説明

ゲルマニウム蒸着シート

【課題】耐候性に優れるゲルマニウム蒸着層が形成されたゲルマニウム蒸着シートを提供する。
【解決手段】基材シートにゲルマニウムの蒸着層が形成され、かつ前記ゲルマニウム蒸着膜に水素処理による水素処理層が形成されたことを特徴とする。前記水素処理層によって、ゲルマニウム蒸着膜に水素原子が含有されるため、酸化劣化に対する耐性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材シートに水素処理されたゲルマニウム薄層膜が形成されたことを特徴とするゲルマニウム蒸着シートに関し、より詳細には、ゲルマニウム蒸着膜に水素プラズマ処理による水素処理層が形成され、これにより耐候性に優れるゲルマニウム蒸着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体を皮膚に接触させるとサーモグラフィーやレーザスペックル血流計を用いた測定により血流が増加することが認められることから、筋肉痛や肩こりなどの治療に、ゲルマニウムの結晶をプラスターで皮膚に固定するゲルマニウム治療具が使用されている。
【0003】
例えば、シート状の支持体の表面をゲルマニウムの薄膜で被覆したゲルマニウムシートからなるゲルマニウム貼着片がある(特許文献1)。ゲルマニウム薄膜は、真空蒸着、スパッタリングなどの手段で形成される旨が記載されている。
【0004】
また、人体の皮膚表面に接触可能な、ゲルマニウム半導体薄膜やシリコン半導体薄膜などのp型半導体からなる半導体治療剤がある(特許文献2)。特にp型半導体によって顕著な効果が得られるとするもので、円盤状やリング状のセラミックス、プラスチック、ガラス、または金属の成形体表面に、蒸着、スパッタリング、CVDなどでp型半導体の薄層を形成し、p型半導体の粉末を使用する、という。実施例では、アルミニウム0.2%添加ゲルマニウム粉末をパック基材中に混練している。なお、p型シリコン半導体についてのみ、直径6mm、高さ1.5mmの円柱上に更に高さ1mmの円錐を設けた酸化チタンを用いたセラミックス成形体に、硼素200ppmドープp形シリコンを使用して、スパッタリング法により厚さ10オングストロームの薄膜を形成している。
【0005】
また、III族原子の不純物を所定量含有するP型ゲルマニウムを有する当接体とこの当接体を皮膚に接触した状態で固定するとめ具とを備える、ゲルマニウム健康治療具もある(特許文献3)。サポータなどの内側にP型ゲルマニウムの微細な粒子を混在させた接着剤を塗布して当接体を調製している。
【0006】
また、基布の片面に粉末ゲルマニウムを混入してなる薬剤を塗布形成された貼付剤であって、塗布された薬剤層の周囲に、適宜細幅で粘着剤を含む薬剤の塗布層が形成され、前記薬剤層には多数の通気部が分布形成されている粉末ゲルマニウム含有外用剤もある(特許文献4)。長時間の貼着状態によって皮膚が蒸れて炎症を起こし易くなる点に鑑みてなされたものであり、織成密度の高い材料を使用して基布の伸びを抑制して良好な製品を製造し、その際、薬剤の周囲に粘着剤を含む薬剤の塗布層を形成し、および通気部を形成することで、蒸れを防止するというものである。薬剤層は、基剤に粉末ゲルマニウムを適量混和したものを使用し、粘着剤を混和したものであり、基布に塗工ロールなどによって塗工している。
【0007】
また、上面に粘着剤が塗布された絆創膏上に、治療用接触粒が接着される治療用接触粒貼付シートであって、その上面に粘着剤層が形成され、治療用接触粒の上部が露出される係留穴が形成される固着シートとを備え、前記治療用接触粒に対して前記固着シートの係留穴によって治療用接触粒の上部が露出された状態で絆創膏上面に固着シートの下面が接着される治療用接触粒貼付シートもある(特許文献5)。ゲルマニウム粒は、粉状にしたゲルマニウムをシリコンに混練して突起形状に成型し、粘着シート上に貼り付けるものであるが、シリコンも磁石と同様に接着に難点があるため剥がれることに鑑みてなされたものであり、これにより、磁石をゲルマニウム粒を粘着シート上に強固に固定することができる、という。
【特許文献1】実開昭62−15351号公報
【特許文献2】特開平5−337192号公報
【特許文献3】特開2000−33126号公報
【特許文献4】特開2007−39369号公報
【特許文献5】特開2007−330371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、ゲルマニウム薄膜は、真空蒸着、スパッタリングなどの手段で形成される旨が記載されているが、蒸着方法に関する記載は存在しない。
また、ゲルマニウムは大気中の酸素によって酸化され、内服により毒性が知られている酸化ゲルマニウムに変化しやすい。したがって、このような耐候性を向上させ、酸化ゲルマニウムへの変換を防止し、または抑制できることが好ましい。
【0009】
