説明

ゲートウェイ、メディアゲートウェイ、およびメディアゲートウェイの制御方法

【課題】異なる処理能力のメディアゲートウェイが混在する場合でも、複数のメディアゲートウェイに効率よく処理を振り分けることが可能な技術を提供する。
【解決手段】ゲートウェイ1は、各メディアゲートウェイ2の処理能力に関する情報を取得するとともに、各メディアゲートウェイ2の稼働状態を監視する。また、メディア種別の指定を伴うINVITEメッセージを受信した場合に、各メディアゲートウェイ2の処理能力および稼働状態に基づいて、この接続要求で指定されたメディア種別のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイ2を中継担当として選択する。メディアゲートウェイ2は、ゲートウェイ1に、自メディアゲートウェイ2の処理能力に関する情報を通知する。また、ゲートウェイ1の指示に従い、ゲートウェイ1により指定されたメディア種別のセッションの中継処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディアゲートウェイの制御技術に関し、特に、ゲートウェイを用いて複数のメディアゲートウェイを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、メディアゲートウェイコントロールプロキシ装置を用いて、複数のメディアゲートウェイコントロール装置に効率よく処理を振り分ける技術が開示されている。
【0003】
この技術において、各メディアゲートウェイコントロール装置は、逐次、配下のメディアゲートウェイの稼働率をメディアゲートウェイコントロールプロキシ装置に通知する。そして、メディアゲートウェイコントロールプロキシ装置は、セッションの確立に際し、配下のメディアゲートウェイの稼働率が最も低いメディアゲートウェイコントロール装置を選択し、このメディアゲートウェイコントロール装置に、このセッションの制御を行わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−13612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、メディアゲートウェイの稼働率が低くても、このメディアゲートウェイの処理能力が低ければ、このメディアゲートウェイで負荷の大きな処理を必要とするメディア種別(例えば音声および映像を用いるTV電話)のセッション処理に対応できない場合がある。一方、メディアゲートウェイの稼働率が高くても、このメディアゲートウェイの処理能力が高ければ、このメディアゲートウェイで負荷の大きな処理を必要とするメディア種別のセッション処理にも対応できる場合もある。特許文献1に記載の技術は、このような、異なる処理能力のメディアゲートウェイが混在する場合を考慮していない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、異なる処理能力のメディアゲートウェイが混在する場合でも、複数のメディアゲートウェイに効率よく処理を振り分けることのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、ゲートウェイが複数のメディアゲートウェイに処理を振り分ける。ゲートウェイは、各メディアゲートウェイの処理能力に関する情報を取得するとともに、各メディアゲートウェイの稼働状態を監視する。また、ゲートウェイは、メディア種別の指定を伴うセッションの接続要求を受信した場合に、各メディアゲートウェイの処理能力および稼働状態に基づいて、この接続要求で指定されたメディア種別のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイを選択する。そして、このメディアゲートウェイに、この接続要求により確立されるセッションの中継処理を行わせる。
【0008】
例えば、本発明は、セッションの中継処理を行う複数のメディアゲートウェイに処理を振り分けるゲートウェイであって、
前記複数のメディアゲートウェイ各々の処理能力に関する情報を取得する処理能力取得手段と、
前記複数のメディアゲートウェイ各々の稼働状態を監視する稼働状態監視手段と、
メディア種別の指定を伴うセッションの接続要求の受信に従い、セッションを確立して、前記複数のメディアゲートウェイのなかから選択したメディアゲートウェイに、当該セッションを中継させる呼制御手段と、を有し、
前記呼制御手段は、
前記複数のメディアゲートウェイ各々の処理能力に関する情報および稼働状態に基づいて、前記複数のメディアゲートウェイのなかから、前記接続要求で指定されたメディア種別のセッションを処理する余力のあるゲートウェイを、前記セッションを中継させるメディアゲートウェイとして選択する。
【0009】
また、本発明は、セッションの中継処理を行うメディアゲートウェイであって、
ゲートウェイに、自装置の処理能力に関する情報を通知する処理能力通知手段と、
前記ゲートウェイの指示に従い、前記ゲートウェイにより指定されたメディア種別のセッションの中継処理を行う中継制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、異なる処理能力のメディアゲートウェイが混在する場合でも、複数のメディアゲートウェイに効率よく処理を振り分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るIP電話システムの概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示すIP電話システムにおいて、WAN6側からゲートウェイ1に着信した場合のセッション確立動作の一例を説明するためのシーケンス図である。
【図3】図3は、図1に示すIP電話システムにおいて、LAN5側からゲートウェイ1に着信した場合のセッション確立動作の一例を説明するためのシーケンス図である。
【図4】図4は、図1に示すIP電話システムにおいて、セッションの切断動作の一例を説明するためのシーケンス図である。
【図5】図5は、ゲートウェイ1の概略機能構成図である。
【図6】図6(A)は、処理能力記憶部14の登録内容例を模式的に表した図であり、図6(B)は、稼働状態記憶部15の登録内容例を模式的に表した図である。
【図7】図7は、ゲートウェイ1の外線着信によるセッション確立動作を説明するためのフロー図である。
【図8】図8は、ゲートウェイ1の外線着信によるセッション確立動作を説明するためのフロー図である。
【図9】図9は、ゲートウェイ1の内線着信によるセッション確立動作を説明するためのフロー図である。
【図10】図10は、ゲートウェイ1の内線着信によるセッション確立動作を説明するためのフロー図である。
【図11】図11は、ゲートウェイ1のセッション切断動作を説明するためのフロー図である。
【図12】図12は、メディアゲートウェイ2の概略機能構成図である。
【図13】図13(A)は、稼働状態記憶部24の登録内容例を模式的に表した図であり、図13(B)は、処理能力記憶部25の登録内容例を模式的に表した図である。
【図14】図14は、メディアゲートウェイ2の動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係るIP電話システムの概略構成図である。
【0014】
図示するように、本実施の形態に係るIP電話システムは、セッションの中継処理を行う複数のメディアゲートウェイ(MGW)2−1〜2−n(以下、単にメディアゲートウェイ2とも称する)と、これらのメディアゲートウェイ2にセッションの中継処理を振り分けるゲートウェイ(GW)1と、LAN5を介してゲートウェイ1およびメディアゲートウェイ2に接続された複数の内線IP電話機(EXT−IP−TEL)3−1〜3−m(以下、単に内線IP電話機3とも称する)と、を有する。
【0015】
ここで、ゲートウェイ1およびメディアゲートウェイ2は、WAN6を介してIP電話機(IP−TEL)4−1、4−2(以下、単にIP電話機4とも称する)に接続されている。内線IP電話機3には、通常の電話機能(音声通話)のみを有するものと、通常の電話機能に加えてTV電話機能(音声および映像による通話)を有するものとが混在している。同様に、IP電話機4にも、通常の電話機能のみを有するものと、通常の電話機能に加えてTV電話機能を有するものとが混在している。
【0016】
以上のような構成において、ゲートウェイ1は、各メディアゲートウェイ2の処理能力に関する情報(以下、処理能力情報)としてメディア種別毎の同時処理可能な最大セッション数を取得するとともに、各メディアゲートウェイ2の稼働状態(メディア種別毎の処理中セッション数)を監視する。また、ゲートウェイ1は、LAN5を介して内線IP電話機3から、あるいはWAN6を介してIP電話機4から、メディア種別(音声通話「音声のみ」か、それとも音声および映像による通話「音声+映像」か)の指定を伴うセッションの接続要求を受信した場合に、この接続要求に従って、この指定されたメディア種別のセッションを確立するとともに、各メディアゲートウェイ2の処理能力および稼働状態に基づいて、指定されたメディア種別のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイ2を選択する。そして、選択したメディアゲートウェイ2に、この確立されたセッションの中継処理を行わせる。これにより、内線IP電話機3とIP電話機4との間、あるいは内線IP電話機3同士の間において、音声通話、あるいは音声および映像による通話(TV電話)が行われる。
【0017】
図2は、図1に示すIP電話システムにおいて、WAN6側からゲートウェイ1に着信した場合のセッション確立動作の一例を説明するためのシーケンス図である。ここで、ゲートウェイ1は、メディアゲートウェイ2各々から、処理能力情報を取得済みであるとする。
【0018】
TV電話機能を有するIP電話機4−1は、ゲートウェイ1に対するTV電話の発信操作を操作者から受け付けると(S100)、WAN6を介してゲートウェイ1に、メディア種別「音声+映像」の指定を伴うINVITEメッセージを送信する(S101)。ここで、INVITEメッセージに伴うメディア種別の指定には、例えばSDP(Session Description Protocol)が用いられる。
【0019】
ゲートウェイ1は、WAN6を介してIP電話機4−1からこのINVITEメッセージを受信すると、各メディアゲートウェイ2の処理能力情報(メディア種別毎の同時処理可能な最大セッション数)と稼働状態(メディア種別毎の処理中セッション数)とを比較して、このINVITEメッセージで指定されているメディア種別のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイ2、つまりメディア種別「音声+映像」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2の有無を調べる(S102)。
【0020】
そして、ゲートウェイ1は、メディア種別「音声+映像」のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイ2の存在を確認したならば(S103)、LAN5を介して各内線IP電話機3に、メディア種別「音声+映像」の指定を伴うNOTIFYメッセージを送信する(S104)。ここで、NOTIFYメッセージに伴うメディア種別の指定には、例えばSDPが用いられる。
【0021】
各内線IP電話機3は、LAN5を介してゲートウェイ1からこのNOTIFYメッセージを受信すると、着信鳴動を行って(S105)、操作者の応答操作を待つ。ここで、TV電話機能を有する内線IP電話機3−1がTV電話の応答操作を操作者より受け付けたものとする(S106)。これを受けて、内線IP電話機3−1は、LAN5を介してゲートウェイ1に、メディア種別「音声+映像」の指定を伴うReplace付きINVITEメッセージを送信する(S107)。ここで、Replace付きINVITEメッセージに伴うメディア種別の指定には、例えばSDPが用いられる。
【0022】
ゲートウェイ1は、LAN5を介して内線IP電話機3−1からこのReplace付きINVITEメッセージを受信すると、メディア種別「音声+映像」のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイ2のなかから、セッションの中継を担当するメディアゲートウェイ2を選択する(S108)。ここでは、メディアゲートウェイ2−nが中継担当に選択されたものとする。
【0023】
それから、ゲートウェイ1は、LAN5を介してメディアゲートウェイ2−nに、例えばSDPメッセージにより、発信元アドレス「IP電話機4−1のアドレス」、発信先アドレス「内線IP電話機3−1のアドレス」、およびメディア種別「音声+映像」の指定を含む中継開始指示を送信する(S109)。
【0024】
