説明

ゲル状導電性組成物及び導電性部材

【課題】 高い機械強度を維持しつつ、圧縮永久歪が小さく、且つ環境温度や環境湿度の変動による電気抵抗変化の少ない、ゲル状導電性組成物を提供する。
【解決手段】 液体を含有するゴム状弾性体を構成する架橋高分子に対し、高分子が介在またはグラフト重合され、ゲル状導電性組成物本体に対する該液体の含有量が50質量%以上100質量%未満のゲル状導電性組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル状導電性組成物及び導電性部材に係り、特に、電子写真方式による複写機及びプリンタ、またはインクジェット式複写機及びプリンタなどの画像形成装置の現像ブレード、帯電ロール、現像ロール、トナー規制ロール、さらには中間転写ロール、又は中間搬送ベルトの帯電・除電・クリーニングに用いられるクリーニングロール・ブレード等に用いて好適なゲル状導電性組成物及び導電性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザプリンタなどの電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置には、電荷平坦化、除電及び帯電をするために、現像ブレード、帯電ロール、現像ロール、トナー規制ロール、さらには中間転写ロール、又は中間搬送ベルトの帯電・除電・クリーニングに用いられるクリーニングロール・ブレード等に導電性部材を用いている。このような導電性部材としては、ゴム状弾性体としての性質を有するように、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、SBRスチレンブタジエンゴム)、ウレタンゴム、シリコンゴム、及びノーソレックス等が用いられている。
【0003】
導電性部材は、ポリウレタンやエピクロルヒドリンゴム等のゴム基材に、導電剤を添加することにより所定の電気抵抗を有し、導電性カーボンブラックなどの導電剤を添加した電子導電タイプ、過塩素酸リチウムなどのアルカリ金属塩を添加したイオン導電タイプ(例えば、特許文献1〜4参照)、及びこれらを併せたハイブリッドタイプ(例えば、特許文献5〜7参照)が知られている。
【0004】
ここで、導電部材は、画像形成装置の帯電、現像、及び転写工程等において、感光体ドラム等の被接触部材に圧接または当接されて用いられるが、各ロールと非接触部材との接触領域のニップ幅を各工程に応じた適切な値にするためには、各ロールを構成する導電性部材のゴム硬度を各工程に応じた適正な値とする必要があると共に、機械強度を維持し且つ圧縮永久歪みを小さくする必要がある。
【0005】
しかし、ゴム基材に導電性カーボンブラックを導電剤として添加すると、ゴム硬度の上昇により機械強度は維持できるものの、ゴム状弾性体としての特性が失われ、破壊されてしまうおそれがあると共に、各ロールと非接触部材との接触領域のニップ幅を適正な値とすることができない、という問題がある。また、帯電、現像、及び転写工程等においては、各ロールには電圧が印加されるが、各ロールへの高電圧印加により電気的、または物理的破壊が起こるという問題がある。
このような問題に対応するために、オイルや可塑剤等の軟化剤を添加する方法が考えられるが、軟化剤を添加すると、ゴム硬度を下げることは出来るが、各工程において、感光体ドラム等の被接触部材を汚染するという問題がある。
【0006】
一方、ゴム基材に、導電剤として4級アンモニウム塩等の帯電防止剤やアルカリ金属等の有機および無機電解質などのイオン導電剤を添加した場合には、ゴム硬度の上昇という問題は発生しないが、環境温度及び環境湿度の変動により、電気抵抗値が変動するという問題がある。特に、低温低湿度環境では、電気抵抗値が上昇するという問題がある。
【0007】
特許文献8には、導電剤として少なくとも一種のイオン性液体を含有する未加硫ゴムからなる中抵抗ゴム組成物が示され、特許文献9には、導電剤として少なくとも一種のイオン性液体を含有するゴム状弾性体からなる導電性ゴム部材をコア部材の周囲に設けた導電性ロールが提案されている。特許文献8及び特許文献9の技術によれば、イオン性液体の含有量によりゴム硬度を調整することができる。
【特許文献1】特開平05−173409号公報
【特許文献2】特開平05−281831号公報
【特許文献3】特開平10−045953号公報
【特許文献4】特開平10−039582号公報
【特許文献5】特開平06−035298号公報
【特許文献6】特開平08−179592号公報
【特許文献7】特開2000−214659号公報
【特許文献8】特開2003―192845号公報