一方、ゲルマニウムは、サーモグラフィーやレーザスペックル血流計を用いた測定により血流が増加することが認められることから、特許文献1〜5に示すように、肩こりや筋肉痛などの治療に使用されている。この際、ゲルマニウムは皮膚へ貼着して使用されるため、長期間の使用によって皮膚から発散する汗によってゲルマニウム層が剥離する場合がある。また、本来、ゲルマニウムは基材との接着性が低く、このため、特許文献5に示すようにシリコンを使用したり、係留穴を形成した固着シートなどを使用してはがれを防止する必要がある。このため、ゲルマニウム層を密着性高く蒸着する技術が望まれるが、十分ではない。
【0010】
また、ゲルマニウムは産地が限定された天然鉱物資源で極めて高価であり、資源の枯渇を防ぐためにも、有効に利用する必要性が高い。しかしながら、特許文献2〜5に示すように、ゲルマニウムとして粉末や粒子が使用されることが一般的であり、より使用量を低減しうるゲルマニウム蒸着シートの開発が望まれる。
【0011】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ゲルマニウム蒸着層に水素処理を行うことで、耐候性が向上したゲルマニウム蒸着シートを提供することを目的とする。
また、本発明は、密着性および耐水性高く、基材シートに蒸着したゲルマニウム蒸着シートを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、通気性に優れ、必要なときに必要なだけ使用でき、使用後に廃棄して衛生面の安全性を確保できる、ゲルマニウム蒸着シートを提供することを目的とする。
また、粘着剤層を形成することで、容易に皮膚などに貼着でき、ゲルマニウム治療具として使用することができるゲルマニウム蒸着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、ゲルマニウム蒸着シートについて詳細に検討した結果、ゲルマニウム蒸着膜に水素処理を行うと耐候性を向上しうること、このような水素処理として水素プラズマ処理を行うことができること、ゲルマニウム蒸着層の形成後に水素プラズマ処理を同一ライン上で行うことで生産効率を向上しうること、耐候性の向上によって安全性の高いゲルマニウム蒸着シートを提供できることを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
即ち、本発明は、基材シートにゲルマニウムの蒸着層が形成され、かつ前記ゲルマニウム蒸着膜に水素処理がなされた水素処理層が形成されることを特徴とする、ゲルマニウム蒸着シートを提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ゲルマニウム蒸着層に水素処理を行うことで、酸化劣化を防止することができ、有毒な酸化ゲルマニウムへの変換を防止し、または抑制することができ、安全性に優れる。
【0016】
本発明によれば、基材シートに予めプラズマ処理を行い、次いでゲルマニウムを蒸着することでゲルマニウム蒸着層の固着安定性に優れるゲルマニウム蒸着シートを得ることができる。
【0017】
本発明のゲルマニウム蒸着シートは、ゲルマニウムを蒸着により形成するものであり、ゲルマニウムの使用量が低減され、天然資源の有効利用に寄与しうる。
また、ゲルマニウム層に粘着剤層を積層することで容易に皮膚に貼着することができるため、基材シートに伸縮性あるシート状物を使用することで、貼着後の皮膚の屈伸に容易に対応できる柔軟性に優れるゲルマニウム蒸着シートを提供しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、基材シートにゲルマニウムの蒸着層が形成され、かつ前記ゲルマニウム蒸着膜に水素処理がなされた水素処理層が形成されることを特徴とする、ゲルマニウム蒸着シートである。前記基材シートは、表面にプラズマ処理面を有し、このプラズマ処理面に前記ゲルマニウム蒸着層が形成されたものであってもよい。以下、本発明のゲルマニウム蒸着シートを詳細に説明する。
【0019】
(1)ゲルマニウム蒸着シートの構成
本発明のゲルマニウム蒸着シートは、図1に示すように、基材シート(10)の上にゲルマニウムの蒸着層(20)が形成され、その表面に水素処理層(23)が形成される。この際、図2に示すように、基材シート(10)にプラズマ処理によってプラズマ処理面(13)を形成し、前記プラズマ処理面にゲルマニウムの蒸着層(20)を形成することで、基材シート(10)とゲルマニウム蒸着層(20)との密着性を向上させることができる。
【0020】
本発明のゲルマニウム蒸着シートは、図3(a)や図3(b)に示すように、前記ゲルマニウム蒸着層(20)の上に形成した水素処理層(23)の上に、更に粘着剤層(30)を積層してもよい。粘着剤層(30)を介して皮膚などに接着することができ、ゲルマニウム蒸着層(20)による効果を得ることができる。なお、粘着剤層(30)は、基材シート側に形成することもできる。例えば、図4(a)や図4(b)に示すように、上記ゲルマニウム薄層シートの基材シート(10)側に、前記基材シート(10)を被覆するように粘着剤層(30)を形成してもよい。粘着剤層(30)を介して皮膚に接着させ、ゲルマニウム蒸着層(20)の効果を得ることができる。なお、図4(a)や図4(b)に示すように、粘着剤層(30)は、粘着基材シート(33)に積層されたものであってもよい。