メディアゲートウェイ2−nは、LAN5を介してゲートウェイ1からこの中継開始指示を受信すると、IP電話機4−1および内線IP電話機3−1間におけるメディア種別「音声+映像」のセッションの中継を開始する(S110)。また、メディアゲートウェイ2−nは、LAN5を介してゲートウェイ1に、例えばSDPにより、発信元アドレス「IP電話機4−1のアドレス」、発信先アドレス「内線IP電話機3−1のアドレス」、およびメディア種別「音声+映像」の指定を含む中継開始通知を送信する(S111)。
【0025】
ゲートウェイ1は、LAN5を介してメディアゲートウェイ2−nからこの中継開始通知を受信すると、メディアゲートウェイ2−nの稼働状態を更新する(S112)。それから、ゲートウェイ1は、LAN5を介して内線IP電話機3−1に、中継担当アドレス「メディアゲートウェイ2−nのアドレス」、メディア種別「音声+映像」の指定を伴う200OKメッセージを送信する(S113)。同様に、WAN6を介してIP電話機4−1に、中継担当アドレス「メディアゲートウェイ2−nのアドレス」、メディア種別「音声+映像」の指定を伴う200OKメッセージを送信する(S114)。200OKメッセージに伴うセッションのメディア種別の指定には、例えばSDPが用いられる。
【0026】
以上により、メディアゲートウェイ2−nを介してIP電話機4−1および内線IP電話機3−1間に、メディア種別「音声+映像」のセッションが確立される。メディアゲートウェイ2−nは、このセッションを介してIP電話機4−1および内線IP電話機3−1間でやり取りされる音声および映像データを中継する(S115)。
【0027】
なお、S106において、受け付けた応答操作が通常電話の応答操作であった場合、あるいはTV電話機能のない内線IP電話機3(例えば内線IP電話機3−m)が応答操作を受け付けた場合、S107において、ゲートウェイ1に送信されるReplace付きINVITEメッセージで指定されるメディア種別は、「音声のみ」となる。そして、S108において、各メディアゲートウェイ2の処理能力情報と稼働状態とが比較され、メディア種別「音声のみ」のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイ2、つまりメディア種別「音声のみ」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2が、中継担当として選択される。
【0028】
ここで、メディア種別「音声のみ」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2が存在しない場合、ゲートウェイ1は、S103でその存在が確認されているメディアゲートウェイ2(メディア種別「音声+映像」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2)のなかから、中継担当を選択する。そして、ゲートウェイ1は、この中継担当のメディアゲートウェイ2に対して変更指示を出して、メディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数を一つ減らし、メディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数を所定数(例えば5セッション分)増加させる。
【0029】
その後、S109以降において、メディア種別として「音声のみ」が指定され、これにより、IP電話機4−1と、応答操作を受け付けた内線IP電話機3との間でメディア種別「「音声のみ」のセッションが確立され、中継担当のメディアゲートウェイ2を介して、IP電話機4−1と、応答操作を受け付けた内線IP電話機3との間で音声データがやり取りされる。
【0030】
また、S103において、メディア種別「音声+映像」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2が存在しない場合は、メディア種別「音声のみ」のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイ2、つまりメディア種別「音声のみ」について、処理中のセッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2の有無が判断される。そして、メディア種別「音声のみ」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2が存在する場合、S104以降において、メディア種別として「音声のみ」が指定され、これにより、IP電話機4−1と、応答操作を受け付けた内線IP電話機3との間でメディア種別「音声のみ」のセッションが確立され、中継担当のメディアゲートウェイ2を介して、IP電話機4−1と、応答操作を受け付けた内線IP電話機3との間で音声データがやり取りされる。
【0031】
また、S103において、メディア種別「音声+映像」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2が存在せず、かつ、メディア種別「音声のみ」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2も存在しない場合、ゲートウェイ1からIP電話機4−1にBUSYメッセージが送信され、S104以降を行うことなくシーケンスが終了する。
【0032】
図2では、WAN6側からゲートウェイ1に着信したINVITEメッセージがメディア種別「音声+映像」の指定を伴う場合を例示しているが、このINVITEメッセージがメディア種別「音声のみ」の指定を伴う場合も、メディア種別「音声+映像」の代わりにメディア種別「音声のみ」を用いて図2と同様な処理が行われる。ただし、S106において、内線IP電話機3がTV電話の応答操作を受け付けた場合も、ゲートウェイ1は、S109以降、メディア種別として「音声のみ」を指定する。
【0033】
また、S103において、メディア種別「音声のみ」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2は存在しないが、メディア種別「音声+映像」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2が存在する場合も、S104以降において、メディア種別として「音声のみ」が指定される。そして、S108において、ゲートウェイ1は、メディア種別「音声+映像」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2のなかから、中継担当を選択し、この中継担当のメディアゲートウェイ2に対して変更指示を出して、メディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数を一つ減らし、メディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数を所定数(例えば5セッション分)増加させる。
【0034】
図3は、図1に示すIP電話システムにおいて、LAN5側からゲートウェイ1に着信した場合のセッション確立動作の一例を説明するためのシーケンス図である。ここで、ゲートウェイ1は、メディアゲートウェイ2各々から処理能力情報を取得済みであるとする。
【0035】
TV電話機能を有する内線IP電話機3−1は、IP電話機4−1に対するTV電話の発信操作を操作者から受け付けると(S120)、LAN5を介してゲートウェイ1に、メディア種別「音声+映像」の指定を伴うINVITEメッセージを送信する(S121)。ここで、INVITEメッセージに伴うメディア種別の指定には、例えばSDPが用いられる。
【0036】
ゲートウェイ1は、LAN5を介して内線IP電話機3−1からこのINVITEメッセージを受信すると、各メディアゲートウェイ2の処理能力情報(メディア種別毎の同時処理可能な最大セッション数)と稼働状態(メディア種別毎の処理中セッション数)とを比較して、このINVITEメッセージで指定されているメディア種別のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイ2、つまりメディア種別「音声+映像」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2の有無を調べる(S122)。
【0037】
そして、ゲートウェイ1は、メディア種別「音声+映像」のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイ2の存在を確認したならば、これらのメディアゲートウェイ2のなかから、中継担当のメディアゲートウェイ2を選択する(S123)。ここでは、メディアゲートウェイ2−nが中継担当に選択されたものとする。
【0038】
つぎに、ゲートウェイ1は、WAN6を介してIP電話機4−1に、メディア種別「音声+映像」、中継担当アドレス「メディアゲートウェイ2−nのアドレス」の指定を伴うINVITEメッセージを送信する(S124)。ここで、INVITEメッセージに伴うメディア種別および中継担当アドレスの指定には、例えばSDPが用いられる。
【0039】
IP電話機4−1は、WAN6を介してゲートウェイ1から、このINVITEメッセージを受信すると、着信鳴動を行って(S125)、操作者の応答操作を待つ。そして、TV電話の応答操作を操作者より受け付けたならば(S126)、WAN6を介してゲートウェイ1に、メディア種別「音声+映像」、中継担当アドレス「メディアゲートウェイ2−nのアドレス」の指定を伴う200OKメッセージを送信する(S127)。ここで、200OKメッセージに伴うメディア種別および中継担当アドレスの指定には、例えばSDPが用いられる。
【0040】
ゲートウェイ1は、WAN6を介してIP電話機4−1からこの200OKメッセージを受信すると、LAN5を介して中継担当のメディアゲートウェイ2−nに、例えばSDPにより、発信元アドレス「内線IP電話機3−1のアドレス」、発信先アドレス「IP電話機4−1のアドレス」、およびメディア種別「音声+映像」の指定を含む中継開始指示を送信する(S128)。
【0041】
メディアゲートウェイ2−nは、LAN5を介してゲートウェイ1からこの中継開始指示を受信すると、内線IP電話機3−1およびIP電話機4−1間におけるメディア種別「音声+映像」のセッションの中継を開始する(S129)。また、メディアゲートウェイ2−nは、LAN5を介してゲートウェイ1に、例えばSDPにより、発信元アドレス「内線IP電話機3−1のアドレス」、発信先アドレス「IP電話機4−1のアドレス」、およびメディア種別「音声+映像」の指定を含む中継開始通知を送信する(S130)。
【0042】
ゲートウェイ1は、LAN5を介してメディアゲートウェイ2−nからこの中継開始通知を受信すると、メディアゲートウェイ2−nの稼働状態を更新する(S131)。それから、ゲートウェイ1は、LAN5を介して内線IP電話機3−1に、中継担当アドレス「メディアゲートウェイ2−nのアドレス」、メディア種別「音声+映像」の指定を伴う200OKメッセージを送信する(S132)。
【0043】
以上により、メディアゲートウェイ2−nを介して内線IP電話機3−1およびIP電話機4−1間に、メディア種別「音声+映像」のセッションが確立される。メディアゲートウェイ2−nは、このセッションを介して内線IP電話機3−1およびIP電話機4−1間でやり取りされる音声および映像データを中継する(S133)。
【0044】
なお、S126において、受け付けた応答操作が通常電話の応答操作であった場合、S127において、ゲートウェイ1に送信される200OKメッセージで指定されるメディア種別は、「音声のみ」となる。
【0045】
これを受けて、ゲートウェイ1は、中継担当のメディアゲートウェイ2−nに対して変更指示を出して、メディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数を一つ減らし、メディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数を所定数(例えば5セッション分)増加させる。
【0046】
その後、S128以降において、メディア種別として「音声のみ」が指定され、これにより、IP電話機4−1と内線IP電話機3−1との間でメディア種別「音声のみ」のセッションが確立され、中継担当のメディアゲートウェイ2−nを介して、IP電話機4−1と内線IP電話機3−1との間で音声データがやり取りされる。
【0047】
また、S123において、メディア種別「音声+映像」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2が存在しない場合は、メディア種別「音声のみ」のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイ2、つまりメディア種別「音声のみ」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2の有無が判断される。そして、メディア種別「音声のみ」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2が存在する場合、これらのメディアゲートウェイ2のなかから中継担当のメディアゲートウェイ2が選択される。それから、S124以降において、メディア種別として「音声のみ」が指定され、これにより、内線IP電話機3−1とIP電話機4−1との間でメディア種別「音声のみ」のセッションが確立され、中継担当のメディアゲートウェイ2を介して、内線IP電話機3−1とIP電話機4−1との間で音声データがやり取りされる。