【特許文献9】特開2003―202722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献8及び特許文献9の技術により、イオン性液体の含有量によってゴム硬度を調整することはできるものの、ゴム硬度はゴム状弾性体の性状に強く依存するため、必要なゴム硬度を達成するにはイオン性液体の使用量を多くする必要があると共に、これらの技術では、機械強度を維持しつつ圧縮永久歪みを小さくすることは困難であった。また、環境温度や環境湿度の変動による電気抵抗変化の低減の解決には至っていない。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、高い機械強度を維持しつつ、ゴム硬度の調整が容易で、圧縮永久歪が小さく、且つ環境温度や環境湿度の変動による電気抵抗変化の少ない、ゲル状導電性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、液体を含有するゴム状弾性体を構成する架橋高分子に対し、高分子が介在またはグラフト重合され、吸液量が50%以上のゲル状導電性組成物とすることによって、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
<1> 液体を含有するゴム状弾性体を構成する架橋高分子に対し、高分子が介在またはグラフト重合され、ゲル状導電性組成物本体に対する該液体の含有量が50質量%以上100質量%未満であることを特徴とするゲル状導電性組成物である。
【0011】
<2> 前記ゴム状弾性体は、液体及び導電剤を含有する<1>に記載のゲル状導電性組成物である。
<3> 前記架橋高分子の架橋点が微粒子であることを特徴とする<1>または<2>に記載のゲル状導電性組成物である。
【0012】
<4> 前記架橋高分子が、イオン性高分子である<1>乃至<3>の何れか1つに記載のゲル状導電性組成物である。
<5> 前記架橋高分子が、イオン性高分子を含む<1>乃至<3>の何れか1つに記載のゲル状導電性組成物である。
【0013】
<6> 前記架橋高分子が、ノニオン性高分子であることを特徴とする<1>乃至<3>の何れか1つに記載のゲル状導電性組成物である。
<7> 前記架橋高分子に介在またはグラフト重合されている高分子が、イオン性高分子であることを特徴とする<1>乃至<6>の何れか1つに記載のゲル状導電性組成物である。
【0014】
<8> 前記架橋高分子に介在またはグラフト重合されている高分子が、イオン性高分子を含むことを特徴とする<1>乃至<6>の何れか1つに記載のゲル状導電性組成物である。
<9> 前記架橋高分子に介在またはグラフト重合されている高分子は、ノニオン性高分子であることを特徴とする<1>乃至<6>の何れか1つに記載のゲル状導電性組成物である。
【0015】
<10> 前記架橋点となる微粒子の粒径が1μm以下である<3>乃至<9>の何れか1つに記載のゲル状導電性組成物である。
<11> 前記液体が、水、水溶性有機溶媒、または水と水溶性有機溶媒とを混合した液体であることを特徴とする<1>乃至<10>の何れか1つに記載のゲル状導電性組成物である。
【0016】
<12> 前記液体が、非水溶性有機溶媒であることを特徴とする<1>乃至<10>の何れか1つに記載のゲル状導電性組成物である。
<13> 前記液体が、イオン性液体であることを特徴とする<1>乃至<12>の何れか1つに記載のゲル状導電性組成物である。
【0017】
<14> 前記液体は、イオン性液体を含む<1>乃至<12>の何れか1つに記載のゲル状導電性組成物である。
<15> 上記<1>乃至<14>の何れか1つに記載のゲル状導電性組成物が、板状に成形された導電性部材である。
【0018】
<16> 上記<1>乃至<14>の何れか1つに記載のゲル状導電性組成物が、導電性基材に積層された導電性部材である。
<17> ブレード状に成形された上記<15>または<16>に記載の導電性部材である。
【0019】
<18> ロール状に成形された上記<15>または<16>に記載の導電性部材である。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明のゲル状導電性組成物及び導電性部材によれば、ゲル状導電性組成物を、液体を含有するゴム状弾性体を構成する架橋高分子に対し、高分子が介在またはグラフト重合され、ゲル状導電性組成物本体に対する該液体の含有量が50質量%以上100質量%未満とすることによって、高い機械強度を維持しつつ、ゴム硬度の調整が容易で、圧縮永久歪が小さく、且つ環境温度や環境湿度の変動による電気抵抗変化の少ない、ゲル状導電性組成物を提供することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[ゲル状導電性組成物]
本発明のゲル状導電性組成物は、液体を含有するゴム状弾性体を構成する架橋高分子に対し、高分子が介在またはグラフト重合され、ゲル状導電性組成物本体に対する該液体の含有量が50質量%以上100質量%未満であることを特徴としている。
【0022】
本発明のゲル状導電性組成物は、上記構成としたことにより、機械強度が高く、ゴム硬度の調整が容易で、圧縮永久歪が小さく、且つ環境湿度の変動による電気抵抗の変化の少ない、ゲル状導電性組成物を提供することができる。
すなわち、液体を含有するゴム状弾性体を構成する架橋高分子に対し、高分子が介在されているか、またはグラフト重合されていることによって、ゲル状導電性組成物は、機械的強度が高く且つ低摩擦特性を有する。また、ゲル状導電性組成物本体に対する液体の含有量を50質量%以上100質量%未満とすることにより、高い機械強度を維持しつつ、ゴム硬度の調整が容易で、圧縮永久歪が小さく、且つ環境温度や環境湿度の変動による電気抵抗変化の少ない、ゲル状導電性組成物を提供することができる。また、ゲルの特性として、形成時の容器表面と同様の表面を形成するため、表面粗さがないゲル状導電性組成物を作製することができる。