【0021】
なお、粘着剤層(30)を形成した場合には、剥離シート(40)を積層することが好ましい。この際、図5(a)や図5(b)に示すように、ゲルマニウム蒸着層(20)側に形成した粘着剤層(30)には、粘着剤層(30)の全範囲を被覆する剥離シート(40)を形成する。また、図6(a)や図6(b)に示すように、基材シート(10)側に粘着剤層(30)を形成した場合には、粘着剤層(30)のみならず、水素処理層(23)を被覆するように剥離シート(40)を積層することが好ましい。これにより、粘着剤層(30)と共にゲルマニウム蒸着層(20)をホコリなどから保護することができる。
【0022】
(2) 基材シート
本発明のゲルマニウム蒸着シートを構成する基材シートとしては、プラズマ処理やゲルマニウム蒸着処理を受けるに足る機械的、物理的、化学的強度を有し、特に前記蒸着膜の特性を損なうことなく良好に保持し得る基材シートを使用することが好ましい。
【0023】
このような基材シートとしては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂からなるフィルムを使用することができる。特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムが好ましい。
【0024】
なお、上記樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数10%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
【0025】
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を任意に使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0026】
上記樹脂は、上記樹脂の1種または2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて単層で製膜化したもの、または2種以上の樹脂を使用して共押し出しなどで多層製膜したもの、または2種以上の樹脂を混合使用して製膜し、テンター方式やチューブラー方式等で1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂フィルムを使用することができる。
【0027】
また、シートなどの平板のほか、上記樹脂からなる繊維で構成された織物や編物、不織布であってもよい。また、基材シートは、伸縮性を有していてもよく、このような伸縮性を有する基材シートとしては、ポリウレタンフィルム、ポリエステルエラストマーフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリウレタン不織布、ポリエステルエラストマー不織布、熱可塑性ポリオレフィン不織布その他がある。なお、前記編物としては、平編、ゴム編、パール編、両面編、タック編、浮き編、レース編などがあり、編み物を構成することで、伸縮性を確保することができる。また、本発明では、上記プラスチックシートのほか、麻、木綿、絹などの動植物繊維の織物や編み物、不織布、その他の可撓性を有する物質からなるシートであってもよい。なお、いずれの材質の場合であっても、織物や編物、不織布の場合には、構造上ゲルマニウム蒸気が繊維内に浸透しやすいため、予め目止め層などを形成することが好ましい。
【0028】
上記基材シートは、通気性を有していてもよく、例えば、上記平板の場合には、複数の微細な貫通孔が形成されていてもよい。
本発明で使用する、基材シートの厚さは、60〜100μmが好ましく、より好ましくは9〜50μmである。基材シートは平板状のプラスチックシートであってもよく、平板は、長尺のテープ状であってもよい。
【0029】
(3)プラズマ処理
本発明では、上記基材シートに予めプラズマ処理を行うことができ、これによって基材シートとゲルマニウム蒸着層との密着性を向上させ、皮膚に貼着した場合でも、汗や湿気などの水分に対する耐性を向上させることができる。表面処理としては、コロナ放電処理、オゾン処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理その他があるが、本発明では、特にプラズマ処理によって基材シートとゲルマニウム蒸着層との密着性を向上させ、かつ耐水ラミネート強度を向上させうることが好ましい。
【0030】
本発明において、基材シートに対するプラズマ処理としては、酸素ガス、窒素ガス、またはこれらの混合ガスを含む無機ガスを供給してなるプラズマガスが好ましい。更に、アルゴンやヘリウムなどを含むものであってよい。本発明では、プラズマガスとして、特に、アルゴンガスに、酸素ガス、窒素ガス、または、酸素ガスと窒素ガスとの混合ガスを加えたものをプラズマガスとして使用してプラズマ処理を行なうことが好ましい。より低い電圧でプラズマ処理を行なうことが可能であり、これにより、基材シートの表面の変色等を生じることが無く、かつ密着性を向上させることができるからである。なお、アルゴンと酸素との混合ガスをプラズマガスとして使用することで、基材シートの表面にOH基等を導入することができ密着性を向上しうることは知られているが、本発明では酸素を含まない場合でも基材シートとゲルマニウム蒸着層との密着性を向上しうる点に特徴がある。その理由は明確ではないが、ゲルマニウムは酸としても塩基としても反応するものを両性酸化物であるため、プロトン供与体とプロトン受容体との双方となるため、酸素ガスと窒素ガスとのいずれのプラズマガスが照射された場合でも、上記プラズマ処理によって基材シートの架橋密度等を高め、その湿度依存性等を改良しうるものと考えられる。