【0048】
また、S123において、メディア種別「音声+映像」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2が存在せず、かつ、メディア種別「音声のみ」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2も存在しない場合、ゲートウェイ1から内線IP電話機3−1にBUSYメッセージが送信され、S124以降を行うことなくシーケンスが終了する。
【0049】
なお、図3では、LAN5側からゲートウェイ1に着信したINVITEメッセージがメディア種別「音声+映像」の指定を伴う場合を例示しているが、このINVITEメッセージがメディア種別「音声のみ」の指定を伴う場合も、メディア種別「音声+映像」の代わりにメディア種別「音声のみ」を用いて図3と同様な処理が行われる。
【0050】
ただし、S123において、メディア種別「音声のみ」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2は存在しないが、メディア種別「音声+映像」について、処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2が存在する場合、ゲートウェイ1は、このメディアゲートウェイ2を中継担当として選択する。そして、このメディアゲートウェイ2に対して変更指示を出して、メディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数を一つ減らし、メディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数を所定数(例えば5セッション分)増加させる。
【0051】
図4は、図1に示すIP電話システムにおいて、セッションの切断動作の一例を説明するためのシーケンス図である。ここで、ゲートウェイ1は、メディアゲートウェイ2各々から処理能力情報を取得済みであるとする。
【0052】
メディアゲートウェイ2−nを介して内線IP電話機3−1およびIP電話機4−1間に、メディア種別「音声+映像」のセッションが確立され、メディアゲートウェイ2−nが、このセッションを介してやり取りされる音声および映像データを中継しているものとする(S141)。
【0053】
ここで、内線IP電話機3−1は、操作者より切断操作を受け付けると(S142)、LAN5を介してゲートウェイ1に、通話相手であるIP電話機4−1の指定を伴うBYEメッセージを送信する(S143)。これを受けて、ゲートウェイ1は、WAN6を介してIP電話機4−1に、このBYEメッセージを送信する(S144)。
【0054】
つぎに、ゲートウェイ1は、WAN6を介してIP電話機4−1から、このBYEメッセージに対する200OKメッセージを受信したならば(S145)、この200OKメッセージを、LAN5を介してBYEメッセージ発信元(内線IP電話機3−1)に送信する(S146)。これにより、内線IP電話機3−1およびIP電話機4−1間のセッションが切断される。
【0055】
その後、ゲートウェイ1は、内線IP電話機3−1およびIP電話機4−1間のセッションの中継担当であるメディアゲートウェイ2−nを特定する(S147)。そして、LAN5を介してこのメディアゲート2−nに、例えばSDPにより、「内線IP電話機3−1のアドレス」、「IP電話機4−1のアドレス」、およびメディア種別「音声+映像」の指定を含む中継終了指示を送信する(S148)。
【0056】
メディアゲートウェイ2−nは、LAN5を介してゲートウェイ1からこの中継終了指示を受信すると、内線IP電話機3−1およびIP電話機4−1間におけるメディア種別「音声+映像」のセッションの中継を終了する(S149)。また、メディアゲートウェイ2−nは、LAN5を介してゲートウェイ1に、例えばSDPにより、「内線IP電話機3−1のアドレス」、「IP電話機4−1のアドレス」、およびメディア種別「音声+映像」の指定を含む中継終了通知を送信する(S150)。
【0057】
ゲートウェイ1は、LAN5を介してメディアゲートウェイ2−nからこの中継終了通知を受信すると、メディアゲートウェイ2−nの稼働状態を更新する(S151)。
【0058】
なお、図4では、内線IP電話機3−1がゲートウェイ1にBYEメッセージを送信した場合を例にとり説明しているが、IP電話機4−1がゲートウェイ1にBYEメッセージを送信する場合も基本的に同様である。また、メディア種別「音声+映像」のセッションを切断する場合を例にとり説明したが、メディア種別「音声のみ」のセッションを切断する場合も、メディア種別「音声+映像」の代わりにメディア種別「音声のみ」を用いて基本的に同様な処理が行われる。
【0059】
つぎに、図1に示すIP電話システムを構成するゲートウェイ1およびメディアゲートウェイ2の詳細を説明する。なお、内線IP電話機3、IP電話機4には、既存の内線IP電話機、IP電話機を利用できるので、それらの詳細な説明を省略する。
【0060】
まず、ゲートウェイ1の詳細を説明する。
【0061】
図5は、ゲートウェイ1の概略機能構成図である。
【0062】
図示するように、ゲートウェイ1は、LAN−IF部11と、WAN−IF部12と、通信制御部13と、処理能力記憶部14と、稼働状態記憶部15と、処理能力取得部16と、稼働状態監視部17と、呼制御部18と、を有する。
【0063】
LAN−IF部11は、LAN5に接続するためのインターフェースである。
【0064】
WAN−IF部12は、WAN6に接続するためのインターフェースである。
【0065】
通信制御部13は、LAN−IF部11を介してメディアゲートウェイ2および内線IP電話機3との通信を制御するとともに、WAN−IF部12を介してIP電話機4との通信を制御する。
【0066】
処理能力記憶部14には、メディアゲートウェイ2毎に、処理能力情報(メディア種別毎の同時処理可能な最大セッション数)が記憶される。
【0067】
図6(A)は、処理能力記憶部14の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、処理能力記憶部14には、メディアゲートウェイ2毎にレコード140が記憶される。レコード140は、LAN5側のIPアドレス(ローカルアドレス)を登録するフィールド141と、WAN6側のIPアドレス(グローバルアドレス)を登録するフィールド142と、メディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数を登録するフィールド143と、メディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数を登録するフィールド144と、を有する。
【0068】
処理能力取得部16は、LAN−IF部11および通信制御部13を介してメディアゲートウェイ2から処理能力情報を受信する。そして、このメディアゲートウェイ2に対応付けられて処理能力記憶部14に記憶されているレコード140のフィールド143、144の登録内容を、受信した処理能力情報に含まれているメディア種別「音声のみ」、「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数に更新する。
【0069】
稼働状態記憶部15には、メディアゲートウェイ2毎に、稼働状態(メディア種別毎の処理中セッション数)に関する情報が記憶される。
【0070】
図6(B)は、稼働状態記憶部15の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、稼働状態記憶部15には、メディアゲートウェイ2毎にテーブル150が記憶される。テーブル150には、処理中セッション毎にレコード151が記憶される。レコード151は、処理中セッションのメディア種別を登録するフィールド152と、発信元アドレスを登録するフィールド153と、発信先アドレスを登録するフィールド154と、を有する。
【0071】
稼働状態監視部17は、呼制御部18と連携して、各メディアゲートウェイ2の稼働状態を監視する。そして、あるメディアゲートウェイ2の稼働状態が変化した場合に、このメディアゲートウェイ2に対応付けられて稼働状態記憶部15に記憶されているテーブル150を更新(レコード151の追加あるいは削除)する。
【0072】
呼制御部18は、SIP(Session Initiation Protocol)に従い呼制御手順を行って、セッションの確立・切断を制御する。また、セッションの確立に際し、このセッションのメディア種別、処理能力記憶部14に記憶されている処理能力情報、および稼働状態記憶部15に記憶されている、稼働状態に関する情報を参照して、中継担当のメディアゲートウェイ2を選択し、このメディアゲートウェイ2にこのセッションの中継を行わせる。
【0073】
図7および図8は、ゲートウェイ1の外線着信によるセッション確立動作を説明するためのフロー図である。このフローは、メディア種別の指定を伴うINVITEメッセージがWAN6を介してIP電話機4からゲートウェイ1に着信することにより開始される。
【0074】
まず、呼制御部18は、WAN−IF部12および通信制御部13を介してIP電話機4から受信したINVITEメッセージで指定されているメディア種別M1を調べる(S200)。そして、メディア種別M1が「音声+映像」ならばS201に進み、「音声のみ」ならばS240に進む。
【0075】
S201において、呼制御部18は、処理能力記憶部14を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数(各レコード140のフィールド144の値)X1を調べる。
【0076】
つぎに、呼制御部18は、稼働状態記憶部15を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声+映像」の処理中セッション数(各テーブル150のフィールド152に「音声+映像」が登録されているレコード151の数)Y1、すなわち、メディア種別「音声+映像」についての各メディアゲートウェイ2の稼働状態を調べる(S202)。
【0077】
そして、呼制御部18は、X1>Y1となるメディアゲートウェイ2の有無を判断する(S203)。
【0078】
X1>Y1となるメディアゲートウェイ2が存在しないならば(S203でNO)、S220に進む。
【0079】
一方、X1>Y1となるメディアゲートウェイ2が存在するならば(S203でYES)、これらのメディアゲートウェイ2に対応する処理能力記憶部14のレコード140から、これらのメディアゲートウェイ2のアドレス情報(ローカルアドレス、グローバルアドレス)を取得して、S204に進む。
【0080】
S204において、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介して各内線IP電話機3に、メディア種別「音声+映像」の指定を伴うNOTIFYメッセージを通知する。それから、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して、いずれかの内線IP電話機3から、メディア種別「音声+映像」の指定を伴うReplace付きINVITEメッセージを受信する(S205)。そして、このReplace付きINVITEメッセージで指定されているメディア種別M2を調べ(S206)、メディア種別M2が「音声+映像」ならばS207に進み、「音声のみ」ならばS212に進む。
【0081】
S207において、呼制御部18は、X1>Y1となるメディアゲートウェイ2のなかから中継担当を選択する。そして、この中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスを用いて、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してこのメディアゲートウェイ2に、メディア種別「音声+映像」、INVITEメッセージの発信元であるIP電話機4のグローバルアドレス、およびReplace付きINVITEメッセージの発信元である内線IP電話機3のローカルアドレスの指定を伴う中継開始指示を送信する(S208)。
【0082】
つぎに、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して中継担当のメディアゲートウェイ2から中継開始通知を受信し(S209)、その旨を稼働状態監視部17に知らせる。これを受けて、稼働状態監視部17は、中継担当のメディアゲートウェイ2に対応付けられて稼働状態記憶部15に登録されているテーブル150に新たなレコード151を追加する。そして、このレコード151のフィールド152にメディア種別「音声+映像」を登録し、フィールド153にINVITEメッセージの発信元(IP電話機4)のグローバルアドレスを登録し、フィールド154にReplace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレスを登録する(S210)。