【0023】
以下、本発明におけるゲル状導電性組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
<架橋高分子、及び架橋高分子に対し介在またはグラフト重合される高分子>
本発明のゲル状導電性組成物は、架橋高分子の構造内に、モノマーを重合させたものであってもよく、高分子が介在されたものであってもよい。また、架橋高分子に対して、グラフト重合された高分子であってもよい。
本発明に用いられる架橋高分子、及び架橋高分子に対し介在またはグラフト重合される高分子各々は、カルボン酸基、スルフォン酸基、硫酸基、リン酸基等の酸基のアニオン成分、またはアミノ基、4級アミノ基等のカチオン成分を含有する。すなわち、本発明に用いられる架橋高分子、および架橋高分子に対し介在またはグラフト重合される高分子は、イオン性高分子、またはノニオン性高分子である。なお、本発明に用いられる架橋高分子、および架橋分子に対し介在またはグラフト重合される高分子は、イオン性高分子を含む、またはノニオン性高分子を含むものであってもよい。
【0024】
本発明に使用されるイオン性高分子は、カルボン酸基、スルフォン酸基、硫酸基、リン酸基等の酸基のアニオン成分やアミノ基、4級アミノ基等のカチオン成分を含む高分子であり、これらの各成分は下記モノマーを用いて合成することができる。
【0025】
酸基の具体例としては、(メタ)アクリル酸;マレイン酸;フマル酸;イタコン酸;クロトン酸;ビニルスルホン酸;ビニルベンゼンスルホン酸;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなアクリルアミドアルキルスルホン酸;2−アクリロイルエタンスルホン酸、2−アクリロイルプロパンスルホン酸、2−メタクロイルエタンスルホン酸等のような(メタ)アクリロイルアルキルスルホン酸;等が挙げられる。
アミノ基や4級アミノ基等のカチオン成分を有するモノマーの具体例としては、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとその4級化物;ジエチルアミノプロピル(メタ)クリルアミドとその4級化物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物;等が挙げられる。
【0026】
本発明に使用されるノニオン性高分子は、水酸基、アミド基、及びエーテル、エステル類等の溶液中でイオンに解離しない基を含む高分子が好ましく、ノニオン成分として用いられるモノマーとしては、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタアクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチスチレン等のスチレン誘導体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;フッ素化アルキル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
【0027】
なお、これらは代表的な材料例であるため、これらに限定されるものではない。また、各モノマーは、含まれる液体(膨潤溶媒)の種類によって選択され、上記各モノマーは複数種類用いてもよい。
【0028】
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリルアミド」なる記述は、「(メタ)アクリルアミド」及び「アクリルアミド」のいずれをも含むことを意味する。
【0029】
ここで、架橋高分子の架橋点は、微粒子であることが好ましく、本発明のゲル状導電性組成物に含まれる架橋高分子と、架橋高分子に介在またはグラフト重合される高分子は、架橋点が微粒子である場合には、架橋高分子及び架橋高分子に介在またはグラフト重合される高分子の双方がノニオン性高分子、またはイオン性高分子であってもよく、また、架橋高分子の架橋点が微粒子では無い場合には、架橋高分子及び架橋高分子に介在またはグラフト重合される高分子の何れか一方がノニオン性高分子であり、他方がイオン性高分子であることが好ましい。
特に好ましいのは架橋高分子がイオン性高分子で、架橋高分子に介在またはグラフト重合される高分子がノニオン性高分子である。
【0030】
架橋高分子に対する、この架橋高分子に対して介在またはグラフト重合されている高分子割合は、要求される機械的強度、摩擦特性により決定される。また、架橋高分子の種類や架橋剤濃度、架橋点を微粒子とした場合などによって異なり、必ずしも限定されないが、高分子/架橋高分子の重量比は0.01〜5、より好ましくは0.03〜3である。
【0031】
<液体>
本発明のゴム状弾性体を構成する架橋高分子に含有される液体は、架橋高分子を膨潤させるための良溶媒であると共に、この架橋高分子に介在またはグラフト重合されている高分子が溶解する液体であればいかなる液体でもよい。このような液体としては、純水、イオン交換水、蒸留水、水道水等の水、水溶性有機溶媒、あるいはイオン交換水、蒸留水、水道水等の水と水溶性有機溶媒を混合した液体、非水溶性有機溶媒、及びイオン性液体等が用途や使用条件等に応じて適宜選択される。