【0031】
具体的には、アルゴンガスと共に、酸素ガス、窒素ガス、または酸素ガスと窒素ガスとの混合ガスを供給したものを使用することが望ましく、その酸素ガスおよび/または窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスのガス圧としては、1×10-1〜10-10Torr位、より好ましくは、1×10-2〜1×10-8Torr位が望ましい。また、酸素ガスおよび/または窒素ガスとアルゴンガスとの比率としては、分圧比で酸素ガスおよび/または窒素ガス:アルゴンガス=100:0〜30:70、より好ましくは90:10〜70:30が好ましい。上記の酸素ガスおよび/または窒素ガスとアルゴンガスとの分圧比において、アルゴンガス分圧が高くなると、プラズマで活性化される酸素分子や窒素分子が少なくなり、表面改質効果が低下する場合がある。
【0032】
本発明において、プラズマ処理において、プラズマを発生させる方法としては、直流グロー放電、高周波(Audio Frequency:AF、Radio Frequency:RF)放電等の装置を利用して行うことができる。本発明では、グロー放電やRF放電が好適である。
【0033】
また、そのプラズマ出力としては50〜10000W、より好ましくは、100〜5000Wが好ましい。上記のプラズマ出力が、50W未満の場合には、酸素ガスや窒素ガスの活性化が低下し、高活性の酸素原子や窒素原子が生成しにくいことから好ましくない。また、10000Wを越えると、プラズマ出力が高すぎるため、基材シートが劣化する場合がある。
【0034】
更にまた、その処理速度としては、10〜1000m/min、より好ましくは、100〜600m/minである。上記の処理速度が、10m/min未満であると、プラズマ出力が高すぎるため、基材シートが劣化する場合がある。また、生産性が非常に悪い。一方で、1000m/minを超えると、プラズマ処理が不十分のまま搬送されてしまう点で不利である。
(4)ゲルマニウム蒸着層
本発明では、基材シートにゲルマニウム蒸着層を形成する。基材シートが上記したプラズマ処理を行った場合には、このプラズマ処理面にゲルマニウムを蒸着する。ゲルマニウム蒸着層は、ゲルマニウムを蒸着源として物理気相成長法で行うことが好ましい。
【0035】
このような物理気相成長法として、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)などがある。本発明では、真空蒸着法やスパッタリング法によって、ゲルマニウム蒸着層を形成することができ、より好ましくは真空蒸着法である。
【0036】
例えば、ゲルマニウムを原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを基材シートの一方の上に蒸着する。なお、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
【0037】
物理気相成長法による蒸着膜を形成する方法について、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図を示す図7を参照して説明する。
まず、巻き取り式真空蒸着装置241の巻き取りチヤンバー242a内で、巻き出しロール243から基材シート201を繰り出し、これをガイドロール244、245を介して、冷却したコーティングドラム246に案内する。上記の冷却したコーティングドラム246上に案内された基材シート201の上に、巻き取りチヤンバー242b内のるつぼ247で熱せられた蒸着源248、即ちゲルマニウムの蒸気を、マスク250、250を介して蒸着させる。次いで、例えば、前記蒸着膜を形成した基材シート201を、ガイドロール251、252を介して送り出し、巻き取りロール253に巻き取ると物理気相成長法による蒸着膜を形成することができる。
【0038】
本発明では、前記したコーティングドラム246を温度−30℃〜20℃に冷却することで、プラスチック基材シートにもゲルマニウム蒸着層を形成することができる。この際、基材シートの供給速度としては、10〜1000m/min、より好ましくは、100〜600m/minである。
【0039】
巻き取りチヤンバー内の真空度は、1×10-2Torr、より好ましくは1×10-3TorrTorr以下である。1×10-2Torrより高いとゲルマニウム蒸着層に不純物が入る可能性がある。なお、蒸着源のゲルマニウムは、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等で加熱して蒸気化するが、本発明ではエレクトロンビーム加熱方式(EB)で加熱することが好ましい。