【0083】
それから、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してReplace付きINVITEメッセージの発信元である内線IP電話機3に、メディア種別「音声+映像」、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスの指定を伴う200OKメッセージを送信する。同様に、通信制御部13およびWAN−IF部12を介してINVITEメッセージの発信元(IP電話機4)に、メディア種別「音声+映像」、中継担当のメディアゲートウェイ2のグローバルアドレスの指定を伴う200OKメッセージを送信する(S211)。その後、このフローを終了する。これにより、中継担当のメディアゲートウェイ2のメディアゲートウェイ2を介して、INVITEメッセージの発信元(IP電話機4)と、Replace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)との間に、メディア種別「音声+映像」のセッションが確立される。
【0084】
一方、S212において、呼制御部18は、処理能力記憶部14を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数(各レコード140のフィールド143の値)X2を調べる。
【0085】
つぎに、呼制御部18は、稼働状態記憶部15を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声のみ」の処理中セッション数(各テーブル150のフィールド152に「音声のみ」が登録されているレコード151の数)Y2、すなわち、メディア種別「音声のみ」についての各メディアゲートウェイ2の稼働状態を調べる(S213)。
【0086】
そして、呼制御部18は、X2>Y2となるメディアゲートウェイ2の有無を判断する(S214)。
【0087】
X2>Y2となるメディアゲートウェイ2が存在しないならば(S214でNO)、S266に進む。
【0088】
一方、X2>Y2となるメディアゲートウェイ2が存在するならば(S214でYES)、これらのメディアゲートウェイ2に対応する処理能力記憶部14のレコード140から、これらのメディアゲートウェイ2のアドレス情報(ローカルアドレス、グローバルアドレス)を取得して、S225に進む。
【0089】
また、S220において、呼制御部18は、処理能力記憶部14を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数(各レコード140のフィールド143の値)X2を調べる。
【0090】
つぎに、呼制御部18は、稼働状態記憶部15を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声のみ」の処理中セッション数(各テーブル150のフィールド152に「音声のみ」が登録されているレコード151の数)Y2、すなわち、メディア種別「音声のみ」についての各メディアゲートウェイ2の稼働状態を調べる(S221)。
【0091】
そして、呼制御部18は、X2>Y2となるメディアゲートウェイ2の有無を判断する(S222)。
【0092】
X2>Y2となるメディアゲートウェイ2が存在しないならば(S222でNO)、通信制御部13およびWAN−IF部12を介してINVITEメッセージの発信元(IP電話機4)にBUSYメッセージを送信して(S263)、このフローを終了する。
【0093】
一方、X2>Y2となるメディアゲートウェイ2が存在するならば(S222でYES)、これらのメディアゲートウェイ2に対応する処理能力記憶部14のレコード140から、これらのメディアゲートウェイ2のアドレス情報(ローカルアドレス、グローバルアドレス)を取得して、S223に進む。
【0094】
S223において、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介して各内線IP電話機3に、メディア種別「音声のみ」の指定を伴うNOTIFYメッセージを通知する。それから、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して、いずれかの内線IP電話機3から、Replace付きINVITEメッセージを受信し(S224)、S225に進む。
【0095】
S225において、呼制御部18は、X2>Y2となるメディアゲートウェイ2のなかから中継担当を選択する。そして、この中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスを用いて、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してこのメディアゲートウェイ2に、メディア種別「音声のみ」、INVITEメッセージの発信元(IP電話機4)のグローバルアドレス、およびReplace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレスの指定を伴う中継開始指示を送信する(S226)。
【0096】
つぎに、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して中継担当のメディアゲートウェイ2から中継開始通知を受信し(S227)、その旨を稼働状態監視部17に知らせる。これを受けて、稼働状態監視部17は、中継担当のメディアゲートウェイ2に対応付けられて稼働状態記憶部15に登録されているテーブル150に新たなレコード151を追加する。そして、このレコード151のフィールド152にメディア種別「音声のみ」を登録し、フィールド153にINVITEメッセージの発信元(IP電話機4のグローバルアドレス)を登録し、フィールド154にReplace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレスを登録する(S228)。
【0097】
それから、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してReplace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスの指定を伴う200OKメッセージを送信する。同様に、通信制御部13およびWAN−IF部12を介してINVITEメッセージの発信元(IP電話機4)に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のグローバルアドレスの指定を伴う200OKメッセージを送信する(S229)。その後、このフローを終了する。これにより、中継担当のメディアゲートウェイ2を介して、INVITEメッセージの発信元(IP電話機4)と、Replace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)との間に、メディア種別「音声のみ」のセッションが確立される。
【0098】
一方、S240において、呼制御部18は、処理能力記憶部14を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数(各レコード140のフィールド143の値)X2、すなわち、メディア種別「音声のみ」についての各メディアゲートウェイ2の稼働状態を調べる。
【0099】
つぎに、呼制御部18は、稼働状態記憶部15を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声のみ」の処理中セッション数(各テーブル150のフィールド152に「音声のみ」が登録されているレコード151の数)Y2を調べる(S241)。
【0100】
そして、呼制御部18は、X2>Y2となるメディアゲートウェイ2の有無を判断する(S242)。
【0101】
X2>Y2となるメディアゲートウェイ2が存在しないならば(S242でNO)、S260に進む。
【0102】
一方、X2>Y2となるメディアゲートウェイ2が存在するならば(S242でYES)、これらのメディアゲートウェイ2に対応する処理能力記憶部14のレコード140から、これらのメディアゲートウェイ2のアドレス情報(ローカルアドレス、グローバルアドレス)を取得して、S243に進む。
【0103】
S243において、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介して各内線IP電話機3に、メディア種別「音声のみ」の指定を伴うNOTIFYメッセージを通知する。
【0104】
それから、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して、いずれかの内線IP電話機3からReplace付きINVITEメッセージを受信する(S244)。その後、呼制御部18は、X2>Y2となるメディアゲートウェイ2のなかから中継担当を選択して(S245)、この中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスを用いて、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してこのメディアゲートウェイ2に、メディア種別「音声のみ」、INVITEメッセージの発信元(IP電話機4)のグローバルアドレス、およびReplace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレスの指定を伴う中継開始指示を送信する(S246)。
【0105】
つぎに、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して中継担当のメディアゲートウェイ2から中継開始通知を受信し(S247)、その旨を稼働状態監視部17に知らせる。これを受けて、稼働状態監視部17は、中継担当のメディアゲートウェイ2に対応付けられて稼働状態記憶部15に登録されているテーブル150に新たなレコード151を追加する。そして、このレコード151のフィールド152にメディア種別「音声のみ」を登録し、フィールド153にINVITEメッセージの発信元(IP電話機4)のグローバルアドレスを登録し、フィールド154にReplace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレスを登録する(S248)。
【0106】
それから、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してReplace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスの指定を伴う200OKメッセージを送信する。同様に、通信制御部13およびWAN−IF部12を介してINVITEメッセージの発信元であるIP電話機4に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のグローバルアドレスの指定を伴う200OKメッセージを送信する(S249)。その後、このフローを終了する。これにより、中継担当のメディアゲートウェイ2を介して、INVITEメッセージの発信元(IP電話機4)と、Replace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)との間に、メディア種別「音声のみ」のセッションが確立される。
【0107】
一方、S260において、呼制御部18は、処理能力記憶部14を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数(各レコード140のフィールド144の値)X1を調べる。
【0108】
つぎに、呼制御部18は、稼働状態記憶部15を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声+映像」の処理中セッション数(各テーブル150のフィールド152に「音声+映像」が登録されているレコード151の数)Y1、すなわち、メディア種別「音声+映像」についての各メディアゲートウェイ2の稼働状態を調べる(S261)。
【0109】
そして、呼制御部18は、X1>Y1となるメディアゲートウェイ2の有無を判断する(S262)。
【0110】
X1>Y1となるメディアゲートウェイ2が存在しないならば(S262でNO)、通信制御部13およびWAN−IF部12を介してINVITEメッセージの発信元(IP電話機4)にBUSYメッセージを送信して(S263)、このフローを終了する。
【0111】
一方、X1>Y1となるメディアゲートウェイ2が存在するならば(S262でYES)、これらのメディアゲートウェイ2に対応する処理能力記憶部14のレコード140から、これらのメディアゲートウェイ2のアドレス情報(ローカルアドレス、グローバルアドレス)を取得して、S264に進む。
【0112】