【0032】
水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチツスルホキシド、ジメチルホルムアミド、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0033】
非水溶性有機溶媒としてはトルエン、キシレン、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、ポリプロピレングリコール、石油系高沸点溶剤、シリコーンオイル、及び植物油、脂肪族系有機溶媒、芳香族系有機溶媒等やこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
イオン性液体としてはイミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、アンモニウム塩、及び第3級アミンのプロトン付加によるオニウム塩等が挙げられる。これらイオン性液体は導電剤としての作用も併せ持ち他の液体と混合して用いてもよい。
【0035】
本発明のゲル状導電性組成物本体に対する該液体の含有量は、50質量%以上100質量%未満であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上である。
なお、前記含有量は、ゲル状導電性組成物本体の重量を測定した後、含有されている液体を沸点が100℃以下の液体に置換し、重量変化がなくなるまで真空乾燥器で乾燥を行い、固形分量を測定し、以下の式(1)から求めた。
【0036】
[式1]
液体の含有量=(ゲル状導電性組成物本体の重量―固形分量)÷ゲル状導電性組成物本体の重量 (1)
【0037】
液体の含有量が50質量%以下の場合、ゲル状導電性組成物のゴム硬度が上昇し、適切なゴム弾性が得られなくなる。また、液体の含有量が50質量%以下であると、液体として親水性液体を用いた場合に、湿度の影響による電気抵抗の変化が大きくなる。
【0038】
<微粒子>
本発明のゲル状導電性組成物の、液体を含有するゴム状弾性体を構成する架橋高分子の架橋点は、微粒子であることが好ましい。
本発明の架橋点となる微粒子とは、共有結合、水素結合、イオン結合、及び配位結合等を形成できる微粒子である。具体的には、少なくともアミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基、及びビニル基等の反応性官能基を有する無機材料、有機材料、及び金属材料からなる微粒子である。無機材料、金属材料などの微粒子に反応性官能基を導入する方法としては、官能基を有するシランカップリング剤で処理を行うことが一般的であり、その他に有機物でカプセル化するなどの手法が選択できる。
【0039】
微粒子の形状は円盤状、円錐状、扁球状、球状、円筒らせん状、多面体状、星状、針状、樹状などが挙られ、均一に分散できればいかなる形状でも選択できる。
【0040】
無機材料からなる微粒子(無機微粒子)の具体例としては、酸化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトボン、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン、鉛白、酸化ジルコニウム、アルミナ、マイカナイト、マイカレックス、石英、炭酸カルシウム、石膏、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、シリカ、ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、珪素土、タルク、カオリン、セリサイト、パーミキュライト、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチン白、硫酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、窒化ホウ素、及びセラミックスパウダー等が挙げられる。
【0041】
有機材料からなる微粒子(有機微粒子)の具体例としては、デンドリマー構造を有するポリマーおよび超分岐ポリマー等の樹状樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−p−キシリレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系プラスチック、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ジエン系プラスチック、ポリウレタン系プラスチック、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ヘテロ環ポリマー、シリコーン、天然ゴム系プラスチック、セルロース系プラスチック等やこれら2種類以上の高分子材料の混合材料(ポリマーブレンド)等の高分子材料等が挙げられる。
【0042】