【0040】
本発明では、上記巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず第1層の蒸着膜を形成し、次いで、その上に蒸着膜を更に形成し、または、上記巻き取り式真空蒸着装置を2連に連接し、連続的に蒸着膜を形成して、2層以上の多層膜からなる前記蒸着膜を形成してもよい。
【0041】
なお、前記蒸着膜の膜厚は、50〜2000Å、好ましくは、100〜1000Åの範囲内で任意に選択することができる。2000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生する場合があり、一方、50Å未満であると、ゲルマニウムの効果を奏することが困難になる場合がある。なお、膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメーター法で測定することができる。また、蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくする方法、すなわち、モノマーガスと不活性ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
【0042】
本発明において、上記の蒸着膜は、例えばX線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析し、蒸着膜の元素分析を行うことで、上記の物性を確認することができる。
【0043】
(5)水素処理
本発明では、前記ゲルマニウム蒸着層に、水素処理を行い水素処理層を形成する。水素処理層の形成によってゲルマニウムへの酸化劣化を防止しうるからである。
【0044】
このような水素処理としては、電気的還元処理、化学的還元処理、水素プラズマ処理などがあるが、本発明ではゲルマニウム蒸着層に減圧雰囲気下で水素プラズマを照射する水素プラズマ処理を行うことが好ましい。耐候性に優れ、かつゲルマニウム蒸着ラインと同一ラインで処理しうるからである。水素プラズマ処理によって耐候性を向上しうる理由は明確ではないが、水素原子が、ゲルマニウム蒸着層を構成するゲルマニウムの結晶粒界や結晶粒内における欠陥を終端させ、または不活性化させることで酸化反応を抑制することができ、これにより耐候性が向上するものと考えられる。
【0045】
具体的には、水素ガスを供給し、雰囲気を1×10-1〜10-10Torr位、より好ましくは、1×10-2〜1×10-8Torrの減圧雰囲気下にする。なお、水素プラズマ処理に際しては、アルゴンガスやヘリウムガスなどの不活性ガスを混在させてもよい。また、水素ガスと不活性ガスとの比率としては、分圧比で水素ガス:不活性ガス=100:0〜20:80、より好ましくは95:5〜40:60が好ましい。上記の水素ガスと不活性ガスとの分圧比において、不活性ガス分圧が高くなると、プラズマで活性化される水素分子が少なくなり、水素処理効果が低下する場合がある。
【0046】
本発明において、プラズマ処理において、プラズマを発生させる方法としては、直流グロー放電、高周波(Audio Frequency:AF、Radio Frequency:RF)放電等の装置を利用して行うことができる。本発明では、グロー放電やRF放電が好適である。
【0047】
例えば、グロー放電プラズマを使用する場合、プラズマ出力としては、50〜10000W、より好ましくは、100〜5000Wが好ましい。上記のプラズマ出力が、50W未満の場合には、水素ガスの活性化が低下し、高活性の水素原子が生成しにくいことから好ましくない。また、10000Wを越えると、プラズマ出力が高すぎるため、基材シートが劣化する場合がある。
【0048】
更にまた、その処理速度としては、10〜1000m/min、より好ましくは、100〜600m/minである。上記の処理速度が、10m/min未満であると、プラズマ出力が高すぎるため、基材シートが劣化する場合がある。また、生産性が非常に悪い。一方で、1000m/minを越えるとプラズマ処理が不十分のまま搬送されてしまう点で不利である。
【0049】
なお、本発明において水素処理層は、ゲルマニウムに対する水素原子含有量が1.5〜25.0原子%、より好ましくは2.5〜10.0原子%である。また、水素処理層の厚さは、50〜2000Åであることが好ましく、ゲルマニウム蒸着膜がすべて水素処理されていることが望ましい。この範囲でゲルマニウム蒸着層の耐候劣化を効果的に防止することができる。水素原子含有量は、二次イオン質量分析法によって測定することができる。
【0050】
(6)粘着剤層
本発明のゲルマニウム蒸着シートには、前記ゲルマニウム蒸着層またはプラズマ処理層の少なくとも一部に粘着剤層が積層されることが好ましい。粘着剤層を介して皮膚などへの貼着を行うことができるからである。
【0051】
粘着剤層を構成する粘着剤としては特に限定されないが、ゴム系、アクリル系、シリコーン系などの粘着剤であって、例えば、医療用粘着テープの技術分野で用いられている皮膚刺激性のないものが好ましい。