S264において、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介して各内線IP電話機3に、メディア種別「音声のみ」の指定を伴うNOTIFYメッセージを通知する。それから、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して、いずれかの内線IP電話機3から、Replace付きINVITEメッセージを受信し(S265)、S266に進む。
【0113】
S266において、呼制御部18は、X1>Y1となるメディアゲートウェイ2のなかから中継担当を選択する。そして、この中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスを用いて、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してこのメディアゲートウェイ2に、メディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数を一つ減らして、メディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数を増やすための変更指示を送信する(S267)。
【0114】
つぎに、処理能力取得部16は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して中継担当のメディアゲートウェイ2から、処理能力情報を受信する。そして、このメディアゲートウェイ2に対応付けられて処理能力記憶部14に登録されているレコード140を検索し、この検索したレコード140のフィールド143、144の登録内容を、受信した処理能力情報に含まれているメディア種別「音声のみ」、「音声+映像」の同時処理可能な最大セッションに更新する(S268)。
【0115】
つぎに、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介して中継担当のメディアゲートウェイ2に、メディア種別「音声のみ」、INVITEメッセージの発信元(IP電話機4)のグローバルアドレス、およびReplace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレスの指定を伴う中継開始指示を送信する(S269)。
【0116】
それから、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して中継担当のメディアゲートウェイ2から中継開始通知を受信し(S270)、その旨を稼働状態監視部17に知らせる。これを受けて、稼働状態監視部17は、中継担当のメディアゲートウェイ2に対応付けられて稼働状態記憶部15に登録されているテーブル150に新たなレコード151を追加する。そして、このレコード151のフィールド152にメディア種別「音声のみ」を登録し、フィールド153にINVITEメッセージの発信元(IP電話機4)のグローバルアドレスを登録し、フィールド154にReplace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレスを登録する(S271)。
【0117】
つぎに、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してReplace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスの指定を伴う200OKメッセージを送信する。同様に、通信制御部13およびWAN−IF部12を介してINVITEメッセージの発信元(IP電話機4)に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のグローバルアドレスの指定を伴う200OKメッセージを送信する(S272)。その後、このフローを終了する。これにより、中継担当のメディアゲートウェイ2を介して、INVITEメッセージの発信元(IP電話機4)と、Replace付きINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)との間に、メディア種別「音声のみ」のセッションが確立される。
【0118】
図9および図10は、ゲートウェイ1の内線着信によるセッション確立動作を説明するためのフロー図である。このフローは、メディア種別の指定を伴うINVITEメッセージがLAN5を介して内線IP電話機3からゲートウェイ1に着信することにより開始される。
【0119】
まず、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して内線IP電話機3から受信したINVITEメッセージで指定されているメディア種別M3を調べる(S300)。そして、メディア種別M3が「音声+映像」ならばS301に進み、「音声のみ」ならばS340に進む。
【0120】
S301において、呼制御部18は、処理能力記憶部14を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数(各レコード140のフィールド144の値)X1を調べる。
【0121】
つぎに、呼制御部18は、稼働状態記憶部15を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声+映像」の処理中セッション数(各テーブル150のフィールド152に「音声+映像」が登録されているレコード151の数)Y1、すなわち、メディア種別「音声+映像」についての各メディアゲートウェイ2の稼働状態を調べる(S302)。
【0122】
そして、呼制御部18は、X1>Y1となるメディアゲートウェイ2の有無を判断する(S303)。
【0123】
X1>Y1となるメディアゲートウェイ2が存在しないならば(S303でNO)、S320に進む。
【0124】
一方、X1>Y1となるメディアゲートウェイ2が存在するならば(S303でYES)、呼制御部18は、これらのメディアゲートウェイ2のなかから中継担当を選択し(S304)、この中継担当のメディアゲートウェイ2に対応する処理能力記憶部14のレコード140から、この中継担当のメディアゲートウェイ2のアドレス情報(ローカルアドレス、グローバルアドレス)を取得する。
【0125】
そして、呼制御部18は、内線IP電話機3から受信したINVITEメッセージの発信先を調べ、この送信先にINVITEメッセージを送信する(S305)。具体的には、発信先がIP電話機4ならば、通信制御部13およびWAN−IF部12を介してIP電話機4に、メディア種別「音声+映像」、中継担当のメディアゲートウェイ2のグローバルアドレスの指定を伴うINVITEメッセージを送信し、発信先が他の内線IP電話機3ならば、通信制御部13およびLAN−IF部11を介して他の内線IP電話機3に、メディア種別「音声+映像」、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスの指定を伴うINVITEメッセージを送信する。
【0126】
それから、呼制御部18は、WAN−IF部12および通信制御部13を介して、あるいはLAN−IF部11および通信制御部13を介して、INVITEメッセージの発信先から200OKメッセージを受信し(S306)、この200OKメッセージで指定されているメディア種別M4を調べる(S307)。そして、メディア種別M4が「音声+映像」ならばS308に進み、「音声のみ」ならばS312に進む。
【0127】
S308において、呼制御部18は、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスを用いて、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してこのメディアゲートウェイ2に、メディア種別「音声+映像」、INVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレス、およびINVITEメッセージの発信先のアドレス(IP電話機4のグローバルアドレスあるいは他の内線IP電話機3のローカルアドレス)の指定を伴う中継開始指示を送信する。
【0128】
つぎに、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して中継担当のメディアゲートウェイ2から中継開始通知を受信し(S309)、その旨を稼働状態監視部17に知らせる。これを受けて、稼働状態監視部17は、中継担当のメディアゲートウェイ2に対応付けられて稼働状態記憶部15に登録されているテーブル150に新たなレコード151を追加する。そして、このレコード151のフィールド152にメディア種別「音声+映像」を登録し、フィールド153にINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3のローカルアドレス)を登録し、フィールド154にINVITEメッセージの発信先のアドレス(IP電話機4のグローバルアドレスあるいは他の内線IP電話機3のローカルアドレス)を登録する(S310)。
【0129】
それから、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)に、メディア種別「音声+映像」、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスの指定を伴う200OKメッセージを送信する(S311)。その後、このフローを終了する。これにより、中継担当のメディアゲートウェイ2を介して、INVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)と発信先(IP電話機4あるいは他の内線IP電話機3)との間に、メディア種別「音声+映像」のセッションが確立される。
【0130】
一方、S312において、呼制御部18は、処理能力記憶部14を参照し、中継担当のメディアゲートウェイ2のメディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数(中継担当のメディアゲートウェイ2に対応するレコード140のフィールド143の値)X2を調べる。
【0131】
つぎに、呼制御部18は、稼働状態記憶部15を参照し、中継担当のメディアゲートウェイ2のメディア種別「音声のみ」の処理中セッション数(中継担当のメディアゲートウェイ2に対応するテーブル150のフィールド152に「音声のみ」が登録されているレコード151の数)Y2、すなわち、メディア種別「音声のみ」についての中継担当のメディアゲートウェイ2の稼働状態を調べる(S313)。
【0132】
そして、呼制御部18は、中継担当のメディアゲートウェイ2がX2>Y2であるか否かを判断する(S314)。
【0133】
中継担当のメディアゲートウェイ2がX2>Y2でないならば(S314でNO)、S367に進む。
【0134】
一方、中継担当のメディアゲートウェイ2がX2>Y2であるならば(S314でYES)、S326に進む。
【0135】
また、S320において、呼制御部18は、処理能力記憶部14を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数(各レコード140のフィールド143の値)X2を調べる。
【0136】
つぎに、呼制御部18は、稼働状態記憶部15を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声のみ」の処理中セッション数(各テーブル150のフィールド152に「音声のみ」が登録されているレコード151の数)Y2、すなわち、メディア種別「音声のみ」についての各メディアゲートウェイ2の稼働状態を調べる(S321)。
【0137】
そして、呼制御部18は、X2>Y2となるメディアゲートウェイ2の有無を判断する(S322)。
【0138】
X2>Y2となるメディアゲートウェイ2が存在しないならば(S322でNO)、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)にBUSYメッセージを送信して(S363)、このフローを終了する。
【0139】
一方、X2>Y2となるメディアゲートウェイ2が存在するならば(S322でYES)、呼制御部18は、これらのメディアゲートウェイ2のなかから中継担当を選択し(S323)、この中継担当のメディアゲートウェイ2に対応する処理能力記憶部14のレコード140から、この中継担当のメディアゲートウェイ2のアドレス情報(ローカルアドレス、グローバルアドレス)を取得する。
【0140】
そして、呼制御部18は、内線IP電話機3から受信したINVITEメッセージの発信先を調べ、この発信先にINVITEメッセージを送信する(S324)。具体的には、発信先がIP電話機4ならば、通信制御部13およびWAN−IF部12を介してIP電話機4に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のグローバルアドレスの指定を伴うINVITEメッセージを送信し、発信先が他の内線IP電話機3ならば、通信制御部13およびLAN−IF部11を介して他の内線IP電話機3に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスの指定を伴うINVITEメッセージを送信する。