金属材料からなる微粒子(金属微粒子)の具体例としては、亜鉛、アルメル、アンチモン、アルミニウム、アルミニウム合金、イリジウム、インジウム、オスミウム、クロム、クロメル、コバルト、ジルコニウム、ステンレス鋼、金、銀、洋銀、銅、青銅、すず、タングステン、タングステン鋼、鉄、鉛、ニッケル、ニッケル合金、ニッケリン、白金、白金ロジウム、タンタル、ジュラルミン、ニクロム、チタン、クルップ・オーステナイト鋼、コンスタンタン、真鍮、白金イリジウム、パラジウム、パラジウム合金、モリブデン、モリブデン鋼、マンガン、マンガン合金、ロジウム、及びロジウム金等が挙げられる。
上記した微粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
本発明の架橋高分子の架橋点としての微粒子の粒径としては、1次粒子の体積平均粒径で、1μm以下であることが好ましく、更に好ましくは、0.001μm〜1μmであり、特に好ましくは、0.005μm〜0.8μmである。
前記体積平均粒径は、動的光散乱法式粒度分布測定器(LB―550(ホリバ(株)製))等によって容易に測定することができる。
【0044】
架橋点となる微粒子のゴム状弾性体を構成する架橋高分子中の含有量は、架橋高分子の種類や微粒子の種類によっても異なり必ずしも限定されないが、微粒子/架橋高分子の重量比が0.01〜1、より好ましくは0.03〜0.5である。
【0045】
<導電剤>
本発明のゲル状導電性組成物に含まれる架橋高分子は、導電剤を含有することが好ましい。本発明の架橋高分子に含まれる導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。
電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、及びアセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末を挙げることができる。また、これら導電剤はゴム状弾性体を構成する架橋高分子の架橋点としての役割を併せ持ってもよい。
【0046】
また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;を挙げることができる。これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
また、その添加量は機械的強度、摩擦特性、液体の含有量、導電性により異なり必ずしも限定されないが、導電剤として電子導電剤を用いた場合には、ゴム状弾性体を構成する架橋高分子および架橋高分子に対し、混合またはグラフト重合されている高分子との総量100質量部に対して、1〜50質量部の範囲であることが好ましく、5〜35質量部の範囲であることがより好ましい。
【0048】
一方、導電剤としてイオン導電剤を用いた場合には、ゴム状弾性体を構成する架橋高分子および架橋高分子に対し、混合またはグラフト重合されている高分子との総量100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜4質量部の範囲であることがより好ましい。
【0049】
なお、本発明のゲル状導電性組成物は、ゲル状導電性組成物に含まれる架橋高分子及びこの架橋高分子に介在またはグラフト重合される高分子の双方として、ノニオン性高分子が採用され、イオン性高分子が含有されない場合には、必ず上記導電剤が含有されるように作製される。一方、架橋高分子及び架橋高分子に介在またはグラフト重合される高分子の何れか一方がイオン性高分子、またはイオン性高分子を含有する場合には、上記導電剤を必ずしも含有しなくてもよい。
【0050】
ここで、画像形成装置に含まれる一般的な像担持体としての感光体ドラムと接触して使用される用途におけるゲル状導電性部材の硬度は、アスカーC硬度で70°以下であることが好ましい。より好ましくは50°以下である。ニップ均一性のためには表面粗さは凹凸が5μm以下が好ましく、永久歪は小さいほど好ましい。アスカーC硬度が70°より高く、表面粗さが5μm以上になってしまうと被帯電体とのニップ均一性が損なわれ、画質欠陥が発生する。また、長期間の使用により例えば被帯電体表面が次第に摩耗する場合がある。また湿度の影響による電気抵抗の変化は小さいほどよく、二桁以内が好ましい。
【0051】
<導電性部材>
本発明のゲル状導電性組成物は、板状に成形することで、基材を用いずにそのままで導電性部材として用いることもできる。更に、強度、耐久性や機能の向上のために、導電性基材に含有、または導電性基材に積層してもよい。また、電子写真方式による複写機及びプリンタ、またはインクジェット式複写機及びプリンタなどの画像形成装置の現像ブレード、帯電ロール・現像ロール、トナー規制ロール、さらには中間転写ロール、又は中間搬送ベルトの帯電・除電・クリーニングに用いられるクリーニングロール・ブレード等に用いるために、ブレード状またはロール状に成形することが好ましい。
【0052】