【0052】
ゴム系粘着剤としては、合成ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリブテンなどのゴム基剤に、粘着付与剤、軟化剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを配合した組成物が挙げられる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、エステルガム、アルキルフェノール樹脂などが挙げられる。粘着付与剤は、ゴム基剤100質量部に対して、好ましくは30〜150質量部の割合で用いられる。
【0053】
アクリル系粘着剤としては、ブチルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマーの単独重合体または共重合体、あるいはこれらのアクリル酸エステル系モノマーとアクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、酢酸ビニルなどの他のモノマーとの共重合体などのアクリレート系重合体を基剤とするものが挙げられる。シリコーン系粘着剤としては、シリコーンガムとシリコーンレジンを溶剤に溶解させたものが挙げられ、シリコーン共重合体が基剤となっている。
【0054】
なお、粘着剤層は、前記図4(a)、図4(b)に示すように、粘着基材シートに積層されたものであってもよい。このような粘着基材シートとしては、前記粘着剤層との接着性に優れるプラスチック基材シートや紙や布基材シートなどを例示することができる。このような粘着基材シートとしては、例えば、厚さ5〜300μmの紙基材シートのほか、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂からなる基材シートを好適に使用することができる。
【0055】
(7)剥離シート
剥離シートとしては、粘着剤層を被覆しうる従来公知の剥離シートを好適に使用することができる。例えば、剥離層用基材シートにシリコーンなどの剥離層を形成したものがある。基材シートとしは紙基材のほか、前記粘着基材シートで記載したものを同様に使用することできる。よって、剥離シートの厚さも、一般的には、3〜300μmである。
【0056】
(8)ゲルマニウム蒸着シート
本発明のゲルマニウム蒸着シートは、粘着剤層や剥離シートを積層することで、要時、剥離シートを除去して粘着剤層を露出させ、粘着剤層を介してゲルマニウム蒸着層を必要個所に貼付することができる。本発明のゲルマニウム蒸着シートは、ゲルマニウム蒸着層によって、従来のゲルマニウムの結晶をプラスターで皮膚に固定するゲルマニウム治療具などとして使用することができる。
【0057】
この際、粘着剤層は、図3に示すようにゲルマニウム蒸着層(20)側に積層してもよく、図4に示すように基材シート(10)側に積層してもよい。更に粘着剤層(30)を被覆するように剥離シート(40)を積層させることで、要時剥離シート(40)を除去してゲルマニウム蒸着層(20)を目的個所に貼着することができる。
【0058】
本発明のゲルマニウム蒸着シートは、パッチ状に切断したものであってもよいが、長尺のテープ状であってもよい。例えば、図3(a)、図3(b)に示すゲルマニウム蒸着シートの基材シート(10)の表面に、更にシリコーンなどで剥離層を積層すれば、長尺のゲルマニウム蒸着シートを粘着剤層(30)と剥離層とが接触するように巻き取り、ロール状物とすることができる。
【0059】
本発明のゲルマニウム蒸着シートは、単位面積当たりのゲルマニウムの使用量が極めて少量であるためゲルマニウムを有効利用することができ、かつ粘着力が低下した場合には廃棄すればよく皮膚に貼着使用する際に衛生的な安全性に優れる。
【実施例】
【0060】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(実施例1)
(1) ゲルマニウム蒸着シートの製造
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製、商品名「E5102」)の片面にプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件は、300m/minで移送する前記2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに、酸素流量1000sccm、アルゴン流量100〜1000sccm、ガス圧1×10-2〜1×10-1Torr、直流電圧600V、電流値10Aで発生したグロー放電プラズマを照射するというものであり、これにより2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにプラズマ処理面を形成した。
【0061】
次いで、前記プラズマ処理面に、下記蒸着条件によって、真空蒸着法による膜厚250Åのゲルマニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