【0141】
それから、呼制御部18は、WAN−IF部12および通信制御部13を介して、あるいはLAN−IF部11および通信制御部13を介して、INVITEメッセージの発信先から200OKメッセージを受信し(S325)、S326に進む。
【0142】
S326において、呼制御部18は、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスを用いて、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してこのメディアゲートウェイ2に、メディア種別「音声のみ」、INVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレス、およびINVITEメッセージの発信先のアドレス(IP電話機4のグローバルアドレスあるいは他の内線IP電話機3のローカルアドレス)の指定を伴う中継開始指示を送信する。
【0143】
つぎに、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して中継担当のメディアゲートウェイ2から中継開始通知を受信し(S327)、その旨を稼働状態監視部17に知らせる。これを受けて、稼働状態監視部17は、中継担当のメディアゲートウェイ2に対応付けられて稼働状態記憶部15に登録されているテーブル150に新たなレコード151を追加する。そして、このレコード151のフィールド152にメディア種別「音声のみ」を登録し、フィールド153にINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレスを登録し、フィールド154にINVITEメッセージの発信先のアドレス(IP電話機4のグローバルアドレスあるいは他の内線IP電話機3のローカルアドレス)を登録する(S328)。
【0144】
それから、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスの指定を伴う200OKメッセージを送信する(S329)。その後、このフローを終了する。これにより、中継担当のメディアゲートウェイ2を介して、INVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)と発信先(IP電話機4あるいは他の内線IP電話機3)との間に、メディア種別「音声のみ」のセッションが確立される。
【0145】
一方、S340において、呼制御部18は、処理能力記憶部14を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数(各レコード140のフィールド143の値)X2を調べる。
【0146】
つぎに、呼制御部18は、稼働状態記憶部15を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声のみ」の処理中セッション数(各テーブル150のフィールド152に「音声のみ」が登録されているレコード151の数)Y2、各メディアゲートウェイ2の稼働状態を調べる(S341)。
【0147】
そして、呼制御部18は、X2>Y2となるメディアゲートウェイ2の有無を判断する(S342)。
【0148】
X2>Y2となるメディアゲートウェイ2が存在しないならば(S342でNO)、S360に進む。
【0149】
一方、X2>Y2となるメディアゲートウェイ2が存在するならば(S342でYES)、呼制御部18は、これらのメディアゲートウェイ2のなかから中継担当を選択し(S343)、この中継担当のメディアゲートウェイ2に対応する処理能力記憶部14のレコード140から、この中継担当のメディアゲートウェイ2のアドレス情報(ローカルアドレス、グローバルアドレス)を取得する。
【0150】
そして、呼制御部18は、内線IP電話機3から受信したINVITEメッセージの発信先を調べ、この発信先にINVITEメッセージを送信する(S344)。具体的には、発信先がIP電話機4ならば、通信制御部13およびWAN−IF部12を介してIP電話機4に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のグローバルアドレスの指定を伴うINVITEメッセージを送信し、発信先が他の内線IP電話機3ならば、通信制御部13およびLAN−IF部11を介して他の内線IP電話機3に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスの指定を伴うINVITEメッセージを送信する。
【0151】
それから、呼制御部18は、WAN−IF部12および通信制御部13を介して、あるいはLAN−IF部11および通信制御部13を介して、INVITEメッセージの発信先から200OKメッセージを受信する(S345)。そして、呼制御部18は、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスを用いて、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してこのメディアゲートウェイ2に、メディア種別「音声のみ」、INVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレス、およびINVITEメッセージの発信先のアドレス(IP電話機4のグローバルアドレスあるいは他の内線IP電話機3のローカルアドレス)の指定を伴う中継開始指示を送信する(S346)。
【0152】
つぎに、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して中継担当のメディアゲートウェイ2から中継開始通知を受信し(S347)、その旨を稼働状態監視部17に知らせる。これを受けて、稼働状態監視部17は、中継担当のメディアゲートウェイ2に対応付けられて稼働状態記憶部15に登録されているテーブル150に新たなレコード151を追加する。そして、このレコード151のフィールド152にメディア種別「音声のみ」を登録し、フィールド153にINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレスを登録し、フィールド154にINVITEメッセージの発信先のアドレス(IP電話機4のグローバルアドレスあるいは他の内線IP電話機3のローカルアドレス)を登録する(S348)。
【0153】
それから、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスの指定を伴う200OKメッセージを送信する(S349)。その後、このフローを終了する。これにより、中継担当のメディアゲートウェイ2を介して、INVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)と発信先(IP電話機4あるいは他の内線IP電話機3)との間に、メディア種別「音声のみ」のセッションが確立される。
【0154】
一方、S360において、呼制御部18は、処理能力記憶部14を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数(各レコード140のフィールド144の値)X1を調べる。
【0155】
つぎに、呼制御部18は、稼働状態記憶部15を参照し、各メディアゲートウェイ2のメディア種別「音声+映像」の処理中セッション数(各テーブル150のフィールド152に「音声+映像」が登録されているレコード151の数)Y1、すなわち、メディア種別「音声+映像」についての各メディアゲートウェイ2の稼働状態を調べる(S361)。
【0156】
そして、呼制御部18は、X1>Y1となるメディアゲートウェイ2の有無を判断する(S362)。
【0157】
X1>Y1となるメディアゲートウェイ2が存在しないならば(S362でNO)、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)にBUSYメッセージを送信して(S363)、このフローを終了する。
【0158】
一方、X1>Y1となるメディアゲートウェイ2が存在するならば(S362でYES)、呼制御部18は、これらのメディアゲートウェイ2のなかから中継担当を選択し(S364)、この中継担当のメディアゲートウェイ2に対応する処理能力記憶部14のレコード140から、この中継担当のメディアゲートウェイ2のアドレス情報(ローカルアドレス、グローバルアドレス)を取得する。
【0159】
そして、呼制御部18は、内線IP電話機3から受信したINVITEメッセージの発信先を調べ、この送信先にINVITEメッセージを送信する(S365)。具体的には、発信先がIP電話機4ならば、通信制御部13およびWAN−IF部12を介してIP電話機4に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のグローバルアドレスの指定を伴うINVITEメッセージを送信し、発信先が他の内線IP電話機3ならば、通信制御部13およびLAN−IF部11を介して他の内線IP電話機3に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスの指定を伴うINVITEメッセージを送信する。
【0160】
それから、呼制御部18は、WAN−IF部12および通信制御部13を介して、あるいはLAN−IF部11および通信制御部13を介して、INVITEメッセージの発信先から200OKメッセージを受信し(S366)、S367に進む。
【0161】
S367において、呼制御部18は、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスを用いて、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してこのメディアゲートウェイ2に、メディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数を一つ減らして、メディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数を増やすための変更指示を送信する。
【0162】
つぎに、処理能力取得部16は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して中継担当のメディアゲートウェイ2から処理能力情報を受信したならば、このメディアゲートウェイ2に対応付けられて処理能力記憶部14に登録されているレコード140を検索する。そして、検索したレコード140のフィールド143、144の登録内容を、受信した処理能力情報に含まれているメディア種別「音声のみ」、「音声+映像」の同時処理可能な最大セッションに更新する(S368)。
【0163】
つぎに、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介して中継担当のメディアゲートウェイ2に、メディア種別「音声のみ」、INVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレス、およびINVITEメッセージの発信先のアドレス(IP電話機4のグローバルアドレスあるいは他の内線IP電話機3のローカルアドレス)の指定を伴う中継開始指示を送信する(S369)。
【0164】
それから、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して中継担当のメディアゲートウェイ2から中継開始通知を受信し(S370)、その旨を稼働状態監視部17に知らせる。これを受けて、稼働状態監視部17は、中継担当のメディアゲートウェイ2に対応付けられて稼働状態記憶部15に登録されているテーブル150に新たなレコード151を追加する。そして、このレコード151のフィールド152にメディア種別「音声のみ」を登録し、フィールド153にINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)のローカルアドレスを登録し、フィールド154にINVITEメッセージの発信先のアドレス(IP電話機4のグローバルアドレスあるいは他の内線IP電話機3のローカルアドレス)を登録する(S371)。
【0165】
つぎに、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してINVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)に、メディア種別「音声のみ」、中継担当のメディアゲートウェイ2のローカルアドレスの指定を伴う200OKメッセージを送信する(S372)。その後、このフローを終了する。これにより、中継担当のメディアゲートウェイ2を介して、INVITEメッセージの発信元(内線IP電話機3)と発信先(IP電話機4あるいは他の内線IP電話機3)との間に、メディア種別「音声のみ」のセッションが確立される。