このような導電性基材に含有、または積層されて用いられる場合、ゲル状導電性組成物またはそれより成る層の厚みの好ましい範囲は、10μm〜50mmであり、特に好ましくは、20μm〜30mmであり、更に好ましくは、30μm〜20mmである。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を用いて、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、架橋高分子に対して高分子を介在される方法としては、予め形成された高分子を架橋反応できる官能基を含有した高分子に対して混合した後に架橋反応する方法、及び架橋高分子に対してモノマーを拡散した後に重合する方法の2通りがある。
架橋高分子に対してモノマーを拡散した後に重合する方法を下記実施例1〜実施例5で説明し、予め形成された高分子を架橋反応できる官能基を含有した高分子に対して混合した後に架橋反応する方法を、実施例6で説明する。
【0054】
<実施例1>
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を10g含む水溶液100mlに架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド4%を添加し、窒素ガスのバブリングにより溶液中の酸素を除去した後に過硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンの添加でレドックス開始反応を行うことにより、高分子ゲル(架橋高分子)を得た。この架橋高分子としての高分子ゲルを、窒素ガスのバブリングにより溶液中の酸素を除去した2−ヒドロキシエチルアクリレート10gと過硫酸アンモニウムを含む水溶液100mlに浸漬し内部にモノマーを拡散させた後、60℃に加熱して反応を行い、高分子を含有するゲル状導電性組成物を得た。このゲル状導電性組成物に対する液体の含有量(以下、適宜吸液量と称する)は、90質量%であった。
【0055】
<実施例2>
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を10g含むポリエチレングリコール(分子量200)溶液100mlに架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド4%を添加し、窒素ガスのバブリングにより溶液中の酸素を除去した後にアゾビスイソブチロニトリルを添加し60℃に加熱して反応を行うことにより、高分子ゲル(架橋高分子)を得た。この架橋高分子としての高分子ゲルを、窒素ガスのバブリングにより溶液中の酸素を除去した2−ヒドロキシエチルアクリレート10gとアゾビスイソブチロニトリルを含むポリエチレングリコール(分子量200)溶液100mlに浸漬し内部にモノマーを拡散させた後、60℃に加熱して反応を行い高分子を含有するゲル状導電性組成物を得た。このゲル状導電性組成物に対する液体の含有量は、90質量%であった。
【0056】
<実施例3>
粘土鉱物として、[Mg5.34Li0.66Si820(OH)4]Na+0.66の組成を有する水膨潤性合成ヘクトライト(商標ラポナイトXLG、日本シリカ株式会社製)6.62gを純水170gに攪拌しながら添加し無色透明の溶液を調製した。これにポリエチレングリコールモノアクリレート(日本油脂社製PE―90)20gを加え、窒素ガスのバブリングにより溶液中の酸素を除去した後に過硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンの添加でレドックス開始反応を行うことにより、ゲル状導電性組成物を得た。このゲル状導電性組成物に対する液体の含有量は、86質量%であった。
【0057】
<実施例4>
上記実施例3で得られたゲル状導電性部材から水を除去し、ポリプロピレングリコール(分子量300)に置換することにより、ゲル状導電性組成物を得た。このゲル状導電性組成物に対する液体の含有量は、90質量%となるように調整した。
【0058】
<実施例5>
粘土鉱物として、[Mg5.34Li0.66Si820(OH)4]Na+0.66の組成を有する水膨潤性合成ヘクトライト(商標ラポナイトXLG、日本シリカ株式会社製)6.62gを純水100gに攪拌しながら添加し無色透明の溶液を調製した。これに2−ヒドロキシエチルアクリレート15gを加え、窒素ガスのバブリングにより溶液中の酸素を除去した後に過硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンの添加でレドックス開始反応を行い高分子ゲル(架橋高分子)を得た後に、窒素ガスのバブリングにより溶液中の酸素を除去した2−ヒドロキシエチルアクリレートを5gと過硫酸アンモニウムを含む水溶液100mlに浸漬し内部にモノマーを拡散させた後、60℃に加熱して高分子を含有する高分子ゲルを得た。この高分子ゲルから水を除去しポリエチレングリコール(分子量200)に置換しゲル状導電性組成物を得た。このゲル状導電性組成物に対する液体の含有量は、90質量%となるように調整した。
【0059】
<実施例6>
分子量80万のポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム−ポリアクリル酸ナトリウム共重合体7gと分子量120万のポリアクリルアミド4.25gを300mlの蒸留水に溶かし、カーボンブラック(導電剤)11.25gを分散させた後、架橋剤としてデナコールEX−810(ナガセ化成工業(株)社製エチレングリコールジグリシジルエーテル)を1g添加し、60℃に加熱して高分子を含有するゲル状導電性組成物を得た。このゲル状導電性組成物に対する液体の含有量は、93質量%であった。