巻き取りチヤンバー内の真空度:1.5×10-4Torr、
巻き取りチヤンバー内の真空度:1.5×10-2Torr、
電子ビーム電力:35kW、
フィルムの搬送速度:300m/分、
次いで、前記ゲルマニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、水素ガスを使用し、ガス圧4.5×10-2Torr、処理速度300m/minで水素ガスプラズマ処理を行い、ゲルマニウム蒸着層の表面200Åに水素処理を施し、水素処理層を形成した。得られた蒸着シートをゲルマニウム蒸着シート(I)とする。
【0062】
(2) 膜中水素含有量の測定
ゲルマニウム蒸着シート(I)の水素処理層について、二次イオン質量分析法によって、室温での膜中水素含有量を算出した。
【0063】
次いで、上記ゲルマニウム蒸着シート(I)を85℃、85%Rhの環境下で100時間保存試験を行った。保存試験後に、前記水素処理層をESCAで元素分析を行い、保存試験後の酸素元素比を求めた。結果を表1に示す。
【0064】
(3) ラミネート強度測定
上記ゲルマニウム蒸着シート(I)の常温ラミネート強度と耐水ラミネート強度を下記方法で評価した。結果を表2に示す。
【0065】
(i)常温ラミネート強度
上記ゲルマニウム蒸着シート(I)のゲルマニウム蒸着層に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤をグラビアロールコート法を用いて厚さ4.0g/m2(乾燥状態)にコーティングしてラミネート用粘着剤層を形成した。次いで、該ラミネート用粘着剤層の面に、厚さ40μmの無延伸ポリエチレンフィルムをドライラミネートして積層して、積層材を製造した。
【0066】
この積層材のラミネート強度を測定した。なお、ラミネート強度は、テンシロン測定器を使用し、試験片15mmの端部を剥がしてツマミを形成し、90度剥離により50mm/分の剥離速度で測定し、15mm当たりの剥離強度(単位:N/15mm)で評価した。
【0067】
(ii)耐水ラミネート強度
上記(i)と同様に積層材を製造した。テンシロン測定器を使用し、試験片15mm、剥離速度50mm/分で剥離する際に、剥離界面にスポイトで水滴を垂らし、10秒経過後にラミネート強度を測定し、耐水ラミネート強度の評価とした。
【0068】
(4) 実使用での密着性評価
前記ゲルマニウム蒸着シート(I)のゲルマニウム蒸着層に、粘着剤層として、住友スリーエム株式会社医療用両面テープ、商品名「1577」を貼着させ、剥離シートを台紙とする粘着剤層付きゲルマニウム蒸着シートを製造した。
【0069】
この粘着剤層付きゲルマニウム蒸着シートを直径20mmの円形に切り抜き、前記剥離シートを除去して肩部に貼り付けた。
24時間経過後に、各シートを肩部から剥がし、基材シートとゲルマニウム蒸着層間での剥離状態を評価した。結果を表2に示す。
【0070】
(比較例1)
水素ガスによる水素処理層の形成に際し、水素ガスに代えてアルゴンガスを使用した以外は、実施例1と同様に操作してプラズマ処理層を形成した。得られた蒸着シートを、比較ゲルマニウム蒸着シート(I)とする。
【0071】
また、実施例1と同様にして、保存試験前後のゲルマニウム蒸着膜中の水素含有量を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
基材シートのプラズマ処理に代えてコロナ処理を行った以外は、比較例1と同様に操作して蒸着シートを得た。得られた蒸着シートを比較ゲルマニウム蒸着シート(II)とする。
【0072】
また、実施例1と同様にして、積層材を調製し、実施例1と同様にして常温ラミネート強度と耐水ラミネート強度を評価した。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして粘着剤層付きゲルマニウム蒸着シートを製造し、24時間肩部に貼着使用した後の剥離状態を評価した。結果を表2に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

(結果)
(1) 実施例1と比較例1の保存試験前のゲルマニウム蒸着膜中の原子含有量の結果から明らかなように、ゲルマニウム蒸着層に水素ガスをプラズマガスとするプラズマ表面処理を行うと、ゲルマニウム蒸着層に水素原子を導入することができる。
【0075】
(2) 実施例1と比較例1の保存試験前後のゲルマニウム蒸着膜中の原子含有量の結果に示されるように、ゲルマニウム蒸着層の水素原子の含有量が多いと保存試験後の酸素原子の含有量が低く、ゲルマニウム蒸着膜に導入された水素原子によってゲルマニウム原子の酸化が防止されることが明らかである。
【0076】
(3) 実施例1と比較例2の結果から明らかなように、基材シートに、アルゴンガスと共に酸素ガスを供給してプラズマ処理を行うと、ゲルマニウム蒸着層と基材シートとの密着性に優れ、かつ耐水性も向上することが判明した。なお、表2に示す「基材破断」とは、ラミネート強度を測定する際に、基材シートとゲルマニウム蒸着層との層間での剥離や、ドライラミネート層での剥離が発生せず、基材シートが破断するほど、密着力が高いことを示すものである。このように実施例1のゲルマニウム蒸着シートは密着力および耐水ラミネート強度に優れるため、24時間肩部に貼着すると層間での剥がれがなく、良好に使用することができた。なお、比較例2のものは、24時間の肩部での貼着によって層間での剥がれが発生した。