【0166】
図11は、ゲートウェイ1のセッション切断動作を説明するためのフロー図である。このフローは、ゲートウェイ1が、メディアゲートウェイ2経由で確立している切断対象セッションの接続先である内線IP電話機3あるいはIP電話機4からBYEメッセージを受信することにより開始される。
【0167】
まず、呼制御部18は、受信したBYEメッセージを中継する(S400)。具体的には、受信したBYEメッセージの送信先がIP電話機4ならば、通信制御部13およびWAN−IF部12を介してWAN6側に、このBYEメッセージを送信する。一方、受信したBYEメッセージの送信先が内線IP電話機3ならば、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してLAN5側に、このBYEメッセージを送信する。
【0168】
つぎに、呼制御部18は、BYEメッセージの送信先から200OKメッセージを受信して、この200OKメッセージを中継する(S401)。具体的には、受信した200OKメッセージの送信先がIP電話機4ならば、通信制御部13およびWAN−IF部12を介してWAN6側に、このBYEメッセージを送信する。一方、受信した200OKメッセージの送信先が内線IP電話機3ならば、通信制御部13およびLAN−IF部11を介してLAN5側に、このBYEメッセージを送信する。これにより、切断対象セッションが切断される。
【0169】
つぎに、呼制御部18は、稼働状態記憶部15を参照して、切断対象セッションの中継担当のメディアゲートウェイ2を特定する(S402)。具体的には、稼働状態記憶部15から、フィールド153、154の一方に200OKメッセージの送信元アドレスが登録され、他方に200OKメッセージの送信先アドレスが登録されたレコード151を有するテーブル150を検索する。そして、検索したテーブル150に対応付けられているメディアゲートウェイ2を中継担当として特定する。
【0170】
それから、呼制御部18は、通信制御部13およびLAN−IF部11を介して、この中継担当のメディアゲートウェイ2に、200OKメッセージの送信元アドレス、送信先アドレスの指定を伴う切断対象セッションの中継終了指示を送信する(S403)。
【0171】
つぎに、呼制御部18は、LAN−IF部11および通信制御部13を介して中継担当のメディアゲートウェイ2から中継終了通知を受信し(S404)、その旨を稼働状態監視部17に知らせる。これを受けて、稼働状態監視部17は、中継担当のメディアゲートウェイ2に対応付けられて稼働状態記憶部15に登録されているテーブル150から、フィールド153、154の一方に200OKメッセージの送信元アドレスが登録され、他方に200OKメッセージの送信先アドレスが登録されているレコード151を検索する。そして、検索したレコード151を削除する(S405)。
【0172】
つぎに、メディアゲートウェイ2の詳細を説明する。
【0173】
図12は、メディアゲートウェイ2の概略機能構成図である。
【0174】
図示するように、メディアゲートウェイ2は、LAN−IF部21と、WAN−IF部22と、通信制御部23と、稼働状態記憶部24と、処理能力記憶部25と、中継制御部26と、処理能力通知部27と、変更指示受信部28と、処理能力変更部29と、を有する。
【0175】
LAN−IF部21は、LAN5に接続するためのインターフェースである。
【0176】
WAN−IF部22は、WAN6に接続するためのインターフェースである。
【0177】
通信制御部23は、LAN−IF部21を介してゲートウェイ1および内線IP電話機3との通信を制御するとともに、WAN−IF部22を介してIP電話機4との通信を制御する。
【0178】
稼働状態記憶部24には、自メディアゲートウェイ2の稼働状態に関する情報(自メディアゲートウェイ2の処理中セッションに関する情報)が記憶される。
【0179】
図13(A)は、稼働状態記憶部24の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、稼働状態記憶部24には、処理中セッション毎にレコード240が記憶される。レコード240は、対象の処理中セッションのメディア種別を登録するフィールド241と、発信元アドレスを登録するフィールド242と、発信先アドレスを登録するフィールド243と、を有する。
【0180】
処理能力記憶部25には、自メディアゲートウェイ2の処理能力情報(メディア種別毎の同時処理可能な最大セッション数)が記憶される。
【0181】
図13(B)は、処理能力記憶部25の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、処理能力記憶部25には、セッションのメディア種別毎にレコード250が記憶されている。レコード250は、メディア種別(「音声のみ」および「音声+映像」のいずれか)を登録するフィールド251と、同時処理可能な最大セッション数のデフォルト値を登録するフィールド252と、同時処理可能な最大セッション数のカレント値を登録するフィールド253と、を有する。ここで、各レコード250のフィールド253には、初期値として、同じレコード250のフィールド252に登録されるデフォルト値と同じ値がカレント値として登録される。
【0182】
中継制御部26は、LAN−IF部21および通信制御部23を介してゲートウェイ1から受け付けた指示に従い、通信制御部23と連携して、IP電話機4と内線IP電話機3との間、あるいは内線IP電話機3同士の間に確立されたセッションを中継する。なお、中継制御部26は、メディア種別毎に、対象のメディア種別に対応付けられて処理能力記憶部25に記憶されているレコード250のフィールド253に登録されているカレント値を上限として、対象のメディア種別のセッションを中継する。
【0183】
処理能力通知部27は、処理能力記憶部25が更新される都度、処理能力記憶部25に記憶されている各メディア種別の同時処理可能な最大セッション数のカレント値を、処理能力情報として、通信制御部23およびLAN−IF部21を介してゲートウェイ1に送信する。
【0184】
変更指示受信部28は、LAN−IF部21および通信制御部23を介して、ゲートウェイ1から、メディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数を一つ減らして、メディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数を増やすための変更指示を受信する。
【0185】
処理能力変更部29は、変更指示受信部28がゲートウェイ1から変更指示を受信した場合に、メディア種別「音声+映像」に対応付けられて処理能力記憶部25に記憶されているレコード250のフィールド253に登録されているカレント値を一つ減らすとともに、メディア種別「音声のみ」に対応付けられて処理能力記憶部25に記憶されているレコード250のフィールド253に登録されているカレント値を所定数n(例えば処理負荷的に、メディア種別「音声+映像」のセッション一本分に相当するメディア種別「音声のみ」のセッション数)増やす。
【0186】
また、処理能力変更部29は、メディア種別「音声+映像」に対応付けられて処理能力記憶部25に記憶されているレコード250のフィールド253に登録されているカレント値が、このレコード250のフィールド252に登録されているデフォルト値より小さい場合に、稼働状態記憶部24を参照して、メディア種別「音声のみ」の処理中セッション数を監視する。そして、メディア種別「音声のみ」の処理中セッション数と、メディア種別「音声のみ」に対応付けられて処理能力記憶部25に記憶されているレコード250のフィールド253に登録されているカレント値との差が所定数n(例えば処理負荷的に、メディア種別「音声+映像」のセッション一本分に相当するメディア種別「音声のみ」のセッション数)以上となった場合に、メディア種別「音声のみ」に対応付けられて処理能力記憶部25に記憶されているレコード250のフィールド253に登録されているカレント値を上述の所定数n減らすとともに、メディア種別「音声+映像」に対応付けられて処理能力記憶部25に記憶されているレコード250のフィールド253に登録されているカレント値を一つ増やす。
【0187】
図14は、メディアゲートウェイ2の動作を説明するためのフロー図である。このフローは、電源投入等によるメディアゲートウェイ2の起動で開始される。
【0188】
まず、処理能力通知部27は、処理能力記憶部25から各メディア種別の同時処理可能な最大セッション数のカレント値を取得し、これらの情報を自メディアゲートウェイ2の処理能力情報として、通信制御部23およびLAN−IF部21を介してゲートウェイ1に送信する(S500)。
【0189】
その後、中継制御部26は、LAN−IF部21および通信制御部23を介して、ゲートウェイ1から中継開始指示を受信すると(S501でYES)、通信制御部23と連携して、この中継開始指示で指定されている発信元アドレス、発信先アドレスにより特定される内線IP電話機3とIP電話機4との間、あるいは内線IP電話機3同士の間に確立される、この中継開始指示で指定されているメディア種別のセッションの中継を開始する(S502)。
【0190】
つぎに、中継制御部26は、稼働状態記憶部24にレコード240を追加し、このレコード240のフィールド241〜243に、中継を開始したセッションのメディア種別、発信元アドレス、発信先アドレスを登録する(S503)。
【0191】
それから、中継制御部26は、中継を開始したセッションのメディア種別、発信元アドレス、発信先アドレスの指定を伴う中継開始通知を生成し、この中継開始通知を、通信制御部23およびLAN−IF部21を介してゲートウェイ1に送信する(S504)。その後、S501に戻る。
【0192】
中継制御部26は、LAN−IF部21および通信制御部23を介して、ゲートウェイ1から中継終了指示を受信すると(S510でYES)、通信制御部23と連携して、この中継終了指示で指定されている発信元アドレス、発信先アドレスにより特定される内線IP電話機3とIP電話機4との間、あるいは内線IP電話機3同士の間に確立されている、この中継終了指示で指定されているメディア種別のセッションの中継を終了する(S511)。
【0193】
つぎに、中継制御部26は、中継を終了したセッションのメディア種別、発信元アドレス、発信先アドレスがフィールド241〜243に登録されているレコード240を稼働状態記憶部24から検索し、このレコード240を削除する(S512)。
【0194】
それから、中継制御部26は、中継を終了したセッションのメディア種別、発信元アドレス、発信先アドレスの指定を伴う中継終了通知を生成し、通信制御部23およびLAN−IF部21を介してゲートウェイ1に、この中継終了通知を送信する(S513)。その後、S501に戻る。
【0195】
変更指示受信部28は、LAN−IF部21および通信制御部23を介して、ゲートウェイ1から、メディア種別「音声のみ」の指定を伴う変更指示を受信すると(S520でYES)、この変更指示を処理能力変更部29に渡す。これを受けて、処理能力変更部29は、変更指示で指定されたメディア種別「音声のみ」よりも処理負荷の大きいメディア種別「音声+映像」に対応付けられて処理能力記憶部25に記憶されているレコード250のフィールド253に登録されているカレント値を一つ減らすとともに、変更指示で指定されたメディア種別「音声のみ」に対応付けられて処理能力記憶部25に記憶されているレコード250のフィールド253に登録されているカレント値を所定数nだけ増やす(S521)。
【0196】
つぎに、処理能力通知部27は、処理能力記憶部25から各メディア種別の同時処理可能な最大セッション数のカレント値を取得し、これらの情報を自メディアゲートウェイ2の処理能力情報として、通信制御部23およびLAN−IF部21を介してゲートウェイ1に送信する(S522)。その後、S501に戻る。
【0197】
処理能力変更29は、メディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数のデフォルト値、カレント値を処理能力記憶部25から取得し(S530)、カレント値がデフォルト値より小さいか否かを調べる(S531)。カレント値がデフォルト値以上ならば(S531でNO)、S501に戻る。
【0198】
一方、カレント値がデフォルト値より小さいならば(S531でYES)、メディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数のカレント値Aを処理能力記憶部25から取得するとともに、メディア種別「音声のみ」の処理中セッション数(メディア種別「音声のみ」が登録されたレコード240の数)Bを稼働状態記憶部24から取得する(S532)。そして、両者の差(B−A)が上述の所定数n以上であるか否かを判断する(S533)。両者の差(B−A)が上述の所定数n未満であるならば(S533でNO)、S501に戻る。
【0199】