【0060】
<比較例1>
2−ヒドロキシエチルアクリレート重合体を含まない以外は実施例1と同様にしてゲル状導電性組成物を得た。このゲル状導電性組成物に対する液体の含有量は、95質量%であった。
【0061】
<比較例2>
分子量120万のポリアクリルアミドを含まない以外は実施例6と同様にしてゲル状導電性組成物を得た。このゲル状導電性組成物の吸液量は94質量%であった。
【0062】
<比較例3>
上記実施例1のゲル状導電性組成物について、ゲル状導電性組成物に対する液体の含有量を、30質量%に調整した以外は実施例1と同様にしてゲル状導電性組成物を得た。
【0063】
<比較例4>
上記実施例2のゲル状導電性組成物について、ゲル状導電性組成物に対する液体の含有量を、30質量%に調整した以外は実施例2と同様にしてゲル状導電性組成物を得た。
【0064】
<比較例5>
上記実施例3のゲル状導電性組成物について、ゲル状導電性組成物に対する液体の含有量を、30質量%に調整した以外は実施例3と同様にしてゲル状導電性組成物を得た。
【0065】
<比較例6>
上記実施例4のゲル状導電性組成物について、ゲル状導電性組成物に対する液体の含有量を、30質量%に調整した以外は実施例4と同様にしてゲル状導電性組成物を得た。
【0066】
<比較例7>
上記実施例5のゲル状導電性組成物について、ゲル状導電性組成物に対する液体の含有量を、30質量%に調整した以外は実施例5と同様にしてゲル状導電性組成物を得た。
【0067】
<比較例8>
上記実施例6のゲル状導電性組成物について、ゲル状導電性組成物に対する液体の含有量を、30質量%に調整した以外は実施例6と同様にしてゲル状導電性組成物を得た。
【0068】
[ゲル状導電性組成物の評価]
〔硬度の評価〕
硬度の測定は、ブレード状、(ロール状)に形成された上記実施例1〜6及び比較例1〜8各々のゲル状導電性組成物について、アスカーC型硬度計(高分子計器社製)を用いて測定した。結果を以下表1及び表2に示す。
【0069】
〔機械的強度の評価〕
機械的強度は、オートグラフAG―IS50kN(株)島津製作所 製を用いて、ブレード状、(ロール状)に形成された上記実施例1〜6及び比較例1〜8各々のゲル状導電性組成物について、0.5MPaの荷重をかけた時のゲル状導電性組成物のひび割れや崩壊の確認結果を、機械的強度の評価結果として用いた。結果を以下表1及び表2に示す。
【0070】
<機械的強度の評価基準>
○:ゲル状導電性組成物が崩壊しない/ひび割れがない場合。
×:ゲル状導電性組成物が崩壊した/ひび割れがある場合。
【0071】
〔圧縮永久歪の評価〕
圧縮永久歪は、実施例1〜6及び比較例1〜8各々のゲル状導電性組成物について、JIS K6301規格に準じて、40℃、72時間、25%圧縮で圧縮永久歪み評価試験を行った。結果を以下表1及び表2に示す。
【0072】
〔表面粗さの評価〕
表面粗さは、ブレード状、(ロール状)に形成された上記実施例1〜6及び比較例1〜8各々のゲル状導電性組成物について、表面の観察を行った。結果を以下表1及び表2に示す。
【0073】
<表面粗さの評価基準>
〇:表面粗さ(Rz)が5μm以下。
×:表面粗さ(Rz)が5μmより大きい。
【0074】
〔ブリードアウトの評価〕
上記実施例1〜6及び比較例1〜8のゲル状導電性組成物各々に、500gの荷重をかけてガラス板に押し付け、40℃、95%の温湿度環境下に1ヶ月間放置した後ガラス表面を観察することにより、ブリードアウトを評価した。結果を以下表1及び表2に示す。
【0075】
<ブリードアウトの評価基準>
〇:試料跡が認められない。
△:僅かに試料跡が認められる。
×:試料跡がある。
【0076】
〔電気抵抗の環境安定性評価〕
電気抵抗の環境安定性は温度10℃、相対湿度20%の低温低湿環境(LL)、及び温度35℃、湿度85%の高温高湿環境(HH)のそれぞれにおいて、真鍮製の電極、電流測定器を用い、JIS K6723に準じて、直流100Vの電圧を印加し、1分間充電後の電流値の測定を行った。そして、下記式(1)より、体積抵抗率を算出した。結果を以下表1及び表2に示す。
【0077】
[数1]
ρ=(πd2/4t)Rv (1)
ρ:体積抵抗率(Ω・cm)、
d:主電極の直径(cm)、
t:試験片の厚さ(cm)、
Rv:体積抵抗(Ω)
【0078】
<電気抵抗の環境安定性評価基準>
○:環境温度10℃、相対湿度20%の低温低湿環境(LL)下の値に対して、環境温度35℃、環境湿度85%の高温高湿環境(HH)の値がそれぞれ二桁以内の変化。
×:温度10℃、相対湿度20%の低温低湿環境(LL)下の値に対して、環境温度35℃、環境湿度85%の高温高湿環境(HH)の値がそれぞれ二桁以上の変化。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
上記表1及び表2から明らかなように、本発明のゲル状導電性組成物による実施例1〜6は、比較例1〜8に対して、硬さ、機械強度、圧縮永久歪、表面粗さ、ブリードアウト、及び電気抵抗の環境安定性の全てにおいて、良好な結果が得られた。