【0077】
(4) 比較例2は、基材シートに表面処理としてコロナ処理を行ったものであるが、プラズマ処理と比較して明らかに、基材シートとゲルマニウム蒸着層との密着性が低いことが判明した。このことは、従来の表面処理の中で、特にゲルマニウム蒸着層とのラミネート強度の向上には、プラズマ処理が選択的に優れることを示すものである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のゲルマニウム蒸着シートは、ゲルマニウム蒸着層の耐候性に優れ、ゲルマニウム健康器具などとして有用に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、本発明のゲルマニウム蒸着シートの層構造を説明する図であり、ゲルマニウム蒸着層が水素処理によって水素処理層(23)を形成した態様を示す断面図である。
【図2】図2は、図1のゲルマニウム蒸着シートの基材シート(10)がプラズマ処理(13)されたゲルマニウム蒸着シートを示す断面図である。
【図3】図3は、本発明のゲルマニウム蒸着シートに粘着剤層が積層された態様を示す断面図であり、図3(a)はゲルマニウム蒸着層(20)の上に形成された水素処理層(23)に粘着剤層が形成され、図3(b)は、ゲルマニウム蒸着層(20)が前記基材シート(10)に形成されたプラズマ処理層(23)の上に形成されたゲルマニウム蒸着シートの断面図である。
【図4】図4は、本発明のゲルマニウム蒸着シートに粘着剤層が積層された態様を示す断面図の他の態様であり、ゲルマニウム薄層シートの基材シート(10)側に粘着剤層(30)が形成された場合を示す。なお、粘着剤層(30)には、更に粘着基材シート(33)が積層された態様となっている。
【図5】図5は、本発明のゲルマニウム蒸着シートに粘着剤層(30)が積層され、更に粘着剤層に剥離シートが積層された態様を示す断面図であり、ゲルマニウム蒸着層(20)側に粘着剤層(30)および剥離シート(40)が形成される態様を示す。
【図6】図6は、本発明のゲルマニウム蒸着シートに粘着剤層が積層され、更に粘着剤層に剥離シートが積層された態様を示す断面図の他の態様であり、基材シート(10)側に粘着剤層(30)が形成され、前記粘着剤層(30)と水素処理層(23)を被覆するように剥離シート(40)が積層される態様を示す断面図である。
【図7】巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
【符号の説明】
【0080】
10・・・基材シール、
13・・・プラズマ処理面、
20・・・ゲルマニウム蒸着層、
23・・・水素処理層、
30・・・粘着剤層、
33・・・粘着基材シート、
40・・・剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートにゲルマニウムの蒸着層が形成され、かつ前記ゲルマニウム蒸着膜に水素処理がなされた水素処理層が形成されることを特徴とする、ゲルマニウム蒸着シート。
【請求項2】
前記水素処理が、減圧雰囲気下での水素プラズマ処理であることを特徴とする、請求項1記載のゲルマニウム蒸着シート。
【請求項3】
前記基材シートは表面にプラズマ処理面を有し、このプラズマ処理面に前記ゲルマニウム蒸着層が形成されたことを特徴とする、請求項1または2記載のゲルマニウム蒸着シート。
【請求項4】
前記基材シートのプラズマ処理が、酸素ガス、窒素ガス、またはこれらの混合ガスを含む無機ガスからなるプラズマガスによることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のゲルマニウム蒸着シート。
【請求項5】
前記ゲルマニウムの蒸着層が、物理気相蒸着法で形成されたゲルマニウム蒸着層である、請求項1〜4のいずれかに記載のゲルマニウム蒸着シート。
【請求項6】
前記基材シートが、プラスチック平板からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のゲルマニウム蒸着シート。
【請求項7】
前記ゲルマニウム蒸着層またはプラズマ処理層の少なくとも一部に粘着剤層が積層された、請求項1〜6のいずれかに記載のゲルマニウム蒸着シート。
【請求項8】
前記粘着剤層が剥離シートで被覆されることを特徴とする、請求項7記載のゲルマニウム蒸着シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−83777(P2010−83777A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252409(P2008−252409)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】