一方、両者の差(B−A)が上述の所定数n以上であるならば(S533でYES)、処理能力変更部29は、メディア種別「音声のみ」に対応付けられて処理能力記憶部25に記憶されているレコード250のフィールド253に登録されているカレント値を上述の所定数n減らすとともに、メディア種別「音声+映像」に対応付けられて処理能力記憶部25に記憶されているレコード250のフィールド253に登録されているカレント値を一つ増やす(S534)。
【0200】
つぎに、処理能力通知部27は、処理能力記憶部25から各メディア種別の同時処理可能な最大セッション数のカレント値を取得し、これらの情報を自メディアゲートウェイ2の処理能力情報として、通信制御部23およびLAN−IF部21を介してゲートウェイ1に送信する(S535)。その後、S501に戻る。
【0201】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0202】
本実施の形態において、ゲートウェイ1は、各メディアゲートウェイ2の処理能力情報を取得するとともに、各メディアゲートウェイ2の稼働状態を監視する。また、ゲートウェイ1は、メディア種別の指定を伴うINVITEメッセージを受信した場合に、各メディアゲートウェイ2の処理能力および稼働状態に基づいて、INVITEメッセージで指定されたメディア種別のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイ2を中継担当として選択する。一方、メディアゲートウェイ2は、自メディアゲートウェイ2の処理能力情報をゲートウェイ1に通知する。また、ゲートウェイ1の指示に従い、ゲートウェイ1により指定されたメディア種別のセッションの中継処理を行う。
【0203】
したがって、本実施の形態によれば、異なる処理能力のメディアゲートウェイ2が混在する場合でも、複数のメディアゲートウェイ2に効率よく処理を振り分けることが可能となる。
【0204】
また、本実施の形態において、ゲートウェイ1は、メディア種別毎の同時処理可能な最大セッション数を処理能力情報として各メディアゲートウェイ2から取得するとともに、各メディアゲートウェイ2のメディア種別毎の処理中セッション数を稼働状態として監視する。そして、ゲートウェイ1は、INVITEメッセージで指定されたメディア種別の処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2を選択する。
【0205】
したがって、本実施の形態によれば、INVITEメッセージで指定されたメディア種別のセッションの中継処理を追加できるメディアゲートウェイ2を確実に選択することができる。
【0206】
また、本実施の形態において、ゲートウェイ1は、INVITEメッセージで指定されたメディア種別が「音声のみ」の場合、このメディア種別「音声のみ」の処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2はないが、このメディア種別「音声のみ」より処理負荷の大きいメディア種別「音声+映像」の処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2があるならば、このメディアゲートウェイ2に変更指示を通知して、メディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数を増加させる。そして、このINVITEメッセージに従って確立されるセッションの中継担当として、このメディアゲートウェイ2を選択する。一方、メディアゲートウェイ2は、ゲートウェイ1から受信した変更指示に従い、メディア種別「音声+映像」の同時処理可能な最大セッション数を減らして、メディア種別「音声のみ」の同時処理可能な最大セッション数を増加させる。
【0207】
したがって、本実施の形態によれば、各メディアゲートウェイ2の処理能力を効率よく活用することができる。
【0208】
また、本実施の形態において、ゲートウェイ1は、INVITEメッセージで指定されているメディア種別が「音声+映像」の場合、このメディア種別「音声+映像」の処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイはないが、このメディア種別「音声+映像」より処理負荷の小さいメディア種別「音声のみ」の処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイ2があるならば、NOTIFYメッセージに伴うメディア種別を「音声のみ」に変更して、内線IP電話機3に送信する。そして、このメディアゲートウェイ2に、このINVITEメッセージに従って確立されるメディア種別「音声のみ」のセッションを中継させる。
【0209】
したがって、本実施の形態によれば、INVITEメッセージの発信元が希望するメディア種別でセッションを確立できない場合でも、なるべくセッションを確立できるように、各メディアゲートウェイ2の処理能力を活用することができる。
【0210】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0211】
例えば、上記の実施の形態では、WAN6側からゲートウェイ1にINVITEメッセージが着信した場合における内線IP電話機3の呼出しにNOTIFYメッセージを使用し、この呼出しに対する内線IP電話機3の応答にReplace付きINVITEメッセージを使用している。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、WAN6側から受信したINVITEメッセージをLAN5側に中継することで内線IP電話機3を呼び出してもよい。この場合、内線IP電話機3の応答に200OKメッセージが用いられる。
【0212】
また、上記の実施の形態では、呼制御プロトコルにSIPを用いた場合を例にとり説明したが、H323等のその他のプロトコルを用いてもよい。
【0213】
また、上記の実施の形態において、図5に示すゲートウェイ1および図12に示すメディアゲートウェイ2の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。もしくは、CPU、メモリ、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置、およびNIC(Network Interface Card)、モデム等の通信インターフェースを備えたPC等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【符号の説明】
【0214】
1:ゲートウェイ、2:メディアゲートウェイ、3:内線IP電話機、4:IP電話機、5:LAN、6:WAN、11:LAN−IF部、12:WAN−IF部、13:通信制御部、14:処理能力記憶部、15:稼働状態記憶部、16:処理能力取得部、17:稼働状態監視部、18:呼制御部、21:LAN−IF部、22:WAN−IF部、23:通信制御部、24:稼働状態記憶部、25:処理能力記憶部、26:中継制御部、27:処理能力通知部、28:変更指示受信部、29:処理能力変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セッションの中継処理を行う複数のメディアゲートウェイに処理を振り分けるゲートウェイであって、
前記複数のメディアゲートウェイ各々の処理能力に関する情報を取得する処理能力取得手段と、
前記複数のメディアゲートウェイ各々の稼働状態を監視する稼働状態監視手段と、
メディア種別の指定を伴うセッションの接続要求の受信に従い、セッションを確立して、前記複数のメディアゲートウェイのなかから選択したメディアゲートウェイに、当該セッションを中継させる呼制御手段と、を有し、
前記呼制御手段は、
前記複数のメディアゲートウェイ各々の処理能力に関する情報および稼働状態に基づいて、前記複数のメディアゲートウェイのなかから、前記接続要求で指定されたメディア種別のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイを、前記セッションを中継させるメディアゲートウェイとして選択する
ことを特徴とするゲートウェイ。
【請求項2】
請求項1に記載のゲートウェイであって、
前記処理能力取得手段は、
メディア種別毎の同時処理可能な最大セッション数を、前記処理能力に関する情報として前記複数のメディアゲートウェイ各々から取得し、
前記稼働状態監視手段は、
前記複数のメディアゲートウェイ各々のメディア種別毎の処理中セッション数を前記稼働状態として監視し、
前記呼制御手段は、
前記接続要求で指定されたメディア種別の処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイを、前記余力のあるメディアゲートウェイとして選択する
ことを特徴とするゲートウェイ。
【請求項3】
請求項2に記載のゲートウェイであって、
前記呼制御手段は、
前記複数のメディアゲートウェイのなかに、前記接続要求で指定されたメディア種別の処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイがない場合に、前記接続要求で指定されたメディア種別より処理負荷の大きいメディア種別の処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイがあるならば、当該メディアゲートウェイを、前記セッションを中継させるメディアゲートウェイとして選択するとともに、当該メディアゲートウェイに、前記接続要求で指定されたメディア種別より処理負荷の大きいメディア種別の同時処理可能な最大セッション数を減らして、前記接続要求で指定されたメディア種別の同時処理可能な最大セッション数を増加させるための変更指示を通知する
ことを特徴とするゲートウェイ。
【請求項4】
請求項2に記載のゲートウェイであって、
前記呼制御手段は、
前記複数のメディアゲートウェイのなかに、前記接続要求で指定されたメディア種別の処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイがない場合に、前記接続要求で指定されたメディア種別より処理負荷の小さいメディア種別の処理中セッション数が同時処理可能な最大セッション数よりも小さいメディアゲートウェイがあるならば、当該メディアゲートウェイを、前記セッションを中継させるメディアゲートウェイとして選択するとともに、前記接続要求で指定されたメディア種別より処理負荷の小さいメディア種別の指定を伴う呼出しを、配下のネットワークに送出する
ことを特徴とするゲートウェイ。
【請求項5】
セッションの中継処理を行うメディアゲートウェイであって、
ゲートウェイに、自装置の処理能力に関する情報を通知する処理能力通知手段と、
前記ゲートウェイの指示に従い、前記ゲートウェイにより指定されたメディア種別のセッションの中継処理を行う中継制御手段と、を有する
ことを特徴とするメディアゲートウェイ。
【請求項6】
請求項5に記載のメディアゲートウェイであって、
前記ゲートウェイから変更指示を受信する変更指示受信手段と、
前記変更指示受信手段により受信した前記変更指示に従い、当該変更指示で指定されているメディア種別より処理負荷の大きいメディア種別の同時処理可能な最大セッション数を減らして、当該変更指示で指定されているメディア種別の同時処理可能な最大セッション数を増加させる処理能力変更手段と、をさらに有し、
前記処理能力通知手段は、
メディア種別毎の同時処理可能な最大セッション数を、前記処理能力に関する情報として前記ゲートウェイに通知する
ことを特徴とするメディアゲートウェイ。
【請求項7】
ゲートウェイを用いて、セッションの中継処理を行う複数のメディアゲートウェイに処理を振り分けるメディアゲートウェイの制御方法であって、
前記ゲートウェイは、
前記複数のメディアゲートウェイ各々の処理能力に関する情報を取得するとともに、前記複数のメディアゲートウェイ各々の稼働状態を監視し、
メディア種別の指定を伴うセッションの接続要求を受信した場合に、セッションを確立するとともに、前記複数のメディアゲートウェイ各々の処理能力に関する情報および稼働状態に基づいて、前記複数のメディアゲートウェイのなかから、前記接続要求で指定されたメディア種別のセッションを処理する余力のあるメディアゲートウェイを選択し、当該選択したメディアゲートウェイに当該セッションを中継させ、
前記複数のメディアゲートウェイ各々は、
前記ゲートウェイに、自装置の処理能力に関する情報を通知し、
前記ゲートウェイの指示に従い、前記ゲートウェイにより指定されたメディア種別のセッションの中継処理を行う
ことを特徴とするメディアゲートウェイの制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−160786(P2012−160786A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17151(P2011−17151)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】