【0082】
詳細には、硬さがソフトで、圧縮永久歪が小さく、ブリードアウトがなく、実使用に耐えうる機械強度が得られると共に、環境による電気抵抗の変化の少ないゲル状組成物を得ることができた。この環境による電気抵抗の変化は、高温高湿下では空気中の水分量が増え、低温低湿では空気中の水分量が減るが、実施例1〜6においては、何れも吸液量が80質量%以上のため、ゲル状導電性組成物においては環境変化(空気中に含まれる水分量の増減)による影響を抑制することができ、良好な電気抵抗の環境安定性が得られた。
【0083】
一方、架橋構造体の中に高分子が含まれない比較例1及び比較例2については、高分子ゲルの特性を示してはいるが、実用に耐えうる機械強度が得られなかった。
また、実施例1〜6のゲル状導電性組成物の吸液量を30質量%未満にした比較例3〜8については、機械強度は高いものの、硬度が高すぎ且つ圧縮永久歪がみられず、ゴム状弾性体の特性を示さなかった。なお、圧縮永久歪試験については、圧縮永久歪試験を行うと試験材料にヒビが入り測定ができなかった。また、比較例3〜8については、吸液量が30質量%としたため、環境変化(空気中に含まれる水分量の増減)による影響を受けやすく、良好な電気抵抗の環境安定性は得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を含有するゴム状弾性体を構成する架橋高分子に対し、高分子が介在またはグラフト重合され、ゲル状導電性組成物本体に対する該液体の含有量が50質量%以上100質量%未満であることを特徴とするゲル状導電性組成物。
【請求項2】
前記ゴム状弾性体は、液体及び導電剤を含有する請求項1に記載のゲル状導電性組成物。
【請求項3】
前記架橋高分子の架橋点が微粒子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のゲル状導電性組成物。
【請求項4】
前記架橋高分子が、イオン性高分子である請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のゲル状導電性組成物。
【請求項5】
前記架橋高分子が、イオン性高分子を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のゲル状導電性組成物。
【請求項6】
前記架橋高分子が、ノニオン性高分子であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のゲル状導電性組成物。
【請求項7】
前記架橋高分子に介在またはグラフト重合されている高分子が、イオン性高分子であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のゲル状導電性組成物。
【請求項8】
前記架橋高分子に介在またはグラフト重合されている高分子が、イオン性高分子を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のゲル状導電性組成物。
【請求項9】
前記架橋高分子に介在またはグラフト重合されている高分子は、ノニオン性高分子であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のゲル状導電性組成物。
【請求項10】
前記架橋点となる微粒子の粒径が1μm以下であることを特徴とする請求項3乃至請求項9の何れか1項に記載のゲル状導電性組成物
【請求項11】
前記液体が、水、水溶性有機溶媒、または水と水溶性有機溶媒とを混合した液体であることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載のゲル状導電性組成物
【請求項12】
前記液体が、非水溶性有機溶媒であることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載のゲル状導電性組成物
【請求項13】
前記液体が、イオン性液体であることを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載のゲル状導電性組成物
【請求項14】
前記液体は、イオン性液体を含む請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載のゲル状導電性組成物。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14の何れか1項に記載のゲル状導電性組成物が、板状に成形された導電性部材。
【請求項16】
請求項1乃至請求項14の何れか1項に記載のゲル状導電性組成物が、導電性基材に積層された導電性部材。
【請求項17】
ブレード状に成形された請求項15または請求項16に記載の導電性部材。
【請求項18】
ロール状に成形された請求項15または請求項16に記載の導電性部材。

【公開番号】特開2006−343363(P2006−343363A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166298(P2005−166298)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】