換することができる。ここで、これらの携帯可能な情報端末を利用して、タクシーの配車注文を行う場合には、タクシー利用者は、本人認証のために、予め局側情報管理装置3に登録しておいたID、パスワード等によって、ケーブルテレビの視聴契約者または情報端末を利用してタクシーの配車注文を行う者であることを認証する手続を行う必要がある。このID等の登録は、例えば、前記入力画面D上のユーザ設定の項目を選択して、ユーザ設定画面(図示せず)に表示される登録手続によって行うか、あるいは電話、FAX、インターネット等の通信手段によって、予めケーブルテレビ局5に連絡して、登録しておくようにすることができる。
【0069】
この携帯可能な情報端末を利用するタクシー利用システムでは、タクシーの利用を希望するタクシー利用者は、ケーブルテレビの視聴側端末装置だけでなく、携帯可能な情報端末を利用して、前記局側情報管理装置または配車センター側情報管理装置とタクシー利用に関する情報が交換可能となることによって、視聴側端末装置のある場所だけでなく、広範囲な地域からタクシー利用に関する情報を前記局側情報管理装置または配車センター側情報管理装置に送信して、タクシーの配車注文を行うことができるため、タクシーの利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明によるタクシー利用システムの実施形態の構成を示す概念図である。
【図2】視聴側表示部における入力画面Dを示す模式図である。
【図3】リモコンの構成例を示す模式図である。
【図4】タクシーの配車注文の選択画面を示す模式図である。
【図5】タクシーの配車場所の選択画面を示す模式図である。
【図6】(a)タクシー利用に関する情報の構成、(b)はタクシー要請情報の構成を示す模式図である。
【図7】タクシー配車の確認メッセージを示す模式図である。
【符号の説明】
【0071】
1 タクシー利用システム
2 視聴側端末装置
3 局側情報管理装置
4 配車センター側情報管理装置
5 ケーブルテレビ局
6 タクシー配車センター
21 視聴側表示部
22 視聴側送信手段
23 視聴側受信手段
31 局側送受信手段
311 局側受信手段A1
312 局側送信手段A2
32 局側情報制御手段
33 局側交信手段
331 局側受信手段B1
332 局側送信手段B2
34 記憶手段
37 リモコン装置
37a 数字ボタン
37b ボタン
37c カーソル移動キー
41 センター側受信手段
42 センター側情報制御手段
43 無線交信手段
44 センター側送信手段
A 視聴者
C 識別コード
D 入力画面
T タクシー側端末装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルテレビによるデジタル放送を視聴するとともに、視聴者側から情報を入力できる視聴側端末装置と、ケーブルテレビ局に配置され、前記視聴側端末装置とデジタル放送の双方向機能を利用して情報を交換する局側情報管理装置と、タクシー配車センターに配置され、前記局側情報管理装置と情報を交換する配車センター側情報管理装置とを備え、タクシーの利用を希望するタクシー利用者によって前記視聴側端末装置に入力された情報に基づいて、前記視聴側端末装置と、前記局側情報管理装置と、前記配車センター側情報管理装置との間でタクシーの利用に関する情報を交換し、前記タクシーの利用に関する情報に基づいて、前記配車センター側情報管理装置は、タクシーの配車の手配を行うことを特徴とするケーブルテレビによるタクシー利用システム。
【請求項2】
前記視聴側端末装置は、前記タクシー利用に関する情報を入力するための入力画面を表示する視聴側表示部と、前記入力されたタクシー利用に関する情報を含む信号を前記局側情報管理装置に送信する視聴側送信手段と、前記局側情報管理装置から送信される情報を含む信号を受信する視聴側受信手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のケーブルテレビによるタクシー利用システム。
【請求項3】
前記視聴側表示部は、タクシー乗車の乗車地および目的地を含むタクシー利用に関する情報を入力するための前記入力画面を表示することを特徴とする請求項2に記載のケーブルテレビによるタクシー利用システム。
【請求項4】
前記局側情報管理装置は、前記視聴側送信手段から送信される前記タクシー利用に関する情報を含む信号を受信する局側受信手段A1と、前記タクシー利用に関する情報に所定の情報を付加してタクシー要請情報を生成する局側情報制御手段と、前記配車センター側情報管理装置に前記タクシー要請情報を含む信号を送信する局側送信手段B2と、前記配車センター側情報管理装置からのタクシーの配車に関する情報を含む信号を受信する局側受信手段B1と、かつ前記視聴側端末装置に前記タクシーの配車に関する情報を含む信号を送信する局側送信手段A2とを備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のケーブルテレビによるタクシー利用システム。
【請求項5】
前記局側情報管理装置は、前記視聴側端末装置の所在地、および視聴者に関するデータを記憶した視聴者データベースを備え、前記タクシー利用に関する情報を含む信号の受信に応じてタクシーの配車に有用な情報を前記視聴者データベースから検索し、検索された前記タクシーの配車に有用な情報を前記タクシー利用に関する情報に付加して前記タクシー要請情報を生成することを特徴とする請求項4に記載のケーブルテレビによるタクシー利用システム。
【請求項6】
前記配車センター側情報管理装置は、前記局側情報管理装置から送信される前記タクシー要請情報を含む信号を受信するセンター側受信手段と、前記タクシー要請情報に基づいてタクシーの配車に関する情報を生成するセンター側制御手段と、タクシー車両に搭載されたタクシー側端末装置と無線交信するセンター側無線交信手段と、前記局側受信手段にタクシー配車に関する情報を含む信号を送信するセンター側送信手段とを備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のケーブルテレビによるタクシー利用システム。
【請求項7】
前記センター側制御手段は、タクシー車両の動態および運行状況を把握して、前記タクシー要請情報に応じて、配車可能なタクシー車両を検索して、その配車可能なタクシー車両の前記タクシー側端末装置と前記センター側無線交信手段を介して無線交信して配車するタクシー車両を決定した後、前記局側情報管理装置を介して、前記視聴側端末装置にタクシー配車に関する情報を含む信号を送信することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のケーブルテレビによるタクシー利用システム。
【請求項8】
前記タクシー配車に関する情報は、タクシー配車要請の確認メッセージ、配車されるタクシーの識別番号、タクシー乗車地へのタクシーの到着予定時刻、および目的地までの乗車運賃から選ばれる少なくとも1つの情報を含むことを特徴とする請求項7に記載のケーブルテレビによるタクシー利用システム。
【請求項9】
タクシーの利用を希望するタクシー利用者によって携帯可能な情報端末に入力された情報に基づいて、前記携帯可能な情報端末と、前記局側情報管理装置または配車センター側情報管理装置との間でタクシーの利用に関する情報を交換し、前記タクシーの利用に関する情報に基づいて、前記配車センター側情報管理装置は、タクシーの配車の手配を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のタクシー利用システム。
【請求項10】
前記局側情報管理装置は、前記配車センター側情報管理装置からタクシーの乗車運賃に関する情報を通知され、前記乗車運賃を前記視聴者に請求して前記乗車運賃の決済を行なうことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のタクシー利用システム。
【請求項11】
前記タクシー利用に関する情報は、配車されるタクシー車両の運転者、タクシー車両の車種、およびタクシー利用者が希望するサービスに関する情報を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のタクシー利用システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−293713(P2006−293713A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113900(P2005−113900)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(502365221)東京無線協同組合 (2)
【出願人】(505134327)株式会社 ジェイコム東京 (1)
【Fターム(参考)】